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特許7355422流体混合出力装置及びそれを用いる流体利用装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】流体混合出力装置及びそれを用いる流体利用装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/232 20220101AFI20230926BHJP
   B01F 25/10 20220101ALI20230926BHJP
   B01F 25/432 20220101ALI20230926BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20230926BHJP
   B01F 23/2373 20220101ALI20230926BHJP
   B01F 101/28 20220101ALN20230926BHJP
【FI】
B01F23/232
B01F25/10
B01F25/432
B01F35/71
B01F23/2373
B01F101:28
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022175967
(22)【出願日】2022-11-02
【審査請求日】2023-01-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509089340
【氏名又は名称】株式会社塩
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】駒澤 増彦
(72)【発明者】
【氏名】大木 勝
(72)【発明者】
【氏名】駒澤 心
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特許第6433039(JP,B1)
【文献】特開2020-138106(JP,A)
【文献】特開2017-106709(JP,A)
【文献】特開2019-076886(JP,A)
【文献】特開2021-084068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00-25/90
B01F 101/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納体と、
収納体に収納される内部構造体と、
からなる流体混合出力装置であって、
収納体には、少なくとも第1、第2の流体を供給する複数の流体供給口と、下流端部に複数の流体を混合した後に出力する流体流出口とが設けられ、
内部構造体は、第1の部分と、第2の部分と、第3の部分と、第4の部分とを含んでおり、
第1の部分は、軸部と、流体に渦巻流を発生させるように螺旋状に形成された翼とを含んでおり、
第2の部分は、第1の部分より下流側に位置し、軸部と、軸部の外周面から突出した複数の突起部とを含んでおり、
第3の部分は、第2の部分より下流側に位置し、軸部と、流体に渦巻流を発生させるように螺旋状に形成された翼とを含んでおり、
第4の部分は、第3の部分より下流側に位置し、軸部と、軸部の外周面から突出した複数の突起部とを含み、
収納体の複数の流体供給口の一つは、第1の部分の翼に対応する部分に形成されており、第1の流体が第1の部分に供給されて渦巻流として第2の部分に供給され、
収納体の複数の流体供給口の一つは、第3の部分の翼に対応する部分に形成されており、第2の流体が第3の部分に供給されて渦巻流として第4部分に少なくとも第1の流体と混合されながら供給されることを特徴とする、
流体混合出力装置。
【請求項2】
第3の部分の翼に対応する部分に形成されている収納体の第2の流体の流体供給口は、内部構造体の軸部の第3の部分の同心円上の対応する位置に、1個乃至複数個設けられていることを特徴とする請求項1に記載の流体混合出力装置。
【請求項3】
第3の部分の翼は、収納体の流体供給口が設けられている位置が他の部分に比べて同心円状に凹んでいて、第2の流体の注入を阻害しないように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の流体混合出力装置。
【請求項4】
第1の部分の翼は、収納体の流体供給口が設けられている位置が他の部分に比べて同心円状に凹んでいて、第1の流体の注入を阻害しないように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の流体混合出力装置。
【請求項5】
内部構造体は、断面が円形の共通の軸部材上に一体化して形成されている第1の部分と、第2の部分と、第3の部分と、第4の部分とを含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の流体混合出力装置。
【請求項6】
内部構造体の第1の部分と第3の部分とは、複数の翼を含んでおり、
翼の各々は、その先端が軸部の円周方向に互いに所定角度ずつずらされていることを特徴とする請求項1に記載の流体混合出力装置。
【請求項7】
内部構造体の第2の部分及び第4の部分の複数の突起部は網状に形成されており、各々の突起部は柱形をしていることを特徴とする請求項1に記載の流体混合出力装置。
【請求項8】
内部構造体は下流側の端部に混合された流体を流れの中心に向かって誘導する誘導部を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の流体混合出力装置。
【請求項9】
内部構造体の第1の部分の軸部の直径が第2の部分の軸部の直径より小さいことを特徴とする請求項5に記載の流体混合出力装置。
【請求項10】
内部構造体の第3の部分の軸部の直径が第4の部分の軸部の直径より小さいことを特徴とする請求項5に記載の流体混合出力装置。
【請求項11】
内部構造体の第2の部分の突起部の個数は第4の部分の突起部の個数より少ないことを特徴とする請求項1に記載の流体混合出力装置。
【請求項12】
収納体と、
収納体に収納される内部構造体と、
からなる流体混合出力装置であって、
収納体には、少なくとも第1、第2の流体を供給する複数の流体供給口と、下流端部に複数の流体を混合した後に出力する流体流出口とが設けられ、
内部構造体は、第1の部分と、第2の部分と、第3の部分と、第4の部分とを含んでおり、
第1の部分は、軸部と、流体に渦巻流を発生させるように螺旋状に形成された翼とを含んでおり、
第2の部分は、第1の部分より下流側に位置し、軸部と、軸部の外周面から突出した複数の突起部とを含んでおり、
第3の部分は、第2の部分より下流側に位置し、軸部と、流体に渦巻流を発生させるように螺旋状に形成された翼とを含んでおり、
第4の部分は、第3の部分より下流側に位置し、軸部と、軸部の外周面から突出した複数の突起部とを含み、
収納体の複数の流体供給口の一つは、上流端部が開口されて形成されており、第1の流体が第1の部分に上流から供給されて渦巻流として第2部分に供給され、
収納体の複数の流体供給口の一つは、第3の部分の翼に対応する部分に形成されており、第2の流体が第3の部分に供給されて渦巻流として第4部分に少なくとも第1の流体と混合されながら供給されることを特徴とする、
流体混合出力装置。
【請求項13】
収納体と、
収納体に収納される内部構造体と、
からなる流体混合出力装置であって、
収納体には、少なくとも第1、第2の流体を供給する複数の流体供給口と、下流端部に複数の流体を混合した後に出力する流体流出口とが設けられ、
内部構造体は、第1の部分と、第2の部分と、第3の部分と、第4の部分とを含んでおり、
第1の部分は、軸部と、流体に渦巻流を発生させるように螺旋状に形成された翼とを含んでおり、
第2の部分は、第1の部分より下流側に位置し、軸部と、軸部の外周面から突出した複数の突起部とを含んでおり、
第3の部分は、第2の部分より下流側に位置し、軸部と、流体に渦巻流を発生させるように螺旋状に形成された翼とを含んでおり、
第4の部分は、第3の部分より下流側に位置し、軸部と、軸部の外周面から突出した複数の突起部とを含み、
収納体の複数の流体供給口の一つは、第1の部分の翼に対応する部分に形成されており、第1の流体が第1の部分に供給されて渦巻流として第2部分に供給され、収納体の複数の流体供給口の一つは、上流端部に形成されており、第1の流体と同じもしくは異なる流体が第1の部分に上流から供給され、
収納体の複数の流体供給口の一つは、第3の部分の翼に対応する部分に形成されており、第2の流体が第3の部分に供給されて渦巻流として第4部分に少なくとも第1の流体と混合されながら供給されることを特徴とする、
流体混合出力装置。
【請求項14】
収納体と、
収納体に収納される内部構造体と、
からなる流体混合出力装置であって、
収納体には、少なくとも第1、第2の流体を供給する複数の流体供給口と、下流端部に複数の流体を混合した後に出力する流体流出口とが設けられ、
内部構造体は、第1の部分と、第2の部分と、第3の部分と、第4の部分とを含んでおり、
第1の部分は、軸部と、流体に渦巻流を発生させるように螺旋状に形成された翼とを含んでおり、
第2の部分は、第1の部分より下流側に位置し、軸部と、軸部の外周面から突出した複数の突起部とを含んでおり、
第3の部分は、第2の部分より下流側に位置し、軸部と、流体に渦巻流を発生させるように螺旋状に形成された翼とを含んでおり、
