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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】架橋ゴム発泡成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/08 20060101AFI20230926BHJP
【FI】
C08J9/08 CES
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020026963
(22)【出願日】2020-02-20
(65)【公開番号】P2021130776
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 祐介
(72)【発明者】
【氏名】大久保 太一
(72)【発明者】
【氏名】市野 光太郎
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-327085(JP,A)
【文献】特開2011-16907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00-9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エチレン・炭素数3~20のα-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を100質量部、
(B)炭酸塩を5~150質量部、
(C)有機過酸化物を3~10質量部、および
(Dx)界面活性剤を0.1~15質量部
含有するゴム組成物(X)からなる未架橋成形体の表面に、界面活性剤(Dy)を1質量%以上含有する液体(Y)を接触させ、空気存在下で前記未架橋成形体を発泡させつつ有機過酸化物架橋する工程を含み、
前記ゴム組成物(X)および前記液体(Y)の少なくとも一方が、酸(E)を合計で0.1~15質量部含有する
架橋ゴム発泡成形体の製造方法。
【請求項2】
前記ゴム組成物(X)が、前記酸(E)を0.1~15質量部含有する、請求項1に記載の架橋ゴム発泡成形体の製造方法。
【請求項3】
前記界面活性剤(Dx)および前記界面活性剤(Dy)が、それぞれ独立に陽イオン性界面活性剤および陰イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記界面活性剤(Dx)および前記界面活性剤(Dy)がいずれも前記陽イオン性界面活性剤である請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記共重合体(A)が下記要件(a1)~(a3)を満たす請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
要件(a1):エチレン含量が41~77質量%である。
要件(a2):非共役ポリエン含量が0.5~14.0質量%である。
要件(a3):ムーニー粘度(ML(1+4)125℃)が8~63である。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法により製造され、比重が0.6~1.0である架橋ゴム発泡成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋ゴム発泡成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体は、その主鎖に不飽和結合を持たないため、ジエン系ゴムに比べ、耐候性、耐熱性、耐オゾン性などに優れ、自動車工業部品、工業用ゴム製品、電気絶縁材、土木建材用品、ゴム引き布などに広く用いられている。
【0003】
たとえば特許文献1には、エチレン・α-オレフィン・ポリエン非晶質共重合体、有機過酸化物および発泡剤を含む注入スポンジ用ゴム組成物が記載されている。さらに、このゴム組成物をトランスファー成形法、射出成形法、型成形法などにより、成形と加硫とを同時に行うことによって、あるいは一旦得られた成形体を加硫槽内に導入し、熱空気等の手段によって加熱することにより、加硫および発泡を行って、架橋ゴム発泡成形体を得る方法が記載されている。架橋ゴム発泡成形体の具体例(実施例)として、比重が0.65程度の成形体も記載されている。
【0004】
また、特許文献2にはエチレン-α-オレフィン-非共役ジエン共重合体ゴム、有機過酸化物および発泡剤を含有するゴム組成物を熱空気中で発泡・架橋することにより得られ、かつ比重が0.3以下であるゴム発泡体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-349716号公報
【文献】特開2000-159953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、有機過酸化物による架橋は架橋速度が速いため、金型などを用いない、たとえば押出成形品の架橋においては、発泡剤の分解速度が有機過酸化物架橋の架橋速度よりも遅いため、比重が十分に小さい架橋発泡成形体が得られない場合があった。
【0007】
また、特許文献2に記載のゴム発泡体は表面に粘着性を有するため、これをたとえばウェザーストリップスポンジとして用いた場合、繰り返しの開閉または圧縮によりゴミが付着し易く、シール性が損なわれる可能性があった。
【0008】
