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特許7355443栽培容器、栽培容器セット、及び栽培方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】栽培容器、栽培容器セット、及び栽培方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/06 20060101AFI20230926BHJP
   A01G 13/02 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
A01G7/06 E
A01G13/02 101D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023048749
(22)【出願日】2023-03-24
【審査請求日】2023-07-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523138596
【氏名又は名称】ひろしま農業協同組合
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】宮本 悟郎
(72)【発明者】
【氏名】片山 武志
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3186786(JP,U)
【文献】特開2006-254829(JP,A)
【文献】実公昭49-9150(JP,Y1)
【文献】特開2016-193735(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0221190(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/06,13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の断面形状の柑橘類を生産するための栽培容器であって、
長さ方向に沿って分割された2つの分割型を備え、前記2つの分割型を突き合わせることよって内部に前記柑橘類を収容する前記所定の断面形状の収容空間が形成され、
前記2つの分割型のそれぞれは、前記長さ方向の一端側から他端側に位置する側壁と、前記長さ方向の一端側に位置しかつ前記側壁と交差する天井壁とを有し、
前記2つの分割型のうちの少なくともいずれかの分割型の前記天井壁に前記柑橘類の果梗部を挿通させるための切欠部が形成され、
前記2つの分割型のうちの一方の分割型の突き合わせ側の縁部に嵌合凹部が形成され、前記2つの分割型のうちの他方の分割型の突き合わせ側の縁部に前記嵌合凹部と嵌合可能な嵌合凸部が形成され、前記嵌合凸部における前記長さ方向の一端側の嵌合幅は、前記嵌合凹部における前記長さ方向の中央側の嵌合幅よりも大きく設定されていることを特徴とする栽培容器。
【請求項2】
各分割型における前記側壁と前記天井壁との境界部における前記栽培容器の内側の曲率半径は、1mm以上5mm以下に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の栽培容器。
【請求項3】
前記所定の断面形状は、ハート形状であり、前記2つの分割型のうちのいずれかの分割型の前記側壁の内壁面に、ハート形状の窪みを形成するための突起列が前記長さ方向に沿って形成され、前記突起列の先端部の曲率半径は、1mm以上3mm以下に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の栽培容器。
【請求項4】
各分割型の内壁面の表面粗さは、0.1μm以上5.0μm以下に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の栽培容器。
【請求項5】
各分割型の前記天井壁の厚さは、1mm以上5mm以下に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の栽培容器。
【請求項6】
前記切欠部の幅は、4mm以上10mm以下に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の栽培容器。
【請求項7】
前記柑橘類は、レモンであることを特徴とする請求項1に記載の栽培容器。
【請求項8】
請求項1から7のうちのいずれか1項に記載の栽培容器と、
前記嵌合凹部と前記嵌合凸部とを嵌合させた状態で、前記2つの分割型を拘束する拘束部材と、を備える栽培容器セット。
【請求項9】
請求項1に記載の栽培容器を用いて、所定の断面形状の柑橘類を生産するための栽培方法であって、
前記2つの分割型の間に生育初期の前記柑橘類を介在させた状態で、前記2つの分割型を突き合わせて、前記嵌合凹部と前記嵌合凸部を嵌合させることにより、前記収容空間に生育初期の前記柑橘類を収容した状態で、前記栽培容器を生育初期の前記柑橘類に取付ける取付工程と、
