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特許7355529複合構造を形成するための可撓性マンドレル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】複合構造を形成するための可撓性マンドレル
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/44 20060101AFI20230926BHJP
【FI】
B29C70/44
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019112833
(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公開番号】P2020029088
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】16/108,680
(32)【優先日】2018-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エー・リー
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー・スー・ノエル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・デンプシー・モリス
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-218441(JP,A)
【文献】特表2008-521645(JP,A)
【文献】特開昭61-263735(JP,A)
【文献】特表2014-532000(JP,A)
【文献】特開2011-011477(JP,A)
【文献】特開2005-288756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00-70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合構造(204)を形成するためのツール(210)であって、
互いに平行に延びる硬化複合厚板(222)、および
前記硬化複合厚板(222)の間に配置され前記硬化複合厚板(222)に接合された可撓性材料層(224)
を備えるツール(210)と、
前記ツール(210)を取り囲み、前記ツール(210)に圧力(226)を加える真空バッグ(212)と、
を備え、
前記ツール(210)が、
第1の複数の硬化複合厚板(242)および第1のいくつかの可撓性材料層(244)を有する第1のマンドレル(236)であって、航空機構造(209)の前方部分(232)を形成するために使用される第1のマンドレル(236)と、
第2の複数の硬化複合厚板(246)および第2のいくつかの可撓性材料層(248)を有する第2のマンドレル(238)であって、航空機構造(209)の後方部分(233)を形成するために使用される、第2のマンドレル(238)と、
前記第1のマンドレル(236)および前記第2のマンドレル(238)に関連しているいくつかの取出し機構(250)であって、前記第2のマンドレル(238)から前記第1のマンドレル(236)を切り離すために使用される取出しツール(218)に連結するように構成されている、いくつかの取出し機構(250)
を備える、複合製造システム(202)。
【請求項2】
前記ツール(210)が、前記圧力(226)に応答して変形し、硬化中に前記複合構造(204)内に不一致(228)が生じるのを妨げるように構成されている、請求項1に記載の複合製造システム(202)。
【請求項3】
硬化中に前記ツール(210)が変形するときに前記ツール(210)を所定の位置に保持するツールベース(211)
をさらに備える、請求項2に記載の複合製造システム(202)。
【請求項4】
前記ツール(210)が、前記ツール(210)の長さ部分(225)に沿って前記複合構造(204)のウェブ(230)の方へ撓むように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の複合製造システム(202)。
【請求項5】
前記硬化複合厚板(222)が、前記ツール(210)の前記長さ部分(225)に沿って互いに隣接して整列される、請求項4に記載の複合製造システム(202)。
【請求項6】
ツール(210)が、前記硬化複合厚板(222)の数、厚さ、または形状のうちの少なくとも1つによって決定された所望の剛性(229)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の複合製造システム(202)。
【請求項7】
前記ツール(210)が、
前記ツール(210)上での複合材料(220)の位置を調整するのに役立ついくつかの指標付け機構(254)
をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の複合製造システム(202)。
【請求項8】
前記ツール(210)が、
前記ツール(210)を持ち上げる移動システムに連結された複数の持上げ装備
をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の複合製造システム(202)。
【請求項9】
複合構造(204)を形成する方法であって、前記方法は、
ツール(210)の上に複合材料(220)をレイアップするステップであって、前記ツール(210)が、互いに平行に延びる硬化複合厚板(222)と前記硬化複合厚板(222)の間に配置されかつ前記硬化複合厚板(222)に接合された可撓性材料層(224)とを備える、ステップと、
前記複合材料(220)および前記ツール(210)を真空バッグ(212)で覆うステップと、
前記真空バッグ(212)を使用して前記複合材料(220)および前記ツール(210)に圧力(226)を加えるステップと、
前記複合構造(204)を形成するために前記複合材料(220)を硬化させるステップであって、前記ツール(210)が、硬化中に前記複合構造(204)内に不一致(228)が生じるのを妨げるために前記ツール(210)の長さ部分(225)に沿って変形する、ステップと、
を含み、
前記ツール(210)が第1のマンドレル(236)および第2のマンドレル(238)を備え、
前記方法が、
取出しツール(218)を前記第1のマンドレル(236)および前記第2のマンドレル(238)内に配置された取出し機構(250)に連結するステップと、
前記取出しツール(218)を使用して前記複合構造(204)を解放するために前記第2のマンドレル(238)から前記第1のマンドレル(236)を切り離すステップと、
