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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20230926BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20230926BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230926BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 31/4453 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20230926BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20230926BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/64
A61K8/73
A61K8/06
A61Q19/00
A61Q1/00
A61K31/4453
A61K47/22
A61K47/18
A61K47/36
A61K9/107
A61P17/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019173751
(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公開番号】P2021050155
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】クワージエン
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一明
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01941861(EP,A1)
【文献】特開2012-051873(JP,A)
【文献】特開2010-077072(JP,A)
【文献】特開2011-098891(JP,A)
【文献】特開2008-187928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00- 47/69
A61K 38/00- 38/58
A61K 41/00- 45/08
A61K 48/00
A61K 50/00- 51/12
A61K 31/33- 33/44
A61K 31/00- 31/327
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される有機酸またはその塩と、β-アミノ酸誘導体またはその塩を含む組成物であって、
【化1】
(一般式(I)中、nは2~5の整数を表す。)
前記β-アミノ酸誘導体がカルノシンである、
組成物。
【請求項2】
有機酸またはその塩とβ-アミノ酸誘導体またはその塩の質量比が50:3~1:10の範囲である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記有機酸が1-ピペリジンプロピオン酸である請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
前記1-ピペリジンプロピオン酸を組成物全量に対し0.5~5質量%含む請求項3記載の組成物。
【請求項5】
前記カルノシンを組成物全量に対し0.3~5質量%含む請求項1~4のいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
水中油型である請求項1~いずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
さらに多糖類系増粘剤を含む請求項記載の組成物。
【請求項8】
化粧料である請求項1~いずれか1項記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、特に特定の有機酸を含む組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1-ピペリジンプロピオン酸およびその塩は、扁平上皮細胞癌関連抗原-1(Squamous Cell Carcinoma Antigen 1、以下、SCCA-1という)産生抑制作用に基づく細胞異常増殖に起因する疾患、並びにSCCA-1産生亢進に起因する疾患を予防および/または治療するために有用であることが知られている(特許文献1)。また、1-ピペリジンプロピオン酸およびその塩は、SCCA1産生抑制により、真皮および基底膜においてシワ形成に影響を及ぼす因子であるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の抑制、および/またはラミニン5の産生促進効果があることも知られている(特許文献2)。
【0003】
また、特許文献3には、特定の有機酸と、特定の界面活性剤と、1-ピペリジンプロピオン酸等の特定の抗肌荒れ性成分とを組み合わせることで、肌荒れを起こさずに効果的に角栓の再生を抑えることができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-242345号公報
【文献】特開2012-240911号公報
【文献】特開2013-49667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1-ピペリジンプロピオン酸のような有機酸およびその塩は上記のように、非常に効果的な活性成分であるため、効果を高めるために組成物中の含有量を増やしたいという要求がある。しかし、有機酸の含有量を増やすと、経時によって鉄のような臭いが発生することが判明した。組成物中の原料臭を抑えるためには、香料の含有量を増やすという手法が考えられるが、香料が混ざることによって新たな臭いが発生しないように香料を選択する必要がある上、香料の含有量を増やすという手法では、微香性あるいは無香料といった製品の要求には答えられない。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、1-ピペリジンプロピオン酸のような有機酸およびその塩の臭いを抑制することが可能な組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の組成物は、下記一般式(I)で表される有機酸またはその塩と、β-アミノ酸誘導体またはその塩を含むものである。
