(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】撮像装置及び撮像誘導方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20230926BHJP
G03B 7/095 20210101ALI20230926BHJP
H04N 23/40 20230101ALI20230926BHJP
【FI】
H04N23/60 100
G03B7/095
H04N23/40 100
(21)【出願番号】P 2019116482
(22)【出願日】2019-06-24
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137947
【氏名又は名称】石井 貴文
(72)【発明者】
【氏名】池▲崎▼ 勇喜
(72)【発明者】
【氏名】中野 龍三
(72)【発明者】
【氏名】西川 信宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 佑大
【審査官】佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-297223(JP,A)
【文献】特開2007-201668(JP,A)
【文献】特開2013-121143(JP,A)
【文献】特開2012-095129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
G03B 7/095
H04N 23/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像範囲を撮像する撮像素子と、
前記撮像素子と被写体との間に配置され、開口量を調整可能な絞り機構と、
前記撮像素子の撮像結果に基づいて前記撮像範囲の所定領域において一定以上の明るさの光源が存在することを検知し、前記光源が前記所定領域外になるよう撮像方向の変更を案内する案内部と、
ユーザに振動方向を感じさせるよう所定方向に向かって加速度を生じさせる振動を発生する振動モータを有する振動部と、を備え、
前記撮像範囲の所定領域において一定以上の明るさの光源が存在することが検知されたとき、前記絞り機構の開口量を小さくし、
前記撮像範囲の所定領域に引き続き一定以上の明るさの光源が存在することが検知された場合には、前記絞り機構の開口量を元に戻して前記案内部による撮像方向の変更の案内を行い、
前記撮像範囲の所定領域に一定以上の明るさの光源が存在することが検知されなくなった場合には、前記案内部による撮像方向の変更の案内を終了
し、
前記案内部は、前記撮像範囲の中央領域に前記光源が含まれているときに、前記光源が前記中央領域外になるよう、撮像方向の変更を案内する方向に引っ張られるようにユーザが感じられるように前記振動部を振動させる、
撮像装置。
【請求項2】
前記案内部は、撮像方向の変更の案内を開始してから所定時間が経過したときに通知を行う、
請求項
1に記載の撮像装置。
【請求項3】
撮像範囲を撮像する撮像素子と、案内部と、前記撮像素子と被写体との間に配置され開口量を調整可能な絞り機構と、
ユーザに振動方向を感じさせるよう所定方向に向かって加速度を生じさせる振動を発生する振動モータを有する振動部と、を備える撮像装置における撮像誘導方法であって、
前記撮像素子が前記撮像範囲を撮像するステップと、
前記案内部が、撮像結果に基づき、前記撮像範囲の所定領域に一定以上の明るさの光源が存在することを検知するステップと、
前記撮像範囲の所定領域において一定以上の明るさの光源が存在することが検知されたとき、前記絞り機構の開口量を小さくするステップと、
前記撮像範囲の所定領域に引き続き一定以上の明るさの光源が存在することが検知された場合には、前記絞り機構の開口量を元に戻して、前記案内部が、検知結果に基づき、前記所定領域に前記光源が含まれなくなるよう撮像方向を案内するステップと、
前記撮像範囲の所定領域に一定以上の明るさの光源が存在することが検知されなくなった場合には、前記案内部による撮像方向の変更の案内を行うことを終了するステップと、を含
み、
前記撮像方向を案内するステップにおいて、前記案内部は、前記撮像範囲の中央領域に前記光源が含まれているときに、前記光源が前記中央領域外になるよう、撮像方向の変更を案内する方向に引っ張られるようにユーザが感じられるように前記振動部を振動させる、
