IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ THK株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-人型ロボット 図1
  • 特許-人型ロボット 図2
  • 特許-人型ロボット 図3
  • 特許-人型ロボット 図4
  • 特許-人型ロボット 図5
  • 特許-人型ロボット 図6
  • 特許-人型ロボット 図7
  • 特許-人型ロボット 図8
  • 特許-人型ロボット 図9
  • 特許-人型ロボット 図10
  • 特許-人型ロボット 図11
  • 特許-人型ロボット 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】人型ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20230926BHJP
   A63H 11/00 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
B25J19/00 M
A63H11/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019184137
(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公開番号】P2020075350
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2018195397
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390029805
【氏名又は名称】THK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】永塚 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山之上 祥介
(72)【発明者】
【氏名】酒井 隆太
(72)【発明者】
【氏名】辻中 克弥
(72)【発明者】
【氏名】小澤 加奈
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-183157(JP,A)
【文献】特開2018-131713(JP,A)
【文献】特開2018-141256(JP,A)
【文献】特開平09-254076(JP,A)
【文献】特開2001-239492(JP,A)
【文献】特開2010-125546(JP,A)
【文献】特開2015-074852(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01136196(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 5/00-19/00
A41D 13/00-27/28
A63H 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人型ロボットを覆う排熱服と、
前記人型ロボットまたは前記排熱服に設けられ、外部の空気を内部に送り込む送風機と、を備え、
前記排熱服と前記人型ロボットの外郭との間に、送風流路を設け
前記排熱服は、内部を正圧状態にし、前記送風流路を形成する絞り部を備え、
前記人型ロボットは、前記排熱服に設けられた前記絞り部と当接する受け部材を備えることを特徴とする人型ロボット。
【請求項2】
前記受け部材には、空気が通過する通気口が形成され、
前記人型ロボットは、前記受け部材の通気口の開口面積を調整する流量調整部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の人型ロボット。
【請求項3】
前記排熱服には、前記人型ロボットの首部、腰部、及び肢体部を通す開口部が形成されており、
少なくともいずれか一つの前記開口部の内側に、前記絞り部が設けられていること特徴とする請求項1または2に記載の人型ロボット。
【請求項4】
前記排熱服には、前記人型ロボットの肢体部を通す開口部として、袖口部または裾口部が形成されており、
前記袖口部または前記裾口部に、前記送風流路と連通する排気口が設けられていること特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の人型ロボット。
【請求項5】
前記人型ロボットの手首部から、外部の空気を前記送風流路に取り込む吸気口が設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の人型ロボット。
【請求項6】
人型ロボットを覆う排熱服と、
前記人型ロボットまたは前記排熱服に設けられ、外部の空気を内部に送り込む送風機と、を備え、
前記排熱服と前記人型ロボットの外郭との間に、送風流路を設け、
前記人型ロボットの手首部から、外部の空気を前記送風流路に取り込む吸気口が設けられていることを特徴とする人型ロボット。
【請求項7】
前記人型ロボットの手首部に、前記送風機が設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の人型ロボット。
【請求項8】
