(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】通信装置、通信システム、通信装置の通信方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 4/38 20180101AFI20230926BHJP
H04W 72/04 20230101ALI20230926BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20230926BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20230926BHJP
【FI】
H04W4/38
H04W72/04
H04W84/18
H04W88/06
(21)【出願番号】P 2022126951
(22)【出願日】2022-08-09
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】天野 祐美
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-010133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の測定データを取得するとともに、取得した前記測定データの異常の有無を判別する測定部と、
サーバと単位期間あたりの送信回数に制限のある第一通信方式で無線通信を行う第一通信部と、
他の通信装置と前記第一通信方式とは異なる通信方式で通信を行う第二通信部と、
前記第一通信部から前記サーバへの前記測定データの送信可能な回数である送信可能回数を管理する管理部と、を備え
、
前記送信可能回数は、
予め自端末に割り当てられた前記単位期間あたりの前記送信回数の上限値である上限回数から当該サーバに送信した回数および前記他の通信装置に譲渡した回数の和を減算した回数であり、
前記管理部は、
前記測定部が異常有りと判別した場合、
前記第二通信部を介して、異常を検出したことを意味する異常通知を前記他の通信装置に送信するとともに、前記送信可能回数に所定の増加回数を加算することにより当該送信可能回数を増加し、
前記第二通信部を介して、前記他の通信装置から前記異常通知を受信した場合、
前記送信可能回数から所定の減少回数を減算することにより当該送信可能回数を減少し、
前記増加回数は、
送信した前記異常通知を受信した際の前記他の通信装置の前記減少回数の合計である、
通信装置。
【請求項2】
前記減少回数は、前記上限回数である、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記減少回数は、異常が検出されない場合に、当該通信装置が前記単位期間中に前記測定データを送信する回数を前記上限回数から減算した回数である、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記管理部は、
前記異常通知を受信した場合、
最新の前記送信可能回数である譲渡回数を特定可能な譲渡通知を前記異常通知の送信元の前記通信装置に返信し、当該譲渡通知に応じて返信される受領通知で特定される受領回数を前記減少回数とし、
前記異常有りと判別した場合、
前記異常通知に応じて返信される前記譲渡通知で特定される前記譲渡回数に応じて前記受領通知を生成し、送信元の前記他の通信装置に返信する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記受領回数は、前記増加回数が予め定めた必要回数を満たすよう定められる、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記譲渡通知には、前記譲渡回数が含まれ、
前記受領通知には、前記受領回数が含まれる、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項7】
サーバと、
複数の、
請求項1から6の何れか1項に記載の通信装置と、を備える、
通信システム。
【請求項8】
測定対象の測定データを取得するとともに、取得した前記測定データの異常の有無を判別し、
サーバと単位期間あたりの送信回数に制限のある第一通信方式で無線通信を行い、
他の通信装置と前記第一通信方式とは異なる通信方式で通信を行い、
前記サーバへの前記測定データの送信可能な回数である送信可能回数を管理する、通信装置の通信方法
において、
前記送信可能回数は、
予め自端末に割り当てられた前記単位期間あたりの前記送信回数の上限値である上限回数から当該サーバに送信した回数および前記他の通信装置に譲渡した回数の和を減算した回数であり、
前記測定データに異常有りと判別した場合、
異常を検出したことを意味する異常通知を前記他の通信装置に送信するとともに、前記送信可能回数に所定の増加回数を加算することにより当該送信可能回数を増加し、
前記他の通信装置から前記異常通知を受信した場合、
前記送信可能回数から所定の減少回数を減算することにより当該送信可能回数を減少し、
前記増加回数は、送信した前記異常通知を受信した際の前記他の通信装置の前記減少回数の合計である、
通信方法。
【請求項9】
前記異常通知を受信した場合、
最新の前記送信可能回数である譲渡回数を特定可能な譲渡通知を前記異常通知の送信元の前記通信装置に返信し、当該譲渡通知に応じて返信される受領通知で特定される受領回数を前記減少回数とし、
前記異常有りと判別した場合、
前記異常通知に応じて返信される前記譲渡通知で特定される前記譲渡回数に応じて前記受領通知を生成し、送信元の前記他の通信装置に返信する、
請求項8に記載の通信方法。
【請求項10】
通信装置のコンピュータに、
請求項
8または9に記載の通信方法を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信システム、通信装置の通信方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IoT(Internet of Things)の通信手段としてLPWA(Low Power Wide Area)が採用される傾向がある。LPWAは消費電力を抑えて遠距離通信ができるが、さまざまな通信規格が存在する。その中で、例えば、SigFox規格は低コストで最大通信距離が長く、通信エリアが広いことが特徴である。しかし、SigFox規格では、メッセージサイズや単位期間(例えば、1日)あたりの通信回数に上限が設けられている。
【0003】
機器や設備、環境を監視する通信システムでは、通常時は最小限の状態把握で問題ないため、監視データの送信に上述のSigFox規格が用いられる。しかし、異常が発生した場合は、詳細な状況を把握するために、大容量の情報が求められる。特に、このようなシステムでは、数値データだけでなく、対象を撮影した画像データなどサイズの大きなデータが求められることもある。しかし、SigFox規格を使用している場合、通信回数に上限があるため、支障をきたしている。また、基地局から下り通信の回数は、さらに制限されている(例えば、1日あたり4回)ことから、発生タイミングが不明確な異常に対して基地局側から送信頻度を柔軟に通信端末へ通知することが難しい。
【0004】