このような従来技術における問題点に鑑み、本発明は、比重が小さく、かつ表面粘着性が低い有機過酸化物架橋発泡成形体を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、たとえば以下の[1]~[6]に関する。
[1]
(A)エチレン・炭素数3~20のα-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を100質量部、
(B)炭酸塩を5~150質量部、
(C)有機過酸化物を3~10質量部、および
(Dx)界面活性剤を0.1~15質量部
含有するゴム組成物(X)からなる未架橋成形体の表面に、界面活性剤(Dy)を1質量%以上含有する液体(Y)を接触させ、空気存在下で前記未架橋成形体を発泡させつつ有機過酸化物架橋する工程を含み、
前記ゴム組成物(X)および前記液体(Y)の少なくとも一方が、酸(E)を合計で0.1~15質量部含有する
架橋ゴム発泡成形体の製造方法。
【0010】
[2]
前記ゴム組成物(X)が、前記酸(E)を0.1~15質量部含有する、前記[1]の架橋ゴム発泡成形体の製造方法。
【0011】
[3]
前記界面活性剤(Dx)および前記界面活性剤(Dy)が、それぞれ独立に陽イオン性界面活性剤および陰イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である、前記[1]または[2]の製造方法。
【0012】
[4]
前記界面活性剤(Dx)および前記界面活性剤(Dy)がいずれも前記陽イオン性界面活性剤である前記[3]の製造方法。
【0013】
[5]
前記共重合体(A)が下記要件(a1)~(a3)を満たす前記[1]~[4]のいずれかの製造方法。
要件(a1):エチレン含量が41~77質量%である。
要件(a2):非共役ポリエン含量が0.5~14.0質量%である。
要件(a3):ムーニー粘度(ML(1+4)125℃)が8~63である。
【0014】
[6]
前記[1]~[5]のいずれかの方法により製造され、比重が0.6~1.0である架橋ゴム発泡成形体。
【発明の効果】
【0015】
本発明の製造方法によれば、比重が小さく、かつ表面粘着性が低い有機過酸化物架橋発泡成形体を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る架橋ゴム発泡成形体の製造方法は、
(A)エチレン・炭素数3~20のα-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を100質量部、
(B)炭酸塩を5~150質量部、
(C)有機過酸化物を3~10質量部、および
(Dx)界面活性剤を0.1~15質量部
含有するゴム組成物(X)からなる未架橋成形体の表面に、界面活性剤(Dy)を1質量%以上含有する液体(Y)を接触させ、空気存在下で前記未架橋成形体を発泡させつつ有機過酸化物架橋する工程を含み、
前記ゴム組成物(X)および前記液体(Y)の少なくとも一方が、酸(E)を合計で0.1~15質量部含有する
ことを特徴としている。
【0017】
〔未架橋成形体〕
前記未架橋成形体は、エチレン・炭素数3~20のα-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)(以下、単に「共重合体(A)」とも記載する。)、炭酸塩(B)、有機過酸化物(C)、および界面活性剤(Dx)を所定の割合で含むゴム組成物(X)からなる。
【0018】
《共重合体(A)》
前記共重合体(A)は、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとの共重合体である。
前記炭素原子数3~20のα-オレフィンの例としては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセンおよび1-エイコセンが挙げられる。原料コストが比較的安価であり、得られるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体が優れた機械的性質を示し、さらにゴム弾性を持った成形体を得ることができることから、これらの中でも、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンなどの炭素原子数3~8のα-オレフィンが好ましく、プロピレンがより好ましい。これらのα-オレフィンは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0019】
前記非共役ポリエンは、炭素-炭素二重結合を1分子中に2個以上、好ましくは2個有する非共役ポリエンである。前記非共役ポリエンの例としては、
5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、ジシクロペンタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、ノルボルナジエンおよびメチルテトラヒドロインデン等の環状非共役ポリエン、ならびに
1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエンおよび4-エチリデン-1,7-ウンデカジエン等の鎖状非共役ポリエン
が挙げられる。これらの非共役ポリエンは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの中でも、架橋効率が優れることからENBが好ましい。
前記共重合体(A)は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0020】
要件(a1):エチレン含量