第4の部分は、第3の部分より下流側に位置し、軸部と、軸部の外周面から突出した複数の突起部とを含み、
収納体の複数の流体供給口の一つは第1の部分の翼に対応する部分に形成されており、第1の流体が供給されて渦巻流とされながら第2の部分に供給され、複数の流体供給口の他の一つは第3の部分の翼に対応する部分に形成されており、第2の流体が第3の部分に供給されて、第4の部分に第2の部分から供給される第1の流体と混合されながら供給されることを特徴とする、
流体混合出力装置。
【請求項15】
第1、第3の部分の翼は、収納体の流体供給口が設けられている位置が他の部分に比べて同心円状に凹んでいて、第1の流体、第2の流体の注入を阻害しないように形成されていることを特徴とする請求項14に記載の流体混合出力装置。
【請求項16】
収納体と、
収納体に収納される内部構造体と、
からなる流体混合出力装置であって、
収納体には、少なくとも第1、第2、第3の流体を供給する複数の流体供給口と、下流端部に複数の流体を混合した後に出力する流体流出口とが設けられ、
内部構造体は、第1の部分と、第2の部分と、第3の部分と、第4の部分とを含んでおり、
第1の部分は、軸部と、流体に渦巻流を発生させるように螺旋状に形成された翼とを含んでおり、
第2の部分は、第1の部分より下流側に位置し、軸部と、軸部の外周面から突出した複数の突起部とを含んでおり、
第3の部分は、第2の部分より下流側に位置し、軸部と、流体に渦巻流を発生させるように螺旋状に形成された翼とを含んでおり、
第4の部分は、第3の部分より下流側に位置し、軸部と、軸部の外周面から突出した複数の突起部とを含み、
収納体の複数の流体供給口の一つは収納体の上流端部の開口であって、第1の流体が第1の部分に供給され、複数の流体供給口の他の一つは収納体の第1の部分の翼に対応する部分に形成されており、第2の流体が供給されて第1の流体と混合されながら渦巻流として、第2の部分に供給され、複数の流体供給口の別の他の一つは収納体の第3の部分の翼に対応する部分に形成されており、第3の流体が第3の部分に供給されて、第4部分に第2の部分から供給される第1の流体と第2の流体の混合流体と更に混合されながら渦巻流として供給されることを特徴とする、
流体混合出力装置。
【請求項17】
第1、第3の部分の翼は、収納体の流体供給口が設けられている位置が他の部分に比べて同心円状に凹んでいて、第2の流体、第3の流体の注入を阻害しないように形成されていることを特徴とする請求項16に記載の流体混合出力装置。
【請求項18】
収納体と、
収納体に収納される内部構造体と、
からなる流体混合出力装置であって、
収納体には、少なくとも第1、第2の流体を供給する複数の流体供給口と、下流端部に複数の流体を混合した後に出力する流体流出口とが設けられ、
内部構造体は、第1の部分と、第2の部分と、第3の部分と、第4の部分とを含んでおり、
第1の部分は、軸部と、流体に渦巻流を発生させるように螺旋状に形成された翼とを含んでおり、
第2の部分は、第1の部分より下流側に位置し、軸部と、軸部の外周面から突出した複数の突起部とを含んでおり、
第3の部分は、第2の部分より下流側に位置し、軸部と、流体に渦巻流を発生させるように螺旋状に形成された翼とを含んでおり、
第4の部分は、第3の部分より下流側に位置し、軸部と、軸部の外周面から突出した複数の突起部とを含み、
収納体の複数の流体供給口の一つは収納体の上流端部の開口であって、第1の流体が供給されて渦巻流として第2の部分に供給され、複数の流体供給口の他の一つは収納体の第3の部分の翼に対応する部分に形成されており、第2の流体が第3の部分に供給されて、第4部分に第2の部分から供給される第1の流体と混合されながら渦巻流として供給されることを特徴とする、
流体混合出力装置。
【請求項19】
第3の部分の翼は、収納体の流体供給口が設けられている位置が他の部分に比べて同心円状に凹んでいて、第2の流体の注入を阻害しないように形成されていることを特徴とする請求項18に記載の流体混合出力装置。
【請求項20】
請求項1から19のいずれかの流体混合出力装置に、第1の流体として液体を、第2の流体として気体を供給して、液体に気体が混合された状態で収納体の流体流出口から出力させて、気液混合状態で利用する流体利用装置。
【請求項21】
請求項1から19のいずれかの流体混合出力装置に、第1の流体として気体を、第2の流体として液体を供給して、液体に気体が混合された状態で収納体の流体流出口から出力させて、気液混合状態で利用する流体利用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の流体を混合して出力する流体混合出力装置及びそれを用いる流体利用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種技術分野において、複数の流体を混合して出力する流体混合出力装置が用いられている。例えば、液体に気体を混合して出力することで、洗浄効果を上げる二流体ノズルなどがある。このような二流体ノズルの例としては、例えば、特許第3410385号や特許第6207366号がある。これらの例では、気体と液体を混合して、混合流体を噴射口から噴射して、半導体ウエハなどを洗浄する際に用いられる。また、工作機械の分野では、ワークや刃物を洗浄しながら冷却する目的で、冷却水と空気を混合して噴射することも行われている。更には、液体に気体を混合して、ファインバブルを発生することも行われ、ファインバブルを含む液体を用いて洗浄、冷却その他の目的で利用することも行われている。流体の中にウルトラファインバブルを発生する流体特性変化装置としては、例えば、本願特許出願人による特許第6433039号、特許第6534058号がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3410385号
【文献】特許第6207366号
【文献】特許第6433039号
【文献】特許第6534058号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの従来技術による流体混合出力装置によれば、複数の流体の混合のための装置が大がかりになることが多く、また、複数の流体の混合を、適切に、例えば均質に行うことは難しかった。また、気液混合の場合、液体に混合される気体の粒径は大きいままであって、気体の微細化はできていないものであった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、流体混合において、本願特許出願人の上記先行発明を利用し、流体を微細化して十分に混合できる流体混合出力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するために、次のような構成にしてある。すなわち、本発明の流体混合出力装置の一つの実施形態によれば、収納体と、収納体に収納される内部構造体と、からなる。収納体には、少なくとも第1、第2の流体を供給する複数の流体供給口と、下流端部に複数の流体を混合した後に出力する流体流出口とが設けられる。内部構造体は、第1の部分と、第2の部分と、第3の部分と、第4の部分とを含む。第1の部分は、軸部と、流体に渦巻流を発生させるように螺旋状に形成された翼とを含む。第2の部分は、第1の部分より下流側に位置し、軸部と、軸部の外周面から突出した複数の突起部とを含む。第3の部分は、第2の部分より下流側に位置し、軸部と、流体に渦巻流を発生させるように螺旋状に形成された翼とを含む。第4の部分は、第3の部分より下流側に位置し、軸部と、軸部の外周面から突出した複数の突起部とを含む。
収納体の複数の流体供給口の一つは、第1の部分の翼に対応する部分に形成されており、第1の流体が第1の部分に供給されて渦巻流として第2の部分に供給され、収納体の複数の流体供給口の一つは、第3の部分の翼に対応する部分に形成されており、第2の流体が第3の部分に供給されて渦巻流として第4部分に少なくとも第1の流体と混合されながら供給される。
【0007】
本発明の他の実施形態によれば、収納体の複数の流体供給口の一つは、上流端部が開口されて形成されており、第1の流体が第1の部分に上流から供給されて渦巻流として第2部分に供給され、収納体の複数の流体供給口の一つは、第3の部分の翼に対応する部分に形成されており、第2の流体が第3の部分に供給されて渦巻流として第4部分に少なくとも第1の流体と混合されながら供給される。
さらに他の実施形態によれば、収納体の複数の流体供給口の一つは、第1の部分の翼に対応する部分に形成されており、第1の流体が第1の部分に供給されて渦巻流として第2部分に供給され、収納体の複数の流体供給口の一つは、上流端部に形成されており、第1の流体と同じもしくは異なる流体が第1の部分に上流から供給され、収納体の複数の流体供給口の一つは、第3の部分の翼に対応する部分に形成されており、第2の流体が第3の部分に供給されて渦巻流として第4部分に少なくとも第1の流体と混合されながら供給される。
さらに他の実施形態によれば、収納体の複数の流体供給口の一つは第1の部分の翼に対応する部分に形成されており、第1の流体が供給されて渦巻流とされながら第2の部分に供給され、複数の流体供給口の他の一つは第3の部分の翼に対応する部分に形成されており、第2の流体が第3の部分に供給されて、第4の部分に第2の部分から供給される第1の流体と混合されながら渦巻流として供給される。
