(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】カロテノイド組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/202 20060101AFI20230926BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20230926BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230926BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20230926BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230926BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20230926BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230926BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230926BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230926BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230926BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230926BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230926BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230926BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 33/12 20060101ALI20230926BHJP
A61P 37/00 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
A61K31/202
A61K9/127
A61K47/10
A61K47/24
A61K47/26
A61K47/28
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/36
A61P1/04
A61P1/16
A61P3/00
A61P3/10
A61P7/00
A61P9/00
A61P11/00
A61P13/12
A61P25/00
A61P29/00
A61P31/00
A61P33/12
A61P37/00
(21)【出願番号】P 2020561734
(86)(22)【出願日】2019-05-03
(86)【国際出願番号】 US2019030625
(87)【国際公開番号】W WO2019213538
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-05-02
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517045370
【氏名又は名称】エル.イー.エー.エフ. ホールディングス グループ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】L.E.A.F. HOLDINGS GROUP LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ニイキザ,クレト
(72)【発明者】
【氏名】モヨ,ヴィクター,マンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ゲン,ボリン
(72)【発明者】
【氏名】シュー,ジェンホン
(72)【発明者】
【氏名】カリファ,カニズ
(72)【発明者】
【氏名】キム,グワンソン
【審査官】篭島 福太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-254161(JP,A)
【文献】米国特許第06060511(US,A)
【文献】特開2009-179628(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101811956(CN,A)
【文献】特表2013-527231(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0015735(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/202
A61K 9/127
A61K 47/10
A61K 47/24
A61K 47/26
A61K 47/28
A61K 47/32
A61K 47/34
A61K 47/36
A61P 1/04
A61P 1/16
A61P 3/00
A61P 3/10
A61P 7/00
A61P 9/00
A61P 11/00
A61P 13/12
A61P 25/00
A61P 29/00
A61P 31/00
A61P 33/12
A61P 37/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:Q-トランスクロセチン-QまたはQ-トランスノルビキシン-Qを有するイオン化可能カロテノイド塩を封入するリポソームを含む医薬組成物であって、式中、Qが、多価カチオン対イオンである、医薬組成物。
【請求項2】
Qが、二価の金属カチオン、二価の有機カチオン、もしくはFe
3+などの三価のカチオンである、または、
Qが、Ca
2+、Mg
2+、Zn
2+、Cu
2+、Co
2+、およびFe
2+から選択される二価のカチオンである、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記リポソームが、式:Q-トランスノルビキシン-Qを有するイオン化可能カロテノイド塩を封入する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記リポソームが、式:Q-トランスクロセチン-Qを有するイオン化可能カロテノイド塩を封入する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記多価
カチオン対イオン(Q)が、二価の金属カチオン、二価の有機カチオン、もしくはFe
3+などの三価のカチオンである、または、
Qが、Ca
2+、Mg
2+、Zn
2+、Cu
2+、Co
2+、およびFe
2+から選択される二価のカチオンである、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記リポソームが、マグネシウムトランスクロセチネート(MTC)を封入する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記リポソームが、カルシウムトランスクロセチネート(CTC)を封入する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記リポソームが、マグネシウムトランスノルビキシネート(MTN)またはカルシウムトランスノルビキシネート(CTN)を封入する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
イオン化可能カロテノイド/脂質比率が、1~1000g/モル、10~150g/モル、20~100g/モル、もしくはこれらの間の任意の範囲である、または、
前記リポソームが、20nm~500nm、20nm~200nm、もしくは80nm~120nm、もしくはこれらの間の任意の範囲の直径を有する、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記リポソームが、リポソーム成分から形成され、前記リポソーム成分が、
カチオン性脂質、アニオン性脂質および中性脂質の少なくとも1種、
または、DSPE、DSPE-PEG、DSPE-PEG-マレイミド、HSPC、HSPC-PEG、コレステロール、コレステロール-PEG、およびコレステロール-マレイミドから選択される少なくとも1種、
または、OxPAPCなどの酸化リン脂質、
を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記リポソームが、ペグ化されている、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
1種または複数のリポソーム成分が、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、200~5000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有するPEG)、ポリ-L-リシン(PLL)、モノシアロガングリオシド(GM1)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(アクリルアミド)(PAA)、ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ホスファチジルポリグリセロール、ポリ[N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド]、両親媒性ポリ-N-ビニルピロリドン、L-アミノ酸ベースポリマー、オリゴグリセリン、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレンオキシド含有コポリマー、ポロキサマー188、およびポリビニルアルコールより選択される、少なくとも1種の立体安定剤をさらに含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記リポソームが、
アニオン性、中性、もしくはカチオン性である、または
-150~150mV、もしくは-50~50mV、もしくはこれらの間の任意の範囲のゼータ電位、ゼロ以下である(例えば、-150~0mV、もしくは-50~0mV、もしくはこれらの間の任意の範囲の)ゼータ電位、もしくは0より大きい(例えば、0.2~150mV、もしくは1~50mV、もしくはこれらの間の任意の範囲の)ゼータ電位を有する、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
薬学的に許容可能な担体をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物であって、
任意選択で、前記薬学的に許容可能な担体は、
任意選択で、0.1%より大きい濃度、または0.3%~2.5%の濃度、もしくはこれらの間の任意の範囲の濃度で、デキストロース、マンニトール、グリセロール、塩化カリウム、もしくは塩化ナトリウムなどの等張化剤、または1~200mMの濃度および2~8のpHで、もしくはこれらの間の任意の範囲で、HEPES緩衝生理食塩水(HBS)もしくは類似物などの緩衝液、
を含んでもよい、医薬組成物。
【請求項15】
前記リポソームが、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、10,000個未満、もしくは5,000個未満、または10~100,000個、100~10,000個、もしくは500~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のイオン化可能カロテノイド分子を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記リポソームが、ターゲティング部分をさらに含み、かつ前記ターゲティング部分が目的の標的細胞上の表面抗原に対する特異的親和性を有する、請求項1に記載の医薬組成物であって、任意選択で、前記ターゲティング部分は、PEGおよびリポソーム外面の片方または両方に結合されていてもよい、医薬組成物。
【請求項17】
前記ターゲティング部分が、ポリペプチド、抗体、ヒト化抗体、抗体の抗原結合フラグメント、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、二重特異的抗体、合成抗体、ペグ化抗体、または多量体抗体である、請求項16に記載の医薬組成物であって、任意選択で、前記ターゲティング部分は、表面プラズモン共鳴分析を用いて測定される50x10
-12~10x10
-6の範囲の平衡解離定数(Kd)で前記表面抗原に結合してもよい、医薬組成物。
【請求項18】
前記リポソームが、ペグ化されており、1~1000個、50~750個、100~500個、もしくは30~200個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のターゲティング部分を含む、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項19】
FABP、免疫刺激剤、免疫抑制剤、検出可能マーカーおよびマレイミドの1種もしくは複数、またはマンニトール、トレハロース、ソルビトール、およびスクロースより選択される少なくとも1種の凍結保護物質をさらに含み、前記FABP、前記免疫刺激剤、前記免疫抑制剤、前記検出可能マーカーまたは前記マレイミドが、前記PEGまたはリポソーム外面に結合されている、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項20】
対象における疾患または状態の治療における使用のための、請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記疾患または状態が、内毒血症、敗血症、感染症、菌血症、肝臓の疾患もしくは状態、例えば、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺線維症、肺出血、肺損傷、肺癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの肺の疾患もしくは状態、腎疾患、自己免疫疾患、硬化症、炎症、炎症性腸疾患、代謝疾患、インスリン抵抗性、糖尿病(例えば、2型糖尿病)もしくは関連する状態、心臓血管疾患、虚血もしくは低酸素症により特徴づけられる疾患もしくは状態、心臓発作もしくは脳卒中、ショック、または一酸化窒素欠乏症もしくは関連する状態、に関連している、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物を作製する方法であって、
(a)多価金属また
は多価有機カチオンの弱酸塩中でリポソームを含むリポソーム溶液を作製するステップ、
(b)式:Q-トランスクロセチン-QまたはQ-トランスノルビキシン-Qを有し、Qが多価カチオン対イオンである、イオン化可能カロテノイド塩を、前記リポソーム溶液に添加するステップ、および
(c)前記イオン化可能カロテノイド
塩を、カロテノイドをリポソーム中に充填するために十分な時間にわたり、前記リポソーム溶液中で保持するステップ、
を含み、任意選択で、前記弱酸は、例えば、酢酸、グルコン酸、酒石酸、グルタミン酸、クエン酸、ギ酸、およびグリシン酸から選択される有機酸などの有機酸であってもよく、前記多価金属は、例えば、Ca
2+、Mg
2+、Zn
2+、Cu
2+、Co
2+、およびFe
2+から選択される二価金属などの二価金属、またはFe
3+などの三価金属であってもよい、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年5月3日に出願された米国特許仮出願第62/666,699号、および2019年2月22日に出願された米国特許仮出願第62/809,123号に対する優先権を主張する。このそれぞれの仮出願は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
通常の条件下では、細菌および関連毒素(内毒血症)は、健全なヒトの血液中で認められないはずである。しかし、腸(漏洩腸症候群)または歯と歯茎界面(主に歯茎の健康が不十分な患者における)などの発生源に由来する特定の条件下で、細菌が血流中に侵入するという認識が増えている。細菌移行として知られるこのプロセスの結果は、血流の慢性菌血症(慢性細菌感染症)の状態である。細菌移行は、慢性の低悪性度の慢性内毒血症を生じる細菌性リポ多糖類(LPS)などのエンドトキシンを放出する慢性菌血症およびその結果としての慢性炎症状態に繋がる。細菌移行に関連するこの慢性の低悪性度の炎症は、多くの疾患の病因に関連付けられてきた。
【0003】
より重症型の内毒血症は、感染症に対する調節不全の宿主炎症応答により引き起こされる命に関わる病状である、敗血症と関連する。敗血症は、毎年世界中で推定3000万人を襲う世界的な医療問題である。敗血症による死亡率は、成人で約40%である。敗血症は、身体が感染症と戦おうとすることが、組織および器官に損傷を与える免疫系をもたらす場合に発生する。通常は身体を保護するように設計されているこの無制御応答は、器官損傷をもたらす広範な炎症、漏出性血管および異常な血液凝固を引き起こす。重症例では、血圧が低下し、多臓器不全が続いて起こり、患者は敗血性ショックで急死する場合がある。
【0004】
敗血症の管理は複雑で、未充足の臨床課題であり、感染症、血行動態上の問題点、ならびに他の臓器不全の早期認識および管理が必要である。敗血症の根底にある感染症は、抗菌剤、最も一般的な広域性の抗菌剤、抗ウイルス薬および抗真菌剤で治療される。敗血症および敗血性ショックに関連する血流力学的問題の管理のガイドラインは、ファーストライン療法としてのノルエピネフィリンと共に、血管収縮薬の使用を推奨している。
【0005】
これらの上述した手段にも関わらず、敗血症は、主要な死因のままであり、敗血症およびその関連病状のための新規治療に対する強いニーズが残されている。1つの知見は、敗血症に合わせたほとんどの治療は、感染症および個別の不全器官系を治療することに対処する傾向があり、重要な敗血症の根底にある病態生理学的促進要因の治療に対処しない。代わりの手法は、付随する感染症の治療に加えて、敗血症の根底にある機序に対処することであろう。
【0006】
多くのほかの病状と同様に、敗血症は、酸素欠乏(低酸素)に関連している。死亡の主要な原因は総じて、ある程度の低酸素に関連している。例としては、限定されないが、冠動脈疾患、脳卒中、慢性および急性呼吸器疾患が挙げられる。加えて、低酸素は、多くの癌の共通の特徴であり、放射線療法、化学療法剤および可能性として免疫療法に対する耐性に繋がる。前臨床的には、癌における低酸素の逆転は、治療に対する改善された応答に関連付けられてきた。このことは、医院での低酸素の逆転方策は、癌における改善された成果をもたらす可能性があることを示唆している。
【0007】
カロテノイドは、主として植物中で見出される天然の脂質可溶性色素の一種であり、植物においては、それらは、補助色素として機能し、一重項酸素およびフリーラジカル種を除去するそれらの能力により組織の保護を付与する。カロテノイドは、抗酸化特性を有し、その結果として、心臓血管疾患、癌の潜在リスクを低減すること、および種々のヒト生理学的作用に対する加齢の退化的な影響を遅らせるおよび/または元に戻すことを含む多数の有益な健康上の効果を提供することが知られている。しかし、カロテノイドは通常、極めて親油性の化合物であり、多くのカロテノイドの臨床使用は、それらの不安定性および低いバイオアベイラビリティにより制限されている。
【0008】
クロセチンは、抗酸化特性を有し、水にやや溶けにくいカロテノイドである。化学的には、クロセチンは、7個の二重結合および各末端にカルボン酸基を含む、20炭素アポカロテノイド分子である。トランスクロセチン(遊離酸)およびその塩のナトリウムトランスクロセチネートの遊離型(例えば、封入されていない)医薬製剤の投与は、低酸素、虚血、およびその他の病状により引き起こされる状態の治療に有望であることが報告されている。しかし、どちらも、臨床的治療効力を示さなかった。これは一部には、トランスクロセチンおよびそのナトリウム塩のナトリウムトランスクロセチネートは現在まで、不安定性、低いバイオアベイラビリティおよび短い半減期により制限されてきたという事実が原因である。
【0009】
カロテノイドによりもたらされる健康上の利益ならびに上述の低いバイオアベイラビリティおよび不安定性を考慮すると、改善されたバイオアベイラビリティおよび安定性を有するカロテノイドを含む医薬組成物を提供する必要性が存在する。提供される組成物および方法は、上述のカロテノイドの欠点に対処する。さらに、これらの組成物および方法は、内毒血症および低酸素ならびに他の未充足の医療ニーズに関連する病状に対する現在の治療手法の制限を克服する助けとなるであろう。この組成物は、単剤としての、およびその他の治療法と組み合わせた用途を有する。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、クロセチン、トランスノルビキシン、およびそれらの塩などのカロテノイドを封入するリポソームを含む、カロテノイドを含む医薬組成物を提供する。提供される組成物は、限定されないが、感染症、炎症、敗血症、虚血、低酸素、ショック、脳卒中、傷害、心臓血管疾患、腎疾患、肝疾患、炎症性疾患、代謝疾患、肺疾患、神経変性疾患、免疫系の疾患、および癌などの過剰増殖疾患に関連する疾患および障害ならびに状態の治療で使用される。医薬組成物の製造、送達、および使用方法も提供され、この組成物を含むキットも同様に提供される。
【0011】
開示医薬組成物は、不十分な薬物動態学および体内分布を有するトランスクロセチンなどのイオン化可能ポリエンカロテノイドを含むカロテノイドの強化された送達を提供する。本開示はまた、高封入効率(>98%)、高い薬物-対-脂質比率、および/または高められた薬物滞留性を示すリポソーム組成物を提供する。提供される医薬組成物は、限定されないが、感染症、炎症、敗血症、虚血、低酸素、貧血、外傷、傷害、脳卒中、ショック、糖尿病、創傷治癒、傷害(例えば、再潅流傷害、神経損傷、腎損傷、肝傷害および肺損傷)、および癌などの過剰増殖疾患、ならびにこれらの疾患および障害に関連する状態(例えば、貧血、好中球減少症および免疫抑制)に関連する疾患および障害ならびに状態の治療で使用される。組成物の製造、送達および使用方法も提供される。
【0012】
いくつかの実施形態では、本開示は、下記を提供する。
[1] 式:ポリエンカロテノイド-Qを有するイオンイオン化可能カロテノイド塩を含む医薬組成物であって、
ポリエンカロテノイドが、
(a)3、4、5、6、7、8、9、10、3~5、6~8、9~10個、または10個以上の共役二重結合、
(b)メチルまたは低アルキル(C2-C3)置換基、および
(c)1、2、3、または4個以上のイオン化可能基
を含み;および
Qは、多価対イオンである、医薬組成物;
[2] 式:
Q-R
1-ポリエンカロテノイド-R
2-Q、を有するカロテノイド塩を含み、式中、
ポリエンカロテノイドが、
(a)3、4、5、6、7、8、9、10、3~5、6~8、9~10個、または10個以上の共役二重結合、
(b)メチルまたは低アルキル(C2-C3)置換基、および
(c)1、2、3、または4個以上のイオン化可能基
を含み;
R
1およびR
2は、イオン化可能基、例えば、同じイオン化可能基または異なるイオン化可能基であり、および
Qは、多価対イオンである、医薬組成物;
[3] 項目[1]または項目[2]に記載の医薬組成物であって、ポリエンカロテノイドが、1、2、3、または4個以上のアニオン性イオン化可能基を含む、医薬組成物;
[4] 項目[3]に記載の医薬組成物であって、ポリエンカロテノイドが、カルボキシル基、スルホネート基、サルフェート基、ホスホネート、リン酸基、およびヒドロキサメート基から選択される少なくとも1個のアニオン性イオン化可能基を含む、医薬組成物;
[5] 項目[1]または項目[2]に記載の医薬組成物であって、ポリエンカロテノイドが、1、2、3、または4個以上のカチオン性イオン化可能基(例えば、一級、二級、または三級アミン基、四級アンモニウム基、コリン基、グアニジン基、またはイミダゾール基)を含む、医薬組成物;
[6] 式:Q-トランスクロセチン-Qを有するイオン化可能カロテノイド塩を含み、式中、
Qは、多価カチオン対イオンである、医薬組成物;
[7] 式:Q-ノルビキシン-Qを有するイオン化可能カロテノイド塩を含み、式中
Qは、多価カチオン対イオンである、医薬組成物;
[8] 項目[1]~[7]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、多価対イオン(Q)が、多価カチオン(例えば、二価の金属カチオンまたは二価の有機カチオンなどの二価のカチオン、またはFe
3+などの三価のカチオン)である、医薬組成物;
[9] 項目[8]に記載の医薬組成物であって、多価対イオンが、Ca
2+、Mg
2+、Zn
2+、Cu
2+、Co
2+、およびFe
2+から選択される少なくとも1つの二価のカチオン、プロトン化ジアミンなどの二価の有機カチオン、またはFe
3+などの三価のカチオンである、医薬組成物;
[10] 項目[6]に記載の医薬組成物であって、マグネシウムトランスクロセチネート(MTC)またはカルシウムトランスクロセチネート(CTC)を含む、医薬組成物;
[11] 項目[7]に記載の医薬組成物であって、マグネシウムトランスノルビキシネート(MTN)またはカルシウムトランスノルビキシネート(CTN)を含む、医薬組成物;
[12] 項目[1]~[11]のいずれか1項に記載の医薬組成物を含む、送達担体;
[13][12]に記載の送達担体であって、リポソームである、送達担体;
[14] 式:
ポリエンカロテノイド-Qを有するイオン化可能カロテノイド塩を封入するリポソームを含む医薬組成物であって、
ポリエンカロテノイドが、
(a)3、4、5、6、7、8、9、10、3~5、6~8、9~10個、または10個以上の共役二重結合、
(b)メチルまたは低アルキル(C2-C3)置換基、および
(c)1、2、3、または4個以上のイオン化可能基
を含み;および
Qは、(i)多価対イオンまたは(ii)一価対イオンである、医薬組成物;
[15] 式:
Q-R
1-ポリエンカロテノイド-R
2-Qを有するカロテノイド塩を封入するリポソーム含む医薬組成物であって、式中、
ポリエンカロテノイドが、
(a)3、4、5、6、7、8、9、10、3~5、6~8、9~10個、または10個以上の共役二重結合、
(b)メチルまたは低アルキル(C2-C3)置換基、および
(c)1、2、3、または4個以上のイオン化可能基
を含み;
R
1およびR
2は、イオン化可能基、例えば、同じイオン化可能基または異なるイオン化可能基であり、および
Qは、(i)多価対イオンまたは(ii)一価対イオンである、医薬組成物;
[16] 項目[14]または[15]に記載の医薬組成物であって、ポリエンカロテノイドが、アニオン性イオン化可能基を含む、医薬組成物;
[17] 項目[16]に記載の医薬組成物であって、ポリエンカロテノイドが、カルボキシル基、スルホネート基、サルフェート基、ホスホネート、リン酸基、およびヒドロキサメート基から選択される少なくとも1個のアニオン性イオン化可能基を含む、医薬組成物;
[18] 項目[14]または項目[15]に記載の医薬組成物であって、ポリエンカロテノイドが、カチオン性イオン化可能基(例えば、一級、二級、または三級アミン基、四級アンモニウム基、コリン基、グアニジン基、またはイミダゾール基)を含む、医薬組成物;
[19] 式:
Q-トランスクロセチン-Qを有するイオン化可能カロテノイドを封入するリポソームを含む医薬組成物であって、式中、
Qは、(i)多価カチオン対イオンまたは(ii)一価カチオンである、医薬組成物;
[20] 式:Q-トランスノルビキシン-Qを有するイオン化可能カロテノイド塩を封入するリポソームを含む医薬組成物であって、
Qは、(i)多価カチオン対イオンまたは(ii)一価カチオンである、医薬組成物;
[21] 式:
Q-R
3-ポリエンカロテノイド-R
4-Qを有するイオン化可能カロテノイドを封入するリポソームを含む医薬組成物であって、式中、
ポリエンカロテノイドは、3、4、5、6、7、8、9、10、3~5、6~8、9~10個、または10個以上の、1~n個のメチル基または低C1-C3アルキル置換基で任意に置換されてもよい共役二重結合を含み、n=1~4であり;および
R3および/またはR4は、単環式および/または極性基(例えば、同じまたは異なる単環式および/または極性基)であり、および
Qは、(i)多価対イオンまたは(ii)一価対イオンである、医薬組成物;
[22] 同じでもまたは異なっていてもよい2個の結合極性基を有し、および式:
QA-ポリエンカロテノイド-AQを有するカロテノイドを封入するリポソームを含む医薬組成物であって、式中、
ポリエンカロテノイドは、3、4、5、6、7、8、9、10、3~5、6~8、9~10個、または10個以上の、1~n個のメチル基または低C1-C3アルキル置換基で任意に置換されてよい共役二重結合を含み、n=1~4であり;およびQAはひとまとめにして、およびAQはひとまとめにして単環式官能基(例えば、同じまたは異なる単環式官能基)であり、アスタキサンチン、ルテイン、キサントフィルおよびゼアキサンチン中に存在する単環式官能基から任意に選択されてよい、医薬組成物;
【化1】
[23] 項目[14]~[21]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、Qは、多価対イオン(例えば、二価の金属カチオンまたは二価の有機カチオンなどの多価カチオン)である、医薬組成物;
[24] 項目[23]に記載の医薬組成物であって、Qは、Ca
2+、Mg
2+、Zn
2+、Cu
2+、Co
2+、およびFe
2+から選択される少なくとも1つの二価のカチオン、プロトン化ジアミンなどの二価の有機カチオン、またはFe
3+などの三価のカチオンである、医薬組成物;
[25] 項目[14]~[21]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、Qは、一価対イオン(例えば、一価の金属カチオンまたは一価の有機カチオン)である、医薬組成物;
[26] 項目[25]に記載の医薬組成物であって、Qは、NH
4
+、Na
+、Li
+、およびK
+から選択される少なくとも1つの一価の対イオン、またはプロトン化アミンなどの一価の有機カチオンである、医薬組成物;
[27] 項目[19]に記載の医薬組成物であって、マグネシウムトランスクロセチネート(MTC)またはカルシウムトランスクロセチネート(CTC)を含む、医薬組成物;
[28] 項目[20]に記載の医薬組成物であって、マグネシウムトランスノルビキシネート(MTN)またはカルシウムトランスノルビキシネート(CTN)を含む、医薬組成物;
[29] 項目[13]~[28]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、イオン化可能カロテノイド/脂質比率が、1~1000g/モル、約10~150g/モル、約20~100g/モル、またはこれらの間の任意の範囲である、医薬組成物;
[30] 項目[13]~[29]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、リポソームが、少なくとも0.1重量%~97重量%(W/W)、またはその間の任意の範囲のイオン化可能カロテノイドを含む、医薬組成物;
[31] 項目[13]~[30]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、リポソームが、20nm~500nm、20nm~200nm、80nm~120nmの範囲、またはこれらの間の任意の範囲の直径を有する、医薬組成物;
[32] 項目[13]~[31]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、リポソームが、リポソーム成分から形成される、組成物;
[33] 項目[32]に記載の医薬組成物であって、リポソーム成分が、アニオン性脂質およびカチオン性脂質および中性脂質の少なくとも1種を含む、組成物;
[34] 項目[32]または[33]に記載の医薬組成物であって、リポソーム成分が、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-FITC;DSPE-PEG-マレイミド;HSPC;HSPC-PEG;コレステロール;コレステロール-PEG;およびコレステロール-マレイミドから選択される少なくとも1種を含む、組成物;
[35] 項目[13]~[34]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、リポソームがOxPAPCなどの酸化リン脂質を含む、組成物;
[36] 項目[35]に記載の医薬組成物であって、OxPAPCが、断片化酸素化sn-2残基、完全長酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、オメガアルデヒドまたは/およびオメガカルボキシル基を有する五炭素sn-2残基を含む酸化リン脂質を含む酸化リン脂質である、医薬組成物;
[37] 項目[35]に記載の医薬組成物であって、リポソームが、HOdiA-PC、KOdiA-PC、HOOA-PCおよびKOOA-PC、1-パルミトイル-2-(5,6-エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(5,6PEIPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシシクロペンテノン)-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン(PECPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-4-ホスホコリン(PEIPC)、1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC);1-パルミトイル-2-(9′オキソ-ノナノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アラキノドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アゼラオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;および1-パルミトイル-2-アセトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンから選択されるOxPAPCを含む;またはOxPAPCが、エポキシイソプロスタン含有リン脂質である、医薬組成物;
[38] 項目[37]に記載の医薬組成物であって、リポソームが、PGPCを含む、医薬組成物;
[39] 項目[13]~[38]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、リポソームが、0%~100%、0.1%~30%、1%~25%、5%~20%、または7%~15%の、またはこれらの間の任意の範囲のOxPAPC(例えば、約10%のOxPAPC)を含む、医薬組成物;
[40] 項目[13]~[39]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、リポソームが、HSPE、コレステロール、PEG-DSPE-2000、およびOxPAPCを、2~5:1~4:0.01~0.3:0.05~1.5のモル比率で含む、医薬組成物;
[41] 項目[13]~[40]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、リポソームが、ペグ化されている、医薬組成物;
[42] 項目[13]~[41]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、1種または複数のリポソーム成分が、立体安定剤をさらに含む、医薬組成物;
[43] 項目[42]に記載の医薬組成物であって、立体安定剤が、ポリエチレングリコール(PEG);ポリ-L-リシン(PLL);モノシアロガングリオシド(GM1);ポリ(ビニルピロリドン)(PVP);ポリ(アクリルアミド)(PAA);ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン);ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン);ホスファチジルポリグリセロール;ポリ[N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド];両親媒性ポリ-N-ビニルピロリドン;L-アミノ酸ベースポリマー;オリゴグリセリン、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレンオキシド含有コポリマー、ポロキサマー188、およびポリビニルアルコールからなる群より選択される少なくとも1種である、医薬組成物;
[44] 項目[43]に記載の医薬組成物であって、立体安定剤が、PEGであり、PEGが、200~5000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有する、医薬組成物;
[45] 項目[13]~[44]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、リポソームが、アニオン性または中性である、医薬組成物;
[46] 項目[13]~[44]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、リポソームが、-150~150mV、または-50~50mVの、またはこれらの間の任意の範囲のゼータ電位を有する、医薬組成物;
[47] 項目[13]~[45]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、リポソームが、ゼロ以下(例えば、-150~0mV、または-50~0mVの、またはこれらの間の任意の範囲)のゼータ電位を有する、医薬組成物;
[48] 項目[13]~[47]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、リポソームが、0より大きい(例えば、0.2~150mV、または1~50mVの、またはこれらの間の任意の範囲の)ゼータ電位を有する、医薬組成物;
[49] 項目[13]~[45]または[48]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、リポソームが、カチオン性である、医薬組成物;
[50] 項目[1]~[49]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、薬学的に許容可能な担体をさらに含む、医薬組成物;
[51] 項目[1]~[50]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、デキストロース、マンニトール、グリセロール、塩化カリウム、または塩化ナトリウムなどの等張化剤を、任意選択で、0.1%より大きい濃度で、または0.3%~2.5%の濃度で、またはこれらの間の任意の範囲で含む、医薬組成物;
[52] 項目[51]に記載の医薬組成物であって、トレハロースまたはデキストロースを含む、医薬組成物;
[53] 項目[52]に記載の医薬組成物であって、1%~50%のトレハロースを含む、医薬組成物;
[54] 項目[51]に記載の医薬組成物であって、デキストロース、任意選択で、1%~50%のデキストロースを含む、医薬組成物;
[55] 項目[1]~[54]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、HEPES緩衝溶液中の5%のデキストロースを含む、医薬組成物;
[56] 項目[1]~[55]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、HEPES緩衝生理食塩水(HBS)、または類似物などの緩衝液を、1~200mMの濃度、および2~8のpH、またはこれらの間の任意の範囲で含む、医薬組成物;
[57] 項目[1]~[56]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、薬学的に許容可能な担体が、0.1mM~2000mM、または50mM~500mM、またはこれらの間の任意の範囲の合計濃度の酢酸マグネシウムまたは酢酸カルシウムなどの多価金属酢酸塩を含む、組成物;
[58] 項目[1]~[57]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、5~8のpH、または6~7のpH、またはこれらの間の任意の範囲のpHを有する、医薬組成物;
[59] 項目[13]~[58]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、リポソームが、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、10,000個未満、または5,000個未満のイオン化可能カロテノイド分子を含む、医薬組成物;
[60] 項目[13]~[59]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、リポソームが、10~100,000個、100~10,000個、または500~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のイオン化可能カロテノイド分子を含む、医薬組成物;
[61] 項目[13]~[60]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、リポソームが、ターゲティング部分をさらに含み、ターゲティング部分が目的の標的細胞上の表面抗原に対し特異的親和性を有する、医薬組成物;
[62] 項目[61]に記載の医薬組成物であって、ターゲティング部分が、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に結合され、任意選択で、ターゲティング部分が、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に共有結合により結合される、医薬組成物;
[63] 項目[61]または[62]に記載の医薬組成物であって、ターゲティング部分が、ポリペプチドである、医薬組成物;
[64] 項目[61]~[63]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、ターゲティング部分が、抗体または抗体の抗原結合フラグメントである、医薬組成物;
[65] 項目[61]~[64]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、ターゲティング部分が、BIACORE(登録商標)分析で測定して、50x10
-12~10x10
-6の範囲の平衡解離定数(Kd)で表面抗原を結合する、医薬組成物;
[66] 項目[61]~[65]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、ターゲティング部分が、葉酸受容体アルファ(FR-α)、葉酸受容体ベータ(FR-β)、および葉酸受容体デルタ(FR-δ)から選択される1個または複数の葉酸受容体を特異的に結合する、医薬組成物;
[67] 項目[61]~[66]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、ターゲティング部分が、抗体、ヒト化抗体、抗体の抗原結合フラグメント、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、二重特異的抗体、合成抗体、ペグ化抗体、および多量体抗体から選択される1種または複数を含む、組成物;
[68] 項目[62]~[67]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、各ペグ化リポソームが、1~1000個、50~750個、100~500個、30~200個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のターゲティング部分を含む、医薬組成物;
[69] 項目[13]~[67]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、FABP、免疫刺激剤、免疫抑制剤、検出可能マーカーおよびマレイミドの1種または複数をさらに含み、FABP、免疫刺激剤、免疫抑制剤、検出可能マーカーまたはマレイミドが、リポソームの上記PEGまたは外面に結合される、医薬組成物;
[70] 項目[69]に記載の医薬組成物であって、タンパク質免疫刺激剤、核酸免疫刺激剤、化学的免疫刺激剤、ハプテン、およびアジュバントから選択される少なくとも1種を含む、医薬組成物。
[71] 項目[69]または[60]に記載の医薬組成物であって、免疫刺激剤が、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、DNP、ベータグルカン、ベータ-1,3-グルカン、ベータ-1,6-グルカン、レゾルビン(例えば、Dn-6DPAもしくはDn-3DPAなどのレゾルビンD、レゾルビンE、またはTシリーズレゾルビン)、および酸化型低密度リポタンパク質(例えば、OXPAC、PGPC)、またはエリトラン様脂質(例えば、E5564)などのトール様受容体(TLR)調節薬から選択される少なくとも1種である、医薬組成物;
[72] 項目[69]~[71]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、FABPを含む、医薬組成物;
[73] 項目[69]~[72]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、ハプテンをさらに含む、医薬組成物;
[74] 項目[73]に記載の医薬組成物であって、ハプテンが、フルオレセインまたはベータ-1,6-グルカンの1種または複数を含む、医薬組成物:
[75] 項目[1]~[74]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、マンニトール、トレハロース、ソルビトール、およびスクロースからなる群より選択される少なくとも1種の凍結保護物質をさらに含む、医薬組成物;
[76] 項目[1]~[75]のいずれか1項に記載の医薬組成物を含む標的化組成物;
[77] 項目[13]~[60]または[69]~[75]のいずれか1項に記載の医薬組成物を含む非標的化リポソーム組成物;
[78] 対象の疾患または状態の治療で使用するための、項目[1]~[77]のいずれか1項に記載の医薬組成物;
[79] 対象の疾患の治療のための薬物の製造における、項目[1]~[78]のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用;
[80] 治療または予防を必要としている対象の疾患を治療または予防する方法であって、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の組成物を対象に投与することを含む、方法;
[81] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、内毒血症に関連している、医薬組成物、使用、または方法;
[82] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、敗血症である、医薬組成物、使用、または方法;
[83] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、対象が、やけど患者である、医薬組成物、使用、または方法;
[84] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、感染症(例えば、緑膿菌感染症、黄色ブドウ球菌感染症(例えば、MRSA)などの細菌感染症またはそれに伴う状態、または腸球菌感染症(例えば、VRE)、真菌感染症(例えば、カンジダ症感染症(例えば、侵襲的カンジダ症)またはそれに伴う状態)、またはマラリア(または脳マラリア、重度貧血、アシドーシス、急性腎不全およびARDSなどの関連状態)、住血吸虫症、およびヒトアフリカトリパノソーマ症などの寄生虫感染症またはそれに伴う状態、およびそれに伴う状態;エボラ、デング熱およびマールブルグ病(またはインフルエンザ、はしか、およびウイルス性出血熱などの関連状態)などのウイルス感染症またはそれに伴う状態である、医薬組成物、使用、または方法
[85] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、菌血症である、医薬組成物、使用、または方法;
[86] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、肝臓の疾患または状態(例えば、肝硬変、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性肝疾患、急性肝損傷、および肝硬変)である、医薬組成物、使用、または方法;
[87] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、肺の疾患または状態(例えば、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺線維症、肺出血、肺損傷、肺癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)およびその他の呼吸障害)である、医薬組成物、使用、または方法;
[88] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、腎疾患(例えば、リポ多糖類薬物または毒素誘導急性腎損傷(AKI)および末期腎疾患)である、医薬組成物、使用、または方法;
[89] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、自己免疫疾患(例えば、乾癬、嚢胞性線維症、および関節リウマチ)である、医薬組成物、使用、または方法;
[90] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、硬化症(例えば、全身性硬化症)である、医薬組成物、使用、または方法;
