(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】建造物点検支援システム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20230926BHJP
E01D 22/00 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
H04N7/18 D
E01D22/00 A
H04N7/18 U
(21)【出願番号】P 2019179882
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】505466295
【氏名又は名称】株式会社イクシス
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】山崎 文敬
(72)【発明者】
【氏名】狩野 高志
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-111111(JP,A)
【文献】特開2017-107286(JP,A)
【文献】特開2017-106965(JP,A)
【文献】特表2004-507298(JP,A)
【文献】特開2017-198508(JP,A)
【文献】特開平11-132961(JP,A)
【文献】特開2017-223506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
E01D 22/00
G01M 13/00
G01N 17/00-21/00
G01N 29/00
G06Q 50/00
H04N 23/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物を部分的に撮影した部分画像を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した複数の前記部分画像を結合してパノラマ画像を生成する画像加工手段と、
前記画像加工手段が生成した前記パノラマ画像を表示する表示手段と、作業員の操作を受け付ける操作受付手段と、
が一体的に構成されており、作業員が点検を行う場所に携帯可能に構成されている通信端末と、
前記操作受付手段が受け付けた作業員の操作に基づいて、前記表示手段が表示している前記パノラマ画像のうち特定の位置を指定する位置指定手段と、
前記位置指定手段が指定した前記特定の位置に対して、
前記操作受付手段が受け付けた作業員の操作に基づいて指定した前記建造物に関する点検結果を示す点検データを対応付ける点検データ対応手段と、
を備え、
前記画像加工手段が結合した前記部分画像が増えるごとに、前記表示手段によって表示されている前記パノラマ画像が順次拡張し、
前記表示手段は、前記点検データが対応付けられている前記パノラマ画像を表示するとき、当該点検データが対応付けられた前記特定の位置を示す点検位置表示
と、作業員が居る位置を示す作業位置表示と、を表示する、
ことを特徴とする建造物点検支援システム。
【請求項2】
前記画像加工手段は、前記パノラマ画像に含まれる各ピクセルに対して座標位置を定め、
前記位置指定手段は、前記パノラマ画像に定められている前記座標位置のいずれかを前記特定の位置として指定する、
請求項1に記載の建造物点検支援システム。
【請求項3】
前記点検データは、前記建造物に対する打診の結果を示す音声データを含む、
請求項1又は2に記載の建造物点検支援システム。
【請求項4】
前記点検データは、前記建造物に対する目視点検の結果を示す画像データを含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の建造物点検支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物点検支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
我が国の高度成長期において高速道路や鉄道網等の社会インフラ整備に伴い、多くの建造物が建築されたが、近年ではこれらの建造物の経年劣化が社会問題となっている。
経年劣化による事故を避けるためには、対象となる建造物を定期的に点検・メンテナンスすることが必要不可欠である。
【0003】
