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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】鉄道システム及び充放電制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60M 3/06 20060101AFI20230926BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230926BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
B60M3/06 B
H02J7/00 B
H02J7/00 P
H02J7/34 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019203595
(22)【出願日】2019-11-08
(65)【公開番号】P2021075162
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮内 努
(72)【発明者】
【氏名】加藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】安河内 大
(72)【発明者】
【氏名】橋本 慎
(72)【発明者】
【氏名】南之園 弘太
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-140699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60M 3/06
H02J 7/00
H02J 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路線上を走行する1以上の鉄道車両との間で電力供給線を介して電力の授受が可能な蓄電システムを有する鉄道システムであって、
各前記鉄道車両の位置及び電力状況を示す情報に基づいて、回生絞り込みが発生しないと想定したときの前記各鉄道車両における回生電力を示す回生可能電力を推定する回生可能電力推定部と、
前記推定された回生可能電力に基づいて、電力の余剰量を算出する余剰電力計算部と、
前記算出された電力の余剰量に基づいて、前記蓄電システムに充放電を指示する充放電制御指令部と、
を備え
前記余剰電力計算部は、回生電力による電力供給を可能とする所定範囲ごとに、当該所定範囲に存在する全ての前記鉄道車両における前記回生可能電力と力行電力との差分の総和に基づいて前記電力の余剰量を算出し、
前記充放電制御指令部は、前記余剰電力計算部で前記所定範囲ごとに算出された前記電力の余剰量の最大値を用いて、前記蓄電システムに充電を指示する
ことを特徴とする鉄道システム。
【請求項2】
前記所定範囲は、一意的な距離、またはリアルタイムの演算処理によって算出される距離で定められる
ことを特徴とする請求項に記載の鉄道システム。
【請求項3】
路線上を走行する1以上の鉄道車両との間で電力供給線を介して電力の授受が可能な蓄電システムを有する鉄道システムであって、
各前記鉄道車両の位置及び電力状況を示す情報に基づいて、回生絞り込みが発生しないと想定したときの前記各鉄道車両における回生電力を示す回生可能電力を推定する回生可能電力推定部と、
前記推定された回生可能電力に基づいて、電力の余剰量を算出する余剰電力計算部と、
前記算出された電力の余剰量に基づいて、前記蓄電システムに充放電を指示する充放電制御指令部と、
前記路線を分割した複数の領域のうち、前記各鉄道車両が何れの前記領域に存在するかを判断する在線領域判断部と、
を備え、
前記余剰電力計算部は、1以上の前記領域によって定められる1以上の区域のそれぞれについて、当該区域に存在する全ての前記鉄道車両における前記回生可能電力に基づいて前記電力の余剰量を算出する
ことを特徴とする鉄道システム。
【請求項4】
前記余剰電力計算部は、前記区域ごとに、当該区域に存在する全ての前記鉄道車両における前記回生可能電力と力行電力との差分の総和に基づいて前記電力の余剰量を算出し、
前記充放電制御指令部は、前記余剰電力計算部で前記区域ごとに算出された前記電力の余剰量の最大値を用いて、前記蓄電システムに充電を指示する
ことを特徴とする請求項に記載の鉄道システム。
【請求項5】
前記複数の領域は、前記路線に接続して設置される複数の変電所の設置地点、または隣接する前記変電所間の所定地点を分割点として分割され、
さらに、前記路線が上り方向路線と下り方向路線とに分かれている場合には、各方向路線によっても前記複数の領域は分割される
ことを特徴とする請求項または請求項に記載の鉄道システム。
【請求項6】
前記隣接する変電所間の中間地点が前記分割点に含まれる
ことを特徴とする請求項に記載の鉄道システム。
【請求項7】
路線上を走行する1以上の鉄道車両との間で電力供給線を介して電力の授受が可能な蓄電システムを有する鉄道システムであって、
各前記鉄道車両の位置及び電力状況を示す情報に基づいて、回生絞り込みが発生しないと想定したときの前記各鉄道車両における回生電力を示す回生可能電力を推定する回生可能電力推定部と、
前記推定された回生可能電力に基づいて、電力の余剰量を算出する余剰電力計算部と、
前記算出された電力の余剰量に基づいて、前記蓄電システムに充放電を指示する充放電制御指令部と、
を備え、
前記各鉄道車両の位置及び電力状況を示す前記情報には、少なくとも、当該鉄道車両の速度及び運転指令が含まれ
とを特徴とする鉄道システム。
【請求項8】
路線上を走行する1以上の鉄道車両との間で電力供給線を介して電力の授受が可能な蓄電システムを有する鉄道システムによる充放電制御方法であって、
前記鉄道システムが、各前記鉄道車両の位置及び電力状況を示す情報に基づいて、回生絞り込みが発生しないと想定したときの前記各鉄道車両における回生電力を示す回生可能電力を推定する回生可能電力推定ステップと、
前記鉄道システムが、前記回生可能電力推定ステップで推定された前記回生可能電力に基づいて、電力の余剰量を算出する余剰電力計算ステップと、
前記鉄道システムが、前記余剰電力計算ステップで算出された前記電力の余剰量に基づいて、前記蓄電システムに充放電を指示する充放電制御指令ステップと、
を備え
前記余剰電力計算ステップにおいて前記鉄道システムは、回生電力による電力供給を可能とする所定範囲ごとに、当該所定範囲に存在する全ての前記鉄道車両における前記回生可能電力と力行電力との差分の総和に基づいて前記電力の余剰量を算出し、
前記充放電制御指令ステップにおいて前記鉄道システムは、前記余剰電力計算ステップで前記所定範囲ごとに算出された前記電力の余剰量の最大値を用いて、前記蓄電システムに充電を指示する
ことを特徴とする充放電制御方法。
【請求項9】
路線上を走行する1以上の鉄道車両との間で電力供給線を介して電力の授受が可能な蓄電システムを有する鉄道システムによる充放電制御方法であって、
前記鉄道システムが、各前記鉄道車両の位置及び電力状況を示す情報に基づいて、回生絞り込みが発生しないと想定したときの前記各鉄道車両における回生電力を示す回生可能電力を推定する回生可能電力推定ステップと、
前記鉄道システムが、前記回生可能電力推定ステップで推定された前記回生可能電力に基づいて、電力の余剰量を算出する余剰電力計算ステップと、
