(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20230926BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20230926BHJP
B41J 21/00 20060101ALI20230926BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20230926BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20230926BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
B41J29/38 202
B41J29/42 F
B41J29/38 203
B41J21/00 Z
G03G21/00 370
G03G21/00 386
H04N1/00 002A
G06T1/00 310A
(21)【出願番号】P 2020005288
(22)【出願日】2020-01-16
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】芝野 博誠
(72)【発明者】
【氏名】吉村 創一
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-223807(JP,A)
【文献】特開2017-009837(JP,A)
【文献】特開2015-123598(JP,A)
【文献】特開2017-204806(JP,A)
【文献】特開2016-076962(JP,A)
【文献】特開2004-048699(JP,A)
【文献】特開2006-222941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
B41J 5/00 - 5/52
B41J 21/00 - 21/18
G03G 21/00
G06T 1/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力条件に従って、入力画像に画像処理を施し、出力画像を生成する画像生成部、
前記出力条件に従って、前記出力画像に対応する印刷画像を記録媒体に印刷する画像形成部、
前記印刷画像が記録媒体に印刷されるとき、ユーザの行動に応じて、印刷物に対するユーザの不満の有無を判断する結果判断部、
ユーザの不満が有ると判断され、ユーザの不満の原因となり得る前記印刷物の外観的特徴の内容が入力されたとき、当該外観的特徴の内容に基づいて、過去にユーザの不満が解消されたときの前記出力条件についての情報を含む解消方法をユーザに提示する方法提示部
、
ユーザに選択された前記解消方法に基づいて、前記出力条件を変更する設定変更部
、
前記設定変更部によって変更された出力条件に基づく出力画像が生成され、当該出力画像に対応する印刷画像が記録媒体に印刷されるとき、ユーザの属性を判断する属性判断部、
前記ユーザの属性が判断されるとき、当該ユーザの属性に応じて、前記設定変更部によって変更された前記出力条件の適用先をユーザに提示する適用先提示部、および
前記設定変更部によって変更された前記出力条件の適用先が選択されるとき、当該出力条件の各設定値を選択された適用先に対応する前記出力条件のデフォルトとして設定するデフォルト設定部を備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置の使用環境を監視する監視部、および
前記外観的特徴の内容が入力されるとき、ユーザの操作に応じて、前記解消方法をユーザに提示する前に、現在の使用環境を示す環境情報を取得する第1情報取得部を備える、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
原稿に基づく読取画像を生成する画像読取部、および
前記外観的特徴の内容が入力されるとき、ユーザの操作に応じて、前記解消方法をユーザに提示する前に、前記印刷物を原稿として読み取り、当該印刷物に基づく読取画像から特徴情報を取得する第2情報取得部を備える、請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像生成部は、前記設定変更部によって変更された前記出力条件に基づいて出力画像を生成し、
前記画像形成部は、前記設定変更部によって変更された前記出力条件に基づく出力画像が生成されたとき、少なくとも当該出力画像に対応する印刷画像を記録媒体にテスト印刷する、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
画面を表示する画面表示部、および
前記設定変更部によって変更された前記出力条件に基づく出力画像が生成されたとき、少なくとも当該出力画像を含むプレビュー画面を前記画面表示部に表示する画面制御部を備える、請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記設定変更部によって変更された前記出力条件に基づく出力画像が生成され、当該出力画像に対応する印刷画像が記録媒体に印刷されるとき、ユーザが認証されているかどうかを判断する認証判断部をさらに備え、
前記属性判断部は、ユーザが認証されているとき、当該ユーザの属性を判断する、請求項
1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
他の装置と通信する通信部、
前記設定変更部によって変更された前記出力条件に基づく出力画像が生成され、当該出力画像に対応する印刷画像が記録媒体に印刷されるとき、ユーザに提示する前記解消方法の精度を上昇させるための更新データを生成するデータ生成部、および
前記更新データが生成されるとき、当該更新データを他の装置に送信する送信部を備える、請求項1から
6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
出力条件に従って、出力画像に対応する印刷画像を記録媒体に印刷する画像形成部を備える、画像形成装置によって実行される制御プログラムであって、
前記画像形成装置のプロセッサに、
出力条件に従って、入力画像に画像処理を施し、出力画像を生成する画像生成ステップ、
前記出力画像に対応する印刷画像が記録媒体に印刷されるとき、ユーザの行動に応じて、当該印刷画像が印刷された印刷物に対するユーザの不満の有無を判断する結果判断ステップ、
ユーザの不満が有ると判断され、ユーザの不満の原因となり得る前記印刷物の外観的特徴の内容が入力されるとき、当該外観的特徴の内容に基づいて、過去にユーザの不満が解消されたときの前記出力条件についての情報を含む解消方法をユーザに提示する方法提示ステップ
、
ユーザに選択された前記解消方法に基づいて、前記出力条件を変更する設定変更ステップ
、
前記設定変更ステップによって変更された出力条件に基づく出力画像が生成され、当該出力画像に対応する印刷画像が記録媒体に印刷されるとき、ユーザの属性を判断する属性判断ステップ、
前記ユーザの属性が判断されるとき、当該ユーザの属性に応じて、前記設定変更ステップによって変更された前記出力条件の適用先をユーザに提示する適用先提示ステップ、および
前記設定変更ステップによって変更された前記出力条件の適用先が選択されるとき、当該出力条件の各設定値を選択された適用先に対応する前記出力条件のデフォルトとして設定するデフォルト設定ステップを実行させる、制御プログラム。
【請求項9】
出力条件に従って、出力画像に対応する印刷画像を記録媒体に印刷する画像形成部を備える、画像形成装置の制御方法であって、
出力条件に従って、入力画像に画像処理を施し、出力画像を生成する画像生成ステップ、
前記出力画像に対応する印刷画像が記録媒体に印刷されるとき、ユーザの行動に応じて、当該印刷画像が印刷された印刷物に対するユーザの不満の有無を判断する結果判断ステップ、
ユーザの不満が有ると判断され、ユーザの不満の原因となり得る前記印刷物の外観的特徴の内容が入力されるとき、当該外観的特徴の内容に基づいて、過去にユーザの不満が解消されたときの前記出力条件についての情報を含む解消方法をユーザに提示する方法提示ステップ
、
ユーザに選択された前記解消方法に基づいて、前記出力条件を変更する設定変更ステップ
、
前記設定変更ステップによって変更された出力条件に基づく出力画像が生成され、当該出力画像に対応する印刷画像が記録媒体に印刷されるとき、ユーザの属性を判断する属性判断ステップ、
前記ユーザの属性が判断されるとき、当該ユーザの属性に応じて、前記設定変更ステップによって変更された前記出力条件の適用先をユーザに提示する適用先提示ステップ、および
前記設定変更ステップによって変更された前記出力条件の適用先が選択されるとき、当該出力条件の各設定値を選択された適用先に対応する前記出力条件のデフォルトとして設定するデフォルト設定ステップを含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法に関し、特にたとえば、印刷対象の画像に対して画像処理を行い、画像処理後の画像を画像出力手段により用紙上に出力する画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【背景技術】
【0002】
この種の背景技術の一例が特許文献1に開示される。この特許文献1に開示される画像形成装置では、利用者が画質調整した際のパラメータおよび原稿の特徴量が記憶され、これらの情報に基づいて、利用者が好む画質調整を行うための画質パラメータが設定される。また、設定された画質パラメータに基づいて画像が処理され、画像処理後の画像が用紙上に出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような画像形成装置では、用紙に印刷される画像である印刷画像の仕上がりがユーザが所望する仕上がりと異なることがある。このような場合、出力条件の設定を変更し、再度、印刷画像が用紙に印刷されることがある。しかし、画像形成装置の操作に不慣れなユーザは、出力条件の設定が印刷画像にどのように影響するかわかりづらく、出力条件の設定を適宜に変更する操作が、ユーザにとって煩雑で手間がかかる。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【0006】
