(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
E03D 9/00 20060101AFI20230926BHJP
A47K 17/00 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
E03D9/00 Z
A47K17/00
(21)【出願番号】P 2021140225
(22)【出願日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 潤平
(72)【発明者】
【氏名】山口 慶太
(72)【発明者】
【氏名】青田 育博
(72)【発明者】
【氏名】片柳 広
(72)【発明者】
【氏名】大石 一敏
(72)【発明者】
【氏名】山本 健史
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕和
(72)【発明者】
【氏名】小原 健良
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-364053(JP,A)
【文献】特開平09-090054(JP,A)
【文献】特開平10-168979(JP,A)
【文献】特開2021-055523(JP,A)
【文献】特開2001-317109(JP,A)
【文献】特表2018-528413(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0318655(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00
A47K 13/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレの便器に設置された便座を前記便器の縁部の上面に載置した場合における前記便座の内側の方向にある物体までの距離を測定する距離センサと、
前記距離センサを配設する筐体と、
前記筐体を前記便器に取り付ける取付具と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記距離センサで測定した結果である第1距離が所定閾値より小さくなった場合に、前記トイレの使用者が前記便座に着座した状態であると検知し、
前記取付具は、前記距離センサが前記縁部の内側の位置で且つ前記便座を前記縁部の上面に載置した場合における前記便座の鉛直方向下側の位置に配置されるように、前記筐体を取り付ける部品である、
情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1距離が、前記所定閾値より小さい値である他の所定閾値より小さくなった場合に、前記便座がずれた状態であると判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記便座を前記縁部の上面に載置した場合における前記便座の下面の内側端部までの距離を、前記距離センサで測定した結果である第2距離に基づき、前記便座がずれた状態であるか否かを判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記便座がずれた状態であると判定した場合、前記所定閾値を変更する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
通信部を備え、
前記制御部は、前記使用者が着座した状態であると検知した場合、前記通信部を介して、サーバ又は前記使用者を監視する監視者の端末装置に通知する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部により制御され、前記便器における排泄物の情報を収集する情報収集部をさらに備え、
前記情報収集部は、前記筐体に配設される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
距離センサを配設した筐体を、前記距離センサがトイレの便器の縁部の内側の位置で且つ前記便器に設置された便座を前記縁部の上面に載置した場合における前記便座の鉛直方向下側の位置に配置されるように、取付具で取り付けた状態で、前記距離センサが、前記便座を前記縁部の上面に載置した場合における前記便座の内側の方向にある物体までの距離を測定し、
前記距離センサで測定した結果である第1距離が所定閾値より小さくなった場合に、前記トイレの使用者が前記便座に着座した状態であると検知する、
情報処理方法。
【請求項8】
前記第1距離が、前記所定閾値より小さい値である他の所定閾値より小さくなった場合に、前記便座がずれた状態であると判定する、
請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
距離センサを配設した筐体を、前記距離センサがトイレの便器の縁部の内側の位置で且つ前記便器に設置された便座を前記縁部の上面に載置した場合における前記便座の鉛直方向下側の位置に配置されるように、取付具で取り付けた状態で、前記距離センサが、前記便座を前記縁部の上面に載置した場合における前記便座の内側の方向にある物体までの距離を測定した結果である第1距離を受信し、
前記第1距離が所定閾値より小さくなった場合に、前記トイレの使用者が前記便座に着座した状態であると検知する、
処理を実行させるプログラム。
【請求項10】
前記コンピュータに、
前記第1距離が、前記所定閾値より小さい値である他の所定閾値より小さくなった場合に、前記便座がずれた状態であると判定する処理を実行させる、
請求項9に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレに関し、特許文献1には、トイレの使用者から聞き取る必要なく便器に排泄した排泄物の内容を示す排泄情報を収集し、且つ、排泄物以外の異物が便器に存在するようにされた場合であってもその異物を流さないようにする技術が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、使用者の便座への着座や離座を検知するために、便器の縁の内側に使用者の臀部との距離を計測する距離センサを設けるか、あるいは、便座に重量センサを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トイレの使用者の着座を検知するために重量センサを用いる場合、便座内に重量センサを組み込む必要があるが、市販の便器に後から重量センサを組み込むことができず、着座検知のために便器や便座のタイプごとに専用品を開発する必要があった。また、特許文献1に記載の距離センサは、便器の縁部の内側に配設されるため、排泄物による汚れを落とす清掃作業が必要であり、清掃作業を容易にする技術が望まれる。
【0006】
本開示の目的は、既に流通しているどのような便器でも便座への着座を検知することができ、且つ、検知するセンサの清掃作業を容易にすることが可能な情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様に係る情報処理装置は、トイレの便器に設置された便座を前記便器の縁部の上面に載置した場合における前記便座の内側の方向にある物体までの距離を測定する距離センサと、前記距離センサを配設する筐体と、を備える。前記情報処理装置は、前記筐体を前記便器に取り付ける取付具と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記距離センサで測定した結果である第1距離が所定閾値より小さくなった場合に、前記トイレの使用者が前記便座に着座した状態であると検知する。前記取付具は、前記距離センサが前記縁部の内側の位置で且つ前記便座を前記縁部の上面に載置した場合における前記便座の鉛直方向下側の位置に配置されるように、前記筐体を取り付ける部品である。
