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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】ロック装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20230926BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20230926BHJP
   H01R 13/639 20060101ALN20230926BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B60L53/16
H01R13/639 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019193230
(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公開番号】P2021066328
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】臼井 康輝
(72)【発明者】
【氏名】青山 広志
(72)【発明者】
【氏名】田之上 将
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-120229(JP,A)
【文献】特開2014-118691(JP,A)
【文献】特開2018-008690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B60K 15/05
B60L 53/16
H01R 13/56 - 13/42
E05B 1/00 - 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック対象物にロック部材を規制させて前記ロック対象物を取り付け先から取り外し不能にするロック状態と、前記ロック部材を前記ロック対象物に対して非規制にして前記ロック対象物を前記取り付け先から取り外し可能にするアンロック状態とを切り換える駆動機構と、
ロック装置の外郭を構成するハウジングと、
前記ハウジングの内壁から突出するように設けられたストッパ部と、
前記ロック部材がアンロック位置となった場合に、前記ストッパ部と接触して前記駆動機構を停止させる案内突部と、
前記駆動機構のロック動作及びアンロック動作に連動する連動部を、ロック強制解除の手動操作によってアンロック方向に作動させることにより、前記駆動機構を強制的にアンロック状態へ切り換える強制解除機構と、
前記ロック強制解除の手動操作によって前記ロック部材がアンロック位置となった際、又はその後、前記連動部にアンロック方向の操作荷重がかけられた場合に、前記操作荷重を受け止める強度受け部と、を備え、
前記案内突部及び前記ストッパ部は、前記ロック強制解除の手動操作の際、前記連動部と前記強度受け部とが接触するよりも先に接触することを特徴とするロック装置。
【請求項2】
前記強度受け部は、前記連動部との接触を面上で受ける形状に形成されている
請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
前記連動部は、前記駆動機構の前記ロック動作及び前記アンロック動作に伴って軸回りに回転する請求項1又は請求項2に記載のロック装置。
【請求項4】
前記強制解除機構は、前記ロック強制解除の手動操作を受ける解除操作部を備え、
前記解除操作部は、前記駆動機構を収納するハウジングに直線往復動可能に組み付けられている請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばプラグインハイブリッド車や電気自動車等の場合、外部電源から延びる充電ケーブルを、車体の充電口に接続することにより車載バッテリの充電を行うものが周知である。
【0003】
特許文献1には、車載バッテリの充電時に、車体の給電口に接続された充電ケーブルを取り外し不能にロックするロック装置が開示されている。ロック装置は、充電ケーブルに当接することによって充電ケーブルを取り外し不能に固定するロックピンを、モータ作動によって上下に動作させる駆動機構を用いて、ロック位置又はアンロック位置に切り替える。
【0004】
