(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】地球儀
(51)【国際特許分類】
G09B 27/08 20060101AFI20230926BHJP
G06F 3/0354 20130101ALI20230926BHJP
G06F 3/038 20130101ALI20230926BHJP
G06F 3/03 20060101ALI20230926BHJP
G10L 13/00 20060101ALI20230926BHJP
G06F 3/042 20060101ALN20230926BHJP
【FI】
G09B27/08
G06F3/0354 445
G06F3/038 320
G06F3/03 400Z
G10L13/00 100Z
G06F3/042 421
(21)【出願番号】P 2019128909
(22)【出願日】2019-07-11
【審査請求日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】P 2018136420
(32)【優先日】2018-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591287864
【氏名又は名称】株式会社レイメイ藤井
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】荻野 晃一
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3176901(JP,U)
【文献】特開2006-043093(JP,A)
【文献】実開平05-066665(JP,U)
【文献】実開平03-129978(JP,U)
【文献】実開昭56-032862(JP,U)
【文献】登録実用新案第3220437(JP,U)
【文献】特開平11-096282(JP,A)
【文献】松森 ハルミ,土井 幸輝,藤本 浩志,触読熟達者における触知案内図の境界線識別にドットパターンとの隙間が及ぼす影響,ヒューマンインターフェース学会論文誌,日本,ヒューマンインターフェース学会,2017年12月31日,19-1,33~39
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 27/00-27/08
G06F 3/0354
G06F 3/038
G06F 3/03
G10L 13/00
G06F 3/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチペンを備え、球体の表面に肉眼で認識不能なドットコードが印刷され、当該ドットコードを前記タッチペンで読み取って音声を出力する地球儀であって、
前記球体には国の領土と国旗
マークが印刷されており、
国の領土内に国旗
マークが
配置される場合には、当該領土内のエリアに当該国の識別情報を示すドットコードが印刷され、
国の領土内に国旗
マークが
配置されず、当該領土外に配置される場合であって、ドットコードを前記タッチペンで読み取るのが可能な程度に領土が小さい場合には、当該領土内のエリアと当該国旗
マークのエリアに当該国の識別情報を示すドットコードが印刷され、
国の領土内に国旗
マークが
配置されず、
当該領土外に配置される場合であって、ドットコードを前記タッチペンで読み取るのが困難な程度に領土が小さい場合には、当該国旗
マークのエリアに当該国の識別情報を示すドットコードが印刷され、
陸上に国境を有する国においては、当該国境部分にドットコードを形成しない空白領域を設けたことを特徴とする地球儀。
【請求項2】
陸上に国境を有する国であっても、海に接する海岸線には空白領域を設けないことを特徴とする請求項1記載の地球儀。
【請求項3】
タッチペンのモードを切り替えることで、国の国名及び首都、国旗の由来を音声出力し、国歌を演奏出力することを特徴とする請求項1又は2記載の地球儀。
【請求項4】
国歌の演奏は、オーケストラの短縮版としたことを特徴とする請求項3記載の地球儀。
【請求項5】
タッチペンのモードを切り替えることで、国のクイズを提供し、当該タッチペンで球体表面の特定位置を選択することで解答することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の地球儀。
【請求項6】
