(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】コンクリート体の汚染深度の推定方法、斫り深さの決定方法及び汚染除去方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/38 20060101AFI20230926BHJP
G21F 9/00 20060101ALI20230926BHJP
G21F 9/28 20060101ALI20230926BHJP
G01T 1/169 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
G01N33/38
G21F9/00 Z
G21F9/28 551Z
G01T1/169 A
(21)【出願番号】P 2019191906
(22)【出願日】2019-10-21
【審査請求日】2022-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】木下 哲一
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 和敬
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-219324(JP,A)
【文献】特開2013-167527(JP,A)
【文献】特開平07-294652(JP,A)
【文献】木下哲一、他4名,様々な核種が浸透したコンクリートにおける各元素の深度分布の推定,日本放射線安全管理学会誌,2016年,Vol.15,No.1,Page.46-51
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/38
G21F 9/00
G21F 9/28
G01T 1/169
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害金属元素又は放射性核種を含む汚染水が接触して汚染されたコンクリート体の汚染深度の推定方法であって、下記式(1)を満たすxの最小値x
minを求めるステップを含む、コンクリート体の汚染深度の推定方法。
【数1】
式(1)中、
xは、コンクリート体の汚染水との接触面からの深さであり、
tは、コンクリート体と汚染水との接触開始からの時間であり、
C
0は、対象とする有害金属元素(以下「目的元素」という。)又は対象とする放射性核種(以下「目的核種」という。)について、予め定めた基準値であり、
C(x,t)は、コンクリート体の汚染水との接触面からの深さx、コンクリート体と汚染水との接触開始からの時間tにおける目的元素又は目的
核種の濃度であり、下記式(2)で表される。
【数2】
式(2)中、
Dは、下記式(3)によって算出される、目的元素又は目的核種のコンクリートのモルタル部分における拡散係数である。
【数3】
式(3)中、
φは、コンクリートの空隙率であり、
予め与えられた値、又はコンクリート試料を用いた実験によって測定される質量、水中質量、体積及び水の密度から、下記式(5)によって算出した値を用い、
K
dは、目的元素又は目的核種とセメントペースト硬化物の粉末との分配係数であり、
予め与えられた値、又はセメントペースト硬化物の粉末を既知量の目的元素又は目的核種を溶かした水溶液中で撹拌し、撹拌前後の水溶液中の目的元素又は目的核種の濃度測定を行い、下記式(6)によって算出した値を用い、
D
wは、下記式(4)によって計算される、コンクリートのモルタル部分における水の拡散係数である。
【数4】
式(4)中、
φは、式(3)中におけるφと同一である。
【数5】
式(5)中、
ρ
Wは、水の密度であり、
W
2は、コンクリート試料の質量であり
W
1は、コンクリート試料の水中質量であり、
Vはコンクリート試料の体積である。
【数6】
式(6)中、
C
1は、撹拌前の水溶液中の目的元素又は目的核種の質量であり、
C
2は、セメントペースト硬化物の粉末と撹拌した後の水溶液中の目的元素又は目的核種の質量であり、
M
aqは、水溶液の質量であり、
M
concは、セメントペースト硬化物の粉末の質量である。
【請求項2】
請求項
1に記載のコンクリート体の汚染深度の推定方法によって前記x
minを求めるステップと、
コンクリート体の斫り深さを前記x
min以上の深さに決定するステップと
を含む、有害金属元素又は放射性核種を含む汚染水が接触して汚染されたコンクリート体の斫り深さの決定方法。
【請求項3】
請求項
2に記載のコンクリート体の斫り深さの決定方法によってコンクリート体の斫り深さを決定するステップと、
決定した斫り深さで前記コンクリート体を斫るステップと
