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特許7355597塗布体、塗布体を備える化粧品用塗布具、および、それを備える化粧品用容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】塗布体、塗布体を備える化粧品用塗布具、および、それを備える化粧品用容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20230926BHJP
   A45D 40/28 20060101ALI20230926BHJP
   A45D 40/26 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
A45D34/04 510A
A45D40/28
A45D34/04 515Z
A45D40/26 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019191907
(22)【出願日】2019-10-21
(65)【公開番号】P2021065361
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000248602
【氏名又は名称】株式会社篠原
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】袴田 信子
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-296625(JP,A)
【文献】特開2016-036487(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0056636(US,A1)
【文献】特開平08-275820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
A45D 40/28
A45D 40/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマー素材で成形される一様な厚さを有するへら部と、
前記へら部に対し所定の隙間をもって離隔されるように、前記へら部の基端部に一体に成形される弾性変位可能なタップ部と、
前記へら部の基端部と前記タップ部とが結合される部分に形成され、液状の化粧品を留める液溜め口と、
前記タップ部の基部に一体に結合される固定軸部と、
を具備して構成され
前記タップ部の先端部は、半球状に形成される塗布体。
【請求項2】
前記へら部の基端部は、前記タップ部におけるへら部の基端部に向き合う表面に対し所定の角度で交差し、前記タップ部の先端部は、へら部の尖頂に対し該タップ部の基部の方向へ所定距離、離隔していることを特徴とする請求項1記載の塗布体。
【請求項3】
前記へら部の基端部は、前記タップ部におけるへら部の基端部に向き合う表面に対し略平行となるように、前記タップ部に結合され、前記タップ部の先端部は、へら部の尖頂の真上に位置することを特徴とする請求項1記載の塗布体。
【請求項4】
前記タップ部の先端部における上部の形状が、略カージオイドのような形状に形成されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の塗布体。
【請求項5】
前記タップ部の先端部は、前記へら部の尖頂の先端角よりも小さい先端角を有する尖頭状に形成されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の塗布体。
【請求項6】
前記へら部における前記固定軸部の中心軸線の延長線に対し直交する方向の最大幅が、前記タップ部における前記へら部の最大幅に対応する最大幅よりも大であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の塗布体。
【請求項7】
前記へら部の先端は、円弧状の曲面、または、前記固定軸部の中心軸線の延長線に対し所定の角度をもって交差する平面に形成されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の塗布体。
【請求項8】
前記へら部は、厚さ方向に貫通する貫通孔を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載の塗布体。
【請求項9】
前記タップ部は、植毛されたナイロン樹脂製繊維を全表面に有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のうちのいずれかに記載の塗布体。
【請求項10】
請求項1乃至請求項のうちのいずれかに記載の塗布体と、
前記塗布体を支持するステムを有するキャップと、
を具備して構成される塗布体を備える化粧品用塗布具。
【請求項11】
請求項1乃至請求項のうちのいずれかに記載の塗布体と、
前記塗布体を支持するステムを有するキャップと、
前記塗布体および前記キャップのステムが通過する開口部を有する首部と、該首部の開口部に連通し液状の化粧品を収容する収容部とを備える容器本体と、
を具備して構成される化粧品用容器。
【請求項12】
菊割れ蓋部分を有するワイパが、前記容器本体の開口部の周縁に設けられることを特徴とする請求項11記載の化粧品用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布体、塗布体を備える化粧品用塗布具、および、それを備える化粧品用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