また、この発明の他の目的は、印刷の結果に伴って出力条件の設定が変更される際のユーザの負担を軽減することができる、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、出力条件に従って、入力画像に画像処理を施し、出力画像を生成する画像生成部、出力条件に従って、出力画像に対応する印刷画像を記録媒体に印刷する画像形成部、印刷画像が記録媒体に印刷されるとき、ユーザの行動に応じて、印刷物に対するユーザの不満の有無を判断する結果判断部、ユーザの不満が有ると判断され、ユーザの不満の原因となり得る印刷物の外観的特徴の内容が入力されたとき、当該外観的特徴の内容に基づいて、過去にユーザの不満が解消されたときの出力条件についての情報を含む解消方法をユーザに提示する方法提示部、ユーザに選択された解消方法に基づいて、出力条件を変更する設定変更部、設定変更部によって変更された出力条件に基づく出力画像が生成され、当該出力画像に対応する印刷画像が記録媒体に印刷されるとき、ユーザの属性を判断する属性判断部、ユーザの属性が判断されるとき、当該ユーザの属性に応じて、設定変更部によって変更された出力条件の適用先をユーザに提示する適用先提示部、および設定変更部によって変更された出力条件の適用先が選択されるとき、当該出力条件の各設定値を選択された適用先に対応する出力条件のデフォルトとして設定するデフォルト設定部を備える、画像形成装置である。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に従属し、画像形成装置の使用環境を監視する監視部、および外観的特徴の内容が入力されるとき、ユーザの操作に応じて、解消方法をユーザに提示する前に、現在の使用環境を示す環境情報を取得する第1情報取得部を備える。
【0009】
第3の発明は、第2の発明に従属し、原稿に基づく読取画像を生成する画像読取部、および外観的特徴の内容が入力されるとき、ユーザの操作に応じて、解消方法をユーザに提示する前に、印刷物を原稿として読み取り、当該印刷物に基づく読取画像から特徴情報を取得する第2情報取得部を備える。
【0010】
第4の発明は、第1から第3の発明のいずれかに従属し、画像生成部は、設定変更部によって変更された出力条件に基づいて出力画像を生成し、画像形成部は、設定変更部によって変更された出力条件に基づく出力画像が生成されたとき、少なくとも当該出力画像に対応する印刷画像を記録媒体にテスト印刷する。
【0011】
第5の発明は、第4の発明に従属し、画面を表示する画面表示部、および設定変更部によって変更された出力条件に基づく出力画像が生成されたとき、少なくとも当該出力画像を含むプレビュー画面を画面表示部に表示する画面制御部を備える。
【0013】
第6の発明は、第1から第5の発明のいずれかに従属し、設定変更部によって変更された出力条件に基づく出力画像が生成され、当該出力画像に対応する印刷画像が記録媒体に印刷されるとき、ユーザが認証されているかどうかを判断する認証判断部をさらに備え、属性判断部は、ユーザが認証されているとき、当該ユーザの属性を判断する。
【0014】
第7の発明は、第1から第6の発明のいずれかに従属し、他の装置と通信する通信部、設定変更部によって変更された出力条件に基づく出力画像が生成され、当該出力画像に対応する印刷画像が記録媒体に印刷されるとき、ユーザに提示する解消方法の精度を上昇させるための更新データを生成するデータ生成部、および更新データが生成されるとき、当該更新データを他の装置に送信する送信部を備える。
【0015】
第8の発明は、出力条件に従って、出力画像に対応する印刷画像を記録媒体に印刷する画像形成部を備える、画像形成装置によって実行される制御プログラムであって、画像形成装置のプロセッサに、出力条件に従って、入力画像に画像処理を施し、出力画像を生成する画像生成ステップ、出力画像に対応する印刷画像が記録媒体に印刷されるとき、ユーザの行動に応じて、当該印刷画像が印刷された印刷物に対するユーザの不満の有無を判断する結果判断ステップ、ユーザの不満が有ると判断され、ユーザの不満の原因となり得る印刷物の外観的特徴の内容が入力されるとき、当該外観的特徴の内容に基づいて、過去にユーザの不満が解消されたときの出力条件についての情報を含む解消方法をユーザに提示する方法提示ステップ、ユーザに選択された前記解消方法に基づいて、前記出力条件を変更する設定変更ステップ、設定変更ステップによって変更された出力条件に基づく出力画像が生成され、当該出力画像に対応する印刷画像が記録媒体に印刷されるとき、ユーザの属性を判断する属性判断ステップ、前記ユーザの属性が判断されるとき、当該ユーザの属性に応じて、設定変更ステップによって変更された前記出力条件の適用先をユーザに提示する適用先提示ステップ、および設定変更ステップによって変更された前記出力条件の適用先が選択されるとき、当該出力条件の各設定値を選択された適用先に対応する前記出力条件のデフォルトとして設定するデフォルト設定ステップを実行させる、制御プログラムである。
【0016】
第9の発明は、出力条件に従って、出力画像に対応する印刷画像を記録媒体に印刷する画像形成部を備える、画像形成装置の制御方法であって、出力条件に従って、入力画像に画像処理を施し、出力画像を生成する画像生成ステップ、出力画像に対応する印刷画像が記録媒体に印刷されるとき、ユーザの行動に応じて、当該印刷画像が印刷された印刷物に対するユーザの不満の有無を判断する結果判断ステップ、ユーザの不満が有ると判断され、ユーザの不満の原因となり得る印刷物の外観的特徴の内容が入力されるとき、当該外観的特徴の内容に基づいて、過去にユーザの不満が解消されたときの出力条件についての情報を含む解消方法をユーザに提示する方法提示ステップ、ユーザに選択された前記解消方法に基づいて、前記出力条件を変更する設定変更ステップ、設定変更ステップによって変更された出力条件に基づく出力画像が生成され、当該出力画像に対応する印刷画像が記録媒体に印刷されるとき、ユーザの属性を判断する属性判断ステップ、前記ユーザの属性が判断されるとき、当該ユーザの属性に応じて、設定変更ステップによって変更された前記出力条件の適用先をユーザに提示する適用先提示ステップ、および設定変更ステップによって変更された前記出力条件の適用先が選択されるとき、当該出力条件の各設定値を選択された適用先に対応する前記出力条件のデフォルトとして設定するデフォルト設定ステップを含む、制御方法である。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、印刷の結果に伴って出力条件の設定が変更される際のユーザの負担を軽減することができる。
【0018】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は画像形成装置の全体を正面からみた概略構成図である。
【
図3】
図3は画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は画像形成装置のディスプレイに表示される判断画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は画像形成装置のディスプレイに表示される内容入力画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は画像形成装置のディスプレイに表示される方法提示画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は画像形成装置のディスプレイに表示される印刷画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は画像形成装置のディスプレイに表示される適用先提示画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は解消履歴テーブルの一例を示す図である。
【
図10】
図10は画像形成装置のRAMのメモリマップの一例を示す図である。
【
図11】
図11は画像形成装置のRAMのデータ記憶領域の具体的な内容の一例を示す図である。
【
図12】
図12は画像形成装置のCPUの解消処理の一例を示すフロー図である。
【
図13】
図13は画像形成装置のCPUのガイド処理の一例を示すフロー図である。
【
図14】
図14は画像形成装置のCPUの設定変更処理の一例を示すフロー図である。
【
図15】
図15は画像形成装置のCPUの適用先選択処理の一例を示すフロー図である。
【
図16】
図16は第2実施例の画像形成装置のディスプレイに表示される内容入力画面の一例を示す図である。
【
図17】
図17は第2実施例の画像形成装置のディスプレイに表示される読取画面の一例を示す図である。
【
図18】
図18は第2実施例の解消履歴テーブルの一例を示す図である。
【
図19】
図19は第2実施例の画像形成装置のCPUのガイド処理の一例の一部を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施例]
図1は、第1実施例の情報処理システム10の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、情報処理システム10は、複数の画像形成装置12を含む。
【0021】
