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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】グリルシャッタ装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20230926BHJP
   F16H 21/10 20060101ALI20230926BHJP
   F01P 7/12 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
B60K11/04 J
F16H21/10 Z
F01P7/12 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020017816
(22)【出願日】2020-02-05
(65)【公開番号】P2021123225
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小松原 健
(72)【発明者】
【氏名】坪井 一樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 盛貴
(72)【発明者】
【氏名】原田 俊一
(72)【発明者】
【氏名】森江 秀一
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-189208(JP,A)
【文献】特開2012-025175(JP,A)
【文献】特表2015-535776(JP,A)
【文献】特開2013-136260(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017205790(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0048691(US,A1)
【文献】特開2019-077205(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0170170(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0297424(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0146375(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04
F16H 21/10
F01P 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部に設けられる開口部から前記車両の内部に空気を導入するための導入路を開閉するグリルシャッタ装置であって、
前記導入路を開く開位置及び前記導入路を閉じる閉位置の間で回転する駆動フィン及び従動フィンと、
前記駆動フィンを駆動するアクチュエータと、
前記駆動フィンから前記従動フィンに動力を伝達する動力伝達部材と、
前記動力伝達部材に接触することにより、前記開位置を規定する第1ストッパと、
前記駆動フィンに接触することにより、前記閉位置を規定する第2ストッパと、を備え
前記駆動フィンの開作動時には、前記第1ストッパと前記動力伝達部材が接触することで前記開位置を規定するとともに、
前記駆動フィンの閉作動時には、前記第2ストッパと前記駆動フィンが接触することで前記閉位置を規定する
グリルシャッタ装置。
【請求項2】
前記動力伝達部材は、前記駆動フィンと連結される駆動連結部と、前記従動フィンと連結される従動連結部と、前記第1ストッパに接触する接触部と、を有し、前記駆動フィン及び前記従動フィンとともにリンク機構を構成するリンク部材であり、
前記動力伝達部材において、前記従動連結部は、前記駆動連結部と前記接触部との間に位置する
請求項1に記載のグリルシャッタ装置。
【請求項3】
前記駆動フィン及び前記従動フィンは、前記導入路の上下方向に並んで配置され、
前記駆動フィンは、前記駆動フィンの軸方向に並んで配置される一対の第1ブレードと、前記一対の第1ブレード同士を連結する第1中間軸部と、前記第1中間軸部から径方向に延びる第1リンクと、を有し、
前記従動フィンは、前記従動フィンの軸方向に並んで配置される一対の第2ブレードと、前記一対の第2ブレード同士を連結する第2中間軸部と、前記第2中間軸部から径方向に延びる第2リンクと、を有し、
前記動力伝達部材において、前記駆動連結部は前記第1リンクに連結され、前記従動連結部は前記第2リンクに連結される
請求項に記載のグリルシャッタ装置。
【請求項4】
前記従動フィンは、前記導入路の上下方向に前記駆動フィンと並ぶ第1従動フィンと、前記駆動フィンの軸方向に前記駆動フィンと並ぶ第2従動フィンと、前記第1従動フィンの軸方向に前記第1従動フィンと並ぶとともに前記上下方向に前記第2従動フィンと並ぶ第3従動フィンと、を有し、
前記従動連結部を第1従動連結部としたとき、前記第1従動連結部は、前記第1従動フィンに連結され、
前記動力伝達部材は、前記駆動連結部と同一軸線上に配置され、前記第2従動フィンに連結される第2従動連結部と、前記第1従動連結部と同一軸線上に配置され、前記第3従動フィンに連結される第3従動連結部と、を有する
請求項に記載のグリルシャッタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリルシャッタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の前部に形成される開口部を開閉することにより、エンジンルームに流入する空気流量を調整するグリルシャッタ装置が知られている。例えば、特許文献1には、上下方向に並ぶ複数の可動フィンと、複数の可動フィンを駆動するアクチュエータと、アクチュエータの動力を複数の可動フィンに伝達するリンク機構と、を備えるグリルシャッタ装置が記載されている。グリルシャッタ装置は、通常、エンジンの温度を調整するために開口部を開閉したり、車両走行時の空気抵抗を低減させるために開口部を閉じたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-101279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなグリルシャッタ装置では、上段の可動フィンと下段の可動フィンとの間に異物が挟まったり、リンク機構に負荷が作用したりすると、可動フィンを正常に開閉できなくなる場合がある。本発明の目的は、アクチュエータから可動フィンに対する動力伝達経路に異常が発生することを検出できるグリルシャッタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するグリルシャッタ装置は、車両の前部に設けられる開口部から前記車両の内部に空気を導入するための導入路を開閉するグリルシャッタ装置であって、前記導入路を開く開位置及び前記導入路を閉じる閉位置の間で回転する駆動フィン及び従動フィンと、前記駆動フィンを駆動するアクチュエータと、前記駆動フィンから前記従動フィンに動力を伝達する動力伝達部材と、前記動力伝達部材に接触することにより、前記開位置及び前記閉位置の一方の位置である第1位置を規定する第1ストッパと、を備える。
