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特許7355590形状計測方法、形状計測装置およびコンクリート構造物の施工方法
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  • 特許-形状計測方法、形状計測装置およびコンクリート構造物の施工方法 図1
  • 特許-形状計測方法、形状計測装置およびコンクリート構造物の施工方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】形状計測方法、形状計測装置およびコンクリート構造物の施工方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 7/02 20060101AFI20230926BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20230926BHJP
   E04G 21/10 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
G01C7/02
G01C15/00 103A
E04G21/10 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019185421
(22)【出願日】2019-10-08
(65)【公開番号】P2021060319
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 勇太郎
(72)【発明者】
【氏名】竹本 喜昭
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 亮介
(72)【発明者】
【氏名】門脇 均
(72)【発明者】
【氏名】村松 慶紀
(72)【発明者】
【氏名】藤田 敏郎
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-181374(JP,A)
【文献】特開2017-058141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 7/02
G01C 15/00
E04G 21/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の表面の形状を計測する方法であって、
前記構造物の周辺に、面が水平面であるとともに、高さ方向を一つの座標軸とする3次元直交座標系である基準座標系における上面の高さが既知の高さである基準盤を設置するステップと、
前記基準盤の面を含めて前記構造物の表面の3次元形状データを複数の計測点について3次元形状データ座標系で取得するステップと、
前記基準盤の面に相当する3次元形状データから、前記基準盤の上面の平均高さを前記3次元形状データ座標系で求めるステップと、
求めた前記平均高さを前記既知の高さに一致させる剛体変換を繰り返すことで、前記3次元形状データ座標系と前記基準座標系の間での剛体変換を求めるステップと、
求めた剛体変換を用いて、前記3次元形状データ座標系の3次元形状データを前記基準座標系の3次元形状データに剛体変換するステップと、
剛体変換された前記基準座標系の3次元形状データから前記構造物の表面の高さを計測するステップとを有することを特徴とする形状計測方法。
【請求項2】
少なくとも3つの前記基準盤を一直線上に並ばないように設置することを特徴とする請求項1に記載の形状計測方法。
【請求項3】
構造物の表面の形状を計測する装置であって、
前記構造物の周辺に設置され、面が水平面であるとともに、高さ方向を一つの座標軸とする3次元直交座標系である基準座標系における上面の高さが既知の高さである基準盤と、
前記基準盤の面を含めて構造物の表面の3次元形状データを複数の計測点について3次元形状データ座標系で取得するデータ取得手段と、
前記基準盤の面に相当する3次元形状データから、前記基準盤の上面の平均高さを前記3次元形状データ座標系で求める平均高さ算定手段と、
求めた前記平均高さを前記既知の高さに一致させる剛体変換を繰り返すことで、前記3次元形状データ座標系と前記基準座標系の間での剛体変換を求める剛体変換算定手段と、
求めた剛体変換を用いて、前記3次元形状データ座標系の3次元形状データを前記基準座標系の3次元形状データに剛体変換する剛体変換手段と、
剛体変換された前記基準座標系の3次元形状データから前記構造物の表面の高さを計測する計測手段とを有することを特徴とする形状計測装置。
【請求項4】
少なくとも3つの前記基準盤を一直線上に並ばないように設置することを特徴とする請求項3に記載の形状計測装置。
【請求項5】
コンクリートを打込んでコンクリート構造物を形成するステップと、請求項1または2に記載の形状計測方法を用いて前記コンクリート構造物の表面の高さを計測するステップと、計測した結果に基づいて前記コンクリート構造物の表面の形状を修正するステップとを備えることを特徴とするコンクリート構造物の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンクリートスラブのようなコンクリート構造物を施工する際に表面の凹凸形状を計測する形状計測方法、形状計測装置およびコンクリート構造物の施工方法に関し、特に、3Dスキャナを使った形状計測方法、形状計測装置およびコンクリート構造物の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリートスラブの施工において、表面の凹凸形状を計測する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、球や印刷されたマーカなどの3D位置を推定できる特徴量をもつターゲットマーカを用いる方法が知られている(例えば、特許文献2を参照)。