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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】両軸受リール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/015 20060101AFI20230926BHJP
【FI】
A01K89/015 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019091946
(22)【出願日】2019-05-15
(65)【公開番号】P2020184934
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】503230070
【氏名又は名称】シマノコンポネンツ マレーシア エスディーエヌ.ビーエッチディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】バイハキ ビン サブツ
(72)【発明者】
【氏名】アブ スピアン ビン アーマッド
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド アリフ ナズリーン ビン ノラズミ
(72)【発明者】
【氏名】モホド シャムソル ジョハリ ビン イスマイル
(72)【発明者】
【氏名】モホド シュクリ ナズリ ビン ムスタファ
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-313749(JP,A)
【文献】特開平10-146143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1側板と、前記第1側板と左右方向に間隔を隔てて配置された第2側板と、前後方向に延びた竿装着部と、を有するリール本体と、
前記第1側板と前記第2側板との間に配置され、前記リール本体に回転可能に支持されたスプールと、
螺旋状溝を有するウォーム軸と、前記螺旋状溝に前記竿装着部側から係合する係合部材と、前記係合部材を収容する収容部を有する移動部材と、前記収容部を覆う蓋部材と、を有し、前記スプールの前方に配置されたレベルワインド機構と、
を備え、
前記蓋部材は、前記蓋部材の前記竿装着部側にある底面と、前記底面から前記ウォーム軸に向かって外径が大きくなるようにテーパ状に傾斜した外側面と、を有し、
前記蓋部材と前記スプールとの間に配置され、前記左右方向に延び、釣り糸が前記蓋部材の前記外側面に絡まることを防止する棒状の糸絡み防止部材をさらに備え、
前記竿装着部の竿装着面から前記糸絡み防止部材の前記竿装着部側の表面までの距離は、前記竿装着部の前記竿装着面から前記蓋部材の前記底面までの距離と同程度である、
両軸受リール。
【請求項2】
第1側板と、前記第1側板と左右方向に間隔を隔てて配置された第2側板と、前後方向に延びた竿装着部と、を有するリール本体と、
前記第1側板と前記第2側板との間に配置され、前記リール本体に回転可能に支持されたスプールと、
螺旋状溝を有するウォーム軸と、前記螺旋状溝に前記竿装着部側から係合する係合部材と、前記係合部材を収容する収容部を有する移動部材と、前記収容部を覆う蓋部材と、を有し、前記スプールの前方に配置されたレベルワインド機構と、
を備え、
前記蓋部材は、前記蓋部材の前記竿装着部側にある底面と、前記底面から前記ウォーム軸に向かって外径が大きくなるようにテーパ状に傾斜した外側面と、を有し、
前記蓋部材と前記スプールとの間に配置され、前記左右方向に延び、釣り糸が前記蓋部材の前記外側面に絡まることを防止する棒状の糸絡み防止部材をさらに備え、
前記糸絡み防止部材の少なくとも一部は、前方から見て、前記蓋部材と重なり、
前記竿装着部の竿装着面から前記糸絡み防止部材の前記竿装着部側の表面までの距離は、前記竿装着部の前記竿装着面から前記蓋部材の前記底面までの距離よりも長い、
両軸受リール。
【請求項3】
前記竿装着部が延びる方向に平行な直線と、前記蓋部材の前記外側面に平行な直線とのなす角度は100°以上である、
請求項1又は2に記載の両軸受リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り用リール、特に両軸受リールに関する。