【0008】
本開示の第2の態様に係る情報処理方法は、距離センサを配設した筐体を、前記距離センサがトイレの便器の縁部の内側の位置で且つ前記便器に設置された便座を前記縁部の上面に載置した場合における前記便座の鉛直方向下側の位置に配置されるように、取付具で取り付けた状態で、前記距離センサが、前記便座を前記縁部の上面に載置した場合における前記便座の内側の方向にある物体までの距離を測定する。前記情報処理方法は、前記距離センサで測定した結果である第1距離が所定閾値より小さくなった場合に、前記トイレの使用者が前記便座に着座した状態であると検知する。
【0009】
本開示の第3の態様に係るプログラムは、コンピュータに、処理を実行させるプログラムである。前記処理は、距離センサを配設した筐体を、前記距離センサがトイレの便器の縁部の内側の位置で且つ前記便器に設置された便座を前記縁部の上面に載置した場合における前記便座の鉛直方向下側の位置に配置されるように、取付具で取り付けた状態で実行させる。前記処理は、前記距離センサが、前記便座を前記縁部の上面に載置した場合における前記便座の内側の方向にある物体までの距離を測定した結果である第1距離を受信する。前記処理は、前記第1距離が所定閾値より小さくなった場合に、前記トイレの使用者が前記便座に着座した状態であると検知する。
【発明の効果】
【0010】
本開示により、既に流通しているどのような便器でも便座への着座を検知することができ、且つ、検知するセンサの清掃作業を容易にすることが可能な情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る情報処理装置を設置した便器の一構成例を示す上面図である。
【
図2】
図1の情報処理装置における取付具の一例を示す側面図である。
【
図3】
図1の情報処理装置での処理例を説明するためのフロー図である。
【
図4】
図3の処理例における使用者の着座状態の変化を説明するための模式図である。
【
図5】実施形態2に係る排泄情報収集装置を設置した便器の一構成例を部分的に示す断面図である。
【
図6】
図5の断面図において便座が便器に対してずれて載置された場合を示す断面図である。
【
図7】
図5及び
図6における排泄情報収集装置での処理例を説明するためのフロー図である。
【
図8】実施形態3に係る排泄情報収集装置を設置した便器の一構成例を示す側面図である。
【
図9】
図8における排泄情報収集装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図10】装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、実施形態において、同一又は同等の要素には、同一の符号を付すことがあり、重複する説明は適宜省略される。
【0013】
<実施形態1>
実施形態1について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、実施形態1に係る情報処理装置を設置した便器の一構成例を示す上面図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る情報処理装置10は、トイレの便器1に設置されるものであり、距離センサ22、筐体21、取付具30,40、及び制御部(図示せず)を備えることができる。
【0015】
便器1は、その側面との間に滞水部分1dを形成するための縁部1cを備えることができ、縁部1cから連なる平面部1bを備えることもできる。この平面部1bには、便座2を設置することができる。例えば、平面部1bには、便座2を取り付けるための凹部又は孔部でなる取付部1eが形成され、便座2には取付部1eに嵌合する形状の凸部が設けられている。あるいは、便座2と便器1とが取付部1eに嵌合する形状の棒状部材を介して取り付け可能となっている。
【0016】
便座2は、このように平面部1bに取り付けられることができる。便座2は、平面部1bに対応する位置に取り付けられる取付部2aと、便器1の縁部1cの上面に対して当接させたり離間させたりすることが可能なように取付部2aにヒンジで取り付けられた便座本体2bと、を備えることができる。さらに、便座2は、便座本体2bの裏面(座面の裏側の面)に取り付けられた凸部2cを備えることができる。つまり、便座2は、使用者が便座2を使用する際には縁部1cの上面と凸部2cにおいて接するように開閉可能に設置されることができる。なお、便器1や便座2は図示するものに限らず、それらの形状は問わない。また、便器1に設置可能な便座2の形状は1つとは限らず、設置者が適宜選択して設置することができる。
【0017】
距離センサ22は、便座2の内側の方向にある物体までの距離を測定する。測定は、便器1に設置された便座2が便器1の縁部1cの上面に載置された場合に少なくとも実施されることができる。距離センサ22における測距方式は問わず、距離センサ22は、例えば、赤外線センサ、超音波センサ、光学センサなどを採用することができる。距離センサ22は、光学センサを採用する場合、内側筐体21に設けられた穴から光(可視光に限らない)の送受信が行えるように、送受信素子を配置しておけばよい。ここでの送受信素子は、送信素子と受信素子とが別個に構成されていてもよいし、一体化されていてもよい。なお、便座2が縁部1cの上面に載置されたことを便座2の裏面による押下で検出する(又は検出して距離センサ22を可動させる)スイッチを、距離センサ22を配設する筐体21に設けておくこともできる。
【0018】
距離センサ22で測定対象となる物体は、使用者の臀部となり、無論、使用者がトイレを使用していない場合に測定対象の物体は存在しない、あるいは遠方の壁や天井などとなる。また、距離センサ22は測距センサと称することもできる。
【0019】
筐体21は、距離センサ22の全体又はセンサ面以外などの部分を内蔵することで、距離センサ22を配設する筐体であり、便器1の縁部1cの上面に載置する載置部23も配設されている。筐体21は、便器1の内側に配置される筐体であるため、以下では内側筐体21と称する。少なくとも筐体21と距離センサ22と載置部23とにより、センサボックス(センサユニット)20を構成する。
【0020】
取付具30,40は、内側筐体21を便器1に取り付ける部品である。より具体的には、取付具30,40は、距離センサ22が縁部1cの内側の位置で且つ便座2を縁部1cの上面に載置した場合における便座2の鉛直方向下側の位置に配置されるように、筐体21を取り付ける部品である。
【0021】
つまり、取付具30,40により、内側筐体21は、全体又は少なくとも距離センサ22が、上側から見た場合において、縁部1cの内側の位置で且つ縁部1cの上面に載置した便座2の陰になるように配置されるように取り付けられる。取付具30,40はそのような内側筐体21の取り付けが可能な形状をもつことになる。なお、内側筐体21の形状は問わないが、少なくとも取付具30,40との兼ね合いにより、便座2に対する上述のような位置関係を保てる形状としておく。
【0022】
ここで、