これは、計測対象の床周辺に球や印刷された画像ターゲットなどのターゲットマーカを設置し、Z軸が精密に鉛直軸と一致した基準座標系を持つ高精度測量機(トータルステーションなど)にてその設置位置を計測しておくものである。そして、スキャン点群中から形状特徴や輝度画像特徴を用いて3Dレーザスキャナ座標系でのターゲットマーカ位置を推定するとともに、推定された位置と前述の事前計測された計測値を照合する。そのことで3Dスキャン点群を高精度測量機と同一のZ軸が精密に鉛直軸と一致した基準座標系で表現でき、床に相当する点群のZ座標から鉛直方向変動(凹凸)を計測する。具体的な手順は以下のとおりである。
【0003】
1)高精度な3D測量機(トータルステーションなど)を使い、計測対象の床周辺に配置した複数のターゲットマーカの基準座標系での3次元位置を計測する。
2)3Dレーザスキャナによりスキャンされた3D点群から形状特徴量や輝度画像の特徴量によりターゲットマーカを抽出し、その位置を3Dレーザスキャナ座標系で推定する。
3)基準座標系で表された複数のマーカ位置と3Dレーザスキャナ座標系で表されたマーカの推定位置から、3Dレーザスキャナ座標系から基準座標系への剛体変換を求める。
4)3)で求めた剛体変換を用いて、スキャンされた3D点群を基準座標系に変換する。
5)点群中の床平面の鉛直方向の高さの変動(つまり凹凸)をそれにより計測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-235881号公報
【文献】特願2019-099563号(現時点で未公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の従来の方法では、マーカの推定位置に通常2~3mm程度の誤差を生じるため、高精度(例えばmm精度)で高さ方向の計測ができないおそれがある。また、高精度な3D測量機を利用するが、高さの計測は、測量機の整準精度(水平精度)や角度分解能に依存するため、必ずしも高精度ではない。また、平面の凹凸計測では、一般には点群から平面を推定し、その平面からの凹凸を算出する方法もあるが、その場合、推定される平面が水平である保証はないため、鉛直方向の絶対高さを計測していることにはならない。このため、少なくとも鉛直方向の高さを高精度に計測することのできる技術が求められていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、鉛直方向の高さを高精度に計測することができる形状計測方法、形状計測装置およびコンクリート構造物の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る形状計測方法は、構造物の表面の形状を計測する方法であって、構造物の周辺に、表面が水平面であるとともに表面の高さが既知である基準盤を設置するステップと、基準盤の表面を含めて構造物の表面の3次元形状データを複数の計測点について3次元形状データ座標系で取得するステップと、基準盤の表面に相当する3次元形状データから、基準盤の中心付近の平均高さを3次元形状データ座標系で求めるステップと、求めた平均高さを既知の高さに一致させる剛体変換を繰り返すことで、3次元形状データ座標系と基準座標系の間での剛体変換を求めるステップと、求めた剛体変換を用いて、3次元形状データ座標系の3次元形状データを基準座標系の3次元形状データに剛体変換するステップと、剛体変換された基準座標系の3次元形状データから構造物の表面の高さを計測するステップとを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る他の形状計測方法は、上述した発明において、少なくとも3つの基準盤を一直線上に並ばないように設置することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る形状計測装置は、構造物の表面の形状を計測する装置であって、構造物の周辺に設置され、表面が水平面であるとともに表面の高さが既知である基準盤と、基準盤の表面を含めて構造物の表面の3次元形状データを複数の計測点について3次元形状データ座標系で取得するデータ取得手段と、基準盤の表面に相当する3次元形状データから、基準盤の中心付近の平均高さを3次元形状データ座標系で求める平均高さ算定手段と、求めた平均高さを既知の高さに一致させる剛体変換を繰り返すことで、3次元形状データ座標系と基準座標系の間での剛体変換を求める剛体変換算定手段と、求めた剛体変換を用いて、3次元形状データ座標系の3次元形状データを基準座標系の3次元形状データに剛体変換する剛体変換手段と、剛体変換された基準座標系の3次元形状データから構造物の表面の高さを計測する計測手段とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る他の形状計測装置は、上述した発明において、少なくとも3つの基準盤を一直線上に並ばないように設置することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るコンクリート構造物の施工方法は、コンクリートを打込んでコンクリート構造物を形成するステップと、上述した形状計測方法を用いてコンクリート構造物の表面の高さを計測するステップと、計測した結果に基づいてコンクリート構造物の表