また、ロック装置には、例えばロック状態のときに装置が故障するなどした場合に、強制的にロック状態を解除してアンロック状態に遷移させる強制解除機構が設けられている。強制解除機構では、例えばコード部材を引き操作することにより、駆動機構を手動操作によってアンロック方向に動作させて、強制的にロック状態を解除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-120229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ロック状態の強制解除時、コード部材が強く引き操作された場合には、駆動機構が勢いよくアンロック方向に作動されてしまい、駆動機構に高い荷重がかかってしまう問題があった。
【0007】
本発明の目的は、ロック強制解除の手動操作時の高荷重に対する駆動機構の保護を可能にしたロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためのロック装置は、ロック対象物にロック部材を規制させて前記ロック対象物を取り付け先から取り外し不能にするロック状態と、前記ロック部材を前記ロック対象物に対して非規制にして前記ロック対象物を前記取り付け先から取り外し可能にするアンロック状態とを切り換える駆動機構と、前記駆動機構のロック動作及びアンロック動作に連動する連動部を備え、ロック強制解除の手動操作によって前記連動部をアンロック方向に動作することにより、前記駆動機構を強制的にアンロック状態へ切り換える強制解除機構と、前記ロック強制解除の手動操作によって前記ロック部材がアンロック位置となった際、又はその後、前記連動部にアンロック方向の操作荷重がかけられた場合に、前記操作荷重を受け止める強度受け部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明のロック装置は、ロック強制解除の手動操作時の高荷重に対する駆動機構の保護を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態のロック装置の斜視図。
図2】同実施形態のロック装置の分解斜視図。
図3】同実施形態のロック状態における駆動機構の斜視図。
図4】同実施形態のアンロック状態における駆動機構の斜視図。
図5】同実施形態のロック装置の解除操作機構を示す斜視図。
図6】同実施形態のロック状態におけるロック装置の上面図。
図7】同実施形態のアンロック状態におけるロック装置の上面図。
図8】同実施形態のロック状態における図1のV-V線断面図。
図9】同実施形態のアンロック状態における回動ピースを示す断面図。
図10】同実施形態のロック強制解除状態におけるロック装置の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、ロック装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、ロック装置1は、プラグインハイブリッド車や電気自動車等の車両に搭載されている。ロック装置1は、車両の推進用バッテリの充電時に、車体給電口Pに接続されたプラグ付き充電ケーブルC(以下、充電ケーブルCと記載する)を取り外し不能にロック及び取り外し可能にアンロックするものである。充電ケーブルCが「ロック対象物」に該当し、車体給電口Pが「ロック対象物の取り付け先」に該当する。
【0012】
充電ケーブルCの先端に設けられたプラグには、車体給電口Pに設けられた所定の係止突起(図示略)に係止可能な係止爪2が設けられている。充電ケーブルCが車体給電口Pに接続された際に、係止爪2が車体給電口側の係止突起に引っかかって、充電ケーブルCが車体給電口Pから脱落しないようにする。充電ケーブルCは、例えば係止状態の係止爪2の根元を押すなどして係止爪2を軸回りに持ち上げ操作することで係止が解除されて、車体給電口Pから引き抜くことができる。ロック装置1は、係止爪2を係止状態に固定するロック状態と、係止爪2を非固定とするアンロック状態との2状態の間で遷移する。
【0013】
本例のロック装置1では、ロック部材(以降、ロックピン13と記す)の移動方向を「高さ方向Z」として定義する。ロック装置1は、車体において、車体給電口Pと高さ方向Zで対向する。なお、ロック装置1において、高さ方向Zのロック装置1側を上方、車体給電口P側を下方とする。また、ロック装置1は、高さ方向Zに対して直交するとともに、互いに直交する「厚さ方向X」及び「幅方向Y」を有している。
【0014】
図2に示すように、ロック装置1は、ロック装置1の外郭を構成するハウジング3を備えている。ハウジング3は、車体に取り付け固定される。ハウジング3は、アッパーハウジング4及びロアハウジング5を有している。ハウジング3において、ロアハウジング5が高さ方向Zの下側に配置され、アッパーハウジング4が上側に配置されている。