さらに他の実施形態によれば、収納体の複数の流体供給口の一つは収納体の上流端部の開口であって、第1の流体が第1の部分に供給され、複数の流体供給口の他の一つは収納体の第1の部分の翼に対応する部分に形成されており、第2の流体が供給されて第1の流体と混合されながら渦巻流として、第2の部分に供給され、複数の流体供給口の別の他の一つは収納体の第3の部分の翼に対応する部分に形成されており、第3の流体が第3の部分に供給されて、第4部分に第2の部分から供給される第1の流体と第2の流体の混合流体と更に混合されながら渦巻流として供給される。
さらに他の実施形態によれば、収納体の複数の流体供給口の一つは収納体の上流端部の開口であって、第1の流体が供給されて渦巻流として第2の部分に供給され、複数の流体供給口の他の一つは収納体の第3の部分の翼に対応する部分に形成されており、第2の流体が第3の部分に供給されて、第4部分に第2の部分から供給される第1の流体と混合されながら渦巻流として供給される。
【0008】
本発明の流体利用装置は、例えば、液体を第1の部分に、気体を第3の部分に供給して、液体に気体が混合された状態で収納体の流体流出口から出力させて、気液混合状態で利用することを可能とする。
或いは、本発明の流体利用装置は、例えば、気体を第1の部分に、液体を第3の部分に供給して、液体に気体が混合された状態で収納体の流体流出口から出力させて、気液混合状態で利用することを可能とする。
或いはさらに多くの流体(液体、気体、これらの混合流体)が、適切に、或いは均質に、撹拌・拡散し、せん断し、混合された状態で、場合によっては、ファインバブル化された状態で利用することができることになる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の流体混合出力装置は、複数の流体を適切に混合することができる。具体的には、複数の流体を均質に混合できる。また、液体に気体を混合する場合においては、多量の気体を液体に混合することができる。また、大きな気泡を発生することなく、微細な気泡(場合によっては、マイクロバブルやウルトラファインバブルを含むファインバブル)として液体に混合することができる。あるいは、複数の流体を均質に混合できる。
更には、本発明の流体利用装置は、流体混合出力装置からの均質に混合された混合流体を利用できる。あるいは、ファインバブル化(マイクロバブルの状態或いはウルトラファインバブルの状態のいずれか一方或いは双方の状態と)した気体を含む流体を利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下の詳細な記述が以下の図面と合わせて考慮されると、本発明のより深い理解が得られる。これらの図面は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
図1】本発明の流体混合出力装置を用いる利用装置を示す図である。
図2】本発明の流体混合出力装置の第1実施形態に係る流体供給管の3次元斜視図である。
図3図2の流体供給管の3次元分解斜視図である。
図4図2の流体供給管の分解断面図である。
図5図2の流体供給管に流体供給ジョイントを結合したときの結合断面図である。
図6】本発明の流体混合出力装置の第2実施形態に係る流体供給管の3次元斜視図である。
図7図6の流体供給管の3次元分解斜視図である。
図8図6の流体供給管の分解断面図である。
図9図6の流体供給管に流体供給ジョイントを結合したときの結合断面図である
図10】本発明の流体混合出力装置の第3実施形態に係る流体供給管の3次元斜視図である。
図11図10の流体供給管の3次元分解斜視図である。
図12図10の流体供給管の分解断面図である。
図13図10の流体供給管に流体供給ジョイントを結合したときの結合断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の流体混合出力装置Sを用いた流体利用装置を示す。符号1は、外部から補給されながら第1の流体(例えば水)を溜めるタンク(水槽)である。このタンク1の流体は、ポンプ2によって吸い上げられ、配管を通り流体混合出力装置Sに与えられる。符号21は、外部から補給されながら第2の流体(例えば気体)を溜めるタンク(あるいはボンベその他)である。このタンク21の第2の流体は、ポンプ22によって吸い上げられ、配管を通り流体混合出力装置Sに与えられる。なお、第2の流体が空気の場合は、流体混合出力装置Sでは、外気を取り込むだけでよい。このように、流体混合出力装置Sには、2つの流体(一方は液体、他方は気体)が供給される。勿論、第3のタンクとポンプを用意して第3の流体(液体でも気体でもよい)を流体混合出力装置Sに供給して3種類を混合するようにしてもよい。あるいは流体混合出力装置Sではそれ以上の種類の流体を混合するようにしてもよい。流体混合出力装置Sからは、複数の流体が適切に混合されて、バルブ3を経由して対象機器4に供給される。
【0012】
例えば、タンク1からの第1の流体を水として、タンク2からの第2の流体を空気とした場合、流体混合出力装置Sにてウルトラファインバブル(バブルの内部は主に水が気化したもの)を直接的に発生しながら、吸入された空気を攪拌・拡散あるいはせん断等して、バブル内部に主に空気を含むマイクロバブル(その一部はウルトラファインバブルになる可能性もある)をも多量に発生することになる。本発明の流体混合出力装置Sは、流体そのものを減圧により沸騰し気化させてファインバブルを生成する、或いは流体内に常温で溶存している気体を減圧析出させてファインバブルを生成することも可能とする。このようにして、流体混合出力装置Sでは、マイクロバブルの発生とあわせて、ウルトラファインバブルの発生も可能となり、利用装置は、多様なサイズの微細気泡を含む流体を利用可能となる。また、流体混合出力装置Sは、2つ以上の流体(液体どうし、液体と気体、気体どうし、或いは気液混合流体どうし)を混合したり、攪拌・拡散或いはせん断したりすることも可能である。
【0013】
タンク1の第1の流体の状態(水温など)を検知するセンサ5や、流体混合出力装置Sを通過する流体の状態(流量、圧力など)を検知するセンサ6の出力に基づいて制御装置7がバルブ3の開閉制御を行い、その制御状態を表示盤8にてオペレータに明示する。そして、バルブ3を経由した流体は対象機器4に供給される。対象機器4で、供給流体が消費される場合を除き、流体を循環利用する場合は、対象機器4にて使用された流体が濾過器9(場合によっては、チラー(Chiller))などを経由して異物や不純物を濾過した上(場合によっては温度を元に戻した上)でタンク1に戻される。
【0014】
本発明の流体混合出力装置Sからの流体は、各種の利用装置に用いられる。例えば、利用装置は、工作機械であって、ワークや、砥石やドリルなどの刃物に、ノズルから流体混合出力装置Sからの流体を吐出して工作部を冷却したり、洗浄したりする。あるいは、利用装置を、工場の生産ライン(特に精密機器)の洗浄システムとすることができる。このように、流体混合出力装置Sからの供給流体は、対象機器4において、冷却剤や洗浄剤として機能する。つまり、ファインバブルを含む液体は、流体の表面張力を下げ浸透性が向上することによって、流体が細部にまで行き渡ることで冷却効果や洗浄能力を上げる。後述するキャビテーション現象で液中の気圧が飽和蒸気圧以下になると、液体が水の場合は水蒸気による泡が発生する。この泡は負圧でできており、当然、圧力の高いところで消滅し、その際に大きな衝撃が発生する。この衝撃を洗浄に活用して、洗浄能力を高める。同様に、利用装置をビンや容器、機材の洗浄装置とすることもできる。さらには、タンク1からの水にタンク2からの第2の流体としてオゾンを混合し、流体混合出力装置Sにてオゾンファインバブル水に特性変化して、対象機器4において目的とするプロダクトにオゾンバブル水を吐出する。このようにすれば、脱臭・脱色・殺菌効果が得られる。オゾンは酸素分子へ分解され、その過程でOHラジカルなどが生成されることで、殺菌性能が上がる。従って、流体混合出力装置Sからの供給流体は、例えば、殺菌剤として用いられる。
【0015】
更に、対象機器4を含む利用装置としては、家庭内の洗面・風呂・洗濯・洗浄等の流体システムなどがあり、洗浄効果が期待される。この場合は、タンク1は不要で、水道管から供給される水道水(第1の流体)を直接、流体混合出力装置Sを通過させる(第2の流体は、空気である)ことで実現できる。同様に、工場やオフイス、店舗でも水道水を直接利用する流体システムに適用できる。あるいは、第1の流体としての水に、タンク2からの第2の流体として酸素を混合し、流体混合出力装置Sにて酸素ファインバブル水に特性変化し、農業、水産分野あるいはその他の分野の水処理のための流体システムに適用できる。ファインバブルを含んだ液体は、植物や魚などの生物に吸収されて、成長の速度を加速することができる。また、食材、例えば米や農作物、鮮魚などの洗浄にも用いられる。更には、地下水や井戸水、汚染水の浄化など水処理システムに適用できる。水にタンク2からの第2の流体として水素、二酸化炭素、その他の気体を混合し、流体混合出力装置Sにて水素ファインバブル水、二酸化炭素ファインバブル水、その他の特性を持つファインバブル水あるいは各種の機能水に特性変化させて、各種用途に用いることができる。
