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特許7355329乾式タイル施工法及び乾式タイル壁面構造並びにタイル取付金具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】乾式タイル施工法及び乾式タイル壁面構造並びにタイル取付金具
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20230926BHJP
   E04F 13/14 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
E04F13/08 101U
E04F13/08 101V
E04F13/14 103E
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019199565
(22)【出願日】2019-11-01
(65)【公開番号】P2021071023
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】509298562
【氏名又は名称】株式会社アクト
(74)【代理人】
【識別番号】100087468
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 一美
(72)【発明者】
【氏名】原 裕之
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-260666(JP,A)
【文献】特開2013-124488(JP,A)
【文献】国際公開第2015/049755(WO,A1)
【文献】特開2001-140446(JP,A)
【文献】米国特許第10329773(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体に固定されている横胴縁にタイル取付金具を利用してタイルを取り付ける乾式タイル施工法において、
前記横胴縁は前記建物躯体に固定される胴縁本体と前記胴縁本体から前方側へ偏倚させられて上方に向けて延び前記タイル取付金具を引っかける支承部とを有し、
前記タイルは入り口に対して奥側の幅が広がっている少なくとも1本の溝を裏面に有し
前記タイル取付金具は前記タイルの裏面の前記溝に嵌入されて前記タイルに固定されるばね脚部及び前記ばね脚部の天井部との間に前記横胴縁の前記支承部を挟み込むばね構造のクリップ部とを有し
かつ前記クリップ部には前記横胴縁の前記支承部が挿入される方向と直交する方向に突出する係合用の凸部または凹部を、前記横胴縁の前記支承部には前記クリップ部の前記凸部または凹部と嵌合する係合用の凹部または凸部を、前記クリップ部の奥まで前記支承部が挿入されたときに前記横胴縁の係合用の前記凹部または凸部と前記クリップ部の係合用の前記凸部または凹部とが互いに嵌合される位置関係で形成され、
前記横胴縁の前記支承部が前記建物躯体の外壁面から離して上方に向けて延びるように前記タイルの上下方向の配置間隔と同じ間隔で前記建物躯体に前記横胴縁を固定し、前記タイル取付金具の前記ばね脚部を前記タイルの前記溝に嵌合して前記タイルの裏面に前記タイル取付金具を装着し、前記タイル取付金具の前記ばね脚部の天井部と前記クリップ部との間の隙間に前記横胴縁の前記支承部を挿入して前記支承部に前記タイル取付金具の前記クリップ部を引っ掛けることで前記タイルを前記横胴縁に取り付けると共に前記クリップ部の係合用の前記凸部又は凹部と前記支承部の係合用の前記凹部または凸部とを嵌合させて前記タイルの位置決めと固定を図る
ことを特徴とする乾式タイル施工法。
【請求項2】
前記タイルの裏面と前記横胴縁とは少なくとも1箇所で弾性接着剤により点接着されることを特徴とする請求項1記載の乾式タイル施工法。
【請求項3】
前記タイルの裏面の前記溝はあり溝であることを特徴とする請求項1または2記載の乾式タイル施工法。
【請求項4】
前記タイル取付金具の前記ばね脚部は、外側に向かって広がる折り返し部を先端に有し、該折り返し部が前記溝の壁面に押し当てられることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の乾式タイル施工法。
【請求項5】
前記クリップ部に前記クリップ部と前記天井部との間の隙間を塞ぐ方向に突出する断面三角形状の係合用の凸部を先端に備え、前記横胴の前記支承部の下端には前記クリップ部の前記係合用の前記凸部と嵌合する断面三角形状の係合用の凹部を備え前記横胴縁の前記支承部を挿入する際に係合用の前記凸部が前記横胴縁の前記支承部に対し摺動することによって前記クリップ部と前記天井部との間の隙間を広げる方向に前記クリップ部を変形させる力を発生させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つの記載の乾式タイル施工法。