このような背景を鑑みて、建造物の点検・メンテナンスに係る作業コストを軽減することを目的とする発明が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、表示装置に表示している点検対象の設備に係る画像に対して、ひび割れ、剥離、腐蝕の状態などを示す情報(対象設備損傷情報)をユーザの操作に基づいて対応付けるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、橋梁や道路を架け渡した高架橋を点検する際、点検結果を整理した資料を作成する必要があるが、この資料作成について作業コストを軽減したいとのニーズが存在しており、課題の一つとして挙げられる。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、高架橋等の建造物の点検作業に関する作業コストを軽減する建造物点検支援システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、建造物を部分的に撮影した部分画像を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した複数の前記部分画像を結合してパノラマ画像を生成する画像加工手段と、前記画像加工手段が生成した前記パノラマ画像を表示する表示手段と、作業員の操作を受け付ける操作受付手段と、が一体的に構成されており、作業員が点検を行う場所に携帯可能に構成されている通信端末と、前記操作受付手段が受け付けた作業員の操作に基づいて、前記表示手段が表示している前記パノラマ画像のうち特定の位置を指定する位置指定手段と、前記位置指定手段が指定した前記特定の位置に対して、前記操作受付手段が受け付けた作業員の操作に基づいて指定した前記建造物に関する点検結果を示す点検データを対応付ける点検データ対応手段と、を備え、前記画像加工手段が結合した前記部分画像が増えるごとに、前記表示手段によって表示されている前記パノラマ画像が順次拡張し、前記表示手段は、前記点検データが対応付けられている前記パノラマ画像を表示するとき、当該点検データが対応付けられた前記特定の位置を示す点検位置表示と、作業員が居る位置を示す作業位置表示と、を表示する、ことを特徴とする建造物点検支援システムが提供される。
【0008】
上記の発明によれば、パノラマ画像を生成して、そのパノラマ画像の特定の位置を指定して点検データが直接対応付けてあり、いずれの位置で点検した結果を示すものであるかが明瞭である。
従って、点検結果を整理した資料を作成する際に、その作業を簡略化することができ、作業コストの軽減を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高架橋等の建造物の点検作業に関する作業コストを軽減する建造物点検支援システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】高架橋を下方から視た状況を模式的に示す図である。
【
図4】表示手段に表示されるパノラマ画像の具体例を示す図である。
【
図5】表示手段に表示されるパノラマ画像の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0012】
<本発明の実施環境について>
先ず、本発明を実施する環境の一具体例について説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施環境を模式的に示す図である。
本発明を適用する点検は、例えば、橋梁点検車C1のバケットC2に乗った作業員が、高架橋B1を下方から目視及び打診によって点検するものである。なお、本実施形態では、橋脚B2と橋脚B3の間に位置する下部構造について点検することを前提として、以下説明する。
【0014】
図2は、高架橋B1を下方から視た状況を模式的に示す図である。
本実施形態に係る点検の対象となる領域(橋脚B2と橋脚B3の間)は、バケットC2の大きさに比べて広域にわたるものである。従って、当該領域について点検を完了させるまでには、橋梁点検車C1はバケットC2を徐々に移動させ(必要に応じて橋梁点検車C1も徐々に移動し)、バケットC2の移動箇所ごとに、バケットC2に添乗している作業員が目視点検や打診を繰り返す必要がある。
ここで、バケットC2に乗る作業員は、目視点検及び打診を行う作業員と、その点検結果を記録する補助作業員と、のペアで行うことが好ましい。
【0015】
図2に示すとおり、橋脚B2と橋脚B3の間には、第一の主桁B41、第二の主桁B42、第三の主桁B43、第四の主桁B44、第五の主桁B45、第六の主桁B46が橋軸に沿って設けられており、本実施形態ではこれらを総称して主桁B4とする。
また、橋脚B2と橋脚B3の間には、第一の横桁B51、第二の横桁B52、第三の横桁B53、第四の横桁B54、第五の横桁B55、第六の横桁B56、第七の横桁B57が橋軸に対して横方向に設けられており、本実施形態ではこれらを総称して横桁B5とする。
また、橋脚B2と橋脚B3の間には、主桁B4と横桁B5の双方に対して斜め方向になるように、多数の下横構B6が設けられている。
