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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】接合治具および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20230926BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/52 C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020093801
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021190540
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000233273
【氏名又は名称】株式会社 日立パワーデバイス
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 真尚
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 高彰
(72)【発明者】
【氏名】池田 靖
(72)【発明者】
【氏名】串間 宇幸
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-216772(JP,A)
【文献】特開2003-243891(JP,A)
【文献】特開平7-86487(JP,A)
【文献】特開2007-266086(JP,A)
【文献】特開平7-297209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01L 21/60
H01L 23/40
H05K 13/04
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、
その上端部が前記天板に取り付けられた加圧部材と、
平面視において前記加圧部材を囲むように、その上端部が前記天板に取り付けられた第1薄板、第2薄板、第3薄板および第4薄板と、
その側面が前記第1薄板の下端部に取り付けられた円柱状の第1支持部材と、
その側面が前記第2薄板の下端部に取り付けられた円柱状の第2支持部材と、
その側面が前記第3薄板の下端部に取り付けられた円柱状の第3支持部材と、
その側面が前記第4薄板の下端部に取り付けられた円柱状の第4支持部材と、
を備えた、接合治具。
【請求項2】
請求項1に記載の接合治具において、
前記第1薄板および前記第2薄板は、平面視における第1方向において互いに向き合い、
前記第3薄板および前記第4薄板は、平面視で前記第1方向と交差する第2方向において互いに向き合い、
前記第1支持部材および前記第2支持部材は、前記第2方向に延在し、
前記第3支持部材および前記第4支持部材は、前記第1方向に延在している、接合治具。
【請求項3】
請求項2に記載の接合治具において、
前記第1薄板と前記第3薄板とが近接する箇所において、その上端部が前記天板に取り付けられた第5薄板と、
前記第2薄板と前記第3薄板とが近接する箇所において、その上端部が前記天板に取り付けられた第6薄板と、
前記第3薄板と前記第4薄板とが近接する箇所において、その上端部が前記天板に取り付けられた第7薄板と、
前記第1薄板と前記第4薄板とが近接する箇所において、その上端部が前記天板に取り付けられた第8薄板と、
その側面が前記第5薄板の下端部に取り付けられた円柱状の第5支持部材と、
その側面が前記第6薄板の下端部に取り付けられた円柱状の第6支持部材と、
その側面が前記第7薄板の下端部に取り付けられた円柱状の第7支持部材と、
その側面が前記第8薄板の下端部に取り付けられた円柱状の第8支持部材と、
を更に備え、
前記第5薄板の向きは、前記第1薄板の向きおよび前記第3薄板の向きと異なり、
前記第6薄板の向きは、前記第2薄板の向きおよび前記第3薄板の向きと異なり、
前記第7薄板の向きは、前記第3薄板の向きおよび前記第4薄板の向きと異なり、
前記第8薄板の向きは、前記第1薄板の向きおよび前記第4薄板の向きと異なる、接合治具。
【請求項4】
請求項3に記載の接合治具において、
前記第5支持部材、前記第6支持部材、前記第7支持部材および前記第8支持部材は、それぞれ、前記第1方向に延在する第1円柱体と、前記第2方向に延在する第2円柱体とが結合された結合円柱体である、接合治具。
【請求項5】
請求項1に記載の接合治具において、
前記第1薄板、前記第2薄板、前記第3薄板および前記第4薄板の各々の前記下端部は、前記第1薄板、前記第2薄板、前記第3薄板および前記第4薄板の各々の前記上端部よりも、前記加圧部材の近くに位置している、接合治具。
【請求項6】
請求項1に記載の接合治具において、
断面視において、前記天板から前記第1支持部材の中心、前記第2支持部材の中心、前記第3支持部材の中心または前記第4支持部材の中心までの距離は、前記天板から前記加圧部材の下端部までの距離よりも大きい、接合治具。
【請求項7】
天板と、
その上端部が前記天板に取り付けられた加圧部材と、
平面視において前記加圧部材を囲む支持部材と、
を備え、
半導体チップの焼結接合時において、前記半導体チップの4つの側面を前記支持部材に密着させた状態で、前記加圧部材によって前記半導体チップの上面を加圧可能である、接合治具。
【請求項8】
天板と、
その上端部が前記天板に取り付けられた加圧部材と、