[91] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、対象が、重病の患者である、医薬組成物、使用、または方法;
[92] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、対象が、敗血症を発症する危険のある患者である、医薬組成物、使用、または方法;
[93] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、菌血症である、医薬組成物、使用、または方法;
[94] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、炎症(例えば、全身性炎症、低悪性度炎症、急性炎症、および慢性炎症性疾患)である、医薬組成物、使用、または方法;
[95] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)である、医薬組成物、使用、または方法;
[96] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、対象が、免疫無防備状態である、医薬組成物、使用、または方法;
[97] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、対象が、化学療法剤を受けている、および/または免疫抑制されている(例えば、発熱性好中球減少症の患者)、医薬組成物、使用、または方法;
[98] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、代謝疾患である、医薬組成物、使用、または方法;
[99] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、インスリン抵抗性である、医薬組成物、使用、または方法;
[100] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、糖尿病または壊疽、糖尿病性壊死、糖尿病性ニューロパチー、糖尿病性血管障害(例えば、網膜症および腎症、および糖尿病性潰瘍などの細小血管障害)などの関連状態である、医薬組成物、使用、または方法;
[101] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、2型糖尿病である、医薬組成物、使用、または方法;
[102] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、心臓血管疾患(例えば、心筋梗塞、心臓性突然死、心肺停止、高血圧、肺動脈性肺高血圧症、アテローム性動脈硬化症、閉塞性動脈疾患、レイノー病、末梢血管疾患などの冠動脈疾患;バージャー病、高安動脈炎、および蘇生後症候群(PCAS)、慢性静脈不全、心臓疾患、うっ血性心不全、慢性皮膚潰瘍などのその他の血管障害)である、医薬組成物、使用、または方法;
[103] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、虚血または低酸素(例えば、虚血再潅流障害、一時的脳虚血、脳虚血再灌流、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、外傷性脳損傷、片頭痛(例えば、慢性片頭痛または重度片頭痛)、消化管虚血、周産期併存症を減らすための産科救急事態(例えば、子癇前症/子癇および脳性麻痺に至る状態)、心筋梗塞、急性足または腸間膜虚血、心臓性肝硬変、慢性末梢血管疾患、うっ血性心不全、アテローム硬化性狭窄、貧血、血栓症、塞栓症、黄斑変性症、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS))、睡眠時無呼吸症、および手術または外傷性傷害)を特徴とする、医薬組成物、使用、または方法;
[104] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、心臓発作または脳卒中(例えば、虚血性および出血性脳卒中)である、医薬組成物、使用、または方法;
[105] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、ショック(例えば、心臓性ショック、血液量減少性ショック、敗血性ショック、神経原性ショック、およびアナフィラキシーショック)である、医薬組成物、使用、または方法;
[106] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、一酸化窒素欠損(例えば、鎌状赤血球症、発作性夜間血色素尿症(PNH)、溶血性貧血、地中海貧血症、別の赤血球障害、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、特発性血小板減少症(ITP)、別の血小板障害などの紫斑病;播種性血管内凝固異常症(DIC)、電撃性紫斑病、ヘパリン誘導血小板減少症(HIT)、白血球増加症、および過粘稠度症候群などの凝血異常、またはそれに伴う状態)に関連する疾患または状態である、医薬組成物、使用、または方法;
[107] 項目[78]に記載の医薬組成物、項目[79]に記載の使用、または項目[80]に記載の方法であって、疾患または状態が、歯周病様状態に関連する内毒血症(例えば、歯周炎または歯茎の炎症)、慢性アルコール症、慢性喫煙、移植、新生児壊死性腸炎、または新生児耳感染などの内毒血症である、医薬組成物、使用、または方法;
[108] それを必要としている対象においてLPS、エンドトキシンおよび/または全身性炎症の別のトリガーの全身レベルを減らす方法であって、対象に項目[1]~項目[78]のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
[109] 項目[80]~項目[108]のいずれか1項に記載の方法であって、医薬組成物が別の治療薬と共に併用療法で投与される、方法。
[110] 項目[13]~項目[77]のいずれか1項に記載のリポソーム組成物を作製する方法であって、溶液中でリポソーム成分を含む混合物を形成すること;溶液中で混合物をホモジナイズしてリポソームを形成すること;および混合物を処理してイオン化可能カロテノイドを含むリポソームを形成すること、を含む方法;
[111] 項目[110]に記載の方法であって、処理ステップが、薄膜水和、押し出し、インライン混合、エタノール注入技術、凍結融解法、逆相蒸発法、動的高圧マイクロ流動化、マイクロ流体混合、二重エマルジョン、凍結乾燥二重エマルジョン、3Dプリンティング、膜コンタクター法、および撹拌の1つまたは複数のステップを含む、方法;
[112] 項目[110]または[111]に記載の方法であって、上記処理ステップが、押し出し、高圧マイクロ流動化、および/または超音波処理の1つまたは複数のステップによりリポソームのサイズを変更する1つまたは複数のステップを含む、方法;
[113]医薬組成物を作製する方法であって、
(a)多価性金属の弱酸塩中でリポソームを含むリポソーム溶液を作製すること;
(b)項目[1]~項目[7]、項目[10]、または項目[11]のいずれか1項に記載のイオン化可能カロテノイドを添加すること;および
(c)カロテノイドをリポソーム中に充填するために十分な時間にわたりリポソーム溶液中でイオン化可能カロテノイドを保持すること
を含む、方法;
[114] 項目[113]に記載の方法であって、弱酸が、有機酸(例えば、酢酸、グルコン酸、酒石酸、グルタミン酸、クエン酸、ギ酸、およびグリシン酸から選択される有機酸)である、方法;
[115] 項目[113]または[114]に記載の方法であって、多価金属が、二価金属(例えば、Ca
2+、Mg
2+、Zn
2+、Cu
2+、Co
2+、およびFe
2+から選択される二価金属)、またはFe
3+などの三価金属である、方法;
[116] 項目[113]~[115]のいずれか1項に記載の方法であって、弱酸が、酢酸であり、多価金属が、Ca
2+またはMg
2+である(すなわち、多価金属の弱酸塩は、それぞれ、酢酸カルシウムまたは酢酸マグネシウムである)、方法;
[117] 項目[109]~[115]のいずれか1項に記載の方法により作製される医薬組成物;
[118] トランスクロセチンを封入するリポソームを含む医薬組成物を作製する方法であって、
(a)リポソームおよび多価金属の弱酸塩を含むリポソーム溶液を作製すること;
(b)トランスクロセチンをリポソーム溶液に添加すること;および
(c)トランスクロセチンをリポソーム中に充填するために十分な時間にわたりリポソーム溶液中でトランスクロセチンを保持すること
を含む、方法;
[119] 項目[118]に記載の方法であって、弱酸が、有機酸(例えば、酢酸、グルコン酸、酒石酸、グルタミン酸、クエン酸、ギ酸、およびグリシン酸)である、方法;
[120] 項目[118]または[119]に記載の方法であって、多価金属が、二価金属(例えば、Ca
2+、Mg
2+、Zn
2+、Cu
2+、Co
2+、およびFe
2+から選択される二価金属)、またはFe
3+などの三価金属である、方法;および/または
[121] 項目[118]~[120]のいずれか1項に記載の方法であって、弱酸が、酢酸であり、多価金属が、Ca
2+またはMg
2+である、方法;および/または
[122] 項目[117]~[120]のいずれか1項に記載の方法により作製される医薬組成物。
【0013】
本明細書で記載の組成物および方法のさらなる他の特徴および利点は、添付図面と合わせて理解される際に、次の発明を実施するための形態からさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】提供される医薬組成物の代表的イオン化可能ポリエンカロテノイドを示す。
【
図1B】提供される医薬組成物の代表的イオン化可能ポリエンカロテノイドを示す。
【
図1C】提供される医薬組成物の代表的イオン化可能ポリエンカロテノイドを示す。
【
図1D】提供される医薬組成物の代表的イオン化可能ポリエンカロテノイドを示す。
【
図2】4℃で6ヶ月にわたるカルシウムトランスクロセチネートリポソーム(CTC-LP)の安定性。CTC-LP試験品は、薬物/脂質(D/L)比率80、60、および40を含む。各CTC-LP試験品は、6ヶ月にわたる評価期間で無視できる程度の浸出(D/L比率の変化)を示した。
【
図3】リポソームCTCバッチの再現性。4つのリポソームCTCバッチは再現可能であり、4℃で少なくとも7ヶ月まで安定であった。
【
図4】マグネシウムトランスクロセチネートリポソーム(MTC-LP)の4℃で6ヶ月間にわたる安定性。MTC-LP試験品は、薬物/脂質(D/L)比率80、60、および40を含む。各MTC-LP試験品は、2ヶ月にわたる評価期間で無視できる程度の浸出(D/L比率の変化)を示した。
【
図5】生存試験1(TP-936):マウスCLP敗血症モデルにおけるCTC-LP有効性試験。試験品(a)リポソームCTC(D/L80)+抗生物質、(b)リポソームCTC(D/L80)およびPGPC+抗生物質、(c)生理食塩水+抗生物質、および(d)シャム、で治療したマウスの生存曲線。試験品(a)および(b)(イミペネムとの組み合わせ)は、イミペネム治療対照(c)と比較すると、死亡率の低下の傾向を示した。
【
図6】生存試験2(TP-967):マウスCLP敗血症試験。試験品(a)リポソームPGPC+抗生物質、(b)リポソーム(PGPCおよびCTC)(D/L80)+抗生物質、(c)リポソームCTC(D/L80)+抗生物質、および(d)生理食塩水+抗生物質、で治療したマウスの生存曲線。試験品(c)は、イミペネム治療対照(d)と比較すると、死亡率の低下の傾向を示した。
【
図7】生存試験3(TP-986):マウスCLP敗血症試験。試験品(a)リポソームCTC(D/L80)(1mg/kg)+抗生物質、(b)リポソームCTC(D/L80)(5mg/kg)+抗生物質、(c)リポソームCTC(D/L80)(25mg/kg)+抗生物質、(d)リポソームCTC(D/L80)(50mg/kg)+抗生物質、および(e)生理食塩水+抗生物質、で治療したマウスの生存曲線。試験品(a)、(c)、および(d)そのそれぞれは、イミペネム治療対照(d)と比較すると、死亡率の低下の傾向を示した。試験品(b)(リポソームCTC(D/L80)(5mg/kg)+抗生物質)は、イミペネム治療対照(d)と比較すると、統計的に有意な死亡率の低下を示した(P=0.0321)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
出願者らは意外にも、多価対イオンを含む多価イオン化可能カロテノイド塩を含むリポソームなどの医薬組成物が、例えば、カロテノイド遊離酸および一価対イオンを含むイオン化可能カロテノイド塩に比べて、イオン化可能カロテノイドの徐放により薬物動態学(例えば、半減期、安定性、およびバイオアベイラビリティ)を実質的に改善しかつ薬物暴露を劇的に高めることを見出した。
【0016】
定義
別に定めのない限り、本明細書で使われる全ての技術および科学用語は、通常、本開示が属する当業者により理解されているものと同じ意味を有する。本明細書記載のものに類似または等価な方法および材料を使って、提供された組成物の実施または試験で使用できるが、適切な方法および材料は、以下に記載される。本明細書で言及されるそれぞれの刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、参照により全体が本開示に含まれる。矛盾がある場合には、定義を含めた本明細書が優先することになる。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定することは意図されていない。
【0017】
開示組成物および方法の他の特徴および利点は、以下の開示、図面、および特許請求の範囲から明らかであろう。
【0018】
実施形態が用語の「含む(comprising)」と共に本明細書で記載される場合は常に、「を含む(containing)」、「からなる(consisting of)」および/または「から基本的になる(consisting essentially of)」の用語で記載される別の類似の実施形態も同様に提供される。しかし、特許請求の範囲で移行句として使用される場合は、それぞれが別々におよび適切な法的文脈および事実の文脈で解釈されるべきである(例えば、特許請求の範囲中で、移行句「含む(comprising)」は、より開放型の語句であると見なされ、「からなる(consisting of)」はより排他的であると見なされ、「から基本的になる(consisting essentially of)」はこれらの中間的であると見なされる)。
【0019】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、特に明記しない限り、または文脈より複数形が意図されないことが明確に明らかでない限り、複数形を含む。単数形「a」、「an」、および「the」はまた、粒子集団中の粒子の統計的平均組成、特性、またはサイズも含む(例えば、平均リポソーム直径、平均リポソームゼータ電位、リポソーム溶液中のリポソーム上のターゲティング部分の平均数、封入カロテノイドの平均数)。医薬組成物中のリポソームの平均粒径およびゼータ電位は、動的光散乱などの当該技術分野において既知の方法を使用して定型作業により測定できる。ナノ粒子組成物中の治療薬の平均量は、例えば、吸収分光法(例えば、紫外-可視分光法)を用いて、定型作業により測定され得る。
【0020】
本明細書で使用される場合、「約(approximately)」および「約(about)」という用語は、目的の1つまたは複数の値に適用して、示した基準値に類似である値を指す。特定の実施形態では、用語の「約(approximately)」または「約(about)」は、別に定める場合を除き、または別に文脈から明らかでない限り、示した基準値の両側(より大きいまたはより小さい)で、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ未満の範囲の値を指す(このような数字が、可能な値の100%を超えると思われる場合を除く)。例えば、ナノ粒子の脂質成分中の所与の化合物の量の関連で使用される場合、「約(about」は、記述値の±10%を意味し得る。例えば、約(about)40%の所与の化合物を有する脂質成分を含むナノ粒子組成物は、30~50%の化合物を含む。
【0021】
「Aおよび/またはB」などの表現で使用される用語の「および/または」は本明細書では、AとBの両方;AまたはB;A(単独);およびB(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、Bおよび/またはC」などの表現で使用される用語の「および/または」はそれぞれ次の実施形態を包含する:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
【0022】
本開示の実施形態がマーカッシュグループまたは他の代わりのグループ化によって記述される場合、開示組成物または方法は、リストされた全グループを全体としてのみでなく、グループのそれぞれのメンバーを個別に、および主グループの全ての可能なサブグループも、および1つまたは複数のグループメンバーの存在しない主グループも、包含する。開示組成物および方法はまた、開示組成物または方法中の1つまたは複数のいずれかのグループメンバーの明示的排除も想定する。
【0023】
用語の「リポソーム」は、脂質二重層により囲まれた内相(すなわち、内部空間(内部溶液))を有する密閉小胞を指す。リポソームは、小単層小胞(SUV)などの小さい単一膜リポソーム、大型単層小胞(LUV)などの大きな単一膜リポソーム、巨大単層小胞(GUV)などのさらに大きな単一膜リポソーム、多層小胞(MLV)などの複数の同心膜(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10)を有する多層リポソーム、または多胞体小胞(MVV)などの不規則で同心でない複数膜を有するリポソームであり得る。リポソームおよびリポソーム製剤は当該技術分野において周知である。リポソームを形成できる脂質は、脂肪または脂肪様性質を有する全ての物質を含む。リポソーム中の脂質を構成できる脂質としては、限定されないが、グリセリド、グリセロリン脂質、グリセロホスフィノ脂質、グリセロホスホノ脂質;スルホ脂質、スフィンゴ脂質、リン脂質、イソプレノリド(isoprenolide)、ステロイド、ステアリン、ステロール、アルケオリピド(archeolipid)、合成カチオン性脂質および炭水化物含有脂質が挙げられる。
【0024】
「リポソーム組成物」は、リポソームおよびリポソーム内の含有物、特に、リポソーム二重層を形成する脂質、リポソームの二重層内の脂質以外の化合物、リポソームの水性内容物中の、およびそれに結合した化合物、ならびにリポソームの外層に結合した、またはそれに組み込まれた化合物を含む、作製された組成物である。従って、リポソームの脂質に加えて、本明細書で記載のリポソーム組成物は、限定されないが、治療薬、免疫刺激剤、ワクチン抗原および補助剤、賦形剤、担体および緩衝剤を適宜含み得る。好ましい実施形態では、このような化合物は、リポソーム組成物の安定性またはAGP組み込み効率に対し、相補的である、および/または顕著に有害でない。
【0025】
用語のリポソーム「内相」、「内部空間」、および「内部コア」は、同じ意味で用いられ、リポソームの脂質二重層内に密閉された(すなわち、脂質二重層に封入された)水性領域を指す。リポソーム内相の溶液は、「内部溶液」と呼ばれる。対照的に、用語の「リポソーム外相」は、リポソームの脂質二重層により密閉されない領域、例えば、内相を除く領域およびリポソームが液体中に分散されている場合には脂質二重層を除く領域を指す。
【0026】
用語の「対イオン」は、アニオン性またはカチオン性対イオンを指す。「カチオン性対イオン」は、電気的中性を維持するために、アニオン性原子または基に結合した正に帯電している原子または基である。代表的カチオン性対イオンとしては、無機カチオン(例えば、金属カチオン(例えば、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、および遷移金属カチオン))および有機カチオン(例えば、アンモニウムカチオン、スルホニウム、ホスホニウムカチオン、およびピリジニウムカチオン)が挙げられる。「アニオン性対イオン」は、電気的中性を維持するために、カチオン性の原子または基に結合した負に帯電している原子または基である。代表的アニオン性対イオンとしては、ハロゲン化物アニオン(例えば、F-、Cl-、Br-およびI-)、NO3
-、ClO4
-、OH-、H2PO4
-2、HSO4
-、スルホネートアニオン(例えば、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、p-トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、10-樟脳スルホネート、ナフタレン-2-スルホネート、ナフタレン-1-スルホン酸-5-スルホネート、エタン-1-スルホン酸-2-スルホネート、など)、およびカルボキシレートアニオン(例えば、アセテート、エタノエート、プロパノエート、ベンゾエート、グリセレート、ラクテート、タルトレート、およびグリコレート)が挙げられる。対イオンは、一価または多価(例えば、二価、三価、四価、など)であってよい。
【0027】
用語の「イオン化可能」は、(a)正または負電荷を有し(すなわち、「イオン化」されている)、従って、反対電荷の対イオンにより結合されている、または(b)電気的に中性であるが、より高いまたはより低いpHでイオン化される、少なくとも1個の官能基を含む化合物を指す。従って、イオン化可能化合物としては、四級アンモニウム塩ならびに非荷電アミン、およびカルボキシレート部分ならびに非荷電カルボキシル基が挙げられる。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語の「カロテノイド」は、構造的にポリエン炭化水素鎖から構成され、環が末端にある有機色素を指す。カロテノイドは、2つのクラス:キサントフィル(酸素原子を含む)およびカロテン(酸素原子を含まない)に分けられる。提供される組成物および方法の使用に好適するカロテノイドの非限定的例は、
図1A~
図1Dに示されている。イオン化可能官能基を有するカロテノイドは、天然カロテノイドサルフェート、カロテノイドカルボン酸/カルボキシレート、合成ホスフェート、ブルーカルテノイドオキソニウムイオンおよびブルーカルテノタンパク質を含む。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語の「ポリエンカロテノイド」は、3個以上の共役二重結合およびメチルまたは低アルキル(C2-C3)置換基を含むカロテノイドを指す。
【0030】
用語の「天然」は、化合物または組成物が天然源から単離されたか、または化学的に合成されたかにかかわらず、天然に生じる化合物または組成物を指す。天然カロテノイドモノおよびジカルボン酸の例としては、クロセチン、ノルビキシン、アザフリンおよびニューロスポラキサンチンが挙げられる。
【0031】
「アポカロテノイド」は、カロテノイド分解生成物であり、片方または両端からのフラグメントの除去により、通常の構造体(例えば、C40)が短くされている。天然アポカロテノイドの例としては、クロセチン(C20)、ビキシン(C25)、ビタミンA、アブシジン酸、ミコラジシンおよびブルメニンが挙げられる。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語の「ターゲティング部分」は、選択された標的、例えば、細胞、細胞型、組織、臓器、身体の領域、または区画、例えば、細胞、組織または器官の区画に対する高められた親和性をもたらす分子を指す。ターゲティング部分は、多種多様の物質を含み得る。ターゲティング部分は、天然の分子、または組換え、もしくは合成分子を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、抗体、抗原結合抗体フラグメント、二重特異性抗体またはその他の抗体ベース分子または化合物である。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分はアプタマー、アビマー、受容体結合リガンド、核酸、ビオチン-アビジン結合対、ペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、毒素、微生物の成分、ホルモン、受容体リガンドまたはこれらの任意の誘導体である。その他のターゲティング部分は当技術分野において既知であり、本開示に包含される。
【0033】
用語の「特異的親和性」または「特異的に結合する」は、抗体または抗原結合抗体フラグメントなどのターゲティング部分が、エピトープ、タンパク質、または標的分子に対して、標的エピトープに無関係のタンパク質を含む別の物質に対する場合より高頻度に、より急速に、より長期間、より大きな親和性で、またはこれらのいくつかの組み合わせで、エピトープ、タンパク質、または標的分子に対して反応するまたは結合することを意味する。異なる種での相同タンパク質間の配列同一性のため、特定の親和性は、いくつかの実施形態では、2つ以上の種でのタンパク質または標的を認識する結合物質を含む。同様に、異なるタンパク質のポリペプチド配列の特定の領域内の相同性のため、用語の「特異的親和性」または「特異的結合」は、2種以上のタンパク質または標的を認識する結合物質を含み得る。特定の実施形態では、第1の標的を特異的に結合するターゲティング部分は、第2の標的を特異的に結合しても、またはしなくてもよいと理解される。従って、「特異的親和性」は、排他的な結合、例えば、ただ1つの標的に対する結合を必要とするとは限らない(含んでもよいが)。従って、ターゲティング部分は、特定の実施形態では、2つ以上の標的を特異的に結合し得る。特定の実施形態では、複数標的が、同じターゲティング部分により結合され得る。
【0034】
用語の「エピトープ」は、抗体などのターゲティング部分(すなわち、結合部分)により認識され、特異的に結合され得る抗原の一部を指す。抗原がポリペプチドの場合、エピトープは、タンパク質の3次フォールディングにより併置される、連続アミノ酸および不連続アミノ酸の両方から形成され得る。連続アミノ酸から形成されるエピトープは通常、タンパク質変性時に保持されるが、3次フォールディングにより形成されるエピトープは通常、タンパク質変性時に失われる。エピトープは通常、特有の空間高次構造中に、少なくとも3個のアミノ酸、より一般的には少なくとも5個または8~10個のアミノ酸を含む。
【0035】
当該技術分野において既知の「標的に対する結合親和性」、「標的への結合」のような表現、および類似の表現は、親和定数、例えば、所与の抗原濃度で結合するおよび解離するターゲティング部分の量を決定することにより直接測定され得るターゲティング部分の特性を指す。限定されないが、競合分析、平衡分析およびマイクロ熱量分析、および表面プラズモン共鳴相互作用に基づくリアルタイム相互作用分析(例えば、BIACORE(登録商標)装置を用いて)などの別の方法を使用して分子間相互作用を特徴付けることができる。これらの方法は、当業者によく知られており、例えば、Neri et al.,Tibtech 14:465-470(1996),およびJansson et al.,J.Biol.Chem.272:8189-8197(1997)に記載されている。
【0036】
本明細書で使用される場合、「有効量」は、医学的に目的の結果をもたらすのに十分な薬剤の投与量を指す。有効量は、所望の転帰、治療または予防される特定の状態、治療される対象の年齢および健康状態、状態の重症度、治療期間、同時または併用療法(もしあれば)の性質、具体的投与経路および健康開業医の知識と専門的意見の範囲内の類似の因子により変わり得る。「有効量」は、示した目的に関連して、実験的に、定型業務により決定できる。癌の場合、有効量の薬剤は、癌細胞の数を減少させ;腫瘍の大きさを減少させ;癌細胞の周辺器官への浸潤を阻害し(すなわち、ある程度遅くし、好ましくは止める);腫瘍の転移を阻害し(すなわち、ある程度遅くし、好ましくは止める);腫瘍の成長をある程度阻害し;および/または障害に関連する症状の1つまたは複数をある程度緩和し得る。薬物が、既存の癌細胞の増殖を防止および/または死滅させ得る程度に応じて、薬物は、細胞増殖抑制性および/または細胞傷害性であり得る。癌療法に対し、インビボ有効性は、例えば、生存期間、無進行生存(PFS)期間、応答率(RR)、反応期間、および/または生活の質を評価することにより測定できる。
【0037】
用語の「過剰増殖性障害」、「増殖性疾患」、および「増殖性障害」は、本明細書では同じ意味で用いられ、インビトロまたはインビボに関係なく、腫瘍性または過形成性増殖などの望ましくない過剰のまたは異常な細胞の望ましくないまたは無制御の細胞増殖に関する。いくつかの実施形態では、増殖性疾患は、癌、腫瘍および/または腫瘍転移の位置に関係なく、癌または腫瘍疾患(良性または癌性を含む)および/または任意の腫瘍転移である。いくつかの実施形態では、増殖性疾患は、良性のまたは悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、増殖性疾患は、非癌性疾患である。いくつかの実施形態では、増殖性疾患は、過形成、線維症(特に、肺性であるが、腎線維症などの他の型の線維症も)、血管新生、乾癬、アテローム性動脈硬化症および血管形成後の狭窄または再狭窄などの血管中の平滑筋増殖などの過剰増殖状態である。
【0038】
「癌」、「腫瘍」、または「悪性腫瘍」は、同義の用語として使用され、細胞の無制御な、異常増殖、感染細胞の局所的または血流およびリンパ系を介した身体のその他の部分への拡散(転移)ならびに多数の特徴的構造および/または分子的特色を特徴とする多くの疾患のいずれかを指す。本明細書で使用される場合、「腫瘍」は、悪性または良性に関係なく、全ての新生細胞成長および増殖、ならびに全ての前癌および癌細胞および組織を指す。「癌性腫瘍」、または「悪性細胞」は、特異的構造特性を有し、分化を欠き、浸潤および転移できる細胞と理解される。本明細書で提供されるカロテノイド医薬組成物を用いて治療できる癌としては、限定されないが、例えば、肺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、頭頸部癌、胃癌、胃腸癌、結腸直腸癌、食道癌、子宮頸癌、肝臓癌、腎臓癌、胆管癌、胆嚢癌、膀胱癌、肉腫(例えば、骨肉腫)、脳癌、中枢神経系癌、および黒色腫などを含む非血液系腫瘍;および、例えば、白血病、リンパ腫およびその他のB細胞悪性腫瘍、骨髄腫およびその他の形質細胞異形成症または悪液質などの血液系腫瘍が挙げられる。トランスクロセチン組成物を用いて治療され得る他の型の癌および腫瘍は、本明細書で記載されているか、あるいは、当該技術分野において既知である。用語の「癌」、「癌性」、「細胞増殖性障害」、「増殖性障害」、および「腫瘍」は、本明細書において参照される場合、相互排他的ではない。
【0039】
「治療すること」、または「治療」、または「治療する」などの用語は、(a)診断される病態または障害の症状を治癒させる、遅くする、弱める、症状を小さくする、および/または進行を停止させる治療手段および(b)標的化疾患または状態の発生を防止するおよび/または遅らせる予防または防止手段の両方を指す。従って、治療を必要としている対象は、既にその癌、障害または疾患を有する対象、癌または状態になる危険のある対象、および感染または状態が予防されるべき対象を含む。対象は、よく知られた医学および診断技術を用いて、敗血症、感染性疾患、免疫系障害、代謝障害(例えば、糖尿病)、過剰増殖性疾患、または本明細書で言及される別の疾患または障害「を有するまたは有する危険がある」と特定される。特定の実施形態では、対象が、例えば、疾患または状態(例えば、癌および関節リウマチなどの関節炎)に関連する症状の全体的、部分的、または一時的な寛解または除去を示す場合、対象は、本明細書で提供される方法により成功裏に「治療される」。特定の実施形態では、用語の「治療すること(treating)」または「治療(treatment)」または「治療する(treat)」は、患者により識別可能とは限らない、腫瘍の成長などの増殖性障害の少なくとも1つの測定可能な物理的パラメーターの改善を指す。他の実施形態では、用語の「治療すること(treating)」または「治療(treatment)」または「治療する(treat)」は、例えば、識別可能症状の安定化により物理的に、または、例えば、物理的パラメーターの安定化により生理学的に、または両方により、増殖性障害の進行を抑制することを指す。他の実施形態では、用語の「治療すること(treating)」または「治療(treatment)」または「治療する(treat)」は、サイズ、腫瘍細胞増殖または生存、または癌細胞数の減少または安定化を指す。治療は、本明細書で開示の提供される医薬組成物(例えば、リポソームトランスクロセチネート)を単独でまたは追加の治療薬を伴ってよい。
【0040】
「対象」、「患者」、および「動物」は、同義に使用され、ヒト患者および非ヒト霊長類などの哺乳動物、ならびにウサギ、ラット、マウスなどの実験動物およびその他の動物を指す。動物は、全ての脊椎動物、例えば、ニワトリ、両生類、および爬虫類などの哺乳動物および非哺乳動物を含む。本明細書で使用される場合、「哺乳動物」は、限定されないが、ヒトおよび非ヒト霊長動物、例えば、チンパンジーおよび他の類人猿ならびにサル種;ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、およびウマなどの家畜動物;イヌおよびネコなどの飼育哺乳動物;マウス、ラット、モルモットなどの齧歯類動物などの実験動物、および当該技術分野において既知のその他の哺乳綱のメンバーを含む、哺乳綱のいずれかのメンバーを指す。特定の実施形態では、患者はヒトである。
【0041】
用語の「薬学的に許容可能な担体」は、医薬製剤中の、有効成分以外の、対象に対し無毒性の成分を指す。薬学的に許容可能な担体としては、限定されないが、緩衝液、担体、賦形剤、安定化剤、希釈剤、または保存剤が挙げられる。薬学的に許容可能な担体としては、例えば、1つまたは複数の適合性のある、ヒトまたはその他の対象への投与に好適する固体または液体フィラー、希釈剤または被包物質が挙げられる。
【0042】
「治療薬」:いくつかの実施形態では、提供されるリポソーム組成物およびリポソーム製剤は、リポソームの中、上、または周りのどこかに存在する1種または複数の治療薬を封入する、または別の方法でそれに結合されるリポソームを含む。例えば、治療薬は、リポソームの脂質二重層中に埋め込まれ得る、リポソームの内相中に封入され得る、またはリポソームの外面に係留され得る。治療薬または開示組成物および方法により使用される治療薬は、対象の状態を治療することを目的にする任意の薬剤を含み得る。開示の方法による使用に好適し得る治療薬の例としては、ビタミンC、チアミン、ヒドロコルチゾン、ハイドロコルチゾンまたは別の副腎皮質ステロイド(例えば、コルチゾン、エタメタゾン(ethamethasoneb)、プレドニゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾンおよびメチルプレドニゾロンなどのグルココルチコイド;およびフルドロコルチゾンなどのミネラルコルチコイド)、アスタキサンチン、アブシジン酸、ビタミンA、アンギオテンシンII(例えば、GIAPREZA(登録商標))、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)、抗菌剤(例えば、抗生物質)および抗炎症薬が挙げられる。
【0043】
本開示の方法による使用に好適し得る治療薬のさらなる例としては、限定されないが、抗再狭窄薬、促進性増殖剤または抗増殖剤、抗新生物薬、抗有糸分裂性薬、抗血小板作用薬、抗凝固剤、抗フィブリン薬、抗トロンビン薬、細胞増殖抑制性薬、抗生物質およびその他の抗感染薬、抗酵素薬、抗代謝薬、血管新生薬、細胞保護薬、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシンII受容体拮抗剤および/または心保護薬が挙げられる。一般に、限定されないが、米国薬局方(U.S.P.)、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,10th Ed.,McGraw Hill,2001;Katzung,Ed.,Basic and Clinical Pharmacology,McGraw-Hill/Appleton & Lange;8th ed.,Sep.21,2000;Physician’s Desk Reference(Thomson Publishing)、および/またはThe Merck Manual of Diagnosis and Therapy,18th ed.,2006,Beers and Berkow,Eds.,Merck Publishing Groupに列挙されている薬剤;または動物の場合には、The Merck Veterinary Manual,9th ed.,Kahn Ed.,Merck Publishing Group,2005に列挙されている薬剤を含む、当該技術分野において既知の任意の治療薬を使用でき、これらの全てが参照により本明細書組み込まれて、癌細胞または免疫細胞などの過剰増殖細胞と相互作用しそれにより細胞の増殖性状態を低減する、および/または細胞を死滅させることができる薬剤またはこれらの誘導体を指す。治療薬の例としては、限定されないが、化学療法剤、細胞傷害薬、白金系薬剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、タキサン(例えば、タキソール)、エトポシド、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド)、代謝拮抗薬(例えば、メトトレキセート(MTX))、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン、ペメトレキセド、またはその誘導体)、抗腫瘍抗生物質(例えば、マイトマイシン、ドキソルビシン)、植物由来抗腫瘍薬剤(例えば、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソール)が挙げられる。このような薬剤としては、限定されないが、抗癌剤トリメトレキサート、テモゾロミド(商標)、ラルチトレキセド(商標)、S-(4-ニトロベンジル)-6-チオイノシン(NBMPR)、6-ベンジグアニジン(6-BG)、ビス-クロロニトロソ尿素(BCNU)およびカンプトテシン(商標)、またはそれらの任意の治療的誘導体がさらに挙げられる。「治療薬」はまた、上記薬剤の塩、酸、および遊離塩基型を指す。
【0044】
用語の「薬学的に許容可能な担体」は、医薬製剤中の、有効成分以外の、対象に対し無毒性の成分を指す。薬学的に許容可能な担体としては、限定されないが、緩衝液、担体、賦形剤、安定化剤、希釈剤、または保存剤が挙げられる。薬学的に許容可能な担体としては、例えば、1つまたは複数の適合性のある、ヒトまたはその他の対象への投与に好適する固体または液体フィラー、希釈剤または被包物質が挙げられる。
【0045】
用語の「キット」は、本明細書で提供される方法および組成物を用いるために必要な2種以上の成分のキットを指す。キット成分は、限定されないが、本明細書で開示のリポソーム組成物およびリポソーム製剤、試薬、緩衝剤、容器および/または基材を含み得る。表現「別々に貯蔵される」は、リポソームの最初の集団がリポソームの別の集団と接触するのを避けるためのリポソーム貯蔵方法を指す。
【0046】
用語の「放射線増感剤」は、腫瘍細胞を放射線療法に対しより高い感受性にする化合物を意味する。放射線増感剤の例としては、ミソニダゾール、メトロニダゾール、チラパザミン、およびトランスクロセチンが挙げられる。
【0047】
医薬組成物
提供される医薬組成物は、商業的に入手できる出発材料、文献で既知の化合物を用いて、または容易に作製される中間体から、当業者に既知の、または本明細書の教示を考慮すると当業者に明らかである標準的合成方法および手順を採用することにより、様々な方法で作製できる。有機分子および官能基の作製のための標準的合成方法および手順は、この分野の関連科学文献または標準的教科書から得ることができる。いずれか1つまたはいくつかの情報源に限定するものではないが、古典的な教科書、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Smith et al.,March’s Advanced Organic Chemistry.Reactions,Mechanisms,and Structure,5th edition,John Wiley & Sons:New York,2001;Greene,T.W.,Wuts,P.G.M.,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd edition,John Wiley & Sons:New York,1999;R.Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers(1989);L.Fieser and M.Fieser,Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1994);およびL.Paquette,ed.,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1995)は、有用であり、当業者既知の有機合成の参考教科書として認められている。次の合成方法の記述は、限定するものではなく、本開示の化合物の作製のための基本手順を例示することが意図される。
【0048】
いくつかの実施形態では、本開示は、新しい種類の多価イオン化可能カロテノイド(例えば、トランスカロテノイド)塩を提供する。
【0049】
いくつかの実施形態では、本開示は、式:
ポリエンカロテノイド-Qであって、式中、
ポリエンカロテノイドが、
(a)3、4、5、6、7、8、9、10、3~5、6~8、9~10個、または10個以上の共役二重結合、
(b)メチルまたは低アルキル(C2-C3)置換基、および
(c)1、2、3、または4個以上のイオン化可能基
を含み;および
Qが多価対イオンである、式を有するイオン化可能カロテノイドを含む医薬組成物を提供する。
【0050】
いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイドは、全てトランスの共役二重結合を含む。いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイドは、6~9個の共役二重結合を含む。特定の実施形態では、ポリエンカロテノイドは、7個の共役二重結合を含む。ポリエンカロテノイドは、天然または合成であってよい。いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイドは、天然起源である。他の実施形態では、ポリエンカロテノイドは、合成である。イオン化可能基は、アニオン性および/またはカチオン性であり得る。いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイド-Qは、2個以上の同じイオン化可能基を含む。いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイドは、2個以上の異なるイオン化可能基を含む。いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイドは、1個または複数のアニオン性イオン化可能基を含む。いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイドは、カルボキシル基、スルホネート基、サルフェート基、ホスホネート、リン酸基、およびヒドロキサメート部分から選択される少なくとも1個のイオン化可能基を含む。他の実施形態では、ポリエンカロテノイドは、1個または複数のカチオン性イオン化可能基(例えば、一級、二級、または三級アミン基、四級アンモニウム基、コリン基、グアニジン基、またはイミダゾール基)を含む。特定の実施形態では、ポリエンカロテノイドは、1個または複数のカチオン性イオン化可能基を含み、医薬組成物は実質的に核酸不含である。
【0051】
いくつかの実施形態では、Qは多価金属カチオンである。さらなる実施形態では、Qは多価遷移金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価カチオン対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価金属カチオンである。さらなる実施形態では、Qは二価遷移金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Cu2+、Co2+、およびFe2+から選択される少なくとも1つのメンバーである。いくつかの実施形態では、QはCa2+またはMg2+である。いくつかの実施形態では、QはCa2+である。さらなる実施形態では、ポリエンカロテノイド-Qは、カルシウムトランスクロセチネート(CTC)である。いくつかの実施形態では、QはMg2+である。さらなる実施形態では、ポリエンカロテノイド-Qは、マグネシウムトランスクロセチネート(MTC)である。他の実施形態では、Qは、Fe3+などの三価カチオン対イオンである。他の実施形態では、Qは多価有機対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価有機カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは、プロトン化ジアミンなどの二価有機カチオンである。ポリエンカロテノイド-Q組成物を含むリポソームおよびリポソームを含む医薬組成物(例えば、リポソーム組成物)も本明細書で提供される。
【0052】
いくつかの実施形態では、本開示は、式:
Q-R1-ポリエンカロテノイド-R2-Qであって、式中、
R1-ポリエンカロテノイド-R2が、
(a)3、4、5、6、7、8、9、10、3~5、6~8、9~10個、または10個以上の共役二重結合、
(b)メチルまたは低アルキル(C2-C3)置換基、および
(c)1、2、3、または4個以上のイオン化可能基
を含み;
R1およびR2は、イオン化可能基であり;および
Qが多価対イオンである、式を有するイオン化可能カロテノイドを含む医薬組成物を提供する。
【0053】
いくつかの実施形態では、Q-R1-ポリエンカロテノイド-R2は、全てトランスの共役二重結合を含む。特定の実施形態では、Q-R1-ポリエンカロテノイド-R2は、6~9個の共役二重結合を含む。Q-R1-ポリエンカロテノイド-R2は、天然または合成であってよい。いくつかの実施形態では、Q-R1-ポリエンカロテノイド-R2は、天然起源である。他の実施形態では、Q-R1-ポリエンカロテノイド-R2は、合成である。いくつかの実施形態では、R1およびR2は、同じイオン化可能基である。他の実施形態では、R1およびR2は、異なるイオン化可能基である。いくつかの実施形態では、R1およびR2は、同じカチオン性イオン化可能基(例えば、一級、二級、または三級アミン基、四級アンモニウム基、コリン基、グアニジン基、およびイミダゾール基)である。他の実施形態では、R1およびR2は、異なるカチオン基である。いくつかの実施形態では、R1およびR2は同じアニオン性イオン化可能基(例えば、カルボキシル基、スルホネート基、サルフェート基、ホスホネート、リン酸基、およびヒドロキサメート基)である。他の実施形態では、R1およびR2は、異なるアニオン基である。いくつかの実施形態では、R1は、それぞれ、カチオン性イオン化可能基またはアニオン性イオン化可能基であり、R2は、アニオン性イオン化可能基またはカチオン基である。いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイドは、カルボキシル基、スルホネート基、サルフェート基、ホスホネート、リン酸基、およびヒドロキサメート部分から選択される少なくとも1個のイオン化可能基を含む。いくつかの実施形態では、R1および/またはR2は、カルボキシル基、スルホネート基、サルフェート基、ホスホネート、リン酸基、およびヒドロキサメート部分から選択される少なくとも1個のイオン化可能基である。いくつかの実施形態では、R2は、カルボキシル基、スルホネート基、サルフェート基、ホスホネート、リン酸基、およびヒドロキサメート部分から選択される少なくとも1個のイオン化可能基である。他の実施形態では、R1および/またはR2は、カチオン性イオン化可能基(例えば、一級、二級、または三級アミン基、四級アンモニウム基、コリン基、グアニジン基、またはイミダゾール基)である。特定の実施形態では、R1は、カチオン性イオン化可能基であり、医薬組成物は実質的に核酸不含である。
【0054】
いくつかの実施形態では、Qは、多価カチオン対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは多価金属カチオンである。さらなる実施形態では、Qは多価遷移金属対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価カチオン対イオンである。さらなる実施形態では、Qは二価金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Cu2+、Co2+、およびFe2+から選択される少なくとも1つのメンバーである。さらなる実施形態では、QはCa2+またはMg2+である。さらなる実施形態では、QはCa2+である。いくつかの実施形態では、QはMg2+である。他の実施形態では、Qは、Fe3+などの三価カチオン対イオンである。他の実施形態では、Qは多価有機カチオンである。さらなる実施形態では、Qは、プロトン化ジアミンなどの二価有機カチオンである。R1-ポリエンカロテノイド-R2組成物を含むリポソームおよびリポソームを含む医薬組成物(例えば、リポソーム組成物)も本明細書で提供される。
【0055】
いくつかの実施形態では、本開示は、式:
Q-R1-ポリエンカロテノイド-R1-Qであって、式中、
R1-ポリエンカロテノイド-R1-Qが、
(a)3、4、5、6、7、8、9、10、3~5、6~8、9~10個、または10個以上の共役二重結合、
(b)メチルまたは低アルキル(C2-C3)置換基、および
(c)1、2、3、または4個以上のイオン化可能基
を含み;および
R1がイオン化可能基であり;および