撮像誘導方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、被写体を撮像する撮像装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話やスマートフォンなどにカメラ機能が搭載されている。このようなカメラ機能を有する携帯機器では、手軽に写真を撮像できることもあり、広く普及している。ところで、このようなカメラでは、フレアの影響で撮像した画像が見づらくなってしまうことを避けるため、フレア対策の機能を有する構成のものがある。例えば、特許文献1には、フレアなどによる解像度の低下を抑制するNDフィルタを備えたカメラなどが開示されている。また、特許文献2には、液晶表示装置においてフレアの発生を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-65109号公報
【文献】特開2009-116012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなカメラ機能を有する携帯機器では、人混みの中で被写体を撮像する際に、人混みの上に携帯機器を持ち上げ、被写体に向けて撮像する場合がある。このような場合、ユーザは携帯機器のモニタを見ることができないため、どのような画像が撮像されようとしているのかを確認することができず、撮像後に確認することになっていた。このとき、被写体の近くに太陽などの光源があった場合、フレアにより適切に被写体を撮像できないことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を採る。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記するが、本発明の各構成要素はこれらの付記したものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0006】
本発明の一の手段は、
撮像範囲を撮像する撮像素子(42)と、
前記撮像素子の撮像結果に基づいて前記撮像範囲の所定領域において一定以上の明るさの光源が存在することを検知し、前記光源が前記所定領域外になるよう撮像方向の変更を案内する案内部(10)と、を備える、
撮像装置である。
【0007】
本発明の他の手段は、
撮像範囲を撮像する撮像素子と、案内部と、を備える撮像装置における撮像誘導方法であって、
前記撮像素子が前記撮像範囲を撮像するステップと、
前記案内部が、撮像結果に基づき、前記撮像範囲の所定領域に一定以上の明るさの光源が存在することを検知するステップと、
前記案内部が、検知結果に基づき、前記所定領域に前記光源が含まれなくなるよう撮像方向を案内するステップと、を含む、
撮像誘導方法である。
【0008】
上記構成の撮像装置または撮像誘導方法によれば、撮像範囲の画像が見られない状態で撮像しようとした場合であっても、フレア等の発生を抑制するよう案内されるため、フレアが発生していない画像を取得しやすくすることができる。これにより、撮像する画像の画質の向上等が可能となる。
【0009】
上記撮像装置において、好ましくは、
前記案内部は、前記光源が前記所定領域外になったときに通知を行う。
【0010】
上記構成の撮像装置によれば、撮像しようとする画像にフレア等が発生していないことをユーザに対して通知する構成であるため、ユーザは、撮像のタイミングを簡単に把握することができる。
【0011】
上記撮像装置において、好ましくは、
前記撮像素子と被写体との間に配置され、開口量を調整可能な絞り機構をさらに備える。
【0012】
上記構成の撮像装置によれば、撮像時に撮像素子に入射する光の量を調整可能な構成とすることができる。これによって、被写体の明るさに応じて開口量を調整することで適切な明るさで撮像可能な構成にすることなどが可能となる。
【0013】
上記撮像装置において、好ましくは、
前記案内部は、撮像方向の変更の案内を開始してから所定時間が経過したときに通知を行う。
【0014】
上記構成の撮像装置によれば、ユーザに対して撮像に適したタイミングを通知可能な構成とすることができる。
【0015】
上記撮像装置において、好ましくは、
前記案内部は、前記撮像範囲の中央領域に前記光源が含まれているときに、前記光源が前記中央領域外になるよう撮像方向の変更を案内する。