前記第1のマンドレル(236)および前記第2のマンドレル(238)から前記複合構造(204)を取り除くステップと
をさらに含む、方法。
【請求項10】
前記ツール(210)が、前記ツール(210)の長さ部分(225)に沿って前記複合構造(204)のウェブ(230)の方へ撓む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ツールベース(211)を使用して前記ツール(210)を垂直方向(258)または水平方向(260)の少なくとも一方の方向に移動させるステップ
をさらに含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のマンドレル(236)および前記第2のマンドレル(238)内で移動システム(256)を複数の持上げ装備(252)に連結するステップと、
前記第1のマンドレル(236)、前記第2のマンドレル(238)、および前記複合構造(204)を移動させるステップと、
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に複合構造を製造することに関する。より詳細には、本開示は、航空機用途向けの複合構造を製造するときに使用される可撓性マンドレルに関する。
【背景技術】
【0002】
製造業者らは、様々な用途向けの軽量で構造的に健全な部品を提供するために複合構造をますます使用している。これらの複合構造の多くが真空バッグ処理を使用して製造される。この種の技法では、複合材料が、部品の所望の形状を形成するためにツール上にレイアップされ熱および圧力を用いて硬化される。硬化中、真空バッグが部品を取り囲み、真空がツールに対して複合材料に外形を付けるために圧力を加える。硬化後、複合構造は、さらなる処理のために製作システムから取り除かれる。
【0003】
複合構造を形成するときに1つまたは複数のツールが使用され得る。例えば、複合材料は、袋詰めおよび硬化の前に1組のマンドレル上にレイアップされ得る。これらのツールは、製造条件に耐えるように設計されており、金属、合金、または他の適当な材料などの多様な材料のタイプを含むことができる。これらの材料の挙動は、硬化される複合部品の形状および品質に影響を及ぼす。金属を有するツールは所望されるよりも剛性であるので、ツール上の複合材料層の間に間隙状態を引き起こすことがある。その結果、複合部品は望まれない積層品質を有することがある。その場合、複合部品は再加工または廃棄される必要があり、したがって適切な部品を製作するために要するコストおよび時間を増大させることがある。
【0004】
したがって、上述した課題のうちの少なくともいくつか、ならびにその他の起こり得る課題を考慮した方法および装置があれば望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の例示的な一実施形態は、ツールとツールを取り囲む真空バッグとを含む複合製造システムを提供する。ツールは複合構造を形成するために使用される。ツールは、互いに平行に延びる硬化複合厚板、および硬化複合厚板の間に配置され硬化複合厚板に接合された可撓性材料層を備える。真空バッグはツールに圧力を加えるように構成されている。
【0006】
本開示の別の例示的な実施形態は複合構造を形成する方法を提供する。複合材料がツール上にレイアップされる。ツールは、互いに平行に延びる硬化複合厚板と、硬化複合厚板の間に配置され硬化複合厚板に接合された可撓性材料層と、を備える。複合材料およびツールは単一の真空バッグで取り囲まれる。真空バッグを使用して複合材料およびツールに圧力が加えられる。複合材料は複合構造を形成するために硬化される。硬化中、ツールは、硬化中に複合構造内に低い積層品質、異常、またはその両方が生じるのを妨げるように変形する。
【0007】
本開示の別の例示的な実施形態は航空機構造を形成するための複合製造システムを提供する。複合製造システムは、第1のマンドレル、第1のマンドレルに平行にかつ隣接して配置された第2のマンドレル、および真空バッグを備える。第1のマンドレルは、互いに平行に延びる第1の複数の硬化複合厚板と、第1の複数の硬化複合厚板の間に配置され第1の複数の硬化複合厚板に接合された第1のいくつかの可撓性材料層と、を有する。第2のマンドレルは、互いに平行に延びる第2の複数の硬化複合厚板と、第2の複数の硬化複合厚板の間に配置され第2の複数の硬化複合厚板に接合された第2のいくつかの可撓性材料層と、を有する。真空バッグは第1のマンドレルおよび第2のマンドレルを取り囲む。真空バッグは、航空機構造を形成するために第1のマンドレルおよび第2のマンドレルの上に配置された複合材料に圧力を加えるように構成されている。
【0008】
上記の形態および機能は、本開示の種々の実施形態で独立に実現することができる、あるいは、さらなる詳細を下記の説明および図面を参照して理解することができる他の実施形態では組み合わされてもよい。
【0009】
さらに、本開示は下記項による諸実施形態を含む。
【0010】
1項.航空機構造(209)を形成するための複合製造システム(202)であって、
互いに平行に延びる第1の複数の硬化複合厚板(242)と第1の複数の硬化複合厚板(242)の間に配置され第1の複数の硬化複合厚板(242)に接合された第1のいくつかの可撓性材料層(244)とを有する第1のマンドレル(236)と、
第1のマンドレル(236)に隣接して配置された第2のマンドレル(238)であって、互いに平行に延びる第2の複数の硬化複合厚板(246)と第2の複数の硬化複合厚板(246)の間に配置され第2の複数の硬化複合厚板(246)に接合された第2のいくつかの可撓性材料層(248)とを有する第2のマンドレル(238)と、
第1のマンドレル(236)および第2のマンドレル(238)を取り囲む真空バッグ(212)であって、航空機構造(209)を形成するために第1のマンドレル(236)および第2のマンドレル(238)の上に配置された複合材料(220)に圧力(226)を加える真空バッグ(212)と、
を備える複合製造システム(202)。
【0011】
2項.第1のマンドレル(236)および第2のマンドレル(238)を所定の位置に保持するツールベース(211)
をさらに備える、1項に記載の複合製造システム(202)。
【0012】
3項.ツールベース(211)に関連しており、垂直方向(258)または水平方向(260)の少なくとも一方の方向に移動する支持構造(214)
をさらに備える、2項に記載の複合製造システム(202)。
【0013】
4項.第1のマンドレル(236)および第2のマンドレル(238)が、圧力(226)に応答して変形し、硬化中に航空機構造(209)内に不一致(228)が生じるのを妨げるように構成されている、1~3項に記載の複合製造システム(202)。
【0014】
