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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】防水コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20230926BHJP
   H01R 13/504 20060101ALI20230926BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230926BHJP
   F21V 23/06 20060101ALI20230926BHJP
   F21V 31/00 20060101ALI20230926BHJP
   F21W 131/101 20060101ALN20230926BHJP
【FI】
H01R13/52 302E
H01R13/504
F21S2/00 630
F21V23/06
F21V31/00 100
F21W131:101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019190739
(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公開番号】P2021068512
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中司 智
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-225056(JP,A)
【文献】特開2018-129189(JP,A)
【文献】特開2016-181328(JP,A)
【文献】国際公開第2014/069285(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/72
F21S 2/00
F21V 23/06
F21V 31/00
F21W 131/101
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子収容部を有したハウジングと、
前記ハウジングの端子収容部に収容され、電線の導体を保持する端子と、
一端に開口部を有し、前記端子内の前記導体の上に立設して、該開口部からの通電検査治具を弾性保持する案内管と、
を備え、
前記案内管は、絶縁性材で形成され、
前記案内管の開口部と前記ハウジングと間の空隙部が、着脱可能な弾性部材で覆われている防水コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記端子と前記導体の接続部、前記案内管の開口部及びその周辺部を除いてモールド材で被覆するモールド部を有し
記モールド部の前記案内管の開口部の周辺に前記空隙部としての取付凹部が形成され、
前記取付凹部が前記弾性部材としてのゴム系製の防水蓋で覆われている請求項1に記載の防水コネクタ。
【請求項3】
前記端子は、複数の給電用の端子と1つの接地用の端子を有し、
前記複数の給電用の端子のうちの少なくとも2つの給電用の端子内の各導体の上に前記案内管がそれぞれ立設されている請求項1又は2に記載の防水コネクタ。
【請求項4】
前記電線は、トンネル内に配索される幹線ケーブルより分岐した分岐ケーブルの電線であり、
前記ハウジングは、トンネル内に設置される複数の照明器具の各ケースに取り付けられた相手ハウジングに嵌合される請求項1から3のいずれか1項に記載の防水コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル照明器具用等の防水コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トンネル内に配索された幹線ケーブルより分岐する分岐ケーブルと照明器具とを接続するトンネル照明器具用のコネクタとして、特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載のトンネル照明器具用のコネクタは、分岐ケーブルの先端に取り付けられたプラグコネクタと、照明器具のケースに取り付けられ、プラグコネクタが嵌合されるレセプタクルコネクタと、を備えている。
【0003】
そして、レセプタクルコネクタにプラグコネクタを嵌合することで、レセプタクルコネクタの複数の雄端子とプラグコネクタの複数の雌端子が接続されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-181328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来のトンネル照明器具用のコネクタを用いたトンネル照明の電気配線では、照明器具とトンネル照明器具用のコネクタとを接続した後で、電圧降下等の検査を実施する。この際に、トンネル照明器具用のコネクタの接続を外し、プラグコネクタに検査用のレセプタクルコネクタを取り付け、電線の導体に電圧降下測定器のリード棒を接触させることにより測定することとなり、検査の作業性が悪い。また、活線での検査となるため、感電等の危険が生じる場合がある。さらに、検査用のレセプタクルコネクタを取り付けずに、プラグコネクタの雌端子に直接、電圧降下測定器のリード棒を差し込んで検査を行う場合もあり、この際には雌端子を傷つけ、接続不良を発生させてしまう虞がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、トンネル照明等の電気配線における布設後の検査作業の向上と検査時の安全性の向上を図ることができる防水コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係る防水コネクタは、端子収容部を有したハウジングと、前記ハウジングの端子収容部に収容され、電線の導体を保持する端子と、一端に開口部を有し、前記端子内の前記導体の上に立設して、該開口部からの通電検査治具を弾性保持する案内管と、を備え、前記案内管は、絶縁性材で形成され、前記案内管の開口部と前記ハウジングと間の空隙部が、着脱可能な弾性部材で覆われているものである。