タッチペンのモードを切り替えることで、国の通貨、主な産業、国内総生産、国家元首又は気候の情報を音声出力することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の地球儀。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉眼で認識できないドットコードをタッチペンで読み取って音声出力する地球儀に係り、特に、使用者が適切に選択しやすいようにドットコードを配置して、使用者の意図に合わない動作を防止すると共に、国旗の由来、国歌演奏を出力する地球儀に関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来の地球儀としては、地球儀に国と国旗を表示して、領土部分と国旗部分に同一のドットコードを記載しておき、タッチペン等の読み取り手段で領土又は国旗にタッチしてドットコードを読み取って、対応する国名や国歌を音声出力するものがあった。
【0003】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特許第3863155号公報「音声発生玩具」(特許文献1)、特許第5534660号公報「データ検索装置およびデータ検索システム」(特許文献2)、実用新案登録第3148963号公報「インターネットラジオ装置」(特許文献3)、実用新案登録第3176901号公報「音声発生地球儀」(特許文献4)、実用新案登録第3190419号公報「音声読み上げ機能を具備する地球儀」(特許文献5)がある。
【0004】
特許文献1には、地図体上に地図と制御情報が印刷され、地図体上の不可視情報を制御情報に基づいて音声出力する音声発生玩具が示されている。
特許文献2には、地球儀の台座にコントローラーとディスプレイを備え、ディスプレイの表示内容に従って操作するデータ検索システムが示されている。
特許文献3には、国位置情報から選択された国名のラジオ局の放送を音声出力すると共に、その国の固有情報を表示するインターネットラジオ装置が示されている。
【0005】
特許文献4には、地球儀上の不可視情報(ドットコード)をペン先で読み込んで関連する情報を音声出力する音声発生地球儀が示されている。
特許文献5には、ペン型の読み取り装置で地球儀上の模様コードを読み取り、そのコードに基づいて音声出力する地球儀が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3863155号公報
【文献】特許第5534660号公報
【文献】実用新案登録第3148963号公報
【文献】実用新案登録第3176901号公報
【文献】実用新案登録第3190419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の、ドットコードを読み取って音声を発生する地球儀では、国土が小さい国や、国境線が複雑な国において領土部分のドットコードを読み取る場合に、使用者が、誤って隣国の領土をタッチしてしまうことで、使用者の意図に合わない動作が発生するという問題点があった。
【0008】
特許文献1~5には、国の領土にドットコードが配置された地球儀において、陸上に国境がある国について、国境部分にドットコードを形成しない空白領域を設けたことは記載がない。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、国土が小さい国、国境線が複雑な国でもタッチペンで選択しやすいようにドットコードを配置して、利用者の誤操作を防止でき、また、タッチペンのモード切替で国旗の由来、国歌演奏等の多様な音声出力を可能とした地球儀を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、タッチペンを備え、球体の表面に肉眼で認識不能なドットコードが印刷され、当該ドットコードをタッチペンで読み取って音声を出力する地球儀であって、球体には国の領土と国旗マークが印刷されており、国の領土内に国旗マークが配置される場合には、当該領土内のエリアに当該国の識別情報を示すドットコードが印刷され、国の領土内に国旗マークが配置されず、当該領土外に配置される場合であって、ドットコードをタッチペンで読み取るのが可能な程度に領土が小さい場合には、当該領土内のエリアと当該国旗マークのエリアに当該国の識別情報を示すドットコードが印刷され、国の領土内に国旗マークが配置されず、当該領土外に配置される場合であって、ドットコードをタッチペンで読み取るのが困難な程度に領土が小さい場合には、当該国旗マークのエリアに当該国の識別情報を示すドットコードが印刷され、陸上に国境を有する国においては、当該国境部分にドットコードを形成しない空白領域を設けたことを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記地球儀において、陸上に国境を有する国であっても、海に接する海岸線には空白領域を設けないことを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記地球儀において、タッチペンのモードを切り替えることで、国の国名及び首都、国旗の由来を音声出力し、国歌を演奏出力することを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記地球儀において、国歌の演奏が、オーケストラの短縮版としたことを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記地球儀において、タッチペンのモードを切り替えることで、国のクイズを提供し、当該タッチペンで球体表面の特定位置を選択することで解答することを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記地球儀において、タッチペンのモードを切り替えることで、国の通貨、主な産業、国内総生産、国家元首又は気候の情報を音声出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、タッチペンを備え、球体の表面に肉眼で認識不能なドットコードが印刷され、当該ドットコードをタッチペンで読み取って音声を出力する地球儀であって、球体には国の領土と国旗マークが印刷されており、国の領土内に国旗マークが配置される場合には、当該領土内のエリアに当該国の識別情報を示すドットコードが印刷され、国の領土内に国旗マークが配置されず、当該領土外に配置される場合であって、ドットコードをタッチペンで読み取るのが可能な程度に領土が小さい場合には、当該領土内のエリアと当該国旗マークのエリアに当該国の識別情報を示すドットコードが印刷され、国の領土内に国旗マークが配置されず、当該領土外に配置される場合であって、ドットコードをタッチペンで読み取るのが困難な程度に領土が小さい場合には、当該国旗マークのエリアに当該国の識別情報を示すドットコードが印刷され、陸上に国境を有する国においては、当該国境部分にドットコードを形成しない空白領域を設けた地球儀としているので、国土が小さい国、国境線が複雑な国でもタッチペンで選択しやすいようにドットコードを配置して、利用者の誤操作を防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図4】国旗マークが領土内にある場合の例を示す概略図である。
【
図5】国旗マークが領土外にある場合の例を示す概略図である。
【
図7】国境が陸上にある場合のドットコードエリアを示す説明図である。
【
図8】国境が複雑な場合のドットコードエリアを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る地球儀(本地球儀)は、球体の表面に印刷されたドットコードをタッチペンで読み取って音声を出力する地球儀で、国の領土と国旗とが印刷され、国の領土に国旗が含まれる場合には、当該領土内に国の識別情報を示すドットコードが印刷され、国の領土内に国旗が含まれない場合には、領土内のエリアと国旗のエリアにドットコードが印刷され、国の領土内に国旗が含まれず、タッチペンでドットコードを読み取るのが困難なほど領土が小さい場合には、国旗のエリアにドットコードが印刷され、陸上に国境を有する国は、国境部分にドットコードを形成しない空白領域を設けた構成として、領土の大きさに応じて、利用者がタッチペンで選択しやすいエリアにドットコードを配置すると共に、陸上に国境を有する国については、利用者が、国境付近で誤って隣国を選択してしまう誤操作を防ぎ、使い勝手を向上させることができるものである。
【0019】
[本地球儀の外観:
図1]
本地球儀について
図1を参照しながら説明する。
図1は、本地球儀の概略図である。
図1に示すように、本地球儀1は、球体12と、緯度尺13と、支柱14と、台座15とを備えている。
球体12は地球を模した球体であり、表面には、国の領土(領土)10と、国旗マーク11が記載されている。
緯度尺13は、球体12を地軸方向で保持するフレームで、表面に緯度が記載されている。
支柱14は、緯度尺13に接続され、球体12及び緯度尺13を支える柱である。
台座15は、支柱14に接続され、本地球儀1を水平面に設置した場合に、地軸の傾きが実際の地球と同等となるよう本地球儀1全体を保持するものである。
【0020】
そして、領土10及び/又は国旗マーク11のエリアには、肉眼では識別できない程度に微細なドットコード(不可視情報)が印刷されている。ドットコードは、国の識別情報を含むものである。
そして、本地球儀1に付属しているタッチペンでドットコードを読み取ることによって、タッチペンから対応する国名等を音声出力するようになっている。
また、領土10と国旗マーク11の配置(記載の例)やドットコードの印刷範囲については、後述する。
【0021】
また、
