(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20230926BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20230926BHJP
A61B 5/1172 20160101ALI20230926BHJP
A61B 5/1171 20160101ALI20230926BHJP
【FI】
G06T7/00 510B
G06T7/00 530
G06T7/00 510E
G06T1/00 400G
G06T1/00 400H
A61B5/1172
A61B5/1171 100
(21)【出願番号】P 2019027837
(22)【出願日】2019-02-19
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 正浩
(72)【発明者】
【氏名】中村 卓
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 昭雄
【審査官】山田 辰美
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-304646(JP,A)
【文献】特開2018-169820(JP,A)
【文献】特開2018-128785(JP,A)
【文献】特開2018-185825(JP,A)
【文献】特開2018-170747(JP,A)
【文献】特開2013-130862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06T 1/00
A61B 5/1172
A61B 5/1171
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの操作を受け付ける入力部と、
前記入力部に設けられて、前記ユーザの生体情報を検出する生体センサ部と、
前記入力部において、前記ユーザが操作した位置である操作位置を検出する位置センサ部と、
制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記位置センサ部が検出した前記操作位置に基づき、前記ユーザが所定の軌跡で前記入力部を操作したかを判断する操作判断部と、
前記ユーザが前記所定の軌跡で前記入力部を操作したと判断した場合に、前記生体センサ部から、前記ユーザが前記所定の軌跡で前記入力部を操作した際の前記ユーザの生体情報を取得する生体情報取得部と、
取得した前記ユーザの生体情報に基づき、予め定めた機能を実行するかを判断する認証部と、
を有し、
前記生体情報取得部は、前記所定の軌跡のうちで最も遅い時間に検出された前記操作位置における前記生体情報を取得し、
前記認証部は、最も遅い時間に検出された前記操作位置における前記生体情報に基づき、予め定めた機能を実行するかを判断し、
前記生体センサ部は、アモルファスシリコンを含む半導体と、ポリシリコンを含む半導体とを備えて、前記ユーザの血管パターンと前記ユーザの指紋とを検出し、
前記生体情報取得部は、前記所定の軌跡の初期段階において検出された血管パターンと、前記所定の軌跡の最終段階において検出された指紋及び血管パターンとを、前記生体情報として取得し、
前記認証部は、前記所定の軌跡の初期段階において検出された血管パターンと、前記所定の軌跡の最終段階において検出された指紋及び血管パターンとに基づき、予め定めた機能を実行するかを判断する、
検出装置。
【請求項2】
前記入力部と重畳して設けられて画像を表示する表示部をさらに有し、
前記制御部は、前記表示部に、所定の軌跡で前記入力部を操作することを誘導する画像を表示させる、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記操作判断部は、前記操作位置に基づき、前記ユーザが複数の指を互いに離すピンチアウトの動作を行ったかを判断し、前記ピンチアウトの動作を行ったと判断した場合に、前記所定の軌跡で前記入力部を操作したと判断する、請求項1又は請求項2に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置及び認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスへのアクセスを制限するために、電子デバイスに認証システムが搭載されることがある。例えば特許文献1には、タッチパネルにユーザの生体情報を検出するセンサを設けて、生体情報に基づき認証する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センサによりユーザの生体情報を検出する場合は、タッチパネルにユーザの指などを近接させる必要があるが、指の近接状態によっては、ユーザの生体情報を適切に検出できない場合がある。従って、ユーザの生体情報を適切に検出することが求められている。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、ユーザの生体情報を適切に検出することが可能な検出装置及び認証方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による検出装置は、ユーザの操作を受け付ける入力部と、前記入力部に設けられて、前記ユーザの生体情報を検出する生体センサ部と、前記入力部において、前記ユーザが操作した位置である操作位置を検出する位置センサ部と、制御部と、を有し、前記制御部は、前記位置センサ部が検出した前記操作位置に基づき、前記ユーザが所定の軌跡で前記入力部を操作したかを判断する操作判断部と、前記ユーザが前記所定の軌跡で前記入力部を操作したと判断した場合に、前記生体センサ部から、前記ユーザが前記所定の軌跡で前記入力部を操作した際の前記ユーザの生体情報を取得する生体情報取得部と、を有する。
【0007】
本発明の一態様による認証方法は、ユーザの操作を受け付ける入力部と、前記入力部に設けられて、前記ユーザの生体情報を検出する生体センサ部と、前記入力部において、前記ユーザが操作した位置である操作位置を検出する位置センサ部と、を有する検出装置を用いた前記ユーザの認証方法であって、前記位置センサ部が検出した前記操作位置に基づき、前記ユーザが所定の軌跡で前記入力部を操作したかを判断する操作判断ステップと、前記ユーザが前記所定の軌跡で前記入力部を操作したと判断した場合に、前記生体センサ部から、前記ユーザが前記所定の軌跡で前記入力部を操作した際の前記ユーザの生体情報を取得する生体情報取得ステップと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る生体情報検出装置を示す平面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る検出装置の模式的な構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、生体情報検出装置を示す回路図である。
【
図5】
図5は、部分検出領域を示す等価回路図である。
【
図6】
図6は、検出装置の動作例を表すタイミング波形図である。
【
図7】
図7は、生体情報検出装置の部分検出領域を模式的に示す平面図である。
【
図9】
図9は、第1フォトダイオード及び第2フォトダイオードの、波長と光吸収係数との関係を模式的に示すグラフである。
【
図10】
図10は、他の例に係る部分検出領域を示す等価回路図である。
【
図11】
図11は、他の例に係る部分検出領域の模式的な断面図である。
【
図12】
図12は、駆動回路が有するスイッチング素子の概略断面構成を示す断面図である。
【
図13】
図13は、本実施形態に係る制御部のブロック図である。
【
図14】
図14は、操作位置の軌跡の例を説明する模式図である。
【
図15】
図15は、操作位置の軌跡の例を説明する模式図である。
【
図17】
図17は、本実施形態に係る認証処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
(検出装置の全体構成)
図1は、本実施形態に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。本実施形態に係る検出装置100は、ユーザの生体情報を検出可能な表示装置である。
図1に示すように、検出装置100は、生体情報検出装置1と、表示パネル101と、タッチパネル102と、カバーガラス103とを有する。検出装置100は、生体情報検出装置1と、表示パネル101と、タッチパネル102とが、カバーガラス103とが、重畳するように設けられている。
【0011】
表示パネル101は、画像を表示するための複数の表示素子を有し、例えば、表示素子として発光素子を用いた有機ELディスプレイパネル(OLED:Organic Light Emitting Diode)や無機ELディスプレイ(マイクロLED、Mini-LED)であってもよい。或いは、表示パネル101は、表示素子として液晶素子を用いた液晶表示パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や、表示素子として電気泳動素子を用いた電気泳動型表示パネル(EPD:Electrophoretic Display)であってもよい。
【0012】
表示パネル101は、第1主面101aと、第1主面101aと反対側の第2主面101bとを有する。第1主面101aは、画像を表示する表示面であり、表示パネル101の表示素子や光源部からの光L1を、カバーガラス103に向けて照射する。第1主面101aは、画像を表示する表示領域DAを有する。
【0013】
タッチパネル102は、表示パネル101の第1主面101aに設けられる。タッチパネル102は、ユーザの操作を受け付ける入力部である。タッチパネル102は、例えば静電容量方式により、カバーガラス103の表面に接触又は近づくユーザの指Fgや手のひらを検出する。なお、以下、特に断りがない場合は、指Fgや手のひらが接触した場合、又は、生体情報や位置を検出可能な程度に指Fgや手のひらが近い位置にある場合を、「近接」と記載する。
【0014】
タッチパネル102は、位置センサ部10A(
図3参照)を有し、位置センサ部10Aにより、カバーガラス103の表面に近接するユーザの指Fgや手のひらの位置、すなわち表示パネル101の表示領域DAにおける指Fgや手のひらが近接した位置の座標を、検出する。以下、位置センサ部10Aが検出する、表示パネル101の表示領域DAにおける指Fgや手のひらが近接した位置を、操作位置と記載する。操作位置は、タッチパネル102においてユーザが操作した位置(座標)であると言い換えることもできる。なお、位置センサ部10Aは、例えば、対向する一対の電極が、表示領域DAにおいてマトリクス状に複数設けられて構成されるが、操作位置が検出可能なセンサであれば、構成は任意である。