そして、床版B7は、主桁B4、横桁B5、及び下横構B6によって支えられている。
本実施形態に係る点検は、上記の下部構造(主桁B4、横桁B5、下横構B6、及び床版B7)のそれぞれに生じている損傷や腐蝕の有無を目視で確認すると共に、床版B7に生じている損傷付近に対しては打診によってその損傷の程度についても確認する。
【0016】
<本発明のシステム構成について>
次に、本発明のシステム構成について説明する。
図3は、本実施形態に関するシステム構成図である。
【0017】
本発明に係る建造物点検支援システム100は、通信端末20と、サーバ装置30と、を備える。なお、通信端末20及びサーバ装置30は、ネットワーク10を介して互いに通信可能に接続している。
【0018】
ネットワーク10は、インターネットやローカルネットワーク(LAN)等のコンピュータネットワークであり、複数のコンピュータ装置(本実施形態では、通信端末20とサーバ装置30)を通信接続する。
【0019】
通信端末20は、通信手段(不図示)を有するコンピュータ装置であり、他にも、画像撮影手段21と、操作受付手段22と、表示手段23と、を備える。
画像撮影手段21は、いわゆるカメラ機能であり、撮影することによって画像を取得する手段である。ただし、画像撮影手段21によって撮影される画像の被写体は、本発明の実施においては建造物であり、本実施形態では高架橋B1の一部である。なお、以下の説明において、建造物(高架橋B1)を部分的に撮影した画像を、部分画像と称する場合がある。
操作受付手段22は、後述する種々の機能を発揮させる為に、作業員の操作を受け付ける手段である。
表示手段23は、画像撮影手段21によって撮影された画像を表示し、操作受付手段22の操作を促す案内やアイコン等を表示する手段である。
【0020】
本実施形態に係る通信端末20は、いわゆるタッチパネル装置であり、操作受付手段22を実現するタッチパッドと、表示手段23を実現する液晶表示装置と、が一体的に構成されているものとして以下説明するが、これらが別々の装置として実現される実施例(例えば、操作受付手段22がポインティングデバイスとして実現され、表示手段23が液晶表示装置として実現されている等)によって本発明が実施されてもよい。
【0021】
サーバ装置30は、通信手段(不図示)を有するコンピュータ装置であり、他にも、記憶手段31と、画像加工手段32と、位置指定手段33と、点検データ対応手段34と、を備える。
記憶手段31は、画像撮影手段21によって撮影された部分画像や、部分画像をパノラマ加工したパノラマ画像、及びパノラマ画像に対応付けた点検データなどを記憶している手段である。
画像加工手段32は、画像撮影手段21によって撮影された部分画像をパノラマ加工してパノラマ画像を生成したり、当該パノラマ画像に含まれる各ピクセルに対して座標位置を割り当てたり、する手段である。なお、画像加工手段32による処理については、本発明の実施に必要なものについては後述するが、その他の加工処理が実現可能であってもよい。
位置指定手段33は、操作受付手段22が受け付けた作業員の操作に基づいて、表示手段23が表示しているパノラマ画像のうち特定の位置を指定する手段である。
点検データ対応手段34は、位置指定手段33が指定したパノラマ画像中の特定の位置に対して、建造物(高架橋B1)に関する点検結果を示す点検データを対応付ける手段である。
【0022】
上記の通信端末20は、バケットC2に乗る作業員(特に補助作業員)に持たせることを想定したものである。
点検中の作業員が通信端末20によって撮影した部分画像は、通信端末20からネットワーク10を介してサーバ装置30に転送される。
そして、転送された部分画像を受信したサーバ装置30はパノラマ画像に加工し、通信端末20は、サーバ装置30による加工後のパノラマ画像が表示される。
このとき、通信端末20は、表示したパノラマ画像に対して、点検結果を示す点検データを対応付ける作業者の操作を受け付けることができ、その対応付けた位置を作業者が識別可能に表示する。
従って、点検に係る作業と、その点検結果を整理する作業と、を並行して行うことができるので、点検作業に関する作業コストを軽減することができる。
【0023】
言い換えれば、建造物点検支援システム100は、本発明の取得手段に相当する画像撮影手段21と、本発明の画像加工手段に相当する画像加工手段32と、本発明の表示手段に相当する表示手段23と、本発明の操作受付手段に相当する操作受付手段22と、本発明の位置指定手段に相当する位置指定手段33と、本発明の点検データ対応手段に相当する点検データ対応手段34と、を備えている。
