(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】並継釣竿
(51)【国際特許分類】
A01K 87/02 20060101AFI20230926BHJP
A01K 87/00 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
A01K87/02 Z
A01K87/00 610Z
A01K87/00 620G
A01K87/00 630A
(21)【出願番号】P 2019191905
(22)【出願日】2019-10-21
【審査請求日】2022-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】下野 誠
(72)【発明者】
【氏名】森川 光伸
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼山 晃
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-270720(JP,A)
【文献】特開2002-191263(JP,A)
【文献】特開平10-290648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/00 - 87/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
竿先側竿体の竿元側端部を竿元側竿体の竿先側端部内に嵌合して連結する並継釣竿であって、
前記竿先側竿体の竿元側端部の外面には、竿先側から竿元側に向かうに従って漸次、縮径する雄テーパが形成され、
前記竿元側竿体の竿先側端部の内面には、竿先側から竿元側に向かうに従って漸次、縮径する雌テーパが形成され、
前記雌テーパは、前記雄テーパよりも竿軸方向の長さで短く設定され、
前記雄テーパのうち竿先側部分には、外径を小さくするとともに前記雄テーパのテーパ面に面一となる塗装部が被覆される段差面が形成され、
前記雄テーパと前記雌テーパとをテーパ合せした状態で、前記段差面に被覆された前記塗装部の一部が前記雌テーパの内側に嵌合される、並継釣竿。
【請求項2】
前記竿元側竿体の前記雌テーパの竿元側に連設する内面は、少なくとも前記竿先側竿体に形成される前記雄テーパのテーパ角より小さくなるように設定され
る、請求項
1に記載の並継釣竿。
【請求項3】
前記竿先側竿体の竿元側端部には、前記竿元側竿体の内面に摩擦接触する端栓が設けられる、請求項
1又は
2に記載の並継釣竿。
【請求項4】
前記端栓は、前記雄テーパの外面から径方向外側に少なくとも一部が突出している、請求項3に記載の並継釣竿。
【請求項5】
前記雄テーパと前記雌テーパのテーパ角が同じである、
請求項1から4のいずれか1項に記載の並継釣竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並継釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の竿杆を継ぎ合わせる並継釣竿では、継ぎ合わせ部の構成として、継ぎ合わせ部の竿杆の径が変わらないストレート合せと、継ぎ合わせ部の竿杆の径が変わるテーパ合せのものが知られている。テーパ合せの場合には、一般的には、例えば特許文献1に示されるように、雄側のテーパ角度が雌側のテーパ角度よりも大きく設定された構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のテーパ合せの並継釣竿では、雄側のテーパ角度が雌側のテーパ角度より小さく設定されていることから、雄側の竿元側端部を雌側の竿先側端部に差し込み過ぎることによって、雄側竿杆の端部が雌側竿杆の内周に食い込んでしまい、固着するという問題があった。
また、逆に、雄側のテーパ角度が雌側のテーパ角度が大きい場合、継ぎ合わせ部の雄側と雌側の竿体同士の面圧が不十分になり、テーパ固定力が不十分で抜け易いという欠点があり、例えば投げ釣りで仕掛けを投げる際の強いスウィングを繰り返すことにより緩みが生じて、継竿が飛び出して外れてしまうおそれがあった。
さらに、ストレート合せの並継釣竿では、温度変化に伴う熱膨張により、継ぎ合わせの際に竿先側竿体が竿元側竿体の竿先側端部内に嵌合し難く、また外れ難いことから、その点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、差し込みに伴う固着を防止できるうえ、テーパ合せの固定力を確保でき、竿元側竿体に差し込んだ竿先側竿体が抜け出すことを防止できる並継釣竿を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る並継釣竿は、竿先側竿体の竿元側端部を竿元側竿体の竿先側端部内に嵌合して連結する並継釣竿であって、前記竿先側竿体の竿元側端部の外面には、竿先側から竿元側に向かうに従って漸次、縮径する雄テーパが形成され、前記竿元側竿体の竿先側端部の内面には、竿先側から竿元側に向かうに従って漸次、縮径する雌テーパが形成され、前記雌テーパは、前記雄テーパよりも竿軸方向の長さで短く設定されていることを特徴としている。