Qが多価対イオンである、式を有するイオン化可能ビスアルファオメガカロテノイドを含む医薬組成物を提供する。
【0056】
いくつかの実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイドは、全てトランスの共役二重結合を含む。いくつかの実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイドは、6~9個の共役二重結合を含む。特定の実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイドは、7個の共役二重結合を含む。ビスアルファオメガカロテノイドは、天然または合成であってよい。いくつかの実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイドは、天然起源である。他の実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイドは、合成である。いくつかの実施形態では、R1はアニオン性イオン化可能基である。いくつかの実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイドは、カルボキシル基、スルホネート基、サルフェート基、ホスホネート、リン酸基、およびヒドロキサメート部分から選択されるイオン化可能基を含む。他の実施形態では、R1は、カチオン性イオン化可能基(例えば、一級、二級、または三級アミン基、四級アンモニウム基、コリン基、グアニジン基、またはイミダゾール基)である。特定の実施形態では、R1は、カチオン性イオン化可能基であり、医薬組成物は実質的に核酸不含である。
【0057】
いくつかの実施形態では、Qは、多価カチオン対イオンである。さらなる実施形態では、Qは多価金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは多価遷移金属対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価カチオン対イオンである。さらなる実施形態では、Qは二価金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Cu2+、Co2+、およびFe2+から選択される少なくとも1つのメンバーである。さらなる実施形態では、QはCa2+またはMg2+である。いくつかの実施形態では、QはCa2+である。いくつかの実施形態では、QはMg2+である。他の実施形態では、Qは、Fe3+などの三価カチオン対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは多価有機カチオンである。さらなる実施形態では、Qは、プロトン化ジアミンまたはプロトン化ポリアミンなどの二価有機カチオンである。R1-ポリエンカロテノイド-R1組成物を含むリポソームおよびリポソームを含む医薬組成物(例えば、リポソーム組成物)も本明細書で提供される。
【0058】
いくつかの実施形態では、本開示は、式:R1-ポリエンカロテノイド-R1であって、式中、
ビスアルファオメガカロテノイドが、
(a)3、4、5、6、7、8、9、10、3~5、6~8、9~10個、または10個以上の共役二重結合、および
(b)1、2、3、または4個以上のイオン化可能基
を含み;および
ビスアルファオメガカロテノイドは、1~n個のメチル基または低C1-C3アルキル置換基で任意に置換されてもよく、n=1~4であり;および
R1が、極性基および/または単環式官能基である、式を有するイオン化可能ビスアルファオメガカロテノイドを含む医薬組成物を提供する。
【0059】
いくつかの実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイドは、全てトランスの共役二重結合を含む。いくつかの実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイドは、6~9個の共役二重結合を含む。特定の実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイドは、7個の共役二重結合を含む。ビスアルファオメガカロテノイドは、天然または合成であってよい。いくつかの実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイドは、天然起源である。他の実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイドは、合成である。いくつかの実施形態では、R
1は極性基である。いくつかの実施形態では、R
1は単環式官能基である。いくつかの実施形態では、R
1は極性基であり、単環式官能基である。いくつかの実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイドは、アスタキサンチン、ルテイン、キサントフィルおよびゼアキサンチン中に存在する官能基から選択される単環式および/または極性官能基を含む。いくつかの実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイドは、アスタキサンチン、ルテイン、キサントフィルおよびゼアキサンチン(例えば、以下に示すような)から選択される。
【化2】
【0060】
ビスアルファオメガカロテノイド組成物を含むリポソームおよびリポソームを含む医薬組成物(例えば、リポソーム組成物)も本明細書で提供される。
【0061】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式:Q-トランスクロセチン-Q
【化3】
であって、式中、
Qが、多価カチオン対イオンである、式を有するトランスクロセチンを含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、Qは多価金属カチオンである。さらなる実施形態では、Qは多価遷移金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価カチオン対イオンである。さらなる実施形態では、Qは二価金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Cu2+、Co2+、およびFe2+から選択される少なくとも1つのメンバーである。さらなる実施形態では、QはCa2+またはMg2+である。いくつかの実施形態では、QはCa2+である。いくつかの実施形態では、QはMg2+である。他の実施形態では、Qは、Fe3+などの三価カチオン対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは多価有機カチオンである。さらなる実施形態では、Qは、プロトン化ジアミンなどの二価有機カチオンである。トランスクロセチン組成物を含むリポソームおよびリポソームを含む医薬組成物(例えば、リポソーム組成物)も本明細書で提供される。
【0063】
いくつかの実施形態では、本開示は、カルシウムトランスクロセチン(CTC)を含む医薬組成物を提供する。CTCは、直鎖および/または環型(以下に示す)で存在できる。
【化4】
【0064】
CTC組成物を含むリポソームおよびリポソームを含む医薬組成物(例えば、リポソーム組成物)も本明細書で提供される。
【0065】
いくつかの実施形態では、本開示は、マグネシウムトランスクロセチン(MTC)を含む医薬組成物を提供する。MTCは、直鎖および/または環型(以下に示す)で存在できる。
【化5】
【0066】
MTC組成物を含むリポソームおよびリポソームを含む医薬組成物(例えば、リポソーム組成物)も本明細書で提供される。
【0067】
いくつかの実施形態では、本開示は、式:Q-ノルビキシン-Q
【化6】
であって、式中、
Qが、多価カチオン対イオンである、式を有するトランスノルビキシンを含む医薬組成物を提供する。
【0068】
いくつかの実施形態では、Qは、多価カチオン対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは多価金属カチオンである。さらなる実施形態では、Qは多価遷移金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価カチオン対イオンである。さらなる実施形態では、Qは二価金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Cu2+、Co2+、およびFe2+から選択される少なくとも1つのメンバーである。さらなる実施形態では、QはCa2+またはMg2+である。いくつかの実施形態では、QはCa2+である。いくつかの実施形態では、QはMg2+である。他の実施形態では、Qは、Fe3+などの三価カチオン対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは多価有機カチオンである。さらなる実施形態では、Qは、プロトン化ジアミンなどの二価有機カチオンである。トランスノルビキシン組成物を含むリポソームおよびリポソームを含む医薬組成物(例えば、リポソーム組成物)も本明細書で提供される。
【0069】
いくつかの実施形態では、本開示は、カルシウムトランスノルビキシン(CTN)を含む医薬組成物を提供する。CTNは、直鎖および/または環型(以下に示す)で存在できる。
【化7】
【0070】
CTNを含むリポソームおよびリポソームを含む医薬組成物(例えば、リポソーム組成物)も本明細書で提供される。
【0071】
いくつかの実施形態では、本開示は、マグネシウムトランスノルビキシン(MTN)を含む医薬組成物を提供する。MTNは、直鎖および/または環型(以下に示す)で存在できる。
【化8】
【0072】
MTNを含むリポソームおよびリポソームを含む医薬組成物(例えば、リポソーム組成物)も本明細書で提供される。
【0073】
リポソーム組成物中に含まれるリポソームの脂質およびその他の成分は、任意の脂質、脂質の組み合わせおよび比率、または脂質およびその他のリポソーム成分の組み合わせおよび当該技術分野において既知のそれらそれぞれの比率であってよい。しかし、限定されないが、本明細書で考察のカロテノイド組成物などの任意の特定の薬物のリポソーム被包は、有用で機能的なリポソーム製剤を得るための実質的に定型的な実験を伴い得ることは、当業者には理解されよう。一般に、提供されるリポソームは、任意のリポソーム構造、例えば、1つまたは複数の脂質二重層により外側媒体から隔離された内側の空間を有する構造、または膜が内部を隔離する親油性の中心部分を備えた半透膜を有する任意のマイクロカプセル構造を有し得る。脂質二重層は、親水性部(親水性部分)および疎水性部(疎水性部分)を特徴とする任意の構造の両親媒性分子であり得る。通常、二重層中の両親媒性分子は、2次元シートに配置され、そこで、疎水性部分は、シートの内側に向き、一方、親水性部分は外側を向く。提供されるリポソームを形成する両親媒性分子は、任意の既知の、または今後発見される両親媒性分子(例えば、合成または天然起源の脂質または生体適合性脂質)であり得る。リポソームは、両親媒性ポリマーおよび界面活性剤、例えば、ポリマーソームおよびニオソームにより形成されてもよい。本開示においては、限定されないが、これらのリポソーム形成材料もまた、「脂質」と呼ばれる。
【0074】
本明細書で提供されるリポソーム組成物製剤は、液体または乾燥粉末もしくは乾燥ケーキなどの乾燥型であり得る。乾燥粉末または乾燥ケーキは、例えば、凍結乾燥条件下で一次乾燥を受け得る、または一次乾燥のみもしくは一次乾燥と二次乾燥の両方を受け得る。乾燥型では、粉末またはケーキは、例えば、1%~6%の水分、例えば、2%~5%の水分または2%~4%の水分を有し得る。乾燥法の一例は、凍結乾燥(凍結乾燥(freeze-drying)または凍結乾燥(cryodessication)とも呼ばれる)である。本開示のいずれかの組成物および方法は、リポソーム、凍結乾燥リポソームまたは凍結乾燥リポソームから再構成したリポソームを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物および方法は、1種または複数の凍結乾燥保護剤または凍結保護物質を含む。これらの保護剤は通常、糖類(単糖、二糖、および多糖類)、多価アルコール、およびこれらの誘導体、グリセロールもしくはポリエチレングリコール、トレハロース、マルトース、スクロース、グルコース、ラクトース、デキストラン、グリセロール、またはアミノグリコシドなどのポリヒドロキシ化合物である。さらなる実施形態では、凍結乾燥保護剤または凍結保護物質は、リポソームの外側、リポソームの内側、またはリポソームの外側および内側の溶液の最大10%または最大20%を構成する。
【0075】
リポソームの特性は、リポソームを作製するために使用される脂質の性質により影響を受ける。多種多様な脂質がリポソームを作製するために使用されてきた。これらは、カチオン性、アニオン性および中性脂質を含む。いくつかの実施形態では、カロテノイド組成物(例えば、CTCおよびMTC)を含むリポソームは、アニオン性または中性である。他の実施形態では、提供されるリポソームはカチオン性である。電荷(例えば、アニオン性、中性のまたはカチオン性)の決定は、リポソームのゼータ電位を測定することにより定型作業で決定できる。リポソームのゼータ電位は、プラス、ゼロまたはマイナスであり得る。いくつかの実施形態では、リポソームのゼータ電位は、-150~150mV、または-50~50mV、またはこれらの間の任意の範囲のゼータ電位である。いくつかの実施形態では、リポソームのゼータ電位は、ゼロ以下である。いくつかの実施形態では、リポソームのゼータ電位は、-150~0、-50~0mV、-40~0mV、-30~0mV、-25~0mV、-20~0mV、-10~0mV、-9~0mV、-8~0mV、-7~0mV、-6~0mV、-5~0mV、-4~0mV、-3~0mV、-2~0mV、-1~0mV、または-8~2mV、またはこれらの間の任意の範囲のゼータ電位である。別の実施形態では、リポソームのゼータ電位は、ゼロより大きい。いくつかの実施形態では、リポソームは、0.2~150mV、1~50mV、1~40mV、1~30mV、1~25mV、1~20mV、1~15mV、1~10mV、1~5mV、2~10mV、3~10mV、4~10mV、または5~10mV、またはこれらの間の任意の範囲であるゼータ電位を有する。
【0076】
いくつかの実施形態では、カチオン性脂質を用いて、遺伝子導入剤としてよく使われるカチオン性リポソームを作製する。カチオン性リポソーム上の正電荷が細胞表面上の負電荷との相互作用を可能にする。カチオン性リポソームの細胞への結合後に、リポソームは、エンドサイトーシスにより細胞の内部に輸送される。
【0077】
いくつかの好ましい実施形態では、中性~アニオン性リポソームが使用される。好ましい実施形態では、アニオン性リポソームが使用される。例えば、HSPCなどの中性脂質およびPEG-DSPEなどのアニオン性脂質の混合物の使用により、アニオン性リポソームが形成され、これは、正常細胞に非特異的に結合する可能性が低い。腫瘍細胞に対する特異的結合は、例えば、葉酸受容体アルファ抗体、葉酸受容体ベータ抗体および/または葉酸受容体葉酸受容体デルタ抗体を含む葉酸受容体抗体などの腫瘍標的化抗体を用いて実現できる。
【0078】
一例として、少なくとも1種の(またはいくつかの)脂質は、親水性および疎水性部分(通常、親水性頭部および疎水性尾部)を有すると定義される、両親媒性脂質である。疎水性部分は通常、疎水性相中(例えば、二重層内)に向き、一方、親水性部分は通常、水相(例えば、二重層の外側)に向く。親水性部分は、炭水化物、ホスフェート、カルボン酸、サルフェート、アミノ、スルフヒドリル、ニトロ、ヒドロキシおよびその他の類似の基などの極性基または荷電基を含み得る。疎水性部分は、限定されないが、長鎖飽和および不飽和の脂肪族炭化水素基および1種または複数の芳香族、脂環式または複素環基により置換された基を含む無極性基を含み得る。両親媒性化合物の例としては、リン脂質、アミノ脂質およびスフィンゴ脂質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
典型的には、例えば、脂質はリン脂質である。リン脂質としては、限定されないが、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、などが挙げられる。コレステロール、スフィンゴミエリン、およびカルジオリピンなどの他の脂質膜成分も使用できることを理解されたい。
【0080】
本明細書で提供されるリポソームを含む脂質は、アニオン性および中性のリン脂質を含む、アニオン性および中性(双性イオン性および極性を含む)脂質であり得る。中性脂質は、選択pHで、非荷電または中性の双性イオン性型で存在する。生理学的pHでの、このような脂質としては、例えば、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ケファリン、コレステロール、セレブロシドおよびジアシルグリセロールが挙げられる。双性イオン性脂質の例としては、限定されないが、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、およびジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)が挙げられる。アニオン性脂質は、生理学的pHで負に帯電している。これらの脂質としては、限定されないが、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N-ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N-スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N-グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リシルホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、および他の中性脂質に結合したアニオン性修飾基が挙げられる。
【0081】
本明細書においては、アニオン性および中性脂質は、一括して、非カチオン性脂質と称される。このような脂質は、リンを含み得るが、それらは、そのように限定されない。非カチオン性脂質の例としては、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイルホスファチジ 1-エタノールアミン(DSPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセリン(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセリン(DPPG)、パルミトイルオレヨールホスファチジルグリセリン(POPG)、16-0-モノメチルPE、16-0-ジメチル PE、18-1-trans-PE、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、1-ステアロイル-2-オレオイルホスファチジエタノールアミン(SOPE)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、ジセチルホスフェート、およびコレステロールが挙げられる。
【0082】
リポソームは、任意のリポソーム構築方法を用いて、当該技術分野において既知のリポソーム(liposomal)成分(リポソーム(liposome)成分とも呼ばれる)を使って構築され得る。リポソーム成分としては、例えば、DSPE、HSPC、コレステロールなどの脂質、およびこれらの成分の誘導体が挙げられる。他の好適な脂質は、例えば、Avanti Polar Lipids,Inc.(Alabaster,Alabama,USA)から商業的に入手できる。アニオン性リポソームの作製に好適する入手可能な負電荷または中性電荷の脂質の一部のリストは、例えば、次記の少なくとも1種であり得る:DLPC、DMPC、DPPC、DSPC、DOPC、DMPE、DPPE、DOPE、DMPA・Na、DPPA・Na、DOPA・Na、DMPG・Na、DPPG・Na、DOPG・Na、DMPS・Na、DPPS・Na、DOPS・Na、DOPE-グルタリル・(Na)2、テトラミリストイルカルディオリピン・(Na)2、DSPE-mPEG-2000・Na、DSPE-mPEG-5000・Na、およびDSPE-マレイミドPEG-2000・Na。
【0083】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、カチオン性脂質を含むリポソーム中に配合される。一実施形態では、カチオン性脂質は、限定されないが、国際公開第2012/040184号、同第2011/153120号、同第2011/149733号、同第2011/090965号、同第2011/043913号、同第2011/022460号、同第2012/061259号、同第2012/054365号、同第2012/044638号、同第2010/080724号、同第2010/21865号および同第2008/103276号、米国特許第7,893,302号、同第7,404,969号、同第8,283,333号、米国特許出願公開第20100036115号、および同第20120202871号に記載のカチオン性脂質から選択される。これらの特許文献のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、カチオン性脂質は、限定されないが、国際公開第2012/040184号、同第2011/153120号、同第201/1149733号、同第2011/090965号、同第2011/043913号、同第2011/022460号、同第2012/061259号、同第2012/054365号および同2012/044638号に記載の式Aから選択され得る。これらの特許文献のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに別の実施形態では、カチオン性脂質は、限定されないが、国際公開第2008103276号の式CLI~CLXXIX、米国特許第7,893,302号の式CLI~CLXXIX、米国特許第7,404,969号の式CLI~CLXXXXIIおよび米国特許出願公開第20100036115号の式I~VIから選択され得る。これらのそれぞれの特許文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。非限定的例として、カチオン性脂質は、次記から選択され得る:(20Z,23Z)-N,N-ジメチルノナコサ-20,23-ジエン-10-アミン、(17Z,20Z)-N,N-ジメミル-ヘキサコサ-17,20-ジエン-9-アミン、(1Z,19Z)-N5N-ジメチルペンタコサ-16、19-ジエン-8-アミン、(13Z,16Z)-N,N-ジメチルドコサ-13,16-ジエン-5-アミン、(12Z,15Z)-N,N-ジメチルヘンイコサ-12,15-ジエン-4-アミン、(14Z,17Z)-N,N-ジメチルトリコサ-14,17-ジエン-6-アミン、(15Z,18Z)-N、N-ジメチルテトラコサ-15,18-ジエン-7-アミン、(18Z,21Z)-N,N-ジメチルヘプタコサ-18,21-ジエン-10-アミン、(15Z,18Z)-N,N-ジメチルテトラコサ-15,18-ジエン-5-アミン、(14Z,17Z)-N,N-ジメチル-トリコサ-14,17-ジエン-4-アミン、(19Z,22Z)-N,N-ジメイヒルオクタコサ-19,22-ジエン-9-アミン、(18Z,21Z)-N,N-ジメチルヘプタコサ-18,21-ジエン-8-アミン、(17Z,20Z)-N,N-ジメチルヘキサ-コサ-17,20-ジエン-7-アミン、(16Z,19Z)-N,N-ジメチルペンタコサ-16,19-ジエン-6-アミン、(22Z,25Z)-N,N-ジメチルヘントリアコンタ-22,25-ジエン-10-アミン、(21Z,24Z)-N,N-ジメチル-トリアコンタ-21,24-ジエン-9-アミン、(18Z)-N,N-ジメチルヘプタコサ-18-エン-10-アミン、(17Z)-N,N-ジメチルヘキサコサ-17-エン-9-アミン、(19Z,22Z)-N,N-ジメチルオクタコサ-19,22-ジエン-7-アミン、N,N-ジメチルヘプタコサン-10-アミン、(20Z,23Z)-N-エチル-N-メチルノナコサ-20,23-ジエン-10-アミン、1-[(11Z,14Z)-1-ノニルイコサ-11,14-ジエン-1-イル]ピロリジン、(20Z)-N,N-ジメチル-ヘプタコサ-20-エン-10-アミン、(15Z)-N,N-ジメチルエプタコサ-15-エン-10-アミン、(14Z)-N,N-ジメチルノナコサ-14-エン-10-アミン、(17Z)-N,N-ジメチルノナコサ-17-エン-10-アミン、(24Z)-N,N-ジメチルトリトリアコンタ-24-エン-10-アミン、(20Z)-N,N-ジメチルノナコサ-20-エン-10-アミン、(22Z)-N,N-ジメチルヘントリアコンタ-22-エン-10-アミン、(16Z)-N,N-ジメチルペンタコサ-16-エン-8-アミン、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘンイコサ-12,15-ジエン-1-アミン、(13Z,16Z)-N,N-ジメチル-3-ノニルドコサ-13,16-ジエン-1-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]エプタデカン-8-アミン、1-[(1S,2R)-2-ヘキシルシクロプロピル]-N,N-ジメチルノナデカン-10-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ノナデカン-10-アミン、N,N-ジメチル-21-[R1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘンイコサン-10-アミン,N,N-ジメチル-1-[(1S,2S)-2-{[(1R,2R)-2-ペンチルシクロプロピル]メチル}シクロプロピル]ノナデカン--10-アミン,N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘキサデカン-8-アミン、N,N-ジメチル-[(1R,2S)-2-ウンデシル-シクロプロピル]テトラデカン-5-アミン、N,N-ジメチル-3-{7-[(1S、2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプチル}ドデカン-1-アミン、1-[(1R,2S)-2-ヘプチルシクロプロピル]-N,N-ジメチルオクタデカン-9-アミン、1-[(1S,2R)-2-デシルシクロプロピル]-N,N-ジメチルペンタデカン-6-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ペンタデカン-8-アミン、R--N,N-ジメチル-1-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパ-2-アミン、S--N,N-ジメチル-1-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、1-{2-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-1-[(オクチルオキシ)メチル]エチル}ピロリジン、(2S)-N,N-ジメチル-1-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-3-[(5Z-)-オクタ-5-エン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、1-{2-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-1-[(オクチルオキシ)メチル]エチル}アゼチジン、(2S)-1-(ヘキシルオキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、(2S)-1-(ヘプチルオキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、N,N-ジメチル-1-(ノニルオキシ)-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、N,N-ジメチル-1-[(9Z)-オクタデカ-9-エン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン;(2S)-N,N-ジメチル-1-[(6Z,9Z,12Z)-オクタデカ-6,9,12-トリエン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2S)-1-[(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(ペンチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2S)-1-(ヘキシルオキシ)-3-[(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチルプロパン-2-アミン、1-[(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル1-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、1-[(13Z,16Z)-ドコサ-13,16-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2S)-1-[(13Z,16Z)-ドコサ-13,16-ジエン-1-イルオキシ]-3-(ヘキシルオキシ)-N,N-ジメチル-プロパン-2-アミン、(2S)-1-[(13Z)-ドコサ-13-エン-1-イルオキシ]-3-(ヘキシルオキシ)-N,N-ジメチルプロパン-2-アミン、1-[(13Z)-ドコサ-13-エン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、1-[(9Z)-ヘキサデカ-9-エン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2R)-N,N-ジメチル-H(1-メチルオクチル)オキシ]-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、(2R)-1-[(3,7-ジメチルオクチル)オキシ]-N,N-ジメチル-3-R9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-n-1-イロキシルプロパン-2-アミン、N,N-ジメチル-1-(オクチルオキシ)-3-({8-[(1S,2S)-2-{[(1R,2R)-2-ペンチルシクロプロピル]-メチル}シクロプロピル]オクチル}オキシ)プロパン-2-アミン、N,N-ジメチル-1-{[-(2-オクリルシクロプロピル)オクチル]オキシ}-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミンおよび(11E,20Z,23Z)-N,N-ジメチルノナコサ-11,20,2-トリエン-10-アミンまたは薬学的に許容可能なこれらの塩もしくは酸または立体異性体。
【0084】
一実施形態では、脂質は、国際公開第2012/170889号に記載のものなどの切断可能な脂質であり得る。この特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0085】
カチオン性脂質は、当該技術分野において既知の方法(例えば、国際公開第2012/040184号、同第2011/153120号、同第2011/149733号、同第2011/090965号、同第201/1043913号、同第2011/022460号、同第2012/061259号、同第2012/054365号、同第2012/044638号、同第2010/080724号および同第2010/21865号を参照されたい。これら特許文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を用いて、定型作業により合成できる。
【0086】
脂質誘導体は、例えば、少なくとも、1種または複数の立体安定剤および/または官能基のリポソーム成分への結合(好ましくは共有結合)(この結合の後で、立体安定剤および/または官能基は、リポソーム成分の一部と見なされるはずである)を含み得る。官能基は、リポソーム成分を、タンパク質などの別の部分に結合するために使用できる基を含む。このような官能基は、少なくとも、マレイミドを含む。これらの立体安定剤は、ポリエチレングリコール(PEG);ポリ-L-リシン(PLL);モノシアロガングリオシド(GM1);ポリ(ビニルピロリドン)(PVP);ポリ(アクリルアミド)(PAA);ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン);ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン);ホスファチジルポリグリセロール;ポリ[N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド];両親媒性ポリ-N-ビニルピロリドン;L-アミノ酸ベースポリマー;およびポリビニルアルコールからなる群由来の少なくとも1種を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、提供されるカロテノイド組成物は、脂質-ポリカチオン複合体中に配合される。脂質-ポリカチオン複合体の形成は、当該技術分野において既知の方法を用いて、および/または米国特許出願公開第2012/0178702号に記載のようにして、実現され得る。この特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。非限定的例として、ポリカチオンとしては、限定されないが、ポリリシン、ポリオルニチン、および/またはポリアルギニンなどのカチオン性ペプチドまたはポリペプチド、および国際公開第2012/013326号に記載のカチオン性ペプチドが挙げられる。この特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、提供されるカロテノイド組成物は、脂質-ポリカチオン複合体中に配合され、これは、限定されないが、コレステロールまたはジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)などの中性脂質をさらに含む。
【0088】
リポソームの成分は、それに結合する任意の分子(すなわち、化学薬品/試薬/タンパク質)を含み得るので、いくつかの実施形態では、提供されるリポソームの成分は、少なくとも、DSPE、DSPE-PEG、DSPE-マレイミド、HSPC;HSPC-PEG;HSPC-マレイミド;コレステロール;コレステロール-PEG;およびコレステロール-マレイミドから選択されるメンバーを含む。いくつかの実施形態では、提供されるリポソームの成分は、DSPE、DSPE-PEG、DSPE-マレイミド、HSPC;HSPC-PEG;HSPC-マレイミド;コレステロール;コレステロール-PEG;およびコレステロール-マレイミドを含む。好ましい実施形態では、リポソームを構成するリポソーム成分は、DSPE;DSPE-FITC;DSPE-マレイミド;コレステロール;およびHSPCを含む。
【0089】
さらなる実施形態では、本明細書で提供されるリポソーム組成物のリポソームは、酸化型リン脂質を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリンおよび1-パルミトイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-2-ホスフェートから選択されるメンバーの酸化型リン脂質を含む。いくつかの実施形態では、リン脂質は不飽和結合を有する。いくつかの実施形態では、リン脂質は、リン脂質を含むアラキドン酸である。さらなる実施形態では、リン脂質は、sn-2-酸素化される。さらなる実施形態では、リン脂質は、断片化されない。
【0090】
いくつかの実施形態では、開示リポソーム組成物のリポソームは、酸化型1-パルミトイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン(OxPAPC)を含む。本明細書で使用される場合、用語の「oxPAPC」は、1-パルミトイル-2-アラキドニル-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン(PAPC)の酸化により生成される脂質を指し、これは、断片化または完全長酸素化sn-2残基を含む酸化型リン脂質の混合物を生じる。よく特徴付けられている酸化的断片化種は、オメガアルデヒドまたはオメガカルボキシル基を有する5-炭素sn-2残基を含む。アラキドン酸残基の酸化はまた、エステル化イソプロスタンを含むリン脂質を生成する。oxPAPCは、oxPAPCとして存在する多くの酸化型生成物の中でも特に、HOdiA-PC、KOdiA-PC、HOOA-PCおよびKOOA-PC種を含む。さらなる実施形態では、oxPAPCは、エポキシイソプロスタン含有リン脂質である。さらなる実施形態では、oxPAPCは、1-パルミトイル-2-(5,6-エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(5,6-PEIPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシシクロペンテノン)-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン(PECPC)および/または1-パルミトイル-2-(エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-4-ホスホコリン(PEIPC)である。いくつかの実施形態では、リン脂質は不飽和結合を有する。いくつかの実施形態では、リン脂質は、リン脂質を含むアラキドン酸である。さらなる実施形態では、リン脂質は、sn-2-酸素化される。さらなる実施形態では、リン脂質は、断片化されない。
【0091】
いくつかの実施形態では、開示リポソーム組成物のリポソームは、次記から選択される脂質を含む:1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC);1-パルミトイル-2-(9′オキソ-ノナノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アラキノドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アゼラオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;および1-パルミトイル-2-アセトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン。さらなる実施形態では、リポソームは、PGPCを含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、リポソーム脂質二重層の少なくとも1種の成分は、官能化される(または反応性である)。本明細書で使用される場合、官能化成分は、試薬および部分を脂質に架橋するために使用できる反応性基を含む成分である。脂質が官能化されると、それが形成するいずれのリポソームも官能化される。いくつかの実施形態では、反応性基は、架橋剤(またはその他の部分)と反応して架橋を形成するものである。リポソーム脂質二重層中の反応性基は、架橋剤と接触して、別の部分(例えば、立体安定剤またはターゲティング部分)との架橋を可能とする脂質のどこかに配置される。いくつかの実施形態では、反応性基は、例えば、リン脂質を含む脂質の先端基中にある。いくつかの実施形態では、反応性基はマレイミド基である。マレイミド基は、限定されないがジチオトレイトール(DTT)を含む、ジチオール架橋剤の存在下で相互に架橋できる。
【0093】
上記のもの以外の官能化脂質、他の反応性基、および他の架橋剤の使用がさらに意図されることを理解されたい。マレイミド基に加えて、意図される反応性基の他の例としては、限定されないが、他のチオール反応性基、1級または2級アミンなどのアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、アルキン基、アジド基、カルボニル基、ハロアセチル(例えば、ヨードアセチル)基、イミドエステル基、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、スルフヒドリル基、およびピリジルジスルフィド基が挙げられる。
【0094】
官能化および非官能化脂質は、Avanti Polar Lipids(Alabaster,AL)およびLipoid LLC(Newark,NJ)などの多くの市販品入手源から入手できる。
【0095】
いくつかの実施形態では、リポソームは、循環中でのそれらの寿命を延長する立体安定剤を含む。親水性高分子(ポリエチレングリコール(PEG))、糖脂質(モノシアロガングリオシド(GM1))または他のものなどの1種または複数の立体安定剤は、リポソーム表面に直接隣接した空間を占め、他の高分子をこの空間から排除する。この結果、血漿オプソニンのリポソーム表面へのアクセスと結合が妨害され、従って、マクロファージのこのようなリポソームとの相互作用、またはいずれか他の除去機序が抑制され、循環中のリポソームの寿命が延長される。いくつかの実施形態では、立体安定剤または立体安定剤群は、PEGまたはPEGを含む組み合わせである。さらなる実施形態では、立体安定剤は、PEGまたは200~5000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有するPEGを含む組み合わせである。これらのPEGは、直鎖、分岐、星形または櫛形構造など任意の構造であり得、商業的に入手できる。
【0096】
いくつかの実施形態では、提供されるリポソーム組成物のリポソームはペグ化されている(例えば、ペグ化リポソームCTCおよびペグ化リポソームMTC)。いくつかの実施形態では、ペグ化リポソームは、水溶性である。即ち、ペグ化リポソームは、水溶液の形態である。
【0097】
提供されるリポソームの直径は、特に制限されない。いくつかの実施形態では、リポソームは、20nm~500nm(ナノメートル)または20nm~200nm、またはこれらの間の任意の範囲の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、80nm~120nm、またはその間の任意の範囲の平均直径を有する。
【0098】
いくつかの実施形態では、リポソーム組成物を含む溶液のpHは、pH2~8、またはその間の任意の範囲の値である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物を含む溶液のpHは、pH5~8、もしくは6~7、またはこれらの間の任意の範囲の値である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物を含む溶液のpHは、pH6~7、またはその間の任意の範囲の値である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物を含む溶液のpHは、6~7.5、6.5~7.5、6.7~7.5、または6.3~7.0、またはこれらの間の任意の範囲の値である。
【0099】
さらなる実施形態では、提供されるリポソーム組成物は緩衝液を含む。さらなる実施形態では、緩衝液は、HEPES、クエン酸塩、またはリン酸ナトリウム(例えば、第一燐酸ナトリウムおよび/または第二リン酸ナトリウム)から選択される。いくつかの実施形態では、緩衝液は、HEPESである。いくつかの実施形態では、緩衝液は、クエン酸塩である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、リン酸ナトリウム(例えば、第一燐酸ナトリウムおよび/または第二リン酸ナトリウム)である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、15~200mM、またはその間の任意の範囲の濃度である。またさらなる実施形態では、緩衝液は、5~200mM、15~200mM、5~100mM、15~100mM、5~50mM、15~50mM、5~25mM、5~20mM、5~15mM、またはこれらの間の任意の範囲の濃度である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、5~200mM、またはその間の任意の範囲の濃度のHEPESである。いくつかの実施形態では、緩衝液は、5~200mM、またはその間の任意の範囲の濃度のクエン酸塩である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、5~200mM、またはその間の任意の範囲の濃度のリン酸ナトリウムである。
【0100】
いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、1種または複数の凍結乾燥保護剤または凍結保護物質を含む。いくつかの実施形態では、凍結保護物質は、マンニトール、トレハロース、ソルビトール、またはスクロースである。いくつかの実施形態では、凍結乾燥保護剤および/または凍結保護物質は、組成物中に、1~20重量%、または5~20重量%、またはこれらの間の任意の範囲の濃度で存在する。
【0101】
さらなる実施形態では、提供されるリポソーム組成物は等張化剤を含む。いくつかの実施形態では、等張化剤の濃度(重量%)は、0.1~20%、1~20%、0.5~15%、1~15%または1~50%、またはこれらの間の任意の範囲の濃度である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、糖(例えば、トレハロース、マルトース、スクロース、ラクトース、マンノース、マンニトール、グリセロール、デキストロース、フルクトース、など)を含む。さらなる実施形態では、糖の濃度(重量%)は、0.1~20%、1~20%、0.5~15%、1~15%または1~50%、またはこれらの間の任意の範囲の濃度である。
【0102】
いくつかの実施形態では、提供されるリポソーム組成物はトレハロースを含む。さらなる実施形態では、トレハロースの濃度(重量%)は、0.1~20%、1~20%、0.5~15%、1~15%、5~20%または1~50%、またはこれらの間の任意の範囲である。またさらなる実施形態では、トレハロースの濃度(重量%)は、1~15%、または、その間の任意の範囲の濃度である。追加の実施形態では、トレハロースは、約5%~20%(重量%)のトレハロースで存在し、または、1種または複数の凍結乾燥保護剤または凍結保護物質の任意の組み合わせは、合計濃度5%~20%で存在する。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物のpHは、6~7.5、6.5~7.5、6.7~7.5、または6.3~7.0、またはこれらの間の任意の範囲の値である。
【0103】
いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、デキストロースを含む。いくつかの実施形態では、デキストロースの重量%濃度は、0.1~20%、1~20%、0.5~15%、1~15%、5~20%または1~50%、またはこれらの間の任意の範囲の濃度である。特定の実施形態では、デキストロースの濃度(重量%)は、1~20%、またはこの間の任意の範囲の濃度である。追加の実施形態では、デキストロースは、1%~20重量%のデキストロース濃度で存在し、または、1種または複数の凍結乾燥保護剤または凍結保護物質の任意の組み合わせは、1%~20%、または5%~20%、またはこれらの間の任意の範囲の濃度で存在する。
【0104】
いくつかの実施形態では、本開示は、イオン化可能カロテノイド塩を封入するリポソームを含むリポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、項目[1]~[28]のいずれか1項に記載のイオン化可能カロテノイド塩を封入するリポソームを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、ペグ化される。いくつかの実施形態では、リポソームは、標的化される。いくつかの実施形態では、リポソームは、ペグ化されず、標的化される。いくつかの実施形態では、リポソームは、ペグ化されず、標的化されない。いくつかの実施形態では、リポソームは、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、10,000個未満、または5,000個未満のイオン化可能カロテノイド分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のイオン化可能カロテノイド分子を含む。さらなる実施形態では、封入されるイオン化可能カロテノイドは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供されるトランスクロセチン、トランスノルビキシン、またはイオン化可能カロテノイドである。いくつかの実施形態では、リポソームは、複数のカロテノイドを封入する。さらなる実施形態では、リポソームは、複数のイオン化可能カロテノイド(例えば、トランスクロセチン、トランスノルビキシン、および/または本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される1種または複数のイオン化可能カロテノイド)を封入する。
【0105】