そして、建造物点検支援システム100に含まれる表示手段23は、点検データが対応付けられているパノラマ画像を表示するとき、当該点検データが対応付けられた特定の位置を示す点検位置表示を表示する、ことを特徴とする。
以下、この特徴について詳細に説明する。
【0024】
<表示手段23に表示されるパノラマ画像について>
次に、表示手段23に表示されるパノラマ画像について説明する。
図4及び
図5は、表示手段23に表示されるパノラマ画像の具体例を示す図である。
【0025】
本実施形態に係る建造物点検支援システム100において、通信端末20が撮影した部分画像は順次転送されてサーバ装置30によってパノラマ画像の一部に組み込まれていくように構成されている。
従って、通信端末20(表示手段23)に表示されているパノラマ画像は、サーバ装置30(画像加工手段32)が結合した部分画像が増えるごとに順次拡張することになる。
このような構成によって、点検結果(点検データ)をパノラマ画像に対応付ける作業の即応性を高めることができ、作業コストを軽減するという本発明の効果を高めることができる。
【0026】
図4に示すパノラマ画像は、高架橋B1の点検作業の途中段階において、通信端末20に表示される具体例を示したものである。
具体的には、パノラマ画像における左下隅部(部分画像D3によって撮影されている部分)から点検作業を始めて右側にバケットC2を移動させながら点検した後に、折り返して左側にバケットC2を移動させながら点検を進めて中央付近まで到達した段階におけるパノラマ画像である。
【0027】
図4において破線で囲った枠は、バケットC2の存在位置、即ち作業員が居る位置を示す表示であり、通信端末20(表示手段23)に表示されるものである(以下、この枠について作業位置表示D1と称する)。
このように通信端末20が作業位置表示D1を表示することによって、点検中の作業員が現在位置を容易に把握することができ、点検データを整理する作業(パノラマ画像の特定の位置を指定して、点検データを対応付ける作業)を容易にすることができる。
【0028】
図4においてハンマーの形状を模したアイコンは、高架橋B1に対する打診の結果を示す音声データを対応付けた位置を示す表示であり、通信端末20(表示手段23)に表示されるものである(以下、このアイコンについて点検位置表示D2と称する)。
このように通信端末20が点検位置表示D2を表示することによって、点検中の作業員が打診結果である音声データを対応付けた位置を容易に把握することができる。
なお、点検位置表示D2は、位置の確認に用いられるだけではなく、通信端末20に表示されている点検位置表示D2に対してタッチする等の操作を受け付けることによって、その位置に対応付けた打診の結果を示す音声データが再生されるように構成されてもよい。
【0029】
点検位置表示D2によって示す位置、即ち位置指定手段33が指定するパノラマ画像上の位置は、パノラマ画像に定められている座標位置のいずれかであることが好ましい。これを実現する為には、画像加工手段32が、パノラマ画像を生成する際に、そのパノラマ画像に含まれる各ピクセルに対して座標位置を定める必要がある。
このような構成を採用することによって、パノラマ画像の構成(部分画像の配置)に依存することなく点検データを対応付ける位置を指定することができるので、位置指定手段33は、部分画像同士の境目を指定する、又は、一つの部分画像に対して複数の位置を指定する、などの処理が可能になる。
【0030】
図5は、上述したような点検位置表示D2を加えながら、即ち順次拡張していくパノラマ画像に対して点検データを対応付ける整理作業をしながら完成したパノラマ画像の具体例を示すものである。
【0031】
図5に示すパノラマ画像は、
図4に示すパノラマ画像に表示されている点検位置表示D2と同様のアイコンである点検位置表示D6が表示されており、点検位置表示D6によって打診結果である音声データを対応付けた位置が示されている。
【0032】
また、
図5に示すパノラマ画像は、
図4に示すパノラマ画像に表示されている点検位置表示D2とは別の表示態様にて、点検位置表示D4及びD5が表示されている。点検位置表示D4及びD5は、目視点検の結果として発見された横桁B5や下横構B6に生じている損傷部や腐蝕部に着色して強調表示するものであり、更に点検位置表示D4及びD5には目視点検の結果を示す画像データが対応付けられている。
なお、点検位置表示D4及びD5は、画像データを対応付けた位置の確認に用いられるだけではなく、その点検位置表示D4及びD5に対してタッチする等の操作を受け付けることによって、その位置に対応付けた画像データが表示されるように構成されてもよい。
【0033】
