(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】細胞活性状態を調節することにより免疫細胞の炎症状態をインビボで変更すること
(51)【国際特許分類】
A61K 48/00 20060101AFI20230926BHJP
A61K 31/711 20060101ALI20230926BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20230926BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230926BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20230926BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230926BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230926BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230926BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230926BHJP
A61K 38/17 20060101ALN20230926BHJP
A61K 38/45 20060101ALN20230926BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20230926BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20230926BHJP
C12N 15/54 20060101ALN20230926BHJP
【FI】
A61K48/00
A61K31/711 ZNA
A61K9/51
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61P15/00
A61P25/00
A61P11/00
A61K39/00 H
A61K45/00
A61K47/34
A61K47/36
A61K47/68
A61K38/17
A61K38/45
C12N15/11 Z
C12N15/12
C12N15/54
(21)【出願番号】P 2020539806
(86)(22)【出願日】2019-01-18
(86)【国際出願番号】 US2019014209
(87)【国際公開番号】W WO2019143948
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2022-01-17
(32)【優先日】2018-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522256406
【氏名又は名称】フレッド ハッチンソン キャンサー センター
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン,マティーアス
【審査官】佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/081459(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/093258(WO,A1)
【文献】PNAS, 2014, Vol.111, No.49, pp.17432-17437
【文献】PLoS ONE, 2012, Vol.7, Issue.3, Article No.e33098, pp.1-12
【文献】Mol. Pharm., 2013, Vol.10, No.9, pp.3525-3530, Author Manuscript, avalable in PMC, 2014.09.03
【文献】Nature Communications, 2017.08.30, Vol.8, Article No.389, pp.1-13
【文献】Arterioscler Thromb. Vasc. Biol., 2013, Vol.33, pp.1478-1483
【文献】Int. J. Mol. Sci., 2017, Vol.18, No.336, pp.1-13
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 48/00
A61K 39/00-39/44
A61K 38/00-38/58
A61K 45/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
C12N 15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターフェロン制御因子
5(IRF
5)をコードするポリヌクレオチドを含むナノ粒子を含む、免疫細胞の活性状態をインビボで変更
し、それにより腫瘍を治療するための医薬組成物
であって、
ナノ粒子が、IKKβをコードするポリヌクレオチドをさらに含み、及び
免疫細胞が腫瘍関連マクロファージ(TAMs)を含む、
腫瘍を治療するための医薬組成物。
【請求項2】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
活性状態が不活性化状態から活性化状態に変更される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
コードされたIRF
5が
、
配列番号1、2、3、4、5、6もしくは7で表される配列、又は配列番号1、2、3、4、5、6もしくは7で表される配列に90%、95%又は98%よりも大きな同一性を有する配列を有するIRF5
である、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
IRF5が、
S156D、S158D及び/又はT160Dの突然変異を含む配列番号1、
S156D、S158D及び/又はT160Dの突然変異を含む配列番号3、
T10D、S158D、S309D、S317D、S451D、及び/又はS462Dの突然変異を含む配列番号2、又は
S425D、S427D、S430D、及び/又はS436Dの突然変異を含む配列番号4で表される配列を有する、
請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
コードされたIKKβが、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21もしくは配列番号22で表される配列、又は配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21もしくは配列番号22で表される配列に90%、95%、又は98%よりも大きな同一性を有する配列を有する、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
ポリヌクレオチドが、
配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29
、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43若しくは配列番号44で表される配列、又は
配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29
、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43若しくは配列番号44で表される配列に90%、95%、又は98%よりも大きな同一性を有する配列を有する、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項8】
1つ以上のIRF及びIKKβをコードするポリヌクレオチドが、同じナノ粒子にカプセル化されるか、又は異なるナノ粒子にカプセル化される、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
ナノ粒子が、p53、RB、BRCA1、E1A、bcl-2、MDR-1、p21、p16、bax、bcl-xs、E2F、IGF-I VEGF、アンジオスタチン、オンコスタチン、エンドスタチン、GM-CSF、IL-12、IL-2、IL-4、IL-7、IFN-γ、TNFα及び/又はHSV-tkを含む抗がん遺伝子をコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
腫瘍が、卵巣がん腫瘍、神経膠芽腫腫瘍、又は転移性肺がん腫瘍である、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
ナノ粒子が、ナノ粒子上のコーティングに結合したターゲティングリガンドをさらに含み、該ターゲティングリガンドがCD206、CD163、又はCD23に結合する、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項12】
ナノ粒子が、ナノ粒子上のコーティングに結合したジマンノースをさらに含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項13】
がんワクチン、キメラ抗原受容体(CAR)免疫療法、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、シグナル伝達阻害剤、遺伝子発現調節剤、アポトーシス誘導剤、血管新生阻害剤、又は毒性分子を送達するモノクローナル抗体と組み合わせて用いられる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
ナノ粒子が、正電荷ポリ(β)アミノエステル(PBAE)コア、星型ポリマー、ポリグルタミン酸コーティング、ヒアルロン酸コーティング、及び/又はリポソームを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
ナノ粒子が正電荷PBAEコアを含み、ポリヌクレオチドが正電荷PBAEコア内にカプセル化される、請求項
14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
ナノ粒子の直径が、<130nmである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項17】
ポリヌクレオチドが、インビトロ転写されたmRNAを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項18】
コードされたIRF
5が機能的自己阻害ドメインを欠く、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項19】
コードされたIRF
5が機能的核外移行シグナル(NES)を欠く、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項20】
局所的投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項21】
腹腔内又は頭蓋内投与される、請求項
20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
全身投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年1月18日提出の米国特許仮出願第62/618,908号の優先権の利益を主張し、前記特許文献はこれによって参照によりその全体をあたかも本明細書で完全に記述されるかのように組み込む。
【0002】
配列表に関する陳述
本出願に関連する配列表はハードコピーの代わりにテキスト形式で提供され、これにより参照によって本明細書に組み込む。配列表を含有するテキストファイルの名称は、18-073-WO-PCT配列表_ST25.txt.である。テキストファイルは145kbで、2019年1月14日に作成され、EFS-ウェブを経て電子的に提出されている。
【0003】
本開示は、免疫細胞の活性状態(activation state)をインビボで調節するシステム及び方法を提供する。このシステム及び方法を使用すれば、がん成長及び転移を支援する免疫抑制マクロファージを高度に活性化された殺腫瘍性マクロファージに変換することができる。
【背景技術】
【0004】
いくつかの有害な生理的条件が免疫系活性化(例えば、自己免疫障害)又は免疫系抑制(例えば、がん)と関連している。例えば、マクロファージはがん組織に多数浸潤する重要な免疫エフェクター細胞である。しかし、腫瘍微小環境において、マクロファージは活性化殺腫瘍性状態から、実際に腫瘍成長及び転移を促進する免疫抑制表現型への切り替えを受ける。Pollard、Nat Rev Cancer 4、71~78頁(2004);Mantovaniら、Nat Rev Clin Oncol(2017)。
【0005】
腫瘍微小環境内の免疫抑制されたマクロファージががん成長及び転移を促進することを理解すると、免疫抑制腫瘍関連マクロファージ(TAM)を標的にする療法を開発することに多くの努力が捧げられてきた。TAMに取り組む数多くの努力は、TAMを殺滅して腫瘍微小環境において免疫抑制を緩和することに焦点を合わせてきた。しかし、このアプローチを用いると、TAMは腫瘍微小環境において新たに到着したマクロファージに取って代わられるだけである。さらに、一部のTAMを殺滅することに成功した場合でも、現在までに開発された大半の治療薬は、腫瘍微小環境中に十分に浸透することができずにいた。一部の小分子薬物及び抗体はある程度の成功を見せてきたが、これらのアプローチは、危険な副作用を含めて身体においてすべてのマクロファージを抑制してきた。Bowman&Joyce、Immunotherapy 6、663~666頁(2014)。したがって、がんに冒されたすべての人が理解しているように、副作用がより少ないより効果的な処置戦略が大いに必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Pollard、Nat Rev Cancer 4、71~78頁(2004)
【文献】Mantovaniら、Nat Rev Clin Oncol(2017)