【0006】
例えば、アクチュエータの出力軸の回転角のみに応じて、駆動フィンが第1位置に到達したか否かを判別する比較例を想定する。この比較例は、駆動フィンに異常が発生したり動力伝達部材に異常が発生したりする状況下において、アクチュエータの出力軸さえ回転すれば、駆動フィン及び従動フィンが第1位置に到達していないにも関わらず、駆動フィン及び従動フィンが第1位置に到達したと判別し得る。
【0007】
これに対し、上記構成のグリルシャッタ装置は、駆動フィン及び従動フィンの作動時において、動力伝達部材の第1ストッパに対する接触を検出することにより、駆動フィン及び従動フィンが第1位置に到達したか否かを判別できる。また、グリルシャッタ装置において、駆動フィン及び動力伝達部材は、アクチュエータから従動フィンまでの動力伝達経路を構成している。このため、動力伝達経路を構成する駆動フィン及び動力伝達部材に異常が発生することに起因して、駆動フィン及び従動フィンが第1位置まで回転できなくなるような場合には、動力伝達部材が第1ストッパに接触しなくなる。したがって、グリルシャッタ装置は、動力伝達部材が第1ストッパに接触するか否かに応じて、動力伝達経路に異常が発生することを検出できる。
【0008】
上記グリルシャッタ装置は、前記駆動フィンに接触することにより、前記開位置及び前記閉位置の他方の位置である第2位置を規定する第2ストッパを備えることが好ましい。
上記構成のグリルシャッタ装置は、駆動フィンとの接触により駆動フィンの第2位置を規定する第2ストッパを備えるため、駆動フィンの第2位置をより正確に規定できる。なお、グリルシャッタ装置は、動力伝達経路に発生する異常の発生については、駆動フィンを第2位置から第1位置に作動させる際に検出できる。
【0009】
上記グリルシャッタ装置において、前記動力伝達部材は、前記駆動フィンと連結される駆動連結部と、前記従動フィンと連結される従動連結部と、前記第1ストッパに接触する接触部と、を有し、前記駆動フィン及び前記従動フィンとともにリンク機構を構成するリンク部材であり、前記動力伝達部材において、前記従動連結部は、前記駆動連結部と前記接触部との間に位置することが好ましい。
【0010】
動力伝達部材において、接触部が駆動連結部及び従動連結部の間に位置する場合、駆動連結部及び従動連結部の間に異常が発生する状況下において、動力伝達部材の接触部が第1ストッパに接触しているのにも関わらず、従動フィンが第1位置に配置されないおそれがある。つまり、動力伝達経路の異常を検出できないおそれがある。
【0011】
これに対し、上記構成のグリルシャッタ装置は、動力伝達部材において、従動連結部が駆動連結部及び接触部の間に位置するため、駆動連結部及び従動連結部の間に異常が発生する状況下には、動力伝達部材の接触部が第1ストッパに接触しなくなる。こうして、グリルシャッタ装置は、動力伝達経路に発生する異常を精度良く検出できる。
【0012】
上記グリルシャッタ装置において、前記駆動フィン及び前記従動フィンは、前記導入路の上下方向に並んで配置され、前記駆動フィンは、前記駆動フィンの軸方向に並んで配置される一対の第1ブレードと、前記一対の第1ブレード同士を連結する第1中間軸部と、前記第1中間軸部から径方向に延びる第1リンクと、を有し、前記従動フィンは、前記従動フィンの軸方向に並んで配置される一対の第2ブレードと、前記一対の第2ブレード同士を連結する第2中間軸部と、前記第2中間軸部から径方向に延びる第2リンクと、を有し、前記動力伝達部材において、前記駆動連結部は前記第1リンクに連結され、前記従動連結部は前記第2リンクに連結されることが好ましい。
【0013】
上記構成のグリルシャッタ装置は、駆動フィンにおいて、一対の第1ブレードが第1中間軸部で連結され、従動フィンにおいて、一対の第2ブレードが第2中間軸部で連結される。このため、グリルシャッタ装置は、一対の第1ブレード及び一対の第2ブレードの位置の同期を取りやすい。
【0014】
上記グリルシャッタ装置において、前記従動フィンは、前記導入路の上下方向に前記駆動フィンと並ぶ第1従動フィンと、前記駆動フィンの軸方向に前記駆動フィンと並ぶ第2従動フィンと、前記第1従動フィンの軸方向に第1従動フィンと並ぶとともに前記上下方向に前記第2従動フィンと並ぶ第3従動フィンと、を有し、前記従動連結部を第1従動連結部としたとき、前記第1従動連結部は、前記第1従動フィンに連結され、前記動力伝達部材は、前記駆動連結部と同一軸線上に配置され、前記第2従動フィンに連結される第2従動連結部と、前記第1従動連結部と同一軸線上に配置され、前記第3従動フィンに連結される第3従動連結部と、を有することが好ましい。
【0015】
上記構成のグリルシャッタ装置は、幅方向において、駆動フィン及び第2従動フィンが分離し、第1従動フィン及び第3従動フィンが分離している。このため、グリルシャッタ装置は、幅方向に長尺の駆動フィン及び従動フィンを備えない点で、構成を簡素化できる。
【発明の効果】
【0016】
グリルシャッタ装置は、アクチュエータから可動フィンに対する動力伝達経路に異常が発生することを検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態のグリルシャッタ装置を備える車両前部の模式図。
図2】第1実施形態のグリルシャッタ装置を後上方から見たときの斜視図。
図3】第1実施形態のグリルシャッタ装置を後上方から見たときの分解斜視図。
図4】第1実施形態のグリルシャッタ装置を前下方から見たときの分解斜視図。
図5】可動フィンが閉位置に配置されるときの第1実施形態のグリルシャッタ装置を後上方から見たときの部分斜視図。
図6】可動フィンが閉位置に配置されるときの第1実施形態のグリルシャッタ装置の幅方向における断面図。
図7】可動フィンが開位置に配置されるときの第1実施形態のグリルシャッタ装置を後上方から見たときの部分斜視図。
図8】可動フィンが開位置に配置されるときの第1実施形態のグリルシャッタ装置の幅方向における断面図。
図9】可動フィンを作動させるために第1実施形態のグリルシャッタ装置の制御装置が実施する処理の流れを示すフローチャート。
図10】第1実施形態のグリルシャッタ装置の作用を説明する模式図。
図11】第2実施形態のグリルシャッタ装置を後上方から見たときの斜視図。
図12】第2実施形態のグリルシャッタ装置を後上方から見たときの分解斜視図。
図13】第2実施形態のグリルシャッタ装置を前下方から見たときの分解斜視図。
図14】可動フィンが閉位置に配置されるときの第2実施形態のグリルシャッタ装置を後上方から見たときの部分斜視図。