【請求項6】
建物躯体に固定される胴縁本体と前記胴縁本体から前方側へ偏倚させられて上方に向けて延びる支承部とを有する横胴縁と、
り口に対して奥側の幅が広がっている溝を少なくとも1本は裏面に有するタイルと、
前記タイルの裏面の前記溝に嵌入されて前記タイルに固定されるばね脚部及び前記ばね脚部の天井部との間に前記横胴縁の前記支承部を挟み込むばね構造のクリップ部を有するタイル取付金具とを含み、
かつ前記クリップ部には前記横胴縁の前記支承部が挿入される方向と直交する方向に突出する係合用の凸部または凹部を、前記横胴縁の前記支承部には前記クリップ部の前記凸部または凹部と嵌合する係合用の凹部または凸部を、前記クリップ部の奥まで前記支承部が挿入されたときに前記横胴縁の係合用の前記凹部または凸部と前記クリップ部の係合用の前記凸部または凹部とが互いに嵌合される位置関係でそれぞれ備えられ、
前記タイルの前記溝に前記タイル取付金具の前記ばね脚部を嵌合させて前記タイルと前記タイル取付金具とを連結し、前記タイル取付金具の前記ばね脚部の天井部と前記クリップ部との間の隙間に前記建物躯体に固定されている前記横胴縁の前記支承部を挿入して前記支承部に前記タイル取付金具の前記クリップ部を引っ掛けることで前記タイルを前記横胴縁に取り付けると共に前記クリップ部の係合用の前記凸部又は凹部と前記支承部の係合用の前記凹部または凸部とを嵌合させて前記タイルの位置決めと固定を図ることで前記タイルを前記横胴縁に取り付けて外壁面を構成する
ことを特徴とする乾式タイル壁面構造。
【請求項7】
前記タイルの裏面と前記横胴縁とは1箇所で弾性接着剤により点接着されていることを特徴とする請求項6記載の乾式タイル壁面構造。
【請求項8】
前記タイルの裏面の前記溝はあり溝であることを特徴とする請求項6または7記載の乾式タイル壁面構造。
【請求項9】
前記タイル取付金具の前記ばね脚部は、外側に向かって広がる折り返し部を先端に有し、該折り返し部が前記溝の壁面に押し当てられることを特徴とする請求項6から8のいずれか1つに記載の乾式タイル壁面構造。
【請求項10】
前記クリップ部の先端には前記クリップ部と前記天井部との間の隙間を塞ぐ方向に突出する断面三角形状の係合用の凸部が形成され、前記支承部の下端には前記クリップ部の係合用の前記凸部嵌合する断面三角形状の係合用の凹部が形成され、前記横胴縁の前記支承部を挿入する際に係合用の前記凸部が前記横胴縁の前記支承部に対し摺動することによって前記クリップ部と前記天井部との間の隙間を広げる方向に前記クリップ部を変形させる力を発生させる
ことを特徴とする請求項6から9のいずれか1つの記載の乾式タイル壁面構造。
【請求項11】
入り口に対して奥側の幅が広がっている少なくとも1本の溝を裏面に有しているタイルに装着され、建物躯体に固定される横胴縁の胴縁本体から前方側へ偏倚させられて上方に向けて延びる支承部と係合用の凹部または凸部とを有す横胴縁に引っ掛けるように、前記横胴縁と組み合わせて前記タイルを前記建物躯体に取り付ける乾式タイル施工用のタイル取付金具において、
前記タイルの裏面の前記溝に嵌入されて前記タイルに固定されるばね脚部と、前記ばね脚部の天井部との間に前記横胴縁の前記支承部を挟み込むばね構造のクリップ部とを備えると共に、
前記クリップ部の先端には前記横胴縁の前記支承部が挿入される方向と直交する方向に突出して前記横胴縁の前記支承部の係合用の凹部または凸部と嵌合する係合用の凸部または凹部が、前記クリップ部の奥まで前記支承部が挿入されたときに前記横胴縁の係合用の前記凹部または凸部と前記クリップ部の係合用の前記凸部または凹部とが互いに嵌合される位置関係に形成されている、
ことを特徴とするタイル取付金具。
【請求項12】
前記ばね脚部は、外側に向かって広がる折り返し部を先端に有し、該折り返し部が前記溝の壁面に押し当てられることを特徴とする請求項11記載のタイル取付金具。
【請求項13】
前記クリップ部には前記クリップ部と前記天井部との間の隙間を塞ぐ方向に突出する断面三角形状の係合用凸部が先端に形成され、前記横胴縁の前記支承部を挿入する際に係合用の前記凸部が前記横胴縁の前記支承部に対し摺動することによって前記クリップ部と前記天井部との間の隙間を広げる方向に前記クリップ部を変形させる力を発生させる