【化1】
(一般式(I)中、nは2~5の整数を表す。)
【0008】
有機酸またはその塩とβ-アミノ酸誘導体またはその塩の質量比は50:3~1:10の範囲であることが好ましい。
【0009】
有機酸は1-ピペリジンプロピオン酸であることが好ましい。
【0010】
β-アミノ酸誘導体はカルノシン(L-カルノシン)であることが好ましい。
【0011】
1-ピペリジンプロピオン酸は組成物全量に対し0.5~5質量%の範囲で含むことが好ましい。
【0012】
カルノシンは組成物全量に対し0.3~5質量%の範囲で含むことが好ましい。
【0013】
本発明の組成物は、水中油型とすることができる。
【0014】
本発明の組成物が水中油型の場合には、さらに多糖類系増粘剤を含むことが好ましい。
【0015】
本発明の組成物は、化粧料とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の組成物は、上記一般式(I)で表される有機酸またはその塩と、β-アミノ酸誘導体またはその塩を含むので、有機酸またはその塩の臭いが抑制された組成物とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物は、下記一般式(I)で表される有機酸(以下、単に有機酸ともいう)またはその塩と、β-アミノ酸誘導体またはその塩を含むものである。
【化2】
(一般式(I)中、nは2~5の整数を表す。)
以下、各成分について詳細に説明する。
【0018】
(有機酸またはその塩)
下記一般式(I)で表される有機酸は、nが2~5の整数で表される有機酸であり、好ましくはn=2の1-ピペリジンプロピオン酸がより好ましい。
【化3】
【0019】
塩としては、特に限定されないが、例えば、無機塩としては、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。有機塩としては、酢酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、トリエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、アミノ酸塩等が挙げられる。
【0020】
中でも、表皮の最終分化を阻害してバリアー機能を悪化させるとともに、皮膚抵抗性を低下させる因子であるSCCA-1の発現を抑制することにより、肌荒れしにくい肌に肌質を改善するとともに、しわ形成抑制の観点から、1-ピペリジンプロピオン酸(n=2)を好適に用いることができる。
【0021】
有機酸またはその塩の配合量は特に限定されるものではないが、組成物全量に対し、0.5~5質量%以上であることが好ましく、より好ましくは、1~3質量%の範囲である。例えば、有機酸が1-ピペリジンプロピオン酸の場合、0.5質量%以上であることで、SCCA-1産生抑制作用に基づく細胞異常増殖に起因する疾患、並びにSCCA-1産生亢進に起因する疾患をより効果的に予防および/または治療することができ、また、SCCA1産生抑制により、シワ形成、肌荒れをより抑制することができる。なお、5質量%以下とすることで、1-ピペリジンプロピオン酸によるべたつきを抑えて使用性をより良好なものとすることができる。
【0022】
(β-アミノ酸誘導体またはその塩)
β-アミノ酸誘導体としては、β-アラニル-L-ヒスチジン(L-カルノシン)、β-アラニンアミド、N-モノメチル-β-アラニン、N-シクロヘキシル-β-アラニン、N-シクロヘキシルメチル-β-アラニン、N-シクロヘキシル-N-メチル-β-アラニン、N-シクロヘキシルカルボニル-β-アラニン、N-(2’-ピリジル)-β-アラニン、N-ニコチノイル-β-アラニン、N-ベンジルオキシカルボニル-β-アラニン、N-ベンジル-β-アラニン、N-ベンゼンスルホニル-β-アラニン、N-ベンゾイル-β-アラニン、N-p-アニソイル-β-アラニン(N-4’-メトキシベンゾイル-β-アラニン)、N-m-アニソイル-β-アラニン(N-3’-メトキシベンゾイル-β-アラニン)、N-o-アニソイル-β-アラニン(N-2’-メトキシベンゾイル-β-アラニン)、N-3’,4’,5’-トリメトキシベンゾイル-β-アラニンおよびN-フェニルアセチル-β-アラニン、あるいはこれらの塩などが挙げられる。中でも、β-アラニル-L-ヒスチジン(L-カルノシン)あるいはその塩は、上記有機酸またはその塩の臭いを効果的に抑制し、また、薬剤安定性、およびしわ改善の効果もあることから、より好ましい。
【0023】
塩としては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩、等)、アンモニウム塩、有機アミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、等)などが挙げられる。
【0024】
β-アミノ酸誘導体またはその塩の配合量は、組成物全量に対し、0.3~5質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、0.5~3質量%の範囲である。例えば、β-アミノ酸誘導体がカルノシンの場合、0.3質量%以上であることで、有機酸またはその塩の臭いをより効果的に抑制することができる。また、5質量%以下とすることで、カルノシンによるべたつきを抑えて使用性をより良好なものとすることができる。
【0025】
有機酸またはその塩とβ-アミノ酸誘導体またはその塩の質量比は、臭い抑制の観点から、50:3~1:10の範囲であることが好ましく、より好ましくは15:1~1:2、さらには10:1~2:3であることが好ましい。
【0026】