前記鉄道システムが、前記余剰電力計算ステップで算出された前記電力の余剰量に基づいて、前記蓄電システムに充放電を指示する充放電制御指令ステップと、
前記鉄道システムが、前記路線を分割した複数の領域のうち、前記各鉄道車両が何れの前記領域に存在するかを判断する在線領域判断ステップと、
を備え、
前記余剰電力計算ステップにおいて前記鉄道システムは、1以上の前記領域によって定められる1以上の区域のそれぞれについて、当該区域に存在する全ての前記鉄道車両における前記回生可能電力に基づいて前記電力の余剰量を算出する
ことを特徴とする充放電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道システム及び充放電制御方法に関し、鉄道車両を動作させるための鉄道システム及び充放電制御方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道の省エネルギーを実現するために、回生ブレーキを行っている車両(以下、回生車両)により発生した回生電力を有効活用する技術が知られている。具体的には、回生車両の近傍に電力供給を受けている車両(以下、負荷車両)が存在する場合には、回生車両で発生した回生電力が負荷車両に供給されて有効利用される。また、回生車両の近傍に負荷車両が存在しない場合には、回生電力をより遠くの車両に供給しようとするため、回生車両は電圧を上昇させる。そして回生車両の電圧がある一定の値まで上昇した場合、車両内の機器の保護や電圧の安定化等のため、回生電力を絞り込むことで電圧の上昇を抑制する回生絞り込み制御が働く。その場合、本来利用できるはずの回生電力(以下、回生可能電力)が有効利用できないことになる。このような事象の発生を抑制するため、路線上に蓄電装置(蓄電システム)を設置し、蓄電システムに充電することで、回生絞り込みを少なくして回生電力の有効利用を図ることが考えられている。
【0003】
しかしながら、蓄電システムを導入することは、これまで回生車両と負荷車両との間で行っていた回生電力の融通を阻害することになる。また、蓄電システムの充放電を行うときにはその内部にある抵抗により損失が発生するため、蓄電システムに充電した電力が全て省エネルギー効果に繋がるわけではないという問題もあった。
【0004】
以上のような背景を考慮して、例えば特許文献1には、回生電力の融通を促進し、本当に充電が必要なときにのみ充電を行って省エネルギー化を図ることを目的として、蓄電装置が設置されている変電所区間の電流を測定し、その測定した電流に基づいて変電所区間内の余剰電流を予測することにより、蓄電装置の充電の実行可否を決定するき電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-049817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術の場合、変電所区間で測定した電流は、既に回生絞り込み制御が行われた後の電流である可能性を排除できないため、余剰電流の有無を完全に把握することは困難であり、実際には余剰電流があったとしても蓄電装置への充電を決定できない可能性があった。この場合、回生可能電力の有効利用が十分とは言えず、省エネルギー効果が低減するおそれがあった。また、回生絞り込み制御の有無を判断するためには車両の電圧が必要となるが、特許文献1には、車両の電圧を利用することについて開示されておらず、回生絞り込み制御の有無を考慮して余剰電力を算出することは困難であった。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、回生絞り込み量を含めて余剰電力を算出し、算出した余剰電力に基づいて蓄電システムに対して充放電指令を行うことが可能な鉄道システム及び充放電制御方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明においては、路線上を走行する1以上の鉄道車両との間で電力供給線を介して電力の授受が可能な蓄電システムを有する鉄道システムであって、各前記鉄道車両の位置及び電力状況を示す情報に基づいて、回生絞り込みが発生しないと想定したときの前記各鉄道車両における回生電力を示す回生可能電力を推定する回生可能電力推定部と、前記推定された回生可能電力に基づいて、電力の余剰量を算出する余剰電力計算部と、前記算出された電力の余剰量に基づいて、前記蓄電システムに充放電を指示する充放電制御指令部と、を備え、前記余剰電力計算部は、回生電力による電力供給を可能とする所定範囲ごとに、当該所定範囲に存在する全ての前記鉄道車両における前記回生可能電力と力行電力との差分の総和に基づいて前記電力の余剰量を算出し、前記充放電制御指令部は、前記余剰電力計算部で前記所定範囲ごとに算出された前記電力の余剰量の最大値を用いて、前記蓄電システムに充電を指示する、鉄道システムが提供される。
【0009】
また、かかる課題を解決するため本発明においては、路線上を走行する1以上の鉄道車両との間で電力供給線を介して電力の授受が可能な蓄電システムを有する鉄道システムによる充放電制御方法であって、前記鉄道システムが、各前記鉄道車両の位置及び電力状況を示す情報に基づいて、回生絞り込みが発生しないと想定したときの前記各鉄道車両における回生電力を示す回生可能電力を推定する回生可能電力推定ステップと、前記鉄道システムが、前記回生可能電力推定ステップで推定された前記回生可能電力に基づいて、電力の余剰量を算出する余剰電力計算ステップと、前記鉄道システムが、前記余剰電力計算ステップで算出された前記電力の余剰量に基づいて、前記蓄電システムに充放電を指示する充放電制御指令ステップと、を備え、前記余剰電力計算ステップにおいて前記鉄道システムは、回生電力による電力供給を可能とする所定範囲ごとに、当該所定範囲に存在する全ての前記鉄道車両における前記回生可能電力と力行電力との差分の総和に基づいて前記電力の余剰量を算出し、前記充放電制御指令ステップにおいて前記鉄道システムは、前記余剰電力計算ステップで前記所定範囲ごとに算出された前記電力の余剰量の最大値を用いて、前記蓄電システムに充電を指示する、充放電制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回生絞り込み量を含めて算出した余剰電力に基づいて蓄電システムに対する充放電指令を行うことにより、省エネルギー効率の高い蓄電システムの制御を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係る鉄道システムの構成例を示すブロック図である。
図2図1に示した蓄電制御システムの内部構成例を示すブロック図である。
図3】回生性能テーブルの一例である。
図4】電制力テーブルの一例である。
図5】効率テーブルの一例である。
図6】回生可能電力推定処理の処理手順例を示すフローチャートである。
図7】車両電力計算処理の処理手順例を示すフローチャートである。
図8】余剰電力計算処理の処理手順例を示すフローチャートである。
図9】在線する全車両の電力の一例を示す図である。
図10】充放電制御指令決定処理の処理手順例を示すフローチャートである。
図11】本発明の第2の実施形態に係る鉄道システムの構成例を示すブロック図である。
図12図11に示した蓄電制御システムの内部構成例を示すブロック図である。
図13】領域マップの一例である。
図14】領域マップの別例である。
図15】在線判断処理の処理手順例を示すフローチャートである。
