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特許7355737画像センサ及びディスプレイスクリーンが一体化されているデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】画像センサ及びディスプレイスクリーンが一体化されているデバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0354 20130101AFI20230926BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20230926BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230926BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20230926BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
G06F3/0354 453
G06F3/01 510
G09F9/00 309A
G09F9/00 313
G09F9/00 366A
G06T1/00 400G
G06T1/00 420B
G06F3/041 495
G06F3/041 470
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020526518
(86)(22)【出願日】2018-11-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 FR2018052788
(87)【国際公開番号】W WO2019097145
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-10-27
(31)【優先権主張番号】1760719
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513257535
【氏名又は名称】イソルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ブティノン,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】フェイ,リチュン
(72)【発明者】
【氏名】プシュカ,アガーテ
(72)【発明者】
【氏名】チャーブ,クェンティン
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ピエール
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-113309(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02458482(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2008/0084526(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0022495(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0220844(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02237104(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0354
G06F 3/01
G09F 9/00
G06T 1/00
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイスクリーン及び画像センサを備えたデバイスであって、
光を通す第1の電磁遮蔽層が、前記ディスプレイスクリーンのアクティヴ部分と前記画像センサのアクティヴ部分との間に配置されており、
前記画像センサは指紋センサであり、
前記第1の電磁遮蔽層は、前記デバイスの接地に連結されるように構成されていることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記デバイスの接地に連結されるように構成された第2の電磁遮蔽層が、前記画像センサと電子基板との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の電磁遮蔽層は、金属で形成され、10nm未満の厚さを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の電磁遮蔽層は、金で形成され、5nm未満の厚さを有していることを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1の電磁遮蔽層は、金属酸化物で形成され、100 μm未満の厚さを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1の電磁遮蔽層は、酸化インジウムスズ(ITO) で形成されていることを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1の電磁遮蔽層は、透明な導電性ポリマーで形成され、10μm未満の厚さを有していることを特徴とする請求項1~のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1の電磁遮蔽層は、PEDOT:PSS で形成されていることを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
透明なポリマーから形成された前記第1の電磁遮蔽層はフルプレートであることを特徴とする請求項7又は8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1の電磁遮蔽層に銀のナノワイヤ網が一体化されていることを特徴とする請求項1~のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1の電磁遮蔽層の表面積が、少なくとも前記ディスプレイスクリーンと前記画像センサとの間の対向表面積に相当することを特徴とする請求項1~10のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項12】
前記第1の電磁遮蔽層は、光学フィルタと前記ディスプレイスクリーンの支持体との間に配置されていることを特徴とする請求項1~11のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項13】
前記第1の電磁遮蔽層は、光学フィルタと前記画像センサの封止層との間に配置されていることを特徴とする請求項1~11のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1の電磁遮蔽層は、前記画像センサと前記ディスプレイスクリーンとの間に配置されている光学フィルタに一体化されていることを特徴とする請求項1~11のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項15】
請求項1~11のいずれか1つに記載のデバイスのためのディスプレイスクリーンであって、
前記第1の電磁遮蔽層は、前記ディスプレイスクリーンの絶縁性支持体と、前記ディスプレイスクリーンの部品を形成する基板との間に形成されていることを特徴とするディスプレイスクリーン。
【請求項16】
請求項1~11のいずれか1つに記載のデバイスのためのディスプレイスクリーンであって、
前記第1の電磁遮蔽層は、前記ディスプレイスクリーンの部品を形成する基板と、トランジスタを形成する半導体積層体から前記基板を分離するバッファ層との間に形成されていることを特徴とするディスプレイスクリーン。
【請求項17】
請求項1~11のいずれか1つに記載のデバイスのための画像センサであって、
前記第1の電磁遮蔽層は、前記画像センサのフォトダイオードの電極を画定している透明層と、前記透明層を覆っている封止層との間に形成されていることを特徴とする画像センサ。
【請求項18】
請求項15又は16に記載のディスプレイスクリーンを備えていることを特徴とする請求項1~11のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項19】
請求項17に記載の画像センサを備えていることを特徴とする請求項1~11のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項20】
請求項1~1418及び19のいずれか1つに記載のデバイスを少なくとも1つ備えていることを特徴とする携帯電話。
【請求項21】
請求項1~1418及び19のいずれか1つに記載のデバイスを少なくとも1つ備えていることを特徴とするスマートウォッチ。
【請求項22】
請求項1~1418及び19のいずれか1つに記載のデバイスを少なくとも1つ備えていることを特徴とするタッチパッド。
【請求項23】
請求項1~1418及び19のいずれか1つに記載のデバイスを少なくとも1つ備えていることを特徴とするコンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に電子デバイスに関し、より具体的にはディスプレイスクリーン及び画像センサを備えたデバイスに関する。本開示は、より具体的には画像センサが指紋センサ機能を有している電子デバイスに適用される。
【背景技術】
【0002】