【0007】
本発明に係る並継釣竿によれば、雌テーパが雄テーパよりも竿軸方向の長さが短いことから、竿先側竿体の竿元側端部の外面が竿元側竿体の竿先側端部の内面に接触しない構造となる。すなわち、竿先側竿体の雄テーパの竿元側端部が竿元側竿体の雌テーパを挿通して竿元側に突き抜けた状態でテーパ合わせされて嵌合される。そのため、本発明では、テーパ合せの精度とテーパ合せの固定力を向上させることができる。しかも、雄テーパを雌テーパに対して差し込み過ぎない適度なテーパ合せ位置で固定させることができる。つまり、雄側のテーパ角度が雌側のテーパ角度よりも大きく設定される従来の場合のテーパ合わせのように、雄側の竿元側端部を雌側の竿先側端部に差し込み過ぎることによる竿体同士の固着を防止できる。
このように本発明では、テーパ合わせによる継ぎ方式であるので、温度変化に伴う熱膨張による挿入のし難さを抑制できるとともに、従来のような差し込みに伴う固着を防止できる。しかも雄テーパと雌テーパのテーパ角度を一致させることでテーパ合せの固定力を確保でき、竿元側竿体に差し込んだ竿先側竿体が抜け出すことを防止できる。
【0008】
(2)前記雄テーパと前記雌テーパのテーパ角が同じである構成としてもよい。
【0009】
この場合には、雄テーパと雌テーパのテーパ角度が同じであるので、テーパ合せの固定力をより確実に確保することができ、竿元側竿体に差し込んだ竿先側竿体が抜け出すことを防止できる。
【0010】
(3)前記竿元側竿体の前記雌テーパの竿元側に連設する内面は、少なくとも前記竿先側竿体に形成される前記雄テーパのテーパ角より小さくなるように設定され、前記竿先側竿体の竿元側端部には、前記竿元側竿体の内面に摩擦接触する端栓が設けられていることが好ましい。
【0011】
この場合には、竿先側竿体の竿元側端部に設けられる端栓が竿元側竿体の内面に摩擦接触した状態となるため、雄テーパと雌テーパとをテーパ合せして継ぎ合わせる際にフリクション感をもたせることができる。
【0012】
(4)前記雄テーパのうち竿先側部分には、外径を小さくするとともに前記雄テーパのテーパ面に面一となる塗装部が被覆される段差面が形成され、前記雄テーパと前記雌テーパとをテーパ合せした状態で、前記段差面に被覆された前記塗装部の一部が前記雌テーパの内側に嵌合されることを特徴としてもよい。
【0013】
この場合には、竿先側竿体の雄テーパを竿元側竿体の雌テーパに差し込んで継ぎ合わせたときに、竿先側竿体の塗装部が雌テーパの内側に入り込んだ状態で嵌合される。このとき、塗装部が雄テーパのテーパ面に面一で一致し、高精度なテーパ合せを行うことができるので、継ぎ合わせの仕上げ状態が良好となり、並継釣竿としての見映えを向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る並継釣竿によれば、差し込みに伴う固着を防止できるうえ、テーパ合せの固定力を確保でき、竿元側竿体に差し込んだ竿先側竿体が抜け出すことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態による並継釣竿であって、竿先側竿体と竿元側竿体を継ぎ合わせる前の状態を示す一部破断した側面図である。
【
図2】
図1において、竿先側竿体と竿元側竿体を継ぎ合わせる途中の状態を示す側面図である。
【
図3】
図1において、竿先側竿体と竿元側竿体を嵌合した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る並継釣竿の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、並継釣竿として投げ釣り用の釣竿を例に挙げて説明する。また、各図面において、各構成部材を視認可能な大きさとするために必要に応じて各構成部材の縮尺を適宜変更している場合がある。
【0017】
図1乃至
図3に示すように、本実施形態の並継釣竿1は、竿先側竿体2の竿元側端部2aを竿元側竿体3の竿先側端部3a内に嵌合して連結する並継竿である。
ここで、並継釣竿1として、連結される竿体の本数は二本に限定されるものではなく、3本以上であってもかまわない。本実施形態では、並継釣竿1として、各竿体には、必要に応じて、不図示の釣り糸ガイドが設けられたり、また、必要に応じて、手元側の竿体にはリールを設けられたりして、魚釣りを楽しむ竿を対象としている。
【0018】