図16】路線上を分割した領域の一例を示す図である。
図17】制御テーブルの一例である。
図18】第2の余剰電力計算処理の処理手順例を示すフローチャートである。
図19】路線上を分割した領域ごとの電力の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳述する。
【0013】
(1)第1の実施形態
(1-1)構成
図1は、本発明の第1の実施形態に係る鉄道システムの構成例を示すブロック図である。図1において、実線は鉄道システム100及び関連設備の接続関係を表し、破線は鉄道システム100及び関連設備における情報の流れを表す。
【0014】
図1に示したように、第1の実施形態に係る鉄道システム100は、電力供給線101を介して1以上の鉄道車両102(個別には例えば鉄道車両102A,102B)に対して電力の授受を行う電力供給設備103及び電力の充放電が可能な蓄電システム104と、蓄電システム104の制御を行う蓄電制御システム105を備えて構成される。簡便のため、以後の説明では、鉄道車両102を単に車両102とも表記する。
【0015】
このうち、蓄電制御システム105は、各車両102A,102Bにおける電力状況を示す電力状況情報111(個別には電力状況情報111A,111B)と蓄電システム104の状態を示す状態情報112とに基づいて充放電制御指令113を決定し、蓄電システム104に伝送する。電力状況情報111は、車両102の識別子(車両ID)、進行方向、位置、速度、運転指令、電力、及び乗車率を含んで構成され、無線通信または有線通信によって各車両102A,102Bから蓄電制御システム105に送信される。車両IDは車両102ごとに予め定められているとする。また、状態情報112は、蓄電システム104の充電量及び最大充放電電力を含んで構成され、無線通信または有線通信によって蓄電システム104から蓄電制御システム105に送信される。
【0016】
図2は、図1に示した蓄電制御システム105の内部構成例を示すブロック図である。図2に示したように、蓄電制御システム105は、回生可能電力推定部121、車両電力計算部122、余剰電力計算部123、及び充放電制御指令部124を備えて構成される。
【0017】
回生可能電力推定部121は、蓄電制御システム105が車両102から受信した電力状況情報111に含まれる乗車率、運転指令、速度、及び車両IDの情報、並びに、電力状況情報111に含まれるこれらの情報に対する回生性能を示す回生性能テーブル131に基づいて、回生絞り込みが発生しないと想定したときの回生電力を意味する回生可能電力132を推定する。回生可能電力推定部121による上記の処理を回生可能電力推定処理と称し、その処理手順は後述する図6に示す。
【0018】
車両電力計算部122は、蓄電制御システム105が車両102から受信した電力状況情報111に含まれる運転指令及び電力の情報、並びに回生可能電力推定部121で推定された回生可能電力132に基づいて、各車両102の車両電力133を算出する。車両電力計算部122による上記の処理を車両電力計算処理と称し、その処理手順は後述する図7に示す。
【0019】
余剰電力計算部123は、蓄電制御システム105が車両102から受信した電力状況情報111に含まれる全ての車両102のデータに対して得られた位置の情報、及び車両電力計算部122で算出された各車両102の車両電力133に基づいて、路線内の余剰電力134を算出する。余剰電力計算部123による上記の処理を余剰電力計算処理と称し、その処理手順は後述する図8に示す。
【0020】
充放電制御指令部124は、余剰電力計算部123で算出された余剰電力134、及び蓄電制御システム105が蓄電システム104から受信した状態情報112に含まれる蓄電システム104の最大充電電力に基づいて、蓄電システム104における充放電を制御する充放電制御指令113を決定する。充放電制御指令部124による上記の処理を充放電制御指令決定処理と称し、その処理手順は後述する図10に示す。
【0021】
(1-2)回生可能電力の推定
(1-2-1)回生性能テーブル
図3は、回生性能テーブルの一例である。図3に示した回生可能電力テーブル1311は、本実施形態における回生性能テーブルの一例であって、乗車率ごとに、車両102の速度及び運転指令に対する回生電力の性能を示したものである。回生可能電力テーブル1311の横軸は速度を表し、縦軸は回生可能電力を表している。また、回生可能電力テーブル1311は、運転指令ごとにそれぞれ異なる回生電力の特性を有している。図3では、ブレーキを指令する3種類の運転指令「B1N」、「B2N」、及び「B3N」が例示されているが、運転指令に応じて必要な数だけ用意してよい。なお、回生電力の特性は車両102の電圧によっても変化するため、回生可能電力テーブル1311は、回生が行われる一般的な電圧を用いて作成する。また、一般的な電圧の代わりとして、回生可能電力テーブル1311は、路線ごとに抽出した回生時の電圧を用いて作成するようにしてもよい。
【0022】
そして、回生性能テーブル131として上記回生可能電力テーブル1311による形式が用いられる場合、回生可能電力推定部121は、車両102の速度と運転指令に基づいて、回生可能電力132を算出(推定)することができる。
【0023】
なお、本実施形態で利用可能な回生性能テーブル131は、図3に例示した回生可能電力テーブル1311のように一次的に回生可能電力132が得られる形式に限定されるものではなく、多段階の処理を経て回生可能電力132が得られる形式であってもよい。具体的には例えば、乗車率ごとの車両速度及び運転指令に対する電制力を示す電制力テーブルと、車両速度及び電制力に対する効率を示す効率テーブルとを用意し、これらを組み合わせて回生可能電力特性を得る形式であってもよい。また、何れの形式であっても、回生性能テーブル131は、車両102ごとに、言い換えれば車両IDに紐付けて、それぞれテーブルが用意されてよい。
【0024】
図4は、電制力テーブルの一例であり、図5は、効率テーブルの一例である。図4に示した電制力テーブル1312では、乗車率ごとに、車両102の速度及び運転指令に対する電制力が示されている。また、図5に示した効率テーブル1313では、車両102の速度と車両102で発生する電制力とに対する効率が示されている。
【0025】
そして、回生性能テーブル131として上記の電制力テーブル1312及び効率テーブル1313による形式が用いられる場合、回生可能電力推定部121は、車両102の速度及び運転指令に基づいて電制力を算出した後、速度及び電制力に基づいて効率を算出し、最終的には電制力、効率及び速度に基づいて回生可能電力132を算出(推定)することができる。
【0026】
(1-2-2)回生可能電力推定処理
図6は、回生可能電力推定処理の処理手順例を示すフローチャートである。前述したように、回生可能電力推定処理は回生可能電力推定部121によって実行される。
【0027】
図6によればまず、回生可能電力推定部121は、電力状況情報111に含まれる乗車率、速度、及び運転指令を抽出する(ステップS101)。次に回生可能電力推定部121は、ステップS101で抽出した運転指令がブレーキか否かを判定し(ステップS102)、ブレーキであればステップS103に進み、ブレーキ以外であればステップS108に進む。
【0028】