5項.第1のマンドレル(236)または第2のマンドレル(238)の少なくとも一方が、第1の複数の硬化複合厚板(242)または第2の複数の硬化複合厚板(246)の少なくとも一方の厚さを変えることに基づいて、所望の剛性(229)に調整される、1~4項に記載の複合製造システム(202)。
【0015】
例示的な実施形態の特徴と考えられる新規な形態は、添付の特許請求の範囲に記載されている。しかしながら、例示的な諸実施形態、ならびにこれらの実施形態の好ましい使用モード、他の目的および形態は、本開示の例示的な実施形態の下記の詳細な説明を参照して添付図面と共に読んだときに最も良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】例示的な一実施形態による複合製造システムの斜視図である。
図2】例示的な一実施形態による複合製造環境のブロック図である。
図3】例示的な一実施形態による複合製造システムの端面図である。
図4】例示的な一実施形態による複合製造システム内のマンドレルの露出図である。
図5】例示的な一実施形態による複合製造システムの側面斜視図である。
図6】例示的な一実施形態による複合材料を有するマンドレルの断面図である。
図7】例示的な一実施形態による複合材料を有するマンドレルの別の断面図である。
図8】例示的な一実施形態による複合製造システム内のマンドレル用の代替設計の説明図である。
図9】例示的な一実施形態による航空機用の複合構造を形成するプロセスの流れ図である。
図10】例示的な一実施形態による航空機の製造および保守点検方法のブロック図である。
図11】例示的な一実施形態が実装され得る航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
例示的な実施形態は、1つまたは複数の異なる考慮事柄を認識し考慮する。例えば、例示的な実施形態は、現行の複合構造用製造プロセスが仕様を満たさない複合部品をもたらし得ることを認識し考慮する。いくつかの製作システムは金属または合金材料からなるマンドレルを使用している。金属マンドレルは真空および/または圧力下で適切に撓むことができず、結果として積層品質が低下することがある。この問題は、縦通材などの長い航空機構造を形成するときに大きくなる。マンドレルの剛性は、複合材料層の間に部品の長さ部分に沿って、特にプライドロップ箇所(ply drop locations)に分離をもたらす。これらのウェブしわ疵(web wrinkle defects)は、部品を航空機翼において使用不可能にし得る。あるいは、部品は再加工を必要とし、したがって製造業者にとって追加の時間および費用がかかる。
【0018】
例示的な実施形態は、異なるタイプの航空機部品が積層品質を増進するためにツーリングに異なるレベルの剛性を必要とし得ることも認識し考慮する。現在使用されているシステムは、製造仕様のそのような変更に容易に対応するために設計上の自由度を有していないことがある。
【0019】
さらに、例示的な実施形態は、複合製作プロセスが所望されるよりも時間のかかることが多いことを認識し考慮する。いくつかの複合製作システムは、硬化対象の1つの部品に複数の真空バッグを必要とする。袋詰めされるべき領域は適切に準備され、清掃され、そしてテープを貼られなければならない。各追加のバッグは、バッグまたはシステムを引き裂くまたは損傷させる機会を増やすので、プロセスの速度を落とし、製造コストを増大させる。
【0020】
加えて、現在使用されている製作組立体は、複雑で重く、人間工学的に難題であり得る。オペレータは、重い金属マンドレルを所定の位置にまで移動させ、そのマンドレルから部品を取り出し、組立体をある箇所から別の箇所へ移動させなければならない。いくつかの製作システムは縦通材を垂直方向に製造するので、人間のオペレータにとってさらにいっそう人間工学的な難題を提示する。組立体の高さは作業を続けるのをより困難にする。オペレータは反復性緊張に直面する、またはその他の障害リスクを冒す可能性がある。
【0021】
したがって、開示される実施形態は、複合部品用の積層品質を増進するために適切な剛性に調整された1組の可撓性マンドレルを含む低コストで人間工学的に有利な複合製造システムに関連している。複合製造システムは、第1のマンドレル、第1のマンドレルに隣接して配置された第2のマンドレル、および真空バッグを備える。第1のマンドレルは、互いに平行に延びる第1の複数の硬化複合厚板と、第1の複数の硬化複合厚板の間に配置され第1の複数の硬化複合厚板に接合された第1のいくつかの可撓性材料層と、を有する。第2のマンドレルは、互いに平行に延びる第2の複数の硬化複合厚板と、第2の複数の硬化複合厚板の間に配置され第2の複数の硬化複合厚板に接合された第2のいくつかの可撓性材料層と、を有する。真空バッグは第1のマンドレルおよび第2のマンドレルを取り囲む。真空バッグは、航空機構造を形成するために第1のマンドレルおよび第2のマンドレルの上に配置された複合材料に圧力を加えるように構成されている。例示的な一実施形態では、単一の真空バッグが使用され得る。
【0022】
ここで図を参照すると、特に図1を参照すると、例示的な一実施形態による複合製造システムの斜視図が示されている。複合製造システム100は、複合材料を強化しかつ硬化させて航空機部品を形成するために真空バッグ技法を使用することができる構成要素および/または装置を組み合わせたものを備える。
【0023】
この例示的な例では、複合製造システム100は、マンドレル102、マンドレル104、ツールベース106、支持構造108、および空気圧制御システム110を含む。マンドレル102およびマンドレル104は集合的にツール111を形成する。支持構造108は、真空ライン(この図には示されていない)を介して空気圧制御システム110および真空バッグと流体流通する真空ポート112を有する。
【0024】
マンドレル102およびマンドレル104は、この例示的な例では航空機翼用の複合縦通材を形成するために使用される。図5に示されているように、マンドレル102およびマンドレル104の上に複合材料がレイアップされる。空気圧制御システム110が真空バッグを真空引きすると、複合材料はマンドレル102およびマンドレル104の上に所望の態様で形をなす。
【0025】
ツールベース106は、この例示的な例では第2の組のマンドレルに適合するように構成されている。言い換えると、2つの縦通材が同時に形成され得るように2つ以上のマンドレルがツールベース106の向こう側に固定され得る。
【0026】
人間のオペレータ114は、複合製造システム100によって製作された部品に処理を行うことができる。ツールベース106は、支持構造108上での複数の構成を可能にするために矢印116の方向に移動する。人間のオペレータ114はプラットホーム117上に立つことができる。プラットホーム117は、人間のオペレータ114に対するマンドレル102およびマンドレル104の高さを調整するために矢印118の方向に移動することができる。