図15】可動フィンが閉位置に配置されるときの第2実施形態のグリルシャッタ装置の幅方向における断面図。
図16】可動フィンが開位置に配置されるときの第2実施形態のグリルシャッタ装置を後上方から見たときの部分斜視図。
図17】可動フィンが開位置に配置されるときの第2実施形態のグリルシャッタ装置の幅方向における断面図。
図18】変更例のグリルシャッタ装置の幅方向における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係るグリルシャッタ装置を備える車両について図面を参照しつつ説明する。以降の説明では、車両の幅方向に延びる軸をX軸とし、車両の前後方向に延びる軸をY軸とし、車両の上下方向に延びる軸をZ軸とする。
【0019】
図1に示すように、車両10は、エンジンルーム11に配置されるエンジン12と、エンジン12を冷却するラジエータ13と、ラジエータ13に空気を導くファン14と、開口部15を有するフロントグリル16と、を備える。また、車両10は、フロントグリル16とともに車両10の前部を構成するバンパ17と、エンジンルーム11に導入される空気の流量を調整するグリルシャッタ装置20と、を備える。
【0020】
グリルシャッタ装置20は、開口部15からエンジンルーム11に空気を導入する導入路18に配置される。詳しくは、グリルシャッタ装置20は、車両10の前後方向において、ラジエータ13の下部と向かい合う位置に配置される。グリルシャッタ装置20は、導入路18を開閉することにより、エンジンルーム11に導入される空気の流量を調整する。
【0021】
図2図4に示すように、グリルシャッタ装置20は、グリルシャッタ装置20の骨格を構成するフレーム30と、導入路18を開閉する「可動フィン」の一例としての駆動フィン40及び従動フィン50と、駆動フィン40を駆動するアクチュエータ60と、を備える。また、グリルシャッタ装置20は、駆動フィン40から従動フィン50に動力を伝達する「動力伝達部材」の一例としてのリンク部材70と、駆動フィン40及び従動フィン50を部分的に覆う中間カバー80及び端部カバー90と、を備える。また、図1に示すように、グリルシャッタ装置20は、アクチュエータ60を制御する制御装置100を備える。
【0022】
図2に示すように、フレーム30は、幅方向を長手方向とする底壁31及び上壁32と、底壁31及び上壁32の長手方向における中央部同士を連結する中間壁33と、底壁31及び上壁32の長手方向における端部同士をそれぞれ連結する一対の側壁34と、を有する。
【0023】
図3に示すように、底壁31は、駆動フィン40と接触することで駆動フィン40の閉位置を規定する閉ストッパ35を有する。閉ストッパ35は、底壁31の長手方向にわたって設けられる。閉ストッパ35は、上壁32に向かって延びる。
【0024】
図4に示すように、上壁32は、従動フィン50と接触することで従動フィン50の閉位置を規定する閉ストッパ36を有する。閉ストッパ36は、上壁32の長手方向にわたって設けられる。閉ストッパ36は、底壁31に向かって延びる。図3に示すように、上壁32は、リンク部材70と接触することで駆動フィン40及び従動フィン50の開位置を規定する開ストッパ37を有する。開ストッパ37は、上壁32の長手方向における中央部に設けられる。開ストッパ37は、底壁31に向かって突出し、開ストッパ37の先端は平面状をなしている。
【0025】
図4に示すように、中間壁33及び一対の側壁34は、駆動フィン40及び従動フィン50を回転可能に支持する複数の軸受部38を有する。複数の軸受部38は、幅方向における側面視において、半円状をなす軸穴を含む。図4に示すように一対の側壁34のうちの一方の側壁34は、アクチュエータ60を保持する。
【0026】
図3及び図4に示すように、駆動フィン40は、駆動フィン40の軸方向に並ぶ一対の第1ブレード41と、一対の第1ブレード41同士を連結する第1中間軸部42と、一対の第1ブレード41の端部からそれぞれ延びる一対の第1軸部43と、第1中間軸部42から径方向に延びる第1リンク44と、を有する。一対の第1ブレード41は、ともに平板状をなしている。一対の第1ブレード41の長手方向と直交する断面形状は、駆動フィン40の回転軸線を中心とする点対称な形状をなしている。一方の第1ブレード41の一方の端部から延びる第1軸部43は、アクチュエータ60に接続される入力軸45を含む。
【0027】
図3及び図4に示すように、従動フィン50は、導入路18において、駆動フィン40と上下方向に並ぶ。従動フィン50は、従動フィン50の軸方向に並ぶ一対の第2ブレード51と、一対の第2ブレード51同士を連結する第2中間軸部52と、一対の第2ブレード51の端部からそれぞれ延びる一対の第2軸部53と、第2中間軸部52から径方向に延びる第2リンク54と、を有する。一対の第2ブレード51は、ともに平板状をなしている。一対の第2ブレード51の長手方向と直交する断面形状は、従動フィン50の回転軸線を中心とする点対称な形状をなしている。
【0028】
図3及び図4に示すように、アクチュエータ60は、例えば、モータと減速機とが一体となった電動アクチュエータである。アクチュエータ60は、駆動フィン40の入力軸45と連結される出力軸61を有する。出力軸61は、入力軸45が挿入される軸穴を有する。アクチュエータ60は、モータの回転角、言い換えれば、出力軸61の回転角に応じた信号を制御装置100に出力する。
【0029】
図3及び図4に示すように、リンク部材70は、略棒状をなしている。リンク部材70は、駆動フィン40の第1リンク44及び従動フィン50の第2リンク54にそれぞれ連結される駆動連結部71及び従動連結部72と、フレーム30の開ストッパ37に接触する接触部73と、を有する。駆動連結部71及び従動連結部72は、リンク部材70の長手方向に間隔をあけた状態で、リンク部材70の長手方向と直交する方向に突出する。駆動連結部71は、駆動フィン40の第1リンク44の先端に連結され、従動連結部72は、従動フィン50の第2リンク54の先端に連結される。こうして、リンク部材70は、駆動フィン40から従動フィン50に動力を伝達可能となる。接触部73は、リンク部材70の長手方向における端部に設けられる。つまり、従動連結部72は、接触部73と駆動連結部71との間に位置する。また、接触部73は、リンク部材70の長手方向と略直交する平面状をなしている。
【0030】
図3及び図4に示すように、中間カバー80は、前後方向における正面視において略矩形状をなしている。中間カバー80は、上下方向にわたって前方に膨らむ一対の膨出部81と、駆動フィン40及び従動フィン50を回転可能に支持する複数の軸受部82と、を有する。一対の膨出部81は、幅方向に間隔をあけて設けられている。複数の軸受部82は、幅方向における側面視において、半円状をなす軸穴をそれぞれ含む。
【0031】
端部カバー90は、駆動フィン40及び従動フィン50を回転可能に支持する複数の軸受部91を有する。複数の軸受部91は、幅方向における側面視において、半円状をなす軸穴をそれぞれ含む。