面の形状を修正するステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る形状計測方法によれば、構造物の表面の形状を計測する方法であって、構造物の周辺に、表面が水平面であるとともに表面の高さが既知である基準盤を設置するステップと、基準盤の表面を含めて構造物の表面の3次元形状データを複数の計測点について3次元形状データ座標系で取得するステップと、基準盤の表面に相当する3次元形状データから、基準盤の中心付近の平均高さを3次元形状データ座標系で求めるステップと、求めた平均高さを既知の高さに一致させる剛体変換を繰り返すことで、3次元形状データ座標系と基準座標系の間での剛体変換を求めるステップと、求めた剛体変換を用いて、3次元形状データ座標系の3次元形状データを基準座標系の3次元形状データに剛体変換するステップと、剛体変換された基準座標系の3次元形状データから構造物の表面の高さを計測するステップとを有するので、鉛直方向の高さを高精度に計測することができるという効果を奏する。
【0013】
また、本発明に係る他の形状計測方法によれば、少なくとも3つの基準盤を一直線上に並ばないように設置するので、鉛直方向の高さを容易に計測することができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明に係る形状計測装置によれば、構造物の表面の形状を計測する装置であって、構造物の周辺に設置され、表面が水平面であるとともに表面の高さが既知である基準盤と、基準盤の表面を含めて構造物の表面の3次元形状データを複数の計測点について3次元形状データ座標系で取得するデータ取得手段と、基準盤の表面に相当する3次元形状データから、基準盤の中心付近の平均高さを3次元形状データ座標系で求める平均高さ算定手段と、求めた平均高さを既知の高さに一致させる剛体変換を繰り返すことで、3次元形状データ座標系と基準座標系の間での剛体変換を求める剛体変換算定手段と、求めた剛体変換を用いて、3次元形状データ座標系の3次元形状データを基準座標系の3次元形状データに剛体変換する剛体変換手段と、剛体変換された基準座標系の3次元形状データから構造物の表面の高さを計測する計測手段とを有するので、鉛直方向の高さを高精度に計測することができるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明に係る他の形状計測装置によれば、少なくとも3つの基準盤を一直線上に並ばないように設置するので、鉛直方向の高さを容易に計測することができるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明に係るコンクリート構造物の施工方法によれば、コンクリートを打込んでコンクリート構造物を形成するステップと、上述した形状計測方法を用いてコンクリート構造物の表面の高さを計測するステップと、計測した結果に基づいてコンクリート構造物の表面の形状を修正するステップとを備えるので、施工精度を向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明に係る形状計測方法、形状計測装置およびコンクリート構造物の施工方法の実施の形態を示す斜視図である。
図2図2は、基準水平盤の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る形状計測方法、形状計測装置およびコンクリート構造物の施工方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係る形状計測方法は、コンクリートスラブ(構造物)からなる床10の表面の凹凸形状を計測する方法である。まず、計測対象である床10周辺に、上面(表面)が水平面になるように3つの基準水平盤12(基準盤)を設置し、その上面の高さを高精度な高さ計測機14(例えばデジタルレベルやオートレベルなど)にて基準座標系(例えば幅方向X、奥行き方向Y、高さ方向Z)で高精度に計測する(ステップ1)。これを計測高さ(高さ計測値)とする。
【0020】
基準水平盤12は、計測対象に比べて小さい表面積の矩形(例えば正方形)の平板からなる。図の例では、矩形の計測対象の3辺中央の外側の位置に基準水平盤12を設置しているが、本発明はこれに限るものではない。基準水平盤12は、一直線上に並ばないように計測対象を取り囲む位置に設置することが好ましい。
【0021】
次に、図示しない3Dレーザスキャナ(データ取得手段)でスキャンし、基準水平盤12の上面を含めて床10の表面の点群データ(3次元形状データ)を取得する(ステップ2)。取得される点群データは、3Dレーザスキャナ座標系(3次元形状データ座標系)のデータである。
【0022】
次に、取得した点群データから、基準水平盤12に相当する点群データを抽出する。続いて、図2に示すように、基準水平盤12の中心付近の平均高さを求める。この平均高さは、基準水平盤12の上面の点群データから算定した高さの平均値である。次に、平均高さを上記の計測高さに一致させる剛体変換を算定する(ステップ3)。続いて、算定した剛体変換を用いて点群データを変換する(ステップ4)。
【0023】
3つの基準水平盤12の中心付近の点位置を剛体変換Tで変換すると、以下の式(1)のように表せる。ここで、各変数の下添字1~3は各基準水平盤を表しており、x、x、xはx座標値、y、y、yはy座標値である。剛体変換前のzave1、zave2、zave3はz座標値(周辺点群データの平均高さ)、剛体変換後のzDL1、zDL2、zDL3はz座標値(計測高さ)である。
【0024】
【数1】