リップグロス(lip gloss)、および、ティント(tint)のような粘度の高い液体の化粧品を唇に塗布する場合、リップグロス、および、ティントが塗布具により唇に塗布される場合がある。そのような塗布具は、例えば、特許文献1に示されるように、キャップに支持される軸と、軸の先端部の保持孔に挿入され固定される保持部を有する塗布部と、から構成されている。塗布部は、適度な弾力性のあるポリウレタンエラストマーで側方から見て湾曲した形に形成されている。塗布部の内側表面は、幅方向に扁平状に形成されている。その塗布部の湾曲した内側全表面には、フロッキー加工により植毛されたナイロン樹脂製繊維が設けられている。塗布部の外側表面は、リップグロスを唇全体に塗り広げるために平滑な表面を有している。これにより、塗布具の塗布部によって掬い取られたリップグロスが内側全表面におけるナイロン樹脂製繊維内に保持されるとともに、その内側全表面を唇に密着させることによってリップグロスが唇に塗布されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5450027号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リップグロスは、口紅とともに塗布具を使って重ね塗りされる場合がある。このような場合、上述のように塗ったリップグロスを唇に馴染ませるために塗ったリップグロスを指先で軽く叩き込み馴染ませる場合がある。また、ティントを唇に塗布する場合においても、同様に、塗ったティントを指先で軽く叩き込み馴染ませる場合がある。しかしながら、指先に付着したリップグロスまたはティントをティシュペーパ等により拭い取る手間がかかる。そこで、塗布具により、塗ったリップグロスを唇に馴染ませることを行うことも要望されるが、上述の特許文献1に示されるような塗布具によって軽く叩き込み馴染ませることができない。
【0005】
以上の問題点を考慮し、本発明に係る塗布体、塗布体を備える化粧品用塗布具、および、それを備える化粧品用容器であって、粘度の高い液体の化粧品を唇に塗布できるとともに、唇に塗布した化粧品を唇に馴染ませる使い方ができる化粧品用塗布具、および、それを備える化粧品用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る塗布体は、エラストマー素材で成形される一様な厚さを有するへら部と、へら部に対し所定の隙間をもって離隔されるように、へら部の基端部に一体に成形される弾性変位可能なタップ部と、へら部の基端部とタップ部とが結合される部分に形成され、液状の化粧品を留める液溜め口と、タップ部の基部に一体に結合される固定軸部と、を備えて構成される。
【0007】
へら部の基端部は、タップ部におけるへら部の基端部に向き合う表面に対し所定の角度で交差し、タップ部の先端部は、へら部の尖頂に対しタップ部の基部の方向へ所定距離、離隔してもよい。へら部の基端部は、タップ部におけるへら部の基端部に向き合う表面に対し略平行となるように、タップ部に結合され、タップ部の先端部は、へら部の尖頂の真上に位置するものであってもよい。タップ部の先端部は、半球状に形成されてもよい。また、タップ部の先端部における上部の形状が、略カージオイドのような形状に形成されてもよい。タップ部の先端部は、へら部の尖頂の先端角よりも小さい先端角を有する尖頭状に形成されてもよい。へら部における固定軸部の中心軸線の延長線に対し直交する方向の最大幅が、タップ部におけるへら部の最大幅に対応する最大幅よりも大であってもよい。へら部の先端は、円弧状の曲面、または、固定軸部の中心軸線の延長線に対し所定の角度をもって交差する平面に形成されてもよい。へら部は、厚さ方向に貫通する貫通孔を有するものでもよい。
【0008】
さらに、本発明に係る塗布体は、エラストマー素材で球体状に成形されるとともに、植毛されたナイロン樹脂製繊維を全表面に有するタップ部と、タップ部の表面の一部に平坦状に形成され、液状の化粧品を塗布するための塗布面と、タップ部の基部に一体に結合される固定軸部と、を備えて構成される。
【0009】
本発明に係る化粧品用塗布具は、上述の塗布体と、塗布体を支持するステムを有するキャップと、を備えて構成される。
【0010】
本発明に係る化粧品用容器は、上述の塗布体と、塗布体を支持するステムを有するキャップと、塗布体およびキャップのステムが通過する開口部を有する首部と、首部の開口部に連通し液状の化粧品を収容する収容部とを備える容器本体と、を備えて構成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る塗布体、塗布体を備える化粧品用塗布具、および、それを備える化粧品用容器によれば、エラストマー素材で成形される一様な厚さを有するへら部と、へら部に対し所定の隙間をもって離隔されるように、へら部の基端部に一体に成形される弾性変位可能なタップ部と、を備えるので粘度の高い液体の化粧品を唇に塗布できるとともに、唇に塗布した化粧品を唇に馴染ませる使い方ができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る塗布体の第1実施例の外観を示す斜視図である。
図2図1に示される例における平面図である。
図3】本発明に係る化粧品用容器の一例の構成を示す断面図である。
図4図3に示される例に使用されたワイパの菊割れ蓋部分を示す平面図である。
図5】(A)は、本発明に係る塗布体を備える化粧品用塗布具の一例を示す側面図であり、(B)は、(A)に示される例におけるステムの要部を部分的に拡大して示す部分断面図である。
図6図1に示される例における側面図である。
図7図1に示される例における下面図である。
図8図1に示される例におけるへら部の変形例を示す側面図である。
図9】本発明に係る塗布体の第1実施例の第1の変形例の外観を示す平面図である。
図10】(A)および(B)は、それぞれ、本発明に係る塗布体の第2実施例の外観を示す側面図および平面図である。
図11】(A)は、本発明に係る塗布体の第1実施例の第2の変形例の外観を示す平面図であり、(B)は、本発明に係る塗布体の第1実施例の第3の変形例の外観を示す平面図である。