図5に示すように、完成したパノラマ画像には、点検対象である橋脚B2と橋脚B3の間に位置する下部構造が収まっており、点検位置表示D2、D4、D5及びD6によって点検した箇所が一目瞭然になっている。
建造物点検支援システム100を適用することによって、点検作業が終わった時点において
図5に示すようなパノラマ画像が生成され、サーバ装置30には点検データがパノラマ画像に対応付けられた形で整理されて保存されるので、点検作業後の資料作成が容易になり、作業コストの軽減を図ることができる。
【0034】
<変形例>
以上に説明した本発明の実施形態は、本発明の目的と達成する範囲において、種々の変形が可能である。
【0035】
本発明の実施は、
図3に図示したシステム構成によって実現されるものに限られず、他の構成を採用してもよい。
例えば、通信端末20が備える手段をサーバ装置30が備えてもよいし、サーバ装置30が備える手段を通信端末20が備えてもよい。
また、
図3では、通信端末20及びサーバ装置30がそれぞれ1台ずつであるかのように図示したが、一方又は双方共に複数台の装置によって実現されてもよい。
また、
図3に図示したシステム構成では、通信端末20が有する画像撮影手段21によって部分画像を取得する実施例としたが、不図示のカメラで撮影した画像を部分画像としてパノラマ加工する構成に代えてもよい。
【0036】
本発明を適用する点検対象は、上述の実施形態のような高架橋に限られず、建造物に該当するものであれば、その種類は問わない。言い換えれば、本発明を適用する点検は、建造物の撮影を必要とする点検であれば、本発明の目的を達成する範囲においていずれの点検に適用してもよい。
【0037】
上述した実施形態では、本発明に係る点検位置表示の具体例としてハンマーの形状を模したアイコンや着色表示によって、作業者が指定した位置(特定の位置)に表示することを例示したが、点検位置表示は特定の位置を作業員が認識できる表示であれば足り、この例に限られない。
例えば、本発明に係る点検位置表示は、特定の位置を単なるドットで示す表示であってもよいし、特定の位置をパノラマ画像上の座標として数値で示す表示であってもよい。
【0038】
上述した実施形態では、パノラマ画像に対して座標位置を定めて特定の位置を指定する実施例を説明したが、特定の位置を別の手法で指定してもよい。例えば、部分画像の各ピクセルに対して与えられている座標と、その部分画像のパノラマ画像の位置と、を組み合わせて特定の位置を指定する構成としてもよい。
【0039】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)建造物を部分的に撮影した部分画像を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した複数の前記部分画像を結合してパノラマ画像を生成する画像加工手段と、前記画像加工手段が生成した前記パノラマ画像を表示する表示手段と、作業員の操作を受け付ける操作受付手段と、前記操作受付手段が受け付けた作業員の操作に基づいて、前記表示手段が表示している前記パノラマ画像のうち特定の位置を指定する位置指定手段と、前記位置指定手段が指定した前記特定の位置に対して、前記建造物に関する点検結果を示す点検データを対応付ける点検データ対応手段と、を備え、前記表示手段は、前記点検データが対応付けられている前記パノラマ画像を表示するとき、当該点検データが対応付けられた前記特定の位置を示す点検位置表示を表示する、ことを特徴とする建造物点検支援システム。
(2)前記画像加工手段が結合した前記部分画像が増えるごとに、前記表示手段によって表示されている前記パノラマ画像が順次拡張する、(1)に記載の建造物点検支援システム。
(3)前記表示手段は、前記点検データが対応付けられている前記パノラマ画像を表示するとき、作業員が居る位置を示す作業位置表示を表示する、(2)に記載の建造物点検支援システム。
(4)前記画像加工手段は、前記パノラマ画像に含まれる各ピクセルに対して座標位置を定め、前記位置指定手段は、前記パノラマ画像に定められている前記座標位置のいずれかを前記特定の位置として指定する、(1)から(3)のいずれか一つに記載の建造物点検支援システム。
(5)前記点検データは、前記建造物に対する打診の結果を示す音声データを含む、(1)から(4)のいずれか一つに記載の建造物点検支援システム。
(6)前記点検データは、前記建造物に対する目視点検の結果を示す画像データを含む、(1)から(5)のいずれか一つに記載の建造物点検支援システム。
【符号の説明】
【0040】
100 建造物点検支援システム
10 ネットワーク
20 通信端末
21 画像撮影手段
22 操作受付手段
23 表示手段
30 サーバ装置
31 記憶手段
32 画像加工手段
33 位置指定手段
34 点検データ対応手段