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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20230926BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20230926BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20230926BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20230926BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20230926BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20230926BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
H01L29/78 652N
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652M
H01L29/78 652P
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/78 652T
H01L29/78 653C
H01L29/78 652C
H01L29/06 301F
H01L29/78 652D
H01L29/78 652H
H01L29/78 658A
H01L29/06 301D
H01L29/78 652K
H01L29/78 655F
H01L29/78 655A
H01L21/265 R
H01L29/44 Y
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019027587
(22)【出願日】2019-02-19
(65)【公開番号】P2020136472
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 晋平
(72)【発明者】
【氏名】長田 賢樹
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-114028(JP,A)
【文献】特開2016-189368(JP,A)
【文献】特開2009-187994(JP,A)
【文献】特開2015-126086(JP,A)
【文献】特開2013-033931(JP,A)
【文献】特表2011-512677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/06
H01L 29/12
H01L 21/336
H01L 29/739
H01L 21/265
H01L 29/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面および前記第1面の反対側の第2面を有し、かつ前記第1面に定義された素子部および前記素子部の周囲の外周部を有する第1導電型の半導体層と、
前記素子部に形成された半導体素子構造と、
前記外周部に形成され、それぞれが前記半導体層の前記第1面に形成された複数のガードリングトレンチと、
前記外周部に形成された第2導電型の外周部不純物領域とを含み、
前記複数のガードリングトレンチは、複数のガードリングトレンチからなる第1単位と、前記第1単位に属する前記複数のガードリングトレンチよりも前記半導体層の外側に配置された複数のガードリングトレンチからなる第2単位とを含み、
前記外周部不純物領域は、前記第1単位に属する前記複数のガードリングトレンチの下方に配置され、前記半導体層の前記第1面を基準に第1の深さを有する第1部分と、前記第2単位に属する前記複数のガードリングトレンチの下方に配置され、前記半導体層の前記第1面を基準に前記第1の深さよりも浅い第2の深さを有する第2部分とを含み、
前記第1単位に属する前記複数のガードリングトレンチのピッチが、前記第2単位に属する前記複数のガードリングトレンチのピッチよりも小さい、半導体装置。
【請求項2】
第1面および前記第1面の反対側の第2面を有し、かつ前記第1面に定義された素子部および前記素子部の周囲の外周部を有する第1導電型の半導体層と、
前記素子部に形成された半導体素子構造と、
前記外周部に形成され、それぞれが前記半導体層の前記第1面に形成された複数のガードリングトレンチと、
前記外周部に形成された第2導電型の外周部不純物領域とを含み、
前記複数のガードリングトレンチは、複数のガードリングトレンチからなる第1単位と、前記第1単位に属する前記複数のガードリングトレンチよりも前記半導体層の外側に配置された複数のガードリングトレンチからなる第2単位とを含み、
前記外周部不純物領域は、前記第1単位に属する前記複数のガードリングトレンチの下方に配置され、前記半導体層の前記第1面を基準に第1の深さを有する第1部分と、前記第2単位に属する前記複数のガードリングトレンチの下方に配置され、前記半導体層の前記第1面を基準に前記第1の深さよりも浅い第2の深さを有する第2部分とを含み、
前記複数のガードリングトレンチの深さは、0.8μm~2.0μmであり、
前記第1の深さは、1.4μm~4.0μmであり、
前記第2の深さは、1.2μm~3.5μmである、半導体装置。
【請求項3】
第1面および前記第1面の反対側の第2面を有し、かつ前記第1面に定義された素子部および前記素子部の周囲の外周部を有する第1導電型の半導体層と、
前記素子部に形成された半導体素子構造と、
前記外周部に形成され、それぞれが前記半導体層の前記第1面に形成された複数のガードリングトレンチと、
前記外周部に形成された第2導電型の外周部不純物領域とを含み、
前記複数のガードリングトレンチは、複数のガードリングトレンチからなる第1単位と、前記第1単位に属する前記複数のガードリングトレンチよりも前記半導体層の外側に配置された複数のガードリングトレンチからなる第2単位とを含み、
前記外周部不純物領域は、前記第1単位に属する前記複数のガードリングトレンチの下方に配置され、前記半導体層の前記第1面を基準に第1の深さを有する第1部分と、前記第2単位に属する前記複数のガードリングトレンチの下方に配置され、前記半導体層の前記第1面を基準に前記第1の深さよりも浅い第2の深さを有する第2部分とを含み、
前記外周部不純物領域は、前記第1単位と前記第2単位との間に連続して形成され、各前記ガードリングトレンチの底部で互いに繋がるように、隣り合う前記複数のガードリングトレンチの間の領域および前記複数のガードリングトレンチの底部に配置され、かつ前記半導体層の前記第1面に露出したベース部分をさらに含み、
前記第1部分および前記第2部分は、前記複数のガードリングトレンチの直下で前記ベース部分に一体的に接続され、それぞれ、前記ベース部分から前記半導体層の前記第2面に向かって選択的に突出している、半導体装置。
【請求項4】
前記外周部不純物領域は、前記第1単位と前記第2単位との間に連続して形成され、隣り合う前記複数のガードリングトレンチの間の領域および前記複数のガードリングトレンチの底部に配置され、かつ前記半導体層の前記第1面に露出したベース部分をさらに含み、
前記第1部分および前記第2部分は、前記複数のガードリングトレンチの下方で前記ベース部分に一体的に接続され、それぞれ、前記ベース部分から前記半導体層の前記第2面に向かって選択的に突出している、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数のガードリングトレンチは、前記第2単位に属する前記複数のガードリングトレンチよりも前記半導体層の外側に配置された複数のガードリングトレンチからなる第3単位をさらに含み、
前記外周部不純物領域は、前記第3単位において隣り合う前記複数のガードリングトレンチの間の領域に配置され、かつ前記半導体層の前記第1面を基準に前記ガードリングトレンチの深さ方向途中部までの深さを有する第3部分をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記複数のガードリングトレンチは、前記第3単位に属する前記複数のガードリングトレンチよりも前記半導体層の外側に配置された複数のガードリングトレンチからなる第4単位をさらに含み、
前記第4単位において隣り合う前記複数のガードリングトレンチの間の領域は、前記ガードリングトレンチの深さ方向全体にわたって、前記半導体層の第1導電型部分が配置されている、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1単位に属する前記複数のガードリングトレンチのピッチが、前記第2単位に属する前記複数のガードリングトレンチのピッチよりも大きい、請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1単位に属する前記複数のガードリングトレンチのピッチが、前記第2単位に属する前記複数のガードリングトレンチのピッチよりも小さい、請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記複数のガードリングトレンチの深さは、0.8μm~2.0μmであり、