【0027】
次に図2を参照すると、例示的な一実施形態による製造環境のブロック図が示されている。製造環境200は、複合製造システム202内の各構成要素が複合構造204を製作するために使用され得る環境である。具体的には、複合製造システム202内の各構成要素は複合構造204を形成し硬化させるために使用され得る。
【0028】
複合構造204は、プラットホーム206用に構成された構造である。プラットホーム206は、例えば、制限なく、移動プラットホーム、固定プラットホーム、陸ベース構造、水ベース構造、または宇宙ベース構造とすることができる。より具体的には、プラットホームは、航空機、水上艦、タンク、人員運搬車、列車、宇宙船、宇宙ステーション、人工衛星、潜水艦、自動車、発電所、橋、ダム、家屋、製造用設備、建築物、および他の適当なプラットホームとすることができる。
【0029】
プラットホーム206は、この例示的な例では航空機208の形を取る。複合構造204が航空機208用に製造される場合、複合構造204は航空機構造209の形を取る。航空機構造209は、例えば、制限なく、航空機208用に構成された縦通材、桁、リブ、安定器、パネル、または他の適当な構造とすることができる。
【0030】
図示のように、複合製造システム202は、ツール210、ツールベース211、真空バッグ212、支持構造214、移動システム216、および取出しツール218を備える。ツール210は、特定の実施に応じて単一のマンドレルまたは1組のマンドレルを備えることができる。
【0031】
図のように、ツール210は硬化複合厚板222および可撓性材料層224を備える。硬化複合厚板222は、ツール210の長さ部分225を互いに平行に、互いに隣接して整列されて延びる。言い換えると、硬化複合厚板222は、ツール210の細長い部分をツール210の一端から走り、長さ部分225をツール210の他端へ延びる。
【0032】
可撓性材料層224は、硬化複合厚板222の間に配置され硬化複合厚板222に接合される。この例示的な例では、可撓性材料層224のうちの1つが2つの硬化複合厚板222の間に挟まれる。
【0033】
硬化複合厚板222は、ツール210に剛性構成要素を設けるように構成されている。硬化複合厚板222はいくつかの異なる材料を備えることができる。例えば、制限なく、硬化複合厚板222は、ビスマレイミド、炭素繊維エポキシ、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維、または他の適当な材料のうちの少なくとも1つを備えることができる。この例示的な例では、ツール210は、硬化複合厚板222の数、厚さ、または形状のうちの少なくとも1つによって決定された所望の剛性229を有する。
【0034】
可撓性材料層224は、ツール210に所望のレベルの可撓性を与えるように構成されている。可撓性材料層224は、相対的により柔軟な性質をもつゴム、フルオロエラストマー、シリコン、または他の適当な材料のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0035】
硬化複合厚板222は、ツール210を形成するために使用される予め硬化された構造である。ツール210の形成中、硬化複合厚板222は、完成ツールを形成するために可撓性材料層224を使用して互いにコボンドされる。
【0036】
この例示的な例では、ツールベース211は、複合材料220の硬化中にツール210を所定の位置に保持するように構成されている。ツールベース211は、ツール210を所定の位置にロックするために様々な構成要素を備えることができる。ツールベース211は、ツール210を1つまたは複数の方向に移動させるように構成されていてもよい。
【0037】
図示のように、真空バッグ212はツール210および複合材料220を取り囲む。複合構造204の形成中、真空バッグ212はツール210および複合材料220に圧力226を加える。
【0038】
ツール210は不一致228を実質的に減少させるように設計される。不一致228は、例えば、制限なく、低い積層品質、層間剥離、ボイド、またはその他の異常を含むことができる。ツール210は可撓性材料から構成されるので、ツール210は、圧力226に応答して所望の態様で変形し、硬化中に複合構造204内に不一致228が生じるのを妨げるように構成されている。言い換えると、ツール210は、ツール210の長さ部分225に沿って複合構造204のウェブ230の方へ撓むように構成されている。したがって、ツール210は、複合材料層220の間に選択された許容範囲外の分離が起こらないように曲がり、撓み、かつ捩れることができる。
【0039】
複合構造204は、この例示的な例では縦通材231の形を取る。縦通材231は前方部分232、後方部分233、およびブレード234を備えているので、縦通材231を形成するために1組のマンドレルが必要である。
【0040】
この例示的な例では、ツール210は第1のマンドレル236および第2のマンドレル238を備える。第1のマンドレル236および第2のマンドレル238は水平面239上に互いに隣接して置かれる。第1のマンドレル236と第2のマンドレル238との間に間隙240が配置される。第1のマンドレル236および第2のマンドレル238は、第1のマンドレル236および第2のマンドレル238内の1つまたは複数の硬化複合厚板の厚さを変えることにより、所望の剛性229(または可撓性)に調整することができる。
【0041】
縦通材231の製造中、複合材料220は第1のマンドレル236および第2のマンドレル238上に所望の態様でレイアップされる。複合材料220は、いくつかの例示的な例ではプリプレグの形を取ることができる。他の例示的な例では、複合材料220は、プリフォームと硬化する前に複合プリフォームに注入された樹脂とを含むことができる。
【0042】
この例示的な例では、第1のマンドレル236は縦通材231の前方部分232を形成するために使用され得るのに対して、第2のマンドレル238は縦通材231の後方部分233を形成するために使用され得る。間隙240は縦通材231のブレード234を形成するように構成されている。
【0043】
この例示的な例では、第1のマンドレル236および第2のマンドレル238を形成するために金属は使用されない。代わりに、第1のマンドレル236および第2のマンドレル238はそれぞれ多数の材料層を備えていて、これらの層は、予め硬化された複合材料の厚板と接着性をもつ可撓性材料の厚板とが交互になっている。
【0044】