【0015】
ロック装置1のハウジング3内には、モータ6と、モータ6を駆動源としてロック状態及びアンロック状態を切り替える動作を行う駆動機構10とが収容されている。モータ6は、例えばDCモータが使用される。また、ハウジング3内には、モータ6の駆動を制御するための図示しない制御回路が設けられている。モータ6は、例えば車両ドアの施解錠状態の切り替わりに基づいて、正方向又は逆方向に駆動電流が流れるように制御される。
【0016】
駆動機構10は、モータ6に駆動連結された伝達部材11と、自位置で回動可能な回動ピース12と、長手方向に往復動して係止爪2に係止可能なロックピン13とを備えている。なお、回動ピース12が「回転部材」に該当する。ロック装置1は、駆動機構10の動作によってロックピン13が図2の高さ方向Zに直線的に往復動することにより、係止爪2の固定及び非固定を切り替える。回動ピース12は、高さ方向Zに沿う軸心L1を中心に回転する。また、モータ6、伝達部材11、及び回動ピース12の軸心は、それぞれ高さ方向Zに沿うように配置されている。
【0017】
伝達部材11は、ハウジング3内で自身の軸心回りに回転可能に設けられている。伝達部材11は、モータ6に連結する第1歯車部14と、回動ピース12に連結する第2歯車部15とを同一軸心上に備えている。第1歯車部14及び第2歯車部15は、同一軸心で一体に回転する。
【0018】
回動ピース12は、ハウジング3内で軸心L1回りに回転可能に設けられている。回動ピース12は、軸心L1に沿った回動軸部16と、伝達部材11の第2歯車部15と噛合する駆動歯車部17と、回動軸部16周りに設けられた案内部18とを有している。駆動歯車部17は、回動軸部16と一体に形成されている。案内部18は、回動軸部16周りに斜めに延びるとともに、回動軸部16の径方向に凹んだ案内溝19と、回動軸部16の径方向に突出した案内突部20とを有している。案内溝19は、紙面の側面視において左下がりの略螺旋状になっている。案内溝19は、回動ピース12の軸方向、すなわち高さ方向Zにおいて互いに対向するように配置されたロック案内面19a及びアンロック案内面19bを有している。本例の場合、案内溝19は、溝上面がロック案内面19aとなり、溝下面がアンロック案内面19bとなっている。案内突部20は、略ブロック状に形成されるとともに、ロック案内面19aの終端に配置されている。案内突部20の下側の面は、回動ピース12の軸方向、すなわち高さ方向Zに対して垂直に設けられている。
【0019】
ロックピン13は、ハウジング3に対してロック装置1の高さ方向Zにスライド可能に設けられている。すなわち、ロックピン13は、回動ピース12の回転によって回動ピース12の軸方向に沿ってスライドする。このスライドによって、ロックピン13は、係止爪2を取り外し不能に固定するロック状態と、取り外し可能に非固定にするアンロック状態との2状態に切り替えられる。ロックピン13は、回動ピース12の案内溝19に向かって突出した係止突起21aを含むヘッド部21と、ヘッド部21から延びた長尺状のピン部22とを含んでいる。ロックピン13は、ピン部22の長手方向がロックピン13のスライド方向、すなわち高さ方向Zに沿うように配置されている。ロックピン13は、係止突起21aが案内溝19に対し所定の隙間を有した状態で係止されている。ピン部22は、ハウジング3から外部に突出されている。ピン部22の外周とロアハウジング5の壁部との間には、両者の間をシールするシール部材23が取り付け固定されている。シール部材23には、例えばOリングが使用される。
【0020】
駆動機構10は、伝達部材11、回動ピース12、及びロックピン13が機械的に駆動連結された直結型となっている。モータ6の正逆回転は、伝達部材11の第1歯車部14及び第2歯車部15の間で減速されて伝達され、回動ピース12を回転させる。回動ピース12が回転すると、ロックピン13は、回動ピース12の回転方向に応じて、ロック方向及びアンロック方向にスライドする。本実施形態の場合、ロックピン13のロック方向及びアンロック方向は、それぞれ高さ方向Z下方及び高さ方向Z上方である。
【0021】
以下、駆動機構10の動作について説明する。
図3に示すように、駆動機構10がロック状態下において、モータ6がアンロック方向に回転した場合、回動ピース12は、アンロック側の回転方向である矢印R2方向に回転する。なお、矢印R2方向は、高さ方向Zの上側から見て時計回りの方向である。回動ピース12の矢印R2方向に回転に伴い、案内溝19のアンロック案内面19bがロックピン13のヘッド部21を押し上げる。これにより、ロックピン13がアンロック方向である矢印Z2方向にスライドする。よって、ロック装置1は、ロックピン13が係止爪2から離隔したアンロック状態をとる。アンロック状態は、図4の状態である。
