(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】子宮頸癌を処置する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 48/00 20060101AFI20230926BHJP
A61K 39/12 20060101ALI20230926BHJP
A61K 39/295 20060101ALI20230926BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20230926BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230926BHJP
C07K 14/025 20060101ALN20230926BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20230926BHJP
C12N 15/37 20060101ALN20230926BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20230926BHJP
【FI】
A61K48/00 ZMD
A61K39/12 ZNA
A61K39/295
A61P31/20
A61P35/00
C07K14/025
C07K19/00
C12N15/37
C12N15/62 Z
(21)【出願番号】P 2021076283
(22)【出願日】2021-04-28
(62)【分割の表示】P 2017527988の分割
【原出願日】2015-08-14
【審査請求日】2021-04-28
(32)【優先日】2014-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516351304
【氏名又は名称】ジェネクシン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GENEXINE, INC.
【住所又は居所原語表記】172 Magokjungang-ro, Gangseo-gu, Seoul 07789 REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジン ジュン-タク
(72)【発明者】
【氏名】リム ヒェ ソン
(72)【発明者】
【氏名】スー ユ スク
(72)【発明者】
【氏名】ナム ユン ジョ
【審査官】春田 由香
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-537422(JP,A)
【文献】特表2006-501825(JP,A)
【文献】特表2009-534027(JP,A)
【文献】国際公開第2013/092875(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/128247(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00-39/44
A61K 48/00
C07K 14/00-14/825
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
子宮頸部腫瘍の処置において、該処置を必要とする対象に使用するための
、融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを含む医薬組成物であって、
該ポリヌクレオチドは、tPAのシグナルペプチドをコードする核酸配列を更に含み、
該ポリヌクレオチドは、異種ポリペプチドをコードする核酸配列を更に含み、該異種ポリペプチドが、Fms関連チロシンキナーゼ3リガンド(FLT3L)又はその一部を含み、
該対象は、第1の用量の該ポリヌクレオチド、第2の用量の該ポリヌクレオチド、および、第3の用量の該ポリヌクレオチドの投与を受け、該対象は、該第1の用量の投与後の測定において、亢進した細胞性免疫応答を示し、該融合たんぱく質は、
(1)配列番号2の残基1~85のアミノ酸配列を含むHPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)配列番号2の残基71~158のアミノ酸配列を含むHPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)配列番号6の残基1~65のアミノ酸配列を含むHPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)配列番号6の残基51~98のアミノ酸配列を含むHPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)配列番号4の残基1~85のアミノ酸配列を含むHPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)配列番号4の残基71~158のアミノ酸配列を含むHPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)配列番号8の残基1~65のアミノ酸配列を含むHPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)配列番号8の残基51~105のアミノ酸配列を含むHPV18のE7たんぱく質のC末端部、
を含み、
該融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE6たんぱく質と二量体を形成せず、該融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成せず、
該第1の用量は、1mg~4mgであり、
該第2の用量は、1mg~4mgであり、該第1の用量の投与から4週後に投与され、
該第3の用量は、1mg~4mgであり、該第1の用量の投与から12週後に投与され、
該第1の用量、該第2の用量、および該第3の用量は、同一か又は異なり、
該医薬組成物がエレクトロポレーションにより筋肉内投与される、組成物。
【請求項2】
前記亢進した細胞性免疫応答は、多機能性T細胞数の増加、亢進したCD8 T細胞応答、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記多機能性T細胞は、フローサイトメトリーにより測定した場合、IFN-γ、IL-2、TNF-α、MIP-β、CD107a/b、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、少なくとも3種類、少なくとも4種類、又は少なくとも5種類のマーカーを示す、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記多機能性T細胞数は、前記ポリヌクレオチドの前記投与前の多機能性T細胞数より、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、又は少なくとも30%増加する、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
前記亢進したCD8 T細胞応答は、IFN-γ、IL-2、TNF-α、MIP-β、CD107a/b、又はそれらの任意の組み合わせの亢進した発現、或いはCD38+Ki67+CD8 T細胞の増殖を含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記亢進したCD8 T細胞応答は、CD38+Ki67+CD8 T細胞数における、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも11倍、少なくとも12倍、少なくとも13倍、少なくとも14倍、少なくとも15倍、少なくとも16倍、少なくとも17倍、少なくとも18倍、少なくとも19倍、少なくとも20倍、少なくとも21倍、少なくとも22倍、少なくとも23倍、少なくとも24倍、又は少なくとも25倍の増加である、請求項2~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
IL-4又はIL-17aの発現が、前記投与後に亢進されない、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記子宮頸部腫瘍は、扁平上皮癌(SCC)、腺癌、腺扁平上皮癌、小細胞癌、神経内分泌腫瘍(NET)、すりガラス細胞癌、絨毛腺癌(VGA)、非癌性悪性腫瘍、メラノーマ、リンパ腫、又は子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記融合たんぱく質は、配列番号10のアミノ酸配列を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリヌクレオチドは、配列番号9のヌクレオチド配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染により引き起こされる子宮頸部腫瘍
の処置に関する。特に、本発明は、子宮頸部腫瘍処置を改善するための方法及びHPV感
染により引き起こされる子宮頸部腫瘍を処置するための方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
持続性のウイルス感染は、多くの場合、ウイルス特異的CD8 T細胞の機能不活性化
を誘引し、これにより、ウイルス特異的CD8 T細胞の増殖能力、免疫刺激性サイトカ
イン生成能力、ウイルス感染細胞の溶解能力が損なわれる(Wherry,E.J.an
d Ahmed,R.,Journal of Virology 78:5535~5
545,2004)。子宮頸癌は、世界の女性における癌による死亡の主因の1つであり
(Einstein,M.H.,et al.The Lancet infectio
us diseases 9:347~356(2009);Parkin D.M.a
nd Bray,F.,Vaccine 24(3S):11~25,2007)、その
症例の約75%は、HPV16及びHPV18と呼ばれる、最も一般的な高リスクのヒト
パピローマウイルス(HPV)型による持続性感染により引き起こされる(Schiff
man,M.,et al.,Lancet 370:890~907,2007;Fo
rman,D.,et al.,Vaccine 30(5S):F12~23,201
2)。HPVによる持続感染は、通常、実証可能なHPV特異的T細胞免疫の欠落に関連
し、前悪性及び悪性患者において見られるウイルス特異的T細胞は、概ね機能不全である
か、場合によっては抑制的でさえあることが報告されている(de Vos van S
teenwijk,P.J.,et al.,Clinical cancer res
earch:an official journal of the America
n Association for Cancer Research 14:718
8~7195 2008;Trimble,C.L.,Cancer immunolo
gy,immunotherapy:CII 59:799~803,2010)。これ
らの知見から、ウイルス特異的T細胞の機能障害が、HPV誘引子宮頸癌の発生に関連し
ている可能性があることが示唆される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Wherry,E.J.and Ahmed,R.,Journal of Virology 78:5535~5545,2004
【文献】Einstein,M.H.,et al.The Lancet infectious diseases 9:347~356(2009)
【文献】Parkin D.M.and Bray,F.,Vaccine 24(3S):11~25,2007
【文献】Schiffman,M.,et al.,Lancet 370:890~907,2007
【文献】Forman,D.,et al.,Vaccine 30(5S):F12~23,2012
【文献】de Vos van Steenwijk,P.J.,et al.,Clinical cancer research:an official journal of the American Association for Cancer Research 14:7188~7195 2008
【文献】Trimble,C.L.,Cancer immunology,immunotherapy:CII 59:799~803,2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
子宮頸癌は、高リスクなHPV感染、ウイルスの持続感染、持続感染細胞のクローン増
殖及び前悪性病変への分化、そして、それらの漸進的な浸潤癌への変化という経過をたど
って発症する(Schiffman,M.,et al.,Lancet 370:89
0~907,2007)。前悪性の子宮頸部上皮内腫瘍2及び3(CIN2及び3)、特
に、HPV16陽性のものは、高悪性度病変と考えられ、浸潤癌に進行する約30%の確
率を有する(Moscicki,A.B.,et al.,Vaccine 30(5S
):F24~33,2012)。したがって、持続性HPV感染の重篤な合併症を予防し
、HPV関連腫瘍を根絶することができる、効果的な治療ワクチンに対する喫緊の必要性
が存在する。
HPV E6及びE7はそれぞれ、腫瘍抑制たんぱく質であるp53及び網膜芽細胞腫
(pRb)に結合し、これらの分解を促進することにより、ウイルス性癌たんぱく質とし
て作用する(Yugawa,T.and Kiyono,T.,Reviews in
medical virology 19:97~113,2009)。これらのウイル
ス性癌たんぱく質は、CIN2/3及び子宮頸癌に対する治療ワクチンについてのターゲ
ットの理想的なセットであるが、それは、これらのたんぱく質が、腫瘍形成を誘引するた
めだけでなく、HPVに感染した前悪性細胞及び悪性細胞において構成的に発現されるた
めでもある(Yugawa,T.and Kiyono,T.,Reviews in
medical virology 19:97~113,2009)。子宮頸病変の退
縮が、体液性ではなく、細胞性免疫応答の存在に関連するため(Deligeorogl
ou,E.,et al.,Infectious diseases in obst
etrics and gynecology 2013:540850,2013;W
oo,Y.L.,et al.,International journal of
cancer Journal international du cancer 1
26:133~141,2010)、ロバストなE6/E7特異的T細胞免疫を選択的に
誘引可能な治療ワクチンが強く望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、子宮頸部腫瘍を除去するための外科手術を必要としない対象を特定するため
の方法であって、有効量の、融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを対象に投与
することを含み、対象は、投与後に亢進した細胞性免疫応答を示し、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法に関する。具
体的な実施形態では、本明細書で記載される方法は、投与後の対象における亢進した細胞
性免疫応答を測定することを更に含む。一部の実施形態では、本明細書で記載される方法
は、医療提供者に、投与後の対象における亢進した細胞性免疫応答を測定することを命じ
ることを更に含んだ。
【0006】
また、外科手術をすることなく子宮頸部腫瘍を処置する方法であって、融合たんぱく質
をコードするポリヌクレオチドを投与することを含み、この融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成せず、対象は、投与後に亢
進した細胞性免疫応答を示し、細胞性免疫応答は、投与後に少なくとも2倍亢進され、子
宮頸部腫瘍が、外科手術をすることなく、対象から除去される、方法も開示される。
【0007】
更に、子宮頸部腫瘍を処置する方法であって、(a)融合たんぱく質をコードするポリ
ヌクレオチドの投与後に、亢進した細胞性免疫応答を示さない対象を特定することと、(
b)この対象が子宮頸部腫瘍を除去する外科手術に適していると判定することとを含み、
融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法が開示される
。
【0008】
更に、子宮頸部腫瘍の処置を、それを必要とする対象に行う方法であって、(a)融合
たんぱく質をコードするポリヌクレオチドの投与後に、亢進した細胞性免疫応答を示さな
い対象を特定することと、(b)医療提供者に、子宮頸部腫瘍を除去する外科手術を対象
に行うように命じることと、を含み、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法が開示される
。
【0009】
また、子宮頸部腫瘍の処置を、それを必要とする対象に行う方法であって、(a)融合
たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを、それを必要とする対象に投与することと、
(b)融合たんぱく質の投与後に、亢進した細胞性免疫応答を示さない対象を特定するこ
とと、(c)この対象が子宮頸部腫瘍を除去する外科手術に適していると判定することと
、を含み、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法も提供される
。一部の実施形態では、対象を特定することは、亢進した細胞性免疫応答を測定すること
を含む。
【0010】
また、子宮頸部腫瘍の処置を、それを必要とする対象に行う方法であって、融合たんぱ
く質をコードするポリヌクレオチドを、対象集団に投与することを含み、各対象は、ヒト
白血球抗原(HLA)-A02を保有し、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法も開示される
。
【0011】
更に、対象における子宮頸部腫瘍を処置する方法であって、(a)HLA-A02を保
有する対象を特定することと、(b)融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを投
与することと、を含み、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法が開示される
。
【0012】
また、子宮頸部腫瘍の処置を改善する方法であって、(a)融合たんぱく質をコードす
るポリヌクレオチドを、対象集団に投与することを含み、各対象は、ヒト白血球抗原(H
LA)-A02を保有し、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法も開示される
。
【0013】
更に、子宮頸部腫瘍の処置を改善する方法であって、(a)HLA-A02を保有する
対象を特定することと、(b)融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを対象に投
与することと、を含み、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、2つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法が開示される
。
【0014】
一部の実施形態では、子宮頸部腫瘍の処置を改善する方法であって、(a)処置を必要
とする対象から得られた血液サンプルを、HLA型を特定するために供することと、(b
)融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを、HLA-A02を保有する対象に投
与することと、を含み、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法が開示される
。一部の実施形態では、対象は、投与後に亢進した細胞性免疫応答を示す。
【0015】
また、子宮頸部腫瘍を処置する方法であって、(a)第1の用量の融合たんぱく質をコ
ードするポリヌクレオチドを、それを必要とする対象に投与することと、(b)対象が第
1の用量の投与後に、亢進した細胞性免疫応答を示す場合に、第2の用量のこのポリヌク
レオチドを、この対象に更に投与することと、を含み、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法も開示される
。
【0016】
更に、子宮頸部腫瘍を処置する方法であって、(a)第1の用量の融合たんぱく質をコ
ードするポリヌクレオチドを、それを必要とする対象に投与することと、(b)投与後に
細胞性免疫応答を測定することと、(c)第1の用量の投与後に、亢進した細胞性免疫応
答を示す対象に、第2の用量のこのポリヌクレオチドを投与することと、を含み、融合た
んぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法が開示される
。また、第2の用量の投与後に、細胞性免疫応答を測定することを更に含む、本明細書で
記載される方法も開示される。更に、第3の用量のポリヌクレオチドを投与することを更
に含む、本明細書で記載される方法が開示される。
【0017】
特定の実施形態では、子宮頸部腫瘍を処置する方法であって、(a)第1の用量及び第
2の用量の融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを、それを必要とする対象に投
与することと、(b)対象が第1の用量又は第2の用量の投与後に、亢進した細胞性免疫
応答を示す場合に、第3の用量のこのポリヌクレオチドを、この対象に更に投与すること
と、を含み、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法が開示される
。
【0018】
更に、子宮頸部腫瘍を処置する方法であって、(a)第1の用量及び第2の用量の融合
たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを、それを必要とする対象に投与することと、
(b)第1の用量又は第2の用量の投与後に細胞性免疫応答を測定することと、(c)対
象が第1又は第2の用量の投与後に、亢進した細胞性免疫応答を示す場合に、第3の用量
のこのポリヌクレオチドを、この対象に投与することと、を含み、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法が開示される
。
【0019】
更に、全身性HPV特異的多機能性CD8 T細胞応答を、それを必要とする対象にお
いて亢進させる方法であって、融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを投与する
ことを含み、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質が、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質が、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成せず、多機能性CD8 T
細胞応答が、IFN-γ、IL-2、TNF-α、又はそれらの任意の組み合わせの亢進
した発現を含む、方法が開示される。
【0020】
更に、融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを含む医薬組成物と、有効量のこ
の医薬組成物を投与した後に細胞性免疫応答が亢進されない場合に、子宮頸部腫瘍を除去
する外科手術を行うことに関する指示と、を含む、医薬キットであって、融合たんぱく質
は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、医薬キットが開示
される。
【0021】
また、融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを含む医薬組成物と、初期量のポ
リヌクレオチドの投与後に多機能性T細胞数の増加を示す対象に有効量のこの医薬組成物
を投与することに関する指示と、を含む、医薬キットであって、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、医薬キットも開示
される。
【0022】
更に、融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを含む医薬組成物と、HLA-A
02を保有する対象に有効量のこの医薬組成物を投与することに関する指示と、を含む、
医薬キットであって、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部から選択される、3つ以上のアミノ酸配
列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、医薬キットが開示
される。
【0023】
また、融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを含む医薬組成物と、初期量のポ
リヌクレオチドの投与後に多機能性T細胞数の増加を示す対象に有効量のこの医薬組成物
を投与することに関する指示と、を含む、医薬キットであって、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、医薬キットも開示
される。
【0024】
更に、融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを含む医薬組成物と、対象への、
この医薬組成物の1回の投与又は2回の投与が亢進した細胞性免疫応答を示さない場合、
この医薬組成物の更なる投与を中止することに関する指示と、を含む、医薬キットであっ
て、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部から選択される、3つ以上のアミノ酸配
列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、医薬キットが開示
される。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
子宮頸部腫瘍の処置において、該処置を必要とする対象に使用するための融合たんぱく
質をコードするポリヌクレオチドを含む医薬組成物であって、該対象は、該組成物を必要
とする対象に対する第1の用量の該組成物の投与を受け、かつ、第2の用量の該組成物の
投与を受け、該対象は、該第1の用量の投与後の測定において、亢進した細胞性免疫応答
を示し、該融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部から選択される、3つ以上のアミノ酸配
列を含み、
該融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18の
E6たんぱく質と二量体を形成せず、該融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は
、HPV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、組成物。
(項目2)
前記対象における前記細胞性免疫応答は、前記第2の用量の投与後に測定された、項目
1に記載の使用のための組成物。
(項目3)
前記対象は、第3の用量の前記組成物の投与を受ける、項目1又は2に記載の使用のた
めの組成物。
(項目4)
前記第1の用量は、少なくとも約0.5mg、少なくとも約1mg、少なくとも約1.
5mg、少なくとも約2mg、少なくとも約2.5mg、少なくとも約3mg、少なくと
も約3.5mg、少なくとも約4mg、少なくとも約4.5mg、又は少なくとも約5m
gである、項目1~3のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
(項目5)
前記第2の用量は、少なくとも約0.5mg、少なくとも約1mg、少なくとも約1.
5mg、少なくとも約2mg、少なくとも約2.5mg、少なくとも約3mg、少なくと
も約3.5mg、少なくとも約4mg、少なくとも約4.5mg、又は少なくとも約5m
gである、項目1~4のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
(項目6)
前記第1の用量及び前記第2の用量は、同一か又は異なる、項目1~5のいずれか一項
に記載の使用のための組成物。
(項目7)
前記第1の用量は、約1mg~約4mgであり、前記第2の用量は、約1mg~約4m
gである、項目1~6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
(項目8)
前記亢進した細胞性免疫応答は、亢進したCD8 T細胞応答、亢進したCD4 T細
胞応答、亢進したサイトカイン分泌、又はそれらの任意の組み合わせを含む、項目1~7
のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
(項目9)
前記亢進した細胞性免疫応答は、多機能性T細胞数の増加を含む、項目1~8のいずれ
か一項に記載の使用のための組成物。
(項目10)
前記多機能性T細胞は、フローサイトメトリーにより測定した場合、IFN-γ、IL
-2、TNF-α、MIP-β、CD107a/b、及びそれらの任意の組み合わせから
なる群から選択される、少なくとも3種類、少なくとも4種類、又は少なくとも5種類の
マーカーを示す、項目9に記載の使用のための組成物。
(項目11)
前記多機能性T細胞数は、前記ポリヌクレオチドの前記投与前の多機能性T細胞数より
、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なく
とも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、又は少な
くとも約30%増加する、項目9又は10に記載の使用のための組成物。
(項目12)
前記亢進したCD8 T細胞応答は、IFN-γ、IL-2、TNF-α、MIP-β
、CD107a/b、又はそれらの任意の組み合わせの亢進した発現を含む、項目8に記
載の使用のための組成物。
(項目13)
前記亢進したCD8 T細胞応答は、CD38+Ki67+CD8 T細胞の増殖を含
む、項目8に記載の使用のための組成物。
(項目14)
前記亢進したCD8 T細胞応答は、CD38+Ki67+CD8 T細胞数における
、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なく
とも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約1
0倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約1
4倍、少なくとも約15倍、少なくとも約16倍、少なくとも約17倍、少なくとも約1
8倍、少なくとも約19倍、少なくとも約20倍、少なくとも約21倍、少なくとも約2
2倍、少なくとも約23倍、少なくとも約24倍、又は少なくとも約25倍の増加である
、項目13に記載の使用のための組成物。
(項目15)
前記亢進したCD4 T細胞応答は、IFN-γ+CD4細胞の増殖を含む、項目8に
記載の使用のための組成物。
(項目16)
前記亢進したCD4 T細胞応答は、IFN-γ+CD4細胞数における、少なくとも
約1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、又は4.0倍の増加である、項目8~15
のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
(項目17)
前記亢進した細胞性免疫応答は、亢進したHPV16及びHPV18のE6及びE7特
異的IFN-γ応答を含む、項目8~16のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
(項目18)
前記亢進したサイトカイン発現は、IFN-γ、IL-2、THF-α、又はそれらの
任意の組み合わせの亢進した発現を含む、項目8~17のいずれか一項に記載の使用のた
めの組成物。
(項目19)
前記IFN-γの発現は、前記投与前のレベルに対して、少なくとも5倍、少なくとも
10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも45倍、
少なくとも50倍亢進される、項目18に記載の使用のための組成物。
(項目20)
前記IL-2の発現は、前記投与前のレベルに対して、少なくとも2倍、少なくとも約
3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少
なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なく
とも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、又は少なくとも約15倍亢進
される、項目18に記載の使用のための組成物。
(項目21)
前記TNF-αの発現は、前記投与前のレベルに対して、少なくとも約2倍、少なくと
も約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約1
5倍、少なくとも約16倍、少なくとも約17倍、少なくとも約18倍、少なくとも約1
9倍、少なくとも約20倍、少なくとも約21倍、少なくとも約22倍、少なくとも約2
3倍、少なくとも約24倍、又は少なくとも約25倍亢進される、項目18に記載の使用
のための組成物。
(項目22)
IL-4又はIL-17aの発現が、前記投与後に亢進されない、項目1~21のいず
れか一項に記載の使用のための組成物。
(項目23)
前記子宮頸部腫瘍は、良性腫瘍又は悪性腫瘍である、項目1~22のいずれか一項に記
載の使用のための組成物。
(項目24)
前記子宮頸部腫瘍は、扁平上皮癌(SCC)、腺癌、腺扁平上皮癌、小細胞癌、神経内
分泌腫瘍(NET)、すりガラス細胞癌、絨毛腺癌(VGA)、非癌性悪性腫瘍、メラノ
ーマ、リンパ腫、又は子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)である、項目1~23のいずれか一
項に記載の使用のための組成物。
(項目25)
前記融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部から選択される、少なくとも4つ、少な
くとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、又は8つのアミノ酸配列を含む、項目1
~24のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
(項目26)
前記融合たんぱく質は、配列番号10に対して、少なくとも80%、少なくとも85%
、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なく
とも98%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、項
目1~25のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
(項目27)
前記ポリヌクレオチドは、配列番号9に対して、少なくとも80%、少なくとも85%
、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なく
とも98%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む
、項目1~26のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
(項目28)
前記ポリヌクレオチドは、異種ポリペプチドをコードする核酸配列を更に含む、項目1
~27のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
(項目29)
前記異種ポリペプチドは、Fms関連チロシンキナーゼ3リガンド(「FLT3L」)
又はその一部を含む、項目28に記載の使用のための組成物。
(項目30)
前記ポリヌクレオチドは、シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を更に含む
、項目1~29のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
(項目31)
前記シグナルペプチドは、組織プラスミノーゲンアクチベータ(tPA)のシグナルペ
プチド、ヘルペス単純ウイルス糖たんぱく質D(HSV gD)のシグナルペプチド、成
長ホルモンのシグナルペプチド、及びそれらの任意の組み合わせから選択される、項目3
0に記載の使用のための組成物。
(項目32)
前記シグナルペプチドは、tPAのシグナルペプチドである、項目31に記載の使用の
ための組成物。
(項目33)
前記ポリヌクレオチドは、ベクターである、項目1~32のいずれか一項に記載の使用
のための組成物。
(項目34)
前記ポリヌクレオチドは、DNAワクチンである、項目1~33のいずれか一項に記載
の使用のための組成物。
【0025】
実施形態
実施形態(E)1.子宮頸部腫瘍を除去するための外科手術を必要としない対象を特定
するための方法であって、有効量の、融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを対
象に投与することを含み、対象は、投与後に亢進した細胞性免疫応答を示し、融合たんぱ
く質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法。
E2.投与後の対象における亢進した細胞性免疫応答を測定することを更に含む、実施
形態E1に記載の方法。
E3.医療提供者に、投与後の対象における亢進した細胞性免疫応答を測定することを
命じることを更に含む、実施形態E1に記載の方法。
E4.外科手術をすることなく子宮頸部腫瘍を処置する方法であって、融合たんぱく質
をコードするポリヌクレオチドを投与することを含み、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成せず、対象は、投与後に亢
進した細胞性免疫応答を示し、細胞性免疫応答は、投与後に少なくとも2倍亢進され、子
宮頸部腫瘍が、外科手術をすることなく、対象から除去される、方法。
E5.子宮頸部腫瘍を処置する方法であって、(a)融合たんぱく質をコードするポリ
ヌクレオチドの投与後に、亢進した細胞性免疫応答を示さない対象を特定することと、(
b)この対象が子宮頸部腫瘍を除去する外科手術に適していると判定することとを含み、
融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法。
E6.子宮頸部腫瘍の処置を、それを必要とする対象に行う方法であって、(a)融合
たんぱく質をコードするポリヌクレオチドの投与後に、亢進した細胞性免疫応答を示さな
い対象を特定することと、(b)医療提供者に、子宮頸部腫瘍を除去する外科手術を対象
に行うように命じることと、を含み、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法。
E7.子宮頸部腫瘍の処置を、それを必要とする対象に行う方法であって、(a)融合
たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを、それを必要とする対象に投与することと、
(b)融合たんぱく質の投与後に、亢進した細胞性免疫応答を示さない対象を特定するこ
とと、(c)この対象が子宮頸部腫瘍を除去する外科手術に適していると判定することと
、を含み、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法。
E8.対象を特定することは、亢進した細胞性免疫応答を測定することを含む、実施形
態E5~E7のいずれか1つに記載の方法。
E9.子宮頸部腫瘍の処置を、それを必要とする対象集団に行う方法であって、融合た
んぱく質をコードするポリヌクレオチドを、対象集団に投与することを含み、各対象は、
ヒト白血球抗原(HLA)-A02を保有し、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法。
E10.子宮頸部腫瘍の処置を、それを必要とする対象に行う方法であって、(a)H
LA-A02を保有する対象を特定することと、(b)融合たんぱく質をコードするポリ
ヌクレオチドを対象に投与することと、を含み、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法。
E11.子宮頸部腫瘍の処置を改善する方法であって、融合たんぱく質をコードするポ
リヌクレオチドを、対象集団に投与することを含み、各対象は、ヒト白血球抗原(HLA
)-A02を保有し、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法。
E12.子宮頸部腫瘍の処置を改善する方法であって、(a)HLA-A02を保有す
る対象を特定することと、(b)融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを対象に
投与することと、を含み、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、2つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法。
E13.子宮頸部腫瘍の処置を改善する方法であって、(a)処置を必要とする対象か
ら得られた血液サンプルを、HLA型を特定するために供することと、(b)融合たんぱ
く質をコードするポリヌクレオチドを、HLA-A02を保有する対象に投与することと
、を含み、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法。
E14.対象が、投与後に亢進した細胞性免疫応答を示す、実施形態E9~E13のい
ずれか1つに記載の方法。
E15.子宮頸部腫瘍を処置する方法であって、(a)第1の用量の融合たんぱく質を
コードするポリヌクレオチドを、それを必要とする対象に投与することと、(b)第1の
用量の投与後に、亢進した細胞性免疫応答を示す対象に、第2の用量のこのポリヌクレオ
チドを、更に投与することと、を含み、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法。
E16.子宮頸部腫瘍を処置する方法であって、(a)第1の用量の融合たんぱく質を
コードするポリヌクレオチドを、それを必要とする対象に投与することと、(b)投与後
に細胞性免疫応答を測定することと、(c)第1の用量の投与後に、亢進した細胞性免疫
応答を示す対象に、第2の用量のこのポリヌクレオチドを投与することと、を含み、融合
たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法。
E17.第2の用量の投与後に、細胞性免疫応答を測定することを更に含む、実施形態
E15又はE16に記載の方法。
E18.第3の用量のポリヌクレオチドを投与することを更に含む、実施形態E15~
E17のいずれか1つに記載の方法。
E19.子宮頸部腫瘍を処置する方法であって、(a)第1の用量及び第2の用量の融
合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを、それを必要とする対象に投与することと
、(b)第1の用量又は第2の用量の投与後に、亢進した細胞性免疫応答を示す対象に、
第3の用量のこのポリヌクレオチドを、この対象に更に投与することと、を含み、融合た
んぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法。
E20.子宮頸部腫瘍を処置する方法であって、(a)第1の用量及び第2の用量の融
合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを、それを必要とする対象に投与することと
、(b)第1の用量又は第2の用量の投与後に細胞性免疫応答を測定することと、(c)
対象が第1又は第2の用量の投与後に、亢進した細胞性免疫応答を示す場合に、第3の用
量のこのポリヌクレオチドを、この対象に投与することと、を含み、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、方法。
E21.第1の用量は、少なくとも約0.5mg、少なくとも約1mg、少なくとも約
1.5mg、少なくとも約2mg、少なくとも約2.5mg、少なくとも約3mg、少な
くとも約3.5mg、少なくとも約4mg、少なくとも約4.5mg、又は少なくとも約
5mgである、実施形態E15~E20のいずれか1つに記載の方法。
E22.第2の用量は、少なくとも約0.5mg、少なくとも約1mg、少なくとも約
1.5mg、少なくとも約2mg、少なくとも約2.5mg、少なくとも約3mg、少な
くとも約3.5mg、少なくとも約4mg、少なくとも約4.5mg、又は少なくとも約
5mgである、実施形態E15~E21のいずれか1つに記載の方法。
E23.第1の用量及び第2の用量は、同一か又は異なる、実施形態E15~E22の
いずれか1つに記載の方法。
E24.第3の用量は、少なくとも約0.5mg、少なくとも約1mg、少なくとも約
1.5mg、少なくとも約2mg、少なくとも約2.5mg、少なくとも約3mg、少な
くとも約3.5mg、少なくとも約4mg、少なくとも約4.5mg、又は少なくとも約
5mgである、実施形態E18~E23のいずれか1つに記載の方法。
E25.第1の用量、第2の用量、及び第3の用量が同一である、実施形態E18~E
24のいずれか1つに記載の方法。
E26.第1の用量、第2の用量、及び第3の用量が異なる、実施形態E18~E24
のいずれか1つに記載の方法。
E27.第1の用量は、約1mg~約5mg、約2mg~約4mg、約1mg~約4m
g、約1mg~約10mg、約1mg~約9mg、約1mg~約8mg、約1mg~約7
mg、約1mg~約6mgであり、第2の用量は、約1mg~約5mg、約2mg~約4
mg、約1mg~約4mg、約1mg~約10mg、約1mg~約9mg、約1mg~約
8mg、約1mg~約7mg、約1mg~約6mgである、実施形態E15~E26のい
ずれか1つに記載の方法。
E28.第3の用量が、約1mg~約5mg、約2mg~約4mg、約1mg~約4m
g、約1mg~約10mg、約1mg~約9mg、約1mg~約8mg、約1mg~約7
mg、約1mg~約6mgである、実施形態E18~E27のいずれか1つに記載の方法
。
E29.第1の用量は、約1mg~約4mgであり、第2の用量は、約1mg~約4m
gである、実施形態E15~E28のいずれか1つに記載の方法。
E30.第3の用量が、約1mg~約4mgである、実施形態E18~E29のいずれ
か1つに記載の方法。
E31.第1の用量が、約1mgであり、第2の用量が、約1mgであり、第3の用量
が、約1mgである、実施形態E30に記載の方法。E
E32.第1の用量が、約2mgであり、第2の用量が、約2mgであり、第3の用量
が、約2mgである、実施形態E30に記載の方法。
E33.第1の用量が、約4mgであり、第2の用量が、約4mgであり、第3の用量
が、約4mgである、実施形態E30に記載の方法。
E34.亢進した細胞性免疫応答は、亢進したCD8 T細胞応答、亢進したCD4
T細胞応答、亢進したサイトカイン分泌、又はそれらの任意の組み合わせである、実施形
態E1~E8及びE14~E33のいずれか1つに記載の方法。
E35.亢進した細胞性免疫応答は、多機能性T細胞数の増加である、実施形態E1~
E8及びE14~E34のいずれか1つに記載の方法。
E36.多機能性T細胞は、フローサイトメトリーにより測定した場合、IFN-γ、
IL-2、TNF-α、MIP-β、及びCD107a/bから選択される、少なくとも
3つ、少なくとも4つ、又は少なくとも5つのマーカーを示す、実施形態E1~E8及び
E14~E35のいずれか1つに記載の方法。
E37.多機能性T細胞数は、ポリヌクレオチドの投与前の多機能性T細胞数より、少
なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも
約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、又は少なくと
も約30%増加する、実施形態E35又はE36に記載の方法。
E38.亢進したCD8 T細胞応答は、IFN-γ、IL-2、TNF-α、MIP
-β、CD107a/b、又はそれらの任意の組み合わせの亢進した発現を含む、実施形
態E34に記載の方法。
E39.亢進したCD8 T細胞応答は、CD38+Ki67+CD8 T細胞の増殖
を含む、実施形態E34に記載の方法。
E40.亢進したCD8 T細胞応答は、CD38+Ki67+CD8 T細胞数にお
ける、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少
なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも
約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも
約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約16倍、少なくとも約17倍、少なくとも
約18倍、少なくとも約19倍、少なくとも約20倍、少なくとも約21倍、少なくとも
約22倍、少なくとも約23倍、少なくとも約24倍、又は少なくとも約25倍の増加で
ある、実施形態E39に記載の方法。
E41.亢進したCD8 T細胞応答が、フローサイトメトリーにより測定される、実
施形態E34~E40のいずれか1つに記載の方法。
E42.亢進したCD4 T細胞応答は、IFN-γ+CD4細胞の増殖を含む、実施
形態E34~E41のいずれか1つに記載の方法。
E43.亢進したCD4 T細胞応答は、IFN-γ+CD4細胞数における、少なく
とも約1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、又は4.0倍の増加である、実施形態
E34~E42のいずれか1つに記載の方法。
E44.亢進した細胞性免疫応答は、亢進したHPV16及びHPV18のE6及びE
7特異的IFN-γ応答を含む、実施形態E34~E43のいずれか1つに記載の方法。
E45.IFN-γ応答は、IFN-γ ELISPOTアッセイにより測定される、
実施形態E44に記載の方法。
E46.亢進したサイトカイン発現は、IFN-γ、IL-2、THF-α、又はそれ
らの任意の組み合わせの亢進した発現を含む、実施形態E34~E45のいずれか1つに
記載の方法。
E47.IFN-γの発現は、前記投与前のレベルに対して、少なくとも5倍、少なく
とも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも45
倍、少なくとも50倍亢進される、実施形態E46に記載の方法。
E48.IL-2の発現は、投与前のレベルに対して、少なくとも2倍、少なくとも約
3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少
なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なく
とも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、又は少なくとも約15倍亢進
される、実施形態E46に記載の方法。
E49.TNF-αの発現は、投与前のレベルに対して、少なくとも約2倍、少なくと
も約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約1
5倍、少なくとも約16倍、少なくとも約17倍、少なくとも約18倍、少なくとも約1
9倍、少なくとも約20倍、少なくとも約21倍、少なくとも約22倍、少なくとも約2
3倍、少なくとも約24倍、又は少なくとも約25倍亢進される、実施形態E46に記載
の方法。
E50.IL-4又はIL-17aの発現が、投与後に亢進されない、実施形態E1~
E49のいずれか1つに記載の方法。
E51.第2の用量が、第1の用量の、少なくとも約1週間後、2週間後、3週間後、
4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、9週間後、10週間後、11週間
後、12週間後、13週間後、14週間後、又は15週間後に投与される、実施形態E1
5~E50のいずれか1つに記載の方法。
E52.第3の用量が、第2の用量の、少なくとも約1週間後、2週間後、3週間後、
4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、9週間後、10週間後、11週間
後、12週間後、13週間後、14週間後、又は15週間後に投与される、実施形態E1
8~E51のいずれか1つに記載の方法。
E53.ポリヌクレオチドが、エレクトロポレーションにより投与される、実施形態E
1~E52のいずれか1つに記載の方法。
E54.子宮頸部腫瘍は、良性腫瘍又は悪性腫瘍である、実施形態E1~E53のいず
れか1つに記載の方法。
E55.子宮頸部腫瘍は、扁平上皮癌(SCC)、腺癌、腺扁平上皮癌、小細胞癌、神
経内分泌腫瘍(NET)、すりガラス細胞癌、絨毛腺癌(villoglandular adenocarcino
ma)(VGA)、非癌性悪性腫瘍(non-carcinoma malignancy)、メラノーマ、リンパ
腫、又は子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)である、実施形態E1~E54のいずれか1つに
記載の方法。
E56.子宮頸部腫瘍が、CIN1、CIN2、CIN3、又は子宮頸癌である、実施
形態E1~E55のいずれか1つに記載の方法。
E57.全身性HPV特異的多機能性CD8 T細胞応答を、それを必要とする対象に
おいて亢進させる方法であって、融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを投与す
ることを含み、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質が、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質が、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成せず、多機能性CD8 T
細胞応答が、IFN-γ、IL-2、TNF-α、又はそれらの任意の組み合わせの亢進
した発現を含む、方法。
E58.投与が、少なくとも2回の投与又は3回の投与を含む、実施形態E57に記載
の方法。
E59.IFN-γの発現は、投与前のレベルに対して、少なくとも5倍、少なくとも
約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも
約45倍、少なくとも約50倍亢進される、実施形態E57又はE58に記載の方法。
E60.IL-2の発現は、投与前のレベルに対して、少なくとも約2倍、少なくとも
約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、
少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少な
くとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、又は少なくとも約15倍亢
進される、実施形態E57~E59のいずれか1つに記載の方法。
E61.TNF-αの発現は、投与前のレベルに対して、少なくとも約2倍、少なくと
も約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約1
5倍、少なくとも約16倍、少なくとも約17倍、少なくとも約18倍、少なくとも約1
9倍、少なくとも約20倍、少なくとも約21倍、少なくとも約22倍、少なくとも約2
3倍、少なくとも約24倍、又は少なくとも約25倍亢進される、実施形態E57~E6
0のいずれか1つに記載の方法。
E62.IL-4又はIL-17aの発現が、投与後に亢進されない、実施形態E57
~E61のいずれか1つに記載の方法。
E63.融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを含む医薬組成物と、有効量の
この医薬組成物を投与した後に細胞性免疫応答が亢進されない場合に、子宮頸部腫瘍を除
去する外科手術を行うことに関する指示と、を含む、医薬キットであって、融合たんぱく
質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部から選択される、3つ以上のアミノ酸配
列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、医薬キット。
E64.融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを含む医薬組成物と、初期量の
ポリヌクレオチドの投与後に多機能性T細胞数の増加を示す対象に有効量のこの医薬組成
物を投与することに関する指示と、を含む、医薬キットであって、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、医薬キット。
E65.融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを含む医薬組成物と、HLA-
A02を保有する対象に有効量のこの医薬組成物を投与することに関する指示と、を含む
、医薬キットであって、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部から選択される、3つ以上のアミノ酸配
列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、医薬キット。
E66.有効量が、少なくとも1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、又は6mg
である、実施形態E63~E65のいずれか1つに記載のキット。
E67.融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを含む医薬組成物と、対象への
、この医薬組成物の1回の投与又は2回の投与が亢進した細胞性免疫応答を示さない場合
、この医薬組成物の更なる投与を中止することに関する指示と、を含む、医薬キットであ
って、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部から選択される、3つ以上のアミノ酸配
列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、医薬キット。
E68.1回の投与が、少なくとも約0.5mg、1mg、1.5mg、2mg、2.