【0015】
タッチパネル102は、透光性を有し、光L1及び反射した光L2を透過できる。光L2は、カバーガラス103と空気との界面での反射光及び指Fgの表面での反射光を含む。なお、表示パネル101は、タッチパネル102と一体化されていてもよく、タッチパネル102の機能を内蔵してもよい。
【0016】
カバーガラス103は、表示パネル101及びタッチパネル102を保護するための部材であり、表示パネル101及びタッチパネル102を覆っている。カバーガラス103は、例えばガラス基板である。なお、カバーガラス103に限定されず、樹脂基板等がタッチパネル102の上に設けられていてもよい。カバーガラス103の表面を、指Fgを検出する検出面と呼んでもよい。
【0017】
生体情報検出装置1は、表示パネル101の第2主面101bと対向して設けられる。言い換えると、生体情報検出装置1とタッチパネル102との間に表示パネル101が設けられる。生体情報検出装置1は、生体情報を検出可能な生体センサ部10(
図3参照)を有する。生体情報検出装置1とタッチパネル102とが重畳して設けられているため、生体センサ部10は、入力部であるタッチパネル102に設けられているということもできる。
【0018】
生体センサ部10は、本実施形態では、光学式の生体センサであり、例えば、光反射型の生体情報センサである。生体センサ部10は、カバーガラス103と空気との界面で反射した光L2を検出することで、指Fgや手のひらなどの表面の凹凸(例えば、指紋)を検出できる。また、生体センサ部10は、指Fgや手のひらの内部で反射した光L2を検出することで、血管パターンを検出してもよいし、他の生体情報を検出してもよい。生体情報検出装置1は大面積化が容易であるため、生体情報検出装置1の検出領域AAは、表示パネル101の表示領域DAの全体と対向して設けられる。なお、これに限定されず、検出領域AAは、表示パネル101の表示領域DAの一部と対向していてもよい。また、生体情報検出装置1を表示パネル101とカバーガラス103との間に設けても良い。この場合、タッチパネル102と表示パネル101との間に生体情報検出装置1を設けてもよいし、生体情報検出装置1にタッチパネルの機能を組み込むことも可能である。
【0019】
図2は、本実施形態に係る生体情報検出装置を示す平面図である。
図2に示すように、生体情報検出装置1は、絶縁基板21と、生体センサ部10と、ゲート線駆動回路15と、信号線選択回路16と、アナログフロントエンド回路(以下、AFE(Analog Front End)と表す)48と、制御回路122と、電源回路123と、を有する。
【0020】
図2に示すように、絶縁基板21には、フレキシブルプリント基板110を介して制御基板120が電気的に接続される。フレキシブルプリント基板110には、AFE48が設けられている。制御基板120には、制御回路122及び電源回路123が設けられている。制御回路122は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)である。制御回路122は、生体センサ部10、ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16に制御信号を供給して、生体センサ部10の検出動作を制御する。電源回路123は、電源信号SVS(
図6参照)等の電圧信号を生体センサ部10及びゲート線駆動回路15に供給する。
【0021】
絶縁基板21は、検出領域AAと、周辺領域GAとを有する。検出領域AAは、生体センサ部10が有する複数の第1フォトダイオードPD1及び複数の第2フォトダイオードPD2(
図5参照)と重なる領域である。周辺領域GAは、検出領域AAの外側の領域であり、第1フォトダイオードPD1及び複数の第2フォトダイオードPD2と重ならない領域である。すなわち、周辺領域GAは、検出領域AAの外周と絶縁基板21の端部との間の領域である。ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16は、周辺領域GAに設けられる。
【0022】
図3は、本実施形態に係る検出装置の模式的な構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、生体情報検出装置1は、さらに検出制御部11と検出部40と、を有する。検出制御部11の機能の一部又は全部は、制御回路122に含まれる。また、検出部40のうち、AFE48以外の機能の一部又は全部は、制御回路122に含まれる。
【0023】
生体センサ部10は、光電変換素子である第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2を有する光センサである。生体センサ部10が有する第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2は、照射される光に応じた電気信号を、検出信号Vdetとして信号線選択回路16に出力する。また、生体センサ部10は、ゲート線駆動回路15から供給されるゲート駆動信号VGCLに従って検出を行う。
【0024】
検出制御部11は、ゲート線駆動回路15、信号線選択回路16及び検出部40にそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する回路である。検出制御部11は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST1等の各種制御信号をゲート線駆動回路15に供給する。また、検出制御部11は、選択信号SEL等の各種制御信号を信号線選択回路16に供給する。
【0025】
ゲート線駆動回路15は、各種制御信号に基づいて複数のゲート線GCL(
図4参照)を駆動する回路である。ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLを順次又は同時に選択し、選択されたゲート線GCLにゲート駆動信号VGCLを供給する。これにより、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLに接続された複数の第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2を選択する。
【0026】
ゲート線駆動回路15は、各種制御信号に基づいて複数のゲート線GCL(
図4参照)を駆動する回路である。ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLを順次又は同時に選択し、選択されたゲート線GCLにゲート駆動信号VGCLを供給する。これにより、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLに接続された複数の第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2を選択する。
【0027】
信号線選択回路16は、複数の信号線SGL(
図4参照)を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路16は、検出制御部11から供給される選択信号SELに基づいて、選択された信号線SGLと、検出回路であるAFE48とを接続する。これにより、信号線選択回路16は、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2の検出信号Vdetを検出部40に出力する。信号線選択回路16は、例えばマルチプレクサである。
【0028】
検出部40は、AFE48と、信号処理部44と、座標抽出部45と、記憶部46と、検出タイミング制御部47と、を備える回路である。検出タイミング制御部47は、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、AFE48と、信号処理部44と、座標抽出部45と、が同期して動作するように制御する。
【0029】
AFE48は、少なくとも検出信号増幅部42及びA/D変換部43の機能を有する信号処理回路である。検出信号増幅部42は、検出信号Vdetを増幅する。A/D変換部43は、検出信号増幅部42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0030】
信号処理部44は、AFE48の出力信号、すなわちデジタル信号に変換された検出信号Vdetに基づいて、生体センサ部10に入力された所定の物理量を検出する論理回路である。信号処理部44は、指Fgや手のひらが検出面に近接した場合に、AFE48からの検出信号Vdetに基づいて、指Fgの表面の凹凸(すなわち指紋)や、指Fgや手のひらの血管パターンを検出できる。
【0031】
記憶部46は、信号処理部44で演算された信号を一時的に保存する。記憶部46は、例えばRAM(Random Access Memory)、レジスタ回路等であってもよい。
【0032】
座標抽出部45は、信号処理部44において指Fgや手のひらの近接が検出されたときに、指Fg等の表面の凹凸の検出座標を求める論理回路である。座標抽出部45は、生体センサ部10の各第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2から出力される検出信号Vdetを組み合わせて、指Fgの表面の凹凸(すなわち指紋)の形状や、指Fgや手のひらの血管パターンの形状を示す、二次元情報を生成する。この二元情報が、ユーザの生体情報であるといえる。なお、座標抽出部45は、検出座標を算出せずにセンサ出力Voとして検出信号Vdetを出力してもよい。この場合は、検出信号Vdetを、ユーザの生体情報と呼んでもよい。
【0033】
また、タッチパネル102は、位置センサ部10Aと、検出制御部11Aと、検出部40Aとを有する。検出制御部11Aは、位置センサ部10Aを駆動する回路である。位置センサ部10Aは、検出制御部11Aによって駆動されることで、タッチパネル102に近接するユーザの指Fgや手のひらの位置、すなわち操作位置に応じた電子信号を、検出部40Aに出力する。検出部40Aは、検出部40と同様の構成を有する回路であってよい。検出部40Aは、位置センサ部10Aからの電気信号に基づき、操作位置の情報を抽出する。
【0034】
さらに、検出装置100は、制御部6と記憶部8とを有する。制御部6は、検出装置100に搭載される演算装置、すなわちCPU(Central Processing Unit)である。制御部6は、例えば、記憶部8からプログラムを読み出すことで、各種処理を実行する。記憶部8は、制御部6の演算内容やプログラムの情報などを記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。尚、検出装置100は、スマートフォン等の携帯端末装置、コンピューター、自動預け払い機(ATM)、入室管理装置等、表示装置を有する電子機器に組み込まれる。記憶部8、制御部6の機能の全て或いは一部を、電子機器が有する演算装置、記憶装置が担うこと可能である。
