(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】台車、搬送支援システム及び搬送支援方法
(51)【国際特許分類】
B60P 1/02 20060101AFI20230926BHJP
B65G 35/00 20060101ALI20230926BHJP
E04G 21/16 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
B60P1/02 Z
B65G35/00 B
E04G21/16 ESW
(21)【出願番号】P 2019210837
(22)【出願日】2019-11-21
【審査請求日】2022-10-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 株式会社大林組が、ウェブサイト(アドレス:https://www.youtube.com/watch?v=RHERJJHcdBA)にて、金子智弥、大本絵利、井田慎太郎、国本勇、上野勝宏、三浦涼、川上貴裕、浅井俊一郎、武田佳祐が発明した「台車、搬送支援システム及び搬送支援方法」を含む「大林組の自動搬送システム「低床式AGV」の建築資材自動搬送実験」について公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(73)【特許権者】
【識別番号】000175065
【氏名又は名称】三井不動産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】金子 智弥
(72)【発明者】
【氏名】大本 絵利
(72)【発明者】
【氏名】井田 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】国本 勇
(72)【発明者】
【氏名】上野 勝宏
(72)【発明者】
【氏名】三浦 涼
(72)【発明者】
【氏名】川上 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】浅井 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】武田 佳祐
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/053171(WO,A1)
【文献】特開2019-073396(JP,A)
【文献】特開平04-120606(JP,A)
【文献】特開2009-033565(JP,A)
【文献】特開2019-091273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/00- 1/64
B65G 35/00
E04G 21/16
G05D 1/00- 1/12
B61B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転方向及び速度を制御可能な駆動車輪と、
前記駆動車輪の駆動を制御する
台車制御部と、
搬送対象物を載置するための載置面と、
前記載置面の高さ位置を変える昇降機構と、
搬送対象物を撮影する撮影部と、
前記撮影部を回動可能に支持する支持部と、
周囲の配置情報を取得する状況取得部とを備え、
前記
台車制御部は、
前記撮影部により前記周囲を撮影する場合には、前記支持部を回動させて第1高さに配置し、
前記撮影部から取得した画像に基づいて、搬送対象物を特定し、
前記状況取得部から取得した配置情報を用いて、前記搬送対象物の下に移動するように、前記駆動車輪を駆動
するとともに、前記撮影部が前記載置面よりも低い第2高さになるように回動させて前記支持部を配置し、
前記昇降機構により、前記載置面に前記搬送対象物を載置させることを特徴とする台車。
【請求項2】
前記
台車制御部は、前記撮影部から、前記搬送対象物に付されたマーカーを取得し、
前記マーカーに基づいて前記搬送対象物を特定することを特徴とする請求項1に記載の台車。
【請求項3】
前記
台車制御部は、前記マーカーの配置に応じて、前記搬送対象物の下に入り込むためのルートを特定することを特徴とする請求項2に記載の台車。
【請求項4】
前記
台車制御部は、
搬送開始領域及び搬送終了領域が設定されたマップを保持し、
前記撮影部を用いて、前記マップの前記搬送開始領域における前記搬送対象物を特定して、前記搬送対象物を載置し、
前記マップの搬送終了領域において前記載置した搬送対象物を荷下ろしすることを特徴とする請求項1~
3の何れか1項に記載の台車。
【請求項5】
表示部と、
回転方向及び速度を制御可能な駆動車輪と、
前記駆動車輪の駆動を制御する台車制御部と、搬送対象物を載置するための載置面と、前記載置面の高さ位置を変える昇降機構と、搬送対象物を撮影する撮影部と、
前記撮影部を回動可能に支持する支持部と、周囲の配置情報を取得する状況取得部とを備えて自走する台車を用いた搬送指示を行なう制御部とを備えた搬送支援システムであって、
前記制御部が、
前記表示部に、前記台車が移動可能なマップを含めたエリア設定画面を表示し、
前記エリア設定画面において、前記マップにおいて設定された搬送開始領域及び搬送終了領域の配置に関するエリア情報を取得し、
前記表示部に、搬送するコンテナの識別情報を設定するためのコンテナ設定画面を表示し、
前記コンテナ設定画面において、搬送対象のコンテナの識別情報に関するコンテナ情報を取得し、
前記台車に対して、
前記識別情報のコンテナを、前記搬送開始領域から前記搬送終了領域に搬送する搬送指示を送信
し、
前記台車の前記台車制御部は、
前記撮影部により前記周囲を撮影する場合には、前記支持部を回動させて第1高さに配置し、
前記撮影部から取得した画像に基づいて、前記搬送開始領域における前記識別情報のコンテナを、搬送対象物として特定し、
前記状況取得部から取得した配置情報を用いて、前記搬送対象物の下に移動するように、前記駆動車輪を駆動するとともに、前記撮影部が前記載置面よりも低い第2高さになるように回動させて前記支持部を配置し、
前記昇降機構により、前記載置面に前記搬送対象物を載置させることを特徴とする搬送支援システム。
【請求項6】
表示部と、
回転方向及び速度を制御可能な駆動車輪と、
前記駆動車輪の駆動を制御する台車制御部と、搬送対象物を載置するための載置面と、前記載置面の高さ位置を変える昇降機構と、搬送対象物を撮影する撮影部と、
前記撮影部を回動可能に支持する支持部と、周囲の配置情報を取得する状況取得部とを備えて自走する台車を用いた搬送指示を行なう制御部とを備えた搬送支援システムを用いる搬送支援方法であって、
前記制御部が、
前記表示部に、前記台車が移動可能なマップを含めたエリア設定画面を表示し、
前記エリア設定画面において、前記マップにおいて設定された搬送開始領域及び搬送終了領域の配置に関するエリア情報を取得し、
前記表示部に、搬送するコンテナの識別情報を設定するためのコンテナ設定画面を表示し、
前記コンテナ設定画面において、搬送対象のコンテナの識別情報に関するコンテナ情報を取得し、
前記台車に対して、
前記識別情報のコンテナを、前記搬送開始領域から前記搬送終了領域に搬送する搬送指示を送信
し、
前記台車の前記台車制御部は、
前記撮影部により前記周囲を撮影する場合には、前記支持部を回動させて第1高さに配置し、
前記撮影部から取得した画像に基づいて、前記搬送開始領域における前記識別情報のコンテナを、搬送対象物として特定し、
前記状況取得部から取得した配置情報を用いて、前記搬送対象物の下に移動するように、前記駆動車輪を駆動するとともに、前記撮影部が前記載置面よりも低い第2高さになるように回動させて前記支持部を配置し、