【背景技術】
【0002】
両軸受リールのレベルワインド機構は、螺旋状溝を有するウォーム軸と、螺旋状溝に係合する係合部材と、係合部材を収容する収容部を有する移動部材と、収容部を覆う蓋部材と、を有している(特許文献1参照)。
【0003】
レベルワインド機構を有する両軸受リールでは、バックラッシュが発生したときに、釣り糸が蓋部材に絡まるおそれがある。この防止策として、例えば特許文献1には、蓋部材の底面と竿装着部との間に保護部材を配置した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平2-116963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のレベルワインド機構では、板状の保護部材を設けて蓋部材への糸絡みを防止しているため、組立性が低下する。また、蓋部材の底面と竿装着部との間に部材が配置されているため、蓋部材から竿装着部までの距離が離れてしまい、パーミングしたときの把持性が低下するおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、レベルワインド機構の蓋部材への糸絡みを簡単な構成で抑制することができる両軸受リールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る両軸受リールは、リール本体と、スプールと、レベルワインド機構と、を備える。リール本体は、第1側板と、第1側板と左右方向に間隔を隔てて配置された第2側板と、前後方向に延びた竿装着部と、を有する。スプールは、第1側板と第2側板との間に配置され、リール本体に回転可能に支持される。レベルワインド機構は、スプールの前方に配置される。レベルワインド機構は、螺旋状溝を有するウォーム軸と、螺旋状溝に竿装着部側から係合する係合部材と、係合部材を収容する収容部を有する移動部材と、収容部を覆う蓋部材と、を有する。蓋部材は、蓋部材の竿装着部側にある底面と、底面からウォーム軸に向かって外径が大きくなるようにテーパ状に傾斜した外側面と、を有する。
【0008】
この両軸受リールでは、蓋部材の外側面が蓋部材の竿装着部側にある底面からウォーム軸に向かってテーパ状に傾斜しているので、蓋部材に釣り糸が絡みにくくなる。すなわち、糸絡みを防止するための板状の保護部材等を設けることなく、蓋部材への糸絡みを簡単な構成で抑制することができる。また、釣り糸が蓋部材に絡まりかけた場合は、釣り糸を引っ張ることで、蓋部材に絡まりかけた釣り糸を蓋部材から容易に解くことができる。さらに、糸絡みを防止するための部材等を蓋部材の底面と竿装着部との間に設ける必要がないため、リール本体のコンパクト化を図ることが可能になり、パーミングしたときの把持性を向上させることができる。
【0009】
好ましくは、両軸受リールは、糸絡み防止部材をさらに備える。糸絡み防止部材は、蓋部材とスプールとの間に配置され、左右方向に延び、釣り糸が蓋部材の外側面に絡まることを防止する。竿装着部の竿装着面から糸絡み防止部材の竿装着部側の表面までの距離は、竿装着部の竿装着面から蓋部材の底面までの距離と同程度である。この場合は、糸絡み防止部材を備える両軸受リールにおいて、蓋部材への糸絡みをさらに抑制しつつ、リール本体のコンパクト化を図ることができる。
【0010】
好ましくは、両軸受リールは、糸絡み防止部材をさらに備える。糸絡み防止部材は、蓋部材とスプールとの間に配置され、左右方向に延び、釣り糸が蓋部材の外側面に絡まることを防止する。竿装着部の竿装着面から糸絡み防止部材の竿装着部側の表面までの距離は、竿装着部の竿装着面から蓋部材の底面までの距離よりも長い。この場合は、糸絡み防止部材を備える両軸受リールにおいて、蓋部材への糸絡みをさらに抑制しつつ、リール本体のコンパクト化をさらに図ることができる。
【0011】
好ましくは、竿装着部が延びる方向に平行な直線と、蓋部材の外側面に平行な直線とのなす角度は100°以上である。この場合は、蓋部材への糸絡みを効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、レベルワインド機構の蓋部材への糸絡みを簡単な構成で抑制することができる両軸受リールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態が採用された両軸受リールの正面図。