図12】(A)は、本発明に係る塗布体の第1実施例の第4の変形例の外観を示す平面図であり、(B)は、本発明に係る塗布体の第1実施例の第5の変形例の外観を示す平面図である。
図13】(A)、(B)、および、(C)は、それぞれ、本発明に係る塗布体の第1実施例の第6の変形例乃至第8の変形例の外観を示す平面図である。
図14】本発明に係る塗布体の第3実施例の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図5は、本発明に係る塗布体の第1実施例を備えるアプリケータの外観を示す。アプリケータ10は、例えば、リップグロスLG(図3参照)を唇に塗布する塗布体としてのリップトップ16と、リップトップ16が一端部に固定されるステム14と、ステム14の他端部に固定される樹脂製のインナーキャップ12とを含んで構成されている。
【0014】
アプリケータ10は、図3に示されるように、本発明に係る化粧品用容器の一例の内部に収容される。その容器は、所定量のリップグロスLGが満たされ、アプリケータ10のステム14の一部およびリップトップ16全体が浸される収容部20Aを有する樹脂製の容器本体20と、容器本体20の首部20Nに取り外し可能に連結され、その開口端を塞ぐ樹脂製のキャップ18とを主な要素として含んで構成されている。
【0015】
キャップ18の内周部18Aにおける開口端は、容器本体20の首部20Nの雄ねじ部20MSにねじ込まれる雌ねじ部18FSを有している。また、キャップ18の内周部18Aには、上述のアプリケータ10のインナーキャップ12が圧入されている。これにより、アプリケータ10とキャップ18とが一体とされる。また、容器本体20の首部20Nの内周部には、アプリケータ10のリップトップ16が容器本体20の首部20Nから抜き出されるとき、リップトップ16に付着したリップグロスLGの一部をしごき拭うワイパ20Bが設けられている。ワイパ20Bは、図3に示されるように、例えば、弾性材料で作られ、容器本体20の首部20Nの内周部に固定される円筒状の固定部20Bfと、固定部20Bfと一体に形成され、リップトップ16に付着したリップグロスLGの一部をしごき拭う菊割れ蓋部分20Bwとから構成されている。菊割れ蓋部分20Bwは、図4に拡大されて示されるように、中央部分に貫通孔20BOを有している。菊割れ蓋部分20Bwにおける貫通孔20BOの回りには、その円周方向に沿って均等に8分割されたワイピング片20b1,20b2,20b3,20b4,20b5,20b6,20b7、および、20b8が形成されている。ワイピング片20b1~20b8における貫通孔20BOを形成する先端部は、それぞれ、紙面に対し垂直方向に、即ち、後述するリップトップ16の挿抜方向に沿って個別に弾性変位可能とされる。これにより、リップトップ16がリップグロスLGの中から引き上げられ、菊割れ蓋部分20Bwを通過する場合、余分なリップグロスLGがリップトップ16の外周部から除去されることとなる。
【0016】
本発明に係る塗布体の第1実施例としてのリップトップ16は、図1に拡大されて示されるように、例えば、エラストマー素材としての熱可塑性エラストマーで一体成形され、へら(箆)部16Tと、へら部16Tの基端部に結合されるとともにへら部16Tの先端に向けて斜め上方に延びるタップ部16Bと、タップ部16Bの基部16Cに連なる固定軸部16Sと、から構成されている。
【0017】
へら部16Tの先端部の形状は、図2に拡大されて示されるように、鋭尖形を有している。へら部16Tの先端部の外縁には、所定の角度の面取りが形成されている。へら部16Tの基端部の幅寸法は、後述するタップ部16Bの幅WA寸法と略同一に設定されている。へら部16Tは、図6に拡大されて示されるように、一様な厚さtを有している。厚さtは、例えば、約1mm以上2mm以下に設定されている。へら部16Tの基端部は、タップ部16Bにおけるへら部16Tの基端部に向き合う表面に対し所定の角度θで交差している。角度θは、例えば、約10°以上45°以下の角度に設定されている。タップ部16Bにおけるへら部16Tの基端部に向き合う表面とへら部16Tの基端部の表面との間には、液溜め口16Wが形成されている。液溜め口16Wは、へら部16Tの先端部、および、両側部に向けて開口している。液溜め口16Wは、例えば、約0.03ml以上0.2ml以下程度のリップグロスLGを、タップ部16Bにおけるへら部16Tの基端部に向き合う表面とへら部16Tの表面との間にその表面張力により留めるものとされる。
【0018】
へら部16Tは、図7に拡大されて示されるように、液溜め口16Wの真下となる位置、例えば、へら部16Tの尖頂から基部16Cの方向へ距離LCだけ離れた位置、例えば、7mm以上離れた位置を中心とする、厚さ方向に貫通する円形の貫通孔16Taを有している。貫通孔16Taは、所定の内径φDを有している。これにより、へら部16Tの表面16TAと表面16TBとが連通するので液溜め口16W内のリップグロスLGが、貫通孔16Taを介して表面16TAに流れ出ることとなる。
【0019】
タップ部16Bは、図1図2、および、図6に拡大されて示されるように、半球状に形成される先端部を有するとともに、タップ部16Bの基部16Cに近づくにつれて流線形の縦断面を有している。タップ部16Bにおけるへら部16Tの基端部に向き合う表面は、その弾性力により、へら部16Tの表面16TBに対しお互いに近接または離隔可能とされる。これにより、液溜め口16W内のリップグロスLGが、前方、両側方、および、貫通孔16Taを介して押し出されることとなる。
【0020】