画像形成装置12は、ネットワーク16を介して接続される。なお、ネットワーク16は、電話網(公衆電話網または携帯電話通信網)、インターネットおよびLAN(Local Area Network)等で構成されてもよい。
【0022】
また、ネットワーク16との接続は、有線によるものであってもよいし、無線によるものであってもよい。さらに、画像形成装置12の各々が直接接続されてもよい。
【0023】
図2は、
図1に示す画像形成装置12の全体を正面からみた概略構成図であり、ここでは、必要な範囲でその構成を説明する。画像形成装置12は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。なお、この発明は複合機だけでなく、複写機(コピー機)、印刷装置(プリンタ)およびファクシミリのような他の画像形成装置にも適用可能である。
【0024】
図2に示すように、画像形成装置12は、装置本体20と、当該装置本体20の上方に配置される画像読取ユニット22と、装置本体20に内蔵される画像形成部36とを含む。
【0025】
画像読取ユニット22は、矩形平板状の底板およびその周縁部から立ち上がる側壁を有する筐体24を備える。筐体24には、装置本体20の上方においてヒンジ等を介して開閉自在に取り付けられる原稿押さえカバー(開閉部)26が含まれる。この原稿押えカバー26には、自動的に1枚ずつ給紙する自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)28が設けられる。
【0026】
そして、装置本体20の天面には、透明材によって形成される原稿載置台30が設けられる。ADF28から給紙された原稿は、画像読取位置32で1枚ずつ読み取られる。
【0027】
また、画像読取ユニット22には、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える画像読取部34が内装される。画像読取部34は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像(読取画像)が生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0028】
なお、光源および複数のミラーを含む走査部は、ADF28によって給紙される原稿を読み取る場合には、画像読取位置32の下方に固定的に位置され、原稿載置台30に載置された原稿を読み取る場合には、副走査方向に移動される。ただし、副走査方向は、画像形成装置12を正面から見た場合の左右の方向、すなわち、
図2では左右の方向である。また、主走査方向は、画像形成装置12を正面から見た場合の画像形成装置12の前後方向、すなわち、
図2の紙面に対して垂直な方向である。
【0029】
また、
図2では省略するが、原稿載置台30の前面側には、操作パネルが設けられる。この操作パネルは、
図3に示すディスプレイ112、タッチパネル114等を含む。
【0030】
画像形成部36は、露光ユニット38、現像器40、プロセスユニット42、中間転写ベルトユニット44、転写ローラ46および定着ユニット48などを備える。画像形成部36は、給紙カセット50などから搬送される記録媒体(用紙)上にトナー像(静電潜像)を形成するための出力画像に対応する画像(印刷画像)を形成し、画像形成済みの用紙(印刷物)を排紙トレイ52に排出(出力)する。なお、本実施例では、紙からなる用紙に画像が形成されるが、記録媒体としては、OHPフィルムなどの紙以外のシートが用いられてもよい。また、出力画像には、入力画像が用いられる。入力画像には、たとえば、読取画像および外部コンピュータから入力される画像(受信画像)が該当する。
【0031】
さらに、画像形成装置12において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色の各種画像に応じたものである。このため、現像器40、感光体ドラム54、クリーナユニット56および帯電器58のそれぞれは、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。
【0032】
感光体ドラム54は、導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層が形成された像担持体であり、帯電器58は、この感光体ドラム54の表面を所定の電位(たとえば、-600V)に帯電させる部材である。また、露光ユニット38は、レーザ出射部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(Laser scanning unit: LSU)として構成され、帯電された感光体ドラム54の表面を露光することによって、出力画像に応じた静電潜像を感光体ドラム54の表面に形成する。現像器40は、感光体ドラム54の表面に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによって顕像化するものである。また、クリーナユニット56は、現像および画像転写後における感光体ドラム54の表面に残留したトナーをクリーニングブレードで除去し、除去したトナーを廃トナーボックス(図示せず)に搬送する。
【0033】
中間転写ベルトユニット44は、中間転写ベルト60、駆動ローラ62、従動ローラ64および4つの中間転写ローラ66等を備える。中間転写ベルト60は、各感光体ドラム54に接触するように設けられており、中間転写ローラ66を用いて、各感光体ドラム54に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト60に順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト60上に多色のトナー像が形成される。また、駆動ローラ62の近傍には、転写ローラ46が配置されており、中間転写ベルト60と転写ローラ46との間のニップ域を用紙が通過することによって、中間転写ベルト60に形成されたトナー像が用紙に転写される。
【0034】
定着ユニット48は、ヒートローラ68および加圧ローラ70を備える。ヒートローラ68の表面の温度(定着温度)は、所定の温度となるように設定されており、ヒートローラ68と加圧ローラ70との間のニップ域を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が溶融、混合および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
【0035】
装置本体20内には、給紙カセット50または手差しトレイ72等に載置された用紙を、転写ローラ46および定着ユニット48を経由させて第1排紙トレイ52aに送るための第1用紙搬送路T1が設けられる。また、用紙に対して両面印刷を行う際に、片面印刷が終了して定着ユニット48を通過した後の用紙を、転写ローラ46の用紙搬送方向の上流側において用紙の搬送経路に戻すための第2用紙搬送路T2が設けられる。そして、この第1用紙搬送路T1および第2用紙搬送路T2には、用紙の搬送を補助するための複数の搬送ローラ74(74a、74b、74c)が適宜設けられる。
【0036】
装置本体20において片面印刷を行う際には、給紙カセット50等に載置された用紙がピックアップローラ76によって1枚ずつ第1用紙搬送路T1に導かれ、搬送ローラ74aによってレジストローラ78まで搬送される。そして、レジストローラ78によって、用紙の先端と中間転写ベルト60上の画像情報の先端とが整合するタイミングで転写ローラ46に搬送され、用紙上にトナー像が転写される。その後、定着ユニット48を通過することによって用紙上の未定着トナーが熱で溶融して固着され、排紙ローラ80aまたは排紙ローラ80bを経て、排紙トレイ52に用紙が排出される。
【0037】
図3は、この発明の一実施例である画像形成装置12の電気的な構成を示すブロック図の一例である。
【0038】
画像形成装置12はCPU100を含み、CPU100は、バス102を介してRAM104、記憶部106、表示制御回路108、タッチパネル制御回路110、画像読取部34、画像形成部36、通信部116および監視部118に接続される。
【0039】
また、表示制御回路108はディスプレイ112に接続され、タッチパネル制御回路110はタッチパネル114に接続される。
【0040】
CPU100は、画像形成装置12の全体的な制御を司る。RAM104は、CPU100のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。
【0041】
記憶部106は、画像形成装置12の主記憶装置であって、HDDおよびEPPROMのような不揮発性メモリが用いられる。また、記憶部106が、RAM104を含むように構成されてもよい。記憶部106には、CPU100が画像形成装置12の各部位の動作を制御するための制御プログラムについてのデータ、各種の画面についての画像のデータである表示画像生成データ504b(
図11参照)および制御プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する。
【0042】
表示制御回路108は、GPUおよびVRAMなどを含んでおり、CPU100の指示の下、GPUは、RAM104に記憶された表示画像生成データを用いてディスプレイ112に種々の画面を表示するための表示画像をVRAMに生成し、生成した表示画像をディスプレイ112に出力する。ディスプレイ112としては、たとえばLCDまたはEL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどを用いることができる。
【0043】