を含む、有害金属元素又は放射性核種を含む汚染水が接触して汚染されたコンクリート体の汚染除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート体の汚染深度の推定方法、斫り深さの決定方法及び汚染除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有害金属元素又は放射性核種を含む水(汚染水)が接触して汚染されたコンクリート体では、汚染水がコンクリート体に浸透して、コンクリート体の表面だけでなく、内部まで汚染される。前記有害金属としては、ヒ素(As)、カドミウム(Cd)、クロム(Cr)、水銀(Hg)及び鉛(Pb)等が挙げられる。前記放射性核種としては、ストロンチウム90(90Sr,半減期29年)、セシウム134(134Cs,半減期2年)、セシウム137(137Cs,半減期30年)、ウラン235(235U,半減期7億400万年)、プルトニウム239(239Pu,半減期24110年)及びアメリシウム241(241Am,半減期432年)等が挙げられる。これらの有害金属又は放射性核種によって汚染されたコンクリート体は、それ自体が有害金属又は放射性核種の汚染源となるので、汚染を除去する必要がある。
【0003】
コンクリート体の除染作業を開始する前の時点では、汚染されたコンクリート体の表面からどの程度の深さまで放射能汚染が浸透しているのかが全く不明である。このため、除染対象のコンクリート体の表面を少し削り取ってはサーベイメータ等の放射線測定機器によって放射線を測定するという作業を繰り返し行うことになり、除染作業に相当の時間を要してしまう。また、確実に除染するために、汚染されていない深さまで余分に削り取ると、廃棄物量が増大してしまう。さらに、90Sr及び137Csは、GMサーベイメータ又はNaIシンチレーションサーベイメータ等を使用して素早く測定できるが、235U又は239Prは、これらの測定機器では測定できないので、手間及び時間がかかる分析を行う必要がある。従って、除染効果を素早く確認することは困難であり、除染作業に長時間を要している。そこで、汚染されたコンクリート体の表面からの深さごとに放射能量を推定する方法が求められており、放射性核種を含む放射能汚染水のコンクリート体への浸透実験を行って基礎データを収集し、収集されたデータを基に推定する方法が用いられている。
【0004】
しかし、浸透実験でコンクリート体の表面から深さごとの放射能量を推定する方法では、実験時のコンクリート体の乾燥状態や浸透する際の水圧等によって、同じ濃度の放射能汚染水であってもコンクリート体への浸透具合が変動してばらついてしまう。そのため、浸透実験では放射能汚染水によって汚染されたコンクリート体の表面からの深さごとの放射能量を定量的に推定することが困難であるという問題を有している。
【0005】
この問題に対して、汚染されたコンクリート体の表面から深さごとの放射能量の浸透状態を定量的に推定することが可能な放射能汚染深度シミュレーション方法として、分配平衡による浸透モデルを用いた放射能汚染深度シミュレーション方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載された放射能汚染深度シミュレーション方法は、対象とする有害金属元素(以下「目的元素」という場合がある。)又は放射性核種(以下「目的核種」という場合がある。)のコンクリートへの吸着及び溶解のみを考慮した深度分布予測であり、コンクリートと汚染水との接触時間を考慮していない。そのため、接触時間が数年間以内の短期間の浸透であれば、優れた精度で放射能汚染深度を予測可能であるが、接触時間が10年を超える長期間の浸透では、放射能汚染深度の予測精度が低下する。
また、拡散モデルによる深度分布予測では、拡散方程式を解くことにより深度分布の時間変化を明らかにできるが、拡散方程式の中で使われる拡散係数を測定するのに時間がかかる。拡散係数の測定は、コンクリート試験体を目的元素が溶解した液体に一定時間浸し、目的元素をコンクリート内に浸透させ、試験体を薄くスライスし、目的元素の深度分布を測定することにより拡散係数が求まるが、数ヶ月~数年間の浸透時間を要する。
【0008】
そこで、本発明は、短時間で精度よく汚染深度を推定できる、コンクリート体の汚染深度の推定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1] 有害金属元素又は放射性核種を含む汚染水が接触して汚染されたコンクリート体の汚染深度の推定方法であって、下記式(1)を満たすxの最小値x
minを求めるステップを含む、コンクリート体の汚染深度の推定方法。
【数1】
式(1)中、
xは、コンクリート体の汚染水との接触面からの深さであり、
tは、コンクリート体と汚染水との接触開始からの時間であり、
C
0は、対象とする有害金属元素(以下「目的元素」という。)又は対象とする放射性核種(以下「目的核種」という。)について、予め定めた基準値であり、
C(x,t)は、コンクリート体の汚染水との接触面からの深さx、コンクリート体と汚染水との接触開始からの時間tにおける目的元素又は目的
核種の濃度であり、下記式(2)で表される。
【数2】
式(2)中、
Dは、下記式(3)によって算出される目的元素又は目的核種のコンクリート中での拡散係数である。
【数3】
式(3)中、
φは、コンクリートの空隙率であり、
K