【0016】
上記構成の撮像装置によれば、フレアの原因となる光源が中央領域外となるよう案内して撮像可能な構成とすることができる。
【0017】
上記撮像装置において、好ましくは、
振動を発生させる振動部をさらに備え、
前記案内部は、前記振動部を振動させることで前記案内を行う。
【0018】
上記構成の撮像装置によれば、音声等を利用することなく、フレアの発生を抑制した画像を撮像可能な構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、撮像誘導処理の動作を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、撮像範囲における中央領域及び撮像領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の撮像装置は、ディスプレイを見ずに撮像せざるを得ない状況であってもフレアの発生を抑制した画像を撮像可能にするために、撮像装置が振動等で案内する構成としている点を特徴のひとつとしている。本発明の撮像装置は、例えば、スマートフォン、タブレット機器、または携帯電話などである。また、本発明の撮像装置は、デジタルカメラであってもよい。
【0021】
なお、本発明におけるフレアとは、太陽光などの強い光がレンズに入ることによって実際には存在しない光が撮影されるものである。また、フレアに類似するものとしてゴーストがある。ゴーストは、レンズまたはカメラ(撮像装置)内に入った光が反射したものが撮影されたものである。本明細書における以下の説明で「フレア」または「フレア等」と記載された場合は、少なくともフレアおよびゴーストが含まれる。
【0022】
本発明の撮像装置について、以下の構成に従って図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
1.実施形態
2.本発明の特徴
3.補足事項
【0023】
<1.実施形態>
本実施形態では、撮像装置の具体例としてスマートフォンを挙げて説明する。ただし、本発明の撮像装置はスマートフォンに限定されるものではなく、タブレット機器、携帯電話、またはデジタルカメラなどにも適用可能である。
【0024】
<スマートフォン1の構成>
図1は、本実施形態のスマートフォン1の構成を示す図である。
図1に示されるように、スマートフォン1は、プロセッサ10、メモリ11、ディスプレイ20、ディスプレイ制御部21、タッチパネル30、タッチパネル制御部31、カメラモジュール40、方位センサ50、振動モータ60、及び振動制御部61を含んで構成される。
【0025】
<プロセッサ10>
プロセッサ10は、メモリ11、ディスプレイ制御部21、タッチパネル制御部31、カメラモジュール40の制御部41、絞り機構43の羽根制御部431、方位センサ50、及び振動制御部61を含むスマートフォン1の全体の処理を制御する。プロセッサ10は、例えば半導体集積回路で形成されたCPU(中央演算装置)などである。プロセッサ10はスマートフォン1での各種処理を行うが、本明細書では、実施形態における特徴的な処理についての説明を行い、その他の既知の処理については説明を省略する。プロセッサ10の具体的な作動については後述する。プロセッサ10は、本発明の「案内部」の一具体例である。
【0026】
<メモリ11>
メモリ11は、書き換え可能なRAMなどであって、プロセッサ10の処理により種々の情報を記憶し、記憶した情報を出力することができる。メモリ11は、プロセッサ10と同一の半導体集積回路の一部であってもよいし、プロセッサ10とは別構成であってもよい。メモリ11は、例えば、スマートフォン1で行われる種々の処理に関するソフトウェア、及び画像データ等を記憶する。
【0027】
<ディスプレイ20、ディスプレイ制御部21>
ディスプレイ20は、スマートフォンの一方側の面に配置された表示装置であって、ユーザに視認可能な態様で画像を表示する。ディスプレイ20は、液晶表示装置または有機EL表示装置等であるが、これらに限定されるものではない。ディスプレイ制御部21は、ディスプレイ20に表示される画像を制御する。
【0028】
<タッチパネル30、タッチパネル制御部31>