ステップS103では、回生可能電力推定部121は、回生性能テーブル131の形式が電力で表されるか否かを判定し、電力で表される形式の場合はステップS104に進み、電力以外(具体的には電制力及び効率)で表される形式の場合は、ステップS105に進む。
【0029】
ステップS104では、回生可能電力推定部121は、ステップS101で抽出した乗車率を基に、回生可能電力テーブル1311から該当するテーブルを選択し、選択したテーブルを用いて、ステップS101で抽出した速度及び運転指令に基づいて回生可能電力132を算出し、回生可能電力推定処理を終了する。
【0030】
一方、ステップS105では、回生可能電力推定部121は、ステップS101で抽出した乗車率を基に、電制力テーブル1312から該当するテーブルを選択し、選択したテーブルを用いて、ステップS101で抽出した速度及び運転指令に基づいて電制力BEを算出する。
【0031】
そして、回生可能電力推定部121は、ステップS101で抽出した乗車率を基に、効率テーブル1313から該当するテーブルを選択し、選択したテーブルを用いて、ステップS101で抽出した速度とステップS105で算出した電制力BEとに基づいて効率μを算出する(ステップS106)。
【0032】
そして、回生可能電力推定部121は、ステップS101で抽出した速度、ステップS105で算出した電制力BE、及びステップS106で算出した効率μを用いて、以下の式1の計算式で回生可能電力132を算出し(ステップS107)、回生可能電力推定処理を終了する。
【数1】
【0033】
また、ステップS102においてステップS101で抽出した運転指令がブレーキ以外であると判定された場合は、ステップS108において、回生可能電力推定部121は、回生可能電力132を「0」とし、回生可能電力推定処理を終了する。
【0034】
以上、図6に示した回生可能電力推定処理を実行することによって、回生可能電力推定部121は、回生絞り込みが発生しないと想定したときの回生可能電力132を算出(推定)することができ、これを車両電力計算部122に出力する。
【0035】
なお、図6では、回生性能テーブル131が、図3の回生可能電力テーブル1311の形式(電力で表される形式)と、図4の電制力テーブル1312及び図5の効率テーブル1313に分かれた形式(電制力及び効率で表される形式)との何れの形式であっても対応可能な処理手順を示したが、本実施形態では、回生性能テーブル131の形式は、電力で表されるか、電制力及び効率で表されるかの何れかであってもよい。このとき、回生可能電力推定部121は、保持している回生性能テーブル131の形式に応じて、上記の図6の処理の一部を省略することができる。具体的には、回生性能テーブル131が電力で表される形式の場合、ステップS103,S105~S107の処理を省略してよく、回生性能テーブル131が電制力及び効率で表される形式の場合、ステップS103~S104の処理を省略してよい。
【0036】
また、ステップS104またはステップS105に関する上記説明は、乗車率に紐付いた複数の回生性能テーブル131(回生可能電力テーブル1311、電制力テーブル1312)において、ステップS101で抽出した乗車率に該当するテーブルがそれぞれ存在する場合を前提としたものであるが、回生可能電力推定部121は、乗車率が該当する回生性能テーブル131が存在しない場合には、以下の派生処理を行うことによって回生可能電力132を算出することができる。
【0037】
まず、回生可能電力テーブル1311を利用するステップS104の派生処理を説明する。
【0038】
ステップS104において、ステップS101で抽出した乗車率に該当する回生可能電力テーブル1311が存在しない場合、回生可能電力推定部121は、複数の回生可能電力テーブル1311のうちから、上記抽出した乗車率よりも小さくかつ最も近い乗車率の回生可能電力テーブルAと、上記抽出した乗車率よりも大きくかつ最も近い乗車率の回生可能電力テーブルBを選択し、これらを用いて線形補間を行う。なお、上記抽出した乗車率が非常に小さいまたは非常に大きい場合に回生可能電力テーブルA,Bの何れかを選択できないことが考えられるが、この場合は、上記抽出した乗車率に近い乗車率の回生可能電力テーブルを2つ選択して、回生可能電力テーブルA,Bとすればよい。
【0039】
ここで、回生可能電力テーブルAの乗車率をai、回生可能電力テーブルBの乗車率をbiとし、それぞれの回生可能電力テーブルA,Bにおいて速度及び運転指令に基づいて定まる回生可能電力をap,bpとした場合、回生可能電力推定部121は、以下の式2の計算式を用いて回生可能電力132を算出することができる。
【数2】
なお、式2における「乗車率」はステップS101で抽出した乗車率を意味する。
【0040】
次に、電制力テーブル1312を利用するステップS105の派生処理を説明する。
【0041】
ステップS105において、ステップS101で抽出した乗車率に該当する電制力テーブル1312が存在しない場合、回生可能電力推定部121は、複数の電制力テーブル1312のうちから、上記抽出した乗車率よりも小さくかつ最も近い乗車率の電制力テーブルAと、上記抽出した乗車率よりも大きくかつ最も近い乗車率の電制力テーブルBを選択し、これらを用いて線形補間を行う。なお、上記抽出した乗車率が非常に小さいまたは非常に大きい場合に電制力テーブルA,Bの何れかを選択できないことが考えられるが、この場合は、上記抽出した乗車率に近い乗車率の電制力テーブルを2つ選択して、電制力テーブルA,Bとすればよい。
【0042】
ここで、電制力テーブルAの乗車率をai、電制力テーブルBの乗車率をbiとし、それぞれの電制力テーブルA,Bにおいて速度及び運転指令に基づいて定まる電制力をan,bnとした場合、回生可能電力推定部121は、以下の式3の計算式を用いて電制力BEを算出することができる。
【数3】
なお、式3における「乗車率」はステップS101で抽出した乗車率を意味する。
【0043】
(1-3)車両電力の算出
図7は、車両電力計算処理の処理手順例を示すフローチャートである。前述したように、車両電力計算処理は車両電力計算部122によって実行される。
【0044】
図7によればまず、車両電力計算部122は、電力状況情報111に含まれる運転指令がブレーキか否かを判定し(ステップS201)、ブレーキであればステップS202に進み、ブレーキ以外であればステップS203に進む。
【0045】
ステップS202では、車両電力計算部122は、回生可能電力推定部121で推定された回生可能電力132を車両電力133に決定し、車両電力計算処理を終了する。
【0046】
一方、ステップS203では、車両電力計算部122は、電力状況情報111に含まれる電力を車両電力133に決定し、車両電力計算処理を終了する。
【0047】
なお、ステップS203で車両電力133として決定される電力状況情報111に含まれる電力は、当該車両における力行電力であり、車両電力133において正値で表される。一方、ステップS202で車両電力133として決定される回生可能電力132は、前述したように当該車両における回生電力の推定値であり、これは車両電力133において負値で表される。
【0048】
以上、図7の車両電力計算処理を実行することによって、回生可能電力推定部121は、車両電力133を算出することができ、これを余剰電力計算部123に出力する。
【0049】
(1-4)余剰電力の算出
(1-4-1)余剰電力計算処理