5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、又は5mgである、実施形態E67
に記載のキット。
E69.2回の投与が、第1の用量及び第2の用量を含み、第1の用量が、少なくとも
約0.5mg、1mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg
、4.5mg、又は5mgであり、第2の用量が、少なくとも約0.5mg、1mg、1
.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、又は5mg
である、実施形態E67又はE68に記載のキット。
E70.第1の用量及び第2の用量が同一である、実施形態E67~E69のいずれか
1つに記載のキット。
E71.第1の用量及び第2の用量が異なる、実施形態E67~E69のいずれか1つ
に記載のキット。
E72.第1の用量は、約1mg~約5mg、約2mg~約4mg、約1mg~約4m
g、約1mg~約10mg、約1mg~約9mg、約1mg~約8mg、約1mg~約7
mg、約1mg~約6mgであり、第2の用量は、約1mg~約5mg、約2mg~約4
mg、約1mg~約4mg、約1mg~約10mg、約1mg~約9mg、約1mg~約
8mg、約1mg~約7mg、約1mg~約6mgである、実施形態E67~E71のい
ずれか1つに記載のキット。
E73.第1の用量は、約1mg~4mgであり、第2の用量は、約1mg~約4mg
である、実施形態E67~E71のいずれか1つに記載のキット。
E74.第1の用量が、約1mgであり、第2の用量が、約1mgである、実施形態E
73に記載のキット。
E75.第1の用量が、約2mgであり、第2の用量が、約2mgである、実施形態E
73に記載のキット。
E76.第1の用量が、約4mgであり、第2の用量が、約4mgである、実施形態E
73に記載のキット。
E77.融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部から選択される、少なくとも4つ、少な
くとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、又は8つのアミノ酸配列を含む、実施形
態E1~E62のいずれか1つに記載の方法、又は実施形態E63~E76のいずれか1
つに記載のキット。
E78.融合たんぱく質は、HPV16の天然のE6たんぱく質、HPV18の天然の
E6たんぱく質、HPV18の天然のE7たんぱく質、及びHPV18の天然のE7たん
ぱく質に含有されるのと同じ数のエピトープ、又は、HPV16の天然のE6たんぱく質
、HPV18の天然のE6たんぱく質、HPV18の天然のE7たんぱく質、及びHPV
18の天然のE7たんぱく質に含有されるエピトープより多くのエピトープを含む、実施
形態E1~E62及び77のいずれか1つに記載の方法又は実施形態E63~E77のい
ずれか1つに記載のキット。
E79.HPV16のE6たんぱく質のN末端部、HPV16のE6たんぱく質のC末
端部、HPV18のE6たんぱく質のN末端部、及びHPV18のE6たんぱく質のC末
端部はそれぞれ、完全なE6関連たんぱく質(E6AP)結合部位を含まない、実施形態
E1~E62並びにE77及びE78のいずれか1つに記載の方法又は実施形態E63~
E78のいずれか1つに記載のキット。
E80.完全なE6AP結合部位が、配列番号2(E6 HPV16)に対応するアミ
ノ酸35~136又は配列番号4(E6 HPV18)に対応するアミノ酸30~131
を含む、実施形態E79に記載の方法又はキット。
E81.HPV16のE7たんぱく質のN末端部、HPV16のE7たんぱく質のC末
端部、HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及びHPV18のE7たんぱく質のC末
端部がそれぞれ、完全なCR2ドメイン又は完全なCR3ドメインを含まない、実施形態
E1~E62及びE77~E80のいずれか1つに記載の方法又は実施形態E63~E7
6及びE77~E80のいずれか1つに記載のキット。
E82.完全なCR2ドメイン及びCR3ドメインが、配列番号6(E7 HPV16
)に対応するアミノ酸18~98、又は配列番号8(E7 HPV18)に対応するアミ
ノ酸21~105である、実施形態E81に記載の方法又はキット。
E83.HPV16のE6たんぱく質のN末端部が、配列番号2のN末端配列(16E
6Na-b)に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少な
くとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも9
9%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ここで、aが、配列番号2に
対応するアミノ酸残基1又は2から選択されるアミノ酸であり、bが、配列番号2に対応
するアミノ酸残基35~135から選択されるアミノ酸であり、HPV16のE6たんぱ
く質のC末端部が、配列番号2のC末端配列(16E6Cc-d)に対して、少なくとも
80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、
少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有す
るアミノ酸配列を含み、ここで、cが、配列番号2に対応する、36以上のアミノ酸残基
及びアミノ酸b+1以下のアミノ酸残基から選択されるアミノ酸であり、dが、配列番号
2に対応するアミノ酸残基157又は158から選択されるアミノ酸である、実施形態E
1~E62及びE77~E82のいずれか1つに記載の方法並びに実施形態E63~E7
6及びE77~E82のいずれか1つに記載のキット。
E84.bが、配列番号2に対応するアミノ酸残基35~39、57~62、69~8
5、87~88、98~99、107、109、114、及び135から選択されるアミ
ノ酸である、実施形態E83に記載の方法又はキット。
E85.配列番号2に対応して、bがアミノ酸残基35であり、cがアミノ酸残基36
であるか;bがアミノ酸残基36であり、cがアミノ酸残基36又は37であるか;bが
アミノ酸残基37であり、cがアミノ酸残基36、37、又は38であるか;bがアミノ
酸残基38であり、cがアミノ酸残基36、37、38、又は39であるか;bがアミノ
酸残基39であり、cがアミノ酸残基36、37、38、39、又は40であるか;bが
アミノ酸残基57であり、cがアミノ酸残基36~58から選択されるアミノ酸であるか
;bがアミノ酸残基58であり、cがアミノ酸残基36~59から選択されるアミノ酸で
あるか;bがアミノ酸残基59であり、cがアミノ酸残基36~60から選択されるアミ
ノ酸であるか;bがアミノ酸残基60であり、cがアミノ酸残基36~61から選択され
るアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基61であり、cがアミノ酸残基36~62から選
択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基62であり、cがアミノ酸残基36~63
から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基69であり、cがアミノ酸残基36
~70から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基70であり、cがアミノ酸残
基36~71から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基71であり、cがアミ
ノ酸残基36~72から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基72であり、c
がアミノ酸残基36~73から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基73であ
り、cがアミノ酸残基36~74から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基7
4であり、cがアミノ酸残基36~75から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸
残基75であり、cがアミノ酸残基36~76から選択されるアミノ酸であるか;bがア
ミノ酸残基76であり、cがアミノ酸残基36~77から選択されるアミノ酸であるか;
bがアミノ酸残基77であり、cがアミノ酸残基36~78から選択されるアミノ酸であ
るか;bがアミノ酸残基78であり、cがアミノ酸残基36~79から選択されるアミノ
酸であるか;bがアミノ酸残基79であり、cがアミノ酸残基36~80から選択される
アミノ酸であるか;bがアミノ酸残基80であり、cがアミノ酸残基36~81から選択
されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基81であり、cがアミノ酸残基36~82か
ら選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基82であり、cがアミノ酸残基36~
83から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基83であり、cがアミノ酸残基
36~84から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基84であり、cがアミノ
酸残基36~85から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基85であり、cが
アミノ酸残基36~86から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基87であり
、cがアミノ酸残基36~88から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基88
であり、cがアミノ酸残基36~89から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残
基98であり、cがアミノ酸残基36~99から選択されるアミノ酸であるか;bがアミ
ノ酸残基99であり、cがアミノ酸残基36~100から選択されるアミノ酸であるか;
bがアミノ酸残基107であり、cがアミノ酸残基36~108から選択されるアミノ酸
であるか;bがアミノ酸残基109であり、cがアミノ酸残基36~110から選択され
るアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基114であり、cがアミノ酸残基36~115か
ら選択されるアミノ酸であるか;又は、bがアミノ酸残基135であり、cがアミノ酸残
基36~136から選択されるアミノ酸である、実施形態E83又はE84に記載の方法
又はキット。
E86.HPV18のE6たんぱく質のN末端部が、配列番号4のN末端配列(18E
6Ni-j)に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少な
くとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも9
9%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ここで、iが、配列番号4に
対応するアミノ酸残基1又は2から選択されるアミノ酸であり、jが、配列番号4に対応
するアミノ酸残基30~130から選択されるアミノ酸であり、HPV18のE6たんぱ
く質のC末端部が、配列番号4のC末端配列(18E6Ck-l)に対して、少なくとも
80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、
少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有す
るアミノ酸配列を含み、ここで、kが、配列番号4に対応する、31以上のアミノ酸残基
及びj+1以下のアミノ酸残基から選択されるアミノ酸であり、lが、配列番号4に対応
するアミノ酸残基157又は158から選択されるアミノ酸である、実施形態E1~E6
2及びE77~E85のいずれか1つに記載の方法並びに実施形態E63~E85のいず
れか1つに記載のキット。
E87.jが、配列番号4に対応するアミノ酸残基30~34、52~57、64~8
0、82~83、93、94、102、104、109、及び130から選択されるアミ
ノ酸である、実施形態E85に記載の方法又はキット。
E88.配列番号4に対応して、jがアミノ酸残基30であり、kがアミノ酸残基31
であるか;jがアミノ酸残基31であり、kがアミノ酸残基31又は32であるか;jが
アミノ酸残基32であり、kがアミノ酸残基31、32、又は33であるか;jがアミノ
酸残基33であり、kがアミノ酸残基31、32、33、又は34であるか;jがアミノ
酸残基34であり、kがアミノ酸残基31、32、33、34、又は35であるか;jが
アミノ酸残基52であり、kがアミノ酸残基31~53から選択されるアミノ酸であるか
;jがアミノ酸残基53であり、kがアミノ酸残基31~54から選択されるアミノ酸で
あるか;jがアミノ酸残基54であり、kがアミノ酸残基31~55から選択されるアミ
ノ酸であるか;jがアミノ酸残基55であり、kがアミノ酸残基31~56から選択され
るアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基56であり、kがアミノ酸残基31~57から選
択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基57であり、kがアミノ酸残基31~58
から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基64であり、kがアミノ酸残基31
~65から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基65であり、kがアミノ酸残
基31~66から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基66であり、kがアミ
ノ酸残基31~67から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基67であり、k
がアミノ酸残基31~68から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基68であ
り、kがアミノ酸残基31~69から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基6
9であり、kがアミノ酸残基31~70から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸
残基70であり、kがアミノ酸残基31~71から選択されるアミノ酸であるか;jがア
ミノ酸残基71であり、kがアミノ酸残基31~72から選択されるアミノ酸であるか;
jがアミノ酸残基72であり、kがアミノ酸残基31~73から選択されるアミノ酸であ
るか;jがアミノ酸残基73であり、kがアミノ酸残基31~74から選択されるアミノ
酸であるか;jがアミノ酸残基74であり、kがアミノ酸残基31~75から選択される
アミノ酸であるか;jがアミノ酸残基75であり、kがアミノ酸残基31~76から選択
されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基76であり、kがアミノ酸残基31~77か
ら選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基77であり、kがアミノ酸残基31~
78から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基78であり、kがアミノ酸残基
31~79から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基79であり、kがアミノ
酸残基31~80から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基80であり、kが
アミノ酸残基31~81から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基82であり
、kがアミノ酸残基31~83から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基83
であり、kがアミノ酸残基31~84から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残
基93であり、kがアミノ酸残基31~94から選択されるアミノ酸であるか;jがアミ
ノ酸残基94であり、kがアミノ酸残基31~95から選択されるアミノ酸であるか;j
がアミノ酸残基102であり、kがアミノ酸残基31~103から選択されるアミノ酸で
あるか;jがアミノ酸残基104であり、kがアミノ酸残基31~105から選択される
アミノ酸であるか;jがアミノ酸残基109であり、kがアミノ酸残基31~110から
選択されるアミノ酸であるか;又は、jがアミノ酸残基130であり、kがアミノ酸残基
31~131から選択されるアミノ酸である、実施形態E86又はE87に記載の方法又
はキット。
E89.HPV16のE7たんぱく質のN末端部が、配列番号6のN末端配列(16E
7Ne-f)に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少な
くとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも9
9%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ここで、eが、配列番号6に
対応するアミノ酸残基1又は2から選択されるアミノ酸であり、fが、配列番号6に対応
するアミノ酸残基18~97から選択されるアミノ酸であり、HPV16のE7たんぱく
質のC末端部が、配列番号6のC末端配列(16E7Cg-h)に対して、少なくとも8
0%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少
なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有する
アミノ酸配列を含み、ここで、gが、配列番号6に対応する、19以上のアミノ酸残基及
びf+1以下のアミノ酸残基から選択されるアミノ酸であり、hが、配列番号6に対応す
るアミノ酸残基97又は98から選択されるアミノ酸である、実施形態E1~E62及び
E77~E88のいずれか1つに記載の方法並びにEM63~88のいずれか1つに記載
のキット。
E90.fが、配列番号6に対応するアミノ酸残基18~39及び44~97から選択
されるアミノ酸である、実施形態E89に記載の方法又はキット。
E91.fは、配列番号6に対応する18~39から選択されるアミノ酸残基であり、
gは、配列番号6に対応する、19以上のアミノ酸残基及びf+1以下のアミノ酸残基か
ら選択されるアミノ酸であるか、又は、fは、配列番号6に対応するアミノ酸残基44~
97から選択されるアミノ酸残基であり、gは、配列番号6に対応する、45以上のアミ
ノ酸残基及びアミノ酸f+1以下のアミノ酸残基から選択されるアミノ酸である、実施形
態E89又はE90に記載の方法又はキット。
E92.HPV18のE7たんぱく質のN末端部が、配列番号8のN末端配列(18E
7Nm-n)に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少な
くとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも9
9%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ここで、mが、配列番号8に
対応するアミノ酸残基1又は2から選択されるアミノ酸であり、nが、配列番号8に対応
するアミノ酸残基21~104から選択されるアミノ酸であり、HPV18のE7たんぱ
く質のC末端部が、配列番号8のC末端配列(18E7Co-p)に対して、少なくとも
80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、
少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有す
るアミノ酸配列を含み、ここで、oが、配列番号8に対応する、22以上のアミノ酸残基
及びn+1以下のアミノ酸残基から選択されるアミノ酸であり、pが、配列番号8に対応
するアミノ酸残基104又は105から選択されるアミノ酸である、実施形態E1~E6
2及びE77~E91のいずれか1つに記載の方法並びに実施形態E63~E91のいず
れか1つに記載のキット。
E93.nが、配列番号8に対応するアミノ酸残基21~42及び47~104から選
択されるアミノ酸である、実施形態E92に記載の方法又はキット。
E94.配列番号8に対応して、nは、21~41から選択されるアミノ酸残基であり
、oは、22以上のアミノ酸残基及びn+1以下のアミノ酸残基から選択されるアミノ酸
であるか、又は、nは、アミノ酸残基47~104から選択されるアミノ酸残基であり、
oは、48以上のアミノ酸残基及びn+1以下のアミノ酸残基から選択されるアミノ酸で
ある、実施形態E92又はE93に記載の方法又はキット。
E95.融合たんぱく質は、HPV16の天然の全長E6たんぱく質、HPV16の天
然の全長E7たんぱく質、HPV18の天然の全長E6たんぱく質、及びHPV18の天
然の全長E7たんぱく質を含まない、実施形態E1~E62及びE77~E94のいずれ
か1つに記載の方法又は実施形態E63~E94のいずれか1つに記載のキット。
E96.融合たんぱく質が、N末端からC末端に向かって、(i)16E6Na-b-
16E7Ne-f-16E6Cc-d-16E7Cg-h-18E6Ni-j-18E7
Nm-n-18E6Ck-l-18E7Co-p;(ii)18E6Ni-j-18E7
Nm-n-18E6Ck-l-18E7Co-p-16E6Na-b-16E7Ne-f
-16E6Cc-d-16E7Cg-h;(iii)16E7Ne-f-16E6Na-
b-16E7Cg-h-16E6Cc-d-18E7Nm-n-18E6Ni-j-18
E7Co-p-18E6Ck-l;(iv)18E7Nm-n-18E6Ni-j-18
E7Co-p-18E6Ck-l-16E7Ne-f-16E6Na-b-16E7Cg
-h-16E6Cc-d;(v)18E6Ni-j-16E7Ne-f-16E6Cc-
d-18E6Ck-l-18E7Nm-n-16E6Na-b-18E7Co-p-16
E7Cg-h;(vi)16E6Na-b-18E6Ni-j-18E7Co-p-16
E6Cc-d-16E7Ne-f-18E7Nm-n-16E7Cg-h-18E6Ck
-l;(vii)18E7Nm-n-16E6Na-b-18E7Co-p-16E7C
g-h-16E7Ne-f-18E6Ni-j-16E6Cc-d-18E6Ck-l;
又は、(viii)16E7Ne-f-18E6Ni-j-16E7Cg-h-18E7
Co-p-18E7Nm-n-16E6Na-b-18E6Ck-l-16E6Cc-d
を含む、実施形態E95に記載の方法又はキット。
E97.融合たんぱく質は、N末端からC末端に向かって、16E6Na-b-16E
7Ne-f-16E6Cc-d-16E7Cg-h-18E6Ni-j-18E7Nm-
n-18E6Ck-l-18E7Co-pを含み、aは、配列番号2のアミノ酸残基1で
あり、bは、配列番号2のアミノ酸残基85であり、cは、配列番号2のアミノ酸残基7
1であり、dは、配列番号2のアミノ酸残基158であり、eは、配列番号6のアミノ酸
残基1であり、fは、配列番号6のアミノ酸残基65であり、gは、配列番号6のアミノ
酸残基51であり、hは、配列番号6のアミノ酸残基98であり、iは、配列番号4のア
ミノ酸残基1であり、jは、配列番号4のアミノ酸残基85であり、kは、配列番号4の
アミノ酸残基71であり、lは、配列番号4のアミノ酸残基158であり、mは、配列番
号8のアミノ酸残基1であり、nは、配列番号8のアミノ酸残基65であり、oは、配列
番号8のアミノ酸残基51であり、pは、配列番号8のアミノ酸残基105である、実施
形態E96に記載の方法又はキット。
E98.融合たんぱく質は、配列番号10に対して、少なくとも80%、少なくとも8
5%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少
なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む
、実施形態E95に記載の方法又はキット。
E99.ポリヌクレオチドが、ヒトでの発現用にコドン最適化されている、実施形態E
95~E98のいずれか1つに記載の方法又はキット。
E100.ポリヌクレオチドは、配列番号9に対して、少なくとも80%、少なくとも
85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、
少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列
を含む、実施形態E95~E99のいずれか1つに記載の方法又はキット。
E101.ポリヌクレオチドは、異種ポリペプチドをコードする核酸配列を更に含む、
実施形態E1~E62及びE77~E100のいずれか1つに記載の方法又は実施形態E
63~E100のいずれか1つに記載のキット。
E102.異種ポリペプチドが、Fms関連チロシンキナーゼ3リガンド(「FLT3
L」)又はその一部を含む、実施形態E101に記載の方法又はキット。
E103.FLT3L又はその一部が、FLT3Lの細胞外ドメインを含む、実施形態
E102に記載の方法又はキット。
E104.FLT3L又はその一部が、配列番号12に対して、少なくとも80%、少
なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも
97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸
配列を含む、実施形態E102又はE103に記載の方法又はキット。
E105.異種ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号11に対して、少なく
とも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96
%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同一性を
有する核酸配列を含む、実施形態E101~E104のいずれか1つに記載の方法又はキ
ット。
E106.ポリヌクレオチドは、シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を更
に含む、実施形態E1~E62及びE77~E105のいずれか1つに記載の方法又は実
施形態E63~E105のいずれか1つに記載のキット。
E107.シグナルペプチドは、組織プラスミノーゲンアクチベータ(tPA)のシグ
ナルペプチド、ヘルペス単純ウイルス糖たんぱく質D(HSV gD)のシグナルペプチ
ド、成長ホルモンのシグナルペプチド、及びそれらの任意の組み合わせから選択される、
実施形態E106に記載の方法又はキット。
E108.シグナルペプチドは、tPAのシグナルペプチドである、実施形態E106
に記載の方法又はキット。
E109.シグナルペプチドが、配列番号14に対して、少なくとも80%、少なくと
も85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%
、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を
含む、実施形態E108に記載の方法又はキット。
E110.シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号13に対して
、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なく
とも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の
同一性を有する核酸配列を含む、実施形態E109に記載の方法又はキット。
E111.ポリヌクレオチドは、ベクターである、実施形態E1~E62及びE77~
E110のいずれか1つに記載の方法又は実施形態E77~E110のいずれか1つに記
載のキット。
E112.ベクターが、プラスミドである、実施形態E111に記載の方法又はキット
。
E113.プラスミドが、SV40ポリA配列、SV40エンハンサー、pCMVプロ
モーター、gIVS、又はそれらの任意の組み合わせを更に含む、実施形態E112に記
載の方法又はキット。
E114.プラスミドが、SV40ポリA配列、SV40エンハンサー、ColE1、
pCMVプロモーター、及びgIVSを更に含む、実施形態E113に記載の方法又はキ
ット。
E115.ポリヌクレオチドが、DNA又はRNAである、実施形態E1~E62及び
E77~E114のいずれか1つに記載の方法又は実施形態E77~E114のいずれか
1つに記載のキット。
E116.ポリヌクレオチドは、DNAワクチンである、実施形態E1~E62及びE
77~E115のいずれか1つに記載の方法又は実施形態E77~E115のいずれか1
つに記載のキット。
E117.ヒトパピローマウイルス感染により引き起こされる子宮頸部腫瘍の処置又は
予防において有効な、融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを製造する方法であ
って、(i)融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを構築することであって、融
合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、少なくとも3つのア
ミノ酸配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、ことと、
(ii)このポリヌクレオチドを宿主細胞にトランスフェクションすることと、を含む
、方法。
E118.融合たんぱく質は、完全なE6関連たんぱく質(AP)結合部位を含まない
、実施形態E117に記載の方法。
E119.ヒトパピローマウイルス感染により引き起こされる子宮頸部腫瘍の処置又は
予防において有効な、融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを製造する方法であ
って、(i)融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを構築することであって、融
合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部を含み、
融合たんぱく質が、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質が、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質が、
HPV16及びHPV18の天然のE6たんぱく質並びにHPV16及びHPV18の天
然のE7たんぱく質に含有される免疫原性についての少なくとも全てのエピトープを含む
、ことと、(ii)このポリヌクレオチドを宿主細胞にトランスフェクションすることで
あって、融合たんぱく質が発現される、ことと、を含む、方法。
E120.HPV16の天然のE6たんぱく質、HPV16の天然のE7たんぱく質、
HPV18の天然のE6たんぱく質、及びHPV18の天然のE7たんぱく質に含有され
る免疫原性についての少なくとも全てのエピトープを含む状態で、HPV16のE6たん
ぱく質の配列、HPV16のE7たんぱく質の配列、HPV18のE6たんぱく質の配列
、及びHPV18のE7たんぱく質の配列を含む融合たんぱく質におけるP53結合部位
及びpRb結合部位を除去する方法であって、(i)融合たんぱく質をコードするポリヌ
クレオチドを構築することであって、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部を含み、ここで、
(a)HPV16のE6たんぱく質は、配列番号2に対応するアミノ酸35~135
のC末端において、HPV16のE6たんぱく質のN末端部(16E6Na-b)とHP
V16のE6たんぱく質のC末端部(16E6Cc-d)とに分割され、これらのN末端
部とC末端部は、互いにアライメントさせると、HPV16のE6たんぱく質の全配列と
任意のオーバーラップ配列(overlapping sequence)を含み、
(b)HPV16のE7たんぱく質は、配列番号6に対応するアミノ酸18~97の
C末端において、HPV16のE7たんぱく質のN末端部(16E7Ne-f)とHPV
16のE7たんぱく質のC末端部(16E7g-h)とに分割され、これらのN末端部と
C末端部は、互いにアライメントさせると、HPV16のE7たんぱく質の全配列と任意
のオーバーラップ配列を含み、
(c)HPV18のE6たんぱく質は、配列番号6に対応するアミノ酸30~130
のC末端において、HPV18のE6たんぱく質のN末端部(18E6Ni-j)とHP
V18のE6たんぱく質のC末端部(18E6Nk-l)とに分割され、これらのN末端
部とC末端部は、互いにアライメントさせると、HPV18のE6たんぱく質の全配列と
任意のオーバーラップ配列を含み、
(d)HPV18のE7たんぱく質は、配列番号8に対応するアミノ酸21~104
のC末端において、HPV18のE7たんぱく質のN末端部(18E7Nm-n)とHP
V18のE7たんぱく質のC末端部(18E7Co-p)とに分割され、これらのN末端
部とC末端部は、互いにアライメントさせると、HPV18のE7たんぱく質の全配列と
任意のオーバーラップ配列を含む、ことと、
(ii)このポリヌクレオチドを宿主細胞にトランスフェクションすることと、を
含む、方法。
E121.(a)におけるHPV16のE6たんぱく質についてのオーバーラップ配列
は、少なくとも1個のアミノ酸、少なくとも2個のアミノ酸、少なくとも3個のアミノ酸
、少なくとも4個のアミノ酸、少なくとも5個のアミノ酸、少なくとも10個のアミノ酸
、少なくとも15個のアミノ酸、又は少なくとも20個のアミノ酸を含むか、(b)にお
けるHPV16のE7たんぱく質についてのオーバーラップ配列は、少なくとも1個のア
ミノ酸、少なくとも2個のアミノ酸、少なくとも3個のアミノ酸、少なくとも4個のアミ
ノ酸、少なくとも5個のアミノ酸、少なくとも10個のアミノ酸、少なくとも15個のア
ミノ酸、又は少なくとも20個のアミノ酸を含むか、(c)におけるHPV18のE6た
んぱく質についてのオーバーラップ配列は、少なくとも1、2、5、10、15、20、
25、30、35、又は40個のアミノ酸を含むか、又は、(d)におけるHPV18の
E7たんぱく質についてのオーバーラップ配列は、少なくとも1、2、5、10、15、
20、25、30、35、又は40個のアミノ酸を含む、実施形態E120に記載の方法
。
E122.HPV16のE6たんぱく質、HPV16のE7たんぱく質、HPV18の
E6たんぱく質、及びHPV18のE7たんぱく質の免疫原性についての全てのエピトー
プを含む状態で、HPV16のE6たんぱく質の配列、HPV16のE7たんぱく質の配
列、HPV18のE6たんぱく質の配列、及びHPV18のE7たんぱく質の配列を含む
融合たんぱく質における、HPV16及び/若しくはHPV18のE6たんぱく質、並び
に/又は、HPV16及び/若しくはHPV18のE7たんぱく質のホモ二量体の形成を
防止する方法であって、(i)融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを構築する
ことであって、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部を含み、ここで、
(a)HPV16のE6たんぱく質は、配列番号2に対応するアミノ酸37~72の
C末端において、HPV16のE6たんぱく質のN末端部(16E6Na-b)とHPV
16のE6たんぱく質のC末端部(16E6Cc-d)とに分割され、これらのN末端部
とC末端部は、互いにアライメントさせると、HPV16のE6たんぱく質の全配列と任
意のオーバーラップ配列を含み、
(b)HPV16のE7たんぱく質は、配列番号6に対応するアミノ酸44~97の
C末端において、HPV16のE7たんぱく質のN末端部(16E7Ne-f)とHPV
16のE7たんぱく質のC末端部(16E7g-h)とに分割され、これらのN末端部と
C末端部は、互いにアライメントさせると、HPV16のE7たんぱく質の全配列と任意
のオーバーラップ配列を含み、
(c)HPV18のE6たんぱく質は、配列番号4に対応するアミノ酸32~67の
C末端において、HPV18のE6たんぱく質のN末端部(18E6Ni-j)とHPV
18のE6たんぱく質のC末端部(18E6Nk-l)とに分割され、これらのN末端部
とC末端部は、互いにアライメントさせると、HPV18のE6たんぱく質の全配列と任
意のオーバーラップ配列を含み、
(d)HPV18のE7たんぱく質は、配列番号8に対応するアミノ酸47~104
のC末端において、HPV18のE7たんぱく質のN末端部(18E7Nm-n)とHP
V18のE7たんぱく質のC末端部(18E7Co-p)とに分割され、これらのN末端
部とC末端部は、互いにアライメントさせると、HPV18のE7たんぱく質の全配列と
任意のオーバーラップ配列を含む、ことと、
(ii)このポリヌクレオチドを宿主細胞にトランスフェクションすることと、を
含む、方法。
E123.(a)におけるHPV16のE6たんぱく質についてのオーバーラップ配列
は、少なくとも1、2、5、10、15、20、25、30、35、又は40個のアミノ
酸を含むか、(b)におけるHPV16のE7たんぱく質についてのオーバーラップ配列
は、少なくとも1、2、5、10、15、20、25、30、35、又は40個のアミノ
酸を含むか、(c)におけるHPV18のE6たんぱく質についてのオーバーラップ配列
は、少なくとも1、2、5、10、15、20、25、30、35、又は40個のアミノ
酸を含むか、又は、(d)におけるHPV18のE7たんぱく質についてのオーバーラッ
プ配列は、少なくとも1、2、5、10、15、20、25、30、35、又は40個の
アミノ酸を含む、実施形態122に記載の方法。
E124.融合たんぱく質が、配列番号10ではない、実施形態117~123のいず
れか1つに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1A】治療用分子(例えば、HPV E6/E7 DNA治療ワクチン、GX-188と命名)の図を示す。HPV16及びHPV18型のE6及びE7遺伝子の、シャッフルされたオーバーラップN末端ドメイン及びC末端ドメインを、pGX27ベクター内に挿入することにより構築された、GX-188ワクチンを示す。これらのE6及びE7ドメインの前には、組織プラスミノーゲンアクチベータ(tPA)の分泌シグナル配列及びFms様チロシンキナーゼ-3リガンド(FLT3L)の細胞外ドメインがある。挿入されたウイルスドメインは、HPVの株、遺伝子、及びドメインに従って略され、例えば、16E6Nは、HPV16 E6のN末端ドメインを表わす。他に使用される略称は、MCS、マルチクローニングサイト;SV40ポリA、シミアンウイルス40後期ポリアデニル化配列;SV40エンハンサー、シミアンウイルス40エンハンサー;KanR、カナマイシン抵抗性遺伝子;ColE1、ColE1型細菌複製起点;pCMV、サイトメガロウイルス初期エンハンサー/プロモーター;gIVS、ウサギβ-グロビン介在配列である。各遺伝子セグメント上方の数字は、対応するアミノ酸配列を示す。
【
図1B】臨床試験の概要を示す。臨床試験は、3つの期間、即ち、募集した患者のスクリーニング、3回のワクチン注射による処置、及び患者のフォローアップモニタリングを有した。患者は、スクリーング(VS)、処置(VT)、及びフォローアップモニタリング(VF)のため、これら3つの期間中に、検査され、及び/又はワクチンを受けるように示された時点においてクリニックを訪れた。
【
図2A】GX-188 E6/E7融合たんぱく質の細胞内局在及び細胞内p53及びpRbたんぱく質の分解におけるその効果を示す。293T細胞を、pGX27コントロールベクター、GX-188、又は野生型E6若しくはE7遺伝子を挿入したpGX27でトランスフェクションした。トランスフェクションの24時間後、細胞ライゼートを調製し、たんぱく質発現を、免疫ブロットにより分析した。溶解緩衝液A(10mM HEPES、pH7.9、10mM KCl、0.2mM EDTA、1mM DTT、0.25mM PMSF、及びプロテアーゼ阻害剤カクテル)中に再懸濁させた細胞を示す。抽出物の上清を、細胞質抽出物として収集した。ペレットを、緩衝液B(20mM HEPES、pH7.9、420mM NaCl、2mM EDTA、1mM DTT、1 0.25mM PMSF、及びPIC)中に再懸濁させ、ペレット化後のその上清を、核抽出物として収集した。画分の純度を、ウェスタンブロットにより、それぞれ細胞質及び核の画分を規定する、チューブリン及びラミンについて調査した。
【
図2B】GX-188 E6/E7融合たんぱく質の細胞内局在及び細胞内p53及びpRbたんぱく質の分解におけるその効果を示す。293T細胞を、pGX27コントロールベクター、GX-188、又は野生型E6若しくはE7遺伝子を挿入したpGX27でトランスフェクションした。トランスフェクションの24時間後、細胞ライゼートを調製し、たんぱく質発現を、免疫ブロットにより分析した。溶解緩衝液(20mM HEPES、pH7.4、150mM NaCl、5mM EDTA、10%グリセロール、0.5% Triton X-100、1mM DTT、1mM PMSF、1mM NaF、1mM Na3Vo4、及びPIC)中に再懸濁させた細胞を示す。上清を、ホールセルのライゼートとして収集した。細胞内p53たんぱく質の発現レベルについての分析を示す。
【
図2C】GX-188 E6/E7融合たんぱく質の細胞内局在及び細胞内p53及びpRbたんぱく質の分解におけるその効果を示す。293T細胞を、pGX27コントロールベクター、GX-188、又は野生型E6若しくはE7遺伝子を挿入したpGX27でトランスフェクションした。トランスフェクションの24時間後、細胞ライゼートを調製し、たんぱく質発現を、免疫ブロットにより分析した。溶解緩衝液(20mM HEPES、pH7.4、150mM NaCl、5mM EDTA、10%グリセロール、0.5% Triton X-100、1mM DTT、1mM PMSF、1mM NaF、1mM Na3Vo4、及びPIC)中に再懸濁させた細胞を示す。上清を、ホールセルのライゼートとして収集した。細胞内pRbたんぱく質の発現レベルについての分析を示す。
【
図3A】エレクトロポレーションによるGX-188を使用したワクチン接種が顕著なHPV16及びHPV18 E6/E7特異的IFN-γ応答を誘引したことを示す。全ての患者においてGX-188によるワクチン接種前(VS)、同ワクチン接種中(VT2、VT4)、及び同ワクチン接種後(VF1、VF2)に、患者の末梢血単核球(PBMC)を収集し、凍結保存した。PBMC中のHPV16/HPV18 E6及びE7特異的IFN-γ分泌細胞数を、本明細書で記載されるIFN-γ ELISPLOTアッセイにより、示された時点におけるHPV16又はHPV18 E6及びE7ペプチドプールによる48時間の刺激後に、個々に測定した。スポットのバックグラウンド数(5.7±2.2(平均±標準偏差)であった)を差し引いた後の各抗原に対する、トリプリケートウェル中における10
6個のPBMC当たりの平均スポット形成単位(SFU)を示す。患者A01における1mgのGX-188の投与結果を示す。患者A01におけるスポット総数中のE6特異的応答の割合は、VF1において76.6%であった。各患者において見出されたHPV型を、丸括弧中に示す。ND-測定せず。
【
図3B】エレクトロポレーションによるGX-188を使用したワクチン接種が顕著なHPV16及びHPV18 E6/E7特異的IFN-γ応答を誘引したことを示す。全ての患者においてGX-188によるワクチン接種前(VS)、同ワクチン接種中(VT2、VT4)、及び同ワクチン接種後(VF1、VF2)に、患者の末梢血単核球(PBMC)を収集し、凍結保存した。PBMC中のHPV16/HPV18 E6及びE7特異的IFN-γ分泌細胞数を、本明細書で記載されるIFN-γ ELISPLOTアッセイにより、示された時点におけるHPV16又はHPV18 E6及びE7ペプチドプールによる48時間の刺激後に、個々に測定した。スポットのバックグラウンド数(5.7±2.2(平均±標準偏差)であった)を差し引いた後の各抗原に対する、トリプリケートウェル中における10
6個のPBMC当たりの平均スポット形成単位(SFU)を示す。患者A02における1mgのGX-188の投与結果を示す。患者A02におけるスポット総数中のE6特異的応答の割合は、VF1において69.3%であった。各患者において見出されたHPV型を、丸括弧中に示す。ND-測定せず。
【
図3C】エレクトロポレーションによるGX-188を使用したワクチン接種が顕著なHPV16及びHPV18 E6/E7特異的IFN-γ応答を誘引したことを示す。全ての患者においてGX-188によるワクチン接種前(VS)、同ワクチン接種中(VT2、VT4)、及び同ワクチン接種後(VF1、VF2)に、患者の末梢血単核球(PBMC)を収集し、凍結保存した。PBMC中のHPV16/HPV18 E6及びE7特異的IFN-γ分泌細胞数を、本明細書で記載されるIFN-γ ELISPLOTアッセイにより、示された時点におけるHPV16又はHPV18 E6及びE7ペプチドプールによる48時間の刺激後に、個々に測定した。スポットのバックグラウンド数(5.7±2.2(平均±標準偏差)であった)を差し引いた後の各抗原に対する、トリプリケートウェル中における10
6個のPBMC当たりの平均スポット形成単位(SFU)を示す。患者A03における1mgのGX-188の投与結果を示す。患者A03におけるスポット総数中のE6特異的応答の割合は、VF1において88.9%であった。各患者において見出されたHPV型を、丸括弧中に示す。ND-測定せず。
【
図3D】エレクトロポレーションによるGX-188を使用したワクチン接種が顕著なHPV16及びHPV18 E6/E7特異的IFN-γ応答を誘引したことを示す。全ての患者においてGX-188によるワクチン接種前(VS)、同ワクチン接種中(VT2、VT4)、及び同ワクチン接種後(VF1、VF2)に、患者の末梢血単核球(PBMC)を収集し、凍結保存した。PBMC中のHPV16/HPV18 E6及びE7特異的IFN-γ分泌細胞数を、本明細書で記載されるIFN-γ ELISPLOTアッセイにより、示された時点におけるHPV16又はHPV18 E6及びE7ペプチドプールによる48時間の刺激後に、個々に測定した。スポットのバックグラウンド数(5.7±2.2(平均±標準偏差)であった)を差し引いた後の各抗原に対する、トリプリケートウェル中における10
6個のPBMC当たりの平均スポット形成単位(SFU)を示す。患者A04における2mgのGX-188の投与結果を示す。患者A04におけるスポット総数中のE6特異的応答の割合は、VF1において89.2%であった。各患者において見出されたHPV型を、丸括弧中に示す。ND-測定せず。
【
図3E】エレクトロポレーションによるGX-188を使用したワクチン接種が顕著なHPV16及びHPV18 E6/E7特異的IFN-γ応答を誘引したことを示す。全ての患者においてGX-188によるワクチン接種前(VS)、同ワクチン接種中(VT2、VT4)、及び同ワクチン接種後(VF1、VF2)に、患者の末梢血単核球(PBMC)を収集し、凍結保存した。PBMC中のHPV16/HPV18 E6及びE7特異的IFN-γ分泌細胞数を、本明細書で記載されるIFN-γ ELISPLOTアッセイにより、示された時点におけるHPV16又はHPV18 E6及びE7ペプチドプールによる48時間の刺激後に、個々に測定した。スポットのバックグラウンド数(5.7±2.2(平均±標準偏差)であった)を差し引いた後の各抗原に対する、トリプリケートウェル中における10
6個のPBMC当たりの平均スポット形成単位(SFU)を示す。A05における2mgのGX-188の投与結果を示す。患者A05におけるスポット総数中のE6特異的応答の割合は、VF1において69.1%であった。各患者において見出されたHPV型を、丸括弧中に示す。ND-測定せず。
【
図3F】エレクトロポレーションによるGX-188を使用したワクチン接種が顕著なHPV16及びHPV18 E6/E7特異的IFN-γ応答を誘引したことを示す。全ての患者においてGX-188によるワクチン接種前(VS)、同ワクチン接種中(VT2、VT4)、及び同ワクチン接種後(VF1、VF2)に、患者の末梢血単核球(PBMC)を収集し、凍結保存した。PBMC中のHPV16/HPV18 E6及びE7特異的IFN-γ分泌細胞数を、本明細書で記載されるIFN-γ ELISPLOTアッセイにより、示された時点におけるHPV16又はHPV18 E6及びE7ペプチドプールによる48時間の刺激後に、個々に測定した。スポットのバックグラウンド数(5.7±2.2(平均±標準偏差)であった)を差し引いた後の各抗原に対する、トリプリケートウェル中における10
6個のPBMC当たりの平均スポット形成単位(SFU)を示す。A06における2mgのGX-188の投与結果を示す。患者A06におけるスポット総数中のE6特異的応答の割合は、VF1において89.4%であった。各患者において見出されたHPV型を、丸括弧中に示す。ND-測定せず。
【
図3G】エレクトロポレーションによるGX-188を使用したワクチン接種が顕著なHPV16及びHPV18 E6/E7特異的IFN-γ応答を誘引したことを示す。全ての患者においてGX-188によるワクチン接種前(VS)、同ワクチン接種中(VT2、VT4)、及び同ワクチン接種後(VF1、VF2)に、患者の末梢血単核球(PBMC)を収集し、凍結保存した。PBMC中のHPV16/HPV18 E6及びE7特異的IFN-γ分泌細胞数を、本明細書で記載されるIFN-γ ELISPLOTアッセイにより、示された時点におけるHPV16又はHPV18 E6及びE7ペプチドプールによる48時間の刺激後に、個々に測定した。スポットのバックグラウンド数(5.7±2.2(平均±標準偏差)であった)を差し引いた後の各抗原に対する、トリプリケートウェル中における10
6個のPBMC当たりの平均スポット形成単位(SFU)を示す。患者A07における4mgのGX-188の投与結果を示す。患者A07におけるスポット総数中のE6特異的応答の割合は、VF1において84.2%であった。各患者において見出されたHPV型を、丸括弧中に示す。ND-測定せず。
【
図3H】エレクトロポレーションによるGX-188を使用したワクチン接種が顕著なHPV16及びHPV18 E6/E7特異的IFN-γ応答を誘引したことを示す。全ての患者においてGX-188によるワクチン接種前(VS)、同ワクチン接種中(VT2、VT4)、及び同ワクチン接種後(VF1、VF2)に、患者の末梢血単核球(PBMC)を収集し、凍結保存した。PBMC中のHPV16/HPV18 E6及びE7特異的IFN-γ分泌細胞数を、本明細書で記載されるIFN-γ ELISPLOTアッセイにより、示された時点におけるHPV16又はHPV18 E6及びE7ペプチドプールによる48時間の刺激後に、個々に測定した。スポットのバックグラウンド数(5.7±2.2(平均±標準偏差)であった)を差し引いた後の各抗原に対する、トリプリケートウェル中における10
6個のPBMC当たりの平均スポット形成単位(SFU)を示す。患者A08における4mgのGX-188の投与結果を示す。患者A08におけるスポット総数中のE6特異的応答の割合は、VF1において75.1%であった。各患者において見出されたHPV型を、丸括弧中に示す。ND-測定せず。
【
図3I】エレクトロポレーションによるGX-188を使用したワクチン接種が顕著なHPV16及びHPV18 E6/E7特異的IFN-γ応答を誘引したことを示す。全ての患者においてGX-188によるワクチン接種前(VS)、同ワクチン接種中(VT2、VT4)、及び同ワクチン接種後(VF1、VF2)に、患者の末梢血単核球(PBMC)を収集し、凍結保存した。PBMC中のHPV16/HPV18 E6及びE7特異的IFN-γ分泌細胞数を、本明細書で記載されるIFN-γ ELISPLOTアッセイにより、示された時点におけるHPV16又はHPV18 E6及びE7ペプチドプールによる48時間の刺激後に、個々に測定した。スポットのバックグラウンド数(5.7±2.2(平均±標準偏差)であった)を差し引いた後の各抗原に対する、トリプリケートウェル中における10
6個のPBMC当たりの平均スポット形成単位(SFU)を示す。患者A09における4mgのGX-188の投与結果を示す。患者A09におけるスポット総数中のE6特異的応答の割合は、VF1において70.1%であった。各患者において見出されたHPV型を、丸括弧中に示す。ND-測定せず。
【
図4A】GX-188ワクチン接種がHPV16特異的IFN-γ
+CD4及び/又はCD8 T細胞の頻度における顕著な増加を誘発したことを示す。GX-188ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)に収集された患者の凍結保存PBMCを、HPV16 E6及びE7ペプチドプールの組み合わせ混合物により、13時間刺激した。HPV16特異的IFN-γ
+CD4及び/又はCD8 T細胞の頻度を、細胞内サイトカイン染色、続けて、多色フローサイトメトリー分析により測定した。フローサイトメトリーによりIFN-γ生成CD4及びCD8 T細胞を判別するゲーティング戦略を示す。
【
図4B】GX-188ワクチン接種がHPV16特異的IFN-γ
+CD4及び/又はCD8 T細胞の頻度における顕著な増加を誘発したことを示す。GX-188ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)に収集された患者の凍結保存PBMCを、HPV16 E6及びE7ペプチドプールの組み合わせ混合物により、13時間刺激した。HPV16特異的IFN-γ
+CD4及び/又はCD8 T細胞の頻度を、細胞内サイトカイン染色、続けて、多色フローサイトメトリー分析により測定した。ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)にIFN-γを生成するCD4の頻度の代表的なプロットを示す。
図4Bは、
図4Bのプロットのサマリーグラフを示す。
【
図4C】GX-188ワクチン接種がHPV16特異的IFN-γ
+CD4及び/又はCD8 T細胞の頻度における顕著な増加を誘発したことを示す。GX-188ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)に収集された患者の凍結保存PBMCを、HPV16 E6及びE7ペプチドプールの組み合わせ混合物により、13時間刺激した。HPV16特異的IFN-γ