いくつかの実施形態では、本開示は、イオン化可能カロテノイド塩を封入する非ペグ化、非標的化リポソームを含むリポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、リポソームは、項目[1]~[28]のいずれか1項に記載のイオン化可能カロテノイド塩を封入する。いくつかの実施形態では、封入されるイオン化可能カロテノイドは、トランスクロセチンである。いくつかの実施形態では、封入されるイオン化可能カロテノイドは、トランスノルビキシンである。いくつかの実施形態では、封入されるイオン化可能カロテノイドは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供されるカロテノイドである。いくつかの実施形態では、非ペグ化、非標的化リポソームは、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、10,000個未満、または5,000個未満のカロテノイド分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のイオン化可能カロテノイド分子を含む。さらなる実施形態では、リポソームは、複数のカロテノイドを封入する。いくつかの実施形態では、リポソームは、複数のイオン化可能カロテノイド(例えば、トランスクロセチン、トランスノルビキシン、および/または本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される1種または複数のイオン化可能カロテノイド)を封入する。
【0106】
いくつかの実施形態では、本開示は、イオン化可能カロテノイド塩を封入するペグ化リポソームを含むリポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、リポソームは、項目[1]~[28]のいずれか1項に記載のイオン化可能カロテノイド塩を封入する。いくつかの実施形態では、ペグ化リポソームは、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、10,000個未満、または5,000個未満のイオン化可能カロテノイド分子を含む。いくつかの実施形態では、ペグ化リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のカロテノイド分子を含む。いくつかの実施形態では、封入されるイオン化可能カロテノイドは、トランスクロセチンである。いくつかの実施形態では、封入されるイオン化可能カロテノイドは、トランスノルビキシンである。いくつかの実施形態では、封入されるイオン化可能カロテノイドは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供されるカロテノイドである。いくつかの実施形態では、ペグ化リポソームは、複数のカロテノイドを封入する。さらなる実施形態では、リポソームは、複数のイオン化可能カロテノイド(例えば、トランスクロセチン、トランスノルビキシン、および/または本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される1つまたは複数のイオン化可能カロテノイド)を封入する。いくつかの実施形態では、ペグ化リポソームは、標的化される。いくつかの実施形態では、ペグ化リポソームは、標的化されない。
【0107】
いくつかの実施形態では、本開示は、イオン化可能カロテノイド塩を封入する標的化リポソームを含むリポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、リポソームは、項目[1]~[28]のいずれか1項に記載のイオン化可能カロテノイド塩を封入する。いくつかの実施形態では、標的化リポソームは、目的の標的細胞上の表面抗原に対して特異的親和性を有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に結合される。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分はポリペプチドである。さらなる実施形態では、ターゲティング部分は抗体または抗原結合抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、BIACORE(登録商標)分析を用いて測定される、50x10-12~10x10-6の範囲の平衡解離定数(Kd)で表面抗原を結合する。さらなる実施形態では、Kdは表面プラズモン共鳴法技術を用いて測定され、この技術では、エピトープ含有抗原が固定化され、ターゲティング部分が分析物として働き、次の条件が使用される:10mM MES緩衝液、0.05%ソルビタンモノラウラート、および150mM NaCl、37℃。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、葉酸受容体アルファ(FR-α)、葉酸受容体ベータ(FR-β)、および葉酸受容体デルタ(FR-δ)から選択される1種または複数の葉酸受容体に対し特異的親和性を有するタンパク質または葉酸複合体を含む。いくつかの実施形態では、標的化リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200個、またはこれらの間の任意の範囲のターゲティング部分を含む。標的化リポソームは、ペグ化されても、またはされなくてもよい。
【0108】
いくつかの実施形態では、標的化リポソームは、ペグ化され、イオン化可能カロテノイド塩を封入する。いくつかの実施形態では、リポソームは、項目[1]~[28]のいずれか1項に記載のイオン化可能カロテノイド塩を封入する。いくつかの実施形態では、標的化ペグ化リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200個、またはこれらの間の任意の範囲のターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、標的化ペグ化リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のイオン化可能カロテノイド分子を含む。いくつかの実施形態では、封入されるイオン化可能カロテノイドは、トランスクロセチンである。いくつかの実施形態では、封入されるイオン化可能カロテノイドは、トランスノルビキシンである。いくつかの実施形態では、封入されるイオン化可能カロテノイドは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供されるカロテノイドである。
【0109】
いくつかの実施形態では、標的化リポソームは、ペグ化されず、イオン化可能カロテノイド塩を封入する。いくつかの実施形態では、リポソームは、項目[1]~[28]のいずれか1項に記載のイオン化可能カロテノイド塩を封入する。いくつかの実施形態では、標的化、非ペグ化リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200個、またはこれらの間の任意の範囲のターゲティング部分を含む。さらなる実施形態では、リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のイオン化可能カロテノイド分子を含む。いくつかの実施形態では、封入されるイオン化可能カロテノイドは、トランスクロセチンである。いくつかの実施形態では、封入されるイオン化可能カロテノイドは、トランスノルビキシンである。いくつかの実施形態では、封入されるイオン化可能カロテノイドは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供されるカロテノイドである。さらなる実施形態では、標的化、非ペグ化リポソームは、複数のカロテノイドを封入する。さらなる実施形態では、リポソームは、複数のイオン化可能カロテノイド(例えば、トランスクロセチン、トランスノルビキシン、および/または本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される1種または複数のイオン化可能カロテノイド)を封入する。
【0110】
いくつかの実施形態では、本開示は、イオン化可能カロテノイド塩を封入するリポソームを含むペグ化リポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、リポソームは、項目[1]~[28]のいずれか1項に記載のイオン化可能カロテノイド塩を封入する。いくつかの実施形態では、リポソームは、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、10,000個未満、または5,000個未満のイオン化可能カロテノイド分子を含む。いくつかの実施形態では、ペグ化リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のイオン化可能カロテノイド分子を含む。さらなる実施形態では、リポソームは、複数のカロテノイドを含む。さらなる実施形態では、リポソームは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される2種以上のイオン化可能カロテノイドなどの複数のイオン化可能カロテノイドを含む。
【0111】
さらなる実施形態では、本開示は、イオン化可能カロテノイド塩を封入するペグ化および標的化リポソームを含むリポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、リポソームは、項目[1]~[28]のいずれか1項に記載のイオン化可能カロテノイド塩を封入する。いくつかの実施形態では、ペグ化および標的化リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200個、またはこれらの間の任意の範囲のターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ペグ化および標的化リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のイオン化可能カロテノイド分子を含む。さらなる実施形態では、リポソームは、複数のカロテノイドを含む。さらなる実施形態では、リポソームは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される2種以上のイオン化可能カロテノイドなどの複数のイオン化可能カロテノイドを含む。
【0112】
さらなる実施形態では、本開示は、イオン化可能カロテノイド塩を封入するペグ化および非標的化リポソームを含むリポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、リポソームは、項目[1]~[28]のいずれか1項に記載のイオン化可能カロテノイド塩を封入する。いくつかの実施形態では、ペグ化および非標的化リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のイオン化可能カロテノイド分子を含む。さらなる実施形態では、ペグ化および非標的化リポソームは、複数のカロテノイドを含む。さらなる実施形態では、リポソームは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される2種以上のイオン化可能カロテノイドなどの1種または複数のイオン化可能カロテノイドなどの複数のイオン化可能カロテノイドを含む。
【0113】
さらなる実施形態では、本開示は、イオン化可能カロテノイド塩を封入する非ペグ化リポソームを含むリポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、リポソームは、項目[1]~[28]のいずれか1項に記載のイオン化可能カロテノイド塩を封入する。いくつかの実施形態では、リポソームは、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、10,000個未満、または5,000個未満のイオン化可能カロテノイド分子を含む。いくつかの実施形態では、非ペグ化リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のイオン化可能カロテノイド分子を含む。さらなる実施形態では、非ペグ化リポソームは、複数のカロテノイドを含む。さらなる実施形態では、リポソームは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される2種以上のイオン化可能カロテノイドなどの複数のイオン化可能カロテノイドを含む。
【0114】
さらなる実施形態では、本開示は、イオン化可能カロテノイド塩を封入する非ペグ化および標的化リポソームを含むリポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、リポソームは、項目[1]~[28]のいずれか1項に記載のイオン化可能カロテノイド塩を封入する。いくつかの実施形態では、非ペグ化および標的化リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200個、またはこれらの間の任意の範囲のターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、非ペグ化および標的化リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のイオン化可能カロテノイド分子を含む。さらなる実施形態では、非ペグ化および標的化リポソームは、複数のカロテノイドを含む。さらなる実施形態では、リポソームは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される2種以上のイオン化可能カロテノイドなどの複数のイオン化可能カロテノイドを含む。
【0115】
さらなる実施形態では、本開示は、イオン化可能カロテノイド塩を封入する非ペグ化および非標的化リポソームを含むリポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、リポソームは、項目[1]~[28]のいずれか1項に記載のイオン化可能カロテノイド塩を封入する。いくつかの実施形態では、非ペグ化および非標的化リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のイオン化可能カロテノイド分子を含む。さらなる実施形態では、非ペグ化および非標的化リポソームは、複数のカロテノイドを含む。さらなる実施形態では、リポソームは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される2種以上のイオン化可能カロテノイドなどの複数のイオン化可能カロテノイドを含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、本開示は、トランスクロセチン塩を封入するリポソームを含むペグ化リポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、リポソームは、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、10,000個未満、または5,000個未満のトランスクロセチン分子を含む。いくつかの実施形態では、ペグ化リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のトランスクロセチン分子を含む。さらなる実施形態では、リポソームは、複数のカロテノイドを含む。さらなる実施形態では、リポソームは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される1種または複数のイオン化可能カロテノイドなどの複数のイオン化可能カロテノイドを含む。
【0117】
さらなる実施形態では、本開示は、トランスクロセチン塩を封入するペグ化および標的化リポソームを含むリポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、ペグ化および標的化リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200個、またはこれらの間の任意の範囲のターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ペグ化および標的化リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のトランスクロセチン分子を含む。さらなる実施形態では、ペグ化および標的化リポソームは、複数のカロテノイドを含む。さらなる実施形態では、リポソームは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される1種または複数のイオン化可能カロテノイドなどの複数のイオン化可能カロテノイドを含む。
【0118】
さらなる実施形態では、本開示は、トランスクロセチン塩を封入するペグ化および非標的化リポソームを含むリポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、ペグ化および非標的化リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のトランスクロセチン分子を含む。さらなる実施形態では、ペグ化および非標的化リポソームは、複数のカロテノイドを含む。さらなる実施形態では、リポソームは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される1種または複数のイオン化可能カロテノイドなどの複数のイオン化可能カロテノイドを含む。
【0119】
さらなる実施形態では、本開示は、トランスクロセチン塩を封入する非ペグ化リポソームを含むリポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、リポソームは、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、10,000個未満、または5,000個未満のトランスクロセチン分子を含む。いくつかの実施形態では、非ペグ化リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のトランスクロセチン分子を含む。さらなる実施形態では、非ペグ化リポソームは、複数のカロテノイドを含む。さらなる実施形態では、リポソームは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される1種または複数のイオン化可能カロテノイドなどの複数のイオン化可能カロテノイドを含む。
【0120】
さらなる実施形態では、本開示は、トランスクロセチン塩を封入する非ペグ化および標的化リポソームを含むリポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、非ペグ化および標的化リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200個、またはこれらの間の任意の範囲のターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、非ペグ化および標的化リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のトランスクロセチン分子を含む。さらなる実施形態では、非ペグ化および標的化リポソームは、複数のカロテノイドを含む。さらなる実施形態では、リポソームは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される1種または複数のカロテノイドなどの複数のイオン化可能カロテノイドを含む。
【0121】
さらなる実施形態では、本開示は、トランスクロセチン塩を封入する非ペグ化および非標的化リポソームを含むリポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、非ペグ化および非標的化リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のトランスクロセチン分子を含む。さらなる実施形態では、非ペグ化および非標的化リポソームは、複数のカロテノイドを含む。さらなる実施形態では、リポソームは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される1種または複数のカロテノイドなどの複数のイオン化可能カロテノイドを含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、本開示は、トランスノルビキシン塩を封入するリポソームを含むペグ化リポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、リポソームは、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、10,000個未満、または5,000個未満のトランスノルビキシン分子を含む。いくつかの実施形態では、ペグ化リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のトランスノルビキシン分子を含む。さらなる実施形態では、リポソームは、複数のカロテノイドを含む。さらなる実施形態では、リポソームは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される1種または複数のイオン化可能カロテノイドなどの複数のイオン化可能カロテノイドを含む。
【0123】
さらなる実施形態では、本開示は、トランスノルビキシン塩を封入するペグ化および標的化リポソームを含むリポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、ペグ化および標的化リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200個、またはこれらの間の任意の範囲のターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ペグ化および標的化リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のトランスノルビキシン分子を含む。さらなる実施形態では、ペグ化および標的化リポソームは、複数のカロテノイドを含む。さらなる実施形態では、リポソームは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される1種または複数のイオン化可能カロテノイドなどの複数のイオン化可能カロテノイドを含む。
【0124】
さらなる実施形態では、本開示は、トランスノルビキシン塩を封入するペグ化および非標的化リポソームを含むリポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、ペグ化および非標的化リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のトランスノルビキシン分子を含む。さらなる実施形態では、ペグ化および非標的化リポソームは、複数のカロテノイドを含む。さらなる実施形態では、リポソームは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される1種または複数のイオン化可能カロテノイドなどの複数のイオン化可能カロテノイドを含む。
【0125】
さらなる実施形態では、本開示は、トランスノルビキシン塩を封入する非ペグ化リポソームを含むリポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、リポソームは、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、10,000個未満、または5,000個未満のトランスノルビキシン分子を含む。いくつかの実施形態では、非ペグ化リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のトランスノルビキシン分子を含む。さらなる実施形態では、非ペグ化リポソームは、複数のカロテノイドを含む。さらなる実施形態では、リポソームは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される1種または複数のイオン化可能カロテノイドなどの複数のイオン化可能カロテノイドを含む。
【0126】
さらなる実施形態では、本開示は、トランスノルビキシン塩を封入する非ペグ化および標的化リポソームを含むリポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、非ペグ化および標的化リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200個、またはこれらの間の任意の範囲のターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、非ペグ化および標的化リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のトランスノルビキシン分子を含む。さらなる実施形態では、非ペグ化および標的化リポソームは、複数のカロテノイドを含む。さらなる実施形態では、リポソームは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される1種または複数のカロテノイドなどの複数のイオン化可能カロテノイドを含む。
【0127】
さらなる実施形態では、本開示は、トランスノルビキシン塩を封入する非ペグ化および非標的化リポソームを含むリポソーム組成物を提供する。いくつかの実施形態では、非ペグ化および非標的化リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のトランスノルビキシン分子を含む。さらなる実施形態では、非ペグ化および非標的化リポソームは、複数のカロテノイドを含む。さらなる実施形態では、リポソームは、本明細書の項目[1]~[28]で、および/または
図1A~1Dで提供される1種または複数のカロテノイドなどの複数のイオン化可能カロテノイドを含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、提供されるリポソーム組成物は、1種または複数のイオン化可能カロテノイド塩(例えば、項目[1]~[28]のいずれか1項に記載の、および/または
図1A~1Dのいずれかのイオン化可能カロテノイドの二価、三価または四価の塩)を封入するリポソームおよび1種または複数の薬学的に許容可能な担体を含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、トレハロースを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、1%~50重量%のトレハロースを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、1~200mMの濃度および2~8のpHでHBSを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、5~8、またはその間の任意の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、6~7、またはその間の任意の範囲のpHを有する。
【0129】
さらなる実施形態では、提供されるリポソーム組成物は、トランスクロセチンを封入するリポソーム、および1種または複数の水性の薬学的に許容可能な担体を含む。いくつかの実施形態では、リポソーム溶液は、トレハロースを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム溶液は、1%~50重量%のトレハロースを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム溶液は、1~200mMの濃度および2~8のpHで、またはこれらの間の任意の範囲でHBSを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム溶液は、5~8、またはその間の任意の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、リポソーム溶液は、6~7、またはその間の任意の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、提供されるトランスクロセチン塩は、多価塩である(例えば、二価、三価、または四価の塩)。いくつかの実施形態では、トランスクロセチン塩はCTCである。いくつかの実施形態では、トランスクロセチン塩はMTCである。
【0130】
さらなる実施形態では、提供されるリポソーム組成物は、トランスノルビキシン塩を封入するリポソーム、および1種または複数の水性の薬学的に許容可能な担体を含む。いくつかの実施形態では、リポソーム溶液は、トレハロースを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム溶液は、1%~50重量%のトレハロースを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム溶液は、1~200mMの濃度および2~8のpH、またはこれらの間の任意の範囲でHBSを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム溶液は、5~8、またはその間の任意の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、リポソーム溶液は、6~7、またはその間の任意の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、提供されるトランスノルビキシン塩は、多価塩である(例えば、二価、三価、または四価の塩)。いくつかの実施形態では、トランスノルビキシン塩はCTNである。いくつかの実施形態では、トランスノルビキシン塩はMTNである。
【0131】
提供されるリポソームは、少なくとも1つの脂質二重層により密閉された水性の区画を含む。親水性頭部基を含む脂質が水中に分散されている場合、それらは、ラメラと呼ばれる二重層膜を自然に形成できる。ラメラは、脂質分子の2つの単層シートから構成され、それらの非極性(疎水性)表面が相互に向かい合い、それらの極性(親水性)表面が水性媒体の方向に向く。用語のリポソームは、単層小胞を含み、これは、単一脂質二重層からなり、通常、約20~約500nm、約50~約300nm、約50~約150nm、約30~約1000nm、約30~約175nm、約80~約400nm、または約80~約120nmの範囲の直径を有する。リポソームはまた、多層膜でもあり得、これは通常、0.5~10umの範囲の直径を有し、凡そ2~数百の同心脂質二重層が水相の層と交互に現れる。いくつかの実施形態では、リポソームは、多層小胞(MLV)、大型単層小胞(LUV)、および小単層小胞(SUV)を含み得る。リポソームの脂質は、カチオン性、双性イオン性、中性またはアニオン性、またはそれらの任意の混合物であり得る。
【0132】
脂質の任意の好適な組み合わせを用いて、本明細書で提供されるリポソームおよび脂質ナノ粒子を得ることができる。脂質組成物は、漏出速度、安定性、粒径(例えば、リポソーム直径)、ゼータ電位、タンパク質結合、インビボ循環、および/または組織または器官中の蓄積などの特性に影響を与えるように適合させて作成できる。例えば、DSPCおよび/またはコレステロールを用いて、リポソームからの漏出を減らすことができる。DSPGおよび/またはDOTAPなどの負の電気を帯びたまたは正の電気を帯びた脂質を含めて、リポソームまたは脂質ナノ粒子の表面電荷に影響を与えることができる。いくつかの実施形態では、脂質組成物は、約10種以下のタイプの脂質、または約5種以下のタイプの脂質、または約3種以下のタイプの脂質を含み得る。いくつかの実施形態では、存在する特定のタイプの脂質のモルパーセント(モル%)は通常、リポソームまたは脂質ナノ粒子中に存在する合計脂質の約0%~約10%、約10%~約30%、約30%~約50%、約50%~約70%、約70%~約90%、約90%~約100%を含む。いくつかの実施形態では、治療的リポソームは、40~80モル%のDSPC、5~50モル%のコレステロール、0~30モル%のDSPG、および0~10モル%のDSPE-PEG(2000)を含む。いくつかの実施形態では、攻撃(attacking)リポソームは、40~70モル%のDPPC、5~20モル%のコレステロール、0~20モル%のDOTAP、および20~40モル%のTPGSを含む。
【0133】
所望の用途に応じて、リポソームの粒径(直径)を調節できる。例えば、注射剤などとして血管透過性・滞留性亢進効果(Enhanced Permeability and Retention(EPR)effect)によりリポソームを癌性組織または炎症組織に送達することを意図する場合、リポソーム直径は、20~500nm、30~175nm、または50~150nm、またはこれらの間の任意の範囲であるのが好ましい。リポソームをマクロファージに送ることを意図する場合、リポソーム直径は、30~1000nm、または80~400nm、またはこれらの間の任意の範囲であるのが好ましい。リポソーム組成物が経口製剤または経皮製剤として使用される場合には、リポソームの粒径を、数ミクロンに設定できる。正常組織では、血管壁はバリアーとして機能し(血管壁は血管内皮細胞により緻密に構成されているため)、特定のサイズの超分子およびリポソームなどの微粒子は、組織内に分配され得ないことに留意されたい。しかし、患部組織では、血管壁は結合が緩く(血管内皮細胞間に隙間が存在するため)、血管透過性が高まり、超分子および微粒子は、血管外組織に分配され得る(高められた透過性)。さらに、リンパ系は正常組織ではよく発達しているが、患部組織中では、リンパ系は発達しておらず、かつ超分子または微粒子は、一旦取り込まれると、全身系を通って再循環せず、患部組織中に保持され(高められた保持)、これがEPR効果の基盤を形成する(Wang et al.,Ann.Rev.Med.63:185-198(2012);Peer et al.,Nat.Nanotech.2:751-760(2007);Gubernator,Exp.Opin.Drug Deliv.8:565-580(2011);Huwyler et al.,Int.J.Nanomed.3:21-29(2008);Maruyama et al.Adv.Drug Deliv.Rev.63:161-169(2011);Musacchio and Torchilin Front.Biosci.16:1388-1412(2011);Baryshnikov Vest.Ross.Akad.Med.Nauk.23-31(2012);およびTorchilin Nat.Rev.Drug Disc.4:145-160(2005))。従って、リポソーム粒径(直径)を調整することによりリポソーム薬物動態学を制御できる。
【0134】
提供されるリポソーム組成物中のリポソームのサイズは、リン脂質組成物、それらの作製のための使用される方法、および意図されるリポソームの治療的使用に応じて、例えば、0.5nm~10um、または20nm~5umの範囲で変動し得る。いくつかの実施形態では、提供されるリポソーム組成物中のリポソームの中央粒径は、20nm~500nmまたは50nm~200nm、または20nm~200nm、またはこれらの間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、リポソームの中央粒径は、80nm~120nm、またはその間の任意の範囲(例えば、85nm~115nm、90nm~110nm、95nm~110nm、または95nm~105nm)である。いくつかの実施形態では、提供されるリポソーム組成物中のリポソームの中央粒径は、10~250nm、またはその間の任意の範囲(例えば、10~225nm、10~200nm、10~175nm、10~150nm、40~150nm、50~150nm、60~150nm、70~150nm、80~150nm、90~150nm、100~150nm、10~125nm、10~100nm、10~75nm、10~50nm、50~100nm、50~90nm、50~80nm、50~70nm、50~60nm、60~100nm、60~90nm、60~80nm、60~70nm、70~100nm、70~90nm、70~80nm、80~100nm、80~90nm、または90~100nm)である。いくつかの実施形態では、提供されるリポソーム組成物中のリポソームの中央粒径は、100~250nm、またはその間の任意の範囲(例えば、100~225nm、100~200nm、100~175nm、または100~150nm)である。いくつかの実施形態では、提供されるリポソーム組成物中のリポソームの中央粒径は、10~100nm、またはその間の任意の範囲(例えば、約10~90nm、10~80nm、10~70nm、または10~60nm、または10~50nm)である。いくつかの実施形態では、提供されるリポソーム組成物中のリポソームの中央粒径は、約500nm、450nm、400nm、350nm、300nm、250nm、200nm、150nm、145nm、150nm、135nm、130nm、125nm、120nm、115nm、110nm、105nm、100nm、95nm、90nm、85nm、80nm、75nm、70nm、65nm、60nm、55nm、または50nm、45nm、または40nm未満である。動的レーザー光散乱は、リポソームの直径を測定するために使用される方法であり、当業者にはよく知られている。リポソームの直径(DLP)は、例えば、動的レーザー光散乱(Coulter N4 particle size analyzer)、Zetasizer Nano ZSP(Malvern,UK)、およびELS-8000(Otsuka Electronics Co.,Ltd.)などの当該技術分野で既知の任意の技術および装置を用いて定型作業により測定できる。
【0135】
いくつかの実施形態では、提供されるリポソーム組成物は単分散粒度(直径)分布を有する。「単分散」および「均質粒度分布」は、本明細書では同じ意味で用いられ、粒子が同じまたはほぼ同じ直径を有する、複数のリポソームナノ粒子または微粒子を特徴付ける。本明細書で使用される場合、単分散分布は、粒子分布の75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、86%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%またはそれ超が、質量中央径の85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、または10%以内にある粒子分布を指す。
【0136】
いくつかの実施形態では、提供されるリポソーム組成物中のリポソーム集団は、比較的均一である。いくつかの実施形態では、提供されるリポソーム組成物中のリポソーム集団は、不均一である。多分散指数は、ナノ粒子組成物の均一性、例えば、ナノ粒子組成物の粒径(直径)分布の均一性を示すために使用され得る。小さい(例えば、0.3未満の)多分散指数は通常、狭い粒度分布を示す。いくつかの実施形態では、提供されるリポソーム組成物中のリポソーム集団は、0~0.25、または0.01~0.1、またはこれらの間の任意の範囲(例えば、0.001~0.2、0.005~0.1、0.005~0、0.005~0.09、0.009~0.09、0.01~0.08、0.02~0.09、または0.02~0.07、またはこれらの間の任意の範囲)の多分散指数を有する。
【0137】
いくつかの実施形態では、提供されるリポソーム組成物中のリポソーム集団のリポソームは、それらの脂質組成、脂質成分のモル比、粒径、電荷(ゼータ電位)、標的化リガンドおよび/またはこれらの組み合わせにおいて異なる。
【0138】
ナノ粒子組成物のゼータ電位は、組成物の界面動電位を示すために使用され得る。例えば、ゼータ電位は、ナノ粒子組成物の表面電荷を表す。比較的低い正または負の電荷を有するナノ粒子組成物が通常、望ましい。理由は、より高い電荷種は、細胞、組織、および体内の他の要素と望ましくない相互作用をする可能性があるためである。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物のゼータ電位は、約-10mV~約+20mV、約-10mV~約+15mV、約-10mV~約+10mV、約-10mV~約+5mV、約-10mV~約0mV、約-10mV~約-5mV、約-5mV~約+20mV、約-5mV~約+15mV、約-5mV~約+10mV、約-5mV~約+5mV、約-5mV~約0mV、約0mV~約+20mV、約0mV~約+15mV、約0mV~約+10mV、約0mV~約+5mV、約+5mV~約+20mV、約+5mV~約+15mV、または約+5mV~約+10mVであり得る。リポソームゼータ電位は、例えば、動的光散乱(Zetasizer Nano ZSP(Malvern,UK)、およびレーザードップラー電気泳動法を含む当該技術分野で既知の技術および装置を用いて定型作業により測定できる。
【0139】
イオン化可能カロテノイド(例えば、トランスクロセチン)などの治療薬および/または予防薬の封入効率は、提供される初期量に対する、作製後にナノ粒子組成物と共に封入されるまたは別の方法で組み込まれる治療薬および/または予防薬の量を表す。封入効率は、高いのが望ましい(例えば、100%に近い値)。封入効率は、例えば、封入されていない治療薬および/または予防薬を除去する前後で、ナノ粒子組成物を含む溶液中の治療薬および/または予防薬の量を比較することにより測定され得る。本明細書で記載のリポソーム組成物に関しては、イオン化可能カロテノイド(例えば、トランスクロセチン)の封入効率は、少なくとも、50%、例えば、60%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%であり得る。いくつかの実施形態では、封入効率は、少なくとも80%である。特定の実施形態では、封入効率は、少なくとも90%である。特定の実施形態では、封入効率は、少なくとも95%である。特定の実施形態では、封入効率は、少なくとも98%である。
【0140】
さらなる実施形態では、提供されるリポソーム組成物は、イオン化可能カロテノイドの塩を封入するリポソームを含む。いくつかの実施形態では、提供されるリポソーム組成物のイオン化可能カロテノイド(例えば、トランスクロセチン)/脂質比率は、1~1000g/モル、またはその間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物のイオン化可能カロテノイド/脂質比率は、10~200g/モル、10~150g/モル、10~100g/モル、20~200g/モル、20~150g/モル、20~100g/モル、30~200g/モル、30~150g/モル、30~100g/モル、40~200g/モル、40~150g/モル、40~100g/モル、50~200g/モル、50~150g/モル、または50~100g/モル、またはこれらの間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイド/脂質比率は、30~90g/モル、またはその間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイド/脂質比率は、30~50g/モル、40~60g/モル、50~70g/モル、60~80g/モル、または70~90g/モル、またはこれらの間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、リポソームは、項目[1]~[27]のいずれか1項に記載のイオン化可能カロテノイド塩を封入する。いくつかの実施形態では、リポソームは、
図1A~1Dのいずれかに示されるイオン化可能カロテノイド塩を封入する。
【0141】
いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、トランスクロセチン塩を封入するリポソームを含む。いくつかの実施形態では、提供されるリポソーム組成物のトランスクロセチン/脂質比率は、1~1000g/モル、またはその間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物のトランスクロセチン/脂質比率は、10~200g/モル、10~150g/モル、10~100g/モル、20~200g/モル、20~150g/モル、20~100g/モル、30~200g/モル、30~150g/モル、30~100g/モル、40~200g/モル、40~150g/モル、40~100g/モル、50~200g/モル、50~150g/モル、または50~100g/モル、またはこれらの間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、トランスクロセチン/脂質比率は、30~90g/モル、またはその間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、トランスクロセチン/脂質比率は、30~50g/モル、40~60g/モル、50~70g/モル、60~80g/モル、または70~90g/モル、またはこれらの間の任意の範囲である。
【0142】
いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、トランスノルビキシン塩を封入するリポソームを含む。いくつかの実施形態では、提供されるリポソーム組成物のトランスノルビキシン/脂質比率は、1~1000g/モル、またはその間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物のトランスノルビキシン/脂質比率は、10~200g/モル、10~150g/モル、10~100g/モル、20~200g/モル、20~150g/モル、20~100g/モル、30~200g/モル、30~150g/モル、30~100g/モル、40~200g/モル、40~150g/モル、40~100g/モル、50~200g/モル、50~150g/モル、または50~100g/モル、またはこれらの間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、トランスノルビキシン/脂質比率は、30~90g/モル、またはその間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、トランスノルビキシン/脂質比率は、30~50g/モル、40~60g/モル、50~70g/モル、60~80g/モル、または70~90g/モル、またはこれらの間の任意の範囲である。
【0143】
いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、双性イオン性緩衝液を用いて緩衝される。適切には、双性イオン性緩衝液は、アミノアルカンスルホン酸または好適な塩である。アミノアルカンスルホン酸の例としては、限定されないが、HEPES、HEPPS/EPPS、MOPS、MOBSおよびPIPESが挙げられる。好ましくは、緩衝液は、薬学的に許容可能な、人での使用、例えば、市販の注射製品での使用に好適する緩衝液である。最も好ましくは、緩衝液は、HEPESである。リポソーム組成物は、AGPを含むのが適切であり得る。
【0144】
いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、HEPESを用いて緩衝される。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、約7のpHを有するHEPESを用いて緩衝される。