図8は、余剰電力計算処理の処理手順例を示すフローチャートである。前述したように、余剰電力計算処理は余剰電力計算部123によって実行される。
【0050】
図8によればまず、余剰電力計算部123は、電力状況情報111に含まれる全ての車両102のデータ数Nを取得する(ステップS301)。
【0051】
次に、余剰電力計算部123は、範囲カウンタを表す変数iを「1」とし、算出すべき余剰電力Xを「0」で初期化する(ステップS302)。
【0052】
次に、余剰電力計算部123は、車両電力133を参照して車両iの電力Pが負か否かを判定し(ステップS303)、負であればステップS304に進み、負以外、すなわち正または0であれば、ステップS304,S305をスキップしてステップS306に進む。なお、車両電力計算処理で前述したように、車両電力133において、車両iの電力Pは、力行電力の場合は正値で表され、回生電力の場合は負値で表される。したがって、ステップS303において車両iの電力Pが負の場合は、回生電力が発生するため、余剰電力が発生し得る状況であることを意味する。
【0053】
ステップS304では、余剰電力計算部123は、車両iから距離Wの範囲にある全ての車両について、回生可能電力推定部121によって算出された各車両の車両電力133を加算して、その和に「-1」を掛けた値を余剰電力Yとして算出する。なお、距離Wは、余剰電力134を算出する範囲(余剰電力判定範囲)を定める距離であり、詳細は後述する。
【0054】
次に、余剰電力計算部123は、現在記憶されている余剰電力Xと余剰電力Yとを比較し、大きい方の値で余剰電力Xを更新し(ステップS305)、ステップS306に進む。
【0055】
ステップS306では、余剰電力計算部123は、変数iの値を「1」加算する。
【0056】
次に、余剰電力計算部123は、iがステップS301で取得したNよりも大きいか否かを判定する(ステップS307)。ステップS307においてiがNよりも大きい場合、N個の全車両102について余剰電力Xの算出が終了していることを意味し、このときステップS308に進む。一方、ステップS307においてiがN以下の場合、余剰電力Xの算出が行われていない車両102が残っていることを意味し、このときステップS303に戻り、ステップS303以降の処理を繰り返す。
【0057】
そして、ステップS308において、余剰電力計算部123は、最終的な余剰電力Xを余剰電力134として充放電制御指令部124に出力し、余剰電力計算処理を終了する。
【0058】
ここで、ステップS304で使用した、余剰電力134の判定範囲を定める距離Wについて補足する。
【0059】
本実施形態において距離Wは、例えば、予め定めた固定値としてもよく、具体的には5[km]等と設定することができる。距離Wは、回生車両から電力供給できる範囲を示すものであり、回生絞り込みを少なくするためには小さい値の方がよい。一方で、距離Wを過剰に小さくすると、本来融通できる範囲であっても電力を融通できない範囲として算出することになり、余剰電力計算処理で算出される余剰電力134が多くなってしまうために、融通したほうが良い状況であっても蓄電システム104に充電するという制御指令が決定されてしまう現象が発生し得る。したがって、距離Wを固定値とする場合は、路線を走行する車両102の本数や瞬時電力等を考慮して決定することが好ましい。
【0060】
また、本実施形態において距離Wは、一意的に定められるのではなく、例えばリアルタイムに算出されるようにしてもよい。具体的には、車両iの電力P[kW]、架線の長さあたりの抵抗R[Ω/km]、回生絞り込みを抑制する電位差の限界Vx[V]を用いて、以下の式4によってリアルタイムに距離Wを算出することができる。なお、式4においてWの単位は[km]である。また、Vxは、車両力行時の基準電圧V1と車両回生時の基準電圧V2を用いて、以下の式5によって算出される。
【数4】
【0061】
なお、上記の式5において、車両力行時の基準電圧V1及び車両回生時の基準電圧V2は、路線を走行する車両102のデータを基に、力行時と回生時のそれぞれの平均値を算出することによって定めてもよい。
【0062】
(1-4-2)具体的な算出例
図9は、在線する全車両の電力の一例を示す図である。図9に示した電力情報1411は、在線する各車両102からの電力状況情報111に含まれる各車両の車両ID(車両No)及び位置と、車両電力133に示される各車両の電力と、をまとめた具体例を示すものである。以下の説明では、車両No1~車両No6の車両を車両1~車両6と表記する。図9の電力情報1411を用いて、図8に示した余剰電力計算処理による余剰電力134の具体的な算出例を説明する。
【0063】
まずステップS301では、図9からN=6を取得する。次に、ステップS302では、i=1、余剰電力X=0とする。
【0064】
ステップS303では、車両i(i=1)の電力が負であるかを判定する。図9によれば、車両1の電力は2400[kW]で正であることから、ステップS306に進む。
【0065】
ステップS306ではi=2となり、次のステップS307の判定では、i>Nではないことから、ステップS303に戻る。
【0066】
i=2の場合も、車両iの電力は1300[kW]で正であることから、ステップS303の判定結果はNOとなり、ステップS306に進み、i=3となる。そして、ステップS307ではi>Nではないことから、再びステップS303に戻る。
【0067】
i=3の場合、車両iの電力は-3400[kW]で負となる。そこで、ステップS303の判定結果はYESとなり、ステップS304に進む。
【0068】
ステップS304では、余剰電力判定範囲とする距離W内の車両の電力から余剰電力Yを計算する。本例では距離Wを5[km]とする。ここで、図9によれば、車両i(i=3)の位置は6.0[km]であるから、この位置を基準として±5[km]の範囲内に存在する車両は、車両1、車両2、車両3、及び車両4となる。そこでこれらの各車両の電力を加算すると、2400+1300-3400-2800=-2500[kW]となり、これに「-1」を掛けることで、余剰電力Y=2500が得られる。
【0069】
次にステップS305では、現在の余剰電力X(=0)と余剰電力Y(=2500)とを比較し、大きいほうの値を余剰電力Xとするので、余剰電力X=2500となる。
【0070】
次にステップS306では、i=4となり、ステップS307ではi>Nではないことから、再びステップS303に戻る。
【0071】
i=4の場合、車両iの電力は-2800[kW]で負となるため、ステップS303の判定結果はYESとなり、ステップS304に進む。
【0072】
ステップS304では、余剰電力Yを計算する。図9によれば、車両i(i=4)の位置は11.0[km]であるから、この位置を基準として±5[km]の範囲内に存在する車両は、車両3、車両4、及び車両5となる。そこでこれらの各車両の電力を加算すると、-3400-2800+2400=-3800[kw]となり、これに「-1」を掛けることで、余剰電力Y=3800が得られる。
【0073】
次に、ステップS305では、現在の余剰電力X(=2500)と余剰電力Y(=3800)とを比較し、大きいほうの値を余剰電力Xとするので、余剰電力X=3800となる。
【0074】
次に、ステップS306ではi=5となり、ステップS307ではi>Nではないことから、再びステップS303に戻る。