例えば、通信システム内のある通信端末において通信回数の上限に達した場合、送信したい情報を他の通信端末に転送して、当該他の通信端末から基地局まで送信する技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下の分析は、本発明によって与えられたものである。
【0007】
特許文献1に開示の手法によれば、通信回数の上限に達した通信端末は、単位期間が終了するまで、他の通信端末を介して送信しなければならない。また、異常が発生した場合は、急激にデータ送信量が増加するため、1つの他の通信端末への迂回では対処しきれず、多数の通信端末を介して送信する必要もある。このように、特許文献1に開示の手法では、複雑な制御が要求されるとともに、システム内部でのデータの送受信が増加する。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、複数の通信装置を擁する通信システムにおいて、簡易な構成で、コストを抑えつつ、状況に応じて必要十分な情報を通信可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の視点によれば、
測定対象の測定データを取得するとともに、取得した前記測定データの異常の有無を判別する測定部と、
サーバと単位期間あたりの送信回数に制限のある第一通信方式で無線通信を行う第一通信部と、
他の通信装置と前記第一通信方式とは異なる通信方式で通信を行う第二通信部と、
前記第一通信部から前記サーバへの前記測定データの送信可能な回数である送信可能回数を管理する管理部と、
を備え、
前記送信可能回数は、
予め自端末に割り当てられた前記単位期間あたりの前記送信回数の上限値である上限回数から当該サーバに送信した回数および前記他の通信装置に譲渡した回数の和を減算した回数であり、
前記管理部は、
前記測定部が異常有りと判別した場合、
前記第二通信部を介して、異常を検出したことを意味する異常通知を前記他の通信装置に送信するとともに、前記送信可能回数に所定の増加回数を加算することにより当該送信可能回数を増加し、
前記第二通信部を介して、前記他の通信装置から前記異常通知を受信した場合、
前記送信可能回数から所定の減少回数を減算することにより当該送信可能回数を減少し、
前記増加回数は、
送信した前記異常通知を受信した際の前記他の通信装置の前記減少回数の合計である、通信装置が提供される。
【0010】
本発明の第二の視点によれば、
サーバと、
複数の上記通信装置と、
を備える、通信システムが提供される。
【0011】
本発明の第三の視点によれば、
測定対象の測定データを取得するとともに、取得した前記測定データの異常の有無を判別し、
サーバと単位期間あたりの送信回数に制限のある第一通信方式で無線通信を行い、
他の通信装置と前記第一通信方式とは異なる通信方式で通信を行い、
前記サーバへの前記測定データの送信可能な回数である送信可能回数を管理する、
通信装置の通信方法において、
前記送信可能回数は、
予め自端末に割り当てられた前記単位期間あたりの前記送信回数の上限値である上限回数から当該サーバに送信した回数および前記他の通信装置に譲渡した回数の和を減算した回数であり、
前記測定データに異常有りと判別した場合、
異常を検出したことを意味する異常通知を前記他の通信装置に送信するとともに、前記送信可能回数に所定の増加回数を加算することにより当該送信可能回数を増加し、
前記他の通信装置から前記異常通知を受信した場合、
前記送信可能回数から所定の減少回数を減算することにより当該送信可能回数を減少し、
前記増加回数は、送信した前記異常通知を受信した際の前記他の通信装置の前記減少回数の合計である、通信方法が提供される。
【0012】
本発明の第四の視点によれば、
通信装置のコンピュータに、
上記通信装置の通信方法を実行させる、プログラムが提供される。
【0013】
なお、これらのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transient)なものとすることができる。本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の通信装置を擁する通信システムにおいて、簡易な構成で、コストを抑え、状況に応じて必要十分な情報を通信できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の無線通信システムを説明するための説明図である。
【
図2】(a)は、第一実施形態の測定端末の機能ブロック図の一例であり、(b)は、第一実施形態の回数記憶部に記憶されるデータの一例を示す図であり、(c)は、第一実施形態の測定端末のハードウェア構成図の一例である。
【
図3】第一実施形態の無線通信システムにおける分配処理の処理フローの一例を示す図である。
【
図4】(a)および(b)は、それぞれ、第一実施形態の測定端末における、異常検出時の処理のフローチャート、および、異常通知受信時の処理のフローチャートである。
【
図5】(a)は、第一実施形態の変形例の回数記憶部に記憶されるデータの一例を、(b)は、第一実施形態の他の変形例の回数記憶部に記憶される測定端末データの一例を、(c)は、第二実施形態の回数記憶部に記憶されるデータの一例を、それぞれ説明するための図である。
【
図6】第二実施形態の無線通信システムにおける分配処理の処理フローの一例を示す図である。
【
図7】第二実施形態の測定端末における、異常検出時の処理のフローチャートである。
【
図8】第二実施形態の測定端末における、異常通知受信時の処理のフローチャートである。
【
図9】(a)~(d)は、第二実施形態の分配処理の具体例を説明するための図である。
【
図10】(a)~(e)は、第二実施形態の変形例の分配処理の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態と呼ぶ。)の概要について図面を参照して説明する。なお、付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向および単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。
【0017】
プログラムはコンピュータ装置を介して実行され、コンピュータ装置は、例えば、プロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェース、および必要に応じ表示装置を備える。また、このコンピュータ装置は、通信インタフェースを介して装置内または外部の機器(コンピュータを含む)と、有線、無線を問わず、通信可能に構成される。また、図中の各ブロックの入出力の接続点には、ポート乃至インタフェースがあるが図示を省略する。また、以下の説明において、「Aおよび/またはB」は、AまたはB、もしくは、AおよびBという意味で用いる。
【0018】
まず、本発明の実施形態の概要を説明する。
図1は、本実施形態の通信システム(無線通信システム)100を説明するための図である。本図に示すように、本実施形態の無線通信システム100は、複数の通信装置301、302、303、304とサーバ200とを備える。
【0019】
