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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】水準器
(51)【国際特許分類】
   G01C 9/28 20060101AFI20230926BHJP
【FI】
G01C9/28
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020025169
(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公開番号】P2021131238
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】591006634
【氏名又は名称】株式会社エビス
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】丸山 清
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-255728(JP,A)
【文献】特開2014-151426(JP,A)
【文献】特開2014-95683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 9/00-9/36
G01B 3/10-3/1094
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物に当接させる測定基準底面を有する器体に、気泡の位置により被測定物の水平度若しくは垂直度を測定する測定用気泡管と、前記測定基準底面を被測定物に吸磁止着させる磁石部と、作業者に装着される工具ホルダーの連結環に掛止連結可能な掛杆とが設けられており、前記掛杆は、一本の金属製線材で構成されていると共に、この掛杆の両端の取付杆部が前記器体の端部の上下部間に架設状態に取付けられることにより、器体の端部からコ字状、弧状若しくはU字状などの半環状に突設されていて、両端の取付杆部間に存する掛止杆部を前記工具ホルダーの連結環に掛止可能に構成されている水準器において、前記掛杆は、上側の前記取付杆部に連設している前記掛止杆部の基端部分が、前記器体の端部からこの端部の延長方向と直交する横方向に突出変形する形状に形成されていると共に、下側の前記取付杆部に連設している掛止杆部の基端部分が、上側の前記基端部分の突出方向と逆方向に突出変形する形状に形成されていて、この上下の基端部分間に存する先端部分が水平方向に長さを有する形状に形成されており、この掛止杆部の先端部分を、作業者に装着されて作業者の身体の外方へ向けて突設されている前記工具ホルダーの連結環に掛止めると、作業者の身体に対し前記測定基準底面が内側若しくは外側を向くようにして前記器体が掛下げられるように構成されていることを特徴とする水準器。
【請求項2】
前記掛杆は、上側の前記取付杆部に連設している前記掛止杆部の基端部分が、前記器体の端部からこの端部の延長方向と直交する横方向に下方へ傾斜しつつ突出する形状に形成されていると共に、下側の前記取付杆部に連設している掛止杆部の基端部分が、上側の前記基端部分の突出方向と逆方向に上方へ傾斜しつつ突出する形状に形成されていることにより、この上下の基端部分間に存する前記先端部分が、前記測定基準底面の面方向と平行な水平方向に長さを有する形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の水準器。
【請求項3】
前記磁石部は、前記測定基準底面に形成された磁石露出孔から露出状態に設けられていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の水準器。
【請求項4】
前記磁石部は、磁石にヨークが付設されて構成され、この磁石部のヨークが前記測定基準底面に形成された磁石露出孔から露出するようにして設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の水準器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用に適した水準器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、器体1の測定基準底面2に、被測定物に吸着させるための磁石部5が設けられていると共に、この測定基準底面2と直交配設する器体1の側端部に、作業者が装着する工具ホルダー6に掛止め可能な掛杆30が突設されているハンディタイプの水準器が実施されている(例えば、下記の特許文献1に図示されている水準器を参照)。