【文献】Bowman&Joyce、Immunotherapy 6、663~666頁(2014)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は免疫細胞の機能をインビボで調節するシステム及び方法を提供する。特定の実施形態において、このシステム及び方法を使用して、腫瘍関連マクロファージ(TAM)の免疫抑制腫瘍支援状態を逆転させて、これらのTAMを高度に活性化された腫瘍細胞を殺滅するマクロファージに変える。したがって、本明細書で開示されるシステム及び方法は、単にTAMを殺滅することを狙いとするのではなく、代わりにその活性を腫瘍促進から腫瘍破壊に向け直すことである。特定の実施形態において、このシステム及び方法は、がん細胞の殺滅を誘導し及び/又は新しいがん細胞の成長若しくは発生を減少する若しくは予防するための治療法として使用される。本明細書に開示されるデータから、これらのシステム及び方法が、制御するのが悪名高いほど困難であるがんタイプである卵巣がんを完全に根絶し抑制することができることが明らかにされる。
【0008】
本明細書に開示されるシステム及び方法を使用すれば、腫瘍における免疫抑制状態を変更し、腫瘍微小環境を再構築する機構を提供することができる。これらの実施形態において、再構築された腫瘍微小環境は、腫瘍を、ワクチン、キメラ抗原受容体(CAR)療法、及び/又は化学療法などの、コンパニオン処置にさらに感受性にすることができる。
【0009】
重要なことに、本明細書に開示されるシステム及び方法は、腫瘍微小環境で局所的に使用して、免疫系ホメオスタシスを全体的に破壊する全身処置に頼る必要性をなくすことができる。さらに、特定の実施形態は、腫瘍微小環境に成功裏に浸潤するように最適化されてきた。
【0010】
特定の実施形態は、転写因子などの活性化制御因子をコードするヌクレオチドを送達する粒子を利用することにより免疫細胞の活性状態をインビボで変更する。特定の有用な粒子は、正電荷の核及び中性又は負電荷表面を有し、転写因子インターフェロン制御因子(IRF5)をキナーゼIKKβと組み合わせてコードするヌクレオチドを送達する。<130nmの特定のサイズは腫瘍浸潤を保証する。さらに、粒子は、TAMによる粒子のさらに選択的な取込みを指示するTAMターゲティングリガンドを含むことができる。一例として、TAMは細胞表面受容体であるCD206を発現しており、この受容体を粒子の表面上にマンノースを含むことにより標的にすることができる。
【0011】
本明細書に提出される図の多くはカラーであればよりよく理解される。出願は元の提出物の一部として図のカラー版を検討し、後の手続きにおいて図のカラー画像を提示する権利を保留する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】標的化されたmRNAナノ粒子を使用して腫瘍関連マクロファージ(TAM)を殺腫瘍性細胞に遺伝的に変換する模式図。(
図1A)全身毒性を引き起こすことなく治療目的でTAMを合理的に再プログラムする新しい方法としてM1極性化転写因子をコードするインビトロで転写されたmRNAを送達するための注射可能なナノ粒子が開発された。mRNAナノ粒子の繰り返される腹腔内注入を用いて卵巣がん患者を処置するように設計され、初めて計画された臨床適用が図解されている。
【
図1B】標的化されたmRNAナノ粒子を使用して腫瘍関連マクロファージ(TAM)を殺腫瘍性細胞に遺伝的に変換する模式図。(
図1B)標的化されたmRNAナノ粒子を使用して脳内TAMを殺腫瘍性マクロファージに遺伝的に再プログラムする模式図。
【
図2A】IRF5及びIKKβをコードするmRNAを担持するナノ粒子は、炎症性M1様表現型を刷り込むことができる。(
図2A)マクロファージ極性化の重要な制御因子をコードするmRNAを用いて組み立てられたマクロファージ標的化ポリマーNPの設計。粒子は、PGA-ジマンノースの層で被覆されたPbAE-mRNAポリプレックスコアからなり、PGA-ジマンノースは粒子をM2様マクロファージにより発現される標的マンノース受容体(CD206)に向ける。NPにカプセル化された合成mRNAも描かれており、この合成mRNAは再プログラミング転写因子をコードするように操作されている。
【
図2B】IRF5及びIKKβをコードするmRNAを担持するナノ粒子は、炎症性M1様表現型を刷り込むことができる。(
図2B)NPの集団(スケールバー200nm)及び単一NP(挿入図、スケールバー50nm)の透過型電子顕微鏡。
【
図2C】IRF5及びIKKβをコードするmRNAを担持するナノ粒子は、炎症性M1様表現型を刷り込むことができる。(
図2C)NPのサイズ分布、NanoSight NS300装置を使用して測定。
【
図2D】IRF5及びIKKβをコードするmRNAを担持するナノ粒子は、炎症性M1様表現型を刷り込むことができる。(
図2D)NPは、1時間曝露後骨髄由来マクロファージ(BMDM)の高トランスフェクション(46%)を示した。
【
図2E】ナIRF5及びIKKβをコードするmRNAを担持するナノ粒子は、炎症性M1様表現型を刷り込むことができる。(
図2E)ノ粒子トランスフェクションの24時間後フローサイトメトリーにより測定された骨髄由来マクロファージ(BMDM)中への遺伝子移入効率。
【
図2F】IRF5及びIKKβをコードするmRNAを担持するナノ粒子は、炎症性M1様表現型を刷り込むことができる。(
図2F)NPトランスフェクトされた及び非トラスフェクトマクロファージの相対的生存率(Annexin V及びPIを用いて染色することにより評価した)。N.s.;有意でない。
【
図2G】IRF5及びIKKβをコードするmRNAを担持するナノ粒子は、炎症性M1様表現型を刷り込むことができる。(
図2G)qRT-PCRにより測定したコドン最適化IRF5 mRNA(青色、左Y軸)及び内在性IRF5 mRNA(黒色、右Y軸)の発現動態。時点ごとにn=3。
【
図2H】IRF5及びIKKβをコードするmRNAを担持するナノ粒子は、炎症性M1様表現型を刷り込むことができる。(
図2H)NPトランスフェクションプロトコール及び
図2I~2Kで使用されるBMDMの培養条件を描くタイムライン。
【
図2I】IRF5及びIKKβをコードするmRNAを担持するナノ粒子は、炎症性M1様表現型を刷り込むことができる。(
図2I)Toll様受容体6アゴニストMPLAで刺激されたシグネチャーM1細胞と比べたIRF5/IKKβ NP-トランスフェクトされたマクロファージの遺伝子発現プロファイル。結果は、遺伝子発現における倍率変化の分布を示す火山プロットとして描かれている。M1シグネチャー遺伝子が示されている。IRF5/IKKβ NP-トランスフェクトされたマクロファージとM1シグネチャー遺伝子セットの間の重複のP値はGSEAにより決定した。
【
図2J】IRF5及びIKKβをコードするmRNAを担持するナノ粒子は、炎症性M1様表現型を刷り込むことができる。(
図2J)IL-4において培養されたマクロファージ対IL-4において培養されIRF5/IKKβ NPをトランスフェクトされた細胞でのM1シグネチャー遺伝子発現のヒートマップ。
【
図2K】IRF5及びIKKβをコードするmRNAを担持するナノ粒子は、炎症性M1様表現型を刷り込むことができる。(
図2K)指示された遺伝子についての平均カウント及びS.E.Mを示す箱ひげ図。
【
図3】マウスマクロファージの表現型に対するインターフェロン制御因子(IRF)ファミリーの異なるメンバー(その活性化キナーゼと組み合わせて又はなしで送達される)の効果のインビトロスクリーニング。C57BL/6由来のBMDMをM-CSF条件付け培地でインキュベートし、(1)対照GFP、(2)マウスIRF5、(3)IRF5をリン酸化するマウスIRF5及びIKKβキナーゼ、(4)マウスIRF8及びIKKβキナーゼ、(5)Lys-310からArg(K310R)変換したIRF8の突然変異体であるマウスIRF8 K310R(Whiteら、J Biol Chem.2016年6月24日)、又は(6)マウスIRF7/3(5D)をコードする、合成mRNAを担持するmRNA-PBAE NPで、トランスフェクトした。この融合タンパク質は、IRF-7のDNA結合ドメイン(DBD)及び構成的活性ドメイン(CAD)並びにIRF3の核外移行シグナル(NES)及びIRF会合ドメインを含む(Linら、Molecular and Cellular Biology.18.5、1998年)。NPトランスフェクションの2日後、細胞を、TAM関連マクロファージマーカーEgr2及び活性化マクロファージマーカーCD38についてのフローサイトメトリー分析のために収集した。このインビトロスクリーニングに基づいて、mIRF5及びIKKβキナーゼをコードするmRNAを同時送達するNPを、本明細書に記載される残りのインビトロ及び治療インビボ実験のために選択した。
【
図4A】IRF5及びIKKβ遺伝子をマクロファージ中に送達するmRNAナノ担体を繰り返し腹腔内に注入すると、播種性卵巣がんを抱えたマウスの平均生存期間が2倍を超える。(
図4A)タイムライン及び投与計画。矢印は、I.P.注射の時間を示している。
【
図4B】IRF5及びIKKβ遺伝子をマクロファージ中に送達するmRNAナノ担体を繰り返し腹腔内に注入すると、播種性卵巣がんを抱えたマウスの平均生存期間が2倍を超える。(
図4B)対照及び処置マウスにおける腫瘍成長の連続生物発光イメージング。
【
図4C】IRF5及びIKKβ遺伝子をマクロファージ中に送達するmRNAナノ担体を繰り返し腹腔内に注入すると、播種性卵巣がんを抱えたマウスの平均生存期間が2倍を超える。(
図4C)処置対対照マウスについてのカプラン・マイヤー生存曲線。統計解析は対数順位検定を使用して実施した。
【
図4D】IRF5及びIKKβ遺伝子をマクロファージ中に送達するmRNAナノ担体を繰り返し腹腔内に注入すると、播種性卵巣がんを抱えたマウスの平均生存期間が2倍を超える。(
図4D)対照としてGFP mRNAを担持するD-マンノース被覆NPの単回i.p.投与の48時間後、異なる免疫細胞亜集団におけるインビボトランスフェクション率のフローサイトメトリー定量化:マクロファージ(CD45+、CD11b+、MHCII+、CD11c-、Ly6C-/low、Ly6G-)、単球(CD45+、CD11b+、MHCII+、CD11c-、Ly6C+、Ly6G-)、好中球(CD45+、CD11b+、MHCII+、CD11c-、Ly6G+)、CD4+T細胞(CD45+、TCR-β鎖+、CD4+、CD8-)、CD8+T細胞(CD45+、TCR-β鎖+、CD4-、CD8+)、及びナチュラルキラー細胞(CD45+、TCR-β鎖-、CD49b+)を測定した。
【
図4E】IRF5及びIKKβ遺伝子をマクロファージ中に送達するmRNAナノ担体を繰り返し腹腔内に注入すると、播種性卵巣がんを抱えたマウスの平均生存期間が2倍を超える。(
図4E)播種性ID8卵巣がんを抱えたマウスの腹膜におけるマクロファージ表現型のフローサイトメトリー分析。動物は、IRF5/IKKβ NPの4回投与又はPBSで処置した。
【
図4F】IRF5及びIKKβ遺伝子をマクロファージ中に送達するmRNAナノ担体を繰り返し腹腔内に注入すると、播種性卵巣がんを抱えたマウスの平均生存期間が2倍を超える。(
図4F)Ly6C-、F4/80+、及びCD206+(M2様)マクロファージの相対的パーセント(左パネル)及び絶対数(右パネル)をまとめる箱ひげ図。
【
図4G】IRF5及びIKKβ遺伝子をマクロファージ中に送達するmRNAナノ担体を繰り返し腹腔内に注入すると、播種性卵巣がんを抱えたマウスの平均生存期間が2倍を超える。(
図4G)Ly6C-、F4/80+、及びCD206-(M1様)マクロファージについての対応する数。
【
図4H】IRF5及びIKKβ遺伝子をマクロファージ中に送達するmRNAナノ担体を繰り返し腹腔内に注入すると、播種性卵巣がんを抱えたマウスの平均生存期間が2倍を超える。(
図4H)PBS対照(上パネル)又はIRF5/IKKβ NP処置動物(下パネル;スケールバー100μm)から単離した卵巣腫瘍浸潤腸間膜の代表的ヘマトキシリン及びエオシン染色切片。代表的悪性病変の10倍拡大図が右側に示されている(スケールバー50μm)。
【
図4I】IRF5及びIKKβ遺伝子をマクロファージ中に送達するmRNAナノ担体を繰り返し腹腔内に注入すると、播種性卵巣がんを抱えたマウスの平均生存期間が2倍を超える。(
図4I)それぞれの処置群から単離した腹膜マクロファージにより産生されたサイトカインを測定するLuminexアッセイ。CD11b+、F4/80+腹膜マクロファージは蛍光活性化細胞選別により単離し、エクスビボで培養した。24時間後、細胞培養上澄みを収集した。パラレル実験において、FACS選別CD11b+、F4/80+腹膜マクロファージはpRT-PCRにより直接分析して、マクロファージ表現型の4つの主要制御因子(セルピンB2、Retnla、Ccl11、及びCcl5)の発現レベルを決定した。
【
図4J】IRF5及びIKKβ遺伝子をマクロファージ中に送達するmRNAナノ担体を繰り返し腹腔内に注入すると、播種性卵巣がんを抱えたマウスの平均生存期間が2倍を超える。(
図4I)それぞれの処置群から単離した腹膜マクロファージにより産生されたサイトカインを測定するLuminexアッセイ。CD11b+、F4/80+腹膜マクロファージは蛍光活性化細胞選別により単離し、エクスビボで培養した。24時間後、細胞培養上澄みを収集した。パラレル実験において、FACS選別CD11b+、F4/80+腹膜マクロファージはpRT-PCRにより直接分析して、マクロファージ表現型の4つの主要制御因子(セルピンB2、Retnla、Ccl11、及びCcl5)の発現レベルを決定した。その結果を、
図4Jに箱ひげ図としてまとめている。
【
図5A】マクロファージプログラミングmRNAナノ担体は高度に生体適合性であり繰り返し投与が安全である。(
図5A)i.p.投与に続くマクロファージ標的化IRF5/IKKβ NPのインビボ生体内分布。NP-送達された(コドン最適化)mRNAは、50μgのmRNAを含有する粒子の単回注射の24時間後qPCRにより検出した。
【
図5B】マクロファージプログラミングmRNAナノ担体は高度に生体適合性であり繰り返し投与が安全である。(
図5B)実験タイムラインの模式図。最後の投与の