図1では、球体12が地軸を中心に回転する構成のものを示したが、球体12が地軸方向だけでなく上下方向にも回転可能な全回転型の構成としてもよい。
図示は省略するが、全回転型の地球儀は、緯度尺に相当する円形のフレーム部の中に球体12が地軸方向に回転可能に保持され、更に、フレーム部の水平方向両端部が、台座に固定された半円弧形状の枠部の両端に回転可能に保持されている。
これにより、球体12はフレーム部ごと上下方向に回転可能となっており、特に南半球を調べる場合に、見やすく便利な構成となっている。
【0022】
[タッチペンの外観:
図2]
本発明の実施の形態に係るタッチペン(本タッチペン)について
図2を参照しながら説明する。
図2は、本タッチペンの概略図である。
図2に示すように、本タッチペン2は、本体20に、電源ボタン21と、モード切替ボタン22と、音量ボタン23と、読み取り部24とを備えている。
【0023】
タッチペン2の各部について説明する。
電源ボタン21は、電源のオン/オフを切り替えるボタンであり、押下する度にオンとオフとを切り替える。
但し、電源がオンの状態で一定時間(例えば3分間)操作が為されない場合には、自動的に電源がオフに切り替わる。この制御は、後述する制御部27によって行われるものである。
【0024】
モード切替ボタン22は、本タッチペン2でドットコードを読み取った場合に、どの音声情報を出力するかを切り替えるボタンである。
出力する音声情報の種類(モード)としては、例えば、国名及び首都、国歌、面積、人口、通貨、主な産業、GDP(Gross Domestic Product:国内総生産)、国家元首、気候、クイズ等があり、モード切替ボタン22を押下する毎に循環的に切り替わる。また、電源投入時には、デフォルトとして「国名及び首都」のモードが設定される。モードの詳細については、後述する。
【0025】
音量ボタン23は、音声出力時の音量を切り替えるボタンであり、音量を、中→大→小→中→…のように、循環的に切り替える。
読み取り部24は、本タッチペン2の先端部に設けられ、ドットコードを光学的に読み取ってコードデータを出力するものである。コードデータは、国の識別情報である。
読み取り方式は、本地球儀1の球体2に印刷されているドットコードの仕様に対応したものであり、例えば、赤外線スキャナ等で構成される。
【0026】
[本タッチペンの構成:
図3]
次に、本タッチペン2の構成について
図3を用いて説明する。
図3は、本タッチペンの構成ブロック図である。
図3に示すように、本タッチペン2は、上述した電源ボタン21と、モード切替ボタン22と、音量ボタン23と、読み取り部24に加えて、音声出力部25と、記憶部26と、制御部27と、電源28とを備えている。
図2を用いて説明した構成部分については、説明を省略する。
【0027】
音声出力部25は、制御部27からの指示に従って、音声を出力するものである。
記憶部26は、制御部27における処理プログラムのほか、ドットデータ及びモード(国名及び首都、国歌、面積等)に対応する音声データを記憶している。音声データは、例えば、ドットデータ及びモードに対応するテーブルとして記憶されている。
更に、記憶部26には、後述する国クイズで出題される問題と、各問題番号に対応する正解も記憶されている。
電源28は、本タッチペン2の各部に電源を供給するものであり、例えば、乾電池等で構成される。
【0028】
制御部27は、本タッチペン2の各部の制御や、設定されているモードに応じた音声情報出力の処理を行う。
具体的には、制御部27は、モード切替ボタン22によって選択されたモードの情報(モード情報)を保持しており、読み取り部24からコードデータが入力されると、記憶部26から、当該モード及びコードデータに対応した音声データを読み取って、音声出力部25に出力する。
そして、音声データは、音声出力部25においてD/A変換されて、音声として外部に出力される。尚、国歌の場合は、音楽データがD/A変換されて音楽として出力される。
【0029】
また、クイズモードが設定されている場合には、制御部27は、先にクイズ問題を音声出力し、読み取り部24から入力された解答(コードデータ)に応じて、正解/不正解の判定を行って、音声又は音で出力する。クイズモードでの動作は後述する。
【0030】
更に、上述したように、制御部27は、電源オンの状態で何らかの操作が行われると計時を開始して、読み取り部24、モード切替ボタン22、音量ボタン23等からの次の入力を待ち受け、一定時間が経過するまでに次の入力があればそれに応じた動作を行い、一定時間の間に入力が無ければ、電源をオフにする制御を行う。これにより、電池の無駄な消耗を抑えることができるものである。
【0031】
[音声情報の種類(モード)]
本タッチペンにおける音声情報の種類(モード)について説明する。