【0032】
なお、中間カバー80は、スナップフィットにより、フレーム30の中間壁33に装着される。同様に、一対の端部カバー90は、スナップフィットにより、フレーム30の一対の側壁34にそれぞれ装着される。その他、中間カバー80及び一対の端部カバー90をフレーム30に装着する場合には、ボルト及びナットなどの締結部材を用いてもよいし、接着剤を用いてもよい。
【0033】
図2に示すように、グリルシャッタ装置20が組み立てられた状態では、前後方向において、駆動フィン40の第1中間軸部42が、フレーム30の中間壁33の軸受部38と中間カバー80の軸受部82とに挟まれる。また、駆動フィン40の一対の第1軸部43が、フレーム30の一対の側壁34の軸受部38と一対の端部カバー90の軸受部91とに挟まれる。同様に、前後方向において、従動フィン50の第2中間軸部52が、フレーム30の中間壁33の軸受部38と中間カバー80の軸受部82とに挟まれる。また、従動フィン50の一対の第2軸部53が、フレーム30の一対の側壁34の軸受部38と一対の端部カバー90の軸受部91とに挟まれる。こうして、駆動フィン40は、幅方向に延びる軸線回りに回転可能となり、従動フィン50は、駆動フィン40の回転軸線よりも上方で幅方向に延びる軸線回りに回転可能となる。
【0034】
図5に示すように、グリルシャッタ装置20が組み立てられた状態では、フレーム30の中間壁33と駆動フィン40の第1リンク44と従動フィン50の第2リンク54とリンク部材70とは、いわゆる4節リンク機構としての並行クランク機構を構成する。このため、駆動フィン40の第1リンク44の姿勢及び従動フィン50の第2リンク54の姿勢が連動する。言い換えれば、駆動フィン40の姿勢及び従動フィン50の姿勢が連動する。また、リンク部材70の接触部73は、上方を向くことで、フレーム30の開ストッパ37と対向する。
【0035】
次に、図5図8を参照して、グリルシャッタ装置20の動作について説明する。
図5及び図6に示すように、例えば、エンジン12を暖気したり、車両走行時の空気抵抗を低減したりしたい場合には、アクチュエータ60の駆動により、駆動フィン40及び従動フィン50が導入路18を閉じる閉位置に配置される。このとき、リンク部材70は、上下方向において、フレーム30の開ストッパ37から最も離れた位置、すなわち、リンク部材70の移動範囲において最も下降した下降位置に位置する。リンク部材70の下降位置は、駆動フィン40及び従動フィン50の閉位置と対応する位置である。つまり、リンク部材70が下降位置に位置する場合、駆動フィン40及び従動フィン50は閉位置に位置する。
【0036】
駆動フィン40が閉位置に配置される場合、駆動フィン40の一対の第1ブレード41の下端は、フレーム30の底壁31の閉ストッパ35に後方から接触し、従動フィン50の一対の第2ブレード51の上端は、フレーム30の上壁32の閉ストッパ36に前方から接触する。また、駆動フィン40の一対の第1ブレード41の上端は、従動フィン50の一対の第2ブレード51の下端にそれぞれ接触する。つまり、駆動フィン40及び従動フィン50の閉位置は、駆動フィン40及び従動フィン50とフレーム30との接触と、駆動フィン40及び従動フィン50の接触と、により規定される。
【0037】
一方、図7及び図8に示すように、例えば、エンジン12を冷却したい場合には、アクチュエータ60の駆動により、駆動フィン40及び従動フィン50が導入路18を開く開位置に配置される。このとき、リンク部材70は、上下方向において、フレーム30の開ストッパ37に接触する位置、すなわち、リンク部材70の移動範囲において最も上昇した上昇位置に位置する。リンク部材70の上昇位置は、駆動フィン40及び従動フィン50の開位置と対応する位置である。つまり、リンク部材70が上昇位置に位置する場合、駆動フィン40及び従動フィン50は開位置に位置する。
【0038】
駆動フィン40及び従動フィン50が開位置に位置する場合、駆動フィン40の第1ブレード41及び従動フィン50の第2ブレード51は、相互に接触することもなく、フレーム30に接触することもない。つまり、駆動フィン40及び従動フィン50の開位置は、リンク部材70とフレーム30の開ストッパ37との接触により規定される。
【0039】
こうして、グリルシャッタ装置20は、アクチュエータ60の駆動により、駆動フィン40を閉位置及び開位置の間で回転させる。そして、グリルシャッタ装置20は、リンク部材70が駆動フィン40の動力を従動フィン50に伝達することにより、従動フィン50を閉位置及び開位置の間で回転させる。なお、第1実施形態では、開位置が「第1位置」に相当し、開ストッパ37が「第1ストッパ」に相当する。また、閉位置が「第2位置」に相当し、閉ストッパ35が「第2ストッパ」に相当する。
【0040】
続いて、制御装置100について説明する。
制御装置100は、アクチュエータ60を制御することにより、駆動フィン40を開閉作動させる。詳しくは、制御装置100は、開作動条件の成立時にアクチュエータ60により駆動フィン40を開作動させ、開作動条件の成立時にアクチュエータ60により駆動フィン40を閉作動させる。開作動条件は、例えば、エンジンルーム11の温度が所定の温度以上となる場合に成立する。閉作動条件は、例えば、エンジンルーム11の温度が所定の温度未満である場合又は車体速度が所定の速度以上となる場合に成立する。
【0041】
駆動フィン40の開作動時に駆動フィン40が開位置に到達すると、リンク部材70がフレーム30の開ストッパ37に接触することで、駆動フィン40及び従動フィン50が開作動できなくなる。一方、駆動フィン40の閉作動時に駆動フィン40が閉位置に到達すると、駆動フィン40及び従動フィン50がフレーム30の閉ストッパ35,36に接触することで、駆動フィン40及び従動フィン50が閉作動できなくなる。
【0042】
このような場合には、アクチュエータ60のモータの負荷、すなわちモータに流れる電流値が増大する。そこで、制御装置100は、駆動フィン40を開閉作動させる場合には、モータの負荷が増大したか否かで、駆動フィン40が開位置又は閉位置に到達したか否かを判定する。詳しくは、制御装置100は、駆動フィン40を開閉作動させる場合には、モータに流れる電流値が所定の電流判定値以上であるか否かによって、駆動フィン40が開位置又は閉位置に到達したか否かを判定する。電流判定値は、予め実験及びシミュレーションなどに基づいて設定されることが好ましい。
【0043】