図2を参照しながら、情報処理装置10に適用可能な取付具30,40の一例について説明する。
図2は、情報処理装置10における取付具30,40の一例を示す側面図である。
【0023】
取付具40は、便器1に固定することで、取付具30及びそれに固定される内側筐体21を便器1に固定する固定用クランプ機構である。取付具40は、
図2に示すように先端部41と橋架部42と外側筐体43とを備えた固定用クランプ機構とすることができる。
【0024】
固定用クランプ機構は、L字状に曲げた連結板等の連結部材と、先端部41との間で便器1の縁部1cを挟持するためスライド部材43cと、スライド部材43cを水平方向にスライドさせるための収納部43dと、を備えることができる。先端部41及び橋架部42は、連結板等の連結部材をL字状に曲げて形成することができる。先端部41は、便器1の縁部1cに引っ掛けるための部材となる。外側筐体43は筐体本体43aを備え、筐体本体43aは固定化金具等の固定用クランプ機構を保護するカバーともなる。橋架部42における先端部41とは反対側は、筐体本体43aに固定される。
【0025】
また、固定用クランプ機構は、スライド部材43cを
図2の上図と下図との間で水平方向に移動させることが可能なように、収納部43dに1又は複数のスライド溝43eを備えることができる。また、固定用クランプ機構は、この移動量の調整及び固定のためにダイヤル式ノブ43fがスライド方向を中心に回動可能に設けられている。ダイヤル式ノブ43fを採用することで、軽い力でダイヤルを回すだけの調整のみで、工具が不要で簡単に着脱が可能になる。また、ダイヤル式ノブ43fとして、トルクリミッター付きノブを使用することで正常設置の確認が容易にできる。但し、ダイヤル式ノブ43fの代わりに、調整用のノブと固定用の部材とを設けることもできる。
【0026】
また、スライド部材43cの便器1側(先端部41側)には縁部1cの挟持用に弾性部材43gを設けておくことができ、先端部41の筐体本体43a側にも縁部1cの挟持用に弾性部材41aを設けておくことができる。弾性部材43g,41aの形状や材質は両者による縁部1cが強固に挟持でき縁部1cとの接触部分でずれないようなものであればよい。また、両者間の距離も縁部1cとして想定される最大限の長さが、スライド部材43cを最大限収納部43dに収納したとき(
図2の下図の状態)に確保できればよい。
【0027】
橋架部42は、便器1の縁部1cの上面に少なくとも一部を載置して縁部1cを挟んだ状態で、縁部1cの内側と縁部1cの外側とを橋架する部位となる。橋架部42は、先端部41と外側筐体43とを繋ぎ、縁部1cの上面に載置する部分であり、横架部あるいはわたりと称することもできる。このように、取付具40は、橋架部42を介して縁部1cの内側との間の距離を調整して挟持することで、先端部41と外側筐体43とにおいて縁部1cに固定される。これにより、取付具40は、縁部1cの幅の大小に対応させることができる。
【0028】
また、先端部41は、
図2における先端部41の右側は、取付具30を取り付けることが可能になっている。つまり、先端部41には、内側筐体21が取り付けられた取付具30が取り付けられることができる。この例では、先端部41の内側に縁部1cと当接させる弾性部材41aを設けるとともに、先端部41と弾性部材41aとの間に取付具30を配している。
【0029】
これにより、縁部1cの形状などの便器1の形状に依らず、確実に情報処理装置10の内側筐体21を固定して設置することができる。なお、固定用クランプ機構は、その主な部品が外側筐体43に備えられた例を挙げているが、このような固定が可能な機構であれば、固定用クランプ機構の形状や構成部品は問わない。また、
図2では固定用クランプ機構としてC型クランプを用いた例を挙げたが、これに限ったものではない。
【0030】
また、このような固定用クランプ機構を採用することで、小型で溝も少なく、拭き掃除も容易にすることができ、清掃時間も削減することができる。また、固定用クランプ機構は、弾性部材43g,41aを除き金属製とすることが強度の点から望ましいが、例えば収納部43d及び/又はスライド部材43cは樹脂などの他の材質で構成しておくこともできる。
【0031】
上述の説明から分かるように、情報処理装置10の主に内側筐体21の便器1への取り付け/取り外しは、ダイヤル式ノブ43fを時計回り/反時計回りに回転させることで実施することができる。取り付け時には、先端部41に取付具30を取り付け、
図2の下図のような状態から、橋架部42の先端部41(実際には弾性部材41a)を便器1の縁部1cに引っ掛けた後、固定のため反時計回りにダイヤル式ノブ43fを回転させる。これにより、
図2の上図のようにスライド部材43cと先端部41との間の距離を縮めて設置することができる。取付具30と内側筐体21との取り付けはこれに先立ち実施しておいてもよいし、上記の回転による固定後に実施してもよい。取り外し時には、固定解除のため、時計回りにダイヤル式ノブ43fを回転させることで、
図2の下図のような状態として構造物の固定が解除され、取り外し可能となる。特に、ダイヤル式ノブ43fとしてトルクリミッター付きノブを使用することで、着脱の正常設置確認を容易に行うことができる。
【0032】
以上、このような固定用クランプ機構を備えることで、工具を使用することなく且つトイレの便器を専用品に交換することなく、市場にある多種多様な便器1に情報処理装置10を簡易に設置すること及び取り外すことができる。また、ダイヤル式ノブ43fを回動させることで、開閉の操作にかける力が小さくても、大きな力で便器1とセンサボックス20を容易に取り付け、取り外しすることが可能となる。また、便器のタイプ毎に装置シリーズを追加する必要がなく、装置のベンダーはその管理費を削減することができる。また、上述のような固定用クランプ機構を備えることで、例えば便器1の清掃時に簡単に取り外し、再設置することができる。また、上述のような固定用クランプ機構を備えることで、清掃のために手袋している状態の清掃員にも容易に取り外し及び再設置を行うことができ、清掃作業の効率を向上させることができる。
【0033】
また、トイレによって便器の脇に手すりがあるタイプも存在するが、情報処理装置10は、このようなタイプに対しても、外側筐体43の横幅を特段薄くしなくても設置することができる。また、例えば、別途、制御ボックスを便器1の後方側面等に配することができるため、便器1に取り付ける部品は特段薄くしなくても設置することができる。
【0034】
また、取付具40の例は、これに限らず、例えば便器1の側面と外側筐体43に該当する部分との間に設置したクランプ機構であってもよい。このクランプ機構は、便器1の側面と外側筐体43に該当する部分の便器1側の面とに当接し、それらの間の長さを調整する機構とすることができる。
【0035】
取付具30は、例えば板状又は棒状の部材とすることができ、その一端が取付具40の先端部41に取り付けられ、他端が内側筐体21に取り付けられる。取付具30の長手方向の形状は、便器1の縁部1cの内側の形状(
図1の例では丸み)を想定し、同様の形状とすることができる。つまり、取付具30は、縁部1cの内側を形成する内壁に沿った形状の延伸部を備え、内側筐体21はその延伸部の先端部に取り付けられることができる。ここでは、取付具30と取付具40とが別の部品である例を挙げ、取付具40の詳細な例を説明したが、取付具30は取付具40と一体に形成されていてもよい。