+CD4及び/又はCD8 T細胞の頻度を、細胞内サイトカイン染色、続けて、多色フローサイトメトリー分析により測定した。グラフに示されたデータは、2つの独立した実験の平均を表わす。各実験はダプリケートであり、エラーバーは、標準偏差を表わす。バックグラウンド値を、コントロールとしての培地のみの応答により決定し、CD4について0.004±0.002%、及び、CD8 T細胞について0.003±0.002(平均±標準偏差)であった。
【
図4D】GX-188ワクチン接種がHPV16特異的IFN-γ
+CD4及び/又はCD8 T細胞の頻度における顕著な増加を誘発したことを示す。GX-188ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)に収集された患者の凍結保存PBMCを、HPV16 E6及びE7ペプチドプールの組み合わせ混合物により、13時間刺激した。HPV16特異的IFN-γ
+CD4及び/又はCD8 T細胞の頻度を、細胞内サイトカイン染色、続けて、多色フローサイトメトリー分析により測定した。ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)にIFN-γを生成するCD8の頻度の代表的なプロットを示す。
【
図4E】GX-188ワクチン接種がHPV16特異的IFN-γ
+CD4及び/又はCD8 T細胞の頻度における顕著な増加を誘発したことを示す。GX-188ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)に収集された患者の凍結保存PBMCを、HPV16 E6及びE7ペプチドプールの組み合わせ混合物により、13時間刺激した。HPV16特異的IFN-γ
+CD4及び/又はCD8 T細胞の頻度を、細胞内サイトカイン染色、続けて、多色フローサイトメトリー分析により測定した。
図4Dのプロットのサマリーグラフを示す。グラフに示されたデータは、2つの独立した実験の平均を表わす。各実験はダプリケートであり、エラーバーは、標準偏差を表わす。バックグラウンド値を、コントロールとしての培地のみの応答により決定し、CD4について0.004±0.002%、及び、CD8 T細胞について0.003±0.002(平均±標準偏差)であった。
【
図5A】GX-188免疫化がHPV16特異的Th1応答を生じさせたが、Th2又はTh17応答を生じさせなかったことを示す。ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1+VF2)における患者からの凍結保存PBMCを、HPV16 E6及びE7ペプチドプールの混合物により、48時間刺激した。VF1及びVF2においてプールされたPBMCを、VF2前に外科手術を受けたため、VF1細胞を使用した患者A04を除いて、全ての患者に使用した。培養上清中の示されたサイトカインを、Th1/Th2/Th17細胞数測定ビーズアレイキットを使用して定量した。ダプリケートの平均±標準偏差を示す。水平の破線は、各サイトカインの検量線により決定されたカットオフレベルを示す。GX-188免疫化後に測定されたIFN-γレベルを示す。バックグラウンドとしての培地単独の平均値(平均±標準偏差pg mL
-1)は、4.19±0.41であった。
【
図5B】GX-188免疫化がHPV16特異的Th1応答を生じさせたが、Th2又はTh17応答を生じさせなかったことを示す。ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1+VF2)における患者からの凍結保存PBMCを、HPV16 E6及びE7ペプチドプールの混合物により、48時間刺激した。VF1及びVF2においてプールされたPBMCを、VF2前に外科手術を受けたため、VF1細胞を使用した患者A04を除いて、全ての患者に使用した。培養上清中の示されたサイトカインを、Th1/Th2/Th17細胞数測定ビーズアレイキットを使用して定量した。ダプリケートの平均±標準偏差を示す。水平の破線は、各サイトカインの検量線により決定されたカットオフレベルを示す。GX-188免疫化後に測定されたIL-2レベルを示す。バックグラウンドとしての培地単独の平均値(平均±標準偏差pg mL
-1)は、5.11±0.63であった。
【
図5C】GX-188免疫化がHPV16特異的Th1応答を生じさせたが、Th2又はTh17応答を生じさせなかったことを示す。ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1+VF2)における患者からの凍結保存PBMCを、HPV16 E6及びE7ペプチドプールの混合物により、48時間刺激した。VF1及びVF2においてプールされたPBMCを、VF2前に外科手術を受けたため、VF1細胞を使用した患者A04を除いて、全ての患者に使用した。培養上清中の示されたサイトカインを、Th1/Th2/Th17細胞数測定ビーズアレイキットを使用して定量した。ダプリケートの平均±標準偏差を示す。水平の破線は、各サイトカインの検量線により決定されたカットオフレベルを示す。GX-188免疫化後に測定されたTNF-αレベルを示す。バックグラウンドとしての培地単独の平均値(平均±標準偏差pg mL
-1)は、5.58±0.88であった。
【
図5D】GX-188免疫化がHPV16特異的Th1応答を生じさせたが、Th2又はTh17応答を生じさせなかったことを示す。ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1+VF2)における患者からの凍結保存PBMCを、HPV16 E6及びE7ペプチドプールの混合物により、48時間刺激した。VF1及びVF2においてプールされたPBMCを、VF2前に外科手術を受けたため、VF1細胞を使用した患者A04を除いて、全ての患者に使用した。培養上清中の示されたサイトカインを、Th1/Th2/Th17細胞数測定ビーズアレイキットを使用して定量した。ダプリケートの平均±標準偏差を示す。水平の破線は、各サイトカインの検量線により決定されたカットオフレベルを示す。GX-188免疫化後に測定されたIL-4レベルを示す。バックグラウンドとしての培地単独の平均値(平均±標準偏差pg mL
-1)は、3.3±0.24であった。
【
図5E】GX-188免疫化がHPV16特異的Th1応答を生じさせたが、Th2又はTh17応答を生じさせなかったことを示す。ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1+VF2)における患者からの凍結保存PBMCを、HPV16 E6及びE7ペプチドプールの混合物により、48時間刺激した。VF1及びVF2においてプールされたPBMCを、VF2前に外科手術を受けたため、VF1細胞を使用した患者A04を除いて、全ての患者に使用した。培養上清中の示されたサイトカインを、Th1/Th2/Th17細胞数測定ビーズアレイキットを使用して定量した。ダプリケートの平均±標準偏差を示す。水平の破線は、各サイトカインの検量線により決定されたカットオフレベルを示す。GX-188免疫化後に測定されたIL-10レベルを示す。バックグラウンドとしての培地単独の平均値(平均±標準偏差pg mL
-1)は、IL-10について、5.01±0.64であった(E)。
【
図5F】GX-188免疫化がHPV16特異的Th1応答を生じさせたが、Th2又はTh17応答を生じさせなかったことを示す。ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1+VF2)における患者からの凍結保存PBMCを、HPV16 E6及びE7ペプチドプールの混合物により、48時間刺激した。VF1及びVF2においてプールされたPBMCを、VF2前に外科手術を受けたため、VF1細胞を使用した患者A04を除いて、全ての患者に使用した。培養上清中の示されたサイトカインを、Th1/Th2/Th17細胞数測定ビーズアレイキットを使用して定量した。ダプリケートの平均±標準偏差を示す。水平の破線は、各サイトカインの検量線により決定されたカットオフレベルを示す。GX-188免疫化後に測定されたIL-17Aレベルを示す。バックグラウンドとしての培地単独の平均値(平均±標準偏差pg mL
-1)は、5.45±0.28であった。
【
図6A】GX-188ワクチン接種がHPV16特異的CD8 T細胞の多機能性を誘引したことを示す。患者のPBMCを、
図4A~4Eに記載されるように、ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)において刺激し、ついで、IL-2、IFN-γ、TNF-α、MIP-1β、及び細胞傷害性脱顆粒マーカーであるCD107a/bのHPV16特異的発現を検出するために、多色フローサイトメトリーにより分析した。ゲートしたCD8 T細胞におけるIL-2を共発現しているIFN-γ
+CD8 T細胞の頻度のサマリーグラフを示す。グラフに示されたデータは、2つの独立した実験の平均を表わす。各実験はダプリケートであり、エラーバーは、標準偏差を表わす。バックグラウンド値を、培地のみの応答により決定し、IFN-γ
+IL-2
+について0.0008±0.001%、IFN-γ
+TNF-α
+について0.0016±0.0014%、IFN-γ
+MIP-1β
+について0.0015±0.0019%、及びIFN-γ
+IL-2
+CD8 T細胞について0.0009±0.0012%(平均±標準偏差)であった。
【
図6B】GX-188ワクチン接種がHPV16特異的CD8 T細胞の多機能性を誘引したことを示す。患者のPBMCを、
図4A~4Eに記載されるように、ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)において刺激し、ついで、IL-2、IFN-γ、TNF-α、MIP-1β、及び細胞傷害性脱顆粒マーカーであるCD107a/bのHPV16特異的発現を検出するために、多色フローサイトメトリーにより分析した。TNF-αを共発現しているIFN-γ
+CD8 T細胞の頻度のサマリーグラフを示す。グラフに示されたデータは、2つの独立した実験の平均を表わす。各実験はダプリケートであり、エラーバーは、標準偏差を表わす。バックグラウンド値を、培地のみの応答により決定し、IFN-γ
+IL-2
+について0.0008±0.001%、IFN-γ
+TNF-α
+について0.0016±0.0014%、IFN-γ
+MIP-1β
+について0.0015±0.0019%、及びIFN-γ
+IL-2
+CD8 T細胞について0.0009±0.0012%(平均±標準偏差)であった。
【
図6C】GX-188ワクチン接種がHPV16特異的CD8 T細胞の多機能性を誘引したことを示す。患者のPBMCを、
図4A~4Eに記載されるように、ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)において刺激し、ついで、IL-2、IFN-γ、TNF-α、MIP-1β、及び細胞傷害性脱顆粒マーカーであるCD107a/bのHPV16特異的発現を検出するために、多色フローサイトメトリーにより分析した。MIP-1βを共発現しているIFN-γ
+CD8 T細胞の頻度のサマリーグラフを示す。グラフに示されたデータは、2つの独立した実験の平均を表わす。各実験はダプリケートであり、エラーバーは、標準偏差を表わす。バックグラウンド値を、培地のみの応答により決定し、IFN-γ
+IL-2
+について0.0008±0.001%、IFN-γ
+TNF-α
+について0.0016±0.0014%、IFN-γ
+MIP-1β
+について0.0015±0.0019%、及びIFN-γ
+IL-2
+CD8 T細胞について0.0009±0.0012%(平均±標準偏差)であった。
【
図6D】GX-188ワクチン接種がHPV16特異的CD8 T細胞の多機能性を誘引したことを示す。患者のPBMCを、
図4A~4Eに記載されるように、ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)において刺激し、ついで、IL-2、IFN-γ、TNF-α、MIP-1β、及び細胞傷害性脱顆粒マーカーであるCD107a/bのHPV16特異的発現を検出するために、多色フローサイトメトリーにより分析した。CD107a/bを共発現しているIFN-γ
+CD8 T細胞の頻度のサマリーグラフを示す。グラフに示されたデータは、2つの独立した実験の平均を表わす。各実験はダプリケートであり、エラーバーは、標準偏差を表わす。バックグラウンド値を、培地のみの応答により決定し、IFN-γ
+IL-2
+について0.0008±0.001%、IFN-γ
+TNF-α
+について0.0016±0.0014%、IFN-γ
+MIP-1β
+について0.0015±0.0019%、及びIFN-γ
+IL-2
+CD8 T細胞について0.0009±0.0012%(平均±標準偏差)であった。
【
図6E】GX-188ワクチン接種がHPV16特異的CD8 T細胞の多機能性を誘引したことを示す。患者のPBMCを、
図4A~4Eに記載されるように、ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)において刺激し、ついで、IL-2、IFN-γ、TNF-α、MIP-1β、及び細胞傷害性脱顆粒マーカーであるCD107a/bのHPV16特異的発現を検出するために、多色フローサイトメトリーにより分析した。ワクチン接種後(VF1)のBooleanゲート後の、HPV16 E6/E7ペプチドに対するA08患者の多機能応答の代表的なグラフを示す。CD107a/b、IFN-γ、IL-2、MIP-1β、及びTNF-αの5つの機能について、それぞれ31通りの可能性のある組み合わせにより、x軸に沿って列記する。x軸の下の5本の水平なバーは、5、4、3、2、又は1つの機能性応答集団を示す。グラフに示されたデータは、2つの独立した実験の平均を表わす。各実験はダプリケートであり、エラーバーは、標準偏差を表わす。バックグラウンド値を、培地のみの応答により決定し、IFN-γ
+IL-2
+について0.0008±0.001%、IFN-γ
+TNF-α
+について0.0016±0.0014%、IFN-γ
+MIP-1β
+について0.0015±0.0019%、及びIFN-γ
+IL-2
+CD8 T細胞について0.0009±0.0012%(平均±標準偏差)であった。
【
図6F】GX-188ワクチン接種がHPV16特異的CD8 T細胞の多機能性を誘引したことを示す。患者のPBMCを、
図4A~4Eに記載されるように、ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)において刺激し、ついで、IL-2、IFN-γ、TNF-α、MIP-1β、及び細胞傷害性脱顆粒マーカーであるCD107a/bのHPV16特異的発現を検出するために、多色フローサイトメトリーにより分析した。HPV16 E6/E7特異的CD8 T細胞の相対的な頻度を、ワクチン接種後(VF1)の5つの機能性応答の各組み合わせにより表わす各円グラフを示す。各円グラフの右下の数字は、3つ以上の機能性分子を生成するHPV16特異的CD8 T細胞の割合を示す。分析のための応答性CD8 T細胞の頻度が低すぎたため、A04患者の多機能プロファイルを利用できなかった。グラフに示されたデータは、2つの独立した実験の平均を表わす。各実験はダプリケートであり、エラーバーは、標準偏差を表わす。バックグラウンド値を、培地のみの応答により決定し、IFN-γ
+IL-2
+について0.0008±0.001%、IFN-γ
+TNF-α
+について0.0016±0.0014%、IFN-γ
+MIP-1β
+について0.0015±0.0019%、及びIFN-γ
+IL-2
+CD8 T細胞について0.0009±0.0012%(平均±標準偏差)であった。
【
図7A】GX-188ワクチン接種がHPV16特異的CD8 T細胞の多機能性を強く誘引したことを示す。GX-188ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)に収集した患者の凍結保存PBMCを、HPV16 E6及びE7ペプチドプールの組み合わせ混合物により、13時間刺激し、ついで、IL-2、IFN-γ、TNF-a、MIP-1β、及びCD107a/bのHPV16特異的発現を検出するために、多色フローサイトメトリーにより分析した。フローサイトメトリーにより機能性分子生成CD8 T細胞を判別するゲーティング戦略を示す。
【
図7B】GX-188ワクチン接種がHPV16特異的CD8 T細胞の多機能性を強く誘引したことを示す。GX-188ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)に収集した患者の凍結保存PBMCを、HPV16 E6及びE7ペプチドプールの組み合わせ混合物により、13時間刺激し、ついで、IL-2、IFN-γ、TNF-a、MIP-1β、及びCD107a/bのHPV16特異的発現を検出するために、多色フローサイトメトリーにより分析した。ゲートしたCD8 T細胞におけるIL-2を共発現しているIFN-γ
+CD8 T細胞の頻度の代表的なプロットを示す。
【
図7C】GX-188ワクチン接種がHPV16特異的CD8 T細胞の多機能性を強く誘引したことを示す。GX-188ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)に収集した患者の凍結保存PBMCを、HPV16 E6及びE7ペプチドプールの組み合わせ混合物により、13時間刺激し、ついで、IL-2、IFN-γ、TNF-a、MIP-1β、及びCD107a/bのHPV16特異的発現を検出するために、多色フローサイトメトリーにより分析した。TNF-αを共発現しているIFN-γ
+CD8 T細胞の頻度の代表的なプロットを示す。
【
図7D】GX-188ワクチン接種がHPV16特異的CD8 T細胞の多機能性を強く誘引したことを示す。GX-188ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)に収集した患者の凍結保存PBMCを、HPV16 E6及びE7ペプチドプールの組み合わせ混合物により、13時間刺激し、ついで、IL-2、IFN-γ、TNF-a、MIP-1β、及びCD107a/bのHPV16特異的発現を検出するために、多色フローサイトメトリーにより分析した。MIP-1βを共発現しているIFN-γ
+CD8 T細胞の頻度の代表的なプロットを示す。
【
図7E】GX-188ワクチン接種がHPV16特異的CD8 T細胞の多機能性を強く誘引したことを示す。GX-188ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)に収集した患者の凍結保存PBMCを、HPV16 E6及びE7ペプチドプールの組み合わせ混合物により、13時間刺激し、ついで、IL-2、IFN-γ、TNF-a、MIP-1β、及びCD107a/bのHPV16特異的発現を検出するために、多色フローサイトメトリーにより分析した。CD107a/bを共発現しているIFN-γ
+CD8 T細胞の頻度の代表的なプロットを示す。プロット数は、ゲートしたCD8 T細胞における応答性集団の頻度を示す。
【
図8A】GX-188ワクチン接種がHPV16特異的CD8 T細胞の増殖を誘引したことを示す。患者のPBMCを、ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)に刺激し、ウイルス特異的CD8 T細胞におけるCD38及びKi67の発現を調べるために、以下に記載されるようにフローサイトメトリーにより分析した。CD8 T細胞におけるKi67及びCD38の発現を、フローサイトメトリーにより判別するゲーティング戦略を示す。
【
図8B】GX-188ワクチン接種がHPV16特異的CD8 T細胞の増殖を誘引したことを示す。患者のPBMCを、ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)に刺激し、ウイルス特異的CD8 T細胞におけるCD38及びKi67の発現を調べるために、以下に記載されるようにフローサイトメトリーにより分析した。増殖しているCD38
+Ki67
+CD8 T細胞の頻度の代表的なプロットを示す。
図8Bに示された細胞は、CD8 T細胞でゲートされる。
【
図8C】GX-188ワクチン接種がHPV16特異的CD8 T細胞の増殖を誘引したことを示す。患者のPBMCを、ワクチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)に刺激し、ウイルス特異的CD8 T細胞におけるCD38及びKi67の発現を調べるために、以下に記載されるようにフローサイトメトリーにより分析した。
図8Cに示されたデータは、ダプリケートの平均を表わし、エラーバーは、標準偏差を表わす。バックグラウンド値を、培地のみのコントロールの応答により決定し、CD38
+Ki67
+CD8 T細胞について、0.011±0.015%(平均±標準偏差)であった。
【
図9A】GX-188ワクチン接種後の、HPV16/18 E6及びE7たんぱく質に対するIgG力価を示す。HPV16及びHPV18の組換えE6及びE7たんぱく質に対する血漿IgG抗体力価を、ある希釈範囲において、各患者についてELISAにより測定した。免疫化前(VS)及び免疫化後(VT2、VT4、及びVF)のタイミングにおける、1mgのGX-188の投与後の各ワクチン投与群についての、HPV16 E6 IgG力価の結果を示す。データは、陽性を示すサンプルの希釈倍率として現わされる。サンプルの平均光学密度が陰性のカットオフ値(HPV16 E6については0.173、HPV16 E7については0.213、HPV18 E6については0.214、及びHPV18 E7については0.227)より高かった場合は、陽性と考えられた。患者の血漿を、無関係の組換えエリスロポエチン(EPO)でコートしたウェルにおいて調査した際、全サンプルの光学密度は、陰性のカットオフ値を下回った。
【
図9B】GX-188ワクチン接種後の、HPV16/18 E6及びE7たんぱく質に対するIgG力価を示す。HPV16及びHPV18の組換えE6及びE7たんぱく質に対する血漿IgG抗体力価を、ある希釈範囲において、各患者についてELISAにより測定した。HPV16 E7 IgG力価の結果を示す。データは、陽性を示すサンプルの希釈倍率として現わされる。サンプルの平均光学密度が陰性のカットオフ値(HPV16 E6については0.173、HPV16 E7については0.213、HPV18 E6については0.214、及びHPV18 E7については0.227)より高かった場合は、陽性と考えられた。患者の血漿を、無関係の組換えエリスロポエチン(EPO)でコートしたウェルにおいて調査した際、全サンプルの光学密度は、陰性のカットオフ値を下回った。
【
図9C】GX-188ワクチン接種後の、HPV16/18 E6及びE7たんぱく質に対するIgG力価を示す。HPV16及びHPV18の組換えE6及びE7たんぱく質に対する血漿IgG抗体力価を、ある希釈範囲において、各患者についてELISAにより測定した。HPV18 E6 IgG力価の結果を示す。データは、陽性を示すサンプルの希釈倍率として現わされる。サンプルの平均光学密度が陰性のカットオフ値(HPV16 E6については0.173、HPV16 E7については0.213、HPV18 E6については0.214、及びHPV18 E7については0.227)より高かった場合は、陽性と考えられた。患者の血漿を、無関係の組換えエリスロポエチン(EPO)でコートしたウェルにおいて調査した際、全サンプルの光学密度は、陰性のカットオフ値を下回った。
【
図9D】GX-188ワクチン接種後の、HPV16/18 E6及びE7たんぱく質に対するIgG力価を示す。HPV16及びHPV18の組換えE6及びE7たんぱく質に対する血漿IgG抗体力価を、ある希釈範囲において、各患者についてELISAにより測定した。HPV18 E7 IgG力価の結果を示す。データは、陽性を示すサンプルの希釈倍率として現わされる。サンプルの平均光学密度が陰性のカットオフ値(HPV16 E6については0.173、HPV16 E7については0.213、HPV18 E6については0.214、及びHPV18 E7については0.227)より高かった場合は、陽性と考えられた。患者の血漿を、無関係の組換えエリスロポエチン(EPO)でコートしたウェルにおいて調査した際、全サンプルの光学密度は、陰性のカットオフ値を下回った。
【
図9E】GX-188ワクチン接種後の、HPV16/18 E6及びE7たんぱく質に対するIgG力価を示す。HPV16及びHPV18の組換えE6及びE7たんぱく質に対する血漿IgG抗体力価を、ある希釈範囲において、各患者についてELISAにより測定した。免疫化前(VS)及び免疫化後(VT2、VT4、及びVF)のタイミングにおける、2mgのGX188の投与後の各ワクチン投与群についての、HPV16 E6 IgG力価の結果を示す。データは、陽性を示すサンプルの希釈倍率として現わされる。サンプルの平均光学密度が陰性のカットオフ値(HPV16 E6については0.173、HPV16 E7については0.213、HPV18 E6については0.214、及びHPV18 E7については0.227)より高かった場合は、陽性と考えられた。患者の血漿を、無関係の組換えエリスロポエチン(EPO)でコートしたウェルにおいて調査した際、全サンプルの光学密度は、陰性のカットオフ値を下回った。
【
図9F】GX-188ワクチン接種後の、HPV16/18 E6及びE7たんぱく質に対するIgG力価を示す。HPV16及びHPV18の組換えE6及びE7たんぱく質に対する血漿IgG抗体力価を、ある希釈範囲において、各患者についてELISAにより測定した。HPV16 E7 IgG力価の結果を示す。データは、陽性を示すサンプルの希釈倍率として現わされる。サンプルの平均光学密度が陰性のカットオフ値(HPV16 E6については0.173、HPV16 E7については0.213、HPV18 E6については0.214、及びHPV18 E7については0.227)より高かった場合は、陽性と考えられた。患者の血漿を、無関係の組換えエリスロポエチン(EPO)でコートしたウェルにおいて調査した際、全サンプルの光学密度は、陰性のカットオフ値を下回った。
【
図9G】GX-188ワクチン接種後の、HPV16/18 E6及びE7たんぱく質に対するIgG力価を示す。HPV16及びHPV18の組換えE6及びE7たんぱく質に対する血漿IgG抗体力価を、ある希釈範囲において、各患者についてELISAにより測定した。HPV18 E6 IgG力価の結果を示す。データは、陽性を示すサンプルの希釈倍率として現わされる。サンプルの平均光学密度が陰性のカットオフ値(HPV16 E6については0.173、HPV16 E7については0.213、HPV18 E6については0.214、及びHPV18 E7については0.227)より高かった場合は、陽性と考えられた。患者の血漿を、無関係の組換えエリスロポエチン(EPO)でコートしたウェルにおいて調査した際、全サンプルの光学密度は、陰性のカットオフ値を下回った。
【
図9H】GX-188ワクチン接種後の、HPV16/18 E6及びE7たんぱく質に対するIgG力価を示す。HPV16及びHPV18の組換えE6及びE7たんぱく質に対する血漿IgG抗体力価を、ある希釈範囲において、各患者についてELISAにより測定した。HPV18 E7 IgG力価の結果を示す。データは、陽性を示すサンプルの希釈倍率として現わされる。サンプルの平均光学密度が陰性のカットオフ値(HPV16 E6については0.173、HPV16 E7については0.213、HPV18 E6については0.214、及びHPV18 E7については0.227)より高かった場合は、陽性と考えられた。患者の血漿を、無関係の組換えエリスロポエチン(EPO)でコートしたウェルにおいて調査した際、全サンプルの光学密度は、陰性のカットオフ値を下回った。
【
図9I】GX-188ワクチン接種後の、HPV16/18 E6及びE7たんぱく質に対するIgG力価を示す。HPV16及びHPV18の組換えE6及びE7たんぱく質に対する血漿IgG抗体力価を、ある希釈範囲において、各患者についてELISAにより測定した。免疫化前(VS)及び免疫化後(VT2、VT4、及びVF)のタイミングにおける、4mgのGX-188の投与後の各ワクチン投与群についての、HPV16 E6 IgG力価の結果を示す。データは、陽性を示すサンプルの希釈倍率として現わされる。サンプルの平均光学密度が陰性のカットオフ値(HPV16 E6については0.173、HPV16 E7については0.213、HPV18 E6については0.214、及びHPV18 E7については0.227)より高かった場合は、陽性と考えられた。患者の血漿を、無関係の組換えエリスロポエチン(EPO)でコートしたウェルにおいて調査した際、全サンプルの光学密度は、陰性のカットオフ値を下回った。
【
図9J】GX-188ワクチン接種後の、HPV16/18 E6及びE7たんぱく質に対するIgG力価を示す。HPV16及びHPV18の組換えE6及びE7たんぱく質に対する血漿IgG抗体力価を、ある希釈範囲において、各患者についてELISAにより測定した。HPV16 E7 IgG力価の結果を示す。データは、陽性を示すサンプルの希釈倍率として現わされる。サンプルの平均光学密度が陰性のカットオフ値(HPV16 E6については0.173、HPV16 E7については0.213、HPV18 E6については0.214、及びHPV18 E7については0.227)より高かった場合は、陽性と考えられた。患者の血漿を、無関係の組換えエリスロポエチン(EPO)でコートしたウェルにおいて調査した際、全サンプルの光学密度は、陰性のカットオフ値を下回った。
【
図9K】GX-188ワクチン接種後の、HPV16/18 E6及びE7たんぱく質に対するIgG力価を示す。HPV16及びHPV18の組換えE6及びE7たんぱく質に対する血漿IgG抗体力価を、ある希釈範囲において、各患者についてELISAにより測定した。HPV18 E6 IgG力価の結果を示す。データは、陽性を示すサンプルの希釈倍率として現わされる。サンプルの平均光学密度が陰性のカットオフ値(HPV16 E6については0.173、HPV16 E7については0.213、HPV18 E6については0.214、及びHPV18 E7については0.227)より高かった場合は、陽性と考えられた。患者の血漿を、無関係の組換えエリスロポエチン(EPO)でコートしたウェルにおいて調査した際、全サンプルの光学密度は、陰性のカットオフ値を下回った。
【
図9L】GX-188ワクチン接種後の、HPV16/18 E6及びE7たんぱく質に対するIgG力価を示す。HPV16及びHPV18の組換えE6及びE7たんぱく質に対する血漿IgG抗体力価を、ある希釈範囲において、各患者についてELISAにより測定した。HPV18 E7 IgG力価の結果を示す。データは、陽性を示すサンプルの希釈倍率として現わされる。サンプルの平均光学密度が陰性のカットオフ値(HPV16 E6については0.173、HPV16 E7については0.213、HPV18 E6については0.214、及びHPV18 E7については0.227)より高かった場合は、陽性と考えられた。患者の血漿を、無関係の組換えエリスロポエチン(EPO)でコートしたウェルにおいて調査した際、全サンプルの光学密度は、陰性のカットオフ値を下回った。
【
図10A】膣頸管検査、細胞学、及び組織学により判定されたように、GX-188ワクチン接種が子宮頸部病変の排除をもたらしたことを示す。GX-188免疫化前(VS)及び同免疫化後(VF2)における、代表的な応答者(A05)及び非応答者(A09)の患者からの、子宮頸部の膣頸管検査の写真を示す。VSでの患者A05は、移行帯における荒い穿孔を伴った、密集した白化上皮を示したが、VF2では、穿孔を伴わず、小さくなった中程度の白化上皮を表わした。VS及びVF2でのA09は、移行帯における丸まった周縁部及び荒い穿孔を伴った、密集した白化上皮を示した。
【
図10B】膣頸管検査、細胞学、及び組織学により判定されたように、GX-188ワクチン接種が子宮頸部病変の排除をもたらしたことを示す。GX-188免疫化前(VS)及び同免疫化後(VF2)における、代表的な応答者(A05)及び非応答者(A09)の患者からの、子宮頸管内の細胞学の写真を示す。VSでの患者A05は、拡張した核サイズ及び過染色症を伴った、高度の扁平上皮内病変(HSIL)を示した(400倍)が、VF2では、上皮内病変を伴わず(NIL)に、正色素性の上皮のみを示した(400倍)。VS及びVF2での患者A09は、HSIL変動核サイズ及び過染色症を表わした(400倍)。
【
図10C】膣頸管検査、細胞学、及び組織学により判定されたように、GX-188ワクチン接種が子宮頸部病変の排除をもたらしたことを示す。GX-188免疫化前(VS)及び同免疫化後(VF2)における、代表的な応答者(A05)及び非応答者(A09)の患者からの、組織学の写真を示す。VSでの患者A05は、上皮の十分な厚みを有し、上層に視認できる有糸分裂を伴うCIN3と診断された(400倍)が、VF2では、異常な腫瘍細胞を伴わず正常な扁平上皮を表わした(200倍)。VS及びVF2での患者A09は、厚く、異常な上皮を有し、上層に核異常を伴うケラチン化細胞が存在するCIN3と診断された(200倍)。
【
図11A】GX-188ワクチン接種の非応答者及び応答者における、HPV特異的T細胞の多機能アッセイを示す。HPV16特異的IL-2、IFN-γ、TNF-α、MIP-1β、又はCD107a/b生成CD8 T細胞の頻度を、ワクチン接種後20週(VF1)において、Booleanゲーティングを使用して測定した。患者を、臨床的及びウイルス学的アウトカムに従って、非応答者(A04及びA09)と、応答者(A01、A02、A03、A05、A06、A07、及びA08)とにグループ分けした。GX-188ワクチン接種後のHPV16 E6/E7ペプチドに対する非応答者の多機能CD8 T細胞応答がグラフとして表わされることを示す。同グラフ中、黒色のバーは、平均応答を表わし、ドットは、単独の対象からの応答に対応する。サイトカインの、考えられる機能性の組み合わせが、それぞれ、x軸に沿って列記されている。x軸の下の種々の色の5本の水平なバーは、5、4、3、2、又は1つの機能性応答集団を示す。
【
図11B】GX-188ワクチン接種の非応答者及び応答者における、HPV特異的T細胞の多機能アッセイを示す。HPV16特異的IL-2、IFN-γ、TNF-α、MIP-1β、又はCD107a/b生成CD8 T細胞の頻度を、ワクチン接種後20週(VF1)において、Booleanゲーティングを使用して測定した。患者を、臨床的及びウイルス学的アウトカムに従って、非応答者(A04及びA09)と、応答者(A01、A02、A03、A05、A06、A07、及びA08)とにグループ分けした。円グラフとして表わされたGX-188ワクチン接種後のHPV16 E6/E7ペプチドに対する応答者の多機能CD8 T細胞応答を示す。円グラフは、5つの機能性応答の各組み合わせを有するHPV16 E6/E7特異的CD8 T細胞の相対的頻度を表わす。
【
図12A】細胞数測定ビーズアレイにより生成した、Th1/Th2/Th17サイトカイン標準を示す。10pg mL
-1(定量限界を概説するデフォルト)を下回るたんぱく質の有効な分析を確保するために、ヒトTh1/Th2/Th17サイトカイン標準を、50LIアッセイ希釈において再構成した。標準を、5~5,000pg mL
-1(希釈率;1:1、1:2、1:4、1:8、1:16、1:32、1:64、1:128、1:256、1:512、及び1:1028)から構築した。サイトカインの検量線を、全てのサイトカインについて、power fit及びR
2>0.96を使用してサンプル取得後に生成した。細胞上清中の各サイトカイン濃度を、対応する検量線からの内挿により決定した。IFN-γ測定を示す。
【
図12B】細胞数測定ビーズアレイにより生成した、Th1/Th2/Th17サイトカイン標準を示す。10pg mL
-1(定量限界を概説するデフォルト)を下回るたんぱく質の有効な分析を確保するために、ヒトTh1/Th2/Th17サイトカイン標準を、50LIアッセイ希釈において再構成した。標準を、5~5,000pg mL
-1(希釈率;1:1、1:2、1:4、1:8、1:16、1:32、1:64、1:128、1:256、1:512、及び1:1028)から構築した。サイトカインの検量線を、全てのサイトカインについて、power fit及びR
2>0.96を使用してサンプル取得後に生成した。細胞上清中の各サイトカイン濃度を、対応する検量線からの内挿により決定した。IL-2測定を示す。
【
図12C】細胞数測定ビーズアレイにより生成した、Th1/Th2/Th17サイトカイン標準を示す。10pg mL
-1(定量限界を概説するデフォルト)を下回るたんぱく質の有効な分析を確保するために、ヒトTh1/Th2/Th17サイトカイン標準を、50LIアッセイ希釈において再構成した。標準を、5~5,000pg mL
-1(希釈率;1:1、1:2、1:4、1:8、1:16、1:32、1:64、1:128、1:256、1:512、及び1:1028)から構築した。サイトカインの検量線を、全てのサイトカインについて、power fit及びR
2>0.96を使用してサンプル取得後に生成した。細胞上清中の各サイトカイン濃度を、対応する検量線からの内挿により決定した。TNF-α測定を示す。
【
図12D】細胞数測定ビーズアレイにより生成した、Th1/Th2/Th17サイトカイン標準を示す。10pg mL
-1(定量限界を概説するデフォルト)を下回るたんぱく質の有効な分析を確保するために、ヒトTh1/Th2/Th17サイトカイン標準を、50LIアッセイ希釈において再構成した。標準を、5~5,000pg mL
-1(希釈率;1:1、1:2、1:4、1:8、1:16、1:32、1:64、1:128、1:256、1:512、及び1:1028)から構築した。サイトカインの検量線を、全てのサイトカインについて、power fit及びR
2>0.96を使用してサンプル取得後に生成した。細胞上清中の各サイトカイン濃度を、対応する検量線からの内挿により決定した。IL-4測定を示す。
【
図12E】細胞数測定ビーズアレイにより生成した、Th1/Th2/Th17サイトカイン標準を示す。10pg mL
-1(定量限界を概説するデフォルト)を下回るたんぱく質の有効な分析を確保するために、ヒトTh1/Th2/Th17サイトカイン標準を、50LIアッセイ希釈において再構成した。標準を、5~5,000pg mL
-1(希釈率;1:1、1:2、1:4、1:8、1:16、1:32、1:64、1:128、1:256、1:512、及び1:1028)から構築した。サイトカインの検量線を、全てのサイトカインについて、power fit及びR
2>0.96を使用してサンプル取得後に生成した。細胞上清中の各サイトカイン濃度を、対応する検量線からの内挿により決定した。IL-10測定を示す。
【
図12F】細胞数測定ビーズアレイにより生成した、Th1/Th2/Th17サイトカイン標準を示す。10pg mL
-1(定量限界を概説するデフォルト)を下回るたんぱく質の有効な分析を確保するために、ヒトTh1/Th2/Th17サイトカイン標準を、50LIアッセイ希釈において再構成した。標準を、5~5,000pg mL
-1(希釈率;1:1、1:2、1:4、1:8、1:16、1:32、1:64、1:128、1:256、1:512、及び1:1028)から構築した。サイトカインの検量線を、全てのサイトカインについて、power fit及びR
2>0.96を使用してサンプル取得後に生成した。細胞上清中の各サイトカイン濃度を、対応する検量線からの内挿により決定した。IL-17A測定を示す。
【
図13A】HPV16又はHPV18のE6又はE7たんぱく質の天然変異体を示す。HPV16のE6たんぱく質の天然変異体の配列比較を示す:GenBankアクセッションNo:AAA91670.1(配列番号19);AAA91673.1(配列番号20);AAA91669.1(配列番号21);AAA91674.1(配列番号22);AAA91680.1(配列番号23);AAA91681.1(配列番号24);AAA91668.1(配列番号25);AAA91658.1(配列番号26);AAA91662.1(配列番号27);AAA91667.1(配列番号28);AAA91676.1(配列番号29);AAA91671.1(配列番号30);AAA91656.1(配列番号31);AAA91682.1(配列番号32);AAA91657.1(配列番号33);AAA91660.1(配列番号34);AAA91677.1(配列番号35);AAA91678.1(配列番号36);AAA91672.1(配列番号37);AAA91661.1(配列番号38);AAA91664.1(配列番号39);AAA91675.1(配列番号40);AAA91665.1(配列番号41);AAA91663.1(配列番号42);AAA91659.1(配列番号43);AAA91654.1(配列番号44);AAA91666.1(配列番号45);AAA91679.1(配列番号46);及びAAA91655.1(配列番号47)。
【
図13B】HPV16又はHPV18のE6又はE7たんぱく質の天然変異体を示す。HPV18のE6たんぱく質の天然変異体の配列比較を示す:GenBankアクセッションNo:AHZ96678.1(配列番号48);ABP99784.1(配列番号49);CAB53096.1(配列番号50);AGU90327.1(配列番号51);ADC35660.1(配列番号52);AHZ96677.1(配列番号53);ABP99736.1(配列番号54);ABP99704.1(配列番号55)、AGM34425.1(配列番号103)、及びAGM34423.1(配列番号104)。
【
図13C】HPV16又はHPV18のE6又はE7たんぱく質の天然変異体を示す。HPV16のE7たんぱく質の天然変異体の配列比較を示す:GenBankアクセッションNo:ABL96587.1(配列番号56);ABL96591.1(配列番号57);AFJ19726.1(配列番号58);AFJ19722.1(配列番号59);AFJ19752.1(配列番号60);AFJ19732.1(配列番号61);AFJ19762.1(配列番号62);AFJ19668.1(配列番号63);AFJ19664.1(配列番号64);AFJ19766.1(配列番号65);AFJ19756.1(配列番号66);AFJ19680.1(配列番号67);AFJ19772.1(配列番号68);AFJ19696.1(配列番号:69);AFJ19690.1(配列番号70);AFJ19712.1(配列番号:71);AGO04504.1(配列番号72);AFJ19770.1(配列番号73);AFJ19520.2(配列番号74);AFJ19708.1(配列番号75);AFJ19674.1(配列番号76);AGO04498.1(配列番号77);AGO04496.1(配列番号78);AFJ19684.1(配列番号79);AFJ19678.1(配列番号80);AFJ19698.1(配列番号81);AFJ19746.1(配列番号82);AAF13395.1(配列番号83);AFU06654.1(配列番号84);AFU06650.1(配列番号85);AAB70738.1(配列番号86);ACN22555.1(配列番号87);ABK32510.1(配列番号88);ABC54573.1(配列番号89);ACN22554.1(配列番号90);ABK32511.1(配列番号91);ACQ90216.1(配列番号92);ADY75576.1(配列番号93);AAM03025.1(配列番号94);及びAAL96634.1(配列番号95)。
【
図13D】HPV16又はHPV18のE6又はE7たんぱく質の天然変異体を示す。HPV18のE7たんぱく質の天然変異体の配列比較を示す:GenBankアクセッションNo:ABP99785.1(配列番号96);AGU90416.1(配列番号97);AGU90384.1(配列番号98);CAB53097.1(配列番号99);P06788.2.1(配列番号100);CAB53098.1(配列番号101);及びCAB53099.1(配列番号102)。
【
図14】GX-188 DNAワクチンの変形例の図を示す。レーン1(A)は、陰性コントロール:pGX27ベクターのみを表わす。レーン2(B)は、GX-188陽性コントロール:
図1Aで示されるGX-188 DNAワクチンを表わす。レーン3(C-1)は、HPV16 E6変異体を表わす。C-1構築物は、GX-188と比較して、HPV16 E6のヒスチジン(H)21、チロシン(Y)85、及びバリン(V)90において、それぞれ、グルタミン(Q)、ヒスチジン(H)、及びロイシン(L)による変異/置換を含有する。レーン4(C-2)は、HPV16 E7変異体を表わす。C-2構築物は、GX-188と比較して、HPV16 E7のメチオニン(M)12におけるリジン(K)による変異/置換、並びに、GX-188と比較して、HPV16 E7のアスパラギン(N)29、アルギニン(R)77、及びグリシン(G)85におけるセリン(S)による変異/置換を含有する。レーン5(D-1)は、HPV16 E6の1番目~78番目アミノ酸、HPV16 E7の1番目~58番目のアミノ酸、HPV16 E6の79番目~158番目のアミノ酸、HPV16 E7の59番目~98番目のアミノ酸、HPV18 E6の1番目~85番目のアミノ酸、HPV18 E7の1番目~65番目のアミノ酸、HPV18 E6の71番目~158番目、及びHPV18 E7の51番目~105番目についての配列を有するDNAワクチンの変形例を表わす。レーン6(D-2)は、HPV16 E6の1番目~130番目アミノ酸、HPV16 E7の1番目~85番目のアミノ酸、HPV16 E6の45番目~158番目のアミノ酸、HPV16 E7の44番目~98番目のアミノ酸、HPV18 E6の1番目~85番目のアミノ酸、HPV18 E7の1番目~65番目のアミノ酸、HPV18 E6の71番目~158番目、及びHPV18 E7の51番目~105番目についての配列を有するDNAワクチンの変形例を表わす。レーン7(E-1)は、異なるシャッフル順序(即ち、NCNCNCNC)を有するDNAワクチンの変形例を表わす。E-1構築物は、N末端からC末端に向かって、HPV16 E6の1番目~85番目アミノ酸、HPV16 E7の51番目~98番目のアミノ酸、HPV16 E7の1番目~65番目のアミノ酸、HPV16 E6の71番目~158番目のアミノ酸、HPV18 E6の1番目~85番目のアミノ酸、HPV18 E7の1番目~65番目のアミノ酸、HPV18 E6の71番目~158番目、及びHPV18 E7の51番目~105番目を含有する。E-2は、異なるシャッフル順序(即ち、CCNNCCNN)を有するDNAワクチンの変形例を表わす。E-2構築物は、N末端からC末端に向かって、HPV16 E6の71番目~158番目のアミノ酸、HPV16 E7の51番目~98番目のアミノ酸、HPV16 E6の1番目~85番目のアミノ酸、HPV16 E7の1番目~65番目のアミノ酸、HPV18 E6の1番目~85番目のアミノ酸、HPV18 E7の1番目~65番目のアミノ酸、HPV18 E6の71番目~158番目、及びHPV18 E7の51番目~105番目を含有する。
【
図15】GX-188ワクチンの変形例についてのワクチンスケジュールの模式図を示す。C57/BL/6マウスに、各ワクチン変形例を、エレクトロポレーション送達により投与した。A(陰性コントロール)、B(陽性コントロール)、C-1、C-2、D-1、D-2、E-1、及びE-2。マウスを、1回の免疫化後2週間で分析するか、又は、最初の免疫化後2週間で追加免疫するかのいずれかをした。ついで、追加免疫を受けたマウスを、最後の免疫化後2週間で分析した。
【
図16A】
図15で示された1回のワクチン接種後のワクチン誘引免疫応答の結果を示す。Y軸は、SFC/1×10
6個の脾臓細胞を示す。一方、X軸は、GX-188ワクチンの変形例を示す。
【
図16B】
図15で示された追加ワクチン接種後のワクチン誘引免疫応答の結果を示す。Y軸は、SFC/1×10
6個の脾臓細胞を示す。一方、X軸は、GX-188ワクチンの変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
I.定義
特に断らない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属
する分野における当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾が生じた
場合には、定義を含む本願が優先するものとする。文脈により別段に必要とされない限り
、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。本明細書で言
及された全ての刊行物、特許、及び他の参考文献は、各個々の刊行物又は特許出願が具体
的に、かつ個々に参照により組み込まれることが示されているのと同様に、全ての目的に
ついて、それら全体が参照により組み込まれる。
【0028】
本明細書で記載されたものに類似するか、又は、本明細書で記載されたものと同等の方
法及び材料が、本発明の実施又は試験に使用され得るが、適切な方法及び材料が以下に説
明される。これらの材料、方法、及び例は、単に例示的なものであり、限定を意図するも
のではない。本発明の他の特徴及び利点は、詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかと
なるであろう。
【0029】
本発明を更に定義するために、下記の用語及び定義が提供される。
【0030】
「a」又は「an」実体という用語は、1つ又は2つ以上のその実体を意味することに
留意されたい。例えば、「ポリヌクレオチド(a polypeptide)」は、1つ又は2つ以上
のポリペプチドを表わすと理解される。また、「a」(又は「an」)、「1つ又は2つ
以上(one or more)」、及び「少なくとも1つ(at least one)」という用語は、
本明細書において同じ意味で使用され得る。
【0031】
本明細書において、「約」という用語は、おおよそ、ざっと、付近の領域、又は、その
領域を意味するのに使用される。「約」という用語が数値範囲と共に使用された場合、こ
の用語は、説明された数値の上方及び下方の境界を広げることによりその範囲を修飾する
。一般的には、本明細書において、「約」という用語は、ある数値を、記載された値の上
方及び下方の上下10%の変更値により修飾するのに使用される。
【0032】
本明細書において、「含む(comprising)」の語を用いて態様が記載される場合には常
に、「からなる(consisting of)」及び/又は「から本質的になる(consisting esse
ntially of)」に関して記載される他の類似する態様も提供されることが理解される。
【0033】
また、本明細書において、実施形態が処置フォーマットの方法として記載される場合に
は、スイスタイプの医療用途フォーマット及び/又は使用フォーマットのための医薬組成
物として記載される他の類似するフォーマットも提供されることが理解される。
【0034】
「ポリヌクレオチド」又は「ヌクレオチド」という用語は、単独の核酸及び複数の核酸
を包含し、単離された核酸分子又は構築物、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)
又はプラスミドDNA(pDNA)を意味することを意図している。特定の実施形態では
、ポリヌクレオチドは、従来のホスホジエステル結合又は従来的でない結合(例えば、例
えば、ペプチド核酸(PNA)に見られるアミド結合)を含む。「核酸」という用語は、
ポリヌクレオチドに存在する、任意の1つ又は2つ以上の核酸セグメント、例えば、DN
A又はRNA断片を意味する。「単離された」核酸又はポリヌクレオチドは、その本来の
環境から取り出した核酸分子、DNA、又はRNAを意図している。単離されたポリヌク
レオチドの例は、異種宿主細胞中に維持された組換えポリヌクレオチド、又は、溶液中で
他のポリヌクレオチドから精製(部分的又は実質的に)された組換えポリヌクレオチドを
含む。単離されたRNA分子は、本発明のポリヌクレオチドのインビボ又はインビトロR
NA転写物を含む。本発明に基づく単離されたポリヌクレオチド又は核酸は、合成的に生
成されたこのような分子を更に含む。加えて、ポリヌクレオチド又は核酸は、調節エレメ
ント、例えば、プロモーター、エンハンサー、リボソーム結合部位、又は転写終了シグナ
ルを含み得る。
【0035】
本明細書で使用する場合、「コード領域」又は「コード配列」は、アミノ酸に翻訳可能
なコドンからなるポリヌクレオチドの一部である。「ストップコドン」(TAG、TGA
、又はTAA)は、典型的には、アミノ酸に翻訳されないが、コード領域の一部であると
考えることができる。ただし、任意のフランキング配列、例えば、プロモーター、リボソ
ーム結合部位、転写ターミネーター、イントロンなどは、コード領域の一部ではない。コ
ード領域の境界は、典型的には、得られるポリペプチドのアミノ末端をコードする、5’
端における開始コドンと、得られるポリペプチドのカルボキシ末端をコードする、3’端
における翻訳ストップコドンとにより決定される。本発明の2つ以上のコード領域は、例
えば、単一のベクター上の単一のポリヌクレオチド構築物、又は、例えば、別箇の(異な
る)ベクター上の別箇のポリヌクレオチド構築物で表され得る。例えば、単一のベクター
は、単一のコード領域のみを含有することができ、又は、2つ以上のコード領域を含むこ
とができるということになる。例えば、単一のベクターは、以下で説明されるように、キ
メラ分子の第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖とを別々にコードし得る。加え
て、本発明のベクター、ポリヌクレオチド、又は核酸は、本発明のキメラ分子をコードす
る核酸に融合されるか、又は、融合されないかのいずれかの、異種コード領域をコードし
得る。異種コード領域には、特定のエレメント又はモチーフ、例えば、分泌シグナルペプ
チド又は異種機能ドメインが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
本明細書で使用する場合、ヌクレオチド配列に関する「最適化」という用語は、ポリペ
プチドをコードするポリヌクレオチド配列であって、そのポリヌクレオチド配列の特性を
向上させるように変異させられているものを意味する。一部の実施形態では、最適化は、
転写レベルを向上させる、翻訳レベルを向上させる、定常状態のmRNAレベルを向上さ
せる、調節たんぱく質、例えば、一般的な転写因子の結合を増加若しくは低下させる、ス
プライシングを増加若しくは低下させる、又は、ポリヌクレオチド配列により生成される
ポリペプチドの収率を向上させるために行われる。ポリヌクレオチド配列に対して、その
ポリヌクレオチド配列を最適化するために行われ得る改変の例は、コドン最適化、G/C
含量最適化、繰返し配列の除去、ATリッチエレメントの除去、3’スプライス部位の除
去、転写若しくは翻訳を抑制するシス作用性エレメントの除去、ポリT若しくはポリA配
列の追加若しくは除去、転写開始部位付近に転写を向上させる配列、例えば、Kozak
コンセンサス配列の追加、ステムループ構造を形成し得る配列の除去、不安定化配列の除
去、及びそれらの2つ以上の組み合わせを含む。
【0037】
哺乳類細胞により分泌される特定のたんぱく質は、分泌シグナルペプチドに連結してい
る。同分泌シグナルペプチドは、成長中のたんぱく質鎖の粗面小胞体を通過させるエクス
ポートが開始されると、成熟たんぱく質から開裂される。当業者であれば、シグナルペプ
チドがポリペプチドのN末端に一般的に融合され、完全な又は「全長の」ポリペプチドか
ら開裂されて、分泌型又は「成熟」型のポリペプチドを生成することを知っている。特定
の実施形態では、ポリペプチドを分泌に向かわせる能力を保持している、ネイティブなシ