ことを特徴とする請求項11または12記載のタイル取付金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁材としてのタイルを建物躯体に金具を使って固定する乾式タイル施工法及び乾式タイル壁面構造並びにそれに用いられるタイル取付金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、外壁用タイルの施工法として、窯業製のサイディングボードや爪を有する金属板製のタイル取付板等の下地材を建物の壁面に固着し、該下地材にタイルを係止したり或いは接着剤で止着して取り付ける乾式工法が知られている。
【0003】
ところが、窯業製のサイディングボードは、耐用年数が20~30年程度とタイルの耐用年数と比べて寿命が比較的短い上に、温度変化に伴う伸縮が大きいため、タイルが破損したり、剥離が発生する欠点がある。また、接着剤でタイルを固着する工法では、内部の点検が出来ず、住宅寿命の長期化に対応できないと共に、接着剤の劣化によって脱落が起こるなどの問題もある。
【0004】
乾式工法におけるかかる問題点を解決するために、サイディングボードに代わってアルミニウム製の下地材を使用する工法(特許文献1)や、接着剤に代わって、金属製の弾性クリップや金属製の取付用ブラケットレールを使ってタイルを止着する工法(特許文献2)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第32662369号公報
【文献】特許第4566280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、サイディングボードに代わるほどのアルミニウム製の下地材は、高価であり施工コストを上げる要因となると共に、温度変化に伴う伸縮が大きいため、サイディングボードと同様にタイルの破損や剥離の問題を有しており、耐久性の向上を図ることはできない。
【0007】
また、接着剤に代わる金属製の取付用ブラケットレールと弾性クリップとの併用は、下地材であるサイディングボードの凹凸に対して金属製取付用ブラケットレールを取付け、その上で取付用ブラケットレールとタイルの上端との間に弓形の弾性クリップを変形させながらタイルを装入させるという煩わしいタイル取付作業を必要として、作業効率の悪いものとなってしまう問題がある。また、弾性クリップを押さえながら圧縮しつつ下地材に嵌め込まれた取付用ブラケットレールのダブテール状の斜面に係止させるため、弾性クリップの手による圧縮・挿入が作業者の指に大きな負担と痛みをもたらすことになる。
【0008】
しかも、タイルとレール間の隙間に挿入した弾性クリップが地震時などに外れる可能性がある他、弾性クリップをタイルとレールの間の隙間に挿入し難いという欠点がある。弾性クリップによって上下方向に押しつけているだけなので、地震時などに建物躯体の外壁面から離れる方向の力を受けた際に弾性クリップの力が脱落させる方向に作用するため、タイルの中間部分裏面側に取付用ブラケットレールのダブテール状の斜面と係合するあり溝(引っ掛かりとなる楔状の凸部)を形成する必要があり、使用するタイルの形状に制約を受ける。
【0009】
本発明は、タイルを長期的に安定して固定し、かつ改修時や解体時には容易にタイルを脱着できる乾式タイル施工のためのタイル取付金具及びそれを用いた乾式タイル施工法並びに乾式タイル壁面構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成する本発明は、建物躯体に固定されている横胴縁にタイル取付金具を利用してタイルを取り付ける乾式タイル施工において、横胴縁は建物躯体に固定される胴縁本体と胴縁本体から前方側へ偏倚させられて上方に向けて延びタイル取付金具を引っかける支承部とを有し、タイルは入り口に対して奥側の幅が広がっている少なくとも1本の溝を裏面に有し、タイル取付金具はタイルの裏面の溝に嵌入されてタイルに固定されるばね脚部及びばね脚部の天井部との間に横胴縁の支承部を挟み込むばね構造のクリップ部とを有し、かつクリップ部には横胴縁の支承部が挿入される方向と直交する方向に突出する係合用の凸部または凹部を、横胴縁の支承部にはクリップ部の凸部または凹部と嵌合する係合用の凹部または凸部を、クリップ部の奥まで支承部が挿入されたときに横胴縁の係合用凹部または凸部とクリップ部の係合用凸部または凹部とが互いに嵌合される位置関係で形成され、横胴縁の支承部が建物躯体の外壁面から離して上方に向けて延びるようにタイルの上下方向の配置間隔と同じ間隔で建物躯体に横胴縁を固定し、タイル取付金具のばね脚部をタイルの溝に嵌合してタイルの裏面にタイル取付金具を装着し、タイル取付金具のばね脚部の天井部とクリップ部との間の隙間に横胴縁の支承部を挿入して支承部にタイル取付金具のクリップ部を引っ掛けることでタイルを横胴縁に取り付けると共にクリップ部の係合用の凸部又は凹部と支承部の係合用凹部または凸部とを嵌合させてタイルの位置決めと固定を図るようにしている。