ここで、駆動フィン40が閉位置及び開位置の間で回転するときの回転角を「基準回転角θst」とする。この場合、閉位置から開作動する駆動フィン40の回転角θが基準回転角θstよりも大きくなっても、モータの負荷が増大しない場合には、アクチュエータ60から駆動フィン40及び従動フィン50に対する動力伝達経路に異常が発生している可能性がある。例えば、動力伝達経路の一部が切断し、動力が正常に伝達できなくなっている可能性がある。一方、閉位置から開作動する駆動フィン40の回転角θが基準回転角θstよりも小さいときに、モータの負荷が増大する場合には、アクチュエータ60から駆動フィン40及び従動フィン50までの動力伝達経路に異常が発生している可能性がある。例えば、駆動フィン40及び従動フィン50の間に異物が挟まり、駆動フィン40が閉作動不能な状態になっている可能性がある。駆動フィン40が閉作動する場合についても同様である。
【0044】
そこで、制御装置100は、駆動フィン40を閉位置及び開位置の一方の位置から他方の位置に作動させる状況下において、駆動フィン40の作動を開始してからモータの負荷が増大するまでのアクチュエータ60の出力軸61の回転角θが基準回転角θstから乖離している場合、動力伝達経路に異常が発生していると判定する。言い換えれば、制御装置100は、アクチュエータ60から駆動フィン40及び従動フィン50までの動力伝達経路に異常が発生していると判定する。
【0045】
具体的には、制御装置100は、駆動フィン40の作動を開始してからモータの負荷が増大するまでの出力軸61の回転角θが基準回転角θstから所定角度を差し引いた下限判定値θLth未満の場合、動力伝達経路に異常が発生していると判定する。また、制御装置100は、駆動フィン40の作動を開始してからモータの負荷が増大するまでの出力軸61の回転角θが基準回転角θstに所定角度を加えた上限判定値θHth以上の場合、動力伝達経路に異常が発生していると判定する。言い換えれば、制御装置100は、モータの負荷が増大するまでの出力軸61の回転角θが下限判定値θLth以上且つ上限判定値θHth未満の場合に、動力伝達経路に異常が発生していないと判定する。
【0046】
以下、図9に示すフローチャートを参照して、制御装置100が実施する処理の流れについて説明する。本処理は、開作動条件の成立時又は閉作動条件の成立時に実行される処理である。
【0047】
図9に示すように、制御装置100は、開作動条件の成立時にはアクチュエータ60により駆動フィン40の開作動を開始し、閉作動条件の成立時にはアクチュエータ60により駆動フィン40の閉作動を開始する(S11)。続いて、制御装置100は、駆動フィン40の開閉作動を開始してからの経過時間Tが所定の判定時間Tth以上であるか否かを判定する(S12)。判定時間Tthは、駆動フィン40が開位置及び閉位置の間を回転するのに必要な時間よりも僅かに長い時間に設定される。経過時間Tが判定時間Tth以上の場合(S12:NO)、制御装置100は、後述するステップS15に処理を移行する。
【0048】
一方、経過時間Tが判定時間Tth未満の場合(S12:NO)、制御装置100は、モータの負荷が増大したか否かを判定する(S13)。モータの負荷が増大していない場合(S13:NO)、制御装置100は、ステップS12に処理を移行する。一方、モータの負荷が増大した場合(S13:YES)、制御装置100は、開作動又は閉作動を開始してからモータの負荷が増大するまでのアクチュエータ60の出力軸61の回転角θが下限判定値θLth以上か否かを判定する(S14)。
【0049】
アクチュエータ60の出力軸61の回転角θが下限判定値θLth未満の場合(S14:NO)、例えば、駆動フィン40が開作動又は閉作動の途中で回転不能となることにより動力伝達経路に異常が発生する場合、制御装置100は、異常処理を実施する(S15)。例えば、制御装置100は、異常処理として、駆動フィン40の開作動中であれば駆動フィン40を閉位置に復帰させたり、駆動フィン40の閉作動中であれば駆動フィン40を開位置に復帰させたりする。また、制御装置100は、異常処理として、グリルシャッタ装置20の異常を知らせる警告をユーザに向けて出力する。
【0050】
開作動又は閉作動を開始してからモータの負荷が増大するまでのアクチュエータ60の出力軸61の回転角θが下限判定値θLth以上の場合(S14:YES)、制御装置100は、アクチュエータ60の出力軸61の回転角θが上限判定値θHth未満か否かを判定する(S16)。アクチュエータ60の出力軸61の回転角θが上限判定値θHth以上の場合(S16:NO)、例えば、駆動フィン40の第1リンク44からリンク部材70が脱落することにより動力伝達経路に異常が発生する場合、制御装置100は、ステップS15に処理を移行する。一方、アクチュエータ60の出力軸61の回転角θが上限判定値θHth未満の場合(S16:YES)、制御装置100は、本処理を終了する。つまり、この場合には、制御装置100は、駆動フィン40の開作動又は閉作動が正常に終了したと判断する。
【0051】
第1実施形態の作用について説明する。
詳しくは、図10を参照して、駆動フィン40を閉位置から開作動させる場合のグリルシャッタ装置20の作用について説明する。
【0052】
図10に示すように、駆動フィン40を開作動させる場合において、駆動フィン40の部位40Xに異常が発生することでリンク部材70に動力が伝達されなくなる場合、アクチュエータ60の出力軸61がどれだけ回転しても、リンク部材70がフレーム30の開ストッパ37に接触しなくなる。このため、グリルシャッタ装置20は、動力伝達経路に異常が発生していることを検出できる。
【0053】
また、駆動フィン40を開作動させる場合において、駆動フィン40の第1リンク44からリンク部材70が脱落することにより、駆動フィン40からリンク部材70に動力が伝達されなくなる場合、アクチュエータ60の出力軸61がどれだけ回転しても、リンク部材70がフレーム30の開ストッパ37に接触しなくなる。このため、グリルシャッタ装置20は、動力伝達経路に異常が発生していることを検出できる。
【0054】
さらに、駆動フィン40を開作動させる場合において、リンク部材70の駆動連結部71及び従動連結部72の間の部位に発生する異常に起因して、駆動フィン40の第1リンク44から従動フィン50の第2リンク54に動力が伝達されなくなる場合、アクチュエータ60の出力軸61が回転しても、リンク部材70が開ストッパ37に接触しなくなる。このため、グリルシャッタ装置20は、動力伝達経路に異常が発生していることを検出できる。
【0055】
第1実施形態の効果について説明する。
(1)例えば、アクチュエータ60の出力軸61の回転角θのみに応じて、駆動フィン40が開位置に到達したか否かを判別する比較例を想定する。この比較例は、駆動フィン40に異常が発生したりリンク部材70に異常が発生したりする状況下において、アクチュエータ60の出力軸61が所定の角度だけ回転すれば、駆動フィン40及び従動フィン50が開位置に到達していないにも関わらず、駆動フィン40及び従動フィン50が開位置に到達したと判別し得る。
【0056】