前記第1の深さは、1.4μm~4.0μmであり、
前記第2の深さは、1.2μm~3.5μmである、請求項1または3に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記複数のガードリングトレンチの内面に形成された第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜を介して前記ガードリングトレンチに埋め込まれた導電材とを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1絶縁膜は酸化シリコン膜を含み、前記導電材はポリシリコンを含む、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記外周部不純物領域は、前記複数のガードリングトレンチの最も外側のガードリングトレンチよりも前記半導体層の外側に形成され、前記半導体層の前記第1面を基準に前記ガードリングトレンチよりも深い深さを有する第4部分をさらに含む、請求項10または11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記外周部不純物領域の前記第4部分は、前記複数のガードリングトレンチの最も外側のガードリングトレンチに埋め込まれた前記導電材に電気的に接続されている、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記半導体素子構造は、
前記半導体層の前記第1面に形成された複数のゲートトレンチと、
前記複数のゲートトレンチの内面に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜を介して前記ゲートトレンチに埋め込まれたゲート電極と、
隣り合う前記複数のゲートトレンチの間の領域に形成された第2導電型のチャネル領域と、
隣り合う前記複数のゲートトレンチの間の領域で、かつ前記半導体層の前記第1面に形成され、前記チャネル領域に接する第1導電型のソース領域とを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項15】
隣り合う前記複数のゲートトレンチの間の領域の下方に形成された第2導電型の素子部不純物領域をさらに含み、
前記素子部不純物領域は、前記半導体層の前記第1面を基準に前記第1の深さと同じ深さを有する第1部分を含む、請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記素子部不純物領域は、前記チャネル領域に一体的に接続され、前記チャネル領域から前記半導体層の前記第2面に向かって選択的に突出している第2部分を含む、請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記素子部不純物領域の前記第1部分は、前記半導体層の前記第1面から前記第2面へ向かう方向に、前記素子部不純物領域の前記第2部分から離れている、請求項16に記載の半導体装置。
【請求項18】
隣り合う前記複数のゲートトレンチの間の領域で、かつ前記半導体層の前記第1面から前記ソース領域を貫通して前記チャネル領域に達するフィールドトレンチと、
前記フィールドトレンチに埋め込まれ、前記ソース領域および前記チャネル領域に電気的に接続された埋め込みコンタクトとをさらに含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記フィールドトレンチの内面であり、かつ前記チャネル領域で定義された内面に選択的に形成された第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜を介して前記フィールドトレンチに埋め込まれた導電材からなるフィールドプレートとを含む、請求項18に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記フィールドプレートは、前記埋め込みコンタクトに電気的に接続されている、請求項19に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガードリングを有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の終端耐圧構造として、半導体基板の外周領域に複数のガードリングを設けることが知られている。
たとえば、特許文献1の半導体装置は、機能構造が設けられている素子部と終端耐圧構造が設けられている周辺部に区画されている。終端耐圧構造は、半導体基板の表面上に設けられており、素子部から離れる方向に沿って間隔を置いて配置されている複数の埋込み絶縁膜と、半導体基板に設けられている第1導電型のドリフト領域と、各々が隣り合う埋込み絶縁膜の間に配置されている、半導体基板の表層部に設けられており、第2導電型の複数のガードリング領域と、半導体基板の表層部に設けられており、素子部から離れる方向に沿って表面領域から延びている第2導電型のリサーフ領域とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-148000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、外周部における電界集中を緩和することができる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、第1面および前記第1面の反対側の第2面を有し、かつ前記第1面に定義された素子部および前記素子部の周囲の外周部を有する第1導電型の半導体層と、前記素子部に形成された半導体素子構造と、前記外周部に形成され、それぞれが前記半導体層の前記第1面に形成された複数のガードリングトレンチと、前記外周部に形成された第2導電型の外周部不純物領域とを含み、前記複数のガードリングトレンチは、複数のガードリングトレンチからなる第1単位と、前記第1単位に属する前記複数のガードリングトレンチよりも前記半導体層の外側に配置された複数のガードリングトレンチからなる第2単位とを含み、前記外周部不純物領域は、前記第1単位に属する前記複数のガードリングトレンチの下方に配置され、前記半導体層の前記第1面を基準に第1の深さを有する第1部分と、前記第2単位に属する前記複数のガードリングトレンチの下方に配置され、前記半導体層の前記第1面を基準に前記第1の深さよりも浅い第2の深さを有する第2部分とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の平面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の平面図(一部の要素を透過)である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の平面図(一部の要素を透過)である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の要部拡大図である。
図5図5は、図4の二点鎖線Vで囲まれた部分の拡大図である。
図6図6は、図5のVI-VI断面を示す図である。
図7図7は、図5のVII-VII断面を示す図である。
図8図8は、図4の二点鎖線VIIIで囲まれた部分の拡大図である。
図9図9は、図8のIX-IX断面を示す図である。
図10図10は、図8のX-X断面を示す図である。
図11図11は、前記半導体装置の製造工程の一部を示す図である。
図12図12は、図11の次の工程を示す図である。
図13図13は、図12の次の工程を示す図である。
図14図14は、図13の次の工程を示す図である。
図15図15は、図14の次の工程を示す図である。
図16図16は、図15の次の工程を示す図である。
図17図17は、図16の次の工程を示す図である。
図18図18は、図17の次の工程を示す図である。
図19図19は、図18の次の工程を示す図である。
図20図20は、図19の次の工程を示す図である。
図21図21は、図20の次の工程を示す図である。
図22図22は、図21の次の工程を示す図である。
図23図23は、図22の次の工程を示す図である。
図24図24は、図23の次の工程を示す図である。
図25図25は、図24の次の工程を示す図である。
図26図26は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の断面図である。