タッチパネル制御回路110は、タッチパネル114に必要な電圧などを付与するとともに、タッチパネル114のタッチ有効範囲内でのタッチ操作またはタッチ入力を検出して、そのタッチ入力の位置を示すタッチ座標データをCPU100に出力する。
【0044】
タッチパネル114は、汎用のタッチパネルであり、静電容量方式、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式など、任意の方式のものを用いることができる。この第1実施例では、タッチパネル114としては、静電容量方式のタッチパネルが用いられ、ディスプレイ112の表示面上にタッチパネル114が設けられる。ただし、ディスプレイ112およびタッチパネル114が一体的に形成されたタッチパネルディスプレイが用いられてもよい。
【0045】
通信部116は、NIC(Network Interface Card)等の通信モジュールないしネットワーク16に有線または無線で接続するための通信回路等を含み、CPU100の指示により、ネットワーク16を介して通信を行う。たとえば、通信部116は、Ethernet(登録商標)等の通信規格に準拠した有線通信方式、IEEE802.11等の通信規格に準拠した無線通信方式等に従ってデータの送受信を行う。
【0046】
監視部118は、画像形成装置12が使用される環境である使用環境を監視するための各種センサおよび各センサに基づく結果をCPU100に入力するための回路等を含む。
【0047】
使用環境とは、具体的に画像形成装置12の筐体内における空間の温度(空間温度)および湿度(空間湿度)を含む。したがって、空間温度を検出する空間温度センサおよび空間湿度を検出する空間湿度センサは、画像形成装置12の筐体内に設けられる。
【0048】
空間温度センサは、汎用の温度センサである。空間温度センサとしては、たとえば、接触式温度センサである、サーミスタ、熱電対、バイメタルおよび測温抵抗体が用いられる。
【0049】
空間湿度センサは、汎用の湿度センサである。たとえば、静電容量変化型湿度センサおよび抵抗変化型湿度センサなどが用いられる。
【0050】
なお、空間温度は、画像形成装置12を中心とした所定範囲内の空間の温度でもよい。また、この場合、所定範囲は、画像形成装置12の筐体内における空間温度と同様の空間温度が検出される範囲とされる。
【0051】
したがって、この所定範囲内であれば、空間温度センサは、画像形成装置12の筐体外に設けられてもよい。このことは、空間湿度および空間湿度センサについても同様である。
【0052】
なお、空間湿度センサおよび空間温度センサが一体型の温湿度センサが用いられてもよい。また、使用環境は、空間温度および空間湿度のどちらか一方だけを含むようにしてもよい。
【0053】
上記のように構成される画像形成装置12では、画像形成装置12の出力条件にしたがって、入力画像に画像処理が施され、入力画像から出力画像が生成される。
【0054】
また、出力画像が生成されると、画像形成装置12の出力条件にしたがって、出力画像に対応する印刷画像が用紙に印刷される。以下、画像形成装置12の出力条件を単に「出力条件」と記述する。
【0055】
出力条件は、入力画像から出力画像を生成する画像処理に関する条件(処理条件)および印刷画像を印刷する際の画像形成部36の動作の条件(動作条件)を含む。
【0056】
処理条件は、たとえば、明度、濃度、コントラスト、彩度および鮮鋭度等のことである。
【0057】
たとえば、鮮鋭度が低く設定されると、出力画像におけるぼけ量が増加し、出力画像内の画像要素(文字、図形、線、写真等の複数の種類の要素)のエッジがぼやける。
【0058】
また、鮮鋭度が高く設定されると、出力画像におけるぼけ量が低減し、出力画像内の画像要素のエッジが鮮明になる。
【0059】
また、鮮鋭度が高く設定されると、出力画像、特にたとえば、出力画像内の写真に縞模様(モアレ)が生じる場合がある。また、鮮鋭度が高く設定されることによって、出力画像、特にたとえば、出力画像内の下地に、細かい斑点(ノイズ)が生じる場合がある。
【0060】
濃度は、出力画像全体の濃度を示す指標である。濃度が高く設定されることで、出力画像全体の濃度が高くなる。一方、濃度が低く設定されることで、出力画像内全体の濃度が低くなる。
【0061】
濃度が低く設定される場合、出力画像内に、不自然な濃度変化(むら)が生じる場合がある。また、出力画像内の画像要素の一部が擦れるまたは映らない(白とびする)ことがある。
【0062】
彩度は、色の鮮やかさを示す指標である。彩度が低く設定されると、出力画像全体の色の鮮やかさが低下し、出力画像がグレーに近い色になる。一方、彩度が高く設定されると、出力画像全体の色の鮮やかさが向上し、出力画像が純色に近い色になる。
【0063】
コントラストは、出力画像内の明暗の差を示す指標であり、コントラストが低く設定されると、出力画像内の明るい部分と暗い部分の明度の差が小さくなる。一方、コントラストが高く設定されると、出力画像内の明るい部分と暗い部分の明度の差が大きくなる。
【0064】
以上のように、処理条件は、出力画像の仕上がり(画像品質)に影響する。また、本実施例における印刷画像は、出力画像に対応することから、ぼけ量、明るさ、色味等の人間の視覚を通じて認識することができる出力画像の外観的な特徴(以下、「外観的特徴」という。)が、印刷画像にも生じる。
【0065】
さらに、同じ入力画像を用いた出力画像であっても、処理条件が異なる場合には、各画像に生じる外観的特徴も同様に変化する。したがって、処理条件は、印刷画像の仕上がりである印刷品質にも影響する。
【0066】
動作条件は、用紙に付与される熱量に影響する定着温度および用紙が搬送される速度(搬送速度)のことである。定着ユニット48で用紙に付与される熱量が、トナーを用紙に十分に定着させるために必要な熱量を下回る場合、トナーが安定して定着されない。
【0067】
トナーが安定して定着されないと、印刷画像の濃度が低くなってしまう。すなわち、濃度の設定が低く設定された際と同様の現象が印刷画像に生じることがある。以上のように、動作条件は、印刷品質に影響することがある。
【0068】
定着ユニット48で用紙に付与される熱量は、定着温度と定着ユニット48を通過する際の用紙の搬送速度によって決まる。したがって、定着温度が低い場合または搬送速度が速すぎる場合に、定着ユニット48で用紙に付与される熱量が低下する。
【0069】
たとえば、定着温度が適切に設定されない場合、具体的には、定着温度がトナーを用紙に十分に定着させるために必要な温度よりも低い場合、トナーが用紙に十分に定着されるまでに時間がかかる。したがって、定着温度が適切な設定温度よりも低い場合には、トナーが用紙に十分に定着される前に用紙が定着ユニット48を通過してしまう。
【0070】
また、搬送速度が適切に設定されない場合、具体的には、搬送速度がトナーを用紙に十分に定着させるために必要な速度よりも速い場合、トナーが用紙に十分に定着される前に用紙が定着ユニット48を通過してしまう。
【0071】
上記のことから、用紙に付与される熱量を増やすことで、トナーを用紙に安定して定着させることができる。たとえば、定着温度を高く設定するおよび/または搬送速度を遅く設定することで、用紙に付与される熱量を増やすことができる。
【0072】
以上のようにして、出力条件に応じて、印刷画像の外観的特徴が変化する。したがって、同じ入力画像を用いた印刷画像であっても、出力条件が異なる場合には、印刷画像の外観的特徴も同様に変化する。
【0073】
なお、出力条件は、読取画像に基づいて出力画像が生成される場合は、画像形成装置12で予めユーザに設定される。また、受信画像に基づいて出力画像が生成される場合は、受信画像を送信する端末側で予め設定され、当該出力条件を示すデータが受信画像と同様に送信される。
【0074】
第1実施例の画像形成装置12では、印刷画像が用紙に印刷された後に、直前に印刷された印刷物(印刷の結果)に対するユーザの不満の有無が判断される。
【0075】
ユーザの不満の有無は、ユーザの行動に応じて判断される。第1実施例では、印刷画像が用紙に印刷された後に、印刷の結果に不満があるかどうかの選択肢をユーザに提示し、ユーザからの操作(ユーザの回答)に応じて、印刷の結果に不満があるかどうかが判断される。
【0076】
画像形成装置12では、印刷画像が用紙に印刷されると、ディスプレイ112に、印刷の結果に対する不満の有無を判断するための画面である判断画面200が表示される。
【0077】
図4は、判断画面200の一例である。判断画面200には、印刷の結果に不満があるかどうかを問うためのメッセージが表示される。また、判断画面200には、複数の回答キー202(202aおよび202b)が設けられる。
【0078】
回答キー202の各々は、印刷の結果に対する不満の有無を判断するために設けられる。回答キー202aが操作されると、印刷の結果に不満が無いと判断される。この場合、たとえば、ディスプレイ112に図示しないホーム画面が表示される。回答キー202bが操作されると、印刷の結果に不満が有ると判断される。
【0079】
なお、判断画面200には、回答キー202bのみが設けられてもよい。この場合、判断画面200がディスプレイ112に表示されてから、所定時間(たとえば、10秒)経過すると、印刷の結果に不満が無いと判断される。
【0080】
また、画像形成装置12が人感センサを備える場合には、印刷画像が用紙に印刷されてから、所定時間(たとえば5秒)が経過するまで、画像形成装置12の近傍にユーザが存在することが検出されると、印刷の結果に不満があると推定(判断)される。
【0081】
さらに、画像形成装置12が原稿押えカバー26の開閉を検知する開閉センサを備えるならば、出力画像が用紙に印刷されてから、所定時間(たとえば10秒)が経過するまで原稿押えカバー26が開かれない場合、印刷の結果に不満があると判断される。ただし、このことは、コピー機能が有効化された場合に限る。