前記取付工程の終了後、前記収容空間内において前記柑橘類を肥大させる生育工程と、を含むことを特徴とする栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の断面形状の例えばレモン等の柑橘類を生産するための栽培容器、栽培容器セット、及び栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の断面形状のレモンを生産するための栽培容器が開発され、実用新案登録を受けている(特許文献1参照)。この先行技術に係る栽培容器(特許文献1ではレモン栽培容器と称される)の構成について簡単に説明すると、次の通りである。
【0003】
先行技術に係る栽培容器は、長さ方向に沿って分割された2つの分割型(特許文献1では型と称される)からなる。2つの分割型を突き合わせることによって、栽培容器の内部には、レモンを収容する所定の断面形状の収容空間が形成されている。2つの分割型のうちの一方の分割型の突き合わせ側の縁部には、嵌合凹部が形成されており、嵌合凹部の嵌合幅は、長さ方向に沿って一定である。2つの分割型のうちの他方の分割型の突き合わせ側の縁部には、嵌合凹部と嵌合可能な嵌合凸部が形成されており、嵌合凸部の嵌合幅は、長さ方向に沿って一定である。
【0004】
2つの分割型の間に生育初期(ここでは、レモンの生育時期のうち、レモンが2つの分割型を突き合せた状態の栽培容器に収まり、分割型を篏合させることが可能な大きさとなっている時期を指す)のレモンを介在させた状態で、2つの分割型を突き合わせて、嵌合凹部と嵌合凸部とを嵌合させる。これにより、収容空間に生育初期のレモンを収容した状態で、栽培容器をレモンに取付けることができる。そして、栽培容器の収容空間内においてレモンを肥大させることにより、所定の断面形状としてハート形状のレモンを生産することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3186786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、先行技術に係る栽培容器は、に嵌合凹部の嵌合幅及び嵌合凸部の嵌合幅がそれぞれ長さ方向に沿って一定になっている。したがって、2つの分割型を突き合わせて、嵌合凹部と嵌合凸部とを嵌合させても、一方の分割型に対して他方の分割型が相対的に長さ方向に位置ずれし易い。そのため、栽培容器を生育初期のレモンに取付ける作業の作業性の向上について、未だ改善の余地がある。
【0007】
また、先行技術に係る栽培容器は、生育初期に嵌合凹部と嵌合凸部とが嵌合していても、レモンが肥大するにつれてレモンが分割型に接触することで、一方の分割型に対して他方の分割型が相対的に長さ方向に位置ずれする。したがって、収穫時期においてレモンが所望の形にならず、レモンの形状を悪くさせる。そのため、レモンの形状を所望の形状とする点についても、未だ改善の余地がある。
【0008】
そこで、本発明の一態様は、栽培容器を生育初期の柑橘類(生育初期のレモン等)に取付ける作業の作業性の向上を目的とする。また、柑橘類の肥大中に生じる栽培容器のずれを防止することで、収穫時における柑橘類の形状を所望の形状にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するため、本発明の一態様に係る栽培容器は、所定の断面形状の柑橘類を生産するための栽培容器であって、長さ方向に沿って分割された2つの分割型を備え、前記2つの分割型を突き合わせることよって内部に柑橘類を収容する前記所定の断面形状の収容空間が形成され、前記2つの分割型のそれぞれは、前記長さ方向の一端側から他端側に位置する側壁と、前記長さ方向の一端側に位置しかつ前記側壁と交差する天井壁とを有し、前記2つの分割型のうちの少なくともいずれかの分割型の前記天井壁に柑橘類の果梗部を挿通させるための切欠部が形成され、前記2つの分割型のうちの一方の分割型の突き合わせ側の縁部に嵌合凹部が形成され、前記2つの分割型のうちの他方の分割型の突き合わせ側の縁部に前記嵌合凹部と嵌合可能な嵌合凸部が形成され、前記嵌合凸部における前記長さ方向の一端側の嵌合幅は、前記嵌合凹部における前記長さ方向の中央側の嵌合幅よりも大きく設定されている。
【0010】
また、本発明の一態様に係る栽培容器セットは、本発明の一態様に係る栽培容器と、前記嵌合凹部と前記嵌合凸部とを嵌合させた状態で、前記2つの分割型を拘束する拘束部材と、を備える。
【0011】
また、本発明の一態様に係る栽培方法は、本発明の一態様に係る栽培容器を用いて、所定の断面形状の柑橘類を生産するための栽培方法であって、前記2つの分割型の間に生育初期の前記柑橘類を介在させた状態で、前記2つの分割型を突き合わせて、前記嵌合凹部と前記嵌合凸部を嵌合させることにより、前記収容空間に生育初期の前記柑橘類を収容した状態で、前記栽培容器を生育初期の前記柑橘類に取付ける取付工程と、前記取付工程の終了後、前記収容空間内において前記柑橘類を肥大させる生育工程と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、栽培容器を生育初期の柑橘類に取付ける作業の作業性の向上を図ることができる。また、柑橘類の肥大中に生じる栽培容器のずれを防止することで、収穫時における柑橘類の形状を所望の形状にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る栽培容器セットの模式的な斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る栽培容器を長さ方向の一端側から見た模式図である。