dは、目的元素又は目的核種とセメントペースト硬化物の粉末との分配係数であり、 D
wは、下記式(4)によって計算されるコンクリート中の水の拡散係数である。
【数4】
式(4)中、
φは、式(3)中におけるφと同一である。
[2] 前記コンクリートの空隙率φを、コンクリート試料を用いた実験によって測定される質量、水中質量、体積及び水の密度から、下記式(5)によって計算する、[1]に記載のコンクリート体の汚染深度の推定方法。
【数5】
式(5)中、
ρ
Wは、水の密度であり、
W
2は、コンクリート試料の質量であり
W
1は、コンクリート試料の水中質量であり、
Vはコンクリート試料の体積である。
[3] 前記目的元素又は目的核種とセメントペースト硬化物の粉末との分配係数K
dを、セメントペースト硬化物の粉末を既知量の目的元素又は目的核種を溶かした水溶液中で撹拌し、撹拌前後の水溶液中の目的元素又は目的核種の濃度測定を行い、下記式(6)によって計算する、[1]又は[2]に記載のコンクリート体の汚染深度の推定方法。
【数6】
式(6)中、
C
1は、撹拌前の水溶液中の目的元素又は目的核種の質量であり、
C
2は、セメントペースト硬化物の粉末と撹拌した後の水溶液中の目的元素又は目的核種の質量であり、
M
aqは、水溶液の質量であり、
M
concは、セメントペースト硬化物の粉末の質量である。
[4] [1]~[3]のいずれか1つに記載のコンクリート体の汚染深度の推定方法によって前記x
minを求めるステップと、
コンクリート体の斫り深さを前記x
min以上の深さに決定するステップと
を含む、有害金属元素又は放射性核種を含む汚染水が接触して汚染されたコンクリート体の斫り深さの決定方法。
[5] [4]に記載のコンクリート体の斫り深さの決定方法によってコンクリート体の斫り深さを決定するステップと、
決定した斫り深さで前記コンクリート体を斫るステップと
を含む、有害金属元素又は放射性核種を含む汚染水が接触して汚染されたコンクリート体の汚染除去方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、短時間で精度よく汚染深度を推定できる、コンクリート体の汚染深度の推定方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、
137Csに汚染されたコンクリート体の表面からの深さ(横軸)と
137Cs計数率との推定値及び測定値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
「セメントペースト」は、セメントと水との混合物であって、未硬化のものを意味する。
「セメントペースト硬化物」は、セメントペーストを硬化したものを意味する。
「コンクリート」は、セメントと水と骨材との混合物を硬化したものを意味する。
「コンクリートのモルタル部分」は、コンクリートのうち、骨材を除いた部分を意味する。
「コンクリート体」は、コンクリートで構成される構造物を意味する。
「濃度」は化学的な濃度に限定されず、単位時間あたりのカウント数等、対象とする有害金属元素又は放射性核種に応じたものを使用できる。
【0013】
[汚染深度の推定方法]
有害金属元素又は放射性核種を含む汚染水との接触によって汚染されたコンクリート体における目的元素(対象とする有害金属元素をいう。)又は目的核種(対象とする放射性核種をいう。)の濃度分布は、拡散方程式を用いて以下の式(A)で表される。
【数7】
式(A)中、各記号の意味は以下のとおりである。
xは、コンクリート体と汚染水との接触面からの深さである。
tは、コンクリート体と汚染水との接触開始からの時間(接触時間)である。
Dは、コンクリートのモルタル部分における目的元素又は目的核種の拡散係数である。ここで、モルタル部分における拡散係数を用いるのは、コンクリートに含まれる骨材には目的元素又は目的核種が拡散しにくく、もっぱらモルタル部分に拡散するからである。
C(x,t)は、前記深さx、前記接触時間tにおける目的元素又は目的核種の濃度である。
【0014】
本発明のコンクリート体の汚染深度の推定方法は、C(x,t)及びC
0について、下記式(1)を満たすxの最小値x
minを求めるステップを含む。
【数8】
式(1)中、各記号の意味は以下のとおりである。
C(x,t)、x、tは、いずれも上述したとおりである。
C
0は、目的元素又は目的核種について、予め定めた基準値である。
【0015】
C0は、具体的には、例えば、目的元素又は目的核種の濃度がC0以下であれば、汚染していないとみなしてもよい(実質的に汚染されていない)と判断する、目的元素又は目的核種の濃度である。
【0016】
式(1)を満たすxの最小値xminは、xmin以上の深さでは、目的元素又は目的核種の濃度がC0以下となることを示すものである。
【0017】
C(x,t)は、式(A)の偏微分方程式を解いて、下記式(2)で表される。
【数9】
式(2)中、x,t,Dの意味は、前記したとおりである。
【0018】
拡散係数Dは、下記式(3)によって算出する。
【数10】
式(3)中、φは、コンクリートの空隙率であり、K