【0082】
画像形成装置12では、印刷の結果に不満があると判断された場合、印刷画像の外観がユーザが所望する外観に対応していないこと。すなわち、実際の印刷品質と、ユーザが所望する印刷品質とが異なる(品質不一致)と推定される。したがって、ユーザの不満の原因である品質不一致の解消をサポートするためのガイド処理が実行される。
【0083】
また、ガイド処理が実行されると、出力条件の再設定(変更)をガイドするためのガイド画面がディスプレイ112に表示される。
【0084】
ガイド処理について簡単に説明すると、まず、ユーザの不満の原因(品質不一致)の内容を特定する。具体的には、品質不一致の原因である印刷物(印刷の結果)の外観的特徴を特定する。
【0085】
次に、画像形成装置12で過去に解消された品質不一致の履歴(解消履歴)に基づいて、品質不一致を解消する解消方法をユーザに提示する。ただし、解消方法は、出力条件を変更(調整)する方法であり、過去にユーザの不満が解消されたときの出力条件についての情報を含む。具体的には、品質不一致の内容に応じて、品質不一致を解消するために変更される出力条件(変更条件)の調整値を示す。以下、
図5~
図8を参照して、ガイド処理の具体的な内容を説明する。
【0086】
第1実施例では、初めに、品質不一致の内容を特定するための内容入力画面220(
図5参照)がディスプレイ112に表示される。
【0087】
図5は、内容入力画面220の一例である。内容入力画面220には、複数の選択キー222(222a~222i)、キャンセルキー224および決定キー226が設けられる。
【0088】
キャンセルキー224は、ガイド処理を終了するために設けられる。キャンセルキー224が操作されると、たとえば、ホーム画面がディスプレイ112に表示される。
【0089】
決定キー226は、選択されている品質不一致の内容を入力するために設けられる。決定キー226が操作されると、選択されている選択キー222に応じて、品質不一致の内容が入力される。また、品質不一致の内容が入力されると、品質不一致の内容が特定される。
【0090】
したがって、決定キー226は、品質不一致の内容を入力する内容入力部としても機能する。なお、決定キー226への操作は、品質不一致の内容が選択されるまで、選択できないように(無効化)される。
【0091】
選択キー222の各々は、品質不一致の内容を選択するために設けられ、選択キー222の各々には、互いに異なる品質不一致の内容が割り当てられている。選択キー222が操作されると、操作された選択キー222に応じて、品質不一致の内容が選択される。
【0092】
したがって、選択キー222は、品質不一致の内容を選択する内容選択部としても機能する。ただし、選択キー222は、いずれか1つのキーのみ選択することができ、所定の選択キー222が操作された後に、他の選択キー222が操作されると、選択される品質不一致の内容が操作された選択キー222に対応する内容に変化する。
【0093】
たとえば、品質不一致の内容の具体例としては、“ぼやけ”、“低濃度”、“低彩度”、“モアレ”、“低コントラスト”、“ノイズ”、“こすれ”、“白とび”、“むら”等が挙げられる。
【0094】
“ぼやけ”は、印刷画像内の画像要素のエッジがぼやけていること(ぼけ量が大きいこと)であり、“低濃度”は、印刷画像全体の濃度(色の濃さ)が低いことである。
【0095】
“低彩度”は、印刷画像内の彩度(鮮やかさ)が低いことであり、“モアレ”は、印刷画像内に縞模様などの意図しない(入力画像に存在しない)柄が生じることである。
【0096】
“低コントラスト”は、印刷画像内の明暗(明るさ)の差が低いことであり、“ノイズ”は、印刷画像内の下地部分にノイズ(入力画像に存在しない点および線など)が生じることである。
【0097】
“こすれ”は、印刷画像内の画像要素の一部が擦れることであり、“白とび”は、印刷画像内の画像要素の一部が映らないことであり、“むら”は印刷画像の濃度にむらが生じることである。
【0098】
なお、内容入力画面220には、複数の選択キー222の代わりに文字を入力するための文字入力部および当該文字入力部で入力された文字を表示する表示領域が設けられてもよい。
【0099】
文字入力部には、たとえば、キーボードなどが該当する。また、文字入力部は、ソフトウェアキーとして内容入力画面220に設けられる。さらに、この場合、複数の文字が入力された後に、決定キー226が操作されると、入力された文字列に含まれる外観的特徴を指す単語および文字等に基づく品質不一致の内容が入力される。なお、文字の入力方法は、特に限定されない。
【0100】
たとえば、文字列に、「低」および「濃度」等の単語が含まれている場合、品質不一致の内容として“低濃度”が入力される。また、文字列に、「模様」が含まれる場合は、品質不一致の内容として“モアレ”が入力される。また、この場合、文字入力部は、内容選択部に相当する。
【0101】
品質不一致の内容が入力されたことに応じて、品質不一致の内容が特定されると、品質不一致の内容に対応する解消方法がユーザに提示される。本実施例では、ディスプレイ112に、品質不一致の内容に対応する解消方法を提示する方法提示画面240が表示される。
【0102】
図6は、方法提示画面240の一例である。方法提示画面240には、複数の方法選択キー242(242a~242c)が設けられる。
【0103】
方法選択キー242の各々は、解消方法を選択するために設けられ、方法選択キー242の各々には、互いに異なる解消方法が割り当てられている。方法選択キー242が操作されると、当該方法選択キー242に対応する解消方法に応じて、出力条件の設定が変更される。すなわち、変更条件が設定される。
【0104】
したがって、方法選択キー242は、出力条件の設定を変更する変更部または変更条件を設定する変更条件設定部としても機能する。なお、方法選択キー242が操作されたことに応じて、変更条件が設定されると、ガイド処理が終了される。
【0105】
たとえば、品質不一致の内容が“ぼやけ”と特定された場合、変更条件には、鮮鋭度が該当し、解消方法には、鮮鋭度を、直前の印刷時の鮮鋭度よりも高く設定する方法が含まれる。
【0106】
また、品質不一致の内容が“モアレ”または“ノイズ”と特定された場合、変更条件には、鮮鋭度が該当し、解消方法には、鮮鋭度を、直前の印刷時の鮮鋭度よりも低く設定する方法が含まれる。
【0107】
さらに、品質不一致の内容が“低濃度”、“こすれ”、“白とび”および“むら”と特定された場合、変更条件には、濃度、搬送速度および定着温度の1つ以上が該当し、解消方法には、処理条件(濃度)を変更する方法と、動作条件(搬送速度または定着温度)を変更する方法とが含まれる。
【0108】
具体的には、解消方法には、濃度を直前の印刷時の濃度よりも高く設定する方法、搬送速度を直前の印刷時の搬送速度よりも遅く設定する方法および定着温度を直前の印刷時の定着温度よりも高く設定する方法が含まれる。ユーザに提示される解消方法には、これらの具体的な方法の1つ以上が含まれる。
【0109】
さらにまた、品質不一致の内容が“低彩度”と特定された場合、変更条件には、彩度が該当し、解消方法には、彩度を、直前の印刷時の彩度よりも高く設定する方法が含まれる。
【0110】
また、品質不一致の内容が“低コントラスト”と特定される場合、変更条件には、明度が該当し、解消方法には、明度を、直前の印刷時の明度よりも高く設定する方法が含まれる。
【0111】
なお、解消方法は、変更条件が同一であっても調整値が異なる場合には、異なる解消方法としてユーザに提示される。
【0112】
ガイド処理の実行に伴って、変更条件が設定されると、変更された出力条件に従う印刷画像が用紙に印刷される。なお、本実施例では、予め変更条件の設定に伴う印刷画像への影響、つまり、印刷画像の外観的特徴の変化を確認することができる。
【0113】
具体的には、ユーザからの操作に応じて、テスト印刷が実行され、変更条件の設定前後の印刷画像が用紙に印刷される。
【0114】
なお、変更条件の設定前後の印刷画像は、異なる用紙に印刷されてもよいし、1枚の用紙に集約されて印刷されてもよい。
【0115】
また、用紙へのテスト印刷は、少なくとも変更条件が設定された後の印刷画像を対象に行われてもよい。以下、ガイド処理の実行後の一連の流れを説明する。
【0116】
ガイド処理が実行されると、
図7に示すように、印刷画像を用紙に印刷するための印刷画面260がディスプレイ112に表示される。印刷画面260には、印刷キー262、確認キー264および戻るキー266が設けられる。
【0117】
印刷キー262は、印刷画像を用紙に印刷する機能が割り当てられる。印刷キー262が操作されると、出力条件が変更された後の印刷画像が用紙に印刷される。
【0118】
また、この場合、出力条件が変更された後の印刷画像が用紙に印刷されることから、品質不一致が解消されたと判断(推定)される。
【0119】
確認キー264は、印刷画像を確認するために設けられる。したがって、確認キー264は、変更条件の設定に伴う印刷画像への影響を確認するための画像確認部としても機能する。
【0120】
確認キー264が操作されると、テスト印刷が行われる。つまり、少なくとも変更条件が設定された後の印刷画像が用紙に印刷される。なお、印刷画像のテスト印刷が行われる場合、ディスプレイ112には、印刷画面260が表示され続ける。
【0121】
戻るキー266は、他の解消方法を選択するために設けられる。戻るキー266が操作されると、ディスプレイ112には、再度、方法提示画面240が表示される。
【0122】
なお、印刷キー262は、確認キー264が操作されるまで、つまり、印刷画像がユーザに確認されるまで、選択できないように(無効化)されてもよい。
【0123】