図27図27は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1図3は、本発明の一実施形態に係る半導体装置1の平面図である。図2および図3は、理解の便宜上、図1の半導体装置1の一部の要素を透過して示している。より具体的には、図2は、図1からパッシベーション膜24を除いた半導体装置1の平面図である。図3は、図2から表面電極膜6を除いた半導体装置1の平面図である。なお、図3では、表面電極膜6のうちソース電極膜7の形状を破線で示している。
【0008】
半導体装置1は、たとえば直方体形状を有している。この実施形態では、半導体装置1は、平面視長方形状を有している。半導体装置1は、たとえば紙面右回りに順に、第1端面2、第2端面3、第3端面4および第4端面5を有している。
半導体装置1の表面には、図1および図2に示すように、表面電極膜6が選択的に形成されている。表面電極膜6は、この実施形態では、AlCu(アルミニウムとCuの合金)から構成されているが、他の導電材料(たとえば、アルミニウム等)から構成されていてもよい。
【0009】
表面電極膜6は、ソース電極膜7と、ゲート電極膜8と、外周電極膜9とを含む。ソース電極膜7は、半導体装置1の表面の大部分を覆っている。ゲート電極膜8は、ソース電極膜7から離れており、かつソース電極膜7を取り囲んでいる。外周電極膜9は、ゲート電極膜8から離れており、かつゲート電極膜8を取り囲んでいる。
より具体的には、ソース電極膜7は、半導体装置1の少なくとも1つの端面に沿う方向(この実施形態では、半導体装置1の長手方向であり、第1端面2および第3端面4に沿う方向)において隣り合う第1部分10および第2部分11を含む。ソース電極膜7の第1部分10は、半導体装置1の1つの端面(この実施形態では、第4端面5)に面する部分に凹部12を有する平面視略四角形状に形成されている。
【0010】
凹部12は、平面視略四角形状に形成されており、半導体装置1の1つの端面(この実施形態では、第4端面5)に面する開口端を有している。一方、ソース電極膜7の第2部分11は、平面視四角形状に形成されている。
ソース電極膜7の第1部分10および第2部分11は、接続部13を介して互いに接続されている。ソース電極膜7の接続部13は、たとえば、第1部分10および第2部分11の互いに対向する縁部14の一部を接続している。これにより、第1部分10および第2部分11の縁部14の残りの部分は、間隔を空けて互いに対向しており、接続部13に隣接するスリット15を形成している。この実施形態では、ソース電極膜7の接続部13は、第1部分10および第2部分11の縁部14の中間部に形成され、接続部13の両側に一対のスリット15が形成されている。
【0011】
ゲート電極膜8は、パッド部分16およびゲートフィンガー17を含む。ゲート電極膜8のパッド部分16は、平面視略四角形状に形成され、かつソース電極膜7の第1部分10の凹部12に配置されている。ゲートフィンガー17は、パッド部分16に一体的に接続されている。ゲートフィンガー17は、パッド部分16からソース電極膜7の周囲に沿って延びる環状である。また、ゲートフィンガー17は、ソース電極膜7の周囲からスリット15へ延びる枝部18を有している。これにより、ソース電極膜7の第1部分10および第2部分11は、それぞれ、接続部13を除くほぼ全周がゲートフィンガー17によって取り囲まれている。
【0012】
外周電極膜9は、ゲート電極膜8の周囲を取り囲む環状である。この実施形態では、外周電極膜9は、一定の幅を有する閉環状である。外周電極膜9の幅は、ゲート電極膜8の幅よりも狭くてもよい。また、外周電極膜9は、半導体装置1の第1端面2、第2端面3、第3端面4および第4端面5から半導体装置1の内側に離れている。
半導体装置1の表面には、表面電極膜6を覆うパッシベーション膜24が形成されている。図1に示すように、パッシベーション膜24には、ソース電極膜7の第1部分10および第2部分11の一部を露出させるパッド開口19が形成され、かつゲート電極膜8のパッド部分16の一部を露出させるパッド開口20が形成されている。
【0013】
パッド開口19から露出するソース電極膜7の部分はソースパッド21と称され、パッド開口20から露出するゲート電極膜8の部分はゲートパッド22と称される。この実施形態では、パッド開口19,20は、それぞれ、平面視四角形状に形成されている。一方、ソースパッド21を除くソース電極膜7の残りの部分、ゲートパッド22を除くゲート電極膜8の残りの部分、および外周電極膜9の全体は、パッシベーション膜24に覆われている。
【0014】
図3に示すように、半導体装置1には、平面視において、ソース電極膜7を取り囲む複数のガードリングトレンチ23が形成されている。ガードリングトレンチ23は、半導体装置1の第1端面2、第2端面3、第3端面4および第4端面5に沿って閉環状に形成されている。なお、複数のガードリングトレンチ23の具体的な構成について以下で詳しく説明する。
【0015】
図4は、本発明の一実施形態に係る半導体装置1の要部拡大図である。図5は、図4の二点鎖線Vで囲まれた部分の拡大図である。図6は、図5のVI-VI断面を示す図である。図7は、図5のVII-VII断面を示す図である。図8は、図4の二点鎖線VIIIで囲まれた部分の拡大図である。図9は、図8のIX-IX断面を示す図である。図10は、図8のX-X断面を示す図である。
【0016】
次に、半導体装置1の素子部25および外周部26の具体的な構造をそれぞれ説明する。図4図7を参照して素子部25の構造を説明し、次に、図8図10を参照して外周部26の構造を説明する。
まず、半導体装置1(後述する半導体基板29)の素子部25および外周部26は、次のように定義されてもよい。
【0017】
より具体的には、前述したように、ゲート電極膜8は、ソース電極膜7から外側に離れて形成されている。したがって、図4に示すように、ソース電極膜7とゲート電極膜8との間には、いわゆる電極膜が除去された環状の領域27があり、この領域27を境界にして、領域27の内側を素子部25とし、領域27の外側を外周部26と定義してもよい。素子部25は、主に、半導体装置1の半導体素子構造(たとえば、後述するMISFET構造)が配置される領域であるが、その全体が半導体素子構造である必要はない。つまり、素子部25の一部に半導体素子構造以外の構造が形成されていてもよいし、外周部26の一部に半導体素子構造の一部が形成されていてもよい。
【0018】
また、外周部26において、半導体装置1の角部には、アライメントマーク28が形成されている。
<素子部25の構造>
図4図7に示すように、半導体装置1は、半導体基板29と、エピタキシャル層30とを含む。さらに、半導体装置1は、素子部25において、ゲートトレンチ31と、ゲート絶縁膜32と、ゲート電極33と、チャネル領域34と、ソース領域35と、チャネルコンタクト領域36と、フィールドトレンチ37と、本発明の第2絶縁膜の一例としてのフィールドトレンチ絶縁膜38と、フィールドプレート39と、層間絶縁膜40と、本発明の埋め込みコンタクトの一例としてのソースコンタクト41と、ゲートコンタクト42と、素子部不純物領域43と、ドレイン電極44とを含む。
【0019】
半導体基板29は、主面45と、半導体基板29の厚さ方向において主面45の反対側を向く裏面46とを有する。主面45は、エピタキシャル層30に接する面である。裏面46は、その全面が、半導体装置1の外部に露出している。
半導体基板29は、この実施形態ではシリコン(Si)基板から構成されているが、他の素材(たとえば、炭化シリコン(SiC)、窒化ガリウム(GaN)等)から構成された基板であってもよい。半導体基板29は、この実施形態ではn型である。半導体基板29は、たとえば、1×1019cm-3~1×1020cm-3の不純物濃度を有している。また、半導体基板29の厚さは、たとえば、50μm~300μmである。
【0020】
エピタキシャル層30は、半導体基板29に接しており、かつ半導体基板29に積層されている。エピタキシャル層30は、素子主面47と、エピタキシャル層30の厚さ方向において素子主面47の反対側を向く接合面48とを有する。素子主面47は、本発明の半導体素子構造の一例としてのMISFET構造が形成された面である。接合面48は、半導体基板29の主面45に接する面である。
【0021】
エピタキシャル層30は、この実施形態ではシリコン(Si)から構成されているが、他の素材(たとえば、炭化シリコン(SiC)、窒化ガリウム(GaN)等)から構成されていてもよい。
エピタキシャル層30は、半導体基板29と同じ導電型を有しており、この実施形態ではn型である。エピタキシャル層30は、半導体基板29よりも低い不純物濃度を有しており、たとえば、1×1015cm-3~1×1017cm-3の不純物濃度を有している。したがって、半導体基板29およびエピタキシャル層30の導電型を区別するために、たとえば、半導体基板29の導電型がn型と定義され、エピタキシャル層30の導電型がn型と定義されてもよい。また、エピタキシャル層30の厚さは、たとえば、4.0μm~8.0μmである。