前記排熱服には、前記人型ロボットの首部を通す開口部として、衿口部が形成されており、
前記衿口部に、前記送風流路と連通する排気口が設けられていること特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載の人型ロボット。
【請求項9】
前記人型ロボットの内郭に、前記送風流路と連通する内部通気流路が形成されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の人型ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人型ロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、人間型ロボットの全身を覆い、粉塵及び外水の侵入を抑制する人間型ロボット用保護着が開示されている。この人間型ロボット用保護着は、人間型ロボットの熱を外部に発散させるため、放熱性が高い生地(ナイロン繊維、ナイロン繊維と発泡ポリウレタン樹脂の複層構造の素材等)を使用している。また、この人間型ロボット用保護着は、発熱の生じる制御機器の周辺に、内部に空気を取り込み、熱せられた空気を排出する冷却用の給排気口を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-183157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、人型ロボットは、多数の関節を有し、全身に発熱部が点在している。このため、全身の発熱部を空冷するためには、人型ロボットの全身にくまなく空気を送り込む必要がある。しかしながら、人型ロボットの姿勢によっては、空気の流路が狭くなり、空気の流れが遮断される部分が生じ得る。そうすると、全身の発熱部を十分に冷却できなくなる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、全身を効果的に冷却することができる人型ロボットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の人型ロボットは、人型ロボットを覆う排熱服と、前記人型ロボットまたは前記排熱服に設けられ、外部の空気を内部に送り込む送風機と、を備え、前記排熱服と前記人型ロボットの外郭との間に、送風流路を設けた、という構成を採用する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、人型ロボットの全身を効果的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態における排熱服5を着衣した人型ロボット1の正面図である。
図2図1に示す人型ロボット1の背面図である。
図3図1に示す人型ロボット1の排熱服5の内側の構成を示す正面図である。
図4】第1実施形態における排熱服5の裾口部35cにおける絞り部40cの構成を示す背面図である。
図5】本発明の第2実施形態における排熱服5の袖口部35bにおける絞り部40及び受け部材50の構成を示す構成図である。
図6】本発明の第2実施形態における受け部材50の斜視図である。
図7図6に示す受け部材50を別方向から視た斜視図である。
図8図6に示す受け部材50の矢視A-A断面図である。
図9】本発明の第2実施形態における受け部材50及び流量調整部材60の適用例を示す人型ロボット1の正面図である。
図10】本発明の第3実施形態における排熱服5を着衣した人型ロボット1の正面図である。
図11図10に示す人型ロボット1の背面図である。
図12】本発明の第3実施形態における人型ロボット1の手首部23の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における排熱服5を着衣した人型ロボット1の正面図である。図2は、図1に示す人型ロボット1の背面図である。図3は、図1に示す人型ロボット1の排熱服5の内側の構成を示す正面図である。
これらの図に示すように、本実施形態の人型ロボット1は、ロボット本体2と、リフター3と、移動台車4と、を備えている。
【0011】
ロボット本体2は、人の上半身に当たる部分であり、人間の上半身に近い動作を実現できるように構成されている。ロボット本体2は、排熱服5によって覆われており、背面に送風機6を備えている。リフター3は、人の下半身の脚部に当たる部分であり、上下に屈伸可能で、ロボット本体2の下部に接続されている。移動台車4は、人の下半身の足部に当たる部分であり、リフター3の下部に接続されている。
【0012】
このような人型ロボット1は、イベント会場などで来場者に所定のサービスを行うサービスロボットとして好適に使用することができる。なお、この人型ロボット1は、サービスロボット以外にも使用可能であることは言うまでもない。なお、リフター3及び移動台車4の代わりに、ロボット本体2の下部に二足の脚部(肢体部)を接続し、二足歩行ロボットとしてもよい。
【0013】
ロボット本体2は、図3に示すように、胴体部10と、胴体部10の上部左右に接続された二本の腕部11(肢体部)と、胴体部10の上部に接続された一つの頭部12と、を備えている。なお、本実施形態では、人型ロボット1の進行方向をX軸正方向、人型ロボット1からみて左手方向をY軸正方向、人型ロボット1における反重力方向をZ軸正方向とする。また、X軸がロール軸、Y軸がピッチ軸、Z軸がヨー軸とする。