前記昇降機構により、前記載置面に前記搬送対象物を載置させることを特徴とする搬送支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場等において搬送対象物を搬送するための台車、搬送支援システム及び搬送支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場においては、資機材を搬送するために、ジャッキを備えた搬送装置を用いることがある。通常、資機材は、間隔をおいて配置された2つの厘木の上に配置されている。そして、搬送装置は、厘木の間に潜り込んで、資機材を厘木から持ち上げて搬送を行なう(例えば、特許文献1参照)。この文献に記載の技術においては、台車は、ホイールとジャッキとを備えている。台車の制御部は、ホイールがそれぞれ取り付けられたモータの回転方向及び速度を制御することにより、台車を、所定方向(前後方向、左右方向、斜め方向)に走行させ又は旋回させる。制御部は、ポンプを駆動制御し、各ポンプに接続されているジャッキのラムを昇降させて、ラムの先端に固定された載置台を昇降させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された台車では、床面に貼付された磁気テープ(ガイド部材)を用いる。そして、台車は、搬送開始地点において載置台を上昇させ、搬送対象物の搬送終了地点において載置台を下降させる。しかしながら、ガイド部材を準備する場合、状況に応じた効率的な搬送が難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する台車は、回転方向及び速度を制御可能な複数の駆動車輪と、直進移動と中心軸回りの旋回とを行なうために、前記複数の駆動車輪の駆動を制御する制御部と、搬送対象物を載置するための載置面と、前記複数の駆動車輪に囲まれた領域に配置され、前記載置面を昇降させるための昇降機構と、搬送対象物を撮影する撮影部と、周囲の配置情報を取得する状況取得部とを備える。そして、前記制御部は、前記撮影部から取得した画像に基づいて、搬送対象物を特定し、前記状況取得部から取得した配置情報を用いて、前記搬送対象物の下に移動するように、前記駆動車輪を駆動し、前記昇降機構により、前記載置面に前記搬送対象物を載置させる。
【0006】
また、搬送支援システムは、表示部と、回転方向及び速度を制御可能な駆動車輪と、搬送対象物を載置するための載置面と、前記載置面を昇降させるための昇降機構と、搬送対象物を撮影する撮影部と、周囲の配置情報を取得する状況取得部とを備えて自走する台車を用いた搬送指示を行なう制御部とを備える。そして、前記制御部が、前記表示部に、前記台車が移動可能なマップを含めたエリア設定画面を表示し、前記エリア設定画面において、前記マップにおいて設定された搬送開始領域及び搬送終了領域の配置に関するエリア情報を取得し、前記表示部に、搬送するコンテナの識別情報を設定するためのコンテナ設定画面を表示し、前記コンテナ設定画面において、搬送対象のコンテナの識別情報に関するコンテナ情報を取得し、前記台車に対して、前記撮影部及び前記状況取得部を用いて、前記識別情報のコンテナを前記昇降機構で前記載置面に載置し、前記駆動車輪を駆動して走行させて、前記マップにおける前記搬送開始領域から前記搬送終了領域に搬送する搬送指示を送信する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送対象物を効率的に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態における台車についてカメラの立設状態の外観斜視図。
【
図2】実施形態における台車についてカメラの収納状態の外観斜視図。
【
図4】実施形態における情報処理装置の構成例の説明図。
【
図5】実施形態における管理者端末の機能ブロックの説明図。
【
図6】実施形態における台車の機能ブロックの説明図。
【
図7】実施形態におけるレイアウトマップの説明図。
【
図9】実施形態における搬送経路の設定処理の処理手順の説明図。
【
図10】実施形態におけるコンテナの設定処理の処理手順の説明図。
【
図11】実施形態における搬送先の設定処理の処理手順の説明図。
【
図12】実施形態における搬送管理処理の処理手順の説明図。
【
図13】実施形態における積載時処理の処理手順の説明図。
【
図14】実施形態におけるエレベータ利用処理の処理手順の説明図。
【
図15】実施形態におけるエレベータを用いない場合の搬送経路の説明図であって、(a)はゴールエリアが1箇所で空コンテナを回収しない場合、(b)はゴールエリアが1箇所で空コンテナを回収する場合、(c)はゴールエリアが2箇所で空コンテナを回収しない場合、(d)はゴールエリアが2箇所で空コンテナを回収する場合の説明図。
【
図16】実施形態におけるエレベータを用いる場合の搬送経路の説明図であって、(a)はゴールエリアが1箇所で空コンテナを回収しない場合、(b)はゴールエリアが1箇所で空コンテナを回収する場合、(c)はゴールエリアが2箇所で空コンテナを回収しない場合、(d)はゴールエリアが2箇所で空コンテナを回収する場合の説明図。
【
図17】実施形態における修正用ハンドルの説明図。
【
図18】実施形態における搬送経路の説明図であって、(a)はストックエリアが配置されたフロア、(b)はゴールエリアが配置されたフロアの説明図。
【
図19】実施形態におけるコンテナの設定画面の説明図。
【
図20】実施形態における搬送先の設定画面の説明図。
【
図22】実施形態におけるマーカーの見え方の説明図であって、(a)は台車がコンテナに正対していない場合、(b)は台車がコンテナに正対している場合の説明図。
【
図23】実施形態におけるコンテナの積載時の動作の説明図であって、(a)は一旦停止時、(b)は潜り込み時の説明図。
【
図25】変更例における台車の説明図であって、(a)は載置面を下げた場合、(b)は載置面を上げた場合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1~
図23を用いて、台車、搬送支援システム及び搬送支援方法を具体化した一実施形態について説明する。
図1に示すように、管理者端末10、台車20、オペレータ端末30を用いる。台車20は、管理者端末10及びオペレータ端末30と、無線によりデータの送受信を行なう。管理者端末10~オペレータ端末30は、情報処理装置として機能する。
【0010】
(台車20の構成)
図1に示すように、台車20は、水平断面が略四角形状をした本体部に、駆動車輪としてのホイール24、昇降機構としてのジャッキ25を備える搬送装置である。このホイール24は、コンピュータにより制御される。本実施形態では、ホイール24として、メカナムホイールを用いる。メカナムホイールを用いることにより、台車20を、任意のスピードにおいて、前後進、横移動、旋回、斜め移動させることができる。
【0011】
本体部は、固定筐体部201と可動筐体部202とから構成されている。固定筐体部201は、台車20のホイール24やキャスタ(図示せず)によって移動可能に支持されている。可動筐体部202には、板形状の載置面が設けられている。この載置面は、ジャッキ25により、固定筐体部201に対して高さ位置の変更(昇降)可能になっている。
【0012】
ジャッキ25は、固定筐体部201に固定されており、載置面の下方に配置されている。ジャッキ25は、それぞれホイール24の間で一つずつ配置させることにより、複数のホイール24に囲まれた領域に配置される。本実施形態では、ジャッキ25は、載置面に対してバランスよく配置される。本実施形態では、ジャッキ25として、油圧ジャッキを用いる。