【0011】
ここで、タイルの裏面と横胴縁とは少なくとも1箇所で弾性接着剤により点接着されることが好ましい。
【0012】
また、タイルの裏面の溝はあり溝であることが好ましい。
【0013】
また、タイル取付金具のばね脚部は、外側に向かって広がる折り返し部を先端に有し、該折り返し部が溝の壁面に押し当てられることことが好ましい。
【0014】
また、乾式タイル施工法の一実施形態は、クリップ部にクリップ部と天井部との間の隙間を塞ぐ方向に突出する断面三角形状の係合用の凸部を先端に備え、横胴の支承部の下端にはクリップ部の係合用の凸部と嵌合する断面三角形状の係合用の凹部を備え横胴縁の支承部を挿入する際に係合用の凸部が横胴縁の支承部に対し摺動することによってクリップ部と天井部との間の隙間を広げる方向にクリップ部を変形させる力を発生させることが好ましい。
【0015】
また、本発明にかかる乾式タイル壁面構造は、建物躯体に固定される胴縁本体と胴縁本体から前方側へ偏倚させられて上方に向けて延びる支承部とを有する横胴縁と、入り口に対して奥側の幅が広がっている溝を少なくとも1本は裏面に有するタイルと、タイルの裏面の溝に嵌入されてタイルに固定されるばね脚部及びばね脚部の天井部との間に横胴縁の支承部を挟み込むばね構造のクリップ部を有するタイル取付金具とを含み、かつクリップ部には横胴縁の支承部が挿入される方向と直交する方向に突出する係合用の凸部または凹部を、横胴縁の支承部にはクリップ部の凸部または凹部と嵌合する係合用の凹部または凸部を、クリップ部の奥まで支承部が挿入されたときに横胴縁の係合用凹部または凸部とタイル取付金具のクリップ部の係合用凸部または凹部とが互いに嵌合される位置関係でそれぞれ備えられ、タイルの溝にタイル取付金具のばね脚部を嵌合させてタイルとタイル取付金具とを連結し、タイル取付金具のばね脚部の天井部とクリップ部との間の隙間に建物躯体に固定されている横胴縁の支承部を挿入して支承部にタイル取付金具のクリップ部を引っ掛けることでタイルを横胴縁に取り付けると共にクリップ部の係合用の凸部又は凹部と支承部の係合用凹部または凸部とを嵌合させてタイルの位置決めと固定を図ることでタイルを横胴縁に取り付けて外壁面を構成するようにしている。
【0016】
ここで、タイルの裏面と横胴縁とは1箇所で弾性接着剤により点接着されていることが好ましい。
【0017】
また、タイルの裏面の溝はあり溝であることが好ましい。
【0018】
また、タイル取付金具のばね脚部は、外側に向かって広がる折り返し部を先端に有し、該折り返し部が溝の壁面に押し当てられることことが好ましい。
【0019】
また、乾式タイル壁面構造の一実施形態は、クリップ部の先端にはクリップ部と天井部との間の隙間を塞ぐ方向に突出する断面三角形状の係合用凸部が形成され、支承部の下端にはクリップ部の係合用の凸部嵌合する断面三角形状の係合用の凹部が形成され、横胴縁の支承部を挿入する際に係合用の凸部が横胴縁の支承部に対し摺動することによってクリップ部と天井部との間の隙間を広げる方向にクリップ部を変形させる力を発生させることが好ましい。
【0020】
また、本発明は、入り口に対して奥側の幅が広がっている少なくとも1本の溝を裏面に有しているタイルに装着され、建物躯体に固定される横胴縁の胴縁本体から前方側へ偏倚させられて上方に向けて延びる支承部と係合用の凹部または凸部とを有す横胴縁に引っ掛けるように、横胴縁と組み合わせてタイルを建物躯体に取り付ける乾式タイル施工用のタイル取付金具において、タイルの裏面の溝に嵌入されてタイルに固定されるばね脚部と、ばね脚部の天井部との間に横胴縁の支承部を挟み込むばね構造のクリップ部とを備えると共に、クリップ部の先端には横胴縁の支承部が挿入される方向と直交する方向に突出して横胴縁の支承部の係合用の凹部または凸部と嵌合する係合用の凸部または凹部が、クリップ部の奥まで支承部が挿入されたときに横胴縁の係合用の凹部または凸部とタイル取付金具のクリップ部の係合用の凸部または凹部とが互いに嵌合される位置関係に形成されている
【0021】
ここで、ばね脚部は、外側に向かって広がる折り返し部を先端に有し、該折り返し部が溝の壁面に押し当てられることが好ましい。
【0022】