【0075】
i=5の場合、車両iの電力は2400[kW]で正であることから、ステップS303の判定結果はNOとなり、ステップS306に進み、i=6となる。そして、ステップS307ではi>Nではないことから、再びステップS303に戻る。
【0076】
i=6の場合、車両iの電力は3600[kW]で正であることから、ステップS303の判定結果はNOとなり、ステップS306に進み、i=7となる。そして、ステップS307ではi>Nとなることから、ステップS308に進む。
【0077】
そして、ステップS308では、現在の余剰電力X(=3800)が最終的に算出された余剰電力134として出力される。以上のように計算することで、余剰電力計算部123は、余剰電力判定範囲Wで定められたうちで最も大きい余剰電力を抽出することができる。
【0078】
(1-5)充放電制御指令の決定
図10は、充放電制御指令決定処理の処理手順例を示すフローチャートである。前述したように、充放電制御指令決定処理は充放電制御指令部124によって実行される。
【0079】
図10によればまず、充放電制御指令部124は、蓄電制御システム105が蓄電システム104から受信した状態情報112のうちから、蓄電システム104の最大充電電力Cを取得する(ステップS401)。
【0080】
次に、充放電制御指令部124は、ステップS401で取得した最大充電電力Cと、余剰電力計算部123による余剰電力計算処理で算出された余剰電力134とを比較し、小さい方の値を充放電制御指令113として決定し(ステップS402)、充放電制御指令決定処理を終了する。このようにして決定された充放電制御指令113は、最大充電電力Cを超えることなく、当該時点で算出された余剰電力134を最大限に充電する指令となり、これが蓄電システム104に入力される。
【0081】
以上、本実施形態に係る鉄道システム100では、蓄電制御システム105において上述した各処理が行なわれることによって、車両102の回生電力で余剰となり得る電力を算出し、蓄電システム104において、最大充電電力の性能を考慮した充放電を行うことが可能となる。
【0082】
特に、本実施形態に係る鉄道システム100によれば、回生絞り込み制御による回生絞り込み量を考慮して、本来利用できるはずの回生電力(回生可能電力)を推定し、この回生可能電力を用いて余剰電力を算出することにより、蓄電システム104に対する省エネルギー効率の高い充放電制御を実現することができる。
【0083】
(2)第2の実施形態
(2-1)構成
第1の実施形態では、回生車両から一定範囲(W)内に存在する全ての車両102の電力を加算することによって余剰電力134を算出し、蓄電システム104の充放電を決定する鉄道システム100について説明した。これに対し、第2の実施形態では、路線上を複数の領域に分割し、1以上の領域を余剰電力判定範囲として定め、余剰電力判定範囲に存在する車両102の電力に基づいて余剰電力234を算出し、蓄電システム104の充放電を決定する鉄道システム200について説明する。
【0084】
図11は、本発明の第2の実施形態に係る鉄道システムの構成例を示すブロック図である。図11において、実線は鉄道システム200及び関連設備の接続関係を表し、破線は鉄道システム200及び関連設備における情報の流れを表す。なお、図11においては、第1の実施形態で説明した図1と同様の構成や情報については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0085】
図11に示したように、第2の実施形態に係る鉄道システム200は、電力供給線101を介して1以上の鉄道車両102(個別には例えば鉄道車両102A,102B)に対して電力の授受を行う電力供給設備103及び蓄電システム104と、蓄電システム104の制御を行う蓄電制御システム201とを備えて構成される。
【0086】
このうち、蓄電制御システム201は、各車両102A,102Bからの電力状況情報111(個別には電力状況情報111A,111B)と蓄電システム104からの状態情報112とに基づいて充放電制御指令113を決定し、蓄電システム104に伝送する点で、第1の実施形態における蓄電制御システム105と同様であるが、その内部構成が蓄電制御システム105と異なっている。また、図11に示した各種情報(電力状況情報111、状態情報112、充放電制御指令113)は、図1と同様であり、説明を省略する。
【0087】
図12は、図11に示した蓄電制御システム201の内部構成例を示すブロック図である。図12に示したように、蓄電制御システム201は、在線領域判断部221、回生可能電力推定部121、車両電力計算部122、余剰電力計算部222、及び充放電制御指令部124を備えて構成される。
【0088】
在線領域判断部221は、電力状況情報111に含まれる位置、及び予め定められた領域マップ231に基づいて、各車両102が路線内のどの領域に存在しているかを判断し、その存在領域を示す在線領域情報232を算出する。在線領域判断部221による上記の処理を在線判断処理と称し、その処理手順は後述する図15に示す。
【0089】
回生可能電力推定部121は、第1の実施形態と同様の回生可能電力推定処理(図6参照)を実行することにより、回生可能電力132を推定する(回生可能電力推定処理)。また、車両電力計算部122は、第1の実施形態と同様の車両電力計算処理(図7参照)を実行することにより、各車両102の車両電力133を算出する。
【0090】
余剰電力計算部222は、電力状況情報111に含まれる全ての車両102のデータに対して得られた在線領域情報232及び車両電力133、並びに、予め定められた制御テーブル233に基づいて、路線内の余剰電力234を算出する。余剰電力計算部222による上記の処理を第2の余剰電力計算処理と称し、その処理手順は後述する図18に示す。
【0091】
充放電制御指令部124は、第1の実施形態と同様の充放電制御指令決定処理(図10参照)を実行することにより、蓄電システム104における充放電を制御する充放電制御指令113を決定する。但し、第1の実施形態の充放電制御指令決定処理では余剰電力計算部123で算出された余剰電力134が用いられるのに対して、第2の実施形態の充放電制御指令決定処理では、余剰電力計算部222で算出された余剰電力234が用いられる。
【0092】
(2-2)在線領域の判断
(2-2-1)領域マップ
図13は、領域マップの一例である。図13に示した領域マップ2311は、本実施形態における領域マップ231の一例であって、路線を複数の領域に分割したものである。具体的には、領域マップ2311では、2kmから5kmの範囲が領域A、5kmから9kmの範囲が領域B、9kmから11kmの範囲が領域Cと設定されている。
【0093】
図14は、領域マップの別例である。図14に示した領域マップ2312は、図13に示した領域マップ2311と同様の領域分割を領域マップ2311とは異なる形式で表したものである。
【0094】
図13及び図14に示したように、本実施形態に係る領域マップ231の形式は、特定の形式に限定されない。また、図13の領域マップ2311及び図14の領域マップ2312には上り/下りといった方向による区別がないが、本実施形態に係る領域マップ231は、方向によって領域を分けて設定してもよい。また、本実施形態に係る領域マップ231は、路線上のすべてを分割して切り分けなくてもよく、蓄電システム104の制御に必要な範囲だけを領域として切り分け、それ以外の範囲は対象外の領域としてもよい。