多くのコンピュータ、タッチパッド、携帯電話、スマートウォッチは、タッチスクリーン又は非タッチスクリーンとカメラとを備えている。指紋センサを更に備えたこのタイプの多くのデバイスが更にある。このような指紋センサは、一般にディスプレイスクリーンが占める表面の外側に配置されている。
【0003】
更に最近では、ディスプレイスクリーンの外周部又はディスプレイスクリーンの下でも使用され得る紋様画像センサが導入されている。このような画像センサの技術が、例えば仏国特許出願公開第2996933 号明細書及び国際公開第2015/0293661 号パンフレット(B12003)の文献に記載されている。
【0004】
この技術の出現によって、電子デバイスにおいて画像センサの形態で形成された指紋センサをディスプレイスクリーンの下で一体化することが可能になった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
指紋センサ及びディスプレイスクリーンが一体化されたこのようなデバイスの形成を改良することが望ましい。
【0006】
欧州特許出願公開第2458482 号明細書の文献には、データラインを覆うEMI フィルタが読み出しラインとデータラインとの間に配置されている画素アレイが記載されている。EMI フィルタはワイヤメッシュを形成している。
【0007】
米国特許出願公開第2008/0084526 号明細書の文献には、遮蔽スクリーンを形成するメッシュ導体を備えたスクリーンが記載されている。
【0008】
実施形態は、ディスプレイスクリーンの下で指紋センサとして使用される画像センサを一体化する公知の技術の不利点の全て又は一部を減らす。
【0009】
実施形態は、ディスプレイスクリーンの全て又は一部の下での画像センサの一体化と適合する解決策を提供する。
【0010】
実施形態は、OLEDスクリーンに特に適合された解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、実施形態は、ディスプレイスクリーン及び画像センサを備えたデバイスであって、光を通す第1の電磁遮蔽層が、前記ディスプレイスクリーンのアクティヴ部分と前記画像センサのアクティヴ部分との間に配置されていることを特徴とするデバイスを提供する。
【0012】
実施形態によれば、前記画像センサは指紋センサである。
【0013】
実施形態によれば、前記第1の電磁遮蔽層は、前記デバイスの接地に連結、好ましくは接続されるように構成されている。
【0014】
実施形態によれば、前記デバイスの接地に連結、好ましくは接続されるように構成された第2の電磁遮蔽層が、前記画像センサと電子基板との間に配置されている。
【0015】
実施形態によれば、前記第1の電磁遮蔽層は、金属、好ましくは金で形成され、10nm未満、好ましくは5nm未満の厚さを有している。
【0016】
実施形態によれば、前記第1の電磁遮蔽層は、金属酸化物、好ましくは酸化インジウムスズ(ITO) で形成され、100 μm未満の厚さを有している。
【0017】
実施形態によれば、前記第1の電磁遮蔽層は、透明な導電性ポリマー、好ましくはPEDOT:PSS で形成され、10μm未満の厚さを有している。
【0018】
実施形態によれば、透明なポリマーから形成された前記第1の電磁遮蔽層はフルプレートである。
【0019】
実施形態によれば、前記第1の電磁遮蔽層に銀のナノワイヤ網が一体化されている。
【0020】
実施形態によれば、前記第1の電磁遮蔽層の表面積が、少なくとも前記ディスプレイスクリーンと前記画像センサとの間の対向表面積に相当する。
【0021】
実施形態によれば、前記第1の電磁遮蔽層は、光学フィルタと前記ディスプレイスクリーンの支持体との間に配置されている。
【0022】
実施形態によれば、前記第1の電磁遮蔽層は、光学フィルタと前記画像センサの封止層との間に配置されている。
【0023】
実施形態によれば、前記第1の電磁遮蔽層は、前記画像センサと前記ディスプレイスクリーンとの間に配置されている光学フィルタに一体化されている。
【0024】
実施形態は、前記第1の電磁遮蔽層が、ディスプレイスクリーンの絶縁性支持体と、前記ディスプレイスクリーンの部品を形成する基板との間に形成されていることを特徴とするディスプレイスクリーンを提供する。
【0025】
実施形態は、前記第1の電磁遮蔽層が、ディスプレイスクリーンの部品を形成する基板と、トランジスタを形成する半導体積層体から前記基板を分離するバッファ層との間に形成されていることを特徴とするディスプレイスクリーンを提供する。
【0026】
実施形態は、前記第1の電磁遮蔽層が、画像センサのフォトダイオードの電極を画定している透明層と、前記透明層を覆っている封止層との間に形成されていることを特徴とする画像センサを提供する。
【0027】