図3】本発明の実施形態に係る栽培容器を長さ方向に直交する平面で切断した模式的な断面図である。
図4】ハート形状のレモンの模式的な断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る栽培容器の収容空間に生育初期のレモンを収容した様子を示す模式的な斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る栽培容器の収容空間においてレモンを生育させた様子を示す模式的な斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係る栽培容器の第1分割型について、第2分割型と突き合わせられる側(突き合わせ側)から見た模式的な図である。
図8】本発明の実施形態に係る栽培容器の第2分割型について、第1分割型と突き合わせられる側(突き合わせ側)から見た模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、図1から図8を参照して説明する。本明細書において、長さ方向とは、栽培容器又は分割型の長さ方向のことをいい、栽培容器又は分割型の長手方向と同義である。幅方向とは、栽培容器又は分割型の幅方向のことをいい、栽培容器又は分割型の短手方向と同義である。図面中、「LD」は長さ方向、「WD」は幅方向をそれぞれ指している。
【0015】
図1から図8を参照して、本発明の実施形態に係る栽培容器セット10及び栽培容器12について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る栽培容器セット10の模式的な斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る栽培容器12を長さ方向の一端側から見た模式図である。図3のIIIAは、本発明の実施形態に係る栽培容器12を長さ方向に直交する平面で切断した模式的な断面図である。図3のIIIBは、図3のIIIAにおけるB部の拡大断面図である。図4は、ハート形状のレモンCの模式的な断面図である。図5は、本発明の実施形態に係る栽培容器12の収容空間18に生育初期のレモンCを収容した様子を示す模式的な斜視図である。
【0016】
図6は、本発明の実施形態に係る栽培容器12の収容空間18においてレモンCを生育させた様子を示す模式的な斜視図である。図7のVIIAは、本発明の実施形態に係る栽培容器12の第1分割型14について、第2分割型16と突き合わせられる側(突き合わせ側)から見た模式的な図である。図7のVIIBは、図7のVIIAにおけるB部の拡大図である。図8のVIIIAは、本発明の実施形態に係る栽培容器12の第2分割型16について、第1分割型14と突き合わせられる側(突き合わせ側)から見た模式的な図である。図8のVIIIBは、図8のVIIIAにおけるB部の拡大図である。
【0017】
(栽培容器セット10、栽培容器12の概要)
図1から図6に示すように、本発明の実施形態に係る栽培容器セット10は、所定の断面形状としてハート形状のレモンCを生産(生育)するための栽培容器12を備えている。栽培容器12は、生育初期のレモンCに取付け可能である。なお、栽培容器12は、ハート形状のレモンCを生産するための容器であるが、ハート形状の温州みかん、オレンジ、ハッサク、しらぬい、ライム、又はゆず等、レモン以外の柑橘類を生産するために用いてもよい。
【0018】
(第1分割型14、第2分割型16、収容空間18)
図1から図3に示すように、栽培容器12は、その長さ方向に沿って分割された第1分割型14と、第2分割型16とを備えている。第1分割型14と第2分割型16とを突き合わせることよって、栽培容器12の内部には、ハート形状のレモンC(図4参照)を生産して収容する所定の断面形状としてのハート形状の収容空間18が形成されている。
【0019】
図6に示すように、収容空間18の長さ方向の長さL1は、収穫可能なレモンCの長さL2の1.2倍以上2倍以下、好ましくは、収穫可能なレモンCの長さL2の1.2倍以上1.5倍以下に設定されている。収容空間18の長さ方向の長さL1が収穫可能なレモンCの長さL2の1.2倍未満であると、風雨がレモンCに直接当たり易くなったり、栽培容器12内に虫が進入し易くなったりする。そして、これらの現象が要因となって果皮の汚れや傷を生じるおそれがあるからである。あるいは、病害に罹患することでレモンCが病気になったり、レモンCの外観を損なったりするおそれがあるからである。
【0020】
(側壁20、天井壁22、突起列24)
図1図2図3、及び図7に示すように、第1分割型14は、例えばABS樹脂等の合成樹脂により構成された射出成型品である。第1分割型14は、長さ方向の一端側から他端側に位置する側壁20と、長さ方向の一端側に位置し、かつ側壁20と直交する天井壁22とを有している。第1分割型14の長さ方向の他端側は、開口されている。側壁20の内壁面の断面形状は、ハート形状の上側部分の形状になっている。側壁20の内壁面には、ハート形状の窪みCvを形成するための突起列24が長さ方向に沿って形成されている。なお、天井壁22は、側壁20と直交していなくも、側壁20と交差していればよい。