【0095】
(2-2-2)在線判断処理
図15は、在線判断処理の処理手順例を示すフローチャートである。前述したように、在線判断処理は在線領域判断部221によって実行される。
【0096】
図15によればまず、在線領域判断部221は、車両102から受信した電力状況情報111から位置を抽出する(ステップS501)。
【0097】
次に、在線領域判断部221は、ステップS501で抽出した位置が領域マップ231においてどの領域に含まれるかを判断することによって、当該車両102の在線領域を判断し(ステップS502)、在線判断処理を終了する。なお、上記位置が領域マップ231においてどの領域にも含まれない場合は、対象外領域と判断する。具体的には例えば図13の領域マップ2311を用いる場合、在線領域は、領域A,B,Cまたは対象外領域の何れかに判断される。在線領域判断部221による判断結果は、在線領域情報232として出力され、余剰電力計算部222に入力される。
【0098】
(2-3)余剰電力の算出
(2-3-1)制御テーブル
第2の実施形態における余剰電力の算出に用いられる制御テーブル233は、路線上を予め複数の領域に分割し、その分割した領域を1以上組み合わせることによって余剰電力234を判断する範囲(余剰電力判定範囲)を定めるテーブルデータである。制御テーブル233で定める範囲は1つに限定されず、複数の範囲が定められてもよい。
【0099】
図16は、路線上を分割した領域の一例を示す図である。図16には、上りと下りの複線の路線上に、電力を供給可能な変電所が4箇所設置されているケースにおける領域の分割例が示されている。より具体的には、各路線において、変電所からの方面(上り/下り)と、変電所の設置地点及び隣接する変電所間に設けた分割点とに基づいて、領域が区分けされている。なお、図16では隣接する変電所の中間地点を変電所間の領域の分割点とするが、本実施形態において変電所間に設ける分割点はこれに限らず、3以上の等分点を領域の分割点としてもよいし、その他の任意の基準で変電所間に領域の分割点を設けてもよい。また、変電所の設置地点を必ずしも領域の分割点としなくてもよい。但し、一般的には変電所は、隣接する変電所との間の区間内の車両数がある程度平均化するように設置される傾向があるため、隣接する変電所との中間地点に分割点を設けることは、各領域に配分される車両数を平均化することに所定程度の効果が期待できる。
【0100】
図17は、制御テーブルの一例である。図17に示した制御テーブル2331は、本実施形態における制御テーブル233の一例であって、図16に示した領域S1~S16のうちの1以上を組み合わせて、4つの余剰電力判定範囲が定めたものである。具体的には、余剰電力判定範囲1は、領域S5,S6,S7,S8,S10で余剰電力を判断し、余剰電力判定範囲2は、領域S7,S9,S10,S11,S12で余剰電力を判断し、余剰電力判定範囲3は、領域S7,S8,S9,S10,S12で余剰電力を判断し、余剰電力判定範囲4は、領域S4,S5,S6,S7,S8で余剰電力を判断する。
【0101】
制御テーブル233(例えば制御テーブル2331)における余剰電力判定範囲の区分けは、回生車両から電力供給できる範囲を示している。そのため、第1の実施形態で余剰電力判定範囲とした距離Wについて前述したのと同様に、回生絞り込みを少なくするためには、この範囲は小さい方がよい。一方で、過剰に範囲を小さくすると、本来融通できる範囲であっても電力を融通できない範囲として算出することになり、後述する第2の余剰電力計算処理で算出される余剰電力234が多くなってしまうため、融通したほうが良い状況であっても蓄電システム104に充電するという制御指令が決定されてしまう現象が発生し得る。以上のことから、第2の実施形態では、路線上を分割した領域を細分化しておき、これらの領域を1以上束ねて1つの余剰電力判定範囲として実施することが好ましい。上述した図16及び図17の場合、変電所の分割点(例えば中間地点)と方面ごとに路線上の領域を区分けし、自領域とその隣接領域を1つの余剰電力判定範囲と見なす手法を採用しているが、本実施形態ではこれに限らず、例えば所定距離(1km)ごとに路線を領域に区切り、距離に応じて領域を組み合わせて余剰電力判定範囲を定めるような手法を採用する等してもよい。
【0102】
(2-3-2)第2の余剰電力計算処理
図18は、第2の余剰電力計算処理の処理手順例を示すフローチャートである。前述したように、第2の余剰電力計算処理は余剰電力計算部222によって実行される。
【0103】
図18によればまず、余剰電力計算部222は、制御テーブル233に含まれている余剰電力判定範囲の総数Nを取得する(ステップS601)。
【0104】
次に、余剰電力計算部222は、範囲カウンタを表す変数iを「1」とし、算出すべき余剰電力Xを「0」で初期化する(ステップS602)。
【0105】
次に、余剰電力計算部222は、制御テーブル233の余剰電力範囲iに含まれている車両を在線領域判断部221から入力された在線領域情報232のうちから抽出し、抽出した車両の車両電力133を加算して、その和に「-1」を掛けた値を余剰電力Yとして算出する(ステップS603)。
【0106】
次に、余剰電力計算部222は、現在記憶されている余剰電力Xと余剰電力Yとを比較し、大きい方の値で余剰電力Xを更新し(ステップS604)、ステップS605に進む。
【0107】
ステップS605では、余剰電力計算部222は、変数iの値を「1」加算する。
【0108】
次に、余剰電力計算部222は、iがステップS601で取得したNよりも大きいか否かを判定する(ステップS606)。ステップS606においてiがNよりも大きい場合、制御テーブル233に定められたN個の余剰電力判定範囲の全てについて余剰電力Xの算出が終了していることを意味し、このときステップS607に進む。一方、ステップS606においてiがN以下の場合、余剰電力Xの算出が行われていない余剰電力判定範囲が残っていることを意味し、このときステップS603に戻り、ステップS603以降の処理を繰り返す。
【0109】
そして、ステップS607において、余剰電力計算部222は、最終的な余剰電力Xを余剰電力234として充放電制御指令部124に出力し、第2の余剰電力計算処理を終了する。
【0110】
(2-3-3)具体的な算出例
図19は、路線上を分割した領域ごとの電力の一例を示す図である。図19に示した電力情報2411は、在線する各車両102からの電力状況情報111に含まれる各車両の位置と車両電力133に示される各車両の電力とを図16に例示した領域の分割の設定に適用することによって、領域ごとの電力をまとめた具体例を示すものである。以下に、図19の電力情報2411及び図17の制御テーブル2331を用いて、図18に示した第2の余剰電力計算処理による余剰電力234の具体的な算出例を説明する。
【0111】
まずステップS601では、図17からN=4を取得する。次に、ステップS602では、i=1、余剰電力X=0とする。
【0112】
次に、ステップS603では、余剰電力判定範囲iに含まれる車両の電力から余剰電力Yを計算する。図17によれば、余剰電力判定範囲1に含まれる領域(領域ID)は、S5,S6,S7,S8,S10であり、図19を参照して上記各領域における車両の電力を加算すると、0-3400-2800+0+0=-6200[kW]となり、これに「-1」を掛けることで、余剰電力Y=6200が得られる。