*24時間後、マウスはCO
2吸入により安楽死させた。血液は、血清化学及び全血球計算のために後眼窩出血を通じてヘパリン被覆チューブ中に収集した。死体解剖は、肝臓、脾臓、膵臓、腸間膜及び網、胃、並びに膀胱の組織学的分析のために実施した。
【
図5C】マクロファージプログラミングmRNAナノ担体は高度に生体適合性であり繰り返し投与が安全である。(
図5C)対照又はNP処置動物から単離された種々の臓器の代表的なヘマトキシリン及びエオシン染色切片。スケールバー、100μm。NP処置動物において見出された病変は比較病理医による分析に基づいて示されここに記載されている。番号が付いた画像ごとに関連する所見は、[1]少数の顆粒球と混ざり合った単核細胞で大部分構成された細胞浸潤物の別々の病巣;軽い骨髄外造血発生。[2]少数の局所的広い領域において、肝細胞は軽度から中等度に腫大している。[3]赤色髄内の中等度の骨髄性(優勢な)、赤血球及び巨大核細胞過形成。[4]白色髄の軽い低細胞性。[5]腸間膜内において、マクロファージ、リンパ球、血漿細胞及び顆粒球の中等度の多巣性浸潤物が存在する。[6]リンパ球、血漿細胞及び顆粒球と混ざり合ったマクロファージの軽度から中等度浸潤物;腺房の軽度の解離及び腺房消失;腺房細胞からのチモーゲン顆粒の軽度のびまん性消失。[7]脂肪組織周辺のマクロファージと混ざり合ったリンパ球の濃い凝集体。[8]胃粘膜内の主及び壁細胞の軽度の多巣性空胞変性。
【
図5D】マクロファージプログラミングmRNAナノ担体は高度に生体適合性であり繰り返し投与が安全である。(
図5D)血清化学及び血球数。
【
図5E】マクロファージプログラミングmRNAナノ担体は高度に生体適合性であり繰り返し投与が安全である。(
図5E)IRF5/IKKβ NPの単回i.p.注射の4又は8日後の血清IL-6サイトカインのLuminexアッセイ測定。
【
図5F】マクロファージプログラミングmRNAナノ担体は高度に生体適合性であり繰り返し投与が安全である。(
図5F)IRF5/IKKβ NPの単回i.p.注射の4又は8日後の血清TNF-αサイトカインのLuminexアッセイ測定。
【
図6A】静脈内注入されたIRF5/IKKβナノ粒子は、肺において腫瘍転移を制御することができる。(
図6A)i.v.投与に続くマクロファージ標的化IRF5/IKKβ NPのインビボ生体内分布。コドン最適化mRNAは、50μgのmRNAを含有する粒子の単回i.v.注射の24時間後にqPCRにより測定した。
【
図6B】静脈内注入されたIRF5/IKKβナノ粒子は、肺において腫瘍転移を制御することができる。C57BL/6アルビノマウスに尾部静脈を経て1×10
6のB16F10ホタルルシフェラーゼ発現メラノーマ細胞を注射して、肺転移を確立した。7日後、動物は、IRF5/IKKβ NP処置群、対照GFP NP群、又はPBS対照に無作為に割り当てた。(
図6B)タイムライン及び投与計画。
【
図6C】静脈内注入されたIRF5/IKKβナノ粒子は、肺において腫瘍転移を制御することができる。C57BL/6アルビノマウスに尾部静脈を経て1×10
6のB16F10ホタルルシフェラーゼ発現メラノーマ細胞を注射して、肺転移を確立した。7日後、動物は、IRF5/IKKβ NP処置群、対照GFP NP群、又はPBS対照に無作為に割り当てた。(
図6C)健康な肺(左パネル)及びB16F10腫瘍浸潤肺(右パネル)の共焦点顕微鏡。浸潤性マクロファージ集団は緑色の蛍光を発する。
【
図6D】静脈内注入されたIRF5/IKKβナノ粒子は、肺において腫瘍転移を制御することができる。C57BL/6アルビノマウスに尾部静脈を経て1×10
6のB16F10ホタルルシフェラーゼ発現メラノーマ細胞を注射して、肺転移を確立した。7日後、動物は、IRF5/IKKβ NP処置群、対照GFP NP群、又はPBS対照に無作為に割り当てた。(
図6D)連続生物発光腫瘍イメージング。
【
図6E】静脈内注入されたIRF5/IKKβナノ粒子は、肺において腫瘍転移を制御することができる。C57BL/6アルビノマウスに尾部静脈を経て1×10
6のB16F10ホタルルシフェラーゼ発現メラノーマ細胞を注射して、肺転移を確立した。7日後、動物は、IRF5/IKKβ NP処置群、対照GFP NP群、又はPBS対照に無作為に割り当てた。(
図6E)処置群ごとのカプラン・マイヤー生存曲線。msは生存期間中央値を示す。統計解析は対数順位検定を使用して実施し、P<0.05は有意と見なした。
【
図6F】静脈内注入されたIRF5/IKKβナノ粒子は、肺において腫瘍転移を制御することができる。C57BL/6アルビノマウスに尾部静脈を経て1×10
6のB16F10ホタルルシフェラーゼ発現メラノーマ細胞を注射して、肺転移を確立した。7日後、動物は、IRF5/IKKβ NP処置群、対照GFP NP群、又はPBS対照に無作為に割り当てた。(
図6F)2週間の処置に続くそれぞれの群を表すB16F10メラノーマ転移を含有する肺の代表的写真(上の列)及び顕微鏡写真。
【
図6G】静脈内注入されたIRF5/IKKβナノ粒子は、肺において腫瘍転移を制御することができる。C57BL/6アルビノマウスに尾部静脈を経て1×10
6のB16F10ホタルルシフェラーゼ発現メラノーマ細胞を注射して、肺転移を確立した。7日後、動物は、IRF5/IKKβ NP処置群、対照GFP NP群、又はPBS対照に無作為に割り当てた。(
図6G)肺腫瘍病巣の数。
【
図6H】静脈内注入されたIRF5/IKKβナノ粒子は、肺において腫瘍転移を制御することができる。C57BL/6アルビノマウスに尾部静脈を経て1×10
6のB16F10ホタルルシフェラーゼ発現メラノーマ細胞を注射して、肺転移を確立した。7日後、動物は、IRF5/IKKβ NP処置群、対照GFP NP群、又はPBS対照に無作為に割り当てた。(
図6H)それぞれの処置群由来の気管支肺胞洗浄中の単球/マクロファージ集団の表現型特徴付け。
【
図6I】静脈内注入されたIRF5/IKKβナノ粒子は、肺において腫瘍転移を制御することができる。(
図6I)抑制性及び活性化されたマクロファージの相対的パーセンテージのまとめ。
【
図7A】マクロファージ再プログラミングは神経膠腫において放射線療法の結果を改善する。(
図7A)誘導後21日目のRCAS-PDGF-B/Nestin-Tv-a;Ink4a/Arf-/-;Pten-/-トランスジェニックマウスにおけるPDGFβ駆動神経膠腫の開始に続くT2 MRIスキャン、及び組織学的染色。
【
図7B】マクロファージ再プログラミングは神経膠腫において放射線療法の結果を改善する。(
図7B)神経膠腫縁を浸潤するCD68+TAMの共焦点顕微鏡。スケールバー、300μm。
【
図7C】マクロファージ再プログラミングは神経膠腫において放射線療法の結果を改善する。(
図7C)健康な脳組織対神経膠腫におけるマクロファージ(F4/80+、CD11b+)集団のフローサイトメトリー分析。
【
図7D】マクロファージ再プログラミングは神経膠腫において放射線療法の結果を改善する。(
図7D)単独療法としてIRF5/IKKβ処置を受けた、確立した神経膠腫を抱えたマウスのカプラン・マイヤー生存曲線。タイムライン及び投与計画は上に示されている。ms、生存期間中央値。統計解析は対数順位検定を使用して実施し、P<0.05は統計的に有意と見なした。
【
図7E】マクロファージ再プログラミングは神経膠腫において放射線療法の結果を改善する。(
図7E)脳腫瘍放射線療法と組み合わせたIRF5/IKKβ処置を受けた、確立した神経膠腫を抱えたマウスのカプラン・マイヤー生存曲線。タイムライン及び投与計画は上に示されている。ms、生存期間中央値。統計解析は対数順位検定を使用して実施し、P<0.05は統計的に有意と見なした。
【
図7F】マクロファージ再プログラミングは神経膠腫において放射線療法の結果を改善する。(
図7F)腫瘍進行の連続生物発光イメージング。
【
図8A】ヒトIRF5/IKKβをコードするIVT mRNA担持ナノ粒子はヒトマクロファージを効率的に再プログラムする。(
図8A)ヒトTHP-1単核球細胞株を抑制性M2様マクロファージに分化させるタイムライン及び培養条件。
【
図8B】ヒトIRF5/IKKβをコードするIVT mRNA担持ナノ粒子はヒトマクロファージを効率的に再プログラムする。(
図8B)24ウェルにおいて培養され、ヒトIRF5/IKKβ mRNA対対照GFP mRNAを担持するNPの指示された濃度をトランスフェクトされたM2-分化THP1-Lucia細胞の生物発光イメージング。IRF誘導Luciaルシフェラーゼのレベルは、Quanti-Lucを使用してトランスフェクション24時間後に決定した。
【
図8C】ヒトIRF5/IKKβをコードするIVT mRNA担持ナノ粒子はヒトマクロファージを効率的に再プログラムする。(
図8C)生物発光数のまとめ。
【
図8D】ヒトIRF5/IKKβをコードするIVT mRNA担持ナノ粒子はヒトマクロファージを効率的に再プログラムする。(
図8D)IL-1βサイトカイン分泌におけるM1-マクロファージマーカーCD80の差。
【
図8E】ヒトIRF5/IKKβをコードするIVT mRNA担持ナノ粒子はヒトマクロファージを効率的に再プログラムする。(
図8E)表面発現(
図8E)M1-マクロファージマーカーCD80の差。
【
図9】実施例1に記載される骨髄及びリンパ球免疫表現型パネルにおいて使用される抗体の一覧表。
【
図10-1】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
【
図10-2】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
【
図10-3】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
【
図10-4】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
【
図10-5】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
【
図10-6】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
【
図10-7】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
【
図10-8】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
【
図10-9】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
【
図10-10】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
【
図10-11】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
【
図10-12】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
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図10-13】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
【
図10-14】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
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図10-15】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
【
図10-16】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
【
図10-17】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
【
図10-18】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
【
図10-19】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
【
図10-20】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
【
図10-21】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
【
図10-22】本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110及び111)を提供する。配列番号1~44、110及び111の正体は
図11に記載されている。特に配列番号15に関しては、融合タンパク質は、マウスIRF7のDBD(DNA結合ドメイン)及びCAD(構成的活性ドメイン)並びにマウスIRF3のNES(核外移行シグナル)及びIRF会合ドメインを含む。IRF会合ドメインは、N末端領域において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位を与える(Lin Rら、(1998)上記参照)。特に配列番号17に関しては、マウスIRF8におけるSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)結合部位は、リジン(K)310である。SUMO2/3の結合は、IRF-8がIRF8応答性遺伝子に結合して活性化するのを妨げる。K310残基の突然変異はSUMOがIRF8に結合するのを妨げ、IRF8特異的遺伝子転写を2~5倍増加させる(Chang T-Hら、The Journal of Immunology(2012)189(7):3548~3556頁)。
【
図11-1】例示的なタンパク質配列及びコードヌクレオチド配列の配列番号の一覧表を提供する。
【
図11-2】例示的なタンパク質配列及びコードヌクレオチド配列の配列番号の一覧表を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