【0003】
具体的には、前記磁石部5は、前記測定基準底面2に貫通形成された磁石露出孔11から露出するように配設されていて、この磁石部5により前記測定基準底面2を被測定物に吸着固定すると、器体1に設けられている測定用気泡管3の気泡4の位置に基づいて被測定物の水平度や垂直度を測定できるように構成されており、また、前記掛杆30は、一本の金属製線材で構成されていると共に、この掛杆30の両端の取付杆部が前記器体1の端部の上下部間に架設状態に取付けられることにより、器体1の端部からコ字状、弧状若しくはU字状などの半環状に突設されていて、この上下の取付杆部間に存する掛止杆部31を前記工具ホルダー6の連結環7に掛止めることで作業者が携帯し得るように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-197041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
工具ホルダー6は、作業者の腰ベルト13に装着されると連結環7が作業者の身体の外方へ向かって突設するが、この連結環7に上記従来の水準器(の掛杆30)を掛止めると、この掛杆30の掛止杆部31が器体1の上下方向(測定基準底面2の面方向と直交する方向)に長さを有する形状であるために、掛止杆部31は連結環7と直交配設するように掛止められて測定基準底面2(磁石部5)が身体と正対せずに横を向いた状態で掛下げられることになる。
【0006】
してみると、現場作業者は水準器だけでなく他にも色々な携帯物を携帯して作業に臨むが、図6に示すように、水準器と並べて腰に携帯されている他の工具14(図面はメガネレンチ14が示されている。)等に測定基準底面2(磁石部5)が吸着してしまい易く、しかも磁石部5は、被測定物への吸着安定性を確保すべくヨーク等の強力な吸磁力を発揮するものが採用されているために、他の工具14等を水準器から引き離すことが容易ではなく、これが原因で水準器や他の工具14を使用したい場面で直ちに作業を行えないことが往々にしてあった。
【0007】
本発明は、このような従来の水準器の問題点を見い出し、これを解決するためのもので、磁石部によって被測定物に吸着する測定基準底面が、他の携帯工具等に吸着しないよう作業者の身体に対し内側若しくは外側を向くようにして工具ホルダーに掛下げ可能となる水準器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
被測定物に当接させる測定基準底面2を有する器体1に、気泡4の位置により被測定物の水平度若しくは垂直度を測定する測定用気泡管3と、前記測定基準底面2を被測定物に吸磁止着させる磁石部5と、作業者に装着される工具ホルダー6の連結環7に掛止連結可能な掛杆8とが設けられており、前記掛杆8は、一本の金属製線材で構成されていると共に、この掛杆8の両端の取付杆部9が前記器体1の端部の上下部間に架設状態に取付けられることにより、器体1の端部からコ字状、弧状若しくはU字状などの半環状に突設されていて、両端の取付杆部9間に存する掛止杆部10を前記工具ホルダー6の連結環7に掛止可能に構成されている水準器において、前記掛杆8は、上側の前記取付杆部9に連設している前記掛止杆部10の基端部分10Aが、前記器体1の端部からこの端部の延長方向と直交する横方向に突出変形する形状に形成されていると共に、下側の前記取付杆部9に連設している掛止杆部10の基端部分10Bが、上側の前記基端部分10Aの突出方向と逆方向に突出変形する形状に形成されていて、この上下の基端部分10A・10B間に存する先端部分10Cが水平方向に長さを有する形状に形成されており、この掛止杆部10の先端部分10Cを、作業者に装着されて作業者の身体の外方へ向けて突設されている前記工具ホルダー6の連結環7に掛止めると、作業者の身体に対し前記測定基準底面2が内側若しくは外側を向くようにして前記器体1が掛下げられるように構成されていることを特徴とする水準器に係るものである。
【0010】
また、前記掛杆8は、上側の前記取付杆部9に連設している前記掛止杆部10の基端部分10Aが、前記器体1の端部からこの端部の延長方向と直交する横方向に下方へ傾斜しつつ突出する形状に形成されていると共に、下側の前記取付杆部9に連設している掛止杆部10の基端部分10Bが、上側の前記基端部分10Aの突出方向と逆方向に上方へ傾斜しつつ突出する形状に形成されていることにより、この上下の基端部分10A・10B間に存する前記先端部分10Cが、前記測定基準底面2の面方向と平行な水平方向に長さを有する形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の水準器に係るものである。