【0013】
更に、台車20は、撮影部としてのカメラ26、状況取得部としての測域センサ27を備える。カメラ26は、支持部としてのアーム261(約50cm)に支持されている。このアーム261は、アーム駆動部262によって回動されることにより、カメラ26は立設状態(第1高さ)、収納状態(第2高さ)となる。このため、固定筐体部201と可動筐体部202との間には収納部203が設けられている。
図1では、立設状態を示している。
【0014】
図2に示すように、アーム駆動部262によってアーム261を回動することにより、アーム261に取り付けられたカメラ26を固定筐体部201に収納状態にする。この場合、可動筐体部202の載置面が、台車20において最上端となる。
【0015】
カメラ26は、台車20の正面の可視画像を撮影することにより、2次元画像を取得する。
測域センサ27は、レーザ光をスキャニングしながら検出物までの距離を測定することにより、配置情報を取得する走査型の光距離センサである。本実施形態では、測域センサ27は、2次元走査型の光距離センサを用いて、2次元配置情報を取得するが、2軸走査により3次元配置情報を取得するようにしてもよい。そして、測域センサ27を用いて、フロアの環境マップの作成や、コンテナ40の脚部41の形状の特定、障害物の認識を行なう。
【0016】
(コンテナ40の構成)
次に、
図3を用いて、コンテナ40の構成を説明する。このコンテナ40は、搬送時に、台車20の載置面において搬送対象物の資機材70を載置した状態で持ち上げられる。
【0017】
コンテナ40は、2つの脚部41と、脚部41間を橋渡しする天板部42とから構成される。そして、資機材70は、天板部42の上面に配置される。コンテナ40の天板部42の横幅、奥行きは変更可能であるが、脚部41の正面側は左右で同じ形状に統一されている。
【0018】
脚部41の前面にはマーカー43a、側面にはマーカー43bが貼付されている。マーカー43a、43bは、各コンテナ40を識別するためのコンテナIDに関する情報を含む。マーカー43a、43bには、所謂ARマーカーを用いており、マーカーを捉えたカメラとの間の距離および角度を計算することができる。更に、コンテナ40の前面と側面とは、異なる配色がされている。
【0019】
(情報処理装置の構成例)
図4は、管理者端末10、台車20、オペレータ端末30等として機能する情報処理装置H10のハードウェア構成例である。
【0020】
情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶部H14、プロセッサH15を有する。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアを有していてもよい。
【0021】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースカードや無線インタフェース等である。
【0022】
入力装置H12は、利用者等からの入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイやタッチパネル等である。
【0023】
記憶部H14は、管理者端末10~オペレータ端末30の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置(例えば、後述するフロアマップ記憶部12、設定情報記憶部13、環境マップ記憶部22、設定情報記憶部23)である。記憶部H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0024】
プロセッサH15は、記憶部H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、管理者端末10~オペレータ端末30等として機能する情報処理装置H10における各処理(例えば、後述する制御部11,21における処理)を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各種処理に対応する各種プロセスを実行する。例えば、プロセッサH15は、管理者端末10~オペレータ端末30のアプリケーションプログラムが起動された場合、後述する各処理を実行するプロセスを動作させる。
【0025】
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行うものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、プロセッサH15は、〔1〕コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、〔2〕各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは〔3〕それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0026】
(管理者端末10の機能)
次に、
図5を用いて、管理者端末10の機能を説明する。管理者端末10は、台車20の管理者が用いるコンピュータ端末(搬送支援システム)である。この管理者端末10を用いて、台車20に対して、搬送指示を行なう。管理者端末10は、制御部11、フロアマップ記憶部12、設定情報記憶部13を備える。
【0027】
制御部11は、設定管理段階、エリア設定段階、経路設定段階、コンテナ設定段階等の情報処理を実行する。このため、制御部11には、搬送指示プログラムが格納されている。この搬送指示プログラムを起動することにより、制御部11は、設定管理部110、エリア設定部111、経路設定部112、コンテナ設定部113として機能する。
【0028】
設定管理部110は、エリア、経路、コンテナ40の各種設定を行なうためのユーザインターフェースを管理する処理を実行する。
エリア設定部111は、フロアレイアウト図において、搬送に関連する各エリアを設定する処理を実行する。本実施形態では、ストックエリア、ゴールエリア、エンプティエリア、リターンエリア、ホームポジション等を設定する。
【0029】
ストックエリアは、コンテナ40を荷積み(ジャッキアップ)して搬送を開始する搬送元の搬送開始領域である。ゴールエリアは、コンテナ40を荷下ろし(ジャッキダウン)して搬送を終了する搬送先の搬送終了領域である。エンプティエリアは、ゴールエリアに対応しており、搬送後の空コンテナを一時的に置く場所であり、ここで空コンテナを回収する。リターンエリアは、ストックエリアに対応しており、回収した空コンテナを戻す場所である。ホームポジションは、搬送作業を終了した台車20が戻る場所である。
【0030】
経路設定部112は、フロアレイアウト図において、台車20の移動経路を設定する処理を実行する。例えば、ストックエリアにおいて、コンテナ40を載置し、ゴールエリアで荷下ろしするための経路を設定する。また、ゴールエリア近傍のエンプティエリアで空コンテナを載置し、ストックエリア近傍のリターンエリアに戻し、ホームポジションに戻る経路を設定することも可能である。
【0031】
コンテナ設定部113は、搬送するコンテナ40を設定する処理を実行する。更に、コンテナ設定部113は、このコンテナ40の搬送元エリア及び搬送先エリアを設定する処理を実行する。
【0032】
図7に示すように、フロアマップ記憶部12は、台車20を用いる建物の各フロアのフロアマップ120を記憶する。このフロアマップ120は、複数階層からなる建物については、フロア毎に、2次元座標で、壁121、柱等の障害物122、仮設エレベータ123等の配置(レイアウト)が記録される。