平面視において前記加圧部材を囲むように、その上端部が前記天板に取り付けられた第1薄板、第2薄板、第3薄板および第4薄板と、
その側面が前記第1薄板の下端部に取り付けられた円柱状の第1支持部材と、
その側面が前記第2薄板の下端部に取り付けられた円柱状の第2支持部材と、
その側面が前記第3薄板の下端部に取り付けられた円柱状の第3支持部材と、
その側面が前記第4薄板の下端部に取り付けられた円柱状の第4支持部材と、
を備えた接合治具を用いた半導体装置の製造方法であって、
(a)上面と、前記上面と反対側の下面と、平面視における第1方向において互いに向き合う第1側面および第2側面と、平面視で前記第1方向と交差する第2方向において互いに向き合う第3側面および第4側面と、を有する半導体チップを用意する工程、
(b)配線基板上に焼結材を設ける工程、
(c)前記半導体チップの前記下面が前記焼結材に接触するように、前記焼結材上に前記半導体チップを搭載する工程、
(d)前記(c)工程後、平面視において前記加圧部材が前記半導体チップに重なるように、前記半導体チップの上方に前記接合治具を配置する工程、
(e)前記(d)工程後、前記接合治具を前記半導体チップに近づけることで、前記第1支持部材を前記第1側面および前記配線基板に密着させ、前記第2支持部材を前記第2側面および前記配線基板に密着させ、前記第3支持部材を前記第3側面および前記配線基板に密着させ、前記第4支持部材を前記第4側面および前記配線基板に密着させる工程、
(f)前記(e)工程後、前記接合治具を前記半導体チップに更に近づけ、前記半導体チップの前記上面を前記加圧部材によって加圧しながら、前記焼結材を加熱することで、少なくとも前記半導体チップの前記下面と前記配線基板との間に焼結層を形成する工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程において、前記焼結層は、前記下面からはみ出し、前記第1側面、前記第2側面、前記第3側面または前記第4側面の一部または全部にも形成され、
前記下面からはみ出した前記焼結層の断面は、前記第1側面、前記第2側面、前記第3側面または前記第4側面から離れるに連れて前記焼結層の厚さが小さくなるように、裾広がりのテーパ形状を成す、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程において、前記第1支持部材、前記第2支持部材、前記第3支持部材および前記第4支持部材の各々の側面のうち、最下端部となる第1の四半円点と、前記加圧部材側に位置する第2の四半円点とを含む曲面が、それぞれ、前記第1側面、前記第2側面、前記第3側面および前記第4側面の直上に位置する、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e)工程は、
(e1)前記接合治具を前記半導体チップに近づけることで、前記第1支持部材、前記第2支持部材、前記第3支持部材および前記第4支持部材の各々の前記曲面を、前記半導体チップに接触させる工程、
(e2)前記(e1)工程後、前記接合治具を前記半導体チップに更に近づけることで、前記第1薄板を撓ませながら前記第1支持部材を前記第1側面に密着させ、前記第2薄板を撓ませながら前記第2支持部材を前記第2側面に密着させ、前記第3薄板を撓ませながら前記第3支持部材を前記第3側面に密着させ、前記第4薄板を撓ませながら前記第4支持部材を前記第4側面に密着させる工程、
(e3)前記(e2)工程後、前記接合治具を前記半導体チップに更に近づけることで、前記第1薄板を撓ませながら前記第1支持部材を前記配線基板に密着させ、前記第2薄板を撓ませながら前記第2支持部材を前記配線基板に密着させ、前記第3薄板を撓ませながら前記第3支持部材を前記配線基板に密着させ、前記第4薄板を撓ませながら前記第4支持部材を前記配線基板に密着させる工程、
を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1薄板、前記第2薄板、前記第3薄板および前記第4薄板の各々の前記下端部は、前記第1薄板、前記第2薄板、前記第3薄板および前記第4薄板の各々の前記上端部よりも、前記加圧部材の近くに位置し、
前記(d)工程において、記第1支持部材、前記第2支持部材、前記第3支持部材および前記第4支持部材は、前記第1側面、前記第2側面、前記第3側面および前記第4側面の直上から離れた場所に位置している、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e)工程は、
(e4)前記接合治具を前記半導体チップに近づけることで、前記第1支持部材を前記配線基板に密着させ、前記第2支持部材を前記配線基板に密着させ、前記第3支持部材を前記配線基板に密着させ、前記第4支持部材を前記配線基板に密着させる工程、
(e5)前記(e4)工程後、前記接合治具を前記半導体チップに更に近づけることで、前記第1薄板を撓ませながら前記第1支持部材を前記第1側面に密着させ、前記第2薄板を撓ませながら前記第2支持部材を前記第2側面に密着させ、前記第3薄板を撓ませながら前記第3支持部材を前記第3側面に密着させ、前記第4薄板を撓ませながら前記第4支持部材を前記第4側面に密着させる工程、