【0021】
図7のVIIAとVIIBに示すように、第1境界部における栽培容器12の内側の曲率半径R1は、1mm以上5mm以下、好ましくは、2mm以上4mm以下に設定されている。第1境界部は、第1分割型14における側壁20と天井壁22との境界部である。曲率半径R1が5mmを超えると、第1分割型14の重量が増大して、レモンCの果梗部Tに負担がかかると共に、第1分割型14の材料コストが高くなることから、曲率半径R1が5mm以下に設定されている。
【0022】
曲率半径R1が1mm以上に設定されている理由は、次の通りである。即ち、曲率半径R1が1mm未満であると、肥大中のレモンCが第1分割型14の側壁20と天井壁22を押し広げる力が大きくなりすぎ、レモンCが肥大する過程で第1分割型14に割れ等が生じ易くなる。ひいては、所望のハート形状のレモンCを収穫できる可能性が低くなる。そのため、曲率半径R1が1mm以上に設定されている。
【0023】
図3のIIIAとIIIBに示すように、突起列24の先端部の曲率半径R2は、1mm以上3mm以下、好ましくは、1.8mm以上2.2mm以下に設定されている。曲率半径R2が1mm未満であると、レモンCの表面に傷が付き易くなるからである。また、曲率半径R2が3mmを超えると、レモンCの断面形状を好ましいハート形状にすることが困難になるからである。
【0024】
図7のVIIAとVIIBに示すように、第1分割型14の内壁面の表面粗さは、0.1μm以上5.0μm以下、好ましくは、0.2μm以上0.5μm以下に設定されている。第1分割型14の内壁面の表面粗さが0.1μm未満であると、第1分割型14を製作する金型の製造コストが高くなることから、第1分割型14の内壁面の表面粗さが0.1μm以上に設定されている。
【0025】
第1分割型14の内壁面の表面粗さが5.0μm以下に設定されている理由は、次の通りである。即ち、レモンCの肥大に伴って当該レモンCにより大きな圧力が加わる。この現象下において、第1分割型14の内壁面の表面粗さが5.0μmを超えると、収穫時までにレモンCの表面が第1分割型14の内壁面によって十分に押圧されることから、結果としてレモンCの表面の凹凸が大きくなる。そのため、レモンCの外観品位の低下が懸念されることから、第1分割型14の内壁面の表面粗さが5.0μm以下に設定されている。
【0026】
図7のVIIAとVIIBに示すように、天井壁22の厚さは、1mm以上5mm以下、好ましくは、3mm以上4mm以下に設定されている。天井壁22の厚さが5mmを超えると、第1分割型14の重量が増大して、レモンCの果梗部Tに負担がかかると共に、第1分割型14の材料コストが高くなる。そのため、天井壁22の厚さが5mm以下に設定されている。
【0027】
天井壁22の厚さが1mm以上に設定されている理由は、次の通りである。即ち、天井壁22の厚さが1mm未満であると、肥大中のレモンCが第1分割型14を押圧する力が大きくなりすぎ、レモンCが肥大する過程で第1分割型14の天井壁22に変形,割れ等が生じ易くなる。そのため、天井壁22の厚さが1mm以上に設定されている。なお、側壁20の厚さも、前述と同じ設定理由により、1mm以上5mm以下、好ましくは、3mm以上4mm以下に設定されている。
【0028】
(側壁26、天井壁28)
図1図2図3、及び図8に示すように、第2分割型16は、例えばABS樹脂等の合成樹脂により構成された射出成型品である。第2分割型16は、長さ方向の一端側から他端側に位置する側壁26と、長さ方向の一端側に位置し、かつ側壁26と直交する天井壁28とを有している。第2分割型16の長さ方向の他端側は、開口されている。側壁26の内壁面の断面形状は、ハート形状の下側部分の形状になっている。なお、天井壁28は、側壁26と直交していなくも、側壁26と交差していればよい。
【0029】
図8のVIIIAとVIIIBに示すように、第2境界部における栽培容器12の内側の曲率半径R3は、曲率半径R1と同様の設定理由から、1mm以上5mm以下、好ましくは、2mm以上4mm以下に設定されている。第2境界部は、第2分割型16における側壁26と天井壁28との境界部である。第2分割型16の内壁面の表面粗さは、第1分割型14の内壁面の表面粗さと同様の設定理由から、0.1μm以上5.0μm以下、好ましくは、0.2μm以上0.5μm以下に設定されている。
【0030】
図8のVIIIAとVIIIBに示すように、天井壁28の厚さは、天井壁22の厚さと同様の設定理由から、1mm以上5mm以下、好ましくは、3mm以上4mm以下に設定されている。なお、側壁26の厚さは、前述と同じ設定理由から、1mm以上5mm以下、好ましくは、3mm以上4mm以下に設定されている。
【0031】
(切欠部30、突出片32)
図2図3図5から図8に示すように、天井壁28の縁部における幅方向の中央部には、レモンCの果梗部Tを挿通させるための切欠部30が形成されている。天井壁22の縁部における幅方向の中央部には、第2分割型16の切欠部30の一部に嵌入する突出片32が形成されている。
【0032】