【0016】
また、対象機器4を含む利用装置としては、各種機器の発する熱を熱交換する流体システムに適用でき、流体混合出力装置Sからの流体をかかる熱交換器に供給し、冷却或いは加熱することも実現できる。流体混合出力装置Sからの流体(ファインバブルを含み、温度変化の効果が期待される)を対象機器4内の熱交換器内のパイプに通す。対象機器4において、熱交換器を経た流体は、図示しないチラーにて、本来の温度に戻して、タンク1に循環供給される。このようにして、対象機器4に供給される流体が、対象機器の冷却或いは加熱を実現する伝熱剤として機能する。
【0017】
特定の流体を消費する(流体を循環使用しない)流体システムであれば、タンク1に適宜、当該流体を補給しながら利用することになる。そのような対象機器は、種々の製造・生産ラインであり、種々の物品(食品、薬品、エマルジョン燃料など)の製造や生産に流体混合出力装置Sからの流体を利用することができる。
【0018】
別の利用装置としては、セメントと水との混合流体を第1の流体として、二酸化炭素を第2の流体として、それぞれ流体混合出力装置Sに供給し、セメントと水の混合水の中に二酸化炭素を混入して、場合によっては微細化して、特にファインバブル化してより多量の二酸化炭素を混合したセメント流体を製造することができる。このようなセメントを使用して、構造物を作ることで、大気中の二酸化炭素を減少する(コンクリートに二酸化炭素を注入固定する)ことも可能となる。
【0019】
このように、流体混合出力装置Sに、供給される気体は、これに限定されるものではないが、例えば、空気、酸素、水素、窒素、オゾン、アルゴン、ヘリウム、アンモニア、二酸化炭素、塩素、塩化水素、炭化水素ガス、天然ガスのいずれかである。流体混合出力装置に、供給される液体は、これに限定されるものではないが、例えば、水、海水、油、アルコール、薬液、セメントと水の混合流体のいずれかである。
【0020】
本発明において、流体混合出力装置Sには、流体にファインバブル(マイクロバブルやウルトラファインバブル)を発生するものや、流体を撹拌・拡散あるいはせん断して、流体の特性を変更する装置で、流体の分子間の連結構造に変化をもたらすと考えられる構造体も含む。更に、このような内部構造体を複数直列に配列する、並列に配列することなども流体混合出力装置Sの構成として取り得る。
【0021】
(第1実施形態)
本発明に係る流体混合出力装置Sの一実施形態の流体供給管1100では、2種類の流体を混合し出力することができるように、流体供給口である流入口が2系統あり、流体流出口である流出口が1系統ある。図2は、本発明の流体混合出力装置Sの一実施形態に係る流体供給管1100の3次元斜視図であり、図3は流体供給管1100の3次元分解斜視図であり、図4は、流体供給管1100の分解断面図であり、図5は流体供給ジョイント151-1、151-2をひとつの側面において結合したときの流体供給管1100の結合断面図である。なお、図5(A)は、横から見た断面図、図5(B)は、出力側の正面から見た断面図である。
【0022】
これらの図面に示されたように、流体供給管1100は、管本体110及びその内部に配置される内部構造体140、上流部に螺合結合される蓋体113を含む。管本体110は、外観が直方体の異形管であって、内部が図4図5で示す空洞をもつ。即ち、管本体110の内部空洞は、蓋体113の雄ねじ(或いは雌ねじ)と螺合する雌ねじ(あるいは雄ねじ)が切られた上流側の空洞と、それに続く一定の長さの太い径の円筒状の空洞と、テーパーによって同心円形で先が細る空洞と、最終出力端で一定の長さを持つ円筒形の細い径の空洞とから形成されている。なお、管本体110の外形形状は、直方体のほか、円柱形や多角柱形などをとることができる。このことは他の実施形態においても同様である。
【0023】
管本体110の上流端部はねじが形成されている円形開口部となり、蓋体113に形成されているねじとの螺合にて上流側一端部は塞がれる。これは、上記形状の空洞部を切削加工するために上流端部が開口されていて、実際の使用時には、蓋体113で上流端が封じられるのである。なお、蓋体113と管本体110の結合はねじによる螺合結合のほか、蓋体部材の圧入や勘合等の手法も採用でき、流体の密閉性が図られるのであれば、蓋体の接着や溶着などの手法も可能である。これは本発明の他の実施形態においても同様である。管本体110は、スチールのような金属からなる角柱部材を加工する方法のほか、プラスチックを成形する方法等によって形成される。下流側の他端部には、円筒形の細い径の空洞に繋がる流出口112が形成されている。蓋体113の内側には、円錐形の空洞113-Cが形成されている。流体供給管1100は、内部構造体140を管本体110に一端部から挿入固定した上で、蓋体113で一端部が閉じられて構成される。
【0024】
図2において示される通り、本実施形態においては、流体は一側面に設けられた2つの流入口111―1と、111-2とから流入し、流出口112側へ流れる。図5に示す通り、第1の流入口111―1には、第1の流体(例えば液体)が、流体供給ジョイント151-1を介して供給され、第2の流入口111―2には、第2の流体(例えば気体)が、流体供給ジョイント151-2を介して供給される。勿論、第1の流体と第2の流体について、流入口111―1、111-2への液体と気体の供給の仕方を逆にすることも考えられる。本実施形態においては、この流入口111-1と流入口111-2との径は略同じであり、両者は管本体110の一側面の中心より外側にわずかにずれた同一線上にある(図2図5(B)参照)。これは、中心から流れの方向に対して少し横方向にずれたほうが管本体110の内部に流入しやすい(図5(B)の例では、全体的に反時計方向に回転しながら流入する)ことによる。例えば、図4図5に示されるとおり、液体供給用の流体供給ジョイント151-1の流入口111-1は、ストレートの円筒形状であるが、気体用の流体供給ジョイント151-2の流入口111-2は大径から小径へ変化するテーパー形状111-2Tが形成されている。この形状により流入口111-2からは管本体110の内部空洞に圧力がかかった状態で気体が注入されることになる。蓋体113の内側に形成された円錐形の空洞113-Cでは、流入口111-1から流入した第1の流体の一部が溜まることになるが、流体供給ジョイント151-1から継続して注入される流体の圧力で、下流に流れていくことになる。
【0025】
内部構造体140は、例えば、スチールのような金属からなる円柱部材を切削、或いは研削加工する方法又はプラスチックを成形する方法等によって形成される。具体的には、図3乃至図5に示されたように、本実施形態の内部構造体140は、断面が円形の共通の軸部材141の上に一体化して形成されている第1の部分である渦巻発生部143と、第2の部分であるバブル発生部145と、第3の部分である渦巻発生部147と、第4の部分であるバブル発生部149と、更には、最下流に位置するドーム形(或いは円錐形)の誘導部150とを含む。なお、上流端部に円錐形又はドーム形の拡散部などを図示していないが付加してもよい。これは後述する他の実施形態のおいても同様である。加えて、第4の部分の下流に、更に第5の部分である渦巻発生部、第6の部分であるバブル発生部などを連続して直列に形成することも可能である。
【0026】
渦巻発生部143、バブル発生部145、渦巻発生部147、バブル発生部149、及び誘導部150或いはこれらに加えて最上流部に形成される拡散部のそれぞれは、例えば、一つの円柱部材の一部を加工することにより形成される。本実施形態では、軸部材141は細い軸径の渦巻発生部143と渦巻発生部147と、太い軸径のバブル発生部145とバブル発生部149とを有する。この軸径の違いは、流体の流動のしやすさを考慮してのものであるが、流体の管本体110への流入(注入)圧力を高圧にするなどした場合は、渦巻発生部143、バブル発生部145と渦巻発生部147とバブル発生部149とが同一の直径を有するようにしてもよい。この軸体の軸径の大小選択も他の実施形態においても同様に可能である。
【0027】
渦巻発生部143は、円形の断面を有しその直径が一定した軸部と、複数、例えば3枚の螺旋状に形成された翼とを含む。図4及び図5に示されたように、本実施形態において、渦巻発生部143の流れ方向の長さはバブル発生部145の長さよりは短い。渦巻発生部143の翼の各々は、その先端が軸部141の円周方向に互いに120°ずつずらされており、軸部141の一端から他端まで外周面に所定の間隔をあけて反時計まわりに螺旋状に形成されている。例えば、翼を4枚とすれば、90°ずつずらされて形成される。渦巻発生部143の翼の枚数や形態は、渦巻発生部143に進入した流体が、各翼の間を通過する間に渦巻流を起こすことができるものであれば特に制限されない。渦巻発生部143は、内部構造体140を管本体110に収納した時に、管本体110の空洞の内周面に近接する程度の外径を有する。そして、この渦巻発生部143の翼は、図4に拡大して示したとおり、収納体110の流体供給口111-1が設けられている位置には、他の部分に比べて凹んでいる凹部143-Hが同心円状に形成されていて、流体の注入を阻害しないように形成されている。
【0028】