【0145】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、カチオン性リポソームを含むリポソーム組成物である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、ゼロより大きいゼータ電位を有するリポソームを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、0.2~150mV、1~50mV、1~40mV、1~30mV、1~25mV、1~20mV、1~15mV、1~10mV、1~5mV、2~10mV、3~10mV、4~10mV、または5~10mV、またはこれらの間の任意の範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、20nm~500nm、20nm~200nm、30nm~175nm、50nm~200nm、または50nm~150nmの範囲、またはこれらの間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、カチオン性リポソームは、80nm~120nm、またはその間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%w/wの、または75%w/wを超えるイオン化可能カロテノイド(例えば、トランスクロセチン)を含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物の作製工程中に、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または97%のイオン化可能カロテノイドの出発材料がリポソーム組成物中のリポソーム中に封入(捕捉)される。さらなる実施形態では、リポソームにより封入されるアイオン化可能カロテノイド(例えば、トランスクロセチン)は、リポソーム内のHEPES緩衝液中に存在する。さらなる実施形態では、リポソームは、少なくとも1種のOxPAPCを含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、提供される医薬組成物は、アニオン性または中性リポソームを含むリポソーム組成物である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、ゼロ以下のゼータ電位を有するリポソームを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、-150~0mV、-50~0mV、-40~0mV、-30~0mV、-25~0mV、-20~0mV、-10~0mV、-9~0mV、-8~0mV、-7~0mV、-6~0mV、-5~0mV、-4~0mV、-3~0mV、-2~0mV、-1~0mV、または-8~2mV、またはこれらの間の任意の範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、アニオン性または中性リポソームは、20nm~500nm、20nm~200nm、30nm~175nm、または50nm~150nm、またはこれらの間の任意の範囲の直径を有する。他の実施形態では、アニオン性または中性リポソームは、80nm~120nm、またはその間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、アニオン性リポソームは、20nm~500nm、20nm~200nm、30nm~175nm、または50nm~150nm、またはこれらの間の任意の範囲の直径を有する。さらなる実施形態では、アニオン性リポソームは、80nm~120nm、またはその間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、中性リポソームは、20nm~500nm、20nm~200nm、30nm~175nm、または50nm~150nm、またはそれらの間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、中性リポソームは、80nm~120nm、またはその間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%w/wの、または75%w/wを超えるイオン化可能カロテノイド(例えば、トランスクロセチン)を含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物の作製工程中に、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%のまたは75%を超えるイオン化可能カロテノイド(例えば、トランスクロセチン)の出発材料がリポソーム中に封入(捕捉)される。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%w/wの、または75%w/wを超えるイオン化可能カロテノイド(例えば、トランスクロセチン)を含む。いくつかの実施形態では、アニオン性または中性リポソーム組成物は、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%w/wの、または75%w/wを超えるイオン化可能カロテノイド(例えば、トランスクロセチン)を含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%w/wの、または75%w/wを超えるイオン化可能カロテノイド(例えば、トランスクロセチン)を含む。さらなる実施形態では、アニオン性または中性リポソームにより封入されるアイオン化可能カロテノイド(例えば、トランスクロセチン)は、リポソーム内のHEPES緩衝液中に存在する。さらなる実施形態では、リポソームは、少なくとも1種のOxPAPCを含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、提供される医薬組成物は、少なくとも1種のOxPAPCを含むリポソームを含むリポソーム組成物である。いくつかの実施形態では、OxPAPCは、酸化および/または断片化酸素化sn-2残基含有リン脂質である。いくつかの実施形態では、OxPAPCは、オメガアルデヒドまたはオメガカルボキシル基を有する五炭素sn-2残基含有酸化リン脂質である。いくつかの実施形態では、OxPAPCは、HOdiA-PC、KOdiA-PC、HOOA-PCおよびKOOA-PCから選択される酸化リン脂質である。いくつかの実施形態では、OxPAPCは、エポキシイソプロスタン含有リン脂質である。いくつかの実施形態では、OxPAPCは、PGPCである。いくつかの実施形態では、リポソームは、少なくとも0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、または少なくとも30%のOxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、0.01%~35%、0.1%~30%、1%~25%、3%~20%、または5%~15%、またはこれらの間の任意の範囲のOxPAPCを含むカチオン性リポソームを有する。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、カチオン性リポソームを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、中性リポソームを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、アニオン性リポソームを含む。さらなる実施形態では、リポソーム組成物は、20nm~500nm、20nm~200nm、30nm~175nm、または50nm~150nm、またはこれらの間の任意の範囲の直径を有するOxPAPCを含む少なくとも1種のリポソームを含む。さらなる実施形態では、リポソーム組成物は、80nm~120nm、またはその間の任意の範囲の直径を有するOxPAPCを含む少なくとも1種のリポソームを含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、提供される医薬組成物は、少なくとも0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、または少なくとも30%のOxPAPCを含むカチオン性リポソームを含むリポソーム組成物である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、0.01%~35%、0.1%~30%、1%~25%、3%~20%、または5%~15%、またはこれらの間の任意の範囲のOxPAPCを含むカチオン性リポソームを有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、少なくとも0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、または少なくとも30%のOxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、約10%のOxPAPCを含むカチオン性リポソームを有する。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、少なくとも0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、または少なくとも30%のPGPCを含むカチオン性リポソームを有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、0.01%~35%、0.1%~30%、1%~25%、3%~20%、または5%~15%、またはこれらの間の任意の範囲のPGPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、約10%のPGPCを含むカチオン性リポソームを有する。
【0149】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、または少なくとも30%のOxPAPCを含むアニオン性または中性リポソームを含むリポソーム組成物である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、0.01%~35%、0.1%~30%、1%~25%、3%~20%、または5%~15%、またはこれらの間の任意の範囲のOxPAPCを含むアニオン性または中性リポソームを有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、少なくとも0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、または少なくとも30%のOxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、約10%のOxPAPCを含むアニオン性または中性リポソームを有する。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、少なくとも0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、または少なくとも30%のPGPCを含むアニオン性または中性リポソームを有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、0.01%~35%、0.1%~30%、1%~25%、3%~20%、または5%~15%、またはこれらの間の任意の範囲のPGPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、約10%のPGPCを含むアニオン性または中性リポソームを有する。
【0150】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、または少なくとも30%のOxPAPCを含む中性リポソームを含むリポソーム組成物である。いくつかの実施形態では、中性OxPAPC含有リポソーム組成物は、0.01%~35%、0.1%~30%、1%~25%、3%~20%、または5%~15%、またはこれらの間の任意の範囲のOxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、中性OxPAPC含有リポソーム組成物は、約10%のOxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、中性OxPAPC含有リポソーム組成物は、少なくとも0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、または少なくとも30%のPGPCを含む。いくつかの実施形態では、中性PGPC含有リポソーム組成物は、0.01%~35%、0.1%~30%、1%~25%、3%~20%、または5%~15%、またはこれらの間の任意の範囲のPGPCを含む。いくつかの実施形態では、中性OxPAPC含有リポソーム組成物は、約10%のPGPCを含む。
【0151】
さらなる実施形態では、リポソーム組成物中のリポソームは、ペグ化される。
【0152】
いくつかの実施形態では、提供される医薬組成物は、非標的化リポソーム組成物である。即ち、リポソーム組成物中のリポソームは、目的の標的細胞の表面上で発現されるエピトープ(例えば、表面抗原上のエピトープ)に対する特異的親和性をもたない。さらなる実施形態では、非標的化リポソーム組成物は、ペグ化される。
【0153】
いくつかの事例では、標的部位でのリポソーム蓄積は、癌組織などの特定の組織の血管透過性・滞留性亢進特性に起因し得る。このような方式での蓄積は、1つにはリポソームのサイズの理由で、よく起こり、特殊な標的化機能は必要でない。他の実施形態では、提供されるリポソームは標的化薬剤を含む。通常、標的化薬剤は、器官、組織、細胞、細胞外マトリックスまたは細胞内領域に組み込まれた標的などの任意の着目標的と結合できる。特定の実施形態では、標的は、癌性状態などの特定の病状と関連付けることができる。いくつかの実施形態では、標的化成分は、受容体などの1種のみの標的に特異的であり得る。好適な標的としては、限定されないが、DNA、RNA、または修飾誘導体などの核酸を挙げることができる。好適な標的としてはまた、限定されないが、細胞外タンパク質、受容体、細胞表面受容体、腫瘍マーカー、膜貫通タンパク質、酵素、または抗体、などのタンパク質が挙げられる。好適な標的としては、例えば、細胞の表面上に存在できる単糖、二糖、または多糖などの炭水化物を挙げることができる。
【0154】
特定の実施形態では、標的化薬剤は、標的リガンド(例えば、RGD含有ペプチド)、標的リガンドの小分子模倣物(例えば、ペプチド模倣体リガンド)、または特定の標的に対し特異的な抗体または抗体フラグメントを含み得る。いくつかの実施形態では、標的化薬剤は、葉酸誘導体、B-12誘導体、インテグリンRGDペプチド、NGR誘導体、ソマトスタチン誘導体またはソマトスタチン受容体に結合するペプチド、例えば、オクトレオチドおよびオクトレオテート、などをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、標的化薬剤はアプタマーを含む。アプタマーは、着目標的に組み込むまたはそれに結合するように設計できる。アプタマーは、例えば、DNA、RNA、および/またはペプチドから構成でき、アプタマーの特定の態様は、当技術分野において既知である。(例えば、Klussman,Ed.,The Aptamer Handbook,Wiley-VCH(2006);Nissenbaum,Trends in Biotech.26(8):442-449(2008)を参照)。
【0155】
他の実施形態では、リポソーム組成物は、標的化リポソームを含む。即ち、リポソームは、目的の標的細胞上のエピトープ(例えば、表面抗原または他の分子)に対し特異的親和性を有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、リポソームのターゲティング部分は、共有結合を介してリポソームに結合されない。他の実施形態では、リポソームのターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に結合される。さらなる実施形態では、標的化リポソームは、ペグ化される。標的化リポソームのターゲティング部分の機能としては、限定されないが、インビボまたはインビトロでリポソームを目的の標的細胞に対し標的化すること;ターゲティング部分が特異的親和性を有する表面抗原と相互作用すること;およびリポソーム搭載物(例えば、トランスクロセチン)を細胞の部位または細胞中に送達すること、を挙げ得る。
【0156】
好適なターゲティング部分は当技術分野において既知であり、限定されないが、抗体、抗原結合抗体フラグメント、足場タンパク質、ポリペプチド、およびペプチドを含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分はポリペプチドである。さらなる実施形態では、ターゲティング部分は、少なくとも3、5、10、15、20、30、40、50、または100個のアミノ酸残基を含むポリペプチドである。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は抗体または抗原結合抗体フラグメントである。さらなる実施形態では、ターゲティング部分は、抗体、ヒト化抗体、抗体の抗原結合フラグメント、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、二重特異的抗体、合成抗体、ペグ化抗体、および多量体抗体の1種または複数を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、正常なまたは非腫瘍細胞に比べて、腫瘍細胞などの標的細胞上で選択的に発現されるエピトープに対し特異的親和性を有する。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、腫瘍細胞上に存在するが非腫瘍細胞上には存在しないかまたは接近し難い腫瘍細胞表面抗原上のエピトープに対し特異的親和性を有する。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、BIACORE(登録商標)分析で測定して、5x10-12~10x10-6の範囲の平衡解離定数(Kd)で目的のエピトープを結合する。さらなる実施形態では、Kdは表面プラズモン共鳴法技術を用いて測定され、この技術では、エピトープ含有抗原が固定化され、ターゲティング部分が分析物として働き、次の条件が使用される:10mM MES緩衝液、0.05%ソルビタンモノラウラート、および150mM NaCl、37℃。
【0157】
特定の実施形態では、ターゲティング部分は、葉酸受容体を特異的に結合するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は抗体または抗原結合抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、リポソーム表面結合葉酸(例えば、葉酸-PEG複合体)または葉酸誘導体である。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分により結合される葉酸受容体は、葉酸受容体アルファ(FR-α、FOLR1)、葉酸受容体ベータ(FR-β、FOLR2)、および葉酸受容体デルタ(FR-δ、FOLR4)から選択される1つまたは複数の葉酸受容体である。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分により結合される葉酸受容体は、葉酸受容体アルファ(FR-α)である。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分により結合される葉酸受容体は、葉酸受容体ベータ(FR-β)である。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分はFR-αおよびFR-βを特異的に結合する。
【0158】
さらなる実施形態では、リポソーム組成物は、リポソームのPEGまたは外面の少なくとも1つに配置された、免疫刺激剤、検出可能マーカーおよびマレイミドの1種または複数を含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物のリポソームは、カチオン性である。他の実施形態では、リポソーム組成物のリポソームは、アニオン性または中性である。さらなる実施形態では、リポソーム組成物のリポソームは、20nm~500nm、またはその間の任意の範囲の直径を有する。さらなる実施形態では、リポソーム組成物のリポソームは、80nm~120nm、またはその間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物のリポソームは、ペグ化される。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物のリポソームは、標的化される。さらなる実施形態では、リポソーム組成物のリポソームは、ペグ化および標的化される。
【0159】
いくつかの実施形態では、本開示は、リポソームにより封入される式:
ポリエンカロテノイドポリエンカロテノイド-Qであって、式中、
ポリエンカロテノイドが、
(a)3、4、5、6、7、8、9、10、3~5、6~8、9~10個、または10個以上の共役二重結合、
(b)メチルまたは低アルキル(C2-C3)置換基、および
(c)1、2、3、または4個以上のイオン化可能基
を含み;および
Qが、(a)多価対イオンまたは(b)一価カチオンである、
式を有するイオン化可能カロテノイドを含む医薬組成物を提供する。
【0160】
いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイドは、全てトランスの共役二重結合を含む。いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイドは、6~9個の共役二重結合を含む。特定の実施形態では、ポリエンカロテノイドは、7個の共役二重結合を含む。ポリエンカロテノイドは、天然または合成であってよい。いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイドは、天然起源である。他の実施形態では、ポリエンカロテノイドは、合成である。イオン化可能基は、アニオン性および/またはカチオン性であり得る。いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイド-Qは、2個以上の同じイオン化可能基を含む。いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイドは、全てトランスの共役二重結合を含む。いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイドは、6~9個の共役二重結合を含む。いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイドは、2個以上の異なるイオン化可能基を含む。いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイド-Qは、1個または複数のアニオン性イオン化可能基を含む。いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイドは、カルボキシル基、スルホネート基、サルフェート基、ホスホネート、リン酸基、およびヒドロキサメート部分から選択される少なくとも1個のイオン化可能基を含む。他の実施形態では、ポリエンカロテノイド-Qは、1個または複数のカチオン性イオン化可能基(例えば、一級、二級、または三級アミン基、四級アンモニウム基、コリン基、グアニジン基、またはイミダゾール基)を含む。特定の実施形態では、ポリエンカロテノイドは、少なくとも1個のカチオン性イオン化可能基を含み、医薬組成物は実質的に核酸不含である。
【0161】
いくつかの実施形態では、Qは多価対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは、多価カチオン対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは多価金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは多価遷移金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価カチオン対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価遷移金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Cu2+、Co2+、およびFe2+から選択される少なくとも1つのメンバーである。いくつかの実施形態では、QはCa2+またはMg2+である。いくつかの実施形態では、QはCa2+である。さらなる実施形態では、ポリエンカロテノイド-Qは、カルシウムトランスクロセチネート(CTC)である。いくつかの実施形態では、QはMg2+である。さらなる実施形態では、ポリエンカロテノイド-Qは、マグネシウムトランスクロセチネート(MTC)である。他の実施形態では、Qは、Fe3+などの三価カチオン対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは多価有機対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価有機カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは、プロトン化ジアミンなどの二価有機カチオンである。
さらなる実施形態では、Qは一価対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは、一価カチオン対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは、一価金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは、Na+、Li+、またはK+から選択される少なくとも1つのメンバーである。いくつかの実施形態では、Qは有機カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価有機カチオンである。さらなる実施形態では、Qは、プロトン化ジアミンまたはプロトン化ポリアミン(例えば、プロトン化ジアミンまたはプロトン化ポリアミン)などの一価有機カチオンである。さらなる実施形態では、Qは、NH4
+、プロトン化ジアミンまたはプロトン化ポリアミンなどの有機カチオンである。
【0162】
いくつかの実施形態では、リポソームは、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、10,000個未満、または5,000個未満のイオン化可能カロテノイド分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、10~100,000個、またはその間の任意の範囲の個数のイオン化可能カロテノイド分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物のイオン化可能カロテノイド/脂質比率は、1g/モル~1000g/モル、またはその間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイド/脂質比率は、10~150g/モル、10~100g/モル、30~200g/モル、40~200g/モル、または50~200g/モル、またはこれらの間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、リポソームは、少なくとも0.1%~97%のトランスクロセチンを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、20nm~500nm、20nm~200nm、または80nm~120nm、またはそれらの間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、リポソーム成分から形成される。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、アニオン性脂質および中性脂質の少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-マレイミド;HSPC;HSPC-PEG;コレステロール;コレステロール-PEG;およびコレステロール-マレイミドから選択される少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-FITC;DSPE-PEG-マレイミド;コレステロール;およびHSPCから選択される少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソームは、OxPAPCなどの酸化リン脂質をさらに含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、断片化酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、完全長酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、および/またはオメガアルデヒドまたはオメガカルボキシル基を有する五炭素sn-2残基を含む酸化リン脂質である、OxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、HOdiA-PC、KOdiA-PC、HOOA-PCおよびKOOA-PCから選択されるOxPAPCを含むか、またはOxPAPCはエポキシイソプロスタン含有リン脂質である。いくつかの実施形態では、リポソームは、1-パルミトイル-2-(5,6-エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(5,6PEIPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシシクロペンテノン)-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン(PECPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-4-ホスホコリン(PEIPC)、1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC);1-パルミトイル-2-(9′オキソ-ノナノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アラキノドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アゼラオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;および1-パルミトイル-2-アセトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンから選択されるOxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、PGPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム脂質二重層内のOxPAPCは、0%~100%、またはその間の任意の範囲の合計脂質である。いくつかの実施形態では、リポソームは、目的の標的細胞上の表面抗原または他の分子に対して特異的親和性を有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に結合され、任意選択で、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に共有結合により結合される。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分はポリペプチドである。さらなる実施形態では、ターゲティング部分は抗体または抗原結合抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200個の、またはこれらの間の任意の範囲のターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、免疫刺激剤(1,6-ベータグルカンなど)をさらに含む。いくつかの実施形態では、リポソームは立体安定剤を含む。いくつかの実施形態では、立体安定剤は、ポリエチレングリコールである(すなわち、リポソームはペグ化されている)。いくつかの実施形態では、PEGは、200~5000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有する。さらなる実施形態では、リポソームは、アニオン性または中性である。いくつかの実施形態では、リポソームは、ゼロ以下のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、-150~0mV、-50~0mV、-40~0mV、-30~0mV、-25~0mV、-20~0mV、-10~0mV、-9~0mV、-8~0mV、-7~0mV、-6~0mV、-5~0mV、-4~0mV、-3~0mV、-2~0mV、-1~0mV、または-8~2mV、またはこれらの間の任意の範囲のゼータ電位を有する。他の実施形態では、リポソームは、カチオン性である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、ゼロより大きいゼータ電位を有するリポソームを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、0.2~150mV、1~50mV、1~40mV、1~30mV、1~25mV、1~20mV、1~15mV、1~10mV、1~5mV、2~10mV、3~10mV、4~10mV、または5~10mVの、またはこれらの間の任意の範囲であるゼータ電位を有する。
【0163】
いくつかの実施形態では、本開示は、リポソームにより封入される式:
Q-R1-ポリエンカロテノイド-R2-Qであって、式中、
ポリエンカロテノイドが、
(a)3、4、5、6、7、8、9、10、3~5、6~8、9~10個、または10個以上の共役二重結合、
(b)メチルまたは低アルキル(C2-C3)置換基、および
(c)1、2、3、または4個以上のイオン化可能基
を含み;
R1およびR2は、イオン化可能基であり;および
Qが、(a)多価対イオンまたは(b)一価カチオンである、
式を有するイオン化可能カロテノイドを含む医薬組成物を提供する。
【0164】
いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイドは、全てトランスの共役二重結合を含む。特定の実施形態では、ポリエンカロテノイドは、6~9個の共役二重結合を含む。ポリエンカロテノイドは、天然または合成であってよい。いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイドは、天然起源である。他の実施形態では、ポリエンカロテノイドは、合成である。いくつかの実施形態では、R1およびR2は、同じイオン化可能基である。他の実施形態では、R1およびR2は、異なるイオン化可能基である。いくつかの実施形態では、R1およびR2は、同じカチオン性イオン化可能基である。他の実施形態では、R1およびR2は、異なるカチオン基である。いくつかの実施形態では、R1およびR2は、同じアニオン性イオン化可能基である。他の実施形態では、R1およびR2は、異なるアニオン基である。いくつかの実施形態では、R1は、それぞれ、カチオン性イオン化可能基またはアニオン性イオン化可能基であり、R2は、アニオン性イオン化可能基またはカチオン基である。いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイドは、少なくとも1個のアニオン性イオン化可能基を含む。いくつかの実施形態では、ポリエンカロテノイドは、カルボキシル基、スルホネート基、サルフェート基、ホスホネート、リン酸基、およびヒドロキサメート部分から選択される少なくとも1個のイオン化可能基を含む。いくつかの実施形態では、R1は、カルボキシル基、スルホネート基、サルフェート基、ホスホネート、リン酸基、およびヒドロキサメート部分から選択される少なくとも1個のイオン化可能基である。いくつかの実施形態では、R2は、カルボキシル基、スルホネート基、サルフェート基、ホスホネート、リン酸基、およびヒドロキサメート部分から選択される少なくとも1個のイオン化可能基である。他の実施形態では、ポリエンカロテノイド-Qは、1個または複数のカチオン性イオン化可能基(例えば、一級、二級、または三級アミン基、四級アンモニウム基、コリン基、グアニジン基、またはイミダゾール基)を含む。特定の実施形態では、ポリエンカロテノイドは、少なくとも1個のカチオン性イオン化可能基を含み、医薬組成物は実質的に核酸不含である。
【0165】
いくつかの実施形態では、Qは多価対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは、多価カチオン対イオンである。さらなる実施形態では、Qは多価金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは多価遷移金属対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価カチオン対イオンである。さらなる実施形態では、Qは二価金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Cu2+、Co2+、およびFe2+から選択される少なくとも1つのメンバーである。さらなる実施形態では、QはCa2+またはMg2+である。さらなる実施形態では、QはCa2+である。いくつかの実施形態では、QはMg2+である。他の実施形態では、Qは、Fe3+などの三価カチオン対イオンである。他の実施形態では、Qは多価有機対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価有機カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは、プロトン化ジアミンなどの二価有機カチオンである。
【0166】
いくつかの実施形態では、Qは、一価カチオン対イオンである。さらなる実施形態では、Qは、Na+、またはLi+、またはK+から選択される少なくとも1つのメンバーである。いくつかの実施形態では、Qは有機対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは多価有機カチオンである。さらなる実施形態では、Qは、プロトン化ジアミンまたはプロトン化ポリアミンなどの二価有機カチオンである。他の実施形態では、Qは、NH4
+、プロトン化ジアミンまたはプロトン化ポリアミンなどの一価有機カチオンである。
【0167】
いくつかの実施形態では、リポソームは、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、10,000個未満、または5,000個未満のイオン化可能カロテノイド分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、10~100,000個、またはその間の任意の範囲の個数のイオン化可能カロテノイド分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物のイオン化可能カロテノイド/脂質比率は、1g/モル~1000g/モル、またはその間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイド/脂質比率は、10~150g/モル、10~100g/モル、30~200g/モル、40~200g/モル、または50~200g/モル、またはこれらの間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、リポソームは、少なくとも0.1%~97%のイオン化可能カロテノイドを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、20nm~500nm、20nm~200nm、または80nm~120nm、またはこれらの間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、リポソーム成分から形成される。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、アニオン性脂質および中性脂質の少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-マレイミド;HSPC;HSPC-PEG;コレステロール;コレステロール-PEG;およびコレステロール-マレイミドから選択される少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-FITC;DSPE-PEG-マレイミド;コレステロール;およびHSPCから選択される少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソームは、OxPAPCなどの酸化リン脂質をさらに含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、断片化酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、完全長酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、および/またはオメガアルデヒドまたはオメガカルボキシル基を有する五炭素sn-2残基を含む酸化リン脂質である、OxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、HOdiA-PC、KOdiA-PC、HOOA-PCおよびKOOA-PCから選択されるOxPAPCを含むか、またはOxPAPCはエポキシイソプロスタン含有リン脂質である。いくつかの実施形態では、リポソームは、1-パルミトイル-2-(5,6-エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(5,6PEIPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシシクロペンテノン)-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン(PECPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-4-ホスホコリン(PEIPC)、1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン(PGPC);1-パルミトイル-2-(9′オキソ-ノナノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アラキノドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アゼラオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;および1-パルミトイル-2-アセトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンから選択されるOxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、PGPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム脂質二重層内のOxPAPCは、0%~100%、またはその間の任意の範囲の合計脂質である。いくつかの実施形態では、リポソームは、目的の標的細胞上の表面抗原に対して特異的親和性を有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に結合され、任意選択で、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に共有結合により結合される。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分はポリペプチドである。さらなる実施形態では、ターゲティング部分は抗体または抗原結合抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200個の、またはこれらの間の任意の範囲のターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、免疫刺激剤(1,6-ベータグルカンなど)をさらに含む。いくつかの実施形態では、リポソームは立体安定剤を含む。いくつかの実施形態では、立体安定剤は、ポリエチレングリコールである(すなわち、リポソームはペグ化されている)。いくつかの実施形態では、PEGは、200~5000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有する。いくつかの実施形態では、リポソームのゼータ電位は、-150~150mV、または-50~50mVの範囲、またはこれらの間の任意の範囲のゼータ電位である。いくつかの実施形態では、リポソームは、カチオン性である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、ゼロより大きいゼータ電位を有するリポソームを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、0.2~150mV、1~50mV、1~40mV、1~30mV、1~25mV、1~20mV、1~15mV、1~10mV、1~5mV、2~10mV、3~10mV、4~10mV、または5~10mVの、またはこれらの間の任意の範囲であるゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、アニオン性または中性である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、ゼロ以下のゼータ電位を有するリポソームを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、-150~0mV、-50~0mV、-40~0mV、-30~0mV、-25~0mV、-20~0mV、-10~0mV、-9~0mV、-8~0mV、-7~0mV、-6~0mV、-5~0mV、-4~0mV、-3~0mV、-2~0mV、-1~0mV、または-8~2mVの、またはこれらの間の任意の範囲のゼータ電位を有する。
【0168】
いくつかの実施形態では、本開示は、リポソームにより封入される式:
Q-R1-ポリエンカロテノイド-R1-Qであって、式中、ポリエンカロテノイドが、
(a)3、4、5、6、7、8、9、10、3~5、6~8、9~10個、または10個以上の共役二重結合、
(b)メチルまたは低アルキル(C2-C3)置換基、および
(c)1、2、3、または4個以上のイオン化可能基
を含み;および
R1がイオン化可能基であり;および
Qが、(a)多価対イオンまたは(b)一価カチオンである、
式を有するイオン化可能ビスアルファオメガカロテノイドを含む医薬組成物を提供する。
【0169】
いくつかの実施形態では、R1-ポリエンカロテノイド-R1は、全てトランスの共役二重結合を含む。いくつかの実施形態では、R1-ポリエンカロテノイド-R1は、6~9個の共役二重結合を含む。特定の実施形態では、R1-ポリエンカロテノイド-R1は、7個の共役二重結合を含む。R1-ポリエンカロテノイド-R1は、天然または合成であってよい。いくつかの実施形態では、R1-ポリエンカロテノイド-R1は、天然起源である。他の実施形態では、R1-ポリエンカロテノイド-R1は、合成である。いくつかの実施形態では、R1はアニオン性イオン化可能基である。いくつかの実施形態では、R1-ポリエンカロテノイド-R1は、カルボキシル基、スルホネート基、サルフェート基、ホスホネート、リン酸基、およびヒドロキサメート部分から選択されるイオン化可能基を含む。他の実施形態では、R1は、カチオン性イオン化可能基(例えば、一級、二級、または三級アミン基、四級アンモニウム基、コリン基、グアニジン基、またはイミダゾール基)である。特定の実施形態では、R1は、カチオン性イオン化可能基であり、医薬組成物は実質的に核酸不含である。
【0170】
いくつかの実施形態では、Qは多価対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは、多価カチオン対イオンである。さらなる実施形態では、Qは多価金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは多価遷移金属対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価カチオン対イオンである。さらなる実施形態では、Qは二価金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Cu2+、Co2+、およびFe2+から選択される少なくとも1つのメンバーである。さらなる実施形態では、QはCa2+またはMg2+である。さらなる実施形態では、QはCa2+である。いくつかの実施形態では、QはMg2+である。他の実施形態では、Qは、Fe3+などの三価カチオン対イオンである。他の実施形態では、Qは多価有機対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価有機カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは、プロトン化ジアミンなどの二価有機カチオンである。
【0171】
いくつかの実施形態では、Qは、一価カチオン対イオンである。さらなる実施形態では、Qは、Na+、またはLi+、またはK+から選択される少なくとも1つのメンバーである。いくつかの実施形態では、Qは有機対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは多価有機カチオンである。さらなる実施形態では、Qは、プロトン化ジアミンまたはプロトン化ポリアミンなどの二価有機カチオンである。他の実施形態では、Qは、NH4
+、プロトン化ジアミンまたはプロトン化ポリアミンなどの一価有機カチオンである。
【0172】