【0022】
なお、この実施形態では、半導体基板29とエピタキシャル層30とが別々の構成として説明されているが、半導体基板29とエピタキシャル層30とを併せて、単に、半導体層と称してもよい。
ゲートトレンチ31は、エピタキシャル層30の素子主面47に形成されている。図5に示すように、ゲートトレンチ31は、コンタクト部49と、ゲート部50とを一体的に含む。ゲート部50は、MISFET構造のゲートとして機能する部分である。コンタクト部49は、ゲート部50に供給される電流を外部から受け入れる部分である。
【0023】
コンタクト部49は、外周部26に配置されている。コンタクト部49は、ゲートフィンガー17の長手方向(延びる方向)に沿って長い直線状に形成されている。
ゲート部50は、コンタクト部49から、素子部25と外周部26との間の領域27を横切って、素子部25まで延びている。より具体的には、ゲート部50は、コンタクト部49の長手方向に直交する方向に、ストライプ状に複数本形成されている。複数本のゲート部50は、コンタクト部49において、互いに連通している。なお、ゲート部50の長手方向は、ゲート部50が延びる方向であり、コンタクト部49の長手方向に直交する方向である。
【0024】
複数本のゲート部50は、図4および図5では、ソース電極膜7の下方の一部のみを示しているが、図示しない範囲で、ソース電極膜7の下方領域全体に配置されていてもよい。また、図示しないが、ゲート電極膜8の枝部18の下方にコンタクト部49が形成され、当該コンタクト部49から、ソース電極膜7の第1部分10および第2部分11の両方向に、複数のゲート部50が延びていてもよい。
【0025】
また、図5に示すように、平面視におけるコンタクト部49の幅(コンタクト部49の長手方向に直交する方向におけるトレンチ幅)は、平面視におけるゲート部50の幅(ゲート部50の長手方向に直交する方向におけるトレンチ幅)よりも大きくてもよい。たとえば、コンタクト部49の幅は、0.5μm~2.0μmであり、ゲート部50の幅は、0.2μm~1.0μmであってもよい。
【0026】
また、図6に示すように、互いに隣り合うゲート部50の距離(ゲートトレンチ31のピッチP)は、たとえば、1.0μm~3.0μmであってもよい。
また、コンタクト部49とゲート部50は、互いに同じ深さDを有しており、たとえば、エピタキシャル層30の素子主面47を基準に、0.5μm~2.0μmの深さを有していてもよい。また、図6に示すように、ゲート部50は、断面視において、エピタキシャル層30の素子主面47から深くなるにしたがって幅が狭まるテーパ形状であってもよい。コンタクト部49も同様に、図7に示すように、断面視において、エピタキシャル層30の素子主面47から深くなるにしたがって幅が狭まるテーパ形状であってもよい。なお、ゲート部50およびコンタクト部49がテーパ形状である場合、ゲート部50およびコンタクト部49の幅は、エピタキシャル層30の素子主面47における幅と定義してもよい。
【0027】
ゲート絶縁膜32は、ゲートトレンチ31の内面に形成されている。より具体的には、コンタクト部49およびゲート部50の底面全体および各底面からエピタキシャル層30の素子主面47に向かって延びる側面の一部(コンタクト部49およびゲート部50の深さ方向途中まで)に形成されている。これにより、コンタクト部49およびゲート部50の側面は、エピタキシャル層30の素子主面47近傍において選択的に露出した面となっている。
【0028】
ゲート絶縁膜32は、この実施形態では、酸化シリコン(SiO)からなっているが、たとえば、窒化シリコン(SiN)等の他の絶縁材料からなっていてもよい。また、ゲート絶縁膜32の厚さは、たとえば、30nm~70nmである。
ゲート電極33は、ゲート絶縁膜32を介してゲートトレンチ31に埋め込まれている。つまり、ゲートトレンチ31において、ゲート絶縁膜32で囲まれた空間がゲート電極33で埋め尽くされている。この実施形態では、ゲート電極33は、エピタキシャル層30の素子主面47を基準に、ゲートトレンチ31の深さ方向に下がった位置に上面51を有している。
【0029】
ゲート電極33の上面51は、ゲートトレンチ31の深さ方向途中に位置するゲート絶縁膜32の上端52と同じ深さ位置にある端部を有していてもよい。一方、図6に示すように、ゲート部50の幅方向において、ゲート電極33の上面51は、中央部が凹んだ円弧状の凹面であってもよい。また、ゲート電極33は、この実施形態では、不純物が添加されたポリシリコンからなっている。
【0030】
チャネル領域34は、図6に示すように、隣り合う複数のゲートトレンチ31(ゲート部50)の間の領域に形成されている。より具体的には、エピタキシャル層30の素子主面47からゲートトレンチ31の深さ方向途中部まで形成されている。これにより、チャネル領域34は、ゲート絶縁膜32を挟んでゲート電極33に対向している。また、チャネル領域34は、図5および図7に示すように、外周部26において、ゲートトレンチ31のコンタクト部49の周囲にも形成されている。
【0031】
チャネル領域34の深さは、たとえば、エピタキシャル層30の素子主面47を基準に、0.3μm~0.7μmであってもよい。チャネル領域34は、この実施形態ではp型である。チャネル領域34は、たとえば、1×1016cm-3~1×1018cm-3の不純物濃度を有している。
ソース領域35は、図5および図6に示すように、隣り合う複数のゲートトレンチ31(ゲート部50)の間の領域で、かつエピタキシャル層30の素子主面47に形成されている。より具体的には、チャネル領域34の表面部分に形成されている。これにより、ソース領域35は、エピタキシャル層30の素子主面47に露出している。一方、チャネル領域34は、エピタキシャル層30の素子主面47側の端部がソース領域35で覆われている。また、ソース領域35は、図5に示すように、素子部25の一部において、隣り合う複数のゲートトレンチ31の間の領域に形成されていなくてもよい。この部分においては、チャネル領域34がエピタキシャル層30の素子主面47に露出していてもよい。
【0032】
ソース領域35は、ゲートトレンチ31(ゲート部50)の側面において、ゲート電極33およびゲート電極33の上方でゲートトレンチ31に埋め込まれた非電極部(この実施形態では、層間絶縁膜40)に跨っている。これにより、ソース領域35の一部は、ゲート絶縁膜32を挟んでゲート電極33に対向し、かつ残りの部分が、当該非電極部に対向している。また、ソース領域35は、この実施形態では、ソース領域35を挟む一対のゲートトレンチ31の側面から、一対のゲートトレンチ31の間の領域の中央部に向かうにしたがって浅くなっている。
【0033】
また、ソース領域35の深さ(たとえば、最深部の深さ)は、たとえば、エピタキシャル層30の素子主面47を基準に、0.1μm~0.3μmであってもよい。ソース領域35は、この実施形態ではn型である。ソース領域35は、たとえば、1×1019cm-3~1×1021cm-3の不純物濃度を有している。
以上より、エピタキシャル層30の素子主面47には、p型のチャネル領域34がn型のソース領域35とn型のエピタキシャル層30との間に挟まれ、ゲート絶縁膜32を介してゲート電極33がチャネル領域34に対向するMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)構造が形成されている。
【0034】
フィールドトレンチ37は、隣り合う複数のゲートトレンチ31(ゲート部50)の間の領域で、かつエピタキシャル層30の素子主面47からソース領域35を貫通してチャネル領域34に達している。フィールドトレンチ37は、図5に示すように、素子部25から、素子部25と外周部26との間の領域27を横切って、外周部26まで延びている。より具体的には、フィールドトレンチ37は、ゲートトレンチ31のゲート部50と平行に、ストライプ状に複数本形成されている。この実施形態では、ゲートトレンチ31のゲート部50とフィールドトレンチ37とが交互に形成されている。
【0035】
また、図6に示すように、互いに隣り合うフィールドトレンチ37の距離(フィールドトレンチ37のピッチP)は、たとえば、1.5μm~3.0μmであってもよい。
各フィールドトレンチ37は、図6に示すように、素子部25において、第1の幅を有する第1部分53と、第1の幅よりも狭い第2の幅を有する第2部分54とを含む。より具体的には、エピタキシャル層30の素子主面47から接合面48に第1部分53が向かって形成されている。第2部分54は、第1部分53の底部から接合面48に向かって延びている。フィールドトレンチ37の第1部分53と第2部分54との間は、フィールドトレンチ37の深さ方向下向きに傾斜した段部55を介して繋がっている。これにより、素子部25の一部の領域において、フィールドトレンチ37の側面には、段部55を境界にして深さ方向上側と下側との間に段差が設けられていてもよい。