【0033】
設定情報記憶部13は、管理者端末10において用いられる各種情報を記憶する。具体的には、この設定情報記憶部13には、エリア情報、経路情報、コンテナ情報、オプション情報等が記録される。
【0034】
エリア情報には、フロアマップの2次元座標に対して設定された各エリアの配置が記録される。例えば、ストックエリア、ゴールエリア、ホームポジション、エンプティエリア、リターンエリア等の配置が設定される。各エリアのエリア情報には、エリア識別子に対して、領域座標が記録される。更に、このエリア情報には、各エリアへの進入方向が設定される。各設定の詳細は後述する。
【0035】
経路情報には、フロアマップにおいて設定された各エリア間の移動順番が記録される。
コンテナ情報には、台車20により搬送するコンテナ40に関する情報が記録される。具体的には、コンテナ情報には、コンテナID、搬送対象物のサイズ、ストックエリアID、ゴールエリアID、着地位置・向きに関する情報が記録される。なお、搬送対象物のサイズには、コンテナ40と資機材70のサイズの内、大きな方を用いる。
オプション情報には、コンテナ40の搬送順序、搬送の終了条件に関する情報が記録される。
【0036】
(台車20の機能)
次に、
図6を用いて、台車20の機能を説明する。
台車20は、制御部21、環境マップ記憶部22、設定情報記憶部23を備える。上述したように、更に、台車20は、ホイール24、ジャッキ25、カメラ26、アーム261、アーム駆動部262、測域センサ27を備える。
【0037】
各ホイール24は、それぞれホイール駆動部241により駆動され、回転速度や回転方向が制御される。ホイール駆動部241は、モータ、ホイールエンコーダを備える。これにより、台車20を、任意のスピードにおいて、前後進、横移動、旋回、斜め移動させることができる。
各ジャッキ25は、それぞれジャッキ駆動部251により、昇降制御される。これにより、台車20の載置面を上昇させたり降下させたりすることができる。
アーム駆動部262は、先端にカメラ26が取り付けられたアーム261を回動させる。
【0038】
制御部21は、マップ作成段階、走行制御段階、積載制御段階等の情報処理を実行する。このため、制御部21には、搬送実行プログラムが格納されている。この搬送実行プログラムを起動することにより、制御部21は、マップ作成部211、走行制御部212、積載制御部213として機能する。
【0039】
マップ作成部211は、フロアマップが登録された場合、予め各フロアを自走して、測域センサ27を用いて、障害物の配置を含めた環境マップの生成処理を実行する。
走行制御部212は、ホイール24を駆動して、目的地(搬送元、搬送先)に移動する処理を実行する。この場合、走行制御部212は、積載制御部213が特定した搬送対象物(コンテナ)の下までの走行経路を決定し、この走行経路に応じて、ホイール24を駆動する。
【0040】
積載制御部213は、ストックエリアにおいて、搬送対象物を載置したコンテナ40を特定し、荷積みする処理を実行する。本実施形態では、コンテナ40の配色、形状を含めた画像認識、及びコンテナ40に付されたマーカーの読み取りにより、搬送対象物を特定する。更に、特定した搬送対象物の下に潜り込んで、台車20の載置面を昇降させる。
【0041】
図8に示すように、環境マップ記憶部22には、マップ作成部211が作成した環境マップ220が記録される。この環境マップは、フロア毎に記録される。環境マップ220には、各フロアのレイアウトが設定される。環境マップ220では、フロアマップ120の壁121~仮設エレベータ123に対応して、測域センサ27を用いて計測した壁221、障害物222、仮設エレベータ223等の配置が記録される。この環境マップ220には、台車20やコンテナ40の大きさに応じて進入禁止領域225が設定される。ここでは、マップ作成部211は、壁221~仮設エレベータ223等の建物や障害物から、コンテナ情報に記録されたサイズのコンテナが衝突する距離で、進入禁止領域225を設定する。この進入禁止領域225を除いた領域が走行可能エリアとなる。
【0042】
設定情報記憶部23には、管理者端末10において設定されて設定情報記憶部13に記録された設定情報が記録される。
オペレータ端末30は、仮設エレベータのかごの昇降を操作するオペレータが使用するコンピュータ端末である。オペレータ端末30を用いることにより、無線通信により、台車20に対して仮設エレベータのかごへの乗車や降車の指示を行なう。
【0043】
(搬送指示の登録処理)
次に、
図9~
図11を用いて、上述した台車20における搬送指示の登録処理について説明する。この搬送指示の登録処理は、管理者端末10を用いて、搬送経路の設定処理、コンテナの設定処理、搬送先の設定処理の順番で行われる。搬送経路の設定処理では、現場内における搬送元と搬送先の領域とその間の経路等を設定する。コンテナの設定処理では、サイズに基づくコンテナ40の分類と2次元コードの割り振りを設定する。搬送先の設定処理では、搬送先領域へのコンテナ40の割り振りと位置・向きを設定する。
【0044】
(搬送経路の設定処理)
図9を用いて、搬送経路の設定処理について説明する。
まず、管理者端末10の制御部11は、領域の設定処理を実行する(ステップS1-1)。具体的には、管理者端末10において、搬送経路の設定指示が入力された場合、制御部11の設定管理部110は、設定画面を出力する。この設定画面を用いて、仮設エレベータの有無、空コンテナの回収の有無、搬送先の数を入力する。この場合、設定管理部110は、搬送元のストックエリア(S)、搬送先のゴールエリア(G*)、ホームポジション(H)の各エリアを設定する。更に、必要に応じて、エンプティエリア(E*)、リターンエリア(R)、仮設エレベータ(ELV)の各エリアを設定する。なお、「*」は、複数のゴールエリア、エンプティエリアを設定する場合に、各エリアを識別するための番号である。そして、エリア設定部111は、配置された各エリアの座標を含めたエリア情報を設定情報記憶部13に記録する。
【0045】
次に、管理者端末10の制御部11は、経路の設定処理を実行する(ステップS1-2)。具体的には、制御部11の経路設定部112は、各エリアをリンクさせて概念的な搬送経路を設定する。ここでは、ストックエリア(S)、ゴールエリア(G*)間の往復経路(リンク)及びホームポジション(H)に戻る経路を設定する。エンプティエリア(E*)、リターンエリア(R)が設定されている場合には、経路設定部112は、ゴールエリア(G*)からストックエリア(S)の復路において、エンプティエリア(E*)、リターンエリア(R)に立ち寄る経路を追加する。また、ストックエリア(S)のフロアとゴールエリア(G*)のフロアとが異なる場合には、経路設定部112は、往復経路において仮設エレベータ(ELV)を用いる経路を設定する。
【0046】
図15には、仮設エレベータを用いない場合、
図16には、仮設エレベータを用いる場合の概念的な搬送経路を示す。
図15(a)はゴールエリアが1箇所で空コンテナを回収しない場合、
図15(b)はゴールエリアが1箇所で空コンテナを回収する場合、
図15(c)はゴールエリアが2箇所で空コンテナを回収しない場合、
図15(d)はゴールエリアが2箇所で空コンテナを回収する場合の概念的な搬送経路を示す。
図16(a)はゴールエリアが1箇所で空コンテナを回収しない場合、
図16(b)はゴールエリアが1箇所で空コンテナを回収する場合、