を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1支持部材、前記第2支持部材、前記第3支持部材および前記第4支持部材の各々の断面視における半径は、前記焼結層の厚さよりも大きく、前記焼結層の厚さおよび前記半導体チップの厚さの合計よりも小さい、半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1支持部材、前記第2支持部材、前記第3支持部材および前記第4支持部材は、それぞれ、前記(f)工程における前記焼結材の加熱によって融解しない材料によって構成されている、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合治具および半導体装置の製造方法に関し、例えば、焼結接合に利用される接合治具、および、その接合治具を用いた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素(SiC)基板を用いたMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)またはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの半導体素子が開発されている。SiC-MOSFETは、従来のSi-MOSFETよりも素子抵抗が小さく、高速スイッチングが可能であり、電鉄および電気自動車などにおける低損失化に大きく貢献できる。また、SiC-MOSFETは、Si-MOSFETよりも高温環境において動作可能である。
【0003】
一方で、半導体チップを配線基板などに搭載する際、半導体チップと配線基板との接合には、従来、はんだ接合が用いられていた。しかし、はんだ接合は、SiC-MOSFETに要求される高温環境での動作に対応できない場合がある。そこで、高温環境への対応が可能になるように、焼結接合の適用が推進されている。
【0004】
焼結接合では、接合時に加圧が必要な場合があり、この加圧によって焼結材が接合面で押し広げられる。しかし、焼結材が接合面に対して十分に広がらず、放熱性が低下するという問題がある。一方で、焼結材が広がりすぎて、焼結材が半導体チップの外側へはみ出し、半導体チップと配線基板とが短絡するという問題がある。
【0005】
例えば、特許文献1には、半導体チップが緩挿可能な開口部と、開口部よりも大きい断面積を有する接合材逃がし部と、を有する接合治具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-216772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
焼結接合における加圧工程において、焼結材の押し広げに関連した不良としては、焼結材の広がり不足による放熱性の低下と、焼結材のはみ出しによる短絡とが挙げられる。
【0008】
焼結材のはみ出しによる短絡については、主に二つの形態が考えられる。一つ目の形態は、はみ出した焼結材が半導体チップの上面にまで這い上がることによる短絡である。二つ目の形態は、はみ出した焼結材に十分な加圧が為されず、焼結密度が低下し、焼結材が脱落することによる短絡である。
【0009】
上述の特許文献1における接合治具では、はみ出した焼結材の脱落に起因する短絡は防止できるが、半導体チップの周辺部に隙間が生じる。それ故、焼結材が、上記隙間を介して半導体チップの上面へ這い上がる恐れがある。
【0010】
従って、配線基板および半導体チップを備えた半導体装置では、焼結接合によって配線基板上に半導体チップを搭載させる際に、上述のような短絡を抑制することが求められる。すなわち、半導体装置の信頼性を向上させる技術が求められ、それを実現可能な接合治具の開発が求められる。
【0011】
その他の課題および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0013】
一実施の形態における接合治具は、天板と、その上端部が前記天板に取り付けられた加圧部材と、平面視において前記加圧部材を囲むように、その上端部が前記天板に取り付けられた第1薄板、第2薄板、第3薄板および第4薄板と、その側面が前記第1薄板の下端部に取り付けられた円柱状の第1支持部材と、その側面が前記第2薄板の下端部に取り付けられた円柱状の第2支持部材と、その側面が前記第3薄板の下端部に取り付けられた円柱状の第3支持部材と、その側面が前記第4薄板の下端部に取り付けられた円柱状の第4支持部材と、を備える。
【0014】
また、一実施の形態における接合治具は、天板と、その上端部が前記天板に取り付けられた加圧部材と、平面視において前記加圧部材を囲む支持部材と、を備える。ここで、半導体チップの焼結接合時において、前記半導体チップの4つの側面を前記支持部材に密着させた状態で、前記加圧部材によって前記半導体チップの上面を加圧可能である。
【0015】
また、一実施の形態における半導体装置の製造方法は、天板と、その上端部が前記天板に取り付けられた加圧部材と、平面視において前記加圧部材を囲むように、その上端部が前記天板に取り付けられた第1薄板、第2薄板、第3薄板および第4薄板と、その側面が前記第1薄板の下端部に取り付けられた円柱状の第1支持部材と、その側面が前記第2薄板の下端部に取り付けられた円柱状の第2支持部材と、その側面が前記第3薄板の下端部に取り付けられた円柱状の第3支持部材と、その側面が前記第4薄板の下端部に取り付けられた円柱状の第4支持部材と、を備えた接合治具を用いて行われる。