いくつかの実施形態では、リポソームは、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、または10,000個未満のイオン化可能カロテノイド分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のイオン化可能カロテノイド分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物のイオン化可能カロテノイド/脂質比率は、1g/モル~1000g/モル、またはその間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイド/脂質比率は、10~150g/モル、10~100g/モル、30~200g/モル、40~200g/モル、または50~200g/モル、またはこれらの間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、リポソームは、少なくとも0.1%~97%のイオン化可能カロテノイドを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、20nm~500nm(ナノメートル)または20nm~200nmの、またはそれらの間の任意の範囲の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、80nm~120nmの、またはその間の任意の範囲の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、リポソーム成分から形成される。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、アニオン性脂質および中性脂質の少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-マレイミド;HSPC;HSPC-PEG;コレステロール;コレステロール-PEG;およびコレステロール-マレイミドから選択される少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-FITC;DSPE-PEG-マレイミド;コレステロール;およびHSPCから選択される少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソームは、OxPAPCなどの酸化リン脂質をさらに含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、断片化酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、完全長酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、および/またはオメガアルデヒドまたはオメガカルボキシル基を有する五炭素sn-2残基を含む酸化リン脂質である、OxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、HOdiA-PC、KOdiA-PC、HOOA-PCおよびKOOA-PCから選択されるOxPAPCを含むか、またはOxPAPCは、エポキシイソプロスタン含有リン脂質である。いくつかの実施形態では、リポソームは、1-パルミトイル-2-(5,6-エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(5,6PEIPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシシクロペンテノン)-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン(PECPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-4-ホスホコリン(PEIPC)、1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC);1-パルミトイル-2-(9′オキソ-ノナノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アラキノドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アゼラオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;および1-パルミトイル-2-アセトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンから選択されるOxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、PGPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム脂質二重層内のOxPAPCは、0%~100%の、またはその間の任意の範囲の合計脂質である。いくつかの実施形態では、リポソームは、目的の標的細胞上の表面抗原に対して特異的親和性を有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に結合され、任意選択で、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に共有結合により結合される。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分はポリペプチドである。さらなる実施形態では、ターゲティング部分は抗体または抗原結合抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200個の、またはこれらの間の任意の範囲のターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、免疫刺激剤(1,6-ベータグルカンなど)をさらに含む。いくつかの実施形態では、リポソームは立体安定剤を含む。いくつかの実施形態では、立体安定剤は、ポリエチレングリコールである(すなわち、リポソームはペグ化されている)。いくつかの実施形態では、PEGは、200~5000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有する。さらなる実施形態では、リポソームは、アニオン性または中性である。いくつかの実施形態では、リポソームは、ゼロ以下のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、-150~0mV、-50~0mV、-40~0mV、-30~0mV、-25~0mV、-20~0mV、-10~0mV、-9~0mV、-8~0mV、-7~0mV、-6~0mV、-5~0mV、-4~0mV、-3~0mV、-2~0mV、-1~0mV、または-8~2mVの、またはこれらの間の任意の範囲のゼータ電位を有する。他の実施形態では、リポソームは、カチオン性である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、ゼロより大きいゼータ電位を有するリポソームを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、0.2~150mV、1~50mV、1~40mV、1~30mV、1~25mV、1~20mV、1~15mV、1~10mV、1~5mV、2~10mV、3~10mV、4~10mV、または5~10mVの、またはこれらの間の任意の範囲であるゼータ電位を有する。
【0173】
いくつかの実施形態では、本開示は、リポソームにより封入される式:R1-ポリエンカロテノイド-R1であって、式中、
ビスアルファオメガカロテノイドが、
(a)3、4、5、6、7、8、9、10、3~5、6~8、9~10個、または10個以上の共役二重結合、および
(b)1、2、3、または4個以上のイオン化可能基
を含み;および
ポリエンカロテノイドが、1~n個のメチルまたは低C1-C3アルキル置換基で任意に置換されてよく、n=1~4であり;および
R1が、極性基および/または単環式官能基である、
式を有するビスアルファオメガカロテノイドを含む医薬組成物を提供する。
【0174】
いくつかの実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイドは、全てトランスの共役二重結合を含む。いくつかの実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイドは、6~9個の共役二重結合を含む。特定の実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイドは、7個の共役二重結合を含む。ビスアルファオメガカロテノイドは、天然または合成であってよい。いくつかの実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイドは、天然起源である。他の実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイドは、合成である。いくつかの実施形態では、R
1は極性基である。いくつかの実施形態では、R
1は単環式官能基である。いくつかの実施形態では、R
1は極性基であり、単環式官能基である。いくつかの実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイドは、アスタキサンチン、ルテイン、キサントフィルおよびゼアキサンチン中に存在する官能基から選択される単環式および/または極性官能基を含む。いくつかの実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイドは、アスタキサンチン、ルテイン、キサントフィルおよびゼアキサンチン(例えば、以下に示すような)から選択される。
【化9】
【0175】
いくつかの実施形態では、リポソームは、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、または10,000個未満のビスアルファオメガカロテノイド分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のビスアルファオメガカロテノイド分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物のビスアルファオメガカロテノイド/脂質比率は、1g/モル~1000g/モル、またはその間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、ビスアルファオメガカロテノイド/脂質比率は、10~150g/モル、10~100g/モル、30~200g/モル、40~200g/モル、または50~200g/モル、またはこれらの間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、リポソームは、少なくとも0.1%~97%のビスアルファオメガカロテノイドを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、20nm~500nm、または20nm~200nmの、またはこれらの間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、80nm~120nmの、またはその間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、リポソーム成分から形成される。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、アニオン性脂質および中性脂質の少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-マレイミド;HSPC;HSPC-PEG;コレステロール;コレステロール-PEG;およびコレステロール-マレイミドから選択される少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-FITC;DSPE-PEG-マレイミド;コレステロール;およびHSPCから選択される少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソームは、OxPAPCなどの酸化リン脂質をさらに含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、断片化酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、完全長酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、および/またはオメガアルデヒドまたはオメガカルボキシル基を有する五炭素sn-2残基を含む酸化リン脂質である、OxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、HOdiA-PC、KOdiA-PC、HOOA-PCおよびKOOA-PCから選択されるOxPAPCを含むか、またはOxPAPCはエポキシイソプロスタン含有リン脂質である。いくつかの実施形態では、リポソームは、1-パルミトイル-2-(5,6-エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(5,6PEIPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシシクロペンテノン)-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン(PECPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-4-ホスホコリン(PEIPC)、1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC);1-パルミトイル-2-(9′オキソ-ノナノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アラキノドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アゼラオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;および1-パルミトイル-2-アセトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンから選択されるOxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、PGPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム脂質二重層内のOxPAPCは、0%~100%の、またはその間の任意の範囲の合計脂質である。いくつかの実施形態では、リポソームは、目的の標的細胞上の表面抗原に対して特異的親和性を有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に結合され、任意選択で、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に共有結合により結合される。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分はポリペプチドである。さらなる実施形態では、ターゲティング部分は抗体または抗原結合抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200個の、またはこれらの間の任意の範囲のターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、免疫刺激剤(1,6-ベータグルカンなど)をさらに含む。いくつかの実施形態では、リポソームは立体安定剤を含む。いくつかの実施形態では、立体安定剤は、ポリエチレングリコールである(すなわち、リポソームはペグ化されている)。いくつかの実施形態では、PEGは、200~5000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有する。さらなる実施形態では、リポソームは、アニオン性または中性である。いくつかの実施形態では、リポソームは、ゼロ以下のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、-150~0mV、-50~0mV、-40~0mV、-30~0mV、-25~0mV、-20~0mV、-10~0mV、-9~0mV、-8~0mV、-7~0mV、-6~0mV、-5~0mV、-4~0mV、-3~0mV、-2~0mV、-1~0mV、または-8~2mVの、またはこれらの間の任意の範囲のゼータ電位を有する。他の実施形態では、リポソームは、カチオン性である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、ゼロより大きいゼータ電位を有するリポソームを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、0.2~150mV、1~50mV、1~40mV、1~30mV、1~25mV、1~20mV、1~15mV、1~10mV、1~5mV、2~10mV、3~10mV、4~10mV、または5~10mVの、またはこれらの間の任意の範囲であるゼータ電位を有する。
【0176】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、リポソームにより封入される式:Q-トランスクロセチン-Q
【化10】
であって、式中、
Qが、(a)多価対イオンまたは(b)一価カチオンである、式を有するトランスクロセチン塩を含む。
【0177】
いくつかの実施形態では、Qは、多価カチオン対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは多価金属カチオンである。さらなる実施形態では、Qは多価遷移金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価カチオン対イオンである。さらなる実施形態では、Qは二価金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Cu2+、Co2+、およびFe2+から選択される少なくとも1つのメンバーである。さらなる実施形態では、QはCa2+またはMg2+である。いくつかの実施形態では、QはCa2+である。いくつかの実施形態では、QはMg2+である。いくつかの実施形態では、Qは二価有機対イオンである。他の実施形態では、Qは、Fe3+などの三価カチオン対イオンである。他の実施形態では、Qは多価有機対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価有機カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは、プロトン化ジアミンなどの二価有機カチオンである。
【0178】
さらなる実施形態では、Qは一価カチオン対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは、一価金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは、Na+、Li+、またはK+から選択される少なくとも1つのメンバーである。いくつかの実施形態では、Qは有機カチオンである。さらなる実施形態では、Qは、プロトン化ジアミンまたはプロトン化ポリアミン(例えば、プロトン化ジアミンまたはプロトン化ポリアミン)などの一価有機カチオンである。さらなる実施形態では、Qは、NH4
+、プロトン化ジアミンまたはプロトン化ポリアミンなどの有機カチオンである。
いくつかの実施形態では、リポソームは、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、または10,000個未満のトランスクロセチン分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個の、またはこれらの間の任意の範囲の個数のトランスクロセチン分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物のトランスクロセチン/脂質比率は、1g/モル~1000g/モル、またはその間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、トランスクロセチン/脂質比率は、10~150g/モル、10~100g/モル、30~200g/モル、40~200g/モル、または50~200g/モル、またはこれらの間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、リポソームは、少なくとも0.1%~97%のトランスクロセチンを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、20nm~500nm、または20nm~200nmの、またはこれらの間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、80nm~120nmの、またはその間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、リポソーム成分から形成される。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、アニオン性脂質および中性脂質の少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-マレイミド;HSPC;HSPC-PEG;コレステロール;コレステロール-PEG;およびコレステロール-マレイミドから選択される少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-FITC;DSPE-PEG-マレイミド;コレステロール;およびHSPCから選択される少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソームは、OxPAPCなどの酸化リン脂質をさらに含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、断片化酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、完全長酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、および/またはオメガアルデヒドまたはオメガカルボキシル基を有する五炭素sn-2残基を含む酸化リン脂質である、OxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、HOdiA-PC、KOdiA-PC、HOOA-PCおよびKOOA-PCから選択されるOxPAPCを含むか、またはOxPAPCはエポキシイソプロスタン含有リン脂質である。いくつかの実施形態では、リポソームは、1-パルミトイル-2-(5,6-エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(5,6PEIPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシシクロペンテノン)-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン(PECPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-4-ホスホコリン(PEIPC)、1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC);1-パルミトイル-2-(9′オキソ-ノナノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アラキノドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アゼラオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;および1-パルミトイル-2-アセトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンから選択されるOxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、PGPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム脂質二重層内のOxPAPCは、0%~100%の、またはその間の任意の範囲の合計脂質である。いくつかの実施形態では、リポソームは、目的の標的細胞上の表面抗原に対して特異的親和性を有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に結合され、任意選択で、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に共有結合により結合される。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分はポリペプチドである。さらなる実施形態では、ターゲティング部分は抗体または抗原結合抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200個の、またはこれらの間の任意の範囲のターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、免疫刺激剤(1,6-ベータグルカンなど)をさらに含む。いくつかの実施形態では、リポソームは立体安定剤を含む。いくつかの実施形態では、立体安定剤は、ポリエチレングリコールである(すなわち、リポソームはペグ化されている)。いくつかの実施形態では、PEGは、200~5000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有する。さらなる実施形態では、リポソームは、アニオン性または中性である。いくつかの実施形態では、リポソームは、ゼロ以下のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、-150~0mV、-50~0mV、-40~0mV、-30~0mV、-25~0mV、-20~0mV、-10~0mV、-9~0mV、-8~0mV、-7~0mV、-6~0mV、-5~0mV、-4~0mV、-3~0mV、-2~0mV、-1~0mV、または-8~2mVの、またはこれらの間の任意の範囲のゼータ電位を有する。他の実施形態では、リポソームは、カチオン性である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、ゼロより大きいゼータ電位を有するリポソームを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、0.2~150mV、1~50mV、1~40mV、1~30mV、1~25mV、1~20mV、1~15mV、1~10mV、1~5mV、2~10mV、3~10mV、4~10mV、または5~10mVの、またはこれらの間の任意の範囲であるゼータ電位を有する。
【0179】
いくつかの実施形態では、本開示は、リポソームにより封入されるカルシウムトランスクロセチン(CTC)を含む医薬組成物を提供する。CTCは、直鎖および/または環型(以下に示す)で存在できる。
【化11】
【0180】
いくつかの実施形態では、リポソームは、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、または10,000個未満のトランスクロセチン分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個の、またはこれらの間の任意の範囲の個数のトランスクロセチン分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物のトランスクロセチン/脂質比率は、1g/モル~1000g/モル、またはその間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、トランスクロセチン/脂質比率は、10~150g/モル、10~100g/モル、30~200g/モル、40~200g/モル、または50~200g/モルの、またはこれらの間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、リポソームは、少なくとも0.1%~97%のトランスクロセチンを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、20nm~500nm、または20nm~200nmの、またはこれらの間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、80nm~120nmの、またはその間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、リポソーム成分から形成される。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、アニオン性脂質および中性脂質の少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-マレイミド;HSPC;HSPC-PEG;コレステロール;コレステロール-PEG;およびコレステロール-マレイミドから選択される少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-FITC;DSPE-PEG-マレイミド;コレステロール;およびHSPCから選択される少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソームは、OxPAPCなどの酸化リン脂質をさらに含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、断片化酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、完全長酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、および/またはオメガアルデヒドまたはオメガカルボキシル基を有する五炭素sn-2残基を含む酸化リン脂質である、OxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、HOdiA-PC、KOdiA-PC、HOOA-PCおよびKOOA-PCから選択されるOxPAPCを含むか、またはOxPAPCはエポキシイソプロスタン含有リン脂質である。いくつかの実施形態では、リポソームは、1-パルミトイル-2-(5,6-エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(5,6PEIPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシシクロペンテノン)-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン(PECPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-4-ホスホコリン(PEIPC)、1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC);1-パルミトイル-2-(9′オキソ-ノナノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アラキノドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アゼラオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;および1-パルミトイル-2-アセトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンから選択されるOxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、PGPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム脂質二重層内のOxPAPCは、0%~100%、またはその間の任意の範囲の合計脂質である。いくつかの実施形態では、リポソームは、目的の標的細胞上の表面抗原に対して特異的親和性を有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に結合され、任意選択で、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に共有結合により結合される。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分はポリペプチドである。さらなる実施形態では、ターゲティング部分は抗体または抗原結合抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200個の、またはこれらの間の任意の範囲のターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、500,000個未満、または200,000個未満のトランスクロセチン分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、10~100,000個の、またはその間の任意の範囲の個数のトランスクロセチン分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、免疫刺激剤(1,6-ベータグルカンなど)をさらに含む。いくつかの実施形態では、リポソームは立体安定剤を含む。いくつかの実施形態では、立体安定剤は、ポリエチレングリコールである(すなわち、リポソームはペグ化されている)。いくつかの実施形態では、PEGは、200~5000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有する。さらなる実施形態では、リポソームは、アニオン性または中性である。いくつかの実施形態では、リポソームは、ゼロ以下のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、-150~0mV、-50~0mV、-40~0mV、-30~0mV、-25~0mV、-20~0mV、-10~0mV、-9~0mV、-8~0mV、-7~0mV、-6~0mV、-5~0mV、-4~0mV、-3~0mV、-2~0mV、-1~0mV、または-8~2mVの、またはこれらの間の任意の範囲のゼータ電位を有する。他の実施形態では、リポソームは、カチオン性である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、ゼロより大きいゼータ電位を有するリポソームを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、0.2~150mV、1~50mV、1~40mV、1~30mV、1~25mV、1~20mV、1~15mV、1~10mV、1~5mV、2~10mV、3~10mV、4~10mV、または5~10mVの、またはこれらの間の任意の範囲であるゼータ電位を有する。
【0181】
いくつかの実施形態では、本開示は、リポソームにより封入されるマグネシウムトランスクロセチン(MTC)を含む医薬組成物を提供する。MTCは、直鎖および/または環型(以下に示す)で存在できる。
【化12】
【0182】
いくつかの実施形態では、リポソームは、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、または10,000個未満のトランスクロセチン分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または500~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のトランスクロセチン分子を含む。いくつかの実施形態では、トランスクロセチン/脂質比率は、10~150g/モル、10~100g/モル、30~200g/モル、40~200g/モル、または50~200g/モル、またはこれらの間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、リポソームは、少なくとも0.1%~97%のトランスクロセチンを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、20nm~500nm、または20nm~200nmの、またはこれらの間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、80nm~120nm、またはその間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、リポソーム成分から形成される。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、アニオン性脂質および中性脂質の少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-マレイミド;HSPC;HSPC-PEG;コレステロール;コレステロール-PEG;およびコレステロール-マレイミドから選択される少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-FITC;DSPE-PEG-マレイミド;コレステロール;およびHSPCから選択される少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソームは、OxPAPCなどの酸化リン脂質をさらに含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、断片化酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、完全長酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、および/またはオメガアルデヒドまたはオメガカルボキシル基を有する五炭素sn-2残基を含む酸化リン脂質である、OxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、HOdiA-PC、KOdiA-PC、HOOA-PCおよびKOOA-PCから選択されるOxPAPCを含むか、またはOxPAPCはエポキシイソプロスタン含有リン脂質である。いくつかの実施形態では、リポソームは、1-パルミトイル-2-(5,6-エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(5,6PEIPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシシクロペンテノン)-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン(PECPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-4-ホスホコリン(PEIPC)、1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC);1-パルミトイル-2-(9′オキソ-ノナノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アラキノドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アゼラオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;および1-パルミトイル-2-アセトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンから選択されるOxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、PGPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム脂質二重層内のOxPAPCは、0%~100%、またはその間の任意の範囲の合計脂質である。いくつかの実施形態では、リポソームは、目的の標的細胞上の表面抗原に対して特異的親和性を有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に結合され、任意選択で、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に共有結合により結合される。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分はポリペプチドである。さらなる実施形態では、ターゲティング部分は抗体または抗原結合抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200個の、またはこれらの間の任意の範囲のターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、免疫刺激剤(1,6-ベータグルカンなど)をさらに含む。いくつかの実施形態では、リポソームは立体安定剤を含む。いくつかの実施形態では、立体安定剤は、ポリエチレングリコールである(すなわち、リポソームはペグ化されている)。いくつかの実施形態では、PEGは、200~5000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有する。さらなる実施形態では、リポソームは、アニオン性または中性である。いくつかの実施形態では、リポソームは、ゼロ以下のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、-150~0mV、-50~0mV、-40~0mV、-30~0mV、-25~0mV、-20~0mV、-10~0mV、-9~0mV、-8~0mV、-7~0mV、-6~0mV、-5~0mV、-4~0mV、-3~0mV、-2~0mV、-1~0mV、または-8~2mVの、またはこれらの間の任意の範囲のゼータ電位を有する。他の実施形態では、リポソームは、カチオン性である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、ゼロより大きいゼータ電位を有するリポソームを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、0.2~150mV、1~50mV、1~40mV、1~30mV、1~25mV、1~20mV、1~15mV、1~10mV、1~5mV、2~10mV、3~10mV、4~10mV、または5~10mVの、またはこれらの間の任意の範囲であるゼータ電位を有する。
【0183】
いくつかの実施形態では、本開示は、式:Q-ノルビキシン-Q
【化13】
であって、式中、
Qが、多価カチオン対イオンである、式を有するトランスノルビキシンを含む医薬組成物を提供する。
【0184】
いくつかの実施形態では、Qは、多価カチオン対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは多価金属カチオンである。さらなる実施形態では、Qは多価遷移金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは二価カチオン対イオンである。さらなる実施形態では、Qは二価金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Cu2+、Co2+、およびFe2+から選択される少なくとも1つのメンバーである。さらなる実施形態では、QはCa2+またはMg2+である。いくつかの実施形態では、QはCa2+である。いくつかの実施形態では、QはMg2+である。いくつかの実施形態では、Qは、二価有機対イオンである。
いくつかの実施形態では、Qは、一価カチオン対イオンである。いくつかの実施形態では、Qは、一価金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Qは、Na+、Li+、またはK+から選択される少なくとも1つのメンバーである。いくつかの実施形態では、Qは有機カチオンである。さらなる実施形態では、Qは、プロトン化ジアミンまたはプロトン化ポリアミン(例えば、プロトン化ジアミンまたはプロトン化ポリアミン)などの一価有機カチオンである。さらなる実施形態では、Qは、NH4
+、プロトン化ジアミンまたはプロトン化ポリアミンなどの有機カチオンである。
【0185】
いくつかの実施形態では、リポソームは、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、または10,000個未満のトランスノルビキシン分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個の、またはこれらの間の任意の範囲の個数のトランスノルビキシン分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物のトランスノルビキシン/脂質比率は、1g/モル~1000g/モル、またはその間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、トランスノルビキシン/脂質比率は、10~150g/モル、10~100g/モル、30~200g/モル、40~200g/モル、または50~200g/モル、またはこれらの間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、リポソームは、少なくとも0.1%~97%のQ-ノルビキシン-Qを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、20nm~500nm、または20nm~200nmの、またはこれらの間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、80nm~120nmの、またはその間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、リポソーム成分から形成される。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、アニオン性脂質および中性脂質の少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-マレイミド;HSPC;HSPC-PEG;コレステロール;コレステロール-PEG;およびコレステロール-マレイミドから選択される少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-FITC;DSPE-PEG-マレイミド;コレステロール;およびHSPCから選択される少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソームは、OxPAPCなどの酸化リン脂質をさらに含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、断片化酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、完全長酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、および/またはオメガアルデヒドまたはオメガカルボキシル基を有する五炭素sn-2残基を含む酸化リン脂質である、OxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、HOdiA-PC、KOdiA-PC、HOOA-PCおよびKOOA-PCから選択されるOxPAPCを含むか、またはOxPAPCはエポキシイソプロスタン含有リン脂質である。いくつかの実施形態では、リポソームは、1-パルミトイル-2-(5,6-エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(5,6PEIPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシシクロペンテノン)-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン(PECPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-4-ホスホコリン(PEIPC)、1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC);1-パルミトイル-2-(9′オキソ-ノナノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アラキノドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アゼラオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;および1-パルミトイル-2-アセトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンから選択されるOxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、PGPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム脂質二重層内のOxPAPCは、0%~100%、またはその間の任意の範囲の合計脂質である。いくつかの実施形態では、リポソームは、目的の標的細胞上の表面抗原に対して特異的親和性を有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に結合され、任意選択で、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に共有結合により結合される。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分はポリペプチドである。さらなる実施形態では、ターゲティング部分は抗体または抗原結合抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200個の、またはこれらの間の任意の範囲のターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、免疫刺激剤(1,6-ベータグルカンなど)をさらに含む。いくつかの実施形態では、リポソームは立体安定剤を含む。いくつかの実施形態では、立体安定剤は、ポリエチレングリコールである(すなわち、リポソームはペグ化されている)。いくつかの実施形態では、PEGは、200~5000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有する。さらなる実施形態では、リポソームは、アニオン性または中性である。いくつかの実施形態では、リポソームは、ゼロ以下のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、-150~0mV、-50~0mV、-40~0mV、-30~0mV、-25~0mV、-20~0mV、-10~0mV、-9~0mV、-8~0mV、-7~0mV、-6~0mV、-5~0mV、-4~0mV、-3~0mV、-2~0mV、-1~0mV、または-8~2mVの、またはこれらの間の任意の範囲のゼータ電位を有する。他の実施形態では、リポソームは、カチオン性である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、ゼロより大きいゼータ電位を有するリポソームを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、0.2~150mV、1~50mV、1~40mV、1~30mV、1~25mV、1~20mV、1~15mV、1~10mV、1~5mV、2~10mV、3~10mV、4~10mV、または5~10mVの、またはこれらの間の任意の範囲であるゼータ電位を有する。
【0186】
いくつかの実施形態では、本開示は、リポソームにより封入されるカルシウムトランスノルビキシン(CTN)を含む医薬組成物を提供する。CTNは、直鎖および/または環型(以下に示す)で存在できる。
【化14】
【0187】