図16(c)ゴールエリアが2箇所で空コンテナを回収しない場合、
図16(d)ゴールエリアが2箇所で空コンテナを回収する場合の概念的な搬送経路を示す。台車20で空コンテナを回収する場合は、エンプティエリア(E*)とリターンエリア(R)が必要になる。
図15において、線分(リンク)が経路を示し、三角形アイコンは進行方向を示す。三角形アイコンの向き合いは、往路と復路が重なっていることを示している。各エリア(S、G*、E*、R、ELV)に設けられた丸アイコンは、各エリアへのアプローチ(停止位置)を示しており、台車20は各エリアに進入する前に、このノード位置で一旦停止する。
【0047】
次に、管理者端末10の制御部11は、マップの取得処理を実行する(ステップS1-3)。具体的には、制御部21のマップ作成部211は、フロアマップ記憶部12に記録された各フロアのフロアマップ120に、各エリア(S、G*、E*、R、ELV、H)を配置する。
【0048】
次に、管理者端末10の制御部11は、領域・経路の修正処理を実行する(ステップS1-4)。具体的には、制御部11の設定管理部110は、管理者端末10において、設定された各エリアの位置・サイズ・向き等の修正を許容する。例えば、エリア設定部111は、設定画面において、エリア(S、G*、E*、R、ELV)の選択を検知した場合、選択されたエリアに修正用ハンドルを表示する。
【0049】
図17には、ストックエリア(S)の修正用ハンドルを例示しているが、他のエリアも同様である。この修正用ハンドルには、移動ハンドルh1、回転ハンドルh2、リサイズハンドルh3、アプローチハンドルh4がある。
移動ハンドルh1は、エリアを移動させる場合に用いる。この場合、アプローチも同時に移動する。
【0050】
回転ハンドルh2は、エリアを回転させる場合に用いる。この場合、アプローチも同時に回転する。
リサイズハンドルh3はエリアの大きさを変更する場合に用いる。この場合、アプローチは幅の比率を維持しながら移動する。
【0051】
アプローチハンドルh4は、各エリアへの進入前に一旦停止するアプローチの位置と長さを変更する場合に用いる。
そして、エリア設定部111は、修正された領域により、設定情報記憶部13のエリア情報を更新する。
【0052】
また、経路設定部112は、設定画面において、リンクの三角形の選択を検知した場合、ポップアップメニューを出力する。このポップアップメニューで、「頂点の作成」が選択された場合、経路設定部112は、リンクの選択位置に新たなノード(通過点)を追加する。このノードには移動ハンドルが表示され、ドラッグにより移動できる。なお、ポップアップメニューで「頂点の削除」が選択された場合、経路設定部112は、選択されたノードを削除する。
そして、経路設定部112は、修正された経路により、設定情報記憶部13の経路情報を更新する。
【0053】
図18は、レイアウトマップに領域・経路を設定した事例である。
図18(a)はストックエリア(S)が設定されたフロア、
図18(b)はゴールエリア(G*)が設定されたフロアである。なお、この事例では、エンプティエリアE1,E2を移動させて同じ位置で重ね合わせることにより、一つの共通のエンプティエリアが設定されている。
【0054】
(コンテナの設定処理)
次に、
図10を用いて、コンテナの設定処理について説明する。
まず、管理者端末10の制御部11は、コンテナ設定画面の表示処理を実行する(ステップS2-1)。具体的には、管理者端末10において、コンテナの設定指示が入力された場合、制御部11の設定管理部110は、コンテナ設定画面を出力する。
【0055】
図19に示すように、コンテナ設定画面510には、新規タイプ作成領域511、標準コンテナA、標準コンテナB、ロングタイプコンテナの各コンテナ設定領域512、未使用コンテナ領域515が設けられている。新規タイプ作成領域511は、新しいサイズのコンテナタイプを設定するための領域である。各コンテナ設定領域512には、それぞれ異なるサイズのコンテナタイプのコンテナアイコン516を割り振るための領域である。未使用コンテナ領域515には、コンテナタイプが割り振られていないコンテナアイコン516が配置される領域である。
【0056】
次に、管理者端末10の制御部11は、コンテナの割振処理を実行する(ステップS2-2)。具体的には、コンテナにタイプを割り振る場合、未使用コンテナ領域515のコンテナアイコン516を、各コンテナ設定領域512にドラッグする。
【0057】
新しいタイプのコンテナを作成する場合には、未使用コンテナ領域515のコンテナアイコン516を新規タイプ作成領域511にドラッグする。この場合、コンテナ設定部113は、幅、奥行、高さ、名称を設定するダイアログを表示する。ダイアログでコンテナの仕様が設定された場合、コンテナ設定部113は、各コンテナIDに対して、搬送対象物のサイズ(幅、奥行、高さ)、名称をコンテナ情報に記録する。そして、コンテナ設定部113は、コンテナ設定画面510において、新しいコンテナタイプのコンテナ設定領域512を生成する。
そして、コンテナ設定部113は、設定情報記憶部13において、各コンテナIDに対して、サイズ(幅、奥行、高さ)、名称をコンテナ情報に記録する。
【0058】
(搬送先の設定処理)
次に、
図11を用いて、搬送先の設定処理について説明する。
まず、管理者端末10の制御部11は、コンテナの搬送先領域の設定処理を実行する(ステップS3-1)。具体的には、管理者端末10において、搬送先の設定指示が入力された場合、制御部11の設定管理部110は、搬送先設定画面を出力する。
【0059】
図20に示すように、搬送先設定画面520は、レイアウトマップ領域521、搬送先未設定領域522、ゴールエリアG1領域523、ゴールエリアG2領域524を含む。設定管理部110は、レイアウトマップ領域521に、ゴールエリアが設定されたフロアのレイアウトマップを表示する。このレイアウトマップ領域521には、ゴールエリアG1,G2が設定されている。また、設定管理部110は、設定情報記憶部13に記録されたゴールエリア数に応じて、ゴールエリアG1領域523、ゴールエリアG2領域524を表示する。なお、ゴールエリアが1カ所でゴールエリアG1のみの場合には、設定管理部110は、すべてのコンテナアイコンをゴールエリアG1領域523に配置して表示する。
【0060】
各コンテナの搬送先を設定する場合、搬送先未設定領域522のコンテナアイコン525を、ゴールエリアG1領域523、ゴールエリアG2領域524の何れかにドラッグする。
図20では、コンテナID(102,104,106,108、110)のコンテナを、ゴールエリアG2に搬送する場合を想定している。
【0061】
また、コンテナ40の着地位置と向きを設定することも可能である。この場合、管理者端末10の制御部11は、コンテナの位置と向きの設定処理を実行する(ステップS3-2)。具体的には、ゴールエリアG1領域523、ゴールエリアG2領域524に表示されたコンテナアイコン525を選択して、「位置と向きを指定」ボタン528を選択する。この場合、設定管理部110は、レイアウトマップ領域521において、選択されたコンテナアイコンに、移動ハンドル、回転ハンドルを表示する。この移動ハンドル、回転ハンドルを用いて、コンテナの位置と向きを設定することができる。設定を完了した場合、設定管理部110は、コンテナ情報に、指定された位置と向きに関する情報を記録する。
【0062】
搬送先未設定領域522に配置されていたすべてのコンテナアイコン525が、ゴールエリアG1領域523、ゴールエリアG2領域524に配置されて、配送先の設定が完了した場合、設定管理部110は、設定情報記憶部13に、コンテナ情報を記録し、搬送開始アイコン527を選択可能に変更する。