また、半導体装置の製造方法は、(a)上面と、前記上面と反対側の下面と、平面視における第1方向において互いに向き合う第1側面および第2側面と、平面視で前記第1方向と交差する第2方向において互いに向き合う第3側面および第4側面と、を有する半導体チップを用意する工程、(b)配線基板上に焼結材を設ける工程、(c)前記半導体チップの前記下面が前記焼結材に接触するように、前記焼結材上に前記半導体チップを搭載する工程、(d)前記(c)工程後、平面視において前記加圧部材が前記半導体チップに重なるように、前記半導体チップの上方に前記接合治具を配置する工程、(e)前記(d)工程後、前記接合治具を前記半導体チップに近づけることで、前記第1支持部材を前記第1側面および前記配線基板に密着させ、前記第2支持部材を前記第2側面および前記配線基板に密着させ、前記第3支持部材を前記第3側面および前記配線基板に密着させ、前記第4支持部材を前記第4側面および前記配線基板に密着させる工程、(f)前記(e)工程後、前記接合治具を前記半導体チップに更に近づけ、前記半導体チップの前記上面を前記加圧部材によって加圧しながら、前記焼結材を加熱することで、少なくとも前記半導体チップの前記下面と前記配線基板との間に焼結層を形成する工程、を有する。
【発明の効果】
【0016】
一実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、それを実現可能な接合治具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態1における接合治具および半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図2】実施の形態1における接合治具を示す平面図である。
図3図1に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4】実施の形態1における半導体装置の製造方法を示す平面図である。
図5図4に続く半導体装置の製造方法を示す平面図である。
図6】実施の形態2における接合治具を示す要部平面図である。
図7】実施の形態3における接合治具および半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図8図7に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図9】実施の形態3の変形例における接合治具および半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図10】実施の形態4における接合治具および半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図11図10に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0019】
また、実施の形態を説明する図面では、構成を分かり易くするために、平面図であってもハッチングが付されている場合もあるし、断面図であってもハッチングが省略されている場合もある。
【0020】
また、実施の形態において説明されるX方向、Y方向およびZ方向は互いに交差(直交)ている。本願では、Z方向は、ある構造体の上下方向、高さ方向または厚さ方向として説明されている。また、X方向およびY方向によって構成される面は平面を成し、Z方向に対して垂直な平面である。例えば、本願において「平面視」と表現した場合、それは、X方向およびY方向によって構成される面をZ方向から見ることを意味する。
【0021】
(実施の形態1)
<接合治具100の構成>
図1および図2を用いて、実施の形態1における接合治具100について説明する。接合治具100は、主に、上述のような、はみ出した焼結材(焼結層)の脱落または這い上がりによる短絡を抑制するために使用される。
【0022】
図1および図2に示されるように、接合治具100は、天板1、加圧部材2、薄板31~34および支持部材41~44を備える。
【0023】
加圧部材2の上端部、および、薄板31~34の各々の上端部は、天板1に取り付けられている。平面視において、薄板31~34は、天板1を囲み、それぞれ天板1の四方に設けられている。
【0024】
支持部材41~44の各々は、円柱状を成し、支持部材41~44の各々の側面は、薄板31~34の各々の下端部に取り付けられている。なお、本願における円柱状は、真円柱状である場合も含むし、楕円柱状である場合も含む。すなわち、支持部材41~44延在方向に対して垂直な断面視において、支持部材41~44の各々の形状は、真円でもよいし、楕円でもよい。
【0025】
また、図1に示されるように、実施の形態1では、断面視において、薄板31~34は、天板1に対して垂直な方向(Z方向)に取り付けられている。また、支持部材41~44は、それぞれ加圧部材2よりも低い位置に設けられている。言い換えれば、図1の破線で示されるように、天板1から支持部材41~44の各々の中心4aまでの距離は、天板1から加圧部材2の下端部までの距離よりも大きい。そのため、焼結接合時において、支持部材41~44は、加圧部材2よりも先に半導体チップ5に接触できる。
【0026】
図2に示されるように、薄板31および薄板32はX方向において互いに向き合い、薄板33および薄板34はY方向において互いに向き合っている。支持部材41および支持部材42はY方向に延在し、支持部材43および支持部材44はX方向に延在している。
【0027】
後述するように、焼結接合時では、薄板31~34の撓みを利用して、支持部材41~44によって半導体チップが加圧される。そのため、X方向において、薄板31および薄板32の各々の幅は、支持部材41および支持部材42の各々の幅よりも小さく設計され、Y方向において、薄板33および薄板34の各々の幅は、支持部材43および支持部材44の各々の幅よりも小さく設計されている。
