(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】杭基礎改良地盤の液状化評価方法および杭基礎地盤改良工法
(51)【国際特許分類】
E02D 27/34 20060101AFI20230926BHJP
E02D 27/12 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
E02D27/34 Z
E02D27/12 Z
(21)【出願番号】P 2020031273
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】木村 匠
(72)【発明者】
【氏名】中村 聡武
(72)【発明者】
【氏名】原 裕之郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 明
(72)【発明者】
【氏名】堀田 洋之
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-133204(JP,A)
【文献】特開2007-262813(JP,A)
【文献】特開2010-7381(JP,A)
【文献】特開2015-10435(JP,A)
【文献】特開2019-66258(JP,A)
【文献】特開2007-170904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/34
E02D 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭基礎を格子状地盤改良体で拘束した杭基礎改良地盤における液状化の可能性について評価するための杭基礎改良地盤の液状化評価方法であって、
改良形状をパイル状に改良したパイル状地盤改良体の等価せん断速度より得られた第1算定チャートを作成する工程と、
前記格子状地盤改良体の等価せん断速度より得られた第2算定チャートを作成する工程と、
前記第1算定チャートを使用して前記パイル状地盤改良体の材料値を前記杭基礎の材料値に変換し、前記杭基礎と原地盤の剛性をもつせん断応力τとひずみγの関係を求める工程と、
前記第2算定チャートを使用して前記格子状地盤改良体のせん断応力τとひずみγの関係を求める工程と、
前記杭基礎と原地盤の剛性をもつせん断応力τとひずみγの関係、及び前記格子状地盤改良体のせん断応力τとひずみγの関係に基づいて、改良前後の地盤に生じるせん断応力比からなる液状化安全率を求める工程と、
前記せん断応力比の大きさに基づいて液状化の有無を判定する工程と、
を有することを特徴とする杭基礎改良地盤の液状化評価方法。
【請求項2】
前記杭基礎は、既存杭であることを特徴とする請求項1に記載の杭基礎改良地盤の液状化評価方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の杭基礎改良地盤の液状化評価方法を用いて前記杭基礎改良地盤を構築する杭基礎地盤改良工法であって、
原地盤に前記杭基礎を打設する工程と、
該杭基礎を格子状に囲むように格子状地盤改良体を構築する工程と、
を有することを特徴とする杭基礎地盤改良工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭基礎改良地盤の液状化評価方法および杭基礎地盤改良工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤の液状化防止対策として、地盤内にセメント系改良によって平面視で格子状の壁を作成することで、格子内の原地盤を拘束し、地震時の地盤のせん断ひずみを低減する工法が知られている。
【0003】
このような液状化防止を行った改良地盤の液状化の評価方法としては、例えば特許文献1に示されるように、地盤改良壁と原地盤を合わせたときの剛性を簡単に求める方法がある。
特許文献1には、地盤改良体が原地盤内に平面視で周期的に配設されてなる改良地盤の等価せん断波速度と当該改良地盤の地盤改良率との相関関係を示す等価せん断波速度グラフを用いて、当該改良地盤上に構築される建屋の地震応答を評価する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来では、地盤に打設されている杭を液状化対策として利用することは行われていない。そこで、このような杭を考慮した地盤改良における具体的な液状化の評価方法が求められており、その点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、杭基礎を考慮した改良地盤の液状化を効率よく評価できる杭基礎改良地盤の液状化評価方法および杭基礎地盤改良工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る杭基礎改良地盤の液状化評価方法は、杭基礎を格子状地盤改良体で拘束した杭基礎改良地盤における液状化の可能性について評価するための杭基礎改良地盤の液状化評価方法であって、改良形状をパイル状に改良したパイル状地盤改良体の等価せん断速度より得られた第1算定チャートを作成する工程と、前記格子状地盤改