いくつかの有害な生理的条件が、免疫系活性化(例えば、自己免疫障害)又は免疫系抑制(例えば、がん)と関連している。例えば、マクロファージは、がん組織に多数浸潤する重要な免疫エフェクター細胞である。しかし、免疫抑制性腫瘍環境において、マクロファージは活性化殺腫瘍性状態から、腫瘍成長及び転移を促進する免疫抑制表現型への切り替えを受ける。これらの腫瘍関連免疫抑制されたマクロファージ(TAM)は予後不良と関連している(Komohara Yら、(2014)Cancer science 105(1):1~8頁)。TAMは、血管新生、リンパ球新生、及び間質リモデリングを誘導する。TAMは、酵素プラスミン、uPA、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)及びカテプシンBの分泌を通じて腫瘍浸潤及び転移を促進するのに重要な役割も果たしている(Komohara、Yら、(2016)Advanced drug delivery reviews 99:180~185頁;Gocheva Vら、(2010)Genes Dev 24:241~255頁;Wang Rら、(2011)Lung Cancer 74:188~196頁)。腫瘍成長及び進行を媒介することとは別に、TAMは他の免疫細胞と相互作用をして自然及び適応抗腫瘍免疫応答を抑制することができる。
【0014】
いくつかの小分子薬物は、細胞動員又は増殖に関与する経路を標的にすることにより、TAM前駆体細胞の腫瘍への局在化を遮断することに焦点を合わせている(すなわち、CSF-1/CSF-1R経路(Pyon;teckら、Nat Med 19、1264~1272頁(2013);Tapら、N Engl J Med 373、428~437頁(2015))又はCCL2経路(Nyweningら、Lancet Oncol 17、651~662頁(2016))の阻害剤)。これらのアプローチには、小分子薬物の高用量への繰り返し全身曝露が必要である。さらに、これらの薬物の臨床試験は、細胞減少療法と組み合わされていなければ、示す応答は低かった。Nyweningら、Lancet Oncol 17、651~662頁(2016);Butowskiら、Neuro Oncol 18、557~564頁(2016)。さらに、これらの小分子アプローチは、マクロファージ抗腫瘍活性を活発に促進しない。
【0015】
リポソームなどの従来のナノ担体は、ビスホスホネート又は腫瘍内のマクロファージを全身的に破壊する他の抗増殖剤(すなわち、リポソームクロドロネート)で処方されてきた(Fritzら、Front Immunol 5、587(2014))。腫瘍溶解性ウイルスも、siRNAを送達し、腫瘍内の免疫回避経路を発現停止させTAMの食作用を間接的に促進するのに使用されてきた(Chaoら、Curr Opin Immunol 24、225~232頁(2012))。しかし、これらのアプローチを使用して破壊されるマクロファージは、新たに到着するマクロファージで自然に取って代わられ、これは同様に免疫抑制性になる。
【0016】
TAMの機能的活性化を誘導する抗体が、開発されている。これらのアプローチは、腫瘍内の限定された抗原タイプを標的にする抗体を利用する。Mantovaniら、Nat Rev Clin Oncol(2017)。しかし、これらの抗体の成功は、その低い腫瘍浸透及び不均質な分布により制限される。Thurberら、Adv Drug Deliv Rev 60、1421~1434頁(2008)。彼らはまた、抗体により標的にされる抗原を欠く腫瘍エスケープ変異体にも取り組んでいない。
【0017】
記載されたアプローチのどれも、本明細書で開示されるようには、TAMを活性化された殺腫瘍性マクロファージになるように直接、効果的に再プログラムしない。本明細書に開示されるシステム及び方法は、著しく革新的である。なぜならば、本明細書に開示されるシステム及び方法は、腫瘍促進TAM負荷を同時に減らしつつ、TAMを腫瘍除去マクロファージになるように再プログラムするのを可能にするからである。現在、医師が、これらの治療目的のためにTAMを合理的に再プログラムすることを、可能にする他の方法は、存在しない。Mantovaniら、Nat Rev Clin Oncol(2017);Gabrilovich&Nagaraj、Nat Rev Immunol 9、162~174頁(2009)。本方法は、本方法自体においてかつ本方法自体が、腫瘍の処置において治療効果を与えることができる。腫瘍微小環境を調節し構成し直すことにより、本開示は腫瘍を、ワクチン、免疫療法(例えば、CAR)、及び/又は化学療法などの他の処置タイプにもさらに感受性にする。
【0018】
特定の実施形態は、転写因子(例えば、インターフェロン制御因子(IRF))及び/又はキナーゼ(例えば、IKKβ)などの活性化制御因子をコードする遺伝子をコードするヌクレオチドを、細胞に提供する粒子を利用する。これらの活性化制御因子は、マクロファージ極性化を調節する(
図1)。マクロファージ極性化は、マクロファージの生理的活性が変化する際に通過する、高度に動的なプロセスである。示されるように、大半の腫瘍において、TAMは、「M2」表現型が可能である免疫抑制された表現型を示す。これとは対照的に、活性化されたマクロファージは、腫瘍細胞の殺滅をもたらす「M1」表現型を示すことができる。本明細書で開示される特定の実施形態は、腫瘍促進TAMの極性化を、腫瘍を殺滅するマクロファージへと逆転する。この効果は、炎症性サイトカインを誘導し、他の免疫細胞を活性化し、腫瘍細胞を貪食することにより腫瘍内の免疫抑制性環境を寛解する。
【0019】
「マクロファージ活性化(macrophage activation)」とは、マクロファージの表現型又は機能を(i)不活性化状態(inactivated state)から活性化状態(activated state)へ;(ii)非活性化状態から活性化状態へ;(iii)活性化状態からさらに活性化された状態へ;又は(iv)不活性化状態から非活性化状態へ変更するプロセスのことである。不活性化状態とは、腫瘍成長及び転移を促進する免疫抑制された表現型を意味する。非活性化状態とは、マクロファージが腫瘍成長又は転移を促進せず、腫瘍細胞の殺滅を促進もしないことを意味する。活性化状態は、マクロファージが殺腫瘍活性を示すことを意味する。特定の実施形態において、活性化状態により、下でより完全に説明されるM1表現型が生じる。特定の実施形態において、不活性化状態によりM2表現型が生じ、これも下でより完全に説明される。
【0020】
「マクロファージ不活性化(macrophage inactivation)」とは、マクロファージの表現型又は機能を(i)活性化状態から活性化がより低い状態へ;(ii)活性化状態から非活性化状態へ;(iii)活性化状態から不活性化状態へ;又は(iv)非活性化状態から不活性化状態へ変更するプロセスのことである。特定の実施形態において、不活性化状態はM2である。特定の実施形態において、活性化状態はM1である。
【0021】
特定の実施形態において、開示されたシステム及び方法の1つの利点は、処置により誘導される炎症が処置部位に局在化したままになるがゆえに、患者を全身的毒性から救うことである。この利点を達成するため、局所的に注入された粒子は、腫瘍環境中のTAMを標的にし、(2)マクロファージ極性化を制御するシグナル伝達経路を選択的に再プログラムするヌクレオチドを送達し、(3)局所的に生理的経路により完全に分解可能になる(Sahinら、Nat Rev Drug Discov 13、759~780頁(2014))。
【0022】
固形腫瘍中で外因性ヌクレオチドの高発現を達成するのは、インビボにおいて難問である。本開示以前、ウイルス又はリポソームなどの従来のナノ担体に基づくヌクレオチド送達システムは、腫瘍組織内においてその制限された拡散により限定された、Jain&Stylianopoulos、Nat Rev Clin Oncol 7、653~664頁(2010)。この障壁を回避するため、特定の実施形態は、NPが腫瘍内のTAMの大集団にヌクレオチドを送達するように、増強された拡散率を有するナノ粒子(NP)を利用する。特定の実施形態は、中性表面電荷を担うサイズが<130nmのNPを利用する。特定の実施形態は、NPの表面に結合されたターゲティングリガンドをさらに含むことができる。例えば、ジマンノースをNP表面に結合させて、TAM細胞表面上で発現されるマンノース受容体(CD206)へのさらに選択的なターゲティングを可能にすることができる。標的にすることができる他のTAM細胞表面受容体は、初期増殖応答タンパク質2(Egr2)、CD163、CD23、インターロイキン(IL)27RA、CLEC4A、CD1a、CD1b、CD93、CD226、IL13-Ra1、IL-4r、IL-1R II型、デコイIL-1R II型、IL-10r、マクロファージスカベンジャー受容体A及びB、Ym-1、Ym-2、低密度受容体関連タンパク質1(LRP1)、IL-6r、CXCR1/2、及びPD-L1を含む。
【0023】
特定の実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、粒子の投与を必要とする対象に粒子を投与することを含む。粒子は対象の腫瘍に存在するマクロファージに向けられ、マクロファージにより内部移行されるように設計される。内部移行された後、粒子は、IRF5とIKKβをコードする配列を有する1つ以上のヌクレオチドをさらに送達する。1つ以上のヌクレオチドは、IRF5とIKKβを発現するようにマクロファージを改変する。理論に縛られることはなく、IKKβキナーゼはリン酸化によりIRF5転写因子を活性化する。次に、活性化されたIRF5は、I型インターフェロン(IFN)遺伝子、腫瘍壊死因子(TNF)、IL-6、IL-12及びIL-23を含む炎症性サイトカイン、並びに、腫瘍抑制因子の発現を引き起こす。IRF5とIKKβをコードする1つ以上のヌクレオチドを内部移行させたM2マクロファージにおいて、IRF5作用を通じた前述の遺伝子の発現は、マクロファージのM2表現型からM1表現型への表現型又は機能的転換をもたらし、これによりマクロファージが腫瘍細胞を殺滅する又は腫瘍細胞の破壊を他の方法でトリガーさせ、それによって、がんを処置することが可能になる。特定の実施形態において、粒子は食作用によりマクロファージに内部移行される。特定の実施形態において、粒子は、リガンド媒介エンドサイトーシス(例えば、CD-206媒介エンドサイトーシス)によりマクロファージに内部移行される。特定の実施形態において、IRF5とIKKβ遺伝子を含む粒子のマクロファージ中への送達は、例えば、(1)マクロファージへの結合、(2)マクロファージによる粒子の内部移行、(3)内部移行後の細胞内小胞から細胞質中への逃避、(4)1つ以上のヌクレオチドの放出、(5)このヌクレオチドはマクロファージの核中に輸送することができ、(6)転写されてIRF5とIKKβを発現するための遺伝子を送達する。
【0024】
本開示の態様は今や以下の通りにさらに詳細に説明される:(1)マクロファージ及びマクロファージ表現型;(2)マクロファージ極性化に影響を及ぼす細胞経路;(3)活性化制御因子をコードするヌクレオチド;(4)ヌクレオチドを送達する粒子;(5)さらに選択的にヌクレオチドを送達するターゲティングリガンド;(6)粒子を含む医薬組成物;(7)使用方法;並びに(8)実験的実施例。
【0025】
(1)マクロファージ及びマクロファージ表現型。「マクロファージ」とは、骨髄由来単球から分化した免疫系の白血球のことである。マクロファージは、その食細胞活動及びその抗原提示能力により特徴付けられる。マクロファージは、自然及び適応免疫応答の両方において重要な役割を担う。表現型的には、マクロファージは表面マーカーF4/80(Ly71)を発現し、CDllb(Macl)、CDllc、CD14、CD40又はCD68などの他の表面マーカーを発現することもある。
【0026】
マクロファージは、Tリンパ球を活性化することにより、自然及び適応免疫の両方において重要な役割を果たす。がんにおいて、マクロファージは、固体腫瘍に関連する浸潤性白血球の大集団の1つである(Gordon S&Taylor PR(2005)Nature Reviews Immunology 5(12):953~964頁)。マクロファージは、周辺組織から又は走化性分子の分泌を通じて腫瘍そのものにより腫瘍部位へ動員することができる。マクロファージは、その表現型に応じて、極性化した様式で腫瘍に対する免疫応答に関与する。「表現型」は、遺伝子型と環境の相互作用の結果としての細胞の物理的属性又は生化学的特徴を指すのに本明細書において使用され、細胞の機能を含むことができる。
【0027】
Th1 Tリンパ球を活性化するマクロファージは、炎症応答を与え、M1極性化又は「古典的活性化」表現型を有するとして表されることが多い。活性化状態のマクロファージ(すなわち、M1マクロファージ又はM1表現型を有するマクロファージ)は、「キラーマクロファージ」とも呼ばれるが、細胞増殖を阻害し、組織損傷を引き起こし、病原体に対する抵抗を媒介し、強力な殺腫瘍活性を有する。これらのマクロファージは、抗原提示及び同時刺激の原因であるメディエーターの発現を増加することができ;腫瘍領域への好中球の浸潤が促進されると、好中球標的化腫瘍退縮がもたらされる。M1表現型は、適切な対照状態と比べると抗原提示の増加により証明することもできる。特定の実施形態において、M1表現型は、活性酸素種(ROS)及び一酸化窒素(NO)のM1マクロファージ生成により証明することができる。NOは、病原体及び腫瘍細胞のような異常な細胞に対する防御に不可欠な抗増殖効果を有する。特定の実施形態において、M1表現型は、IL-12などのサイトカインの産生を通じてTh1免疫を誘導する炎症誘発性状態により証明することができる。特定の実施形態において、活性化状態のマクロファージは、古典的には、病原体を貪食することができる活性化マクロファージである。
【0028】
機能以外に、M1表現型は、マクロファージにより発現される表面マーカー;極性化によりマクロファージにより産生される因子、タンパク質、若しくは化合物;又は極性化の時にマクロファージにより誘導される遺伝子により証明することもできる。M1極性化は、CD80、CD86、iNOS、サイトカインシグナル伝達抑制因子3(SOCS3)、TNFα、IL-1、IL-6、IL-12、IL-23、I型IFN、CXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL5、CXCL8、CXCL9、及びCXCL10の発現により証明される表現型をもたらすことができる。特定の実施形態において、M1表現型は、CD80の発現の増加を含む。特定の実施形態において、M1表現型は、CD206-、MHCII+、CD11c-、及びCD11b+を含む。