本地球儀1では、音声情報の種類(モード)として、(1)国名及び首都、(2)英語国名、(3)面積、(4)人口、(5)国歌、(6)言語、(7)国旗の由来、(8)国クイズ、の8種類を備えている。
【0032】
これらの内、(1)~(7)のモードを学習モード、(8)の国クイズをクイズモードと称している。但し、モード切替ボタン22では、学習モードとクイズモードとを切り替えるのではなく、上述したように、(1)~(8)のモードを巡回的に切り替えるようになっている。
尚、(1)~(7)の学習モード以外に、通貨、主な産業、GDP、国家元首、気候等の学習モードを追加してもよい。
【0033】
そして、本タッチペンでは、モード切替ボタン22によってモードが選択されると、例えば、「国歌です」「面積です」等のガイダンスが音声で出力されるようになっている。これにより、使用者は、現在どのモードが設定されているのかを知ることができるものである。モードの音声ガイダンスのデータも、記憶部26に記憶されている。
【0034】
まず、学習モードにおける出力情報について、日本のドットコードが入力された場合を例として説明する。いずれのモードも、対象とする国は197ヶ国となっている。
モード(1)は、「国名及び首都」であり、日本のドットコードが読み込まれると、「日本。首都は東京です」といった音声が出力される。
【0035】
モード(2)は、「英語国名」であり、「ジャパン(Japan)」と出力される。
モード(3)は、「面積」であり、「日本の面積は約○○平方kmです」と出力される。広さ、狭さの上位3位については、更に、「世界で○○番目の広さです」「世界で〇〇番目の狭さです」という音声も出力される。尚、上位3位の代わりに上位5位や上位10位について順位を表すメッセージを出力するようにしてもよい。
【0036】
モード(4)は、「人口」であり、「日本の人口はおよそ○○人です」といった音声が出力される。1位から3位については、更に、「世界で〇番目の人口の多さです」「世界で〇番目の人口の少なさです」という音声も出力される。
【0037】
モード(5)は、「国歌」であり、オーケストラ演奏の「君が代」の曲が出力される。長い国歌の場合には、1分程度の短縮版とし、フェイドアウトするようになっている。
モード(6)は、「言語」であり、「コンニチハ。日本の言語は、日本語です。ありがとう」と出力される。但し、日本語以外の場合、音声はネイティブスピーカーの発音とは限らない。
モード(7)は、「国旗の由来」であり、「赤い円は、日の出の太陽を表しています」の音声が出力される。
【0038】
また、上記学習モードのモード(1)~(7)以外の通貨、主な産業、GDP、国家元首、気候等の追加の学習モードについて具体的に説明する。
例えば、国として「ブラジル」のドットコードが入力された場合、モード(7)に続いて次のモードが選択されると、「ブラジルの通貨はレアルです」が音声出力され、次のモード選択で「ブラジルの主な産業は製造業、鉱業、農業です」が出力され、次のモード選択で「ブラジルのGDPは1兆7,726億ドルです」が出力され、次のモード選択で「ブラジルの国家元首はミシェル・テメル大統領です」が出力され、次のモード選択で「ブラジルの気候は北部が熱帯性、中部が亜熱帯、南部が温帯です」が音声出力される。
尚、上記追加モードを全て順に音声出力としてもよいが、この中の1つ又は複数のモードを選択可能として音声出力してもよい。
【0039】
クイズモード(8)は、学習モードとは異なり、国に因んだ様々なクイズが出力される。
クイズ問題としては、例えば、「日本はどこ?」「世界で〇番目に広い国はどこ?」「東京はどこの国の都市?」「国旗に龍が描かれているのはどこの国?」といった問題が考えられる。いずれも、本タッチペン2で本地球儀1をタッチして解答できる問題となっている。クイズ問題は、モード(1)~(7)の内容だけでなく、上記追加モードの内容の範囲からも出題することができる。
【0040】
クイズモードでは、本タッチペン2から出力される音声のクイズ問題に対して、本タッチペン2で本地球儀1上の国をタッチしてドットコードを読み込んで解答すると、本タッチペン2の制御部27が記憶部26を参照して、当該クイズ問題に対応する正解と入力されたコードデータとを比較して、解答と正解とが一致していれば正解を示す音を音声出力部25から出力し、不一致であれば不正解を示す音と正解とを出力する、といった動作が行われる。
そして、次のクイズ問題が出力される。
【0041】
クイズモードでは、例えば、連続して10問出題される。1問当たりの解答制限時間は、例えば1分としており、その間はタイマーのカウント音(チッチッチ…等)を出力する。解答がないまま1分が経過すると、制御部27は、当該問題は不正解として、不正解を示す音と正解とを出力する。そして、次の問題を出力する。