実施形態は、上述したようなデバイスを少なくとも1つ備えていることを特徴とする携帯電話を提供する。
【0028】
実施形態は、上述したようなデバイスを少なくとも1つ備えていることを特徴とするスマートウォッチを提供する。
【0029】
実施形態は、上述したようなデバイスを少なくとも1つ備えていることを特徴とするタッチパッドを提供する。
【0030】
実施形態は、上述したようなデバイスを少なくとも1つ備えていることを特徴とするコンピュータを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
前述及び他の特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明を限定するものではない実例として与えられる以下の特定の実施形態に詳細に記載されている。
【0032】
図1】画像センサがディスプレイスクリーンの後側で一体化されている電子デバイスの実施形態を示す断面略図である。
図2】OLEDタイプのディスプレイスクリーンの実施形態を概略的且つ部分的に示す断面図である。
図3】画像センサの実施形態を概略的且つ部分的に示す断面図である。
図4】スクリーン及び画像センサが一体化されている電子デバイスの実施形態を示す図である。
図5】スクリーン及び画像センサが一体化されている電子デバイスの別の実施形態を示す図である。
図6】スクリーン及び画像センサが一体化されている電子デバイスの別の実施形態を示す図である。
図7】スクリーン及び画像センサが一体化されている電子デバイスの別の実施形態を示す図である。
図8】スクリーン及び画像センサが一体化されている電子デバイスの別の実施形態を示す図である。
図9】スクリーン及び画像センサが一体化されている電子デバイスの別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
同一の要素は様々な図面において同一の参照番号で示されている。
【0034】
明瞭化のために、記載される実施形態の理解に有用な工程及び要素のみが示され詳述されている。特に、ディスプレイスクリーン及び指紋センサの動作は詳述されておらず、記載された実施形態は通常のスクリーン及びセンサと適合する。更に、ディスプレイスクリーン及び画像センサが一体化されている電子デバイスの他の部品も詳述されておらず、記載された実施形態は、ディスプレイスクリーンを備えた電子デバイスの通常の他の部品と適合する。
【0035】
特に示されていない場合、共に接続された2つの要素を参照するとき、これは、導体以外のいかなる中間要素も無しの直接接続を表し、共に連結された2つの要素を参照するとき、これは、これら2つの要素が接続され得るか、又は一若しくは複数の他の要素を介して連結され得ることを表す。
【0036】
以下の記載では、「略」、「約」及び「程度」という用語を参照するとき、これは10%の範囲内、好ましくは5%の範囲内を意味する。
【0037】
更に、以下の記載では、特に指定されていない場合、「高」、「低」、「左」、「右」などの絶対位置、若しくは「上方」、「下方」、「上側」、「下側」などの相対位置を限定する用語、又は「水平」、「垂直」などの向きを限定する用語を参照するとき、この用語は図面の向きを指す。
【0038】
ディスプレイスクリーン、例えば有機発光ダイオード(OLED)タイプのスクリーンは一般に、携帯電話、スマートウォッチ、タッチパッド、コンピュータのような電子デバイスの電子部品を支持する電子基板に置かれることにより、この電子デバイスに一体化される。そのため、銅の層が一般にスクリーンの裏側に置かれ、スクリーンと電子部品との間の電磁妨害を減らすために接地されている。
【0039】
銅の層の存在及び銅の層の位置は、ディスプレイスクリーンの下での画像センサの一体化に関する問題を引き起こす。この問題は、指紋センサのための画像センサの一体化にとって特に重大である。実際、スクリーンの動作によって、画像センサにより取り込まれる信号に高ノイズが発生する。画像センサの使用が求められている期間中、スクリーンをオフすることが考案されている。しかしながら、指紋センサに適用する場合、スクリーンのオンを維持してスクリーンに置かれた指を照らすことが好ましい。
【0040】
記載された実施形態によれば、光を画像センサまで通す性質を有する特定の遮蔽層がディスプレイスクリーンと指紋センサとの間に配置されている。電磁妨害を減らすために使用されて電子基板に支持されている層は保持されているが画像センサの下に配置されていることが好ましい。
【0041】
図1は、指紋センサがディスプレイスクリーンの後側で一体化されている電子デバイスの実施形態を示す断面略図である。
【0042】
簡略化して示されているこの実施形態によれば、電子デバイスは、外側(上面)から連続して、
- 好ましくはOLEDタイプのディスプレイスクリーン1 と、