また、クリップ部にはクリップ部と天井部との間の隙間を塞ぐ方向に突出する断面三角形状の係合用凸部が先端に形成され、横胴縁の支承部を挿入する際に係合用凸部が横胴縁の支承部に対し摺動することによってクリップ部と天井部との間の隙間を広げる方向にクリップ部を変形させる力を発生させることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかる乾式タイルの施工法及び乾式タイル壁面構造によれば、タイル取付金具を横胴縁に引っ掛けることでタイルを保持しているので、接着剤による全面接着による固定のような経時劣化を引き起こすことがなく、タイルを長期的に安定して固定し、かつ改修時や解体時には容易にタイルを横胴縁から取り外すことができる。
【0024】
しかも、タイル取付金具はタイルに対して簡単に取り付けでき、かつタイル取付金具を横胴縁に嵌め込むだけでタイルを固定できるので、タイル施工作業性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の乾式タイル工法の一実施形態を示す説明図である。
図2】同乾式タイル工法に用いるタイル取付金具の一実施形態を示す斜視図である。
図3】タイルとタイル取付金具と横胴縁との組付け関係の一例を、1条のあり溝を有するタイプについて示す縦断面図である。
図4】タイル取付金具と横胴縁とを分離して示す側面図である。
図5】タイルとタイル取付金具と横胴縁との組付け関係の他の例を、2条のあり溝を有するタイプについて示す縦断面図である。
図6】本発明の乾式タイル工法の一実施形態を示す正面図である。
図7】同乾式タイル工法の平面図である。
図8】同乾式タイル工法の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。尚、本明細書のタイル施工において、前後左右の方向は建物躯体のタイルを貼り付ける外壁面を中心に定められるものとし、「前」又は「前方」とは外壁面から離れる方向であり、「裏面」又は「後方」とは外壁面に近づく方向である。また、水平方向とは外壁面の左右方向であり、上下方向とは外壁面に沿った鉛直方向である。さらに、上段または下段とは、水平に配列された複数列のタイルのうち任意のタイルの列を中心に定められるものとし、上側のタイル列を上段と、下側のタイル列を下段と、その間の装入されるタイルを単にタイルと呼ぶ。
【0027】
図1に、本発明の乾式タイル工法の実施の一形態を示す。この実施形態にかかる乾式タイル工法は、タイル1の裏面に装着されるタイル取付金具2と、該タイル取付金具2を引っ掛けて建物躯体21に取り付ける横胴縁3とを使って外壁材としてのタイル1を建物躯体21に固定するものである。この乾式工法は、相決り(あいじゃくり)の無いタイル(上下の縁部分が重ねられないタイプのタイル)に適用して好適なものであるが、必ずしも上段のタイルと下段のタイルとの間あるいは左右のタイルの間がそれぞれの縁を前後に組み合わされる相決り加工と呼ばれる凹凸に形成されているタイルに適用できないというものではない。本実施形態では、相決りの無いタイルに適用した場合の例を挙げて主に説明する。
【0028】
ここで、タイル1の裏面には、入り口に対して奥側の幅が広がっている溝5が形成される。この溝5は、押し出し成形によってタイル1が製造される湿式製法の場合、押し出しと同時に成形されるので、押し出し方向に貫通した溝となる。湿式製法は、水分を含んだ粘土状の素地原料を、押し出し成形機で板状に押し出して、所定の寸法に切断してタイルを成形するため、溝5も任意の断面形状とすることができる。しかも、オーバーハングを有する形状でも容易に成形できる。そこで、本実施形態では、図示のようなあり溝5として成形されている。タイル1の形状並びに製法は特定のものに限られるものではないが、少なくとも1本のあり溝5のような入り口に対して奥側の幅が広がっている溝が設けられていることが必要である。
【0029】
他方、タイル取付金具2は、タイル1の裏面のあり溝5に嵌合されるばね脚部9と、横胴縁3の支承部14を挟むクリップ部10とを有し、タイル1のあり溝5にばね脚部9が嵌入されてばね弾性を利用してタイル1に固定される。
【0030】
このタイル取付金具2は、本実施形態の場合、1枚のばね材を連続的に曲げ加工することによって一体的に形成されている。即ち、ばね脚部9とクリップ部10は、1枚のばね材の折り曲げで構成されている。ここで、ばね材は、特定の材質に限定されるものではないが、例えばばね鋼としても広く使われているSUS304やその他のばね鋼鋼材(SUP材)、ZAM(溶融亜鉛・アルミニウム・マグネシウム合金メッキ鋼板/日鉄日新製鋼株式会社の登録商標)などの、ある程度のばね性を呈する高耐食性の鋼板の使用が好ましい。このばね材は、折り曲げ加工のし易さとタイル1を支持する強度及びばね性を呈する可撓性とを兼ね備える厚さ、例えばSUS304の場合には0.3mm~1.0mm程度、好ましくは0.5mm程度とすることであり、ZAM(登録商標)の場合には0.3mm~1.0mm程度、好ましくは0.5mm程度とすることである。