【0036】
上述した制御部は、距離センサ22と有線又は無線通信により接続され、距離センサ22を制御する。この制御部は、内側筐体21に設けられること、つまりセンサボックス20に備えることもできるが、外側筐体43又は別途設けた筐体(上述の制御ボックス)に設けられることもできる。
【0037】
そして、上記制御部は、距離センサ22で測定した結果である第1距離が所定閾値より小さくなった場合に、トイレの使用者が便座2に着座した状態であると検知する。また、上記制御部は、このようにして着座の検知を行うが、同様に、着座検知後、上記所定閾値以上になった場合に、離座した状態であると検知することもできる。
【0038】
上述した制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、作業用メモリ、及びプログラムを記憶した不揮発性の記憶装置などによって実現することができる。このプログラムは、例えば上述のような処理をCPUに実行させるためのプログラムとすることができる。また、上述した制御部は、例えば集積回路(Integrated Circuit)によって実現することもできる。
【0039】
次に、
図3及び
図4を参照しながら、情報処理装置10での処理例について説明する。
図3は、情報処理装置10での処理例を説明するためのフロー図で、
図4は、
図3の処理例における使用者の着座状態の変化を説明するための模式図である。
【0040】
まず、内側筐体21を、距離センサ22がトイレの便器1の縁部1cの内側の位置で且つ便座2を縁部1cの上面に載置した場合における便座2の鉛直方向下側の位置に配置されるように、取付具30,40で取り付ける。そのような状態で、距離センサ22が、便座2を縁部1cの上面に載置した場合における便座2の内側の方向にある物体までの距離を測定する(ステップS1)。
【0041】
次いで、制御部が、距離センサ22で測定した結果である第1距離と所定閾値とを比較し(ステップS2)、第1距離が所定閾値より小さくなった場合(ステップS2でYESの場合)に、トイレの使用者が便座2に着座した状態であると検知する(ステップS3)。着座された状態は、臀部が検出された結果として検知されることになる。なお、ステップS2でNOの場合にはステップS1での測定を継続する。
図4の上図に示すように、使用者Uが着座する前には第1距離は距離Da(検知可能距離以上など)であり、
図4の下図に示すように、使用者Uが着座した状態では第1距離は所定距離より小さい距離Dbとなり、着座が検知できる。なお、
図4では、便器1の側面1aも示している。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置10によれば、重量センサを便座内に組み込む必要などが生じないため、既に流通しているどのような便器でも便座への着座を検知することができる。即ち、本実施形態に係る情報処理装置10によれば、便器1の形状に依らず取り付けることができる構造であるため、様々な形状の便器に設置することが可能であり、例えば要介護者宅のトイレの環境に左右されずに設置することができる。よって、本実施形態によれば、情報処理装置の形状などが異なる種類数を増やす必要なく、様々な形状の便器に取り付けることができ、情報処理装置の管理費用や製造費用を抑えることができる。
【0043】
また、本実施形態に係る情報処理装置10によれば、距離センサが便座に隠れた位置に配置され、特にセンサ面が便座に隠れた位置に配置されるため、距離センサの清掃作業を容易にすることが可能になる。本実施形態は、例えば、トイレの便器に距離センサを配備した構造物を配置することがあるヘルスケアや医療介護の分野での好適に利用することができる。
【0044】
また、距離センサを配設する内側筐体には、被介護者等の排泄物の情報(排泄情報)を収集するセンサを実装して排泄検知ユニット(排泄情報収集ユニット)を構成することもできる。このような構成の例については実施形態2で具体例を挙げるが、このような構成でも上述した効果は得られる。つまり、排泄検知ユニットに距離センサを配備し、排泄検知ユニットを便座下に固定配置する構成を採用することで、市販のどの便器でも着座の検知及び排泄情報の収集ができ、また距離センサの清掃作業を容易にすることができる。また、このような排泄情報を収集するセンサも距離センサの配置条件と同様に、便器の縁部の内側の位置で且つ便座を便器の縁部の上面に載置した場合における便座の鉛直方向下側の位置に配置されるようにするとよい。
【0045】
<実施形態2>
実施形態2について、
図5~
図7を参照しながら実施形態1との相違点を中心に説明するが、実施形態1で説明した様々な例が適用できる。まず、
図5及び
図6を参照して情報処理装置10の一例である排泄情報収集装置の構成例について説明する。
図5は、実施形態2に係る排泄情報収集装置を設置した便器の一構成例を部分的に示す断面図である。また、
図6は、
図5の断面図において便座が便器に対してずれて載置された場合を示す断面図である。
【0046】
本実施形態に係る情報処理装置は、情報処理装置10において排泄情報を収集可能にした排泄情報収集装置であり、
図5で例示するように、その収集のための情報収集部24を内側筐体21に配設することができる。情報収集部24も制御部により制御されることができる。但し、本実施形態に係る情報処理装置は情報収集部24を備えない構成とすることもできる。
【0047】
図5では、情報収集部24としてカメラを排泄物が排泄される方向に向けて内側筐体21に配設した例を挙げている。情報収集部24は、便器1における排泄物の情報を収集する部位であり、例えば、排泄物の形状、色などの排泄物の内容を、光学レンズを介して収集する撮像装置又は光学的に距離を計測する距離センサなどとすることができる。排泄情報とは、排泄の内容を示す情報とすることができ、より単純な例では、排泄物が大便(糞)であるか小便(尿)であるかを示す情報とすることができる。排泄情報には、排泄物の色を示す情報、固形物であるのであればその形状など、他の情報を含むこともできる。情報収集部24は、排泄物の情報として、単に排泄の有無を検知して収集する構成だけであってもよい。
【0048】
情報収集部24は、便器の滞水部分を含む領域(排泄範囲)を収集範囲とすることができ、この排泄範囲は排泄予定範囲と称することもできる。このような排泄範囲を撮像範囲に含めるように情報収集部24を設置しておくことで、撮像される撮像データには被写体として排泄物等が含まれることとなる。情報収集部24における情報収集面を内側筐体21の開口部から露出させておくなどして、便器1の溜まりの部分(排泄物が排泄される領域)から情報を収集できるように、情報収集部24は配設される。上記情報収集面とは、例えばカメラの場合にはレンズ面、センサの場合には検出面などが該当する。無論、上記の排泄範囲は、使用者が映り込まないような範囲とすることが好ましく、またレンズ等も使用者から見えないように情報収集部24が設置されることが好ましい。情報収集部24を備えることで、トイレの使用者から聞き取る必要なく使用者が排泄した排泄物の情報を収集することができる。なお、距離センサ22も着座状態を示す情報を収集するため、情報収集部の一部とすることもできる。
【0049】
また、
図5では、取付具30のセンサボックス20に対する取付位置の例、載置部23の例も挙げている。また、内側筐体21には、距離センサ22のセンサ面へと通じる透明部25を設けることもでき、これにより清掃がより容易になる。また、