制御部27は、一連のクイズの解答について、正解の数をカウントしておき、10問のクイズの解答が終わると、「10問中〇問正解しました」といったメッセージを出力する。
【0042】
このように、本地球儀1では、タッチペン2のモード切替ボタン22によってモードを切り替えることで、国名及び首都、英語国名、面積、人口、国歌、言語、国旗の由来、その他、国クイズといった多様な情報を音声出力することができ、利用者は、楽しみながら世界の各国についていろいろな情報を取得することができるものである。
特に、視覚と聴覚とから同時に情報を入力することにより、国とそれに関する諸情報とを対応付けて覚えやすくなり、学習効果が期待できるものである。
【0043】
更に、本地球儀1では、電源投入時には、「しゃべる国旗付き地球儀へようこそ」、電源切断時には、「またね」といった音声を出力するようにしており、利用者が親しみを感じられるようにしている。
【0044】
また、本タッチペン2では、次の10問のクイズに移行する場合には、再びモードボタン22を押して巡回的にクイズモードを設定することになるが、より簡単にクイズモードに移行できる構成(別の構成)としてもよい。
別の構成では、モードボタン22を一定時間(例えば2~3秒以上)長押しすることによって、現在のモードに関わらず、直ちにクイズモードに移行するようにしている。
【0045】
つまり、別の構成では、モードボタン22を短い時間押下すると、学習モードの中で巡回的にモードを切り替え、長押しすることでクイズモードに移行するものである。
これにより、モードボタン22を何度も押さなくても、容易にクイズモードに移行することができ、使い勝手を向上させることができるものである。
【0046】
[国旗マークと領土とドットコードとの関係:
図4~6]
次に、本地球儀1における国旗マークと領土とドットコードとの関係について
図4~6を参照しながら説明する。
基本的には、本地球儀1の表面に記載された国の領土10には、その国の識別情報(ID)を示すドットコードが印刷されている。
但し、領土10の大きさに応じて、ドットコードが印刷される範囲が異なっている。以下、具体的に説明する。
【0047】
[国旗マークが領土内にある場合:
図4]
図4は、国旗マークが領土内にある場合の例を示す概略図である。
図4に示すように、領土10の大きさが、国旗マーク11に比べて十分大きく、国旗マーク11が領土10内にある場合は、ドットコードは、国旗マーク11を含めた領土11内に印刷される。
図4の例では、国Aの領土10の中に、国Aの国旗マーク11が配置されている。
利用者が領土10内のエリアをタッチすると、学習モードでは、本タッチペン2からモードに応じた音声情報が出力され、クイズモードでは、クイズ問題に解答することになる。
【0048】
[国旗マークが領土外にある場合:
図5]
図5は、国旗マークが領土外にある場合の例を示す概略図である。
図5に示すように、領土10の大きさが、国旗マーク11をその内部に配置できるほど大きくない場合、国旗マーク11は、領土10の外部に配置される。
図5の例では、国Bの領土10の外に、国Bの国旗マーク11が配置されている。
この場合、領土10と、国旗マーク11の両方に、同一のドットコードが印刷される。利用者は、領土10又は国旗マーク11のいずれかをタッチすればよい。
【0049】
[領土が小さい場合:
図6]
図6は、領土が小さい場合の例を示す概略図である。
図6に示すように、領土10の大きさが、国旗マーク11に比べて小さい場合は、国旗マーク11を領土10の外部に配置すると共に、ドットコードは領土10には印刷せず、国旗マーク11のみに印刷する。
図6の例では、国Cの領土10の外に国Cの国旗マーク11が配置され、国旗マークのみがドットコードエリア(ドットコードが印刷された領域)となっている。
この場合には、利用者は、国旗マーク11にタッチする。
これにより、領土が小さい国の領土10のドットコードを読み取ろうとして、エラーとなってしまうことが無くなり、使い勝手を向上させるものである。
【0050】
[領土とドットコードエリアの関係]
次に、領土10においてドットコードが形成(印刷)されるエリア(ドットコードエリア)について
図7,8を参照しながら説明する。
ヨーロッパ等、陸地上に多くの国が密集している地域では、特定の国をタッチペン2で選択しようとしても、境界が分かりにくく、誤って隣国をタッチしてしまうといったことが起こりやすい。
そこで、本地球儀1では、複数の国が密集しているところでも、所望の国を正確に指定できるように、ドットコードエリアを配置している。
【0051】
まず、日本などの、四方を海洋で囲まれていて、陸上に国境を持たない国の場合には、隣国との境が明瞭であるため、基本的には全領土にドットコードが印刷されている。但し、領土が小さい国の場合には、