これに対し、グリルシャッタ装置20は、駆動フィン40及び従動フィン50の作動時において、リンク部材70の開ストッパ37に対する接触を検出することにより、駆動フィン40及び従動フィン50が開位置に到達したか否かを判別する。グリルシャッタ装置20において、動力伝達経路を構成する駆動フィン40及びリンク部材70に異常が発生することに起因して、駆動フィン40及び従動フィン50が開位置まで回転できなくなるような場合には、リンク部材70が開ストッパ37に接触しなくなる。したがって、グリルシャッタ装置20は、リンク部材70が開ストッパ37に接触するか否かに応じて、動力伝達経路に異常が発生することを検出できる。
【0057】
(2)グリルシャッタ装置20は、駆動フィン40との接触により駆動フィン40の閉位置を規定する閉ストッパ35と、従動フィン50との接触により従動フィン50の閉位置を規定する閉ストッパ36と、を備えるため、駆動フィン40及び従動フィン50の閉位置をより正確に規定できる。なお、グリルシャッタ装置20は、動力伝達経路に発生する異常の発生については、駆動フィン40を閉位置から開位置に作動させる場合に検出できる。
【0058】
(3)リンク部材70において、接触部73を駆動連結部71及び従動連結部72の間に設けた場合、駆動連結部71及び従動連結部72の間に異常が発生する状況下において、接触部73が開ストッパ37に接触しているのにも関わらず、従動フィン50が開位置に配置されないおそれがある。つまり、動力伝達経路の異常を検出できないおそれがある。これに対し、グリルシャッタ装置20は、リンク部材70において、従動連結部72が駆動連結部71及び接触部73の間に位置するため、駆動連結部71及び従動連結部72の間に異常が発生する状況下には、接触部73が開ストッパ37に接触しなくなる。こうして、グリルシャッタ装置20は、動力伝達経路に発生する異常を精度良く検出できる。
【0059】
(4)グリルシャッタ装置20は、駆動フィン40において、一対の第1ブレード41が第1中間軸部42で連結され、従動フィン50において、一対の第2ブレード51が第2中間軸部52で連結される。このため、グリルシャッタ装置20は、一対の第1ブレード41及び一対の第2ブレード51の位置の同期を取りやすい。
【0060】
(5)車両10の走行中にグリルシャッタ装置20に外力が作用すると、フレーム30の上壁32の先端が後端に対して下降するように変形する場合がある。この場合には、フレーム30の上壁32が中間カバー80の膨出部81の上部に接触するため、フレーム30の上壁32が従動フィン50の回転範囲に進入することが抑制される。
【0061】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係るグリルシャッタ装置20Aについて図面を参照しつつ説明する。第2実施形態において、第1実施形態と概ね共通する構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
図11図13に示すように、グリルシャッタ装置20Aは、グリルシャッタ装置20Aの骨格を構成するフレーム30Aと、導入路18を開閉する「可動フィン」の一例としての駆動フィン40A及び複数の従動フィン110,120,130と、駆動フィン40Aを駆動するアクチュエータ60と、を備える。また、グリルシャッタ装置20Aは、駆動フィン40Aから複数の従動フィン110,120,130に動力を伝達する「動力伝達部材」の一例としてのリンク部材70Aと、駆動フィン40A及び複数の従動フィン110,120,130の端部を保持する複数の保持カバー90Aと、アクチュエータ60を制御する制御装置100と、を備える。
【0063】
図11に示すように、フレーム30Aは、幅方向を長手方向とする底壁31及び上壁32と、底壁31及び上壁32の長手方向における中央部同士を連結する中間壁33Aと、底壁31及び上壁32の長手方向における両端部同士をそれぞれ連結する一対の側壁34と、を有する。
【0064】
図12に示すように、底壁31は、駆動フィン40A及び第2従動フィン120と接触することで駆動フィン40A及び第2従動フィン120の閉位置を規定する閉ストッパ35を有する。閉ストッパ35は、底壁31の長手方向にわたって設けられる。閉ストッパ35は、上壁32に向かって延びる。
【0065】
図13に示すように、上壁32は、第1従動フィン110及び第3従動フィン130と接触することで第1従動フィン110及び第3従動フィン130の閉位置を規定する閉ストッパ36を備える。閉ストッパ36は、上壁32の長手方向にわたって設けられる。閉ストッパ36は、底壁31に向かって延びる。図12に示すように、上壁32は、リンク部材70Aと接触することで駆動フィン40A及び複数の従動フィン110,120,130の開位置を規定する一対の開ストッパ37Aを有する。一対の開ストッパ37Aは、上壁32の長手方向における中央部に当該長手方向に間隔をあけて設けられる。一対の開ストッパ37Aは、底壁31に向かって突出し、一対の開ストッパ37Aの先端は平面状をなしている。
【0066】
図13に示すように、中間壁33A及び一対の側壁34は、駆動フィン40A及び複数の従動フィン110,120,130を回転可能にそれぞれ支持する複数の軸受部38を有する。
【0067】
図12及び図13に示すように、駆動フィン40Aは、平板状をなす第1ブレード41と、第1ブレード41の両端部からそれぞれ延びる一対の第1軸部43Aと、第1ブレード41の長手方向における一方の端部から駆動フィン40Aの軸方向と交差する方向に延びる第1リンク44Aと、を有する。第1ブレード41の長手方向と直交する断面形状は、駆動フィン40Aの回転軸線を中心とする点対称な形状をなしている。第1ブレード41において、第1リンク44Aが設けられる端部とは逆側の端部から延びる第1軸部43Aは、アクチュエータ60に接続される入力軸45を含む。第1リンク44Aは、駆動フィン40Aの軸方向を板厚方向とする板状をなし、駆動フィン40Aの板厚方向に延びている。図12に示すように、第1リンク44Aは、先端に駆動フィン40Aの軸方向に延びる係合突起46を含む。第1リンク44Aは、先端に駆動フィン40Aの軸方向を軸方向とする軸穴を含む。
【0068】
図12及び図13に示すように、第1従動フィン110は、平板状をなす第2ブレード51と、第2ブレード51の両端部からそれぞれ延びる一対の第2軸部53Aと、第2ブレード51の長手方向における一方の端部から第1従動フィン110の軸方向と交差する方向に延びる第2リンク54Aと、を有する。第2ブレード51の長手方向と直交する断面形状は、第1従動フィン110の回転軸線を中心とする点対称な形状をなしている。第2リンク54Aは、第1従動フィン110の軸方向を板厚方向とする板状をなし、第1従動フィン110の板厚方向に延びている。第2リンク54Aは、先端に駆動フィン40Aの軸方向を軸方向とする軸穴を含む。なお、第2従動フィン120及び第3従動フィン130は、軸方向に対称な形状をなしていることを除き、第1従動フィン110と同一の構成であるため、説明を省略する。
【0069】