【0028】
また、天板1および加圧部材2は、例えば金属材料またはカーボンからなる。薄板31~34は、弾性を有し、且つ、耐熱性の高い金属材料からなる。支持部材41~44は、耐熱性の高い金属材料またはカーボンからなる。支持部材41~44が金属材料からなる場合、その金属材料は、後述の焼結材6aに含まれる金属材料と反応し難い材料によって構成され、焼結接合時における加熱で融解しない材料によって構成され、例えばプラチナ(Pt)のような貴金属材料である。これにより、焼結接合時において、焼結材6aと支持部材41~44とが反応し、互いに接合されることが防止される。
【0029】
<半導体装置200の製造方法>
以下に図1図3図5を用いて、実施の形態1における半導体装置200の製造方法を説明する。半導体装置200の製造方法には、上述の接合治具100が用いられる。半導体装置200は、例えば、鉄道の車両または自動車の車体などに搭載される半導体モジュール(パワーモジュール)である。
【0030】
図1に示されるように、半導体装置200は、配線基板7上に搭載された半導体チップ5を備え、配線基板7および半導体チップ5は、焼結材6aを焼結することで形成された焼結層6bによって接合されている。また、半導体チップ5は、例えばSiC基板を用いたMOSFETまたはIGBTなどの半導体素子を備えている。なお、半導体装置200は、配線基板7上に搭載された他の半導体チップおよび電子デバイスなどを更に備えていてもよい。
【0031】
図1図4および図5に示されるように、半導体チップ5は、上面TSと、上面TSと反対側の下面BSと、X方向において互いに向き合う側面SS1および側面SS2と、Y方向において互いに向き合う側面SS3および側面SS4とを有する。
【0032】
焼結材6aは、金属材料および溶剤を含むペースト状の接合材である。この金属材料は、ナノメートルレベルからマイクロメートルレベルの金属粒子(金属粉末)であり、例えば銅(Cu)または銀(Ag)である。なお、焼結接合時において、焼結材6aに含まれる上記溶剤は加熱によって無くなるので、焼結接合後、配線基板7と半導体チップ5との間には、上記金属材料からなる焼結層6bが形成される。
【0033】
以下に、半導体装置200の製造方法に含まれる各工程について説明する。
【0034】
まず、図1に示されるように、半導体チップ5を用意し、配線基板7上に焼結材6aを設ける。次に、半導体チップ5の下面BSが焼結材6aに接触するように、焼結材6a上に半導体チップ5を搭載する。
【0035】
次に、平面視において加圧部材2が半導体チップ5に重なるように、半導体チップ5の上方に接合治具100を配置する。
【0036】
実施の形態1では、支持部材41~44は、それぞれ平面視において半導体チップ5の側面SS1~SS4に重なるように位置している。言い換えれば、加圧部材2側となる支持部材41~44の半分(半円柱体)が、それぞれ平面視において半導体チップ5の側面SS1~SS4に重なるように位置している。更に言い換えれば、断面視において、支持部材41~44各々の側面のうち、最下端部となる第1の四半円点4bと、加圧部材2側に位置する第2の四半円点4cとを含む曲面が、それぞれ、側面SS1~SS4の直上に位置している。
【0037】
次に、図3に示されるように、接合治具100を押し下げ、接合治具100を半導体チップ5に近づけることで、支持部材41~44を、それぞれ半導体チップ5の側面SS1~SS4および配線基板7に密着させる。
【0038】
実施の形態1では、まず、接合治具100を半導体チップ5に近づけることで、加圧部材2側となる支持部材41~44の半分(半円柱体)を、半導体チップ5に接触させる。すなわち、支持部材41~44の各々の曲面(第1の四半円点4bと第2の四半円点4cとを含む曲面)を、半導体チップ5に接触させる。ここで、支持部材41~44は、それぞれ加圧部材2よりも低い位置に設けられているので、支持部材41~44は、加圧部材2よりも先に半導体チップ5に接触する。
【0039】
次に、接合治具100を半導体チップ5に更に近づけることで、薄板31~34を撓ませながら、支持部材41~44をそれぞれ側面SS1~SS4に密着させる。すなわち、接合治具100を半導体チップ5に近づけると、支持部材41~44の各々の曲面に沿うように、支持部材41~44には、半導体チップ5の外側へ押し出す力が加えられる。そうすると、薄板31~34が、撓み、板バネのように作用するので、支持部材41~44から半導体チップ5へ向かう方向に対して、圧力が加えられる。
【0040】
次に、接合治具100を半導体チップ5に更に近づけることで、薄板31~34を撓ませながら、支持部材41~44をそれぞれ配線基板7に密着させる。ここで、薄板31~34の撓みによる支持部材41~44からの圧力が半導体チップ5に加えられた状態のまま、支持部材41~44が配線基板7に密着する。
【0041】
次に、焼結接合を実施する。接合治具100を半導体チップ5に更に近づけ、加圧部材2によって半導体チップ5の上面TSを加圧しながら、焼結材6aを加熱する。この加熱処理は、例えば300℃以上、400℃以下で行われる。これにより、少なくとも半導体チップ5の下面BSと配線基板7との間に焼結層6bが形成される。焼結層6bは、焼結材6aに含まれていた金属材料からなる。
【0042】