また、変更条件の設定に伴う印刷画像への影響は、当該印刷画像に対応する出力画像がディスプレイ112に表示されることで確認されてもよい。
【0124】
この場合、図示は省略するが、印刷画面260には、変更条件の設定に伴う出力画像への影響を画面上で確認するためのプレビューキーが設けられる。したがって、この場合、プレビューキーは、上記画像確認部としても機能する。
【0125】
プレビューキーが操作されると、少なくとも変更条件が設定された後の出力画像を含むプレビュー画面(確認画面)がディスプレイ112に表示される。
【0126】
また、確認画面には、出力画像の確認を終了するための閉じるキーがディスプレイ112に表示される。閉じるキーが操作されると、ディスプレイ112には、再度、印刷画面260が表示される。
【0127】
ただし、ガイド処理の実行に伴い、少なくとも動作条件が変更された場合、確認画面に含まれる出力画像では、当該動作条件の変更に伴う印刷画像への影響が確認できないため、プレビューキーが選択できないように(無効化)されてもよい。
【0128】
本実施例では、品質不一致が解消された後に、ユーザの認証が行われている場合、出力条件の適用先を選択する適用先選択処理が開始される。
【0129】
適用先選択処理を簡単に説明すると、出力条件の適用先が認証済みのユーザの属性に応じてユーザに提示される。
【0130】
ユーザからの操作に応じて、出力条件の適用先が選択されると、出力条件の各々の設定値が選択された適用先に対応する出力条件のデフォルトとして設定される。つまり、ガイド処理の実行後の出力条件が適用先に対応する出力条件のデフォルトとされる。なお、適用先選択処理は、予めユーザの認証が行われてない場合、実行されない。この場合、出力条件がガイド処理の実行前の状態に戻り、ディスプレイ112には、たとえば、ホーム画面が表示される。
【0131】
また、本実施例では、ユーザによって入力されるユーザIDおよびパスワード等でユーザ認証が行われるが、たとえば、NFC方式およびBluetooth(登録商標)等による近距離無線通信機能を備える画像形成装置12であれば、たとえば、スマートフォン(携帯端末)およびICカード等によるユーザの認証が行われてもよい。
【0132】
適用先選択処理が実行され、認証済みのユーザの属性が、画像形成装置12の管理者であれば、出力条件の適用先として、画像形成装置12自体(画像形成装置12を使用する全ユーザ)または認証済みのユーザ(特定のユーザ)を選択できる。ここでの管理者とは、たとえば、企業等の組織における所定の役職以上のユーザを指す。
【0133】
また、認証済みのユーザが管理者以外の属性の場合、出力条件の適用先として、認証済みのユーザのみを選択できる。以下、適用先選択処理について説明する。
【0134】
適用先選択処理が開始されると、ディスプレイ112には、出力条件の適用先を提示するための画面である適用先提示画面280が表示される。
【0135】
図8は、適用先提示画面280の一例である。適用先提示画面280には、複数の選択キー282(282aおよび282b)および終了キー284が設けられる。
【0136】
選択キー282は、出力条件の適用先を選択するために設けられる。したがって、選択キー282は、出力条件の適用先を選択する適用選択部としても機能する。
【0137】
選択キー282aが操作されると、出力条件が画像形成装置12に適用される。したがって、出力条件の各々の設定値が選択された画像形成装置12の出力条件のデフォルトとされる。
【0138】
選択キー282bが操作されると、出力条件が認証済みのユーザに適用される。したがって、出力条件の各々の設定値が選択された認証済みのユーザに対応する出力条件のデフォルトとされる。
【0139】
また、選択キー282が操作されると、適用先選択処理が終了され、ディスプレイ112には、ホーム画面が表示される。このことは、終了キー284が操作された場合も同様である。
【0140】
終了キー284は、出力条件の適用先を選択せずに適用先選択処理を終了するために設けられる。終了キー284が操作されると、適用先選択処理が終了する。なお、終了キー284が操作された場合は、出力条件がガイド処理の実行前の状態に戻る。
【0141】
第1実施例では、解消方法の選択は、解消履歴を示す解消履歴テーブル300に基づいて行われる。
【0142】
図9は、解消履歴テーブル300の一例である。
図9に示す解消履歴テーブル300には、不一致内容に対応して、解消方法、出力条件A~J、分類情報および選択回数が記述される。
【0143】
不一致内容は、品質不一致の内容である。また、出力条件A~Jは、各出力条件の設定値、つまり、鮮鋭度、濃度等の設定値である。
【0144】
分類情報は、画像形成装置12を分類する情報である。分類情報は、たとえば、画像形成装置12のファームウェアのバージョン、モデルナンバー等のうちの少なくとも1つを示す情報である。選択回数は、解消方法が選択された回数である。
【0145】
解消履歴テーブル300の各欄には、不一致内容、解消方法、出力条件A~Jおよび分類情報および選択回数に対応する文字、文字列等が記述される。なお、これらの内容は、内部処理で作成および使用されるだけである。このため、テーブルの各欄に記述される内容は、人間が解読できない記号等で記述されてもよい。
【0146】
第1実施例では、解消履歴テーブル300が参照されることで、少なくとも品質不一致の内容、つまり、不一致内容に対応する解消方法が選択される。
【0147】
また、たとえば、ユーザに提示する解消方法の数に限りがある場合、品質不一致内容に対応する解消方法のうち、印刷の結果に不満があると判断されたときの出力条件に基づいて、ユーザに提示する解消方法が優先的に選択されてもよい。
【0148】
具体的には、直前の印刷時の出力条件と解消履歴に基づく出力条件が比較される。出力条件同士が比較されると、直前の印刷時の出力条件と近い出力条件に対応する解消方法が選択される。
【0149】
なお、近い出力条件とは、設定値が同じまたは設定値の誤差が所定の割合以下の出力条件である。また、近い出力条件は、少なくとも変更条件に相当する出力条件の設定値が同じであり、それ以外の出力条件の設定値が同じまたは設定値の誤差が所定の割合以下の出力条件とされてもよい。
【0150】
さらに、自機の分類情報に基づいて、ユーザに提示する解消方法が優先的に選択されてもよい。具体的には、自機の分類情報と解消履歴に基づく出力条件を比較される。分類情報同士が比較されると、自機の分類情報と同じ分類情報に対応する解消方法が優先的に選択される。
【0151】
さらにまた、選択回数に基づいて、ユーザに提示する解消方法が優先的に選択されてもよい。具体的には、不一致内容に対応する解消方法のうち、選択回数が多い解消方法が優先的に選択される。
【0152】
また、不一致内容に対応する解消方法のうち、出力条件、分類情報および選択回数のうち2つ以上の項目に基づいて解消方法が優先的に選択されてもよい。
【0153】
解消履歴テーブル300は、品質不一致が解消されると、新たに、不一致内容等が記述される。つまり、解消履歴が更新される。なお、選択回数以外の不一致内容等と一致する内容が既に記述される場合は、選択回数のみが書き換えられる。
【0154】
また、第1実施例における解消履歴には、品質不一致の内容等のサンプルが予め登録される。したがって、解消履歴テーブル300には、不一致内容等のサンプルが予め記述される。
【0155】
さらに、品質不一致が解消されるとき、ユーザに提示する解消方法の精度を上昇させるための更新データが生成され、他の画像形成装置12に送信される。なお、更新データは、選択回数を除く不一致内容、解消方法等を示す。
【0156】
更新データを受信した画像形成装置12は、当該更新データにしたがって、上述したように解消履歴を更新する。したがって、情報処理システム10において、各画像形成装置12には、最新の解消履歴が維持される。
【0157】
図10および
図11は、
図1に示した画像形成装置12のRAM104のメモリマップ500の一例を示す図である。
図10および
図11に示すように、RAM104は、プログラム記憶領域502およびデータ記憶領域504を含む。また、RAM104のプログラム記憶領域502には、情報処理プログラムの一例として、画像形成装置12の制御プログラムが記憶される。
【0158】
画像形成装置12の制御プログラムは、通信プログラム502a、操作検出プログラム502b、画像処理プログラム502c、画像形成プログラム502d、表示画像生成プログラム502e、画像表示プログラム502f、印刷結果判断プログラム502g、内容特定プログラム502h、方法提示プログラム502i、設定変更プログラム502j、属性判断プログラム502k、デフォルト設定プログラム502l、データ生成プログラム502m、送信プログラム502n、画像読取プログラム502oおよび監視プログラム502pを含む。
【0159】
通信プログラム502aは、通信部116を制御し、他の装置と通信するためのプログラムである。
【0160】
操作検出プログラム502bは、画像形成装置12の各操作部への操作に対応する操作検出データを検出するためのプログラムである。たとえば、タッチパネル114がタッチ(または操作)された場合には、CPU100は、操作検出プログラム502bに従って、タッチパネル114から出力されたタッチ座標データを後述する操作データ504aとして取得して、バッファに記憶する。また、操作ボタンのようなハードウェアのボタンないしキーが押圧または操作された場合には、CPU100は、操作検出プログラム502bに従って、ボタンないしキーの押圧または操作による操作データ504a取得して、バッファに記憶する。
【0161】
画像処理プログラム502cは、入力画像に対して出力条件に基づく画像処理を施し、出力画像を生成するためのプログラムである。
【0162】