バブル発生部145は、渦巻発生部143より下流側に形成されている。図4及び図5に示されたように、バブル発生部145は、円形の断面を有しその直径が一定した軸部141と、軸部141の外周面から突出した複数の突起部(凸部)145pとを含む。バブル発生部145には、それぞれが菱形の断面を有する柱形をしている複数の突起部145pが網状に形成されている。それぞれの突起部145pは、軸部141の表面から半径方向に外側に向かって突出した形態になるように、例えば、円柱部材の外周面を研削加工することによって形成される。より具体的に説明すると、それぞれの突起部145pの形成方法は、例えば、円柱部材の長さ方向に対して90度の方向に一定の間隔を持つ複数の円環ラインと、上記長さ方向に対して所定の角度(例えば、60度)に傾いた一定の間隔の螺旋ラインを交差させ、90度の方向の円環ラインの間を一回ずつ飛ばして研削すると共に、傾いた螺旋ラインの間を一回ずつ飛ばして研削する。このようにして、軸部141の外周面から突出した複数の突起部145pが上下(円周方向)、左右(軸部141-3の長さ方向)に一つずつ飛ばして規則的に形成される。研削により形成された溝底面が軸部141の外周面になる。また、本実施形態において、バブル発生部145は、内部構造体140を管本体110に収納した時に、管本体110の空洞の内周面に近接する程度の外径を有する。なお、複数の突起部145pの形状は、上述の菱形突起でなくても良く(例えば、三角形、多角形、その他)、その配列も適宜(角度、幅など)変更できる。この変更は、以下に説明する他の実施形態においても同様である。加えて、上記説明では、突起部145pを研削加工で製作すると説明したが、研削加工に代えて切削加工、旋削加工を組み合わせて行うことで、時間短縮が図れることになる。なお、この加工方法は、後述の突起部149pでも同様であり、更に、他の実施形態においても同様である。
【0029】
渦巻発生部147は、図4及び図5に示されたように、バブル発生部145より下流側に形成されている。渦巻発生部147は、円形の断面を有しその直径が一定した軸部141と、渦巻発生部143と同様に、複数個例えば、3個の螺旋状に形成された翼を含む。渦巻発生部147の軸部141の長さ(全体の流れ方向についての長さ)は、渦巻発生部143の軸部141の長さと同一であるが、これに限られることはない。この渦巻発生部143および渦巻発生部147の長さの調整は、使用する流体の特性に応じて変更可能である。この軸部141の長さを渦巻発生部143の軸部141の長さより、長くすることも短くすることも可能であり、このことは他の実施形態においても同様である。
【0030】
本実施形態では、渦巻発生部147は、内部構造体140を管本体110に収納した時に、管本体110の空洞の内周面に近接する程度の外径を有する。この渦巻発生部147の翼は、図4に拡大して示したとおり、収納体110の流体供給口111-2が設けられている位置には、他の部分に比べて凹んでいる凹部147-Hが同心円状に形成されていて、流体の注入を阻害しないように形成されている。流体供給口111-2の形状を考慮し、図4に拡大して示した通り、軸方向において、凹部147-Hの凹んでいる部分の幅は、凹部143-Hの凹んでいる部分の幅よりも短く形成されているが、それらを同じ幅にすることもできる。
【0031】
バブル発生部149は、渦巻発生部147より下流側に形成されている。バブル発生部145と同様に、バブル発生部149は、円形の断面を有しその直径が一定した軸部141と、軸部141の外周面から突出した複数の例えば断面が菱形形状の突起部149pとを含んでおり、複数の突起部149pが網状に形成されている(図4及び図5参照)。それぞれの突起部149pは、軸部141の表面から半径方向に外側に向かって突出した形態になるように、例えば、円柱部材の外周面を研削加工することによって形成される。突起部149pは、バブル発生部145の突起部145pと同一の方法で形成されることができる。また、本実施形態において、バブル発生部149は、内部構造体140を管本体110に収納した時に、管本体110の空洞の内周面に近接する程度の外径を有する。
【0032】
本実施形態では、バブル発生部149の軸部141の長さは、バブル発生部145の軸部141の長さより長い。換言すれば、バブル発生部149の突起部149pの個数がバブル発生部145の突起部145pの個数より多い。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。バブル発生部149の軸部141の全体の流れ方向の長さをバブル発生部145の軸部141の長さと同一とすることもできる。しかし一般的には、バブル発生部149の軸部141の全体の流れ方向の長さをバブル発生部145の軸部141の長さより長くすることで、流体の混合の効果は上がる。
【0033】
誘導部150は、例えば、円柱部材の下流側の端部をドーム形に加工することで形成される。後述するように、流体供給管1100の内部を流れる流体が誘導部150によって管の中心に向かって誘導されることにより、流出口112を通じて流体を円滑に吐き出すことができる。なお、他の実施形態においては、内部構造体140が誘導部を含まない。あるいは、円錐形の誘導部を含むことになる。
【0034】
次に、流体が流体供給管1100を通過する間の流動について説明する。第1の流体(例えば液体)が、流体供給ジョイント151-1を介して流入口111―1に供給され、第2の流体(例えば気体)が、流体供給ジョイント151-2を介して流入口111―2に供給される。流入口111-1を通じて流入された第1の流体は、一部が蓋体113の内側に形成された円錐形の空洞113-Cに溜まりながら渦巻発生部143の螺旋状に形成された3個の翼の間を通過して行く。このとき、渦巻発生部143の翼は、凹部143-Hが同心円状に形成されていて、流入口111―1からの第1の流体の注入を阻害しない。流体は第1の渦巻発生部143の各翼によって強烈な渦巻流になって、軸部141を過ぎてバブル発生部145に送られる。
【0035】
そして、流体はバブル発生部145の複数の突起部145pの間を通る。これらの複数の突起部145pは複数の狭い流路(螺旋流路と円環流路との交差流路)を形成する。流体が複数の突起部145pによって形成された複数の狭い流路を通過することで、多数の微小な渦を発生させる。つまり流れが急な螺旋流路と流れが緩やかな円環流路の衝突、分流を繰り返す現象によって、流体の混合及び拡散を誘発する。第1のバブル発生部145の上記構造は、異なる性質を有する二つ以上の流体を混合する場合にも有用である。
【0036】
また、内部構造体140は、流体が、断面積が大きい上流側(渦巻発生部143)から断面積が小さい下流側(バブル発生部145の複数の突起部145pの間に形成された流路)へ流れるようにする構造を有する。この構造は以下に説明するように流体の静圧力(static pressure)を変化させる。流体に外部エネルギーが加えられない状態での圧力、速度、及び位置エネルギーの関係は次のようなベルヌーイ方程式として表される。
【数1】

ここで、pは流線内の一点での圧力、ρは流体の密度、υはその点での流動の速度、gは重力加速度、hは基準面に対するその点の高さ、kは定数である。上記方程式として表現されるベルヌーイ定理は、エネルギー保存法則を流体に適用したものであり、流れる流体に対して流線上ですべての形態のエネルギーの合計はいつも一定であるということを説明する。ベルヌーイ定理によると、断面積が大きい上流では、流体の速度が遅くて静圧は高い。これに対して、断面積が小さい下流では、流体の速度が速くなり静圧は低くなる。
【0037】
流体が液体である場合、低くなった静圧が液体の飽和蒸気圧に到達すると液体の気化が始まる。このようにほぼ同一の温度において静圧がきわめて短い時間内に飽和蒸気圧より低くなって(水の場合、3000-4000Pa)液体が急激に気化する現象をキャビテーション(cavitation)と称する。本発明の流体供給管1100の内部構造はこのようなキャビテーション現象を誘発する。キャビテーション現象によって液体のうちに存在する100ミクロン以下の微小な気泡核を核として液体が沸騰したり溶存気体の遊離によっていたりして小さい気泡が多数生じる。すなわち、流体がバブル発生部145を通過しながら多数のファインバブルが発生する。
【0038】
水の場合、1つの水分子が他の4個の水分子と水素結合を形成でき、この水素結合ネットワークを破壊することは容易ではない。そのために、水は水素結合を形成しない他の液体に比べて沸点や融点が非常に高いし、高い粘度を示す。水の沸点が高い性質は優秀な冷却効果をもたらすので、研削等を行う加工装置の冷却水として頻繁に用いられるが、水分子の大きさが大きくて加工箇所への浸透性や潤滑性は良くないという問題がある。そこで、通常は水でない特殊な潤滑油(即ち、切削油)を単独に、または、水と混合して用いる場合も多い。ところで、本発明の供給管を用いれば、上記したキャビテーション現象によって水の気化が起き、その結果、水の水素結合ネットワークが破壊されて粘度が低くなる。また、気化によって発生するファインバブルは水の表面張力を低下させるため浸透性及び潤滑性を向上させる。浸透性の向上は結果的に冷却効率を増加させる。従って、本発明によると、特殊な潤滑油を使うこと無しに、水だけを用いても加工品質、即ち、工作機械の性能を向上させることができる。
【0039】