グナルペプチド又はその配列の機能性誘導体が、ポリペプチドと操作可能に関連付けられ
る。あるいは、異種シグナルペプチド、例えば、組織プラスミノーゲンアクチベータ(t
PA)、ヘルペス単純ウイルス糖たんぱく質D(HSV gD)のシグナルペプチド、成
長ホルモンのシグナルペプチド、及びそれらの任意の組み合わせが使用され得る。一部の
実施形態では、本明細書で記載されるポリヌクレオチドは、tPAのシグナルペプチドを
コードする核酸配列を更に含む。
【0038】
特定の実施形態では、本明細書で記載されるポリヌクレオチドは、Fms関連チロシン
キナーゼ3リガンド(「FLT3L」)又はその一部を含む、異種ポリペプチドをコード
する核酸配列を更に含む。FLT3Lは、樹状細胞(DC)の増殖及び成熟を誘引する因
子である。この樹状細胞は、抗原に対する免疫応答を向上させることができ、腫瘍抗原と
融合された場合、腫瘍を除去する優れた効果を示す。
【0039】
「下流」という用語は、参照ヌクレオチド配列に対して、3’に位置するヌクレオチド
配列を意味する。特定の実施形態では、下流のヌクレオチド配列は、転写開始点に続く配
列に関する。例えば、遺伝子の翻訳開始コドンは、転写開始部位の下流に位置している。
【0040】
「上流」という用語は、参照ヌクレオチド配列に対して、5’に位置するヌクレオチド
配列を意味する。特定の実施形態では、上流のヌクレオチド配列は、コード領域又は転写
の開始点の5’側に位置する配列に関する。例えば、大部分のプロモーターは、転写開始
部位の上流に位置している。
【0041】
本明細書で使用する場合、「調節領域」という用語は、コード領域の上流(5’非コー
ド配列)、コード領域内、又はコード領域の下流(3’非コード配列)に位置し、関連す
るコード領域の転写、RNAプロセッシング、安定性、又は翻訳に影響を及ぼす、ヌクレ
オチド配列を意味する。調節領域は、プロモーター、翻訳リーダ配列、イントロン、ポリ
アデニル化認識配列、RNAプロセッシング部位、エフェクター結合部位、及びステムル
ープ構造を含み得る。コード領域が真核生物細胞中での発現を意図する場合、ポリアデニ
ル化シグナル及び転写終了配列は、通常、コード配列に対して3’に位置するであろう。
【0042】
遺伝子産物、例えば、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、1つ又は2つ以
上のコード領域と操作可能に関連付けられた、プロモーター及び/又は他の転写若しくは
翻訳制御エレメントを含み得る。操作可能な関連付けにおいては、ある遺伝子産物、例え
ば、あるポリペプチド用のコード領域は、1つ又は2つ以上の調節領域に対して、その1
つ又は複数の調節領域の影響又は制御下において、その遺伝子産物の発現が生じるような
様式で関連付けられる。例えば、プロモーター機能の誘引がコード領域によりコードされ
る遺伝子産物をコードするmRNAの転写をもたらす場合、及び、プロモーターとコード
領域との間の結合の性質が遺伝子産物の発現を行わせるプロモーターの能力と干渉しない
か、又は、転写されるDNAテンプレートの能力と干渉しない場合、コード領域及びプロ
モーターは、「操作可能に関連付けられ」ている。また、プロモーターを除く、他の転写
制御エレメント、例えば、エンハンサー、オペレーター、リプレッサー、及び転写終了シ
グナルも、遺伝子産物発現を行わせるように、コード領域と操作可能に関連付けられ得る
。
【0043】
各種の転写制御領域が、当業者に公知である。これらには、脊椎動物細胞中で機能する
転写制御領域(例えば、サイトメガロウイルス(CMV)由来のプロモーター及びエンハ
ンサーセグメント(イントロンAに関連する中程度の初期プロモーター)、シミアンウイ
ルス40(SV40)由来のプロモーター及びエンハンサーセグメント(初期プロモータ
ー)、及びレトロウイルス(例えば、ラウス肉腫ウイルス)由来のプロモーター及びエン
ハンサーセグメントが挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これに限
定されない。他の転写制御領域は、脊椎動物遺伝子由来のもの、例えば、アクチン、ヒー
トショックたんぱく質、ウシ成長ホルモン、及びウサギβグロビン、並びに、真核生物細
胞中で遺伝子発現を制御可能な他の配列を含む。更なる適切な転写制御領域は、組織特異
的プロモーター及びエンハンサー並びにリンホカイン誘導性プロモーター(例えば、イン
ターフェロン又はインターロイキンにより誘導可能なプロモーター)を含む。特定の実施
形態では、転写制御領域は、SV40ポリA、SV40エンハンサー、pCMV初期エン
ハンサー/プロモーター、ウサギβグロビン介在配列(glVS)、又はそれらの任意の
組み合わせであり得る。
【0044】
同様に、各種の翻訳制御エレメントが、当業者に公知である。これらには、リボソーム
結合部位、転写開始コドン及び終了コドン、並びにピコルナウイルス由来のエレメント(
特に、配列内リボソーム進入部位又はIRES(CITE配列とも呼ばれる))が挙げら
れるが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書で使用する場合、「発現」という用語は、ポリヌクレオチドが遺伝子産物、例
えば、RNA又はポリペプチドを生成するプロセスを意味する。発現には、ポリヌクレオ
チドのメッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、低分子
へアピンRNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、又は任意の他のRN
A産物への転写、並びに、mRNAのポリペプチドへの翻訳が挙げられるが、これらに限
定されない。発現により、「遺伝子産物」が生成される。本明細書で使用する場合、遺伝
子産物は、核酸、例えば、遺伝子の転写により生成されたメッセンジャーRNA、であっ
てもよいし、転写産物から翻訳されたポリペプチドであってもよい。本明細書で記載され
る遺伝子産物は、転写後修飾、例えば、ポリアデニル化若しくはスプライシングを含む核
酸、又は、翻訳後修飾、例えば、メチル化、糖化、脂質の付加、他のたんぱく質サブユニ
ットとの連結、若しくはたんぱく質分解的開裂を有するポリペプチドを更に含む。
【0046】
「ベクター」は、核酸のクローニング、及び/又は宿主細胞内への核酸の導入のための
任意のビヒクルを意味する。ベクターは、他の核酸セグメントとつなげられ、そのつなげ
られたセグメントの複製をもたらし得る、レプリコンであってもよい。「レプリコン」は
、インビボでの複製の自律ユニットとして機能する、即ち、それ自身の制御下において複
製可能な、任意の遺伝的エレメント(例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、染色体
、ウイルス)を意味する。「ベクター」という用語は、インビトロ、エクスビボ、又はイ
ンビボにおいて、核酸を細胞内に導入するためのウイルス及び非ウイルスビヒクルの両方
を含む。多くの数のベクターが公知であり、当技術分野において使用されており、例えば
、プラスミド、改変真核生物ウイルス、又は改変細菌ウイルスなどがある。適切なベクタ
ー内へのポリヌクレオチドの挿入は、適切なポリヌクレオチドフラグメントを相補的な付
着端を有する選択されたベクター内にライゲートすることにより達成され得る。
【0047】
ベクターは、ベクターを包含している細胞の選択又は識別を提供する選択マーカー又は
レポーターをコードするように操作されてもよい。選択マーカー又はレポーターの発現に
より、ベクター上に含まれる他のコード領域を包含し、発現する、宿主細胞の識別及び/
又は選択が可能となる。当技術分野において公知であり、使用される選択マーカー遺伝子
の例は、アンピシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ヒグロマ
イシン、ビアラホス除草剤、スルホンアミドなどに対する耐性を付与する遺伝子、及び、
表現型マーカーとして使用される遺伝子、即ち、アントシアニン調節遺伝子、イソペンタ
ニルトランスフェラーゼ遺伝子などを含む。当技術分野において公知であり、使用される
レポーターの例は、ルシフェラーゼ(Luc)、緑色蛍光たんぱく質(GFP)、クロラ
ムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ガラクトシダーゼ(LacZ)
、グルクロニダーゼ(Gus)などを含む。また、選択マーカーは、レポーターであると
も考えることもできる。
【0048】
「プラスミド」という用語は、多くの場合、細胞の中心代謝の一部でない遺伝子を有し
、通常、環状の二本鎖DNA分子の形態にある、染色体外エレメントを意味する。このよ
うなエレメントは、任意の起源由来の、自律複製配列、ゲノム組込み配列、ファージ若し
くはヌクレオチド配列、線状、環状、若しくはスーパーコイル状の一本鎖若しくは二本鎖
DNA若しくはRNAでもよい。同エレメント中には、数多くのヌクレオチド配列が、選
択された遺伝子産物のためのプロモーターフラグメント及びDNA配列を、適切な3’非
翻訳配列と共に細胞内に導入可能な固有の構築物内に連結され、又は、組み込まれている
。
【0049】
使用され得る真核生物ウイルスベクターには、アデノウイルスベクター、レトロウイル
スベクター、アデノ関連ウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、例えば、ワクシ
ニアウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、又はヘルペスウイルスベクターが挙
げられるが、これらに限定されない。非ウイルスベクターは、プラスミド、リポソーム、
荷電した脂質(サイトフェクチン)、DNA-たんぱく質複合体、及び生体ポリマーを含
む。
【0050】
「クローニングベクター」は、逐次的に複製し、複製起点を含む単位長さの核酸、例え
ば、プラスミド、ファージ、又はコスミドである「レプリコン」を意味する。このレプリ
コンに対して、別の核酸セグメントがつなげられ、そのつなげられたセグメントの複製が
もたらされ得る。特定のクローニングベクターは、ある細胞種、例えば、細菌において複
製して、別のもの、例えば、真核生物細胞において発現させることが可能である。クロー
ニングベクターは、典型的には、対象となる核酸配列の挿入用のベクター及び/又は1つ
若しくは2つ以上のマルチクローニングサイトを含む細胞の選択に使用され得る1つ又は
2つ以上の配列を含む。
【0051】
「発現ベクター」という用語は、宿主細胞内に挿入された後、挿入された核酸配列を発
現させることができるように設計されたビヒクルを意味する。挿入された核酸配列は、上
記のように、調節領域と操作可能に関連付けて配置される。
【0052】
ベクターは、当技術分野において周知の方法、例えば、トランスフェクション、エレク
トロポレーション、マイクロインジェクション、形質導入、細胞融合、DEAEデキスト
ラン、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクタミン(リポソーム融合)、遺伝子銃の使用、
又はDNAベクタートランスポータにより、宿主細胞内に導入される。
【0053】
本明細書で使用する場合、「培養する」、「培養するために」、及び「培養すること」
は、細胞が増殖若しくは分裂することが可能なインビトロ条件下において、細胞をインキ
ュベートすること、又は、細胞を生きた状態で維持することを意味する。本明細書で使用
する場合、「培養細胞」は、インビトロで増殖した細胞を意味する。
【0054】
本明細書で使用する場合、「ポリペプチド」という用語は、単数の「ポリペプチド」及
び複数の「ポリペプチド」を包含するように意図されており、アミド結合(ペプチド結合
とも呼ばれる)により直線状に連結されたモノマー(アミノ酸)から構成される分子を意
味する。「ポリペプチド」という用語は、2つ以上のアミノ酸からなる1本以上の任意の
鎖を意味し、特定の長さの生成物を意味しない。このため、ペプチド、ジペプチド、トリ
ペプチド、オリゴペプチド、「たんぱく質」、「アミノ酸鎖」、又は、2つ以上のアミノ
酸からなる1本又は複数本の鎖を意味するために使用される任意の他の用語は、「ポリペ
プチド」の定義に含まれ、「ポチペプチド」という用語は、これらの用語のいずれかに代
えて、又は、これらの用語のいずれかと同じ意味で使用され得る。また、「ポリペプチド
」という用語では、ポリペプチドの発現後修飾の生成物を意味することも意図されており
、この発現後修飾には、糖化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護/ブロック
基による誘導体化、たんぱく質分解的開裂、又は非天然アミノ酸による修飾が挙げられる
が、これらに限定されない。ポリペプチドは、天然の生物学的起源から得られ、又は、組
換え技術により生成され得るが、指定された核酸配列からの翻訳は必ずしも必要ではない
。ポリペプチドは、化学合成を含む、任意の方法で生成され得る。
【0055】
「単離された」ポリペプチド、又は、そのフラグメント、変異体、若しくは誘導体は、
その天然の環境にないポリペプチドを意味する。特定のレベルで精製されている必要はな
い。例えば、単離されたポリペプチドは、そのネイティブ又は天然の環境から、単純に取
り出され得る。宿主細胞中で発現された、組み換え的に生成されたポリペプチド及びたん
ぱく質は、本発明の目的で単離されていると考えられ、例えば、任意の適切な方法により
、分離され、分画され、又は、部分的若しくは実質的に精製されているネイティブ又は組
換えポリペプチドである。
【0056】
また、本発明には、ポリペプチドのフラグメント又は変異体、及びそれらの任意の組み
合わせも含まれる。本発明のポリペプチド結合ドメイン又は結合分子に言及する場合、「
フラグメント」又は「変異体」という用語は、参照ポリペプチドの少なくともいくらかの
特性を保持している、任意のポリペプチドを含む。ポリペプチドのフラグメントは、本明
細書における他の箇所で検討された特定の抗体フラグメントに加えて、たんぱく質分解的
フラグメント及び欠失フラグメメントを含むが、天然の全長ポリペプチド(又は成熟した
ポリペプチド)を含まない。本発明のポリペプチド結合ドメイン又は結合分子の変異体は
、上記されたフラグメントを含み、また、アミノ酸置換、欠失、又は挿入により変異した
アミノ酸配列を含むポリペプチドも含む。変異体は、天然のものであってもよいし、又は
非天然のものであってもよい。非天然の変異体は、当技術分野において公知の変異誘発技
術を使用して生成され得る。変異体ポリペプチドは、保存的又は非保存的なアミノ酸置換
、欠失、又は付加を含み得る。
【0057】
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似する側鎖を有するアミノ酸残基で置き
換えられているものである。類似する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術
分野において定義されており、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)
、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリ
シン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極
性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラ
ニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、
イソロイシン)、及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファ
ン、ヒスチジン)などがある。このため、ポリペプチド中のアミノ酸が同じ側鎖ファミリ
ーからの別のアミノ酸で置き換わっている場合、この置換は、保存的であると考えられる
。別の実施形態では、アミノ酸配列が、側鎖のファミリーメンバーの順序及び/又は組成
が異なる、構造的に類似した配列で保存的に置き換えられ得る。
【0058】
当技術分野において公知であるように、2つのポリペプチド間の「配列同一性」は、あ
るポリペプチドのアミノ酸配列を第2のポリペプチド配列に対して比較することにより決
定される。本明細書で検討される場合、任意の特定のポリペプチドが別のポリペプチドに
対して少なくとも約50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%
、99%、又は100%の同一性を有するかどうかは、当技術分野において公知の方法及
びコンピュータプログラム/ソフトウェアを使用して決定される。これらは、BESTF
ITプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Pack
age、Version 8 for Unix(登録商標)、Genetics Co
mputer Group、University Research Park、57
5 Science Drive、Madison、WI 53711)を含むが、これ
に限定されない。BESTFITは、Smith and Waterman、Adva
nces in Applied Mathematics 2:482~489(19
81)の局所的なホモロジーアルゴリズムを使用して、2つの配列間のホモロジーの最良
のセグメントを見出す。特定の配列が例えば本発明に基づく参照配列に対して95%の同
一性を有するかどうかを決定するために、BESTFIT又は任意の他の配列アライメン
トプログラムを使用する場合、当然、パラメータは、同一性の割合が参照ポリペプチド配
列の全長にわたって算出され、参照配列中のアミノ酸の総数の最大5%のホモロジーにお
けるギャップが許容されるように設定される。
【0059】
本明細書で使用する場合、「GX-188変形例」、「GX-188の類似体」、「G
X-188の変形構築物」、「GX-188の類似構築物」という用語、又は任意の類似
する用語は、少なくとも1つの用量の構築物の投与後に、その構築物がGX-188(図
1A又は配列番号9)の投与後に誘引される細胞性免疫応答に類似する、インビボにおけ
る細胞性免疫応答を誘引することを示す。細胞性免疫応答は、変形構築物がGX-188
により誘引される細胞性免疫応答と同じか又は同応答より高い細胞性免疫応答を誘引し得
る場合、類似し得る。他の実施形態では、細胞性免疫応答は、変形構築物がGX-188
により誘引される細胞性免疫応答より、少なくとも約0.9倍(例えば、90%)、約0
.8倍、約0.7倍、約0.6倍、約0.5倍、又は約0.4倍高い細胞性免疫応答を誘
引する場合、類似し得る。一実施形態において、細胞性免疫応答は、CD8 T細胞応答
、CD4 T細胞応答、サイトカイン分泌、又はそれらの任意の組み合わせである。別の
実施形態では、細胞性免疫応答は、多機能性T細胞数の増加を含む。特定の実施形態では
、多機能性T細胞は、フローサイトメトリーにより測定した場合、IFN-γ、IL-2
、TNF-α、MIP-β、CD107a/b、及びそれらの任意の組み合わせからなる
群から選択される、少なくとも3種類、少なくとも4種類、又は少なくとも5種類のマー
カーを示す。
【0060】
「融合」又は「キメラ」分子は、本来天然には連結されない第2のアミノ酸配列に連結
された第1のアミノ酸配列を含む。別々のたんぱく質において通常存在するアミノ酸配列
が、融合ポリペプチドとして、1つになっていてもよいし、同じたんぱく質において通常
存在するアミノ酸配列が、融合ポリペプチド中に新たな配列で存在していてもよい。融合
たんぱく質は、例えば、化学合成により、又は、ペプチド領域が所望の関係でコードされ
たポリヌクレオチドを作製し、翻訳することにより調製される。キメラたんぱく質は、共
有性の非ペプチド結合又は非共有結合により、第1のアミノ酸配列と連結された第2のア
ミノ酸配列を更に含み得る。
【0061】
本明細書で使用する場合、「分割する」、「分割すること」という用語、又は任意の類
似する用語は、概念的な用語であり、アミノ酸配列を、その配列内のアミノ酸のC末端に
おいて2つのアミノ酸配列に分割することを意味する。例えば、HPV16のE6たんぱ
く質は、2つの部分である、N末端部とC末端部に分割され得る。HPV16のE6たん
ぱく質がアミノ酸85において2つの部分に分割される場合、N末端部は、配列番号2に
対応するアミノ酸1~アミノ酸85を含むことができる一方で、C末端部は、配列番号2
に対応するアミノ酸86~158を含むことができる。ただし、「分割する」という用語
は、N末端部の境界(即ち、N末端部のC末端)及びC末端部の境界(C末端部のN末端
)を、たんぱく質を2つの部分に分割する正確なアミノ酸部位に限定しない。例えば、一
実施形態において、HPV16のE6たんぱく質がアミノ酸85において2つの部分に分
割される場合、N末端部は、配列番号2に対応するアミノ酸1~アミノ酸85を含むこと
ができ、C末端部は、配列番号2に対応するアミノ酸71~158を含むことができる。
アミノ酸71~85は、N末端部とC末端部との間のオーバーラップ配列であり得る。別
の実施形態では、HPV16のE6たんぱく質がアミノ酸70において2つの部分に分割
される場合、N末端部は、配列番号2に対応するアミノ酸1~アミノ酸70を含む一方で
、C末端部は、配列番号2に対応するアミノ酸71~158を含む。他の実施形態では、
N末端部は、オーバーラップ配列を含有する。例えば、N末端部は、配列番号2に対応す
るアミノ酸1~アミノ酸85を含み得る一方で、C末端部は、配列番号2に対応するアミ
ノ酸71~158を含み得る。本発明の融合たんぱく質は、その配列に基づいて融合たん
ぱく質を構築し、ついで、融合たんぱく質をコードするヌクレオチド配列を、合成的に、
組換え的に、又は当技術分野において公知の任意の他の方法により調製することにより生
成され得る。
【0062】
「癌」及び「癌性」という用語は、細胞の集団が制御されていない細胞増殖により特徴
付けられる、哺乳類における生理学的状態を意味し、又は、説明する。癌の例には、癌腫
、リンパ腫、芽細胞種、肉腫、及び白血病が挙げられるが、これらに限定されない。この
ような癌のより具体的な例としては、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌
、肺の扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、消化管癌、膵臓癌、グリア芽腫、子宮頸癌、卵巣
癌、肝癌、膀胱癌、ヘパトーマ、乳癌、結腸癌、大腸癌、子宮内膜若しくは子宮癌腫、唾
液腺癌、腎臓癌、肝癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝細胞癌(hepatic carcinoma
)、及び種々の種類の頭頸部癌が挙げられる。
【0063】
「腫瘍(tumor)」及び「新生物(neoplasm)」は、良性(非癌性)又は前癌病変を含
む悪性(癌性)のいずれかである、過剰な細胞増殖(growth)又は増殖(proliferation
)に起因する組織の任意の塊を意味する。腫瘍は、子宮頸部腫瘍であり得る。具体的な実
施形態では、子宮頸部腫瘍は、良性腫瘍又は悪性腫瘍である。特定の実施形態では、子宮
頸部腫瘍は、扁平上皮癌(SCC)、腺癌、腺扁平上皮癌、小細胞癌、神経内分泌腫瘍(
NET)、すりガラス細胞癌、絨毛腺癌(VGA)、非癌性悪性腫瘍、メラノーマ、リン
パ腫、又は子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)である。一部の実施形態では、子宮頸部腫瘍は
、CIN1、CIN2、CIN3、又は子宮頸癌である。
【0064】
「癌細胞」、「腫瘍細胞」という用語、及び文法的な同等物は、腫瘍又は前癌病変に由
来する細胞の総集団を意味し、腫瘍細胞集団の大部分を含む非発癌性細胞及び発癌性幹細
胞(癌幹細胞)の両方を含む。
【0065】
本明細書で開示される融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドの「有効量」は、
具体的に記載される目的を行うのに十分な量である。「有効量」は、経験的に、ルーチン
様式において、記載される目的に関して決定され得る。
【0066】
本明細書で使用する場合、「治療的な有効量」は、所望の治療結果を達成するために必
要となる用量及び期間において、有効な量を意味する。治療結果は、例えば、症状の減少
、生存の延長などであってよい。治療結果は、「治癒」である必要はない。
【0067】
「処置すること」若しくは「処置」若しくは「処置するため」又は「軽減すること」若
しくは「軽減するため」などの用語は、診断された病理状態又は障害の症状を治癒し、遅
延させ、減少させ、及び/又は、同状態又は障害の進行を停止させる治療手段を意味する
。このため、処置を必要とする対象は、障害を有すると既に診断された対象又は同障害を
有すると疑われる対象を含む。
【0068】
「対象」又は「個体」又は「動物」又は「患者」又は「哺乳類」は、診断、予後、又は
治療が望まれる、任意の対象、特に、哺乳類の対象を意味する。哺乳類の対象には、ヒト
、飼育動物、家畜、動物園の動物、競技用の動物、ペットの動物、例えば、イヌ、ネコ、
モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、キャトル、ウシ;霊長類、例えば、類人猿
、サル、オランウータン、及びチンパンジー;イヌ科、例えば、イヌ及びオオカミ;ネコ
科、例えば、ネコ、ライオン、及びトラ;ウマ科、例えば、ウマ、ロバ、及びシマウマ;
クマ、食用動物、例えば、ウシ、ブタ、及びヒツジ;有蹄動物、例えば、シカ及びキリン
;げっ歯類、例えば、マウス、ラット、ハムスター、及びモルモットなどが挙げられるが
、これらに限定されない。特定の実施形態では、哺乳類は、ヒトの対象である。
【0069】
II.治療用分子
本発明は、ヒトパピローマウイルスに関連する疾患又は状態における、治療用分子又は
治療用分子の使用に関する。本明細書の他の箇所で示されるように、治療用分子は、診断
剤としても使用され得る。一態様において、本治療用分子は、2つ以上のたんぱく質を融
合させることにより構築され、ここで、このたんぱく質の融合は、それぞれのたんぱく質
が2つの部分(N末端部及びC末端部)に分割されるが、依然として各たんぱく質の少な
くとも全てのエピトープを含むように行われる。本発明において使用され得るたんぱく質
は、少なくとも2つのたんぱく質、少なくとも3つのたんぱく質、少なくとも4つのたん
ぱく質、又はそれ以上のたんぱく質を含む。特定の実施形態では、治療用分子は、少なく
とも4つのたんぱく質、又は、それをコードする1つ又は2つ以上のヌクレオチド配列を
含む。治療用分子が4つのたんぱく質を利用する場合、治療用分子は、8つのポリペプチ
ド部分又はそれらの8つのヌクレオチド配列を含む。4つのたんぱく質から得られた8つ
の部分(各たんぱく質が2つの部分に分割)は、これらのたんぱく質が、全長たんぱく質
と結合する1つ又は2つ以上の腫瘍抑制因子と結合しないか、又は、4つのたんぱく質の
いずれかと二量体を形成しないような任意の順序で配置され得る。
【0070】
本発明の治療用分子に使用される4つのたんぱく質は、ヒトパピローマウイルス型16
(HPV16)のE6たんぱく質、ヒトパピローマウイルス型18(HPV18)のE6
たんぱく質、並びに、HPV16のE7たんぱく質及びHPV18のE7たんぱく質であ
り得る。ただし、HPV血清型からの1つ又は2つ以上のE6たんぱく質及び1つ又は2
つ以上のE7たんぱく質の任意の他の組み合わせが可能であり、同血清型は、例えば、高
リスク血清型について、HPV血清型16、18、31、33、35、39、45、51
、52、56、58、59、68、及び82、低リスク血清型について、HPV血清型6
、11、40、42、43、44、54、61、72、73、及び81、又はそれらの任
意の組み合わせである。したがって、4つのたんぱく質がそれぞれ、2つの部分に分割又
は切断された場合、本治療用分子は、HPV16のE6たんぱく質のN末端部、HPV1
6のE6たんぱく質のC末端部、HPV18のE6たんぱく質のN末端部、及びHPV1
8のE6たんぱく質のC末端部、HPV16のE7たんぱく質のN末端部、HPV16の
E7たんぱく質のC末端部、HPV18のE7たんぱく質のN末端部、又はそれらの任意
の組み合わせを含み得る。特定の実施形態では、本発明に使用されるたんぱく質は、HP
V16及び/又はHPV18のみに由来する。
【0071】
II.A.HPV16及びHPV18のE6たんぱく質
HPV16又はHPV18のE6たんぱく質は、細胞形質転換の誘引及び維持に主要な
役割を果たす。E6たんぱく質は、多くの宿主細胞の重要な調節たんぱく質の破壊を刺激
することにより、癌たんぱく質として主に作用する。E6たんぱく質は、宿主のE6-A
Pユビキチンたんぱく質リガーゼと結合し、腫瘍抑制因子であるp53及びp73を、2
6Sプロテアソームによる分解の標的とすることにより、不活性化する。ひいては、DN
A損傷及び染色体不安定化が増大し、細胞増殖及び癌進行をもたらす。
【0072】
HPV16及びHPV18の天然のE6たんぱく質の数多くの配列が報告されている。
例えば、HPV16及びHPV18のE6たんぱく質のアミノ酸配列は、GenBank
アクセッションNo.AAL96630.1及びABP99784.1としてそれぞれ報
告されている。HPV16及びHPV18のE6たんぱく質をコードする野生型ヌクレオ
チド配列は、GenBankアクセッションNo.AF486325.1及びEF202
153.1としてそれぞれ報告されている。これらの配列を、表1に再現する。
【0073】
【0074】
本明細書で使用する場合、「HPV16又はHPV18のE6たんぱく質」という用語
は、その任意の天然の変異体又は機能性変異体を含む。HPV16のE6たんぱく質の天
然の変異体の例には、
図13Aに列記された配列が挙げられるが、これらに限定されない
:GenBankアクセッションNo.AGS42365.1、AGS42372.1、
ABO15571.1、AGS42373.1、ABK32509.1、AHZ9669
2.1、AAL01368.1、AFS64243.1、AGS42377.1、AGS
42352.1、AAD33252.1、AGS42313.1、BAN15947.1
、ACK57853.1、NP_041325.1、AGS42269.1、AEV66
122.1、AGS42267.1、ACL12310.1、ABO61749.1、A
AL01351.1、AAV91676.1、AGS42341.1、AGS42314
.1、BAN15937.1、ACS92692.1、AAM29170.1、AAQ1
0712.1、AAL96621.1、AAL96623.1、AGS42353.1、
ADY75574.1、AAL96604.1、AEV66140.1、ACK5787
0.1、ACJ66712.1、AFS64227.1、AAL96619.1、AAL
96620.1、ABO61747.1、ACK57855.1、ADH94042.1
、AFS64252.1、AAL96612.1、AFS64257.1、AAL966
14.1、ACJ66716.1、BAN15946.1、ADY75573.1、AG
S42315.1、AAA91673.1、AAA91669.1、AAA91674.
1、AAA91680.1、AAA91681.1、AAA91668.1、AAA91
658.1、AAA91662.1、AAA91667.1、AAA91676.1、A
AA91671.1、AAA91656.1、AAA91682.1、AAA91657
.1、AAA91660.1、AAA91677.1、AAA91678.1、AAA9
1672.1、AAA91661.1 AAA91664.1、AAA91675.1、
AAA91665.1、AAA91663.1、AAA91659.1、AAA9165
4.1、AAA91666.1、AAA91679.1、及びAAA91655.1。特
定の実施形態では、HPV16のE6たんぱく質は、D11E、E14D、R15P、R
17I、R17T、R17G、L19V、H21Q、H21D、H21E、D32N、D
32E、I34R、I34L、I34T、L35V、E36Q、V49L、R54W、I
59V、R62K、N65S、A68G、D71E、I80V、Y85H、V90L、P
102L、I108F、I108X、E120D、K122R、Q123E、R131T
、I135M、Q157L、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つ又は2つ
以上の置換を含む。
【0075】
HPV18のE6たんぱく質の例には、
図13Bに列記された配列が挙げられるが、こ
れらに限定されない:GenBankアクセッションNo.CAB53096.1、AG
U90327.1、ADC35660.1、AHZ96677.1、ABP99736.
1、ABP99704.1、AHZ96678.1、AGM34425.1、AGM34
424.1、及びABP99784.1。特定の実施形態では、HPV16のE6たんぱ
く質は、L14V、E43G、Y80H、K129N、H133R、R144Q、R15
3H、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つ又は2つ以上の置換を含む。
【0076】
II.A.1.HPV16のE6たんぱく質
一実施形態において、融合たんぱく質に有用なHPV16のE6たんぱく質は、p53
に結合しないか、又は、HPV16のE6たんぱく質と二量体を形成しない。HPV16
のE6たんぱく質のp53への結合を防ぐために、E6たんぱく質は、2つの部分である
、E6たんぱく質のN末端部とE6たんぱく質のC末端部とに分割され、それらはそれぞ
れ、1つ又は2つ以上のE6関連たんぱく質結合部位を含まない。得られた構築物は、E
6たんぱく質の全てのエピトープを含む一方で、完全なE6AP結合部位を含まないため
、E6-APと複合体を形成できない。一実施形態において、HPV16のE6たんぱく
質のE6-AP結合部位は、配列番号2に対応する、L35~Y39、L57~R62、
V69~Y85、C87、Y88、Q98、Y99、L107、R109、Q114、及
びR136を含む。別の実施形態では、HPV16のE6たんぱく質のE6-AP結合部
位は、配列番号2に対応するL35~R136を含む。したがって、特定の実施形態では
、HPV16のE6たんぱく質のN末端部は、a~bのアミノ酸配列(16E6Na-b
)を有し、HPV16のE6たんぱく質のC末端部は、c~dのアミノ酸配列(16E6
Cc-d)を有し、ここで、aは、配列番号2に対応するアミノ酸1又は2であり、bは
、配列番号2に対応するアミノ酸35~135から選択されるアミノ酸であり、cは、配
列番号2に対応する、アミノ酸36以上のアミノ酸及びアミノ酸b+1以下のアミノ酸か
ら選択されるアミノ酸であり、dは、配列番号2に対応するアミノ酸157又は158で
ある。
【0077】
HPV16のE6たんぱく質は、配列番号2に対応するアミノ酸22LEU、23CY
S、41LYS、42GLN、43GLN、45LEU、46ARG、47ARG、49
VAL、50TYR、51ASP、53ALA、54PHE、57LEU、71ASP、
74LEU、75LYS、76PHE、78SER、79LYS、80ILE、82GL
U、83TYR、84ARG、85TYR、86TYR、又は99TYRにおいて、p5
3と相互作用し得る。p53上の対応する相互作用部位は、p53の110ARG、11
1LEU 112GLY、113PHE、114LEU、115HIS、116SER、
124CYS、126TYR、128PRO、131ASN、142PRO、144GL
N 146TRP、229CYS、及び231THRを含み得る。したがって、特定の実
施形態では、E6たんぱく質のN末端部及びC末端部は、E6たんぱく質を、配列番号2
に対応するアミノ酸22~98から選択されるアミノ酸のC末端において、2つの部分に
分割することにより生成され得る。
【0078】
一部の実施形態では、本発明の融合たんぱく質は、別のE6たんぱく質との相互作用を
防止することにより、HPV16のE6たんぱく質と二量体を形成しない。E6たんぱく
質がp53を分解するためには、別のE6たんぱく質と二量体を形成する必要がある。し
たがって、E6たんぱく質上の二量体形成部位を破壊することにより、E6たんぱく質は
、もはやp53を分解することができない。HPV16のE6たんぱく質は、配列番号2
に対応するQ42、K72、F76、及びY77において、直接的に相互作用することに
より、別のE6たんぱく質と二量体を形成する。一実施形態において、HPV16のE6
たんぱく質のN末端部及びC末端部は、E6たんぱく質を、配列番号2に対応するアミノ
酸42~76から選択されるアミノ酸のC末端において、2つの部分に分割することによ
り生成され得る。一実施形態において、本発明の融合たんぱく質は、HPV16のE6た
んぱく質のN末端部(16E6Na-b)及びHPV16のE6たんぱく質のC末端部を
含み、ここで、aは、配列番号2に対応するアミノ酸1又は2であり、bは、配列番号2
に対応するアミノ酸42~76から選択されるアミノ酸であり、cは、配列番号2に対応
する、アミノ酸43以上のアミノ酸及びアミノ酸b+1以下のアミノ酸から選択されるア
ミノ酸であり、dは、配列番号2に対応するアミノ酸157又は158である。
【0079】
HPV16のE6たんぱく質が別のE6たんぱく質と二量体を形成するためには、E6
たんぱく質が、そのジンクフィンガーモチーフ1中に亜鉛を包含する必要がある。ジンク
フィンガーモチーフ1が亜鉛を包含していない場合、HPV16のE6たんぱく質は、も
はや二量体を形成できない。特に、配列番号2に対応するアミノ酸37、40、70、及
び73に位置するジンクフィンガーモチーフ1の4つのシステインは、亜鉛と直接相互作
用する。一実施形態において、HPV16のE6たんぱく質のN末端部は、ジンクフィン
ガーモチーフ1内に1つのシステイン、2つのシステイン、又は3つのシステインのみを
含有し、一方で、HPV16のE6たんぱく質のC末端部は、ジンクフィンガーモチーフ
1内に3つのシステイン、2つのシステイン、又は1つのシステインをそれぞれ含有する
。別の実施形態では、E6たんぱく質のN末端部及びC末端部は、E6たんぱく質を、配
列番号2に対応するアミノ酸37~72から選択されるアミノ酸のC末端において、2つ
の部分に分割することにより生成され得る。一実施形態において、本発明の融合たんぱく
質は、HPV16のE6たんぱく質のN末端部(16E6Na-b)及びHPV16のE
6たんぱく質のC末端部を含み、ここで、aは、配列番号2に対応するアミノ酸1又は2
であり、bは、配列番号2に対応するアミノ酸37~72から選択されるアミノ酸であり
、cは、配列番号2に対応する、アミノ酸38以上のアミノ酸及びアミノ酸b+1以下の
アミノ酸から選択されるアミノ酸であり、dは、配列番号2に対応するアミノ酸157又
は158である。
【0080】
一部の実施形態では、融合たんぱく質は、16E6Na-b及び16E6Cc-dを含
み、ここで、配列番号2に対応して、aがアミノ酸1又は2であり、dがアミノ酸157
又は158であり、b及びcが以下の通り、即ち、bがアミノ酸残基35であり、cがア
ミノ酸残基36であるか;bがアミノ酸残基36であり、cがアミノ酸残基36又は37
であるか;bがアミノ酸残基37であり、cがアミノ酸残基36、37、又は38である
か;bがアミノ酸残基38であり、cがアミノ酸残基36、37、38、又は39である
か;bがアミノ酸残基39であり、cがアミノ酸残基36、37、38、39、又は40
であるか;bがアミノ酸残基40であり、cがアミノ酸残基36~41から選択されるア
ミノ酸であるか;bがアミノ酸残基41であり、cがアミノ酸残基36~42から選択さ
れるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基42であり、cがアミノ酸残基36~43から
選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基43であり、cがアミノ酸残基36~4
4から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基44であり、cがアミノ酸残基3
6~45から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基45であり、cがアミノ酸
残基36~46から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基46であり、cがア
ミノ酸残基36~47から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基47であり、
cがアミノ酸残基36~48から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基48で
あり、cがアミノ酸残基36~49から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基
49であり、cがアミノ酸残基36~50から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ
酸残基50であり、cがアミノ酸残基36~51から選択されるアミノ酸であるか;bが
アミノ酸残基51であり、cがアミノ酸残基36~52から選択されるアミノ酸であるか
;bがアミノ酸残基52であり、cがアミノ酸残基36~53から選択されるアミノ酸で
あるか;bがアミノ酸残基53であり、cがアミノ酸残基36~54から選択されるアミ
ノ酸であるか;bがアミノ酸残基54であり、cがアミノ酸残基36~55から選択され
るアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基55であり、cがアミノ酸残基36~56から選
択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基56であり、cがアミノ酸残基36~57
から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基57であり、cがアミノ酸残基36
~58から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基58であり、cがアミノ酸残
基36~59から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基59であり、cがアミ
ノ酸残基36~60から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基60であり、c
がアミノ酸残基36~61から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基61であ
り、cがアミノ酸残基36~62から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基6
2であり、cがアミノ酸残基36~63から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸
残基63であり、cがアミノ酸残基36~64から選択されるアミノ酸であるか;bがア
ミノ酸残基64であり、cがアミノ酸残基36~65から選択されるアミノ酸であるか;
bがアミノ酸残基65であり、cがアミノ酸残基36~66から選択されるアミノ酸であ
るか;bがアミノ酸残基66であり、cがアミノ酸残基36~67から選択されるアミノ
酸であるか;bがアミノ酸残基67であり、cがアミノ酸残基36~68から選択される
アミノ酸であるか;bがアミノ酸残基68であり、cがアミノ酸残基36~69から選択
されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基69であり、cがアミノ酸残基36~70か
ら選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基70であり、cがアミノ酸残基36~
71から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基71であり、cがアミノ酸残基
36~72から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基72であり、cがアミノ
酸残基36~73から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基73であり、cが
アミノ酸残基36~74から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基74であり
、cがアミノ酸残基36~75から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基75
であり、cがアミノ酸残基36~76から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残
基76であり、cがアミノ酸残基36~77から選択されるアミノ酸であるか;bがアミ
ノ酸残基77であり、cがアミノ酸残基36~78から選択されるアミノ酸であるか;b
がアミノ酸残基78であり、cがアミノ酸残基36~79から選択されるアミノ酸である
か;bがアミノ酸残基79であり、cがアミノ酸残基36~80から選択されるアミノ酸
であるか;bがアミノ酸残基80であり、cがアミノ酸残基36~81から選択されるア
ミノ酸であるか;bがアミノ酸残基81であり、cがアミノ酸残基36~82から選択さ
れるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基82であり、cがアミノ酸残基36~83から
選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基83であり、cがアミノ酸残基36~8
4から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基84であり、cがアミノ酸残基3
6~85から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基85であり、cがアミノ酸
残基36~86から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基86であり、cがア
ミノ酸残基36~87から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基87であり、
cがアミノ酸残基36~88から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基88で
あり、cがアミノ酸残基36~89から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基
89であり、cがアミノ酸残基36~90から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ
酸残基90であり、cがアミノ酸残基36~91から選択されるアミノ酸であるか;bが
アミノ酸残基91であり、cがアミノ酸残基36~92から選択されるアミノ酸であるか
;bがアミノ酸残基92であり、cがアミノ酸残基36~93から選択されるアミノ酸で
あるか;bがアミノ酸残基93であり、cがアミノ酸残基36~94から選択されるアミ
ノ酸であるか;bがアミノ酸残基94であり、cがアミノ酸残基36~95から選択され
るアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基95であり、cがアミノ酸残基36~96から選
択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基96であり、cがアミノ酸残基36~97
から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基97であり、cがアミノ酸残基36
~98から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基98であり、cがアミノ酸残
基36~99から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基99であり、cがアミ
ノ酸残基36~100から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基100であり
、cがアミノ酸残基36~101から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基1
01であり、cがアミノ酸残基36~102から選択されるアミノ酸であるか;bがアミ
ノ酸残基102であり、cがアミノ酸残基36~103から選択されるアミノ酸であるか
;bがアミノ酸残基103であり、cがアミノ酸残基36~104から選択されるアミノ
酸であるか;bがアミノ酸残基104であり、cがアミノ酸残基36~105から選択さ
れるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基105であり、cがアミノ酸残基36~106
から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基106であり、cがアミノ酸残基3
6~107から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基107であり、cがアミ
ノ酸残基36~108から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基108であり
、cがアミノ酸残基36~109から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基1
09であり、cがアミノ酸残基36~110から選択されるアミノ酸であるか;bがアミ
ノ酸残基110であり、cがアミノ酸残基36~111から選択されるアミノ酸であるか
;bがアミノ酸残基111であり、cがアミノ酸残基36~112から選択されるアミノ
酸であるか;bがアミノ酸残基112であり、cがアミノ酸残基36~113から選択さ
れるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基113であり、cがアミノ酸残基36~114
から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基114であり、cがアミノ酸残基3
6~115から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基115であり、cがアミ
ノ酸残基36~116から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基116であり
、cがアミノ酸残基36~117から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基1
17であり、cがアミノ酸残基36~118から選択されるアミノ酸であるか;bがアミ
ノ酸残基118であり、cがアミノ酸残基36~119から選択されるアミノ酸であるか
;bがアミノ酸残基119であり、cがアミノ酸残基36~120から選択されるアミノ
酸であるか;bがアミノ酸残基120であり、cがアミノ酸残基36~121から選択さ
れるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基121であり、cがアミノ酸残基36~122
から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基122であり、cがアミノ酸残基3
6~123から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基123であり、cがアミ
ノ酸残基36~124から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基124であり
、cがアミノ酸残基36~125から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基1
25であり、cがアミノ酸残基36~126から選択されるアミノ酸であるか;bがアミ
ノ酸残基126であり、cがアミノ酸残基36~127から選択されるアミノ酸であるか
;bがアミノ酸残基127であり、cがアミノ酸残基36~128から選択されるアミノ
酸であるか;bがアミノ酸残基128であり、cがアミノ酸残基36~129から選択さ
れるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基129であり、cがアミノ酸残基36~130
から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基130であり、cがアミノ酸残基3
6~131から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基131であり、cがアミ
ノ酸残基36~132から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基132であり
、cがアミノ酸残基36~133から選択されるアミノ酸であるか;bがアミノ酸残基1
33であり、cがアミノ酸残基36~134から選択されるアミノ酸であるか;bがアミ
ノ酸残基134であり、cがアミノ酸残基36~135から選択されるアミノ酸であるか
;又は、bがアミノ酸残基135であり、cがアミノ酸残基36~136から選択される
アミノ酸である。
【0081】
特定の実施形態では、HPV16のE6たんぱく質のN末端部及びHPV16のE6た
んぱく質のC末端部は、互いにアライメントさせた場合、オーバーラップ配列を含有する
。オーバーラップ配列は、HPV16のE6たんぱく質の、少なくとも1、5、7、10
、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、
80、85、90、95、100、105、110、115、又は120個のアミノ酸で
あり得る。N末端部又はC末端部は、オーバーラップ配列を含有し得るが、N末端部又は
C末端部はいずれも、完全なE6AP結合ドメイン、例えば、配列番号2に対応するアミ
ノ酸35~136を含まない。
【0082】
複合体E6/E6-APは、宿主のNFX1-91であるヒトテロメラーゼ逆転写酵素
(hTERT)の抑制因子を含む複数の他の基質を、プロテアソームによる分解の標的と
する。結果として引き起こされるhTERTの発現の増加により、テロメア長の短縮が妨
がれ、細胞の不死化がもたらされる。Bak、Fas関連死ドメイン含有たんぱく質(F
ADD)、及びプロカスパーゼ8を含む他の細胞ターゲットは、E6/E6-APにより
分解され、アポトーシスの阻害を引き起こす。また、E6たんぱく質は、宿主のIRF3
及びTYK2と相互作用することにより、免疫応答を阻害する。これらの相互作用は、I
RF3転写活性を妨げ、TYK2媒介性JAK-STAT活性化をインターフェロンアル
ファにより阻害し、インターフェロンシグナル伝達経路の阻害をもたらす。したがって、
HPV16のE6たんぱく質を、融合たんぱく質が、p53以外の1種類又は2種類以上
の基質、例えば、hTERTの抑制因子、Bak、FADD、プロカスパーゼ8などに結
合することができず、又は、宿主のIRF3及びTYK2と相互作用することができない
ように、HPV16のE6たんぱく質のN末端部と、HPV16のE6たんぱく質のC末