図5では、制御部がセンサボックス20の外部に設けられ、内側筐体21から導出されたコード26に接続された例を挙げている。コード26は便座本体2bにおける凸部2cが存在しない領域に這わせて、便器1の外側に出される。なお、コード26の代わりに無線通信を用いることもできる。
【0050】
そして、本実施形態では、その主たる特徴として着座の検知だけでなく、便座2のずれ(実際には便座本体2bのずれ)を検知することが可能な構成を採用する。そのため、実施形態1と同様に、取付具30,40によりセンサボックス(この例では排泄検知ユニット)20が便座下に設置される。本実施形態に係る排泄情報収集装置は、設置したセンサボックス20に配備した距離センサの距離情報からトイレに使用者が着座の有無、便座ずれを検知することになる。
【0051】
便座ずれの検知の判定も制御部が行うことができる。制御部は、便座2を縁部1cの上面に載置した場合における便座2の下面の内側端部までの距離を、距離センサ22で測定した結果である第2距離に基づき、便座2がずれた状態であるか否かを判定する。
【0052】
具体的に着座の検知(臀部の検知)の処理と便座2のずれの検知の処理とについて説明する。
図5に示すように、制御部には着座検知のために第1距離の閾値がA[mm]として設定されており、距離センサ22から読み出される測定距離である第1距離がこの閾値A以下になった場合に着座状態であると検知する。
図4を参照しながら説明したように、使用者の着座前は測定距離が閾値Aより大きいために着座状態は検出されず、着座後には使用者の臀部Ubまでの測定距離(第1距離)が閾値A以下になるため着座状態が検出される。
【0053】
図6に示すように、制御部には、着座状態を検出する閾値Aだけでなく、ずれた便座までの距離を判定するために第1距離の閾値として別途、閾値B[mm]が設定されており、第1距離がこの閾値B以下になった場合に便座ずれ状態であると判定(検知)する。閾値Bは、第1距離は便座2の下面の内側端部までの距離であるものの、実際測定した結果として便座2までの距離となってしまっていることを判定するための閾値となる。
【0054】
図5及び
図6に例示したように、ずれた便座までの距離(閾値Bで判定される距離)は着座した使用者までの距離(閾値Aで判定される距離)より小さくなる。よって、制御部は、距離センサ22で測定した結果である第1距離に基づき、第1距離が閾値Aより小さい値である他の所定閾値(閾値B)より小さくなった場合に、便座2がずれた状態であると判定する。
【0055】
このように、制御部は、着座検出の閾値Aより小さい閾値Bで便座ずれ検出を行うことで、便座ずれの場合には着座であると検知しなくなり、着座状態と便座ずれ状態を判別した運用が可能になる。つまり、本実施形態では、使用者の着座時と便座位置がずれた場合は、距離センサの距離の値が異なることに対して、着座の有無及び便座の位置ずれの状態を判定する閾値を設けて状態を検知することで、着座検知の精度向上を図ることができる。
【0056】
また、上述の例では、着座検知及び便座ずれ検知を行うために測定される距離を同じ「第1距離」と定義したが、前者を第1距離、後者を第2距離として区別することもできる。この場合、第2距離は、便座2を縁部1cの上面に載置した場合における便座2(便座本体2b)の下面の内側端部までの距離を、距離センサ22で測定した結果として定義できる。つまり、制御部は、便座2を縁部1cの上面に載置した場合における便座2の下面の内側端部までの距離を、距離センサ22で測定した結果である第2距離に基づき、便座2がずれた状態であるか否かを判定する。
【0057】
そのような別々の判定を行うために、第1距離と第2距離とは互いに異なる方向の距離として予め定義しておけばよい。例えば、第1距離用と第2距離用とで、距離センサ22のセンサ面の向きを変更する制御を行うこと、あるいは検出光等の放射方式や放射方向を制御すること、あるいは2次元又は3次元で距離を計測することによって実現できる。あるいは、距離センサ22に2つの距離センサを備えることなど、他の実現方法も採用可能である。
【0058】
その場合、制御部は、第2距離の測定及び閾値Bとの比較により便座2がずれた状態であると判定した場合、第1距離についての閾値Aを変更するようにしてもよい。便座2がずれた状態で使用者が着座しても着座を検知することが可能なように変更幅を設定しておけばよい。変更幅は、実際に流通している便器、便座の情報から最適な値を導出しておき、その値に設定しておけばよい。
【0059】
次に、
図7を参照しながら第1距離と第2距離とを分けて処理する処理例について説明する。
図7は、
図5及び
図6における排泄情報収集装置での処理例を説明するためのフロー図である。
【0060】
まず、実施形態1と同様に、距離センサ22を配設した内側筐体21を取付具30,40で取り付ける。つまり、この取り付けは、距離センサ22がトイレの便器1の縁部1cの内側の位置で且つ便座2を縁部1cの上面に載置した場合における便座2(実際には便座本体2b)の鉛直方向下側の位置に配置されるように実施される。
【0061】
そのような状態で、距離センサ22が、便座2を縁部1cの上面に載置した場合における便座2(便座本体2b)の下面の内側端部までの距離を測定する(ステップS11)。制御部は、測定された距離のうち、無限遠又は天井又は壁の距離を除き、最も長い距離を測定結果の第2距離として使用するとよい。次いで、制御部が、距離センサ22で測定した結果である第2距離と第2所定閾値(閾値B)とを比較し(ステップS12)、第2距離が第2所定閾値以上であった場合(ステップS12でYESの場合)に、便座ずれが生じていると判定する。この場合の閾値Bは、便座ずれが生じていない状態を示す最大の値を設定しておけばよい。
【0062】
ステップS12でYESの場合、つまり便座ずれが生じたと判定した場合、制御部は、第1所定閾値(閾値A)を大きい方の値に変更する。ここでは、単純な例として、閾値Aとして便座ずれ無し時に使用する小さい値と便座ずれ有り時に使用する大きい値とを用いる例を挙げている。しかしながら、閾値Aとしては段階的に3以上の値を用意しておき、便座のずれ量に応じて(つまり閾値Bとの乖離量に応じて)、閾値Aを選択すること、あるいは、1つの閾値Aに対して便座のずれ量に応じて乗算する係数を大きくすることもできる。ステップS11~S13の処理は、例えば、排泄情報収集装置の初期設定時や、はじめて使用者が着座する前や、使用者の退座が検出された時点で行うとよい。
【0063】
そのような状態で、距離センサ22が、便座2を縁部1cの上面に載置した場合における便座2の内側の方向にある物体までの第1距離を測定する(ステップS12)。なお、ステップS12でNOの場合にもステップS12の処理が実施される。
【0064】
次いで、制御部が、距離センサ22で測定した結果である第1距離と第1所定閾値(閾値A)とを比較する(ステップS15)。そして、制御部が、第1距離が第1所定閾値より小さくなった場合(ステップS15でYESの場合)に、使用者が便座2に着座した状態(臀部が検出された状態)であると検知する(ステップS16)。なお、ステップS15でNOの場合にはステップS14での測定を継続する。
【0065】