タップ部16Bの半球状部は、図2に拡大されて示されるように、へら部16Tの尖頂から基部16Cの方向へ所定距離LB、例えば、約7mm程度離隔している。タップ部16Bの半球状部における固定軸部16Sの中心軸線の延長線に直交する方向の幅WAは、例えば、約8.8mmに設定されている。また、タップ部16Bにおける半球状部の先端から基部16Cとの境界に至るまでの固定軸部16Sの中心軸線に沿った長さLAは、例えば、約9.5mmに設定されている。これにより、リップトップ16の全長は、例えば、約30.5mmに設定される。
【0021】
図6に示されるように、へら部16Tの表面16TAから半球状部の最上端面までの寸法Haは、例えば、約5mm以上10mm以下に設定されている。
【0022】
固定軸部16Sは、図1に示されるように、基部16Cの直径よりも若干小なる直径を有する第1の大径部16S1および第2の大径部16S2と、第2の大径部16S2に連なる小径部16S3と、第1の大径部16S1および第2の大径部16S2相互間に形成される溝16SGとから構成されている。固定軸部16Sは、図5(B)に部分的に拡大されて示されるように、ステム14の端部の内部に形成される段付き孔14aに、基部16Cとともに圧入されている。
【0023】
斯かる構成において、例えば、先ず、口紅が唇に塗布された後、次に、リップトップ16のへら部16TによってリップグロスLGがさらに下唇の口紅の上に重なるように塗布される。その際、リップグロスLGが付着したリップトップ16のへら部16Tの縁部によって、唇の外縁、口角等を描くように縁取られてもよい。そして、上唇および下唇が擦りあわされた後、唇がリップトップ16のタップ部16Bの半球状部の表面により、馴染むように軽く叩き込まれる。
【0024】
これにより、リップグロスLGをポンポンと指先で唇に馴染ませた塗布と同様な塗布がリップトップ16のタップ部16Bにより実現されることとなる。また、液溜め口16Wにより、リップトップ16のへら部16Tの動きが容易に広がるので筆の様なソフトタッチになり(筋むらができない)、ラインが引きやすく、しかも、リップグロスLGの付着量(バルク)を剥ぎ取ることなく塗布される。リップグロスLGが液溜め口16Wに溜まるので塗布量の増大につながり、付け直しの回数が減少し、その結果として、塗布時間の短縮が図られる。
【0025】
なお、上述のリップトップ16のへら部16Tおよびタップ部16Bの全表面において、フロッキー加工により静電植毛されたナイロン樹脂製繊維が設けられてもよい。これにより、より一層塗布量の増大が図られる。
【0026】
また、図1および図6に示される例においては、へら部16Tの基端部がタップ部16Bにおけるへら部16Tの基端部に向き合う表面に対し交差している位置、即ち、結合端の位置は、基部16Cに対し十分に離隔した位置とされるが、斯かる例に限られることなく、例えば、図8に拡大されて示されるように、へら部16´Tの基端部の結合端の位置が、基部16´Cと固定軸部16´Sとの境界近傍にあってもよい。
【0027】
図8に拡大されて示されるように、リップトップ16´は、例えば、エラストマー素材で一体成形され、へら(箆)部16´Tと、へら部16´Tの基端部に結合されるとともにへら部16´Tの先端に向けて斜め上方に延びるタップ部16´Bと、タップ部16´Bの基部16´Cに連なる固定軸部16´Sと、から構成されている。なお、図8において、固定軸部16´Sの構成は、図6に示されるリップトップ16の固定軸部16Sの構成と同一の構成なのでその重複説明を省略する。
【0028】
へら部16Tの先端部は、鋭尖形を有している。へら部16Tの先端部の外縁には、所定の角度の面取りが形成されている。へら部16´Tは、図8に拡大されて示されるように、一様な厚さを有している。へら部16´Tの基端部は、後述するタップ部16´Bにおけるへら部16´Tの基端部に向き合う表面に対し所定の角度で交差している。タップ部16´Bにおけるへら部16´Tの基端部に向き合う表面とへら部16´Tの基端部の表面との間には、液溜め口16´Wが形成されている。液溜め口16´Wは、へら部16´Tの先端部、および、両側部に向けて開口している。へら部16´Tの基端部の結合端の位置が基部16´Cと固定軸部16´Sとの境界近傍にあるので液溜め口16´Wに連通する隙間16´GAが、形成され基部16´Cと固定軸部16´Sとの境界近傍まで延びている。これにより、へら部16´Tにおける固定軸部16´Sの軸線に沿った長さLEが、図6に示される例におけるリップトップ16のへら部16Sの対応する長さLDに比して大となるのでへら部16´Tの柔軟性が高まることとなる。
【0029】
へら部16´Tは、液溜め口16´Wの真下となる位置を中心とする、厚さ方向に貫通する円形の貫通孔(不図示)を有している。これにより、へら部16´Tの表面16´TAと表面16´TBとが連通するので液溜め口16´W内のリップグロスLGが、貫通孔を介して表面16TAに流れ出ることとなる。
【0030】
タップ部16´Bは、半球状に形成される先端部を有するとともに、タップ部16´Bの基部16´Cに近づくにつれて流線形の縦断面を有している。タップ部16´Bにおけるタップ部16´Bにおけるへら部16´Tの基端部に向き合う表面は、その弾性力により、へら部16´Tの表面16´TBに対しお互いに近接または離隔可能とされる。これにより、液溜め口16´W内のリップグロスLGが、前方、両側方、および、貫通孔を介して押し出されることとなる。
【0031】
図9は、本発明に係る塗布体の第1実施例の第1の変形例の外観を示す。
【0032】