【0035】
制御部6は、検出部40Aから、操作位置の情報を取得する。制御部6は、取得した操作位置に基づき、ユーザが、所定の軌跡でタッチパネル102を操作したかを判断する。制御部6は、所定の軌跡でタッチパネル102が操作されたと判断したら、座標抽出部45が作成した二次元情報、すなわち生体センサ部10が検出したユーザの生体情報を取得する。制御部6は、記憶部8から、予め記憶していた二次元情報、すなわち基準となる生体情報である基準生体情報を読み出す。そして、制御部6は、基準生体情報と、生体センサ部10が検出したユーザの生体情報とを照合して、生体センサ部10が検出したユーザの生体情報が基準生体情報と一致するかを判断する。すなわち、制御部6は、生体センサ部10が検出したユーザの生体情報を用いて、ユーザ認証を行う。制御部6は、生体センサ部10が検出したユーザの生体情報が基準生体情報と一致する場合、認証可として、検出装置100を制御して、予め定めた所定機能を実行する。所定機能とは、例えばユーザが検出装置100に対して実行を要求している機能であり、例えば、検出装置100のプログラムの起動、スリープ状態からの復帰、ウェブサイトへのアクセスなどが挙げられる。なお、座標抽出部45が検出座標を算出しない場合は、制御部6が、検出信号Vdetから、指Fgの表面の凹凸(すなわち指紋)の形状や、指Fgや手のひらの血管パターンの形状を示す、二次元情報を生成する。制御部6の詳細な制御フローについては後述する。
【0036】
(生体情報検出装置の全体構成)
次に、生体情報検出装置1の回路構成例及び動作例について説明する。
図4は、生体情報検出装置を示す回路図である。
図5は、部分検出領域を示す等価回路図である。
図6は、生体情報検出装置の動作例を表すタイミング波形図である。
【0037】
図4に示すように、生体センサ部10は、マトリクス状に配列された複数の部分検出領域PAAを有する。
図5に示すように、部分検出領域PAAは、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2と、容量素子Caと、第1スイッチング素子Trとを含む。第1スイッチング素子Trは、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2に対応して設けられる。第1スイッチング素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネル型のTFT(Thin Film Transistor)で構成されている。
【0038】
第1スイッチング素子Trのゲートはゲート線GCLに接続される。第1スイッチング素子Trのソースは信号線SGLに接続される。第1スイッチング素子Trのドレインは、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34、第2フォトダイオードPD2のカソード電極54及び容量素子Caの一端に接続される。第1フォトダイオードPD1のアノード電極35、第2フォトダイオードPD2のアノード電極55及び容量素子Caの他端は、基準電位、例えばグランド電位に接続される。このように、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2は、第1スイッチング素子Trに、同方向に並列接続される。
【0039】
信号線SGLには、第3スイッチング素子TrS及び第4スイッチング素子TrRが接続される。第3スイッチング素子TrS及び第4スイッチング素子TrRは、第1スイッチング素子Trを駆動する駆動回路を構成する素子である。本実施形態において、駆動回路は、周辺領域GAに設けられたゲート線駆動回路15、信号線選択回路16及びリセット回路17等を含む。第3スイッチング素子TrSは、例えば、pチャネルトランジスタp-TrSとnチャネルトランジスタn-TrSとを組み合わせたCMOS(相補型MOS)トランジスタで構成される。第4スイッチング素子TrRも同様にCMOSトランジスタで構成される。
【0040】
リセット回路17の第4スイッチング素子TrRがオンになると、容量素子Caには、電源回路123から、容量素子Caの初期電位となる基準信号VR1が供給される。これにより、容量素子Caがリセットされる。部分検出領域PAAに光が照射されると、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2にはそれぞれ光量に応じた電流が流れ、これにより容量素子Caに電荷が蓄積される。第1スイッチング素子Trがオンになると、容量素子Caに蓄積された電荷に応じて、信号線SGLに電流が流れる。信号線SGLは、信号線選択回路16の第3スイッチング素子TrSを介してAFE48に接続される。これにより、生体情報検出装置1は、部分検出領域PAAごとに、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2に照射される光の光量に応じた信号を検出できる。
【0041】
図4に示すように、ゲート線GCLは、第1方向Dxに延在し、第1方向Dxに配列された複数の部分検出領域PAAと接続される。また、複数のゲート線GCL1、GCL2、…、GCL8は、第2方向Dyに配列され、それぞれゲート線駆動回路15に接続される。なお、以下の説明において、複数のゲート線GCL1、GCL2、…、GCL8を区別して説明する必要がない場合には、単にゲート線GCLと表す。ゲート線GCLの数は8本であるが、あくまで一例であり、ゲート線GCLは、8本以上、例えば256本配列されていてもよい。
【0042】
なお、第1方向Dxは、絶縁基板21と平行な面内の一方向であり、例えば、ゲート線GCLと平行な方向である。また、第2方向Dyは、絶縁基板21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、絶縁基板21に垂直な方向である。
【0043】
信号線SGLは、第2方向Dyに延在し、第2方向Dyに配列された複数の部分検出領域PAAに接続される。また、複数の信号線SGL1、SGL2、…、SGL12は、第1方向Dxに配列されて、それぞれ信号線選択回路16及びリセット回路17に接続される。信号線SGLの数は12本であるが、あくまで一例であり、信号線SGLは、12本以上、例えば252本配列されていてもよい。また、
図4では、信号線選択回路16とリセット回路17との間に生体センサ部10が設けられている。これに限定されず、信号線選択回路16とリセット回路17とは、信号線SGLの同じ方向の端部にそれぞれ接続されていてもよい。
【0044】
ゲート線駆動回路15は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST1等の各種制御信号を、レベルシフタ151を介して受け取る。ゲート線駆動回路15は、複数の第2スイッチング素子TrG(図示は省略する)を有している。ゲート線駆動回路15は、第2スイッチング素子TrGの動作により、複数のゲート線GCL1、GCL2、…、GCL8を時分割的に順次選択する。ゲート線駆動回路15は、選択されたゲート線GCLを介して、複数の第1スイッチング素子Trにゲート駆動信号VGCLを供給する。これにより、第1方向Dxに配列された複数の部分検出領域PAAが、検出対象として選択される。
【0045】
信号線選択回路16は、複数の選択信号線Lselと、複数の出力信号線Loutと、第3スイッチング素子TrSと、を有する。複数の第3スイッチング素子TrSは、それぞれ複数の信号線SGLに対応して設けられている。6本の信号線SGL1、SGL2、…、SGL6は、共通の出力信号線Lout1に接続される。6本の信号線SGL7、SGL8、…、SGL12は、共通の出力信号線Lout2に接続される。出力信号線Lout1、Lout2は、それぞれAFE48に接続される。
【0046】
ここで、信号線SGL1、SGL2、…、SGL6を第1信号線ブロックとし、信号線SGL7、SGL8、…、SGL12を第2信号線ブロックとする。複数の選択信号線Lselは、1つの信号線ブロックに含まれる第3スイッチング素子TrSのゲートにそれぞれ接続される。また、1本の選択信号線Lselは、複数の信号線ブロックの第3スイッチング素子TrSのゲートに接続される。具体的には、選択信号線Lsel1、Lsel2、…、Lsel6は、信号線SGL1、SGL2、…、SGL6に対応する第3スイッチング素子TrSと接続される。また、選択信号線Lsel1は、信号線SGL1に対応する第3スイッチング素子TrSと、信号線SGL7に対応する第3スイッチング素子TrSと、に接続される。選択信号線Lsel2は、信号線SGL2に対応する第3スイッチング素子TrSと、信号線SGL8に対応する第3スイッチング素子TrSと、に接続される。
【0047】
制御回路122(
図2参照)は、レベルシフタ161を介して、選択信号SELを順次選択信号線Lselに供給する。これにより、信号線選択回路16は、第3スイッチング素子TrSの動作により、1つの信号線ブロックにおいて信号線SGLを時分割的に順次選択する。また、信号線選択回路16は、複数の信号線ブロックで同時に1本ずつ信号線SGLを選択する。このような構成により、生体情報検出装置1は、AFE48を含むIC(Integrated Circuit)の数、又はICの端子数を少なくすることができる。
【0048】
図4に示すように、リセット回路17は、基準信号線Lvr、リセット信号線Lrst及び第4スイッチング素子TrRを有する。第4スイッチング素子TrRは、複数の信号線SGLに対応して設けられている。基準信号線Lvrは、複数の第4スイッチング素子TrRのソース又はドレインの一方に接続される。リセット信号線Lrstは、複数の第4スイッチング素子TrRのゲートに接続される。
【0049】
制御回路122は、リセット信号RST2を、レベルシフタ171を介してリセット信号線Lrstに供給する。これにより、複数の第4スイッチング素子TrRがオンになり、複数の信号線SGLは基準信号線Lvrと電気的に接続される。電源回路123は、基準信号VR1を基準信号線Lvrに供給する。これにより、複数の部分検出領域PAAに含まれる容量素子Caに基準信号VR1が供給される。
【0050】