図2図1のII-II線断面図。
図3図2の一部を拡大した図。
図4図2の一部を拡大した図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明において、釣りを行うときに、釣り糸が繰り出される方向を前、その反対方向を後という。また、左右とは、両軸受リール100(図1参照)を後方から見たときの左右をいう。また、上下とは、両軸受リール100を釣竿に装着したときの、釣竿が装着される側を上、その反対側を下という。具体的には、図1における上側を上、下側を下として説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態が採用された両軸受リール100の正面図である。図2は、図1のII線断面図である。図3は、図2の一部を拡大した図である。両軸受リール100は、釣り糸を前方に繰り出し可能である。両軸受リール100は、図1及び図2に示すように、リール本体2と、スプール3と、ハンドル4と、レベルワインド機構5と、を備えている。
【0016】
また、両軸受リール100は、ハンドル4の回転をスプール3に伝達する回転伝達機構、スプール3の糸繰り出し方向の回転を制動するドラグ機構、スプール3に作用する制動力を調節するキャスティングコントロール機構、スプール3の回転に応じて数値が変化する機械式のカウンタ、クラッチ機構等を備えている。
【0017】
リール本体2は、第1側板6aと、第2側板6bと、複数の連結部6cと、竿装着部6dと、第1側カバー7と、第2側カバー8と、を有している。第1側板6a、第2側板6b、複数の連結部6c、及び竿装着部6dは、本実施形態では一体に形成されている。
【0018】
第1側板6aは、リール本体2の右側に配置されている。第2側板6bは、第1側板6aと左右方向に間隔を隔ててリール本体2の左側に配置されている。複数の連結部6cは、左右方向に延び、第1側板6aと第2側板6bとを連結している。
【0019】
竿装着部6dは、図2に示すように、前後方向に延びている。竿装着部6dは、釣竿が装着される竿装着面6eを有している。竿装着面6eは、竿装着部6dの下面に形成されている。竿装着面6eは、スプール3よりも下方に配置されている。
【0020】
第1側カバー7は、第1側板6aの右側方を覆う。第2側カバー8は、第2側板6bの左側方を覆う。
【0021】
スプール3は、第1側板6aと第2側板6bとの間に配置され、リール本体2に回転可能に支持されている。スプール3は、図2に示すように、スプール3の中央を左右方向に貫通するスプール軸10に固定されており、スプール軸10と一体的に回転する。
【0022】
ハンドル4は、図1に示すように、リール本体2の第1側板6a側に回転可能に設けられている。ハンドル4の回転は、回転伝達機構を介して、スプール3に伝達される。
【0023】
レベルワインド機構5は、図1及び図2に示すように、スプール3の前方に配置されている。レベルワインド機構5は、ハンドル4の糸巻き取り方向の回転に応じて、第1側板6aと第2側板6bとの間を左右方向に往復移動する。これにより、釣り糸がスプール3に均一に巻き付けられる。
【0024】
レベルワインド機構5は、図1から図3に示すように、ウォーム軸11と、案内部材12と、ガイド軸13と、移動部材14と、係合部材15と、蓋部材16と、を有している。
【0025】
ウォーム軸11は、左右方向に延び、第1側板6aと第2側板6bとの間でリール本体2に回転可能に支持されている。ウォーム軸11は、移動部材14を左右方向に貫通している。ウォーム軸11は、図1に示すように、係合部材15が係合する螺旋状溝11aを有している。螺旋状溝11aは、ウォーム軸11の外周面に形成されている。
【0026】
案内部材12及びガイド軸13は、ウォーム軸11に沿う方向に移動部材14を案内するために設けられる。案内部材12及びガイド軸13は、図1に示すように、第1側板6aと第2側板6bとの間で左右方向に延び、リール本体2に固定されている。案内部材12及びガイド軸13は、移動部材14を左右方向に貫通している。