具体的には、第1のマンドレル236は第1の複数の硬化複合厚板242および第1のいくつかの可撓性材料層244を有する。本明細書では、項目に関連して用いられる場合の「いくつかの(a number of)」は1つまたは複数の項目を意味する。したがって、いくつかの可撓性材料層は1つまたは複数の可撓性材料層である。
【0045】
第1の複数の硬化複合厚板242は、第1のマンドレル236の長さ部分225を互いに平行に延びる。第1のいくつかの可撓性材料層244は、第1の複数の硬化複合厚板242の間に配置され第1の複数の硬化複合厚板242に接合される。この例示的な例では、第1のいくつかの可撓性材料層244のうちの1つが第1の複数の硬化複合厚板242のうちの2つの間に挟まれる。
【0046】
同様に、第2のマンドレル238は第2の複数の硬化複合厚板246および第2のいくつかの可撓性材料層248を有する。第2のマンドレル238を形成する硬化複合厚板の数、形状、厚さ、およびタイプは、第1のマンドレル236を形成するために使用される数と同じでも異なっていてもよい。第2のマンドレル238を形成する可撓性材料層の数、形状、厚さ、およびタイプは、第1のマンドレル236を形成するために使用される数と同じでも異なっていてもよい。所望の剛性229は、第1のマンドレル236に対して、所望の剛性229が第2のマンドレル238に対する場合と同じでも異なっていてもよい。
【0047】
第2の複数の硬化複合厚板246は、第2のマンドレル238の長さ部分225を互いに平行に延びる。第2のいくつかの可撓性材料層248は、第2の複数の硬化複合厚板246の間に配置され第2の複数の硬化複合厚板246に接合される。この例示的な例では、第2のいくつかの可撓性材料層248のうちの1つが第2の複数の硬化複合厚板246のうちの2つの間に挟まれる。
【0048】
第1のマンドレル236および第2のマンドレル238が使用される場合、真空バッグ212は両方のマンドレルを取り囲み、縦通材231を形成するために第1のマンドレル236および第2のマンドレル238の上に配置された複合材料220に圧力226を加える。真空バッグ212としてブリーザおよび剥離フィルムを有する単一の既製エンベロープナイロンバッグを使用することができる。単一の既製ナイロンバッグを使用することで縦通材231の製造時間が短縮される。清掃、テープ、および他のプロセスが不要になり得る。
【0049】
図のように、ツール210は、取出し機構250、持上げ装備252、および指標付け機構254を備えることができる。この種の機構は、ツール210が複数のマンドレルを備えている場合に1つまたはすべてのマンドレル上に存在することができる。
【0050】
この例示的な例では、取出し機構250は第1のマンドレル236および第2のマンドレル238に関連している。取出し機構250は、取出しツール218に機械的に連結するように構成されている。取出しツール218は、縦通材231を回収するために第2のマンドレル238から第1のマンドレル236を切り離す。取出し機構250は、各マンドレルの外側に沿って所望の間隔を置いて配置され得る。取出し機構250はマンドレルに装着されてもよく、または各マンドレルの一部として形成されてもよい。
【0051】
持上げ装備252は、ツール210、ツールベース211、またはその両方に関連することができる。持上げ装備252は、ツール210を持ち上げかつ操縦する移動システム256に機械的に連結するように構成されている。
【0052】
この例示的な例では、指標付け機構254は、ツール210、ツールベース211、またはその両方に関連することができる。指標付け機構254は、ツールベース211上での複合材料220の位置を調整するのに役立つように構成されている。
【0053】
図示のように、支持構造214はツールベース211に関連している。ツールベース211は支持構造214に機械的に連結され得る。
【0054】
支持構造214は、垂直方向258または水平方向260の少なくとも一方の方向に移動するように構成されている。支持構造214は、いずれかの方向に移動するために移動システム256を使用することができる。いくつかの例示的な例では、ツールベース211は、人間のオペレータ114に対して垂直方向258、水平方向260、または両方向に移動するように構成されている。他の例示的な例では、人間のオペレータ114は、支持構造214、ツールベース211、またはその両方に対していずれかの方向に移動するプラットホーム上に立つ。
【0055】
複合製造システム202は、図2を参照して示されていない追加の構成要素を備えることができる。例えば、複合製造システム202は、複合構造を製造する際に通常使用される真空ポート、供給ライン、空気圧調整システム、オートクレーブ、ロボットのオペレータ、人間のオペレータ、またはその他の項目を含むことができる。
【0056】
例示的な一実施形態では、複合構造204の製造は、現在使用されているシステムほど時間をかけずに済ますことができる。複合構造204を形成するために使用されるマンドレルは、硬化中に所望の態様で変形し、それによって現在使用されている製作システムで見られる不一致228を実質的に減少させる。各マンドレルの設計は、製造業者のニーズ、プラットホーム、および所望の剛性229を与えかつ積層の品質を増進する部品に合わせることができる。例示的な実施形態により既製の袋詰めを使用することが可能になる。システムは、もはや複数のバッグに適合するために清掃されテープを貼られる必要がない。人間のオペレータは、人間工学的に設計されたツール移動の便益を有するので、さらに製造中に障害のリスクを低減しかつ時間を節約する。
【0057】
次に図3を参照すると、例示的な一実施形態による複合製造システムの端面図が示されている。図1の複合製造システム100の端面図が示されている。図3は、図2にブロック形式で示されている複合製造システム202内の構成要素の物理的実装の一例を示す。
【0058】
図のように、マンドレル102およびマンドレル104には、ブラケット300を使用してツールベース106に対する指標を付けられる。具体的には、ブラケット300は、マンドレル102の端部302およびマンドレル104の端部304にツールベース106に対する指標を付ける。
【0059】
この例示的な例では、安定器306はツールベース106の表面に沿って配置される。安定器306は、硬化中にマンドレル102およびマンドレル104の水平方向の望まれない動きおよび移動を妨げるように構成されている。安定器306の一部はマンドレル102の隣に配置されマンドレル102に関連することができ、一部(この図には示されていない)はマンドレル104の隣に配置されマンドレル104に関連している。マンドレル102とマンドレル104との間に間隙308が存在する。
【0060】