図6に示すように、生体情報検出装置1は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetを有する。電源回路123は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetに亘って、電源信号SVSを第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2に供給する。また、リセット期間Prstが開始する前の時刻に、制御回路122は、高レベル電圧信号の基準信号VR1及びリセット信号RST2を、リセット回路17に供給する。制御回路122は、ゲート線駆動回路15にスタート信号STVを供給し、リセット期間Prstが開始する。
【0051】
リセット期間Prstにおいて、ゲート線駆動回路15は、スタート信号STV、クロック信号CK及びリセット信号RST1に基づいて、順次ゲート線GCLを選択する。ゲート線駆動回路15は、ゲート駆動信号VGCLをゲート線GCLに順次供給する。ゲート駆動信号VGCLは、高レベル電圧VGHと低レベル電圧VGLとを有するパルス状の波形を有する。
図6では、256本のゲート線GCLが設けられており、各ゲート線GCLに、ゲート駆動信号VGCL1、…、VGCL256が順次供給される。
【0052】
これにより、リセット期間Prstでは、全ての部分検出領域PAAの容量素子Caは、順次信号線SGLと電気的に接続されて、基準信号VR1が供給される。この結果、容量素子Caの容量がリセットされる。
【0053】
ゲート駆動信号VGCL256がゲート線GCLに供給された後に、露光期間Pexが開始する。なお、各ゲート線GCLに対応する部分検出領域PAAでの、実際の露光期間Pex1、…、Pex256は、開始のタイミング及び終了のタイミングが異なっている。露光期間Pex1、…、Pex256は、それぞれ、リセット期間Prstでゲート駆動信号VGCLが高レベル電圧VGHから低レベル電圧VGLに変化したタイミングで開始される。また、露光期間Pex1、…、Pex256は、それぞれ、読み出し期間Pdetでゲート駆動信号VGCLが低レベル電圧VGLから高レベル電圧VGHに変化したタイミングで終了する。露光期間Pex1、…、Pex256の露光時間の長さは等しい。
【0054】
露光期間Pexでは、各部分検出領域PAAで、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2に照射された光に応じて電流が流れる。この結果、各容量素子Caに電荷が蓄積される。
【0055】
読み出し期間Pdetが開始する前のタイミングで、制御回路122は、リセット信号RST2を低レベル電圧にする。これにより、リセット回路17の動作が停止する。読み出し期間Pdetでは、リセット期間Prstと同様に、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLにゲート駆動信号VGCL1、…、VGCL256を順次供給する。
【0056】
例えば、ゲート駆動信号VGCL1が高レベル電圧VGHの期間に、制御回路122は、選択信号SEL1、…、SEL6を、信号線選択回路16に順次供給する。これにより、ゲート駆動信号VGCL1により選択された部分検出領域PAAの信号線SGLが順次、又は同時にAFE48に接続される。この結果、検出信号VdetがAFE48に供給される。同様に、各ゲート駆動信号VGCLが高レベル電圧VGHとなる期間ごとに、信号線選択回路16が順次信号線SGLを選択する。これにより、読み出し期間Pdetで、生体情報検出装置1は、全ての部分検出領域PAAの検出信号VdetをAFE48に出力することができる。
【0057】
生体情報検出装置1は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetを、繰り返し実行して検出を行ってもよい。或いは、生体情報検出装置1は、指Fg等が検出面に接触又は近接したことを検出したタイミングで、検出動作を開始してもよい。
【0058】
次に、生体情報検出装置1の詳細な構成について説明する。
図7は、生体情報検出装置の部分検出領域を模式的に示す平面図である。
図8は、
図7のVIII-VIII’断面図である。なお、
図7では、図面を見やすくするために、カソード電極34及びアノード電極35を二点鎖線で示している。
【0059】
なお、以下の説明において、絶縁基板21の表面に垂直な方向において、絶縁基板21から第1フォトダイオードPD1に向かう方向を「上側」又は単に「上」とする。第1フォトダイオードPD1から絶縁基板21に向かう方向を「下側」又は単に「下」とする。また、「平面視」とは、絶縁基板21の表面に垂直な方向から見た場合を示す。
【0060】
図7に示すように、部分検出領域PAAは、複数のゲート線GCLと、複数の信号線SGLとで囲まれた領域である。第1フォトダイオードPD1、第2フォトダイオードPD2及び第1スイッチング素子Trは、部分検出領域PAA、すなわち、複数のゲート線GCLと、複数の信号線SGLとで囲まれた領域に設けられる。第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2は、例えば、PIN(Positive Intrinsic Negative Diode)型のフォトダイオードである。
【0061】
第1フォトダイオードPD1は、第1半導体層31と、カソード電極34と、アノード電極35とを含む。第1半導体層31は、第1部分半導体層31aと、第2部分半導体層31bとを含む。第1フォトダイオードPD1の第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bは、アモルファスシリコン(a-Si)である。第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bは、第1方向Dxにおいて、間隔SPを有して隣り合って設けられる。カソード電極34及びアノード電極35は、第1部分半導体層31a、第2部分半導体層31b及び間隔SPと重なる領域に亘って連続して設けられる。なお、以下の説明において、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bを区別して説明する必要がない場合には、単に第1半導体層31と表す場合がある。
【0062】
第1フォトダイオードPD1は、第2フォトダイオードPD2と重なって設けられる。具体的には、第1フォトダイオードPD1の第1部分半導体層31aは、第2フォトダイオードPD2と重なる。第2フォトダイオードPD2は、第2半導体層51と、カソード電極54と、アノード電極55とを含む。第2半導体層51は、ポリシリコンである。より好ましくは、第2半導体層51は、低温ポリシリコン(以下、LTPS(Low Temperature Polycrystalline Silicone)と表す)である。
【0063】
第2半導体層51は、i領域52a、p領域52b及びn領域52cを有する。平面視で、i領域52aは、p領域52bとn領域52cとの間に配置される。具体的には、第1方向Dxにおいて、p領域52b、i領域52a、n領域52cの順に配置される。n領域52cは、ポリシリコンに不純物がドープされてn+領域を形成する。p領域52bは、ポリシリコンに不純物がドープされてp+領域を形成する。i領域52aは、例えば、ノンドープの真性半導体であり、p領域52b及びn領域52cよりも低い導電性を有する。
【0064】
第2半導体層51と、第1フォトダイオードPD1の第1部分半導体層31aとは、第1中継電極56及び第2中継電極57を介して接続される。本実施形態では、第1中継電極56のうち第2半導体層51と重なる部分が、カソード電極54として機能する。第2中継電極57のうち第2半導体層51と重なる部分が、アノード電極55として機能する。なお、第2半導体層51と、第1フォトダイオードPD1との詳細な接続構成については後述する。
【0065】
第1スイッチング素子Trは、第1フォトダイオードPD1の第2部分半導体層31bと重なる領域に設けられる。第1スイッチング素子Trは、第3半導体層61、ソース電極62、ドレイン電極63及びゲート電極64を有する。第3半導体層61は、第2半導体層51と同様にポリシリコンである。より好ましくは、第3半導体層61は、LTPSである。
【0066】
本実施形態では、第1中継電極56のうち第3半導体層61と重なる部分が、ソース電極62として機能する。信号線SGLのうち第3半導体層61と重なる部分が、ドレイン電極63して機能する。また、ゲート電極64は、ゲート線GCLから第2方向Dyに分岐して第3半導体層61と重なる。本実施形態では、2つのゲート電極64は第3半導体層61と重なって設けられた、いわゆるダブルゲート構造である。
【0067】
第1スイッチング素子Trは、第1中継電極56を介して、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34及び第2フォトダイオードPD2のカソード電極54と接続される。また、第1スイッチング素子Trは、信号線SGLとも接続される。
【0068】
より具体的には、
図8に示すように、第1スイッチング素子Trは、絶縁基板21に設けられている。絶縁基板21は、例えば透光性を有するガラス基板である。或いは、絶縁基板21は、透光性を有するポリイミド等の樹脂で構成された樹脂基板又は樹脂フィルムであってもよい。生体情報検出装置1は、第1フォトダイオードPD1、第2フォトダイオードPD2及び第1スイッチング素子Trが絶縁基板21の上に形成される。このため、例えばシリコン基板などの半導体基板を用いた場合に比べ、生体情報検出装置1は、検出領域AAの面積を大きくすることが容易である。
【0069】
絶縁基板21の上に、遮光層67、68が設けられる。アンダーコート膜22は、遮光層67、68を覆って、絶縁基板21の上に設けられる。アンダーコート膜22、ゲート絶縁膜23、第1層間絶縁膜24は、無機絶縁膜であり、シリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(SiN)又はシリコン酸化窒化膜(SiON)等が用いられる。また、各無機絶縁膜は、単層に限定されず積層膜であってもよい。
【0070】
第2半導体層51及び第3半導体層61は、アンダーコート膜22の上に設けられる。つまり、第2フォトダイオードPD2の第2半導体層51及び第1スイッチング素子Trの第3半導体層61は、同層に設けられる。また、第3方向Dzにおいて、第2半導体層51と絶縁基板21との間に遮光層67が設けられる。これにより、光L1が直接、第2フォトダイオードPD2に照射されることを抑制することができる。また、第3方向Dzにおいて、第3半導体層61と絶縁基板21との間に遮光層68が設けられる。これにより、第1スイッチング素子Trの光リーク電流を抑制することができる。