このように、実施の形態1によれば、半導体チップ5の焼結接合時において、半導体チップ5の4つの側面SS1~SS4を支持部材41~44に密着させた状態で、加圧部材2によって半導体チップ5の上面TSを加圧可能である。これにより、半導体チップ5の下面BSの全体に焼結層6bが形成されるので、焼結材6aの広がり不足による放熱性の低下を抑制することができる。
【0043】
また、支持部材41~44の各々の断面視における半径は、焼結層6bの厚さT1よりも大きく、焼結層6bの厚さT1および半導体チップ5の厚さT2の合計よりも小さい。そのため、焼結接合時において、支持部材41~44が側面SS1~SS4に密着している状態が保たれている。
【0044】
焼結層6bは、半導体チップ5の下面BSからはみ出し、側面SS1、側面SS2、側面SS3または側面SS4の一部または全部にも形成される。すなわち、焼結層6bは半導体チップ5の上面TS側へ這い上がるように形成されるが、支持部材41~44が側面SS1~SS4に密着しているので、焼結層6bは、支持部材41~44によって差し止められ、上面TSに到達しない。
【0045】
従って、実施の形態1における接合治具100を用いることで、配線基板7と半導体チップの上面TSとが短絡するという不具合を抑制でき、半導体装置200の信頼性を向上させることができる。
【0046】
また、焼結層6bの端部の断面は、支持部材41~44の側面に沿った形状を成し、フィレット形状を成している。言い換えれば、下面BSからはみ出した焼結層6bの断面は、側面SS1~SS4から離れるに連れて焼結層6bの厚さが小さくなるように、裾広がりのテーパ形状を成している。
【0047】
例えば、焼結層6bの形成時に配線基板7が反る場合があるが、その場合、仮に、焼結層6bの端部が角状を成していると、角状の端部において焼結層6bからの応力が集中し、焼結層6bの接合強度が低下する恐れがある。上述のように、焼結層6bの端部が裾広がりのテーパ形状を成していることで、応力の集中が緩和され、そのような恐れを抑制できる。
【0048】
以下に、図4および図5を用いて、半導体チップ5を焼結材6a上に搭載させた時における微小な位置誤差について説明する。
【0049】
半導体チップ5は、位置誤差無く焼結材6a上に搭載されることが理想的であるが、半導体チップ5の位置が若干ずれる場合があり、例えば、半導体チップ5の位置が設計値よりも±1mm程度ずれる場合がある。
【0050】
しかしながら、そのような位置誤差が、支持部材41~44の各々の曲面(第1の四半円点4bと第2の四半円点4cとを含む曲面)と重なる範囲内であれば、薄板31~34の撓みを利用して、半導体チップ5の位置を正常な位置へと修正できる。すなわち、図4のように、半導体チップ5の位置がずれていた場合、最初は支持部材41~44の一部のみが半導体チップ5の側面SS1~SS4に接触するが、最終的には図5の黒矢印のように、側面SS1~SS4には、支持部材41~44から圧力が加えられ、半導体チップ5の位置は、それぞれ正常な位置へと修正される。
【0051】
このように、実施の形態1における接合治具100を用いれば、半導体チップ5の位置誤差の有無に因らず、半導体チップ5の焼結接合を行うことができる。
【0052】
また、支持部材41~44は、焼結材6aに含まれる金属材料と反応し難い材料によって構成され、耐熱性の高い金属材料またはカーボンからなるが、支持部材41~44が、金属材料またはカーボン以外の材料で構成されていてもよい。例えば、支持部材41~44が、耐熱性の高い弾性体によって構成されていてもよい。このような弾性体は、焼結材6aに含まれる金属材料よりも高い融点を有し、例えばゴムである。
【0053】
(実施の形態2)
以下に図6を用いて、実施の形態2における接合治具100を説明する。なお、以下では、主に実施の形態1との相違点について説明する。
【0054】
実施の形態2では、半導体チップ5の4つの角部に対応する領域に、4つの支持部材(第5~第8支持部材)が設けられ、4つの支持部材には、それぞれ薄板(第5~第8薄板)が取り付けられている。図6では、半導体チップ5の1つの角部に対応する領域に、第5薄板35および第5支持部材45が設けられている様子が示されている。
【0055】
すなわち、接合治具100は、薄板31と薄板33とが近接する箇所において、その上端部が天板1に取り付けられた第5薄板35と、その側面が第5薄板35の下端部に取り付けられた円柱状の第5支持部材45とを更に備えている。なお、ここでは図示されていないが、薄板32と薄板33とが近接する箇所、薄板33と薄板34とが近接する箇所および薄板31と薄板34とが近接する箇所においても、第5薄板35のような第6~第8薄板と、第5支持部材45のような第6~第8支持部材とが設けられている。
【0056】
第5支持部材45および第6~第8支持部材は、それぞれL字型の円柱体であり、Y方向に延在する第1円柱体と、X方向に延在する第2円柱体とが結合された結合円柱体である。第1円柱体および第2円柱体は、それぞれ斜切円柱体であり、2つの斜切円柱体が結合されることで、第5支持部材45および第6~第8支持部材が構成されている。
【0057】
第5薄板35の向きは、薄板31の向きおよび薄板33の向きと異なり、薄板31の向きおよび薄板33の向きに対して45度傾いている。同様に、第6薄板の向きは、薄板32の向きおよび薄板33の向きと異なり、薄板32の向きおよび薄板33の向きに対して45度傾いている。第7薄板の向きは、薄板33の向きおよび薄板34の向きと異なり、薄板33の向きおよび薄板34の向きに対して45度傾いている。第8薄板の向きは、薄板31の向きおよび薄板34の向きと異なり、薄板31の向きおよび薄板34の向きに対して45度傾いている。