【0031】
ばね脚部9は、タイル1のあり溝5に嵌合された際にあり溝5の壁面(つまり、内向きに傾斜する面)17を内側から押し拡げるように当接する折り返し部6と、台形状を成す脚部7と天井部8とで構成される。折り返し部6は、例えば脚部7の先端縁を外向きに折り曲げることによって構成される。この折り返し部6は、あり溝5の底部でばね脚部9との係合を確実にする上で好ましいが、必ずしも設けなくとも係合可能である。
【0032】
また、クリップ部10は、本実施形態の場合、天井部8に対してオフセットさせて平行に折り曲げられた折り返しによって構成され、天井部8との間で横胴縁3の支承部14を挟み込むように構成されている。例えば、天井部8の一部に切り込み13を上下方向に入れて切り起こし、中央の部分の折り曲げを横胴縁3の支承部14の厚みに相当する分だけオフセットさせて折り曲げることによって形成されている。このようにして、クリップ部10は天井部8との間に横胴縁3の支承部14を挟持するばね構造を成している。
【0033】
クリップ部10の先端には、図4に示すように、天井部8との間の隙間Sを塞ぐ方向に突出する係合用凸部11が形成されている。具体的には、例えば図4に示すように、クリップ部10の先端が天井部8との間の隙間Sを塞ぐ方向に斜めに一旦折り曲げられ、尚且つ逆方向に折り返されることによって導入部12が形成されるようして、断面直角三角形状の返しとしても機能する係合用凸部11が構成されている。したがって、係合用凸部11は、横胴縁3の支承部14の先端が相対的に押し込まれる際に、クリップ部10の隙間Sを広げる方向に変形させる力を発生させ、支承部14を完全に収容したときに横胴縁3の係合用凹部15と嵌合することで、あるいは孔若しくは支承部14の縁に係合することで、変形を復元させると共に抜け止めとして機能する。
【0034】
また、本実施形態では、タイル取付金具2は、ばね脚部9とクリップ部10とを1枚のばね材の連続的な曲げ加工で一体成形するようにしているが、これに特に限られるものでなく、複数のばね材を用いてばね脚部9とクリップ部10とを別々に形成してから連結して一体化するようにしても良い。例えば、台形状のばね脚部9に対して、クリップ部10をリベット止めなどで取り付けるようにしても良い。ばね脚部9とクリップ部10とを1枚のばね材で一体成形することは好ましいが、必須ではない。
【0035】
他方、横胴縁3は、タイル取付金具2に挟持される支承部14を有し、下部の胴縁本体16が建物躯体21に直接あるいは縦胴縁4を介して固定される。本実施形態の場合、縦胴縁4を一定間隔で配置し、その縦胴縁4に固定することで建物躯体21に固定される。縦胴縁4は、本実施形態の場合、例えばハット形の溝形鋼が用いられ、溝底部の部分が建物躯体21に高さ調整ボルト23を介して固定される一方、両側縁部に例えば一定ピッチで穿孔されている孔20を利用して、横胴縁3がリベット止めなどで固着されている。
【0036】
横胴縁3は、例えば図6あるいは図7に示すように、ハット形鋼から成る縦胴縁4を介して建物躯体21に取り付けられる場合には、胴縁本体16の部分がリベット26(あるいは締結用ビス等)によって縦胴縁4の両側の縁部に連結されている。本実施形態の場合、胴縁本体16には、リベット26を通すための孔例えば長孔(図示省略)が縦胴縁4の孔20と重なるような間隔で適宜設けられ、少なくとも2本の縦胴縁4の間に横胴縁3が渡されて固定されている。勿論、横胴縁3は3本以上の縦胴縁4の間に渡され、各縦胴縁4毎に固定されるようにしても良い。
【0037】
また、横胴縁3の支承部14は、本実施形態の場合、例えば図4に示すように、胴縁本体16から僅かに前方側へ偏倚させられて、上方に向けて延びるように形成されている。そして、胴縁本体16から支承部14へと変移する部分には、屈曲させられて直角三角形を成す係合用凹部15が形成され、胴縁本体16と支承部14との間に段差が生ずるように設けられている。このため、クリップ部10に横胴縁3の支承部14を挿入すると、係合用凹部15に係合用凸部11が嵌まり込んで、タイル1の位置決めと固定がより確実なものとなる。即ち、横胴縁3の係合用凹部15とタイル取付金具2のクリップ部10の係合用凸部11とは、クリップ部10の奥まで支承部14が挿入されたときに、嵌合される位置関係で形成されている。
【0038】