図6及び図8に示すように、切欠部30の幅は、4mm以上10mm以下、好ましくは、6mm以上8mm以下に設定されている。切欠部30の幅が4mm未満であると、レモンCの果梗部Tの成長を抑制して、レモンCの肥大を妨げるおそれがあるからである。また、切欠部30の幅が10mmを超えると、第2分割型16がレモンCの果梗部Tから落下するおそれがあるからである。
【0033】
なお、切欠部30を形成する代わりに、天井壁22の縁部における幅方向の中央部に、レモンCの果梗部Tを挿通させるための他の切欠部(不図示)を形成してもよい。或いは、切欠部30を形成する共に、天井壁22の縁部における幅方向の中央部に他の切欠部を形成してもよい。
【0034】
(嵌合凹部34、嵌合凸部36)
図1図3図5から図8に示すように、第1分割型14の突き合わせ側の縁部には、嵌合凹部34が形成されている。嵌合凹部34は、第1分割型14の突き合わせ側からみて、逆U字状に形成されており、かつ第1分割型14の内壁面側に位置している。また、第2分割型16の突き合わせ側の縁部には、嵌合凹部34と嵌合可能な嵌合凸部36が形成されている。嵌合凸部36は、第2分割型16の突き合わせ側からみて、逆U字状に形成されており、かつ第2分割型16の内壁面側に位置している。
【0035】
図7のVIIAに示すように、嵌合凹部34における長さ方向の一端側の嵌合幅W1aは、嵌合凹部34における長さ方向の中央側の嵌合幅W1bよりも大きく設定されている。嵌合凹部34における長さ方向の他端側の嵌合幅W1cは、嵌合幅W1a及び嵌合幅W1bよりも大きく設定されている。換言すれば、嵌合凹部34の嵌合幅W1は、嵌合凹部34における長さ方向の一端側から中央側に向かって漸次小さくなっている。また、嵌合凹部34の嵌合幅W1は、嵌合凹部34における長さ方向の他端側から中央側に向かって漸次小さくなっている。つまり、嵌合幅W1aと嵌合幅W1bと嵌合幅W1cとは、「W1c>W1a>W1b」の関係(以下、第1関係)になっている。
【0036】
図8のVIIIAに示すように、嵌合凸部36における長さ方向の一端側の嵌合幅W2aは、嵌合凸部36における長さ方向の中央側の嵌合幅W2bよりも大きく設定されている。嵌合凸部36における長さ方向の他端側の嵌合幅W2cは、嵌合幅W2a及び嵌合幅W2bよりも大きく設定されている。換言すれば、嵌合凸部36の嵌合幅W2は、嵌合凸部36における長さ方向の一端側から中央側に向かって漸次小さくなっている。また、嵌合凸部36の嵌合幅W2は、嵌合凸部36における長さ方向の他端側から中央側に向かって漸次小さくなっている。つまり、嵌合幅W2aと嵌合幅W2bと嵌合幅W2cとは、「W2c>W2a>W2b」の関係(以下、第2関係)になっている。
【0037】
図7のVIIA及び図8のVIIIAに示すように、嵌合凹部34における長さ方向の一端側の嵌合幅W1aは、嵌合幅W2aよりも大きく設定されている。また、嵌合凹部34における長さ方向の中央側の嵌合幅W1bは、嵌合幅W2bよりも大きく設定されている。更に、嵌合凹部34における長さ方向の他端側の嵌合幅W1cは、嵌合凸部36における長さ方向の他端側の嵌合幅W2cと同じ大きさに設定されている。以上のような「W1a>W2a」、「W1b>W2b」及び「W1c>W2c」の各関係を、以下、纏めて「第3関係」と称する。そして、嵌合凸部36における長さ方向の一端側の嵌合幅W2aは、嵌合凹部34における長さ方向の中央側の嵌合幅W1bよりも大きく設定されている(W2a>W1b;以下、第4関係)。
【0038】
嵌合凹部34の各嵌合幅及び嵌合凸部36の各嵌合幅が第1関係から第4関係となっていることにより、栽培容器12は次のような効果を奏する。まず、第3関係となっていることで、嵌合凹部34と嵌合凸部36との嵌合時に、嵌合凸部36が嵌合凹部34を形成する壁面に引っかからなくなる。これにより、嵌合凹部34と嵌合凸部36とを円滑に嵌合することができる。
【0039】
次に、第1関係から第3関係となっていることで、嵌合凹部34と嵌合凸部36とを一旦嵌合させた後、嵌合凹部34又は嵌合凸部36のいずれか一方を、他方に対して、長さ方向に所定の距離までスライドさせることができる。「長さ方向に所定の距離までスライド」とは、例えば、嵌合凹部34における長さ方向の一端が、嵌合凸部36における長さ方向の一端から中央までの距離を長さ方向に相対的にスライドすることを指す。これにより、嵌合凹部34と嵌合凸部36とを一旦嵌合させた後の分割型の位置決めが容易になる。
【0040】
また、嵌合凹部34における長さ方向の中央及び嵌合凸部36における長さ方向の中央が、前述のスライドを所定の距離以内に規制する役割を果たすため、分割型を位置決めするときに第1分割型14又は第2分割型16の一方が他方から外れるのを防止できる。さらには、例えば、嵌合凸部36が嵌合凹部34に沿って長さ方向にスライドするように嵌合凹部34と嵌合凸部36とを嵌合させる場合、嵌合凸部36における嵌合幅W2a側の端部を嵌合凹部34における嵌合幅W1c側の端部から挿入し易くなる。以上より、栽培容器を生育初期の柑橘類に取付ける作業の作業性が向上する。
【0041】
次に、第4関係となっていることで、分割型を位置決めするときに、W2a≦W1bの関係となっている場合に比べて、嵌合凹部34における長さ方向の中央が前述のスライドを所定の距離以内により確実に規制する。これにより、栽培容器を生育初期の柑橘類に取付ける作業の作業性がより向上する。また、レモンCの生育過程においても、第4関係となっていることで、レモンCの肥大に起因する分割型のずれを確実に防止できる。これにより、収穫時における柑橘類の形状を確実に所望の形状にできる。