以下、本実施形態では、通信装置301、302、303、304では、監視対象(測定対象)の監視データ(測定データ)を取得し、サーバ200に送信する測定処理を行う。このため、これらの通信装置を測定端末301、302、303、304と呼ぶ。また、複数の測定端末301、302、303、304は、区別する必要がない場合は、測定端末300で代表する。また、測定端末300は、複数であればよく、その台数は問わない。なお、以下では、4台の測定端末300を備える場合を例にあげて説明する。
【0020】
各測定端末300が取得した測定データは、送信回数に上限のある通信規格(第一通信方式)でサーバ200に送信される(実線)。異常発生時は、測定端末300間で通信を行い、送信回数の割り振りを決定する。測定端末300間の通信は、第一通信方式とは異なる通信規格(第二通信方式)で行われる(破線)。
【0021】
測定端末300は、上述のように、設備や環境の監視を行う。本実施形態では、センサ等を用いて、任意の対象を測定し、測定データをサーバ200に送信する。サーバ200は、測定端末300から測定データを受信する。
【0022】
第一の通信方式には、消費電力を抑えて遠距離通信が実現できるものの、通信回数に上限のある通信規格による通信方式を用いる(実線)。例えば、LPWAのSigFox規格等を用いる。
【0023】
なお、SigFox規格では、通信回数の制約は、測定端末300から基地局への送信回数(上り)と、基地局から測定端末300への送信回数(下り)と、別個に設定される。以下、本明細書では、説明を簡単にするため、測定端末300から基地局を経由してサーバ200へ送信することを、単に、測定端末300からサーバ200へ送信する、と記載する。また、上りの送信回数を、単に送信回数と称する。
【0024】
また、第一通信方式では、測定端末300毎に、単位期間あたりの送信回数の上限値(上限回数)が定められているが、無線通信システム100内の総上限回数の範囲で、各測定端末300に割り振ることにより、調整できる。なお、総上限回数は、無線通信システム100内の測定端末300の台数と、上限回数との積である。
【0025】
測定端末300間の送信回数の調整には、第一通信方式とは異なる第二通信方式を用いる(破線)。本実施形態では、第二通信方式として、ブロードキャスト(または、マルチキャスト)が可能な通信方式、例えば、Private LoRa等を用いる。ここでは、各測定端末300は、例えば、数m~数十km程度の距離で離れていることを想定している。
【0026】
<<第一実施形態>>
次に、本発明の第一実施形態を説明する。本実施形態では、単位期間開始時(初期状態)に、各測定端末300は、サーバ200への送信可能な回数(送信可能回数)として、第一通信方式で定められた上限回数が割り当てられる。そして、異常を検出した測定端末300は、他の測定端末300に、第二通信方式で、異常通知を送信することにより異常発生を通知する。また、異常を検出した測定端末300は、自身の送信可能回数を予め定めた回数に増加させる。一方、異常通信を受信した他の測定端末300は、自身の送信可能回数を予め定めた回数に減少させる。このとき、減少分の総和と、増加分とは同回数とする。
【0027】
以下、本実施形態では、異常を検出した測定端末300が、自身の送信可能回数を無線通信システム100の総上限回数に増加させ、他の測定端末300が、それぞれ、自身の送信可能回数を0にする場合を例にあげて説明する。つまり、本実施形態では、異常発生時、異常を検出した測定端末300に、無線通信システム100の総上限回数が集約される。これにより、異常を検出した測定端末300は、無線通信システム100の総上限回数を用いて、サーバ200に測定データを送信でき、一方、他の測定端末300は、単位期間が終わるまで、サーバ200への測定データの送信を停止する。
【0028】
図2(a)に本実施形態の測定端末300の、本実施形態に関連する機能構成の一例を示す。本図に示すように、本実施形態の測定端末300は、測定部311と、第一通信部312と、第二通信部313と、管理部314と、を備える。また、上限回数や送信可能回数等の送信に関する各種の回数を記憶する回数記憶部320を、さらに備える。
【0029】
測定部311は、監視対象(測定対象)の監視データ(測定データ)を取得する。また、測定対象の異常を検出する。測定部311は、例えば、測定データが予め定めた閾値の範囲を逸脱した場合、異常有りと判別する。異常有りと判別した場合、管理部314に異常検出通知を送信する。なお、測定データは、後述するセンサ393により取得する。また、測定データは、例えば、定期的に取得される。
【0030】
取得した測定データは、管理部314による制御の下、第一通信部312を介してサーバ200に送信される。例えば、取得する毎に定期的に送信されてもよいし、一時的に後述する記憶装置392に取得時刻に対応づけて保持しておき、単位期間終了直前等に一度に送信してもよい。
【0031】
以下、本実施形態では、異常発生時以外は、単位期間終了直前に、一括してサーバ200に送信する場合を例にあげて説明する。すなわち、異常発生時、各測定端末300は、一度もサーバ200に測定データを送信していない。
【0032】
管理部314は、測定端末300全体の制御を行うとともに、第一通信方式による通信回数(送信回数)を管理する。本実施形態では、自装置(測定端末300)からサーバ200への送信回数を主として管理する。
【0033】
具体的には、管理部314は、その時点の、サーバ200への送信可能な回数(送信可能回数)を管理し、送信回数が送信可能回数以下となるよう制御する。例えば、単位期間開始時に、自端末に割り当てられた上限回数を回数記憶部320に記憶し、測定データが1回送信される毎に、上限回数から減算し、最新の送信可能回数を把握する。なお、本実施形態では、単位期間終了直前に、測定データを一括送信するため、異常が検出されない限り、一括送信までの送信可能回数は、上限回数である。
【0034】
また、管理部314は、測定部311から異常検出通知を受信すると、無線通信システム100の他の測定端末300に対し、異常が発生したことを通知する異常通知を送信する。異常通知は、第二通信部313を介して送信される。そして、最新の送信可能回数を、総上限回数に増加させる。すなわち、無線通信システム100の他の測定端末300の台数と各測定端末300に割り当てられた上限回数との積で得られる回数(増加回数)を、その時点の最新の送信可能回数に加算し、送信可能回数を更新する。
【0035】
さらに、管理部314は、他の測定端末300から、第二通信部313を介して異常通知を受信すると、最新の送信可能回数を0に減少させる。すなわち、本実施形態では、最新の送信可能回数である上限回数から、上限回数(減少回数)を減算し、送信可能回数(0)とする。
【0036】
なお、
図2(b)に示すように、回数記憶部320には、各測定端末300に割り当てられた上限回数321と、総上限回数322と、が予め記憶される。また、さらに、送信可能回数323も記憶される。
【0037】
第一通信部312は、サーバ200との間で第一通信方式による通信を行う。第一通信部312は、管理部314による指示に従って、測定部311が取得した測定データを、サーバ200に送信する。また、サーバ200からデータを受信すると、管理部314に通知する。
【0038】
第二通信部313は、無線通信システム100を構成する他の測定端末300との間で、第二通信方式による通信を行う。本実施形態では、管理部314による指示に従って、異常通知を送信したり、他の測定端末300から送信された異常通知を受信したりする。