【0014】
胴体部10は、頭部12が接続される首部13と、リフター3が接続される腰部14と、を備えている。頭部12は、首部13に対して、例えばヨー軸(Z軸)及びピッチ軸(Y軸)の回りに揺動可能に連結されている。なお、頭部12には、外部を撮影するためのカメラ12aが搭載されている。腰部14の下部には、人の骨盤に当たるベース板15が設けられている。ベース板15の下面には、リフター3が接続されている。
【0015】
二本の腕部11は、肘を境に屈曲可能に互いに連結された、肩に近い方の上腕部21と、手先に近い方の下腕部22と、を備える。下腕部22の先端には、手首部23を介して手部24が連結されている。手首部23は、下腕部22と手部24とを、例えばロール軸(X軸)の回りに揺動可能に連結する。
【0016】
ロボット本体2は、人間の骨格構造を模したボディを有している。概略的には、Z軸方向に延在している背骨部16及び板金で形成された各種の骨部17、背骨部16を支持するように背骨部16に連結された腰骨部18等によって、ロボット本体2の上半身の骨格構造(以下、単に「上半身骨格構造」という)が形成されている。
【0017】
背骨部16には、人型ロボット1の首部13が接続され、更にその上に頭部12が配置されている。背骨部16を挟んだ左右両側には、上半身の駆動を司る駆動ユニット19が配置されている。骨部17は、肋骨部17a、胸骨部17b、鎖骨部17cを備えている。肋骨部17aは、背骨部16と接続され、左右の駆動ユニット19の背面側を支持している。胸骨部17bは、左右の駆動ユニット19を正面側で接続している。鎖骨部17cは、駆動ユニット19の上方において背骨部16及び首部13と接続されると共に、左右の肩部と接続されている。
【0018】
これらの骨部17及び背骨部16によって、人型ロボット1の上半身骨格構造内に所定の空間(後述では内部通気流路100とも言う)が形成され、当該所定の空間に左右の駆動ユニット19がそれぞれ収まるように配置され、各骨部17に対して駆動ユニット19が支持されることになる。これにより、2つの駆動ユニット19が胴体部10内に取り付けられる。
【0019】
ここで、胴体部10において、人型ロボット1の内郭とは、この駆動ユニット19が収まる空間を囲う骨部17及び背骨部16の内側のフレーム(内表面)のことを言う。また、胴体部10において、人型ロボット1の外郭とは、上記空間と反対を向く、骨部17及び背骨部16の外側のフレーム(外表面)のことを言う。本実施形態の胴体部10は、フレームがむき出しであり、フレームの隙間を介して、人型ロボット1の内郭側の空間と外郭側の空間とが連通している。
【0020】
一方、腕部11においては、その表面がプラスチック等の表皮部11aによって覆われている。腕部11において、人型ロボット1の内郭とは、表皮部11aの内側(内表面)のことを言い、人型ロボット1の外郭とは、表皮部11aの外側(外表面)のことを言う。なお、腕部11においても、胴体部10と同様に、表皮部11aが無くてもよく、この場合、図示しないモータ等を支持するフレームの内側を、人型ロボット1の内郭、そのフレームの外側を、人型ロボット1の外郭と言ってもよい。
【0021】
なお、駆動ユニット19は、胴体部10に対して腕部11を、例えばロール軸(X軸)の回りに揺動可能に連結するものであるが、この動作のためのロボット内部構造は本発明の中核をなすものではないので、本明細書ではその詳細な説明は省略する。駆動ユニット19の詳細としては、例えば、公知文献である特許第6104876号公報を参照されたい。また、人型ロボット1の肩関節、首関節、手首・足首関節等のリンク機構についても本発明の中核をなすものではないので、本明細書ではその詳細な説明は省略する。
【0022】
因みに、肩関節については、例えば、公知文献である特許第5763359号公報及び特許5877686号公報に記載された構成を採用してもよい。また、首関節については、例えば、公知文献である特許第5872846号公報に記載された構成を採用してもよい。また、手首・足首関節については、例えば、公知文献である特許第5722747号公報に記載された構成を採用してもよい。さらに、人型ロボット1の全身については、例えば、公知文献である特開2017-82803号公報に記載された構成を採用してもよい。
【0023】
図1に戻り、排熱服5は、ロボット本体2の頭部12及び手部24を除く部分を覆っている。排熱服5を構成する生地の通気量は、例えば、JIS L 1096A法(フラジール法)において、例えば10cm/cm・s以下であるのが好ましく、6cm/cm・s以下がさらに好ましい。この通気量であれば、防水性及び防風性に優れた排熱服5となる。
【0024】
また、排熱服5の生地を構成する織物としては、特に限定されず、例えば、通平織、斜文織、朱子織、変化平織、変化斜文織、変化朱子織、変わり織、紋織、片重ね織、二重組織、多重組織、経パイル織、緯パイル織、絡み織等がある。前記生地は、単位面積当たりの質量(目付け)が40~200g/mの範囲が好ましく、さらに好ましくは60~180g/mの範囲である。また、それらの生地にポリウレタンを材料とした樹脂ラミネートやコーティング加工された織物も効果的である。