- 電子デバイスの接地に電気的に連結、好ましくは接続されるように構成され、光を通す導電層3 と、
- 画像センサ5 と、
- 電子デバイスの用途の機能である様々な部品(不図示)を支持する電子基板7 と
を備えている。
【0043】
好ましくは銅で形成された導電層9 が画像センサ5 と電子基板7 との間に配置され、電子デバイスの接地に接続されていることが好ましい。典型的にスクリーンが電子基板より小さい場合、スクリーンは必ずしも電子基板の表面全体を覆わなくてもよい。(電子基板がスクリーンより小さい場合)反転が更に可能である。
【0044】
記載された実施形態は電子デバイスの要素の残り部分(筐体、ボタン、バッテリ、カメラなど)と適合するので、簡略化のために、これらの様々な要素は示されていない。
【0045】
導電層3 が設けられているため、スクリーン1 、特にスクリーン1 が有している電子回路から生じるノイズを減らす。導電層3 は、スクリーン1 のアクティヴ部分と画像センサ5 のアクティヴ部分との間の電磁遮蔽を行う機能を保証する。導電層3 が光を通す(導電層3 は好ましくは透明である)ので、導電層3 は画像センサ5 の動作を妨げない。導電層3 は、画像センサの(光を取り込む)アクティヴ要素とスクリーンの(スイッチングノイズを発生させる)電子部品との間に配置されている。
【0046】
導電層3 は、厚さ全体を過度に増大させることなく、好ましくはOLEDタイプのフラットスクリーンの下で一体化可能な指紋センサとの一体化と依然として適合すべく、厚さが好ましくは100 μm未満であり、より好ましくは数μm未満で十分薄い。
【0047】
導電層3 は、
- (10nm未満、好ましくは5nm未満の厚さを有して)十分薄く、この薄い厚さで遮蔽機能のために十分な伝導特性を維持しながら透明な金属、好ましくは金;金属酸化物、例えば酸化インジウムスズ(ITO) 、
- 10μm未満の厚さを有して、好ましくは本開示が目標とする画像センサの製造に既に使用されているという利点を有するPEDOT:PSS (ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)及びポリスチレンスルホン酸ナトリウムの混合物)の導電性ポリマー;銀のナノワイヤ網;又は、このような材料の組み合わせ(例えばPEDOT:PSS に埋め込まれた銀のナノワイヤ)
から選択された材料から形成されていることが好ましい。
【0048】
画像センサ5 のアクティヴレベルとスクリーン1 の電子レベルとの間に透明な導電層3 を有しているという特徴を考慮した複数の実施形態を以下に記載する。しかしながら、以下に記載するように、特にディスプレイスクリーン1 及び画像センサ5 を別々に形成して、その後、電子基板7 に置かれた画像センサ5 にディスプレイスクリーン1 を置く実施形態では、透明な導電層3 はディスプレイスクリーン1 又は画像センサ5 の様々なレベルに一体化されてもよい。
【0049】
図2は、OLEDタイプのディスプレイスクリーン1 の実施形態を概略的且つ部分的に示す断面図である。図2は1つの表示画素を示す。
【0050】
このようなスクリーン1 は一般に、
- 例えば透明なポリエチレンテレフタレート(PET) で形成された絶縁膜又は絶縁支持体から形成された後面部分又は裏面部分11と、
- 絶縁材料、例えばポリイミドで形成された(OLEDスクリーンのために一般に可撓性の)基板13と、
- 任意に、トランジスタのアクティヴレベルと下にある層11及び層13との間の(絶縁性)バッファ層15と、
- 各スクリーン画素の個々の制御トランジスタを形成する半導体積層体17であって、例として、ゲート導体171 、ゲート誘電体層173 、(例えばポリシリコン又はインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物(IGZO)で形成された)アクティヴ領域179 によって分離されたドレイン領域及びソース領域175 並びにパッシベーション層177 によって、図2に表されている半導体積層体17と、
- カソード195 で覆われたパッシベーション層193 内の画素化された放射領域191 によって図2に表されている、実際に放射を行う放射積層体19(半導体積層体17のドレイン層又はソース層175 が各画素のアノードを画定している)と、
- 透明な絶縁性封止層21と、
- (タッチスクリーンに設けられる)任意のタッチ層23と、
- 偏光フィルタ25と、
- 偏光フィルタ25に(接着層27を介して)接着されたガラス又はプラスチックのプレート29と
を連続して備えている。
【0051】