良体の等価せん断速度より得られた第2算定チャートを作成する工程と、前記第1算定チャートを使用して前記パイル状地盤改良体の材料値を前記杭基礎の材料値に変換し、前記杭基礎と原地盤の剛性をもつせん断応力τとひずみγの関係を求める工程と、前記第2算定チャートを使用して前記格子状地盤改良体のせん断応力τとひずみγの関係を求める工程と、前記杭基礎と原地盤の剛性をもつせん断応力τとひずみγの関係、及び前記格子状地盤改良体のせん断応力τとひずみγの関係に基づいて、改良前後の地盤に生じるせん断応力比からなる液状化安全率を求める工程と、前記せん断応力比の大きさに基づいて液状化の有無を判定する工程と、を有することを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る杭基礎地盤改良工法は、上述した杭基礎改良地盤の液状化評価方法を用いて前記杭基礎改良地盤を構築する杭基礎地盤改良工法であって、原地盤に前記杭基礎を打設する工程と、該杭基礎を格子状に囲むように格子状地盤改良体を構築する工程と、を有することを特徴としている。
【0009】
本発明では、パイル状地盤改良体に基づく第1算定チャートを杭基礎の材料値に置き換えて補正したものを使用して液状化を評価できる。すなわち、液状化安全率を求める際に、杭基礎の剛性を考慮して原地盤の見掛け上の強度を高めて計算することができる。
これにより、本発明では、杭基礎と格子状地盤改良体とを組み合わせた杭基礎改良地盤の剛性を簡単な方法により求めることができ、杭基礎の効果を考慮した杭基礎改良地盤であっても液状化を評価できる。しかも、従来使用されるパイル状地盤改良体の第1算定チャートを利用して、杭基礎の材料値に変換するといった簡単な方法により液状化安全率を求めることができ、効率よく液状化を評価することができる。
【0010】
また、本発明に係る杭基礎改良地盤の液状化評価方法は、前記杭基礎は、既存杭であることを特徴としてもよい。
【0011】
この場合には、既存杭と格子状地盤改良体とを組み合わせた杭基礎改良地盤を構築する際に、上述した液状化評価方法を用いて液状化を評価することができる。この場合には、新たな杭基礎を打設することなく施工できるので、効率的かつ剛性の高い改良地盤を構築することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の杭基礎改良地盤の液状化評価方法および杭基礎地盤改良工法によれば、杭基礎を考慮した改良地盤の液状化を効率よく評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態による液状化評価方法を適用する杭基礎改良地盤を模式的に示した斜視図である。
【
図3】パイル状地盤改良体を模式的に示す図であって、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【
図4】格子状地盤改良体を模式的に示す図であって、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【
図5】
図3に示すパイル状地盤改良体の等価せん断波速度グラフである。
【
図6】
図4に示す格子状地盤改良体の等価せん断波速度グラフである。
【
図7】改良地盤の液状化検討フローの一例を示す図である。
【
図8】改良前後の改良地盤の液状化安全率(FL値)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態による杭基礎改良地盤の液状化評価方法および杭基礎地盤改良工法について、図面に基づいて説明する。
【0015】
本実施形態による杭基礎改良地盤1の液状化評価方法は、
図1及び
図2に示すように、例えば鋼管杭やコンクリート杭等の複数の既存杭2(杭基礎)が施工されている原地盤Gにおいて、地盤改良により平面視で格子状となる格子状地盤改良体3を形成した杭基礎改良地盤1を対象として液状化を評価するものである。格子状地盤改良体3は、既存杭2を囲うような複数の格子が形成されている。既存杭2は、円柱状に形成されている。
なお、本実施形態では杭基礎として既存杭2を対象としているが、新設杭を本実施形態の液状化評価方法による杭基礎の適用対象としてもよい。
【0016】
先ず、杭基礎改良地盤1の等価せん断波速度グラフを作成する。本実施形態では、既存杭2の形状や格子状地盤改良体3の改良形状が選択される。具体的には、
図3(a)、(b)に示すように改良形状をパイル状に改良したパイル状地盤改良体4の等価せん断速度より得られた第1算定チャート(
図5参照)を作成するとともに、
図4(a)、(b)に示すように格子状地盤改良体3の等価せん断速度より得られた第2算定チャート(
図6参照)を作成する。
これら算定チャートは、改良体の形状に応じて、原地盤Gと地盤改良体3、4の等価剛性を求めるために使用される。
【0017】
図5に示す第1算定チャートは、
図3(a)、(b)に示すパイル状地盤改良体4において、ミクロスケールで表される周期構造モデルを用いて等価せん断波速度V