図12及び図13に示すように、リンク部材70Aは、矩形板状をなす主壁74と、主壁74の幅方向における両端からそれぞれ延びる第1横壁75及び第2横壁76と、を備える。また、リンク部材70Aは、第1横壁75及び第2横壁76から幅方向に延びる駆動連結部71A及び複数の従動連結部72A~72Cと、フレーム30Aの開ストッパ37Aに接触する一対の接触部73Aと、を有する。
【0070】
第1横壁75及び第2横壁76は、主壁74から後方に延びた後、幅方向における外方に延びる。駆動連結部71A及び複数の従動連結部72A~72Cは、幅方向を軸方向とする軸状をなしている。図13に示すように、駆動連結部71Aは、軸方向と直交する方向に突出する係合突起711を有する。駆動連結部71Aは、第1横壁75の下端寄りの位置から幅方向に延び、第1従動連結部72Aは、第1横壁75の上端寄りの位置から幅方向に延びる。また、第2従動連結部72Bは、第2横壁76の下端寄りの位置から幅方向に延び第3従動連結部72Cは、第2横壁76の上端寄りの位置から幅方向に延びる。駆動連結部71A及び第2従動連結部72Bは同一直線状に位置し、第1従動連結部72A及び第3従動連結部72Cは同一軸線上に位置している。
【0071】
駆動連結部71Aは、駆動フィン40Aの第1リンク44Aに連結される。このとき、駆動連結部71Aの係合突起711は、第1リンク44Aの係合突起46と係合する。また、第1従動連結部72A、第2従動連結部72B及び第3従動連結部72Cは、第1従動フィン110の第2リンク54A、第2従動フィン120の第2リンク54A及び第3従動フィン130の第2リンク54Aにそれぞれ連結される。接触部73Aは、一対の横壁75,76の上端部である。接触部73Aは、上下方向と略直交する平面状をなしている。
【0072】
保持カバー90Aは、駆動フィン40A及び複数の従動フィン110,120,130を回転可能に支持する複数の軸受部91を有する。複数の保持カバー90Aは、スナップフィットにより、フレーム30Aの中間壁33A及び一対の側壁34にそれぞれ装着される。
【0073】
図11に示すように、グリルシャッタ装置20Aが組み立てられた状態では、前後方向において、駆動フィン40Aの一対の第1軸部43Aが、フレーム30Aの中間壁33Aの軸受部38及び側壁34の軸受部38と保持カバー90Aの軸受部91とに挟まれる。同様に、前後方向において、従動フィン110,120,130の一対の第2軸部53Aが、フレーム30Aの中間壁33Aの軸受部38及び側壁34の軸受部38と保持カバー90Aの軸受部91とに挟まれる。
【0074】
こうして、駆動フィン40A及び複数の従動フィン110,120,130は、幅方向に延びる軸線回りに回転可能となる。また、第1従動フィン110は、上下方向に駆動フィン40Aと並び、第2従動フィン120は、駆動フィン40Aの軸方向に駆動フィン40Aと並ぶ。さらに、第3従動フィン130は、第1従動フィン110の軸方向に第1従動フィン110と並ぶとともに上下方向に第2従動フィン120と並ぶ。
【0075】
図14に示すように、グリルシャッタ装置20Aが組み立てられた状態では、フレーム30Aの中間壁33Aと駆動フィン40Aの第1リンク44Aと第1従動フィン110の第2リンク54Aとリンク部材70Aとは、いわゆる4節リンク機構としての並行クランク機構を構成する。同様に、フレーム30Aの中間壁33Aと駆動フィン40Aの第1リンク44Aと第3従動フィン130の第2リンク54Aとリンク部材70Aとは、いわゆる4節リンク機構としての並行クランク機構を構成する。また、フレーム30Aの中間壁33Aと駆動フィン40Aの第1リンク44Aと第2従動フィン120の第2リンク54Aとリンク部材70Aとは、駆動フィン40Aの第1リンク44Aと第2従動フィン120の第2リンク54Aの回転を同期させるリンク機構を構成する。
【0076】
このため、駆動フィン40Aの第1リンク44Aの姿勢及び第1従動フィン110、第2従動フィン120及び第3従動フィン130の第2リンク54Aの姿勢が連動する。言い換えれば、駆動フィン40Aの姿勢及び複数の従動フィン110,120,130の姿勢が連動する。また、リンク部材70Aの接触部73Aは、上方を向くことで、フレーム30Aの開ストッパ37Aと対向する。
【0077】
次に、図14図17を参照して、グリルシャッタ装置20Aの動作について説明する。
図14及び図15に示すように、例えば、エンジン12を暖気したり、車両走行時の空気抵抗を低減したりしたい場合には、アクチュエータ60の駆動により、駆動フィン40A及び複数の従動フィン110,120,130が導入路18を閉じる閉位置に配置される。このとき、リンク部材70Aは、上下方向において、フレーム30Aの開ストッパ37Aから最も離れた位置、すなわち、リンク部材70Aの移動範囲において最も下降した下降位置に位置する。リンク部材70Aの下降位置は、駆動フィン40A及び複数の従動フィン110,120,130の閉位置と対応する位置である。
【0078】
駆動フィン40Aが閉位置に配置される場合、駆動フィン40Aの第1ブレード41及び第2従動フィン120の第2ブレード51の下端は、フレーム30Aの底壁31の閉ストッパ35に後方から接触し、第1従動フィン110及び第3従動フィン130の第2ブレード51の上端は、フレーム30Aの上壁32の閉ストッパ36に前方から接触する。また、駆動フィン40Aの第1ブレード41及び第2従動フィン120の第2ブレード51の上端は、第1従動フィン110の第2ブレード51及び第3従動フィン130の第2ブレード51の下端にそれぞれ接触する。つまり、駆動フィン40A及び複数の従動フィン110,120,130の閉位置は、駆動フィン40A及び複数の従動フィン110,120,130とフレーム30Aとの接触と、駆動フィン40A及び複数の従動フィン110,120,130の接触と、により規定される。
【0079】
一方、図16及び図17に示すように、例えば、エンジン12を冷却したい場合には、アクチュエータ60の駆動により、駆動フィン40A及び複数の従動フィン110,120,130が導入路18を開く開位置に配置される。このとき、リンク部材70Aは、上下方向において、フレーム30Aの開ストッパ37Aに接触する位置、すなわち、リンク部材70Aの移動範囲において最も上昇した上昇位置に位置する。リンク部材70Aの上昇位置は、駆動フィン40A及び複数の従動フィン110,120,130の開位置と対応する位置である。
【0080】
駆動フィン40A及び複数の従動フィン110,120,130が開位置に位置する場合、駆動フィン40Aの第1ブレード41及び複数の従動フィン110,120,130の第2ブレード51は、相互に接触することもなく、フレーム30Aに接触することもない。つまり、駆動フィン40A及び複数の従動フィン110,120,130の開位置は、リンク部材70Aとフレーム30Aの開ストッパ37Aとの接触により規定される。