横胴縁3は、本実施形態の場合、胴縁本体16と支承部14との境界部分をフォーミング加工で山折り、谷折りに交互に折り返すことによって、支承部14が胴縁本体16に対して前側に偏倚させられると共に係合用凹部15が連続的に形成されている(図4参照)。この場合においても、ばね性のあるクリップ部10と支承部14との間でがたつき無く固定することができる。尚、本実施形態では、タイル取付金具2のクリップ部10に係合用凸部11を、横胴縁3の支承部14の下端には係合用凹部15が形成されているが、これに特に限られるものでは無く、クリップ部10側に係合用凹部、横胴縁3側に係合用凸部が形成されても良い。
【0039】
ここで、支承部14は、図1に示すように胴縁本体16と一体に端から端まで連続して形成されること、即ち横胴縁3の全幅に占位する通し材とされることが構造強度的には好ましいが、必ずしもこれに限られるものでは無く、タイル1を均等に支持できるのであれば分散配置されても良い。つまり、支承部14は、連続的であると断続的であるとを問わず、連続的な胴縁本体16に対して断続的例えば一定間隔でラック状に支承部14を設けるようにしても良いし、概ねタイル1が引っ掛けられる位置の付近にのみ部分的に設けるようにしても良い。
【0040】
以上のように構成されたタイル取付金具2によれば、ばね脚部9がタイル1の裏面のあり溝5に挿入されて広げられることによって、タイル1に固定される。これによってタイル1がタイル取付金具2を介して支持されると共に建物躯体21から一定距離以上離れる構造となる。
【0041】
タイル1の取付時には、タイル取付金具2のクリップ部10が変形して横胴縁3の支承部14への挿入を容易にすると共に、挿入完了時にはクリップ部10と支承部14の係合用凸部11と係合用凹部15とが嵌合することによってクリップ部10の離脱ひいてはタイル1の脱落が防がれる。また、係合用凸部11にはばね性があるため、仮りにタイル1が上方に動こうとしても、ばね力でタイル1を下に押し下げるのでタイル取付金具2が横胴縁3から外れ難くなる。
【0042】
次に、本発明にかかるタイル取付金具2を用いたタイル施工法並びに壁面構造の一実施形態について説明する。
【0043】
まず、建物躯体21の外壁に墨出しなどで予め決められた位置に縦胴縁4を所定のピッチで例えば高さ調整可能なボルト23・ナット24,25にて取り付ける。この縦胴縁4は、例えばハット形鋼板であり、コンクリート用アンカーナット22を建物躯体21に打ち込んだ上に調整ボルト23と2個のナット24,25で挟み付けるようにして、不陸調整の上、固定するようにしている。
【0044】
次いで、縦胴縁4の間に横胴縁3を渡して例えばリベット26で取り付ける。横胴縁3はタイル1毎に必要とされるので、上下方向にタイル1の配置間隔と同じ間隔で縦胴縁4の間に渡されて固定される。
【0045】
他方、タイル1の裏面のあり溝5にタイル取付金具2を適宜数取り付ける。例えば、短い長さのタイル1であれば、少なくとも中央の1箇所に装着することでも足りるが、少なくともタイル1の両端付近にそれぞれ合計2箇所に装着することが好ましい。本実施形態の場合には、例えば図1若しくは図6に示すように、250mm程度の長さのタイル1の両端からそれぞれ1/4程度の長さの位置(中心寸法)に2/4程度の間隔を開けて2つのタイル取付金具2を装着している。また、タイル取付金具2は、タイル1の幅が広く複数本のあり溝5が形成される場合には、図5あるいは図8に示すように、複数本のあり溝5に跨がって装着される場合もある。即ち、タイル取付金具2は、一定寸法に限られず、2本あるいは3本のあり溝5に跨がってそれぞれの幅方向外側の斜面17とばね脚部9が当接する寸法に設定されることもある。
【0046】
次に、タイル取付金具2のクリップ部10を横胴縁3の支承部14に上から挿入してタイル1を引っ掛けるようにして取り付ける。ここで、タイル1の裏面には、予め1ないし複数点に弾性接着剤19を塗布しておくことが望ましい。弾性接着剤19は、例えばタイル1と横胴縁3との間のスペースよりも高く盛り上がるように塗布され、タイル取付金具2を横胴縁3の支承部14に引っ掛けた際にタイル取付金具2と横胴縁3とを接着させる。これによって、タイル1のがたつきが防がれると共に、タイル1面に外力が作用しても動き難く、タイル取付金具2との接触による騒音や雑音を発生しない壁面を得ることができる。尚、弾性接着剤19は場合によってはエラストマー樹脂のような弾性体をタイル1の裏面あるいは横胴縁3の表面に固着しておくことで代用することも可能である。
【0047】
ここで、タイル1は、タイル取付金具2のクリップ部10の頂部付近に横胴縁3の支承部14の上端が突き当たることで、それ以上の降下が阻止される。同時に、クリップ部10の先端の係合用凸部11と横胴縁3の支承部14の下端の係合用凹部15との嵌合によっても、クリップ部10と横胴縁3とが弾力的に固定される。依って、横胴縁3の支承部14に対するクリップ部10の抜け外れが防止され、タイル1はさらに確実に固定される。