s_eqを求め、算定チャート化したものである。パイル状地盤改良体4の場合には、パイル状地盤改良体4の半径rを変えて計算している。第1算定チャートに示す曲線群は、パイル形状に応じた特性を示し、地盤改良率R(%)の増加に対する等価せん断波速度V
S_eqの増加率は小さく、例えばR=60%で原地盤の2倍程度の等価せん断波速度V
S_eqにしかかならい。地盤改良率Rは、地盤改良体の面積/改良地盤の全面積である。
【0018】
図6に示す第2算定チャートは、格子状地盤改良体3において、ミクロスケールで表される周期構造モデルを用いて等価せん断波速度V
S_eqを求め、算定チャート化したものである。格子状地盤改良体3の場合には、格子状地盤改良体3の格子幅方向の厚さtを変えて計算している。第2算定チャートに示す曲線群は、格子形状に応じた特性を示し、全体剛性に対する顕著な改良形状効果が生じている。
【0019】
各算定チャートにおけるaおよび地盤改良率Rを設定して単位周期構造体の弾性マトリックスCおよび応答変位ベクトルXを力学的あるいは解析的に求め、(1)式を用いて地盤改良体の等価弾性マトリックスCHを算出する。なお、図中のaは、(地盤改良体のせん断波速度VSI/原地盤のせん断波速度VSG)である。
次に、等価弾性マトリックスCHの成分として得られた地盤改良体の等価せん断弾性係数GHを用いて(2)式から地盤改良体の等価せん断波速度VHを算出する。
ここで、(1)式、(2)式において、Cは上記の通り単位周期構造体の弾性マトリックス、Iは単位マトリックス、Xは上記の通り単位周期構造体に単位マクロひずみを作用させたときの応答変位ベクトル、yはミクロスケール、Yは単位周期構造体の領域、ρは改良地盤の平均密度である。そして、単位マクロひずみとは、改良地盤の平均ひずみを1とすることをいう。
【0020】
【0021】
【0022】
続いて、aおよび地盤改良率Rを順次、変えて改良地盤の等価せん断波速度VHを算出し、aをパラメータとして、改良地盤の等価せん断波速度VHと当該改良地盤の地盤改良率との相関関係を示す曲線群を求めることにより、選択した改良形状に対応する等価せん断波速度グラフを得ることができる。
【0023】
図5及び
図6に示す等価せん断波速度グラフを利用する場合は、(地盤改良体のせん断波速度V
sI/原地盤のせん断波速度V
sG)を先ず設定し、等価せん断波速度グラフを用いて最適なaと地盤改良率Rの組合せを設計的観点から選択することになる。例えば、パイル状地盤改良体4の場合、改良地盤の等価せん断波速度V
Hを原地盤の約1.4倍に設定すると、
図5よりa=4~20の範囲において地盤改良率を35%とすればよいことがわかる。
【0024】
ここで、本実施形態による杭基礎改良地盤1の液状化評価方法は、一例として
図7に示すような改良地盤における液状化検討フローを用いることができる。
図7に示す液状化検討フローは、「格子状改良体で拘束された砂地盤の簡易液状化評価法」(土木学会論文集C(地圏工学)、vol.68、No.2、297-304、2012)である。このような
図7に示す液状化検討フローを用いてもよいし、他の液状化検討フローを採用することも可能ある。なお、
図7に示す液状化検討フローは、上述した文献に記載されているので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0025】
次に、
図5に示す第1算定チャートを使用してパイル状地盤改良体4の材料値を既存杭2の材料値に変換し、
図8に示すように、既存杭2と原地盤Gの剛性をもつせん断応力τとひずみγの関係(
図8に示すS2の曲線)を求める。具体的には、パイル状地盤改良体4の第1算定チャートのせん断波速度V
SIに関して、パイル状地盤改良体4の材料に代えて既存杭2の材料のものを使用する。例えば、既存杭2のせん断波速度V
SIが2000m/sで、パイル状地盤改良体4が500m/sの場合、比率aは、既存杭2の場合にはパイル状地盤改良体の場合の4倍になる。
【0026】
次に、等価繰り返しせん断応力比(τd/σ´v)を算定する。地震時に地盤に生じるせん断応力τdは地震応答解析などから算定する。そして、拘束された地盤のせん断ひずみγIを算定する。そして、上記で求めたせん断応力τdに対する初期せん断ひずみγIを(3)式により求める。ここで、Geqは、格子状地盤改良体3の等価なせん断剛性である。
【0027】
【0028】
(3)式により得られた初期せん断ひずみγ
Iの値に応じて
図5の第1算定チャートにより格子状地盤改良体3の等価なせん断剛性G
eqを求める。そして、このサイクルをγ
Iが収束するまで数度繰り返し、γ
I=γ
I_eqを決定する。ここで、γ
I_eqは、改良地盤に生じる等価な初期せん断ひずみである。
【0029】
次に、
図8に示すように、改良前後の液状化安全率(FL値)を求める。即ち、既存杭2と原地盤Gの剛性をもつせん断応力τとひずみγの関係(
図8のS2の曲線)、及び第2算定チャートから得られる格子状地盤改良体3のせん断応力τとひずみγの関係(
図8のS3の曲線)に基づいて、改良前後の地盤に生じるせん断応力比(τ/σ´
v)からなる液状化安全率を求める。
【0030】