【0008】
前記端子と前記導体の接続部は、前記案内管の開口部及びその周辺部を除いてモールド材で被覆されており、前記モールド材からなるモールド部の前記案内管の開口部の周辺に前記空隙部としての取付凹部が形成され、前記取付凹部が前記弾性部材としてのゴム系製の防水蓋で覆われていることが好ましい。
【0009】
前記端子は、複数の給電用の端子と1つの接地用の端子を有し、前記複数の給電用の端子のうちの少なくとも2つの給電用の端子内の各導体の上に前記案内管がそれぞれ立設されていることが好ましい。
【0010】
前記電線は、トンネル内に配索される幹線ケーブルより分岐した分岐ケーブルの電線であり、前記ハウジングは、トンネル内に設置される複数の照明器具の各ケースに取り付けられた相手ハウジングに嵌合されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トンネル照明等の電気配線における布設後の検査作業の向上と検査時の安全性の向上を図ることができる防水コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係るトンネル照明器具用の防水コネクタの一例を示す嵌合前の斜視図である。
図2】モールド成形前の上記防水コネクタのプラグコネクタを成形金型内にセットした状態を示す斜視図である。
図3】モールド成形後の上記プラグコネクタの断面図である。
図4】上記プラグコネクタに用いられる端子の斜視図である。
図5】上記プラグコネクタの斜視図である。
図6】上記プラグコネクタの防水蓋を取り外した状態の要部の拡大斜視図である。
図7】上記プラグコネクタの端子に立設した案内管に通電検査治具を差し込む直前の断面図である。
図8】本発明の実施形態に係るトンネル照明の電気配線の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の一実施形態に係る防水コネクタについて詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の実施形態に係るトンネル照明器具用の防水コネクタの一例を示す嵌合前の斜視図である。図2はモールド成形前の防水コネクタのプラグコネクタを成形金型内にセットした状態を示す斜視図である。図3はモールド成形後のプラグコネクタの断面図である。図4はプラグコネクタに用いられる端子の斜視図である。図5はプラグコネクタの斜視図である。図6はプラグコネクタの防水蓋を取り外した状態の要部の拡大斜視図である。図7はプラグコネクタの端子に立設した案内管に通電検査治具を差し込む直前の断面図である。図8は本発明の実施形態に係るトンネル照明の電気配線の一例を示す説明図である。
【0015】
図8に示すように、トンネル照明器具用の防水コネクタ10は、トンネル照明の電気配線の分岐ケーブル4と照明器具5の接続に用いられるものであり、レセプタクルコネクタ6とプラグコネクタ11とを備える。詳述すると、トンネル1内には、三相交流電源の各相の電力を照明器具5に分岐ケーブル4を介して送電する幹線ケーブル2が配索されている。この幹線ケーブル2には、分岐モールド部3を介して所定の間隔毎に分岐ケーブル4が分岐されている。この各分岐ケーブル4の先端には、プラグコネクタ11が取り付けられている。また、トンネル1内には、所定の間隔を隔てて複数の照明器具5が設置されている。この各照明器具5のケース5aには、プラグコネクタ11の樹脂製の雌ハウジング(ハウジング)12が嵌合される合成樹脂製の雄ハウジング(相手ハウジング)7を有したレセプタクルコネクタ6が取り付けられている。
【0016】
図1図2図3に示すように、プラグコネクタ11は、端子収容部13を有した雌ハウジング12と、この雌ハウジング12の端子収容部13に収容され、分岐ケーブル4の各電線40の導体(芯線)41を保持する雌端子(端子)20と、を備えている。また、プラグコネクタ11は、上端(一端)31に開口部32を有し、雌端子20内の導体41の上に立設して、該開口部32から差し込まれる電圧降下測定器60のリード棒(通電検査治具)61を弾性保持する案内管30を更に備えている。
【0017】
図1図3に示すように、雌ハウジング12は、4つの端子収容孔13aを形成したブロック状の端子収容部13と、端子収容部13を覆う四角筒状のフード部14と、端子収容部13より後方に延びて雌端子20の加締め部を覆う後部円筒部15と、有している。そして、雌端子20と導体41の接続部45を覆う雌ハウジング12の後部円筒部15から4本の電線40が露出した分岐ケーブル4の絶縁被覆4aは、案内管30の開口部32及びその周辺部を除いてモールド材73で被覆されている。
【0018】
すなわち、図2に示すように、金型70のキャビティ71内に雌ハウジング12をセットし、注入口72よりモールド材73を充填して、雌ハウジング12の後部円筒部15から4本の電線40が露出した分岐ケーブル4の絶縁被覆4aまでをモールド成形する。このモールド成形により、図5及び図6に示すように、モールド材73からなるモールド部16の案内管30の開口部32の周辺には、空隙部としての矩形状の取付凹部17が形成される。このモールド成形の際、案内管30の開口部32やその周辺に樹脂が入らないように図示しない金型コマを取り付けてモールド成形する。また、モールド材73として、例えば、軟質ポリ塩化ビニル(PVC)等の弾性のあるプラスチック材料を使用する。