本発明の組成物は、水溶液系,可溶化系、乳化系、油液系、ゲル系、軟膏系、エアゾール系、水-油2層系、水-油-粉末3層系等、幅広い剤型を取り得る。乳化系としては、水中油型(O/W)、油中水型(W/O)、さらには油中水中油型(O/W/O)、水中油中水型(W/O/W)等のマルチタイプであってもよい。
【0027】
乳化型が水中油型の場合には、安定性の向上のため、多糖類系増粘剤を含むことがより好ましい。
多糖類系増粘剤としては、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、デルマタン硫酸ナトリウム、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム、キサンタンガム、寒天、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、グアーガム、ペクチン、クインスシード、サクシノグリカン、デキストラン、プルラン、デンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース等を挙げることができる。
【0028】
本発明の組成物は、通常化粧品や医薬品等に用いられる成分、例えば油分、界面活性剤、粉末、色材、水、アルコール類、上記多糖類系増粘剤以外の増粘剤、キレート剤、シリコーン類、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保湿剤、香料、各種薬効成分、防腐剤、pH調整剤、中和剤等必要に応じて適宜配合される。
【0029】
上記任意配合成分のうち、油分としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル、ラノリンサルコール、コレステロール、フィトステロール、イソステアリルアルコール等の分岐鎖アルコール等の高級アルコール、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、固形パラフィン、ビースワックス、硬化ヒマシ油、カルナウバロウ、バリコワックス等のワックス、牛脂、豚脂、羊脂、スクワラン、ヤシ油、パーム油、パーム核油、大豆油、オリーブ油、綿実油、ホホバ油、ヒマシ油、ラノリン等の動植物油脂、流動パラフィン、ワセリン等の鉱物油、トリメチルプロパントリイソステアレート、イソプロピルミリステート、グリセロールトリ-2-エチルヘキサネート、ペンタエリスリトールテトラ-2-エチルヘキサネート、シリコーン油、ポリオキシエチレン(以下、POEとも記載する。)ポリオキシプロピレン(以下、POPとも記載する。)ペンタエリスリトールエーテル等の合成油等が挙げられる。
【0030】
界面活性剤としては、セッケン用素地、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸セッケン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、ラウロイルサルコシンナトリウム等のN-アシルサルコシン酸、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸、POEステアリルエーテルリン酸等のリン酸エステル塩、モノラウロイルモノエタノールアミドPOEスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸モノナトリウム等のN-アシルグルタミン酸塩、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸化油、POEアルキルエーテルカルボン酸、POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、カゼインナトリウム等のアニオン系界面活性剤;
【0031】
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム塩等のジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム等のカチオン系界面活性剤;2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキシド-1-カルボキシエチロキシ二ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤等の両性界面活性剤;ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸塩等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POE・メチルポリシロキサン共重合体等の親油性非イオン界面活性剤;POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノオレエート、POEグリセリンジステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEモノジオレエート等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEコレスタノールエステル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、ブルロニック等のプルアロニック型類、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POPセチルエーテル、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POE脂肪酸アミド、POEアルキルアミン、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド等の親水性非イオン界面活性剤等が挙げられる。
【0032】
アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール、シトステロール、ラノステロール等が挙げられる。
【0033】