端部とに分割することができる。
【0083】
II.A.2.HPV18のE6たんぱく質
融合たんぱく質に有用なHPV18のE6たんぱく質は、p53に結合しないか、又は
、HPV18のE6たんぱく質と二量体を形成しない。HPV18のE6たんぱく質のp
53への結合を防ぐために、E6たんぱく質は、2つの部分である、E6たんぱく質のN
末端部とE6たんぱく質のC末端部とに分割され、それらはそれぞれ、1つ又は2つ以上
のE6関連たんぱく質結合部位を含まない。一実施形態において、HPV18のE6たん
ぱく質のE6-AP結合部位は、配列番号4に対応する、I30~Y34、L52~R5
7、A64~Y80、S82、D83、L93、T94、L102、R104、Q109
、及びA131を含む。別の実施形態では、HPV18のE6たんぱく質のE6-AP結
合部位は、配列番号4に対応するI30~A131を含む。したがって、特定の実施形態
では、HPV18のE6たんぱく質のN末端部は、a~bのアミノ酸配列(18E6Ni
-j)を有し、HPV16のE6たんぱく質のC末端部は、c~dのアミノ酸配列(16
E6Ck-l)を有し、ここで、iは、配列番号4に対応するアミノ酸1又は2であり、
jは、配列番号4に対応するアミノ酸30~130から選択されるアミノ酸であり、kは
、配列番号4に対応する、アミノ酸31以上のアミノ酸及びアミノ酸j+1以下のアミノ
酸から選択されるアミノ酸であり、lは、配列番号4に対応するアミノ酸157又は15
8である。
【0084】
HPV18のE6たんぱく質は、配列番号4に対応するアミノ酸17LEU、18CY
S、36LYS、44VAL、45PHE、46GLU、48ALA、49PHE、52
LEU、66HIS、69ILE、70ASP、71PHE、73SER、74ARG、
75ILE、77GLU、78LEU、79ARG、80TYR、又は81TYRにおい
て、p53と相互作用し得る。p53上の対応する相互作用部位は、p53の110AR
G、111LEU 112GLY、113PHE、114LEU、115HIS、116
SER、124CYS、126TYR、128PRO、131ASN、142PRO、1
44GLN、146TRP、229CYS、及び231THRを含む。したがって、特定
の実施形態では、HPV18のE6たんぱく質のN末端部及びC末端部は、E6たんぱく
質を、配列番号4に対応するアミノ酸17~80から選択されるアミノ酸のC末端におい
て、2つの部分に分割することにより生成され得る。
【0085】
一部の実施形態では、本発明の融合たんぱく質は、別のE6たんぱく質との相互作用を
防止することにより、HPV18のE6たんぱく質と二量体を形成しない。HPV18の
E6たんぱく質は、配列番号4に対応するT37、K67、F71、及びY72において
、直接的に相互作用することにより、別のE6たんぱく質と二量体を形成する。したがっ
て、HPV18のE6たんぱく質のN末端部及びC末端部は、HPV18のE6たんぱく
質を、配列番号4に対応するアミノ酸37~71から選択されるアミノ酸のC末端におい
て、2つの部分に分割することにより生成され得る。一実施形態において、本発明の融合
たんぱく質は、HPV18のE6のN末端部(18E6Ni-j)及びHPV18のE6
たんぱく質のC末端部(18E6Ck-l)を含み、ここで、iは、配列番号4に対応す
るアミノ酸1又は2であり、jは、配列番号4に対応するアミノ酸37~71から選択さ
れるアミノ酸であり、kは、配列番号4に対応する、アミノ酸38以上のアミノ酸及びア
ミノ酸j+1以下のアミノ酸から選択されるアミノ酸であり、lは、配列番号4に対応す
るアミノ酸157又は158である。
【0086】
HPV18のE6たんぱく質が別のE6たんぱく質と二量体を形成してp53を分解す
るためには、E6たんぱく質が、そのジンクフィンガーモチーフ1中に亜鉛を包含する必
要がある。したがって、ジンクフィンガーモチーフ1が亜鉛を包含していない場合、HP
V18のE6たんぱく質は、もはや二量体を形成できない。特に、配列番号4に対応する
アミノ酸32、35、65、及び68に位置するジンクフィンガーモチーフ1の4つのシ
ステインは、亜鉛と直接相互作用する。一実施形態において、HPV18のE6たんぱく
質のN末端部は、ジンクフィンガーモチーフ1内に1つのシステイン、2つのシステイン
、又は3つのシステインのみを含有し、一方で、HPV18のE6たんぱく質のC末端部
は、ジンクフィンガーモチーフ1内に3つのシステイン、2つのシステイン、又は1つの
システインをそれぞれ含有する。別の実施形態では、HPV18のE6たんぱく質のN末
端部及びC末端部は、E6たんぱく質を、配列番号4に対応するアミノ酸32~67から
選択されるアミノ酸のC末端において、2つの部分に分割することにより生成され得る。
一実施形態において、本発明の融合たんぱく質は、HPV18のE6たんぱく質のN末端
部(18E6Ni-j)及びHPV18のE6たんぱく質のC末端部を含み、ここで、i
は、配列番号4に対応するアミノ酸1又は2であり、jは、配列番号4に対応するアミノ
酸32~67から選択されるアミノ酸であり、kは、配列番号4に対応する、アミノ酸3
3以上のアミノ酸及びアミノ酸j+1以下のアミノ酸から選択されるアミノ酸であり、l
は、配列番号4に対応するアミノ酸157又は158である。
【0087】
一部の実施形態では、融合たんぱく質は、18E6Ni-j及び18E6Ck-lを含
み、ここで、配列番号4に対応して、iは、アミノ酸1又は2であり、lは、アミノ酸1
57又は158であり、j及びkは、以下の通り、即ち、jがアミノ酸残基30であり、
kがアミノ酸残基31であるか;jがアミノ酸残基31であり、kがアミノ酸残基31又
は32であるか;jがアミノ酸残基32であり、kがアミノ酸残基31、32、又は33
であるか;jがアミノ酸残基33であり、kがアミノ酸残基31、32、33、又は34
であるか;jがアミノ酸残基34であり、kがアミノ酸残基31、32、33、34、又
は35であるか;jがアミノ酸残基35であり、kがアミノ酸残基31~36から選択さ
れるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基36であり、kがアミノ酸残基31~37から
選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基37であり、kがアミノ酸残基31~3
8から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基38であり、kがアミノ酸残基3
1~39から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基39であり、kがアミノ酸
残基31~40から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基40であり、kがア
ミノ酸残基31~41から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基41であり、
kがアミノ酸残基31~42から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基42で
あり、kがアミノ酸残基31~43から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基
43であり、kがアミノ酸残基31~44から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ
酸残基44であり、kがアミノ酸残基31~45から選択されるアミノ酸であるか;jが
アミノ酸残基45であり、kがアミノ酸残基31~46から選択されるアミノ酸であるか
;jがアミノ酸残基46であり、kがアミノ酸残基31~47から選択されるアミノ酸で
あるか;jがアミノ酸残基47であり、kがアミノ酸残基31~48から選択されるアミ
ノ酸であるか;jがアミノ酸残基48であり、kがアミノ酸残基31~49から選択され
るアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基49であり、kがアミノ酸残基31~50から選
択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基50であり、kがアミノ酸残基31~51
から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基51であり、kがアミノ酸残基31
~52から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基52であり、kがアミノ酸残
基31~53から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基53であり、kがアミ
ノ酸残基31~54から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基54であり、k
がアミノ酸残基31~55から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基55であ
り、kがアミノ酸残基31~56から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基5
6であり、kがアミノ酸残基31~57から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸
残基57であり、kがアミノ酸残基31~58から選択されるアミノ酸であるか;jがア
ミノ酸残基58であり、kがアミノ酸残基31~59から選択されるアミノ酸であるか;
jがアミノ酸残基59であり、kがアミノ酸残基31~60から選択されるアミノ酸であ
るか;jがアミノ酸残基60であり、kがアミノ酸残基31~61から選択されるアミノ
酸であるか;jがアミノ酸残基61であり、kがアミノ酸残基31~62から選択される
アミノ酸であるか;jがアミノ酸残基62であり、kがアミノ酸残基31~63から選択
されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基63であり、kがアミノ酸残基31~64か
ら選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基64であり、kがアミノ酸残基31~
65から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基65であり、kがアミノ酸残基
31~66から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基66であり、kがアミノ
酸残基31~67から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基67であり、kが
アミノ酸残基31~68から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基68であり
、kがアミノ酸残基31~69から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基69
であり、kがアミノ酸残基31~70から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残
基70であり、kがアミノ酸残基31~71から選択されるアミノ酸であるか;jがアミ
ノ酸残基71であり、kがアミノ酸残基31~72から選択されるアミノ酸であるか;j
がアミノ酸残基72であり、kがアミノ酸残基31~73から選択されるアミノ酸である
か;jがアミノ酸残基73であり、kがアミノ酸残基31~74から選択されるアミノ酸
であるか;jがアミノ酸残基74であり、kがアミノ酸残基31~75から選択されるア
ミノ酸であるか;jがアミノ酸残基75であり、kがアミノ酸残基31~76から選択さ
れるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基76であり、kがアミノ酸残基31~77から
選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基77であり、kがアミノ酸残基31~7
8から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基78であり、kがアミノ酸残基3
1~79から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基79であり、kがアミノ酸
残基31~80から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基80であり、kがア
ミノ酸残基31~81から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基81であり、
kがアミノ酸残基31~82から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基82で
あり、kがアミノ酸残基31~83から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基
83であり、kがアミノ酸残基31~84から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ
酸残基84であり、kがアミノ酸残基31~85から選択されるアミノ酸であるか;jが
アミノ酸残基85であり、kがアミノ酸残基31~86から選択されるアミノ酸であるか
;jがアミノ酸残基86であり、kがアミノ酸残基31~87から選択されるアミノ酸で
あるか;jがアミノ酸残基87であり、kがアミノ酸残基31~88から選択されるアミ
ノ酸であるか;jがアミノ酸残基88であり、kがアミノ酸残基31~89から選択され
るアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基89であり、kがアミノ酸残基31~90から選
択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基90であり、kがアミノ酸残基31~91
から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基91であり、kがアミノ酸残基31
~92から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基92であり、kがアミノ酸残
基31~93から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基93であり、kがアミ
ノ酸残基31~94から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基94であり、k
がアミノ酸残基31~95から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基95であ
り、kがアミノ酸残基31~96から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基9
6であり、kがアミノ酸残基31~97から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸
残基97であり、kがアミノ酸残基31~98から選択されるアミノ酸であるか;jがア
ミノ酸残基98であり、kがアミノ酸残基31~99から選択されるアミノ酸であるか;
jがアミノ酸残基99であり、kがアミノ酸残基31~100から選択されるアミノ酸で
あるか;jがアミノ酸残基100であり、kがアミノ酸残基31~101から選択される
アミノ酸であるか;jがアミノ酸残基101であり、kがアミノ酸残基31~102から
選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基102であり、kがアミノ酸残基31~
103から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基103であり、kがアミノ酸
残基31~104から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基104であり、k
がアミノ酸残基31~105から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基105
であり、kがアミノ酸残基31~106から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸
残基106であり、kがアミノ酸残基31~107から選択されるアミノ酸であるか;j
がアミノ酸残基107であり、kがアミノ酸残基31~108から選択されるアミノ酸で
あるか;jがアミノ酸残基108であり、kがアミノ酸残基31~109から選択される
アミノ酸であるか;jがアミノ酸残基109であり、kがアミノ酸残基31~110から
選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基110であり、kがアミノ酸残基31~
111から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基111であり、kがアミノ酸
残基31~112から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基112であり、k
がアミノ酸残基31~113から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基113
であり、kがアミノ酸残基31~114から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸
残基114であり、kがアミノ酸残基31~115から選択されるアミノ酸であるか;j
がアミノ酸残基115であり、kがアミノ酸残基31~116から選択されるアミノ酸で
あるか;jがアミノ酸残基116であり、kがアミノ酸残基31~117から選択される
アミノ酸であるか;jがアミノ酸残基117であり、kがアミノ酸残基31~118から
選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基118であり、kがアミノ酸残基31~
119から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基119であり、kがアミノ酸
残基31~120から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基120であり、k
がアミノ酸残基31~121から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基121
であり、kがアミノ酸残基31~122から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸
残基122であり、kがアミノ酸残基31~123から選択されるアミノ酸であるか;j
がアミノ酸残基123であり、kがアミノ酸残基31~124から選択されるアミノ酸で
あるか;jがアミノ酸残基124であり、kがアミノ酸残基31~125から選択される
アミノ酸であるか;jがアミノ酸残基125であり、kがアミノ酸残基31~126から
選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基126であり、kがアミノ酸残基31~
127から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基127であり、kがアミノ酸
残基31~128から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基128であり、k
がアミノ酸残基31~129から選択されるアミノ酸であるか;jがアミノ酸残基129
であり、kがアミノ酸残基31~130から選択されるアミノ酸であるか;又は、jがア
ミノ酸残基130であり、kがアミノ酸残基31~131から選択されるアミノ酸である
。
【0088】
特定の実施形態では、HPV18のE6たんぱく質のN末端部及びHPV18のE6た
んぱく質のC末端部は、互いにアライメントさせた場合、オーバーラップ配列を含有する
。オーバーラップ配列は、HPV18のE6たんぱく質の、少なくとも1、5、7、10
、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、
80、85、90、95、100、105、110、115、又は120個のアミノ酸で
あり得る。N末端部又はC末端部は、オーバーラップ配列を含有し得るが、N末端部又は
C末端部はいずれも、完全なE6AP結合ドメイン、例えば、配列番号4に対応するアミ
ノ酸30~131を含まない。
【0089】
加えて、HPV18のE6たんぱく質を、融合たんぱく質が、p53以外の1種類又は
2種類以上の基質、例えば、hTERTの抑制因子、Bak、FADD、プロカスパーゼ
8などに結合することができず、又は、宿主のIRF3及びTYK2と相互作用すること
ができないように、HPV18のE6たんぱく質のN末端部と、HPV18のE6たんぱ
く質のC末端部とに分割することができる。
【0090】
II.B.HPV16及びHPV18のE7たんぱく質
HPV16又はHPV18のE7たんぱく質は、形質転換及びトランス活性化活性の両
方を有する。これらのE7たんぱく質は、宿主の網膜芽細胞腫たんぱく質RB1/pRb
の機能を破壊する。RB1/pRbは、細胞周期の重要な調節因子である。HPV16又
はHPV18のE7たんぱく質は、RB1からのE2F1転写因子の分解を誘引する。同
因子は、E2F1調節S期遺伝子のその後の転写を活性化する。細胞周期を停止させるR
B1の能力の活性化は、細胞形質転換に重要である。制御されない細胞成長及び増殖が、
ウイルス感染により誘引される。G1からS期への進行の刺激は、ウイルスが、細胞内D
NA複製機構を効率的に使用して、ウイルスゲノム複製を達成することを可能にする。H
PV16又はHPV18のE7たんぱく質は、HDAC1及びHDAC2により媒介され
るヒストン脱アセチル化と干渉し、転写の活性化をもたらす。
【0091】
HPV16及びHPV18の天然のE7たんぱく質の数多くの配列が報告されている。
例えば、HPV16及びHPV18のE7たんぱく質のアミノ酸配列は、GenBank
アクセッションNo.NP_041326.1(配列番号6)及びABP99785.1
(配列番号8)としてそれぞれ報告されている。HPV16及びHPV18のE7たんぱ
く質をコードする野生型のヌクレオチド配列は、GenBankアクセッションNo.N
C_001526.2(配列番号5)及びEF202153.1(配列番号7)としてそ
れぞれ報告されている。これらの配列を、表2に再現する。
【0092】
【0093】
本明細書で使用する場合、「HPV16又はHPV18のE7たんぱく質」という用語
は、その任意の天然の変異体又は機能性変異体を含む。HPV16のE7たんぱく質の天
然の変異体の例には、
図13C~Dに列記されたたんぱく質が挙げられるが、これらに限
定されない:GenBankアクセッションNo.AAB70738.1、ACN225
55.1、ABK32510.1、AAL96649.1、ABC54573.1、AC
N22554.1、AAL96631.1、ABK32512.1、ACJ66713.
1、AAL96650.1、ABK32511.1、ADY75576.1、AAM03
025.1、AAL96634.1、AAL66736.1、AFU06654.1、A
FU06650.1、ABL96585.1、ADH94043.1、AFU06662
.1、AAO15692.1、AFU06676.1、AFU06594.1、AAF1
3395.1、AFJ19516.1、AFJ19720.1、AFJ19712.1、
AGO04504.1、AFJ19770.1、AFJ19520.2、AFJ1977
8.1、ABL96586.1、AFJ19694.1、AFJ19686.1、AFJ
19774.1、AFJ19708.1、ABL96587.1、AFJ19674.1
、AFJ19704.1、AGO04488.1、ABL96591.1、AFJ197
48.1、AGO04498.1、AGO04496.1、AFJ19684.1、AF
J19678.1、AGO04484.1、AFJ19698.1、AFJ19776.
1、AFJ19746.1、AFJ19726.1、AFJ19722.1、AFJ19
752.1、AFJ19732.1、AFJ19762.1、AFJ19668.1、A
FJ19664.1、AFJ19766.1、AFJ19756.1、AFJ19680
.1、AFJ19772.1、AFJ19696.1、AFJ19690.1、AGO0
4496.1、及びACQ90216.1。特定の実施形態では、HPV16のE7たん
ぱく質は、P6S、T7K、E10K、M12K、D14G、L15V、T20I、T2
0S、Y23H、Y23C、Y23N、C24S、Y25D、E26V、Q27H、L2
8S、L28F、N29S、N29Y、N29H、N29P、D30H、D30F、S3
1N、S31R、E33D、E34D、E34G、E35D、D36H、E37G、I3
8K、D39E、D39N、G40C、P41Q、A42D、A42T、G43E、E4
6K、D48V、R49G、A50V、H51L、N53K、N53T、I54N、V5
5I、T56I、C58Y、K60R、K60M、C61R、S63C、S63F、L6
5P、R66W、L67M、L67F、L67S、Q70R、H73L、H73R、V7
4L、R77C、R77Q、R77S、T78A、E80Y、D81G、L82P、L8
2M、M84T、M84I、G85D、G85S、G85A、T86A、T86I、V9
0M、C91S、Q96R、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つ又は2つ
以上の置換を含む。
【0094】
HPV18のE7たんぱく質の例には、GenBankアクセッションNo.AGU9
0416.1、AGU90384.1、CAB53097.1、P06788.2、AB
P99745.1、CAB53098.1、CAB53099.1、ADC35661.
1、ABP99785.1、及びP06788.2.1が挙げられるが、これらに限定さ
れない。一部の実施形態では、HPV18のE7たんぱく質は、D10N、E20D、D
24G、E35K、E73K、R84G、S92N、S92K、及びそれらの任意の組み
合わせから選択される1つ又は2つ以上の置換を含む。
【0095】
II.B.1.HPV16のE7たんぱく質
一実施形態において、融合たんぱく質に有用なHPV16のE7たんぱく質は、pRb
に結合しないか、又は、HPV16のE7たんぱく質と二量体を形成しない。HPV16
のE7たんぱく質の、pRbへの結合を防止するために、E7たんぱく質を、2つの部分
、即ち、E7たんぱく質のN末端部とE7たんぱく質のC末端部とに分割することができ
、それらはそれぞれ、1つ又は2つ以上のpRb結合部位を含まず、一方で、N末端部及
びC末端部は、アライメントさせた場合、HPV16のE7たんぱく質の完全な配列を含
む。HPV16のE7たんぱく質上のpRb結合部位は、E7たんぱく質のCR2ドメイ
ン及びCR3ドメインを含む。一実施形態において、HPV16のE7たんぱく質のpR
b結合部位は、配列番号6に対応する、E18~D39、Q44~P98、又はE18~
P98を含む。したがって、特定の実施形態では、HPV16のE7たんぱく質のN末端
部は、e~fのアミノ酸配列(16E7Ne-f)を有し、HPV16のE7たんぱく質
のC末端部は、g~hのアミノ酸配列(16E6Cg-h)を有し、ここで、eは、配列
番号6に対応するアミノ酸1又は2であり、fは、配列番号6に対応するアミノ酸18~
97から選択されるアミノ酸であり、gは、配列番号6に対応する、アミノ酸19以上の
アミノ酸及びアミノ酸f+1以下のアミノ酸から選択されるアミノ酸であり、hは、配列
番号6に対応するアミノ酸97又は98である。
【0096】
HPV16のE7たんぱく質は、配列番号6に対応するアミノ酸51HIS、52TY
R、53ASN、63SER、64THR、65LEU、66ARG、67LEU、68
CYS、69VAL、70GLN、80GLU、82LEU、83LEU、87LEU、
89ILE、90VAL、92PRO、93ILE、95SER、97LYS、又は98
PROにおいて、pRbと相互作用し得る。pRb上の対応する相互作用部位は、pRb
の378VAL、379MET、380ASN、381THR、382ILE、383G
LN、384GLN、387MET、388ILE、390ASN、497THR、49
8TYR、499SER、500ARG、501SER、503SER、及び531VA
Lを含む。したがって、特定の実施形態では、E7たんぱく質のN末端部及びC末端部は
、E7たんぱく質を、配列番号6に対応するアミノ酸51~97から選択されるアミノ酸
のC末端において、2つの部分に分割することにより生成され得る。
【0097】
一部の実施形態では、本発明の融合たんぱく質は、別のE7たんぱく質との相互作用を
防止することにより、HPV16のE7たんぱく質と二量体を形成しない。HPV16の
E7たんぱく質は、α1へリックス(73HVDIRTLEDLLM84)(配列番号1
6)、β2シート(64TLRLCVQS71)(配列番号17)、及び/又はβ1シー
ト(48DRAHYNIVTFC58)(配列番号18)において、直接相互作用するこ
とにより、別のE7たんぱく質と二量体を形成する。したがって、E6たんぱく質のN末
端部及びC末端部は、E7たんぱく質のα1へリックス、β2シート、又はβ1シートを
破壊するために、2つの部分に分割され得る。一部の実施形態では、E6たんぱく質のN
末端部及びC末端部は、E7たんぱく質を、CR3ドメインを破壊し得るアミノ酸におい
て、即ち、配列番号6に対応するアミノ酸44~97から選択されるアミノ酸のC末端に
おいて分割することにより生成される。一実施形態において、本発明の融合たんぱく質は
、HPV16のE7たんぱく質のN末端部(16E6Ne-f)及びHPV16のE7た
んぱく質のC末端部を含み、ここで、eは、配列番号6に対応するアミノ酸1又は2であ
り、fは、配列番号6に対応するアミノ酸44~97から選択されるアミノ酸であり、g
は、配列番号6に対応する、アミノ酸45以上のアミノ酸及びアミノ酸f+1以下のアミ
ノ酸から選択されるアミノ酸であり、hは、配列番号6に対応するアミノ酸97又は98
である。
【0098】
一部の実施形態では、融合たんぱく質は、16E7Ne-f及び16E7Cg-hを含
み、ここで、配列番号6に対応して、eがアミノ酸1又は2であり、hがアミノ酸97又
は98であり、f及びgが以下の通り、即ち、fがアミノ酸残基18であり、gがアミノ
酸残基19であるか;fがアミノ酸残基19であり、gがアミノ酸残基19又は20であ
るか;fがアミノ酸残基20であり、gがアミノ酸残基19、20、又は21であるか;
fがアミノ酸残基21であり、gがアミノ酸残基19、20、21、又は22であるか;
fがアミノ酸残基22であり、gがアミノ酸残基19、20、21、22、又は23であ
るか;fがアミノ酸残基23であり、gがアミノ酸残基19~24から選択されるアミノ
酸であるか;fがアミノ酸残基24であり、gがアミノ酸残基19~25から選択される
アミノ酸であるか;fがアミノ酸残基25であり、gがアミノ酸残基19~26から選択
されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基26であり、gがアミノ酸残基19~27か
ら選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基27であり、gがアミノ酸残基19~
28から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基28であり、gがアミノ酸残基
19~29から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基29であり、gがアミノ
酸残基19~30から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基30であり、gが
アミノ酸残基19~31から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基31であり
、gがアミノ酸残基19~32から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基32
であり、gがアミノ酸残基19~33から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残
基33であり、gがアミノ酸残基19 6~34から選択されるアミノ酸であるか;fが
アミノ酸残基34であり、gがアミノ酸残基19~35から選択されるアミノ酸であるか
;fがアミノ酸残基35であり、gがアミノ酸残基19~36から選択されるアミノ酸で
あるか;fがアミノ酸残基36であり、gがアミノ酸残基19~37から選択されるアミ
ノ酸であるか;fがアミノ酸残基37であり、gがアミノ酸残基19~38から選択され
るアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基38であり、gがアミノ酸残基19~39から選
択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基39であり、gがアミノ酸残基19~40
から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基40であり、gがアミノ酸残基19
~41から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基41であり、gがアミノ酸残
基19~42から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基42であり、gがアミ
ノ酸残基19~43から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基43であり、g
がアミノ酸残基19~44から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基44であ
り、gがアミノ酸残基19~45から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基4
5であり、gがアミノ酸残基19~46から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸
残基46であり、gがアミノ酸残基19~47から選択されるアミノ酸であるか;fがア
ミノ酸残基47であり、gがアミノ酸残基19~48から選択されるアミノ酸であるか;
fがアミノ酸残基48であり、gがアミノ酸残基19~49から選択されるアミノ酸であ
るか;fがアミノ酸残基49であり、gがアミノ酸残基19~50から選択されるアミノ
酸であるか;fがアミノ酸残基50であり、gがアミノ酸残基19~51から選択される
アミノ酸であるか;fがアミノ酸残基51であり、gがアミノ酸残基19~52から選択
されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基52であり、gがアミノ酸残基19~53か
ら選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基53であり、gがアミノ酸残基19~
54から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基54であり、gがアミノ酸残基
19~55から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基55であり、gがアミノ
酸残基19~56から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基56であり、gが
アミノ酸残基19~57から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基57であり
、gがアミノ酸残基19~58から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基58
であり、gがアミノ酸残基19~59から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残
基59であり、gがアミノ酸残基19~60から選択されるアミノ酸であるか;fがアミ
ノ酸残基60であり、gがアミノ酸残基19~61から選択されるアミノ酸であるか;f
がアミノ酸残基61であり、gがアミノ酸残基19~62から選択されるアミノ酸である
か;fがアミノ酸残基62であり、gがアミノ酸残基19~63から選択されるアミノ酸
であるか;fがアミノ酸残基63であり、gがアミノ酸残基19~64から選択されるア
ミノ酸であるか;fがアミノ酸残基64であり、gがアミノ酸残基19~65から選択さ
れるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基65であり、gがアミノ酸残基19~66から
選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基66であり、gがアミノ酸残基19~6
7から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基67であり、gがアミノ酸残基1
9~68から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基68であり、gがアミノ酸
残基19~69から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基69であり、gがア
ミノ酸残基19~70から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基70であり、
gがアミノ酸残基19~71から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基71で
あり、gがアミノ酸残基19~72から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基
72であり、gがアミノ酸残基19~73から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ
酸残基73であり、gがアミノ酸残基19~74から選択されるアミノ酸であるか;fが
アミノ酸残基74であり、gがアミノ酸残基19~75から選択されるアミノ酸であるか
;fがアミノ酸残基75であり、gがアミノ酸残基19~76から選択されるアミノ酸で
あるか;fがアミノ酸残基76であり、gがアミノ酸残基19~77から選択されるアミ
ノ酸であるか;fがアミノ酸残基77であり、gがアミノ酸残基19~78から選択され
るアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基78であり、gがアミノ酸残基19~79から選
択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基79であり、gがアミノ酸残基19~80
から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基80であり、gがアミノ酸残基19
~81から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基81であり、gがアミノ酸残
基19~82から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基82であり、gがアミ
ノ酸残基19~83から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基83であり、g
がアミノ酸残基19~84から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基84であ
り、gがアミノ酸残基19~85から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基8
5であり、gがアミノ酸残基19~86から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸
残基86であり、gがアミノ酸残基19~87から選択されるアミノ酸であるか;fがア
ミノ酸残基87であり、gがアミノ酸残基19~88から選択されるアミノ酸であるか;
fがアミノ酸残基88であり、gがアミノ酸残基19~89から選択されるアミノ酸であ
るか;fがアミノ酸残基89であり、gがアミノ酸残基19~90から選択されるアミノ
酸であるか;fがアミノ酸残基90であり、gがアミノ酸残基19~91から選択される
アミノ酸であるか;fがアミノ酸残基91であり、gがアミノ酸残基19~92から選択
されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基92であり、gがアミノ酸残基19~93か
ら選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基93であり、gがアミノ酸残基19~
94から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基94であり、gがアミノ酸残基
19~95から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基95であり、gがアミノ
酸残基19~96から選択されるアミノ酸であるか;fがアミノ酸残基96であり、gが
アミノ酸残基19~97から選択されるアミノ酸であるか;又は、fがアミノ酸残基97
であり、gがアミノ酸残基19~98から選択されるアミノ酸である。
【0099】
特定の実施形態では、HPV16のE7たんぱく質のN末端部及びHPV16のE7た
んぱく質のC末端部は、互いにアライメントさせた場合、オーバーラップ配列を含有する
。オーバーラップ配列は、HPV16のE7たんぱく質の、少なくとも1、5、7、10
、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、
又は80個のアミノ酸であり得る。C末端部のN末端部は、オーバーラップ配列を含有し
得るが、N末端部又はC末端部はいずれも、完全なpRb結合ドメイン、例えば、配列番
号6に対応するアミノ酸18~98を含まない。
【0100】
II.B.2.HPV18のE7たんぱく質
特定の実施形態では、融合たんぱく質に有用なHPV18のE7たんぱく質は、pRb
に結合しないか、又は、HPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない。HPV18
のE7たんぱく質の、pRbへの結合を防止するために、E7たんぱく質を、2つの部分
、即ち、E7たんぱく質のN末端部とE7たんぱく質のC末端部とに分割することができ
、それらはそれぞれ、1つ又は2つ以上のpRb結合部位を含まず、一方で、N末端部及
びC末端部は、アライメントさせた場合、HPV18のE7たんぱく質の完全な配列を含
む。HPV18のE7たんぱく質上のpRb結合部位は、E7たんぱく質のCR2ドメイ
ン及びCR3ドメインを含む。一実施形態において、HPV18のE7たんぱく質のpR
b結合部位は、配列番号8に対応する、I21~D42、Q47~Q105、又はI21
~Q105を含む。したがって、特定の実施形態では、HPV18のE7たんぱく質のN
末端部は、m~nのアミノ酸配列(16E7Nm-n)を有し、HPV18のE7たんぱ
く質のC末端部は、o~pのアミノ酸配列(16E6NCo-p)を有し、ここで、mは
、配列番号8に対応するアミノ酸1又は2であり、nは、配列番号8に対応するアミノ酸
21~104から選択されるアミノ酸であり、oは、配列番号8に対応する、アミノ酸2
2以上のアミノ酸及びアミノ酸n+1以下のアミノ酸から選択されるアミノ酸であり、p
は、配列番号8に対応するアミノ酸104又は105である。
【0101】
HPV18のE7たんぱく質は、配列番号8に対応するアミノ酸58ARG、59HI
S、60THR、70ALA、71ARG、72ILE、73GLU、74LEU、75
VAL、76VAL、77GLU、87GLN、89LEU、90PHE、94LEU、
96PHE、97VAL、99PRO、100TRP、102ALA、104GLN、及
び105GLNにおいて、pRbと相互作用し得る。pRb上の対応する相互作用部位は
、pRbの378VAL、379MET、380ASN、381THR、382ILE、
383GLN、384GLN、387MET、388ILE、390ASN、497TH
R、498TYR、499SER、500ARG、501SER、503SER、及び5
31VALを含む。したがって、特定の実施形態では、HPV18のE7たんぱく質のN
末端部及びC末端部は、E7たんぱく質を、配列番号8に対応するアミノ酸58~104
から選択されるアミノ酸のC末端において、2つの部分に分割することにより生成される
。
【0102】
一部の実施形態では、本発明の融合たんぱく質は、別のE7たんぱく質との相互作用を
防止することにより、HPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない。HPV18の
E7たんぱく質は、α1へリックス(80ADDLRAFQQLFL91)、β2シート
(71RIELVVES78)、及び/又はβ1シート(55EPQRHTMLCMC6
5)において、直接相互作用することにより、別のE7たんぱく質と二量体を形成する。
したがって、E7たんぱく質のN末端部及びC末端部は、E7たんぱく質を、E7たんぱ
く質のα1へリックス、β2シート、又はβ1シートを破壊するアミノ酸において、2つ
の部分に分割することにより生成され得る。一部の実施形態では、E7たんぱく質のN末
端部及びC末端部は、E7たんぱく質を、CR3ドメインを破壊するアミノ酸において、
即ち、配列番号8に対応するアミノ酸47~104から選択されるアミノ酸のC末端にお
いて分割することにより生成される。一実施形態において、本発明の融合たんぱく質は、
HPV18のE7たんぱく質のN末端部(18E7Nm-n)及びHPV18のE7たん
ぱく質のC末端部(18E7Co-p)を含み、ここで、mは、配列番号8に対応するア
ミノ酸1又は2であり、nは、配列番号8に対応するアミノ酸21~104から選択され
るアミノ酸であり、oは、配列番号8に対応する、アミノ酸22以上のアミノ酸及びアミ
ノ酸n+1以下のアミノ酸から選択されるアミノ酸であり、pは、配列番号8に対応する
アミノ酸104又は105である。
【0103】
一部の実施形態では、融合たんぱく質は、18E7Nm-n及び18E7Co-pを含
み、ここで、配列番号8に対応して、mがアミノ酸1又は2であり、pがアミノ酸104
又は105であり、n及びoが以下の通り、即ち、nがアミノ酸残基21であり、oがア
ミノ酸残基22であるか;nがアミノ酸残基22であり、oがアミノ酸残基22又は23
であるか;nがアミノ酸残基23であり、oがアミノ酸残基22、23、又は24である
か;nがアミノ酸残基24であり、oがアミノ酸残基22、23、24、又は25である
か;nがアミノ酸残基25であり、oがアミノ酸残基22、23、24、25、又は26
であるか;nがアミノ酸残基26であり、oがアミノ酸残基22~27から選択されるア
ミノ酸であるか;nがアミノ酸残基27であり、oがアミノ酸残基22~28から選択さ
れるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基28であり、oがアミノ酸残基22~29から
選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基29であり、oがアミノ酸残基22~3
0から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基30であり、oがアミノ酸残基2
2~31から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基31であり、oがアミノ酸
残基22~32から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基32であり、oがア
ミノ酸残基22~33から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基33であり、
oがアミノ酸残基22~34から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基34で
あり、oがアミノ酸残基22~35から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基
35であり、oがアミノ酸残基22~36から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ
酸残基36であり、oがアミノ酸残基22~37から選択されるアミノ酸であるか;nが
アミノ酸残基37であり、oがアミノ酸残基22~38から選択されるアミノ酸であるか
;nがアミノ酸残基38であり、oがアミノ酸残基22~39から選択されるアミノ酸で
あるか;nがアミノ酸残基39であり、oがアミノ酸残基22~40から選択されるアミ
ノ酸であるか;nがアミノ酸残基40であり、oがアミノ酸残基22~41から選択され
るアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基41であり、oがアミノ酸残基22~42から選
択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基42であり、oがアミノ酸残基22~43
から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基43であり、oがアミノ酸残基22
~44から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基44であり、oがアミノ酸残
基22~45から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基45であり、oがアミ
ノ酸残基22~46から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基46であり、o
がアミノ酸残基22~47から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基47であ
り、oがアミノ酸残基22~48から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基4
8であり、oがアミノ酸残基22~49から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸
残基49であり、oがアミノ酸残基22~50から選択されるアミノ酸であるか;nがア
ミノ酸残基50であり、oがアミノ酸残基22~51から選択されるアミノ酸であるか;
nがアミノ酸残基51であり、oがアミノ酸残基22~52から選択されるアミノ酸であ
るか;nがアミノ酸残基52であり、oがアミノ酸残基22~53から選択されるアミノ
酸であるか;nがアミノ酸残基53であり、oがアミノ酸残基22~54から選択される
アミノ酸であるか;nがアミノ酸残基54であり、oがアミノ酸残基22~55から選択
されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基55であり、oがアミノ酸残基22~56か
ら選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基56であり、oがアミノ酸残基22~
57から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基57であり、oがアミノ酸残基
22~58から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基58であり、oがアミノ
酸残基22~59から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基59であり、oが
アミノ酸残基22~60から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基60であり
、oがアミノ酸残基22~61から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基61
であり、oがアミノ酸残基22~62から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残
基62であり、oがアミノ酸残基22~63から選択されるアミノ酸であるか;nがアミ
ノ酸残基63であり、oがアミノ酸残基22~64から選択されるアミノ酸であるか;n
がアミノ酸残基64であり、oがアミノ酸残基22~65から選択されるアミノ酸である
か;nがアミノ酸残基65であり、oがアミノ酸残基22~66から選択されるアミノ酸
であるか;nがアミノ酸残基66であり、oがアミノ酸残基22~67から選択されるア
ミノ酸であるか;nがアミノ酸残基67であり、oがアミノ酸残基22~68から選択さ
れるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基68であり、oがアミノ酸残基22~69から
選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基69であり、oがアミノ酸残基22~7
0から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基70であり、oがアミノ酸残基2
2~71から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基71であり、oがアミノ酸
残基22~72から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基72であり、oがア
ミノ酸残基22~73から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基73であり、
oがアミノ酸残基22~74から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基74で
あり、oがアミノ酸残基22~75から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基
75であり、oがアミノ酸残基22~76から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ
酸残基76であり、oがアミノ酸残基22~77から選択されるアミノ酸であるか;nが
アミノ酸残基77であり、oがアミノ酸残基22~78から選択されるアミノ酸であるか
;nがアミノ酸残基78であり、oがアミノ酸残基22~79から選択されるアミノ酸で
あるか;nがアミノ酸残基79であり、oがアミノ酸残基22~80から選択されるアミ
ノ酸であるか;nがアミノ酸残基80であり、oがアミノ酸残基22~81から選択され
るアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基81であり、oがアミノ酸残基22~82から選
択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基82であり、oがアミノ酸残基22~83
から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基83であり、oがアミノ酸残基22
~84から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基84であり、oがアミノ酸残
基22~85から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基85であり、oがアミ
ノ酸残基22~86から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基86であり、o
がアミノ酸残基22~87から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基87であ
り、oがアミノ酸残基22~88から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基8
8であり、oがアミノ酸残基22~89から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸
残基89であり、oがアミノ酸残基22~90から選択されるアミノ酸であるか;nがア
ミノ酸残基90であり、oがアミノ酸残基22~91から選択されるアミノ酸であるか;
nがアミノ酸残基91であり、oがアミノ酸残基22~92から選択されるアミノ酸であ
るか;nがアミノ酸残基92であり、oがアミノ酸残基22~93から選択されるアミノ
酸であるか;nがアミノ酸残基93であり、oがアミノ酸残基22~94から選択される
アミノ酸であるか;nがアミノ酸残基94であり、oがアミノ酸残基22~95から選択
されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基95であり、oがアミノ酸残基22~96か
ら選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基96であり、oがアミノ酸残基22~
97から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基97であり、oがアミノ酸残基
22~98から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基98であり、oがアミノ
酸残基22~99から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基99であり、oが
アミノ酸残基22~100から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残基100で
あり、oがアミノ酸残基22~101から選択されるアミノ酸であるか;nがアミノ酸残
基101であり、oがアミノ酸残基22~102から選択されるアミノ酸であるか;nが
アミノ酸残基102であり、oがアミノ酸残基22~103から選択されるアミノ酸であ
るか;nがアミノ酸残基103であり、oがアミノ酸残基22~104から選択されるア
ミノ酸であるか;nがアミノ酸残基104であり、oがアミノ酸残基22~105から選
択されるアミノ酸である。
【0104】
特定の実施形態では、HPV18のE7たんぱく質のN末端部及びHPV18のE7た
んぱく質のC末端部は、互いにアライメントさせた場合、オーバーラップ配列を含有する
。オーバーラップ配列は、HPV18のE7たんぱく質の、少なくとも1、5、7、10
、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、
又は80個のアミノ酸であり得る。N末端部又はC末端部は、オーバーラップ配列を含有
し得るが、N末端部又はC末端部はいずれも、完全なpRb結合ドメイン、例えば、配列
番号8に対応するアミノ酸21~105を含まない。
【0105】
II.C.融合たんぱく質
一態様において、本発明の治療用分子は、HPV16のE6たんぱく質、HPV18の
E6たんぱく質、HPV16のE7たんぱく質、及びHPV18のE7たんぱく質の、少
なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少
なくとも7つ、若しくは少なくとも8つの部分を含む融合たんぱく質、又は、この融合た
んぱく質をコードするヌクレオチド配列であり、この融合たんぱく質は、p53に結合し
ないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE6たんぱく質と二量体を形成せず、こ
の融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
7たんぱく質と二量体を形成しない。
【0106】
別の態様では、本発明の治療用分子は、2つ以上のアミノ酸配列を含む。例えば、本発
明の治療用分子は、8つのアミノ酸配列、又は、この8つのアミノ酸配列をコードする8
つのヌクレオチド配列を含み、この8つのアミノ酸配列は、HPV16のE6たんぱく質
のN末端部、HPV16のE6たんぱく質のC末端部、HPV18のE6たんぱく質のN
末端部、HPV18のE6たんぱく質のC末端部、HPV16のE7たんぱく質のN末端
部、HPV16のE7たんぱく質のC末端部、及びHPV18のE7たんぱく質のN末端
部である。
【0107】
他の態様では、本発明の治療用分子は、(i)7つのアミノ酸配列、又は、この7つの
アミノ酸配列をコードする7つのヌクレオチド配列(7つのアミノ酸配列は、8つのポリ
ペプチド部分を含有する);(ii)6つのアミノ酸配列、又は、この6つのアミノ酸配
列をコードする6つのヌクレオチド配列(6つのアミノ酸配列は、8つのポリペプチド部
分を含有する);(iii)5つのアミノ酸配列、又は、この5つのアミノ酸配列をコー
ドする5つのヌクレオチド配列(5つのアミノ酸配列は、8つのポリペプチド部分を含有
する);(iv)4つのアミノ酸配列、又は、この4つのアミノ酸配列をコードする4つ
のヌクレオチド配列(4つのアミノ酸配列は、8つのポリペプチド部分を含有する);(
v)3つのアミノ酸配列、又は、この3つのアミノ酸配列をコードする3つのヌクレオチ
ド配列(3つのアミノ酸配列は、8つのポリペプチド部分を含有する);(vi)2つの
アミノ酸配列、又は、3つのアミノ酸配列をコードする3つのヌクレオチド配列(2つの
アミノ酸配列は、8つのポリペプチド部分を含有する);又は、(vii)1つのアミノ
酸配列、又は、このアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(1つのアミノ酸配列は
、8つのポリペプチド部分を含有する)を含み、この8つのポリペプチド部分は、HPV
16のE6たんぱく質のN末端部、HPV16のE6たんぱく質のC末端部、HPV18
のE6たんぱく質のN末端部、HPV18のE6たんぱく質のC末端部、HPV16のE
7たんぱく質のN末端部、HPV16のE7たんぱく質のC末端部、及びHPV18のE
7たんぱく質のN末端部である。
【0108】
一部の実施形態では、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部から選択される、少なくとも4つ、少な
くとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、又は8つのアミノ酸配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、かつ、pRbに結合しないか、又は、HPV16若し
くはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない。融合たんぱく質は、HPV16
の天然のE6たんぱく質、HPV18の天然のE6たんぱく質、HPV18の天然のE7
たんぱく質、及びHPV18の天然のE7たんぱく質に含有されるのと同じ数のエピトー
プ、又は、HPV16の天然のE6たんぱく質、HPV18の天然のE6たんぱく質、H
PV18の天然のE7たんぱく質、及びHPV18の天然のE7たんぱく質に含有される
エピトープより多くのエピトープを更に含み得る。
【0109】
他の実施形態では、融合たんぱく質中のHPV16のE6たんぱく質のN末端部、HP
V16のE6たんぱく質のC末端部、HPV18のE6たんぱく質のN末端部、及びHP
V18のE6たんぱく質のC末端部はそれぞれ、完全なE6関連たんぱく質(E6AP)
結合部位を含まない。更に他の実施形態では、融合たんぱく質は、完全なE6AP結合部
位を含まず、同E6AP結合部位は、配列番号2(E6 HPV16)に対応するアミノ
酸35~136、又は、配列番号4(E6 HPV18)に対応するアミノ酸30~13
1を含む。例えば、融合たんぱく質は、配列番号2に対応するアミノ酸35~136又は
配列番号4に対応するアミノ酸30~131の連続的な配列を含まない。更に他の実施形
態では、融合たんぱく質中のHPV16のE7たんぱく質のN末端部、HPV16のE7
たんぱく質のC末端部、HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及びHPV18のE7
たんぱく質のC末端部はそれぞれ、完全なCR2ドメイン若しくは完全なCR3ドメイン
を含まないか、又は、CR2ドメイン若しくはCR3ドメインのいずれかを含むが、両方
は含まない。一部の実施形態では、融合たんぱく質は、配列番号6に対応するアミノ酸1
8~98又は配列番号8(E7 HPV18)に対応するアミノ酸21~105の連続的
な配列を含まない。
【0110】
特定の実施形態では、融合たんぱく質は、(i)HPV16のE6たんぱく質のN末端
部(同末端部は、配列番号2のN末端配列(16E6Na-b)に対して、少なくとも8
0%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少
なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有する
アミノ酸配列を含み、ここで、aは、配列番号2に対応するアミノ酸残基1又は2から選
択されるアミノ酸であり、bは、配列番号2に対応するアミノ酸残基35~135から選
択されるアミノ酸である)、(ii)HPV16のE6たんぱく質のC末端部(同末端部
は、配列番号2のC末端配列(16E6Cc-d)に対して、少なくとも80%、少なく
とも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97
%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含み、ここで、cは、配列番号2に対応する、36以上のアミノ酸残基及びアミノ酸b
+1以下のアミノ酸残基から選択されるアミノ酸であり、dは、配列番号2に対応するア
ミノ酸残基157又は158から選択されるアミノ酸である)、(iii)HPV18の
E6たんぱく質のN末端部(同末端部は、配列番号4のN末端配列(18E6Ni-j)
に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%
、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は1
00%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ここで、iは、配列番号4に対応するアミ
ノ酸残基1又は2から選択されるアミノ酸であり、jは、配列番号4に対応するアミノ酸
残基30~130から選択されるアミノ酸である)、(iv)HPV18のE6たんぱく
質のC末端部(同末端部は、配列番号4のC末端配列(18E6Ck-l)に対して、少
なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも
96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同一
性を有するアミノ酸配列を含み、ここで、kは、配列番号4に対応する、31以上のアミ
ノ酸残基及びj+1以下のアミノ酸残基から選択されるアミノ酸であり、lは、配列番号
4に対応するアミノ酸残基157又は158から選択されるアミノ酸である)、(v)H
PV16のE7たんぱく質のN末端部(同末端部は、配列番号6のN末端配列(16E7
Ne-f)に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なく
とも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99
%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ここで、eは、配列番号6に対
応するアミノ酸残基1又は2から選択されるアミノ酸であり、fは、配列番号6に対応す
るアミノ酸残基18~97から選択されるアミノ酸である)、(vi)HPV16のE7
たんぱく質のC末端部(同末端部は、配列番号6のC末端配列(16E7Cg-h)に対
して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少
なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100
%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ここで、gは、配列番号6に対応する、19以
上のアミノ酸残基及びf+1以下のアミノ酸残基から選択されるアミノ酸であり、hは、
配列番号6に対応するアミノ酸残基97又は98から選択されるアミノ酸である)、(v
ii)HPV18のE7たんぱく質のN末端部(同末端部は、配列番号8のN末端配列(
18E7Nm-n)に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%
、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なく
とも99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ここで、mは、配列番
号8に対応するアミノ酸残基1又は2から選択されるアミノ酸であり、nは、配列番号8
に対応するアミノ酸残基21~104から選択されるアミノ酸である)、並びに(vii
i)HPV18のE7たんぱく質のC末端部(同末端部は、配列番号8のC末端配列(1
8E7Co-p)に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、
少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくと
も99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ここで、oは、配列番号
8に対応する、22以上のアミノ酸残基及びn+1以下のアミノ酸残基から選択されるア
ミノ酸であり、lが、配列番号8に対応するアミノ酸残基104又は105から選択され
るアミノ酸である)を含み、融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV1
6若しくはHPV18のE6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRb
に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成
せず、融合たんぱく質は、HPV16及びHPV18の天然のE6たんぱく質並びにHP
V16及びHPV18の天然のE7たんぱく質の少なくとも全てのエピトープを含有する
。
【0111】
他の実施形態では、融合たんぱく質は、(i)HPV16のE6たんぱく質のN末端部
(同末端部は、配列番号2のN末端配列(16E6Na-b)に対して、少なくとも80
%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少な
くとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有するア
ミノ酸配列を含み、ここで、aは、配列番号2に対応するアミノ酸残基1又は2から選択
されるアミノ酸であり、bは、配列番号2に対応するアミノ酸残基35~39、57~6
2、69~85、87~88、98~99、107、109、114、及び135から選
択されるアミノ酸である)、(ii)HPV16のE6たんぱく質のC末端部(同末端部
は、配列番号2のC末端配列(16E6Cc-d)に対して、少なくとも80%、少なく
とも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97
%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含み、ここで、cは、配列番号2に対応する、36以上のアミノ酸残基及びアミノ酸b
+1以下のアミノ酸残基から選択されるアミノ酸であり、dは、配列番号2に対応するア
ミノ酸残基157又は158から選択されるアミノ酸である)、(iii)HPV18の
E6たんぱく質のN末端部(同末端部は、配列番号4のN末端配列(18E6Ni-j)
に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%
、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は1
00%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ここで、iは、配列番号4に対応するアミ
ノ酸残基1又は2から選択されるアミノ酸であり、jは、配列番号4に対応するアミノ酸
残基30~34、52~57、64~80、82~83、93、94、102、104、
109、及び130から選択されるアミノ酸である)、(iv)HPV18のE6たんぱ
く質のC末端部(同末端部は、配列番号4のC末端配列(18E6Ck-l)に対して、
少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくと
も96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同
一性を有するアミノ酸配列を含み、ここで、kは、配列番号4に対応する、31以上のア
ミノ酸残基及びj+1以下のアミノ酸残基から選択されるアミノ酸であり、lは、配列番
号4に対応するアミノ酸残基157又は158から選択されるアミノ酸である)、(v)
HPV16のE7たんぱく質のN末端部(同末端部は、配列番号6のN末端配列(16E
7Ne-f)に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少な
くとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも9
9%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ここで、eは、配列番号6に
対応するアミノ酸残基1又は2から選択されるアミノ酸であり、fは、配列番号6に対応
するアミノ酸残基18~39及び44~97から選択されるアミノ酸である)、(vi)
HPV16のE7たんぱく質のC末端部(同末端部は、配列番号6のC末端配列(16E
7Cg-h)に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少な
くとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも9
9%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ここで、gは、配列番号6に
対応する、19以上のアミノ酸残基及びf+1以下のアミノ酸残基から選択されるアミノ
酸であり、hは、配列番号6に対応するアミノ酸残基97又は98から選択されるアミノ
酸である)、(vii)HPV18のE7たんぱく質のN末端部(同末端部は、配列番号
8のN末端配列(18E7Nm-n)に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、
少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくと
も98%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ここ
で、mは、配列番号8に対応するアミノ酸残基1又は2から選択されるアミノ酸であり、
nは、配列番号8に対応するアミノ酸残基21~42及び47~104から選択されるア
ミノ酸である)、並びに(viii)HPV18のE7たんぱく質のC末端部(同末端部
は、配列番号8のC末端配列(18E7Co-p)に対して、少なくとも80%、少なく
とも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97
%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含み、ここで、oは、配列番号8に対応する、22以上のアミノ酸残基及びn+1以下
のアミノ酸残基から選択されるアミノ酸であり、pが、配列番号8に対応するアミノ酸残
基104又は105から選択されるアミノ酸である)を含み、融合たんぱく質は、p53
に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE6たんぱく質と二量体を形成
せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18
のE7たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、HPV16及びHPV18の
天然のE6たんぱく質並びにHPV16及びHPV18の天然のE7たんぱく質の少なく
とも全てのエピトープを含有する。更に他の実施形態では、fは、配列番号6に対応する
18~39から選択されるアミノ酸残基であり、gは、配列番号6に対応する、19以上
のアミノ酸残基及びf+1以下のアミノ酸残基から選択されるアミノ酸であるか、又は、
fは、配列番号6に対応するアミノ酸残基44~97から選択されるアミノ酸残基であり
、gは、配列番号6に対応する、45以上のアミノ酸残基及びアミノ酸f+1以下のアミ
ノ酸残基から選択されるアミノ酸である。更に他の実施形態では、配列番号8に対応して
、nは、21~41から選択されるアミノ酸残基であり、oは、22以上のアミノ酸残基
及びn+1以下のアミノ酸残基から選択されるアミノ酸であるか、又は、nは、アミノ酸
残基47~104から選択されるアミノ酸残基であり、oは、48以上のアミノ酸残基及
びn+1以下のアミノ酸残基から選択されるアミノ酸である。更に他の実施形態では、融
合たんぱく質は、HPV16の天然の全長E6たんぱく質、HPV16の天然の全長E7
たんぱく質、HPV18の天然の全長E6たんぱく質、及びHPV18の天然の全長E7
たんぱく質を含まない。
【0112】
融合たんぱく質は、これらのたんぱく質の8つの部分を、任意の順序で含み得る。8つ
の部分の全ての可能性のある組み合わせは、33,600通りの可能性を含み、これらは
、本願の一部である。一部の実施形態では、融合たんぱく質は、同じたんぱく質からのN
末端部及びC末端部が互いのすぐ隣りに配置されないように構築される。他の実施形態で
は、融合たんぱく質は、同じHPV血清型からのN末端部及びC末端部が互いに隣り合っ
て配置されるように構築される。更に他の実施形態では、異なるたんぱく質(同じHPV
血清型)からのN末端部が互いに隣り合って配置され、異なるたんぱく質(同じHPV血
清型)からのC末端部が互いに隣り合って配置される。特定の実施形態では、融合たんぱ
く質は、N末端からC末端に向かって、(i)16E6Na-b-16E7Ne-f-1
6E6Cc-d-16E7Cg-h-18E6Ni-j-18E7Nm-n-18E6C
k-l-18E7Co-p;(ii)18E6Ni-j-18E7Nm-n-18E6C
k-l-18E7Co-p-16E6Na-b-16E7Ne-f-16E6Cc-d-
16E7Cg-h;(iii)16E7Ne-f-16E6Na-b-16E7Cg-h
-16E6Cc-d-18E7Nm-n-18E6Ni-j-18E7Co-p-18E
6Ck-l;(iv)18E7Nm-n-18E6Ni-j-18E7Co-p-18E
6Ck-l-16E7Ne-f-16E6Na-b-16E7Cg-h-16E6Cc-
d;(v)18E6Ni-j-16E7Ne-f-16E6Cc-d-18E6Ck-l
-18E7Nm-n-16E6Na-b-18E7Co-p-16E7Cg-h;(vi
)16E6Na-b-18E6Ni-j-18E7Co-p-16E6Cc-d-16E
7Ne-f-18E7Nm-n-16E7Cg-h-18E6Ck-l;(vii)18
E7Nm-n-16E6Na-b-18E7Co-p-16E7Cg-h-16E7Ne
-f-18E6Ni-j-16E6Cc-d-18E6Ck-l;又は(viii)16
E7Ne-f-18E6Ni-j-16E7Cg-h-18E7Co-p-18E7Nm
-n-16E6Na-b-18E6Ck-l-16E6Cc-dを含む。一部の実施形態
では、(-)は、ペプチド結合である。特定の実施形態では、(-)は、1つ又は2つ以
上のアミノ酸である。
【0113】
特定の実施形態では、融合たんぱく質は、N末端からC末端に向かって、16E6Na
-b-16E7Ne-f-16E6Cc-d-16E7Cg-h-18E6Ni-j-1
8E7Nm-n-18E6Ck-l-18E7Co-pを含み、aは、配列番号2のアミ
ノ酸残基1であり、bは、配列番号2のアミノ酸残基85であり、cは、配列番号2のア
ミノ酸残基71であり、dは、配列番号2のアミノ酸残基158であり、eは、配列番号
6のアミノ酸残基1であり、fは、配列番号6のアミノ酸残基65であり、gは、配列番
号6のアミノ酸残基51であり、hは、配列番号6のアミノ酸残基98であり、iは、配
列番号4のアミノ酸残基1であり、jは、配列番号4のアミノ酸残基85であり、kは、
配列番号4のアミノ酸残基71であり、lは、配列番号4のアミノ酸残基158であり、
mは、配列番号8のアミノ酸残基1であり、nは、配列番号8のアミノ酸残基65であり
、oは、配列番号8のアミノ酸残基51であり、pは、配列番号8のアミノ酸残基105
である。一部の実施形態では、融合たんぱく質は、配列番号10に対して、少なくとも8
0%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少
なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有する
アミノ酸配列を含む。
【0114】
他の実施形態では、融合たんぱく質は、異種部分を含む。異種部分は、異種ポリペプチ
ド又は非ポリペプチド部分であり得る。
【0115】
異種ポリペプチドの例には、シグナルペプチド、免疫エンハンサーペプチド、又は融合
たんぱく質の特性を向上させる任意の他のペプチドが挙げられるが、これらに限定されな
い。
【0116】
一実施形態において、融合たんぱく質に融合されるシグナルペプチドには、組織プラス
ミノーゲンアクチベータ(tPA)のシグナルペプチド、ヘルペス単純ウイルス糖たんぱ
く質D(HSV gD)のシグナルペプチド、成長ホルモンのシグナルペプチド、及びそ
れらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、
融合たんぱく質に融合されるシグナルペプチドは、配列番号14に対して、少なくとも約
80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同
一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0117】
別の実施形態では、免疫エンハンサーペプチドには、CD40リガンド、fms様チロ
シンキナーゼ-3リガンド(FLT3L)、フラジェリン、OX40、又はそれらの任意
の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。具体的な実施形態では、免疫エン
ハンサーペプチドは、FLT3Lである。別の実施形態では、融合たんぱく質は、配列番
号12に対して、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98
%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、免疫エンハンサーペプ
チドに融合される。
【0118】
2013年8月1日に公開された米国特許出願公開第2013/0195905号中の
ポリヌクレオチド又は融合たんぱく質の説明は全て、その全体が参照により本明細書に組
み込まれる。
【0119】
融合たんぱく質、シグナルペプチド、及び免疫エンハンサーペプチドの例を、表3に示
す。
【0120】
【0121】
【0122】
II.D.融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチド
本発明の治療用分子は、本明細書で記載される1つ又は2つ以上のたんぱく質分子、又
は、このたんぱく質分子をコードするポリヌクレオチド配列であり得る。一態様において
、本発明の治療用分子は、1つ又は2つ以上のDNA配列、RNA配列、又はPNA配列
を含み得る。
【0123】
別の態様では、治療用分子(例えば、融合たんぱく質)をコードするポリヌクレオチド
配列は、コドン最適化されている。「コドン最適化」という用語は、それが種々の宿主の
形質転換のための遺伝子又は核酸分子のコード領域に言及される場合、DNAによりコー
ドされるポリペプチドを変化させることなく、宿主生物の典型的なコドン利用を反映する
遺伝子又は核酸分子のコード領域中のコドンの改変を意味する。このような最適化は、少
なくとも1つ又は2つ以上又は相当数のコドンを、その生物の遺伝子により頻繁に使用さ
れる1つ又は2つ以上のコドンで置き換えることを含む。
【0124】
任意のポリペプチド鎖のアミノ酸をコードするコドンを含むヌクレオチド配列における
違いにより、遺伝子をコードする配列におけるバリエーションが生じ得る。各コドンが3
つのヌクレオチドからなり、DNAを含むヌクレオチドが4つの特定の塩基に制限される
ことから、ヌクレオチドの64通りの組み合わせが可能であり、そのうちの61通りによ
って、アミノ酸がコードされる(残りの3つのコドンは、翻訳を終了するシグナルをコー
ドする)。アミノ酸をコードするコドンを示す「遺伝暗号」を、本明細書において表4と
して再現する。結果として、多くのアミノ酸が2つ以上のコドンにより指定される。例え
ば、アラニン及びプロリンといったアミノ酸は、4種類のトリプレットによりコードされ
、6種類のトリプレットにより、セリン及びアルギニンがコードされる。一方、トリプト
ファン及びメチオニンは、1種類のみのトリプレットによりコードされる。この縮退によ
り、DNA塩基組成は、そのDNAによりコードされるたんぱく質のアミノ酸配列の変化
を伴うことなく、広い範囲にわたって変化し得る。
【0125】
【0126】
多くの生物は、伸長中のペプチド鎖に特定のアミノ酸を挿入するためにコードする特定
のコドンの使用についてのバイアスを示す。生物間でのコドン利用の差であるコドンの優
先度又はコドンバイアスは、遺伝暗号の縮退によりもたらされ、多くの生物間で十分に実
証されている。コドンバイアスは、多くの場合、メッセンジャーRNA(mRNA)の翻
訳効率に関連し、この翻訳効率は、特に、翻訳されるコドンの特性及び特定のトランスフ
ァーRNA(tRNA)分子の利用能に依存すると考えられている。細胞における特定の
tRNAの優先性は、一般的には、ペプチド合成中に最も頻繁に使用されるコドンを反映
するものである。したがって、遺伝子は、コドン最適化に基づいて、所定の生物中での最
適な遺伝子発現のために適合化され得る。
【0127】
多様な動物、植物、及び微生物種について、膨大な遺伝子配列が利用可能であることか
ら、コドン利用の相対的な頻度が算出されている。コドン利用表が、例えば、http:
//www.kazusa.or.jp/codon/において利用可能である「Cod
on Usage Database」において利用可能である(2012年6月18日
に閲覧)。Nakamura、Y.,et al.Nucl.Acids Res.28
:292(2000)を参照のこと。
【0128】
各アミノ酸についてのコドン頻度を算出し、ついで、コドンをポリペプチド配列にラン
ダムに割り当てることにより、所定のポリペプチド配列をコードするために、頻度を最適
化したランダムなコドンの割り当てを、手作業で行うことができる。加えて、種々のアル
ゴリズム及びコンピュータソフトウェアプログラムが、最適な配列を算出するために使用
され得る。
【0129】
一実施形態において、治療用分子(例えば、融合たんぱく質)をコードするヌクレオチ
ド配列は、ヒトでの発現用にコドン最適化される。別の実施形態では、治療用分子(例え
ば、融合たんぱく質)をコードするヌクレオチド配列は、原核生物又は真核生物での発現
用にコドン最適化される。
【0130】
他の実施形態では、本発明の融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチド配列は、H
PV16のE6たんぱく質のN末端部、HPV16のE6たんぱく質のC末端部、HPV
16のE7たんぱく質のN末端部、HPV16のE7たんぱく質のC末端部、HPV18
のE6たんぱく質のN末端部、HPV18のE6たんぱく質のC末端部、HPV18のE
7たんぱく質のN末端部、及びHPV18のE7たんぱく質のC末端部のコドン最適化配
列を含む。これらの末端部は、本明細書の別の箇所で記載されている。
【0131】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号9に対して、少なくとも約80%
、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を
有するヌクレオチド配列を含む。他の実施形態では、ポリヌクレオチドは、上記された異
種部分(例えば、異種ポリペプチド又は非ペプチド部分)をコードするヌクレオチド配列
を更に含む。一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、Fms関連チロシンキナーゼ3
リガンド(「FLT3L」)若しくはその一部、tPAのシグナルペプチド、又は両方を
含む。更に他の実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、コドン最適化されている。
【0132】
更に他の実施形態では、異種ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、シグナル
ペプチドをコードし、このヌクレオチド配列は、配列番号13に対して、少なくとも80
%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少な
くとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有する核
酸配列を含む。更に他の実施形態では、異種ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列
は、免疫性向上ペプチドをコードし、このヌクレオチド配列は、配列番号11に対して、
少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくと
も96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同
一性を有する核酸配列を含む。
【0133】
II.D.1.転写制御配列
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド分子は、少なくとも1つの転写制御配
列に操作可能に連結される。本明細書で使用される転写制御配列は、任意の調節ヌクレオ
チド配列、例えば、プロモーター配列又はプロモーター-エンハンサーの組み合わせであ
る。同転写制御配列は、操作可能に連結されたコード核酸の効率的な転写及び翻訳を容易
にする。遺伝子発現制御配列は、例えば、哺乳類又はウイルスのプロモーター、例えば、
構成的又は誘導性プロモーターであり得る。構成的な哺乳類プロモーターには、下記遺伝
子:ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)、アデノシンデアミ
ナーゼ、ピルビン酸キナーゼ用のプロモーター、ベータ-アクチンプロモーター、及び他
の構成的プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。真核生物細胞中で構成的
に機能する例示的なウイルスプロモーターは、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)
、シミアンウイルス(例えば、SV40)、パピローマウイルス、アデノウイルス、ヒト
免疫不全ウイルス(HIV)、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、モロニー白
血病ウイルスの長い末端反復(LTR)、及び他のレトロウイルス由来のプロモーター、
並びに、ヘルペス単純ウイルスのチミジンキナーゼプロモーターを含む。他の構成的プロ
モーターは、当業者に公知である。また、本発明の遺伝子発現配列として有用なプロモー
ターは、誘導性プロモーターを含む。誘導性プロモーターは、誘引剤の存在下において発
現される。例えば、メタロチオネインプロモーターは、特定の金属イオンの存在下におい
て、転写及び翻訳を促進するために誘引される。他の誘導性プロモーターは、当業者に公
知である。
【0134】
一般的には、転写制御配列は、必要に応じて、転写及び翻訳の開始それぞれに関与する
、5’非転写及び5’非翻訳配列、例えば、TATAボックス、キャップ配列、CAAT
配列などを含むであろう。特に、このような5’非転写配列は、操作可能に結合されたコ
ード核酸の転写制御のためのプロモーター配列を含むプロモーター領域を含むであろう。
遺伝子発現配列は、場合により必要に応じて、エンハンサー配列又は上流のアクチベータ
ー配列を含む。
【0135】
II.D.2.ベクター
また、本発明は、本発明の治療用分子(例えば、融合たんぱく質)をコードするポリヌ
クレオチド分子を含むベクターを提供する。適切なベクターは、発現ベクター、ウイルス
ベクター、及びプラスミドベクターを含む。
【0136】
本明細書で使用する場合、発現ベクターは、挿入されたコード配列の転写及び翻訳に必
須のエレメント、又は、RNAウイルスベクターの場合には、適切な宿主細胞内に導入さ
れたとき、複製及び翻訳に必須のエレメントを含有する任意の核酸構築物を意味する。発
現ベクターは、プラスミド、ファージミド、ウイルス、及びそれらの誘導体を含み得る。
【0137】
本発明の発現ベクターは、本明細書で記載される融合たんぱく質をコードする、最適化
されたポリヌクレオチドを含むであろう。一実施形態において、本融合たんぱく質に最適
化されたコード配列は、発現制御配列に操作可能に連結される。本明細書で使用する場合
、2つの核酸配列について、それぞれの部分核酸配列が、その機能を保持し得るように、
共有結合されている場合は、操作可能に連結されている。コード配列及び遺伝子発現制御
配列について、その遺伝子発現制御配列の影響又は制御下において、そのコード配列の発
現又は転写及び/若しくは翻訳が行われるように、共有結合されている場合、これらのコ
ード配列及び遺伝子発現制御配列が、操作可能に連結されていると表現される。2つのD
NA配列が、5’遺伝子発現配列中のプロモーターの誘導がコード配列の転写をもたらす
場合、及び、これら2つのDNA配列間の連結の性質が(1)フレームシフト変異の導入
をもたらさず、(2)コード配列の転写を指示するプロモーター領域の能力と干渉せず、
又は、(3)たんぱく質に翻訳される対応するRNA転写産物の能力と干渉しない場合、
これら2つのDNA配列が操作可能に連結されていると表現される。このため、ある遺伝
子発現配列とコード核酸配列について、その遺伝子発現配列がそのコード核酸配列の転写
を達成可能であり、これにより、得られた転写産物が所望のたんぱく質又はポリペプチド
に翻訳される場合には、その遺伝子発現配列とコード核酸配列は、操作可能に連結されて
いることになるであろう。
【0138】
ウイルスベクターには、下記ウイルス:レトロウイルス、例えば、モロニーマウス白血
病ウイルス、ハーベイマウス肉腫ウイルス、マウス乳癌ウイルス、及びラウス肉腫ウイル
ス;アデノウイルス、アデノ関連ウイルス;SV-40型ウイルス;ポリオーマウイルス
;エプスタイン-バーウイルス;パピローマウイルス;ヘルペスウイルス;ワクシニアウ
イルス;ポリオウイルス;並びに、RNAウイルス、例えば、レトロウイルスなどのウイ
ルス由来の核酸配列が挙げられるが、これらに限定されない。当技術分野において周知の
他のベクターを容易に利用することができる。特定のウイルスベクターは、必須でない遺
伝子を、対象となる遺伝子で置き換えた、非細胞変性(non-cytopathic)真核生物ウイル
スに基づいている。非細胞変性ウイルスは、レトロウイルスを含む。レトロウイルスのラ
イフサイクルは、ゲノムウイルスRNAのDNAへの逆転写と、宿主細胞DNA内へのそ
の後のプロウイルス組込みとを含む。レトロウイルスは、ヒトの遺伝子治療の臨床試験に
承認されてきた。最も有用なものは、複製欠損である(即ち、所望のたんぱく質合成を指
示できるが、感染粒子を製造することができない)レトロウイルスである。このように遺
伝的に改変されたレトロウイルス発現ベクターは、インビボでの遺伝子の高効率な形質導
入に一般的な有用性を有する。複製欠損のレトロウイルスを生成するための標準的なプロ
トコル(外来性遺伝子材料をプラスミドに包含する工程、パッケージ細胞株をプラスミド
でトランスフェクションする工程、組換えレトロウイルスをパッケージ細胞株により生成
する工程、ウイルス粒子を組織培養培地から収集する工程、及びターゲット細胞をウイル
ス粒子により感染させる工程を含む)は、Kriegler,M.,Gene Tran
sfer and Expression、A Laboratory Manual,
W.H.Freeman Co.,New York(1990)及びMurry,E.
J.,Methods in Molecular Biology,Vol.7,Hu
mana Press,Inc.,Cliffton,N.J.(1991)に提供され
る。
【0139】
一実施形態において、ウイルスは、二本鎖DNAウイルスであるアデノ関連ウイルスで
ある。アデノ関連ウイルスは、複製欠損であるように操作することができ、広い範囲の細
胞型及び種に感染可能である。アデノ関連ウイルスは、熱及び脂肪族溶媒に対する安定性
;多様の系統の細胞、例えば、造血細胞中への高い形質導入頻度;重複感染防止の欠損に
より複数回の形質導入が可能であることなどの利点を更に有する。報告によれば、アデノ
関連ウイルスは、ヒトの細胞DNA内に、部位特異的方法において組み込むことにより、
挿入変異誘発の確率及びレトロウイルス感染の挿入遺伝子発現特性のばらつきを最少化す
ることができる。加えて、野生型のアデノ関連ウイルス感染に続けて、組織培養において
、選択圧の不存在下において、100回を超える継代が行われた。これは、アデノ関連ウ
イルスのゲノム組込みが比較的安定した事象であることを意味する。また、アデノ関連ウ
イルスは、染色体外法においても機能し得る。
【0140】
他のベクターは、プラスミドベクターを含む。プラスミドベクターは、当技術分野にお
いて広く記載されており、当業者に周知である。例えば、Sambrook et al
.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,
Second Edition,Cold Spring Harbor Labora
tory Press,1989を参照のこと。この数年の間に、プラスミドベクターは
、宿主ゲノム内での複製及び宿主ゲノムへの組込みができないため、インビボにおいて遺
伝子を細胞に送達するために特に有利であることが見出されてきた。しかしながら、宿主
細胞に適合性のプロモーターを有するこれらのプラスミドは、プラスミド内で操作可能に
コードされた遺伝子からペプチドを発現し得る。商業的な供給元から入手できる一部の一
般的に使用されるプラスミドは、pBR322、pUC18、pUC19、種々のpcD
NAプラスミド、pRC/CMV、種々のpCMVプラスミド、pSV40、及びpBl
ueScriptを含む。具体的なプラスミドの更なる例は、全てInvitrogen
(Carlsbad,CA.)からの、pcDNA3.1、カタログ番号V79020;
pcDNA3.1/hygro、カタログ番号V87020;pcDNA4/myc-H
is、カタログ番号V86320;及びpBudCE4.1、カタログ番号V53220
を含む。他のプラスミドは、当業者に周知である。加えて、プラスミドは、DNAの特定
のフラグメントを除去及び/又は追加する、標準的な分子生物学的技術を使用して、カス
タム設計され得る。
【0141】
一部の実施形態では、本発明の融合たんぱく質をコードするプラスミドは、配列番号1
5に対して、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、
99%、又は100%の同一性を有する。
【0142】
II.D.3.医薬組成物
本発明の融合たんぱく質又は本発明の単離されたポリヌクレオチドを含有する組成物は
、適切な薬学的に許容され得る担体を含有し得る。例えば、この担体は、活性化合物の作
用部位への送達用に設計された調製物への加工を容易にする、賦形剤及び/又は補助剤を
含有し得る。
【0143】
医薬組成物は、ボーラス注射による非経口投与(即ち、静脈内、皮下、皮内、又は筋肉
内)用に製剤化され得る。注射用製剤は、単位用量形態で、例えば、アンプル、又は、保
存剤が添加されたマルチドーズ容器にて提供され得る。本組成物は、例えば、油性又は水
性のビヒクル中の懸濁液、溶液、又は乳液などの形態であってよく、調合剤、例えば、懸
濁化剤、安定化剤、及び/又は分散剤を含有していてもよい。あるいは、有効成分は、適
切なビヒクル、例えば、パイロジェンフリー水による構成のために、粉末状であることが
できる。
【0144】
また、非経口投与に適した製剤は、水溶性形態における活性化合物、例えば、水溶性塩
の水溶液を含む。加えて、適切な油状注射懸濁剤としての活性化合物の懸濁剤が投与され
得る。適切な脂溶性溶媒又はビヒクルは、脂肪油、例えば、ゴマ油、又は、合成脂肪酸エ
ステル、例えば、オレイン酸エチル若しくはトリグリセリド類を含む。水性注射用懸濁剤
は、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、及びデキストラン
などの、懸濁剤の粘度を増大させる物質を含有し得る。場合により、懸濁剤は、安定化剤
も含有し得る。また、細胞又は間質腔内への送達のために、リポソームを用いて、本発明
の分子を被包してもよい。例示的な薬学的に許容され得る担体は、生理学的に適合可能な
溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤、水、生理食塩
水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどである。一
部の実施形態では、本組成物は、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール(マンニトール、
ソルビトールなど)、又は塩化ナトリウムを含む。他の実施形態では、本組成物は、薬学
的に許容され得る物質、例えば、湿潤剤又は少量の補助剤、例えば、湿潤剤若しくは乳化
剤、保存剤、又は緩衝液を含む。これらは、有効成分の有効期間又は有効性を向上させる
。
【0145】
本発明の組成物は、各種の形態であってよく、例えば、液状(例えば、注射用及び注入
用の溶液)、分散液、懸濁液、半固体、及び固体の用量形態を含む。好ましい形態は、投
与方式及び治療用途により決まる。
【0146】
本組成物は、液剤、マイクロ乳剤、分散剤、リポソーム剤、又は高薬剤濃度に適した他
の秩序構造として製剤化され得る。無菌の注射用液は、必要量の有効成分を、必要に応じ
て上記で列挙された成分のうちの1つ又はその組み合わせと合わせて、適切な溶媒中に混
合し、続けて、滅菌ろ過することにより調製され得る。一般的には、分散剤は、有効成分
を、基剤である分散媒体と上記で列記されたもののうち必要な他の成分とを含有する無菌
のビヒクルと混合することにより調製される。無菌の注射用液の調製のための無菌粉末の
場合には、好ましい調製方法は、予め滅菌ろ過された溶液から、有効成分と任意の更なる
所望の成分との粉末を生成する、真空乾燥及び凍結乾燥である。液剤の適切な流動性は、
例えば、コーティング、例えば、レシチンの使用により、分散剤の場合には必要とされる
粒子サイズの維持により、及び、界面活性剤の使用により維持され得る。例えば、モノス
テアリン酸塩又はゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を組成物に含めることによって、
注射用組成物の吸収を持続させることができる。
【0147】
有効成分は、徐放性製剤又はデバイスと共に製剤化され得る。このような製剤及びデバ
イスの例は、インプラント、経皮パッチ、及びマイクロカプセル化送達システムを含む。
生分解性で、生体適合性のポリマー、例えば、エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、
ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸が使用され得る。こ
のような製剤及びデバイスを調製するための方法は、当技術分野において公知である。例
えば、Sustained and Controlled Release Drug
Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.,Marce
l Dekker,Inc.,New York,1978を参照のこと。
【0148】
注射用デポ剤は、薬剤のマイクロカプセル化マトリクスを生分解性ポリマー、例えば、
ポリラクチド-ポリグリコリド中に形成することにより調製され得る。薬剤とポリマーの
比及び利用されるポリマーの性質に応じて、薬剤放出の速度が制御され得る。他の例示的
な生分解性ポリマーは、ポリオルトエステル及びポリ無水物である。また、注射用デポ剤
は、薬剤を、リポソーム又はマイクロエマルジョン中に捕捉することにより調製され得る
。
【0149】
補助的な活性化合物が、本組成物に包含され得る。一実施形態において、本発明の融合
たんぱく質又はこのたんぱく質をコードするポリヌクレオチドは、別のHPV治療剤と共
に製剤化される。
【0150】
一実施形態において、融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドは、注射用の保存
液(0.2mg/mL塩化カリウム、1.44mg/mL第1リン酸ナトリウム(無水物
)、0.24mg/mL第1リン酸カリウム(無水物、結晶)、及び8mg/mL塩化ナ
トリウム、pH7.5~7.9)と共に製剤化される。
【0151】
投与計画は、最適で所望の応答を提供するように調節され得る。例えば、単回のボーラ
スが投与されることができ、複数に分割した用量が経時的に投与されることができ、又は
、用量は、治療状況の緊急性により示されるように、比例的に減少され、又は、増大され
ることができる。投与の容易性及び用量の均一性のために、単位用量形態で、非経口組成
物を製剤化することが有利である。例えば、Remington’s Pharmace
utical Sciences(Mack Pub.Co.,Easton,Pa.1
980)を参照のこと。
【0152】
また、適切な薬学的担体の非限定的な例は、E.W.MartinによるReming
ton’s Pharmaceutical Sciencesにも記載されている。賦
形剤の一部の例は、デンプン、グルコース、ラクトース、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、
小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロー
ル、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコー
ル、水、エタノールなどを含む。また、本組成物は、pH緩衝試薬及び湿潤又は乳化剤も
含有し得る。
【0153】
経口投与のために、医薬組成物は、従来の手法により調製された錠剤又はカプセル剤の
形態をとり得る。また、本組成物は、シロップ剤又は懸濁剤などの液剤としても調製され
得る。液剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、又は水素
化食用脂)、乳濁化剤(レシチン又はアカシア)、非水性ビヒクル(例えば、アーモンド
油、油性エステル、エチルアルコール、又は分画植物油)、及び保存剤(例えば、メチル
又はプロピル-p-ヒドロキシベンゾエート又はソルビン酸)を含み得る。また、調製物
は、着香剤、着色剤、及び甘味料も含み得る。あるいは、本組成物は、水又は別の適切な
ビヒクルによる構成のための乾燥生成物として提供され得る。
【0154】
バッカル投与のために、本組成物は、従来のプロトコルに従って、錠剤又はロゼンジ剤
の形態をとり得る。
【0155】
吸入による投与のために、本発明に基づく使用のための化合物は、賦形剤の有無を問わ
ない噴霧エアロゾルの形態で、又は、場合により噴霧剤、例えば、ジクロロジフルオロメ
タン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、二酸化炭素、又は他
の適切なガスを含む加圧パック又は噴霧器からのエアロゾルスプレーの形態で都合良く送
達される。加圧エアロゾルの場合には、用量単位は、計量された量を送達するバルブを設
けることにより決定され得る。吸入器又は注入器に使用するための、例えば、ゼラチンの
カプセル及びカートリッジが、化合物と適切な粉末ベース、例えば、ラクトース又はデン
プンとの粉末混合物を含有して製剤化され得る。
【0156】
また、本医薬組成物は、例えば、従来の坐剤ベース、例えば、ココアバター又は他のグ
リセリドを含有させて、坐剤又は保持浣腸剤として、直腸投与用にも製剤化され得る。
【0157】
一実施形態において、医薬組成物は、融合たんぱく質、この融合たんぱく質をコードす
る最適化されたポリヌクレオチド、このポリヌクレオチドを含むベクター、又はこのベク
ターを含む宿主細胞と、薬学的に許容され得る担体とを含む。一部の実施形態では、本組
成物は、局所投与、眼内投与、非経口投与、くも膜下腔内投与、硬膜下投与、及び経口投
与からなる群から選択される経路により投与される。非経口投与は、静脈内又は皮下投与
であり得る。
【0158】
特定の実施形態では、本医薬組成物は、例えば、エレクトロポレーションにより処方さ
れる。
【0159】
III.診断及び処置方法
本発明は、本明細書で記載される治療用分子に対する応答者を、非応答者から特定する
方法に関する。本発明は、本発明の治療用分子に対してより良好に応答するであろう患者
集団を特定する方法、又は、本発明の治療用分子治療計画を改善する方法に更に関する。
【0160】
一実施形態において、本願は、子宮頸部腫瘍を除去するための外科手術を必要としない