前記共重合体(A)は、エチレン由来の構造単位を、好ましくは41~77質量%、より好ましくは45~65質量%含有する。エチレン由来の構造単位の含有量が上記範囲にあると、ゴム弾性、機械的強度および柔軟性に優れた架橋ゴム発泡成形体を製造することができる。
エチレン由来の構造単位の含有量は、13C-NMR法により測定することができる。
【0021】
要件(a2):非共役ポリエン含量
前記共重合体(A)は、前記非共役ポリエン由来の構造単位を、好ましくは0.5~14.0質量%、より好ましくは5.0~14.0質量%含有する。前記非共役ポリエン由来の構造単位の含有量が上記範囲にあると、機械的強度に優れた架橋ゴム発泡成形体を製造することができる。
前記非共役ポリエン由来の構造単位の含有量は、13C-NMR法により測定することができる。
【0022】
要件(a3):ムーニー粘度
前記共重合体(A)のムーニー粘度(ML(1+4)125℃)は、好ましくは8~63、より好ましくは30~55である。ムーニー粘度が上記範囲にあると、前記ゴム組成物(X)から前記未架橋成形体を製造する際の加工性が良好である。前記ムーニー粘度は、ムーニー粘度計(たとえば、(株)島津製作所社製 SMV202型)を用いて、JIS K6300に準拠して測定することができる。
【0023】
《炭酸塩(B)》
本発明において前記炭酸塩(B)は、発泡剤として用いられ、さらに無機充填剤としての機能を担う場合もある。
前記炭酸塩(B)の例としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム(たとえば「ホワイトン(登録商標)SB赤」(商品名、白石カルシウム(株)製))が挙げられ、これらの中でもゴムコンパウンド中への分散性が優れることから炭酸カルシウムが好ましい。
【0024】
前記ゴム組成物(X)中の前記炭酸塩(B)の含有量は、100質量部の前記共重合体(A)に対し、5~150質量部、好ましくは10~100質量部、より好ましくは30~60質量部である。前記炭酸塩(B)の含有量がこの範囲にあると加工性が優れる。
【0025】
《有機過酸化物(C)》
前記有機過酸化物(C)の例としては、
ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-アミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(たとえば「パーヘキサ(登録商標)25B-40」(商品名、日油(株)製))、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3などのジアルキルパーオキサイド;および
2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、n-ブチル-4,4-ジ-t-ブチルバレレート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンなどのパーオキシケタール
が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの中でも、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイドが好ましい。
【0026】
前記ゴム組成物(X)中の前記有機過酸化物(C)の含有量は、100質量部の前記共重合体(A)に対し、3~10質量部、好ましくは4~10質量部、より好ましくは6~10質量部である。前記有機過酸化物(C)の含有量がこの範囲にあると機械強度の優れた架橋成形体を得ることができる。
【0027】
《界面活性剤(Dx)》
前記界面活性剤(Dx)の例としては、非イオン界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤および両性界面活性剤が挙げられる。
非イオン界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミドが挙げられる。
【0028】
陽イオン性界面活性剤の例としては、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ビスヒドロキシエチルアルキル(C8-18)メチルアンモニウムクロライド、ビス(ポリオキシエチレン)アルキル(C8-18)メチルアンモニウムクロライド、ビスヒドロキシエチルオレイルメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。陽イオン性界面活性剤の市販品の例としてはリポカード(登録商標)(たとえば、リポカード2HTフレーク)、リポソカード(登録商標)(いずれも、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
【0029】
陰イオン性界面活性剤の例としては、混合脂肪酸ソーダ石けん、半硬化牛脂脂肪酸ソーダ石けん、ステアリン酸ソーダ石けん、半硬化牛脂脂肪酸カリ石けん、オレイン酸カリ石けん、ヒマシ油カリ石けん、ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルリン酸カリウム塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩が挙げられる。
【0030】
両性界面活性剤の例としては、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイドが挙げられる。
【0031】