【0022】
図4に示すように、駆動機構がアンロック状態下において、モータ6がロック方向に回転した場合、回動ピース12は、ロック側の回転方向である矢印R1方向に回転する。なお、矢印R1方向は、高さ方向Zの上側から見て反時計回りの方向である。回動ピース12の矢印R1方向の回転に伴い、案内溝19のロック案内面19aがロックピン13のヘッド部21を押し下げる。これにより、ロックピン13がロック方向である矢印Z1方向にスライドする。よって、ロック装置1は、ロックピン13が係止爪2に接触又は近接したロック状態をとる。ロック状態は、図3の状態である。
【0023】
ロックピン13がロック位置まで移動したとき、案内突部20は、ロックピン13の上方に位置する。すなわち、駆動機構10の動作軌跡において、ロック方向の終端にあるとき、案内突部20とロックピン13とが高さ方向Zで対向する。このため、仮にロック状態のロックピン13がアンロック方向に押し上げられるような外力を受けた場合、ロックピン13は案内突部20の下面に当接する。これにより、案内突部20がロックピン13のヘッド部21を支持し、ロックピン13をロック位置で保持する。よって、ロック状態のときに、係止爪2が持ち上がって充電ケーブルCの係止状態が解除されることがない。
【0024】
図2に示すように、ロアハウジング5は、アンロック動作の終了地点で回動ピース12に接触してロックピン13をアンロック位置で停止させるストッパ部60を備えている。ストッパ部60は、ロアハウジング5の内壁から、回動ピース12の収容空間61内に突出するように設けられている。ストッパ部60は、回動ピース12がアンロック位置となった場合に、案内突部20と接触する。ストッパ部60は、軸心L1の周方向に沿って案内突部20に接触する。
【0025】
図2に示す通り、ロック装置1は、ユーザの手動操作によって、ロック状態を強制的に解除可能とする強制解除機構70を備えている。ロック装置1に強制解除機構70を設けるのは、ロック装置1がロック状態のとき、例えばモータ6やモータ周囲の回路が故障するなどしてモータ6を動作できなくなってしまうと、駆動機構10によってアンロック状態への切り替えができなくなるからである。
【0026】
図2図4に示すように、強制解除機構70は、駆動機構10に連結された連動部30を備えている。連動部30は、駆動機構10のロック動作及びアンロック動作に連動する。連動部30は、駆動機構10に駆動連結された連結部材31と、連結部材31に一体に組付けられたレバー部32とを有している。連結部材31及びレバー部32は、軸心L2を中心に一体に回動する。
【0027】
連結部材31は、略扇形の周面に歯部が設けられたセクター歯車部33と、セクター歯車部33から軸心L2に沿って延びる軸部34を有している。また、回動ピース12には、セクター歯車部33に噛合する解除歯車部35が形成されている。連動部30及び回動ピース12は、セクター歯車部33及び解除歯車部35の噛合によって駆動連結されている。軸部34は、ハウジング3の外部まで延びている。
【0028】
解除歯車部35及びセクター歯車部33の間には、所定のギヤ比が設定され、これら解除歯車部35とセクター歯車部33とによって、減速機構38が構成される。回動ピース12と連動部30とは、減速機構38によって連結されている。回動ピース12の回転は、減速機構38によって減速されて連結部材31へ伝達される。
【0029】
図5に示すように、レバー部32は、ハウジング3の外部において、連結部材31の軸部34に組み付けられている。レバー部32は、軸部34が挿入される筒部36と、筒部36から筒部36の径方向外側に延びる延出部37とを有している。レバー部32は、筒部36及び軸部34の嵌合により、連結部材31と一体回転するように係合されている。延出部37において軸心L2から離間した先端部37aは、延出部37の延びる方向に対して交差する方向に突出している。本例の場合、先端部37aは、延出部37の本体部分に対して直交方向に突出している。
【0030】