図2に示される例においては、タップ部16Bの半球状部は、図2に拡大されて示されるように、へら部16Tの尖頂から基部16Cの方向へ所定距離LB、例えば、約7mm程度離隔している。タップ部16Bの半球状部における固定軸部16Sの中心軸線の延長線に直交する方向の幅WAは、例えば、約8.8mmに設定されている。また、タップ部16Bにおける半球状部の先端から基部16Cとの境界に至るまでの固定軸部16Sの中心軸線に沿った長さLAは、例えば、約9.5mmに設定されているのに対し、一方、図9に示されるリップトップ26においては、タップ部26Bの半球状部が、へら部26Tの尖頂から所定距離LB、例えば、4mm以上7mm未満、あるいは、7mmを超え15mm以下程度離隔してもよい。タップ部16Bの半球状部における固定軸部16Sの中心軸線の延長線に直交する方向の幅WAは、例えば、約8.0mm以上8.8mm未満、あるいは、8.8mmを超え25mm以下に設定されてもよい。タップ部26Bにおける半球状部の先端から基部26Cとの境界に至るまでの固定軸部26Sの中心軸線に沿った長さLAは、例えば、8.0mm以上9.5mm未満、あるいは、9.5mmを超え25mm以下に設定されてもよい。なお、図9に示される例において、基部26Cおよび固定軸部26Sの構成は、それぞれ、図2に示されるリップトップ16の基部16Cおよび固定軸部16Sの構成と同一なのでその説明を省略する。
【0033】
図10(A)および(B)は、それぞれ、本発明に係る塗布体の第2実施例の外観を示す。
【0034】
図1に示される例においては、タップ部16Bの半球状部が、へら部16Tの尖頂から基部16Cの方向に離隔しているのに対し、一方、図10(A)および(B)に拡大されて示される例においては、へら部36Tの尖頂の位置が、タップ36Bの半球状部の先端の真下の位置となるように、即ち、図10(B)に示されるように、タップ36B全体がへら部36T全体を覆うように、タップ36Bが、へら部36Tに対し略平行に延びるものとされる。
【0035】
図10(A)において、リップトップ36は、例えば、エラストマー素材で一体成形され、へら(箆)部36Tと、へら部36Tの基端部に結合されるとともにへら部36Tの先端に向けて互いに略平行に延びるタップ部36Bと、タップ部36Bの基部36Cに連なる固定軸部36Sと、から構成されている。
【0036】
へら部36Tの先端部は、鋭尖形を有している。へら部36Tの基端部の幅寸法は、後述するタップ部36Bの幅寸法と略同一に設定されている。へら部36Tは、一様な厚さtを有している。へら部36Tの基端部は、後述するタップ部36Bにおけるへら部36Tの基端部に向き合う表面に対し約10°未満、または、略平行に形成されている。タップ部36Bにおけるへら部36Tの基端部に向き合う表面とへら部36Tの基端部の表面との間には、液溜め口36Wが形成されている。液溜め口36Wは、へら部36Tの先端部、および、両側部に向けて開口している。
【0037】
へら部36Tは、液溜め口36Wの真下となる位置、例えば、へら部36Tの尖頂から基部36Cの方向へ所定距離だけ離れた位置を中心とする、厚さ方向に貫通する円形の貫通孔(不図示)を有している。これにより、へら部36Tの表面36TAと表面36TBとが連通するので液溜め口36W内のリップグロスLGが、貫通孔を介して表面36TAに流れ出ることとなる。
【0038】
タップ部36Bは、半球状に形成される先端部を有するとともに、タップ部36Bの基部36Cに近づくにつれて流線形の縦断面を有している。タップ部36Bにおけるタップ部36Bにおけるへら部36Tの基端部に向き合う表面は、その弾性力により、へら部36Tの表面36TBに対しお互いに近接または離隔可能とされる。これにより、液溜め口36W内のリップグロスLGが、前方、両側方、および、上述の貫通孔を介して押し出されることとなる。
【0039】
タップ部36Bの半球状部における固定軸部36Sの中心軸線の延長線に直交する方向の幅は、真下に位置するへら部36Tにおける対応する幅と略同一に設定されている。
【0040】
なお、図10(A)および(B)において、基部36Cおよび固定軸部36Sの構成は、それぞれ、図2に示されるリップトップ16の基部16Cおよび固定軸部16Sの構成と同一なのでその説明を省略する。
【0041】
図11(A)は、本発明に係る塗布体の第1実施例の第2の変形例の外観を示す。
【0042】
図11(A)に示される例においては、リップトップ38のタップ38Bの半球状部の位置が、図2に示される例におけるタップ16Bの半球状部の位置よりもへら部38Tの尖頂にさらに近い位置、例えば、へら部38Tの尖頂から約4mm未満程度、離隔した位置に設定されている。
【0043】
図11(A)において、リップトップ38は、例えば、エラストマー素材で一体成形され、へら(箆)部38Tと、へら部38Tの基端部に結合されるとともにへら部38Tの先端に向けて斜め上方に延びるタップ部38Bと、タップ部38Bの基部38Cに連なる固定軸部38Sと、から構成されている。
【0044】
へら部38Tの先端部は、鋭尖形を有している。へら部38Tの基端部の幅寸法は、タップ部38Bの幅寸法と略同一に設定されている。へら部38Tは、例えば、約1mm以上2mm以下の一様な厚さを有している。へら部38Tの基端部は、タップ部38Bにおけるへら部38Tの基端部に向き合う表面に対し所定の角度、例えば、約10°以上45°以下の角度で交差している。タップ部38Bにおけるへら部38Tの基端部に向き合う表面とへら部38Tの基端部の表面との間には、液溜め口(不図示)が形成されている。液溜め口は、へら部38Tの先端部、および、両側部に向けて開口している。
【0045】
へら部38Tは、液溜め口16Wの真下となる位置、例えば、へら部38Tの尖頂から基部38Cの方向へ距離だけ離れた位置を中心とする、厚さ方向に貫通する円形の貫通孔(不図示)を有している。
【0046】
タップ部38Bは、半球状に形成される先端部を有するとともに、タップ部38Bの基部38Cに近づくにつれて流線形の縦断面を有している。タップ部38Bにおけるへら部16Tの基端部に向き合う表面は、その弾性力により、へら部38Tの一方の表面に対しお互いに近接または離隔可能とされる。これにより、液溜め口内のリップグロスLGが、前方、両側方、および、貫通孔を介して押し出されることとなる。
【0047】