【0039】
[ハードウェア構成]
なお、本実施形態の測定端末300は、いわゆる、汎用の情報処理装置(コンピュータ)により実現可能である。
図2(c)に、測定端末300のハードウェア構成の一例を示す。
【0040】
測定端末300は、例えば、内部バスにより相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)391と、記憶装置392と、センサ393と、第一通信インタフェース(I/F)394と、第二通信I/F395と、を備える。
【0041】
CPU391は、記憶装置392の不揮発領域に記憶されたプログラムをワーク領域にロードして実行することにより、上記各機能を実現するとともに測定端末300全体を統括的に制御する。なお、CPU391の代わりにMPU(Micro Processing Unit)等の1以上のプロセッサを用いてもよい。
【0042】
記憶装置392は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリにより構成される。記憶装置392は、各機能を実行するためのプログラムや、通信のための通信パラメータ等の情報を記憶する。また、本実施形態では、回数記憶部320は、記憶装置392に構築される。また、各部の処理により得られた結果を一時的に記憶する記憶先も記憶装置392である。
【0043】
なお、記憶装置392は、ROMやRAM等のメモリの他、例えば、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性メモリカード、DVD等の記憶媒体を備えてもよい。また、記憶装置392は、複数のメモリ等を備えてもよい。
【0044】
センサ393は、監視対象の性質、変化等を検知して、その検知データを測定データとして出力する。センサ393は、例えば、光センサ(フォトダイオード、CCD、CMOS)、赤外線センサ、音センサ(圧電素子、コンデンサマイクロホン)、温度センサ(熱電対、サーミスタ)、圧力センサ(ダイアフラム、半導体圧力センサ)、湿度センサ、これらの組み合わせ、等である。また、GPS受信機等であってもよい。また、水位計、温度計、湿度計等、予め所定の特性を検出するよう構成された装置であってもよい。なお、センサ393は、測定端末300とは別に設けられてもよい。この場合は、センサ393が取得したデータを、測定端末300(この場合は、通信装置300)に、第一通信方式とは異なる通信方式で、送信する。
【0045】
第一通信I/F394は、第一通信方式による無線通信のインタフェースである。
【0046】
第二通信I/F395は、第二通信方式による無線通信のインタフェースである。
【0047】
なお、測定端末300のハードウェア構成は、これに限定されない。測定端末300は、図示しないハードウェアを含んでもよい。あるいは、測定端末300に含まれるCPU391等の数も問わない。
【0048】
[分配処理]
次に、本実施形態の、異常発生時の送信可能回数を変更する分配処理の流れを説明する。
図3は、本実施形態の無線通信システム100における単位期間中の、分配処理の処理フローである。ここでは、無線通信システム100は、測定端末300を4台備える場合を例示する。なお、単位期間開始時の送信可能回数323には、上限回数321が設定される。ここでは、測定端末301が異常を検出した場合の処理を例示する。
【0049】
測定端末301は、異常を検出すると(ステップS1101)、第二通信方式で、他の測定端末302、303および304へ異常通知を送信する(ステップS1102)。ここでは、異常通知をブロードキャストする。
【0050】
そして、各測定端末300は、送信可能回数323を変更する。ここでは、異常を検出した測定端末301は、送信可能回数323を、無線通信システム100の総上限回数322に増加させる(ステップS1103)。一方、測定端末301から異常通知を受けた測定端末302、303および304は、送信可能回数323を0に減少させる(ステップS1104)。これにより、無線通信システム100に割り当てられた全ての送信機会を、異常の発生した測定端末301に割り当てる。
【0051】
その後、測定端末301は、異常が検出された箇所の測定データや、詳細データ等を、サーバ200に送信する(ステップS1105)。
【0052】
次に、個々の測定端末300での、単位期間中の、異常発生時の分配処理の流れを説明する。
図4(a)は、自身が異常を検出した場合の測定端末300の処理フローであり、
図4(b)は、無線通信システム100内の他の測定端末300で異常が検出された場合の測定端末300の処理フローである。
【0053】
自装置で異常を検出した場合、
図4(a)に示すように、管理部314は、異常通知を生成し、他の測定端末300に異常通知を送信し(ステップS1301)、送信可能回数323を、総上限回数322に増加させる(ステップS1302)。そして、増加後の送信可能回数323の範囲内で、サーバ200に測定データを送信し(ステップS1303)、処理を終了する。
【0054】
また、
図4(b)に示すように、他の測定端末300から異常通知を受信した場合、管理部314は、送信可能回数323を0に減少させ(ステップS1401)、単位期間終了まで送信を停止し(ステップS1402)、処理を終了する。
【0055】
以上より、異常を検出した測定端末300は、無線通信システム100の総上限回数分のデータ量を、サーバ200に送信できる。これにより、1台当たりの上限回数では送信できない、サイズの大きいデータや複数のデータを送信することができる。
【0056】
例えば、上記処理フローの例では、無線通信システム100は、4台の測定端末300を備える。例えば、1台当たりの単位期間の上限回数を140回とすると、無線通信システム100の総上限回数は、140×4(台)=560回である。よって、異常を検出した測定端末300は、560回、サーバ200へ送信できる。
【0057】
なお、他の測定端末300は、単位期間が終了するまで、サーバ200への送信を停止する。例えば、単位期間が日付単位の1日である場合、日付が変わるまで、サーバ200にデータを送信しない。
【0058】
管理部314は、日付情報を、予めサーバ200から取得する。また、測定端末300は、装置内に、RTC(Real-Time Clock)を備え、そこから、日付情報を取得してもよい。
【0059】
なお、各測定端末300の送信可能回数は、単位期間経過後、リセットされ、上限回数になる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態では、異常を検出した測定端末300が、他の測定端末300に通知することにより、他の測定端末300は、サーバ200への送信を停止する。このため、無線通信システム100におけるサーバ200へ送信可能な回数を、異常を検出した測定端末300に集中させることができる。また、測定端末300間では、異常通知の送信だけで済むため、無線通信システム100内のデータの送受信量も抑えられる。
【0061】