強制解除機構70は、ユーザのロック強制解除の手動操作を受ける解除操作部40を備える。解除操作部40は、ハウジング3に一体に組み付けられている。ハウジング3には、解除操作部40を支持するレール部39が、幅方向Yに沿って延びるように形成されている。レール部39は、ハウジング3から延びる基部39aと、基部39aの先端から上下両方に突出した係止部39bとを備える。係止部39bは、幅方向Yに延びている。基部39aは、ハウジング3と係止部39bとの間に、隣同士のものと所定の間隔を空けて複数設けられている。解除操作部40は、ロック強制解除の手動操作によって、レール部39に沿って幅方向Yにスライド移動する。
【0031】
解除操作部40は、レール部39が組み付けられる第1操作部41と、ハウジング3の外面に沿うようにして第1操作部41から延出形成された英文字略L字状の第2操作部42と、を有している。
【0032】
第1操作部41には、レール部39が挿通される挿通溝43が形成されている。挿通溝43は、基部39aが通される溝43aと、係止部39bを通すために溝43aよりも大きく形成された溝43bとを備える。第1操作部41は、挿通溝43にレール部39が挿通される態様でハウジング3に組み付けられている。また、溝43bの内面には、幅方向Yにおいて、溝43bの全長に亘って延びる複数の線条突43cが設けられている。線条突43cと係止部39bとの間には、第1操作部41のスライド移動を許容するように隙間が設定されている。線条突43cは、第1操作部41が係止部39bに対して移動した場合に、係止部39bと厚さ方向Xで接触する。第1操作部41は、レール部39に沿って幅方向Yのスライド移動を許容されつつ、係止部39b及び溝43bの係止により厚さ方向X及び高さ方向Zの移動が規制される。なお、第1操作部41は、レール部39に対し、移動の終端において抜け止めがされていることが好ましい。
【0033】
解除操作部40において、第1操作部41がロック強制解除の手動操作を受ける部分である。第1操作部41は、幅方向Yにおいてハウジング3の端面から所定量突出する長さに形成されている。第1操作部41は、例えば一方側の端部を引き操作されることで、レール部39に沿って幅方向Yにスライド移動される。本例の場合、第1操作部41の一方側の端部は、図4の紙面奥行き側の端部である。
【0034】
第2操作部42は、レバー部32に対向する長さに形成されている。また、第2操作部42は、ロック強制解除の手動操作前の初期状態において、レバー部32に対し離隔されている。第2操作部42には、幅方向Yにおいてレバー部32に対向する対向面44が形成されている。対向面44は、解除操作部40の手動操作方向、すなわち幅方向Yに対して斜めに設けられるとともに、レバー部32の延出部37の先端部37aと対向するように形成されている。
【0035】
アッパーハウジング4には、第2操作部42を支持するリブ4aが、幅方向Yに沿って延びるように一帯に形成されている。第2操作部42には、リブ4aに係合する切り欠き部45が設けられている。リブ4aは、高さ方向Zの下側から切り欠き部45内に挿入されている。第2操作部42は、リブ4a及び切り欠き部45の当接により、第2操作部42の厚さ方向Xの両側への移動、及び高さ方向Zの下方への移動が規制されている。
【0036】
アッパーハウジング4は、アッパーハウジング4の上面に高さ方向Zに延びる強度受け部50を備えている。強度受け部50は、連動部30のレバー部32がアンロック動作の終端に位置したとき、すなわちアンロック位置よりアンロック方向側に位置したときに接触する箇所に配置されている。強度受け部50は、レバー部32がアンロック位置にあるときに、延出部37と対向する強度受け面51を備えている。強度受け部50は、強度受け面51にかかる力を支持可能な形状に形成されている。本例の場合、強度受け部50は、例えば板状に形成されるとともに、背面がリブにより支持されている。強度受け部50は、レバー部32がアンロック位置から更にアンロック方向に回転する場合に、強度受け面51で延出部37に接触する。
【0037】
以下、本実施形態の作用について説明する。
図6及び図7に示すように、モータ6によって駆動機構10がアンロック方向へ動作する場合、連動部30は、軸心L2を中心に、アンロック側の回転方向である矢印R4方向へ回転する。連動部30において、矢印R4方向への回転が、アンロック動作である。連動部30のレバー部32は、矢印R4方向への回転により、解除操作部40の第2操作部42から離れる方向に移動する。レバー部32がアンロック方向に所定量回った際、ロックピン13がアンロック位置に位置して、ロック装置1が図7に示すアンロック状態となる。なお、レバー部32がアンロック位置にあるとき、強度受け部50とレバー部32との間には、所定の隙間が存在する。
【0038】