なお、図11(A)において、基部38Cおよび固定軸部38Sは、それぞれ、図2に示されるリップトップ16の基部16Cおよび固定軸部16Sの構成と同一なのでその説明を省略する。
【0048】
図11(B)は、本発明に係る塗布体の第1実施例の第3の変形例の外観を示す。
【0049】
図2に示される例におけるタップ16Bの半球状部の上部の形状が楕円形状であるのに対し、一方、図11(B)に示される例においては、上方からリップトップ40を俯瞰したとき、タップ40Bの上部の形状が、略カージオイド(心臓形)のような形状で形成されているものとされる。
【0050】
リップトップ40は、例えば、エラストマー素材で一体成形され、へら(箆)部40Tと、へら部40Tの基端部に結合されるとともにへら部40Tの先端に向けて斜め上方に延びるタップ部40Bと、タップ部40Bの基部40Cに連なる固定軸部40Sと、から構成されている。
【0051】
へら部40Tの先端部は、鋭尖形を有している。へら部40Tの基端部の幅寸法は、タップ部40Bの幅寸法と略同一に設定されている。へら部40Tは、例えば、約1mm以上2mm以下の一様な厚さを有している。へら部40Tの基端部は、タップ部40Bにおけるへら部40Tの基端部に向き合う表面に対し所定の角度、例えば、約10°以上45°以下の角度で交差している。タップ部40Bにおけるへら部40Tの基端部に向き合う表面とへら部40Tの基端部の表面との間には、液溜め口(不図示)が形成されている。液溜め口は、へら部40Tの先端部、および、両側部に向けて開口している。
【0052】
へら部40Tは、液溜め口の真下となる位置、例えば、へら部40Tの尖頂から基部40Cの方向へ距離だけ離れた位置を中心とする、厚さ方向に貫通する円形の貫通孔(不図示)を有している。
【0053】
タップ部40Bは、略カージオイド(心臓形)のような形状の一部を形成する先端部を有するとともに、タップ部40Bの基部40Cに近づくにつれて流線形の縦断面を有している。タップ部40Bの略カージオイド(心臓形)のような形状の一部を形成する先端部40BH1および40BH2は、へら部40Tの尖頂から基部40Cの方向へ所定距離、離隔している。タップ部40Bにおけるへら部40Tの基端部に向き合う表面は、その弾性力により、へら部40Tの一方の表面に対しお互いに近接または離隔可能とされる。これにより、上述の液溜め口内のリップグロスLGが、前方、両側方、および、貫通孔を介して押し出されることとなる。
【0054】
なお、図11(B)において、基部40Cおよび固定軸部40Sの構成は、それぞれ、図2に示されるリップトップ16の基部16Cおよび固定軸部16Sの構成と同一なのでその説明を省略する。
【0055】
図12(A)は、本発明に係る塗布体の第1実施例の第4の変形例の外観を示す。
【0056】
図2に示される例においては、タップ部16Bの半球状部における固定軸部16Sの中心軸線の延長線に直交する方向の幅WAは、へら部16Bの対応する幅と同一に設定されているのに対し、一方、図12(A)に示される例においては、リップトップ42のタップ部42Bの半球状部における固定軸部42Sの中心軸線の延長線に直交する方向の最大幅WAは、へら部42Tの対応する最大幅WBよりも小に設定されている。
【0057】
リップトップ42は、例えば、エラストマー素材で一体成形され、へら(箆)部42Tと、へら部42Tの基端部に結合されるとともにへら部42Tの先端に向けて斜め上方に延びるタップ部42Bと、タップ部42Bの基部42Cに連なる固定軸部42Sと、から構成されている。
【0058】
へら部42Tの先端部は、鋭尖形を有している。へら部42Tは、例えば、約1mm以上2mm以下の一様な厚さを有している。へら部42Tの基端部は、タップ部42Bにおけるへら部42Tの基端部に向き合う表面に対し所定の角度、例えば、約10°以上45°以下の角度で交差している。タップ部42Bにおけるへら部42Tの基端部に向き合う表面とへら部42Tの基端部の表面との間には、液溜め口(不図示)が形成されている。液溜め口は、へら部42Tの先端部、および、両側部に向けて開口している。
【0059】
へら部42Tは、液溜め口の真下となる位置、例えば、へら部42Tの尖頂から基部42Cの方向へ距離だけ離れた位置を中心とする、厚さ方向に貫通する円形の貫通孔(不図示)を有している。
【0060】
タップ部42Bは、半球状の先端部を有するとともに、基部42Cに近づくにつれて流線形の縦断面を有している。タップ部42Bにおけるへら部42Tの基端部に向き合う表面は、その弾性力により、へら部42Tの一方の表面に対しお互いに近接または離隔可能とされる。これにより、上述の液溜め口内のリップグロスLGが、前方、両側方、および、貫通孔を介して押し出されることとなる。
【0061】
なお、図12(A)において、基部42Cおよび固定軸部42Sの構成は、それぞれ、図2に示されるリップトップ16の基部16Cおよび固定軸部16Sの構成と同一なのでその説明を省略する。
【0062】
図12(B)は、本発明に係る塗布体の第1実施例の第5の変形例の外観を示す。
【0063】
図2に示される例においては、タップ部16Bは、半球状に形成される先端部を有するとともに、タップ部16Bの基部16Cに近づくにつれて流線形の縦断面を有しているのに対し、一方、図12(B)に示される例においては、タップ部44Bは、尖頭状に形成される先端部44BPを有するとともに、タップ44Bの基部44Cに近づくにつれて流線形の縦断面を有するものとされる。
【0064】
図12(B)において、リップトップ44は、例えば、エラストマー素材で一体成形され、へら(箆)部44Tと、へら部44Tの基端部に結合されるとともにへら部44Tの先端に向けて斜め上方に延びるタップ部44Bと、タップ部44Bの基部44Cに連なる固定軸部44Sと、から構成されている。
【0065】