すなわち、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。第1の効果は、異常を検出した測定端末300に通信回数を集約するので、異常を検出した測定端末300は、サイズの大きいデータや複数のデータを送信することができる。また、第2の効果は、異常を検出した測定端末300が他の測定端末300に第一通信方式とは異なる第二通信方式を使用して通知するので、自動で送信回数の変更ができる。また、第3の効果は、異常を検出した測定端末300が他の測定端末300に第二通信方式を使用して通知するので、第一通信方式の通信回数の上限に影響なく測定端末300間で通信できる。
【0062】
したがって、本実施形態によれば、単位期間あたりの送信回数に制約のある、安価な通信方式を用いる無線通信システム100において、複数の測定端末300に割り当てられた上限回数を、状況に応じて、個々の測定端末300に柔軟に割り振ることで、異常発生時の急激な送信量の増加にも対応できる。
【0063】
例えば、利用料金が安価である一方で、メッセージサイズや単位期間あたりの通信回数に上限が設けられている、SigFox規格のような通信方式を利用する、無線通信システム100においても、平常状態にある監視対象を監視する測定端末300の通信回数(送信回数)を、監視対象の異常を検出した測定端末300に分け与えることができるため、通信の制限回数である上限回数に寄らず、詳細な状況を把握するために必要な大容量の情報(監視画像データ等)をサーバ200(監視センタ)に送信することができる。
【0064】
<変形例1>
なお、上記実施形態では、単位期間終了直前に測定データを一括送信することを前提に、異常を検出した測定端末300に、総上限回数を集約する手法を例にあげて説明したが、これに限定されない。例えば、測定データは、定期的にサーバ200に送信され、余剰の送信回数を、異常を検出した測定端末300に集約するものとしてもよい。
【0065】
通常(異常の発生無し)の状態で単位期間中に測定データを送信する回数を通常送信回数とすると、余剰の送信回数(余剰回数)は、上限回数と通常送信回数との差分である。
【0066】
例えば、単位期間が1日であり、上限回数を140回とする。測定端末302は、30分毎に測定データを送信するものとすると、通常送信回数は、48回であり、余剰回数は、92回である。また、測定端末303は、20分毎に測定データを送信するものとすると、通常送信回数および余剰回数は、それぞれ、72回および68回である。また、測定端末304は、1時間に1回測定データを送信するものとすると、通常送信回数および余剰回数は、それぞれ、24回および116回である。
【0067】
本変形例では、測定端末301が異常を検出した場合、測定端末301は、各測定端末302、303および304の、余剰回数の和の回数(ここでは、92回+68回+116回=276回)、送信可能回数を増加させる。一方、各測定端末302、303および304では、自装置の余剰回数分、送信可能回数を減少させる。
【0068】
なお、この場合、無線通信システム100内の、自装置を除く各測定端末300の余剰回数の和(余剰回数和324)は、
図5(a)に示すように、回数記憶部320に記憶しておく。
【0069】
本変形例によれば、上記実施形態同様、異常を検出した測定端末300では、送信可能回数を増加させて、大量の測定データを送信できる。さらに、測定データを取得する毎に、または、定期的に、サーバ200に測定データを送信する場合であっても、各測定端末300は、そのまま、通常どおり、測定データの送信を継続できる。
【0070】
<変形例2>
また、各測定端末300は、各測定端末300の送信頻度を予め記憶し、異常検出時、他の測定端末300が、既に使用した送信回数を算出し、上限回数との差分を、増加させてもよい。
【0071】
この場合、各測定端末300は、それぞれ、全測定端末300の送信頻度を、測定端末データ330として、回数記憶部320に記憶する。
図5(b)に測定端末データ330の一例を示す。ここでは、測定端末300を特定する情報331毎に、送信頻度332を分(min)単位で示したものを記憶する場合を例示する。
【0072】
例えば、測定端末301で、単位期間開始時から10時間後に異常を検出した場合を想定する。測定端末302は、30分毎に測定データを送信するため、すでに、20回、測定データを送信している。また、測定端末303は、20分毎に測定データを送信するため、すでに、30回、測定データを送信している。測定端末304は、60分毎に測定データを送信しているため、すでに、10回、測定データを送信している。
【0073】
測定端末301の管理部314は、他の測定端末300それぞれについて、その時点の既送信回数を算出し、上限回数との差分を計算する。上記例では、それぞれ、120回、110回、130回である。よって、測定端末301の管理部314は、算出結果の和(120回+110回+130回)である360回を、自装置の現在の送信可能回数323に加算する。
【0074】
一方、他の測定端末302、303および304では、上記実施形態同様、送信可能回数323を0とし、単位期間終了まで、送信を停止する。
【0075】
これにより、異常を検出した測定端末300から異常通知を送信するだけで、その時点で無線通信システム100において使用可能な送信回数を全て、異常を検出した測定端末300に集約できる。これにより、定期的に測定データを送信する場合であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0076】
なお、本変形例において、測定端末データ330が保持する情報はこれに限定されない。異常発生時に、各測定端末300の、未使用の送信回数を特定できればよい。
【0077】
<<第二実施形態>>
次に、本発明の第二実施形態を説明する。第一実施形態では、異常を検出した測定端末300において、増加させる送信可能回数は、当該測定端末300で特定可能な値である。すなわち、異常検出時、各測定端末300間で送受信される情報は、異常を検出した測定端末300からの異常通知だけである。一方、本実施形態では、状況に応じて、各測定端末300間で回数を特定可能な情報を送受信する。
【0078】
本実施形態では、異常発生時にサーバ200に測定データを送信するために必要な送信回数(必要回数)を予め設定しておく。異常を検出した測定端末300は、必要回数だけ、他の測定端末300から送信可能回数323を受領する。異常を検出した測定端末300が受領しなかった送信可能回数323は、新たに別の測定端末300で異常を検出した際に使用する。
【0079】
以下、本実施形態に関し、第一実施形態と異なる点に主眼をおいて説明する。また、本実施形態においても、単位期間終了直前に、測定データを一括送信する場合を例にあげて説明する。つまり、最初の異常検出までは、各測定端末300の送信可能回数は、上限回数である。
【0080】
本実施形態の回数記憶部320には、
図5(c)に示すように、上限回数321および送信可能回数323に加え、必要回数325が、予め記憶される。また、さらに、他の測定端末300に譲渡可能な回数である譲渡回数326が記憶される。本実施形態では、送信可能回数323が譲渡回数326となる。そして、本実施形態においても、送信可能回数323の単位期間開始時の値(初期値)は、上限回数321である。よって、譲渡回数326の初期値も、上限回数321である。
【0081】