バブル発生部145を通過した流体は軸部141を過ぎて、渦巻発生部147の螺旋状に形成された3個の翼の間を通過して行く。このとき、流入口111-2を通じて流体供給ジョイント151-2から流入された第2の流体(気体)は、渦巻発生部147の螺旋状に形成された3個の翼の間に注入される。このとき、渦巻発生部147の翼は、凹部147-Hが形成されていて、流体供給ジョイント151-2を介して供給される第2の流体の注入を阻害しない。ここで、上流からの第1の流体に第2の流体は混合されながら、第1、第2の流体からなる混合流体は第2の渦巻発生部147の各翼によって強烈な渦巻流になって、軸部141を過ぎてバブル発生部149に送られる。
【0040】
バブル発生部149においても、バブル発生部145について説明したように、流体が複数の突起部149pによって形成された複数の狭い流路を通過することで、多数の微小な渦を発生させる現象が起こる。第2の流体が気体の場合、この細い流路を通過することで、気体の粒径の微細化が図られる。また、流体が、断面積が大きい流路(渦巻発生部147の3個の翼によって形成された流路)から断面積が小さい流路(バブル発生部149の複数の菱形突起部149pの間に形成された流路)へ流れる構造によってキャビテーション現象が起こる。その結果、流体がバブル発生部149を通じながら多数のファインバブルが発生する。
【0041】
上述のように、本実施形態の流体供給管1100は、渦巻発生部143とバブル発生部145とを過ぎた第1の流体が、流体供給ジョイント151-2を介して流入口111―2から注入される第2の流体と混合されながら、渦巻発生部147の螺旋状に形成された翼で螺旋流となって、バブル発生部149の複数の突起部149pの間の細い交差流路を通過するように構成されている。バブル発生部149の上流に設けられた渦巻発生部147により渦巻流を発生させて二番目のバブル発生部149に供給することで、一つのバブル発生部145を有する場合に比べて第1の流体の中のファインバブル発生の効果を増大させることができる。また、第2の流体も微細化されて第1の流体と混合されて、混合流体もファインバブル化される可能性(頻度)が高まる。
【0042】
バブル発生部149を通過した流体は内部構造体140の端部に向かって流れる。バブル発生部149の複数の狭い流路から誘導部150と管本体110内部のテーパー部分との空間では流路が急激に広くなる。このとき内部構造体140の誘導部150の円錐形の曲面によって、コアンダ(Coanda)効果が発生する。コアンダ効果は、流体を曲面の周囲で流せば流体と曲面との間の圧力低下によって流体が曲面に吸い寄せられることによって流体が曲面に沿って流れる現象を称する。このようなコアンダ効果によって、流体は誘導部150の表面に沿って流れるように誘導される。流体は内部構造体140の誘導部150によって管の中心に向かって誘導されて流出口112を通じて流出される。
【0043】
以上の第1実施形態では、収納体である管本体110の複数の流体供給口の一つは内部構造体140の第1の部分である渦巻発生部143の翼に対応する部分(流入口111-1)に形成されており、第1の流体が供給されて渦巻流とされながら第2の部分であるバブル発生部145に供給され、複数の流体供給口の他の一つは第3の部分である渦巻発生部147の翼に対応する部分(流入口111-2)に形成されており、第2の流体が第3の部分に供給されて、第4部分であるバブル発生部149に第2の部分から供給される第1の流体と混合されながら渦巻流として供給される。
【0044】
ここで、内部構造体140の渦巻流発生部143と渦巻流発生部147は、反時計計回りの渦巻流(旋回流)を発生するようにしたが、これは、ともに時計回りの渦巻流(旋回流)を発生するようにしてもよい。また、それに合わせて、バブル発生部145とバブル発生部149の螺旋流路を時計回りのものとしてもよい。また、図5(B)に示す流入口111-1、111-2も、流体が時計回りしやすくなるように図面の中心から左側側部(全体の流れの方向からは右側)に寄せることになる。このことについては、以下の他の実施形態においても同様である。
【0045】
(第2実施形態)
次に本発明に係る流体混合出力装置Sの第2実施形態につき説明する。本実施形態の流体供給管2100では、3種類以上の流体を混合し出力することができるように、流体供給口である流入流入口が3系統あり、流体流出口である流出流出口が1系統ある。また、一つの入力系統は、3方向に分かれて流体を流入することができる。従って、2系統の入力に同じ種類の流体を供給してもよい。また3方向に分かれた一つの系統の入り口には、それぞれの方向ごとに別々の流体を供給することもできる。また、3方向の入り口を4方向に増やしたり、1又は2の方向に減らしたりできる。特に気体を注入するに際して、複数の流入口から分散して注入することが、高い圧力をかけずに必要な量を液体に混入することができたり、気体を均質に、大きな泡となることなく混入できたりして効率的である。
【0046】
図6は、流体供給管2100の3次元斜視図であり、図7は流体供給管2100の3次元分解斜視図であり、図8は、流体供給管2100の分解断面図であり、図9は1方向から流体供給ジョイント251-1と3方向から流体供給ジョイント251-2a~251-2cを結合したときの流体供給管2100の結合断面図である。即ち、図9(A)は、横から見た断面図、図9(B)は、Iの位置の断面図であり、図9(C)は、IIの位置の断面図である。これらの図面に示されたように、流体供給管2100は、外観が直方体の異形管であり、内部が図8図9で示すほぼ円筒形状の空洞をもつ管本体210と、入力側結合体213及び出力側結合体212とを有する。管本体210の内部空洞には、内部構造体240を配置し固定することができる。
【0047】
管本体210は、スチールのような金属からなる角柱部材を加工する方法又はプラスチックを成形する方法等によって形成される。管本体210の上流端部は例えば雌ねじ(又は雄ねじ)が形成されている円形開口部となり、入力側結合体213に形成されている雄ねじ(又は雌ねじ)と螺合して結合される。管本体210の下流端部には雌ねじが形成されており、流出口が形成されている出力側結合体212の雄ねじと螺合して結合される。入力側結合体213には、流入口213-Iと略円柱形の空洞213-Cが形成されている。出力側結合体212には、テーパーにて径が細められた流出口212-Oが形成されている。流体供給管2100は、内部構造体240を管本体210に一端部から挿入固定した上で、入力側結合体213が上流側一端部に取り付けられ、出力側結合体212が下流側他端部に取り付けられて組み立てられる。なお、管本体210と入力側結合体213、出力側結合体212との結合は、螺合のほか勘合その他の接合形態をとることができる。
【0048】
図9において、第1の流体(例えば液体)は入力側結合体213の開口部213-I(第1系統)から、第2の流体(例えば液体)は流体供給ジョイント251-1からの一つの側面に設けられた流入口211―1(第2系統)から、第3の流体(例えば気体)は流体供給ジョイント251-2a~251-2cからの3側面に設けられた流入口211-2a~211-2c(第3系統)から流入し、流出口のある出力側結合体212側へ流動していく。第3の流体の流体供給口211-2a~211-2cは、内部構造体240の軸部の第3の部分の渦巻発生部247の同心円上の対応する位置に設けられている。
【0049】
この流入口211-1の径に比べて、3つの側面に形成されている流入口211-2a~211-2cの径は少し小さくなっている。これは、流体が気体の場合は、流入口径を小さくして圧力をかけて注入することで、気体に大きな泡ができないようになる。第1実施形態同様に、流入の容易性にするために、流入口211-1と流入口211-2a~211-2cは、図6図7図9(C)に示す通り、管本体210の各側面の中心より外側にわずかにずれた同一線上にある。気体用の流体供給ジョイント251-2の流入口211-2a~211-2cは下側が細まって気体を、圧力をかけて注入するテーパー形状211-2Tとなっていて、端部の注入口は細くなっている。
【0050】
内部構造体240は、第1実施形態で説明した構成と同様であって、図7乃至図9に示されたように、断面が円形の共通の軸部材241の上に一体化して形成されている第1の部分である渦巻発生部243と、第2の部分であるバブル発生部245と、第3の部分である渦巻発生部247と、第4の部分であるバブル発生部249と、更には、最下流に位置するドーム形(或いは円錐錐形)の誘導部250とを含む。なお、内部構造体240の上流端部に円錐形又はドーム形の流体を中心から周辺に拡散する拡散部などを付加してもよい。
【0051】
渦巻発生部243、バブル発生部245、渦巻発生部247、バブル発生部249、及び誘導部250、或いは先端の拡散部のそれぞれは、例えば、一つの円柱部材の一部を加工することにより形成される。本実施形態では、第1実施形態同様に、軸部材241は細い軸径の渦巻発生部243と渦巻発生部247と、太い軸径のバブル発生部245とバブル発生部249とを有する。他の実施形態では、渦巻発生部243、バブル発生部245と渦巻発生部247とバブル発生部249とが同一の直径を有する。
【0052】