【0019】
そして、図5及び図6に示すように、モールド部16に形成した取付凹部17は、弾性部材としてのゴム系製の防水蓋50で覆われている。なお、雌ハウジング12のフード部14は、雄ハウジング7のフード部7a内に嵌め込まれるようになっていて、その両側面の中央には、雄ハウジング7の両側中央の各ガイド凹部7bに案内される嵌合ガイド用の凸部18が形成されている。また、フード部14の上面側には、雄ハウジング7の上部のロック部7cに係止されるロックアーム19が形成されている。
【0020】
図3図4に示すように、雌端子20は、円筒状に形成され、中間フランジ部22を挟んで、先端側を雄ハウジング7の図示しない雄端子が挿入されるスリーブ21aを有した挿入筒部21とし、後端側を電線40の導体41を圧着接続する加締め部23としている。また、雌端子20は、雌ハウジング12の端子収容部13に形成された各端子収容孔13aの上段に2つ、下段に2つの計4つ収容されていて、上段の2つと下段の1つの計3つが給電用の端子となっていて、下段の残りの1つの端子が接地用となっている。そして、図2図3に示すように、上段に位置する2つの給電用の各雌端子20の加締め部23の中間フランジ部22寄りには、正面から見て菱形の孔23aが形成されていて、この菱側の孔23a内の電線40の導体41の上に案内管30がそれぞれ立設されている。
【0021】
図2図4に示すように、案内管30は、絶縁性材で円筒状に形成されている。この案内管30の上端31には、開口部32が形成されている。また、案内管30の上端31から中央にかけて一対のスリット33,33が形成されている。そして、案内管30の開口部32と雌ハウジング12のモールド部16と間の取付凹部(空隙部)17は、着脱可能なゴム系製の防水蓋(弾性部材)50で覆われるようになっている。
【0022】
図5図6に示すように、雌ハウジング12の取付凹部17に嵌め込まれる防水蓋50の下面には、一対の案内管30の各開口部32に嵌め込まれる一対の円柱状部51,51が形成されている。また、防水蓋50の両側には、取付凹部17の両側に形成された一対の係止凹部17a,17aに係止される一対の係止突起52,52が形成されている。さらに、防水蓋50の表面の片端側には、摘み部53が設けられていて、防水蓋50が取り外しできるようになっている。
【0023】
なお、図2図3に示すように、電源側の分岐ケーブル4の端末には、4本の電線40が露出していて、各電線40の導体41に雌端子20の加締め部23を圧着接続し、雌ハウジング12の端子収容部13の各端子収容孔13aに組込む。この組込み後に、雌ハウジング12の後部円筒部15と分岐ケーブル4の各電線40を一括にモールド成形することで、電気性能、機械性能、防水性能を満足させた雌ハウジング12が形成される。この雌ハウジング12を有したプラグコネクタ11は、工場で製造されて、布設現場に納入され、負荷側の照明器具5のケース5aに取り付けられたレセプタクルコネクタ6と嵌合されるようになっている。また、照明器具5の照明灯5bとレセプタクルコネクタ6は、負荷側の複数の電線8で接続されている。
【0024】
以上、本実施形態の防水コネクタ10によれば、図4図7に示すように、プラグコネクタ11の雌端子20は、加締め部23に雌端子20の接続方向と垂直な方向に電圧降下測定器60のリード棒61が差し込まれる案内管30が設けられている。この案内管30を絶縁性材で形成してバネ構造とすることで、リード棒61を簡易的に保持することが可能となる。
【0025】
そして、トンネル照明の電気配線の電圧降下の測定する際には、図6に示すように、雌ハウジング12の取付凹部17に嵌め込まれた防水蓋50を取外し、リード棒61を雌端子20に立設の案内管30に差し込み、実施する。従来のように、トンネル照明器具用の防水コネクタ10を取り外したり、プラグコネクタ11に検査用のレセプタクルコネクタを取り付ける必要がないため、検査作業が向上する。
【0026】
また、リード棒61が雌端子20に立設の案内管30に保持されているため、電線40の導体41に触れてしまい感電する等の危険が生じることなく測定が可能となり、検査時の安全性も向上する。測定終了後は、リード棒61を案内管30から引き抜き、防水蓋50を雌ハウジング12の取付凹部17に嵌めることで、元の状態に戻り、絶縁性能及び防水性能を満足させることができる。このように、トンネル照明の電気配線における布設後の検査作業の向上と検査時の安全性の向上を一段と図ることができる。
【0027】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0028】
すなわち、前記実施形態によれば、防水コネクタをトンネル照明器具用のコネクタとして説明したが、トンネル照明器具用以外の防水コネクタに前記実施形態を適用することもできる。
【符号の説明】
【0029】
1 トンネル
2 幹線ケーブル
4 分岐ケーブル
5 照明器具
5a ケース
7 雄ハウジング(相手ハウジング)
10 防水コネクタ
11 プラグコネクタ
12 雌ハウジング(ハウジング)
13 端子収容部
16 モールド部
17 取付凹部(空隙部)
20 雌端子(端子)
30 案内管
31 上端(一端)
32 開口部
40 電線
41 導体
45 端子と導体の接続部
50 防水蓋(弾性部材)
61 電圧降下測定器のリード棒(通電検査治具)
73 モールド材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8