へら部44Tの先端部は、鋭尖形を有している。へら部44Tの基端部の幅寸法は、タップ部44Bの幅寸法と略同一に設定されている。へら部44Tは、例えば、約1mm以上2mm以下の一様な厚さを有している。へら部44Tの基端部は、タップ部44Bにおけるへら部44Tの基端部に向き合う表面に対し所定の角度、例えば、約10°以上45°以下の角度で交差している。タップ部44Bにおけるへら部44Tの基端部に向き合う表面とへら部44Tの基端部の表面との間には、液溜め口(不図示)が形成されている。液溜め口は、へら部44Tの先端部、および、両側部に向けて開口している。
【0066】
へら部44Tは、液溜め口の真下となる位置、例えば、へら部44Tの尖頂から基部44Cの方向へ距離だけ離れた位置を中心とする、厚さ方向に貫通する円形の貫通孔(不図示)を有している。
【0067】
タップ部44Bは、へら部44Tの尖頂の先端角よりも小さい先端角を有する尖頭状の先端部44BPを有するとともに、タップ部44Bの基部44Cに近づくにつれて流線形の縦断面を有している。タップ部44Bの先端部44BPは、へら部44Tの尖頂から基部44Cの方向へ所定距離、離隔している。
【0068】
タップ部44Bにおけるへら部44Tの基端部に向き合う表面は、その弾性力により、へら部44Tの一方の表面に対しお互いに近接または離隔可能とされる。これにより、液溜め口内のリップグロスLGが、前方、両側方、および、貫通孔を介して押し出されることとなる。
【0069】
なお、図12(B)において、基部44Cおよび固定軸部44Sの構成は、それぞれ、図2に示されるリップトップ16の基部16Cおよび固定軸部16Sの構成と同一なのでその説明を省略する。
【0070】
なお、図11(A)、および、(B)、図12(A)、および、(B)に示される例においても、タップ部38B、40B、42B、および、44Bは、例えば、図10(A)に示される例と同様に、それぞれ、へら部38T、40T、42T、および、44Tの基端部に結合されるとともにへら部38T~44Tの先端に向けて互いに略平行に延びるものであってもよい。
【0071】
上述の図1図9図10図11(A)および(B)、図12(A)および(B)に示される例におけるへら部の先端部は、鋭尖形を有しているが、斯かる例に限られることなく、例えば、図13(A)、(B)、および、(C)に示されるように、各リップトップのへら部の先端部の形状が、鋭尖形とは異なる他の形状であってもよい。
【0072】
図13(A)乃至(C)は、本発明に係る塗布体の第1実施例の第6の変形例乃至第8の変形例の外観を示す。
【0073】
図13(A)に示される第6の変形例においては、リップトップ46は、例えば、エラストマー素材で一体成形され、へら(箆)部46Tと、へら部46Tの基端部に結合されるとともにへら部46Tの先端に向けて斜め上方に延びるタップ部46Bと、タップ部46Bの基部46Cに連なる固定軸部46Sと、から構成されている。
【0074】
リップトップ46のへら部46Tの先端部は、円弧状の端面46TRを有している。
【0075】
へら部46Tの基端部の幅寸法は、タップ部46Bの幅寸法と略同一に設定されている。へら部46Tは、例えば、約1mm以上2mm以下の一様な厚さを有している。へら部46Tの基端部は、タップ部46Bにおけるへら部46Tの基端部に向き合う表面に対し所定の角度、例えば、約10°以上45°以下の角度で交差している。タップ部46Bにおけるへら部46Tの基端部に向き合う表面とへら部46Tの基端部の表面との間には、液溜め口(不図示)が形成されている。液溜め口は、へら部46Tの端面46TR、および、両側部に向けて開口している。
【0076】
へら部46Tは、液溜め口の真下となる位置、例えば、へら部46Tの尖頂から基部46Cの方向へ距離だけ離れた位置を中心とする、厚さ方向に貫通する円形の貫通孔(不図示)を有している。
【0077】
タップ部46Bは、半球状の先端部を有するとともに、タップ部46Bの基部46Cに近づくにつれて流線形の縦断面を有している。タップ部46Bの先端部は、へら部46Tの円弧状の端面46TRから基部46Cの方向へ所定距離、離隔している。
【0078】
タップ部46Bにおけるへら部46Tの基端部に向き合う表面は、その弾性力により、へら部46Tの一方の表面に対しお互いに近接または離隔可能とされる。これにより、液溜め口内のリップグロスLGが、前方、両側方、および、貫通孔を介して押し出されることとなる。
【0079】
なお、図13(A)において、基部46Cおよび固定軸部46Sの構成は、それぞれ、図2に示されるリップトップ16の基部16Cおよび固定軸部16Sの構成と同一なのでその説明を省略する。
【0080】
図13(B)に示される第7の変形例においては、リップトップ48は、例えば、エラストマー素材で一体成形され、へら(箆)部48Tと、へら部48Tの基端部に結合されるとともにへら部48Tの先端に向けて斜め上方に延びるタップ部48Bと、タップ部48Bの基部48Cに連なる固定軸部48Sと、から構成されている。
【0081】
リップトップ48のへら部48Tの先端部は、固定軸部48Sの中心軸線の延長線に対し略直交する平坦な端面48TFを有している。
【0082】
へら部48Tの基端部の最大幅寸法は、タップ部48Bの最大幅寸法と略同一に設定されている。へら部48Tは、例えば、約1mm以上2mm以下の一様な厚さを有している。へら部48Tの基端部は、タップ部48Bにおけるへら部48Tの基端部に向き合う表面に対し所定の角度、例えば、約10°以上45°以下の角度で交差している。タップ部48Bにおけるへら部48Tの基端部に向き合う表面とへら部48Tの基端部の表面との間には、液溜め口(不図示)が形成されている。液溜め口は、へら部48Tの端面48TF、および、両側部に向けて開口している。
【0083】
へら部48Tは、液溜め口の真下となる位置、例えば、へら部48Tの端面48TFから基部48Cの方向へ距離だけ離れた位置を中心とする、厚さ方向に貫通する円形の貫通孔(不図示)を有している。