【0048】
尚、タイル1とタイル1との間の目地に相当する部分には、本実施形態の場合、空隙S1が設定される。このため、タイル1とタイル1との衝突を回避して、壁面全体の変形による過大な負荷の発生を抑えることができる。また、横胴縁3に対するタイル1の取付は上からでも下からでもあるいは左右方向でも任意の方向に取り付け得る。そこで、例えば、図6のタイル外壁構造の場合、タイル1の取り付けは、横に並べながら下から上へと組み込まれる。このタイル装着作業は極めて簡易且つ迅速に実施できる。
【0049】
タイル1は、裏面のあり溝5にばね力で装着されるタイル取付金具2によって支えられ、さらにタイル取付金具2を建物躯体21に対して不陸調整された横胴縁3の支承部14にクリップ部10を挟み込むことで、建物躯体21に取り付けられる。したがって、地震等で建物躯体21に振動や変形(歪み)が起きたとしても、横胴縁3とタイル取付金具2との間で変位等が吸収されるため、タイル1に外力が作用し難い。また、タイル1はタイル取付金具2を介して横胴縁3に脱落しないように保持されているが、横胴縁3に強固に固定されているわけではないので、タイル1やタイル取付金具2に温度変化に伴う伸縮が生じても、拘束部位がないのでタイル1には何ら外力が及ぶことはない。さらに、タイル1と横胴縁3との間が弾性接着剤19によってスポット的に固着されている場合には、タイル1のがたつきが抑えられるので、タイル1と横胴縁3との間の擦れによる騒音や雑音を発生させることがない。タイル取付金具2のクリップ部10と横胴縁3の支承部14との嵌合並びに係合用凹凸11,15の嵌合とによって、摩擦抵抗が発生して、タイル1が容易に上に持ち上がることを防止できる。
【0050】
また、タイル1が破損したり、剥離が発生する虞がない。また、接着剤でタイルを全面的に強固に固着するのではなく、タイル取付金具2で横胴縁3に引っ掛ける工法であるので、接着剤の劣化によって脱落が起こる問題もないし、内部の点検をする際にはスポット的な弾性接着剤19を剥離させるだけなので、住宅寿命の長期化に対応できる。
【0051】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態は建物躯体21に縦胴縁4を介して横胴縁3を取り付ける例を上げて主に説明したが、これに特に限られず、縦胴縁4を介さずに建物躯体21に直に横胴縁3をねじ止めあるいはリベット止めなどで固定してからタイル取付金具2を取り付けるようにしても良い。
【0052】
また、上述の実施形態では、ばね脚部9を装着するタイル1の裏面の溝5は、あり溝としているが、これに特に限られず、入り口に対して奥側の幅が広がっている溝であればタイル取付金具2の取り付けは可能である。例えば、図示していないが、奥側は広く、手前側は狭い段付きの溝(つまり、T字形の溝)であっても良い。この場合にも、湿式タイル製法であれば、押し出し成形機で容易に成形することができるし、ばね脚部9の折り返し部6あるいは折り返し部のない先端部分が脚部7を内に縮めて手前側の狭い幅の溝部分を通過できるのであれば、あり溝に装着する場合と何ら遜色はない。寧ろ、折り返し部6を有する場合には、折り返し部6が嵌合する位置が安定するので、タイル1に対するタイル取付金具2の装着位置が安定する。さらに、奥側のタイル取付金具2の折り返し部6を挿入する凹部・空間の壁面が斜面に形成されていれば、さらに折り返し部6の位置が安定することとなる。また、図示していないが、場合によっては壁面が湾曲したドーム形の溝であっても良い。
【0053】
さらに、横胴縁3の支承部14の下端のV形の係合用凹部15に代えて孔を設け、係合用凸部11を嵌合させることでクリップ部10の抜け外れを防止するようにしても良い。
【符号の説明】
【0054】
1 タイル
2 タイル取付金具
3 横胴縁
4 縦胴縁
5 あり溝
6 折り返し部
7 斜面部
8 天井部
9 ばね脚部
10 クリップ部
11 係合用凸部
12 導入部
13 切り込み
14 支承部
15 係合用凹部
16 胴縁本体
17 あり溝の斜面
18 あり脚
19 弾性接着剤
20 孔
21 建物躯体
22 コンクリート用アンカーナット
23 調整ボルト
24,25 ナット
26 リベット
S タイル取付金具のクリップ部とばね脚部の天井部との間の隙間
S1 タイルとタイルとの間の空隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8