前記界面活性剤(Dx)は、好ましくは陽イオン性界面活性剤および陰イオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種であり、未架橋成形体の表面に接触させる液体(Y)との親和性の観点から、より好ましくは陽イオン性界面活性剤である。
【0032】
前記ゴム組成物(X)中の前記界面活性剤(Dx)の含有量は、100質量部の前記共重合体(A)に対し、0.1~15質量部、好ましくは0.2~10.0質量部、より好ましくは0.3~5.0質量部である。前記界面活性剤(Dx)の含有量がこの範囲にあると加工性が優れる。
【0033】
《酸(E)》
前記ゴム組成物(X)および後述する液体(Y)の少なくとも一方は、(E)酸を含有する。困難なく均一な発泡を行う観点からは、好ましくは、前記ゴム組成物(X)は前記酸(E)を含有する。
【0034】
前記酸(E)は、前記炭酸塩(B)と反応して二酸化炭素を発生させることのできる酸であり、その例としては、リシノール酸、ステアリン酸(たとえば「粉末ステアリン酸さくら」(商品名、日油(株)製))、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸が挙げられる。
【0035】
前記ゴム組成物(X)中の前記酸(E)の含有量および後述する液体(Y)中の前記酸(E)の含有量の合計は、100質量部の前記共重合体(A)に対し、0.1~15質量部、好ましくは0.1~5.0質量部、より好ましくは0.5~2.0質量部である。また、前記ゴム組成物(X)が前記酸(E)を含む場合、前記ゴム組成物(X)中の前記酸(E)の含有量は、100質量部の前記共重合体(A)に対し、0.1~15質量部、好ましくは0.1~5.0質量部、より好ましくは0.5~2.0質量部である。前記酸(E)の含有量がこの範囲にあると発泡セルの均一な発泡体が得られる。
【0036】
《任意成分》
前記ゴム組成物(X)は、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに、共架橋剤、加硫助剤、加工助剤、活性剤、軟化剤、充填材など、従来公知のゴム組成物に配合され得る添加剤などを含有していてもよい。
【0037】
(共架橋剤)
前記共架橋剤の例としては、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、ジメタクリル酸エチレン(たとえば「サンエステルEG」(商品名、三新化学工業(株)製))、ジメタクリル酸1,3-ブチレン、およびトリメタクリル酸トリメチロールプロパンが挙げられる。
【0038】
前記共架橋剤は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物(X)中の前記共架橋剤の含有量は、前記共重合体(A)100質量部に対し、好ましくは1~5質量部、より好ましくは2~4質量部である。
【0039】
(加硫助剤)
前記加硫助剤の例としては、酸化マグネシウム、および亜鉛華(たとえば「META-Z102」(商品名、井上石灰工業(株)製)などの酸化亜鉛)が挙げられる。
前記加硫助剤は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物(X)中の前記加硫助剤の含有量は、前記共重合体(A)100質量部に対し、好ましくは0.5~10.0質量部、より好ましくは2.0~7.0質量部である。
【0040】
(加工助剤)
前記加工助剤の例としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸の塩;リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸のエステル類;が挙げられる。
前記加工助剤は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物(X)中の前記加工助剤の含有量は、前記共重合体(A)100質量部に対し、好ましくは0.1~5.0質量部、より好ましくは0.5~2.0質量部である。
【0041】
(活性剤)
前記活性剤の例としては、ジ-n-ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエタノールアミンなどのアミン類;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(たとえば「PEG#4000」(商品名、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製))、レシチン、トリアリルトリメリテート、脂肪族および芳香族カルボン酸の亜鉛化合物(たとえば「Struktol activator 73」、「Struktol IB 531」および「Struktol FA541」(商品名、Schill & Seilacher社製))、過酸化亜鉛調整物(たとえば「ZEONET ZP」(商品名、日本ゼオン(株)製)、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、合成ハイドロタルサイト、および特殊四級アンモニウム化合物(たとえば「リポカード2HTフレーク」(商品名、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
【0042】
前記活性剤は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物(X)中の前記活性剤の含有量は、前記共重合体(A)100質量部に対し、好ましくは0.1~3.0質量部、より好ましくは0.3~1.0質量部である。