【0081】
こうして、グリルシャッタ装置20Aは、アクチュエータ60の駆動により、駆動フィン40Aを閉位置及び開位置の間で回転させる。そして、グリルシャッタ装置20Aは、リンク部材70Aが駆動フィン40Aの動力を従動フィン110,120,130に伝達することにより、従動フィン110,120,130を閉位置及び開位置の間で回転させる。なお、第2実施形態では、開位置が「第1位置」に相当し、開ストッパ37Aが「第1ストッパ」に相当する。また、閉位置が「第2位置」に相当し、閉ストッパ35が「第2ストッパ」に相当する。
【0082】
第2実施形態に係るグリルシャッタ装置20Aは、第1実施形態に係るグリルシャッタ装置20Aと同等の作用と上記効果(1)~(3),(5)を得ることができる。また、第2実施形態に係るグリルシャッタ装置20Aは、以下に示す効果を得ることができる。
【0083】
(6)グリルシャッタ装置20Aは、幅方向において、駆動フィン40A及び第2従動フィン120が分離し、第1従動フィン110及び第3従動フィン130が分離している。このため、グリルシャッタ装置20Aは、幅方向に長尺の駆動フィン及び従動フィンを備えない点で、構成を簡素化できる。
【0084】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・駆動フィン40は、樹脂材料からなるとともに軸方向に長い部材であるため、駆動フィン40に軸方向回りのねじれが発生する場合がある。このため、第1実施形態において、アクチュエータ60の出力軸61が回転する際に、出力軸61の回転角θ及び駆動フィン40の第1中間軸部42の回転角が必ずしも一致するとは限らない。そこで、制御装置100は、アクチュエータ60の出力軸61の回転角θ及び駆動フィン40の第1中間軸部42の回転角を対応付けるための初期化処理を行ってもよい。
【0085】
初期化処理を行う場合、駆動フィン40及び従動フィン50は閉位置に配置され、リンク部材70は、下降位置に配置される。制御装置100は、初期化処理において、アクチュエータ60を駆動し始めてからリンク部材70が開ストッパ37に接触するまでの出力軸61の回転角θを、駆動フィン40を閉位置から開位置に変位させるのに必要な回転角、言い換えれば、リンク部材70を下降位置から上昇位置に変位させるのに必要な回転角と認識する。このため、初期化処理において、アクチュエータ60を駆動し始めてから出力軸61の回転角θが基準回転角θstよりも大きな初期化判定回転角以上となる場合、制御装置100は、エラーを出力することが好ましい。初期化判定回転角は、駆動フィン40の第1ブレード41が軸方向に長いほど大きく、駆動フィン40のねじり剛性が低いほど大きく設定される。
【0086】
図18に示すように、第1実施形態では、幅方向において、駆動フィン40の第1リンク44及び従動フィン50の第2リンク54と中間カバー80の膨出部81とが重なっている。このため、初期化処理において、リンク部材70が第1リンク44から脱落している場合など、出力軸61の回転角θが初期化判定回転角以上となる場合でも、駆動フィン40の第1リンク44が中間カバー80の膨出部81に接触しない。言い換えれば、初期化処理において、図18に二点鎖線で示すように、駆動フィン40の第1リンク44が中間カバー80の膨出部81に接触することがない。したがって、グリルシャッタ装置20は、中間カバー80に膨出部81を設けた点で、中間カバー80が初期化処理を妨げる事態を回避できる。
【0087】
・グリルシャッタ装置20は、上下方向に並ぶ複数の従動フィン50を備えてもよい。この場合、リンク部材70は、複数の従動フィン50の第2リンク54とそれぞれ連結される複数の従動連結部を有する。リンク部材70において、複数の従動連結部は、上下方向において、駆動連結部71と接触部73との間に位置することが好ましい。第2実施形態についても同様である。
【0088】
・リンク部材70において、接触部73を設ける位置は適宜に変更してもよい。この場合、フレーム30の開ストッパ37は、上昇位置に位置するリンク部材70の接触部73に接触し得る位置に設けることが好ましい。第2実施形態についても同様である。
【0089】
・グリルシャッタ装置20は、リンク部材70と「閉ストッパ」との接触により駆動フィン40及び従動フィン50の閉位置を規定するとともに、駆動フィン40及び従動フィン50と「開ストッパ」との接触により駆動フィン40及び従動フィン50の開位置を規定するように構成してもよい。この場合、閉ストッパが第1ストッパに相当し、開ストッパが第2ストッパに相当する。第2実施形態についても同様である。
【0090】
・第1実施形態及び第2実施形態において、アクチュエータ60は、幅方向における中央に配置してもよい。
・第1実施形態において、リンク部材70と開ストッパ37とは、グリルシャッタ装置20の幅方向における一端側に配置してもよい。
【0091】
・第1実施形態において、リンク部材70は、駆動フィン40から従動フィン50に動力を伝達可能であれば、リンク機構によらずに動力を伝達してもよい。例えば、リンク部材70は、駆動フィン40から従動フィン50に動力を伝達するベルト、スプロケット、ワイヤー又は歯車などの「動力伝達部材」であってもよい。第2実施形態についても同様である。
【0092】
・第2実施形態において、リンク部材70Aと開ストッパ37Aとは、グリルシャッタ装置20Aの幅方向における一端側及び他端側にそれぞれ配置してもよい。
・制御装置100は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア(特定用途向け集積回路:ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路又はこれらの組み合わせを含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリ、すなわち記憶媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【符号の説明】
【0093】
10…車両
15…開口部
18…導入路
20…グリルシャッタ装置
30,30A…フレーム
35,36…閉ストッパ(第2ストッパ)
37,37A…開ストッパ(第1ストッパ)
40,40A…駆動フィン
41…第1ブレード
42…第1中間軸部
44,44A…第1リンク
50(110,120,130)…従動フィン
51…第2ブレード
52…第2中間軸部
54,54A…第2リンク
60…アクチュエータ
70,70A…リンク部材(動力伝達部材)
71,71A…駆動連結部
72(72A,72B,72C)…従動連結部
73,73A…接触部
図1
図2
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図5
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