【0084】
タップ部48Bは、半球状の先端部を有するとともに、タップ部48Bの基部48Cに近づくにつれて流線形の縦断面を有している。タップ部48Bの先端部は、へら部48Tの端面48TFから基部48Cの方向へ所定距離、離隔している。
【0085】
タップ部48Bにおけるへら部48Tの基端部に向き合う表面は、その弾性力により、へら部48Tの一方の表面に対しお互いに近接または離隔可能とされる。これにより、液溜め口内のリップグロスLGが、前方、両側方、および、貫通孔を介して押し出されることとなる。
【0086】
なお、図13(B)において、基部48Cおよび固定軸部48Sの構成は、それぞれ、図2に示されるリップトップ16の基部16Cおよび固定軸部16Sの構成と同一なのでその説明を省略する。
【0087】
図13(C)に示される第8の変形例においては、リップトップ50は、例えば、エラストマー素材で一体成形され、へら(箆)部50Tと、へら部50Tの基端部に結合されるとともにへら部50Tの先端に向けて斜め上方に延びるタップ部50Bと、タップ部50Bの基部50Cに連なる固定軸部50Sと、から構成されている。
【0088】
リップトップ50のへら部50Tの先端部は、固定軸部50Sの中心軸線の延長線に対し所定の角度をもって交差する右斜め上方に延びる斜面に形成される端面50TSを有している。
【0089】
へら部50Tの基端部の最大幅寸法は、タップ部50Bの最大幅寸法と略同一に設定されている。へら部50Tは、例えば、約1mm以上2mm以下の一様な厚さを有している。へら部50Tの基端部は、タップ部50Bにおけるへら部50Tの基端部に向き合う表面に対し所定の角度、例えば、約10°以上45°以下の角度で交差している。タップ部50Bにおけるへら部50Tの基端部に向き合う表面とへら部50Tの基端部の表面との間には、液溜め口(不図示)が形成されている。液溜め口は、へら部50Tの端面50TS、および、両側部に向けて開口している。
【0090】
へら部50Tは、液溜め口の真下となる位置、例えば、へら部50Tの端面50TSから基部50Cの方向へ距離だけ離れた位置を中心とする、厚さ方向に貫通する円形の貫通孔(不図示)を有している。
【0091】
タップ部50Bは、半球状の先端部を有するとともに、タップ部50Bの基部50Cに近づくにつれて流線形の縦断面を有している。タップ部50Bの先端部は、へら部50Tの端面50TSから基部50Cの方向へ所定距離、離隔している。
【0092】
タップ部50Bにおけるへら部50Tの基端部に向き合う表面は、その弾性力により、へら部50Tの一方の表面に対しお互いに近接または離隔可能とされる。これにより、液溜め口内のリップグロスLGが、前方、両側方、および、貫通孔を介して押し出されることとなる。
【0093】
なお、図13(C)において、基部50Cおよび固定軸部50Sは、それぞれ、図2に示されるリップトップ16の基部16Cおよび固定軸部16Sの構成と同一なのでその説明を省略する。
【0094】
なお、図13(A)、(B)、および、(C)に示される例においても、タップ部46B、48B、50Bは、例えば、図10(A)に示される例と同様に、へら部46T、48T、および、50Tの基端部に結合されるとともにへら部46T~50Tの先端に向けて互いに略平行に延びるものであってもよい。
【0095】
図14は、本発明に係る塗布体の第3実施例の外観を示す。
【0096】
本発明に係る塗布体の第3実施例としてのリップトップ56は、図14に拡大されて示されるように、例えば、エラストマー素材で一体成形されており、略球体状のタップ部56Bと、タップ部56Bの基部56Cに連なる固定軸部56Sと、から構成されている。
【0097】
タップ部56Bの直径は、例えば、約8mm以上15mm以下に設定されている。タップ部56Bは、固定軸部56Sの中心軸線の延長線に対し所定の角度、例えば、45°で交差する直線を含む平面により形成される平坦な塗布面56BFを一部に有している。このように平坦な略円形の塗布面56BFが形成されることにより、塗布面56BFにより、リップグロスLG等を例えば、唇の中央部に容易に塗布されることとなる。また、略球体状のタップ部56B全体により、塗布されたリップグロスLG等を唇に馴染ませることが可能となる。
【0098】
タップ部56Bの全表面には、フロッキー加工(静電植毛加工)により植毛されたナイロン樹脂製繊維56FLが設けられている。これにより、球体なのでタップ部56Bの全表面に保持されるリップグロスLGの付着量(バルク)も増大することとなる。
【0099】
固定軸部56Sは、基部56Cの直径よりも若干小なる直径を有する第1の大径部56S1および第2の大径部56S2と、第2の大径部56S2に連なる小径部56S3と、第1の大径部56S1および第2の大径部56S2相互間に形成される溝56SGとから構成されている。固定軸部56Sは、ステム14の端部の内部に形成される段付き孔14aに、基部56Cとともに圧入される。
【0100】
上述の例においては、リップトップ、アプリケータ、および、化粧品用容器等が、リップグロスLGを唇に塗布するために使用するものとされるが、斯かる例に限られることなく、上述のリップトップ等が、例えば、ティントを唇に塗布するために、または、リキッドアイシャドウ(商品名)をアイホール(目の周辺)等に塗布するために使用されてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0101】
10 アプリケータ
16、16´、26、36、38、40、42、44、46、48、50、56 リップトップ
16T へら部
16B タップ部
16S 固定軸部
16Ta 貫通孔
18 キャップ
20 容器本体
LG リップグロス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14