以上のように、本実施形態では、排泄情報を収集するセンサを実装した排泄検知ユニットに距離センサを配備し、排泄検知ユニットを便座下に固定配置して、距離センサの距離情報から使用者の着座の有無を検知し、そこでは便座ずれも考慮する。実際、便座下からの距離センサの距離情報から使用者の有無を検知する方式では、便座位置がずれた場合、正確に着座を検知できないケースがある。本実施形態では、便座ずれの検知も行うため、実施形態1による効果に加え、着座検知の精度を向上させることができる。
【0066】
また、実施形態1では、便座2が縁部1cの上面に載置されたことを便座2の裏面による押下で検出するスイッチを筐体21に設ける例を説明した。一方で、便座2の検出を行える本実施形態では、このようなスイッチを別途設けておかなくても便座2が縁部1cの上面に載置されたことを検知することはできる。
【0067】
<実施形態3>
実施形態3について、
図8及び
図9を参照しながら実施形態2との相違点を中心に説明するが、実施形態1,2で説明した様々な例が適用できる。
図8は、実施形態3に係る排泄情報収集装置を設置した便器の一構成例を示す側面図である。
【0068】
本実施形態に係る排泄情報収集装置(以下、本装置)は、実施形態2に係る排泄情報収集装置において、使用者を判別する機能をもたせ、収集した排泄情報を使用者別に管理できるようにしたものである。
【0069】
図8に示すように、本装置は、便器1又はその外側に分散して設置されるものであり、センサボックス20が取付具30,40により便器1の縁部1cに取り付けられている。本装置は、さらに上述した制御部として制御部61を備えた制御ボックス60と、撮像装置71及び人感センサ72を備えた人検知/識別ボックス70と、を備えることができる。
【0070】
撮像装置71は、トイレの使用者の顔を撮像する装置であり、例えば、静止画及び/又は動画を撮影するカメラとすることができる。また、撮像装置71は、可視光カメラに限らず、赤外光カメラ等であってもよい。撮像装置71は、トイレの使用者の顔を撮像可能なように例えばレンズを人検知/識別ボックス70から露出させておくこともできるが、顔が撮影できればよい。
【0071】
人感センサ72は、撮像装置71の起動又は撮影のタイミングを得るために設けることができる。人感センサ72は、特定領域(人感センサ72の測定領域範囲)に人が存在すること(人の入退室)を検知するセンサであり、その検知方式を問わず、例えば、赤外線センサ、超音波センサ、光学センサなどを採用することができる。人感センサ72は、トイレの使用者を検知可能なように検知面を人検知/識別ボックス70から露出させておくこともできるが、人が検知できればよい。
【0072】
センサボックス20内の情報収集部24はカメラとすることができ、撮像装置71もカメラとすることができ、それぞれ第1カメラ24、第2カメラ71と称して説明する。
【0073】
制御ボックス60は、制御部61を収納する収納筐体(外側筐体の一部)とすることができ、センサボックス20にケーブルK1(コード26)により接続されて、便器1の側面1aの横側に配置されることができる。制御部61は、センサボックス20内の距離センサ22や第1カメラ24、及び人検知/識別ボックス70内の第2カメラ71や人感センサ72を制御する。例えば、制御部61は、人感センサ72での検知結果を受け取ることができ、第2カメラ71に撮像を指示することや撮像された画像を受け取ることができ、第1カメラ24に排泄物の情報を収集するように指示することや収集された情報を受け取ることができる。距離センサ22、第1カメラ24、人感センサ72、及び第2カメラ71は、制御部61に有線で接続された例を挙げているが、無線通信により接続されることもできる。また、制御ボックス60は、各センサからの情報分析するためのCPU及びサーバと通信するためのWiFiインタフェースを配備しておくことができる。
【0074】
人検知/識別ボックス70は、外側筐体の外側に配設された別筐体として設けることができ、ケーブルK2により制御ボックス60の制御部61に接続され、トイレの壁W(トイレの扉を開けた正面にある壁)に配置されることができる。無論、制御ボックス60及び人検知/識別ボックス70の形状や配置は
図8に示すものに限らず、例えば制御ボックス60は便器1の後方に設置されることもできる。
【0075】
次に、
図9を参照しながら、本装置での制御の一例について説明する。
図9は、
図8における排泄情報収集装置の一構成例を示すブロック図である。
【0076】
本装置は、
図9に示す排泄情報収集装置10aとすることができ、本装置に無線接続されたサーバ(図示せず)とともにシステムを構成することができる。また、このシステムには、サーバに無線接続された、トイレの使用者の監視者がもつ端末装置(図示せず)を備えることができる。なお、これらの接続は例えば1つの無線LAN(Local Area Network)内で行うことができる。このシステムでは、排泄物の記録、端末装置への排泄物情報の提示(通知等)、及び排泄予測を、本装置、サーバ、及び端末装置が連携しながら行うことができる。記録や提示、予測等はどのような構成で実現してもよく、ここでは説明を省略するが、本装置は、トイレ設置型の記録と通知及び排泄予想システムとして、又はその情報収集を担う装置として機能することができ、トイレセンサと称することもできる。また、本装置は、排便排尿観察装置と称することができ、情報の記憶まで行う場合には排便排尿観察記録装置と称することができる。
【0077】
図9に示すように、制御ボックス60には、制御部61として、例えば、CPU61a、コネクタ61b、USB I/F61c、WiFiモジュール61e、Bluetoothモジュール61fを収納しておくことができる。なお、USBはUniversal Serial Busの略であり、USB、WiFi、及びBluetoothはいずれも登録商標である(以下同様)。
【0078】
CPU61aは、本装置の主制御部の例であり、本装置の全体を制御する。コネクタ61bは、距離センサ22、第2カメラ71、及び人感センサ72と、CPU61aと、を接続する。USB I/F61cは、第1カメラ24とCPU61aとを接続する。このように、制御ボックス60とセンサボックス20とはコネクタ61b及びUSB I/F61cで例示するインタフェースによって接続され、その接続線はケーブルK1に収容される。また、制御ボックス60と人検知/識別ボックス70とはコネクタ61bで例示するインタフェースによって接続され、その接続線はケーブルK2に収容される。
【0079】
人検知/識別ボックス70には、第2カメラ71及び人感センサ72を収納しておくことができる。人感センサ72は、コネクタ61bを介してCPU61aに接続されており、特定領域に人を検知した場合、検知結果をCPU61aに送信する。この検知結果は、CPU61aによりWiFiモジュール61eを介してサーバに送信されることができる。また、CPU61aは、この検知結果を受けて、第2カメラ71への撮影指示を行うことができる。
【0080】
第2カメラ71は、光学カメラとすることができ、トイレの使用者を識別するために使用者の顔画像を撮影して顔画像データを得るカメラの例である。第2カメラ71は、使用者の顔を撮像範囲に含めるように設置されることができる。CPU61aは、人感センサ72での人検知結果を得て、あるいは顔を撮像するなどしてサーバに使用者を認証させた結果を得て、距離センサ22に計測の指示を行うこともできる。
【0081】