対象を特定するための方法であって、有効量の本明細書で記載される治療用分子(例えば
、融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチド)を、対象に投与することを含み、対象
が、投与後に亢進した細胞性免疫応答を示す、方法に関する。
【0161】
本明細書で使用する場合、「細胞性免疫応答」又は「細胞媒介性免疫応答」という用語
は、抗原に対する応答において、抗体(体液性免疫)が関与するのではなく、食作用、抗
原特異的細胞傷害性Tリンパ球(T細胞)及び種々のサイトカインの放出の活性化が関与
する、免疫応答を包含することを意図している。細胞性免疫は、(i)外来性抗原のエピ
トープを表面上に提示している身体細胞、例えば、ウイルス感染細胞、細胞内細菌を含む
細胞、及び腫瘍抗原を提示している癌細胞などに、アポトーシスを誘引することができる
抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球を活性化することによって、(ii)マクロファージ及
びナチュラルキラー細胞を活性化して、それらに病原体を破壊させることによって、又は
、(iii)適応免疫応答及び自然免疫応答に関与する他の細胞の機能に影響を及ぼす各
種のサイトカインを分泌するように細胞を刺激することによって、身体を保護する。
【0162】
ウイルス感染が宿主細胞中で確立されると、細胞媒介性免疫応答を活性化する、一連の
分子及び細胞シグナルが開始される。これらのシグナルは、局所的な樹状細胞の動員に加
えて、インターフェロン、他のサイトカイン、及び炎症性メディエータの生成を含む。樹
状細胞は、ナイーブなCD4及びCD8 T細胞を刺激するために重要な細胞リンクを提
供すると考えられる。ナイーブなT細胞上のTCRの、樹状細胞により提示されたウイル
ス-ペプチドMHC複合体との会合が、T細胞の隔離をもたらし、抗ウイルスT細胞応答
を開始する。また、ウイルス特異的T細胞の増殖及び分化を確保することは、炎症性メデ
ィエータ、例えば、インターフェロン及び他の危険信号を伴って生じる(Zajac A
.J.and Harrington L.E.,Encyclopedia of V
irology 3(3):70~77、2008)。
【0163】
CD8 T細胞は、炎症性メディエータ及び細胞傷害性エフェクター分子の両方を生成
するその能力のために、強力な抗ウイルスエフェクター細胞である。CD8 T細胞は、
一般的には、ウイルス感染したターゲット細胞を殺傷する能力のために、細胞傷害性Tリ
ンパ球(CTL)と呼ばれる。エフェクターT細胞は、適切なペプチド-MHC複合体を
提示しているウイルス感染したターゲット細胞と会合した後に、活性化されるようになる
。これらの殺傷機能は、T細胞によるパーフォリン及びグランザイム分子のその後の放出
によりトリガーされる。このトリガーにより、感染細胞の破壊が確保される。感染細胞の
直接的な殺傷に加えて、CD8 T細胞は、ある範囲のサイトカイン及びケモカイン(例
えば、IFN-γ及びTNF-α)も生成する。これらの生成は、感染細胞を死なせるこ
となく、ウイルス感染を除去するために役立ち得る(Zajac A.J.and Ha
rrington L.E.,Encyclopedia of Virology 3
(3):70~77、2008)。
【0164】
また、CD4 T細胞も、IFN-γ生成により、一部の環境では、ウイルス感染細胞
の溶解を誘引することにより、抗ウイルス機能を直接発揮できるため、ウイルス感染に対
する細胞媒介性免疫応答の重要な構成員である。MHCクラスIIの上での抗原認識後に
、エフェクターCD4 T細胞の活性化、増殖、及び同T細胞への分化をもたらすシグナ
ル伝達カスケードが、CD4 T細胞内で開始される。同T細胞は、そのサイトカイン生
成プロファイルに基づいて、2つの分極した部分集合に分けられる。Tヘルパー1(Th
1)細胞は、IFN-γを主に生成し、種々のウイルス感染及び細胞内細菌による感染に
対する免疫応答に重要である。エフェクター細胞のこのサブクラスは、典型的には、抗ウ
イルス細胞媒介性免疫性に関連する。対照的に、Tヘルパー2(Th2)細胞は、IL-
4、IL-5、及びIL-13のサイトカインを主に分泌し、抗体生成及び体液性免疫応
答に関連する。CD4 T細胞の部分集合の定義は、Th1及びTh2細胞を超えて拡張
されており、レギュラトリーCD4 T細胞(IL-10を分泌)及びIL-17生成「
Th17」細胞(IL-17Aを分泌)の固有集団の重要性が明らかになっている(Za
jac A.J.and Harrington L.E.,Encyclopedia
of Virology 3(3):70~77、2008)。
【0165】
一部の実施形態では、本明細書で記載される方法は、投与後の対象における亢進した細
胞性免疫応答を測定することを更に含む。特定の実施形態では、本明細書で記載される方
法は、医療提供者に、投与後の対象における亢進した細胞性免疫応答を測定することを命
じることを更に含む。
【0166】
本明細書で使用する場合、「医療提供者」という用語は、生きた対象、例えば、ヒトの
患者と直接対話し、及び/又は、同生きた対象に治療用分子を投与する、個人又は施設を
意味する。医療提供者の非限定的な例には、医師、看護師、技師、セラピスト、薬剤師、
カウンセラー、代替医療の専門家、医療施設、医院、病院、救急処置室、クリニック、外
来診療施設、代替医療クリニック/施設、及び一般的及び/若しくは特化した処置、評価
、維持、治療、薬物治療、並びに/又は、患者の健康状態の全て若しくは任意の部分に関
する助言を提供する任意の他の実体を含む。同実体は、一般的な医療、特化した医療、外
科手術、並びに/又は他の種類の処置、評価、維持、治療、薬物治療、及び/若しくは助
言が挙げられるが、これらに限定されない。
【0167】
本明細書で使用する場合、「医療提供者に命じること」という用語は、医療提供者に口
頭で指示すること、若しくは、医療提供者に指示書を使用することにより命じること、又
は、両方を含む。
【0168】
一部の実施形態では、本願は、外科手術をすることなく子宮頸部腫瘍を処置する方法で
あって、本明細書で記載される融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを投与する
ことを含み、対象が、投与後に亢進した細胞性免疫応答を示し、細胞性免疫応答が、投与
後に少なくとも約2倍亢進され、子宮頸部腫瘍が、外科手術をすることなく、対象から除
去される、方法に関する。
【0169】
本明細書で使用する場合、「亢進した細胞応答」という用語は、本明細書で記載される
融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドの投与後に、少なくとも約2倍亢進した、
CD8 T細胞応答、亢進したCD4 T細胞応答、亢進したサイトカイン分泌、又はそ
れらの任意の組み合わせを意味する。例えば、本明細書で記載される融合たんぱく質をコ
ードするポリヌクレオチド(例えば、HPV E6/E7 DNA治療ワクチン(GX-
188))による少なくとも1回の免疫化(即ち、少なくとも1つの用量の投与)後にお
ける、共通するTh1エフェクターサイトカイン、例えば、IFN-γ、IL-2、及び
TNF-α、又はそれらの任意の組み合わせの生成/発現の亢進を、ワクチン接種前の共
通するTh1エフェクターサイトカイン、例えば、IFN-γ、IL-2、及びTNF-
αのベースライン生成と比較した。
【0170】
一部の実施形態では、亢進したCD4 T細胞応答は、IFN-γ+CD4細胞の増殖
を含む。具体的な実施形態では、亢進したCD4 T細胞応答は、IFN-γ+CD4細
胞数における、少なくとも約1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、又は4.0倍の
増加である。
【0171】
特定の実施形態では、亢進したCD8 T細胞応答は、IFN-γ、IL-2、TNF
-α、MIP-β、CD107a/b、又はそれらの任意の組み合わせの亢進した発現を
含む。一部の実施形態では、亢進したCD8 T細胞応答は、CD38+Ki67+CD
8 T細胞の増殖を含む。具体的な実施形態では、亢進したCD8 T細胞応答は、CD
38+Ki67+CD8 T細胞数における、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少
なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも
約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約1
2倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約1
6倍、少なくとも約17倍、少なくとも約18倍、少なくとも約19倍、少なくとも約2
0倍、少なくとも約21倍、少なくとも約22倍、少なくとも約23倍、少なくとも約2
4倍、又は少なくとも約25倍の増加である。特定の実施形態では、亢進したCD8 T
細胞応答は、フローサイトメトリーにより測定される。
【0172】
具体的な実施形態では、IFN-γの発現は、投与前のレベルに対して、少なくとも5
倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少な
くとも45倍、少なくとも50倍亢進される。
【0173】
一部の実施形態では、IL-2の発現は、投与前のレベルに対して、少なくとも約2倍
、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なく
とも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約
11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、又は少なくと
も約15倍亢進される。
【0174】
具体的な実施形態では、TNF-αの発現は、投与前のレベルに対して、少なくとも約
2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、
少なくとも約15倍、少なくとも約16倍、少なくとも約17倍、少なくとも約18倍、
少なくとも約19倍、少なくとも約20倍、少なくとも約21倍、少なくとも約22倍、
少なくとも約23倍、少なくとも約24倍、又は少なくとも約25倍亢進される。
【0175】
特定の実施形態では、亢進した細胞性免疫応答は、亢進したHPV16及びHPV18
E6及びE7特異的IFN-γ応答を含む。一部の実施形態では、IFN-γ応答は、
IFN-γ ELISPOTアッセイにより測定される。
【0176】
特定の実施形態では、亢進した細胞性免疫応答は、多機能性T細胞数の増加である。本
明細書で使用する場合、「多機能性T細胞」という用語は、細胞溶解活性、増殖能、及び
エフェクター分子の分泌の亢進を示す、多機能性HPV特異的CD8 T細胞を意味する
。一部の実施形態では、多機能性T細胞は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくと
も4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのマーカーを示す。特定
の実施形態では、多機能性T細胞は、少なくともIFN-γ及びIL-2と、少なくとも
1つの更なるマーカーを分泌する。具体的な実施形態では、多機能性T細胞は、フローサ
イトメトリーにより測定した場合、IFN-γ、IL-2、TNF-α、MIP-β、及
びCD107a/bから選択される、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は少なくとも
5つのマーカーを示す。
【0177】
一部の実施形態では、本願は、多機能性T細胞数が、本明細書で記載される融合たんぱ
く質をコードするポリヌクレオチドの投与前の多機能性T細胞数より、少なくとも約5%
、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なく
とも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、又は少なくとも約30%増加
する、本明細書で記載される方法に関する。
【0178】
一部の実施形態では、本願は、全身性HPV特異的多機能性CD8 T細胞応答を、そ
れを必要とする対象において亢進させる方法であって、本明細書で記載される融合たんぱ
く質をコードするポリヌクレオチドを投与することを含み、この多機能性CD8 T細胞
応答は、IFN-γ、IL-2、TNF-α、又はそれらの任意の組み合わせの亢進した
発現を含む、方法に関する。具体的な実施形態では、投与は、少なくとも2回の投与又は
3回の投与を含む。
【0179】
特定の実施形態では、本願は、子宮頸部腫瘍を処置する方法であって、(a)本明細書
で記載される融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドの投与後に、亢進した細胞性
免疫応答を示さない対象を特定することと、(b)この対象が子宮頸部腫瘍を除去する外
科手術に適していると判定すること、とを含む、方法に関する。
【0180】
本明細書で使用する場合、「対象が子宮頸部腫瘍を除去する外科手術に適していると判
定すること」は、患者が子宮頸部腫瘍を除去する外科手術を必要とすることを決定するた
めに、一般的及び/又は特化した評価並びに/又は患者の健康状態の全て若しくは任意の
部分に関する助言を提供することを意味する。
【0181】
一部の実施形態では、本願は、子宮頸部腫瘍を処置する方法であって、(a)本明細書
で記載される融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドの投与後に、亢進した細胞性
免疫応答を示さない対象を特定することと、(b)医療提供者に、子宮頸部腫瘍を除去す
る外科手術を対象に行うように命じることと、を含む、方法に関する。
【0182】
特定の実施形態では、本願は、子宮頸部腫瘍を処置する方法であって、(a)本明細書
に記載する融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを、それを必要とする対象に投
与することと、(b)融合たんぱく質の投与後に、亢進した細胞性免疫応答を示さない対
象を特定することと、(c)この対象が子宮頸部腫瘍を除去する外科手術に適していると
判定することと、を含む、方法に関する。
【0183】
特定の実施形態では、本願は、子宮頸部腫瘍の処置を、それを必要とする対象集団に行
う方法であって、本明細書で記載される融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを
、対象集団に投与することを含み、各対象は、ヒト白血球抗原(HLA)-A02を保有
する、方法に関する。
【0184】
一部の実施形態では、本願は、子宮頸部腫瘍の処置を、それを必要とする対象に行う方
法であって、(a)HLA-A02を保有する対象を特定することと、(b)本明細書に
記載する融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを対象に投与することと、を含む
、方法に関する。
【0185】
特定の実施形態では、本願は、子宮頸部腫瘍の処置を改善する方法であって、本明細書
で記載される融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを、対象集団に投与すること
を含み、各対象は、ヒト白血球抗原(HLA)-A02を保有する、方法に関する。
【0186】
一部の実施形態では、本願は、子宮頸部腫瘍の処置を改善する方法であって、(a)H
LA-A02を保有する対象を特定することと、(b)本明細書に記載する融合たんぱく
質をコードするポリヌクレオチドを対象に投与することと、を含む、方法に関する。
【0187】
特定の実施形態では、本願は、子宮頸部腫瘍の処置を改善する方法であって、(a)処
置を必要とする対象から得られた血液サンプルを、HLA型を特定するために供すること
と、(b)本明細書に記載する融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを、HLA
-A02を保有する対象に投与することと、を含む、方法に関する。
【0188】
HLA-Aは、HLA-A遺伝子座によりコードされる一群のヒト白血球抗原(HLA
)であり、ヒト染色体6p21.3に位置している(HLA Nomenclature
@hla.alleles.org-Anthony Nolan Research
Institute、2013年11月10日、2013年12月8日に検索)。HLA
は、ヒトに特異的な主要組織適合複合体(MHC)である。HLA-Aは、ヒトMHCク
ラスI細胞表面受容体の3つの主要な型のうちの1つである。他のものは、HLA-B及
びHLA-Cである。2013年12月時点で、1740個の活性たんぱく質及び117
個のヌルたんぱく質をコードする2432箇所の公知のHLA-Aアレルが存在する(A
llele Search Tool-European Molecular Bio
logy Laboratory.2013、2013年12月20日に検索)。(HL
A)-A02は、HLA-A血清型グループ内のヒト白血球抗原血清型である。また、(
HLA)-A02は、HLA-A*02(A*02)、HLA-A2、HLA-A02、
及びHLA-A*2を意味する。
【0189】
特定の実施形態では、本願は、子宮頸部腫瘍を処置する方法であって、(a)第1の用
量の融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを、それを必要とする対象に投与する
ことと、(b)第1の用量の投与後に亢進した細胞性免疫応答を示す対象に、第2の用量
のこのポリヌクレオチドを更に投与することと、を含む、方法に関する。
【0190】
特定の実施形態では、本願は、子宮頸部腫瘍を処置する方法であって、(a)第1の用
量の本明細書に記載する融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを、それを必要と
する対象に投与することと、(b)投与後に細胞性免疫応答を測定することと、(c)第
1の用量の投与後に、亢進した細胞性免疫応答を示す対象に、第2の用量のこのポリヌク
レオチドを投与することと、を含む、方法に関する。一部の実施形態では、本明細書で記
載される方法は、第2の用量の投与後に、細胞性免疫応答を測定することを更に含む。特
定の実施形態では、本明細書で記載される方法は、第3の用量の本明細書で記載されるポ
リヌクレオチドを投与することを含む。
【0191】
一部の実施形態では、本願は、子宮頸部腫瘍を処置する方法であって、(a)第1の用
量及び第2の用量の本明細書で記載される融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチド
を、それを必要とする対象に投与することと、(b)第1の用量又は第2の用量の投与後
に、亢進した細胞性免疫応答を示す対象に、第3の用量のポリヌクレオチドを、この対象
に更に投与することとを含む、方法に関する。
【0192】
特定の実施形態では、本願は、子宮頸部腫瘍を処置する方法であって、(a)第1の用
量及び第2の用量の本明細書に記載する融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを
、それを必要とする対象に投与することと、(b)第1の用量又は第2の用量の投与後に
細胞性免疫応答を測定することと、(c)対象が第1又は第2の用量の投与後に、亢進し
た細胞性免疫応答を示す場合に、第3の用量のこのポリヌクレオチドを、この対象に投与
することと、を含む、方法に関する。
【0193】
本明細書で記載される方法によると、本明細書で記載される融合たんぱく質をコードす
るポリヌクレオチドは、特定の用量で投与され得る。例えば、一部の実施形態では、第1
の用量は、少なくとも約0.5mg、少なくとも約1mg、少なくとも約1.5mg、少
なくとも約2mg、少なくとも約2.5mg、少なくとも約3mg、少なくとも約3.5
mg、少なくとも約4mg、少なくとも約4.5mg、又は少なくとも約5mgである。
特定の実施形態では、第1の用量は、約1mg~約5mg、約2mg~約4mg、約1m
g~約4mg、約1mg~約10mg、約1mg~約9mg、約1mg~約8mg、約1
mg~約7mg、約1mg~約6mgであり、第2の用量は、約1mg~約5mg、約2
mg~約4mg、約1mg~約4mg、約1mg~約10mg、約1mg~約9mg、約
1mg~約8mg、約1mg~約7mg、約1mg~約6mgである。
【0194】
特定の実施形態では、第2の用量は、少なくとも約0.5mg、少なくとも約1mg、
少なくとも約1.5mg、少なくとも約2mg、少なくとも約2.5mg、少なくとも約
3mg、少なくとも約3.5mg、少なくとも約4mg、少なくとも約4.5mg、又は
少なくとも約5mgである。
【0195】
特定の実施形態では、第3の用量は、少なくとも約0.5mg、少なくとも約1mg、
少なくとも約1.5mg、少なくとも約2mg、少なくとも約2.5mg、少なくとも約
3mg、少なくとも約3.5mg、少なくとも約4mg、少なくとも約4.5mg、又は
少なくとも約5mgである。一部の実施形態では、第3の用量は、約1mg~約5mg、
約2mg~約4mg、約1mg~約4mg、約1mg~約10mg、約1mg~約9mg
、約1mg~約8mg、約1mg~約7mg、約1mg~約6mgである。
【0196】
一部の実施形態では、第2の用量は、第1の用量の、少なくとも約1週間後、2週間後
、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、9週間後、10週間
後、11週間後、12週間後、13週間後、14週間後、又は15週間後に投与される。
特定の実施形態では、第3の用量は、第2の用量の、少なくとも約1週間後、2週間後、
3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、9週間後、10週間後
、11週間後、12週間後、13週間後、14週間後、又は15週間後に投与される。
【0197】
本発明の一部の実施形態は、全身性HPV特異的多機能性CD8 T細胞応答を、それ
を必要とする対象において誘引する方法であって、融合たんぱく質をコードするポリヌク
レオチドを投与することを含み、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部から選択される、3つ以上のアミノ酸配
列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16及びHPV18のE6た
んぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合せず、また、HPV16
及びHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成せず、多機能性CD8 T細胞応答は、
IFN-γ及びIL-2と、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なく
とも4つ、又は少なくとも5つの任意のマーカーとの亢進した発現を含む、方法を含む。
他の実施形態では、任意のマーカーは、TNF-αである。
【0198】
更なる実施形態では、本方法の投与は、少なくとも2回の投与又は3回の投与を含む。
他の実施形態では、IFN-γの発現は、投与前のレベルに対して、少なくとも5倍、少
なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少
なくとも約45倍、少なくとも約50倍亢進される。更に他の実施形態では、IL-2の
発現は、投与前のレベルに対して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約
4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少
なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少な
くとも約13倍、少なくとも約14倍、又は少なくとも約15倍亢進される。更に他の実
施形態では、TNF-αの発現は、投与前のレベルに対して、少なくとも約2倍、少なく
とも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約
15倍、少なくとも約16倍、少なくとも約17倍、少なくとも約18倍、少なくとも約
19倍、少なくとも約20倍、少なくとも約21倍、少なくとも約22倍、少なくとも約
23倍、少なくとも約24倍、又は少なくとも約25倍亢進される。
【0199】
更に他の実施形態では、投与は、IL-4又はIL-17aの発現を亢進させない。
【0200】
特定の実施形態では、診断方法の目的のための治療用分子は、他の種類のHPVワクチ
ンを含む。例えば、本方法に有用なHPVワクチンの例としては、が挙げられるが、これ
らに限定されない。
【0201】
IV.医薬キット
また、本発明は、治療用分子を含む医薬組成物と、この組成物の使用に関する指示と、
を含む、医薬キットも含む。一実施形態において、本発明は、融合たんぱく質をコードす
るポリヌクレオチドを含む医薬組成物と、有効量のこの医薬組成物を投与した後に細胞性
免疫応答が亢進されない場合に、子宮頸部腫瘍を除去する外科手術を行うことに関する指
示と、を含む、キットであって、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部から選択される、3つ以上のアミノ酸配
列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、キットに関する。
【0202】
別の実施形態では、医薬キットは、融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを含
む医薬組成物と、初期量のポリヌクレオチドの投与後に多機能性T細胞数の増加を示す対
象に有効量のこの医薬組成物を投与することに関する指示と、を含み、この融合たんぱく
質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部から選択される、3つ以上のアミノ酸配
列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない。
【0203】
他の実施形態では、医薬キットは、融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを含
む医薬組成物と、初期量のポリヌクレオチドの投与後に多機能性T細胞数の増加を示す対
象に有効量のこの医薬組成物を投与することに関する指示と、を含み、この融合たんぱく
質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部から選択される、3つ以上のアミノ酸配
列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない。一実施形態におい
て、多機能性T細胞は、IFN-γ及びIL-2を分泌する。
【0204】
一部の実施形態では、融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを含む医薬組成物
と、HLA-A02を保有する対象に有効量のこの医薬組成物を投与することに関する指
示と、を含む、医薬キットであって、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、3つ以上のアミノ酸
配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、医薬キット。他の
実施形態では、本キットは、有効量の治療用分子を含み、この有効量は、少なくとも1m
g、2mg、3mg、4mg、5mg、又は6mgである。
【0205】
一部の実施形態では、医薬キットは、融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを
含む医薬組成物と、対象への、この医薬組成物の1回の投与又は2回の投与が亢進した細
胞性免疫応答を示さない場合、この医薬組成物の更なる投与を中止することに関する指示
と、を含み、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部から選択される、3つ以上のアミノ酸配
列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない。特定の実施形態で
は、1回の投与は、少なくとも約0.5mg、1mg、1.5mg、2mg、2.5mg
、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、又は5mgである。他の実施形態では、2
回の投与は、第1の用量及び第2の用量を含み、第1の用量が、少なくとも約0.5mg
、1mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg
、又は5mgであり、第2の用量が、少なくとも約0.5mg、1mg、1.5mg、2
mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、又は5mgである。更に
他の実施形態では、第1の用量及び第2の用量は同一である。更に他の実施形態では、第
1の用量及び第2の用量は異なる。
【0206】
特定の実施形態では、本キットの第1の用量は、約1mg~約5mg、約2mg~約4
mg、約1mg~約4mg、約1mg~約10mg、約1mg~約9mg、約1mg~約
8mg、約1mg~約7mg、約1mg~約6mgであり、本キットの第2の用量は、約
1mg~約5mg、約2mg~約4mg、約1mg~約4mg、約1mg~約10mg、
約1mg~約9mg、約1mg~約8mg、約1mg~約7mg、約1mg~約6mgで
ある。特定の実施形態では、本キットの第1の用量は、約1mg~4mgであり、本キッ
トの第2の用量は、約1mg~約4mgである。一部の実施形態では、第1の用量は、約
1mgであり、第2の用量は、約1mgである。他の実施形態では、第1の用量は、約2
mgであり、第2の用量は、約2mgである。更に他の実施形態では、第1の用量は、約
4mgであり、第2の用量は、約4mgである。
【0207】
V.製造方法
また、本発明は、ヒトパピローマウイルスに関連する疾患又は状態を処置するための治
療用分子を製造する方法にも関する。特に、治療用分子は、HPV由来の複数のたんぱく
質の全てのエピトープを含有するが、p53結合ドメイン及びpRb結合ドメインを含有
せず、又は、HPV由来のたんぱく質と二量体を形成しないように構築される。
【0208】
本発明の一実施形態は、ヒトパピローマウイルス感染により引き起こされる子宮頸部腫
瘍の処置又は予防において有効な、融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを製造
する方法であって、(i)融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを構築すること
であって、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部、から選択される、少なくとも3つのア
ミノ酸配列を含み、
融合たんぱく質は、p53に結合しないか、又は、HPV16若しくはHPV18のE
6たんぱく質と二量体を形成せず、融合たんぱく質は、pRbに結合しないか、又は、H
PV16若しくはHPV18のE7たんぱく質と二量体を形成しない、ことと、
(ii)このポリヌクレオチドを宿主細胞にトランスフェクションすることと、を含む
、方法を含む。別の実施形態では、融合たんぱく質は、完全なE6関連たんぱく質(AP
)結合部位を含まない。他の実施形態では、融合たんぱく質は、HPV16及びHPV1
7の天然のE6たんぱく質並びにHPV16及びHPV17の天然のE7たんぱく質に含
有される免疫原性についての少なくとも全てのエピトープを含む。
【0209】
本発明の一部の実施形態は、HPV16の天然のE6たんぱく質、HPV16の天然の
E7たんぱく質、HPV18の天然のE6たんぱく質、及びHPV18の天然のE7たん
ぱく質に含有される免疫原性についての少なくとも全てのエピトープを含む状態で、HP
V16のE6たんぱく質の配列、HPV16のE7たんぱく質の配列、HPV18のE6
たんぱく質の配列、及びHPV18のE7たんぱく質の配列を含む融合たんぱく質におけ
るP53結合部位及びpRb結合部位を除去する方法を含み、この方法は、(i)融合た
んぱく質をコードするポリヌクレオチドを構築することであって、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部を含み、ここで、
(a)HPV16のE6たんぱく質は、配列番号2に対応するアミノ酸35~135
のC末端において、HPV16のE6たんぱく質のN末端部(16E6Na-b)とHP
V16のE6たんぱく質のC末端部(16E6Cc-d)とに分割され、これらのN末端
部とC末端部は、互いにアライメントさせると、HPV16のE6たんぱく質の全配列と
任意のオーバーラップ配列を含み、
(b)HPV16のE7たんぱく質は、配列番号6に対応するアミノ酸18~97の
C末端において、HPV16のE7たんぱく質のN末端部(16E7Ne-f)とHPV
16のE7たんぱく質のC末端部(16E7g-h)とに分割され、これらのN末端部と
C末端部は、互いにアライメントさせると、HPV16のE7たんぱく質の全配列と任意
のオーバーラップ配列を含み、
(c)HPV18のE6たんぱく質は、配列番号6に対応するアミノ酸30~130
のC末端において、HPV18のE6たんぱく質のN末端部(18E6Ni-j)とHP
V18のE6たんぱく質のC末端部(18E6Nk-l)とに分割され、これらのN末端
部とC末端部は、互いにアライメントさせると、HPV18のE6たんぱく質の全配列と
任意のオーバーラップ配列を含み、
(d)HPV18のE7たんぱく質は、配列番号8に対応するアミノ酸21~104
のC末端において、HPV18のE7たんぱく質のN末端部(18E7Nm-n)とHP
V18のE7たんぱく質のC末端部(18E7Co-p)とに分割され、これらのN末端
部とC末端部は、互いにアライメントさせると、HPV18のE7たんぱく質の全配列と
任意のオーバーラップ配列を含む、ことと、(ii)このポリヌクレオチドを宿主細胞に
トランスフェクションすることと、を含む。
【0210】
特定の実施形態では、(a)におけるHPV16のE6たんぱく質についてのオーバー
ラップ配列は、少なくとも1個のアミノ酸、少なくとも2個のアミノ酸、少なくとも2個
のアミノ酸、少なくとも3個のアミノ酸、少なくとも4個のアミノ酸、少なくとも5個の
アミノ酸、少なくとも10個のアミノ酸、少なくとも15個のアミノ酸、又は少なくとも
20個のアミノ酸を含むか、(b)におけるHPV16のE7たんぱく質についてのオー
バーラップ配列は、少なくとも1個のアミノ酸、少なくとも2個のアミノ酸、少なくとも
2個のアミノ酸、少なくとも3個のアミノ酸、少なくとも4個のアミノ酸、少なくとも5
個のアミノ酸、少なくとも10個のアミノ酸、少なくとも15個のアミノ酸、又は少なく
とも20個のアミノ酸を含むか、(c)におけるHPV18のE6たんぱく質についての
オーバーラップ配列は、少なくとも1、2、5、10、15、20、25、30、35、
又は40個のアミノ酸を含むか、又は、(d)におけるHPV18のE7たんぱく質につ
いてのオーバーラップ配列は、少なくとも1、2、5、10、15、20、25、30、
35、又は40個のアミノ酸を含み、ここで、これらのオーバーラップ配列は、E6たん
ぱく質又はE7たんぱく質のN末端部及びC末端部への開裂により、破壊され、又は、欠
失した任意のエピトープを追加し、又は、提供するために十分なものである。
【0211】
他の実施形態では、HPV16のE6たんぱく質、HPV16のE7たんぱく質、HP
V18のE6たんぱく質、及びHPV18のE7たんぱく質の免疫原性についての全ての
エピトープを含む状態で、HPV16のE6たんぱく質の配列、HPV16のE7たんぱ
く質の配列、HPV18のE6たんぱく質の配列、及びHPV18のE7たんぱく質の配
列を含む融合たんぱく質における、HPV16及び/若しくはHPV18のE6たんぱく
質、並びに/又は、HPV16及び/若しくはHPV18のE7たんぱく質の二量体の形
成を防止する方法であって、(i)融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを構築
することであって、融合たんぱく質は、
(1)HPV16のE6たんぱく質のN末端部、
(2)HPV16のE6たんぱく質のC末端部、
(3)HPV16のE7たんぱく質のN末端部、
(4)HPV16のE7たんぱく質のC末端部、
(5)HPV18のE6たんぱく質のN末端部、
(6)HPV18のE6たんぱく質のC末端部、
(7)HPV18のE7たんぱく質のN末端部、及び
(8)HPV18のE7たんぱく質のC末端部を含み、ここで、
(a)HPV16のE6たんぱく質は、配列番号2に対応するアミノ酸37~72の
C末端において、HPV16のE6たんぱく質のN末端部(16E6Na-b)とHPV
16のE6たんぱく質のC末端部(16E6Cc-d)とに分割され、これらのN末端部
とC末端部は、互いにアライメントさせると、HPV16のE6たんぱく質の全配列と任
意のオーバーラップ配列を含み、
(b)HPV16のE7たんぱく質は、配列番号6に対応するアミノ酸44~97の
C末端において、HPV16のE7たんぱく質のN末端部(16E7Ne-f)とHPV
16のE7たんぱく質のC末端部(16E7g-h)とに分割され、これらのN末端部と
C末端部は、互いにアライメントさせると、HPV16のE7たんぱく質の全配列と任意
のオーバーラップ配列を含み、
(c)HPV18のE6たんぱく質は、配列番号4に対応するアミノ酸32~67の
C末端において、HPV18のE6たんぱく質のN末端部(18E6Ni-j)とHPV
18のE6たんぱく質のC末端部(18E6Nk-l)とに分割され、これらのN末端部
とC末端部は、互いにアライメントさせると、HPV18のE6たんぱく質の全配列と任
意のオーバーラップ配列を含み、
(d)HPV18のE7たんぱく質は、配列番号8に対応するアミノ酸47~104
のC末端において、HPV18のE7たんぱく質のN末端部(18E7Nm-n)とHP
V18のE7たんぱく質のC末端部(18E7Co-p)とに分割され、これらのN末端
部とC末端部は、互いにアライメントさせると、HPV18のE7たんぱく質の全配列と
任意のオーバーラップ配列を含む、ことと、(ii)このポリヌクレオチドを宿主細胞に
トランスフェクションすることと、を含む。他の実施形態では、(a)におけるHPV1
6のE6たんぱく質についてのオーバーラップ配列は、少なくとも1、2、5、10、1
5、20、25、30、35、又は40個のアミノ酸を含むか、(b)におけるHPV1
6のE7たんぱく質についてのオーバーラップ配列は、少なくとも1、2、5、10、1
5、20、25、30、35、又は40個のアミノ酸を含むか、(c)におけるHPV1
8のE6たんぱく質についてのオーバーラップ配列は、少なくとも1、2、5、10、1
5、20、25、30、35、又は40個のアミノ酸を含むか、又は、(d)におけるH
PV18のE7たんぱく質についてのオーバーラップ配列は、少なくとも1、2、5、1
0、15、20、25、30、35、又は40個のアミノ酸を含む。
【0212】
一部の実施形態では、融合たんぱく質をコードするポリヌクレオチドを製造する方法は
、本明細書で記載されるいずれかの治療用分子をもたらし得る。他の実施形態では、本方
法は、本明細書で記載されているが、配列番号9を含まない、いずれかのポリヌクレオチ
ドをもたらす。
【0213】
V.A.1.宿主細胞
また、本発明は、本発明のポリヌクレオチド分子を含む宿主細胞も提供する。本明細書
で使用する場合、「形質転換」という用語は、DNAをレシピエントの宿主細胞内に導入
し、遺伝子型を変化させ、その後に、レシピエント細胞に変化をもたらすことを意味する
、広い意味で使用されるであろう。
【0214】
「宿主細胞」は、組換えDNA技術を使用して構築され、少なくとも1つの異種遺伝子
をコードするベクターにより、形質転換される細胞を意味する。本発明の宿主細胞は、好
ましくは、哺乳類起源、最も好ましくは、ヒト又はマウス起源のものである。当業者であ
れば、その目的に最も適した特定の宿主細胞株を優先的に決定する能力を有すると考えら
れる。例示的な宿主細胞株には、CHO、CAPTI、DG44、及びDUXB11(チ
ャイニーズハムスター卵巣細胞、DHFR陰性)、HELA(ヒト子宮頸癌)、CVI(
サル腎臓株)、COS(SV40 T抗原を含むCVIの派生株)、R1610(チャイ
ニーズハムスター繊維芽細胞)、BALBC/3T3(マウス繊維芽細胞)、HAK(ハ
ムスター腎臓株)、SP2/O(マウスメラノーマ)、P3.times.63-Ag3
.653(マウスメラノーマ)、BFA-1c1BPT(ウシ内皮細胞)、RAJI(ヒ
トリンパ球)、PER.C6(登録商標)、NS0、CAP、BHK21、及びHEK2
93(ヒト腎臓)が挙げられるが、これらに限定されない。宿主細胞株は、商業的なサー
ビスであるAmerican Tissue Culture Collection又
は公表された文献から典型的に入手できる。
【0215】
本発明の単離された核酸分子の宿主細胞内への導入は、当業者に周知の種々の技術によ
り達成され得る。これらには、トランスフェクション(電気泳動及びエレクトロポレーシ
ョンを含む)、原形質融合、リン酸カルシウム沈殿、エンベロープDNAによる細胞融合
、マイクロインジェクション、及びインタクトなウイルスによる感染が挙げられるが、こ
れらに限定されない。Ridgway,A.A.G.「Mammalian Expre
ssion Vectors」Chapter 24.2,pp.470~472 Ve
ctors,Rodriguez and Denhardt,Eds.(Butter
worths,Boston,Mass.1988)を参照のこと。最も好ましくは、宿
主内へのプラスミド導入は、エレクトロポレーションによる。形質転換細胞は、軽鎖及び
重鎖の生成に適した条件下において増殖され、重鎖及び/又は軽鎖たんぱく質の合成につ
いてアッセイされる。例示的なアッセイ技術は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA
)、放射免疫アッセイ(RIA)、又は蛍光活性化セルソーター分析(FACS)、免疫
組織化学などを含む。
【0216】
特定の実施形態では、本発明の核酸分子は、エレクトロポレーションにより、対象に投
与される。インビボでのエレクトロポレーション(EP)は、注入されたDNAのトラン
スフェクション効率及び免疫細胞、例えば、樹状細胞、T及びBリンパ球の免疫化部分へ
のリクルートを向上させるために、小さく局所的な電界を同時に加えることにより、DN
Aワクチンの免疫原性を顕著に増大させる技術である。動物における動物実験から、イン
ビボでのEPは、数多くの抗原をコードするDNAワクチンの免疫原性を向上させること
が示されてきた。ヒトにおいては、インビボでのEPは、化学療法剤を腫瘍に直接送達す
ることにおいて成功してきた。ごく最近、腫瘍抗原をコードするDNAワクチンが、癌患
者に対して、可能性のある免疫療法として、EPにより投与された(Vasan et
al.,Plos One 6(5):1~10、2011)。
【0217】
本発明の単離された核酸分子を含む宿主細胞は、適切な増殖培地中において増殖される
。本明細書で使用する場合、「適切な増殖培地」という用語は、細胞の増殖に必要とされ
る栄養素を含有する培地を意味する。細胞増殖に必要とされる栄養素は、炭素源、窒素源
、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、及び成長因子を含み得る。場合により、培地は、
1つ又は2つ以上の選択因子を含有し得る。場合により、培地は、仔ウシ血清又はウシ胎
児血清(FCS)を含有し得る。一実施形態において、培地は、IgGを実質的に含有し
ない。増殖培地は、一般的には、DNA構築物を含有する細胞を、例えば、DNA構築物
上の選択マーカーにより補足され、DNA構築物と共トランスフェクションされた、薬剤
選択又は必須栄養素の欠損により選択するであろう。培養される哺乳類細胞は、一般的に
は、市販の血清含有又は血清非含有の培地(例えば、MEM、DMEM、DMEM/F1
2)中において増殖される。一実施形態において、培地は、CDoptiCHO(Inv
itrogen,Carlsbad,CA.)である。別の実施形態では、培地は、CD
17(Invitrogen,Carlsbad,CA.)である。使用される特定の細
胞株に適した培地の選択は、当業者のレベル内である。
【0218】
V.A.2.ポリペプチドの調製
また、本発明は、ポリヌクレオチド分子又はポリヌクレオチド分子によりコードされた
ポリペプチドを提供する。
【0219】
組換えたんぱく質生成のために、融合たんぱく質をコードする本発明のポリヌクレオチ
ド配列は、適切な発現ビヒクル、即ち、挿入されたコード配列の転写及び翻訳に必須のエ
レメント、又は、RNAウイルスベクターの場合には、複製及び翻訳に必須のエレメント
を含有するベクター内に挿入される。
【0220】
本発明のポリヌクレオチド配列は、ベクター内に適切な読み枠で挿入される。ついで、
発現ベクターは、ポリペプチドを発現させるであろう、適切なターゲット細胞内にトラン
スフェクションされる。当技術分野において公知のトランスフェクション技術には、リン
酸カルシウム沈殿(Wigler et al.1978,Cell 14:725)及
びエレクトロポレーション(Neumann et al.1982,EMBO,J.1
:841)が挙げられるが、これらに限定されない。各種の宿主発現ベクター系が、本明
細書で記載される融合たんぱく質を、真核生物細胞中で発現させるために利用され得る。
一実施形態において、真核生物細胞は、哺乳類細胞を含む動物細胞(例えば、HEK29
3細胞、CAPTI、PER.C6(登録商標)、CHO、BHK、Cos、HeLa細
胞)である。
【0221】
本発明の融合たんぱく質は、トランスジェニック動物、例えば、げっ歯類、ヤギ、ヒツ
ジ、ブタ、又はウシ中で合成され得る。「トランスジェニック動物」という用語は、その
ゲノム内に外来遺伝子を包含している非ヒト動物を意味する。この遺伝子は、生殖細胞系
組織に存在するため、親から子孫に受け継がれる。外来性遺伝子は、単細胞胚内に導入さ
れる(Brinster et al.1985,Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA 82:4438)。トランスジェニック動物を製造する方法は、免疫グロブ
リン分子を生成する遺伝子組換えを含めて、当技術分野において公知である(Wagne
r et al.1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:6
376;McKnight et al.1983,Cell 34:335;Brin
ster et al.1983,Nature 306:332;Ritchie e
t al.1984、Nature 312:517;Baldassarre et
al.2003,Theriogenology 59:831;Robl et al
.2003,Theriogenology 59:107;Malassagne e
t al.2003,Xenotransplantation 10(3):267)
。
【0222】
発現ベクターは、組換え的に生成されたたんぱく質の容易な精製又は特定を可能にする
タグをコードし得る。例としては、限定するわけではないが、ベクターpUR278(R
uther et al.1983,EMBO J.2:1791)を含む。このベクタ
ー中において、本明細書で記載される融合たんぱく質をコードする配列は、このベクター
内のlacZコード領域を含むフレーム中にライゲートされ得、これにより、ハイブリッ
ドたんぱく質が生成される。pGEXベクターは、グルタチオンS-トランスフェラーゼ
(GST)タグを含むたんぱく質を発現させるために使用され得る。これらのたんぱく質
は、通常、可溶性であり、グルタチオン-アガロースビーズへの吸着、続けて、遊離グル
タチオンの存在下での溶出により、細胞から容易に精製され得る。ベクターは、精製後の
タグの容易な除去のために、開裂部位(例えば、PreCissionプロテアーゼ(P
harmacia,Peapack,N.J.))を含む。
【0223】
本発明の目的で、数多くの発現ベクター系が利用され得る。これらの発現ベクターは、
典型的には、宿主生物中において、エピソーム、又は、宿主の染色体DNAの必須部分の
いずれかとして複製可能である。発現ベクターは、発現制御配列を含み得る。同発現制御
配列には、プロモーター(例えば、本来関連するプロモーター又は異種プロモーター)、
エンハンサー、シグナル配列、スプライシングシグナル、エンハンサーエレメント、及び
転写終了配列が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、発現制御配列は、真
核生物の宿主細胞を形質転換又はトランスフェクション可能な、ベクター中の真核生物の
プロモーター系である。また、発現ベクターは、動物ウイルス、例えば、ウシパピローマ
ウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイル
ス、レトロウイルス(RSV、MMTV、又はMOMLV)、サイトメガロウイルス(C
MV)、又はSV40ウイルス由来のDNAエレメントを利用し得る。他のものは、内部
リボソーム結合部位を含むポリシストロニック系の使用を含む。
【0224】
一般的には、発現ベクターは、所望のDNA配列で形質転換されたそれらの細胞の検出
を可能にする、選択マーカー(例えば、アンピシリン抵抗性、ヒグロマイシン抵抗性、テ
トラサイクリン抵抗性、又はネオマイシン抵抗性)を含有する(例えば、Itakura
et al.,米国特許第4,704,362号を参照のこと)。染色体内にDNAを
組み込んだ細胞は、トランスフェクションされた宿主細胞の選択を可能にする、1つ又は
2つ以上のマーカーを導入することにより選択され得る。これらのマーカーは、栄養要求
性宿主に対する原栄養性、殺生物剤抵抗性(例えば、抗生物質)、又は重金属、例えば、
銅に対する抵抗性を提供し得る。選択マーカー遺伝子は、発現されるDNA配列に直接連
結されるか、又は、共形質転換により同じ細胞内に導入されるかのいずれかであり得る。
【0225】
より一般的には、ポリペプチドをコードするベクター又はDNA配列が調製された後、
発現ベクターは、適切な宿主細胞内に導入され得る。即ち、宿主細胞は、形質転換され得
る。プラスミドの宿主細胞内への導入は、上記で検討されるように、当業者に周知の種々
の技術により達成され得る。組換え宿主からのポリペプチドの単離のためのプロセスの説
明において、「細胞」及び「細胞培養物」という用語は、明確に別の方法で示さない限り
、ポリペプチドの起源を示すために、同じ意味で使用される。即ち、「細胞」からのポリ
ペプチドの回収は、スピンダウンした全細胞から、又は、培地及び懸濁細胞の両方を含有
する細胞培養物からのいずれかを意味し得る。
【0226】
また、本発明のポリペプチドをコードする遺伝子は、非哺乳類細胞、例えば、細菌又は
酵母又は植物細胞中において、遺伝子数を増大させるために倍加され得る。これに関して
、種々の単細胞の非哺乳類微生物、例えば、細菌、即ち、培養又は発酵中に増殖され得る
ものも、形質転換され得ることが理解されるであろう。形質転換に感受性の細菌は、腸内
細菌科のメンバー、例えば、大腸菌又はサルモネラ;バチルス科、例えば、Bacill
us subtilis;肺炎球菌;レンサ球菌、及びHaemophilus inf
luenzaeの株を含む。細菌中で発現された場合、ポリペプチドは、典型的には、封
入体の一部になることが、更に理解されるであろう。ポリペプチドは、単離され、精製さ
れ、ついで、機能性分子にアセンブルされるべきである。
【0227】
あるいは、本発明の最適化されたヌクレオチド配列は、トランスジェニック動物のゲノ
ム内への導入用の導入遺伝子に組み込まれ、その後、トランスジェニック動物の乳中に発
現させ得る(例えば、Deboer et al.,米国特許第5,741,957号、
Rosen,米国特許第5,304,489号、及びMeade et al.,米国特
許第5,849,992号を参照のこと)。適切な導入遺伝子は、哺乳類腺特異的遺伝子
、例えば、カゼイン又はベータラクトグロブリンからのプロモーター及びエンハンサーと
の操作可能な連結におけるポリペプチド用のコード配列を含む。インビトロ生成は、所望
のポリペプチド又はポリヌクレオチドを大量に得るために、規模拡大が可能である。
【実施例】
【0228】
(実施例1)
HPV E6/E7 DNA治療ワクチン(GX-188)
本明細書で記載されるpGX-188治療HPV DNAワクチン(GX-188)は
、FLT3Lの細胞外ドメイン及びtpaのシグナル配列に融合された、HPV血清型1
6及び18(HPV16及びHPV18)のE6及びE7たんぱく質をコードするプラス
ミドDNAを含有する(
図1A)。
【0229】
合成のコドン最適化E6又はE7遺伝子を、小さなオーバーラップ配列(16個のアミ
ノ酸をコード)を有する2つの部分(C末端領域及びN末端領域)にフラグメント化し、
図1Aに示されるように、シャッフルした。tpa、FLT3L、及びシャッフルされた
E6/E7遺伝子を含む融合DNA配列を、pGX27ベクター(Park K.S.,
et al.,Vaccine.29:5481~5487,2011)中に挿入して、
pGX27-tFE6E7を生成した。GX-188 DNAワクチンを、E.coli
DH5a中で、cGMP条件下において生成した。
【0230】
293T細胞を、pGX27コントロールベクターのみ、GX-188、又は野生型E
6若しくはE7遺伝子を挿入したpGX27でトランスフェクションした。トランスフェ
クションの24時間後、細胞ライゼートを調製し、たんぱく質発現を、免疫ブロットによ
り分析した。細胞の核画分及び細胞質画分を、下記のように調製した。細胞を、氷冷した
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で1回洗浄し、3,000rpmで5分間収集した。細
胞を、緩衝液A(10mM HEPES、pH7.9、10mM KCl、0.2mM
EDTA、1mM DTT、0.25mM PMSF、及びプロテアーゼ阻害剤カクテル
)中に再懸濁させた。氷上で5分間インキュベートした後、NP-40を、終濃度0.2
5%で加えた。混合物を、高速で10秒間ボルテックスした。抽出物を、13,000r
pmで30分間遠心分離することにより収集した。上清を、細胞質抽出物として収集した
。ペレットを、緩衝液B(20mM HEPES、pH7.9、420mM NaCl、
2mM EDTA、1mM DTT、0.25mM PMSF、及びPIC)中に再懸濁
させ、続けて、穏やかな振とう下において、4℃で30分間インキュベートした。この混
合物を、13,000rpmで15分間スピンした。上清を、核抽出物として収集した。
ホールセルのたんぱく質ライゼートのために、細胞を、溶解緩衝液(20mM HEPE
S、pH7.4、150mM NaCl、5mM EDTA、10%グリセロール、0.