【0029】
一方、Th2 Tリンパ球を活性化するマクロファージは抗炎症応答を与え、「M2」表現型を有すると示されることが多い。不活性化状態であるマクロファージ(すなわち、M2マクロファージ又はM2表現型を有するマクロファージ)は、「修復マクロファージ」とも呼ばれるが、メタゾア寄生体封じ込め、細胞増殖、組織修復、腫瘍進行、抗炎症経路、及び免疫抑制に関与している。M2表現型は、適切な対照状態と比べると抗原提示を減らし、食作用を減少することができる。M2表現型は、例えば、アルギナーゼ1(Arg1(アルギナーゼ活性は増殖促進性効果及び組織修復応答に関連している)、IL-10、TGF-β、PPArγ、KLF4、CD206(MRC1)、デクチン-1(シグナル伝達非TLRパターン認識受容体)、DC-SIGN(C型レクチン)、スカベンジャー受容体A、スカベンジャー受容体B-1、CD163(ヘモグロビン-ハプトグロビン複合体に対する高親和性スカベンジャー受容体)、ケモカイン受容体CCR2、CXCR1、及びCXCR2、YM1(キチナーゼ3様3)、及びFizz1の1種以上の発現;並びに、ケモカインCCL17、CCL22及びCCL24の分泌により証明することもできる。特定の実施形態において、不活性化状態のマクロファージは転移及び/又は化学療法に対する抵抗を促進する。特定の実施形態において、M2表現型は、CD206+、MHCII-、CD11c+、及びCD11blowを含む。
【0030】
表1は、M1表現型とM2表現型(M2a、M2b、M2c及びM2dと命名されるサブ表現型を含む)を区別するのに使用することができる基準の特定の組合せを提供する。
【0031】
【0032】
マクロファージ表現型を評価するためのアッセイは、M1又はM2表現型に特有の異なる分子シグネチャーを利用することができる。M1マクロファージについて一般的に認められたマーカープロファイルはCD80+であり、M2-マクロファージはCD163+と見なすことができる。したがって、フローサイトメトリーを実施すれば、これらのマーカーについて評価することができる。マクロファージをM1タイプの方に近づけM2タイプから遠ざけることは、IL-12/IL-10比又はCD163-/CD163+マクロファージ比の増加を測定することにより、評価することもできる。特定の実施形態において、M1対M2形態は、光学顕微鏡により評価することができる。特定の実施形態において、食作用アッセイは、マクロファージがM1タイプなのかM2表現型なのかを評価する他のアッセイと併せて使用してもよい。異なるマクロファージ集団の食作用アッセイは、貪食される実体をマクロファージと一緒に細胞あたりの正規化された全表面積と一致する濃度でインキュベートすることにより実施してもよい。貪食される実体をマクロファージ培養物に添加してもよい。貪食される実体は、例えば、蛍光ラベルで標識してもよい。食作用インデックスは、マクロファージあたり測定された全蛍光強度中央値により決定してもよい。食作用の定量化は、例えば、フローサイトメトリーによって行ってもよい。腫瘍細胞殺滅アッセイを利用してもよい。特定の実施形態において、M1表現型は、セルピンB2(ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子の阻害剤)、CCL2(C-Cモチーフケモカインリガンド2)、CCL11(C-Cモチーフケモカインリガンド11)、及びRetnla(レジスチン様アルファ;Fizz1)を含むシグネチャーM2マクロファージ遺伝子の発現の減少を含む。特定の実施形態において、M1表現型は、CCL5(C-Cモチーフケモカインリガンド5)を含むM1分化遺伝子の発現の増加を含む。
【0033】
遺伝子発現(例えば、CD80、CD86及び/又は上記の他の遺伝子のM1発現)は当業者には周知であるアッセイによって測定することができる。遺伝子発現を測定する方法は、NanoString nCounter(登録商標)発現アッセイ(NanoString Technologies、Inc.、Seattle、WA)、ノーザンブロット、ドットブロット、マイクロアレイ、遺伝子発現の連続分析(SAGE)、RNA-seq、及び定量的RT-PCRを含む。遺伝子発現産物、例えば、タンパク質レベルを測定する方法は、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、ウェスタンブロット、FACS、放射性免疫アッセイ(RIA)、サンドイッチアッセイ、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)、免疫組織染色、免疫電気泳動、免疫沈澱、及び抗体又はタンパク質結合剤などの検出試薬を使用する免疫蛍光を含む。
【0034】
(2)マクロファージ極性化に影響を及ぼす細胞経路。活性化又は不活性化表現型に向かうマクロファージの極性化は、マクロファージといくつかの異なる分子又は環境との相互作用から生じる。例えば、M1マクロファージ極性化は、トール様受容体(TLR)リガンド(例えば、リポ多糖(LPS)、ムラミルジペプチド、リポテイコ酸、イミキモド、CpG)、IFNγ、TNFα、及びマクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を含む刺激によりトリガーされる。M2極性化マクロファージは、極性化を惹起する刺激に応じて、サブセットに分割することができ:M2aサブセットはIL-4、IL-13又は真菌及び蠕虫感染により誘発され;M2bはIL-1受容体リガンド、免疫複合体及びLPSにより誘発され;M2cはIL-10、TGF-β及びグルココルチコイドにより誘発され;M2dはIL-6及びアデノシンにより誘発される。M2マクロファージ極性化は、IL-21、GM-CSF、補体成分、及びアポトーシス細胞によりトリガーされる場合もある。マクロファージ極性化は、低酸素などの局所的微小環境状態によっても調節される。
【0035】
前述の分子及び環境は、転写因子を含む異なる細胞内シグナル伝達経路をトリガーさせることによりマクロファージ極性化に影響を及ぼす。M1とM2極性化の両方に関与している転写因子は、IRF、シグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)、SOCS3タンパク質、及び活性化B細胞の核内因子カッパ軽鎖エンハンサー(NFκB)を含む。マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)も、マクロファージ機能をM1又はM2表現型の方に向けるのに役割を果たしている。
【0036】
IRF/STAT経路は、上で考察したIFN及びTLRシグナル伝達などの刺激により活性化されるが、マクロファージを、STAT1を経てM1活性状態に極性化する。一方、IL-4及びIL-13などの刺激は、マクロファージを、STAT6を経てM2活性状態の方にそらす(Sica A&Bronte V(2007)J Clin Invest 117:1155~1166頁)。したがって、これらのシグナル伝達イベントは、M1マクロファージ極性化の場合、炎症性免疫応答及び殺腫瘍活性を促進する、又はM2マクロファージ極性化の場合、免疫抑制性腫瘍促進応答を促進する。
【0037】
M1表現型の誘導に関係するいくつかの細胞内分子は、Gタンパク質共役型受容体、P2Y(2)R、これはNOS2を経てNOを誘導するのに役割を果たし(Eun SYら、(2014)Int Immunopharmacol 18:270~276頁);SOCS3、これはNFκB/PI-3キナーゼ経路を活性化してNOを生成し(Arnold CEら、(2014)Immunology 141:96~110頁);並びに成長及び分化因子アクチビンA、これはM1マーカーを促進しIL-10を下方調節する(Sierra-Filardi Eら、(2011)Blood 117:5092~5101頁)、を含む。
【0038】
M1表現型の誘導に関与する他の細胞内分子はIRFを含む。IRFは、IFNのウイルス媒介活性化、並びに細胞成長、分化、アポトーシス、及び免疫系活性の調節を含む、多様な役割を有する転写因子のグループである。IRFファミリーのメンバーは、トリプトファン(W)リピートを含有する保存されたN末端DNA結合ドメインを特徴とする。
【0039】
IRF5は、ヘリックスターンヘリックスDNA結合モチーフを有しウイルス-及びIFN誘導シグナル伝達経路を媒介する転写因子である。IRF5は、マクロファージが炎症を促進する又は阻害するかを制御する分子スイッチとして作用する。IRF5は、I型IFN遺伝子、TNF、IL-6、IL-12及びIL-2を含む炎症性サイトカイン、及び腫瘍抑制因子、並びにTh1及びTh17応答を活性化する。IRF5は、染色体7q32に位置するヒトIRF5遺伝子(OMIM ID 607218)によりコードされている。IRF5のいくつかのアイソフォーム/転写変異体が存在することが認識されている。特定の実施形態において、ヒトIRF5のアイソフォームは、アイソフォーム1(UniProt受託Q13568-1、配列番号1)、アイソフォーム2(UniProt受託Q13568-2、配列番号2)、アイソフォーム3(UniProt受託Q13568-3、配列番号3)、アイソフォーム4(UniProt受託Q13568-4、配列番号4)、アイソフォーム5(UniProt受託Q13568-5、配列番号5)及びアイソフォーム6(UniProt受託Q13568-6、配列番号6)を含む。特定の実施形態において、ヒトIRF5のアイソフォームは、配列番号23に示されるヌクレオチド配列によりコードされるアイソフォーム1、配列番号24に示されるヌクレオチド配列によりコードされるアイソフォーム2、配列番号25に示されるヌクレオチド配列によりコードされるアイソフォーム3、配列番号26に示されるヌクレオチド配列によりコードされるアイソフォーム4、配列番号27に示されるヌクレオチド配列によりコードされるアイソフォーム5、及び配列番号28に示されるヌクレオチド配列によりコードされるアイソフォーム6を含む。特定の実施形態において、マウスIRF5は配列番号7に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、マウスIRF5は配列番号29に示されるヌクレオチド配列によりコードされる。M1マクロファージはIRF5を上方調節することが明らかにされている。
【0040】
IRF1及びIRF8も、IFNγなどの炎症誘発性シグナルによるマクロファージの活性化を含む、骨髄系細胞の発生及び機能に極めて重要な役割を果たす、Dror Nら、(2007)Mol Immunol.44(4):338~346頁。特定の実施形態において、ヒトIRF1は、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、ヒトIRF1は、配列番号30に示されるヌクレオチド配列によりコードされる。特定の実施形態において、マウスIRF1は、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、マウスIRF1は、配列番号34に示されるヌクレオチド配列によりコードされる。特定の実施形態において、ヒトIRF8は、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、ヒトIRF8は、配列番号33に示されるヌクレオチド配列によりコードされる。特定の実施形態において、マウスIRF8は、配列番号16に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、マウスIRF8は、配列番号38に示されるヌクレオチド配列によりコードされる。
【0041】
IRF3はIRF1及びIRF2の相同体である。IRF3は、NES、DBD、C末端IRF会合ドメイン及びいくつかの調節リン酸化部位を含む、いくつかの機能的ドメインを含有する。IRF3は、セリン/スレオニンリン酸化すると、転写共役因子であるCREB結合タンパク質と複合体を形成する不活性細胞質形態で見出される。この複合体は核に移動し、IFN-α及び-β、並びに他のインターフェロン誘導遺伝子の転写を活性化する。特定の実施形態において、ヒトIRF3のアイソフォームは、アイソフォーム1(UniProt受託Q14653-1)、アイソフォーム2(UniProt受託Q14653-2)、アイソフォーム3(UniProt受託Q14653-3)、アイソフォーム4(UniProt受託Q14653-4)、及びアイソフォーム5(UniProt受託Q14653-5)を含む。特定の実施形態において、ヒトIRF3アイソフォーム1は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、ヒトIRF3アイソフォーム1は、配列番号31に示されるヌクレオチド配列によりコードされる。特定の実施形態において、マウスIRF3は、配列番号13に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、マウスIRF3は、配列番号35に示されるヌクレオチド配列によりコードされる。
【0042】
IRF7は、I型IFN遺伝子の転写活性化において役割を果たすことが明らかにされている。特定の実施形態において、ヒトIRF7のアイソフォーム1は、アイソフォームA(UniProt受託Q92985-1)、アイソフォームB(UniProt受託Q92985-2)、アイソフォームC(UniProt受託Q92985-3)、及びアイソフォームD(UniProt受託Q92985-4)を含む。特定の実施形態において、ヒトIRF7アイソフォームAは、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、ヒトIRF7アイソフォームAは、配列番号32に示されるヌクレオチド配列によりコードされる。特定の実施形態において、マウスIRF7は、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、マウスIRF7は、配列番号36に示されるヌクレオチド配列によりコードされる。