【0025】
また、排熱服5の生地を構成する繊維としては、特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系繊維、ポリウレタン繊維、ポリアミド繊維、アセテート繊維、コットン繊維、レーヨン繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ナイロン繊維などを用いることができる。
【0026】
この排熱服5は、前身頃30(図1参照)、後身頃31a,31b(図2参照)、衿32、袖33a,33bで基体が構成されている。後身頃31a,31bは、人型ロボット1の背面側を覆うものであり、線ファスナー34で開閉可能に閉じられている。線ファスナー34は、後身頃31a,31の下部から反重力方向に延び、衿32まで至っている。なお、閉状態の線ファスナー34の通気量は、排熱服5の生地の通気量以下であることが好ましい。
【0027】
後身頃31a,31bには、左右2つの送風機6が配置される開口部31a1,31b1が形成されている。本実施形態の送風機6は、人型ロボット1側に設けられており、上述した肋骨部17aなどに固定されている。送風機6の吸引口は、開口部31a1,31b1から排熱服5の外部に露出している。この送風機6は、吸引口を介して外部の空気を吸引し、上述した人型ロボット1の上半身骨格構造内に送り込む構成となっている。なお、送風機6は、排熱服5側に設けてもよく、この場合、送風機6は後身頃31a,31bに縫い付けるなどしてもよい。
【0028】
開口部31a1,31b1の開口周縁部には、生地を折り込むことで強度を上げた補強部31a2,31b2が形成されている。補強部31a2,31b2は、排熱服5の生地の伸縮性を利用して送風機6の周囲に密着している。これにより、排熱服5と送風機6との隙間の気密性が確保される。なお、送風機6の本体と吸引口カバーとの間に、開口部31a1,31b1の開口周縁部(補強部31a2,31b2)を挟み込んで気密性を確保しつつ固定してもよい。
【0029】
送風機6としては、特に限定されず、標準空気の場合の送風機全圧が約30kPa未満(JIS B 0132:2005 送風機・圧縮機用語)であれば、例えば、ファン(10kPa未満の送風機を言う)でもブロワ(10kPa以上、30kPa未満の送風機を言う)であってもよく、その形式も容積型、ターボ型を問わない。本実施形態の送風機6は、10kPa未満のファンであって、より詳しくはファンとモータが一体化されたファンモータを使用している。ファンモータは、ターボ型の軸流式ファンである。なお、送風機6としては、例えば、ターボ型の遠心式ファンを使用しても構わない。
【0030】
排熱服5は、送風機6によって外部の空気が送り込まれた排熱服5の内部を正圧状態にし、排熱服5と人型ロボット1の外郭との間に送風流路101(図3参照)を形成する絞り部40を備えている。絞り部40は、図1に示すように、人型ロボット1の首部13、腰部14、及び腕部11を通す、排熱服5の各開口部35に形成されている。また、各開口部35には、排熱服5に設けられた絞り部40と当接する受け部材50が、ロボット本体2側に設けられている。
【0031】
受け部材50は、略円柱状のブロック体であり、絞り部40と当接する外周面51と、外周面51よりも径方向外側に突出した環状突部52と、を備えている。環状突部52は、受け部材50の中心軸が延びる軸方向において、受け部材50の両端部に設けられている。受け部材50は、排熱服5の各開口部35に応じた軸方向の長さ及び外径を有している。このような受け部材50は、金属材に対して比較的軽量な樹脂材などから形成するとよい。
【0032】
排熱服5の開口部35のうち、腕部11を通す袖口部35bには、図1に示すように、面ファスナー41を有する絞り部40bが設けられている。袖口部35bには、人型ロボット1の肩側に向かって延びるスリット35b1が形成されており、面ファスナー41は、スリット35b1の両側の生地を重ね(絞り)つつ、これら両側の生地を接続している。受け部材50の外周面51は、面ファスナー41によって絞られた部分と全周に亘って当接している。これにより、受け部材50(腕部11)と絞り部40b(排熱服5)との隙間の気密性が確保される。
【0033】
また、排熱服5の開口部35のうち、首部13を通す衿口部35aに設けられた絞り部40aは、図2に示すように、線ファスナー34によって衿32を閉じたときの生地の伸縮性を利用して受け部材50に密着している。これにより、受け部材50(首部13)と絞り部40a(排熱服5)との隙間の気密性が確保される。なお、絞り部40aにおいても、上述した絞り部40bと同様に、面ファスナー41を設けてもよい。
次に、図4を参照して、排熱服5の開口部35のうち、腰部14を通す裾口部35cに設けられた絞り部40cの構成について説明する。
【0034】
図4は、本発明の第1実施形態における排熱服5の裾口部35cにおける絞り部40cの構成を示す背面図である。なお、図4は、後身頃31a,31bを開いた状態で、人型ロボット1の腰部14を背面側から視ている。
図4に示すように、絞り部40cは、後身頃31a,31b(及び前身頃30)の内側の全周に亘って固定された内側生地42を有する。内側生地42は、排熱服5と同様の生地から形成するとよい。
【0035】