センサボックス20には、距離センサ22及び第1カメラ24を収納しておくことができる。距離センサ22は、CPU61aからの指示に基づき又は常時、対象物(便器1の使用者の臀部)との距離を計測する。CPU61aは、この計測結果を得て、閾値の値を超えて一定時間経過した場合に対象物が便座に着座したことを検知する。また、着座後に、対象物の距離が変動した場合、使用者が便座から退座したことが検知される。また、実施形態2で説明したように、距離センサ22は、便座ずれの検知にも用いることができる。距離センサ22は、コネクタ61bを介してCPU61aに接続されており、測定結果をCPU61a側に送信することができるようになっている。CPU61aは、着座を検知した段階で第1カメラ24に撮像の指示を行い、離座を検知した段階で撮影の終了を指示するように制御することができる。
【0082】
第1カメラ24は、排泄物を撮像するカメラの一例であり、センサボックス20に設けられた穴にレンズ部分を配置させた光学カメラとすることができる。第1カメラ24は、トイレの便器1における排泄物の排泄範囲を撮像範囲に含めるように設置されている。第1カメラ24は、USB I/F61cを介してCPU61aに接続されており、撮像データをCPU61a側に送信する。
【0083】
また、人検知/識別ボックス70を使用者が着座した際の正面に位置する場所に設けておくことで、着座前に顔を撮影する代わりに着座後に顔を撮影することもでき、その場合、人感センサ72を省略することもできる。
【0084】
Bluetoothモジュール61fは、使用者を識別するための識別データを、使用者が保持するBluetoothタグから受信する受信機の一例であり、他の近距離通信規格に基づくモジュールに置き換えることもできる。使用者が保持するBluetoothタグは、使用者毎に異なるIDとしておき、例えばリストバンド等に埋め込むなどして、使用者に保持させておくことができる。
【0085】
WiFiモジュール61eは、取得した各種データをサーバへ送信する通信部(通信機器)の一例であり、他の通信規格を採用するモジュールに置き換えることもできる。第2カメラ71で取得された顔画像データやBluetoothモジュール61fで得られた識別データは、CPU61aによりWiFiモジュール61eを介してサーバに送信されることができる。また、CPU61aは、使用者が着座した状態であると検知した場合、WiFiモジュール61eを介して、サーバ又は使用者を監視する監視者の端末装置に通知することもできる。これにより、監視者にトイレの使用を通知することができ、必要に応じて監視者にトイレに向かわせることができる。
【0086】
CPU61a、USB I/F61c、WiFiモジュール61e、及びサーバは、第1カメラ24で撮像された撮像データに基づき排泄情報を得る。この場合、撮像データから排泄情報を得る主な処理は、サーバが担うことができる。例えば、サーバは、学習済みモデルに撮像データを入力し、排泄情報を取得する。そして、サーバは、例えば、撮像データに、便器及びその洗浄用液体を除く被写体として糞尿以外の物体である異物が含まれるか否かを示す情報を、排泄情報の少なくとも一部として得る。
【0087】
サーバは、第2カメラ71で取得された顔画像データを、WiFiモジュール61eを介して受信し、予め記憶された認証用データと、例えばその特徴点などを比較して顔認証処理を行い、合致した認証用データに関連付けられた識別データを得る。このように、サーバは、識別データ(使用者を識別する識別データ)を得ること、つまり使用者を特定することができる。
【0088】
そして、サーバは、本装置から撮像データとともに撮像データ取得時の便器1の使用者の顔画像データを得ることができるため、その顔画像データに基づき使用者が識別でき、内部の記憶装置に使用者毎の排泄情報を管理することができる。また、サーバは、使用者毎に提示情報の生成を行うこともできる。この顔認証処理により、最も近似した使用者を、現在のトイレの使用者として特定することができる。このように、上述した識別データは、便器1又は便器1が設置された部屋(トイレの個室)において、第2カメラ71で撮像された顔画像データに基づき、顔認証処理を実行することで、使用者を識別したデータとすることができる。なお、第2カメラ71で撮像した顔画像データは、プライバシーを考慮して保存しないようにしておくことが好ましい。
【0089】
そして、端末装置は、その提示情報を使用者毎に出力することができる。また、サーバは、使用者毎に1又は複数の提示対象者(例えば使用者が要介護者の場合には担当の監視者)を予め定めておけば、その提示対象者が使用している端末装置に提示情報を出力することができる。監視者としては、介護士が挙げられ、場合によっては医師も挙げられるが、介護士でなくても介助者も挙げることができる。また、本システムの適用環境によっては、監視者はそれ以外であってもよい。
【0090】
さらに、サーバは、Bluetoothモジュール61fで得られた識別データ(個人認証用データ)を、WiFiモジュール61eを介して受信し、予め記憶された認証用の識別データと比較してユーザ認証を行う。なお、例えば、自身のBluetoothタグを保持する介護士と、自身のBluetoothタグを保持する要介護者と、が一緒にトイレに入室した場合などには、後者を使用者として選択するようにしておけばよい。このように、サーバは、識別データ(使用者を識別する識別データ)を得ること、つまり使用者を特定することができる。
【0091】
そして、サーバは、本装置から撮像データとともに撮像データ取得時の便器1の使用者を識別する識別データを得ることができるため、その識別データに基づき、内部の記憶装置に使用者毎の排泄情報を管理することができる。また、サーバは、使用者毎に提示情報の生成を行うこともできる。そして、端末装置は、その提示情報を使用者毎に出力することができる。また、サーバは、使用者毎に1又は複数の提示対象者を予め定めておけば、その提示対象者が使用している端末装置に提示情報を出力することができる。
【0092】
なお、この例では、顔画像データ及び識別データの2種類のデータから使用者を特定しており、2つの特定機能を有すると言えるが、無論、いずれか一方でも使用者の特定は可能である。例えば、本システムにおいて双方の特定機能を備えておき、運用時にいずれか一方を選択することができる。或いは、本システムにおいていずれか一方の特定機能のみを備えておくこともできる。
【0093】
<他の実施形態>
各実施形態において、情報処理装置やそれを備えた便器やサーバ(サーバ装置)について、並びにその利用方法について説明したが、例示したものに限らない。例えば、情報処理装置、便器、便座における各部材の形状や部材間の位置関係などは、特に言及した位置関係以外については各部材の機能が果たせるものであればよい。また、情報処理装置における方法についても、例えば他のステップを追加したものなどであってもよく、取り扱う情報も例示したものに限ったものではない。また、便座には図示しない蓋を備えることもできる。
【0094】
また、実施形態1~3で説明した情報処理装置又はサーバ等の各装置は、次のようなハードウェア構成を有していてもよい。
図10は、装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0095】