ここで、本実施形態では、並継釣竿1の長さ方向で先端側(図面で左側)を竿先、手持ち側(図面で右側)を竿尻とし、竿先から竿尻まで長さ方向を前後方向とし、前後方向で前側を竿先側、後側を竿元側と定義する。また、本実施形態では、釣竿の中心軸線となる竿軸O周りに周回する方向を周方向として定義する。
なお、
図1乃至
図3は、見易くするために竿先側竿体2を側面図とし、竿元側竿体3を竿軸Oを通る縦断面図として示している。
【0019】
並継釣竿1は、竿先側竿体2と竿元側竿体3の両方とも、エポキシ樹脂等の合成樹脂マトリックスを炭素繊維等の強化繊維で強化した繊維強化樹脂製の竿杆であり、ここでは管状竿杆である。
【0020】
竿先側竿体2は、竿本体20と、竿本体20の竿元側に装着された連結体21と、を備えている。連結体21の竿元側端部2aの外面には、竿先側から竿元側に向かうに従って漸次、縮径する雄テーパ2Aが形成されている。雄テーパ2Aは、連結体21のうち長さ方向の略中央より竿元側の部分に位置している。連結体21のうち雄テーパ2Aより竿先側部分には、外面が塗装された塗装部2Bが形成されている。塗装部2Bは、竿先側から竿元側に向けて外径が大きくなり、塗装部2Bの長さ方向の略中間で外径が小さくなって雄テーパ2Aに連設する。塗装部2Bと雄テーパ2Aとの外面同士が面一となっている。
【0021】
連結体21の塗装部2Bは、塗装23が所定厚で被覆され、被覆した塗装23と雄テーパ2Aの外面同士が互いに面一となるように滑らかに連続するように形成されている。すなわち、塗装部2Bは、雄テーパ2Aよりも外径を小さくするとともに、雄テーパ2Aのテーパ面に面一となる塗装部2Bが被覆される段差面21aが形成されている。雄テーパ2Aと雌テーパ3Aとをテーパ合せした状態で、段差面21aに被覆された塗装部2Bの一部(符号2bの部分)が雌テーパ3A(後述する)の内側に挿入された状態で配置される(
図3参照)。
【0022】
竿元側竿体3の竿先側端部3aの内面には、竿先側から竿元側に向かうに従って漸次、縮径する雌テーパ3Aが形成されている。雌テーパ3Aは、雄テーパ2Aよりも竿軸O方向の長さで短く設定されている。そして、雄テーパ2Aと雌テーパ3Aのテーパ角θ1、θ2(
図1参照)が同じに設定されている。並継釣竿1では、竿元側竿体3の竿先側端部3aの雌テーパ3Aに、竿先側竿体2の竿元側端部2aの雄テーパ2Aが嵌合される。
なお、雄テーパ2Aと雌テーパ3Aのテーパ角θ1、θ2としては、例えば2.0/1000程度である。
【0023】
竿元側竿体3には、竿先側端部3aの内面において、上述した雌テーパ3Aの竿元側に連設して形成される内径が変化しないストレート部3Bを有している。つまり、ストレート部3Bは、竿元側竿体3の竿軸Oを含む断面視で、竿軸Oに平行に延びる内面を形成している。
【0024】
雄テーパ2Aの先端は、雌テーパ3Aに嵌合された状態で、竿元側竿体3のストレート部3Bの内側に位置し、雌テーパ3Aに接触しない逃げ部2cが形成されている。
例えば、
図3に示すように、竿先側竿体2の連結体21において竿元側竿体3に差し込まれる部分の竿軸O方向に沿った長さ寸法(合せ寸法L1)が80mmで、雌テーパ3Aの竿軸O方向に沿った長さ寸法(リーマ深さL2)が60mmで、逃がし寸法L3が20mmに設定されている。この逃げ部2cが設けられることで、竿先側竿体2の連結体21の端部が、竿元側竿体3の内周に接触しないことで、竿先側竿体2と竿元側竿体3とが固着することを防止している。
【0025】
竿先側竿体2の竿元側端部2aには、この竿元側端部2aの外径より大きく竿元側竿体3の雌テーパ3Aの竿元側に連設するストレート部3Bに摩擦接触する端栓22が設けられている。
【0026】
端栓22は、ゴム等の弾性部材により形成され、雄テーパ2Aの竿元側に連設し、雄テーパ2Aの外面から径方向外側に突出している。本実施例においては、全周にわたって突出しているが、これに限らず、周囲の少なくとも1か所が突出していても良い。端栓22は、竿元側の角部の外周縁が湾曲している。端栓22の外径寸法は、竿元側竿体3のストレート部3Bの内径寸法より僅かに大きく設定されている。例えば、端栓22の外形寸法は、ストレート部3Bの内径よりも例えば0.1mm大きく設定されている。
端栓22は、竿先側竿体2の雄テーパ2Aが雌テーパ3Aに差し込まれて継ぎ合わせたとき、ストレート部3Bの範囲内に位置して、そのストレート部3Bの内面に接触した状態となる。
【0027】
次に、このように構成される並継釣竿1の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1乃至