【0058】
焼結接合時では、接合治具100を半導体チップ5に近づけることで、第5薄板35および第6~第8薄板を撓ませながら、第5支持部材45および第6~第8支持部材をそれぞれ側面SS1~SS4に密着させる。そして、接合治具100を半導体チップ5に更に近づけることで、第5薄板35および第6~第8薄板を撓ませながら、第5支持部材45および第6~第8支持部材をそれぞれ配線基板7に密着させる。図6の黒矢印のように、第5支持部材45および第6~第8支持部材から半導体チップ5へ向かって圧力が加えられる。
【0059】
実施の形態1のように支持部材41~44のみが設けられている場合、半導体チップ5の角部において、焼結材6aがはみ出す可能性がある。実施の形態2では、半導体チップ5の角部に対応する領域に、第5支持部材45および第6~第8支持部材と、第5薄板35および第6~第8薄板とが設けられている。これにより、半導体チップ5の角部において焼結材6aが這い上がり、配線基板7と半導体チップ5の上面TSとが短絡する恐れを、更に抑制することができる。
【0060】
(実施の形態3)
以下に図7および図8を用いて、実施の形態3における接合治具100および半導体装置200の製造方法を説明する。なお、以下では、主に実施の形態1との相違点について説明する。
【0061】
実施の形態1では、断面視において、薄板31~34は、天板1に対して垂直な方向(Z方向)に取り付けられていた。実施の形態3では、図7に示されるように、断面視において、薄板31~34は、天板1に対して垂直な方向から傾斜している。すなわち、薄板31~34の各々の下端部は、薄板31~34の各々の上端部よりも、加圧部材2の近くに位置している。
【0062】
焼結接合時では、接合治具100は、平面視において加圧部材2が半導体チップ5に重なるように、半導体チップ5の上方に配置される。ここで、実施の形態3では、支持部材41~44は、平面視において半導体チップ5に重ならない。言い換えれば、支持部材41~44は、側面SS1~SS4の直上から離れた場所に位置している。
【0063】
図8に示されるように、接合治具100を半導体チップ5に近づけることで、まず、支持部材41~44が配線基板7に密着し、薄板31~34が撓んだ状態になる。次に、接合治具100を半導体チップ5に更に近づけることで、薄板31~34を撓ませながら支持部材41~44が、それぞれ側面SS1~SS4に密着する。そして、薄板31~34の撓みによる支持部材41~44からの圧力が、半導体チップ5に加えられる。
【0064】
このように、実施の形態3では、支持部材41~44を半導体チップ5の外側から接近させる。それ故、複数の半導体チップ5が密集したような領域では、実施の形態3の接合治具100は、実施の形態1と比較して、不向きである。しかしながら、実施の形態3の接合治具100は、実施の形態1と比較して、半導体チップ5へより強い圧力を加え易いという利点を有する。従って、複数の半導体チップ5の間隔が十分に広い場合には、実施の形態3の接合治具100を適用することで、半導体装置200の信頼性を更に向上させることができる。
【0065】
また、実施の形態3で開示した技術に、実施の形態2で開示した技術を組み合わせることも可能である。
【0066】
(変形例)
図9は、実施の形態3の変形例における接合治具100を示している。
【0067】
実施の形態3では、薄板31~34が平板であったが、図9に示される変形例のように、薄板31~34は予め撓んだ状態の曲板であってもよい。言い換えれば、薄板31~34は、断面視において曲線を成していてもよい。
【0068】
このような変形例における薄板31~34も、実施の形態3における薄板31~34と同様に使用することができる。
【0069】
(実施の形態4)
以下に図10および図11を用いて、実施の形態4における接合治具100および半導体装置200の製造方法を説明する。なお、以下では、主に実施の形態3との相違点について説明する。
【0070】
実施の形態4では、図10に示されるように、4組の薄板31~34および支持部材41~44の代わりに、4つの弾性体が用いられている。図10に示される弾性体81は、薄板31および支持部材41に相当し、弾性体82は、薄板32および支持部材42に相当する。図示はしないが、実施の形態4における接合治具100は、薄板33および支持部材43に相当する弾性体と、薄板34および支持部材44に相当する弾性体とを更に備えている。このような弾性体は、焼結材6aに含まれる金属材料よりも高い融点を有し、例えばゴムである。
【0071】
なお、4つの弾性体の各々の上端部は、天板1に取り付けられている。4つの弾性体の各々の下端部は、支持部材41~44の形状に対応しており、半円柱状となっている。
【0072】
焼結接合時では、接合治具100は、平面視において加圧部材2が半導体チップ5に重なるように、半導体チップ5の上方に配置される。ここで、実施の形態4では、4つの弾性体は、平面視において半導体チップ5に重ならない。言い換えれば、4つの弾性体は、側面SS1~SS4の直上から離れた場所に位置している。
【0073】