タッチパネル30は、ディスプレイ20の表面に配置されたフィルム等を含んで構成され、ユーザが接触したことを検知可能に構成される。タッチパネル30は、入力検出機構の一例である。タッチパネル30は、検出されたユーザの操作を、タッチパネル制御部31を介してプロセッサ10に出力する。タッチパネル制御部31は、タッチパネル30の動作を制御する。
【0029】
<カメラモジュール40>
カメラモジュール40は、制御部41、撮像素子42、絞り機構43、及びレンズ(図示省略)を含んで構成される。絞り機構43は、羽根制御部431、羽根駆動部432、及び絞り羽根433を含んで構成される。
【0030】
<制御部41>
制御部41は、撮像素子42を含むカメラモジュール40の各部を制御する。制御部41は、撮像素子42から入力された電気信号を画像データに変換してプロセッサ10に出力する。また、制御部41は、カメラモジュール40における撮像等の処理を制御する。
【0031】
<撮像素子42>
撮像素子42は、例えばCMOSセンサまたはCCDなどの光電変換素子であって、レンズを介して照射された光を検知して電気信号に変換し、制御部41に出力する。撮像素子42と、撮像対象となる被写体との間には、1枚以上のレンズ(図示省略)、絞り羽根433、及びNDフィルタ(図示省略)が配置される。また、撮像素子42と被写体との間には、撮像のためのシャッタ羽根が配置されてもよい。撮像素子42は、レンズが向けられた被写体側(物体側)の所定範囲を撮像範囲として撮像する。撮像範囲は、カメラモジュール40の画角によって決定される。
【0032】
レンズは、被写体側から入射してきた光を屈折させながら撮像素子42側に進行させる。NDフィルタは、撮像素子42側に進行する光の光量の一部を遮蔽する。NDフィルタは、後述の絞り羽根433と同様に、被写体から撮像素子42に向かう光路に、移動自在に配置される。NDフィルタは、制御部41により制御されることで、光路に挿入され、または光路から抜去される。
【0033】
<絞り機構43>
絞り機構43は、羽根制御部431、羽根駆動部432、及び絞り羽根433を含んで構成される。
【0034】
<羽根制御部431>
羽根制御部431は、羽根駆動部432の作動を制御する。羽根絞り制御部431は、たとえばドライバICなどであり、後述するプロセッサ10の命令に基いて羽根駆動部432に対して通電などの制御を行う。
【0035】
<羽根駆動部432>
羽根駆動部432は、例えばVCM(Voice Coil Motor)などのモータであって、絞り羽根433を駆動する。羽根駆動部432は、VCM以外の駆動機構であってもよい。
【0036】
<絞り羽根433>
絞り羽根433は、被写体から撮像素子42に向かう光路に配置される。絞り羽根433は、複数の羽根部材を含んで構成される。絞り羽根433は、複数の羽根部材により形成された開口部の開口量を調整することで、絞り量を調整可能に構成される。絞り羽根433の開口部の開口量は、羽根制御部431が羽根駆動部432を作動させることで調整される。絞り羽根433が作動して開口部の開口量が小さくなると、通過する光量が減少し、撮像素子42に照射される光量が減少する。逆に絞り羽根433が作動して開口部の開口量が大きくなると、通過する光量が増加し、撮像素子42に照射される光量が増加する。絞り羽根433は、少なくとも最小絞り状態及び最大絞り状態の2つの状態をとる。最小絞り状態では絞り羽根433の開口量が最小となり、最大絞り状態では絞り羽根433の開口量が最大となる。絞り羽根433の開口部の開口量は、最小絞り状態と最大絞り状態との2状態に限定されてもよいし、無段階で調整可能な構成であってもよい。なお、以下の説明では、絞り羽根433が作動して開口部の開口量を小さくすることを「絞り(または絞り羽根433)を絞る」と表現することがある。同様に、絞り羽根433が作動して開口部の開口量を大きくすることを「絞り(または絞り羽根433)を開く」ということがある。
【0037】
<方位センサ50>
方位センサ50は、スマートフォン1の向きを検出する。より具体的には、方位センサ50は、撮像方向を検出する。方位センサ50は、加速度センサ、角速度センサ、及び地磁気センサ、またはこれらの組み合わせで構成されてもよいし、その他のセンサを用いてもよい。
【0038】
<振動モータ60、振動制御部61>