【0063】
そして、管理者端末10の制御部11は、搬送指示処理を実行する(ステップS3-3)。搬送指示ボタンが選択された場合、制御部11の設定管理部110は、下記条件を確認する。
【0064】
・搬送経路が作成されていること。
・少なくともストックエリア、ゴールエリア、ホームポジションが各1箇所あること。
・少なくとも1つのコンテナIDが有効なコンテナタイプに割り当てられていること。
・搬送先が複数の場合、すべての専用コンテナに搬送先を設定していること。
【0065】
次に、設定管理部110は、搬送順序・終了条件の設定画面を出力する。この設定画面では、搬送順序として「指定なし」、「コンテナIDの正順」、「コンテナIDの逆順」をラジオボタンで選択できる。また、「終了条件」は、台車20が作業終了と判断し、ホームポジションに戻るための条件である。終了条件として「所定のコンテナの搬送」、「ストックエリアにコンテナなし」、「エンプティエリアにコンテナなし」を、AND条件のチェックボックスで選択できる。
【0066】
搬送順序・終了条件が設定された場合、設定管理部110は、搬送順序・終了条件を含めたオプション情報を設定情報記憶部13に記録する。
そして、すべての設定が完了した場合、設定管理部110は、搬送開始指示を台車20に送信する。この搬送開始指示には、設定情報記憶部13に記録されたエリア情報、経路情報、コンテナ情報、オプション情報を含める。
【0067】
(搬送管理処理)
次に、
図12を用いて、搬送管理処理について説明する。
まず、台車20の制御部21は、ホームポジションにて待機処理を実行する(ステップS4-1)。具体的には、制御部21の走行制御部212は、ホームポジションにおいて、管理者端末10からの搬送開始指示の受信を待機する。
【0068】
次に、台車20の制御部21は、搬送開始指示の取得処理を実行する(ステップS4-2)。具体的には、制御部21の走行制御部212は、管理者端末10から搬送開始指示を取得する。走行制御部212は、管理者端末10から取得した搬送開始指示のエリア情報、経路情報、コンテナ情報、オプション情報を設定情報記憶部23に記録する。
【0069】
次に、台車20の制御部21は、搬送元への移動処理を実行する(ステップS4-3)。具体的には、制御部21の走行制御部212は、設定情報記憶部23に記録された設定情報を用いて、搬送元のストックエリアに移動するように、ホイール駆動部241を制御する。この場合、走行の精度を上げるために、マップ作成部211は、測域センサ27を作動させて、環境マップを更新しながら走行する。この環境マップの作成では、周囲の形状データを取得し、フロアマップに対応させたSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)地図を作成し、環境マップ記憶部22に記録する。そして、台車20の自己位置の推定は、環境マップとオドメトリ情報とを用いる。このオドメトリ情報は、ホイール駆動部241のホイールエンコーダのカウンタ値から算出する。
【0070】
次に、台車20の制御部21は、積載時処理を実行する(ステップS4-4)。具体的には、制御部21の積載制御部213は、ストックエリアのアプローチ(待機位置)に到着した場合、コンテナ40の認識、コンテナ40への接近、コンテナ40の選択、コンテナ40への潜り込みを行なう。詳細は後述する。
【0071】
次に、台車20の制御部21は、搬送先への移動処理を実行する(ステップS4-5)。具体的には、制御部21の走行制御部212は、設定情報記憶部23に記録された設定情報を用いて、コンテナ40の搬送先のゴールエリアを特定し、このゴールエリアへの経路情報に応じて、ホイール駆動部241を制御する。この場合も、ステップS4-3と同様に、測域センサ27による環境マップの作成を行なうとともに、自己位置の推定には、環境マップとオドメトリ情報とを用いる。なお、設定情報記憶部23の経路情報に、仮設エレベータ(ELV)が設定されている場合の処理については後述する。
【0072】
次に、台車20の制御部21は、荷下ろし処理を実行する(ステップS4-6)。具体的には、制御部21の積載制御部213は、搬送先エリアにコンテナ40を着地させる。この場合、設定情報記憶部23に記録された設定情報において、搬送先領域でのコンテナ40の位置・向きが記録されている場合には、走行制御部212は、この位置・向きになるように、ホイール24を駆動する。そして、積載制御部213は、アーム駆動部262を駆動して、アーム261を回動させて、カメラ26の高さを上げて視野を確保する。
【0073】
次に、台車20の制御部21は、空コンテナ持ち帰り処理を実行する(ステップS4-7)。具体的には、制御部21の走行制御部212は、設定情報記憶部23に記録された経路情報に、エンプティエリア(E*)が設定されているかどうかを判定する。そして、エンプティエリア(E*)が設定されている場合には、走行制御部212は、エンプティエリアに移動するように、ホイール駆動部241を制御する。そして、積載制御部213は、エンプティエリアに配置されたコンテナ40の有無を確認する。積載制御部213は、エンプティエリアに任意のコンテナ40を検出した場合、ステップS4-4と同様に、コンテナ40の認識、コンテナ40への接近、コンテナ40の選択、コンテナ40への潜り込みを行なう。そして、走行制御部212は、設定情報記憶部23に記録された経路情報に設定されたリターンエリア(R)に移動するように、ホイール駆動部241を制御する。次に、制御部21の積載制御部213は、ステップS4-6と同様に、リターンエリアにコンテナ40を着地させる。
【0074】
次に、台車20の制御部21は、ホームポジションに移動処理を実行する(ステップS4-8)。具体的には、制御部21の走行制御部212は、設定情報記憶部23に記録された経路情報に設定されたホームポジション(H)に移動するように、ホイール駆動部241を制御する。
【0075】
(積載時処理)
次に、
図13を用いて、積載時処理について説明する。
ここでは、台車20の制御部21は、コンテナの探索処理を実行する(ステップS5-1)。具体的には、制御部21の積載制御部213は、アーム駆動部262を駆動して、アーム261を回動させて、カメラ26の高さを上げて視野を確保する。この状態で、積載制御部213は、台車20をその場で360度旋回させ、その間にカメラ26で検出できたコンテナ40を、カメラ26から見た相対位置情報と合わせてリスト化を行なう。ここで、コンテナ40の認識には、コンテナの色情報を用いる。この場合、積載制御部213は、各種前処理(画像のリサイズ、色相変換、ノイズ除去等)、後処理(ノイズ除去、フィルタリング等)によって認識精度の向上を図る。そして、積載制御部213は、コンテナ40の正面と側面の色とを識別することで、潜り込み可能な正面と、潜り込み不可な側面とを識別する。
【0076】
次に、台車20の制御部21は、マーカー読み取り処理を実行する(ステップS5-2)。具体的には、制御部21の積載制御部213は、カメラ26により、撮影した画像において、各コンテナ40のマーカー43aを特定する。そして、積載制御部213は、マーカー43aのコンテナIDをデコードする。
【0077】