【0043】
(軟化剤)
軟化剤の例としては、
パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル等の石油系軟化剤;
合成油系軟化材;
エチレンとα-オレフィンのコオリゴマー;
パラフィン・ワックス;
流動パラフィン;
ホワイト・オイル(白油);
ペトロラタム;
コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;
ヒマシ油、綿実油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油、パーム油、大豆油、落花生油、木ろう、ロジン、パインオイル、ジペンテン、パインタール、トール油等の植物油系軟化剤;
黒サブ、白サブ、飴サブ等のサブ(ファクチス);
蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;
ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸塩;
ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;
クマロン・インデン樹脂;
フェノール・ホルムアルデヒド樹脂;
テルペン・フェノール樹脂;
ポリテルペン樹脂;
合成ポリテルペン樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・脂環族系石油樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂、水添変性脂環族系炭化水素樹脂、水添炭化水素樹脂、液状ポリブテン、液状ポリブタジエン、アタクチックポリプロピレン等の石油系炭化水素樹脂
が挙げられる。
【0044】
これらの中でも石油系軟化剤、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、石油系炭化水素樹脂が好ましく、石油系軟化剤、石油系炭化水素樹脂がさらに好ましく、石油系軟化剤が特に好ましい。
【0045】
石油系軟化剤の中でも石油系プロセスオイルが好ましく、この中でもパラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル等がさらに好ましく、パラフィン系プロセスオイルが特に好ましい。また石油系炭化水素樹脂の中では、脂肪族系環状炭化水素樹脂が好ましい。
【0046】
これら軟化剤の中でもパラフィン系プロセスオイルが特に好ましい。
前記軟化剤は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物(X)の前記軟化剤の含有量は、前記共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは15~50質量部、より好ましくは20~40質量部である。
【0047】
(充填剤)
充填剤としては、特に限定はないが、無機充填剤が、ゴム組成物の引張強度、引裂強度、耐摩耗性などの機械強度を向上させるため好ましい。
【0048】
無機充填剤の例としては、SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラック(たとえば「旭#60UG」(商品名、旭カーボン(株)製));これらのカーボンブラックをシランカップリング剤などで表面処理した表面処理カーボンブラック;シリカ、微粉タルク、タルク、微粉ケイ酸、クレーなどが挙げられる。
【0049】
前記充填剤は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物(X)の前記充填剤の含有量は、前記共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは10~120質量部、より好ましくは50~90質量部である。
【0050】
<未架橋成形体の製造方法>
前記未架橋成形体は、前記ゴム組成物(X)からなり、前記ゴム組成物(X)に含まれる各成分を、従来公知の方法で混合すると共に所望の形状に成形することにより、得ることができる。
【0051】
たとえば、バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー類またはロール類を用いて前記共重合体(A)、前記炭酸塩(B)、前記界面活性剤(Dx)および必要に応じて前記任意成分(ただし、共架橋剤を除く。)を80~170℃の温度で3~10分間混練した後、得られた配合物を冷却し、そこへ前記有機過酸化物(C)および必要に応じて共架橋剤を加えて、オープンロールなどのロール類あるいはニーダーを用いて、ロール温度40~80℃で5~30分間混練した後、分出しすることにより、リボン状またはシート状のゴム組成物(X)が得られる。これをそのまま前記未架橋成形体として用いてもよく、さらに成形加工することにより前記未架橋成形体を製造してもよい。
前記未架橋成形体の厚さは、たとえば0.5mm~5.0mmである。
【0052】
〔未架橋成形体への液体(Y)の接触〕
本発明の製造方法においては、前記未架橋成形体の表面に、界面活性剤(Dy)を1質量%以上含む液体(Y)を接触させる。
前記界面活性剤(Dy)の具体例は、上述した界面活性剤(Dx)の具体例と同様である。前記界面活性剤(Dy)は、好ましくは陽イオン性界面活性剤および陰イオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種であり、より好ましくは陽イオン性界面活性剤である。