図3に示すように、本実施形態による並継釣竿1は、雌テーパ3Aが雄テーパ2Aよりも竿軸O方向の長さが短いことから、竿先側竿体2の竿元側端部2aの端部の外面が竿元側竿体3の竿先側端部3aの内面に接触しない構造となる。すなわち、竿先側竿体2の雄テーパ2Aの竿元側端部2aが竿元側竿体3の雌テーパ3Aを挿通して竿元側に突き抜けた状態でテーパ合わせされて嵌合される。
【0028】
そのため、本実施形態では、テーパ合せの精度とテーパ合せの固定力を向上させることができる。しかも、雄テーパ2Aを雌テーパ3Aに対して差し込み過ぎない適度なテーパ合せ位置で固定させることができる。つまり、竿先側竿体2の竿元側端部2aの外面が竿元側竿体3の竿先側端部3aの内面に接触しないので、固着を防止するとともに、雄側のテーパ角度と雌側のテーパ角度とが同じように設定されているので、竿体同士の面圧を保持でき、テーパ固定力が十分に維持できる。
【0029】
このように本実施形態ではテーパ合わせによる継ぎ方式であるので、温度変化に伴う熱膨張による挿入のし難さを抑制できるとともに、従来のような差し込みに伴う固着を防止できる。しかも雄テーパ2Aと雌テーパ3Aのテーパ角度を一致させることでテーパ合せの固定力を確保でき、竿元側竿体3に差し込んだ竿先側竿体2が抜け出すことを防止できる。
【0030】
また、本実施形態では、雄テーパ2Aと雌テーパ3Aのテーパ角θ1、θ2が同じであるので、テーパ合せの固定力をより確実に確保することができ、竿元側竿体3に差し込んだ竿先側竿体2が抜け出すことを防止できる。
【0031】
また、本実施形態では、竿先側竿体2の竿元側端部2aには、竿元側端部2aの外径より大きく雌テーパ3Aの竿元側に連設するストレート部3Bの内面に摩擦接触する端栓22が設けられていることから、竿先側竿体2の竿元側端部2aに設けられる端栓22が竿元側竿体3のストレート部3Bの内面に摩擦接触した状態となるため、雄テーパ2Aと雌テーパ3Aとをテーパ合せして継ぎ合わせる際にフリクション感をもたせることができる。
【0032】
さらに、本実施形態では、竿先側竿体2の雄テーパ2Aを竿元側竿体3の雌テーパ3Aに差し込んで継ぎ合わせたときに、竿先側竿体2の塗装部2Bが雌テーパ3Aの内側に入り込んだ状態で嵌合される。このとき、塗装部2Bが雄テーパ2Aのテーパ面に面一で一致し、高精度なテーパ合せを行うことができるので、継ぎ合わせの仕上げ状態が良好となり、並継釣竿1としての見映えを向上させることができる。
【0033】
上述のように構成された本実施形態による並継釣竿では、差し込みに伴う固着を防止できるうえ、テーパ合せの固定力を確保でき、竿元側竿体3に差し込んだ竿先側竿体2が抜け出すことを防止できる。
【0034】
以上、本発明による並継釣竿の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0035】
例えば、上記実施形態では、竿元側竿体3における雌テーパ3Aの竿元側に連設する内面にストレート部3Bを形成したものを例示しているが、ストレートな面であることに限定されることはなく、雄テーパ2Aの竿元側に雌テーパ3Aに接触しない逃げ部2cが設けられていればよい。要は、少なくとも竿先側竿体2に形成される雄テーパ2Aのテーパ角より小さくなるように設定されていればよいのである。例えば、雄テーパ2Aのテーパ面に対して逆テーパとなるようにしてもよい。つまり、この逆テーパ部は、竿先側から竿元側に向かうに従って漸次、竿軸Oから離れるように傾斜するテーパが形成されていてもかまわない。
【0036】
また、上記実施形態では、雄テーパ2Aと雌テーパ3Aのテーパ角θ1、θ2が同じに設定されているが、双方のテーパ角θ1、θ2が必ずしも同じであることに制限されることはない。
【0037】
さらに、本実施形態では、竿先側竿体2の竿元側端部に、竿元側竿体3の内面(ストレート部3B)に摩擦接触する端栓22を設けた構成となっているが、この端栓22を省略した竿先側竿体2であってもかまわない。
【0038】
さらにまた、本実施形態では、竿先側竿体2の雄テーパ2Aに段差面21aが形成され、その段差面21aに塗装23が被覆された構成となっているが、このような段差面21aや塗装部2Bを有さない構成の竿体であってもよい。なお、被膜された塗装23が雌テーパ3Aに抜き差しする際に、剥がれてしまわないように、雌テーパ3Aの開口端を湾曲させたり、被膜の厚さ以上の段差を設けて良いし、さらに、雄テーパ2Aの竿先側のテーパ角を小さくさせたり、被膜の厚さ以上の段差を設けてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 並継釣竿
2 竿先側竿体
2a 竿元側端部
2c 逃げ部
2A 雄テーパ
2B 塗装部
3 竿元側竿体
3a 竿先側端部
3A 雌テーパ
3B ストレート部
20 竿本体
21 連結体
21a 段差面
22 端栓
23 塗装
O 竿軸