図6に示したように、国旗マークにドットコードを印刷する。
【0052】
[国境が陸上にある場合:
図7]
次に、陸上で隣国と接する国のドットコードエリアについて
図7を用いて説明する。
図7は、国境が陸上にある場合のドットコードエリアを示す説明図である。
図7では、半島状に突き出た陸地に国Dと国Fがある場合を示している。国Dと国Fとは陸上で国境を接しており、その境界付近ではタッチペンによって正しく所望の国を指定するのが難しい。
【0053】
そこで、本地球儀1では、
図7に示すように、陸上の国境から一定の範囲には、ドットコードを設けない空白エリア(マージン)を設け、空白エリア以外の領土部分をドットコードエリアとしている。この空白エリアが、請求項における「空白領域」に相当している。
図7の例では、国Dと国Eとが国境31aを介して接しており、国D側には空白エリア32aが設けられ、国E側には空白エリア32bが設けられている。
【0054】
また、国Eは、内陸側の国境31bで別の国にも接しており、国境31bから一定範囲には空白エリア32cが形成されている。別の国については記載を省略する。
このように、ドットコードを形成する領域を制限することにより、国Dと国E、国Eと別の国の国境付近で、利用者が誤って国を指定してしまうことによる、意図しない動作を防ぐことができるものである。
【0055】
但し、海に接している部分では、誤って隣国を指定してしまう恐れがないので、海岸線に対しては空白エリアを設けず、ドットコードエリアを形成する。
図7の例では、図の上側を北とすると、国Dは、国Eと接する東側以外の三方については海岸線までドットコードが印刷されて、ドットコードエリアDが形成されている。
同様に、国Eは、北側と南側については海岸線までドットコードが印刷されて、ドットコードエリアEが形成されている。
【0056】
[国境が複雑な場合:
図8]
次に、国境が複雑な場合について
図8を用いて説明する。
図8は、国境が複雑な場合のドットコードエリアを示す説明図である。
図8に示すように、国境が複雑に入り組んでいる場合、隣国に細く入り込んでいるエリアについては、ドットコードを形成しない空白エリアとする。
図8の例では、国Fと国Gとが国境線が複雑な国境31cで接しており、地域Xでは、国Fが国Gの方に細く突出し、地域Yでは、国Gが国Fの方に細く突出している。
【0057】
このような場合、国境線の形状に忠実に空白エリアを形成するのではなく、突出した部分X,Yを含む範囲を空白エリアとして、ドットコードエリアを形成する。
これにより、利用者が、複雑な国境付近をタッチして、意図しない方の国を指定しまうのを防ぐことができるものである。
尚、国F,国Gは、内陸国であり、その周囲を陸地で囲まれているため、全ての国境部分に空白エリアが設けられている。
【0058】
[実施の形態の効果]
本地球儀によれば、球体の表面に印刷されたドットコードをタッチペン2で読み取って音声を出力する地球儀で、国の領土10と国旗マーク11とが印刷され、国の領土10に国旗11が含まれる場合には、当該領土内に国の識別情報を示すドットコードが印刷され、国の領土10内に国旗マーク11が含まれない場合には、領土10内のエリアと国旗マーク11のエリアにドットコードが印刷され、国の領土10内に国旗マーク11が含まれず、タッチペン2でドットコードを読み取るのが困難なほど領土が小さい場合には、国旗マーク11のエリアにドットコードが印刷され、陸上に国境を有する国は、国境部分にドットコードを形成しない空白領域を設けているので、領土の大きさに応じて、利用者がタッチペン2で選択しやすいエリアにドットコードを配置すると共に、陸上で国境を接している国については、利用者が、国境付近で誤って隣国を選択してしまう誤操作を防ぎ、意図しない動作を無くして使い勝手を向上させることができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、国土が小さい国、国境線が複雑な国でもタッチペンで選択しやすいようにドットコードを配置して、利用者の誤操作を防止でき、また、タッチペンのモード切替で国旗の由来、国歌演奏等の多様な音声出力を可能とした地球儀に適している。
【符号の説明】
【0060】
1…地球儀、 2…タッチペン、 10…国の領土(領土)、 11…国旗マーク、 12…球体、 13…緯度尺、 14…支柱、 15…台座、 20…本体、 21…電源ボタン、 22…モード切替ボタン、 23…音量ボタン、 24…読み取り部、 25…音声出力部、 26…記憶部、 27…制御部、 28…電源、 31,31a,31b,31c…国境、 32,32a,32b,32c…空白エリア