多糖類系増粘剤以外の増粘剤としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、POE系高分子、POE・POP共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系水溶性高分子等の水溶性高分子等が挙げられる。
【0034】
キレート剤としては、シトラマル酸、アガル酸、グリセリン酸、シキミ酸、ヒノキチオール、没食子酸、タンニン酸、コーヒー酸、エチレンジアミン四酢酸、エチレングリコー
ルジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、フィチン酸、ポリリン酸、メタリン酸、ならびにこれらの類似体ならびにこれらのアルカリ金属塩およびカルボン酸エステル等が挙げられる。
【0035】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸オクチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤;パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;ジモルホリノピリダジノン等のピリダジン誘導体;4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン等のベンゾイルメタン誘導体;3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー等のカンファー誘導体;2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール誘導体;その他、2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン等が挙げられる。
【0036】
保湿剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、キシリトール、マルチトール、マルトース、D-マンニット、ブドウ糖、果糖、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、グルコサミン、シクロデキストリン等が挙げられる。
【0037】
薬効成分としては、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、ビタミンD2、dl-α-トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;アズレン、グリチルリチン等の抗炎症剤;アルブチン等の美白剤、エストラジオール等のホルモン類;酸化亜鉛、タンニン酸等の収斂剤;L-メントール、カンフル等の清涼剤;その他塩化リゾチーム、塩酸ピリドキシン、イオウ等を配合することができる。さらに多様な薬効を示す各種抽出物を配合することができる。すなわちドクダミエキス、オウバクエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ヘチマエキス、ユキノシタエキス、ユーカリエキス、チョウジエキス、マロニエエキス、ヤグルマギクエキス、海藻エキス、タイムエキス等が挙げられる。
【0038】
防腐剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0039】
中和剤としては、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、水酸化カリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
【0040】
pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
【0041】
酸化防止剤としては、アスコルビン酸、α-トコフェロール、カロチノイド等が挙げられる。
【0042】
上記成分は例示であり、これらに限定されるものではない。またこれら成分は、所望す
る形態に応じた処方に従い、適宜組み合わせて配合することが可能である。
【0043】
本発明に係る組成物は、医薬品,医薬部外品(軟膏剤,歯磨剤等)および化粧料[洗顔料、乳液、クリーム、ジェル、エッセンス(美容液)、パック、マスク等の基礎化粧品;ファンデーション、口紅等のメーキャップ化粧品;日焼け止め等のサンケア商品、口腔化粧品、芳香化粧品、毛髪化粧品、ボディ化粧品等]の形態に広く適用可能である。なお、これらの形態に、本発明に係る組成物の取り得る形態が限定されるものではない。
【実施例
【0044】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例等における配合量は特に断らない限り質量%を示す。
下記表1に挙げた組成を有する水中油型乳化化粧料を常法により調製し、以下の基準で評価を行った。
【0045】
(臭い評価)
70℃の恒温槽に入れて5日間放置した後の試料を女性パネル(10名)により実際に使用してもらい、塗布時の臭いを下記評価基準により評価した。
(評価基準)
A: 10名中、9名以上が臭いに異常がないと回答した
B: 10名中、6~8名が臭いに異常がないと回答した
C: 10名中、3~5名が臭いに異常がないと回答した
D: 10名中、2名以下が臭いに異常がないと回答した
【0046】
(高温安定性の評価)
50℃の恒温槽に入れて比較例2と実施例3の試料を4週間保管したときの分離状態を下記基準により評価した。
A: 分離が起こらない
C: 分離が起こる
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示すように、比較例1は1-ピペリジンプロピオン酸を含まないものであるが、実施例3は1-ピペリジンプロピオン酸を1質量%含んでいても、比較例1と同程度の臭い抑制効果が認められた。カルノシンの量が減るに従って1-ピペリジンプロピオン酸の臭い抑制効果は小さくなるものの、カルノシンを含まない比較例2に比べると、臭いの抑制効果が認められた。高温安定性については、多糖類系増粘剤であるキサンタンガムが分離安定性に寄与しているものと推測される。
【0049】
表2に水中油型クリームの処方例を示す。
【0050】
【表2】