【0071】
第3半導体層61は、i領域61a、LDD(Lightly Doped Drain)領域61b及びn領域61cを含む。i領域61aは、それぞれゲート電極64と重なる領域に形成される。また、n領域61cは、高濃度不純物領域であり、ソース電極62及びドレイン電極63と接続される領域に形成される。LDD領域61bは、低濃度不純物領域であり、n領域61cとi領域61aとの間、及び2つのi領域61aの間に形成される。
【0072】
ゲート絶縁膜23は、第2半導体層51及び第3半導体層61を覆ってアンダーコート膜22の上に設けられる。ゲート電極64は、ゲート絶縁膜23の上に設けられる。つまり、第1スイッチング素子Trは、第3半導体層61の上側にゲート電極64が設けられた、いわゆるトップゲート構造である。ただし、第1スイッチング素子Trは、ゲート電極64が第3半導体層61の上側及び下側の両方に設けられた、いわゆるデュアルゲート構造であってもよいし、ゲート電極64が第3半導体層61の下側に設けられたボトムゲート構造でもよい。
【0073】
第1層間絶縁膜24は、ゲート電極64を覆ってゲート絶縁膜23の上に設けられる。第1層間絶縁膜24は、第2半導体層51の上側にも設けられる。第1中継電極56、第2中継電極57及び信号線SGLは、第1層間絶縁膜24の上に設けられる。第1スイッチング素子Trにおいて、ソース電極62(第1中継電極56)は、コンタクトホールH8を介して第3半導体層61と接続される。ドレイン電極63(信号線SGL)は、コンタクトホールH7を介して第3半導体層61と接続される。
【0074】
第2フォトダイオードPD2において、カソード電極54(第1中継電極56)は、コンタクトホールH6を介して第2半導体層51のn領域52cと接続される。これにより、第2フォトダイオードPD2のカソード電極54は、第1スイッチング素子Trと接続される。また、アノード電極55(第2中継電極57)は、コンタクトホールH5を介して第2半導体層51のp領域52bと接続される。
【0075】
第2層間絶縁膜25は、第2フォトダイオードPD2及び第1スイッチング素子Trを覆って、第1層間絶縁膜24の上に設けられる。第2層間絶縁膜25は、有機膜であり、各種導電層で形成される凹凸を平坦化する平坦化膜である。なお、第2層間絶縁膜25は、上述した無機材料により形成してもよい。
【0076】
第1フォトダイオードPD1のアノード電極35は、バックプレーン2の第2層間絶縁膜25の上に設けられる。第1フォトダイオードPD1は、アノード電極35、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31b、カソード電極34の順に積層される。バックプレーン2は、所定の検出領域ごとにセンサを駆動する駆動回路基板である。バックプレーン2は、絶縁基板21と、絶縁基板21に設けられた第1スイッチング素子Tr、第2スイッチング素子TrG及び各種配線等を有する。
【0077】
第1部分半導体層31aは、i型半導体層32a、p型半導体層32b及びn型半導体層32cを含む。第2部分半導体層31bは、i型半導体層33a、p型半導体層33b及びn型半導体層33cを含む。i型半導体層32a、33a、p型半導体層32b、33b及びn型半導体層32c、33cは、光電変換素子の一具体例である。
図8では、絶縁基板21の表面に垂直な方向(第3方向Dz)において、i型半導体層32a、33aは、p型半導体層32b、33bとn型半導体層32c、33cとの間に設けられる。本実施形態では、アノード電極35の上に、p型半導体層32b、33b、i型半導体層32a、33a及びn型半導体層32c、33cの順に積層されている。
【0078】
n型半導体層32c、33cは、a-Siに不純物がドープされてn+領域を形成する。p型半導体層32b、33bは、a-Siに不純物がドープされてp+領域を形成する。i型半導体層32a、33aは、例えば、ノンドープの真性半導体であり、n型半導体層32c、33c及びp型半導体層32b、33bよりも低い導電性を有する。
【0079】
カソード電極34及びアノード電極35は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電材料である。カソード電極34は、電源信号SVSを光電変換層に供給するための電極である。アノード電極35は、検出信号Vdetを読み出すための電極である。
【0080】
アノード電極35は、第2層間絶縁膜25の上に設けられる。アノード電極35は、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bに亘って連続して設けられる。アノード電極35は、第2層間絶縁膜25に設けられたコンタクトホールH4を介して第2中継電極57と接続される。
【0081】
第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bを覆って第3層間絶縁膜26が設けられる。第3層間絶縁膜26は有機膜であり、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bで形成される凹凸を平坦化する平坦化膜である。カソード電極34は、第3層間絶縁膜26の上に設けられる。カソード電極34は、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bの上に連続して設けられる。カソード電極34は、第3層間絶縁膜26に設けられたコンタクトホールH2、H1を介して第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bと接続される。これにより、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bは、アノード電極35とカソード電極34との間に並列に接続され、1つの光電変換素子として機能する。
【0082】
カソード電極34は、第1部分半導体層31aと第2部分半導体層31bとの間隔SPにおいて、コンタクトホールH3を介して第1中継電極56と接続される。コンタクトホールH3は、第2層間絶縁膜25及び第3層間絶縁膜26を第3方向Dzに貫通する貫通孔である。アノード電極35の、コンタクトホールH3と重なる部分には開口35aが設けられており、コンタクトホールH3は開口35aを通って形成される。このような構成により、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34及び第2フォトダイオードPD2のカソード電極54が、第1中継電極56を介して第1スイッチング素子Trに接続される。また、第1フォトダイオードPD1のアノード電極35と第2フォトダイオードPD2のアノード電極55とが、第2中継電極57を介して接続される。
【0083】
なお、
図5に示す容量素子Caの容量は、間隔SPにおいて、第3層間絶縁膜26を介して対向するアノード電極55とカソード電極34との間に形成される。又は、第1フォトダイオードPD1の周縁の間隔SPaにおいて、第3層間絶縁膜26を介して対向するアノード電極55とカソード電極34との間に形成される。容量素子Caには、露光期間Pexでプラスの電荷が保持される。
【0084】
図9は、第1フォトダイオード及び第2フォトダイオードの、波長と光吸収係数との関係を模式的に示すグラフである。
図9の横軸は、波長を示し、縦軸は、光吸収係数を示す。光吸収係数は、物質中を進行する光の、吸収の程度を示す光学定数である。
【0085】
図9に示すように、a-Siを含む第1フォトダイオードPD1は、可視光領域、例えば300nm以上800nm以下の波長領域で良好な光吸収係数を示す。一方、ポリシリコンを含む第2フォトダイオードPD2は、可視光領域から赤外領域を含む領域、例えば500nm以上1100nm以下の波長領域で良好な光吸収係数を示す。言い換えると、第1フォトダイオードPD1は、可視光領域で高い感度を有し、第2フォトダイオードPD2は、第1フォトダイオードPD1とは異なる波長領域である赤色の波長領域から赤外領域で高い感度を有する。
【0086】
本実施形態の生体情報検出装置1は、感度波長領域が異なる第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2が積層されている。このため、いずれか一方のフォトダイオードを有する構成に比べて、感度を有する波長領域を広げることができる。
【0087】
光L1(
図1参照)は、間隔SP及び間隔SPaを通って生体情報検出装置1を透過する。指Fgで反射された光L2(
図1参照)は、第1フォトダイオードPD1に入射する。また、光L2のうち、第1フォトダイオードPD1に吸収されない波長領域の光は、第1フォトダイオードPD1を透過して第2フォトダイオードPD2に入射する。例えば、指紋検出において、第1フォトダイオードPD1は青色又は緑色の光L2を良好に検出することができる。また、血管パターン(例えば静脈パターン)検出において、赤外光の光L2は、第1フォトダイオードPD1に吸収されず、第2フォトダイオードPD2に入射する。これにより、第2フォトダイオードPD2は赤外光の光L2を良好に検出することができる。これにより生体情報検出装置1は、同一のデバイス(生体情報検出装置1)で、種々の生体に関する情報を検出することができる。
【0088】
また、第1層間絶縁膜24等の絶縁膜の帯電や不純物の影響で、第2フォトダイオードPD2のi領域52aがn型になった場合でも、i領域52aは、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34で中性化される。このため、生体情報検出装置1は、光感度を向上させることができる。
【0089】
また、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2は、部分検出領域PAA、すなわち、複数のゲート線GCLと複数の信号線SGLとで囲まれた領域に設けられる。これによれば、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2のそれぞれに第1スイッチング素子Tr、ゲート線GCL及び信号線SGLを設けた場合に比べて、スイッチング素子の数及び配線の数を少なくすることができる。したがって、生体情報検出装置1は、検出の解像度を向上させることができる。
【0090】
以上のように、生体センサ部10は、アモルファスシリコンを含む第1半導体層31を有する第1フォトダイオードPD1と、ポリシリコンを含む第2半導体層51を有する第2フォトダイオードPD2とを有する。そして、生体センサ部10は、アモルファスシリコンを含む第1半導体層31とポリシリコンを含む第2半導体層51とが、すなわち第1フォトダイオードPD1と第2フォトダイオードPD2とが、第3方向Dzにおいて重なるように積層されている。ただし、生体センサ部10は、第1フォトダイオードPD1と第2フォトダイオードPD2とが、第3方向Dzにおいて積層されていなくてもよく、例えば同層に設けられていてもよい。