管理部314は、第一実施形態の機能を備え、さらに、他の測定端末300から異常通知を受信すると、最新の送信可能回数323を譲渡回数326として、その譲渡回数を特定可能な譲渡通知を生成して、送信元の測定端末300に返信する。
【0082】
本実施形態では、管理部314は、最新の送信可能回数323が0でない場合、譲渡回数有を意味するフラグ付きの譲渡通知を生成する。一方、最新の送信可能回数323が0の場合、フラグ無しの譲渡通知を生成する。これは、譲渡回数無し、を意味する。なお、本実施形態では、送信可能回数323が、上限回数321および0のいずれかであるため、譲渡回数326も、上限回数321および0のいずれかである。
【0083】
さらに、譲渡通知の送信に応じて、受領通知が返信されると、管理部314は、その受領通知で特定される、受領回数を、最新の送信可能回数323から減算し、送信可能回数323を更新する。
【0084】
一方、異常を検出した場合は、管理部314は、第一実施形態同様、異常通知をブロードキャストする。その異常通知に応じて譲渡通知が返信されると、譲渡通知で特定される譲渡回数326を受領するか否かを判別し、受領する場合は、受領を意味するフラグ付きの受領通知を生成する。一方、受領しない場合は、フラグ無しの受領通知(非受領通知)を生成する。なお、本実施形態では、受領通知で特定される受領回数は、上限回数321であり、非受領通知で特定される受領回数は0である。なお、譲渡回数が0である場合も、受領しないため、非受領通知を生成する。
【0085】
管理部314は、予め定めた順で、譲渡通知で特定される譲渡回数を受領するか否かを判別する。管理部314は、譲渡通知で特定される譲渡回数を、最新の送信可能回数323に加算した値が、必要回数325以上となるまで、譲渡回数を受領すると判別する。それ以降に処理をする譲渡通知の送信元には、非受領通知を返信する。処理順は、限定されない。例えば、譲渡通知の到着順であってもよいし、予め定めておいてもよい。
【0086】
なお、本実施形態の測定端末300の他の機能およびハードウェア構成については、第一実施形態と同様であるため、ここでは、説明を省略する。
【0087】
[分配処理]
次に、本実施形態の、異常発生時の送信可能回数を変更する分配処理の流れを説明する。
図6は、本実施形態の無線通信システム100における、単位期間中の、分配処理の処理フローである。ここでは、無線通信システム100は、測定端末300を4台備える場合を例示する。第一実施形態同様、測定端末301が異常を検出した場合の処理を例示する。
【0088】
第一実施形態同様、測定端末301において、異常を検出すると、測定端末301は、第二通信方式で測定端末302、303および304へ異常通知を送信する(ステップS1101、S1102)。
【0089】
異常通知を受信した各測定端末302、303および304は、譲渡回数326を取得し、それに応じた譲渡通知を生成する(ステップS2103)。ここでは、上述のように、最新の送信可能回数323を譲渡回数326として、譲渡通知を生成する。そして、生成した譲渡通知を、送信元の測定端末301へ返信する(ステップS2104)。
【0090】
譲渡通知を受信した測定端末301は、最新の送信可能回数323に、各測定端末300の譲渡回数326を加算し、加算後の回数が、必要回数325以上となるまで、譲渡回数326を受領する(ステップS2105)。
【0091】
そして、測定端末301は、受領通知を生成する(ステップS2106)。具体的には、受領した場合は、受領通知を、受領しない場合は、非受領通知を生成する。ここでは、測定端末302の譲渡回数を受領し、測定端末303および測定端末304の譲渡回数は、受領しない場合を例示する。すなわち、測定端末301は、測定端末302には、受領通知を送信し(ステップS2107)、測定端末303および304には、非受領通知を送信する(ステップS2108)
【0092】
受領通知を受信した測定端末302は、送信可能回数を減少させる(ステップS2109)。ここでは、譲渡回数326分、減少させる。すなわち、上限回数321分減少させることになるため、最新の送信可能回数323は0となる。一方、非受領通知を受信した測定端末303および304では、送信可能回数323はそのままとする。
【0093】
なお、譲渡回数を受領した測定端末301は、第一実施形態同様、受領後の最新の送信可能回数323の範囲内で、測定データをサーバ200に送信する(ステップS1105)。
【0094】
次に、個々の測定端末300での、単位期間中の、異常発生時の分配処理の流れを説明する。
図7は、自身が異常を検出した場合の測定端末300の処理フローであり、
図8は、無線通信システム100内の他の測定端末300で異常が検出された場合の測定端末300の処理フローである。ここでは、無線通信システム100内の測定端末300の台数は、N+1台とする(Nは1以上の整数)。
【0095】
自装置で異常を検出した場合、
図7に示すように、管理部314は、異常通知を生成し、他の測定端末300に異常通知を送信する(ステップS2301)。
【0096】
その後、管理部314は、他の測定端末300から譲渡通知を受信する(ステップS2302)。全ての他の測定端末300から譲渡通知を受信すると、管理部314は、順に、受領するか否かを判別する。
【0097】
カウンタnを1とし(ステップS2303)、管理部314は、処理順nの測定端末300から送信された譲渡通知において特定される譲渡回数が0かを判別する(ステップS2304)。ここでは、フラグの有無を判別し、フラグが設定されていない場合、0であると判別する。
【0098】
フラグが設定されている場合(S2304;No)、管理部314は、必要回数325を受信済みであるか否かを判別する(ステップS2305)。本実施形態では、フラグが設定されている場合、譲渡通知に含まれる譲渡回数は、上限回数321に等しい。よって、ここでは、送信可能回数323に上限回数321を加算することにより、送信可能回数323を更新する。そして、更新後の送信可能回数323が必要回数325を超えた場合、その後は、必要回数受信済み、と判別する。
【0099】
必要回数受信済みでない場合は、管理部314は、処理対象の譲渡通知の送信元あてに、譲渡回数を受領したことを意味する受領通知を生成し、送信する(ステップS2306)。一方、S2304で譲渡回数326が0の場合(フラグが設定されていない場合)、また、S2305で必要回数を受信済みと判別された場合は、譲渡回数を受領しないことを意味する非受領通知を生成し、送信元の測定端末300に送信する(ステップS2307)。
【0100】
ステップS2304からS2307の処理を、自端末以外の全ての(N台の)測定端末300について繰り返し(ステップS2308、S2309)、最終的に最新の送信可能回数323の範囲で、サーバ200に測定データを送信し(ステップS2310)、処理を終了する。
【0101】
次に、他の測定端末300から異常通知を受信した場合の管理部314の処理の流れを、
図8に沿って説明する。
【0102】
管理部314は、まず、その時点の最新の送信可能回数323を、回数記憶部320から取得する(ステップS2401)。そして、その送信可能回数323を譲渡回数326として、譲渡通知を生成し、送信元の測定端末300に送信する(ステップS2402)。ここでは、譲渡回数326が、0でない場合、フラグを付した譲渡通知を生成する。なお、本実施形態では、譲渡回数326は、上限回数321か0かのいずれかである。