【0011】
また、前記磁石部5は、前記測定基準底面2に形成された磁石露出孔11から露出状態に設けられていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の水準器に係るものである。
【0012】
また、前記磁石部5は、磁石にヨーク12が付設されて構成され、この磁石部5のヨーク12が前記測定基準底面2に形成された磁石露出孔11から露出するようにして設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の水準器に係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のように構成したから、作業者に装着されて作業者の身体の外方へ向けて突設されている工具ホルダーの連結環に掛杆を掛止めて携帯できると共に、この掛杆の掛止杆部の先端部分が水平方向に長さを有するために、器体の測定基準底面が作業者の身体に対し内側若しくは外側を向くようにして掛下げでき、これにより掛下げられた水準器と並べて携帯されている他の工具等に、磁石部の吸磁作用により測定基準底面が強力吸着することがなく、携帯している水準器若しくは他の工具等を作業者は身体や工具ホルダー等から造作なく取外して使用可能となり、しかも本発明は、既存の掛杆付の水準器に対して器体には何ら構造変更を施すことなく、掛杆を構成する金属製線材の形状を変更するだけで容易に設計実現可能となるなど、極めて実用性に優れた水準器となる。
【0014】
また、請求項2記載の発明においては、前記作用・効果を確実に発揮できる掛杆を簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成の水準器となる。
【0015】
また、請求項3,4記載の発明においては、被測定物に対して強力に吸着可能な磁石部を有する構成でありながら、この磁石部(測定基準底面)が工具ホルダーへの掛下携帯時に水準器と並べて携帯された他の工具等に強力吸着することがない極めて実用性に優れた構成の水準器となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施例を示す斜視図である。
図2】本実施例を示す、図1とは別角度から視た斜視図である。
図3】本実施例を示す、要部を実線で描いた(要部以外を破線で描いた)六面図である。
図4】本実施例の要部を示す説明拡大正断面図である。
図5】本実施例を、工具ホルダーの連結環に掛止めた状態を示す説明図である。
図6】従来例を、工具ホルダーの連結環に掛止めた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0018】
本発明の水準器は、被測定物に当接させる測定基準底面2を有する器体1に、気泡4の位置により被測定物の水平度若しくは垂直度を測定する測定用気泡管3と、前記測定基準底面2を被測定物に吸磁止着させる磁石部5と、作業者に装着される工具ホルダー6の連結環7に掛止連結可能な掛杆8とが設けられている。
【0019】
また、この掛杆8は、一本の金属製線材で構成され、両端の取付杆部9が前記器体1の端部の上下部間に架設状態に取付けられることにより、器体1の端部から掛杆8がコ字状、弧状若しくはU字状などの半環状に突設されていて、上下の取付杆部9間に存する掛止杆部10を前記工具ホルダー6の連結環7に掛止し得るように構成されている。
【0020】
更に具体的には、掛杆8は、上側の前記取付杆部9に連設している前記掛止杆部10の基端部分10Aが、前記器体1の端部からこの端部の延長方向と直交する横方向に突出変形する形状に形成されていると共に、下側の前記取付杆部9に連設している掛止杆部10の基端部分10Bが、上側の前記基端部分10Aの突出方向と逆方向に突出変形する形状に形成されていて、この上下の基端部分10A・10B間に存する前記先端部分10Cが水平方向に長さを有する形状に形成されている。
【0021】
従って、この水平方向に長さを有する掛杆8の掛止杆部10の先端部分10Cを、作業者に装着されて作業者の身体の外方へ向けて突設されている前記工具ホルダー6の連結環7に掛止めると、先端部分10Cが連結環7と直交配設するように掛止められて前記測定基準底面2が作業者の身体に対し内側若しくは外側を向くようにして器体1が掛下げられることとなり、これにより作業者が本発明の水準器と並べて他の工具14等を携帯していても、この他の工具14等に磁石部5の吸磁作用によって測定基準底面2が強力吸着してしまうことはなく、よってこの携帯している水準器若しくは他の工具14等を、作業者は身体や工具ホルダー6等から造作なく取外して使用可能となる。