図11に示されるように、接合治具100を半導体チップ5に近づけることで、まず、4つの弾性体が配線基板7に密着し、4つの弾性体が撓んだ状態になる。次に、接合治具100を半導体チップ5に更に近づけることで、4つの弾性体を撓ませながら4つの弾性体が、それぞれ側面SS1~SS4に密着する。そして、4つの弾性体からの圧力が、半導体チップ5に加えられる。
【0074】
実施の形態4では、このような弾性体を使用することで、接合治具100の構成を簡略化できる。しかしながら、弾性体を使用することで、支持部材41~44を構成する金属材料と比較して、長期間に及ぶ高温環境下における信頼性が小さくなる恐れがあるので、そのような場合には、上述の実施の形態3の技術を適用することが好ましい。
【0075】
以上、本発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0076】
その他、上記実施の形態に記載された内容の一部を以下に記載する。
【0077】
[付記1]
天板と、
その上端部が前記天板に取り付けられた加圧部材と、
平面視において前記加圧部材を囲むように、その上端部が前記天板に取り付けられた第1弾性体、第2弾性体、第3弾性体および第4弾性体と、
を備えた接合治具を用いた半導体装置の製造方法であって、
前記第1弾性体、前記第2弾性体、前記第3弾性体および前記第4弾性体の各々の下端部は、前記第1弾性体、前記第2弾性体、前記第3弾性体および前記第4弾性体の各々の前記上端部よりも、前記加圧部材の近くに位置し、
(a)上面と、前記上面と反対側の下面と、平面視における第1方向において互いに向き合う第1側面および第2側面と、平面視で前記第1方向と交差する第2方向において互いに向き合う第3側面および第4側面と、を有する半導体チップを用意する工程、
(b)配線基板上に焼結材を設ける工程、
(c)前記半導体チップの前記下面が前記焼結材に接触するように、前記焼結材上に前記半導体チップを搭載する工程、
(d)前記(c)工程後、平面視において前記加圧部材が前記半導体チップに重なるように、前記半導体チップの上方に前記接合治具を配置する工程、
(e)前記(d)工程後、前記接合治具を前記半導体チップに近づけることで、前記第1弾性体を前記第1側面および前記配線基板に密着させ、前記第2弾性体を前記第2側面および前記配線基板に密着させ、前記第3弾性体を前記第3側面および前記配線基板に密着させ、前記第4弾性体を前記第4側面および前記配線基板に密着させる工程、
(f)前記(e)工程後、前記接合治具を前記半導体チップに更に近づけ、前記半導体チップの前記上面を前記加圧部材によって加圧しながら、前記焼結材を加熱することで、少なくとも前記半導体チップの前記下面と前記配線基板との間に焼結層を形成する工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【0078】
[付記2]
付記1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程において、前記焼結層は、前記下面からはみ出し、前記第1側面、前記第2側面、前記第3側面または前記第4側面の一部または全部にも形成され、
前記下面からはみ出した前記焼結層の断面は、前記第1側面、前記第2側面、前記第3側面または前記第4側面から離れるに連れて前記焼結層の厚さが小さくなるように、裾広がりのテーパ形状を成す、半導体装置の製造方法。
【0079】
[付記3]
付記1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e)工程は、
(e6)前記接合治具を前記半導体チップに近づけることで、前記第1弾性体を前記配線基板に密着させ、前記第2弾性体を前記配線基板に密着させ、前記第3弾性体を前記配線基板に密着させ、前記第4弾性体を前記配線基板に密着させる工程、
(e7)前記(e6)工程後、前記接合治具を前記半導体チップに更に近づけることで、前記第1弾性体を撓ませながら前記第1弾性体を前記第1側面に密着させ、前記第2弾性体を撓ませながら前記第2弾性体を前記第2側面に密着させ、前記第3弾性体を撓ませながら前記第3弾性体を前記第3側面に密着させ、前記第4弾性体を撓ませながら前記第4弾性体を前記第4側面に密着させる工程、
を含む、半導体装置の製造方法。
【0080】
[付記4]
付記1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1弾性体、前記第2弾性体、前記第3弾性体および前記第4弾性体は、それぞれ、前記焼結材に含まれる金属材料よりも高い融点を有する材料によって構成されている、半導体装置の製造方法。
【0081】
[付記5]
天板と、
その上端部が前記天板に取り付けられた加圧部材と、
平面視において前記加圧部材を囲むように、その上端部が前記天板に取り付けられた第1弾性体、第2弾性体、第3弾性体および第4弾性体と、
を備え、
前記第1弾性体、前記第2弾性体、前記第3弾性体および前記第4弾性体の各々の下端部は、前記第1弾性体、前記第2弾性体、前記第3弾性体および前記第4弾性体の各々の前記上端部よりも、前記加圧部材の近くに位置している、接合治具。
【符号の説明】
【0082】
1 天板
2 加圧部材
4a 中心
4b、4c 四半円点
5 半導体チップ
6a 焼結材
6b 焼結層
7 配線基板
31~35 薄板
41~45 支持部材
81、82 弾性体
100 接合治具
200 半導体装置
BS 半導体チップの下面
SS1~SS4 半導体チップの側面
TS 半導体チップの上面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11