【0036】
なお、素子部25の他の領域、領域27および外周部26においては、フィールドトレンチ37の側面に段差が設けられていなくてもよい。つまり、図7に示すように、ソースコンタクト41が埋め込まれた領域においてフィールドトレンチ37の側面に段差が形成されており、層間絶縁膜40が埋め込まれた領域においては、フィールドトレンチ37の側面に段差が形成されていなくてもよい。
【0037】
たとえば、平面視におけるフィールドトレンチ37の第1部分53の幅は、0.1μm~0.3μmであり、第2部分54の幅は、0.3μm~0.6μmであってもよい。
また、フィールドトレンチ37は、たとえばゲートトレンチ31と同じ深さDを有しており、たとえば、エピタキシャル層30の素子主面47を基準に、0.8μm~2.0μmの深さを有していてもよい。また、図6に示すように、フィールドトレンチ37の第1部分53および第2部分54のそれぞれは、断面視において、エピタキシャル層30の素子主面47から深くなるにしたがって幅が狭まるテーパ形状であってもよい。なお、フィールドトレンチ37の第1部分53および第2部分54がテーパ形状である場合、第1部分53および第2部分54の幅は、それぞれの上端部における幅と定義してもよい。
【0038】
チャネルコンタクト領域36は、フィールドトレンチ37の側面に露出するように形成されている。より具体的には、フィールドトレンチ37の側面において、第1部分53と第2部分54との間の境界(この実施形態では、段部55)に跨っている。チャネルコンタクト領域36の上部は、ソース領域35に接している。チャネルコンタクト領域36は、この実施形態ではp型である。チャネルコンタクト領域36は、たとえば、1×1019cm-3~1×1021cm-3の不純物濃度を有している。
【0039】
フィールドトレンチ絶縁膜38は、フィールドトレンチ37の内面に形成されている。より具体的には、フィールドトレンチ37の第2部分54の底面全体および当該底面からエピタキシャル層30の素子主面47に向かって延びる第2部分54の側面の一部(第2部分54の深さ方向途中まで)に形成されている。これにより、フィールドトレンチ37の第1部分53および段部55の全体は露出した面であり、かつ第2部分54の側面は、段部55近傍において選択的に露出した面となっている。
【0040】
フィールドトレンチ絶縁膜38は、この実施形態では、酸化シリコン(SiO)からなっているが、たとえば、窒化シリコン(SiN)等の他の絶縁材料からなっていてもよい。また、フィールドトレンチ絶縁膜38の厚さは、たとえば、30nm~70nmである。
フィールドプレート39は、フィールドトレンチ絶縁膜38を介してフィールドトレンチ37に埋め込まれている。つまり、フィールドトレンチ37において、フィールドトレンチ絶縁膜38で囲まれた空間がフィールドプレート39で埋め尽くされている。この実施形態では、フィールドプレート39は、段部55を基準に、フィールドトレンチ37の第2部分54の深さ方向に下がった位置に第1上面56を有している。この実施形態では、フィールドプレート39の第1上面56は、チャネルコンタクト領域36の下端よりも上方に位置している。これにより、チャネルコンタクト領域36の一部は、フィールドトレンチ絶縁膜38を挟んでフィールドプレート39に対向している。
【0041】
フィールドプレート39の第1上面56は、フィールドトレンチ37の第2部分54の深さ方向途中に位置するフィールドトレンチ絶縁膜38の上端57と同じ深さ位置にある端部を有していてもよい。一方、フィールドプレート39は、フィールドトレンチ37が第1部分53および第2部分54の二段に形成されていない領域では、図7に示すように、第1上面56よりも上方に位置する第2上面58を有していてもよい。また、フィールドプレート39は、この実施形態では、不純物が添加されたポリシリコンからなっている。
【0042】
層間絶縁膜40は、エピタキシャル層30の素子主面47の全域に形成されている。層間絶縁膜40は、この実施形態では、酸化シリコン(SiO)から構成されているが、他の絶縁材料(たとえば、窒化シリコン(SiN)等)から構成されていてもよい。また、層間絶縁膜40の厚さは、たとえば、0.1μm~1.5μmである。
層間絶縁膜40には、ゲートコンタクトホール59およびソースコンタクトホール60が形成されている。
【0043】
ゲートコンタクトホール59は、図5および図7に示すように、層間絶縁膜40の表面からゲートトレンチ31のコンタクト部49に向かって形成されている。この実施形態では、ゲートコンタクトホール59は、ゲートトレンチ31のコンタクト部49の長手方向に沿って長い直線状に形成されている。ゲートコンタクトホール59は、層間絶縁膜40を厚さ方向に貫通し、かつコンタクト部49内のゲート電極33の深さ方向途中部にまで達している。また、ゲートコンタクトホール59は、ゲートトレンチ31のコンタクト部49よりも狭い幅を有している。
【0044】
ゲートコンタクト42は、ゲートコンタクトホール59に配置され、かつゲート電極33に接続されている。また、ゲートコンタクト42は、この実施形態では、タングステン(W)から構成されているが、他の導電材料(たとえば、銅(Cu)等)から構成されていてもよい。
ソースコンタクトホール60は、図5図7に示すように、層間絶縁膜40の表面からフィールドトレンチ37に向かって形成されている。この実施形態では、ソースコンタクトホール60は、フィールドトレンチ37が第1部分53および第2部分54の二段に形成された領域において、フィールドトレンチ37の長手方向に沿って長い直線状に形成されている。ソースコンタクトホール60は、層間絶縁膜40を厚さ方向に貫通し、かつフィールドトレンチ37の第1部分53に連通している。また、ソースコンタクトホール60は、フィールドトレンチ37の第1部分53よりも広い幅を有している。
【0045】
ソースコンタクト41は、ソースコンタクトホール60に配置され、かつフィールドトレンチ37のフィールドプレート39の上方部分に配置されている。ソースコンタクト41は、フィールドトレンチ37内で、ソース領域35、チャネルコンタクト領域36およびフィールドプレート39に接続されている。この実施形態では、フィールドプレート39が、互いに異なる高さ位置に第1上面56および第2上面58を有している。そのため、図7に示すように、フィールドトレンチ37の長手方向に沿う断面視においては、ソースコンタクト41が、フィールドプレート39の一部に選択的に埋め込まれている。
【0046】
また、ソースコンタクト41は、この実施形態では、タングステン(W)から構成されているが、他の導電材料(たとえば、銅(Cu)等)から構成されていてもよい。
ソース電極膜7およびゲート電極膜8は、層間絶縁膜40上に形成されている。ソース電極膜7は、ソースコンタクト41に接続されている。これにより、ソース電極膜7は、ソースコンタクト41を介して、ソース領域35、チャネルコンタクト領域36およびフィールドプレート39に電気的に接続されている。一方、ゲート電極膜8(ゲートフィンガー17)は、ゲートコンタクト42に接続されている。これにより、ゲート電極膜8は、ゲートコンタクト42を介して、ゲート電極33に電気的に接続されている。
【0047】
素子部不純物領域43は、図6および図7に示すように、素子部25において、隣り合う複数のゲートトレンチ31の間の領域の下方に形成されている。この実施形態では、フィールドトレンチ37の周囲に形成されている。素子部不純物領域43は、この実施形態ではp型である。素子部不純物領域43は、たとえば、1×1015cm-3~1×1018cm-3の不純物濃度を有している。
【0048】
素子部不純物領域43は、第1部分61と、第2部分62とを含む。素子部不純物領域43の第1部分61は、フィールドトレンチ37の下方に離れて形成されており、かつ図7に示すように、フィールドトレンチ37の長手方向に沿って延びている。たとえば、素子部不純物領域43の第1部分61は、エピタキシャル層30の素子主面47を基準に、1.4μm~4.0μmの深さDを有している。
【0049】
素子部不純物領域43の第2部分62は、チャネル領域34に一体的に接続され、チャネル領域34からエピタキシャル層30の接合面48に向かって選択的に突出している。また、素子部不純物領域43の第2部分62は、図7に示すように、フィールドトレンチ37の長手方向に沿って延びている。たとえば、素子部不純物領域43の第2部分62は、エピタキシャル層30の素子主面47を基準に、1.0μm~3.0μmの深さDを有している。