図10に示す装置100は、プロセッサ101、メモリ102、及びインタフェース(I/F)103を有することができる。プロセッサ101は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPUなどであってもよい。プロセッサ101は、複数のプロセッサを含んでもよい。メモリ102は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。実施形態1~3で説明した各装置における機能は、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現される。この際、他の装置との情報の送受はI/F103としての通信インタフェースを介して行うことができる。装置100が情報処理装置である場合には、センサ等のための入出力はI/F103としての入出力インタフェースを介して行うことができる。
【0096】
上述の例において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0097】
なお、本開示は上記の各実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0098】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
<付記>
(付記1)
トイレの便器に設置された便座を前記便器の縁部の上面に載置した場合における前記便座の内側の方向にある物体までの距離を測定する距離センサと、
前記距離センサを配設する筐体と、
前記筐体を前記便器に取り付ける取付具と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記距離センサで測定した結果である第1距離が所定閾値より小さくなった場合に、前記トイレの使用者が前記便座に着座した状態であると検知し、
前記取付具は、前記距離センサが前記縁部の内側の位置で且つ前記便座を前記縁部の上面に載置した場合における前記便座の鉛直方向下側の位置に配置されるように、前記筐体を取り付ける部品である、
情報処理装置。
(付記2)
前記制御部は、前記第1距離が、前記所定閾値より小さい値である他の所定閾値より小さくなった場合に、前記便座がずれた状態であると判定する、
付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記制御部は、前記便座を前記縁部の上面に載置した場合における前記便座の下面の内側端部までの距離を、前記距離センサで測定した結果である第2距離に基づき、前記便座がずれた状態であるか否かを判定する、
付記1に記載の情報処理装置。
(付記4)
前記制御部は、前記便座がずれた状態であると判定した場合、前記所定閾値を変更する、
付記3に記載の情報処理装置。
(付記5)
通信部を備え、
前記制御部は、前記使用者が着座した状態であると検知した場合、前記通信部を介して、サーバ又は前記使用者を監視する監視者の端末装置に通知する、
付記1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記6)
前記制御部により制御され、前記便器における排泄物の情報を収集する情報収集部をさらに備え、
前記情報収集部は、前記筐体に配設される、
付記1~5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記7)
前記取付具は、前記縁部の内側を形成する内壁に沿った形状の延伸部を備え、
前記筐体は、前記延伸部の先端部に取り付けられる、
付記1~6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記8)
距離センサを配設した筐体を、前記距離センサがトイレの便器の縁部の内側の位置で且つ前記便器に設置された便座を前記縁部の上面に載置した場合における前記便座の鉛直方向下側の位置に配置されるように、取付具で取り付けた状態で、前記距離センサが、前記便座を前記縁部の上面に載置した場合における前記便座の内側の方向にある物体までの距離を測定し、
前記距離センサで測定した結果である第1距離が所定閾値より小さくなった場合に、前記トイレの使用者が前記便座に着座した状態であると検知する、
情報処理方法。
(付記9)
前記第1距離が、前記所定閾値より小さい値である他の所定閾値より小さくなった場合に、前記便座がずれた状態であると判定する、
付記8に記載の情報処理方法。
(付記10)
前記便座を前記縁部の上面に載置した場合における前記便座の下面の内側端部までの距離を、前記距離センサで測定した結果である第2距離に基づき、前記便座がずれた状態であるか否かを判定する、
付記8に記載の情報処理方法。
(付記11)
前記便座がずれた状態であると判定した場合、前記所定閾値を変更する、
付記10に記載の情報処理方法。
(付記12)
前記筐体に配設された情報収集装置が、前記便器における排泄物の情報を収集する、
付記8~11のいずれか1項に記載の情報処理方法。
(付記13)
コンピュータに、
距離センサを配設した筐体を、前記距離センサがトイレの便器の縁部の内側の位置で且つ前記便器に設置された便座を前記縁部の上面に載置した場合における前記便座の鉛直方向下側の位置に配置されるように、取付具で取り付けた状態で、前記距離センサが、前記便座を前記縁部の上面に載置した場合における前記便座の内側の方向にある物体までの距離を測定した結果である第1距離を受信し、
前記第1距離が所定閾値より小さくなった場合に、前記トイレの使用者が前記便座に着座した状態であると検知する、
処理を実行させるプログラム。
(付記14)
前記コンピュータに、
前記第1距離が、前記所定閾値より小さい値である他の所定閾値より小さくなった場合に、前記便座がずれた状態であると判定する処理を実行させる、
付記13に記載のプログラム。
(付記15)
前記コンピュータに、
前記便座を前記縁部の上面に載置した場合における前記便座の下面の内側端部までの距離を、前記距離センサで測定した結果である第2距離を受信し、
前記第2距離に基づき、前記便座がずれた状態であるか否かを判定する処理を実行させる、
付記13に記載のプログラム。
(付記16)
前記コンピュータに、
前記便座がずれた状態であると判定した場合、前記所定閾値を変更する処理を実行させる、
付記15に記載のプログラム。
(付記17)
前記コンピュータに、
前記筐体に配設された情報収集装置で収集された、前記便器における排泄物の情報を受信させる処理を実行させる、
付記13~16のいずれか1項に記載のプログラム。
【符号の説明】
【0099】
1 便器
1a 側面
1b 平面部
1c 縁部
1d 滞水部分
1e 取付部
2 便座
2a 取付部
2b 便座本体
2c 凸部
10 情報処理装置
10a 排泄情報収集装置
20 センサボックス(センサユニット)
21 筐体(内側筐体)
22 距離センサ
23 載置部
24 情報収集部(第1カメラ)
25 透明部
26 コード
30、40 取付具
41 先端部
41a、43g 弾性部材
42 橋架部
43 外側筐体
43a 筐体本体
43c スライド部材
43d 収納部
43e スライド溝
43f ダイヤル式ノブ
60 制御ボックス
61 制御部
61a CPU
61b コネクタ
61c USB I/F
61e WiFiモジュール
61f Bluetoothモジュール
70 人検知/識別ボックス
71 撮像装置(第2カメラ)
72 人感センサ
100 装置
101 プロセッサ
102 メモリ
103 I/F
K1、K2 ケーブル
U 使用者
Ub 使用者の臀部