【0025】
次に、各基準水平盤12の中心付近の高さのばらつきが所定の範囲に収束するまで、上記のステップ3とステップ4の処理を繰り返し、ばらつき収束後における3Dレーザスキャナ座標系と基準座標系の間での剛体変換を求める(ステップ5)。この一連の処理は、図示しないコンピュータの演算機能(平均高さ算定手段、剛体変換算定手段)を用いて実行することができる。
【0026】
収束の確認は、点群データ中の基準水平盤12が高精度な高さ計測機14での計測高さと一致することの確認と同義である。収束しない場合には、3Dレーザスキャナで取得した点群データの不良と考えられるため、再スキャンなどを行ってもよい。
【0027】
次に、求めた剛体変換を用いて、3Dレーザスキャナ座標系の点群データを基準座標系のデータに剛体変換する(ステップ6)。これにより、計測対象の床10の表面に相当する点群データをZ軸が鉛直な基準座標系に変換することができる。剛体変換された基準座標系のデータから、床10の表面の高さを計測する(ステップ7)。こうすることで、床10の表面の高さ方向Z(鉛直方向)の変動(凹凸)を高精度に求めることができる。なお、この一連の処理は、図示しないコンピュータの演算機能(剛体変換手段、計測手段)を用いて実行することができる。
【0028】
本実施の形態によれば、鉛直方向の高さを高精度で容易に計測することができる。また、従来のマーカを使った手法はXYZ全方向の計測を対象としているため、高さ方向Zについての高精度の計測は難しいが、本実施の形態では、XY方向の計測精度は重視しない代わりに高さ方向Zの高精度計測が行える。
【0029】
上記の実施の形態においては、基準盤として3つの基準水平盤12を一直線上に並ばないように設置する場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、基準水平盤12は1つでも2つでもよいし、4つ以上を一直線上に並ばないように設置してもよいが、少なくとも3つ以上を一直線上に並ばないように設置するのが望ましい。
【0030】
また、本実施の形態に係るコンクリート構造物の施工方法は、コンクリートを打込んでコンクリートスラブの床10を形成した後、上記の実施の形態を用いてコンクリートスラブの床10の表面の高さを計測し、計測した結果に基づいて床10の表面の形状を修正するものである。鉛直方向の高さを高精度で計測できるので、修正作業を高精度に行うことができる。したがって、床10の施工精度を向上することができる。
【0031】
以上説明したように、本発明に係る形状計測方法によれば、構造物の表面の形状を計測する方法であって、構造物の周辺に、表面が水平面であるとともに表面の高さが既知である基準盤を設置するステップと、基準盤の表面を含めて構造物の表面の3次元形状データを複数の計測点について3次元形状データ座標系で取得するステップと、基準盤の表面に相当する3次元形状データから、基準盤の中心付近の平均高さを3次元形状データ座標系で求めるステップと、求めた平均高さを既知の高さに一致させる剛体変換を繰り返すことで、3次元形状データ座標系と基準座標系の間での剛体変換を求めるステップと、求めた剛体変換を用いて、3次元形状データ座標系の3次元形状データを基準座標系の3次元形状データに剛体変換するステップと、剛体変換された基準座標系の3次元形状データから構造物の表面の高さを計測するステップとを有するので、鉛直方向の高さを高精度に計測することができる。
【0032】
また、本発明に係る他の形状計測方法によれば、少なくとも3つの基準盤を一直線上に並ばないように設置するので、鉛直方向の高さを容易に計測することができる。
【0033】
また、本発明に係る形状計測装置によれば、構造物の表面の形状を計測する装置であって、構造物の周辺に設置され、表面が水平面であるとともに表面の高さが既知である基準盤と、基準盤の表面を含めて構造物の表面の3次元形状データを複数の計測点について3次元形状データ座標系で取得するデータ取得手段と、基準盤の表面に相当する3次元形状データから、基準盤の中心付近の平均高さを3次元形状データ座標系で求める平均高さ算定手段と、求めた平均高さを既知の高さに一致させる剛体変換を繰り返すことで、3次元形状データ座標系と基準座標系の間での剛体変換を求める剛体変換算定手段と、求めた剛体変換を用いて、3次元形状データ座標系の3次元形状データを基準座標系の3次元形状データに剛体変換する剛体変換手段と、剛体変換された基準座標系の3次元形状データから構造物の表面の高さを計測する計測手段とを有するので、鉛直方向の高さを高精度に計測することができる。
【0034】
また、本発明に係る他の形状計測装置によれば、少なくとも3つの基準盤を一直線上に並ばないように設置するので、鉛直方向の高さを容易に計測することができる。
【0035】
また、本発明に係るコンクリート構造物の施工方法によれば、コンクリートを打込んでコンクリート構造物を形成するステップと、上述した形状計測方法を用いてコンクリート構造物の表面の高さを計測するステップと、計測した結果に基づいてコンクリート構造物の表面の形状を修正するステップとを備えるので、施工精度を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明に係る形状計測方法、形状計測装置およびコンクリート構造物の施工方法は、コンクリートスラブのようなコンクリート構造物を施工する際に表面の凹凸形状を計測するのに有用であり、特に、鉛直方向の高さを高精度に計測するのに適している。
【符号の説明】
【0037】
10 床(構造物)
12 基準水平盤(基準盤)
14 高さ計測機
図1
図2