ツールベース106の領域310は、この例示的な例ではマンドレルを有していない。しかしながら、領域310は1組のマンドレルに適合するように設計される。ブラケット312は、領域310において1組のマンドレルにツールベース106に対する指標を付けるために使用され得る。安定器314は、このようなマンドレルの水平方向の望まれない動きを硬化中に実質的に制限することができる。
【0061】
次に図4を参照すると、例示的な一実施形態による複合製造システム内のマンドレルの露出図が示されている。マンドレル102およびマンドレル104の内部構成がこの図に示されている。
【0062】
図のように、マンドレル102は硬化複合厚板400および可撓性材料層402を備える。可撓性材料層402は各組の硬化複合厚板400の間に配置される。
【0063】
マンドレル104は硬化複合厚板404および可撓性材料層406を備える。可撓性材料層406は各組の硬化複合厚板404の間に配置される。マンドレル104の外側の覆いは、この例示的な例では可撓性材料で作ることもできる。
【0064】
硬化複合厚板400および硬化複合厚板404はマンドレル102およびマンドレル104の全長さ部分408にわたって延びる。この例示的な例では各マンドレルに対して10枚の厚板が示されているが、一方または両方のマンドレルは、任意の数の厚板、可撓性材料層、またはその両方を備えることができる。硬化複合厚板のサイズ、形状、および厚さは剛性の多用途性を可能にする。
【0065】
図5には、例示的な一実施形態による複合製造システムの側面斜視図が示されている。マンドレル102およびマンドレル104上に複合材料500がレイアップされている。複合材料500は、この例示的な例では航空機翼用の複合縦通材を形成する。
【0066】
図示のように、マンドレル102は取出し機構502および移動装備504を有する。硬化が完了すると、マンドレル102を引っ張ってマンドレル104から離すために取出しツールが取出し機構502に連結されて、硬化複合縦通材を取り出すのを容易にすることができる。取出し機構502は、マンドレル102の長さ部分408に沿って所望の間隔を置いて配置される。
【0067】
製造中、マンドレル102は、工場の作業場上の1つまたは複数の異なる箇所まで移動させる必要があり得る。移動装備504は、マンドレル102の長さ部分408に沿って間隔を置いて配置され、マンドレル102を所望の箇所まで移動させるために移動システムに連結され得る。マンドレル104は、類似の取出し機構および移動装備を有しているが、これらはこの図には示されていない。
【0068】
マンドレル102の端部302は指標板506を有する。マンドレル104の端部304は指標板508を有する。指標板506および指標板508はそれぞれ、マンドレル102およびマンドレル104用の付加的な指標付け機構である。場合により、指標板506および指標板508は不要である。
【0069】
次に図6を参照すると、例示的な一実施形態による複合材料を有するマンドレルの断面図が示されている。図5の線6‐6に沿って見た複合材料500を有するマンドレル102およびマンドレル104の断面図が示されている。
【0070】
この例示的な例では、複合材料500の層600、層602、および層606は、マンドレル102およびマンドレル104上に所望の態様でレイアップされている。これらの複合材料層の間にはヌードル604が配置されている。軸線608は縦通材の中心線を表す。
【0071】
マンドレル102およびマンドレル104内の厚板および可撓性材料の構成により各マンドレルは可撓性方向および剛性方向を有することが可能になる。マンドレル104は矢印610の方向に可撓性である。マンドレル102は同じような挙動をする。マンドレル102は矢印612の方向に実質的に剛性である。マンドレル104は同じような挙動をする。
【0072】
図示のように、マンドレル104内の厚板614およびマンドレル102内の厚板616は、各マンドレルに示されている他の厚板よりも厚い。他の例示的な例では、すべての厚板が、特定の実装に応じて同じ厚さでもよく、または互いに異なる厚さでもよい。厚板614および厚板616は、厚板ボンドシーム形態が臨界半径に極めて近接しないようにするために、縦通材のウェブに共通である。
【0073】
マンドレル102およびマンドレル104は丸み縁部を有する。マンドレル102の丸み縁部618およびマンドレル104の丸み縁部620のそれぞれの半径は、鋭利な縁部の周囲での真空バッグに加わる応力を低減し、それによって真空バッグが漏れるかつ/または破裂するリスクを低減するように所望の態様で選択され得る。他の例示的な例では、1つまたは複数の縁部が異なる形状を有することができる。
【0074】
マンドレル104は厚さ622を有し、マンドレル102は厚さ624を有する。この例示的な例では、厚さ622および厚さ624は実質的に同じである。他の例示的な例では、航空機構造の構成に応じて、厚さ622および厚さ624は異なることができる。マンドレル102およびマンドレル104の勾配は縦通材の所望の形状を形成するように選択される。
【0075】
図のように、マンドレル102およびマンドレル104内の可撓性形態および剛性形態により、マンドレル102およびマンドレル104は硬化中に複合構造のウェブ626の方へ撓むことが可能になる。このような変形は縦通材の品質を向上させる。
【0076】
図7は、例示的な一実施形態による複合材料を有するマンドレルの別の断面図を示す。硬化構成要素が複合製造システム100に追加されている。
【0077】
図のように、複合材料500の上部にコールプレート(caul plate)700が配置されている。剥離フィルム702、ブリーザ704、および真空バッグ706もまたマンドレル102、マンドレル104、および複合材料500を取り囲む。袋詰め後、真空バッグ706はテープで固定される。次いで、複合材料500は例示的な一実施形態による縦通材を形成するために硬化され得る。
【0078】
本明細書に示されている硬化構成要素は、複合材料500を硬化させるために必要な様々な構成要素のうちのいくつかの例にすぎない。追加のコール、ブリーザ、およびフィルムが必要な場合がある。ブリーザは、全体にわたって1つの厚さを有していてもよく、あるいはブリーザが覆っているツールの異なる部分で異なる厚さを有していてもよい。これらの構成要素は、グループとして予め組み立てられマンドレル上に広げられるか、またはそれぞれ個々に配置されてもよい。
【0079】
次に図8を参照すると、例示的な一実施形態による複合製造システム内のマンドレル用の代替設計の説明図が示されている。マンドレル800およびマンドレル802の断面図が示されている。マンドレル800およびマンドレル802はそれぞれ、図2の第1のマンドレル236および第2のマンドレル238の物理的実装例である。