【0042】
嵌合凹部34の嵌合幅W1の具体的な数値を限定するものではないが、嵌合幅W1aは、例えば53.7mmであり、嵌合幅W1bは、例えば53.2mmであり、嵌合幅W1cは、例えば54.0mmである。嵌合凹部34の嵌合幅W1(W1a,W1b,W1c)とは、嵌合凹部34の幅方向の長さのことをいう。
【0043】
嵌合凸部36の嵌合幅W2の具体的な数値を限定するものではないが、嵌合幅W2aは、例えば53.5mmであり、嵌合幅W2bは、例えば53.0mmであり、嵌合幅W2cは、例えば54.0mmである。嵌合凸部36の嵌合幅W2(W2a,W2b,W2c)は、嵌合凸部36の幅方向の長さのことである。
【0044】
なお、第2分割型16の突き合わせ側の縁部に嵌合凹部34を形成し、かつ第1分割型14の突き合わせ側の縁部に嵌合凸部36を形成してもよい。
【0045】
(第1補強リブ38、第2補強リブ40)
図1から図3に示すように、第1分割型14における外壁面の幅方向の中央部には、第1補強リブ38が長さ方向に沿って形成されている。また、第2分割型16の外壁面には、一対の第2補強リブ40が長さ方向に沿って形成されている。一対の第2補強リブ40は、栽培容器12の断面において、左右対称に配置されている。第1補強リブ38の先端面及び一対の第2補強リブ40の各先端面は、嵌合凹部34と嵌合凸部36とを嵌合させた状態において、栽培容器12の軸心(中心)12cから同一距離になるように設定されている。
【0046】
(拘束バンド42)
図1に示すように、栽培容器セット10は、嵌合凹部34と嵌合凸部36とを嵌合させた状態で、第1分割型14と第2分割型16とを一体的に拘束する一対の拘束部材としての一対の拘束バンド42を備えている。各拘束バンド42は、第1補強リブ38の先端面及び一対の第2補強リブ40の先端面に接触して、第1分割型14と第2分割型16とを締め付ける。
【0047】
この拘束バンド42を用いることで、分割型のずれをより確実に回避できる。ひいては、収穫時における柑橘類の形状を、より確実に所望の形状にできる。なお、栽培容器セット10が拘束バンド42を用いる代わりに、第1分割型14と第2分割型16とを一体的に拘束する環状の拘束ゴム(不図示)又は拘束テープ(不図示)等、拘束バンド42以外の拘束部材を用いてもよい。
【0048】
(栽培方法)
図1図7、及び図8を参照して、本発明の実施形態に係る栽培方法について説明する。
【0049】
図1図7、及び図8に示すように、本発明の実施形態に係る栽培方法は、栽培容器12を用いて、所定の断面形状としてハート形状のレモンCを生産(生育)するための方法である。本発明の実施形態に係る栽培方法は、取付工程と、生育工程と、を含んでいる。なお、栽培方法の栽培対象(生産対象)は、ハート形状のレモンCであるが、ハート形状の温州みかん、オレンジ、ハッサク、しらぬい、ライム、又はゆず等、レモン以外の柑橘類であってもよい。
【0050】
(取付工程)
第1分割型14と第2分割型16との間に生育初期のレモンCを介在させた状態で、第1分割型14と第2分割型16とを突き合わせて、嵌合凹部34と嵌合凸部36とを嵌合させる。更に、一対の拘束バンド42によって第1分割型14と第2分割型16とを一体的に拘束する。これにより、収容空間18に生育初期のレモンCを収容した状態で、栽培容器12を生育初期のレモンCに取付けることができる。
【0051】
(生育工程)
前記取付工程の終了後に、栽培容器12の収容空間18内においてレモンCを生育させる。これにより、所望のハート形状のレモンCを生産することができる。
【0052】
(作用効果)
栽培容器12(栽培容器セット10)においては、嵌合凸部36における長さ方向の一端側の嵌合幅W2aは、嵌合凹部34における長さ方向の中央側の嵌合幅W1bよりも大きく設定されている。そのため、第1分割型14と第2分割型16とを突き合わせて、嵌合凹部34と嵌合凸部36とを嵌合させると、第1分割型14に対して第2分割型16が相対的に長さ方向に位置ずれし難くなる。従って、栽培容器12(栽培容器セット10)によれば、栽培容器12を生育初期のレモンCに取付ける作業の作業性の向上を図ることができる。また、レモンCの肥大中に生じる分割型のずれを防止することで、収穫時におけるレモンCの形状を所望のハート形状にすることができる。
【0053】
栽培容器12においては、前述のように、突起列24の先端部の曲率半径R2は、1mm以上3mm以下、好ましくは、1.8mm以上2.2mm以下に設定されている。曲率半径R2の数値範囲をこのように設定することで、ハート形状のレモンCを生産する場合に、レモンCの表面に傷が付き難くなると共に、レモンCの断面形状を好ましいハート形状にすることができる。
【0054】
栽培容器12(栽培容器セット10)においては、前述のように、第1分割型14における側壁20と天井壁22との境界部における栽培容器12の内側の曲率半径R1は、1mm以上5mm以下に設定されている。また、第2分割型16における側壁26と天井壁28との境界部における栽培容器12の内側の曲率半径R3は、1mm以上5mm以下に設定されている。