内側生地42は、腰部14(受け部材50)を周回する帯状に形成されており、その両端部42a,42b以外の上端辺が、排熱服5の内側に縫製糸などにより固定されている。内側生地42の両端部42a,42bには、両者を接続する面ファスナー43が設けられており、環状に接続可能とされている。内側生地42の下端辺には、伸縮可能な平ゴムなどが織り込まれ、または、縫い付けられており、受け部材50の外周面51に密着可能な弾性伸縮部42cを形成している。これにより、受け部材50(腰部14)と絞り部40c(排熱服5)との隙間の気密性が確保される。
【0036】
また、図1に戻り、袖口部35bには、排熱服5の内側の送風流路101(図3参照)と連通する排気口36が設けられている。排気口36は、絞り部40bにおいて、面ファスナー41(受け部材50)よりも肩側に延びるスリット35b1によって形成されている。つまり、図2に示す人型ロボット1の背面側の送風機6から取り込んだ空気は、図3に示す人型ロボット1の内郭(上半身骨格構造内)を通る内部通気流路100から、排熱服5と人型ロボット1の外郭との間を通る送風流路101に抜けて、図1に示す袖口部35bの排気口36から外部に排出される(なお、図1及び図2において、排熱服5に対する空気の出入りを太線矢印で示す)。
【0037】
このように、本実施形態では、人型ロボット1に排熱服5を着衣させ、送風機6によって外部の空気を排熱服5の内側に送り込み、人型ロボット1の全身の発熱部(駆動部や制御機器など)を空冷した後、人型ロボット1の末端の袖口部35bから、熱せられた空気を排出する。ここで、図3に示すように、排熱服5と人型ロボット1の外郭との間には、送風流路101を設けているため、例えば、複雑な姿勢になることが多い腕部11においても表皮部11aと袖33a,33bとの間に空気が通る流路が確保され、空気が遮断されることを抑制することができる。
【0038】
したがって、上述の本実施形態によれば、人型ロボット1を覆う排熱服5と、人型ロボット1または排熱服5に設けられ、外部の空気を内部に送り込む送風機6と、を備え、排熱服5と人型ロボット1の外郭との間に、送風流路101を設けることによって、人型ロボット1の全身を効果的に冷却することができる。また、排熱服5のような軽量且つ気密性を保てる生地を使用することで、例えば、図3に示すように、胴体部10などに表皮部を形成する必要が無くなり、人型ロボット1の軽量化及び低コスト化を図ることができる。また、腕部11においても表皮部11aを無くしてもよく、これにより、さらなる軽量化及び低コスト化を図ることができる。
【0039】
また、本実施形態では、排熱服5は、内部を正圧状態にし、送風流路101を形成する絞り部40を備えている。この構成によれば、人型ロボット1の首部13、腰部14、及び腕部11を通す、排熱服5の各開口部35から抜け出る空気量を減らし、排熱服5の内部を正圧状態にできる。排熱服5の内部が正圧状態になると、排熱服5が膨らみ、絞り部40以外の部分において、排熱服5は、人型ロボット1の外郭から浮くこととなる。そうすると、仮に、腕部11などを曲げても、そのような曲げ姿勢に影響されることなく、人型ロボット1の外郭と排熱服5との隙間が確保され、その結果、人型ロボット1の全身を効果的に冷却することができる。
【0040】
また、本実施形態では、人型ロボット1は、排熱服5に設けられた絞り部40と当接する受け部材50を備えている。この構成によれば、絞り部40が、平らな受け部材50の外周面51と当接できるため、両者の間に隙間が形成され難くなる。このため、絞り部40が、人型ロボット1のむき出しのフレームなどに当接する場合よりも、気密性が確保し易くなる。なお、本実施形態では、受け部材50を円柱体として説明したが、平らな(平滑な)面を有する立体であれば、多角柱体であっても球体や楕円体などであってもよい。
【0041】
また、本実施形態では、排熱服5には、人型ロボット1の腕部11を通す開口部35として、袖口部35bが形成されており、袖口部35bに、送風流路101と連通する排気口36が設けられている。この構成によれば、人型ロボット1の全身を空冷した後、人型ロボット1の末端の袖口部35bから、熱せられた空気を排出することができるため、人型ロボットの全身にくまなく空気を送り込むことができる。
【0042】
また、本実施形態では、排熱服5には、人型ロボット1の腰部14を通す開口部35として裾口部35cが形成されており、裾口部35cの内側に、絞り部40cが設けられている。この構成によれば、裾口部35cの内側に絞り部40cを設けて2重化することで、排熱服5のデザイン(意匠性)を崩すことなく空気漏れを抑制することができる。これにより、サービスロボットに適した人型ロボット1の外観が得られる。
【0043】
また、本実施形態では、人型ロボット1の内郭に、送風流路101と連通する内部通気流路100が形成されている。この構成によれば、送風機6で取り込まれた空気が、一旦、ロボット本体2の内部(人間で例えるなら肋骨の内側)に流れて、そこから上記の送風流路101に送風されることで、効率的に熱を排熱することができる。このため、人間ではできない人型ロボット1特有の空冷作用が得られる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0045】