具体的には、上記で求めた改良地盤の等価な初期せん断ひずみγI_eqおよび液状化が発生する初期せん断ひずみγI_Iqから対応するせん断応力比(τ/σ´v)を求める。
【0031】
図8に示すように、原地盤Gの液状化に達するひずみγ
I_Iqが変わらないように、液状化強度を補正する。
図8のグラフは、横軸に変形(ひずみγ
I)、縦軸にせん断応力比(τ/σ´
v)を示している。ここでは、原地盤Gに液状化が発生するせん断ひずみγ
I_Iqが既存杭2の有無に関係なく変わらないと仮定するものであり、液状化時に地盤に生じる応力が大きくなると仮定する。つまり、原地盤Gに液状化が発生するせん断ひずみγ
I_Iqのとき、液状化時に地盤に生じる応力は、原地盤Gのτ-γ関係のグラフS1ではなく、原地盤Gと既存杭2の剛性をもつ地盤のτ-γ関係のグラフS2による数値に基づいて求める。
【0032】
なお、均質化法の仮定として、杭が周囲の地盤と一体となってせん断変形するものとしているが、実際には杭は地盤と同じせん断変形はせず、曲げ材として変形するので、均質化された複合地盤のせん断剛性は比較的過大に評価される。
【0033】
次に、
図8に基づいて、せん断応力比の大きさに基づいて液状化の有無を判定する。ここで、FL値は、液状化が発生するせん断応力τ
Iqに対する改良前後の地盤のせん断応力の比(τ/σ´
v)である。
【0034】
改良前では、外力(等価繰返しせん断応力比:τd/σ´v)の方が、液状化強度(液状化時に地盤に生じるせん断応力比:τIq/σ´v)より大きいため液状化のおそれがある(FL値<1)と判定される場合においても、適切な改良後では、外力によって生じるせん断ひずみが改良の効果により小さくなり、原地盤Gに生じるせん断応力比(τeq/σ´v)が液状化強度より小さくなり、液状化の恐れがない(FL値>1)と判定される。
【0035】
次に、上述した杭基礎改良地盤の液状化評価方法および杭基礎地盤改良工法の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態では、
図8に示すように、パイル状地盤改良体4に基づく第1算定チャートを既存杭2の材料値に置き換えて補正したものを使用して液状化を評価できる。すなわち、液状化安全率を求める際に、既存杭2の剛性を考慮して原地盤Gの見掛け上の強度を高めて計算することができる。
【0036】
これにより、本実施形態では、既存杭2と格子状地盤改良体3とを組み合わせた杭基礎改良地盤1の剛性を簡単な方法により求めることができ、既存杭2の効果を考慮した杭基礎改良地盤1であっても液状化を評価できる。しかも、
図5に示す従来使用されるパイル状地盤改良体4の第1算定チャートを利用して、既存杭2の材料値に変換するといった簡単な方法により液状化安全率を求めることができ、効率よく液状化を評価することができる。
【0037】
また、本実施形態では、杭基礎として既存杭2を採用しているので、既存杭2と格子状地盤改良体3とを組み合わせた杭基礎改良地盤1を構築する際に、本実施形態の液状化評価方法を用いて液状化を評価することができる。この場合には、新たな杭基礎を打設することなく施工できるので、効率的かつ剛性の高い改良地盤を構築することができる。
【0038】
上述のように本実施形態による杭基礎改良地盤の液状化評価方法および杭基礎地盤改良工法では、杭基礎を考慮した改良地盤の液状化を効率よく評価できる。
【0039】
以上、本発明による杭基礎改良地盤の液状化評価方法および杭基礎地盤改良工法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0040】
例えば、本実施形態で対象としている杭基礎2は、既存杭、新設の基礎杭のいずれかを対象とすることも可能である。
また、杭基礎として、円柱形状のものに限定されることはなく、断面視で矩形状の杭であってもかまわない。
【0041】
また、上述した実施形態では、格子状地盤改良体3の1つの格子の中に1本の基礎杭(杭基礎)が配置された一例であるが、1つの格子の中に複数本の杭基礎が配置される場合にも適用可能である。この場合の液状化評価方法として、例えば、パイル状地盤改良体4に基づく第1算定チャート(
図5参照)と、格子状地盤改良体3に基づく第2算定チャート(
図6参照)をそれぞれ独立して算定することにより液状化評価を実施することができる。すなわち、複数の杭基礎の杭種が同じ場合は、近似的には、格子内地盤の面積に対する複数本の杭面積で改良率を決めてパイル状地盤改良体4に基づく第1算定チャートを使用して計算することができる。また、複数杭の杭種が異なる場合(例えば、第1既存杭A、第2既存杭B)には、近似的には、杭剛性を単純に(第1既存杭A+第2既存杭B)/2とし、格子内地盤との面積比で剛性を決めて同様に計算することができる。なお、格子間に複数本の杭基礎が配置される場合の第1算定チャートを使用した計算方法は、これに限定されることはなく、適宜な算定方法を採用することができる。
【0042】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 杭基礎改良地盤
2 既存杭(杭基礎)
3 格子状地盤改良体
4 パイル状地盤改良体
G 原地盤