【0043】
IRF活性化に寄与する1つ以上のIRF突然変異体も使用してもよい。例えば、アミノ酸残基S425、S427、S430、S436をアスパラギン酸残基などのリン酸化を模倣する残基で置換するIRF5(アイソフォーム4、配列番号4)のヒト変異体3/変異体4のリン酸化模倣突然変異体(Chen Wら、(2008)Nat Struct Mol Biol.15(11):1213~1220頁);アミノ酸残基T10、S158、S309、S317、S451、及び/又はS462をアスパラギン酸残基などのリン酸化を模倣する残基で置換するIRF5(アイソフォーム2、配列番号2)のヒト変異体5のリン酸化模倣突然変異体(Chang Foreman H-Cら、上記参照);IRF5の構成的核集積のための、ヒトIRF5アイソフォームa(変異体1、アイソフォーム3、配列番号3)及びアイソフォームb(変異体2、アイソフォーム1、配列番号1)残基S156、S158及びT160からアスパラギン酸残基などのリン酸化を模倣する残基への突然変異(Lin Rら、(2005)J Biol Chem 280(4):3088~3095頁);並びにIRF3のアミノ酸残基S396をアスパラギン酸などのリン酸化を模倣する残基で置換するIRF3リン酸化模倣突然変異体(Chen Wら、上記参照)。特定の実施形態において、マウスIRF7/IRF3の融合タンパク質は、IRF3会合ドメイン(配列番号15)において4つのセリン及び1つのスレオニン残基にAsp(D)突然変異を含み、融合タンパク質の構成的活性化及び転位置を与える(Lin Rら、(1998)上記参照;Linら、(2000)Molecular and Cellular Biology 20:6342~6353頁)。特定の実施形態において、IRF3会合ドメインにおいて4つのセリン及び1つのスレオニン残基にD突然変異を含むマウスIRF7/IRF3の融合タンパク質は、配列番号37に示されるヌクレオチド配列によりコードされている。特定の実施形態において、マウスIRF8突然変異体は、アミノ酸残基310のリジン(K)のアルギニン(R)での置換を含む(配列番号17)。特定の実施形態において、アミノ酸残基310のKのRでの置換を含むマウスIRF8突然変異体は、配列番号39に示されるヌクレオチド配列によりコードされている。主にK310でIRF8に結合している低分子ユビキチン様修飾因子(SUMO)は、IRF8応答性遺伝子の活性化を阻害する。セントリン特異的プロテアーゼ1(SENP1)はSUMO2/3を標的にする。SENP1の活性は、IRF8(及び他のタンパク質)を「脱SUMO化し」、IRF8にM1マクロファージ分化の抑制因子から活性化因子に(直接的に及びトランスアクチベーション活性を通じて)進ませる。K310残基の突然変異によりSUMOがIRF8に結合するのを妨げると、IRF8特異的遺伝子転写が2~5倍増加する(Chang T-Hら、(2012)上記参照)。
【0044】
本開示の特定の実施形態は、操作されたIRF転写因子を含む。特定の実施形態において、操作されたIRF転写因子は、機能する自己抑制的ドメインを欠き、したがって、フィードバック不活性化に非感受性であるIRFを含む(Thompsonら、(2018)Front Immunol 9:2622頁)。例えば、活性の増加が2~3倍であるヒトIRF5は、ヒトIRF5タンパク質のアミノ酸489~539を欠失させることにより得ることができる(Barnesら、(2002)Mol Cell Biol 22:5721~5740頁)。特定の実施形態において、M2表現型を促進する転写因子である、IRF4の自己抑制的ドメインを欠失させる又は突然変異させると、自己免疫疾患を処置するという文脈においてさらに活性なIRF4を作成することができる。特定の実施形態において、IRFの自己抑制的ドメインは、IRFタンパク質のカルボキシ末端で見出せる。特定の実施形態において、操作されたIRF転写因子は、核においてIRFを捕捉し、したがって、転写を増強する1つ以上の機能する核外移行シグナル(NES)を欠くIRFを含む。例えば、ヒトIRF5の核集積は、2つのロイシン残基をアラニンで置き換える(L157A/L159A)ことによってヒトIRF5のNESを突然変異することにより達成可能である(Linら、(2000)Molecular and Cellular Biology 20:6342~6353頁)。特定の実施形態において、操作されたIRF転写因子は、1つ以上のIRFの融合体、1つ以上のIRFの断片の融合体、及び突然変異したIRFの融合体を含む。
【0045】
NFκBも、マクロファージM1活性化に関係する重要な転写因子である。NFκBは、TNFα、IL1B、シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)、IL-6、及びIL12p40を含む多数の炎症性遺伝子の発現を調節する。NFκB活性は、カッパBキナーゼ(IKK)三量体複合体(2つのキナーゼ、IKKα、IKKβ、及び調節タンパク質、IKKγ)の阻害因子の活性化を経て調節される。上流シグナルがIKK複合体で収束すると、これらのシグナルは先ずリン酸化を経てIKKβキナーゼを活性化し、活性化されたIKKβはカッパBの阻害因子(I-κB)である、阻害性分子をさらにリン酸化する。これにより、I-κBがプロテアソーム分解され、NFκB/I-κB複合体からNFκB p65/p50ヘテロ二量体が放出される。次に、NFκB p65/p50ヘテロ二量体は核に移動されて、炎症性遺伝子のプロモーターに結合する。
【0046】
IKKβは、NFκB並びにIRF5などの他の転写因子に対する活性化キナーゼである。IKKβは同様に、FOXO3、NCOA3、BCL10、IRS1、NEMO/IKBKG、NFκBサブユニットRELA及びNFKB1を含む他のいくつかのシグナル伝達経路成分、並びにIKK関連キナーゼTBK1及びIKBKEをリン酸化する。特定の実施形態において、ヒトIKKβのアイソフォームは、アイソフォーム1(UniProt受託O14920-1、配列番号18)、アイソフォーム2(UniProt受託O14920-2、配列番号19)、アイソフォーム3(UniProt受託O14920-3、配列番号20)、アイソフォーム4(UniProt受託O14920-4、配列番号21)を含む。特定の実施形態において、ヒトIKKβのアイソフォームは、配列番号40に示されるヌクレオチド配列によりコードされるアイソフォーム1、配列番号41に示されるヌクレオチド配列によりコードされるアイソフォーム2、配列番号42に示されるヌクレオチド配列によりコードされるアイソフォーム3、配列番号43に示されるヌクレオチド配列によりコードされるアイソフォーム4を含む。特定の実施形態において、マウスIKKβは配列番号22に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、マウスIKKβは配列番号44に示されるヌクレオチド配列によりコードされる。
【0047】
本開示は、IRFを活性化して、腫瘍殺滅のための活性化状態へのTAM再プログラミングをもたらすことができる1種以上の分子と一緒のIRF転写因子の共発現を提供する。特定の実施形態において、共発現戦略は、IRF5とIKKβの共発現;IRF5とTANK結合キナーゼ1(TBK-1)、TNF受容体会合因子6(TRAF6)アダプター、受容体相互作用タンパク質2(RIP2)キナーゼ、及び/又はNFκBキナーゼε(IKKε)の共発現(Chang Foreman H-Cら、(2012)PLoS One 7(3):e33098);IRF5とタンパク質キナーゼDNA-PKの共発現(Ryzhakov Gら、(2015)J of Interferon&Cytokine Res 35(2):71~78頁);IRF5とタンパク質キナーゼチロシンキナーゼBCR-ABLの共発現(Massimo Mら、(2014)Carcinogenesis 35(5):1132~1143頁);並びにIRF5又はIRF8とCOP9シグナロソームの1つ以上の成分の共発現(Korczeniewska Jら、(2013)Mol Cell Biol 33(6):1124~1138頁;Cohen Hら、(2000)J Biol Chem 275(50):39081~39089頁)を含む。
【0048】
特定の実施形態において、本開示の教えは、過免疫活性化(例えば、自己免疫疾患)によりトリガーされる状態の管理に適用することができる。マクロファージは、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、関節リウマチ、及びシェーグレン症候群などの自己免疫疾患において重要な役割を果たしている(Ushioら、World J Immunol 2017;7(1):1~8頁)。したがって、免疫抑制性M2表現型を支援する細胞経路も説明される。
【0049】
M2表現型の誘導に関係している活性化制御因子は、クルッペル様因子4(KLF-4)である。KLF-4はSTAT6と協調して、Arg-1、CD206(Mrc1、マンノース受容体)、Fizz1(レジスチン様α)及びペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPArγ)などのM2遺伝子を誘導し、TNFα、Cox-2、CCL5及びiNOSなどのM1遺伝子を阻害する。核内受容体PPARγは、M2表現型の酸化的代謝及び活性化に関与している遺伝子を調節することが明らかにされている(Odegaard JIら、(2007)Nature 447:1116~1120頁)。
【0050】
サイトカインIL-21は、NOS2発現を減らしSTAT3リン酸化を増やすことによりM2極性化を媒介する(Li SNら、(2013)Mediators Inflamm 2013年、548073頁)。
【0051】
IRF4はTLRシグナル伝達をMyD88非依存的様式で負に調節してM2表現型を駆動する(Satoh Tら、(2010)Nat Immunol 11、936~944頁)。特定の実施形態において、ヒトIRF4はUniProt受託Q15306である。BMP-7も、SMAD-PI3K-Akt-mTOR経路の活性化を経てM2極性化をインビトロで誘導する(Rocher Cら、(2013)Plos One 8:e84009)。
【0052】
転写因子グルココルチコイド誘導ロイシンジッパー(GILZ)。GILZは、種々の細胞型においてグルココルチコイド(GC)作用を媒介するデキサメタゾン誘導性遺伝子であり、この遺伝子は抑制性M2マクロファージ表現型を誘導することができる。GILZ発現はGCにより急速に遍在的に誘導され、タンパク質産物は、NF-κB、Raf-1、TORC2、AP-1、Ras、及びC/EBPなどの既知の転写因子と相互作用して、炎症誘発性遺伝子の発現を阻害する。したがって、GILZは、有害な効果を回避しつつ、GCの治療的抗炎症効果を模倣することができると考えられる(Ronchetti, S.ら、Front Endocrinol(Lausanne)2015年;6:170)。特定の実施形態において、GILZは、配列番号110に示されるアミノ酸配列のヒトGILZである。特定の実施形態において、GILZは、配列番号111に示されるヌクレオチド配列によりコードされるヒトGILZである。
【0053】
示されるように、低酸素も、低酸素誘導性因子HIF-1α及びHIF-2αを通じてマクロファージ極性化に影響を及ぼす。HIF-1αは、NOS2発現を調節しM1表現型の出現を支援し、HIF-2αはArg1発現を調節してM2表現型の出現を支援する(Takeda Nら、(2010)Genes Dev 24:491~501頁)。
【0054】
【0055】
(3)ヌクレオチド。本開示内において、活性状態を調節する遺伝子をコードするヌクレオチドは免疫細胞に送達される。「遺伝子」とは、活性化制御因子をコードするヌクレオチド配列のことである。この定義は、種々の配列多型、突然変異、及び/又は配列変異体を含み、そのような変更は活性化制御因子の機能に影響を及ぼさない。用語「遺伝子」は、コード配列だけでなく、プロモーター、エンハンサー、及び終結領域などの調節領域も含んでいてよい。この用語は、mRNA転写物からスプライスされたすべてのイントロン及び他のDNA配列を、選択的スプライシング部位から生じる変異体と共にさらに含むことができる。活性化制御因子をコードするヌクレオチド配列は、活性化制御因子の発現を指示するRNAが可能である。これらのヌクレオチド配列は、特定の実施形態で、タンパク質に翻訳されるRNA配列を含む。特定の実施形態において、当業者であれば、チミン(T)塩基を含むDNA配列は、T塩基がウラシル(U)塩基で置き換えられることを除いて、同じ配列を有するmRNA配列と等価であることが可能であることを認識できる。ヌクレオチド配列は、完全長ヌクレオチド配列並びに完全長タンパク質に由来する非完全長配列の両方を含む。配列は、特定の免疫細胞においてコドン選択を提供するように導入しうる天然の配列(単数又は複数)の縮重コドンも含むことができる。本明細書に記載される活性化制御因子をコードする遺伝子配列は一般に公開されているデータベース及び出版物において入手可能である。「コードする」とは、活性化制御因子の合成のために鋳型の役割をするプラスミド、遺伝子、cDNA、mRNAなどのヌクレオチドの配列の特性のことである。
【0056】
特定の実施形態において、ヌクレオチドは合成mRNAを含む。特定の実施形態において、合成mRNAは、5’-キャッピングを使用して細胞内安定性を増やすように操作される。複数の異なる5’-キャップ構造を使用すれば、合成mRNA分子の5’-キャップを作成することができる。例えば、アンチリバースキャップアナログ(ARCA)キャップは5’-5’-三リン酸グアニン-グアニン結合を含有し、そこでは1つのグアニンがN7メチル基並びに3’-O-メチル基を含有する。合成mRNA分子は、5’-キャップ構造を作成する原因となる酵素を使用して転写後にキャップしてもよい。例えば、組換えワクシニアウイルスキャッピング酵素及び組換え2’-O-メチルトランスフェラーゼ酵素は、mRNAの最も5’側の末端ヌクレオチドとグアニンヌクレオチドの間に標準的な5’-5’-三リン酸結合を生み出すことができ、そこにおいてグアニンはN7メチル化を含有し最後の5’-ヌクレオチドはCap1構造を生み出す2’-O-メチルを含有する。これにより、さらに高い翻訳能力及び細胞安定性を有するキャップが生じ、並びに細胞炎症性サイトカインの活性化が低下する。