また、画像処理プログラム502cは、出力条件が変更されるとき(変更条件が設定されるとき)、入力画像に対して出力条件に基づく画像処理を施し、出力画像を生成するためのプログラムも含む。
【0163】
画像形成プログラム502dは、出力条件に基づいて、出力画像に対応する印刷画像を用紙に印刷するためのプログラムである。
【0164】
また、画像形成プログラム502dは、ユーザからの操作に応じて、少なくとも変更条件が設定された後の印刷画像を用紙にテスト印刷するためのプログラムも含む。
【0165】
表示画像生成プログラム502eは、GPUを制御して、後述する表示画像生成データ504bを用いて、各種の画面(200、220、240、260、280および300等)を表示するための表示画像を生成するためのプログラムである。
【0166】
また、画像表示プログラム502fは、表示画像生成プログラム502eに従って生成された表示画像をディスプレイ112に出力するためのプログラムである。
【0167】
印刷結果判断プログラム502gは、印刷画像が用紙に印刷された後に、ユーザからの操作に応じて、印刷の結果に対する不満の有無を判断するためのプログラムである。
【0168】
内容特定プログラム502hは、印刷の結果に不満が有ると判断された後、ユーザの不満の原因となり得る品質不一致の内容の候補をユーザに提示して、ユーザ操作に応じて、当該品質不一致の内容を特定するためのプログラムである。
【0169】
方法提示プログラム502iは、品質不一致の内容に応じて、過去にユーザの不満が解消されたときの出力条件についての情報を含む複数の解消方法をユーザに提示するためのプログラムである。
【0170】
また、方法提示プログラム502iは、認証済みのユーザの属性が判断されるとき、出力条件の適用先をユーザに提示する適用先提示プログラムを含む。
【0171】
設定変更プログラム502jは、選択された解消方法に基づいて、出力条件を変更する(変更条件の設定する)ためのプログラムである。
【0172】
属性判断プログラム502kは、変更条件が設定され、品質不一致が解消されるとき、認証済みのユーザの属性を判断するためのプログラムである。
【0173】
デフォルト設定プログラム502lは、ユーザからの操作に応じて出力条件の適用先が選択されるとき、出力条件の各々の設定値を選択された適用先に対応する出力条件のデフォルトとして設定するためのプログラムである。
【0174】
データ生成プログラム502mは、品質不一致が解消されるとき、更新データを生成するためのプログラムである。
【0175】
送信プログラム502nは、通信部116を介して更新データを他の画像形成装置12に送信するためのプログラムである。
【0176】
画像読取プログラム502oは、画像読取部34を制御し、原稿に基づく読取画像を生成するためのプログラムである。
【0177】
監視プログラム502pは、監視部118を制御して、画像形成装置12の使用環境を監視するためのプログラムである。
【0178】
図示は省略するが、プログラム記憶領域502には、画像形成装置12の制御に必要な他のプログラムなども記憶される。プログラム記憶領域502には、たとえば、受信画像を受信するためのプログラム、出力条件の設定を示すデータを受信するためのプログラム、更新データを受信するためのプログラム、更新データに伴って、解消履歴を更新するためのプログラム、品質不一致の解消に伴って、解消履歴を更新するためのプログラム、ユーザ認証を行うためのプログラムおよびユーザの認証が行われているかどうかを判断するためのプログラム等が記憶される。
【0179】
図11は、データ記憶領域504の具体的な内容の一例を示す図である。
図12に示すデータ記憶領域504には、操作データ504a、表示画像生成データ504b、解消履歴データ504c、画像データ504d、条件データ504eおよび更新データ504fが記憶される。
【0180】
操作データ504aは、操作検出プログラム502bに従って検出した操作データであり、時系列に従って記憶される。なお、操作データ504aは、CPU100の処理に使用された後に削除される。
【0181】
表示画像生成データ504bは、表示画像データを生成するためのポリゴンデータおよびテクスチャーデータ等を含むデータである。また、表示画像生成データ504bには、ソフトウェアキーに対応する画像データ等も含まれる。
【0182】
解消履歴データ504cは、解消履歴を示すデータである。画像データ504dは、画像に対応するデータである。
【0183】
画像データ504dは、入力画像に対応するデータおよび出力画像に対応するデータを含む。また、入力画像に対応するデータは、読取画像に対応するデータまたは受信画像に対応するデータを含む。
【0184】
条件データ504eは、画像形成装置12における出力条件のデフォルトを示すデータである。また、条件データ504eは、ユーザ毎の出力条件のデフォルトを示すデータを含む。さらに、条件データ504eは、現在の出力条件を示すデータを含む。
【0185】
更新データ504fは、品質不一致の解消に伴って生成されるデータであり、不一致内容、解消方法および出力条件A~J等を示す。また、監視データ504gは、画像形成装置の使用環境を示すデータである。
【0186】
図示は省略するが、データ記憶領域504には、情報処理プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されるとともに、ユーザ認証に必要なデータ、情報処理プログラムの実行に必要なフラグおよびカウンタ(タイマ)も設けられる。
【0187】
図12は、
図1に示す画像形成装置12のCPU100の解消処理の一例を示すフロー図である。この解消処理は、印刷の結果に不満があると判断されると開始される。
【0188】
図12に示すように、CPU100は、ステップS1では、
図13に示すサブルーチンに従ってガイド処理を実行し、ステップS3に進む。
【0189】
ステップS3では、出力条件に従って出力画像を生成し、ステップS5で、印刷画面260をディスプレイ112に表示する。
【0190】
ステップS7では、印刷キー262が操作されたかどうかを判断する。ステップS7で“YES”であれば、つまり、印刷キー262が操作されたのであれば、ステップS9に進む。ステップS9では、印刷画像を用紙に印刷し、解消処理を終了する。
【0191】
ステップS7で“NO”であれば、つまり、印刷キー262が操作されていないのであれば、ステップS11に進む。
【0192】
ステップS11では、戻るキー266が操作されたかどうかを判断する。ステップS11で“NO”であれば、つまり、戻るキー266が操作されていないのであれば、ステップS15に進む。一方、ステップS15で“YES”であれば、つまり、戻るキー266が操作されたのであれば、ステップS13で、
図14に示すサブルーチンに従って設定変更処理を実行し、ステップS3に戻る。
【0193】
ステップS15では、確認キー264が操作されたかどうかを判断する。ステップS15で“NO”であれば、つまり、確認キー264が操作されていないのであれば、ステップS5に戻る。一方、ステップS15で“YES”であれば、つまり、確認キー264が操作されたのであれば、ステップS17に進む。ステップS17では、テスト印刷を行い、ステップS5に戻る。
【0194】
図13は、
図12のステップS1に示したCPU100のガイド処理の一例を示すフロー図である。CPU100は、ガイド処理を開始すると、ステップS31で、内容入力画面220をディスプレイ112に表示する。
【0195】
ステップS33では、決定キー226が操作されたかどうかを判断する。ステップS39で“NO”であれば、つまり、決定キー226が操作されていないのであれば、ステップS31に戻る。一方、ステップS33で“YES”であれば、つまり、決定キー226が操作されたのであれば、ステップS35に進む。
【0196】
ステップS35では、品質不一致の内容が選択されているかどうかを判断する。ステップS35で“NO”であれば、つまり、品質不一致の内容が選択されていないのであれば、ステップS31に戻る。一方、ステップS35で“YES”であれば、つまり、品質不一致の内容が選択されているのであれば、ステップS37に進む。
【0197】
ステップS37では、で品質不一致の内容を特定し、ステップS39で、解消履歴に基づいてユーザに提示する解消方法を選択し、ステップS13に進む。
【0198】
ステップS13では、
図14に示すサブルーチンに従って設定変更処理を実行し、
図12に示す解消処理にリターンする。
【0199】
図14は、解消処理またはガイド処理のステップS13に示したCPU100の設定変更処理の一例を示すフロー図である。CPU100は、設定変更処理を開始すると、ステップS51で、方法提示画面240をディスプレイ112に表示し、ステップS53に進む。
【0200】
ステップS53では、方法選択キー242が操作されたかどうかを判断する。ステップS53で“NO”であれば、つまり、方法選択キー242が操作されていないのであれば、ステップS51に戻る。一方、ステップS53で“YES”であれば、つまり、方法選択キー242が操作されたのであれば、ステップS55に進む。
【0201】
ステップS55では、選択された解消方法に応じて、変更条件を設定し、適宜に
図12示す解消処理または
図13に示すガイド処理にリターンする。
【0202】
図15は、
図1に示す画像形成装置12のCPU100の適用先選択処理の一例を示すフロー図である。この適用先選択処理は、品質不一致が解消され、ユーザの認証が行われていると開始される。
【0203】
ステップS71では、ユーザの属性を判断し、ステップS73に進む。ステップS73では、ユーザの属性に応じた適用先提示画面280をディスプレイ112に表示する。