【0053】
前記界面活性剤(Dy)は前記界面活性剤(Dx)と同一であってもよく異なっていてもよい。
前記液体(Y)中の前記界面活性剤(Dy)の濃度は1質量%以上、好ましくは3~10質量%である。濃度が前記範囲にあると液体(Y)(噴霧液などの形態で用いられる。)の濡れ性が優れることから、前記未架橋成形体の表面に液体(Y)を均一に塗布でき、以って比重が小さい有機過酸化物架橋発泡成形体を製造することができる。さらには、前記未架橋成形体の表面に均一に塗布された前記液体(Y)によって、有機過酸化物架橋の際に前記未架橋成形体の表面での前記共重合体(A)の分解が抑制され、得られる架橋発泡成形体の表面粘着性を低くすることができる。
【0054】
前記液体(Y)の溶媒ないし分散媒を構成する成分の大部分(たとえば、90質量%以上)は、好ましくは水である。水以外の成分としてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられる。
【0055】
前記液体(Y)は、さらに前記酸(E)を含んでいてもよい。前記液体(Y)中の前記酸(E)の濃度は、好ましくは0.2~25.0質量%である。前記ゴム組成物(X)と前記液体(Y)の双方に前記酸(E)が含まれる場合、前記液体(Y)に含まれる前記酸(E)は、前記ゴム組成物(X)に含まれる前記酸(E)と同一であっても、異なっていてもよい。
【0056】
前記液体(Y)は、前記界面活性剤(Dy)を前記溶媒ないし分散媒に、従来公知の方法で溶解ないし分散させることにより調製できる。
前記未架橋成形体の表面に前記液体(Y)を接触させる方法の例としては、前記未架橋成形体の表面に前記液体(Y)を刷毛等により塗布する方法、前記未架橋成形体の表面に前記液体(Y)を噴霧する方法、前記液体(Y)に前記未架橋成形体を浸漬する方法、が挙げられ、均一に塗布ができるという観点から、前記未架橋成形体の表面に前記液体(Y)を噴霧する方法が好ましい。
前記液体(Y)の噴霧は、従来公知の装置、たとえば特開2005-133090号公報または特開2005-139294号公報に記載の装置を使用して行うことができる。
【0057】
〔架橋発泡成形体の製造〕
本発明の製造方法では、前記未架橋成形体の表面に前記液体(Y)を接触させ、空気存在下で前記未架橋成形体を発泡させつつ有機過酸化物架橋する。
【0058】
前記未架橋成形体の表面に前記液体(Y)を接触させると、前記未架橋成形体に含まれる前記炭酸塩(B)と前記酸(E)とが反応することにより、二酸化炭素が発生して前記未架橋成形体が発泡する。
【0059】
前記未架橋成形体の有機過酸化物架橋は、空気存在下で前記未架橋成形体を加熱することにより行われる。加熱条件は、前記有機過酸化物(C)の半減期温度等にもよるが、加熱温度はたとえば150~400℃、好ましくは200~300℃であり、加熱時間はたとえば3~20分、好ましくは5~10分である。
【0060】
前記未架橋成形体を発泡させた後に有機過酸化物架橋してもよく、発泡させながら有機過酸化物架橋してもよい。
本発明の方法により製造される架橋ゴム発泡成形体の比重は、たとえば0.6~1.0である。
【0061】
本発明の方法により製造される架橋発泡成形体の用途の例としては、産業機械用シール材等のシール材;自動車用ウェザーストリップスポンジ、建築用シールスポンジなどの発泡体;建材ガスケット、OA機器用ロール、工業用ロール、家庭用ゴム製品が挙げられる。
【実施例
【0062】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[測定ないし評価方法]
<未加硫ゴム物性の評価>
(ムーニー粘度、最低粘度(Vm)およびスコーチ時間)
JIS K6300に準拠して、ムーニー粘度計((株)島津製作所製SMV202型)を用いて、125℃におけるムーニー粘度(ML(1+4)125℃)を測定した。測定開始後の試料の最低粘度(Vm)を求め、さらにその最低粘度Vmより5ポイントまたは35ポイント上昇するまでの時間を求め、これをスコーチ時間(t5(125℃)、分)およびスコーチ時間(t35(125℃)、分)とした。
【0063】
(噴霧液の濡れ性)
後述する製造例1(未架橋成形体の製造)における第一段階での配合物を、シート状ダイスを装着した60mmφ押出機を用いて、コンパウンドBを、ダイス温度80℃、シリンダー(ダイス側)温度70℃、シリンダー(スクリュー側)温度60℃、スクリュー温度50℃の条件で押し出して100cm×20cm×0.2cmの大きさの試験片を作製した。この試験片の表面に、実施例および比較例で使用した噴霧液を5ml滴下し、試験片を垂直に傾け、10分間の間に噴霧液が流れるか、流れる場合にはどの程度流れるかを観測した。評価基準は以下のとおりである。
3:噴霧液が流れずに留まった。
2:噴霧液が流れた(ただし、試験片の端部までは流れなかった。)。
1:噴霧液が試験片の端部までは流れた。
【0064】
(加硫速度)
実施例および比較例における未架橋のゴム組成物を用いて、測定装置:MDR2000P(ALPHA TECHNOLOGIES社製)により、温度180℃かつ時間20分の測定条件下で、加硫速度(tc10、tc30、tc50およびtc90)を以下のとおり測定した。
【0065】