層11と層13との間の接着層、湿度及び酸素から有機層を保護する役割を果たす基板13のレベルでの多層バリアのような構造の製造に関連した層は示されておらず、示された構造は、スクリーンの主要な層を表している。更に、半導体積層体17の形成は単なる一例であり、トランジスタは有機トランジスタであってもよく、無機トランジスタであってもよく、例えばアモルファスシリコン、金属酸化物、例えばインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物(IGZO)、ポリシリコン、例えば低温ポリシリコン(LTPS)などから構成されているトランジスタであってもよい。
【0052】
図2の形成は一例であり、記載された実施形態を実施するために、OLEDに関わらず他の通常のスクリーン構造を使用してもよい。
【0053】
図3は、画像センサ5 の実施形態を概略的且つ部分的に示す断面図である。上記の刊行物に記載されているような有機材料から構成されたセンサの場合を対象とする。図3は、画像センサの1つの画素を示す。
【0054】
このようなセンサ5 は一般に、
- 例えば剛性のセンサの場合にはガラスで形成され、可撓性のセンサの場合、特にセンサ5 が印刷製造技術によって製造されるときにはポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET) 、ポリエチレンナフタレート(PEN) 若しくはシクロオレフィンポリマー(COP) 又は別のポリマーで形成された基板51;トランジスタから形成されたセンサのアクティヴ積層体53(ゲート531 、ゲート誘電体533 、アクティヴ領域535 、ソース537 、ドレイン539 )であって、アクティヴ領域535 が、例えばアモルファスシリコン、金属酸化物、例えばインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物(IGZO)、ポリシリコン、例えば低温ポリシリコン(LTPS)から構成されているか、又はトランジスタが有機薄膜トランジスタ(OTFT)であるアクティヴ積層体53;一般にトランジスタのドレイン539 に連結されたフォトダイオードの第1の裏側電極の層57からアクティヴ積層体53を絶縁する誘電体層55;フォトダイオードを形成する半導体有機材料の層59と、
- フォトダイオードの第2の電極の透明層61と、
- 封止層62と、
- 好ましくは画像センサの励起信号を角度的に選択する光学フィルタを形成する層63と
を連続して備えている。
【0055】
実際には、接着層が、透明層61と封止層62との間、及び封止層62と層63との間に設けられている。
【0056】
図3の形成は一例であり、記載された実施形態を実施するために他の画像センサの構造を使用してもよい。特に、光学フィルタ63は画像センサ5 とは別に形成されてもよい。
【0057】
図2及び図3は、それ自体通常の動作であって詳述されない動作を行うスクリーン及び画像センサの構造を概略的に示す。
【0058】
接地された透明な導電層3 が、スクリーン及び画像センサの積み重ねられた構造の様々なレベルに設けられてもよい。
【0059】
図4図5図6図7及び図8は、積層体の配置に応じた導電層3 の様々な実施形態を示す。これらの図面は、スクリーン及び画像センサに関する図2及び図3に示された構造を特定の実施形態として示す。これらの構造の図示された層は、簡略化のために、図2又は図3の様々な層を含み、それらの参照番号が割り当てられている単一の層によって表されている。これら全ての実施形態で、画像センサ(画像センサの基板51の下)と電子基板7 との間の、好ましくは銅で形成された追加の金属の遮蔽層9 の存在が想定されている。
【0060】
図4は、スクリーン1 及び画像センサ5 が一体化されている電子デバイスの実施形態を示す。
【0061】
実施形態によれば、接地された透明な導電層3 が、スクリーン1 の透明なPET 層11と光学フィルタ63との間に設けられている。そのため、導電層3 の形成は、スクリーン1 の製造工程、及び光学フィルタ63がセンサ5 と共に形成される場合のセンサ5 の製造工程又は光学フィルタ63の製造工程の一部を形成してもよい。
【0062】
図5は、スクリーン1 及び画像センサ5 が一体化されている電子デバイスの別の実施形態を示す。
【0063】
この実施形態によれば、接地された透明な導電層3 が、スクリーン1 の絶縁性支持体11と、スクリーンの部品を形成する透明な可撓性の基板13との間に形成されている。
【0064】
図6は、スクリーン及び画像センサが一体化されている電子デバイスの別の実施形態を示す。
【0065】
この実施形態によれば、接地された透明な導電層3 が基板13とバッファ層15との間に形成されている。
【0066】
図7は、スクリーン1 及び画像センサ5 が一体化されている電子デバイスの別の実施形態を示す。
【0067】
この実施形態によれば、接地された透明な導電層3 が、画像センサ5 の封止層62と光学フィルタ63との間に配置されている。