ここで、図8に示すように、ロック装置1のロック状態下のとき、回動ピース12の案内突部20は、ロックピン13のヘッド部21の上側に位置している。案内突部20は、アンロック動作時、回動ピース12の回転に伴い、ロアハウジング5の収容空間61内で、ヘッド部21の上方の位置からアンロック方向、すなわち矢印R2方向へ回転移動する。
【0039】
図9に示すように、アンロック動作時、案内突部20は、矢印R2方向へ所定量回ると、アンロック位置に配置される。この際、案内突部20は、ロアハウジング5の収容空間61内に設けられたストッパ部60に接触する。これにより、回動ピース12が正規のロック位置で停止し、アンロック位置からオーバーランすることがない。なお、案内突部20及びストッパ部60は、ロックの手動による強制解除操作の際、レバー部32と強度受け部50とが接触するよりも先に接触することが好ましい。
【0040】
図6及び図7に示す通り、モータ6によって駆動機構10がロック方向へ動作する場合、連動部30は、軸心L2を中心に、ロック方向の回転方向である矢印R3方向へ回転する。連動部30において、矢印R3方向への回転が、ロック動作である。連動部30のレバー部32は、矢印R3方向への回転により、解除操作部40の第2操作部42に近づく方向に移動する。レバー部32がロック方向に所定量回った際、ロックピン13がロック位置に位置して、ロック装置1が図6に示すロック状態となる。
【0041】
なお、駆動機構10のロック動作及びアンロック動作の際、回動ピース12の回転は、減速機構38によって減速されて連動部30へ伝達される。そのため、レバー部32の回転範囲は、回動ピース12の回転範囲よりも小さい。
【0042】
また、解除操作部40は、ロック強制解除の手動操作前の初期状態において、ロック状態におけるレバー部32よりも幅方向Yの他方側に離間して配置され、モータ6の動作には連動しない。そのため、解除操作部40は、モータ6駆動の抵抗にならない。
【0043】
図6及び図10に示すように、ロック状態下において、ユーザによってロック強制解除の手動操作が行われる場合、解除操作部40の第1操作部41が幅方向Yの一方(以下、操作方向Y1と記載する)へ引き操作される。引き操作された際、解除操作部40の第1操作部41は、レール部39に沿って操作方向Y1へスライド移動する。また、解除操作部40の第2操作部42は、切り欠き部45がリブ4aに沿うようにスライド移動する。
【0044】
このとき、第2操作部42は、スライド移動の移動軌跡上においてレバー部32の延出部37の先端部37aに当接し、操作方向Y1へ押すことにより、連動部30を矢印R4方向へ回転させる。そして、連動部30が矢印R4方向へ回転すると、回動ピース12が矢印R2方向へ回転し、ロックピン13をアンロック方向へ移動させる。これにより、ロックピン13のロック状態が解除される。
【0045】
第2操作部42の対向面44は、解除操作部40のスライド方向である幅方向Yに対して斜めに延びている。したがって、レバー部32が第2操作部42に押される際、延出部37の先端部37aは、斜めに設けられた対向面44上を滑りながら押されていく。これは、解除操作部40のスムーズな操作に寄与する。
【0046】
解除操作部40の引き操作時、減速機構38による連動部30及び回動ピース12の間の減速に基づくブレーキ力が操作抵抗として働く。この操作抵抗により、ユーザによる意図しない解除操作部40の操作を抑制する。
【0047】
ところで、解除操作部40が強く引き操作されると、駆動機構10に高荷重がかかる虞があった。本実施形態では、これに対して、強度受け部50が設けられている。
図10に示すように、強度受け部50は、レバー部32がアンロック位置にあるときに、例えばさらに解除操作部40が引き操作された場合、レバー部32と接触する。強度受け部50は、レバー部32の延出部37と強度受け面51で接触する。強度受け部50は、レバー部32と接触することによりレバー部32の矢印R4方向への移動を規制する。強度受け部50は、解除操作部40からレバー部32にかかる操作荷重を受け止める。これにより、駆動機構10へかかる荷重を軽減でき、その結果、駆動機構10を保護できる。
【0048】
また、手動解除操作時、ロックピン13がアンロック状態となった際、レバー部32を強度受け部50で位置規制するので、アンロック位置に到達した回動ピース12がストッパ部60に対し、アンロック方向へ更に押し込まれることがない。よって、回動ピース12の回転が規制されるので、この点においても駆動機構10を保護できる。
【0049】
以下、本実施形態の効果について説明する。