図5は、本発明の第2実施形態における排熱服5の袖口部35bにおける絞り部40b及び受け部材50の構成図である。
図5に示すように、第2実施形態の絞り部40bは、排熱服5の袖33a(袖33bも同様)の内側の全周に亘って固定された内側生地44を有する。内側生地44は、排熱服5と同様の生地から形成するとよい。
【0046】
内側生地44は、手首部23(受け部材50)を周回する環状に形成されており、その径方向外側が排熱服5の内側に縫製糸などにより固定されている。また、内側生地44の径方向内側には、伸縮可能な輪ゴム45などが織り込まれ、または、縫い付けられており、受け部材50の外周面51に密着している。なお、第2実施形態の受け部材50には、一対の環状突部52(第1の環状突部)の間に、第2の環状突部53が形成されており、絞り部40bに適した幅の溝を形成している。これにより、受け部材50(手首部23)と絞り部40b(排熱服5)との隙間の気密性が確保される。
【0047】
図6は、本発明の第2実施形態における受け部材50の斜視図である。図7は、図6に示す受け部材50を別方向から視た斜視図である。図8は、図6に示す受け部材50の矢視A-A断面図である。
図6に示すように、第2実施形態の受け部材50には、空気が通過する通気口54が形成されている。通気口54は、有頂筒状に形成された受け部材50の頂壁部50aを、受け部材50の中心軸が延びる軸方向に貫通して複数形成されている。
【0048】
通気口54は、略扇形に形成されており、円板状の頂壁部50aの中心軸回りの周方向に、間隔をあけて複数形成されている。複数の通気口54の一つには、後述する操作片61が収まる窪み54aが形成されている。頂壁部50aの通気口54よりも径方向内側には、手首部23に固定するための固定孔55aが、周方向に間隔をあけて複数形成されている。また、頂壁部50aの固定孔55aよりも径方向内側には、手首部23と手部24との間を接続する図示しない配線ないしリンク部材を通すための貫通孔55bが、中央部に一つ形成されている。
【0049】
図7に示すように、頂壁部50aの周縁部から垂設された受け部材50の周壁部50bの内側には、径方向内側に突出する複数の係合突部57が、周方向に間隔をあけて複数形成されている。係合突部57は、図8に示すように、周壁部50bの開口端から頂壁部50aの裏側の手前まで直線状に延在している。また、頂壁部50aの裏側には、周壁部50bの垂設方向に突設された環状ボス部56が形成されている。環状ボス部56には、上述の固定孔55a及び貫通孔55bが形成されている。すなわち、環状ボス部56は、上述の通気口54よりも径方向内側に配置されている。
【0050】
このような受け部材50の内側には、通気口54の開口面積の大きさを調整する流量調整部材60が、受け部材50の中心軸回りに回転可能に係合している。流量調整部材60は、図7に示すように、中央部に環状ボス部56を通す挿通孔62が形成された円板部材であって、挿通孔62よりも径方向外側に複数の通気口63を備えている。流量調整部材60の通気口63(第2の通気口)は、受け部材50の通気口54(第1の通気口)と、数、形状、及び配置が同じになるように形成されている。
【0051】
流量調整部材60の外周面には、図8に示すように、径方向外側に突出する係合片64が形成されている。係合片64は、受け部材50の頂壁部50aと係合突部57との隙間(アンダーカット部)に挿入されている。この係合片64は、図7に示す周方向で隣り合う係合突部57のそれぞれの隙間に挿入可能な大きさで、複数形成されている。
【0052】
図6に示すように、流量調整部材60には、受け部材50の頂壁部50aの表側から操作可能な操作片61が取り付けられている。操作片61は、溝54aが形成された通気口54を挿通して配置されている。操作片61が通気口54の開口縁に当接することで、受け部材50に対する流量調整部材60の周方向における回転角度がある範囲に制限される。この範囲では、係合片64の少なくとも一部が、受け部材50の係合突部57と軸方向において係合する。これにより、受け部材50に対する流量調整部材60の落下が防止される。なお、操作片61のシャフト部にネジなどを切って、流量調整部材60に対して着脱可能とするとよい。これにより、流量調整部材60の回転角度制限を容易に解除でき、流量調整部材60の受け部材50からの分解が容易になる。
【0053】
上記構成の第2実施形態によれば、操作片61を操作することで、受け部材50の通気口54と、流量調整部材60の通気口63とが重なる面積を増減させ、受け部材50を通過する空気の流量を調整することができる。これにより、排熱服5の内側の正圧状態をコントロールすることが可能となる。例えば、送風機6の吸気能力(風量)が低い場合は、通気口54の開口面積を小さくすることで、排熱服5の内側の風圧を高め、人型ロボット1の全身を効果的に空冷することが可能となる。また、送風機6の吸気能力(風量)が高い場合は、通気口54の開口面積を大きくすることで、排熱服5の内側の空気の入れ替えを促進させることができる。
【0054】
また、第2実施形態では、図5に示すように、袖口部35bの内側に、絞り部40bが設けられている。この構成によれば、袖口部35bの内側に絞り部40bを設けて2重化することで、排熱服5のデザイン(意匠性)を崩すことなく空気漏れを抑制することができる。これにより、サービスロボットに適した人型ロボット1の外観が得られる。