【0057】
特定の実施形態において、免疫原性を減し、mRNAの安定性を促進し、及び/又はmRNAの翻訳を促進するための合成mRNAの他の改変は、5’-及び3’-末端非翻訳領域(UTR)、5’UTRにおけるコザック翻訳開始配列、改変されたリボヌクレオシド、及び/又はポリAテイルを含むことができる。特定の実施形態において、改変されたリボヌクレオシドは、プソイドウリジン(ψ)、5-メチルシチジン(5mC)、N6-メチルアデノシン(m6A)、2-チオウリジン(2sU)、5-メトキシウリジン(5moU)、及びN-1-メチルプソイドウリジン(m1ψ)を含むことができる。特定の実施形態において、UTRはアルファ-及び/又はベータグロビンUTRを含むことができる。合成mRNAを作成する特定の実施形態は、対応するDNAプラスミドからPCR増幅により5’T100~250オーバーハングを有する所望のタンパク質のコードDNA配列を含有するDNA鋳型を作成することを含む。次に、DNA鋳型を使用すれば、インビトロ転写反応によりmRNAを作成することができる。インビトロ転写中、5’キャップ構造(例えば、ARCA)、改変されたリボヌクレオシド、及び/又は3’ポリ(A)テイルを組み込むことができる。例えば、MEGAscript T7転写キット(ThermoFisher Scientific、Waltham、MA)、Riboprobe(商標) System T7(Promega、Madison、WI)、AmpliScribe(商標) T7高収率転写キット(Epicentre、Madison、WI)、及びHiScribe(商標) T7インビトロ転写キット(New England Biolabs、Ipswich、MA)からを含むいくつかのインビトロ転写システムが市販されている。特定の実施形態において、合成mRNAは、核酸を合成している企業(例えば、TriLink Biotechnologies、San Diego、CA)が合成可能である。
【0058】
合成mRNA又は他のヌクレオチドは環状にしてもよい。そのようなヌクレオチドは環状化する又はコンカテマー化して、ポリA結合タンパク質と5’-末端結合タンパク質の間の相互作用を支援する翻訳能力のある分子を作成してもよい。環状化又はコンカテマー化の機構は、少なくとも3つの異なる経路:1)化学的、2)酵素的、又は3)リボザイム触媒された、を通じて起こりうる。新たに形成された5’-/3’-結合は、分子内でも分子間でもよい。
【0059】
第1の経路において、ヌクレオチドの5’-末端及び3’-末端は、互いに接近すると分子の5’-末端と3’-末端の間に新たな共有結合を形成する化学反応性基を含有してよい。有機溶媒中でヌクレオチド分子の3’-末端の3’-アミノ末端ヌクレオチドが5’-NHSエステル部分に求核攻撃を受け新たな5’-/3’-アミド結合を形成するように、5’-末端はNHSエステル反応性基を含有してよく、3’-末端は3’-アミノ末端ヌクレオチドを含有してよい。
【0060】
第2の経路において、T4 RNAリガーゼを使用して5’-リン酸化ヌクレオチド分子を核酸の3’-ヒドロキシル基に酵素的に連結させて新たなホスホジエステル結合を形成してもよい。例となる反応では、1μgの核酸分子を、1~10ユニットのT4 RNAリガーゼ(New England Biolabs、Ipswich、MA)と製造業者のプロトコールに従って37℃で1時間インキュベートすることができる。ライゲーション反応は、並置した5’-と3’-領域の両方と塩基対合して酵素的ライゲーション反応を支援することができるスプリットオリゴヌクレオチドの存在下で起こりうる。
【0061】
第3の経路において、cDNA鋳型の5’-又は3’-末端は、インビトロ転写中に、得られるヌクレオチド分子が、核酸分子の5’-末端を核酸分子の3’-末端にライゲートすることができる活性なリボザイム配列を含有できるように、リガーゼリボザイム配列をコードする。リガーゼリボザイムは、グループIイントロン、デルタ肝炎ウイルス、ヘアピンリボザイム由来でもよく、又はSELEX(指数関数的濃縮によるリガンドの体系的な進化)により選択してもよい。リボザイムリガーゼ反応は0~37℃の温度で1~24時間かかる可能性がある。
【0062】
特定の実施形態において、ヌクレオチドは、例えば、活性化制御因子を発現するための配列(例えば、遺伝子)を含むことができるプラスミド、cDNA、又はmRNAを含む。適切なプラスミドは、標準プラスミドベクター及び遺伝子をリンパ球に移送するのに使用することができるミニサークルプラスミドを含む。ヌクレオチド(例えば、ミニサークルプラスミド)は、改変された細胞における一過性発現を促進するための任意の追加的配列情報をさらに含むことができる。例えば、ヌクレオチドは、ジェネラルプロモーター、組織特異的プロモーター、細胞特異的プロモーター、及び/又は細胞質に特異的なプロモーターなどのプロモーターを含むことができる。示されるように、プロモーター及びプラスミド(例えば、ミニサークルプラスミド)は、当技術分野において一般に周知であり、従来の技法を使用して調製することができる。
【0063】
特定の実施形態において、IRFをコードするヌクレオチドは、他のIRFをコードする1つ以上の追加のヌクレオチドと組み合わせて使用される。特定の実施形態において、IRFをコードするヌクレオチドは、他のIRFをコードする1つ以上の追加のヌクレオチドと及びIKKβをコードするヌクレオチドと組み合わせて使用される。特定の実施形態において、IRFをコードするヌクレオチドは、IKKβをコードするヌクレオチドと、0.5対1、1対1、2対1、3対1、4対1、5対1の比で組み合わせて使用される。特定の実施形態において、IRFをコードするヌクレオチドは、IKKβをコードするヌクレオチドと、3対1の比で組み合わせて使用される。
【0064】
特定の実施形態は、遺伝子編集システム内にヌクレオチドを送達することができる。遺伝子編集システムは、細胞の内在性ゲノムの特定の配列を改変する又はこれに影響を及ぼす。ゲノム編集システムは、標的化ゲノム編集、例えば、遺伝子破壊、相同組換えによる遺伝子編集、及びヒトゲノム内の適切な染色体標的部位に治療遺伝子を挿入する遺伝子療法に有用である。
【0065】
特定の実施形態は、遺伝子編集システムとして転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)を利用する。TALENとは、転写活性化因子様エフェクター(TALE)DNA結合ドメインとDNA切断ドメインを含む融合タンパク質のことである。TALENを使用して、DNA中に二本鎖切断(DSB)を誘導することにより遺伝子及びゲノムを編集し、この切断により細胞において修復機構が誘導される。一般的に、2つのTALENは、二量体化してDSBを誘導するためにDNA切断ドメインのための標的DNA部位のそれぞれの側に結合して隣接しなければならない。DSBは、非相同末端結合(NHEJ)により又は外来性二本鎖ドナーDNA断片との相同組換え(HR)により細胞内で修復される。
【0066】
示されるように、TALENは、例えば、内在性ゲノムの標的配列に結合し、標的配列の位置でDNAを切断するように操作されてきた。TALENのTALEは、サンドモナス属(Xanthomonas)細菌により分泌されるDNA結合タンパク質である。TALEのDNA結合ドメインは、高度に保存された33又は34個のアミノ酸リピートを含み、それぞれのリピートの12番目及び13番目位には多様な残基を抱えている。これら2つの位置は、リピート可変二残基(Repeat Variable Diresidue)(RVD)と呼ばれるが、特定のヌクレオチド認識と強い相関関係を示す。したがって、ターゲティング特異性は、RVDにおいてアミノ酸を変え従来にないRVDアミノ酸を組み込むことにより改善することができる。
【0067】
TALEN融合体において使用可能なDNA切断ドメインの例は、野生型及び変異Foklエンドヌクレアーゼである。Foklドメインは、標的配列上の部位のための独特のDNA結合ドメインを有する2つの構築物を必要とする二量体として機能する。Fokl切断ドメインは、2つの逆位半部位を分離する5つ又は6つの塩基対スペーサー配列内で切断する。
【0068】
特定の実施形態は、遺伝子編集システムとしてMegaTALを利用する。MegaTALは、TALEがメガヌクレアーゼのDNA切断ドメインと融合している一本鎖希少切断ヌクレアーゼ構造を有する。メガヌクレアーゼは、ホーミングエンドヌクレアーゼとしても知られるが、同じドメインにおいてDNA認識とヌクレアーゼ機能の両方を有する単一ペプチド鎖である。TALENとは対照的に、megaTALは機能的活性のために単一ペプチド鎖の送達だけを必要とする。
【0069】
特定の実施形態は、遺伝子編集システムとして亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を利用する。ZFNは、特定の位置でDNAに結合して切断するように操作された部位特異的ヌクレアーゼのクラスである。ZFNは、ZFNが種々の異なる細胞においてゲノム内の独特の配列を標的にすることを可能にするDNA配列中の特定の部位にDSBを導入するのに使用される。さらに、二本鎖切断に続いて、相同組換え又は非相同末端結合が起きてDSBを修復し、こうしてゲノム編集を可能にする。
【0070】
ZFNは、亜鉛フィンガーDNA結合ドメインをDNA切断ドメインに融合させることにより合成される。DNA結合ドメインは、転写因子である3~6つの亜鉛フィンガータンパク質を含む。DNA切断ドメインは、例えば、Foklエンドヌクレアーゼの触媒ドメインを含む。
【0071】
ガイドRNAは、例えば、CRISPR-Casシステムなどの遺伝子編集システムと一緒に使用することができる。CRISPR-Casシステムは、CRISPRリピート及びCRISPR会合遺伝子(Cas)のセットを含む。
【0072】
一般に、送達されたヌクレオチドの機能的発現をもたらすことができるいかなるシステムも、本開示内で使用することができる。しかし、特定の実施形態において、ウイルスベクターを利用する送達は排除される。
【0073】
(4)粒子。本明細書で開示されるシステム及び方法内で使用される粒子は、凝縮してヌクレオチドを酵素分解から保護するように機能することができる。この目的のために粒子内で使用するのに特に有用な材料は、正電荷脂質及び/又はポリ(βアミノエステル)(PbAE)を含むポリマーを含む。
【0074】
正電荷脂質の例は、ジパルミトイルホスファチジル酸又はジステアロイリホスファチジル酸とヒドロキシエチレンジアミンのエステルなどの、ホスファチジル酸とアミノアルコールのエステルを含む。正電荷脂質のさらに詳細な例は、3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエチル)カルバモイル]コレステロール(DC-chol);N,N’-ジメチル-N,N’-ジオクタデシルアンモニウムブロマイド(DDAB);N,N’-ジメチル-N,N’-ジオクタデシルアンモニウムクロライド(DDAC);1,2-ジオレオイルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムクロライド(DORI);1,2-ジオレオイルオキシ-3-[トリメチルアンモニオ]-プロパン(DOTAP);N-(1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA);ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC);1,2-ジオクタデシルオキシ-3-[トリメチルアンモニオ]-プロパン(DSTAP);及び、例えば、Martinら、Current Pharmaceutical Design 2005年、11、375~394頁に記載されるカチオン性脂質を含む。
【0075】
本開示の粒子内で使用可能な正電荷ポリマーの例は、ポリアミン;ポリ有機アミン(例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエチレンイミンセルロース);ポリ(アミドアミン)(PAMAM);ポリアミノ酸(例えば、ポリリジン(PLL)、ポリアルギニン);多糖(例えば、セルロース、デキストラン、DEAEデキストラン、デンプン);スペルミン、スペルミジン、ポリ(ビニルベンジルトリアルキルアンモニウム)、ポリ(4-ビニル-N-アルキル-ピリジニウム)、ポリ(アクリロイル-トリアルキルアンモニウム)、及びTatタンパク質を含む。
【0076】
脂質とポリマーの混合物も、いかなる濃度でも及びいかなる比でも使用可能である。種々の等級を使用して異なるポリマータイプを異なる比で混合すると、寄与ポリマーのそれぞれから借りてくる特徴をもたらすことができる。種々の末端基化学も採用することができる。
【0077】
本明細書で開示される特定の実施形態は、多孔質網を形成することができるいかなる材料から構築される多孔質粒子も利用可能である。例示的な材料は、金属、遷移金属及びメタロイドを含む。例示的な金属、遷移金属及びメタロイドは、リチウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム及びシリカを含む。特定の実施形態において、多孔質粒子はシリカを含む。メソ多孔質シリカの並外れた高表面積(1,000m2/gを上回る)により、リポソームなどの従来のDNA担体を上回るレベルでのヌクレオチド積載が可能になる。
【0078】
粒子は、楕円体の、立方状の、ピラミッド形の、長方形の、円柱状の、ドーナツ形の、及び同類の物を含む、種々の異なる形状で形成することができる。ヌクレオチドは、種々のやり方で粒子の孔に含むことができる。例えば、ヌクレオチドは多孔質粒子にカプセル化することができる。他の態様において、ヌクレオチドは、多孔質粒子の表面又は表面のすぐ下付近と会合する(例えば、共有結合的に及び/又は非共有結合的に)ことができる。特定の実施形態において、ヌクレオチドは、例えば、多孔質粒子の材料に組み込んで多孔質粒子に取り込むことができる。例えば、ヌクレオチドは、ポリマー粒子のポリマーマトリックス中に取り込むことができる。