dは、目的元素又は目的核種とセメントペースト硬化物の粉末との分配係数であり、D
wは、コンクリートのモルタル部分における水の拡散係数である。
【0019】
前記Dwは、下記式(4)によって算出する。
【数11】
式(4)中、φの意味は、前記したとおりである。
【0020】
前記φは、予め与えられた値を用いてもよいし、コンクリート試料を用いた実験によって測定される質量、水中質量、体積及び水の密度から、下記式(5)によって算出してもよい。
【数12】
【0021】
式(5)中の各記号の意味は、以下のとおりである。
ρWは、水の密度である。
W2は、コンクリート試料の質量である。
W1は、コンクリート試料の水中質量である。
Vはコンクリート試料の体積である。
【0022】
ここで、計算例を示す。
ρw=1000kg/m3、V=1.00m3、W1=1400kg、W2=2200kgである場合、
φ=1-(2200-1400)/(1000×1.00)=0.2(無次元量)
となる。
【0023】
また、前記Kdは、予め与えられた値を用いてもよいし、セメントペースト硬化物の粉末を既知量の目的元素又は目的核種を溶かした水溶液中で撹拌し、撹拌前後の水溶液中の目的元素又は目的核種の濃度測定を行い、下記式(6)によって算出してもよい。
【数13】
式(6)中の各記号の意味は、以下のとおりである。
C
1は、撹拌前の水溶液中の目的元素又は目的核種の質量である。
C
2は、セメントペースト硬化物の粉末と撹拌した後の水溶液中の目的元素又は目的核種の質量である。
M
aqは、水溶液の質量である。
M
concは、セメントペースト硬化物の粉末の質量である。
【0024】
ここで、計算例を示す。
C1=1.00×10-4kg、C2=3.98×10-7kg、Maq=1.00kg、Mconc=0.01kgである場合、
Kd=(1.00×10-4-9.76×10-5)×(1.00/0.01)/9.76×10-5=2.5(無次元量)
となる。
【0025】
[斫り深さの決定方法]
本発明のコンクリート体の斫り深さの決定方法は、上述した汚染深度の推定方法によって前記xminを求めるステップと、斫り深さを前記xmin以上の深さに決定するステップとを含む、有害金属元素又は放射性核種を含む汚染水が接触して汚染されたコンクリート体の斫り深さの決定方法である。
斫り深さをxmin以上の深さに設定することによって、実質的に汚染されていない深さまでコンクリート体を斫ることができる。斫り深さをxminと設定すれば、過剰に斫ることがないので、廃棄物量を減らすことができる。
【0026】
本発明のコンクリート体の斫り深さの決定方法は、さらに、斫り深さを決定するにあたり、前記xminに安全係数kを乗じるステップを含んでもよい。この場合において、斫り深さを、k・xminと決定することが好ましい。
安全係数kを大きくとるほど、斫った後のコンクリート体が目的元素又は目的核種によって汚染されている可能性は小さくなるが、廃棄物量が増加する上に、汚染除去後のコンクリート体の強度が低下するおそれがある。
【0027】
[汚染除去方法]
本発明のコンクリート体の汚染除去方法は、上述した斫り深さの決定方法によってコンクリート体の斫り深さを決定するステップと、決定した斫り深さで前記コンクリート体を斫るステップとを含む、有害金属元素又は放射性核種を含む汚染水が接触して汚染されたコンクリート体の汚染除去方法である。
斫り深さを前記した斫り深さに設定することによって、実質的に汚染されていない深さまでコンクリート体を斫ることができ、汚染が除去されたコンクリート体を得られる。
【実施例】
【0028】
以下では、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は後述する実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限り、種々の変形が可能である。
【0029】
[実施例1]
コンクリート体(サイズ:10cm×10cm×10cm;質量:2.2kg)の表面に、137Cs(化合物名:塩化セシウム)を含む水溶液を接触させた。
接触時間tを1週間(604800秒)、基準値C0を137Cs計数率で0.05cpm、137Csとセメントペースト硬化物の粉末との分配係数Kd=2.5、コンクリートの空隙率φ=0.2とした。
【0030】
(実測値)
コンクリート体の表面から深さxcmの
137Cs計数率を測定した。
図1に点で示す(測定値)。
【0031】
(推定値)
前記した式(2)により、コンクリート体の表面からxcmの深さの
137Cs計数率を推定した。
図1に実線で示す(推定値)。
【0032】
本発明の汚染深度の推定方法によれば、深度分布の相対値が机上で検討可能になる。
汚染したコンクリート表面の目的元素又は目的核種の濃度を測定するだけで、コンクリート内での目的元素又は目的核種の深度分布が推定できる。
推定した目的元素又は目的核種の深度分布に基づいてコンクリート躯体を解体する際に、浸透汚染した部分を除去するためのはつり深さに目安をつけられる。