振動モータ60は、振動制御部61の制御により振動を発生する。振動モータ60は、例えば、リニアモータ等であって、ユーザに振動方向を感じさせるよう所定方向に向かって加速度を生じさせる振動を発生する。振動モータ60は、本発明の「振動部」の一構成例である。なお、振動モータ60に代えて、振動を発生させる別構成を採用してもよい。
【0039】
<撮像誘導処理>
図2は、本実施形態のスマートフォン1で実行される撮像誘導処理を示すフローチャートである。撮像誘導処理は、撮像を行う前に実行され、ユーザは任意のタイミングで割り込み処理として撮像を行うことができる。以下の撮像誘導処理では、
図3に示された撮像領域A1及び中央領域A2を考慮した処理が行われる。
図3に示された撮像領域A1は、撮像素子42によって撮像される撮像範囲を示す。中央領域A2は、撮像領域A1の内側の領域である。
【0040】
<S100、S101>
ユーザがスマートフォン1を操作して撮像処理が開始されると、プロセッサ10は、撮像方向の変更を案内する撮像誘導処理を開始する。プロセッサ10は、まず、撮像領域A1の範囲内に太陽光などの強い光(光源)が検知されるか否かを確認する(S100)。強い光が検知されなければ(S100でN)、撮像誘導処理は終了する。一方、強い光が検知された場合には(S100でY)、プロセッサ10は絞り機構43の羽根制御部431及び羽根駆動部432を介して絞り羽根433の開口部の開口量を小さくすることで絞りを絞る(S101)。
【0041】
<S200、S201、S202>
次に、プロセッサ10は、絞り羽根433の開口量を小さくしたにもかかわらず、なお強い光が検知されるか否かを確認する(S200)。強い光が検知されなければ(S200でN)、すなわち絞りを絞ることで一定以下の明るさに調整することができれば、撮像誘導処理は終了する。一方、強い光が検知された場合には(S200でY)、プロセッサ10は、羽根制御部431及び羽根駆動部432を介して絞り羽根433の開口部の開口量を元に戻す(絞りを開く)。すなわち、後の処理でフレアが発生しないように撮影を誘導するため、絞りを開くことで暗い画像が撮影されないようにする。さらにプロセッサ10は、タイマーによる時間の計測を開始する(S202)。このタイマーは、プロセッサ10の内部タイマーであってもよいし、単なるカウンターであってもよいし、その他のタイマーであってもよい。
【0042】
<S300、S301、S400、S401、S402>
次に、プロセッサ10は、撮像範囲における中央領域A2に太陽光などの強い光が検知されるか否かを確認する(S300)。中央領域A2に強い光が検知された場合(S300でY)、プロセッサ10は、タイマーによる時間計測開始から所定時間が経過したか否かを確認する(S400)。所定時間経過前であれば(S400でN)、プロセッサ10は、振動制御部61を介して振動モータ60を作動させ、太陽光などの強い光(光源)が中央領域A2の外側に移動するようユーザに案内するための振動を発生させる(S401)。例えば、光源が中央領域A2の右側に位置していれば、スマートフォン1が左側に引っ張られるようにユーザが感じるよう、振動モータ60を振動させる。これにより、ユーザがスマートフォン1を左側に向けて撮像方向を変化させ、光源が中央領域A2の外側に移動するよう、案内することができる。
【0043】
一方、中央領域A2から光源が移動しないまま所定時間(例えば10秒)が経過したら(S400でY)、プロセッサ10は、所定時間が経過した旨をユーザに通知する処理を行う(S402)。このユーザへの通知は、例えば、振動制御部61が特定の動きで振動モータ60を作動させることなどにより行われる。このような通知は、スマートフォン1の音声出力部(図示省略)から出力される音声またはLEDなどの発光により行われてもよい。
【0044】
また、太陽光などの強い光(光源)が、中央領域A2の外側に移動した場合には、プロセッサ10は、中央領域A2から光源がなくなったことをユーザに通知する(S301)。このユーザへの通知も、例えば、例えば、振動制御部61が特定の動きで振動モータ60を作動させることなどにより行われる。
【0045】
以上の処理によって、太陽光などの強い光(光源)を中央領域A2の外側に移動させるためにユーザの撮像を誘導する、撮像誘導処理が行われる。ユーザは、任意のタイミングで撮像を行って画像を取得することができる。ただし、プロセッサ10は、中央領域A2の外側に光源が移動したタイミングで自動的に撮像するよう動作してもよい。また、プロセッサ10は、中央領域A2の外側に光源が移動するまで撮像を禁止するよう動作してもよい。このように、光源を中央領域A2の外側に移動させたうえで撮像が行われるようにすると、フレアの発生を抑制することができる。