【0091】
また、生体センサ部10は、生体情報として、第1フォトダイオードPD1によりユーザの指紋を検出して、第2フォトダイオードPD2によりユーザの血管パターンを検出することができる。血管パターンとは、血管の像を指し、本実施形態では、静脈パターンである。ただし、生体センサ部10は、ユーザの生体情報として、指紋及び血管パターンを検出するが、指紋及び血管パターンの少なくとも1つを検出するものであってもよい。また、生体センサ部10は、指紋及び血管パターン以外の生体情報(例えば脈拍、脈波など)を検出するものであってもよい。
【0092】
生体センサ部10が、指紋及び血管パターンのうちいずれかのみを検出する場合の例について説明する。以降では、生体センサ部10が指紋を検出せずに血管パターンを検出する場合の例を説明する。
図10は、他の例に係る部分検出領域を示す等価回路図である。
図10に示すように、この例での生体センサ部10は、マトリクス状に配列された複数の部分検出領域PAAを有する。
図10に示すように、生体センサ部10の部分検出領域PAAは、第2フォトダイオードPD2と、容量素子Caと、第1スイッチング素子Trとを含む。第1スイッチング素子Trは、第2フォトダイオードPD2に対応して設けられる。第1スイッチング素子Trのゲートは、ゲート線GCLに接続される。第1スイッチング素子Trのソースは、信号線SGLに接続される。第1スイッチング素子Trのドレインは、第2フォトダイオードPD2のカソード電極54及び容量素子Caの一端に接続される。第2フォトダイオードPD2のアノード電極55及び容量素子Caの他端は、基準電位、例えばグランド電位に接続される。すなわち、生体センサ部10は、第1フォトダイオードPD1を含まない構成となっている。
【0093】
図11は、他の例に係る部分検出領域の模式的な断面図である。
図11に示すように、この例での生体センサ部10は、
図8と同様に、絶縁基板21上に第1スイッチング素子Trが設けられている。ただし、この例での生体センサ部10は、
図8と異なり、第1フォトダイオードPD1が設けられていない。そして、この例での生体センサ部10は、第2フォトダイオードPD2が設けられる位置が、
図8とは異なる。この例での生体センサ部10において、第2フォトダイオードPD2は、第1スイッチング素子Trよりも上側、すなわち第3方向Dz側に設けられている。すなわち、第2フォトダイオードPD2のアノード電極35は、第2層間絶縁膜25の上に設けられる。第2フォトダイオードPD2は、アノード電極35、第2半導体層51、カソード電極34の順に積層される。第2半導体層51は、アノード電極35の上に、p領域52b、i領域52a、n領域52cの順に積層されている。アノード電極35は、第2層間絶縁膜25に設けられたコンタクトホールH4を介して、第1スイッチング素子Trのソース電極62に接続される。
【0094】
生体センサ部10は、以上のように、ポリシリコンを含む第2半導体層51を有する第2フォトダイオードPD2を備え、第1フォトダイオードPD1を備えなくてもよい。この場合、生体センサ部10は、第2フォトダイオードPD2を備えるため、ユーザの血管パターンを好適に検出できる。
【0095】
生体センサ部10がユーザの指紋を検出してユーザの血管パターンを検出しないセンサである場合、生体センサ部10は、第2フォトダイオードPD2を備えず第1フォトダイオードPD1を備えた構成となる。その場合、生体センサ部10の等価回路は、
図10の第2フォトダイオードPD2を第1フォトダイオードPD1に置き換えたものとなり、生体センサ部10の積層構成は、
図11において、第2フォトダイオードPD2を第1フォトダイオードPD1に置き換えたものとなることが好ましい。以上、生体センサ部10の積層構成について説明したが、生体センサ部10は、ユーザの生体情報を検出可能であれば、以上の説明に限られず任意の構造であってよい。
【0096】
次に、第3スイッチング素子TrSの積層構成について説明する。
図12は、駆動回路が有するスイッチング素子の概略断面構成を示す断面図である。
図12は、駆動回路スイッチング素子として信号線選択回路16が有する第3スイッチング素子TrSについて説明する。ただし、
図12の説明は、他の駆動回路が有するスイッチング素子にも適用できる。すなわち、ゲート線駆動回路15が有する第2スイッチング素子TrG及びリセット回路17が有する第4スイッチング素子TrRも
図12と同様の構成を適用できる。
【0097】
図12に示すように、第3スイッチング素子TrSのnチャネルトランジスタn-TrSは、第4半導体層71、ソース電極72、ドレイン電極73及びゲート電極74を含む。また、pチャネルトランジスタp-TrSは、第5半導体層81、ソース電極82、ドレイン電極83及びゲート電極84を含む。第4半導体層71と絶縁基板21との間には、遮光層75が設けられ、第5半導体層81と絶縁基板21との間には、遮光層85が設けられる。
【0098】
第4半導体層71及び第5半導体層81は、いずれもポリシリコンである。より好ましくは、第4半導体層71及び第5半導体層81は、LTPSである。第4半導体層71は、i領域71a、LDD領域71b及びn領域61cを含む。また、第5半導体層81は、i領域81a及びp領域81bを含む。
【0099】
nチャネルトランジスタn-TrS及びpチャネルトランジスタp-TrSの層構成は、
図8に示す第1スイッチング素子Trと同様である。すなわち、第4半導体層71及び第5半導体層81は、
図8に示す第2半導体層51及び第3半導体層61と同層に設けられる。ゲート電極74及びゲート電極84は、
図8に示すゲート電極64と同層に設けられる。ソース電極72、ドレイン電極73、ソース電極82及びドレイン電極83は、
図8に示すソース電極62(第1中継電極56)、ドレイン電極63(信号線SGL)と同層に設けられる。
【0100】
このように、検出領域AAに設けられた第1フォトダイオードPD1及び第1スイッチング素子Trと、周辺領域GAに設けられた第3スイッチング素子TrS等のスイッチング素子が、同じ材料が用いられ同層に設けられる。これにより、生体情報検出装置1の製造工程が簡略化され、製造コストを抑制することができる。なお、周辺領域GAに設けられた駆動回路は、CMOSトランジスタに限定されず、nチャネルトランジスタn-TrS又はpチャネルトランジスタp-TrSのいずれか一方で構成されていてもよい。
【0101】
(認証方法)
検出装置100は、以上のような構成となっている。次に、制御部6によるユーザの認証方法について説明する。
【0102】
図13は、本実施形態に係る制御部のブロック図である。
図13に示すように、制御部6は、操作位置取得部160と、操作判断部162と、生体情報取得部164と、認証部166と、機能制御部168とを有する。操作位置取得部160と、操作判断部162と、生体情報取得部164と、認証部166と、機能制御部168とは、制御部6が記憶部8からソフトウェア(プログラム)を読み出すことで実現されて、後述する処理を実行する。
【0103】
操作位置取得部160は、タッチパネル102においてユーザが操作した位置である操作位置を取得する。操作位置は、上述のように位置センサ部10Aによって検出される。操作位置取得部160は、位置センサ部10Aから、操作位置の情報を取得する。操作位置取得部160は、所定時間毎の操作位置の情報、すなわち所定時間毎のユーザの指Fgや手のひらの近接位置の情報を、取得する。尚、操作位置の検出は、生体情報取得装置の検出部40の座標抽出部45が行ってもよい。
【0104】
操作判断部162は、位置センサ部10Aが検出した操作位置、すなわち操作位置取得部160が取得した操作位置に基づき、ユーザが所定軌跡でタッチパネル102を操作したかを判断する。ここでの軌跡とは、操作位置、すなわちユーザが指Fgや手のひらを近接させたタッチパネル102上の位置が、時間経過に伴い連続的に移動していく場合において、操作位置が移動する軌跡を指す。
図14は、操作位置の軌跡の例を説明する模式図である。
図14の例に示すように、操作位置の軌跡Mは、タッチパネル102上において、さらに言えばタッチパネル102の表面に重畳する表示領域DAや表示領域DA上において、時間経過に伴い連続的に移動する操作位置をトレースした、所定の長さを有するものとなる。もちろん、上記操作位置の軌跡Mを、生体情報取得装置の検出部40の座標抽出部45が検出するものであってもよい。
【0105】
操作判断部162は、操作位置が時間経過に応じて連続的に移動するか、すなわち操作位置が軌跡Mを描いているか、を判断することに加え、この軌跡Mが、予め定めた所定軌跡となっているかを判断する。本実施形態では、操作位置が、時間経過に伴い互いに方向が異なる複数方向に移動する場合の軌跡Mを、所定軌跡として設定する。すなわち、操作判断部162は、操作位置が、時間経過に伴い互いに方向が異なる複数の方向に連続的に移動する場合に、操作位置が所定軌跡を描いており、ユーザが所定軌跡でタッチパネル102を操作したと判断する。一方、操作判断部162は、操作位置が、時間経過に伴い互いに方向が異なる複数の方向に連続的に移動しない場合には、操作位置が所定軌跡を描いておらず、ユーザが所定軌跡でタッチパネル102を操作していないと判断する。例えば、ピンチアウト動作が、この動作、すなわち所定軌跡でのタッチパネル102の操作に該当する。尚、表示装置に所定軌跡を表示させ、ユーザを所定軌跡に沿って操作させるものに限らず、例えば、ピンチアウト動作、スライド動作等、所定の動作を指示するだけであってもよい。
【0106】
図15は、操作位置の軌跡の例を説明する模式図である。
図15は、操作位置が、時間経過に伴い互いに方向が異なる複数の方向に連続的に移動する場合の例を示している。
図15の例では、第1時刻T1における操作位置は、操作位置M1A、M1Bとなっている。そして、第1時刻T1より後の第2時刻T2における操作位置は、操作位置M2A、M2Bとなっている。操作位置M2Aは、操作位置M1Aに対し、方向DA側にある。また、操作位置M2Bは、操作位置M1Bに対し、方向DAと異なる方向の方向DB側にある。また、第2時刻T2より後の第3時刻T3における操作位置は、操作位置M3A、M3Bとなっている。操作位置M3Aは、操作位置M2Aに対し、方向DA側にある。また、操作位置M3Bは、操作位置M2Bに対し、方向DAと異なる方向の方向DB側にある。この場合、操作位置の軌跡Mは、操作位置M1Aから操作位置M2Aを経て操作位置M3Aへ移動する方向DAと、操作位置M1Bから操作位置M2Bを経て操作位置M3Bへ移動する方向DB’とに、操作位置が互いに異なる方向へ移動したものとなる。操作判断部162は、操作位置が例えば