渦巻発生部243は、円形の断面を有しその直径が一定した軸部と、複数の翼とを含む。そして、この渦巻発生部243の翼は、図8に拡大して示したとおりの形状をとっている。即ち、管本体210の流体供給口211-1が設けられている位置には、他の部分に比べて凹んでいる凹部243-Hが同心円状に形成されていて、流体の注入を阻害しないように形成されている。
【0053】
バブル発生部245は、渦巻発生部243より下流側に形成されている。バブル発生部245は、円形の断面を有しその直径が一定した軸部241と、軸部241の外周面から突出した複数の突起部(凸部)245pとを含む。バブル発生部245には、それぞれが菱形の断面を有する柱形をしている複数の突起部245pが網状に形成されている。この構造や機能並びに形成手法は第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0054】
渦巻発生部247は、図8及び図9に示されたように、バブル発生部145より下流側に形成されている。渦巻発生部247は、円形の断面を有しその直径が一定した軸部241と、渦巻き発生部243と同様に、複数枚の翼を含む。渦巻発生部247の軸部241の全体の流れ方向の長さは、渦巻発生部243の軸部の長さより短くなっている。これは、液体(渦巻発生部243に供給される)と気体(渦巻発生部247に供給される)とで異ならせた場合であるが、その流れ方向の長さを同一とすることを含めて、これに限られることはない。この渦巻発生部247の翼は、図8に拡大して示したとおりである。即ち、収納体210の流体供給口211-2a~211-2cが設けられている位置において、他の部分に比べて凹んでいる凹部247-Hが同心円状に形成されていて、流体の注入を阻害しないように形成されている。
【0055】
バブル発生部249は、渦巻発生部247より下流側に形成されている。バブル発生部245と同様に、バブル発生部249は、円形の断面を有しその直径が一定した軸部241と、軸部241の外周面から突出した複数の菱形突起部249pとを含んでおり、複数の菱形突起部249pが網状に形成されている。この形状や機能等についても第1実施形態と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0056】
誘導部250は、例えば、円柱部材の下流側の端部をドーム形、或いは円錐形状に加工することで形成される。流体供給管2100の内部を流れる流体が誘導部250によって管の中心に向かって誘導されることにより、出力側結合体212の流出口212-Oを通じて流体を円滑に吐き出すことができる。
【0057】
流体が流体供給管2100を通過する間の流動について説明する。第1の流体(例えば液体)は入力側結合体213の開口部213-I(第1系統)から供給され、空洞213-Cを経由して渦巻発生部243にて、旋回流とされるが、このとき、流体供給ジョイント251-1からの第2の流体(例えば液体)は一つの側面に設けられた流入口211―1(第2系統)から供給され、第1の流体と第2の流体は旋回されながら混合されて、バブル発生部245に供給される。バブル発生部245では、第1の流体と第2の流体の混合流について、多数の微小な渦を発生させる現象が起こる。流体が、断面積が大きい流路(渦巻発生部243の翼によって形成された流路)から断面積が小さい流路(バブル発生部245の複数の菱形突起部245pの間に形成された交差流路)へ流れる構造によってキャビテーション現象が起こる。その結果、流体がバブル発生部245を通過しながら多数のファインバブルが発生することになる。
【0058】
バブル発生部245を通過した流体は、渦巻発生部247の螺旋状に形成された翼の間を通過して行く。このとき、流体供給ジョイント251-2a~251-2cから流入口211-2a~211-2cを通じて流入された第3の流体(例えば気体)は、渦巻発生部247の螺旋状に形成された翼の間に注入される。このとき、渦巻発生部247の翼は、凹部247-Hが形成されていて、流体供給ジョイント251-2a~251-2cを介して供給される第3の流体の注入を阻害しない。ここで、上流からくる第1の流体と第2の流体との混合流体に第3の流体は混合されながら、第1~第3の流体からなる混合流体は渦巻発生部247の各翼によって強烈な渦巻流になって、バブル発生部249に送られる。図9(C)に示されるとおり、流体供給ジョイント251-2a~251-2cからの流体の供給方向も、流体の反時計回りを加速する方向に、夫々、直行する方向に回転した角度となっている。
【0059】
バブル発生部249においても、バブル発生部245について説明したように、流体が複数の突起部249pによって形成された複数の狭い流路を通過することで、多数の微小な渦を発生させる現象が起こる。第3の流体が気体の場合、この細い流路を通過することで、気体の粒径の微細化が図られる。また、流体が、断面積が大きい流路(渦巻発生部247の3個の翼によって形成された流路)から断面積が小さい流路(バブル発生部249の複数の菱形突起部249pの間に形成された交差流路)へ流れる構造によってキャビテーション現象が起こる。その結果、流体がバブル発生部249を通じながら多数のファインバブルが発生する。
【0060】
上述のように、第2実施形態によれば、収納体である流体供給管2100の複数の流体供給口の一つは入力側結合体213の上流端部の開口(213-I)であって、第1の流体が第1の部分である渦巻発生部213に供給され、複数の流体供給口の他の一つは収納体である管本体210の第1の部分の渦巻発生部243の翼に対応する部分(211-1)に形成されており、第2の流体が供給されて第1の流体と混合されながら渦巻流として、第2の部分であるバブル発生部245に供給され、複数の流体供給口の別の他の一つは収納体である管本体210の第3の部分である渦巻発生部245の翼に対応する部分(211-2a~211-2c)に形成されており、第3の流体が第3の部分である渦巻発生部247に供給されて、第4部分であるバブル発生部249に第2の部分から供給される第1の流体と第2の流体の混合流体と更に混合されながら渦巻流として供給される。バブル発生部249の上流に設けられた渦巻発生部247により渦巻流を発生させて二番目のバブル発生部249に供給することで、一つのみのバブル発生部245を有する場合に比べて第1、第2の流体の混合流体中のファインバブル発生の効果を増大させることができる。また、第3の流体も微細化されて第1、第2の流体からなる混合流体と混合されて、第1~第3の混合流体もファインバブル化される可能性が高まる。
【0061】
(第3実施形態)
本発明に係る流体混合出力装置Sの第3実施形態につき説明する。本実施形態の流体供給管3100では、2種類以上の流体を混合し出力することができるように、流入口が2系統あり、流出口が1系統ある。また、一つの入力系統は、4方向に分かれて流体を流入することができる。4方向に分かれた一つの系統の入り口には、それぞれの方向ごとに別々の流体を供給することもできる。また、4方向の入り口をそれ以上の方向に増やしたり、1~3の方向に減らしたりできる。第2実施形態と同様に、特に気体を注入するに際して、複数の流入口から分散して注入することが、高い圧力をかけずに必要な量を液体に混入することができたり、気体を均質に、大きな泡となることなく混入できたりして効率的である。
【0062】
図10は、流体供給管3100の3次元斜視図であり、図11は流体供給管3100の3次元分解斜視図であり、図12は、流体供給管3100の分解断面図であり、図13は4方向から流体供給ジョイント351-a~351-dを結合したときの流体供給管3100の結合断面図である。即ち、図13(A)は、横から見た断面図、図13(B)は、Iの位置の断面図であり、図13(C)は、IIの位置の断面図である。これらの図面に示されたように、流体供給管3100は、円筒管であり内部が図12図13で示すほぼ円筒形状の空洞の管本体310と、入力側結合体313及び出力側結合体312とから構成される。管本体310の内部に内部構造体340が収納固定される。
【0063】
管本体310は、スチールのような金属からなる角柱部材を加工する方法又はプラスチックを成形する方法等によって形成される。管本体310の上流端部は例えば雄ねじ(又は雌ねじ)が形成されている円形開口部となり、入力側結合体313に形成されている雌ねじ(又は雄ねじ)と螺合にて結合される。管本体310の下流端部には雄ねじ(又は雌ねじ)が形成されており、出力側結合体312の雌ねじ(又は雌ねじ)と螺合して結合される。入力側結合体313には、流入口313-Iと略円柱形の空洞313-Cが形成されており、出力側結合体312には、流出口312-Oが形成されている。流体供給管3100は、内部構造体340を管本体310に一端部から挿入固定した上で、入力側結合体313が流入側一端部に取り付けられ、出力側結合体312が流出側の他端部に取り付けられて組み立てられる。流体供給管3100が組み立てられたときは、入力側結合体313の空洞313-Cの位置に後述する内部構造体340の第1の部分である渦巻発生部343が位置し、内部構造体340の誘導部350が出力側構造体312の内部空洞に位置することになる。管本体340と入力側結合体313及び出力側結合体312の結合方法は、第1、第2実施形態と同様に、螺合のほか、勘合等種々変更できる。
【0064】