なお、上述した第2実施形態の受け部材50及び流量調整部材60は、図9に示すような形態で、人型ロボット1に設けてもよい。
【0055】
図9は、本発明の第2実施形態における受け部材50及び流量調整部材60の適用例を示す人型ロボット1の正面図である。
図9に示す人型ロボット1は、上述した第2実施形態の受け部材50及び流量調整部材60を、腕部11の肘や肩の近傍に備えている。また、これら受け部材50及び流量調整部材60で仕切られた空間から、空気を排出可能とする線ファスナー34(排気口36)が、排熱服5の袖33a,33b及び前身頃30(後身頃31a,31bにあってもよい)に設けられている。
【0056】
図9に示す構成によれば、各流量調整部材60を操作することによって、排熱服5の内側で特に発熱がみられる部分に重点的に空気を流し、空冷を進めることができる。例えば、胴体部10の駆動ユニット19(図3参照)に特に発熱がみられる場合には、前身頃30の線ファスナー34を開け、肩近傍の流量調整部材60を操作し、受け部材50の通気口54の開口面積を小さくすることで、胴体部10に重点的に空気を流すことができる。また、上腕部21(図3参照)の図示しない駆動ユニットに特に発熱がみられる場合には、袖33a,33bの線ファスナー34を開け、肘近傍の流量調整部材60を操作し、受け部材50の通気口54の開口面積を小さくすることで、上腕部21に重点的に空気を流すことができる。なお、第2実施形態の受け部材50及び流量調整部材60は、人型ロボット1の全身の発熱部に対応して、さらに複数個所に設けても構わない。
【0057】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0058】
図10は、本発明の第3実施形態における排熱服5を着衣した人型ロボット1の正面図である。図11は、図10に示す人型ロボット1の背面図である。図12は、本発明の第3実施形態における人型ロボット1の手首部23の断面図である。
図10に示すように、第3実施形態では、人型ロボット1の手首部23から、外部の空気を送風流路101に取り込む吸気口70が設けられている。
【0059】
第3実施形態の排熱服5には、人型ロボット1の首部13を通す衿口部35aに、送風流路101と連通する排気口36が設けられている。すなわち、衿口部35aには上述した絞り部40aがなく、また、首部13には上述した受け部材50がない。このように、第3実施形態では、衿口部35aを除く、少なくともいずれか一つの開口部35(袖口部35b、裾口部35c)の内側に、絞り部40が設けられている。
【0060】
また、図11に示すように、人型ロボット1の背面には送風機6はなく、送風機6は人型ロボット1の手首部23に設けられている。このように、第3実施形態では、人型ロボット1の手首部23から吸気を行い、人型ロボット1の首部13から排気を行う構成となっている。なお、第3実施形態の人型ロボット1には、排熱服5によって覆われるロゴなどを外部に表示するための前掛プレート7が取り付けられている。
【0061】
図10に示すように、第3実施形態の排熱服5は、袖33a,33bが下腕部22まで延びる七分袖となっており、下腕部22から手首部23、手部24までが排熱手袋80によって覆われている。排熱手袋80には、吸気口70が形成されている。袖口部35bには、絞り部40bが設けられ、絞り部40bは下腕部22の外郭と全周に亘って当接している。
【0062】
排熱手袋80は、グローブ部81と、リストカバー部82と、アームカバー部83と、を有する。グローブ部81は、手部24を覆っている。グローブ部81には、例えば、人型ロボット1が物を掴んで作業をする場合には、可動部に伸縮性の良い材料や、指先に滑り止めのシリコン材料などを使用してもよい。なお、グローブ部81は、基本的には、上述した送風流路101を形成しないので、排熱服5のような通気性を有していなくてもよい。
【0063】
リストカバー部82は、手首部23を覆っている。リストカバー部82は、通気性が高いメッシュ状の生地から形成されており、そのメッシュ目が吸気口70を形成している。手首部23は、図12に示すように、手首本体23aと、手首本体23aを囲う筒状ないしコの字状のリストカバー23bと、を有する。排熱手袋80のリストカバー部82は、少なくとも手部24とリストカバー23bとの隙間を覆っている。
【0064】
リストカバー23bの内側には、上述した内部通気流路100が形成されている。手首部23における内部通気流路100には、送風機6が設けられている。送風機6としては、軸方向の上下面に吸引口6aを有し、半径方向の側面に吐出口6bを有するブロアファンを使用するとよい。ブロアファンは、軸流ファンよりも風圧が高く指向性が高いため、胴体部10よりも流路が比較的狭くなる腕部11を効率よく冷却することができる。
【0065】
図10に戻り、アームカバー部83は、下腕部22を覆っている。アームカバー部83は、下腕部22を通す腕通し口に絞り部40dを有している。絞り部40dは、上述した面ファスナーなどから形成され、下腕部22の外郭と全周に亘って当接している。アームカバー部83は、吸気口70から取り込んだ空気の漏れを防止するために、排熱服5と同等の生地から形成するとよい。