【0046】
また、プロセッサ10は、太陽光などの強い光(光源)が、撮像範囲(撮像領域A1)の外側に移動するよう、ユーザを誘導する処理を行ってもよい。この場合、フレアの発生をより効果的に抑制することができる。
【0047】
<2.本発明の特徴>
以上、実施形態を例示して説明した本発明は、以下のような特徴を有する。
【0048】
上記スマートフォン1では、プロセッサ10が、撮像範囲の所定領域(例えば中央領域A2または撮像領域A1)に一定以上の明るさの光源(太陽光など)が存在することが検知された場合に、この光源が所定領域外になるよう撮像方向の変更を案内するよう動作する。これにより、撮像結果にフレアの影響が発生することを抑制することなどが可能となる。
【0049】
また、上記スマートフォン1では、プロセッサ10が、光源が所定領域外(例えば中央領域A2または撮像領域A1の外)となったときに通知を行うことができる(S301参照)。これによれば、撮像しようとする画像にフレア等が発生していないことをユーザに対して通知することができる。また、ユーザは、撮像のタイミングを簡単に把握することができる。
【0050】
また、上記スマートフォン1では、絞り機構43を備える構成としているため、撮像時に撮像素子42に入射する光の量を調整可能な構成とすることができる。これによって、被写体の明るさに応じて開口量を調整することで適切な明るさで撮像可能な構成にすることなどが可能となる。
【0051】
また、上記スマートフォン1では、撮像方向の変更の案内を開始してから所定時間が経過したときに通知を行う構成としている(S402参照)。これによって、ユーザに対して、撮像に適したタイミングを通知可能な構成としている。
【0052】
また、上記スマートフォン1では、プロセッサ10は、撮像範囲における中央領域A2に光源が含まれているときに、光源が中央領域外になるよう撮像方向の変更を案内する構成としている。この構成により、フレアの原因となる光源が中央領域外となるよう案内して撮像可能な構成となっている。
【0053】
また、上記スマートフォン1では、振動モータ60をさらに備え、振動により撮像方向変更の案内を行う構成としている。これによって、音声等を利用することなく、フレアの発生を抑制した画像を撮像可能な構成としている。
【0054】
なお、撮像方向変更の案内は、音声を用いて行う構成とすることもできる。この場合、撮像方向変更の案内は、スマートフォン1の音声出力部(図示省略)により行われる。
【0055】
<3.補足事項>
以上、本発明の複数の実施形態についての具体的な説明を行った。これらの実施形態は、あくまで本発明の一構成例及び一作動例としての具体例であって、本発明の範囲はこれらの実施形態に留まらず、同様の技術思想に基づいて当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【0056】
例えば、
図3に示した撮像範囲において、撮像領域A1の両側方を除く範囲を中央領域A2と設定しているが、中央領域A2は、撮像領域A1の内側に収まる領域として設定されてもよい。この場合、中央領域A2は、撮像領域A1の四辺(上下左右)を除く領域となる。
【0057】
また、カメラモジュール40は、絞り機構43を備えない構成としてもよい。
【0058】
また、実施形態ではプロセッサ10が撮像方向変更の案内を行う案内部として機能していたが、プロセッサ10とは別構成として案内部が配置されてもよい。この場合、案内部は、プロセッサ10とは別の半導体装置などであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の撮像装置は、フレアの発生を回避しつつ撮像するための案内を行う機能を有するスマートフォンなどとして好適に適用される。
【符号の説明】
【0060】
1…スマートフォン
10…プロセッサ
11…メモリ
20…ディスプレイ
21…ディスプレイ制御部
30…タッチパネル
31…タッチパネル制御部
40…カメラモジュール
41…制御部
42…撮像素子
43…絞り機構
431…羽根制御部
432…羽根駆動部
433…絞り羽根
50…方位センサ
60…振動モータ
61…振動制御部