【0027】
案内部材12は、ウォーム軸11の外周側に配置されている。本実施形態では、案内部材12は、半円筒形状であり、ウォーム軸11の上方に配置されている。なお、案内部材12は、螺旋状溝11aを露出させるための開口を設けた円筒形状の部材であってもよい。
【0028】
移動部材14は、係合部材15を介して、第1側板6aと第2側板6bとの間を案内部材12及びガイド軸13に沿って左右方向に往復移動する。移動部材14は、糸案内部14aと、収容部14b(図3参照)と、を有している。
【0029】
糸案内部14aは、釣り糸を通すための孔であり、糸案内部14aを通る釣り糸が移動部材14とともに左右方向に移動することで、釣り糸がスプール3に均一に巻き付けられる。
【0030】
収容部14bは、係合部材15を回転可能に収容するための貫通孔であり、移動部材14の竿装着部6d側からウォーム軸11に向かって延びている。収容部14bは、断面が円形状に形成され、両端が開口している。本実施形態では、収容部14bは、収容部14bの上方に螺旋状溝11aが位置するように、移動部材14の下部において上下方向に延びて形成されている。
【0031】
係合部材15は、螺旋状溝11aに竿装着部6d側から係合する。係合部材15は、移動部材14の収容部14bに回転可能に収容される。係合部材15は、図3に示すように、軸部15aと、係合部15bと、を有している。軸部15aは、略円柱状に形成され、収容部14bに回転可能に収容される。係合部15bは、軸部15aの一端に形成され、先端が螺旋状溝11aに係合する。
【0032】
蓋部材16は、有底筒状の部材であり、収容部14bの竿装着部6d側を覆う。蓋部材16は、係合部材15の軸部15aの竿装着部6d側を覆う。蓋部材16は、蓋部材16の内周部が収容部14bの外周部にねじ結合して、移動部材14に固定される。蓋部材16の内周部と収容部14bの外周部の間には、シール部材18が配置されている。シール部材18は、例えばOリングである。
【0033】
蓋部材16は、図3に示すように、底面16aと、外側面16bと、を有している。底面16aは、蓋部材16の竿装着部6d側に位置する面であり、底面16aの上方に係合部材15が配置されている。底面16aは、収容部14b及び係合部材15の下方に配置されている。本実施形態では、底面16aは、円形面であり、前後方向および左右方向に沿う方向に延びている。
【0034】
外側面16bは、底面16aからウォーム軸11に向かって外径が大きくなるようにテーパ状に傾斜して形成されている。言い換えると、外側面16bは、竿装着部6dに近づくにつれて外径が小さくなるようにテーパ状に傾斜して形成されている。本実施形態では、外側面16bは、円錐面状に形成され、底面16aから上方に向かって外径が大きくなるようにテーパ状に傾斜して形成されている。
【0035】
両軸受リール100は、好ましくは、糸絡み防止部材20をさらに備えている。糸絡み防止部材20は、図1及び図2示すように、例えば棒状の部材であり、第1側板6aと第2側板6bとの間で左右方向に延び、リール本体2に固定されている。糸絡み防止部材20は、図2に示すように、スプール3と蓋部材16との間に配置されている。糸絡み防止部材20は、蓋部材16の外側面16bに釣り糸が絡まることを防止する。
【0036】
図4は、図2の一部を拡大した図であり、説明を分かり易くするために竿装着部6dの構成を模式的に示している。図4に示すように、竿装着面6eから糸絡み防止部材20の竿装着部6d側の表面20aまでの距離D1は、竿装着面6eから蓋部材16の底面16aまでの距離D2と同程度である。本実施形態では、距離D1は、距離D2よりも僅かに長い。すなわち、防止部材20の表面20aは、底面16aよりも上方に位置する。
【0037】
距離D1は、言い換えると、側面視において、竿装着面6eを通り且つ竿装着部6dが延びる方向に平行な直線L1と、糸絡み防止部材20の表面20aを通り且つ直線L1に平行な直線L2の間の距離である。距離D2は、言い換えると、側面視において、直線L1と、蓋部材16の底面16aを通り且つ直線L1に平行な直線L3の間の距離である。
【0038】