5% Triton X-100、1mM DTT、1mM PMSF、1mM NaF
、1mM Na3Vo4、及びPIC)中に再懸濁させた。下記抗体を使用した。San
ta Cruz Biotechnology,Inc.,から購入した抗HPV16
E6(N-17)、抗HPV16 E7(ED17)、抗p53(FL-393)、抗p
Rb(C-15)抗体、並びに、Abcamから購入した抗ラミンB1及び抗β-チュー
ブリン抗体。
【0231】
FLT3L及びtpaを包含させた目的は、抗原提示及び融合たんぱく質の分泌経路へ
の輸送のそれぞれを促進することである。GX-188誘引E6/E7融合たんぱく質が
トランスフェクションされた細胞の細胞質区画においてのみ検出されたために、tpaの
活性は明らかである。一方、tpaを含まない同じベクターにより発現されたE7たんぱ
く質は、
図2Aに示されるように、細胞質区画及び核区画の両方において見出された。遺
伝子シャッフルを、融合たんぱく質のE6及びE7領域のホモ二量体を防止するように行
った。この二量体化は、腫瘍抑制たんぱく質であるp53及びpRbのその結合及び分解
に重要である(Zanier K.,et al.,Structure.20:604
~617,2012;Liu X.,et al.,The Journal of B
iological Chemistry.281:578~586、2006)。GX
-188 DNAワクチンにより生成されたE6/E7融合たんぱく質は、p53及びp
Rbたんぱく質を分解できなかったが、野生型E6及びE7たんぱく質は、
図2B及び2
Cそれぞれに示されるように、その分解を誘引した。
【0232】
試験設計及び患者
この第1相臨床試験を、非盲検、単一施設、用量漸増試験として、Cheil Gen
eral Hospital & Women’s Healthcare Cente
r,Seoul,Koreaにおいて行った。プライマリーエンドポイントは、子宮頸部
上皮内腫瘍3(CIN3)を有する患者における安全性及び忍容性を評価することとした
。セカンダリーエンドポイントは、本明細書で記載されるIFN-γ ELISPOTに
より測定された、HPV E6及びE7特異的T細胞免疫応答の全身性誘引と、子宮頸部
に含まれる病変及びHPV感染状態の変化とを含んだ。組織学的及びウイルス学的に証明
されたHPV16又はHPV18関連CIN3を有する20~50歳の年齢の女性を、本
試験に登録した。CIN3を、膣頸管検査直接生検により確認した。HPV16又はHP
V18陽性を、ポリメラーゼ連鎖反応により決定した。B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイ
ルス、又はヒト免疫不全ウイルス感染、不整脈を含む異常な心電図検査(ECG)、重篤
な薬物有害事象又は重篤なアレルギー性疾患の既往歴を有する対象を除外した。妊娠中又
は妊娠を計画していた女性は、本試験に募集しなかった。一連の3回のワクチン注射から
なるワクチン接種を、0週、4週、及び12週において、交互の三角筋に筋肉内投与した
。標準的な3+3用量漸増スキームを行い、1mg、2mg、及び4mgの用量レベルを
試験した。最大用量において、4mgのGX-188を、2mg+2mgに分割し、左右
の三角筋に注射した。筋肉内注射器には、細胞内へのDNA取込みを容易にするために、
EPデバイス(TriGrid Delivery System,Ichor med
ical systems,Inc.)を使用した。
【0233】
本研究の組み入れ基準及び除外基準に従って、CIN3のみを有する11名のスクリー
ニングされた患者のうちの9名を登録した(表1)。スクリーニングされた患者を、治験
の開始の2週間前のスクリーニング(VS)時点の受診時において、膣頸管検査、細胞学
、組織学、及びHPV型検査を含む複数の方法により調査した。膣頸管検査、組織学、子
宮頸管内細胞学、及びHPV遺伝子型判定試験を含む評価を、治験実施施設におけるロー
カルラボにより行った。この評価を、標準化された方法又はCheil General
Hospital and Women’s Healthcare Centerの
内部プロトコルを遵守して行った。処置に対する応答を、GX-188ワクチン接種の2
0週及び36週後に、ウイルス学及び組織学の結果を使用して評価した。
【0234】
組織学的及び細胞学的評価組織学的評価のために、生検サンプルを、スクリーニング中
と、20週及び36週における2回のフォローアップ受診時に採取した。サンプルを、1
0%ホルムアルデヒドで固定した。4~5μmの切片を、ヘマトキシリン及びエオシン(
H&E)で染色した。子宮頸管内サンプルを、膣頸管検査中に、サイトブラシ(Cyty
c Corp.,Boxborough,MA)を使用して収集した。この子宮頸管内細
胞学試験も、GX-188ワクチン接種の評価のために、組織学に加えて使用した。組織
学的及び細胞学的分析からのデータを、少なくとも2名の病理医により、独立してレビュ
ーした。結果を、全ての病理医及び研究者の会議により議論した後に確認した。
【0235】
ウイルス学的応答についてのPCRHPV型判定を、対象がHPV16及び/又はHP
V18に感染したかどうかを決定するために行った。サンプルを、スワブ型デバイスを使
用することにより、子宮頸部から収集した。トータルDNAを、ACCUPREP(登録
商標)ゲノムDNA抽出キット(Bioneer Com.Seoul,Korea)を
使用して抽出した。HPV検出及び遺伝子型判定を、多重PCRシステムにより、IVD
CEマークSEEPLEX(登録商標)HPV4A ACEスクリーニングキット(S
eegene Inc.,Seoul,Korea)を使用し、製造メーカーのプロトコ
ルに従って行った。SEEPLEX(登録商標)HPV4A ACEスクリーニングキッ
トは、HPV16、HPV18、他の高リスク型(高リスク共通:26、31、33、3
5、39、45、51、52、53、56、58、59、66、68、73、及び/又は
82)、HPV6、及びHPV11型を、同時に特定することができる。PCR産物を、
自動MultiNA機器(株式会社島津製作所,東京,日本)を使用して分析した。HP
V DNA遺伝子型判定を、Cheil HPV DNAチップを使用してリアルタイム
PCRにより、子宮頸部細胞において二重チェックして、既に記載されたように、HPV
遺伝子型の精度を補償した(Hahn,H.S.,et al.,European j
ournal of obstetrics、gynecology,and repr
oductive biology169:202~206,2013)。
【0236】
HLAの配列ベースの型判定(SBT)を、ヘテロ接合性増幅、続けて、HLA-A及
び-Bの完全なエクソン2、3の配列決定により行った。遺伝子座特異的増幅プライマー
を、社内法において使用した。PCRによる増幅後に、PCR産物のアガロースゲル電気
泳動を行って、量及び質を評価した。ABI PRISM BigDyeターミネーター
キット(Applied Biosystems,CA,USA)及び自動ABI377
DNAシーケンサー(Applied Biosystems,CA,USA)を使用
するサイクル配列決定反応を行った。これらのデータを、SBT分析プログラム(Con
exio Genomics,Assign SBT v3.5.1)を使用することに
より分析した。
【0237】
GX-188ワクチンは、9名の患者のうちの7名(78%)において、完全な応答を
達成した。7名の応答者の中でも、ヒト白血球抗原(HLA)-A*02を保有する6名
の患者は、高い多機能性CD8 T細胞応答及びCIN3の完全な退縮を示した(表5)
。
【0238】
参加した全ての対象は、GX-188 DNAワクチンの3回の注射を、エレクトロポ
レーションにより受けた。最後の2回の注射は、1回目の注射の4週後及び12週後に行
った(
図1B)。全ての対象が、2、4、8、及び16週間の間隔において、処置(VT
)及びフォローアップ(VF)の間に合計6回の受診を完了し、脱落者は出なかった(図
1B)。
【0239】
【0240】
合計49の有害事象(AE)が、全受診中に記録された。湿疹、出血斑、膣のかゆみ、
眠気、食欲不振、及びめまいを含む23のAEを、ワクチン接種には無関係であると判定
した。悪寒、注射部位の疼痛、浮腫、及び知覚鈍麻を含む19のAEを、GX-188ワ
クチン接種に関連すると記録した(表2)。頭痛、鼻炎、及び疲労を含む残り7のAEの
原因は不明であったが、それらは、GX-188ワクチン接種に関連している可能性があ
ると考えられた。GX-188ワクチン関連AEの発生は、より高い用量において、より
頻繁になった(1mgコホートについては3、2mgコホートについては9、及び4mg
コホートについては14)。これは、おそらく、注射量の増大のためである(1mgコホ
ートについては0.5mL、2mgコホートについては1mL、及び4mgコホートにつ
いては2mL)。ただし、これらのAEは全て、軽度(グレード1)であると考えられた
。全ての患者は、GX-188ワクチン接種後3日以内に完全に回復した。いずれの所定
用量においても、重篤なAE、及び検査所見の異常のどちらも観察されなかった(表6及
び表7)ため、GX-188の用量を、本臨床試験プロトコルの3+3用量漸増設計に従
って各用量レベルにおいて更なる3名の対象の登録をすることなく、1mgから2mgに
、ついで、4mgに増大させた(各用量において3名の患者)。
【0241】
【0242】
【表7】
データを、平均値±標準偏差として表わす。
【0243】
FLT3Lたんぱく質の投与が白血球(WBC)の頻度(frequency)を向上させ得る
ことが報告されていることから(Maraskovsky,E.,et al.,Blo
od 96:878~884,2000;Evans,T.G.,et al.,Vac
cine 21:322~329,2002)、WBC数及びFLT3Lレベルを、血中
で測定した。WBC数の変化は観察されなかった(表6)。これは、GX-188ワクチ
ン接種に基づいて、血中FLT3Lレベルがほとんどアップレギュレーションされなかっ
たためであろう(表8)。
【0244】
【表8】
データを、平均値±標準偏差として表わす。(pg mL
-1)
【0245】
本明細書で記載されるアプローチの免疫学的安全性を決定するために、EPによるGX
-188 DNAワクチンを多く送達することにより、抗FLT3L及び抗DNA抗体が
生じたかどうかを調査した。これらの抗体は、自己免疫疾患に関連することが公知である
(Saade,F.and Petrovsky,N.,Expert review
of vaccines11:189~209,2012)。
【0246】
血中FLT3Lレベルを、FLT3L ELISAキット(DFK00,R&D Sy
stems)を使用し、製造メーカーの指示に従って測定した。簡潔には、血漿サンプル
及び標準を、ヒトFLT3Lに特異的なモノクローナル抗体でコートしたマイクロプレー
トに加えた。結合しなかった物質を洗い流した後、ヒトFlt-3リガンドに特異的な酵
素結合ポリクローナル抗体を、ウェルに加えた。結合しなかった抗体-酵素試薬を除去す
る洗浄後に、基質溶液を、ウェルに加えた。発色を、2N硫酸を加えることにより停止さ
せた。色の強度を、マイクロプレートリーダー(Molecular devices,
SpectraMax plus 384)を使用して測定した。血中FLT3Lレベル
(pg/mL)を、log/log曲線当嵌めを生成可能なコンピュータソフトウェア(
SoftMax Pro Software,v5.4.1)を使用して検量線を作製す
ることにより算出した。データを、トリプリケートサンプルの平均値±標準偏差として表
わす。
【0247】
抗dsDNA抗体レベルを、ELISA(CHORUS dsDNA-G,DIESS
E,Italy)により決定した。簡潔には、血漿(50μl)を、精製されたヒトDN
Aでコートしたマイクロプレートウェル内に加えた。ついで、洗浄後に、インキュベーシ
ョンを、西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートした抗ヒトIgG抗体と共に行っ
た。結合しなかったコンジュゲートを除去した。TMB基質を加えた。結果の妥当性をチ
ェックするために、キットに添付のコントロールサンプルを使用した。コントロールサン
プルについてのシグナルが許容範囲外の値を有する場合、校正を繰り返すべきである。校
正範囲を、10.0~150.0IU mL-1とした。試験サンプルを、下記のように
解釈した。結果が30.0IU mL-1超の場合には陽性、結果が20.0IU mL
-1未満の場合には陰性、20.0~30.0IU mL-1の全ての値については疑わ
しい。疑わしい結果の場合には、試験を、繰り返すべきである。診断感度、交叉反応、特
異性、及び試験精度は、キットのマニュアルに記載されていた。検出限界は、10IU
mL-1であった。
【0248】
抗FLT3L抗体レベルは、コントロール血清と比較して、ワクチン接種後に有意には
誘引されなかった(データを示さず)。CIN3を有する患者の血中のDNAに対する抗
体レベルは、検出限界を下回った(表9)。このレベルは、EPなしにDNAワクチンで
免疫化された対象から得られた以前の結果と同等である(Le,T.P.,et al.
,Vaccine 18:1893~1901,2000;Yang,S.H.,et
al.,Gene Therapy 13:1110~1117,2006)。まとめる
と、これらの結果から、EP及び遺伝子アジュバントの包含は、DNAワクチンの臨床試
験において比較的忍容性であり、EPなしでの基本的なDNAワクチンの投与で観察され
た安全性プロファイルに非常に類似することが示される。
【0249】
【0250】
(実施例2)
細胞性免疫におけるGX-188ワクチン接種の効果
GX-188により誘引される細胞性免疫応答を調査するために、患者の末梢血単核球
(PBMC)を、HPV16又はHPV18のE6及びE7たんぱく質の全長をカバーす
るオーバーラップペプチドの混合物で刺激することにより、HPV特異的IFN-γ分泌
T細胞数を測定した。IFN-γ ELISPOTアッセイを、GX-188ワクチン接
種前のVS時点(-2週)と、同ワクチン接種中のVT2(2週)及びVT4時点(8週
)と、同ワクチン接種後のVF1(20週)及びVF2時点(36週)で行った。
【0251】
凍結保存し、融解させたPBMCを、OPTMIZER(商標)CTS(商標)培地(
Life technologies)と、37℃、5% CO2において、6時間以上
適応させた。その後、PBMC(ウェル当たりに2×105個)を、2μg mL-1の
HPV16及びHPV18のE6又はE7由来ペプチド(10個のアミノ酸オーバーラッ
プを含む20mer)の4種類のプールで、48時間刺激した。フィトヘマグルチニン(
PHA)及び培地のみをそれぞれ、陽性及び陰性コントロールとして使用した。刺激後、
IFN-γ分泌細胞を示すスポットを、製造メーカーの指示(BD Bioscienc
e)に従って発色させた。スポット数を、自動IMMUNOSPOT(登録商標)分析器
(Cellular Technology Ltd.)で分析した。HPV特異的応答
を、培地のみのコントロールにおけるスポットの平均数を、実験ウェルにおけるスポット
の平均数から差し引くことにより算出した。同応答を、106個のPBMC当たりにSF
Cとして表わした(Urbani,S.et al.,J Exp Med.,201(
5):675~80、2005)。このアッセイは、トリプリケートで行った。スポット
のバックグラウンド数は、5.7±2.2(平均±標準偏差)であった。抗原特異的T細
胞応答は、バックグラウンドを差し引いた抗原ウェルの平均数が培地コントロールの平均
数より3倍高かった場合、陽性であり、又は、106個のPBMC当たりに55SFCを
超えると考えられた(Barnes,E.et al.,Sci Transl Med
.4(115):115ra1,2012;Streeck,H.et al.,Nat
Protoc.,4(4):461~9,2009)。加えて、分析後のワクチン誘引
応答を、ワクチン接種前の結果と比較して、ワクチン接種後のT細胞頻度における、少な
くとも3倍の上昇として定義した(de Vos van Steenwijk,P.J
.et al.,Cancer Immunol Immunother.,61(9)
:1485~92,2012)。
【0252】
比較的高い既存のIFN-γ ELISPOT応答を、ワクチン接種前に、1名の患者
(A03)において検出したが、他の8名の患者は、弱い既存のHPV特異的細胞性免疫
を表わした。上記された基準に基づいて、全ての対象は、
図3A~3Iで示されるように
、ワクチン接種前のバックグラウンドレベルと比較して、ワクチン誘引E6及びE7特異
的IFN-γ ELISPOT応答における顕著な向上を示した。9名の患者のうちの2
名(A06及びA08)は、1回の免疫化後(VT2)でも、相当向上したIFN-γ応
答を表わした。更なる4名の患者は、2回のワクチン接種後(VT4)に、このような向
上した応答を示した。1mg用量群における2名の患者(A01及びA03)(
図3A及
び3D)は、GX-188ワクチンの3ショット後(VF1)に、向上したIFN-γ応
答を表わした。これは、ワクチン誘引細胞性免疫応答は、GX-188ワクチン接種の間
において、全ての患者において進行的に強くなったことを示唆している。特に、患者A0
8(
図3H)は、10
6のPBMC当たりに最大3,500のスポット形成単位(SFU
)の反応性を伴って、最も大きいIFN-γ ELISPOT応答を示した。E6抗原に
対するT細胞応答は、
図3A~3Iで示されるように、全ての患者におけるE7抗原に対
するT細胞応答より強力であったと考えられる(VF1において、E6に対して69~8
9%である一方で、E7に対して11~31%)。
【0253】
免疫化後約4週で通常形成し始めるメモリーT細胞の確立は、通常、ワクチンの保護活
性に必要不可欠な要因の1つである(Wherry,E.J.and Ahmed、R.
,Journal of Virology 78:5535~5545,2004;K
aech,S.M.,et al.,Nature reviews Immunolo
gy 2:251~262,2002)。比較的高いレベルのIFN-γ ELISPO
T応答が、最後のワクチン接種後24週(VF2)において、9名の患者のうちの8名に
おいて観察された。同応答は、ワクチン接種後8週(VF1)における応答と比較した場
合、1名の患者(A03)について低下し、3名の患者(A01、A06、及びA09)
について同等であり、4名の患者(A02、A05、A07、及びA08)について向上
した(
図3B、3E、3G、及び3H)。全体として、この知見は、GX-188ワクチ
ン接種誘引E6/E7特異的メモリーT細胞応答が最後のワクチン接種後の少なくとも2
4週間維持され得たことを示している。
【0254】
ELISPOTアッセイにより測定されたE6/E7抗原に対するIFN-γ応答がT
細胞により主に生成されたかどうかに対処し、主な役割を果たしたT細胞の部分集合を決
定するために、細胞内サイトカイン染色(ICS)アッセイを、ワクチン接種前後の時点
(VS及びVF1)において、IFN-γについて行った。具体的には、GX-188ワ
クチン接種前(VS)及び同ワクチン接種後(VF1)に収集された患者の、凍結保存し
、融解させたPBMCを、OPTIMIZER(商標)CTS(商標)に再懸濁させ、3
7℃、5% CO2において、6時間以上静置した。PBMCを、ダプリケートで播種し
、1μg mL-1のα-CD28(L293,BD Bioscience)及びα-
CD49d(L25,BD Bioscience)の存在下において、1つのプールに
HPV16のE6及びE7ペプチド(8個のアミノ酸オーバーラップを含む15mer)
を組み合わせた濃度2μg/mLの混合物、α-CD3 mAb(陽性コントロール)、
又は培地単独(陰性コントロール)で、13時間刺激した。分泌阻害剤(モネンシン/ブ
レフェルジンA,BD Bioscience)を、最初の刺激後90分で加えた。刺激
後、後続の免疫染色及び多染性フローサイトメトリー分析のために、細胞を、PBSで洗
浄した。細胞を染色するための抗体を、CD19-APCCy7(HIB19,Biol
egend)、CD4-PerCPCy5.5(RPA-T4,Biolegend)、
CD8-PECy7(RPA-T8,BD Bioscience)、CD3-BV60
5(Bright Violet 605)(UCHT1,Biolegend)、CD
3-BV500(UCHT1,BD Horizon)、Live/dead-APCC
y7(Life technologies)、MIP-1β-PE (D21-135
1,BD Bioscience)、IFN-γ-APC(4S.B3,Biolege
nd)、TNF-α-BV421(MAb11,Biolegend)、IL-2-BV
711(5344.111,BD Horizon)、CD107a-FITC(H4A
3,BD Bioscience)、及びCD107b-FITC(H4B4,BD B
ioscience)とした。FACS分析を、Fortessaフローサイトメーター
(BD Bioscience)により行い、データを、FlowJoソフトウェア(T
ree Star)を使用して分析した。Booleanゲーティングを使用して、CD
8 T細胞からの同時サイトカイン生成を測定した。多機能性の分析を、SPICE(R
oederer,M.et al.,Cytometry A.,79(2):167~
74,2011)により行った。陽性応答を、培地のみのコントロールより、少なくとも
2倍の割合のサイトカイン生成T細胞として定義した。応答は、非生成細胞から分離され
たサイトカイン生成細胞の明確に区別できる集団として視認されるべきである。ワクチン
誘引応答を、ベースラインサンプル(ワクチン接種前)の抗原特異的サイトカイン生成T
細胞の割合における、少なくとも3倍の増加として定義した(Welters,M.J.
et al.,Clin Cancer Res.,1;14(1):178~87,2
008)。
【0255】
図4A~4Eに示されるように、GX-188によるワクチン接種により、9名全ての
患者において、HPV16特異的IFN-γ
+CD4 T細胞応答の亢進がもたらされた
(
図4B及び4C)。一方、IFN-γ
+CD8 T細胞応答は、9名の患者のうち、患
者A04を除いた8名全てにおいて亢進された(
図4D及び4E)。このため、1名の患
者を除いて、GX-188ワクチンは、HPV16特異的CD4及びCD8 T細胞の両
方の活性化を誘引した。
【0256】
持続性のHPV感染がHPVに対するTヘルパー(Th)1型細胞性応答を損ない、子
宮頸癌の進行をもたらすことから(Deligeoroglou,E.,et al.,
Infectious diseases in obstetrics and gy
necology 2013:540850,2013;Bais,A.G.,et a
l.,Journal of clinical pathology 58:1096
~1100,2005;Clerici,M.,et al.,Journal of
the National Cancer Institute 89:245~250
,1997;Peghini,B.C.,et al.,Human immunolo
gy 73:920~926,2012)、GX-188 DNAワクチンがHPV特異
的CD4 T細胞のTh1エフェクター細胞への分化をもたらし得たかどうかを調査した
。凍結保存し、融解させたPBMC(ウェル当たりに2×10
5個)を、OPTIMIZ
ER(商標)CTS(商標)に再懸濁させ、37℃、5% CO
2において、6時間以上
静置した。その後、PBMCを、ダプリケートで播種し、1つのプールにHPV16のE
6及びE7ペプチド(8個のアミノ酸オーバーラップを含む15mer)を組み合わせた
濃度2μg mL
-1の混合物を含む、10%のFBS、100U mL
-1のペニシリ
ン、及び100μg mL
-1のストレプトマイシンを含有するRPMI1640中で、
又は陰性コントロールとしての培地のみにおいて、96ウェルプレート中で刺激した。培
養上清を、刺激後48時間で収集し、サイトカインを、Th1/Th2/Th17細胞測
定ビーズアレイ(CBA)キット(BD Biosciences)により定量した。製
造メーカーの説明に従って、計画された検出限界を、2.5~5pg mL
-1(IL-
2、IL-4、IL-10、TNF-α、及びIFN-γ)又は19pg mL
-1(I
L-17A)とした。カットオフ値を、5pg mL
-1に設定した。各サイトカインの
検量線が、
図12に示されるように、5pg mL
-1の濃度で直線性を開始したことを
示したためである。陽性の抗原特異的反応を、カットオフ値を上回るサイトカイン濃度及
び培地コントロールの濃度の2倍超として定義した(Welters,M.J.et a
l.,Clin Cancer Res.,1;14(1):178~87,2008)
。ワクチン誘引応答を、抗原特異的サイトカイン生成における、ベースラインサンプルを
少なくとも3倍上回る亢進として定義した(Welters,M.J.et al.,C
lin Cancer Res.,1;14(1):178~87,2008)。
【0257】
ワクチン接種前の共通のTh1エフェクターサイトカイン、例えば、IFN-γ、IL
-2、及びTNF-αのベースライン生成は、E6/E7ペプチドによる刺激まで、かな
り低かった。しかしながら、これらのサイトカイン量は、ワクチン接種後に、大部分の患
者において、
図5A~Cにそれぞれ示されるように、顕著に増加した(IFN-γ、IL
-2、及びTNF-αについて、それぞれ中央値49.9倍、13倍、及び22.9倍の
増加)。また、IFN-γ ELISPOT及びICSデータと一致して、A08患者は
、Th1サイトカイン生成の最大の亢進を示した。IL-2生成レベルが機能性メモリー
T細胞分化中に進行して増加したとすると(Wherry,E.J.,et al.,N
ature immunology 4:225~234,2003)、IL-2生成に
おけるこの実質的な亢進は、GX-188ワクチン接種に基づくHPV特異的メモリーT
細胞の効率的な発生を示す可能性がある。一方、Th2(IL-4及びIL-10)(そ
れぞれ
図5D~E)及びTh17(IL-17A)(
図5F)のサイトカインは、ワクチ
ン接種により顕著には増加しなかったが、患者A04は、免疫抑制サイトカインであるI
L-10の生成における、わずかに亢進したレベルを有した。上記IFN-γELISP
OT及びICS分析をまとめると、これらの結果から、GX-188ワクチン接種により
、強いTh1分極HPV特異的細胞性免疫応答の誘引がもたらされることが示唆される。
【0258】
(実施例3)
GX-188ワクチン誘引多機能性CD8 T細胞
持続性のウイルス感染中に、ウイルス特異的CD8 T細胞は、ウイルス抗原に対して
非反応性になり、エフェクター機能の進行性の喪失を示す(Wherry,E.J.,J
ournal of virology 77:4911~4927,2003;Whe
rry,E.J.,et al.,Immunity 27:670~684,2007
)。GX-188ワクチン接種がHPV特異的CD8 T細胞機能性の複数の態様を誘引
したかどうかを決定するために、エフェクターサイトカイン;IFN-γ、IL-2、T
NF-α、及びMIP-1βを同時生成するHPV特異的CD8 T細胞の能力を評価し
た。IFN-γについてのICSにより得られた結果(
図4A~4E)と同様に、A04
を除いて、9名の患者のうちの8名は、ワクチン接種前(VS)と比較して、ワクチン接
種後(VF1)に、IFN-γとIL-2、TNF-α、又はMIP-1βとを同時生成
するHPV特異的CD8 T細胞の割合の増加を表わした(
図6A~C及び
図7B~D)
。
【0259】
ウイルス特異的CD8 T細胞の細胞溶解活性は、ウイルス感染に対するワクチン効能
の評価における、別の主要なインジケータである(Pantaleo,G.and Ha
rari,A.,Nature Reviews Immunology 6:417~
423,2006;Seder,R.A.,Nature reviews Immun
ology 8:247~258,2008)。CD107a/bの発現が細胞傷害性T
細胞による脱顆粒化中において排他的に見出されることから(Betts,M.R.,e
t al.,Journal of immunological methods 2
81:65~78,2003)、HPV特異的CD8 T細胞の、IFN-γを同時に生
成し、CD107a/b発現をアップレギュレーションする能力も評価した。
図6D及び
図7Eに反映されるように、IFN-γ
+CD107a/b
+CD8 T細胞の頻度は、
ワクチン接種後に、A04を除いた全ての患者において上昇した。これら8名の患者にお
けるワクチン接種により誘引されたHPV16特異的CD8 T細胞の多機能性を決定す
るために、IFN-γ、IL-2、TNF-α、MIP-1β、及びCD107a/bを
、Booleanゲーティングを使用して同時に評価した。患者A08は、最も高い多機
能性プロファイルを示し、87.6%のHPV16特異的CD8 T細胞は、少なくとも
3つが陽性であり、15%のHPV16特異的CD8 T細胞は、5つ全ての機能を有し
た(
図6E~F)。他の6名の患者(A01、A02、A03、A05、A06、及びA
07)において、7.8%~46.3%のHPV特異的CD8 T細胞は、3つ以上の機
能を有した(
図6F)。しかしながら、患者A09からのHPV16特異的CD8 T細
胞は、多機能性ではなかった(
図6F)。全体として、これらの結果から、GX-188
ワクチン接種により、大部分の患者において、種々の多機能性プロファイルを有する抗原
特異的CD8 T細胞を誘引することができたことが示されている。
【0260】
抗原刺激に基づく応答性T細胞の最適な増殖は、治療的なワクチン接種による効果的な
保護免疫を提供するために必須であることが公知になっている(Wherry,E.J.
,Journal of virology 77:4911~4927,2003;W
herry,E.J.,et al.,Journal of virology 79
:8960~8968,2005)。したがって、ワクチン接種前(VS)及び同ワクチ
ン接種後(VF1)に、HPV16 E6/E7ペプチドに応答するCD8 T細胞の活
性化誘引増殖を、それぞれ増殖及び活性化のマーカーとして機能する、Ki67及びCD
38の発現レベルを測定することにより調査した(Gerdes,J.,et al.,
Journal of immunology 133:1710~1715,1984
;Sandoval-Montes,C.,and Santos-Argumedo,
L.,Journal of leukocyte biology 77:513~5
21,2005)。Ki-67は、エクスビボにおける抗原特異的細胞増殖を測定するた
めに妥当なツールであると証明され、標準的な増殖アッセイ、例えば、カルボキシフルオ
レセインスクシンイミジルエステル(CFSE)ラベル及び5-ブロモ-2-デオキシウ
リジン(BrdU)包含に対する代替として使用することができた(Soares,A.
et al.,J Immunol Method362(1~2):43~50、20
10;Shedlock,D.J.et al.,Cytometry A.,77(3
):275~84,2010)。
【0261】
凍結保存し、融解させたPBMC(ウェル当たりに1×106個)を、OPTMIZE
R(商標)CTS(商標)培地(Life technologies)と、37℃、5
% CO2において、6時間以上適応させた。PBMCを、ダプリケートで播種し、10
%のFBS、100U mL-1のペニシリン、及び100μg mL-1のストレプト
マイシンを含有するRPMI 1640中の、1つのプールにHPV16のE6及びE7
ペプチド(8個のアミノ酸オーバーラップを含む15mer)を組み合わせた濃度2μg
mL-1の混合物により、5日間刺激した。α-CD3 mAb及び培地単独を、陽性
コントロール及び陰性コントロールとしてそれぞれ使用した。3日後、細胞培養物を、1
00μlの新たなR10培地で置き換えた。培養の終了時に、後続の免疫染色及び多染性
フローサイトメトリー分析のために、細胞を、PBSで洗浄した。細胞を、CD19-F
ITC、CD4-PerCPCy5.5、CD8-PECy7、CD38-BV421(
HIT2,BD Bioscience)、CD3-BV605、Ki-67-PE(B
56,BD Bioscience)、及びLive/Dead-APCCy7により染
色した。培地コントロールの応答より少なくとも3倍高い応答が、陽性であると考えられ
た。ワクチン誘引応答を、ベースラインサンプルの抗原特異的増殖性CD8 T細胞の割
合における、少なくとも3倍の増加として定義した。
【0262】
図8に示されるように、1名の患者(A01)は、ワクチン接種前(VS)に比較的高
い既存レベルを示したが、残りの患者は、低レベルのKi67
+CD38
+CD8 T細
胞を示した。ワクチン接種後に、全ての患者は、HPV特異的CD8 T細胞の増殖活性
における、有意義な改善を示した。
図6に示された機能性CD8 T細胞応答のパターン
に基づいて、2名の患者(A04及びA09)は、CD8 T細胞集団の増殖における、
小さな増加のみを示した。一方、他の7名の患者は、Ki67
+CD38
+CD8 T細
胞集団の非常に大きな増加を、3.1倍~21.2倍の範囲内の増加で示した。本明細書
において、刺激していない細胞からのKi67発現のバックグラウンドレベルは、非常に
低かった(0.011±0.015%)ため、ペプチド刺激Ki67
+CD38
+CD8
T細胞は、
図8に示されるように、抗原特異的増殖性CD8 T細胞と考えることがで
きる。まとめると、これらの結果から、CIN3患者におけるGX-188ワクチン接種
により、HPV特異的CD8 T細胞の増殖及び多機能性の両方が実質的に向上されたこ
とが示される。
【0263】
(実施例4)
GX-188ワクチン接種後のE7及びE6たんぱく質に対する抗体応答の測定
血漿サンプルについて、エンドポイント希釈酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)
により、E6及びE7に対する総IgG抗体応答を評価した。具体的には、血漿サンプル
を収集し、-70℃で凍結させた。結合性ELISAを、GX-188ワクチン接種によ
り誘引された抗HPV16/18 E6又はE7抗体応答を測定するために行った。抗体
のエンドポイント力価を、96ウェルの酵素免疫アッセイプレート(THERMO SC
IENTIFIC(商標))をHPV16/HPV18のE6又はE7たんぱく質(1μ
g mL-1)でコートすることにより決定した(組換えHPV16 E6、HPV16
E7、及びHPV18 E7を、ProteinX Labから購入し、組換えHPV
18 E6を、MyBioSourceから購入した)。プレートを、PBS、5%スキ
ムミルクにより、室温で1時間ブロックした。試験血漿を、5%スキムミルク及び0.1
%Tween20を含有するPBS中において、系列希釈し、トリプリケートでプレート
ウェルに加えた。室温で1時間インキュベートした後、HRPにコンジュゲートさせたヤ
ギ抗ヒトIgG抗体(Bethyl,A80-104P)と共に、このプレートを室温で
1時間インキュベートすることにより、E6又はE7特異的抗体を検出した。最後の洗浄
(Tablet,Fluka)後に、特異的結合を、TMB基質(SurModics)
により検出した。反応を、0.5NH2SO4(Sigma-Aldrich)により停
止させた。吸光度を、マイクロプレートリーダー(Molecular devices
,SpectraMax plus 384)において、450nmで読み取った。陰性
カットオフ(NCO)値を、12名の健康なコントロール血漿(Biochemed)の
平均光学密度+1.645×標準偏差として定義した(Mire-Sluis,A.R.
et al.,J Immunol Methods.,289(1~2):1~16,
2004)。サンプルの平均光学密度がNCO値(HPV16 E6については0.17
3、HPV16 E7については0.213、HPV18 E6については0.214、
及びHPV18 E7については0.227)より高かった場合は、陽性と考えられた。
サンプルのプレートへの非特異的な結合を説明するために、各血漿を、無関係なたんぱく
質であるEPO-BRP(EDQM,batch 3,ph.Eur.Referenc
e standard)でコートしたウェルにおいて試験した。
【0264】
全ての患者は、
図9A~9Lに示されるように、ベースライン(VS)において、E6
及びE7たんぱく質の両方に対して、わずかに検出可能か又は検出不可能なIgG力価を
有した。これは、有意義な既存のE6及びE7特異的IgG抗体応答を示さない。興味深
いことに、E6に対する抗体力価は、ワクチン接種後のいずれの用量コホートにおいても
、少しも発生又はブーストされなかった。9名の患者のうちの3名(A05、A07、及
びA09)では、ワクチン接種後に弱い抗E7抗体応答を、1:8~1:256の範囲の
抗体力価で生じた(
図9A~9L)。E7抗原に対するT細胞応答は、E6抗原に対する
T細胞応答より低かったこと、及び、E7たんぱく質に対する測定可能な抗体力価は、P
BMC中におけるE7抗原に対するCD8 T細胞応答に関連しなかったことは、注目す
る価値がある。
【0265】
(実施例5)
HPV感染及び病変におけるGX-188ワクチン接種の効果
GX-188誘引臨床応答を、臨床試験の36週の期間にわたる、患者のHPV感染状
態並びに、患者の高度子宮頸部病変の細胞学的及び組織学的変化を評価することにより決
定した(表10及び
図1B)。ベースライン(VS)において、9名全ての患者は、膣頸
管検査直接生検標本の組織学的評価に基づいて、重篤な異形成(A01、A02、A05
、A06、A07、及びA08)又は上皮内癌(A03、A04、及びA09)のいずれ
かを伴うCIN3を有した(表5及び10)。最後のワクチン接種後8週(VF1)にお
いて、9名の患者のうちの6名において、病変がなくなった(各コホートから2名の患者
、1mgコホートからA01及びA03、2mgコホートからA05及びA06、4mg
コホートからA07及びA08)。これは、おそらく1mgで飽和用量であるために、用
量非依存性の応答を示す(表10)。これらの応答患者のうちの3名(A03、A06、
及びA08)は、2回目の免疫化後の12週(VT4)において、細胞学的分析に基づく
上皮内病変について、陰性であった。一方、他の3名の患者(A01、A05、及びA0
7)は、3回目のワクチン接種後の20週(VF1)に、このような応答を示した。最後
の応答患者(A02)は、36週の治験の終了時に(VF2)、病変が排除された。特に
、6名の早期応答者は誰も、治験の残り期間の間に、何ら子宮頸部異形成の再発を表わさ
なかった。2名の非応答者の症例では、患者A04を、24週において、子宮頸部の円錐
切除により処置し、一方で、患者A09は、同患者の希望に基づいて、治験終了まで外科
手術をすることなくモニターされ、浸潤癌に進行することなく、CIN3で安定したまま
であった。
【0266】
ワクチン接種前(VS)及び治験の終了時(VF2)における膣頸管検査、細胞学、及
び組織学的画像分析から、
図10における代表的な応答者であるA05及び非応答者であ
るA09患者からの写真により示されるように、応答者と非応答者との間でのGX-18
8に対する臨床応答における差が、より明確に証明された。子宮頸部の膣頸管検査評価に
おいて、患者A05は、ワクチン接種後の形質転換ゾーンにおいて、顕著に減少した密集
した白化上皮と、荒い穿孔の消失とを表わした。一方、患者A09は、
図10Aに示され
るように、子宮頸部における密集した病変を有したままであった。子宮頸部内細胞学検査
から、GX-188ワクチン接種により、患者A05における、細長い細胞質突起及び正
染性核を伴う高度扁平上皮内病変(HSIL)の正常化が誘引されたことが証明されたが
、
図10Bに示されるように、患者A09における細胞学的外観には変化はなかった。図
10Cに示されるように、組織学的特徴において、生検から、ワクチン接種後の患者A0
5において、著しい核の変化を伴うCIN3の異常な厚みの上皮が、異常な上皮を伴わな
い正常な扁平上皮に退行したことがわかったが、患者A09においては存在したままであ
った。
【0267】
HPV16は、治験の開始時において、9名全ての対象の病変において特定された。1
名の患者(A05)では、HPV18の同時感染も見出された。12週(VT4)におい
て、4名の患者(A01、A03、A06、及びA08)及び患者A05はそれぞれ、H
PV16及びHPV18ウイルスの排除を示した(表10)。このことは、2回目の免疫
化後でのウイルス排除を示している。20週(VF1)において、子宮頸部病変における
HPV DNAは、9名の患者のうちの6名(A01、A03、A05、A06、A07
、及びA08)において排除され、更に1名の患者(A02)では、36週(VF2)に
おいてウイルスが排除された。また、これら7名の患者では、同一の動態で病変を除去さ
れ、臨床的応答とウイルス学的応答との間の完全な相関が存在した(表10)。HPV1
6及びHPV18以外に、2名の患者(A06及びA07)において、他の高リスク共通
型のHPVの同時感染が、ベースライン(VS)において見出された。他の患者(A05
)は、治験の最中(VT4)において、共通のHPV型に感染した。A07患者とは対照
的に、A05及びA06患者では、それぞれVF2及びVT4において、同時感染した共
通型のHPVが排除された。これは、おそらく、HPV16感染上皮内腫瘍細胞の排除に
より生じたバイスタンダー効果による。これらのウイルス排除の別の理由は、ワクチン接
種に基づいて生じた、HPV16 E6/E7特異的CD8 T細胞の交叉反応による。
HPV16又はHPV18と他の高リスク型株との間のE6及びE7のアミノ酸配列にお
ける約50~60%の相同性が存在するためである。
【0268】
早期の時点(VT4)において病変及びHPV感染が排除された3名の患者(A03、
A06、及びA08)は、比較的大きいHPV特異的多機能性CD8 T細胞応答を即座
に表わした(表10、
図6及び8)ことが注目に値する。加えて、有意義な多機能性CD
8 T細胞応答を有する他の4名の患者(A01、A02、A05、及びA07)は、3
回目のワクチン接種後の20週(VF1)又は治験の終了時(36週でのVF2)のいず
れかにおいて、病変及びHPV感染の完全な解消を示した(表10、
図6及び8)。対照
的に、2名の非応答患者(A04及びA09)は、多機能性CD8 T細胞応答をほとん
ど有さなかった。多機能性T細胞応答の誘引と臨床的アウトカムとの間の相関は、患者か
らの個々のデータを非応答者(A04及びA09)と、3つ以上の機能を有する多機能性
プロファイルを生じさせた応答者(A01、A02、A03、A05、A06、A07、
及びA08)とにグループ分けした場合に、容易に明らかである(
図11)。したがって
、本明細書で示された結果から、GX-188ワクチンの臨床的効能は、全身性のHPV
特異的多機能性CD8 T細胞応答の度合いと強く相関することが示される。全体として
、GX-188ワクチン接種により、78%(9名の患者のうち7名)の、臨床的及びウ
イルス学的に有意義で完全な応答率がもたらされた(表10)。
【0269】
【表10】
aHPVの検出についてのPCR結果(陰性、HPV16及び18の両方が陰性;16
、HPV16陽性;共通、他の高リスクHPV26、31、33、35、39、45、5
1、52、53、56、58、59、66、68、73、及び/又は82陽性)
b未実行。A04患者を、24週において子宮頸部の円錐切除により処置した。
cA07患者は、同患者の個人的な事情のために、36週の代わりに42週において、
受診し、膣頸管検査及び子宮頸部生検についての検査を受けた。
CIN3;子宮頸部上皮内腫瘍グレードIII、ASC-H;高度扁平上皮内病変を排
除できない異常な扁平細胞、ASC-US;意義不明の異常な扁平細胞、HSIL;高度
扁平上皮内病変、NIL;上皮内病変なし
【0270】
本明細書で使用した統計学的解析:安全性、薬力学的及び薬物動態的アウトカムの記述
統計を、SAS(登録商標)(V9.1)ソフトウェアを使用して行った。標準的な両側
性の対応のあるスチューデントt検定を、全ての定量的データの統計学的有意差を、Pr
ism5.0ソフトウェア(GraphPad)を使用して分析するために行った。
【0271】
(実施例6)
GX-188変形例の構築及びその免疫原性
GX-188構築物の多くの変形例を、記載されるように構築した。構築したGX-1
88変形例は、C-1、C-2、D-1、D-2、E-1、及びE-2を含む。
図14を
参照のこと。一部の構築物(C-1及びC-2)は、E6又はE7たんぱく質部分におけ
る1つ又は2つ以上の変異又は置換(即ち、それぞれ、C-1については、16E6N中
のH21Q並びに16E6C中のY85H及びV90Lと、C-2については、16E7
N中のM12K及びN29S並びに16E7C中のR77S及びG85S)を含有する。
一部の構築物(D-1及びD-2)は、より短い又はより長いオーバーラップ配列(即ち
、それぞれ、0+0+0+0及び86+42+15+15)を含有する。一部の構築物(
E-1及びE-2)は、E6及びE7たんぱく質部分の異なる抗原シャッフル順序(それ
ぞれ、NCNCNCNC及びCCNNCCNN)を含有する。変異/置換の変形例(C-
1及びC-2)は、
図13A~13Dに示されるように、天然の変異及び/又は置換に基
づいている。
【0272】
GX-188から変形例を構築するために、置換/変異、オーバーラップ配列の変更、
及び抗原シャッフルの変更を含有する各遺伝子フラグメントを、GX-188内への挿入
を容易にするために、その末端にBstXI(5’)及びAleI(3’)の制限部位を
有するように、化学的に合成した。
【0273】
GX-188並びにC-1、C-2、D-1、D-2、E-1、及びE-2のフラグメ
ントを、BstXI及びAleI制限酵素により消化し、ついで、C-1、C-2、D-
1、D-2、E-1、及びE-2の各プラスミドをそれぞれ生成するようにライゲートし
た。特に、C-1構築物については、HPV16 E6のヒスチジン(H)21、チロシ
ン(Y)85、及びバリン(V)90をそれぞれ、グルタミン(Q)、ヒスチジン(H)
、及びロイシン(L)により置換した。C-1構築物をコードするヌクレオチド配列を含
むプラスミド配列全体を、配列番号105として示す。C-1構築物のアミノ酸配列を、
配列番号106として示す。C-2構築物について、HPV16 E7のメチオニン(M
)12を、リジン(K)により置換し、HPV16 E7のアスパラギン(N)29、ア
ルギニン(R)77、及びグリシン(G)85を、セリン(S)により置換した。C-2
構築物をコードするヌクレオチド配列を含むプラスミド配列全体を、配列番号107とし
て示す。C-2構築物のアミノ酸配列を、配列番号108として示す。D-1構築物は、
HPV16 E6の1番目~78番目のアミノ酸、HPV16 E7の1番目~58番目
のアミノ酸、HPV16 E6の79番目~158番目のアミノ酸、HPV16 E7の
59番目~98番目のアミノ酸、HPV18 E6の1番目~85番目のアミノ酸、HP
V18 E7の1番目~65番目、HPV18 E6の71番目~158番目、及びHP
V18 E7の51番目~105番目を含有する。D-1構築物をコードするヌクレオチ
ド配列を含むプラスミド配列全体を、配列番号109として示す。D-1構築物のアミノ
酸配列を、配列番号110として示す。D-2構築物は、HPV16 E6の1番目~1
30番目のアミノ酸、HPV16 E7の1番目~85番目のアミノ酸、HPV16 E
6の45番目~158番目のアミノ酸、HPV16 E7の44番目~98番目のアミノ
酸、HPV18 E6の1番目~85番目のアミノ酸、HPV18 E7の1番目~65
番目、HPV18 E6の71番目~158番目、及びHPV18 E7の51番目~1
05番目を含有する。D-2構築物をコードするヌクレオチド配列を含むプラスミド配列
全体を、配列番号111として示す。D-2構築物のアミノ酸配列を、配列番号112と
して示す。E-1構築物は、N末端からC末端に向かって、HPV16 E6の1番目~
85番目のアミノ酸、HPV16 E7の51番目~98番目のアミノ酸、HPV16
E7の1番目~65番目のアミノ酸、HPV16 E6の71番目~158番目のアミノ
酸、HPV18 E6の1番目~85番目のアミノ酸、HPV18 E7の1番目~65
番目、HPV18 E6の71番目~158番目、及びHPV18 E7の51番目~1
05番目を含有する。E-1構築物をコードするヌクレオチド配列を含むプラスミド配列
全体を、配列番号113として示す。E-1構築物のアミノ酸配列を、配列番号114と
して示す。E-2構築物は、N末端からC末端に向かって、HPV16 E6の71番目
~158番目のアミノ酸、HPV16 E7の51番目~98番目のアミノ酸、HPV1
6 E6の1番目~85番目のアミノ酸、HPV16 E6の1番目~65番目のアミノ
酸、HPV18 E6の1番目~85番目のアミノ酸、HPV18 E7の1番目~65
番目、HPV18 E6の71番目~158番目、及びHPV18 E7の51番目~1
05番目を含有する。E-2構築物をコードするヌクレオチド配列を含むプラスミド配列
全体を、配列番号115として示す。E-2構築物のアミノ酸配列を、配列番号116と
して示す。
【0274】
GX-188及びGX-188変形例により誘引された細胞性免疫応答を調査するため
に、エレクトロポレーション送達により、8μgのGX-188及びGX-188変形例
プラスミドDNAを、1回又は2回、マウスにワクチン接種した。
図15に、各構築物の
ワクチン接種スケジュールをまとめる。ワクチン接種したマウスを、各ワクチン接種後2
週間で分析した。IFN-γ ELISPOTアッセイを、ワクチン誘引T細胞応答を測
定するために行った。脾臓細胞を、1個の細胞レベルに調製し、実施例2で記載されるよ
うに、2μg mL
-1の4種類のペプチドプールにより、24時間刺激した。コンカナ
バリンA(ConA)及び培地のみをそれぞれ、陽性及び陰性コントロールとして使用し
た。刺激後、スポット形成細胞(SFC)を、製造メーカーの指示(BD Biosci
ence)に従って発色させた。応答性細胞数を、刺激せずに誘引されたスポットの平均
数を刺激物質の存在下でのスポット数から差し引くことにより算出した。応答性細胞数を
、10
6個脾臓細胞当たりのSFCとして表わす。
【0275】
ワクチン変形例で免疫化したマウスは、モックベクターによりワクチン接種したマウス
と比較して、1回又は複数回のワクチン接種の両方において顕著に増加したIFN-γ
ELISPOT応答を示した(
図16A及び16Bを参照のこと)。ほとんどのGX-1
88変形例は、複数回のワクチン接種後に、GX-188に対するのと同等のIFN-γ
ELISPOT応答を示した。これらの結果から、ワクチンGX-188変形例によっ
ても、ワクチン接種後に、十分な細胞媒介性免疫応答、例えば、IFN-γ ELISP
OT応答を誘引し得ることが示される。特に、IFN-γ ELISPOT応答は、E1
及びE2(抗原シャッフル)の1回のワクチン接種後に最も低かったが、ワクチン誘引T
細胞応答は、追加免疫ワクチン接種後に亢進し、他のGX-188変形例と同等であった
。この結果から、置換/変異及び抗原シャッフルは、複数回のワクチン接種に対してワク
チン誘引T細胞応答を誘引する能力を保持し得ることが示唆される。
【0276】
本開示は、本開示の個々の態様の1つの例示として意図して記載される特定の実施形態
による範囲に限定されるものではなく、機能的に均等の任意の組成及び方法が、本開示の
範囲内である。実際に、本明細書に示され、記載されるものに加えて、本開示の種々の変
形形態が、前述の説明及び添付の図面から、当業者に明らかとなるであろう。このような
修正は、添付の特許請求の範囲内に含まれることを意図している。
【0277】
本明細書で言及された全ての刊行物、及び特許出願は、各個々の刊行物又は特許出願が
具体的に、かつ個々に参照により組み込まれることが示されているのと同様に、参照によ
り組み込まれる。
【0278】
本願は、2014年8月15日に出願された米国仮出願第62/038,134号及び
2014年8月19日に出願された米国仮出願第62/039,270号に対する利益を
主張する。これらの出願は、その全体が参照により組み込まれる。
【配列表】