次に、台車20の制御部21は、搬送資材の特定処理を実行する(ステップS5-3)。具体的には、制御部21の積載制御部213は、検知したコンテナ40に、台車20からの距離に応じて近い順番で優先順位を付与する。なお、設定情報記憶部23のオプション情報に搬送順序が記録されている場合には、コンテナIDを用いて、搬送順序に従って優先順位を付与する。そして、積載制御部213は、優先順位が高いコンテナ40に対して潜り込み可能な位置を目標として走行制御を行なう。なお、走行中も、コンテナ40の推定位置を随時補正する。
【0078】
次に、台車20の制御部21は、搬送資材の正面への移動処理を実行する(ステップS5-4)。具体的には、制御部21の積載制御部213は、マーカー43aとカメラ26との間の距離および角度を計算する。この場合は、積載制御部213は、カメラの解像度、視野角、設置角等から、コンテナ40までの概算距離を算出する。そして、積載制御部213は、マーカー43aとの相対位置を見ながら各ホイール24を駆動し、マーカー43aに正対する位置(コンテナ40の正面)に移動する。
【0079】
例えば、
図21に示すように、台車20がコンテナ40の正面から横にずれた位置や向きの配置P1に存在する場合、
図22(a)に示すように、撮影画像に含まれるマーカー43aは、ズレ量に応じて形状が変化する。そこで、搬送対象物のコンテナIDのマーカー43aを検出した場合、台車20は、
図22(b)に示すように、撮影したマーカー43aの変形が少なくなるように、
図21に示す配置P2に移動する。
【0080】
マーカー43aに正対した場合、積載制御部213は、コンテナ40に向かって直進する。なお、障害物回避のため、目標のコンテナ40がカメラ26の視野から外れることがある。コンテナ40を常に見ながら方向を合わせて前進することは困難である。このため、積載制御部213は、絶対座標平面上に台車20とコンテナ40とを配置して、台車20の座標平面上で自己位置を推定しながら、コンテナ40の正面まで走行する。
【0081】
次に、台車20の制御部21は、カメラ収納処理を実行する(ステップS5-5)。
【0082】
具体的には、
図23(a)に示すように、台車20がコンテナ40のアプローチに到着した場合、
図23(b)に示すように、制御部21の積載制御部213は、アーム駆動部262を駆動して、アーム261を回動させて、カメラ26を固定筐体部201内に収納する。
【0083】
次に、台車20の制御部21は、コンテナ足元の検知処理を実行する(ステップS5-6)。具体的には、制御部21の積載制御部213は、測域センサ27を用いて、コンテナ40の脚部41の形状を捉えて、走行制御を行なう。ここでは、コンテナ40への潜り込み時に左右の脚部41の内側面を捉え、両方の内側面から等距離になるように走行を補正する。そして、積載制御部213は、左右の内側面が途切れる位置を特定し、台車20との相対位置がある一定になった段階で、コンテナ40下の中央位置に到達したと判断し、直進を終了する。
【0084】
次に、台車20の制御部21は、リフトアップ処理を実行する(ステップS5-7)。具体的には、制御部21の積載制御部213は、ジャッキ駆動部251を駆動して、ジャッキ25により、搬送対象物が載置されたコンテナ40を持ち上げて、載置面に荷積みする。
【0085】
(エレベータ利用処理)
次に、
図14を用いて、エレベータ利用処理について説明する。この処理は、設定情報記憶部23に記録された経路情報に、仮設エレベータ(ELV)が設定されている場合に行なわれる。
【0086】
まず、台車20の制御部21は、エレベータ前へ移動処理を実行する(ステップS6-1)。具体的には、制御部21の走行制御部212は、設定情報記憶部23に記録された経路情報の仮設エレベータ(ELV)のアプローチ(停止位置)に移動するように、ホイール駆動部241を制御する。
【0087】
次に、台車20の制御部21は、乗車指示の待機処理を実行する(ステップS6-2)。具体的には、制御部21の走行制御部212は、仮設エレベータ(ELV)のアプローチの位置で、乗車指示を取得するまで停止する。
【0088】
そして、台車20の制御部21は、エレベータ乗車処理を実行する(ステップS6-3)。具体的には、仮設エレベータのかごが到着した場合、仮設エレベータを操作するオペレータは、台車20とオペレータ端末30とを無線接続する。この場合、制御部21の走行制御部212は、オペレータ端末30に対して、ゴールエリアが設定されたフロア情報(降車階)を送信する。そして、降車階を確認したオペレータは、オペレータ端末30を用いて、台車20に対して乗車指示を送信する。この場合、走行制御部212は、仮設エレベータ(ELV)のかご内に移動するように、ホイール駆動部241を制御する。そして、台車20は、かご内で走行を停止する。
【0089】
次に、台車20の制御部21は、降車指示の待機処理を実行する(ステップS6-4)。具体的には、制御部21の走行制御部212は、オペレータ端末30から降車指示を取得するまで待機する。
【0090】
次に、台車20の制御部21は、エレベータ降車処理を実行する(ステップS6-5)。具体的には、降車階に到着した場合、オペレータは、オペレータ端末30を用いて、台車20に対して降車指示を送信する。この場合、走行制御部212は、仮設エレベータ(ELV)のかごから降車階のフロアに移動するように、ホイール駆動部241を制御する。そして、走行制御部212は、降車階で、ゴールエリアに移動するように、ホイール駆動部241を制御する。
【0091】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、台車20は、ホイール24、ジャッキ25を備えている。台車20の制御部21は、ホイール24の回転方向及び速度を制御することにより、所定方向(前後方向、左右方向、斜め方向)に走行させ又は旋回させる。また、制御部21は、ジャッキ25により載置面を昇降させる。すなわち、ホイール24の回転方向と速度とを個別に制御することにより、その場において、台車20の走行方向の変更や台車20の中心を軸とした旋回を行なうことができる。また、複数のジャッキ25によって載置面を昇降させることにより、その場において、資機材70の積載や荷下ろしができる。従って、狭い空間においても、効率的に搬送することができる。
【0092】
(2)本実施形態では、台車20は、カメラ26、測域センサ27を備える。カメラ26により、コンテナ40を認識することができる。更に、測域センサ27により、フロアの環境マップの作成や、コンテナ40の脚部41の形状の特定、障害物の認識を行ない、的確な走行を行なうことができる。
【0093】
(3)本実施形態では、カメラ26はアーム261に取り付けられており、アーム駆動部262によってアーム261を回動して、カメラ26の高さ位置を変更できる。これにより、走行時には高い位置で広い視野を確保し、コンテナ40への潜り込み時には、潜り込みの障害にならない。
【0094】
(4)本実施形態では、コンテナ40は、2つの脚部41と、脚部41間を橋渡しする天板部42とから構成される。この天板部42をジャッキ25でジャッキアップすることにより、資機材70を載置した状態でコンテナ40を一緒に搬送することができる。そして、搬送先においてコンテナ40を着地させるので、搬送先で資機材を載置させる厘木等を準備しておく必要がない。
【0095】
(5)本実施形態では、脚部41の前面にはマーカー43a、側面にはマーカー43bが貼付されている。マーカー43a、43bは、各コンテナ40を識別するためのコンテナIDに関する情報を含む。マーカー43a、43bのデコードにより、搬送対象のコンテナ40を特定することができる。
【0096】
(6)本実施形態では、コンテナ40の前面と側面とは、異なる配色がされている。この配色に基づくカメラ26による撮影画像の画像認識により、コンテナ40の前面または側面を識別することができる。