サンプルを測定装置にセットし、一定温度および一定のせん断速度の条件下で得られるトルク変化を測定し、加硫曲線を得た。この加硫曲線からトルクの最小値S'Minおよび最大値S'Maxを求め、測定開始時を基準としてトルクが(S'Max-S'Min)×0.1、(S'Max-S'Min)×0.2、(S'Max-S'Min)×0.5または(S'Max-S'Min)×0.9となるまでの時間(分)をそれぞれtc10、tc20、tc50およびtc90とした。
【0066】
<架橋ゴム成形体の評価>
(比重)
実施例または比較例で得られた架橋ゴム成形体から試験片を打ち抜き、その表面の汚れをアルコールで拭き取った。この試験片を25℃雰囲気下で自動比重計((株)東洋精機製作所製M-1型)に取り付け、空気中および純水中での質量の差から比重を測定した。
【0067】
(表面粘着性)
実施例または比較例で得られた架橋ゴム発泡成形体の表面を指で擦って下記基準により官能評価を行った。
1:擦ると抵抗が2よりも少なく、さらさらしている
2:擦ると抵抗を3よりも弱く感じる
3:擦ると抵抗を感じる
4:擦ると抵抗を3よりも強く感じる
5:擦ると滑らない
【0068】
[原料]
実施例等で使用した原料は以下のとおりである。
《共重合体(A)》
・三井EPT 9090M(商品名)(エチレン・プロピレン・ENB共重合体、三井化学(株)製、エチレンから導かれる構造単位含有量:41質量%、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)から導かれる構造単位含有量:14質量%、ムーニー粘度[ML1+4(125℃)]:8)
・三井EPT 3072(商品名)(エチレン・プロピレン・ENB共重合体、三井化学(株)製、エチレンから導かれる構造単位含有量:64質量%、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)から導かれる構造単位含有量:5.4質量%、ムーニー粘度[ML1+4(125℃)]:51)
《炭酸塩(B)》
・ホワイトンSB赤(商品名)(炭酸カルシウム、白石カルシウム(株)製)
《有機過酸化物(C)》
・パーヘキサ25B-40(商品名)(2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、日油(株)製)
《界面活性剤(D)》
・リポカード 2HTフレーク(商品名)(塩化ジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニウム、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)
《共架橋剤》
・サンエステルEG(商品名)(エチレングリコールジメタクリレート、三新化学工業(株)製)
《加硫促進剤(加硫助剤、活性剤)》
・META-Z102(商品名)(活性亜鉛華、井上石灰工業(株)製)
・PEG#4000(商品名)(ポリエチレングリコール、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)
《加工助剤》
・粉末ステアリン酸さくら(商品名)(ステアリン酸、日油(株)製)
《補強材》
・旭#60UG(商品名)(カーボンブラック、旭カーボン(株)製)
《軟化剤》
・ダイアナプロセスオイルPS-430(商品名)(パラフィン系プロセスオイル、出光興産(株)製)
【0069】
[製造例1](未架橋成形体の製造)
第一段階として、BB-4型バンバリーミキサー((株)神戸製鋼所製)を用いて、50質量部の三井EPT 9090M、および70質量部の三井EPT 3072を30秒間素練りし、次いでこれに5質量部のMETA-Z102、1質量部の粉末ステアリン酸さくら、0.5質量部のPEG#4000、75質量部の旭#60UG、および40質量部のホワイトンSB赤、27質量部のダイアナプロセスオイルPS-430を加え、140℃で2分間混練した。その後、ラムを上昇させ掃除を行ない、さらに、1分間混練を行ない、約150℃で排出し、第一段階の配合物を得た。
【0070】
次に、第二段階として、第一段階で得られた配合物を、室温まで冷却した後、8インチロ-ル(日本ロール(株)社製、前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)に巻き付けて、これに、9.75質量部のパーヘキサ25B-40、および3質量部のサンエステルEGを加え10分間混練して、未架橋ゴム組成物を得た。
【0071】
この未架橋ゴム組成物を、シート状ダイスを装着した60mmφ押出機を用いて、コンパウンドBを、ダイス温度80℃、シリンダー(ダイス側)温度70℃、シリンダー(スクリュー側)温度60℃、スクリュー温度50℃の条件で押し出して100cm×20cm×0.2cmの大きさの未架橋成形体を得た。
【0072】
[製造例2](噴霧液の製造)
精製水にリポカード2HTフレークを加えてこれらを撹拌し、濃度が5質量%のリポカード2HTフレーク水溶液(以下「噴霧液」とも記載する。)を得た。
【0073】
[実施例1]
製造例1で得られた未架橋成形体を、厚さ方向が鉛直になるように設置し、その両面に製造例2で得られた噴霧液を噴霧圧0.15MPa、流量15mL/分、噴射時間26秒の条件で6.5mL噴霧した後、直ちに180℃に設定したHAV(熱風加硫槽)で10分間処理した。得られた架橋ゴム発泡成形体の物性を表1に示す。
【0074】
[比較例1]
製造例1においてリポガード2HTフレークを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして、架橋ゴム発泡成形体を製造した。得られた架橋ゴム発泡成形体の物性を表1に示す。
【0075】
【表1】