【0080】
マンドレル800は、硬化複合厚板804と硬化複合厚板804の間の可撓性材料層806とを備える。マンドレル802は、硬化複合厚板808と硬化複合厚板808の間の可撓性材料層810とを備える。マンドレル800およびマンドレル802上に複合材料814がレイアップされている。
【0081】
マンドレル800およびマンドレル802は、例示的な一実施形態を用いて、製造業者が有する多用途性および設計自由度を強調している。この例示的な例では、マンドレル800は3枚の硬化複合厚板804を有し、マンドレル802は10枚の硬化複合厚板808を有する。その結果、マンドレル802はマンドレル800より可撓性が高い。
【0082】
コールプレート816、剥離フィルム818、ブリーザ820、および真空バッグ822は、この例示的な例ではマンドレル800およびマンドレル802を取り囲む。シーラントテープ824は、空気漏れを防止するために真空バッグ822を固定する。
【0083】
図1および図3図8に示されている様々な構成要素は、図2の構成要素と組み合わされてもよく、図2の構成要素と併用されてもよく、またはこれら2つを組み合わせたものでもよい。さらに、図1および図3図8の構成要素のうちのいくつかは、図2にブロック形式で示されている構成要素が物理的構造として実装され得る方法の例示的な例とすることができる。
【0084】
複合製造システム100の他の構成は、図3図8に示されている構成以外で実装されてもよい。例えば、いくつかの追加のマンドレルが複合構造を形成するために使用されてもよい。他の例示的な例では、マンドレル、硬化複合厚板、または複合材料層の形状および厚さは本明細書に示されているものと異なっていてもよい。他の例示的な例では、硬化複合厚板はマンドレルの長さ部分に沿ってセグメント化されてもよい。言い換えると、1つの長い予め硬化された複合厚板を有することに代えて、2つ以上のセグメントが使用されてもよい。
【0085】
次に図9を参照すると、例示的な一実施形態による航空機の複合構造を形成するプロセスの流れ図が示されている。図9に示されている方法は、図2に示されている航空機208の複合構造204を形成するために使用され得る。
【0086】
このプロセスは、1組のマンドレルの上に複合材料をレイアップすることから始まる(作業900)。各マンドレルは、互いに平行に延びる硬化複合厚板と、硬化複合厚板の間に配置され硬化複合厚板に接合された可撓性材料層と、を備える。作業900の前に、マンドレルの向きは、ツールベースと支持構造とを組み合わせたものを使用して所望されるように調整され得る。
【0087】
次に、複合材料およびマンドレルは真空バッグで覆われる(作業902)。システム上で真空引きされる(作業904)。真空バッグによって複合材料およびマンドレルに圧力が加えられる(作業906)。
【0088】
次いで、複合材料は複合構造を形成するために硬化される(作業908)。作業908の間、各マンドレルは、複合構造内に不一致が生じるのを妨げるためにそのマンドレルの長さ部分に沿って変形する(作業910)。
【0089】
硬化後、システムは袋詰めされる(作業912)。複合構造に追加のプロセスが実行され得る。マンドレルは、マンドレル内の取出し機構に連結された取出しツールを使用して互いに切り離される(作業914)。
【0090】
複合構造はマンドレルから取り除かれ(作業916)、その後でプロセスは終了する。随意に、マンドレルは、各マンドレル上の持上げ装備に連結された移動システムを使用して別の箇所まで移動され得る。
【0091】
異なる図示の例示的な実施形態での流れ図およびブロック図は、例示的な一実施形態での装置および方法のいくつかの可能な実施態様の構造、機能性、および作業を示す。この点に関して、流れ図またはブロック図の各ブロックは、モジュール、セグメント、機能、および/または作業もしくはステップの一部を表すことができる。
【0092】
本開示の例示的な諸実施形態は、図10に示されている航空機の製造および保守点検方法1000ならびに図11に示されている航空機1100の状況で説明することができる。最初に図10を参照すると、例示的な一実施形態による航空機の製造および保守点検方法のブロック図が示されている。生産開始までの間、航空機の製造および保守点検方法1000は、図11の航空機1100の仕様および設計1002ならびに材料調達1004を含むことができる。
【0093】
生産中、図11の航空機1100の構成要素および部分組立品の製造1006ならびにシステム統合1008が行われる。その後、図11の航空機1100は、就航中1012に置かれるために認証および搬送1010を経ることがある。顧客による就航中1012に、図11の航空機1100は日常整備および保守点検1014が計画され、日常整備および保守点検1014は、変更、再構成、改修、および他の整備もしくは保守点検を含むことができる。
【0094】
図2から複合製造システム202を使用して形成される複合構造204は、構成要素および部分組立品の製造1006中に製作することができる。加えて、複合製造システム202は、図11の航空機1100の変更、再構成、または改修の一部として日常整備および保守点検1014のために製作される部品に使用することができる。第1のマンドレル236および第2のマンドレル238は、構成要素および部分組立品の製造1006か整備および保守点検1014のどちらかで複合部品を形成するために使用することができる。
【0095】
航空機の製造および保守点検方法1000のプロセスはそれぞれ、システム統合者、第三者、オペレータ、またはそれらの何らかの組み合わせによって実行または実施することができる。これらの例では、オペレータは顧客とすることができる。この説明のために、システム統合者は、制限なく、任意の数の航空機製造業者および主要システム下請業者を含むことができ、第三者は、制限なく、任意の数の売主、下請業者、および供給業者を含むことができ、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、保守点検組織など、とすることができる。
【0096】
ここで図11を参照すると、例示的な一実施形態を使用して製作された複合構造が実装され得る航空機のブロック図が示されている。この例では、航空機1100は、図10の航空機の製造および保守点検方法1000によって生産され、複数のシステム1104および内部1106を有する機体1102を含むことができる。システム1104の例としては、推進システム1108、電気システム1110、油圧システム1112、および環境システム1114のうちの1つまたは複数を含む。任意の数の他のシステムが含まれていてもよい。航空宇宙の一例が示されているが、異なる例示的な実施形態が自動車産業などの他の産業に適用されてもよい。