【0103】
その後、管理部314は、譲渡通知に応じて受領通知を受信したか否かを判別し(ステップS2403)。受領通知を受信した場合、すなわち、非受領を意味する通知でない場合(S2403;Yes)、管理部314は、送信可能回数323を0に減少させ(ステップS2404)、単位期間終了まで送信を停止し(ステップS2405)、処理を終了する。
【0104】
一方、ステップS2403で受領した通知が、非受領通知である場合、管理部314は、そのまま処理を終了する。
【0105】
以上説明したように、本実施形態によれば、異常が検出された測定端末300に、無線通信システム100の送信可能回数323の総計が全て集約されるのではなく、異常時の送信に必要な回数だけ、集約される。このため、その後、他の測定端末300で異常を検出した際に、その残りの送信可能回数を用いることができる。
【0106】
本実施形態のこのような処理を、具体例で説明する。ここでは、無線通信システム100は、4台の測定端末301、302、303、304を備える場合を例にあげて説明する。
【0107】
異常検出時にサーバ200に測定データを送信する際の必要回数325は、
図9(a)に示すように、280回とする。また、
図9(b)に示すように、異常検出時の送信可能回数323は、上限回数321のままであって、それぞれ、140回とする。最初に、測定端末301で異常が検出され、その後、測定端末304で異常が検出されるものとする。
【0108】
まず、測定端末301で異常が検出された場合、測定端末301から他の測定端末302、303および304へ異常通知が送信される。このとき、各測定端末302、303および304の、譲渡回数326は、送信可能回数323であって、それぞれ、
図9(c)に示すように、140回(上限回数321)である。
【0109】
図9(c)に示すように、測定端末301が、このうち、測定端末302から譲渡を受ける。この場合、測定端末301は、測定端末302に受領通知を、他の測定端末303および304には、非受領通知を送信する。そして、この処理後の送信可能回数323は、
図9(c)に示すように、測定端末301、302、303および304それぞれ、280回、0回、140回および140回、となる。
【0110】
測定端末301が、測定データを、280回、サーバ200に送信し、送信可能回数323が0回となったところで、測定端末304で異常が検出されたとする。この時点の、測定端末301、302および303の送信可能回数323(譲渡回数326)は、
図9(d)に示すように、それぞれ、0回、0回および140回である。
【0111】
これらを特定可能な譲渡通知を得、測定端末304は、測定端末303から譲渡を受けるとする。このとき、測定端末304は、測定端末301、302および303に、それぞれ、非受領通知、非受領通知および受領通知を送信する。そして、この処理の後、測定端末301、302、303および304それぞれの送信可能回数323は、0回、0回、0回および280回となる。測定端末304は、測定データを、280回、サーバ200に送信できる。
【0112】
なお、これらの各回数については、単位期間経過後、リセットされ、
図9(b)の状態に戻る。
【0113】
以上説明したように、本実施形態によれば、異常を検出した場合、サーバ200へ送信するために必要な必要回数を予め設定しておき、異常を検出した測定端末300へ分配する回数を、必要回数に留める。このため、余剰となった回数を、新たに別の測定端末300で異常を検出した際に使用できる。よって、複数の測定端末300で異常を検出生した場合であっても、対処できる。
【0114】
<変形例3>
なお、第二実施形態において、送信可能回数323が0の場合、譲渡通知を返信しないよう構成してもよい。異常を検出した測定端末300では、譲渡通知を返信してきた測定端末300について、順に、譲渡回数を加算し、必要回数に達したかを判別する。
【0115】
<変形例4>
また、上記実施形態では、譲渡回数326を、その時点での送信可能回数323(上限回数321)としているが、これに限定されない。例えば、第一実施形態の変形例のように、上限回数と通常送信回数との差分である余剰回数を用いてもよい。
【0116】
<変形例5>
また、上記第二実施形態では、譲渡通知および受領通知において、回数の有無を、フラグで示しているが、これに限定されない。例えば、譲渡通知および受領通知に、それぞれ、具体的な譲渡回数および受領回数を含めてもよい。上記実施形態の例では、譲渡通知に、0回または140回をといった譲渡回数を含める。また、受領通知に、140回または0回といった受領回数を含める。したがって、この場合は、非受領通知の代わりに、受領回数が0回の受領通知を生成してもよい。
【0117】
<変形例6>
このように、譲渡通知および受領通知に、それぞれ、回数を含める場合、異常が検出された測定端末300では、例えば、譲渡通知に含まれる全ての譲渡回数を受領しなくてもよい。必要回数325を充足する、最低限の回数だけ、受領すればよい。
【0118】
この場合の処理の流れを、具体例で説明する。
図10(a)~
図10(e)は、本変形例を説明するための図である。ここでは、
図10(a)に示すように、必要回数325を220回とする。また、
図10(b)に示すように、各測定端末300に単位期間ごとに割り振られる上限回数321を、それぞれ、140回とする。また、本変形例においても、異常発生時は、各測定端末300の送信可能回数323は、
図10(b)に示すように、それぞれ、上限回数321のままの、140回である。
【0119】
まず、測定端末301で異常が検出された場合、他の測定端末302、303および304での譲渡回数326は、
図10(c)に示すように、それぞれ、140回である。ここで、測定端末301は、測定端末302から、80回、受領したとすると、本処理後の、各測定端末301、302、303および304の送信可能回数323は、それぞれ、220回、60回、140回および140回である。
【0120】
その後、測定端末301が、220回、測定データを送信後、測定端末304で異常が検出されたとする。この場合の、他の測定端末301、302および303の譲渡回数326は、
図10(d)に示すように、それぞれ、0回、60回、140回である。ここで、測定端末304は、測定端末302から60回、測定端末303から20回、それぞれ受領したとする。本処理後の、各測定端末301、302、303および304の送信可能回数323は、それぞれ、0回、0回120回および220回である。測定端末304は、この220回を使って、測定データをサーバ200に送信する。
【0121】
なお、上記例では、測定端末304は、測定端末302と、測定端末303とから、それぞれ、60回、20回と受領しているが、例えば、
図10(e)に示すように、測定端末303から、80回、受領してもよい。
【0122】
<変形例7>
また、上記第二実施形態では、単位期間終了の直前に測定データを一括送信する場合を例にあげて説明したが、これに限定されない。例えば、各測定端末300は、定期的に測定データをサーバ200に送信してもよい。