なお、糸絡み防止部材20は、正面視において、蓋部材16の底面16aと前後方向に重なる位置に配置されてもよい。すなわち、距離D1が距離D2と同じ、或いは距離D1が距離D2よりも短くなるように構成されてもよい。
【0039】
上記構成の両軸受リール100では、蓋部材16の外側面16bが蓋部材16の底面16aからウォーム軸11に向かってテーパ状に傾斜しているので、蓋部材16に釣り糸が絡みにくくなる。これにより、蓋部材16への糸絡みを簡単な構成で抑制することができる。また、釣り糸が蓋部材16に絡まりかけた場合は、釣り糸を例えばスプール3側に引っ張ることで、蓋部材16に絡まりかけた釣り糸を蓋部材16から容易に解くことができる。
【0040】
さらに、蓋部材16の底面16aと竿装着部6dとの間に蓋部材16への糸絡みを防止するための部材等を設ける必要がないので、リール本体2のコンパクト化を図ることが可能になり、パーミングしたときの把持性を向上させることができる。
【0041】
ここで、例えば、蓋部材16の外側面16bの外径が一定の場合は、釣り糸が蓋部材16に絡まりかけたときに釣り糸をスプール側に引っ張っても、釣り糸が蓋部材16の外側面16bに引っかかり、蓋部材16から釣り糸を解くことが難しい。したがって、蓋部材16の外側面16bの外径が一定の場合は、蓋部材16への糸絡みを未然に効果的に防止するために、距離D1が距離D2よりも短くなるように糸絡み防止部材20を配置することが好ましい。しかしながら、この場合は、リール本体2が大型化してパーミングしたときの把持性が低下するおそれがある。
【0042】
一方、蓋部材16の外側面16bの外径が一定の場合において、距離D1が距離D2と同程度になるように糸絡み防止部材20を配置した場合は、リール本体2のコンパクト化を図ることができたとしても、糸絡み防止部材20によって蓋部材16への糸絡みを未然に効果的に防止することができない。
【0043】
しかしながら、上記構成の両軸受リール100では、蓋部材16に釣り糸が絡まりにくく、さらに蓋部材16に絡まりかけた釣り糸を蓋部材16から容易に解くことができるので、蓋部材16の外側面16bの外径が一定の場合に比べて、蓋部材16への糸絡みを未然に防止する必要性を低下させることができる。これにより、距離D1と距離D2を同程度、或いは本実施形態のように距離D1を距離D2よりも長くして、パーミングしたときの把持性を向上させた場合でも、蓋部材16及び糸絡み防止部材20によって蓋部材16への糸絡みによるトラブルの発生を抑制することができる。
【0044】
なお、図4に示すように、側面視において、竿装着部6dが延びる方向に平行な直線L4と、蓋部材16の外側面16bに平行な直線L5とのなす角度θは100°以上であることが好ましい。また、角度θは、130°以下であることが好ましい。これにより、蓋部材16の大径化を抑制しつつ、蓋部材16への糸絡みを効果的に抑制することができる。また、釣り糸が蓋部材16に絡みかけたときに釣り糸を蓋部材16からさらに容易に解くことができる。
【0045】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0046】
(a)前記実施形態では、機械式のカウンタを備える両軸受リールに本発明を採用していたが、電動リールを含む他の構成の両軸受リールに本発明を適用してもよい。
【0047】
(b)前記実施形態では、蓋部材16の底面16aが前後方向および左右方向に沿う方向に延びていたが、底面16aの後端が底面16aの前端よりも上方に位置するように蓋部材16を傾斜させてもよい。この場合、蓋部材16の着脱に影響しない範囲で傾斜(例えば10°未満)させることが好ましい。なお、蓋部材16を傾斜させる場合は、係合部材15及び移動部材14の収容部14bも蓋部材16と同様に傾斜した構成となる。また、この場合における距離D2は、竿装着面6eから底面16aの前端までの距離となる。
【符号の説明】
【0048】
2 リール本体
3 スプール
5 レベルワインド機構
6a 第1側板
6b 第2側板
6d 竿装着部
6e 竿装着面
11 ウォーム軸
11a 螺旋状溝
12 案内部材
14 移動部材
14b 収容部
15 係合部材
16 蓋部材
16a 底面
16b 外側面
20 糸絡み防止部材
100 両軸受リール
図1
図2
図3
図4