図15に示すように移動している場合に、操作位置が所定軌跡を描いていると判断する。なお、
図15は所定軌跡の一例であり、本実施形態における操作判断部162は、操作位置が互いに異なる複数の方向に連続的に移動する場合に、操作位置が所定軌跡を描いていると判断すればよい。例えば、
図15においては、操作位置M1Aから操作位置M2Aを経て操作位置M3Aまで、同じ方向DAに連続して移動しているが、時間経過に伴い移動方向が変化してもよい移動していてもよい。操作判断部162は、同じタイミングにおいて、操作位置が複数の異なる方向に移動している場合に(例えば、操作位置M1Aから操作位置M2Aまでの方向と、操作位置M1Bから操作位置M2Bまでの方向とが異なる場合に)、所定位置を描いていると判断すればよい。また、
図15の例では、同じタイミングに2つの異なる方向に操作位置が移動していたが、3つ以上の異なる方向に操作位置が移動していてもよい。
【0107】
なお、所定軌跡は、操作位置が、時間経過に伴い互いに方向が異なる複数の方向に連続的に移動するものに限られず、任意に設定できる。例えば、所定軌跡は、操作位置が、時間経過に伴い、所定長さ以上連続的に移動している場合(例えば
図14のように、ユーザが、少なくとも1本の指Fgで画面上をスライド操作している場合)に、所定軌跡を描いていると判断してもよい。
【0108】
図13に戻り、生体情報取得部164は、生体センサ部10から、ユーザの生体情報(例えば指紋及び血管パターン)を取得する。具体的には、上述のように、生体センサ部10は、タッチパネル102に近接しているユーザの指Fgや手のひらに反射された光L2に応じた検出信号Vdetを、信号線選択回路16(
図3参照)を介して検出部40(
図3参照)に出力する。そして、検出部40は、座標抽出部45によって、検出信号Vdetに基づき、ユーザの生体情報(ここでは指紋や血管パターンの二次元情報)を生成する。生体情報取得部164は、検出部40から、ユーザの生体情報を取得する。
【0109】
より詳しくは、生体情報取得部164は、操作判断部162により、操作位置が所定軌跡を描いていると判断された場合に、所定軌跡を描いた操作位置におけるユーザの生体情報を取得する。言い換えれば、生体情報取得部164は、操作判断部162により、ユーザが所定軌跡でタッチパネル102を操作したと判断された場合に、生体センサ部10から、ユーザが所定軌跡でタッチパネル102を操作した際のユーザの生体情報を取得する。すなわち、生体情報取得部164は、所定軌跡を描いたタイミングにおける、所定軌跡を描いた操作位置でのユーザの生体情報を、生体センサ部10から取得する。
【0110】
なお、所定軌跡は、操作位置をトレースしたものであるため、所定軌跡を描く操作位置は、複数存在する。生体情報取得部164は、所定軌跡を描いた複数の操作位置のうちの、全ての操作位置におけるユーザの生体情報を取得してもよいし、一部の操作位置におけるユーザの生体情報を取得してもよい。一部の操作位置におけるユーザの生体情報を取得する場合、生体情報取得部164は、検出された時刻が遅い側の操作位置の生体情報を取得してもよい。すなわち、
図15の例では、操作位置M1A、M1B、M2A、M2B、M3A、M3Bのうち、時刻が遅い側の操作位置M2A、M2B、M3A、M3Bにおける生体情報を取得してもよく、時刻が最も遅い操作位置M3A、M3Bにおける生体情報を取得してもよい。また、所定軌跡は、操作位置が複数方向に移動している場合にそれぞれの操作位置をトレースしたものとなる。従って、同じタイミングで複数の操作位置が検出される。この場合、生体情報取得部164は、同じタイミングにおける複数の操作位置のうちの、全ての操作位置における生体情報(例えば操作位置M3A(例えばユーザの左手の親指)、M3B(例えばユーザの左手の人差し指)の両方における生体情報)を取得してもよいし、一部の操作位置における生体情報(例えば操作位置M3A、M3Bのうち一方の生体情報)を取得してもよい。また、ユーザが画面上で上述の軌跡をトレースする際、生体情報取得部164に対するユーザの指の角度が変化する。そのため、複数の操作位置におけるユーザの生体情報のうち、最も鮮明に取得出来たもの、或いは、予め定められたユーザの指と生体情報取得部164との角度に一致する或いは近似するものをユーザの生体情報として選定するものであってもよい。尚、この機能は、検出装置100が接続される電子機器の演算装置が行ってもよい。
【0111】
認証部166は、生体情報取得部164が取得したユーザの生体情報に基づき、所定機能を実行するかを判断する。所定機能とは、上述のように、例えばユーザが検出装置100に対して実行を要求している機能(例えばプログラムの起動やウェブサイトへのアクセスなど)である。認証部166は、記憶部8から、予め記憶された基準となる生体情報である基準生体情報を読み出す。基準生体情報は、例えば所定機能の利用が許可されるユーザの生体情報(ここでは指紋や血管パターンの二次元情報)として、予め記憶されたものである。なお、基準生体情報は、記憶部8に記憶されていることに限られず、外部装置などから通信によって取得されてもよい。認証部166は、ユーザの生体情報と基準生体情報とを照合して、ユーザの生体情報が基準生体情報に一致するかを判断する。例えば、認証部166は、ユーザの生体情報と基準生体情報とをパターン照合して、特徴点の類似度が所定の度合い以上であれば、ユーザの生体情報が基準生体情報に一致すると判断し、類似度が所定の度合い未満であれば、ユーザの生体情報が基準生体情報に一致しないと判断してよい。なお、ユーザの生体情報と基準生体情報とは、周知の技術を用いて照合されてよい。
【0112】
認証部166は、ユーザの生体情報が基準生体情報に一致していると判断した場合に、認証可として、所定機能を実行すると判断する。一方、認証部166は、ユーザの生体情報が基準生体情報に一致していないと判断した場合に、認証不可として、所定機能を実行しないと判断する。
【0113】
機能制御部168は、検出装置100を制御して、検出装置100に所定機能を実行させる。機能制御部168は、認証部166が所定機能を実行すると判断した場合、すなわち認証可とされた場合に、検出装置100に所定機能を実行させる。機能制御部168は、認証部166が所定機能を実行しないと判断した場合、すなわち認証不可とされた場合には、検出装置100に所定機能を実行させない。
【0114】
制御部6は、以上のように、ユーザの操作位置が所定軌跡を描いている場合に、ユーザの生体情報を取得して認証を行い、所定機能の実行可否を判断する。ここで、指Fgのタッチパネル102への接触面積が小さい場合や、接触時間が短い場合などにおいては、生体情報を適切に検出できなくなり、認証精度が低下するおそれがある。それに対し、本実施形態に係る検出装置100は、所定軌跡の場合に生体情報を取得することで、ユーザの生体情報を適切に検出して認証精度の低下を抑えることができる。すなわち、所定軌跡を描いている場合は、指Fgのタッチパネル102への接触時間や接触面積が大きくなる傾向にあるため、所定軌跡を描いている場合の生体情報を取得することで、ユーザの生体情報を適切に検出することが可能となる。
【0115】
さらに、本実施形態では、所定軌跡は、操作位置が複数の方向に移動する軌跡を指す。所定軌跡がこのようになっている場合、ユーザは、ピンチアウトの動作でタッチパネル102を操作している可能性が高い。
図16は、ユーザの操作の例を示す模式図である。
図16の例に示すように、ピンチアウトとは、ユーザが、複数の指Fgを互いに離す動作を指す。このようにピンチアウトの動作をした場合、指Fgが近接した位置である操作位置は、互いに異なる複数方向に移動する軌跡Mとなる。ユーザがこのようにピンチアウトの動作をした場合、指Fgは、腹の部分でタッチパネル102に接触することになるため、例えば指先で接触するよりも、指Fgのタッチパネル102への接触面積が大きくなる。すなわち、検出装置100は、所定軌跡の場合に、特にピンチアウトの動作がされた場合に、生体情報を取得することで、指Fgのタッチパネル102への接触面積が大きい場合の生体情報を取得することが可能となり、ユーザの生体情報を適切に検出することが可能となる。特に、血管パターンの検出は、検出精度向上のため、指Fgのタッチパネル102への接触面積を大きくすることが好ましいため、本実施形態に係る検出装置100は、血管パターンを好適に検出できる。
【0116】
なお、本実施形態においては、検出装置100が、認証部166によって認証を行う。ただし、検出装置100が認証を行わなくてもよい。この場合、例えば、制御部6は、取得したユーザの生体情報を別の装置に送信し、その別の装置が、認証部166として、ユーザの生体情報と基準生体情報とを照合して認証を行ってもよい。そして、その別の装置は、認証した結果、すなわち所定機能の実行可否の判断結果を検出装置100に送信して、検出装置100は、その結果に基づき、所定機能を実行、又は実行しないかを決定する。
【0117】
次に、認証処理のフローをフローチャートに基づき説明する。
図17は、本実施形態に係る認証処理を説明するフローチャートである。
図17に示すように、検出装置100は、所定機能の実行要求があるかを判断する(ステップS10)。検出装置100は、例えば制御部6により、検出装置100に所定機能の実行が要求されているかを判断する。所定機能の実行要求は、例えば、ユーザの操作、すなわち、ユーザが、検出装置100の入力部(例えばタッチパネル102)に、所定機能を実行する旨の操作を行うことで、検出装置100に入力される。ただし、所定機能の実行要求は、ユーザの操作をトリガとして行われることに限られず、例えば、所定時間毎に自動的に行われてもよい。また、検出装置100を入室管理装置等の電子機器に組み込む場合は、ユーザが装置に近接した場合、或いは、ATM等の電子機器に組み込む場合は、ユーザがカード等を電子機器に挿入した場合をトリガとしてもよい。
【0118】
所定機能の実行要求がある場合(ステップS10;Yes)、表示装置(検出装置100)にユーザが指等をタッチし、かつ、指をスライド、或いはピンチアウト等を指示する画面、すなわち後述の誘導画像Pを表示する(ステップS11)。検出装置100は、制御部6の操作位置取得部160により、位置センサ部10Aが検出した操作位置の情報を取得する(ステップS12)。操作位置取得部160は、所定時間毎の操作位置の情報、すなわち所定時間毎のユーザの指Fgや手のひらの近接位置の情報を、取得する。なお、所定機能の実行要求がない場合(ステップS10;No)、ステップS10に戻り、所定機能の実行要求の受け付けを続ける。