【0050】
前述のように、チャネル領域34の一部が、外周部26において、ゲートトレンチ31のコンタクト部49の周囲に形成されている。したがって、素子部不純物領域43の第2部分62は、外周部26のチャネル領域34からも突出しており、かつゲートトレンチ31のコンタクト部49の底部に形成されていてもよい。
また、素子部不純物領域43の第1部分61と第2部分62とは互いに離れている。これにより、素子部不純物領域43の第1部分61と第2部分62との間には、エピタキシャル層30のn型部分63が介在している。
【0051】
素子部不純物領域43は、さらに、ゲートトレンチ31のコンタクト部49の下方に形成された第3部分64を含んでいてもよい。素子部不純物領域43の第3部分64は、ゲートトレンチ31のコンタクト部49の底部の第2部分62に一体的に接続され、当該第2部分62からエピタキシャル層30の接合面48に向かって選択的に突出している。また、素子部不純物領域43の第3部分64は、素子部不純物領域43の第1部分61から離れている。また、素子部不純物領域43の第3部分64は、素子部不純物領域43の第1部分61と同じ深さを有している。
【0052】
ドレイン電極44は、半導体基板29の裏面46に形成されている。ドレイン電極44は、半導体基板29の裏面46全体に接合されている。ドレイン電極44は、この実施形態では、AlCu(アルミニウムとCuの合金)から構成されているが、他の導電材料(たとえば、アルミニウム等)から構成されていてもよい。
<外周部26の構造>
図8図10に示すように、半導体装置1は、外周部26において、複数のガードリングトレンチ23と、本発明の第1絶縁膜の一例としての絶縁膜65と、本発明の導電材の一例としての埋め込み導電材66と、外周部不純物領域67とを含む。
【0053】
複数のガードリングトレンチ23は、エピタキシャル層30の素子主面47に形成されている。複数のガードリングトレンチ23は、この実施形態では、たとえば外周部26の内側から外側に向かって、第1単位68、第2単位69、第3単位70および第4単位71を含む。第1単位68、第2単位69、第3単位70および第4単位71は、それぞれ、複数のガードリングトレンチ23からなる集合体である。この実施形態では、第1単位68は、4本のガードリングトレンチ23を含み、第2単位69は、7本のガードリングトレンチ23を含み、第3単位70は、4本のガードリングトレンチ23を含み、第4単位71は、3本のガードリングトレンチ23を含む。
【0054】
互いに隣り合うガードリングトレンチ23の距離(ガードリングトレンチ23のピッチ)は、第1単位68、第2単位69、第3単位70および第4単位71ごとに、互いに異なっていてもよい。この実施形態では、第1単位68のガードリングトレンチ23のピッチPが、第2単位69のガードリングトレンチ23のピッチPよりも大きい。たとえば、第1単位68のガードリングトレンチ23のピッチPが、1.0μm~3.0μmであり、第2単位69のガードリングトレンチ23のピッチPが、0.5μm~2.5μmであってもよい。
【0055】
第3単位70および第4単位71のガードリングトレンチ23のピッチP,Pも、第1単位68のガードリングトレンチ23のピッチPよりも狭くてもよい。この実施形態は、第3単位70および第4単位71のガードリングトレンチ23のピッチP,Pは、第2単位69のガードリングトレンチ23のピッチPと同じである。
一方、複数のガードリングトレンチ23の深さDは、第1単位68、第2単位69、第3単位70および第4単位71全てにおいて同じであってもよい。また、複数のガードリングトレンチ23の深さDは、ゲートトレンチ31の深さDと同じであってもよい。つまり、複数のガードリングトレンチ23は、エピタキシャル層30の素子主面47を基準に、0.8μm~2.0μmの深さを有していてもよい。
【0056】
絶縁膜65は、各ガードリングトレンチ23の内面に形成されている。より具体的には、ガードリングトレンチ23の底面全体および各底面からエピタキシャル層30の素子主面47に向かって延びる側面の一部(ガードリングトレンチ23の深さ方向途中まで)に形成されている。これにより、ガードリングトレンチ23の側面は、エピタキシャル層30の素子主面47近傍において選択的に露出した面となっている。
【0057】
絶縁膜65は、この実施形態では、酸化シリコン(SiO)からなっているが、たとえば、窒化シリコン(SiN)等の他の絶縁材料からなっていてもよい。また、絶縁膜65の厚さは、たとえば、30nm~70nmである。
埋め込み導電材66は、絶縁膜65を介して各ガードリングトレンチ23に埋め込まれている。つまり、ガードリングトレンチ23において、絶縁膜65で囲まれた空間が埋め込み導電材66で埋め尽くされている。この実施形態では、埋め込み導電材66は、エピタキシャル層30の素子主面47を基準に、ガードリングトレンチ23の深さ方向に下がった位置に上面72を有している。
【0058】
埋め込み導電材66の上面72は、ガードリングトレンチ23の深さ方向途中に位置する絶縁膜65の上端73と同じ深さ位置にある端部を有していてもよい。また、埋め込み導電材66は、この実施形態では、不純物が添加されたポリシリコンからなっている。
外周部不純物領域67は、この実施形態ではp型である。素子部不純物領域43は、たとえば、1×1015cm-3~1×1018cm-3の不純物濃度を有している。
【0059】
外周部不純物領域67は、この実施形態では、ベース部分74と、第1部分75と、第2部分76と、第3部分77と、第4部分78とを含む。
外周部不純物領域67のベース部分74は、素子部25から外周部26のゲートトレンチ31のコンタクト部49の周囲に進出したチャネル領域34から、さらに外側に延びた不純物領域である。より具体的には、外周部不純物領域67のベース部分74は、複数のガードリングトレンチ23の第1単位68と第2単位69との間に連続して形成され、隣り合う複数のガードリングトレンチ23の間の領域および複数のガードリングトレンチ23の底部に配置され、かつエピタキシャル層30の素子主面47に露出している。つまり、第1単位68および第2単位69の周囲の外周部不純物領域67のベース部分74は、各ガードリングトレンチ23の底部で互いに繋がっている。また、ベース部分74は、エピタキシャル層30の素子主面47を基準に、たとえば、0.8μm~2.5μmの深さDを有している。
【0060】
外周部不純物領域67の第1部分75は、図9に示すように、第1単位68に属する複数のガードリングトレンチ23の下方に配置されている。より具体的には、外周部不純物領域67の第1部分75は、複数のガードトレンチの下方でベース部分74に一体的に接続され、外周部不純物領域67のベース部分74からエピタキシャル層30の接合面48に向かって選択的に突出している。外周部不純物領域67の第1部分75は、ガードリングトレンチ23の長手方向に沿って延びる閉環状に形成されている。また、第1部分75は、エピタキシャル層30の素子主面47を基準に、たとえば、1.4μm~4.0μmの深さD(本発明の第1の深さの一例)を有している。
【0061】
外周部不純物領域67の第2部分76は、図9に示すように、第2単位69に属する複数のガードリングトレンチ23の下方に配置されている。より具体的には、外周部不純物領域67の第2部分76は、複数のガードトレンチの下方でベース部分74に一体的に接続され、外周部不純物領域67のベース部分74からエピタキシャル層30の接合面48に向かって選択的に突出している。外周部不純物領域67の第2部分76は、ガードリングトレンチ23の長手方向に沿って延びる閉環状に形成されている。また、第2部分76は、エピタキシャル層30の素子主面47を基準に、第1部分75の深さDよりも浅く、たとえば、1.2μm~3.5μmの深さD(本発明の第2の深さの一例)を有している。
【0062】
外周部不純物領域67の第3部分77は、図10に示すように、第3単位70において隣り合う複数のガードリングトレンチ23の間の領域に配置され、かつエピタキシャル層30の素子主面47を基準に、ガードリングトレンチ23の深さ方向途中部までの深さを有している。これにより、第3単位70のガードリングトレンチ23の側面には、上側でp型の外周部不純物領域67の第3部分77が露出し、下側でエピタキシャル層30のn型部分79が露出している。また、第3単位70の複数のガードリングトレンチ23の底部も、エピタキシャル層30のn型部分79で構成されている。また、外周部不純物領域67の第3部分77は、エピタキシャル層30の素子主面47を基準に、第1部分75および第2部分76の深さD,Dよりも浅く、たとえば、0.3μm~0.7μmの深さDを有している。
【0063】