【0097】
本明細書で具現化される装置および方法は、図10の航空機の製造および保守点検方法1000の諸段階のうちの少なくとも1つの間に使用されてもよい。
【0098】
例示的な一例では、図10の構成要素および部分組立品の製造1006で生産される構成要素または部分組立品は、航空機1100が図10の就航中1012である間に生産される構成要素または部分組立品と同様の方法で製作または製造されてもよい。別の例としては、1つまたは複数の装置実施形態、方法実施形態、あるいはこれらを組み合わせたものが、図10の構成要素および部分組立品の製造1006やシステム統合1008などの生産段階の間に利用されてもよい。1つまたは複数の装置実施形態、方法実施形態、またはそれらを組み合わせたものが、航空機1100が就航中1012である間に、図10の整備および保守点検1014中に、あるいはこれらの両方で利用されてもよい。いくつかの異なる例示的な実施形態を使用すると、航空機1100の組立てを実質的に促進する、航空機1100のコストを節減する、あるいは航空機1100の組立てを促進しかつ航空機1100のコストを節減することができる。
【0099】
例示的な一実施形態を使用すれば、航空機用途向けに複合構造を製造するのは、現在使用されているシステムに比べて時間がかからない。縦通材を形成するために使用されるマンドレルは所望の態様で撓みかつ捩れ、それによって縦通材ウェブに見られるどんな不一致も実質的に減少させる。各マンドレルの設計は、製造業者のニーズ、プラットホーム、および所望の剛性レベル与えて積層品質を増進する部品に合わせることができる。
【0100】
この例示的な実施形態により既製の袋詰めを使用することも可能になる。複数のバッグの代わりに単一のバッグが使用され、それによって袋詰め中の時間を節減しかつ漏れのリスクを低減することができる。システムは、もはや複数のバッグに適合するために清掃されテープを貼られる必要がない。
【0101】
さらに、人間のオペレータは、ツーリングベースおよび支持構造を用いた人間工学的に設計されたツール移動の便益を有するので、さらに製造中に障害のリスクを低減しかつ時間を節約する。ツールベースは、マンドレルがすべらずに所望の態様で変形することができるようにマンドレルを固定するように設計される。
【0102】
取出し機構、指標機構、および持上げ装備により、部品の迅速な機械的解放および工場の作業場上での組立体の移動が可能になる。マンドレルは複合材料で製作されているので、マンドレルは、同マンドレルの金属相当物に比べて軽量である。例示的な一実施形態によるマンドレルは、不一致を実質的に減少させるとともに、長い複雑な航空機構造に良質の積層を設ける。
【0103】
例示的な一実施形態のいくつかの代替実施態様では、ブロック内に記されている1つまたは複数の機能は、図に記されている順序を外れて行われてもよい。例えば、場合によっては、連続して示されている2つのブロックは実質的に同時に実行されてもよく、あるいは、2つのブロックは、関係する機能性に応じて逆の順序で実行されてもよいことがある。また、図示のブロックに加えて、他のブロックが流れ図またはブロック図に追加されてもよい。
【0104】
異なる例示的実施形態に関する記述は、例示および説明のために提示されており、網羅的とする、あるいは開示される形の実施形態に限定するためのものではない。多くの修正形態および変形形態が当業者には明らかであろう。さらに、異なる例示的実施形態が、他の望ましい実施形態と比べて異なる形態をもたらすことができる。選定される1つまたは複数の実施形態は、実施形態の原理および実際的な用途を最も良く説明するとともに、当業者が検討される特定の使用に適した様々な変更を伴う様々な実施形態の開示を理解できるようにするために、選択され説明される。
【符号の説明】
【0105】
100 複合製造システム
102 マンドレル
104 マンドレル
106 ツールベース
108 支持構造
110 空気圧制御システム
111 ツール
112 真空ポート
114 人間のオペレータ
116 矢印
117 プラットホーム
118 矢印
200 製造環境
202 複合製造システム
204 複合構造
206 プラットホーム
208 航空機
209 航空機構造
210 ツール
211 ツールベース
212 真空バッグ
214 支持構造
216 移動システム
218 取出しツール
220 複合材料、複合材料層
222 硬化複合厚板
224 可撓性材料層
225 長さ部分
226 圧力
228 不一致
229 所望の剛性
230 ウェブ
231 縦通材
232 前方部分
233 後方部分
234 ブレード
236 第1のマンドレル
238 第2のマンドレル
239 水平面
240 間隙
242 第1の複数の硬化複合厚板
244 第1のいくつかの可撓性材料層
246 第2の複数の硬化複合厚板
248 第2のいくつかの可撓性材料層
250 取出し機構
252 持上げ装備
254 指標付け機構
256 移動システム
258 垂直方向
260 水平方向
300 ブラケット
302 端部
304 端部
306 安定器
308 間隙
310 領域
312 ブラケット
314 安定器
400 硬化複合厚板
402 可撓性材料層
404 硬化複合厚板
406 可撓性材料層
408 長さ部分
500 複合材料
502 取出し機構
504 移動装備
506 指標板
508 指標板
600 層
602 層
604 ヌードル
606 層
608 軸線
610 矢印
612 矢印
614 厚板
616 厚板
618 丸み縁部
620 丸み縁部
622 厚さ
624 厚さ
626 ウェブ
700 コールプレート
702 剥離フィルム
704 ブリーザ
706 真空バッグ
800 マンドレル
802 マンドレル
804 硬化複合厚板
806 可撓性材料層
808 硬化複合厚板
810 可撓性材料層
814 複合材料
816 コールプレート
818 剥離フィルム
820 ブリーザ
822 真空バッグ
824 シーラントテープ
900 作業
902 作業
904 作業
906 作業
908 作業
910 作業
912 作業
914 作業
916 作業
1000 航空機の製造および保守点検方法
1002 仕様および設計
1004 材料調達
1006 構成要素および部分組立品の製造
1008 システム統合
1010 認証および搬送
1012 就航中
1014 日常整備および保守点検
1100 航空機
1102 機体
1104 複数のシステム
1106 内部
1108 推進システム
1110 電気システム
1112 油圧システム
1114 環境システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11