いくつかの実施形態では、リポソームは、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、または10,000個未満のトランスノルビキシン分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のトランスノルビキシン分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物のトランスノルビキシン/脂質比率は、1g/モル~1000g/モル、またはその間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、トランスノルビキシン/脂質比率は、10~150g/モル、10~100g/モル、30~200g/モル、40~200g/モル、または50~200g/モル、またはこれらの間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、リポソームは、少なくとも0.1%~97%のトランスノルビキシンを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、20nm~500nm、または20nm~200nmの、これらの間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、80nm~120nmの、またはこれらの間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、リポソーム成分から形成される。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、アニオン性脂質および中性脂質の少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-マレイミド;HSPC;HSPC-PEG;コレステロール;コレステロール-PEG;およびコレステロール-マレイミドから選択される少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-FITC;DSPE-PEG-マレイミド;コレステロール;およびHSPCから選択される少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソームは、OxPAPCなどの酸化リン脂質をさらに含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、断片化酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、完全長酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、および/またはオメガアルデヒドまたはオメガカルボキシル基を有する五炭素sn-2残基を含む酸化リン脂質である、OxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、HOdiA-PC、KOdiA-PC、HOOA-PCおよびKOOA-PCから選択されるOxPAPCを含むか、またはOxPAPCはエポキシイソプロスタン含有リン脂質である。いくつかの実施形態では、リポソームは、1-パルミトイル-2-(5,6-エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(5,6PEIPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシシクロペンテノン)-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン(PECPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-4-ホスホコリン(PEIPC)、1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC);1-パルミトイル-2-(9′オキソ-ノナノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アラキノドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アゼラオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;および1-パルミトイル-2-アセトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンから選択されるOxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、PGPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム脂質二重層内のOxPAPCは、0%~100%、またはその間の任意の範囲の合計脂質である。いくつかの実施形態では、リポソームは、目的の標的細胞上の表面抗原に対して特異的親和性を有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に結合され、任意選択で、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に共有結合により結合される。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分はポリペプチドである。さらなる実施形態では、ターゲティング部分は抗体または抗原結合抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200個の、またはこれらの間の任意の範囲のターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、免疫刺激剤(1,6-ベータグルカンなど)をさらに含む。いくつかの実施形態では、リポソームは立体安定剤を含む。いくつかの実施形態では、立体安定剤は、ポリエチレングリコールである(すなわち、リポソームはペグ化されている)。いくつかの実施形態では、PEGは、200~5000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有する。さらなる実施形態では、リポソームは、アニオン性または中性である。いくつかの実施形態では、リポソームは、ゼロ以下のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、-150~0mV、-50~0mV、-40~0mV、-30~0mV、-25~0mV、-20~0mV、-10~0mV、-9~0mV、-8~0mV、-7~0mV、-6~0mV、-5~0mV、-4~0mV、-3~0mV、-2~0mV、-1~0mV、または-8~2mVの、またはこれらの間の任意の範囲のゼータ電位を有する。他の実施形態では、リポソームは、カチオン性である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、ゼロより大きいゼータ電位を有するリポソームを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、0.2~150mV、1~50mV、1~40mV、1~30mV、1~25mV、1~20mV、1~15mV、1~10mV、1~5mV、2~10mV、3~10mV、4~10mV、または5~10mVの、またはこれらの間の任意の範囲であるゼータ電位を有する。
【0188】
いくつかの実施形態では、本開示は、リポソームにより封入されるマグネシウムトランスノルビキシン(MTN)を含む医薬組成物を提供する。MTNは、直鎖および/または環型(以下に示す)で存在できる。
【化15】
【0189】
いくつかの実施形態では、リポソームは、6,000,000個未満、500,000個未満、200,000個未満、100,000個未満、50,000個未満、または10,000個未満のトランスノルビキシン分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、10~100,000個、100~10,000個、または1,000~5,000個、またはこれらの間の任意の範囲の個数のトランスノルビキシン分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物のトランスノルビキシン/脂質比率は、1g/モル~1000g/モル、またはその間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、トランスノルビキシン/脂質比率は、10~150g/モル、10~100g/モル、30~200g/モル、40~200g/モル、または50~200g/モル、またはこれらの間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、リポソームは、少なくとも0.1%~97%のトランスノルビキシンを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、20nm~500nm、または20nm~200nmの、またはこれらの間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、80nm~120nmの、またはその間の任意の範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、リポソーム成分から形成される。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、アニオン性脂質および中性脂質の少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-マレイミド;HSPC;HSPC-PEG;コレステロール;コレステロール-PEG;およびコレステロール-マレイミドから選択される少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-FITC;DSPE-PEG-マレイミド;コレステロール;およびHSPCから選択される少なくとも1種を含む。さらなる実施形態では、リポソームは、OxPAPCなどの酸化リン脂質をさらに含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、断片化酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、完全長酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、および/またはオメガアルデヒドまたはオメガカルボキシル基を有する五炭素sn-2残基を含む酸化リン脂質である、OxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、HOdiA-PC、KOdiA-PC、HOOA-PCおよびKOOA-PCから選択されるOxPAPCを含むか、またはOxPAPCはエポキシイソプロスタン含有リン脂質である。いくつかの実施形態では、リポソームは、1-パルミトイル-2-(5,6-エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(5,6PEIPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシシクロペンテノン)-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン(PECPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシイソプロスタン E2)-sn-グリセロ-4-ホスホコリン(PEIPC)、1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC);1-パルミトイル-2-(9′オキソ-ノナノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アラキノドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アゼラオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;および1-パルミトイル-2-アセトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンから選択されるOxPAPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、PGPCを含む。いくつかの実施形態では、リポソーム脂質二重層内のOxPAPCは、0%~100%、またはその間の任意の範囲の合計脂質である。いくつかの実施形態では、リポソームは、目的の標的細胞上の表面抗原に対して特異的親和性を有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に結合され、任意選択で、ターゲティング部分は、リポソームのPEGおよび外面の片方または両方に共有結合により結合される。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分はポリペプチドである。さらなる実施形態では、ターゲティング部分は抗体または抗原結合抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200個の、またはこれらの間の任意の範囲のターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、500,000個未満、または200,000個未満のトランスノルビキシン分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、10~100,000個、またはその間の任意の範囲の個数のトランスノルビキシン分子を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、免疫刺激剤(1,6-ベータグルカンなど)をさらに含む。いくつかの実施形態では、リポソームは立体安定剤を含む。いくつかの実施形態では、立体安定剤は、ポリエチレングリコールである(すなわち、リポソームはペグ化されている)。いくつかの実施形態では、PEGは、200~5000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有する。さらなる実施形態では、リポソームは、アニオン性または中性である。いくつかの実施形態では、リポソームは、ゼロ以下のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、-150~0mV、-50~0mV、-40~0mV、-30~0mV、-25~0mV、-20~0mV、-10~0mV、-9~0mV、-8~0mV、-7~0mV、-6~0mV、-5~0mV、-4~0mV、-3~0mV、-2~0mV、-1~0mV、または-8~2mVの、またはこれらの間の任意の範囲のゼータ電位を有する。他の実施形態では、リポソームは、カチオン性である。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物は、ゼロより大きいゼータ電位を有するリポソームを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、0.2~150mV、1~50mV、1~40mV、1~30mV、1~25mV、1~20mV、1~15mV、1~10mV、1~5mV、2~10mV、3~10mV、4~10mV、または5~10mVの、またはこれらの間の任意の範囲であるゼータ電位を有する。
【0190】
製剤および投与
提供される組成物は、全体的にまたは一部を医薬組成物として処方できる。医薬組成物は、1種または複数のナノ粒子組成物を含み得る。例えば、医薬組成物は、1種または複数の異なる治療薬および/または予防薬を含む1種または複数のナノ粒子組成物を含み得る。医薬組成物は、本明細書で記載のものなどの1種または複数種の薬学的に許容可能な賦形剤または補助成分をさらに含み得る。医薬組成物および薬剤の処方および製造のための一般的ガイドラインは、例えば、Remington’s The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,A.R.Gennaro;Lippincott,Williams & Wilkins,Baltimore,Md.,2006中に記載されるものを利用できる。いずれかの従来の賦形剤または補助成分がナノ粒子組成物の1種または複数の成分と適合しない場合を除き、従来の賦形剤および補助成分を、任意の医薬組成物で使用し得る。賦形剤または補助成分は、この成分とのその組み合わせが何らかの望ましくない生物学的作用あるいは有害作用を生じ得る場合、ナノ粒子組成物の成分と適合しない可能性がある。
【0191】
いくつかの実施形態では、1種または複数の賦形剤または補助成分は、ナノ粒子組成物を含む医薬組成物の合計質量または体積の50%超を構成し得る。例えば、1種または複数の賦形剤または補助成分は、医薬組成物の、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ超を構成する。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な賦形剤は、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%純粋である。いくつかの実施形態では、賦形剤は、ヒトでの使用および獣医学的使用が認可されている。いくつかの実施形態では、賦形剤は、米国食品医薬品局により認可されている。いくつかの実施形態では、賦形剤は医薬品グレードである。いくつかの実施形態では、賦形剤は、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)、英国薬局方、および/または国際薬局方の基準を満たす。
【0192】
リポソームを製造する標準的方法は、限定されないが、Liposomes:A Practical Approach,V.P.Torchilin,Volkmar Weissig Oxford University Press,2003で報告された方法を含み、当該技術分野においてよく知られている。
【0193】
いくつかの実施形態では、本開示は、リポソーム組成物および生理学的に(すなわち、薬学的に)許容可能な担体を提供する。本明細書で使用される場合、「担体」という用語は、治療薬などの薬物のための希釈剤またはビークルとして使われる通常は不活性な物質を指す。この用語はまた、組成物に接着特性を付与する通常は不活性な物質を包含する。通常、生理学的に許容可能な担体は、液体形態で存在する。液体担体の例としては、生理食塩水、リン酸緩衝液、標準緩衝食塩水(135~150mM NaCl)、水、緩衝水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシン、高められた安定性を得るための糖タンパク質(例えば、アルブミン、リポタンパク質、グロブリン、など)、などが挙げられる。生理学的に許容可能な担体は、一部には投与される特定の組成物により、ならびに組成物を投与するのに使われる特定の方法により、決定されるので、本明細書で提供される多種多様な好適な医薬組成物の配合物が存在する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,1989)。
【0194】
提供される組成物は、従来の既知の滅菌技術で滅菌され得、または無菌条件下で製造され得る。水溶液は、使用のためにパッケージ化され、または無菌条件下で濾過および凍結乾燥されてよく、凍結乾燥製剤は、投与の前に、無菌の水溶液と混合される。組成物は、pH調整剤および緩衝剤、浸透圧調節剤、湿潤剤など、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウラート、およびオレイン酸トリエタノールアミンなどの、おおよその生理的条件に必要とされる薬学的に許容可能な補助物質を含み得る。糖類も、凍結乾燥したリポソーム組成物のための安定化剤として、組成物を安定化するために含めることができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、等張化剤を、0.1%より大きい濃度で、または0.3%~2.5%、0.5%~2.0%、0.5%~1.5%、0.5%~1.5%、0.6%~1.1%、またはこれらの間の任意の範囲の濃度で含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、デキストロース、マンニトール、グリセロール、塩化カリウム、または塩化ナトリウムなどの等張化剤を含む。さらなる実施形態では、医薬組成物は、デキストロース、マンニトール、グリセロール、塩化カリウム、または塩化ナトリウムを、0.1%より大きい濃度で、または0.3%~2.5%、0.5%~2.0%、0.5%~1.5%、0.5%~1.5%、0.6%~1.1%、またはこれらの間の任意の範囲の濃度で含む。
【0195】
非経口投与、例えば関節内(関節中に)、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、および皮下経路に適する製剤は、水性および非水性の、等張性無菌注入溶液を含み、これは抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および製剤を目的のレシピエントの血液と等張にする溶質、および沈殿防止剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤および防腐剤を含み得る水性および非水性の無菌懸濁液を含み得る。注射溶液および懸濁液は、無菌粉末、粒子および錠剤から作製することもできる。いくつかの実施形態では、提供されるリポソーム組成物は、例えば、静脈内注入により、局所に、腹腔内に、膀胱内に、またはくも膜下腔内に投与される。特定の実施形態では、リポソーム組成物は、非経口でまたは静脈内に投与される。好ましくは、医薬リポソーム組成物は、非経口で、すなわち、関節腔内に、静脈内に、皮下に、または筋肉内に投与される。他の実施形態では、医薬製剤は、局所に投与され得る。
【0196】
いくつかの実施形態では、提供される医薬組成物(例えば、リポソーム組成物)は、アンプルおよびバイアルなどの単位用量または複数用量の密閉容器中で提供できる。
【0197】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、単位剤形で投与される。このような形態では、製剤は、適切な量の活性成分、例えば、リポソーム組成物、を含む単位用量に分割される。単位剤形は、パッケージ化された製剤であり得、パッケージは、離散量の製剤を含む。組成物はまた、必要に応じ、他の適合性のある治療薬(例えば、本明細書に記載のような)も含み得る。
【0198】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物中の利用される治療薬および/または診断薬を含むリポソーム組成物は、毎日、約0.001mg/kg~約1000mg/kgの初期投与量で投与できる。約0.01mg/kg~約500mg/kg、または約0.1mg/kg~約200mg/kg、または約1mg/kg~約100mg/kg、または約10mg/kg~約50mg/kgの1日用量範囲を使用できる。しかし、投薬用量は、患者の必要性、治療する状態の重篤度、および使用する化合物に依存して変動し得る。例えば、投与量は、特定の患者で診断された疾患、障害または状態のタイプおよびステージを考慮して、経験的に決定できる。提供される医薬組成物(例えば、リポソーム組成物)の場合、患者に投与される投与量は、経時的に患者の有益な治療応答に影響を与えるのに十分な量であるべきである。投与量の大きさはまた、存在、性質、および特定の患者における特定のリポソーム組成物の投与に付随する何らかの有害の程度によっても決定される。特定の状況に対する適切な投与量の決定は、開業医の技能の範囲内にある。通常、治療は、リポソーム組成物の最適用量未満のより少ない投与量から開始される。その後、このような状況下で最適効果が得られるまで、投与量を小さい増分で増やす。便宜上、必要に応じ、全1日投与量を分割し、1日の間で少しずつ分けて投与してよい。
【0199】
リポソーム充填
提供されるカロテノイド組成物は、能動的または受動的充填法を用いてリポソーム中に充填できる。
【0200】
いくつかの実施形態では、本開示は、イオン化可能クロセチンを含むリポソーム組成物(例えば、項目[1]~[97])の作製方法を提供し、
方法は、
(a)溶液中でリポソーム成分を含む混合物を形成すること;
(b)溶液中で混合物をホモジナイズしてリポソームを形成すること;および
(c)混合物を処理してイオン化可能カロテノイドを含むリポソームを形成すること、
を含む。
【0201】
いくつかの実施形態では、処理ステップは、薄膜水和、押し出し、インライン混合、エタノール注入技術、凍結融解法、逆相蒸発法、動的高圧マイクロ流動化、マイクロ流体混合、二重エマルジョン、凍結乾燥二重エマルジョン、3Dプリンティング、膜コンタクター法、および撹拌の1つまたは複数のステップを含む。いくつかの実施形態では、処理ステップは、押し出し、高圧マイクロ流動化、および/または超音波処理の1つまたは複数のステップにより上記リポソームのサイズを変更する1つまたは複数のステップを含む。
【0202】
いくつかの実施形態では、本開示は、可溶性アセテート金属塩勾配(酢酸カルシウムまたは酢酸マグネシウム)を用いてカロテノイド塩をリポソーム製剤内で生成する能動的充填法を提供する。
【0203】
本開示に従い用いられる多価対イオンは、本明細書で記載の技術または当該技術分野で既知の別の方法でリポソーム中に封入できる。これは、以下で記載の受動的封入技術または当該技術分野で既知の別の技術を含む。
【0204】
いくつかの実施形態では、本開示は、医薬組成物の作製方法を提供し、方法は、
(a)多価金属の弱酸塩中でリポソームを含むリポソーム溶液を作製すること;
(b)イオン化可能カロテノイドをリポソーム溶液に添加すること;および
(c)カロテノイドをリポソーム中に充填するために十分な時間にわたりリポソーム溶液中でイオン化可能カロテノイドを保持すること
を含む。
【0205】
いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドは、項目[1]~[28]のいずれか1項に記載の組成物中のイオン化可能カロテノイドである(例えば、トランスクロセチンおよびトランスノルビキシン)。いくつかの実施形態では、カロテノイドは、
図1A~1Dのいずれかで開示されるカロテノイドである。いくつかの実施形態では、弱酸は、酢酸、グルコン酸、酒石酸、グルタミン酸、クエン酸、ギ酸、およびグリシン酸から選択される。いくつかの実施形態では、多価金属の弱酸塩は、0mM~2000mM、または50mM~500mM、またはこれらの間の任意の範囲の濃度で使用される。いくつかの実施形態では、多価金属は、Ca
2+、Mg
2+、Zn
2+、Cu
2+、Co
2+、およびFe
2+ならびにFe
3+から選択される。いくつかの実施形態では、弱酸は酢酸であり、多価金属はCa
2+である(すなわち、多価金属の弱酸塩は、酢酸カルシウムである)。いくつかの実施形態では、弱酸は酢酸であり、多価金属はMg
2+である(すなわち、多価金属の弱酸塩は、酢酸マグネシウムである)。提供される方法により作製される医薬組成物もまた、本開示に包含される。リポソーム溶液は、好ましくは緩衝液である。しかし、任意の好適な溶媒を使用して、提供される組成物を作製および使用し得ると理解される。好ましいリポソーム溶液は、ほぼ生理学的pHでのpHを有し、生理学的pHを含む緩衝範囲を有する緩衝液を含む。リポソーム溶液のための好適な緩衝液の非限定的例は、HEPES(例えば、5mM HEPES緩衝生理食塩水pH6.5)である。この方法により作製される医薬組成物もまた、本開示に包含される。
【0206】
提供される方法に従い用いられる多価金属は、当該技術分野で既知の従来技術によりリポソーム中に封入できる。これらの方法は、本明細書で記載の受動的封入技術または当該技術分野で既知の別の技術を含む。トランスクロセチンなどのイオン化可能カロテノイドの充填は、イオン化可能カロテノイドを適切な温度下にて、リポソーム溶液中で適切な時間保持することにより達成され得る。リポソームの組成、および温度、pH、およびイオン化可能カロテノイドの化学的性質に応じて、イオン化可能カロテノイドの充填は、数分または数時間の時間をかけて起こり得る。いくつかの実施形態では、充填は、例えば、0℃~95℃、または20℃~75℃、またはこれらの間の任意の範囲、好ましくは約40℃~約80℃、またはその間の任意の範囲の温度で実施される。
いくつかの実施形態では、本開示は、(d)封入されていないイオン化可能カロテノイドを、(c)により作製されたリポソーム配合物から除去するステップ、をさらに提供する。いくつかの実施形態では、この除去は、リポソーム配合物を、第2の緩衝水溶液で平衡化したゲル濾過カラムを通すこと、遠心分離、または透析、または関連する技術により実施される。封入されていないイオン化可能カロテノイドの除去後に、イオン化可能カロテノイド充填量の程度を、従来技術に従うイオン化可能カロテノイドおよび脂質レベルの測定により決定し得る。脂質および薬物濃度を、シンチレーション測定、分光学的定量法、および高速液体クロマトグラフィーなどの当該技術分野で既知の任意の好適な方法を使用して決定し得る。封入されていないカロテノイドおよび酢酸ナトリウムなどの対イオンを除去するためのリポソーム配合物溶液の置換は、限定されないが、第2の緩衝水溶液と平衡化した拡張ゲル濾過カラムによるリポソーム配合物のクロマトグラフィー、遠心分離、拡張または反復透析、リポソーム配合物の交換、リポソーム配合物のキレート化剤による処理、または関連技術を含む当該技術分野で既知の種々の技術のいずれかを使用して実現できる。提供される方法により作製される医薬組成物もまた、本開示に包含される。
【0207】
いくつかの実施形態では、本開示は、医薬組成物の作製方法を提供し、方法は、
(a)多価金属の弱酸塩中でリポソームを含むリポソーム溶液を作製すること;
(b)トランスクロセチンをリポソーム溶液に添加すること;および
(c)カロテノイドをリポソーム中に充填するために十分な時間にわたりリポソーム溶液中でイオン化可能カロテノイドを保持すること
を含む。
【0208】
いくつかの実施形態では、弱酸は、酢酸、グルコン酸、酒石酸、グルタミン酸、クエン酸、ギ酸、およびグリシン酸から選択される。いくつかの実施形態では、多価金属の弱酸塩は、0mM~2000mM、または50mM~500mM、またはこれらの間の任意の範囲の濃度で使用される。いくつかの実施形態では、多価金属は、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Cu2+、Co2+、およびFe2+、およびFe3+から選択される。いくつかの実施形態では、弱酸は酢酸であり、多価金属はCa2+である(すなわち、多価金属の弱酸塩は、酢酸カルシウムである)。いくつかの実施形態では、弱酸は酢酸であり、多価金属はMg2+である(すなわち、多価金属の弱酸塩は、酢酸マグネシウムである)。方法により作製される医薬組成物もまた、本開示に包含される。リポソーム溶液は、好ましくは緩衝液である。しかし、任意の好適な溶媒を使用して、提供される組成物および方法を実施し得ると理解される。好ましいリポソーム溶液は、ほぼ生理学的pHでのpHを有し、生理学的pHを含む緩衝範囲を有する緩衝液を含む。リポソーム溶液のための好適な緩衝液の非限定的例は、5mM HEPES緩衝生理食塩水pH6.5である。方法により作製される医薬組成物もまた、本開示に包含される。
【0209】
トランスクロセチンの充填は、トランスクロセチンを適切な温度下にて、リポソーム溶液中で適切な時間保持することにより達成され得る。リポソームの組成、および温度、pH、およびトランスクロセチンの化学的性質に応じて、トランスクロセチンの充填は、数分または数時間の時間をかけて起こり得る。いくつかの実施形態では、充填は、例えば、0℃~95℃、または20℃~75℃、またはこれらの間の任意の範囲、好ましくは約40℃~約80℃の温度で実施される。
【0210】
いくつかの実施形態では、本開示は、(d)封入されていないトランスクロセチンを、(c)により作製されたリポソーム配合物から除去するステップ、をさらに提供する。いくつかの実施形態では、この除去は、リポソーム配合物を、第2の緩衝水溶液で平衡化したゲル濾過カラムを通過させることにより、または遠心分離、透析、または関連する技術により、実施される。封入されていないトランスクロセチンの除去後に、トランスクロセチン充填量の程度を、従来技術に従うトランスクロセチンおよび脂質レベルの測定により決定し得る。脂質および薬物濃度を、シンチレーション測定、分光学的定量法、および高速液体クロマトグラフィーなどの当該技術分野で既知の任意の好適な方法を採用することにより決定し得る。封入されていないトランスクロセチンおよび酢酸ナトリウムなどの対イオンを除去するためのリポソーム配合物溶液の置換は、限定されないが、第2の緩衝水溶液と平衡化した拡張ゲル濾過カラムによるリポソーム配合物のクロマトグラフィー、遠心分離、拡張または反復透析、リポソーム配合物の交換、リポソーム配合物のキレート化剤による処理、または関連技術を含む当該技術分野で既知の種々の技術のいずれかを使用して実現できる。提供される方法により作製される医薬組成物もまた、本開示に包含される。
【0211】
提供される方法により作製されるイオン化可能カロテノイド塩を含む医薬組成物もまた、本開示に包含される。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドは、項目[1]~[28]のいずれか1項に記載の組成物中のイオン化可能カロテノイドである(例えば、トランスクロセチンおよびトランスノルビキシン)。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドは、
図1A~1Dのいずれかで開示されるカロテノイドである。いくつかの実施形態では、本開示は、イオン化可能カロテノイドを封入するリポソームを含む医薬組成物を提供し、イオン化可能カロテノイドは、リポソーム内多価対イオン(例えば、Ca
2+、Mg
2+、Zn
2+、Cu
2+、Co
2+、およびFe
2+、ならびにFe
3+)の存在下でリポソーム中に充填される。いくつかの実施形態では、多価対イオンは、Ca
2+を含む。いくつかの実施形態では、多価対イオンは、Mg
2+を含む。いくつかの実施形態では、多価対イオンは、Fe
3+を含む。
【0212】
いくつかの実施形態では、本開示は、トランスクロセチンを封入するリポソームを含む医薬組成物を提供し、トランスクロセチンは、リポソーム内多価対イオン(例えば、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Cu2+、Co2+、およびFe2+、ならびにFe3+)の存在下でリポソーム中に充填される。いくつかの実施形態では、多価対イオンは、Ca2+を含む。いくつかの実施形態では、多価対イオンは、Mg2+を含む。いくつかの実施形態では、多価対イオンは、Fe3+を含む。
【0213】
治療および使用の方法
リポソーム組成物などの提供される医薬組成物には、限定されないが、HIV/AIDS:ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)、結核、マラリアなどの感染症および感染性疾患、および脳マラリア、重度貧血、アシドーシス、急性腎不全およびARDSなどのその合併症;敗血症、炎症(例えば、慢性炎症性疾患)、虚血(虚血性脳卒中、冠動脈疾患、末梢血管疾患、脳血管疾患、腎臓病態関連虚血、および創傷関連虚血などの虚血状態を含む);ショック(例えば、出血性ショック)、脳卒中、心臓血管疾患、腎臓病態、創傷治癒、代謝疾患、癌などの過剰増殖性疾患および免疫系、心臓血管系、消化、神経、呼吸および内分泌系の障害を含む疾患および障害の以前の治療を上回る進歩をもたらす用途がある。いくつかの実施形態では、本開示は、治療または予防を必要としている対象において疾患、障害または状態を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。対象における疾患、障害または状態の治療のための薬物の製造における、本明細書で提供される医薬組成物(項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)の使用も本明細書で提供される。同様に、医用薬物として使用するための項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物も本明細書で提供される。
【0214】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療または予防を必要としている対象における内毒血症に関連する疾患、障害または状態を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療または予防を必要としている対象における敗血症に関連する疾患、障害または状態を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象は、低悪性度の内毒素血症を有する。
【0216】
いくつかの実施形態では、本開示は、敗血症を発症する危険のある対象を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象は、免疫無防備状態であるか、または免疫抑制されている。いくつかの実施形態では、対象は、重病である。いくつかの実施形態では、対象は、高齢者または新生児である。いくつかの実施形態では、対象は、発熱性好中球減少症である。いくつかの実施形態では、対象は、感染症を有する。
【0217】
いくつかの実施形態では、本開示は、火傷患者である対象における火傷に関連する疾患、障害または状態を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、治療または予防を必要としている対象における感染症に関連する疾患、障害または状態を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、感染症は、細菌感染症(例えば、緑膿菌感染症、黄色ブドウ球菌感染症(例えば、MRSA)、結核菌感染症、腸球菌感染症(例えば、VRE))、またはそれに関連する状態である。いくつかの実施形態では、感染症は真菌感染症(例えば、侵襲性カンジダ症などのカンジダ症感染症)またはそれに関連する状態である。いくつかの実施形態では、感染症は寄生虫感染症(例えば、住血吸虫症、およびヒトアフリカトリパノソーマ症)またはそれに関連する状態である。いくつかの実施形態では、感染症はマラリア、または脳マラリア、重度貧血、アシドーシス、急性腎不全およびARDSなどのそれに関連する状態である。いくつかの実施形態では、感染症は、インフルエンザ、はしか、およびウイルス性出血熱などの、ウイルス感染症(例えば、エボラ、デング熱およびマールブルグ病)、またはそれに関連する状態である。
【0218】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療または予防を必要としている対象における虚血または低酸素症に関連する疾患、障害または状態を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、虚血または低酸素症に関連する疾患または状態は、手術または外傷性傷害に関連する。いくつかの実施形態では、疾患または状態は、虚血再潅流障害、一時的脳虚血、脳虚血再灌流、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、外傷性脳損傷、片頭痛(例えば、慢性片頭痛または重度片頭痛障害)、消化管虚血、腎疾患、肺塞栓症、急性呼吸不全、新生児呼吸促迫症候群、周産期併存症を減らすための産科救急事態(例えば、子癇前症/子癇および脳性麻痺に至る状態)、心筋梗塞、急性肢虚血または腸間膜虚血、心臓性肝硬変、慢性末梢血管疾患、うっ血性心不全、アテローム硬化性狭窄、貧血、血栓症、塞栓症、黄斑変性症、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、および筋萎縮性側索硬化症(ALS))、睡眠時無呼吸症、および手術または外傷性傷害)である。いくつかの実施形態では、虚血または低酸素症に関連する疾患または状態は、心筋梗塞、または心臓性肝硬変を伴うまたは伴わないうっ血性心不全である。いくつかの実施形態では、疾患または状態は、肺塞栓症、急性呼吸不全、末梢血管疾患、アテローム硬化性狭窄、貧血、血栓症、または塞栓症である。いくつかの実施形態では、虚血または低酸素症に関連する疾患または状態は、黄斑変性症または低酸素に関連する腫瘍状態である。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、腎疾患である。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、リポ多糖類薬物または毒素誘導急性腎損傷(AKI)または末期腎疾患である。
【0219】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療または予防を必要としている対象におけるショックに関連する疾患、障害または状態を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、心臓性ショックに関連する。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、血液量減少性ショックに関連する。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、敗血性ショックまたは他の形態の血液分布異常性ショックに関連する。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、神経原性ショックに関連する。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、アナフィラキシーショックに関連する。
【0220】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療または予防を必要としている対象における一酸化窒素欠損症に関連する疾患、障害または状態を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、鎌状赤血球症、発作性夜間血色素尿症(PNH)、溶血性貧血、地中海貧血症、別の赤血球障害、またはそれに関連する状態である。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、特発性血小板減少症(ITP)、および別の血小板障害などの紫斑病、またはそれに関連する状態である。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、播種性血管内凝固異常症(DIC)、電撃性紫斑病、ヘパリン誘導血小板減少症(HIT)、白血球増加症、過粘稠度症候群などの凝血異常、またはそれに関連する状態である。
【0221】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療または予防を必要としている対象における炎症に関連する疾患、障害または状態を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、炎症に関連する疾患または障害は、低悪性度の炎症に関連する。いくつかの実施形態では、炎症に関連する疾患または障害は、全身性炎症に関連する。いくつかの実施形態では、炎症に関連する疾患または障害は、急性炎症または慢性炎症性疾患に関連する。
【0222】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療または予防を必要としている対象における心臓血管の疾患または状態に関連する疾患、障害または状態を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、心臓血管の疾患または障害は、冠動脈疾患である。いくつかの実施形態では、心臓血管の疾患または状態は、心筋梗塞、心臓性突然死、心肺停止、高血圧、肺動脈性肺高血圧症、アテローム性動脈硬化症、閉塞性動脈疾患、レイノー病、末梢血管疾患;バージャー病、高安動脈炎、および蘇生後症候群(PCAS)などの他の血管障害;慢性静脈不全、心臓疾患、うっ血性心不全、または慢性皮膚潰瘍である。
【0223】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療または予防を必要としている対象における肝臓の疾患または状態に関連する疾患、障害または状態を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、肝臓の疾患または障害は、肝硬変である。いくつかの実施形態では、肝臓の疾患または障害は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。いくつかの実施形態では、肝臓の疾患または状態は、アルコール性肝疾患である。いくつかの実施形態では、肝臓の疾患または状態は、急性肝損傷である。
【0224】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療または予防を必要としている対象における肺の疾患または状態に関連する疾患、障害または状態を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、肺の疾患または状態は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)である。いくつかの実施形態では、肺の疾患または状態は、慢性閉塞性肺疾患である。いくつかの実施形態では、肺の疾患または状態は、肺線維症である。いくつかの実施形態では、肺の疾患または状態は、肺出血である。いくつかの実施形態では、肺の疾患または状態は、喘息である。いくつかの実施形態では、肺の疾患または状態は、肺損傷である。いくつかの実施形態では、肺の疾患または状態は、肺癌である。いくつかの実施形態では、状態は嚢胞性線維症である。
【0225】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療または予防を必要としている対象における腎臓の疾患または状態に関連する疾患、障害または状態を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、腎臓の疾患または状態は、リポ多糖類薬物誘導急性腎損傷(AKI)である。いくつかの実施形態では、腎臓の疾患または状態は、末期腎疾患を伴うまたは伴わない慢性腎不全である。
【0226】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療または予防を必要としている対象における血管の疾患に関連する疾患、障害または状態を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、疾患または状態は、冠動脈疾患である。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、高血圧である。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、アテローム性動脈硬化症である。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、蘇生後症候群(PCAS)である。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、閉塞性動脈疾患、末梢血管疾患、慢性静脈不全、慢性皮膚潰瘍、またはレイノー病である。いくつかの実施形態では、血管の疾患に関連する疾患、障害または状態は、心臓疾患である。さらなる実施形態では、疾患、障害または状態は、うっ血性心不全である。いくつかの実施形態では、血管の疾患に関連する疾患、障害または状態は、虚血腸管疾患である。
【0227】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療または予防を必要としているおよび/または心臓発作または脳卒中の危険のある対象における心臓発作または脳卒中に関連する疾患、障害または状態を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、疾患、障害または状態は、虚血性脳卒中である。いくつかの実施形態では、疾患、障害または状態は、出血性脳卒中である。
【0228】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療または予防を必要としている対象における神経系に関連する疾患、障害または状態を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、疼痛(例えば、慢性疼痛)である。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病またはパーキンソン病)である。いくつかの実施形態では、神経系に関連する疾患、障害または状態は、神経損傷である。
【0229】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療または予防を必要としている対象における炎症性腸疾患に関連する疾患、障害または状態を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、疾患、障害または状態は、クローン病である。いくつかの実施形態では、疾患、障害または状態は、潰瘍性大腸炎である。
【0230】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療または予防を必要としている対象における2型糖尿病または糖尿病の素因に関連する疾患、障害または状態を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、疾患、障害または状態は、代謝疾患である。いくつかの実施形態では、疾患、障害または状態は、インスリン抵抗性である。いくつかの実施形態では、疾患、障害または状態は、糖尿病性血管障害(例えば、網膜症および腎症などの細小血管障害)である。いくつかの実施形態では、疾患、障害または状態は、糖尿病性ニューロパチーである。いくつかの実施形態では、疾患、障害または状態は、潰瘍、糖尿病性壊死、または壊疽である。
【0231】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療または予防を必要としている対象における自己免疫疾患に関連する疾患、障害または状態を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、乾癬である。いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、嚢胞性線維症である。いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、関節リウマチである。
【0232】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療または予防を必要としている対象における硬化症に関連する疾患、障害または状態を治療または予防するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、硬化症に関連する疾患、障害または状態は、全身性硬化症である。