(1)ロック装置1は、充電ケーブルCを車体給電口Pから取り外し不能にするロック状態及び取り外し可能にするアンロック状態との間で動作する駆動機構10を備えている。また、ロック装置1は、駆動機構10のロック動作及びアンロック動作に連動する連動部30を備える強制解除機構70を備えている。強制解除機構70は、ロック強制解除の手動操作によって連動部30をアンロック方向に動作することにより駆動機構10を強制的にアンロック状態へ切り換える。さらに、ロック装置1は、ロック強制解除の手動操作によってロックピン13がアンロック位置となった後、連動部30にアンロック方向の操作荷重がかけられた場合に、操作荷重を受け止める強度受け部50を備えている。この構成によれば、強度受け部50によって連動部30の移動を規制しつつ、操作荷重を受け止めるので、駆動機構10にかかる荷重を軽減できる。したがって、ロック緊急解除の手動操作時の高荷重に対して駆動機構10を保護できる。
【0050】
(2)強度受け部50は、連動部30に接触する強度受け面51を有している。この構成によれば、強度受け部50は、ロック強制解除の手動操作によって連動部30にかかる操作荷重を、強度受け面51の面上で受けることができる。これにより、強度受け部50で操作荷重を受け止めるのに有利となる。
【0051】
(3)連動部30は、駆動機構10のロック動作及びアンロック動作に伴って軸心L2回りに回転する。この構成によれば、手動操作時、連動部30を回してロックを強制解除することができる。
【0052】
(4)駆動機構10は、ロックピン13のロック動作及びアンロック動作を案内する回動ピース12を有している。また、ロック装置1は、ロックピン13がアンロック位置となった場合に、回動ピース12の案内突部20に接触して、回動ピース12をアンロック位置で停止させるストッパ部60を備えている。この構成によれば、ロックピン13をアンロック位置で停止させるストッパ部60を設けても、ロックの強制解除時に、このストッパ部60及びその周辺部品に高荷重がかかるのを抑制できる。そのため、駆動機構10の保護に寄与できる。
【0053】
(5)ロック装置1は、ロック強制解除の手動操作を受けた場合に、連動部30を押して、駆動機構10を強制的にアンロック状態へ切り替える解除操作部40を備えている。解除操作部40は、ハウジング3にスライド移動可能に組み付けられている。この構成によれば、解除操作部40をスライド方向に引き操作するという容易な操作によって、ロック装置1のロックを強制解除することができる。
【0054】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
[強度受け部50について]
・強度受け部50は、連動部30がアンロック位置にある場合に、連動部30に接触していてもよい。
【0055】
・強度受け部50は、アッパーハウジング4から突出して設けられることに限定されず、アッパーハウジング4自体が連動部30に接触するような形状に設けられたものであってもよい。
【0056】
・強度受け部50は、ハウジング3に設けられてもよいし、ロック装置1の別の部材に設けられてもよい。
・強度受け部50は、板状の部材に限らず、例えば棒状の突起でもよい。すなわち、強度受け部50の形状は、適宜変更可能である。
【0057】
・強度受け部50は、連動部30と面上で接触することに限定されず、強度受け面51を省略してもよい。
[強制解除機構70について]
・強制解除機構70の解除操作部40は、手動操作前の位置において、連動部30に対して離隔していることに限定されず、例えばレバー部32がロック位置にある場合に接触していてもよい。
【0058】
・解除操作部40は、レール部39に対してスライド移動することに限定されない。例えば回転軸周りに回転するものでもよい。すなわち、直線往復動することに限定されない。
【0059】
・解除操作部40は、レール部39に対して抜け止めされていてもよいし、抜け止めされていなくてもよい。
・解除操作部40のハウジング3への組み付け方法は、特に限定されない。
【0060】
・解除操作部40は、ハウジング3の内部に収納され、先端部分のみがハウジング3の外部に露出する構成としてもよい。
・解除操作部40は、ハウジング3以外の箇所に取り付けられてもよい。例えば、車体側に組み付けられるのでもよい。すなわち、解除操作部40は、ハウジング3に組み付けられることに限定されない。
【0061】
・解除操作部40及び連動部30は、互いに係止可能な形状に形成されていてもよく、例えばこれらの一方に突部を設け、他方に凹部を設けてもよい。また、解除操作部40及び連動部30の形状は、特に限定されない。