【0066】
上記構成の第3実施形態によれば、送風機6を駆動させると、人型ロボット1の手首部23(排熱手袋80の吸気口70)から外部の空気が内部に取り込まれる。取り込まれた空気は、図12に示すように、手首部23の内部通気流路100に設けられた送風機6に吸い込まれ、下腕部22(詳しくは下腕部22の内部通気流路100)に向かって吐出される。下腕部22の内部通気流路100を通った空気は、上述した送風流路101に流れ込み、人型ロボット1の上腕部21から肩部、そして胴体部10を冷却し、首部13を通す排熱服5の衿口部35a(排気口36)から排気される。
【0067】
このように、上述した第3実施形態では、人型ロボット1の手首部23から、外部の空気を送風流路101に取り込む吸気口70が設けられているため、可動部が多く発熱が激しい腕部11を重点的に冷却することができる。また、排気が、腕部11ではなく胴体部10側になるので、手部24などに把持した物に排気がかからない。このため、例えば、人型ロボット1がレストラン等で給仕を行う場合であっても衛生的に使用できる。
【0068】
また、第3実施形態では、人型ロボット1の手首部23に、送風機6が設けられているため、胴体部10よりも流路が比較的狭くなる腕部11を効率よく冷却することができる。さらに、送風機6としては、軸流ファンよりも風圧が高く指向性が高いブロアファンを使用するとよい。
【0069】
また、第3実施形態では、排熱服5には、人型ロボット1の首部13を通す開口部35として、衿口部35aが形成されており、衿口部35aに、送風流路101と連通する排気口36が設けられているため、煙突効果が得られ、腕部11及び胴体部10を冷却して熱を得て軽くなった空気を首部13から効率よく排気することができる。なお、煙突効果は得られないが、裾口部35cに排気口36を設け、胴体部10の下部から排気を行う構成であっても構わない。
【0070】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0071】
例えば、上記実施形態では、排熱服5の裾口部35cの内側に絞り部40cを設け(第1実施形態)、また、排熱服5の袖口部35bの内側に絞り部40bを設けた(第2実施形態)が、例えば、排熱服5の衿口部35aの内側にも、同じように絞り部40aを設けてもよい。
【0072】
また、例えば、上記実施形態では、人型ロボット1の下半身がリフター3及び移動台車4で構成された形態を例示したが、人型ロボット1の下半身として二足の脚部(肢体部)を有する形態であっても構わない。この場合、排熱服5は、上衣と下衣が一体のオーバーオール(つなぎ)とするとよい。この場合、二足の脚部を通す裾口部に、排気口36が形成されていてもよい。
【0073】
また、例えば、上記第2実施形態では、流量調整部材60がスライド式の形態を例示したが、受け部材50の通気口54の開口面積の大きさを調整できれば、その形式は特に限定されない。
【0074】
また、例えば、上記第2実施形態では、図5に示す絞り部40bの内側生地44を、排熱服5と同様の生地から形成した形態を例示したが、例えば、内側生地44を、通気性が高いメッシュ状の生地から形成し、受け部材50の周囲からも所定量の空気が通過できるようにしてもよい。
【0075】
また、例えば、上記第3実施形態では、衿口部35aに排気口36を設けたが、排熱服5の脇下など他の場所に排気口36を設けても構わない。また、排気口36の近傍(例えば、衿口部35a近傍の人型ロボット1の肩部)に、排気を補助する補助送風機を設けても構わない。
【0076】
また、例えば、上記第3実施形態では、排熱服5の袖33a,33bが下腕部22まで延びる七分袖となっており、下腕部22から手首部23、手部24までが排熱手袋80によって覆われている形態を例示したが、排熱服5の袖33a,33bの下端が下腕部22の下端近傍に面ファスナー等の絞り部40によって固定され、排熱手袋80のアームカバー部83の上端が手首部23の上端近傍に面ファスナー等の絞り部40によって固定されていてもよい。すなわち、下腕部22と手首部23との継ぎ目を、排熱手袋80乃至排熱服5で覆わなくてもよい。なお、この場合でも、手首部23の内部通気流路100は、下腕部22の内部通気流路100を介して胴体部10側の送風流路101と連通している。
この構成によれば、手首部23が下腕部22に対して、人間以上に手首回転する場合であっても、下腕部22と手首部23との継ぎ目部分において、排熱手袋80乃至排熱服5のねじれや、それによる送風流路101の閉塞の懸念が解消される。また、人型ロボット1への排熱服5の着衣、排熱手袋80の装着が容易になる。
【符号の説明】
【0077】
1…人型ロボット、5…排熱服、6…送風機、10…胴体部、11…腕部(肢体部)、13…首部、14…腰部、35…開口部、35a…衿口部、35b…袖口部、35b1…スリット、35c…裾口部、36…排気口、40…絞り部、40a…絞り部、40b…絞り部、40c…絞り部、50…受け部材、54…通気口、60…流量調整部材、61…操作片、63…通気口、64…係合片、100…内部通気流路、101…送風流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12