【0233】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要としている対象における内毒血症を治療するための方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、内毒血症は、歯周病(例えば、歯周炎または歯茎の炎症)、慢性アルコール症、慢性喫煙、移植、新生児壊死性腸炎、または新生児耳感染などの状態に関連する。
【0234】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要としている対象においてLPS、エンドトキシンおよび/または全身性炎症の別のトリガーの全身レベルを減らす方法を提供し、方法は、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、項目[1]~[79]のいずれか1項に記載の医薬組成物)を対象に投与することを含む。
【0235】
併用療法
本明細書で提供される組成物は、単独で、または1種または複数の追加の治療化合物と組み合わせて投与できる。いくつかの実施形態では、組成物は、別の治療薬と組み合わせて投与される。組み合わせた薬剤は、同時に、例えば、同じ送達担体(例えば、リポソーム)中で組み合わせて、混合物として、個別であるが同時に(瞬時に)もしくは同時に(ある継続時間の間に)、または順次に投与され得る。これは、組み合わせた治療薬が治療混合物として一緒に投与される投与法、および組み合わせた薬剤が個別であるが同時に、例えば、別々の静脈ラインにより同じ個体に投与される手順を含む。「組み合わせでの」投与は、1種の治療薬を最初に投与し、続けて2番目の治療薬を投与する、個別の投与をさらに含む。併用療法を用いる治療方法も提供される。
【0236】
さらなる実施形態では、本明細書で提供される組成物は、別の治療薬と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、項目[1]~[28]のいずれか1項に記載の組成物は、別の治療薬と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、本明細書の
図1A~1Dのいずれかで提供されるカロテノイドの塩を含む組成物は、別の治療薬と共に併用療法で投与される。いくつかの実施形態では、本明細書の
図1A~1Dのいずれかで提供されるカロテノイドの多価塩(例えば、二価塩または三価塩)を含む組成物は、別の治療薬と共に併用療法で投与される。特定の実施形態では、トランスクロセチンの多価塩(例えば、CTCまたはMTC)を含む組成物は、別の治療薬と共に併用療法で投与される。他の特定の実施形態では、トランスノルビキシンの多価塩(例えば、CTNまたはMTN)を含む組成物は、別の治療薬と共に併用療法で投与される。
【0237】
いくつかの実施形態では、1種または複数のイオン化可能カロテノイドの塩を含む医薬組成物は、少なくとも1個の極性基または単環式基を含むカロテノイドと共に併用療法で投与される。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドの塩は、多価塩である(例えば、二価、三価、または四価の対イオンを含む塩)。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドは、項目[1]~[28]および/または
図1A~1Dのいずれかのカロテノイドである。一実施形態では、少なくとも1個の極性基または単環式極性基を含むカロテノイドは、対称である。別の実施形態では、二価イオン化可能カロテノイド塩組成物は、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、ルテイン、およびキサントフィルから選択される少なくとも1種のカロテノイドと共に併用療法で投与される。別の実施形態では、二価イオン化可能カロテノイド塩組成物は、アスタキサンチンと共に併用療法で投与される。別の実施形態では、少なくとも1個の極性基または単環式極性基を含むカロテノイドは、非対称である。別の実施形態では、本明細書で開示の二価イオン化可能カロテノイド塩組成物は、アブシジン酸(ABA)と組み合わせて投与される。
【0238】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるイオン化可能カロテノイド塩を含む医薬組成物は、治療される疾患、障害、または状態のための標準治療と共に併用療法で投与される。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドの塩は、多価塩である(例えば、二価、三価、または四価)。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドは、項目[1]~[28]および/または
図1A~1Dのいずれかのカロテノイドである。特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスクロセチン(例えば、CTCおよびMTC)である。他の特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスノルビキシン(例えば、CTNおよびMTN)である。
【0239】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるイオン化可能カロテノイド塩を含む医薬組成物は、抗菌薬と共に併用療法で投与される。いくつかの実施形態では、抗菌薬は、抗細菌薬である。いくつかの実施形態では、抗菌薬は、限定されないが、エルタペネム、ピペラシリン-タゾバクタム、セフェピム、アズトレオナム、メトロニダゾール、メロペネム、セフトリアキソン、シプロフロキサシン、バンコマイシン、リネゾリド、トブラマイシン、レボフロキサシン、アジスロマイシン、セファゾリン、およびアンピシリンから選択される。いくつかの実施形態では、抗菌薬は、限定されないが、セフトリアキソン、レボフロキサシン、シプロフロキサシン、セファゾリン、ピペラシリン-タゾバクタム、メロペネム、メトロニダゾール、バンコマイシン、およびアンピシリンから選択される。他の実施形態では、抗菌薬は、抗真菌薬である。さらなる実施形態では、抗真菌薬は、カスポファンギンまたは別の抗真菌薬である。他の実施形態では、抗菌薬は、抗マラリア薬である。さらなる実施形態では、抗マラリア薬は、限定されないが、アルテミシニンおよびその類似体、クロロキンおよびその類似体、アトバクオン、キニーネ誘導体、プログアニルまたは別の抗マラリア薬から選択される。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドの塩は、多価塩である(例えば、二価、三価、または四価)。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドは、項目[1]~[28]および/または
図1A~1Dのいずれかのカロテノイドである。特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスクロセチン(例えば、CTCおよびMTC)である。他の特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスノルビキシン(例えば、CTNおよびMTN)である。
【0240】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるイオン化可能カロテノイド塩を含む医薬組成物は、活性化タンパク質C(例えば、rhAPC)またはドロトレコギンアルファ(活性化)(DAA)と共に併用療法で投与される。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドの塩は、多価塩である(例えば、二価、三価、または四価)。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドは、項目[1]~[28]および/または
図1A~1Dのいずれかのカロテノイドである。特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスクロセチン(例えば、CTCおよびMTC)である。他の特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスノルビキシン(例えば、CTNおよびMTN)である。
【0241】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるイオン化可能カロテノイド塩を含む医薬組成物は、副腎皮質ステロイド(例えば、グルココルチコイドまたはフルドロコルチゾンなどのミネラルコルチコイド)と共に併用療法で投与される。いくつかの実施形態では、副腎皮質ステロイドは、グルココルチコイドである。さらなる実施形態では、グルココルチコイドは、コルチゾン、エタメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾンおよびメチルプレドニゾロンから選択される。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドの塩は、多価塩である(例えば、二価、三価、または四価)。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドは、項目[1]~[28]および/または
図1A~1Dのいずれかのカロテノイドである。特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスクロセチン(例えば、CTCおよびMTC)である。他の特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスノルビキシン(例えば、CTNおよびMTN)である。
【0242】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるイオン化可能カロテノイド塩を含む医薬組成物は、ビタミンの静脈内投与と共に併用療法で投与される。いくつかの実施形態では、ビタミンは、ビタミンC(アスコルビン酸)である。いくつかの実施形態では、ビタミンは、ビタミンAである。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドの塩は、多価塩である(例えば、二価、三価、または四価)。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドは、項目[1]~[28]および/または
図1A~1Dのいずれかのカロテノイドである。特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスクロセチン(例えば、CTCおよびMTC)である。他の特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスノルビキシン(例えば、CTNおよびMTN)である。
【0243】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるイオン化可能カロテノイド塩を含む医薬組成物は、グルココルチコイドおよびビタミンC(例えば、静脈内ビタミンC投与)と共に併用療法で投与される。いくつかの実施形態では、グルココルチコイドは、コルチゾン、エタメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾンおよびメチルプレドニゾロンから選択される。さらなる実施形態では、グルココルチコイドは、ヒドロコルチゾンである。さらなる実施形態では、本明細書で提供される少なくとも1種のイオン化可能カロテノイド組成物(例えば、
図1A、1B、1C、および/または1Dで開示のイオン化可能カロテノイドを含む二価塩組成物)は、グルココルチコイド、ビタミンC、およびチアミンと共に併用療法で投与される。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドの塩は、多価塩である(例えば、二価、三価、または四価)。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドは、項目[1]~[28]および/または
図1A~1Dのいずれかのカロテノイドである。特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスクロセチン(例えば、CTCおよびMTC)である。他の特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスノルビキシン(例えば、CTNおよびMTN)である。
【0244】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるイオン化可能カロテノイド塩を含む医薬組成物は、血管収縮剤と共に併用療法で投与される。いくつかの実施形態では、血管収縮治療薬は、ノルエピネフィリンもしくは類似薬物、またはアンギオテンシンII(例えば、GIAPREZA)である。いくつかの実施形態では、血管収縮治療薬は、エピネフィリン、フェニレフリン、ドーパミン、またはバソプレシンである。いくつかの実施形態では、血管収縮治療薬は、エフェドリン、ミルリノン、イソプロテレノール、ドブタミン、イソプロテレノール、またはドーパミンである。
【0245】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるイオン化可能カロテノイド塩を含む医薬組成物は、血栓溶解治療薬と共に併用療法で投与される。いくつかの実施形態では、血栓溶解治療薬は、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)である。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドの塩は、多価塩である(例えば、二価、三価、または四価)。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドは、項目[1]~[28]および/または
図1A~1Dのいずれかのカロテノイドである。特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスクロセチン(例えば、CTCおよびMTC)である。他の特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスノルビキシン(例えば、CTNおよびMTN)である。
【0246】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるイオン化可能カロテノイド塩を含む医薬組成物は、治療薬と共に併用療法で投与される。いくつかの実施形態では、項目[1]~[28]のいずれか1項に記載の組成物は、治療薬と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、本明細書の
図1A~1Dのいずれかで提供されるカロテノイドの多価塩を含む医薬組成物は、治療薬と共に併用療法で投与される。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドの塩は、多価塩である(例えば、二価、三価、または四価)。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドは、項目[1]~[28]および/または
図1A~1Dのいずれかのカロテノイドである。特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスクロセチン(例えば、CTCおよびMTC)である。他の特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスノルビキシン(例えば、CTNおよびMTN)である。
【0247】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるイオン化可能カロテノイド塩を含む医薬組成物は、ヘパリン、バソプレシン、抗利尿ホルモン(ADH)、および3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルコエンザイムAレダクターゼ阻害剤(スタチン)から選択される治療薬と共に併用療法で投与される。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドの塩は、多価塩である(例えば、二価、三価、または四価)。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドは、項目[1]~[28]および/または
図1A~1Dのいずれかのカロテノイドである。特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスクロセチン(例えば、CTCおよびMTC)である。他の特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスノルビキシン(例えば、CTNおよびMTN)である。
【0248】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるイオン化可能カロテノイド塩を含む医薬組成物は、抗炎症治療薬と共に併用療法で投与される。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドの塩は、多価塩である(例えば、二価、三価、または四価)。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドは、項目[1]~[28]および/または
図1A~1Dのいずれかのカロテノイドである。特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスクロセチン(例えば、CTCおよびMTC)である。他の特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスノルビキシン(例えば、CTNおよびMTN)である。
【0249】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるイオン化可能カロテノイド塩を含む医薬組成物は、血液酸素レベルおよび/または血圧を維持する/高めるための酸素および/または静脈内輸液、または高圧治療と共に併用療法で投与される。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドの塩は、多価塩である(例えば、二価、三価、または四価)。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドは、項目[1]~[28]および/または
図1A~1Dのいずれかのカロテノイドである。特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスクロセチン(例えば、CTCおよびMTC)である。他の特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスノルビキシン(例えば、CTNおよびMTN)である。
【0250】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるイオン化可能カロテノイド塩を含む医薬組成物は、化学療法剤(例えば、癌細胞に対する化学療法剤の効果を強化し、化学療法剤誘導骨髄抑制および貧血の影響を緩和するための)と共に併用療法で投与される。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドの塩は、多価塩である(例えば、二価、三価、または四価)。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドは、項目[1]~[28]および/または
図1A~1Dのいずれかのカロテノイドである。特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスクロセチン(例えば、CTCおよびMTC)である。他の特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスノルビキシン(例えば、CTNおよびMTN)である。
【0251】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるイオン化可能カロテノイド塩を含む医薬組成物は、免疫療法と共に併用療法で投与される。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドの塩は、多価塩である(例えば、二価、三価、または四価)。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドは、項目[1]~[28]および/または
図1A~1Dのいずれかのカロテノイドである。特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスクロセチン(例えば、CTCおよびMTC)である。他の特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスノルビキシン(例えば、CTNおよびMTN)である。
【0252】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるイオン化可能カロテノイド塩を含む医薬組成物は、放射線療法と共に併用療法で投与される。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドの塩は、多価塩である(例えば、二価、三価、または四価)。いくつかの実施形態では、イオン化可能カロテノイドは、項目[1]~[28]および/または
図1A~1Dのいずれかのカロテノイドである。特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスクロセチン(例えば、CTCおよびMTC)である。他の特定の実施形態では、イオン化可能カロテノイドはトランスノルビキシン(例えば、CTNおよびMTN)である。
【0253】
活性薬剤の投与のためのキット
別の実施形態では、本開示は、提供されるイオン化可能カロテノイド組成物を、疾患、障害、または状態の治療のために、対象へ投与するためのキットを提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、治療薬を対象に送達するためのキットを提供し、キットは、(a)開示イオン化可能カロテノイド組成物(例えば、多価トランスクロセチン塩を含むリポソーム)を含む第1の組成物;および(b)例えば、試薬、緩衝剤、賦形剤、または対象への投与の前に別々に貯蔵される別の治療薬を含む第2の組成物を含む。このようなキットは通常、低酸素または炎症関連状態などの病状を治療するために必要な2種以上の成分を含む。いくつかの実施形態では、キットは、例えば、提供される脂質組成物、試薬、緩衝剤、容器および/または器具を含む。リポソーム組成物および製剤は、凍結乾燥形態であり、その後、投与前に再構成できる。いくつかの実施形態では、キットは、患者の病状の治療に使われる1種または複数の成分を含む梱包アセンブリを含む。例えば、梱包アセンブリは、治療薬リポソームおよびその他の賦形剤または患者への投与の前に組成物と混合され得る治療薬を入れる別々の容器を含み得る。いくつかの実施形態では、医師は、特定の患者に必要な治療または診断に応じて、特定の成分および/または梱包アセンブリを選択および対応させ得る。
【0254】
実施例
実施例1-カルシウムトランスクロセチンリポソームの製造
2種の異なるトランスクロセチンの変種:すなわち、トランスクロセチン遊離酸(TC)およびそのナトリウム塩であるナトリウムトランスクロセチン(STC)を、トランスクロセチンリポソームの製造に使用した。以下の手順によりトランスクロセチンをリポソーム中に封入した。
【0255】
多重二重層(多層)小胞(MLV)製造:
最初に、リポソーム脂質膜の脂質成分を秤取し、エタノール中の濃縮液として約65℃の温度で混合した。この作製では、使用した脂質は、水素添加大豆ホスファチジルコリン、コレステロール、およびDSPE-PEG-2000(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000])であった。HSPC:コレステロール:PEG-DSPEのモル比は、約3:2:0.15であった。別の作製では、使用した脂質はHSPC、コレステロール、PEG-DSPE-2000、および1-パルミトイル-2-グルタリル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC)であった。HSPC:コレステロール:PEG-DSPE:PGPCのモル比は、約2.7:2:0.15:0.3であった。次に、酢酸カルシウムを、125mM、または250mMの濃度にて、7.0のpHで、水性緩衝液中に溶解した。酢酸カルシウム溶液を65℃に加熱した。
【0256】
エタノール性脂質溶液を、ピペットを用いて酢酸カルシウム溶液中に加えた。このステップ中に、溶液を、磁気撹拌機を用いて十分に撹拌した。混合を高温で(63℃~72℃)で実施して、脂質が液晶状態(脂質遷移温度(Tm=51℃~54℃)より低い温度で達成され得るゲル状態ではなく)であることを確実にした。その結果、脂質は水和され、内部空間中に酢酸カルシウムを含む多重二重層(多層)小胞(MLV)を形成した。
【0257】
フィルター押出しを使用するMLVのダウンサイズ:
MLVを、積層(トラックエッチドポリカーボネート)メンブレンを経由する2回の通過を用いる高圧押し出しにより、所望サイズの単層(単一二重層)小胞に細分化した。積層膜は、200nmの細孔径を有する2つの層および100nmの細孔径を有する6つの層を有した。押し出しの間、温度をTm超に維持して、脂質膜の可塑性を確保した。押し出しの結果として、サイズおよび層数において大きく不均一なMLVが、それらの内部空間に酢酸カルシウムを隔離した、小型で均一な(100~120nm)単層小胞(ULV)に変化した。後方散乱検出器(90°)を備えたMalvern Zetasizer Nano ZS測定器(Southborough,MA)を、プラスチックマイクロキュベット中にて25℃で小胞の流体力学的サイズ(直径)を測定するために用いた。試料を、分析の前に処方マトリックス中で50倍に希釈した。
【0258】
酢酸カルシウムを含有するULVを製造後、余分のリポソーム酢酸カルシウムを、SEC(PD-10カラムを備えたサイズ排除クロマトグラフィー)またはTFF(タンジェンシャルフロー透析濾過)を用いて除去した。等張化試薬をリポソームに加えて、オスモル濃度の平衡を保った(最終濃度:125mMの酢酸カルシウムリポソームの場合5%デキストロース、250mMの酢酸カルシウムリポソームの場合10%デキストロース)。酢酸カルシウム勾配が生成されると、トランスクロセチン充填手順は好ましくは、24時間以内に実施される。作製したリポソーム溶液の脂質含量を、ホスフェートアッセイにより測定した。
【0259】
1mg/mLのトランスクロセチン溶液を、10%デキストロース中で作製し(250mMの酢酸カルシウムリポソームの場合)、pHを8に調節した。トランスクロセチン溶液を、種々の薬物/脂質比率(100g/mM、80g/mM、60g/mMまたは40g/mM)で、酢酸カルシウムリポソーム溶液と混合した。次に、混合物を十分に撹拌し、65℃で30分間加熱し、続いて、氷水浴を用いて室温に急冷した。このステップは、混合物を室温で一晩撹拌することにより、置き換え可能である。
【0260】
トランスクロセチン分子(電荷なし、中性型)のリポソーム脂質二重層を通る移動を、酢酸カルシウムで生成された勾配により推進した(換言すれば、酢酸が拡散して出て行き、トランスクロセチンが拡散して入る)。トランスクロセチンをその後、イオン化することおよびその後、カルシウムと沈殿物を形成すること(カルシウム塩型(カルシウムトランスクロセチン、CTC)として)によりリポソームの内部に捕捉した。
【0261】
リポソームの精製:
余分のリポソームトランスクロセチンを、SEC(PD-10カラム)またはTFFを用いて除去した。この実施例では、SECで使用した緩衝液は、HBS(HEPES緩衝生理食塩水、pH6.5)であった。精製の完了時に、0.22ミクロンフィルターを使って濾過滅菌を実施した。後方散乱検出器(90°)を備えたMalvern Zetasizer Nano ZS測定器(Southborough,MA)を、プラスチックマイクロキュベット中にて25℃で小胞の流体力学的サイズ(直径)を測定するために用いた。試料を、分析の前に希釈した。
【表1】
【0262】
調製例2-Nanoassemblr(登録商標)を用いた酢酸カルシウムリポソームの作製
酢酸カルシウム充填リポソームを下記の手順により作製した。最初に、リポソーム脂質膜の脂質成分を秤取し、エタノール中の濃縮液として約65℃の温度で混合した。一例では、使用した脂質は、水素添加大豆ホスファチジルコリン、コレステロール、およびDSPE-PEG-2000(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000])であった。
【0263】
HSPC:コレステロール:PEG-DSPEのモル比は、約3:2:0.15であった。別の例では、使用した脂質はHSPC、コレステロール、PEG-DSPE-2000、および1-パルミトイル-2-グルタリル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC)であった。HSPC:コレステロール:PEG-DSPE:PGPCのモル比は、約2.7:2:0.15:0.3であった。
【0264】
次に、酢酸カルシウムを、125mM、または250mMの濃度にて、7.0のpHで、水性緩衝液中に溶解した。酢酸カルシウム溶液を65℃に加熱した。エタノール性脂質溶液および酢酸カルシウム溶液を別々に注射器に移した。2つの溶液をマイクロ流体チャネルに注入し、それをPrecision NanoSystems’ NanoAssemblr(登録商標)装置に通しながら混合した。混合を高温で(63℃~72℃)で実施して、脂質が液晶状態(脂質遷移温度(Tm=51℃~54℃)より低い温度で達成され得るゲル状態ではなく)であることを確実にした。リポソームのサイズは、脂質溶液と水溶液との間の比率、ならびに混合流量により制御できる。
【0265】
実施例3-MTCリポソーム生成およびキャラクタリゼーション
酢酸マグネシウム勾配を用いたトランスクロセチンリポソームの製造:
マグネシウムトランスクロセチンリポソームを製造するために、2種の異なるトランスクロセチンの変種の分子:すなわち、トランスクロセチン遊離酸(TC)およびそのナトリウム塩のナトリウムトランスクロセチン(STC)を使用した。
【0266】
酢酸マグネシウムを有するリポソームを以下の手順で作製する。最初に、リポソーム膜の脂質成分を秤取し、エタノール中の濃縮液として約65℃の温度で混合した。一例では、使用した脂質は、水素添加大豆ホスファチジルコリン、コレステロール、およびDSPE-PEG-2000(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000])であった。HSPC:コレステロール:PEG-DSPEのモル比は、約3:2:0.15であった。別の例では、使用した脂質は、HSPC、コレステロール、PEG-DSPE-2000、および1-パルミトイル-2-グルタリル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC)であった。HSPC:コレステロール:PEG-DSPE:PGPCのモル比は、約2.7:2:0.15:0.3であった。次に、酢酸マグネシウムを、125mM、または250mMの濃度にて、7.0のpHで、水性緩衝液中に溶解した。酢酸マグネシウム溶液を65℃に加熱した。エタノール性脂質溶液を、ピペットを用いて酢酸マグネシウム溶液に加えた。このステップ中、溶液を、磁気撹拌機を用いて十分に撹拌した。混合を高温で(63℃~72℃)で実施して、脂質が液晶状態(脂質遷移温度Tm=51℃~54℃より低い温度で達成されるゲル状態ではなく)であることを確実にした。その結果、脂質は水和され、それらの内部空間(内部溶液)中に酢酸マグネシウムを含む多層小胞(MLV)を形成した。
【0267】
フィルター押出しを使用するMLVのダウンサイズ:
MLVを、高圧押し出しを用いて、積層(トラックエッチドポリカーボネート)メンブレンを2回通して、所望サイズの単層(単一二重層)小胞に細分化する。積層膜は、200nmの細孔径を有する2つの層および100nmの細孔径を有する6つの層を有する。押し出しの間、温度をTm超に維持した。押し出しの結果として、サイズおよび層数において大きくおよび不均一なMLVが、それらの内部空間に酢酸カルシウムを隔離した、小型で均一な(100~120nm)単層小胞(ULV)に変化した。後方散乱検出器(90°)を備えたMalvern Zetasizer Nano ZS測定器(Southborough,MA)を、プラスチックマイクロキュベット中にて25℃で小胞の流体力学的サイズ(直径)を測定するために用いた。試料を、分析の前に処方マトリックス中で50倍に希釈した。
【0268】
勾配生成:
酢酸マグネシウムを含有するULVを製造後、余分のリポソーム酢酸マグネシウムを、SEC(PD-10カラムを備えたサイズ排除クロマトグラフィー)またはTFF(タンジェンシャルフロー透析濾過)を用いて除去した。等張化試薬溶液(50%デキストロースなどの)をリポソームに加えて、オスモル濃度の平衡を保った(最終濃度:125mMの酢酸マグネシウムリポソームの場合5%デキストロース、250mMの酢酸マグネシウムリポソームの場合10%デキストロース)。作製したリポソーム溶液の脂質含量を、ホスフェートアッセイにより測定した。
【0269】
酢酸マグネシウムリポソーム中へのトランスクロセチン充填:
1mg/mLのトランスクロセチンナトリウム溶液を10%デキストロース中で作製し(250mMの酢酸マグネシウムリポソームの場合)、pHを水酸化ナトリウムで8~8.5に調節した。トランスクロセチンナトリウム溶液を、種々の薬物/脂質比率(100g/モル、80g/モル、60g/モルまたは40g/モル)で酢酸マグネシウムポソーム溶液と混合した。混合物を次に、十分に撹拌し、65℃で30分間加熱し、続いて、氷水浴を用いて室温に急冷した。このステップは、混合物を室温で一晩撹拌することにより、置き換え可能である。
【0270】
リポソームの精製:
余分のリポソームトランスクロセチンを、SEC(PD-10カラム)またはTFFを用いて除去した。この実施例では、SECで使用した緩衝液は、HBS(HEPES緩衝生理食塩水、pH6.5)であった。精製の完了時に、濾過滅菌を、0.2~0.22ミクロンフィルターを使って実施した。後方散乱検出器(90°)を備えたMalvern Zetasizer Nano ZS測定器(Southborough,MA)を、プラスチックマイクロキュベット中にて25℃で流体力学的サイズ(直径)を測定するために用いた。試料を、分析の前に希釈した。
【表2】
【表3】
【0271】
Balb/cマウス(3匹のマウス/群)を、24時間にわたり種々の時点(通常、5分、1時間、2時間、4時間、8時間、および24時間)で連続的な血液試料を収集するために、緩徐な静脈内ボーラス投与によるSTC遊離薬物、CTC/MTC-LP(D/L比率80、60、40)および蛍光染料標識リポソームの単回投与で治療した。
【0272】
5μLの各血漿試料を、1%のギ酸を含む395μLのメタノールと共に混合した。試料混合物をボルテックスにより十分に混合した。試料を-20℃で1時間インキュベートし、その後、室温で15分間平衡化した。試料をボルテックスした後、室温にて10000RPMで10分間遠心分離した。200μLの上清を、ペレットを掻き乱すことなく各試料から取り出し、HPLCにより分析した。血漿の量が許す場合は、この分析を2回繰り返した。
【0273】
STCの血漿試料中の濃度を、既知の量のSTCを含有する血漿試料を分析して作製した検量線により定量化した。PKプロファイルを分析した。
【表4】
【0274】
CTCリポソーム安定性を、一定の貯蔵期間(最大で6ヶ月)後にサイズ排除カラムにより浸出した可能性のある我々の薬物からリポソームが精製された後で、リポソーム溶液を特徴付けることにより、さらに評価した。キャラクタリゼーション方法は、先に記載したものと同じであった。
【0275】
CTCリポソームは、誤差範囲内で、概ね同じ薬物/脂質比率を示した。従って、貯蔵条件(4℃)で6ヶ月にわたり、無視できる程度の薬物浸出が確認された。
【表5】
【0276】
リポソームバッチ再現性および安定性を、D/Lを特徴付けることにより評価した。
CTCリポソームは、この評価では無視できる程度の変化を示した。従って、CTCリポソームは、少なくとも6ヶ月の安定性を示した。
【表6】
【0277】
測定手順は、先に記載したものと同じであった。
MTCリポソームは、誤差範囲内で、概ね同じ薬物/脂質比率を示した。従って、リポソームは、貯蔵条件(4℃)で、少なくとも2ヶ月間安定であることが確認された。
【0278】
実施例4-リポソームCTC有効性試験プロトコルおよび結果
動物および管理:
Envigo Laboratoriesまたはthe Jackson Lab(Bar Harbor,Maine)に注文した雄および/または雌C57BL/6マウスを収容条件に順化させ、動物実験計画書(AUP)番号TP-05に従って取り扱った。マウスを、試験開始に先立ち約1週間順化させた。健康であると思われる動物のみをこの試験に含めた。動物に、照射したTeklad Global Rodent Diet 2918および水を自由に与えた。マウスを、H.E.P.A濾過空気をバブル環境中へ1時間当たり100回の完全空気交換により空気を供給するbioBubble(登録商標)Clean Rooms内の照射したTekladの1/8”トウモロコシの穂軸寝具7902を備えた固定ケージ中にて、5匹/ケージで集団飼育した。環境を74°±5°Fの温度範囲および30~70%の湿度範囲に制御した。治療群をケージカードで特定した。個々のマウスを、尾の付け根上の消えないマーカーで識別した。この実験で実施される全ての手順は、法律、規則、および米国国立衛生研究所のガイドラインに準拠し、TransPharm動物実験委員会の承認により実施した。
【0279】
盲腸結紮穿刺および術後手順:
-1日目に、雄および/または雌マウスを、イソフルランを使用して麻酔し、手術面に移した。下腹部を、電気トリマーを用いて剪毛した。0日目に、マウスを、イソフルランを使って麻酔し、手術面に移した。剪毛領域を、クロルヘキシジン手術用スクラブおよび70%のイソプロパノールの3回の交互洗浄により消毒した。腹部長手方向皮膚正中切開を、腹膜腔へ貫通することなく、虹彩はさみを用いて実施した。初期切開後に、腹膜腔へ入るために、小型はさみを使って切開を1.5~2cm延長した。腹部筋肉系の正中白色筋膜を特定し、筋肉間切開ならびに筋膜および腹膜層の切開のために解剖した。盲腸を、刃先の鈍い解剖ピンセットを使って露出させ、腹膜腔内の小腸および大腸の残部を残し、腸間膜血管に対する穴開けまたは損傷を回避した。盲腸を、指定位置での回盲弁下部で無菌9.5mmステンレス鋼止血鉗子により結紮した(盲腸の約70%が結紮される)。腸を閉塞させないように注意した。盲腸穿孔の前に、盲腸内容物を遠位の盲腸の方に穏やかに押し込んだ。盲腸をその後、重症グレード敗血症用の16標準規格注射針を用いて穿孔した。腸間膜-対腸間膜方向で結紮と盲腸の先端の間の中途位置で単一の貫通型穿刺を、実施した。針を除去後、盲腸を、盲腸から腹部壁創縁に糞便を広げることなく腹腔中に再配置し、糞便の小液滴を、腸間膜および対腸間膜侵入孔の両方から押し出した。液滴直径を可能な限り一定であった。腹膜、筋膜、および腹部筋肉系を、単純連続縫合(4-0 PDSまたはクロム腸外科縫合糸)を適用して閉じ、皮膚切開を、9mmオートクリップまたは外科的粘着剤で閉じた。術後直ちに、マウスに0.5mLの室温0.9%生理食塩水の皮下(SC)注射を投与した。動物をその後、温かい再循環加温パッド上に置いた清浄ケージ中で、床の上の水および食料ペレットに自由にアクセスさせて、術後回復させた。加温パッドを所定位置に残し、ケージの半分をオンにし、半分をオフにして、必要に応じ、動物がケージの冷却部に移動する機会を与えた。動物を、完全に覚醒し、動けるようになるまでこの環境に置いた。動物が安定すると加温パッドを取り除いた。
【0280】
動物を、動物が回復し単独で動くことが可能になるまで、約30分間にわたり2~3分毎に継続して術後に監視した。その後、動物を、少なくとも術後6時間にわたり、1時間毎に観察した。動物をまた、試験期間を通して厳密に監視した(午前7時~午後6時まで毎日観察し、1~3日目には、午前2時と午後10時の観察を追加した)。Rodent Postoperative Record(げっ歯類術後記録)(動物当たり1記録)を、試験中継続した。異常な臨床的徴候が観察される場合、これを記録した。死亡が迫っている兆候を示す動物を、人道的に安楽死させた。動物を安楽死させた場合、時間と日付を術後記録に残した。
【0281】
製剤および投与:
マウスに、術後2時間で開始し1日1回を4日目まで継続する(5日間合計投与)腹腔内注入により、試験品を投与した。群1~3のマウスに、マウス1g体重当たり約10μLの体積の試験品を投与した(表7に従い;これらの投与用量は、毎日50mg/kgマウスを5日間の用量である)。群4中のマウスは、0日目~4日目に、0.9%生理食塩水の0.3mLの体積の腹腔内注入により1日1回の投与を受けた。マウスを毎日秤量し、表7に従い、投与体積を投与した。
【表7】
【0282】
エンドポイント分析:
試験品の有効性を、CLP手術後5日間にわたり検査動物の死亡率を計数することにより評価した。5日目に生き残っている動物を、CO2過剰暴露により人道的に安楽死させた。
【0283】
試験結果:
表8は、異なるリポソームCTC製剤を試験するために用いた4種のCLP試験を説明する。試験1および2は、雄マウスでのCLPモデルを調べた。試験3および4は、雌マウスでのCLPモデルを調べた。試験品および各試験の結果を以下に記載する。
【表8】
【0284】
試験1(TP-936)結果:
全ての手術および投与手順を、試験プロトコル(上記)で詳述の通り実施した。シャム動物は、100%生存を示した。CLPを受け、生理食塩水およびイミペネムで治療されたマウスは、50%死亡率を示した。試験品1およびイミペネムまたは試験品2およびイミペネムで治療された動物は、それぞれ30%おより10%の死亡を示した。試験中の9匹の死亡のうちの5匹は、脱水および横臥位のため安楽死させた結果であった(
図5)。
【0285】
まとめると、これらのデータは、盲腸結紮および16標準規格注射針を用いた穿刺が、C57BL/6Jマウスの死亡を引き起こすことを実証する。しかしながら両方の試験品(イミペネムとの組み合わせで)は、イミペネム治療対照と比較すると、死亡率の低下の傾向を示した。
【0286】
試験2(TP-967)結果:
生理食塩水ビークルおよびイミペネムで治療した動物(群4)は、70%の死亡を示した(
図6)。7匹の死亡のうちの1匹は、安楽死の結果であった。PGPC-LPおよびイミペネムで治療したマウス(群1)は、60%の死亡率を示し、6匹の死亡のうちの1匹は、安楽死に帰属した。CTC-LP-80およびイミペネムを投与された群2は、30%の死亡を示した(
図6)。3匹の死亡のうちの2匹は、安楽死が原因であった。PGPC-CTC-LP-80およびイミペネムを受けたマウス(群3)は、70%の死亡率を有した(
図6)。7匹の死亡のうちの2匹は、安楽死が原因であった。いずれの治療群も、ビークル対照群と比較した場合、死亡率の統計的有意差を示さなかったが、生存の改善効果の強い傾向が観察された。
【0287】
調査3(TP-986)結果:
CTC-LP-80(50mg/kg)およびイミペネムで治療されたマウスは、70%の死亡を示した(
図8)。7匹の死亡のうちの3匹は、安楽死が原因であった。CTC-LP-80(25mg/kg)およびイミペネムを受けたマウスは、40%の死亡率を有した(
図7)。4匹の死亡のうちの2匹は、安楽死が原因であった。CTC-LP-80(5mg/kg)およびイミペネムで治療されたマウスは、20%の死亡を示した(
図7)。この死亡の全ては、安楽死によるものではなかった。この治療は、ビークル対照群と比較すると、統計的に有意な死亡率の低下を示した(P=0.0321)。CTC-LP-80(1mg/kg)およびイミペネムを受けたマウスは、60%の死亡率を有した(
図7)。この死亡の全ては、安楽死によるものではなかった。
図7。
【0288】
まとめると、これらのデータは、盲腸結紮および16標準規格注射針を用いた穿刺が、C57BL/6マウスの死亡を引き起こすことを実証する。試験品CTC-LP-80(5mg/kg)およびイミペネムによる治療は、生理食塩水治療対照群と比較すると、統計的に有意な死亡率の低下を示した。
【0289】
実施例5-受動的充填によるSTCリポソームの作製
押出成形機を用いたナトリウムトランスクロセチンの受動的充填:
トランスクロセチンナトリウムを、所与の水性媒体中のその最大溶解度で、例えば、5%デキストロース中0.7mg/mlで、水相中に溶解した。HSPC、コレステロール、PEG-DSPEを含み、PGPCを含むまたは含まないエタノール性脂質溶液を、ピペットを用いて水溶液に加えた。このステップ中、磁気撹拌機を用いて、溶液を十分に撹拌した。混合を高温で(63℃~72℃)で実施して、脂質が液晶状態(脂質遷移温度(Tm=51℃~54℃)より低い温度で達成されるゲル状態ではなく)であることを確実にした。その結果、脂質は水和され、水性コア中にトランスクロセチンナトリウムを含む多重二重層(多層)小胞(MLV)を形成した。MLVをその後、以前に記載のように押し出しによりダウンサイズした。
【0290】
Nanoassemblr(登録商標)を用いたトランスクロセチンの受動的充填:
トランスクロセチンナトリウムを、所与の水性媒体中のその最大溶解度で、例えば、5%デキストロース中0.7mg/mlで、水相中に溶解した。HSPC、コレステロール、PEG-DSPEを含み、PGPCを含むまたは含まないエタノール性脂質溶液およびトランスクロセチンナトリウム水溶液を、別々に注射器に移した。2つの溶液をマイクロ流体チャネルに注入し、それをPrecision NanoSystems’ NanoAssemblr(登録商標)装置に通しながら混合した。混合を高温で(63℃~72℃)で実施して、脂質が液晶状態(脂質遷移温度(Tm=51℃~54℃)より低い温度で達成されるゲル状態ではなく)であることを確実にした。リポソームのサイズは、脂質溶液と水溶液との間の比率、ならびに混合流量を変えることにより制御できる。
【0291】
エタノール注入方法によるトランスクロセチンの受動的充填:
トランスクロセチン(遊離酸)を、その最大溶解度でエタノール性脂質混合物中に溶解した。その後、トランスクロセチン含有エタノール性脂質混合物を、水溶液(例えば、緩衝剤、緩衝食塩水、またはデキストロース溶液)と混合し押し出し方法によりダウンサイズするか、またはNanoAssemblr(登録商標)装置によりマイクロ流体チャネルを通して水溶液と混合した。
【0292】
薄膜再水和法によるトランスクロセチンの受動的充填:
トランスクロセチン(遊離酸)を、他の脂質:HSPC、コレステロール、PEG-DSPE(およびPGPCを含有/非含有)と共に、揮発性有機溶媒(例えば、エタノール、メタノール、クロロホルム、ジクロロメタン、など)に溶解した。トランスクロセチン-脂質混合物中の有機溶媒を、ウオーターバス中および真空下で高温(例えば、65℃)によりロータリーエバポレーターを用いて完全に乾燥した。乾燥中、フラスコを回転し、乾燥したトランスクロセチン-脂質の薄膜が丸底フラスコの壁上に形成された。水溶液を薄膜に加え、高温(例えば、65℃)で回転/撹拌した。水溶液中の薄膜の再水和は、多重二重層(多層)小胞(MLV)の脂質二重層中にトランスクロセチンを含むMLVを形成する。MLVをその後、押し出しにより所望の小単層小胞(SUV)にダウンサイズした。
【0293】
実施例6-標的化トランスクロセチンリポソームの製造:ポスト挿入
抗体またはFabまたはscFvなどのそのフラグメントは、C末端にシステイン残基を含み、「ポスト挿入」法によりトランスクロセチンリポソーム中に複合化される、およびリポソーム中に組み込まれる。チオール反応性リポポリマー(例えば、DSPE-PEG-マレイミド)のミセルを、10mg/mlで水溶液中に溶解することにより作製する。システイン尾部を有する抗体(またはそのフラグメント)を、溶解し、pH7未満で10~20mMの還元剤(2-メルカプトエチルアミン、システイン、またはジチオエリスリトール)により還元する。過剰の還元試薬を、SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)または透析により完全に除去する。精製および還元された抗体(またはそのフラグメント)をその後、1:4のモル比のチオール反応性リポポリマーのミセルと共に、インキュベートする。反応の終わりに、過剰のマレイミド基を、少量のシステイン(1mM)またはメルカプトエタノールによりクエンチする。非結合抗体(またはそのフラグメント)を、SECにより除去する。精製複合化ミセルをその後、リポソームと共に37℃または種々の抗体/脂質比率(この比率は抗体依存性である)で、高温でインキュベートする。
【0294】
本開示方法は、現時点で最も実用的な好ましい実施形態であると考えられるものに関して記載されてきたが、本開示により包含される方法は、開示実施形態に限定されず、添付特許請求の範囲の趣旨および範囲内に含まれる種々の修正および等価の構成を包含することが意図されていることを理解されたい。
【0295】
本明細書で引用された、全ての出版物、特許、特許出願、インターネットサイト、および受入番号/データベース配列(ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列の両方を含む)は、あたかも、それぞれ個別の出版物、特許、特許出願、インターネットサイト、または受入番号/データベース配列が具体的に個別に、参照によってそのように本明細書に組み込まれることが示されるのと同程度にその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。