【0022】
また、本発明は、既存の掛杆付の水準器に対して、掛杆8を構成する金属製線材の形状に変更を施すだけで容易に設計実現可能である。
【実施例
【0023】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0024】
本実施例の水準器は、被測定物に当接させる測定基準底面2を有する器体1に、気泡4の位置により被測定物の水平と垂直度を測定する測定用気泡管3と、前記測定基準底面2を被測定物に吸磁止着させる磁石部5と、作業者に装着される工具ホルダー6の連結環7に掛止連結可能な掛杆8とが設けられている。
【0025】
具体的には、器体1は、図1図3に示すようなやや厚みのある横長方形板状に形成されていて、最も広い面積を有している対向面部が前側面部及び後側面部として構成されており、この前後の側面部の複数箇所(図面は二箇所)に開口窓17が形成され、各開口窓17に測定用気泡管3が配設されている。
【0026】
また、この器体1は、詳しい図示は省略しているが、左右方向に長さを有する基体部15と、この基体部15同様左右方向に長さを有し,基体部15を前後両側から挟み込むようにして基体部15に重合装着される前記開口窓17を備えた左右一対の外装部16とから構成されている。
【0027】
更に具体的には、基体部15は、正面視横長方形状であって断面I字状をなす金属材料(例えばアルミ材)で構成されており、上側の水平板部の上面が、被測定物に当接させる測定基準上面18として構成され、下側の水平板部の底面(下面)が、被測定物に当接させる前記測定基準底面2として構成されている。
【0028】
そして、この測定基準上面18及び測定基準底面2を被測定物にあてがうことで水平度及び垂直度を測定可能に構成されている(水平度及び垂直度を測定可能な二つの前記測定用気泡管3が器体1に設けられている。)。
【0029】
また、この測定基準上面18と測定基準底面2には、夫々の長手方向(器体1左右方向)に沿って断面V形の凹溝19(V溝)が設けられていて、この凹溝19により、測定基準上面18及び測定基準底面2を凸湾曲面状の外周面を有する被測定物(例えば管材など)に対しても、その外周面に当接させて水平度や垂直度測定可能となるように構成されている。
【0030】
また、本実施例の測定基準底面2には、この測定基準底面2を被測定物に吸着させるための前記磁石部5が設けられている。
【0031】
具体的には、磁石部5は、永久磁石などの磁石体(図示省略)の両側に二枚の金属板12(ヨーク12)が付設されて構成されており、このヨーク12が、前記凹溝19の二本の溝縁部に沿って測定基準底面2に貫通形成された二箇所の磁石露出孔11から、この測定基準底面2と略面一状態で露出するように設けられている。
【0032】
従って、磁石部5が吸磁する材質(金属等)の被測定物に対しては、測定基準底面2を磁石部5を介して吸着させて被測定物の水平度,垂直度及び斜度を測定可能に構成されている。
【0033】
また、本実施例の器体1は、その左右両端部に、一本の金属製線材がコ字状、弧状若しくはU字状などの半環状に折曲形成されて成る前記掛杆8が突設されている。
【0034】
具体的には、この掛杆8を構成する金属製線材の両端の取付杆部9が、器体1の左右両端部の上下部内に埋設状態に配されて、この上下の取付杆部9が器体1に抜止状態に固定されている。
【0035】
即ち、掛杆8は、前記器体1の左右両端部の上下部間に架設状態に取付けられることにより、器体1の前後両端部からコ字状、弧状若しくはU字状などの半環状に突設されていて、上下の取付杆部9間に存する掛止杆部10を、作業者が装着した工具ホルダー6の連結環7に掛止可能に構成されている。
【0036】
更に具体的に説明すると、掛杆8の両端(器体1(の内)側へ向ける基端)の取付杆部9は、図4に示すように互いの対向方向に向けて略直角に折曲されて、この折曲先端部の器体1内側(奥側)に配されている縁部が基体部15の左右両端縁に沿設されていると共に、この取付杆部9の折曲角部の器体1外側に配されている縁部が、前記外装部16を基体部15に重合止めするためのビス20に係止するように構成され、この基体部15の左右の両端縁とビス20とに挟まれて取付杆部9が拘束されることにより掛杆8が器体1の前後両端部に固定されている。
【0037】