【0055】
曲率半径R1及び曲率半径R3の各数値範囲をこのように設定することで、レモンCの肥大に伴って各分割型に作用する圧力を低減できる。これにより、レモンCの生育に伴う第1分割型14又は第2分割型16の割れ等を防止して、栽培容器12の耐久性を向上させることができる。また、第1分割型14及び第2分割型16の重量の増大を抑えて、柑橘類Cの果梗部Tにかかる負担を軽減する共に、第1分割型14及び第2分割型16の材料コストの低減を図ることができる。
【0056】
栽培容器12(栽培容器セット10)においては、前述のように、第1分割型14の内壁面の表面粗さ、及び第2分割型16の内壁面の表面粗さは、それぞれ、0.1μm以上5.0μm以下に設定されている。各表面粗さをこのように設定することで、第1分割型14及び第2分割型16を製作する金型の製造コストの低減を図ることができる。また、レモンCの肥大に伴って当該レモンCが各分割型から受ける圧力により形成される、レモンCの表面の凹凸を小さくできる。これにより、レモンCの外観品位を高めることができる。
【0057】
栽培容器12(栽培容器セット10)においては、前述のように、天井壁22の厚さ及び天井壁28の厚さは、それぞれ、1mm以上5mm以下に設定されている。天井壁22及び天井壁28の各厚さをこのように設定することで、レモンCの肥大に伴って各分割型に作用する圧力を低減できる。これにより、レモンCの生育に伴う第1分割型14又は第2分割型16の割れ等を防止して、栽培容器12の耐久性を向上させることができる。また、第1分割型14及び第2分割型16の重量の増大を抑えて、レモンCの果梗部Tにかかる負担を軽減する共に、第1分割型14及び第2分割型16の材料コストの低減を図ることができる。
【0058】
栽培容器12(栽培容器セット10)においては、前述のように、切欠部30の幅は、4mm以上10mm以下に設定されている。切欠部30の幅をこのように設定することで、レモンCの果梗部Tの成長を促進して、レモンCを肥大させると共に、第1分割型14又は第2分割型16が生育初期のレモンCの果梗部Tから落下し難くなる。
【0059】
栽培容器セット10は、前述のように、嵌合凹部34と嵌合凸部36とを嵌合させた状態で、第1分割型14と第2分割型16とを一体的に拘束する一対の拘束バンド42を備えている。これにより、収容空間18に生育初期のレモンCを収容した状態で、栽培容器12を生育初期の柑橘類Cに安定的に取付けることができる。また、レモンCの肥大中に生じる分割型のずれを防止することで、収穫時におけるレモンCの形状を所望のハート形状にすることができる。
【0060】
本発明の実施形態に係る栽培方法の実施には、前述のいずれかの構成からなる栽培容器12を用いている。そのため、本発明の実施形態に係る栽培方法によれば、栽培容器12を生育初期のレモンCに取付ける作業の作業性の向上を図ることができる。また、レモンCの肥大中に生じる分割型のずれを防止することで、収穫時におけるレモンCの形状を所望のハート形状にすることができる。
【0061】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る栽培容器は、所定の断面形状の柑橘類を生産するための栽培容器であって、長さ方向に沿って分割された2つの分割型からなり、前記2つの分割型を突き合わせることよって内部に柑橘類を収容する前記所定の断面形状の収容空間が形成され、
各分割型は、前記長さ方向の一端側から他端側に位置する側壁と、前記長さ方向の一端側に位置しかつ前記側壁に直交する天井壁とを有し、前記長さ方向の他端側が開口され、前記2つの分割型のうちの少なくともいずれかの分割型の前記天井壁に柑橘類の果梗部を挿通させるための切欠部が形成され、前記2つの分割型のうちの一方の分割型の突き合わせ側の縁部に嵌合凹部が形成され、前記2つの分割型のうちの他方の分割型の突き合わせ側の縁部に前記嵌合凹部と嵌合可能な嵌合凸部が形成され、前記嵌合凸部における前記長さ方向の一端側の嵌合幅は、前記嵌合凹部における前記長さ方向の中央側の嵌合幅よりも大きく設定されている。
【0062】
前記の構成によれば、前述のように、前記嵌合凸部における前記長さ方向の一端側の嵌合幅は、前記嵌合凹部における前記長さ方向の中央側の嵌合幅よりも大きく設定されている。そのため、前記2つの分割型を突き合わせて、前記嵌合凹部と前記嵌合凸部を嵌合させると、一方の分割型に対して他方の分割型が相対的に長さ方向に位置ずれし難くなる。これにより、前記栽培容器を初期の柑橘類に取付ける作業の作業性の向上を図ることができる。また、柑橘類の肥大中に生じる分割型のずれを防止することで、収穫時における柑橘類の形状を所望の形状にすることができる。
【0063】
本発明の態様2に係る栽培容器は、前記態様1において、各分割型における前記側壁と前記天井壁との境界部における前記栽培容器の内側の曲率半径は、1mm以上5mm以下に設定されてもよい。
【0064】
前記の構成によれば、柑橘類の肥大に伴って各分割型に作用する圧力を低減できる。これにより、柑橘類の生育に伴う2つの分割型における少なくとも一方の割れ等を防止して、栽培容器の耐久性を向上させることができる。また、分割型の重量の増大を抑えて、柑橘類の果梗部にかかる負担を軽減する共に、分割型(栽培容器)の材料コストの低減を図ることができる。