一方、第4単位71において、互いに隣り合うガードリングトレンチ23の間の領域は、ガードリングトレンチ23の深さ方向全体にわたって、エピタキシャル層30のn型部分80で構成されている。つまり、第4単位71において、互いに隣り合うガードリングトレンチ23の間の領域には、外周部不純物領域67が形成されていなくてもよい。
このように、この実施形態では、外周部26の外側に向かって順に配置された第1単位68、第2単位69および第3単位70の外周部不純物領域67が、外側に向かって順に浅く形成されている。これにより、図9および図10に示すように、外周部不純物領域67が、断面視において、外周部26の外側に向かって階段状に形成されている。
【0064】
外周部不純物領域67の第4部分78は、複数のガードリングトレンチ23の最も外側のガードリングトレンチ23よりもエピタキシャル層30の外側に形成されている。外周部不純物領域67の第4部分78は、エピタキシャル層30の素子主面47に沿う方向において、外周部不純物領域67の第3部分77から離れ、かつ半導体装置1の端面から離れている。外周部不純物領域67の第4部分78は、図8に示すように、ガードリングトレンチ23の長手方向に沿って延びる閉環状に形成されている。
【0065】
外周部不純物領域67の第4部分78は、エピタキシャル層30の素子主面47を基準に、ガードリングトレンチ23よりも深い深さD10を有している。この実施形態では、外周部不純物領域67の第4部分78の深さD10は、ベース部分74よりも深く、第2部分76よりも浅くなっている。たとえば、第4部分78は、エピタキシャル層30の素子主面47を基準に、たとえば、1.0μm~3.0μmの深さを有していてもよい。
【0066】
エピタキシャル層30の素子主面47には、さらに、導電リング81が形成されている。導電リング81は、ガードリングトレンチ23と同様に、半導体装置1の第1端面2、第2端面3、第3端面4および第4端面5に沿って延びる閉環状に形成されている。導電リング81は、図8および図10に示すように、複数のガードリングトレンチ23の最も外側のガードリングトレンチ23と、これよりも内側の少なくとも1つのガードリングトレンチ23を覆うように配置されている。この実施形態では、導電リング81は、第4単位71の複数のガードリングトレンチ23を覆うように配置されている。
【0067】
導電リング81は、この実施形態では、ガードリングトレンチ23に埋め込まれた埋め込み導電材66と一体的に形成されている。つまり、導電リング81は、不純物が添加されたポリシリコンからなっていてもよい。また、導電リング81は、複数のガードリングトレンチ23の最も外側のガードリングトレンチ23よりも外側に引き出された引き出し部82を有している。当該引き出し部82は、外周部不純物領域67の第4部分78とエピタキシャル層30のn型部分80との境界に跨っている。これにより、引き出し部82は、絶縁膜65を介して、外周部不純物領域67の第4部分78とエピタキシャル層30のn型部分80に対向している。
【0068】
層間絶縁膜40は、外周部26において、エピタキシャル層30の素子主面47上に形成され、かつ導電リング81を覆っている。層間絶縁膜40には、第1コンタクトホール83および第2コンタクトホール84が形成されている。
第1コンタクトホール83は、図8および図10に示すように、層間絶縁膜40の表面から導電リング81に向かって形成されている。この実施形態では、第1コンタクトホール83は、導電リング81の長手方向に沿って延びる閉環状に形成されている。第1コンタクトホール83は、層間絶縁膜40を厚さ方向に貫通し、かつ導電リング81の厚さ方向途中部にまで達している。
【0069】
第1コンタクトホール83には、第1コンタクト85が配置されている。第1コンタクト85は、導電リング81に接続されている。また、第1コンタクト85は、この実施形態では、タングステン(W)から構成されているが、他の導電材料(たとえば、銅(Cu)等)から構成されていてもよい。
第2コンタクトホール84は、図8および図10に示すように、層間絶縁膜40の表面から外周部不純物領域67の第4部分78に向かって形成されている。この実施形態では、第2コンタクトホール84は、外周部不純物領域67の第4部分78の長手方向に沿って延びる閉環状に形成されている。第2コンタクトホール84は、層間絶縁膜40を厚さ方向に貫通し、かつ第4部分78の深さ方向途中部にまで達している。
【0070】
第2コンタクトホール84には、第2コンタクト86が配置されている。第2コンタクト86は、導電リング81に接続されている。また、第2コンタクト86は、この実施形態では、タングステン(W)から構成されているが、他の導電材料(たとえば、銅(Cu)等)から構成されていてもよい。
前述したように、外周電極膜9は、ゲート電極膜8から外側に離れて形成されている。したがって、図8図10に示すように、ゲート電極膜8と外周電極膜9との間には、いわゆる電極膜が除去された環状の領域87がある。
【0071】
この実施形態では、ゲート電極膜8は、第1単位68の複数のガードリングトレンチ23と、第2単位69の複数のガードリングトレンチ23の一部とを覆っている。一方、外周電極膜9は、第4単位71の複数のガードリングトレンチ23と、外周部不純物領域67の第4部分78とを覆っている。したがって、第2単位69の複数のガードリングトレンチ23の残りと、外周部不純物領域67の第3単位70の複数のガードリングトレンチ23とは、層間絶縁膜40を介して領域87に対向している。
【0072】
外周電極膜9は、第1コンタクト85を介して導電リング81に接続され、かつ第2コンタクト86を介して外周部不純物領域67の第4部分78に接続されている。これにより、外周部不純物領域67の第4部分78は、複数のガードリングトレンチ23の最も外側のガードリングトレンチ23に埋め込まれた埋め込み導電材66に電気的に接続されている。
【0073】
次に、半導体装置1の製造方法について説明する。図11図25は、半導体装置1の製造工程を工程順に示す図である。図11図25は、図9に対応する図面である。その他の断面図である図6図7および図10に対応する製造工程図は省略する。
まず、図11に示すように、半導体基板29の主面45に、エピタキシャル法によって、n型不純物が注入されたエピタキシャル層30が形成される。n型不純物としては、たとえば、P(リン)、As(砒素)、Sb(アンチモン)等を適用することができる(以下、同じ)。
【0074】
次に、図12に示すように、エピタキシャル層30の素子主面47が選択的に除去されることによって、ゲートトレンチ31が形成され、かつフィールドトレンチ37が形成される。ゲートトレンチ31およびフィールドトレンチ37は、たとえば、ドライエッチングによって形成されてもよい。
次に、図13に示すように、半導体基板29の主面45に、p型不純物が、第1エネルギ(たとえば、30keV程度のエネルギ)で選択的に注入される。より具体的には、チャネル領域34、素子部不純物領域43の第1部分61、第2部分62および第3部分64、ならびに外周部不純物領域67のベース部分74、第1部分75、第2部分76、第3部分77および第4部分78を形成すべき領域に、p型不純物が注入される。p型不純物としては、たとえば、B(ホウ素)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)等を適用することができる。
【0075】
なお、図13以降の図において、第1エネルギで不純物が注入された注入箇所88は「*」で示されている。
次に、図14に示すように、半導体基板29の主面45に、p型不純物が、第1エネルギよりも強い第2エネルギ(たとえば、180keV程度のエネルギ)で選択的に注入される。より具体的には、素子部不純物領域43の第2部分62および第3部分64、ならびに外周部不純物領域67のベース部分74、第1部分75、第2部分76および第4部分78を形成すべき領域に、p型不純物が注入される。なお、図14以降の図において、第2エネルギで不純物が注入された注入箇所89は「v」で示されている。
【0076】
次に、図15に示すように、半導体基板29の主面45に、p型不純物が、第2エネルギよりも強い第3エネルギ(たとえば、360keV程度のエネルギ)で選択的に注入される。より具体的には、素子部不純物領域43の第1部分61および第3部分64、ならびに外周部不純物領域67の第1部分75および第4部分78を形成すべき領域に、p型不純物が注入される。なお、図15において、第3エネルギで不純物が注入された注入箇所90は「-」で示されている。
【0077】
次に、図16に示すように、エピタキシャル層30が熱処理されることによって、図13図15の工程で注入した不純物イオンが拡散する。これにより、素子部不純物領域43および外周部不純物領域67が形成される。また、注入箇所88に注入された不純物の拡散によって、エピタキシャル層30の素子主面47に、p型部分91が形成される。