【0068】
そのため、特に単純な実施形態では、画像センサの封止層62をPEDOT:PSS 層3 で覆う。本開示によってより具体的に目標とする技術では、画像センサの製造方法はPEDOT:PSS 堆積工程を既に実施している。
【0069】
変形例として、導電層3 の形成は、光学フィルタ63が画像センサ5 とは別に形成される場合には光学フィルタ63を製造する方法の一部を形成する。
【0070】
図8は、スクリーン1 及び画像センサ5 が一体化されている電子デバイスの別の実施形態を示す。
【0071】
この実施形態によれば、接地された透明な導電層3 が、フォトダイオードの電極の層61と画像センサ5 の封止層62との間に形成されている。
【0072】
上記の実施形態が何であれ、遮蔽層3 の接地の設定を、ディスプレイスクリーン1 のレベル、画像センサ5 のレベル及び/又は電子基板7 のレベルでの接地への接続によって行ってもよい。
【0073】
図9は、スクリーン1 、光学フィルタ63及び画像センサ5 が一体化されている電子デバイスの更に別の実施形態を示す。
【0074】
この実施形態によれば、接地された透明な導電層3 が、光学フィルタ63の構造に埋め込まれることにより光学フィルタ63の一部を形成している。例えば、導電性メッシュを含む光学フィルタ63の場合、導電性メッシュは遮蔽層3 を形成すべく接地されている。
【0075】
遮蔽層3 の表面が少なくともスクリーン1 に対向するセンサ5 を覆うならば、遮蔽層3 がスクリーン1 の表面積より小さい表面積を占めてもよいことに注目すべきである。従って、遮蔽層3 の表面積は、画像センサ5 とスクリーン1 との間の領域を覆う限り、画像センサ5 の表面積及び/又はスクリーン1 の表面積と異なってもよい。
【0076】
遮蔽層3 が透明なポリマー、好ましくはPEDOT:PSS で形成された好ましい実施形態によれば、この遮蔽層3 が、画素パターンを懸念することなくフルプレートの堆積を可能にするという特性を利用する。このため、特定のエッチングマスクを設ける必要がないので、遮蔽層の形成が著しく簡略化される。このような実施形態は、網状の遮蔽構造が画像センサの信号対ノイズ比を低下させる危険がある指紋センサの形成との関連で特に有利である。
【0077】
記載された実施形態の利点は、このような実施形態がスクリーン1 及び画像センサ5 を製造する通常の技術と適合するということである。特に、遮蔽層3 の挿入は、スクリーンの製造方法(図5又は図6)であれ、画像センサの製造方法(図7又は図8)であれ、又はスクリーンと画像センサとの間(図4)であれ、スクリーン及び画像センサのアクティブ領域を変更しない。
【0078】
記載された実施形態の別の利点は、このような実施形態がセンサ/スクリーン集合体と電子基板との間を遮蔽する銅の使用と依然として適合するということである。
【0079】
特定の実施形態として、透明な導電性ITO の遮蔽層3 が介在して画像センサ5 及びディスプレイスクリーン1 が一体化されているデバイスが、図4の実施形態に従って形成されている(遮蔽層3 が光学フィルタ63と支持体11との間に配置されている)。遮蔽層3 は、電子スクリーンを駆動する回路の接地(層17の回路の接地)と(電子基板7 の接地に接続された)電子センサの読み出し回路の接地とに連結されている。白色画像をスクリーンに表示することにより測定を行い、ノイズ及び信号対ノイズ比の測定を、遮蔽層有り及び遮蔽層無しで、黒色の対象及びスクリーンに置かれた反射する対象に関してセンサのレベルで行った。測定結果により、ノイズの17%程度の減少、及び信号対ノイズ比の1dBを超える改善が示された。このような結果は、ノイズの減少又は信号対ノイズ比の改善の観点でほんの僅かな改善が著しい進展であるため、画像センサ、特に指紋センサにとって重要である。
【0080】
様々な実施形態が述べられている。様々な変更が当業者に想起される。特に、実施形態の選択、特にスクリーン1 の側又は画像センサ5 の側での遮蔽層3 の一体化の選択は、用途と、デバイスの製造に関わる他の工程の可能性とに応じて決められる。遮蔽層3 は、ディスプレイスクリーン1 のアクティヴ部分と画像センサ5 のアクティヴ部分との間に配置されている限り、様々な位置に配置されてもよい。更に、記載されている実施形態の実際の実施は、上述されている機能的な表示を使用して、現在のOLEDスクリーン及び有機画像センサの製造技術を使用することにより、当業者の技能の範囲内である。
【0081】
本特許出願は、参照によって本明細書に組み込まれる仏国特許出願第17/60719 号明細書の優先権を主張している。
図1
図2
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図7
図8
図9