【0065】
本発明の態様3に係る栽培容器は、前記態様1又は2において、前記所定の断面形状は、ハート形状であり、前記2つの分割型のうちのいずれかの分割型の前記側壁の内壁面に、ハート形状の窪みを形成するための突起列が前記長さ方向に沿って形成され、前記突起列の先端部の曲率半径は、1mm以上3mm以下に設定されてもよい。
【0066】
前記の構成によれば、前記所定の断面形状としてハート形状の柑橘類を生産する場合に、柑橘類に傷が付き難くなると共に、柑橘類の断面形状を好ましいハート形状にすることができる。
【0067】
本発明の態様4に係る栽培容器は、前記態様1から3のいずれかにおいて、各分割型の内壁面の表面粗さは、0.1μm以上5.0μm以下に設定されてもよい。
【0068】
前記の構成によれば、前記分割型を製作する金型の製造コストの低減を図ることができる。また、柑橘類の表面の凹凸を小さくでき、柑橘類の外観品位を高めることができる。
【0069】
本発明の態様5に係る栽培容器は、前記態様1から4のいずれかにおいて、各分割型の前記天井壁の厚さは、1mm以上5mm以下に設定されてもよい。
【0070】
前記の構成によれば、柑橘類の肥大に伴って各分割型に作用する圧力を低減できる。これにより、柑橘類の生育に伴う2つの分割型における少なくとも一方の割れ等を防止して、栽培容器の耐久性を向上させることができる。また、前記分割型の重量の増大を抑えて、柑橘類の果梗部にかかる負担を軽減する共に、前記分割型(前記栽培容器)の材料コストの低減を図ることができる。
【0071】
本発明の態様6に係る栽培容器は、前記態様1から5のいずれかにおいて、前記切欠部の幅は、4mm以上10mm以下に設定されてもよい。
【0072】
前記構成によれば、柑橘類の果梗部の成長を促進して、柑橘類を肥大させると共に、前記分割型(前記栽培容器)が生育初期の柑橘類の果梗部から落下し難くなる。
【0073】
本発明の態様7に係る栽培容器は、前記態様1から6のいずれかにおいて、前記柑橘類は、レモンであってもよい。
【0074】
前記の構成によれば、前記栽培容器を生育初期のレモンに取付ける作業の作業性の向上を図ることができる。また、柑橘類の肥大中に生じる分割型のずれを防止することで、収穫時における柑橘類の形状を所望の形状にすることができる。
【0075】
本発明の態様8に係る栽培容器セットは、前記態様1から7のいずれかに係る栽培容器と、前記嵌合凹部と前記嵌合凸部とを嵌合させた状態で、前記2つの分割型を拘束する拘束部材と、を備える。
【0076】
前記の構成よれば、前記2つの分割型の間に生育初期の柑橘類を介在させた状態で、前記2つの分割型を突き合わせて、前記嵌合凹部と前記嵌合凸部を嵌合させる。そして、前記拘束部材によって前記2つの分割型を一体的に拘束する。これにより、前記収容空間に生育初期の柑橘類を収容した状態で、前記栽培容器を生育初期の柑橘類に安定的に取付けることができる。また、柑橘類の肥大中に生じる分割型のずれを防止することで、収穫時における柑橘類の形状を所望の形状にすることができる。
【0077】
本発明の態様9に係る栽培方法は、本発明の態様1から7のいずれかに係る栽培容器を用いて、所定の断面形状の柑橘類を生産するための栽培方法であって、前記2つの分割型の間に生育初期の前記柑橘類を介在させた状態で、前記2つの分割型を突き合わせて、前記嵌合凹部と前記嵌合凸部を嵌合させることにより、前記収容空間に生育初期の前記柑橘類を収容した状態で、前記栽培容器を生育初期の前記柑橘類に取付ける取付工程と、前記取付工程の終了後、前記収容空間内において前記柑橘類を肥大させる生育工程と、を含む。
【0078】
前記の構成によれば、前記態様9に係る栽培方法の実施には、前記態様1から7のいずれかに係る栽培容器を用いている。そのため、前記栽培容器を生育初期の柑橘類に取付ける作業の作業性の向上を図ることができる。また、柑橘類の肥大中に生じる分割型のずれを防止することで、収穫時における柑橘類の形状を所望の形状にすることができる。
【符号の説明】
【0079】
10 栽培容器セット
12 栽培容器
14 第1分割型(分割型)
16 第2分割型(分割型)
18 収容空間
20 側壁
22 天井壁
24 突起列
26 側壁
28 天井壁
30 切欠部
32 突出片
34 嵌合凹部
36 嵌合凸部
38 第1補強リブ
40 第2補強リブ
42 拘束バンド(拘束部材)
C レモン(柑橘類)
Cv 窪み
T 果梗部
W1b 嵌合幅(嵌合凹部における長さ方向の中央側の嵌合幅)
W2a 嵌合幅(嵌合凸部における長さ方向の一端側の嵌合幅)
【要約】
【課題】栽培容器を生育初期の柑橘類に取付ける作業の作業性の向上を図る。また、収穫時における柑橘類の形状を所望の形状にする。
【解決手段】一方の分割型(14)の突き合わせ側の縁部に嵌合凹部(34)が形成され、他方の分割型(16)の突き合わせ側の縁部に嵌合凹部(34)と嵌合可能な嵌合凸部(36)が形成され、嵌合凸部(36)における長さ方向の一端側の嵌合幅(W2a)は、嵌合凹部(34)における長さ方向の中央側の嵌合幅(W1b)よりも大きく設定されている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8