【0123】
本変形例では、各測定端末300の管理部314は、測定データを送信する毎に、送信可能回数323を1ずつ減少させる。そして、異常通知を受信した場合、その時点の送信可能回数323を、譲渡回数326として、譲渡通知に含めて送信する。
【0124】
異常を検出した測定端末300側では、譲渡通知に含まれる全ての譲渡回数を受領してもよい。この場合、他の測定端末300は、単位期間終了まで、測定データの送信を停止する。
【0125】
また、異常を検出した測定端末300側では、上記変形例のように、必要回数だけ受領し、受領回数を受領通知に含め、返信してもよい。この場合、受領通知を受信した測定端末300は、送信可能回数323から受領通知に含まれる受領回数を減算した回数を最新の送信可能回数323とし、その回数内で、測定データの送信を継続する。
【0126】
なお、算出した最新の送信可能回数323が、その後の単位期間終了までの測定データの送信予定回数以下の場合、当該測定端末300の管理部314は、最新の送信可能回数、送信後、測定データの送信を停止してもよい。例えば、当初の測定データの送信間隔が20分、単位期間終了までの残りの時間が10時間、最新の送信可能回数323が25回、の場合、管理部314は、8時間20分まで、通常どおり20分毎に測定データを送信し、その時点で送信を停止する。
【0127】
また、当該測定端末300の管理部314は、測定データの送信間隔を再設定してもよい。例えば、当初の測定データの送信間隔が20分、単位期間終了までの残りの時間が10時間、最新の送信可能回数323が25回、の場合、管理部314は、例えば、送信間隔を24分間隔に延長する。または、予め定めた増分で、全期間送信可能な送信間隔に延長する。例えば、増分が10分の場合、送信間隔を30分毎に変更する。
【0128】
なお、上述の説明で用いた処理フローでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。例えば、各処理を並行して実行する等、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。
【0129】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、各図面に示したネットワーク構成、各要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0130】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)
測定対象の測定データを取得するとともに、取得した前記測定データの異常の有無を判別する測定部と、
サーバと単位期間あたりの送信回数に制限のある第一通信方式で無線通信を行う第一通信部と、
他の通信装置と前記第一通信方式とは異なる通信方式で通信を行う第二通信部と、
前記第一通信部から前記サーバへの前記測定データの送信可能な回数である送信可能回数を管理する管理部と、
を備える、通信装置。
(付記2)
前記送信可能回数は、
予め自端末に割り当てられた前記単位期間あたりの前記送信回数の上限値である上限回数から当該サーバに送信した回数および前記他の通信装置に譲渡した回数の和を減算した回数であり、
前記管理部は、
前記測定部が異常有りと判別した場合、
前記第二通信部を介して、異常を検出したことを意味する異常通知を前記他の通信装置に送信させるとともに、前記送信可能回数に所定の増加回数を加算することにより当該送信可能回数を増加させ、
前記第二通信部を介して、前記他の通信装置から前記異常通知を受信した場合、
前記送信可能回数から所定の減少回数を減算することにより当該送信可能回数を減少させ、
前記増加回数は、
送信した前記異常通知を受信した際の前記他の通信装置の前記減少回数の合計である、
付記1に記載の通信装置。
(付記3)
前記減少回数は、前記上限回数である、
付記2に記載の通信装置。
(付記4)
前記減少回数は、異常が検出されない場合に、当該通信装置が前記単位期間中に前記測定データを送信する回数を前記上限回数から減算した回数である、
付記2または3に記載の通信装置。
(付記5)
前記管理部は、
前記異常通知を受信した場合、
最新の前記送信可能回数である譲渡回数を特定可能な譲渡通知を前記異常通知の送信元の前記通信装置に返信し、当該譲渡通知に応じて返信される受領通知で特定される受領回数を前記減少回数とし、
前記異常有りと判別した場合、
前記異常通知に応じて返信される前記譲渡通知で特定される前記譲渡回数に応じて前記受領通知を生成し、送信元の前記他の通信装置に返信する、
付記2から4の何れか1つに記載の通信装置。
(付記6)
前記受領回数は、前記増加回数が予め定めた必要回数を満たすよう定められる、
付記5に記載の通信装置。
(付記7)
前記譲渡通知には、前記譲渡回数が含まれ、
前記受領通知には、前記受領回数が含まれる、
付記5または6に記載の通信装置。
(付記8)
サーバと、
複数の、付記1から7の何れか1つに記載の通信装置と、
を備える、通信システム。
(付記9)
測定対象の測定データを取得するとともに、取得した前記測定データの異常の有無を判別し、
サーバと単位期間あたりの送信回数に制限のある第一通信方式で無線通信を行い、
他の通信装置と前記第一通信方式とは異なる通信方式で通信を行い、
前記サーバへの前記測定データの送信可能な回数である送信可能回数を管理する、
通信装置の通信方法。
(付記10)
通信装置のコンピュータに、
付記9に記載の通信装置の通信方法、を実行させる、プログラム。
なお、付記8から10の形態は、付記1の形態と同様に、付記2の形態から付記7の形態に展開することが可能である。
【0131】
なお、上記の特許文献等の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0132】
100:無線通信システム、
200:サーバ、
300:通信装置(測定端末)、301:通信装置(測定端末)、302:通信装置(測定端末)、303:通信装置(測定端末)、304:通信装置(測定端末)、
311:測定部、312:第一通信部、313:第二通信部、314:管理部、
320:回数記憶部、321:上限回数、322:総上限回数、323:送信可能回数、324:余剰回数和、325:必要回数、326:譲渡回数、
330:測定端末データ、331:測定端末を特定する情報、332:送信頻度、
391:CPU、392:記憶装置、393:センサ、394:第一通信I/F、395:第二通信I/F
【要約】 (修正有)
【課題】複数の通信装置を擁する通信システムにおいて、簡易な構成で、コストを抑えつつ、状況に応じて必要十分な情報を通信可能とする通信装置、通信システム、通信装置の通信方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】通信装置(測定端末)300は、測定対象の測定データを取得するとともに、取得した測定データの異常の有無を判別する測定部311と、サーバと単位期間あたりの送信回数に制限のある第一通信方式で無線通信を行う第一通信部312と、他の通信装置300と第一通信方式とは異なる通信方式で通信を行う第二通信部313と、第一通信部312からサーバへの測定データの送信可能な回数である送信可能回数を管理する管理部314と、を備える。
【選択図】
図2