【0119】
操作位置の情報を取得したら、検出装置100は、制御部6の操作判断部162により、ユーザが所定軌跡でタッチパネル102を操作したかを判断する(ステップS14)。操作判断部162は、所定時間毎の操作位置の情報に基づき、操作位置が、所定軌跡を描くように連続的に移動するかを判断する。ユーザが所定軌跡でタッチパネル102を操作したと判断した場合(ステップS14;Yes)、検出装置100は、制御部6の生体情報取得部164により、ユーザが所定軌跡でタッチパネル102を操作した際のユーザの生体情報を取得する(ステップS16)。ユーザが所定軌跡でタッチパネル102を操作していないと判断した場合(ステップS14;No)、検出装置100は、例えばステップS11に戻り、誘導画像Pを表示して操作位置の取得を続ける。この際、ユーザの手の大きさ等により、表示装置に表示した指示では十分に生体情報が取得できないと判断した場合、表示装置に表示するスライドの距離、角度、時間、又は、ピンチアウトの距離、角度、時間等を変更するための演算を行い、再度生体情報を取得する際の表示に反映させることも可能である。例えば、指が想定よりも短いと判断した場合、ピンチアウトの距離を短くしたり、指が想定よりも長いと判断した場合、ピンチアウトの距離を長くしたりすることで、生体情報の正確な取得が可能となる。すなわち、検出装置100は、ユーザが所定軌跡でタッチパネル102を操作していないと判断した場合(ステップS14;No)、誘導画像Pを再度表示するための演算を実行して(ステップS15)、ステップS11に戻り、実行した演算に基づき画面を表示する。すなわち、検出装置100は、所定軌跡でタッチパネル102を操作していないと判断した際に用いた操作位置の情報に基づき演算を行って、その演算に基づき、次の誘導画像Pの表示内容を前の誘導画像Pの表示内容と異ならせてよい。この演算は、誘導画像Pを、ユーザの所定軌跡での操作をより取得しやすいものに変更する演算であるといえる。また、ユーザの指のスライド、ピンチアウトは、生体情報取得のために独立して表示するものであってもいいが、ホーム画面内に表示されている所定のアプリケーションを起動する際のボタン、或いは、ATMにおいては「引き出し」のボタン表示と一体化することも可能である。
【0120】
所定軌跡におけるユーザの生体情報を取得したら、検出装置100は、制御部6の認証部166により、ユーザの生体情報と基準生体情報とを照合し(ステップS18)、ユーザの生体情報が基準生体情報に一致する場合(ステップS20;Yes)、認証可として所定機能を実行してよいと判断し、機能制御部168により、所定機能を実行する(ステップS22)。ユーザの生体情報が基準生体情報に一致しない場合(ステップS20;No)、認証不可として、所定機能を実行しない(ステップS24)。ステップS22、ステップS24により本処理は終了するが、例えば認証不可となった場合でも、一度目であればステップS11やステップS16などに戻り、再度認証処理を続けてもよい。その際、ステップS15に戻って、上述の演算を行ってもよい。認証不可(ステップS20;No)が二度目となった場合は、ステップS24に進んでよい。また、認証可となってステップS22を実行した後でも、ステップS11やステップS16などに戻り、所定時間毎に認証処理を続けてもよい。
【0121】
なお、本実施形態における生体情報取得部164は、所定軌跡であると判断した場合に生体情報を取得しているが、所定軌跡と判断されるまでは生体センサ部10から生体情報を取得せず、所定軌跡であると判断した場合をトリガとして、生体センサ部10から生体情報を取得してもよい。また、生体情報取得部164は、所定軌跡であるとの判断に関係なく、常に生体センサ部10から生体情報を取得してもよい。この場合、生体情報取得部164は、生体センサ部10からの生体情報を、例えば記憶部8に記憶させておき、所定軌跡であると判断したことをトリガとして、所定軌跡を描いた操作位置に対応する生体情報を、記憶部8から読み出すことで取得して、認証に使用してよい。また、生体センサ部10は、本実施形態では、ステップS10のように所定機能の実行要求があったことをトリガとして駆動されて、生体情報の検出を行う。ただし、生体センサ部10が駆動するトリガはこれに限られず、常に駆動されていてもよいし、例えば位置センサ部10Aが近接を検出したことをトリガとして駆動されてもよい。
【0122】
以上説明したように、本実施形態に係る検出装置100は、ユーザの操作を受け付ける入力部(ここではタッチパネル102)と、入力部に設けられてユーザの生体情報を検出する生体センサ部10と、入力部においてユーザが操作した位置である操作位置を検出する位置センサ部10Aと、制御部6と、を有する。制御部6は、操作判断部162と、生体情報取得部164とを有する。操作判断部162は、位置センサ部10Aが検出した操作位置に基づき、ユーザが所定軌跡で入力部を操作したかを判断する。生体情報取得部164は、ユーザが所定軌跡で入力部を操作したと判断した場合に、生体センサ部10から、ユーザが所定軌跡で入力部を操作した際のユーザの生体情報を取得する。この検出装置100は、所定軌跡を描いている場合の生体情報を取得することで、ユーザのタッチパネル102への近接時間や接触面積を大きくして、ユーザの生体情報を適切に検出することが可能となる。
【0123】
また、制御部6は、取得したユーザの生体情報に基づき、予め定めた所定機能を実行するかを判断する認証部166をさらに有する。この検出装置100は、認証部166によってユーザ認証を適切に行うことができる。
【0124】
また、操作判断部162は、操作位置に基づき、ユーザが複数の指を互いに離すピンチアウトの動作を行ったかを判断する。操作判断部162は、ユーザがピンチアウトの動作を行ったと判断した場合に、ユーザが所定軌跡で入力部を操作したと判断する。ユーザがピンチアウト動作をしている場合は、指Fgの接触面積が大きい傾向にある。従って、検出装置100は、ピンチアウト動作をしている場合に、所定軌跡を描いているとして生体情報を取得することで、ユーザの生体情報を適切に検出することが可能となる。
【0125】
また、生体センサ部10は、ユーザの血管パターンとユーザの指紋との少なくとも一方を検出する。この検出装置100は、生体情報として、血管パターンや指紋を検出することで、ユーザの認証を適切に行うことができる。
【0126】
また、生体センサ部10は、アモルファスシリコンを含む半導体(第1半導体層31)と、ポリシリコンを含む半導体(第2半導体層51)とを備えて、ユーザの血管パターンとユーザの指紋とを検出する。検出装置100は、このような生体センサ部10を備えることで、複数種類の生体情報から認証を行う事が可能となり、認証の精度を高くすることができる。例えば、検出装置100は、ユーザの指紋と血管パターンとの両方が基準生体情報に一致する場合に、認証可として、所定機能を実行してもよい。また、検出装置100は、ユーザの指紋と血管パターンとのうちの、いずれか一方を取得して、その取得した一方が基準生体情報と一致した場合に、認証可として、所定機能を実行してもよい。検出装置100は、その後に、ユーザの指紋と血管パターンとのうちの他方を取得して、その他方が基準生体情報と一致しない場合、所定機能の実行を中断してもよい。尚、指紋の検出には可視光を用い、血管パターンの検出には赤外線を用いる。例えば、ピンチアウトの初期段階では赤外線を用いて血管パターンを取得し、ピンチアウトの最終段階で指が十分に検出装置100と平行になった時点で指紋、或いは、指紋と血管パターンの双方を取得するものであってもよい。また、表示装置と検出装置とを同じサイズで形成した場合、表示装置の画面の何れでも生体情報の検出が可能である。しかし、表示装置の一部にのみ検出装置を配置する場合、スライドの終点、或いは、ピンチアウトの終点を検出装置と合致させるような画面表示を表示装置に行わせることも可能である。
【0127】
なお、検出装置100は、表示パネル101に、所定軌跡でタッチパネル102を操作することを誘導する画像である誘導画像Pを表示させてもよい。
図18は、誘導画像の例を示す図である。検出装置100は、例えば制御部6により、表示パネル101の表示領域DAに、誘導画像Pを表示させる。誘導画像Pは、
図18の例では、画像P1、P2、P3を有する。画像P1、P2は、バー状の画像である。画像P1は、画像P2の領域内であって、画像P2の中央位置に表示される。すなわち、画像P1が一方の端部P1Aから他方の端部P1Bまで延在する画像であり、画像P2が一方の端部P2Aから他方の端部P2Bまで延在する画像とすると、画像P1の一方の端部P1Aは、画像P2の一方の端部P2Aよりも、他方の端部P2A、P2B側(
図18の例では第1方向Dxと反対側)にある。そして、画像P1の他方の端部P1Bは、画像P2の他方の端部P2Bよりも、一方の端部P1A、P2A側(
図18の例では第1方向Dx側)にある。画像P3は、画像P1を広げることを促す通知が表示されている。
【0128】
この誘導画像Pが表示されることで、ユーザは、画像P1を両側に広げるようにタッチパネル102を操作するよう誘導される。画像P1を両側に広げるようにタッチパネル102が操作されると、誘導画像Pは、画像P1の一方の端部P1Aが画像P2の一方の端部P2A側に広がるように移動し、画像P1の他方の端部P2Aが画像P2の他方の端部P2B側に広がるように移動する。このように画像P1を両側に広げるようにタッチパネル102を操作した場合、操作位置が複数の異なる方向に移動することで所定軌跡を描き、言い換えれば、ユーザがピンチアウト動作を行うような軌跡となる。このように操作位置が所定軌跡を描くことで、検出装置100は生体情報の検出を行うことができる。
【0129】
このように、検出装置100は、入力部(タッチパネル102)と重畳して設けられて画像を表示する表示パネル101を有する。そして、制御部6は、表示パネル101に、所定軌跡で入力部を操作することを誘導する誘導画像Pを表示させてもよい。この検出装置100によると、ユーザが所定軌跡で入力部を操作する可能性が高くなり、生体情報を好適に検出できる。なお、誘導画像Pは、
図18の例に限られず、任意のものであってよい。
【0130】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0131】
1 生体情報検出装置
6 制御部
10 生体センサ部
10A 位置センサ部
100 検出装置
101 表示パネル
102 タッチパネル
160 操作位置取得部
162 操作判断部
164 生体情報取得部
166 認証部
168 機能制御部
PD1 第1フォトダイオード
PD2 第2フォトダイオード