即ち、前記基体部15に前記外装部16を重合固定するためのビス20が、取付杆部9の抜け止め係止ピンとして機能して、前記掛杆8が前記器体1の左右両端部に抜け止め状態に設けられている。
【0038】
本実施例では、器体1の左右両端部に設けられている前記掛杆8のうちの一方(図1図2における左側の掛杆8)は、上側の前記取付杆部9に連設している前記掛止杆部10の基端部分10Aが、前記器体1の端部からこの端部の延長方向と直交する横方向に突出変形する形状に形成されていると共に、下側の前記取付杆部9に連設している掛止杆部10の基端部分10Bが、上側の前記基端部分10Aの突出方向と逆方向に突出変形する形状に形成されていて、この上下の基端部分10A・10B間に存する前記先端部分10Cが水平方向に長さを有する形状に形成されており、この掛止杆部10の先端部分10Cを、作業者に装着されて作業者の身体の外方へ向けて突設されている前記工具ホルダー6の連結環7に掛止めると、前記測定基準底面2が作業者の身体に対し正対する内側若しくは外側を向くようにして前記器体1が掛下げられるように構成されている。
【0039】
具体的には、前記掛杆8は、上側の前記取付杆部9に連設している前記掛止杆部10の基端部分10Aがやや下方へ傾斜しつつ後方に捻れて突出する形状に形成されていると共に、下側の前記取付杆部9に連設している掛止杆部10の基端部分10Bが上方へ傾斜しつつ前方に捻れて突出する形状に形成されていることにより、この上下の基端部分10A・10B間に存する前記先端部分10Cが水平方向に長さを有する形状に形成されている。
【0040】
更に詳しくは、前記器体1をその測定基準底面2が水平となる姿勢とした時に、先端部分10Cが水平方向に長さを有する形状(測定基準底面2の面方向と先端部分10Cの長さ方向とが平行関係となる形状)に掛杆8(金属製線材)が構成されている。
【0041】
尚、この掛杆8は、上側の前記取付杆部9に連設する掛止杆部10の基端部分10Aが前方に突出変形する形状に形成されていると共に、下側の前記取付杆部9に連設する掛止杆部10の基端部分10Bが後方に突出変形する形状に形成されていることによって、この上下の基端部分10A・10B間に存する前記先端部分10Cが水平方向に長さを有する形状に形成される構成が採用されていても良いし、基端部分10A・10Bは傾斜せずに横方向(器体1の前後方向)に突出する形状が採用されていても良い。
【0042】
即ち、本実施例の要部である、水平方向に長さを有する先端部分10Cを備えた掛杆8は、従来の器体1の構造や器体1への取付構造には何ら変更を施すことなく、掛杆8を構成する金属製線材の形状に変更を施すだけで簡易に設計実現可能である。
【0043】
また、図示した公知の工具ホルダー6について説明すると、作業者が装着する腰ベルト13を挿通することでこの腰ベルト13に取付け可能なベルト取付部21に、工具を掛止め可能な連結環7(カラビナ7)が縦設状態に付設されて成るものである。
【0044】
図5は、作業者の腰ベルト13に工具ホルダー6が二つ並べて装着されており、一方(図面右側)の工具ホルダー6の連結環7には本実施例が掛下げられ、もう一方の工具ホルダー6の連結環7には、他の工具14としてメガネレンチ14が掛下げられている場合が示されている。
【0045】
この際、本実施例の水準器は、前記先端部分10Cが連結環7と直交配設するように掛止められて前記測定基準底面2が作業者の身体に対し正対した内側を向くか、若しくは外側を向くようにして器体1が掛下げられる(図面は測定基準底面2が作業者の身体に対し外側を向くようにして掛下げられた場合を示している。)こととなり、これにより並べて掛下げられているメガネレンチ14に磁石部5の吸磁作用によって測定基準底面2が強力吸着してしまうことがない(磁石部5の磁力は器体1の前後両側面の外方にも若干及んでいるため、他の工具14等に吸着することもあるが、その磁力はヨーク12が発揮するものと比較すると非常に弱いので、他の工具14等との引き離し作業は容易である。)。よってこの携帯している水準器若しくはメガネレンチ14を、作業者は工具ホルダー6から造作なく取外して使用可能となる。
【0046】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0047】
1 器体
2 測定基準底面
3 測定用気泡管
4 気泡
5 磁石部
6 工具ホルダー
7 連結環
8 掛杆
9 取付杆部
10 掛止杆部
10A 基端部分
10B 基端部分
10C 先端部分
11 磁石露出孔
12 ヨーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6