【0062】
・強制解除機構70において、解除操作部40は省略されてもよい。これは、連動部30のレバー部32が直接手動操作される構成に適用できる。
・強制解除機構70の連動部30は、軸回りに回ることに限定されない。例えばスライド移動するものであってもよい。
【0063】
・連動部30及び回動ピース12の間の減速は、適宜変更可能である。また、連動部30の回転速度は、回動ピース12の回転速度よりも速くてもよいし、遅くてもよい。すなわち、連動部30は、回転部材の回転を、減速して伝達されることに限定されない。
【0064】
・連動部30は、回動ピース12の第1歯車部14に連結されていてもよい。
[駆動機構10について]
・伝達部材11の第1歯車部14及び第2歯車部15の間の減速は特に限定されず、仕様に応じて適宜変更可能である。また、伝達部材11は、1つでもよいし、2つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0065】
・回転部材は、回動ピース12に限定されず、例えば伝達部材11であってもよい。
・ロックピン13は、ロック状態において、係止爪2に接触していてもよいし、近接していてもよい。すなわち、係止爪2に対するロック部材の干渉は、係止爪2への接触に限らず、近接も含む。
【0066】
・回動ピース12の案内部18は特に限定されない。例えば、アンロック案内面19bが設けられなくてもよい。この場合、例えば、ロック状態では、ロック案内面19aがロックピン13のアンロック方向への移動を規制し、アンロック状態では、ロック案内面19aによる移動の規制が解除されて、ロックピン13の上下動が許容されるように構成される。
【0067】
・ロックピン13及び回動ピース12の組み付けは、係止突起21aを案内溝19に係止する構造に限らず、回動ピース12によりロックピン13を上下動できれば、種々の構造が採用可能である。
【0068】
・駆動機構10は、ロックピン13をロック/アンロックの各方向に動かすことができれば、他の構造に適宜変更可能である。よって、回動ピース12に替えて、例えばスライド動作する部材など、他に変更可能である。また、スライド移動するロックピン13に限定されず、例えば回動する円柱状の部材に切り欠きを形成したものでもよい。この場合、切り欠きのない箇所で係止爪2を固定し、切り欠きの部分で係止爪2の操作を許容する。
【0069】
・駆動機構10をストッパ部60で位置決めする機構は、アンロック位置で停止させるものでもよいし、ロック位置で停止させるものでもよいし、これらの組み合わせでもよい。また、ストッパ部60は、省略してもよい。
【0070】
[その他]
・ハウジング3に設けられたレール部39は、直線的に設けられることに限定されず、例えば円弧状に設けられていてもよい。
【0071】
・ハウジング3は、アッパーハウジング4及びロアハウジング5から構成されることに限定されない。
・ロック装置1のアクチュエータは、モータに代えて、例えばソレノイド等に変更してもよい。
【0072】
・ロック装置1は、ロック動作及びアンロック動作の一方を電動とし、他方を手動としてもよい。
・ロック装置1は、充電ケーブルCの係止爪2を係止することに限定されず、例えばロックピン13を充電ケーブルCのプラグ部分やケーブル部分の形状に直に係止することによりロック状態をとる構造でもよい。
【0073】
・ロック対象物は、充電ケーブルCでもよいし、他の部材であってもよい。また、ロック対象物の取り付け先は、車体給電口Pでもよいし、車両の他の部材でもよい。例えば、ロック装置1は、車体給電口P又は給油口を塞ぐリッドを固定するリッドロック装置であってもよい。
【0074】
・ロック装置1は、車載用に限らず、他の機器や装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…ロック装置、3…ハウジング、4…アッパーハウジング、4a…リブ、5…ロアハウジング、6…モータ、10…駆動機構、11…伝達部材、12…回動ピース、13…ロックピン、18…案内部、19…案内溝、20…案内突部、21…ヘッド部、22…ピン部、30…連動部、31…連結部材、32…レバー部、33…セクター歯車部、34…軸部、36…筒部、37…延出部、37a…先端部、39…レール部、40…解除操作部、50…強度受け部、51…強度受け面、60…ストッパ部、61…収容空間、70…強制解除機構。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10