【0204】
ステップS75では、選択キー282が操作されたかどうかを判断する。ステップS75で“NO”であれば、つまり、選択キー282が操作されていないのであれば、ステップS77に進む。一方、ステップS75で“YES”であれば、つまり、選択キー282が操作されたのであれば、ステップS79で、出力条件の各々の設定値をデフォルトの設定として、選択された選択キー282に対応する適用先に適用し、適用先選択処理を終了する。
【0205】
ステップS77では、終了キー284が操作されたかどうかを判断する。ステップS77で“NO”であれば、つまり、終了キー284が操作されてなければ、ステップS73に戻る。一方、ステップS77で“YES”であれば、つまり、終了キー284が操作されたのであれば、適用先選択処理を終了する。
【0206】
第1実施例によれば、印刷の結果に不満があると判断された場合に、品質不一致の内容を入力するだけで、出力条件の設定を適宜に変更することができる。つまり、印刷の結果に伴って出力条件の設定が変更される際のユーザの負担を軽減することができる。
【0207】
また、ガイド処理が実行された後の出力条件の設定値を所定の適用先の出力条件のデフォルトとして設定することが可能である。したがって、適用先選択処理の実行後に印刷画像が印刷される際にも、ユーザの負担を軽減することができる。
[第2実施例]
第2実施例では、品質不一致の内容が特定される際の処理および解消方法の選択方法を変更したこと以外は、第1実施例と同様である。したがって、第1実施例と重複する説明は省略する。
【0208】
第2実施例では、品質不一致の内容が入力される際に、必要に応じて少なくとも追加情報が取得される。
【0209】
追加情報は、ユーザに提示する解消方法の数に限りがある場合、ユーザに提示する解消方法を選択する(ユーザに提示する解消方法を絞り込む)ための情報である。追加情報は、少なくとも現在の画像形成装置12の使用環境を示す環境情報を含む。また、追加情報は、直前の印刷物に対応する読取画像(解析画像)の特徴量を示す特徴情報を含む。
【0210】
特徴情報には、たとえば、解析画像の濃度、明度、色相および彩度のヒストグラムが該当する。以下、追加情報が取得されるまでの一連の処理を
図16および
図17を参照して説明する。
【0211】
図16は、第2実施例の内容入力画面220である。この内容入力画面220には、情報取得キー228が設けられる。
【0212】
情報取得キー228は、追加情報を取得するために設けられる。情報取得キー228が操作されると、ディスプレイ112には、直前の印刷物の読取をユーザに促し、画像読取処理を行うための読取画面320(
図17参照)が表示される。また、情報取得キー228が操作されたことに応じて、環境情報が取得される。なお、読取画面320は、ガイド画面の一態様である。
【0213】
図17は、読取画面320の一例である。読取画面320には、画像読取部34で直前の印刷物を読み取ることを促すメッセージが表示される。また、読取画面320には、スタートキー322および読取キャンセルキー324が設けられる。
【0214】
スタートキー322は、直前の印刷物の読取を開始するために設けられる。スタートキー322が操作されると、画像読取部34が制御され、解析画像が生成される。したがって、スタートキー322は、読取開始部としても機能する。また、解析画像が生成されると、当該解析画像から、特徴情報が取得される。
【0215】
読取キャンセルキー324は、直前の印刷物の読取をキャンセルするために設けられる。読取キャンセルキー324が操作されると、ディスプレイ112には、内容入力画面220が表示される。したがって、読取キャンセルキー324が操作されると、直前の印刷物の読取が行われないため、環境情報のみが取得される。
【0216】
次に、追加情報が取得された際のユーザに提示する解消方法の選択の方法を説明する。
【0217】
図18は、第2実施例の解消履歴テーブル300である。第2実施例の解消履歴テーブル300では、不一致内容に対応して、新たに、環境情報および特徴情報が記述される。なお、環境情報および特徴情報には、各々に対応する文字、文字列等が記述される。
【0218】
なお、これらの内容は、不一致内容等と同様に、内部処理で作成および使用されるだけである。したがって、解消履歴テーブル300の各欄に記述される内容は、人間が解読できない記号等で記述されてもよい。
【0219】
第2実施例では、追加情報が取得され、解消履歴テーブル300が参照される場合、少なくとも不一致内容および追加情報に対応する解消方法が選択される。
【0220】
つまり、特徴情報が取得された場合は、不一致内容、環境情報および特徴情報に対応する解消方法が選択され、特徴情報が取得されない場合は、不一致内容および環境情報に対応する解消方法が選択される。
【0221】
なお、ユーザに提示する解消方法は、不一致内容および追加情報によって選択される解消方法のうち、出力条件および分類情報等に基づいて、優先的に選択されてもよい。
【0222】
図示は省略するが、第2実施例の画像形成装置12の制御プログラムは、情報取得プログラムを含む。
【0223】
情報取得プログラムは、ユーザ操作に応じて環境情報を取得するためのプログラムである。
【0224】
また、情報取得プログラムは、ユーザ操作に応じて直前の印刷物が原稿として読み取られるとき、当該印刷物に基づく読取画像である解析画像から特徴情報を取得するためのプログラムも含む。
【0225】
また、第2実施例のデータ記憶領域504には、新たに、追加データが記憶される。追加データは、追加情報に対応するデータである。
【0226】
また、追加データは、環境情報に対応するデータおよび解析情報に対応するデータのうち少なくとも環境情報に対応するデータを含む。
【0227】
さらに、第2実施例の画像データ504dは、印刷物に対応する読取画像である解析画像に対応するデータも含む。
【0228】
図19は、第2実施例のガイド処理の一例の一部を示すフロー図である。ステップS91では、情報取得キー228が操作されたかどうかを判断する。ステップS91で“NO”であれば、つまり、情報取得キー228が操作されていないのであれば、ステップS31に戻る。一方、ステップS91で“YES”であれば、つまり、情報取得キー228が操作されたのであれば、ステップS93に進む。
【0229】
ステップS93では、環境情報を取得し、ステップ95で、読取画面320をディスプレイ112に表示する。
【0230】
ステップS97では、スタートキー322が操作されたかどうかを判断する。ステップS97で“NO”であれば、つまり、スタートキー322が操作されていないのであれば、ステップS103に進む。一方、ステップS97で“YES”であれば、つまり、スタートキー322が操作されたのであれば、ステップS99に進む。
【0231】
ステップS99では、印刷物を読み取り、解析画像を生成する。ステップS101では、解析画像から特徴情報を取得し、ステップS31に戻る。
【0232】
ステップS103では、読取キャンセルキー324が操作されたかどうかを判断する。ステップS103で“NO”であれば、つまり、読取キャンセルキー324が操作されていないのであれば、ステップS95に戻る。一方、ステップS103で“YES”であれば、つまり、読取キャンセルキー324が操作されたのであれば、ステップS31に戻る。
【0233】
第2実施例によれば、第1実施例と同様に、印刷の結果に伴って出力条件の設定が変更される際のユーザの負担を軽減することができる
また、使用環境には、たとえば、画像形成装置12が累計で使用された時間である使用時間、累計の印刷枚数およびトナーの残量等が含まれてもよい。
【0234】
また、この場合、監視部118には、たとえば、使用時間、印刷枚数およびトナーの残量等を監視するためのセンサおよび各センサに基づく結果をCPU100に入力するための回路等を含む。なお、使用時間等の検出方法は周知であるため、詳細な説明は省略する。
【0235】
さらに、解消方法をユーザに提示する際に、出力条件(変更条件)の調整値が解消履歴に基づいて予測されてもよい。この場合。一部、解消履歴に基づいて予測された、変更条件の調整値を示す解消方法がユーザに提示される。なお、解消履歴に基づいて予測された調整値は、解消履歴に基づいて選択された解消方法が示す調整値とは、重複しない。
【0236】
たとえば、解消履歴に基づいて予測された調整値は、解消履歴に基づいて選択された解消方法が示す調整値の最大値および最小値の間の値のいずれかを示す。
【0237】
さらに、解消履歴に基づいて予測された調整値は、解消履歴に基づいて選択された解消方法が示す調整値の最大値よりも大きい値でもよい。ただし、このことは、品質不一致の内容が、変更条件を直前の設定値よりも高く設定されることで解消される内容の場合のみである。
【0238】
また、解消履歴に基づいて予測された調整値は、解消履歴に基づいて選択された解消方法が示す調整値の最小値よりも小さい値でもよい。ただし、このことは、品質不一致の内容が、変更条件を直前の設定値よりも低く設定されることで解消される内容の場合のみである。
【0239】
さらにまた、上述の実施例で示した具体的な数値および画面は一例であり、実際の製品において、適宜変更可能である。
【0240】
また、上述の各実施例で示したフロー図は一例であり、同じ結果が得られる場合には、各ステップの順番は任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0241】
12 …画像形成装置
34 …画像読取部
36 …画像形成部
100 …CPU
104 …RAM
106 …記憶部
108 …表示制御回路
110 …タッチパネル制御回路
112 …ディスプレイ
114 …タッチパネル
118 …監視部