【0097】
(7)本実施形態では、管理者端末10の制御部11は、搬送経路の設定処理を実行する。この場合、設定画面において、GUIにより、搬送元のストックエリア(S)、搬送先のゴールエリア(G*)、ホームポジション(H)を効率的に設定することができる。更に、各エリアが設定された場合、各エリアを結ぶリンクが設定されるので、概念的な搬送経路を効率的に生成することができる。
【0098】
(8)本実施形態では、管理者端末10の制御部11は、コンテナの設定処理を実行する。この場合、設定画面において、GUIにより、コンテナ40のサイズ、コンテナIDを設定することができる。これにより、台車20の制御部21は、載置されるコンテナ40及び資機材70の大きさを把握でき、環境マップにおいて走行可能エリアを特定できる。
【0099】
(9)本実施形態では、管理者端末10の制御部11は、搬送先の設定処理を実行する。この場合、設定画面において、GUIにより、搬送先や着地の配置を設定することができる。
【0100】
(10)本実施形態では、台車20の制御部21は、積載時処理を実行する(ステップS4-4)。ここでは、コンテナ40の認識、コンテナ40への接近、コンテナ40の選択、コンテナ40への潜り込みを行なう。これにより、ストックエリアに複数のコンテナ40が配置されている場合にも、適切なコンテナ40を選択して、搬送することができる。更に、台車20の制御部21は、搬送資材の正面への移動処理(ステップS5-4)、カメラ収納処理(ステップS5-5)、コンテナ足元の検知処理(ステップS5-6)を実行する。これにより、コンテナ40の構造を考慮して、コンテナ40の状況に応じた潜り込み、リフトアップを行なうことができる。
【0101】
(11)本実施形態では、台車20の制御部21は、空コンテナ持ち帰り処理を実行する(ステップS4-7)。これにより、ゴールエリアまで搬送し、使用済みの空コンテナをエンプティエリアに移動させることにより、リターンエリアに戻されて、ストックエリアで新たな搬送に利用することができる。
【0102】
(12)本実施形態では、台車20の制御部21は、エレベータ利用処理を実行する。これにより、異なるフロアにストックエリア、ゴールエリアが存在する場合にも、オペレータの指示に応じて、仮設エレベータを利用して搬送することができる。
【0103】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態の台車20は、駆動車輪としてメカナムホイールを用いる。台車20の駆動車輪としては、回転方向及び速度の制御により、少なくとも直進移動及び中心軸回りの旋回が可能なホイールであれば、メカナムホイールに限定されず、オムニホイール(登録商標)を用いてもよい。ここで、回転方向及び速度の制御により、少なくとも直進移動及び中心軸回りの旋回ができれば、台車に取り付けるホイールの数は、4つに限定されず、例えばオムニホイールの場合は3つ等であってもよい。
【0104】
・上記実施形態の台車20は、ジャッキ25を、駆動車輪としてのホイール24のそれぞれの間に配置する。台車のジャッキ25は、駆動車輪の間(駆動車輪よりも内側)に配置されていればよく、駆動車輪の数と同じ数に限られず、例えば台車20の中央に1つだけあってもよい。この場合、複数のジャッキ25は載置面に対して均等に配置していることが望ましい。これにより、載置面の上面を水平に昇降でき、載置面からの荷重を均等に分散することができる。
【0105】
・上記実施形態においては、台車20の制御部21は、搬送元への移動処理を実行する(ステップS4-3)。この場合、マップ作成部211は、測域センサ27を作動させて、環境マップの作成を並行して実行する。これに加えて、マップの取得処理(ステップS2-3)の実行時に、環境マップを作成してもよい。この場合には、管理者端末10の制御部11は、環境マップの作成指示を台車20に送信する。この作成指示には、フロアマップ120を含める。そして、台車20の制御部21のマップ作成部211は、各フロアを自走しながら、測域センサ27を作動させて、環境マップを作成する。そして、マップ作成部211は、作成した環境マップを環境マップ記憶部22に記録する。
【0106】
・上記実施形態においては、アーム駆動部262によってアーム261を回動することにより、アーム261に取り付けられたカメラ26を固定筐体部201に収納状態にする。アーム261を回動させる代わりに、伸縮させて、カメラ26の高さを変更してもよい。例えば、中空の相似形の円柱を、大きさの順で内側に内蔵させ、大きい円柱の内側のかえしと、小さい円柱の外側のかえしとを接合させた伸縮構造を用いることもできる。
【0107】
・上記実施形態においては、台車20は、カメラ26を備える。画像認識に用いるカメラ26は一つに限定されるものではない。
例えば、
図24に示すように、上方位置のカメラ26に対して、下方位置(台車20の側面)にカメラ26bを設けてもよい。この場合には、カメラ26の収納時には、カメラ26bを用いて画像認識を行なう。更に、カメラ26でコンテナ40の色を探して、カメラ26bでマーカーのデコードを行なうようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、台車20の制御部21は、コンテナの探索処理(ステップS5-1)、マーカー読み取り処理(ステップS5-2)を実行する。この場合、カメラ26bを用いてもよい。
【0108】
・上記実施形態においては、領域の設定処理(ステップS1-1)において、仮設エレベータ(ELV)のエリアを設定する。エレベータは仮設に限定されるものではなく、既設のエレベータを用いてもよい。
【0109】
・上記実施形態においては、固定筐体部201に固定されたジャッキ25を用いて、可動筐体部202の載置面の高さ位置を変更する。高さ位置の変更方法は、ジャッキ25を用いる方法に限定されるものではない。例えば、各ホイール24を昇降させることにより、相対的に載置面の高さ位置を変えるようにしてもよい。
例えば、
図25(a)に示すように、可動筐体部202に、各ホイール24を上下させる昇降部242(昇降機構)を取り付ける。この昇降部242は、ホイール24毎に、ホイール24間に設ける。そして、昇降部242には、モータの回転力を直線の動きに変換するラック・アンド・ピニオン機構や、アクチュエータによる伸縮機構を用いることができる。また、ホイール24を収納したホイールボックスを、回動可能な支持部材で可動筐体部202に固定して、この支持部材を回動させることにより、可動筐体部202からホイール24がせり出すようにしてもよい。なお、この場合には、カメラや測域センサの収納部203を、可動筐体部202に取り付けておく。そして、
図25(a)に示す載置面を下げた状態から、
図25(b)に示すように、昇降部242を用いて、各ホイール24を押し下げることにより、可動筐体部202の載置面の高さを上げる。
【符号の説明】
【0110】
10…管理者端末、11…制御部、110…設定管理部、111…エリア設定部、112…経路設定部、113…コンテナ設定部、12…フロアマップ記憶部、13…設定情報記憶部、20…台車、21…制御部、211…マップ作成部、212…走行制御部、213…積載制御部、22…環境マップ記憶部、23…設定情報記憶部、201…固定筐体部、202…可動筐体部、203…収納部、24…ホイール、25…ジャッキ、26…カメラ、27…測域センサ、30…オペレータ端末、40…コンテナ、41…脚部、42…天板部、43a,43b…マーカー、70…資機材。