【0113】
次に、ステップS604では、現在の余剰電力X(=0)と余剰電力Y(=6200)とを比較し、大きいほうの値を余剰電力Xとするので、余剰電力X=6200となる。
【0114】
次にステップS605では、i=2となり、ステップS606ではi>Nではないことから、ステップS603に戻る。
【0115】
ステップS603では、i=2の場合の余剰電力Yを計算する。具体的には、余剰電力判定範囲2に含まれる領域はS7,S9,S10,S11,S12であり、図19を参照して上記各領域における車両の電力を加算すると、-2800+0+0+2400+3600=3200[kW]となり、これに「-1」を掛けることで、余剰電力Y=-3200が得られる。
【0116】
次に、ステップS604では、現在の余剰電力X(=6200)と余剰電力Y(=-3200)とを比較し、大きいほうの値を余剰電力Xとするので、余剰電力X=6200となる。
【0117】
次にステップS605では、i=3となり、ステップS606ではi>Nではないことから、ステップS603に戻る。
【0118】
ステップS603では、i=3の場合の余剰電力Yを計算する。具体的には、余剰電力判定範囲3に含まれる領域はS7,S8,S9,S10,S12であり、図19を参照して上記各領域における車両の電力を加算すると、-2800+0+0+0+3600=800[kW]となり、これに「-1」を掛けることで、余剰電力Y=-800が得られる。
【0119】
次に、ステップS604では、現在の余剰電力X(=6200)と余剰電力Y(=-800)とを比較し、大きいほうの値を余剰電力Xとするので、余剰電力X=6200となる。
【0120】
次にステップS605では、i=4となり、ステップS606ではi>Nではないことから、ステップS603に戻る。
【0121】
ステップS603では、i=4の場合の余剰電力Yを計算する。具体的には、余剰電力判定範囲4に含まれる領域はS4,S5,S6,S7,S8であり、図19を参照して上記各領域における車両の電力を加算すると、1300+0-3400-2800+0=-4900[kW]となり、これに「-1」を掛けることで、余剰電力Y=4900が得られる。
【0122】
次に、ステップS604では、現在の余剰電力X(=6200)と余剰電力Y(=4900)とを比較し、大きいほうの値を余剰電力Xとするので、余剰電力X=6200となる。
【0123】
次にステップS605では、i=5となる。このとき、次のステップS606ではi>Nとなることから、ステップS607に進む。
【0124】
そして、ステップS607では、現在の余剰電力X(=6200)が最終的に算出された余剰電力234として出力される。以上のように計算することで、余剰電力計算部222は、余剰電力判定範囲で定められたうちで最も大きい余剰電力を抽出することができる。
【0125】
その後、以上のようにして算出された余剰電力234に対して、充放電制御指令部124が第1の実施形態と同様に充放電制御指令決定処理を実行することによって、充放電制御指令113が決定される。この充放電制御指令113を用いて蓄電システム104を制御することによって、車両102の回生電力で余剰となり得る電力を算出し、蓄電システム104の最大充電電力の性能を考慮した充放電を行うことが可能となる。
【0126】
特に、本実施形態に係る鉄道システム200によれば、回生絞り込み制御による回生絞り込み量を考慮して、本来利用できるはずの回生電力(回生可能電力)を推定し、この回生可能電力を用いて余剰電力を算出することにより、蓄電システム104に対する省エネルギー効率の高い充放電制御を実現することができる。
【0127】
なお、第1の実施形態に係る鉄道システム100と、第2の実施形態に係る鉄道システム200とを比較すると、以下のような特長が挙げられる。
【0128】
第1の実施形態に係る鉄道システム100の場合、回生電力から電力供給できる範囲(距離)を示す余剰電力判定範囲について、距離Wを一意的に定める方法の他、式4を利用してリアルタイムに距離Wを算出する方法等、距離Wに対する複数の設定方法を採用可能であることから、第2の実施形態に係る鉄道システム200に比べると、精度の高い余剰電力の算出が期待できる。但し、路線によって様々な距離Wを予め定めたり、リアルタイムで距離Wを算出したりすることは、作業負荷や処理負荷が高くなるという側面を有する。特に、リアルタイムで距離Wを算出する場合には、蓄電制御システム105における処理負荷は非常に高くなるため、十分な処理性能を確保するために、第2の実施形態に比べて設備コストが嵩むことが想定される。
【0129】
一方、第2の実施形態に係る鉄道システム200は、変電所の設置位置を考慮して路線上を区分した領域の組み合わせによって余剰電力判定範囲を定めることにより、第1の実施形態のように距離Wを用いることなく、余剰電力を算出することができる点で、蓄電制御システム201の処理負荷の増加を抑制しながらも、省エネルギー効果の高い充電制御を実現することができる。なお、一般に、変電所は、通常時に所定区間においてどの程度の車両が存在するかを想定して設置され、このような設置思想に基づいて、第2の実施形態では、変電所の設置位置を考慮した領域の区分を行っている。したがって、第2の実施形態による余剰電力の計算方法は、路線上の車両の走行状況(路線状況)が通常時に近い場合に、より効果的であると考えられる。そして、通常時とは異なる路線状況の場合には、第1の実施形態に係る余剰電力の計算方法を採用するようにしてもよい。
【0130】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。具体的には例えば、回生可能電力推定部121を、蓄電制御システム105(201)ではなく鉄道車両102側に搭載するようにしてもよい。この場合、鉄道車両102では、回生可能電力推定部121で推定される回生可能電力132に基づいて自車両の車両電力133を容易に算出することができるため、車両電力計算部122の構成を省略することもできる。
【0131】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0132】
また、図面において制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実施には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0133】
100 鉄道システム
101 電力供給線
102(102A,102B) 鉄道車両(車両)
103 電力供給設備
104 蓄電システム
105 蓄電制御システム
111(111A,111B) 電力状況情報
112 状態情報
113 充放電制御指令
121 回生可能電力推定部
122 車両電力計算部
123 余剰電力計算部
124 充放電制御指令部
131 回生性能テーブル
132 回生可能電力
133 車両電力
134 余剰電力
200 鉄道システム
201 蓄電制御システム
221 在線領域判断部
222 余剰電力計算部
231 領域マップ
232 在線領域情報
233 制御テーブル
234 余剰電力
図1
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