次に、図17に示すように、エピタキシャル層30が熱酸化されることによって、エピタキシャル層30の素子主面47全体に、絶縁膜92が形成される。絶縁膜92は、ゲートトレンチ31およびフィールドトレンチ37の内面にも形成される。
【0078】
次に、図18に示すように、たとえば、CVD法によって、絶縁膜92全体を覆うように、導電材料93が堆積される。この実施形態では、導電材料93は、たとえば不純物が添加されたポリシリコンであってもよい。
次に、図19に示すように、堆積した導電材料93および絶縁膜92の一部が、たとえば、エッチバックによって、選択的に除去される。これにより、導電材料93の残りの部分からなるゲート電極33、フィールドプレート39、埋め込み導電材66および導電リング81が得られ、かつ絶縁膜92の残りの部分からなるゲート絶縁膜32、フィールドトレンチ絶縁膜38および絶縁膜65が得られる。
【0079】
次に、図20に示すように、半導体基板29の主面45に、p型不純物が、第1エネルギと第2エネルギとの間の第4エネルギ(たとえば、80keV程度のエネルギ)で選択的に注入される。より具体的には、チャネル領域34、素子部不純物領域43および外周部不純物領域67を形成すべき領域に、p型不純物が注入される。その後、エピタキシャル層30が熱処理されることによって、この工程で注入した不純物イオンが拡散する。これにより、チャネル領域34が形成される。素子部25において、p型部分91および素子部不純物領域43の第2部分62は、チャネル領域34と一体化する。また、外周部26において、p型部分91は、外周部不純物領域67のベース部分74と一体化する。また、外周部26において、p型部分91は、外周部不純物領域67の第4部分78と一体化する。
【0080】
次に、図21には示されていないが、半導体基板29の主面45に、n型不純物が選択的に注入される。より具体的には、ソース領域35を形成すべき領域に、n型不純物が注入される。その後、エピタキシャル層30が熱処理されることによって、この工程で注入した不純物イオンが拡散する。これにより、ソース領域35が形成される。
次に、図22には示されていないがに示すように、半導体基板29の主面45に、p型不純物が選択的に注入される。より具体的には、チャネルコンタクト領域36を形成すべき領域に、p型不純物が注入される。その後、エピタキシャル層30が熱処理されることによって、この工程で注入した不純物イオンが拡散する。これにより、チャネルコンタクト領域36が形成される。
【0081】
次に、図23に示すように、たとえば、CVD法によって、エピタキシャル層30の素子主面47の全面を覆うように、層間絶縁膜40が形成される。次に、層間絶縁膜40が選択的にエッチングされることによって、ゲートコンタクトホール59、ソースコンタクトホール60、第1コンタクトホール83および第2コンタクトホール84が形成される。なお、この実施形態では、ゲートコンタクトホール59、ソースコンタクトホール60、第1コンタクトホール83および第2コンタクトホール84は、同一工程で形成されているが、別々のエッチング工程を経て形成されてもよい。
【0082】
また、これらのコンタクトホール59,60,83,84は、エピタキシャル層30の素子主面47よりも下方にオーバーエッチングとなるように形成される。したがって、このオーバーエッチング時に、フィールドトレンチ37に、段部55および第2部分62が形成される。
次に、図24には示されていないが、たとえば、スパッタ法によって、ソースコンタクト41、ゲートコンタクト42、第1コンタクト85および第2コンタクト86の導電材料が層間絶縁膜40上に堆積される。その後、層間絶縁膜40の表面上の導電材料が、たとえば、CMP法によって、除去される。これにより、ソースコンタクトホール60、ゲートコンタクトホール59、第1コンタクトホール83および第2コンタクトホール84に残った導電材料からなる、ソースコンタクト41、ゲートコンタクト42、第1コンタクト85および第2コンタクト86が得られる。
【0083】
次に、図25に示すように、たとえば、スパッタ法によって、表面電極膜6の導電材料が層間絶縁膜40上に堆積される。その後、当該導電材料が選択的に除去されることによって、ソース電極膜7、ゲート電極膜8および外周電極膜9が得られる。その後、半導体基板29の裏面46にドレイン電極44が形成されることによって、半導体装置1が得られる。
【0084】
以上のように、この実施形態に係る半導体装置1によれば、外周部26の外側に向かって順に配置された第1単位68および第2単位69の外周部不純物領域67が、外側に向かって順に浅く形成されている。これにより、図9に示すように、外周部不純物領域67が、断面視において、外周部26の外側に向かって階段状に形成されている。そのため、外周部26の外側に向かって空乏層が延びやすくなるため、外周部における電界集中を緩和することができる。
【0085】
たとえば、図9に示す外周部不純物領域67の第1部分75および第2部分76を備える構造の電界分布と、上記構造から第2部分76を除いた構造の電界分布とをシミュレーションによって比較した。その結果、外周部不純物領域67の第1部分75および第2部分76の両方を備える構造では、第2部分76を備えない構造の電界集中強度の約85%まで電界集中強度を緩和できることが確認できた。
【0086】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、第1単位68のガードリングトレンチ23のピッチPが、第2単位69のガードリングトレンチ23のピッチPよりも大きい。これに対し、図26に示すように、第1単位68のガードリングトレンチ23のピッチPが、第2単位69のガードリングトレンチ23のピッチPよりも小さくてもよい。この構成によれば、電界集中が起きやすいゲートトレンチ31のコンタクト部49付近において、隣り合うガードリングトレンチ23の間に等電位線が入り込みにくくなる。これにより、外周部26の外側に向かって空乏層を、一層延びやすくすることができる。
【0087】
また、前述の実施形態では、第3単位70および第4単位71において、互いに隣り合うガードリングトレンチ23の間の領域は、その一部もしくは全体がエピタキシャル層30のn型部分79,80で構成されている。これに対し、図27に示すように、第3単位70および第4単位71においても、第2単位69から連なって、外周部不純物領域67のベース部分74および第2部分76が形成されていてもよい。この場合、ベース部分74は、第4部分78と繋がっていてもよい。
【0088】
また、たとえば、半導体装置1の各半導体部分の導電型を反転した構成が採用されてもよい。たとえば、半導体装置1において、p型の部分がn型であり、n型の部分がp型であってもよい。
また、たとえば、半導体装置1が備える半導体素子構造は、前述のようなMISFET構造に限らず、IGBT、ショットキーバリアダイオード等の他の素子構造であってもよい。
【0089】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 半導体装置
23 ガードリングトレンチ
25 素子部
26 外周部
29 半導体基板
30 エピタキシャル層
31 ゲートトレンチ
32 ゲート絶縁膜
33 ゲート電極
34 チャネル領域
35 ソース領域
37 フィールドトレンチ
38 フィールドトレンチ絶縁膜
39 フィールドプレート
41 ソースコンタクト
43 素子部不純物領域
45 (半導体基板)主面
46 (半導体基板)裏面
47 (エピタキシャル層)素子主面
48 (エピタキシャル層)接合面
61 (素子部不純物領域)第1部分
62 (素子部不純物領域)第2部分
65 絶縁膜
66 埋め込み導電材
67 外周部不純物領域
68 第1単位
69 第2単位
70 第3単位
71 第4単位
74 (外周部不純物領域)ベース部分
75 (外周部不純物領域)第1部分
76 (外周部不純物領域)第2部分
77 (外周部不純物領域)第3部分
78 (外周部不純物領域)第4部分
(素子部不純物領域の第1部分)深さ
(ガードリングトレンチ)深さ
(外周部不純物領域の第1部分)深さ
(外周部不純物領域の第2部分)深さ
(外周部不純物領域の第3部分)深さ
10 (外周部不純物領域の第4部分)深さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
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図15
図16
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図18
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図27