図13において、第1の流体(例えば液体)は入力側結合体313の開口部313-Iから、第2の流体(例えば気体)は流体供給ジョイント351-a~351-dを介して、4側面に設けられた流入口311-2a~311-2dから流入し、流出口312-Oのある出力側結合体312側へ流動していく。
【0065】
内部構造体340は、第1、第2実施形態で説明した構成と同様であって、図11乃至図13に示されたように、断面が円形の共通の軸部材341の上に一体化して形成されている第1の部分である渦巻発生部343と、第2の部分であるバブル発生部345と、第3の部分である渦巻発生部347と、第4の部分であるバブル発生部349と、更には、最下流に位置するドーム形(或いは円錐錐形)の誘導部350とを含む。なお、上流端部に円錐形又はドーム形の拡散部などを付加してもよい。
【0066】
渦巻発生部343、バブル発生部345、渦巻発生部347、バブル発生部349、及び誘導部350或いは拡散部のそれぞれは、例えば、一つの円柱部材の一部を加工することにより形成される。本実施形態では、第1、第2実施形態と同様に、軸部材341は細い軸径の渦巻発生部343と渦巻発生部347と、太い軸径のバブル発生部345とバブル発生部349とを有する。他の実施形態では、渦巻発生部343、バブル発生部345と渦巻発生部347とバブル発生部349とが同一の直径の軸部材を有する。
【0067】
渦巻発生部343は、円形の断面を有しその直径が一定した軸部と、複数の翼とを含む。バブル発生部345は、渦巻発生部343より下流側に形成されている。バブル発生部345は、円形の断面を有しその直径が一定した軸部341と、軸部341の外周面から突出した複数の突起部(凸部)345pとを含む。バブル発生部345には、それぞれが菱形の断面を有する柱形をしている複数の突起部345pが網状に形成されている。この構造、機能や形成手法は第1実施形態、第2実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0068】
渦巻発生部347は、図12及び図13に示されたように、バブル発生部345より下流側に形成されている。渦巻発生部347は、円形の断面を有しその直径が一定した軸部341と、渦巻き発生部343と同様に、複数枚の翼を含む。渦巻発生部347の軸部341の長さ(全体の流れ方向の長さ)は、渦巻発生部343の軸部の長さより短くなっている。これは、液体(渦巻発生部343に入力側結合体313の開口部313-Iから供給される)と気体(渦巻発生部347に流体供給ジョイント351-a~351-dを介して供給される)とで異ならせた(気体のほうが液体に比べて短い)場合であるが、その流れ方向の長さを同一とすることを含めて、これに限られることはない。この渦巻発生部347の翼は、図12に拡大して示したとおり、収納体310の流体供給口311-2a~311-2dが設けられている位置が他の部分に比べて凹んでいる凹部347-Hが同心円状に形成されていて、流体の注入を阻害しないように形成されている。
【0069】
バブル発生部349は、渦巻発生部347より下流側に形成されている。バブル発生部345と同様に、バブル発生部349は、円形の断面を有しその直径が一定した軸部341と、軸部341の外周面から突出した複数の突起部349pとを含んでおり、複数の突起部349pが網状に形成されている。この形状や機能等についても第1実施形態、第2実施形態と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0070】
誘導部350は、例えば、円柱部材の下流側の端部をドーム形、或いは円錐形状に加工することで形成される。流体供給管3100の内部を流れる流体が誘導部350によって管の中心に向かって誘導されることにより、出力側結合体312の流出口312-Oを通じて流体を円滑に吐き出すことができる。
【0071】
流体が流体供給管3100を通過する間の流動について説明する。第1の流体(例えば液体)は入力側結合体313の開口部313-I(第1系統)から供給され、渦巻発生部343にて、旋回流とされてバブル発生部345に供給される。バブル発生部345では、第1の流体について、多数の微小な渦を発生させる現象が起こる。流体が、断面積が大きい流路(渦巻発生部343の翼によって形成された流路)から断面積が小さい流路(バブル発生部345の複数の突起部345pの間に形成された交差流路)へ流れる構造によってキャビテーション現象が起こる。その結果、流体がバブル発生部345を通過しながら多数のファインバブルが発生することになる。
【0072】
バブル発生部345を通過した流体は、渦巻発生部347の螺旋状に形成された翼の間を通過して行く。このとき、流入口311-2a~311-2dを通じて流入された第2の流体(例えば気体)は、渦巻発生部347の螺旋状に形成された翼の間に注入される。このとき、渦巻発生部347の翼は、凹部347-Hが形成されていて、流体供給ジョイント351-a~351-dを介して供給される第2の流体の注入を阻害しない。ここで、上流からくる第1の流体と第2の流体は混合されながら、第1、第2の流体からなる混合流体は渦巻発生部347の各翼によって強烈な渦巻流になって、バブル発生部349に送られる。図13(B)に示されるとおり、流体供給ジョイント351-a~351-dからの流体の供給方向も、流体の反時計回りを加速する方向に、夫々、直行する方向に回転した角度となっている。
【0073】
バブル発生部349においても、バブル発生部345について説明したように、流体が複数の突起部349pによって形成された複数の狭い流路を通過することで、多数の微小な渦を発生させる現象が起こる。第2の流体が気体の場合、この細い流路を通過することで、気体の粒径の微細化が図られる。また、流体が、断面積が大きい流路(渦巻発生部347の3個の翼によって形成された流路)から断面積が小さい流路(バブル発生部349の複数の菱形突起部349pの間に形成された交差流路)へ流れる構造によってキャビテーション現象が起こる。その結果、流体がバブル発生部349を通じながら多数のファインバブルが発生する。
【0074】
上述のように、第3実施形態によれば、収納体の複数の流体供給口の一つは収納体である流体供給管3100の上流端部の開口(313-I)であって、第1の流体が供給されて渦巻流として第2の部分であるバブル発生部345に供給され、複数の流体供給口の他の一つは収納体である管本体340の第3の部分である渦巻発生部347の翼に対応する部分(311-2a~311-2d)に形成されており、第2の流体が第3の部分に供給されて、第4部分であるバブル発生部349に第2の部分から供給される第1の流体と混合されながら渦巻流として供給されることになる。バブル発生部349の上流に設けられた渦巻発生部347により渦巻流を発生させて二番目のバブル発生部349に供給することで、一つのみのバブル発生部345を有する場合に比べて第1の流体中のファインバブル発生の効果を増大させることができる。また、第2の流体も微細化されて第1、第2の混合流体もファインバブル化される可能性(頻度)が高まる。
【0075】
以上、本発明を、複数の実施形態を利用して説明したが、本発明はこのような例示の形態に限定されることではない。本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、上記説明及び関連図面から本発明の多くの変形及び他の実施形態を導出することができる。本明細書では、複数の特定用語が使われているが、これらは一般的な意味として単に説明の目的のために使われただけであり、発明を制限する目的で使われたものではない。添付の特許請求の範囲及びその均等物により定義される一般的な発明の概念及び思想を抜け出さない範囲で多様な変形が可能である。
【符号の説明】
【0076】
S 流体混合出力装置
4 対象機器
1100、2100、3100 流体供給管
111-1、111-2、211-1、211-2a~211-2c、311-2a~311-2d 流入口
140、240、340 内部構造体
143、147、243、247、343、347 渦巻流発生部
143-H、147-H、243-H、247-H、347-H 凹部
145、149、245、249、345、349 バブル発生部
151-1、151-2、251-1、251-2a~251-2c、351-a~351-d 流体供給ジョイント
213-I、313-I 開口部


【要約】      (修正有)
【課題】複数の流体を混合して微細気泡を含む液体を出力する流体混合出力装置及びそれを用いる流体利用装置を提供する。
【解決手段】収納体には、第1、第2の流体を供給する複数の流体供給口111-1、111-2と、混合流体の流体流出口112が設けられ、収納体内部の内部構造体140は、第1~第4の部分を含み、第1の部分143は、流体に渦巻流を発生させる螺旋状に形成された翼を含み、第2の部分145は、軸部の外周面から突出した複数の突起部を含み、第3の部分147は、流体に渦巻流を発生させるように螺旋状に形成された翼を含み、第4の部分149は、軸部の外周面から突出した複数の突起部を含み、収納体の複数の流体供給口の一つは、第3の部分の翼に対応する部分に形成され、第2の流体が第3の部分に供給され、渦巻流として第1の流体と混合されながら第4部分に供給される。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13