【0079】
特定の実施形態において、本明細書に開示される粒子はコーティングを含む。コーティングはカプセル化されたヌクレオチドを遮蔽する及び/又はオフターゲット結合を減らす若しくは妨げる働きをすることができる。オフターゲット結合は、粒子の表面電荷を中性又は負に下げることにより減らされる又は妨げられる。本明細書の別の場所でさらに詳細に開示されているように、コーティングは、中性又は負電荷ポリマー-及び/又はリポソームベースのコーティングを含むことができる。特定の実施形態において、コーティングは、カプセル化されたヌクレオチドが免疫細胞中に放出される前に環境に曝露されることを防ぐのに十分に親水性の及び/又は中性電荷親水性ポリマーの高密度表面コーティングである。特定の実施形態において、コーティングは、粒子の表面の少なくとも80%又は少なくとも90%を覆う。特定の実施形態において、コーティングは、ポリグルタミン酸(PGA)を含む。特定の実施形態において、PGAは、ターゲティングリガンドを粒子に結合させるリンカーとしての役割を果たす。特定の実施形態において、PGAは、ジマンノースを粒子に結合させるリンカーとしての役割を果たす。特定の実施形態において、コーティングはヒアルロン酸を含む。
【0080】
本開示の実施形態内でコーティングとして使用可能な中性電荷ポリマーの例は、ポリエチレングリコール(PEG);ポリ(プロピレングリコール);及びポリアルキレンオキシド共重合体(PLURONIC(登録商標)、BASF Corp.、Mount Olive、NJ)を含む。
【0081】
中性電荷ポリマーは双性イオンポリマーも含む。双性イオンとは、正電荷と負電荷の両方を有しつつ全体的な電荷的中性という特性のことである。双性イオンポリマーは、細胞及びタンパク質接着に抵抗する細胞膜の領域のような振る舞いができる。
【0082】
双性イオンポリマーは、ペンダント基(すなわち、ポリマー骨格から垂れ下がった基)を双性イオン基と一緒に含む双性イオン構成単位を含む。例示的な双性イオンペンダント基は、カルボキシベタイン基(例えば、-Ra-N+(Rb)(Rc)-Rd-CO2-、Raはポリマー骨格をカルボキシベタイン基のカチオン窒素中心に共有結合的に連結させるリンカー基であり、Rb及びRcは窒素置換基であり、Rdはカチオン窒素中心をカルボキシベタイン基のカルボキシ基に共有結合的に連結させるリンカー基である)。
【0083】
負電荷ポリマーの例は、アルギン酸類;カルボン酸多糖類;カルボキシメチルセルロース;カルボキシメチルセルロースシステイン;カラゲナン(例えば、GELCARIN(登録商標)209、GELCARIN(登録商標)379、FMC Corporation、Philadelphia、PA);コンドロイチン硫酸;グリコサミノグリカン;ムコ多糖類;負電荷多糖類(例えば、デキストラン硫酸);ポリ(アクリル酸);ポリ(D-アスパラギン酸);ポリ(L-アスパラギン酸);ポリ(L-アスパラギン酸)ナトリウム塩;ポリ(D-グルタミン酸);ポリ(L-グルタミン酸);ポリ(L-グルタミン酸)ナトリウム塩;ポリ(メタクリル酸);アルギン酸ナトリウム(例えば、PROTANAL(商標)LF 120M、PROTANAL(商標)LF 200M、PROTANAL(商標)LF 200D、FMC Biopolymer Corp.、Drammen、Norway);カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC);硫酸化多糖類(ヘパリン、アガロペクチン);ペクチン、ゼラチン及びヒアルロン酸を含む。
【0084】
特定の実施形態において、本明細書に開示されるポリマーは、「星型ポリマー」を含むことができ、これは2つ以上のポリマー枝がコアから伸びている分岐ポリマーのことである。コアは、2つ以上の官能基を有する原子団であり、そこから分岐鎖を重合により伸ばすことができる。特定の実施形態において、本開示のナノ粒子は星型ポリマーを含む。特定の実施形態において、本開示のナノ粒子は星型ポリマー及びコーティングを含む。特定の実施形態において、本開示のナノ粒子は星型ポリマー及びPGAを含むコーティングを含む。特定の実施形態において、本開示のナノ粒子は星型ポリマー及びヒアルロン酸を含むコーティングを含む。
【0085】
特定の実施形態において、分岐鎖は双性イオン又は負電荷ポリマー分岐鎖である。星型ポリマーは、分岐鎖前駆体を、加水分解、紫外線照射、又は熱により双性イオン又は負電荷ポリマーに変換することができる。ポリマーも、原子移動ラジカル重合(ATRP)、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)、光重合、開環重合(ROP)、濃縮、マイケル付加、分岐生成/成長反応、又は他の反応を含む、不飽和単量体の重合に効果的ないかなる重合法によって得てもよい。
【0086】
リポソームは、少なくとも1つの同心脂質二重層を含む微細小嚢である。小嚢形成脂質は、最終複合体の流動性又は強剛性の指定度を達成するように選択される。特定の実施形態において、リポソームは、多孔質粒子を取り囲む外層である脂質組成物を提供する。特定の実施形態において、本開示のナノ粒子はリポソームナノ粒子を含む。
【0087】
リポソームは、中性(コレステロール)又は双極性が可能であり、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルイノシトール(PI)、及びスフィンゴミエリン(SM)などのリン脂質、並びに炭化水素鎖長が14~22の範囲であり、飽和している、又は1つ以上の二重C=C結合を有するジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を含む他のタイプの双極性脂質を含む。単独で、又は他の脂質成分と組み合わせて安定なリポソームを作成することができる脂質の例は、水素化ダイズホスファチジルコリン(HSPC)、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)及び、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミド-メチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)などのリン脂質である。リポソーム中に組み込むことができる追加のリンを含有しない脂質は、ステアリルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ミリスチン酸イソプロピル、トリエタノールアミンラウリル硫酸、アルキルアリール硫酸、アセチルパルミテート、グリセロールリシノレート、ヘキサデシルステアレート、両性アクリルポリマー、ポリエチルオキシル化脂肪酸アミド、DDAB、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド(DODAC)、1,2-ジミリストイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DMTAP)、DOTAP、DOTMA、DC-Chol、ホスファチジン酸(PA)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、DOPG、及びリン酸ジセチルを含む。特定の実施形態において、本明細書に開示されるリポソームを作り出すのに使用される脂質は、コレステロール、水素化ダイズホスファチジルコリン(HSPC)及び誘導体化小嚢形成脂質PEG-DSPEを含む。
【0088】
リポソームを形成する方法は、例えば、米国特許第4,229,360号、米国特許第4,224,179号、米国特許第4,241,046号、米国特許第4,737,323号、米国特許第4,078,052号、米国特許第4,235,871号、米国特許第4,501,728号、及び米国特許第4,837,028号に、並びにSzokaら、Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467頁(1980)及びHopeら、Chem.Phys.Lip.40:89頁(1986)に記載されている。
【0089】
粒子のサイズは、広範囲にわたって変動することがあり、異なる方法で測定可能である。好ましい実施形態において、粒子はサイズがNP<130nmである。しかし、本開示のNPは、500nmに等しい若しくはそれ未満、150nm未満、140nm未満、120nm未満、110nm未満、100nm未満、90nm未満、80nm未満、70nm未満、60nm未満、50nm未満、40nm未満、30nm未満、20nm未満、又は10nm未満の最小寸法を有することも可能である。特定の実施形態において、粒子はサイズがNP90~130nmである。
【0090】
特定の実施形態において、NPは、5nm~500nm、10nm~100nm、20nm~90nm、30nm~80nm、40nm~70nm、及び40nm~60nmの範囲に及ぶ最小寸法を持つことができる。特定の実施形態において、寸法は、NP又は被覆NPの径である。特定の実施形態において、本開示の粒子の集団は、500nmに等しい若しくはそれ未満、100nm未満、90nm未満、80nm未満、70nm未満、60nm未満、50nm未満、40nm未満、30nm未満、20nm未満、又は10nm未満の平均最小寸法を有することも可能である。特定の実施形態において、本開示の組成物中のNPの集団は、5nm~500nm、10nm~100nm、20nm~90nm、30nm~80nm、40nm~70nm、及び40nm~60nm、70nm~130nm又は75nm~125nmの範囲に及ぶ平均径を持つことができる。粒子の寸法は、例えば、動的光散乱及び/又は電子顕微鏡などの従来の技法を使用して決定することができる。好ましくはないが、特定の実施形態において、微小粒子も使用できると考えられる。
【0091】
特定の実施形態において、PbAEポリマーは、ヌクレオチド(例えば、インビトロ転写されたmRNA)と、20対1、30対1、40対1、50対1、60対1、70対1、80対1、90対1、100対1、又はそれよりも多い比で混合させ、PbAE-ヌクレオチドポリプレックスを作成する。特定の実施形態において、PbAEポリマーは、ヌクレオチド(例えば、インビトロ転写されたmRNA)と60対1の比で混合させ、PbAE-ヌクレオチドポリプレックスを作成する。特定の実施形態において、PbAE-ヌクレオチドポリプレックスはPGA/Di-マンノースと組み合わせて最終NPを形成することができる。
【0092】
(5)ターゲティングリガンド。ターゲティングリガンドは粒子の表面上で使用可能であり、異種細胞集団内で目的の免疫細胞のより選択的な結合をもたらすことができる。
【0093】
特定の実施形態において、ターゲティングリガンドは、細胞マーカーリガンド、受容体リガンド、抗体、ペプチド、ペプチドアプタマー、核酸、核酸アプタマー、スピーゲルマー又はこれらの組合せに由来する結合ドメインを含む。特定の実施形態において、細胞ターゲティングリガンドという文脈内において、結合ドメインは、別の物質に結合してエンドサイトーシスを媒介することができる複合体を形成する任意の物質を含む。
【0094】
特定の実施形態において、結合ドメインは抗体に由来する。抗体に由来する結合ドメインは、全抗体を含むことができる、又は抗体の結合断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fc、及び一本鎖Fv断片(scFv)又は免疫細胞により発現される標的化モチーフに特異的に結合する免疫グロブリンの任意の生物学的に効果的な断片を含むことができる。抗体又は抗原結合断片は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、合成抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、ミニ抗体、及び線形抗体のすべて又は一部を含む。
【0095】
ヒト起源由来の抗体又はヒト化抗体はヒトでの免疫原性が低くなっている又はなく、非ヒト抗体と比べて非免疫原性エピトープの数が少ない。抗体及びこれらの断片は一般に、ヒト対象において抗原性のレベルが低下する又はないように選択される。
【0096】
免疫細胞により発現されるモチーフに特異的に結合する抗体は、モノクローナル抗体を得る方法、ファージディスプレイの方法、ヒト若しくはヒト化抗体を作成する方法、又は当業者には公知である抗体を産生するように操作されたトランスジェニック動物若しくは植物を使用する方法(例えば、米国特許第6,291,161号、米国特許第6,291,158号参照)を使用して調製することができる。部分又は完全合成抗体のファージディスプレイライブラリーが入手可能であり、これを免疫細胞モチーフに結合することができる抗体又はこの断片を求めてスクリーニングすることができる。例えば、結合ドメインは、目的の標的に特異的に結合するFab断片を求めてFabファージライブラリーをスクリーニングすることにより同定しうる(Hoetら、Nat.Biotechnol.23:344頁、2005年参照)。ヒト抗体のファージディスプレイライブラリーも利用可能である。さらに、便利な系(例えば、マウス、HuMAbマウス(登録商標)、TCマウス(商標)、KMマウス(登録商標)、ラマ、ニワトリ、ラット、ハムスター、ウサギ、等)において免疫原として目的の標的を使用するハイブリドーマ開発のための従来の戦略を使用すれば、結合ドメインを開発することができる。特定の実施形態において、抗体は選択された免疫細胞により発現されるモチーフに特異的に結合し、非特異的成分にも無関係な標的にも交差反応しない。同定された後は、抗体をコードするアミノ酸配列又はヌクレオチド配列は、単離する及び/又は決定することができる。
【0097】
無傷の抗体は、ジスルフィド結合により相互接続される少なくとも2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含むことができる。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてVH又はVHと略記される)と重鎖定常領域で構成されている。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2及びCH3を含む。それぞれの軽鎖は軽鎖可変領域(本明細書においてVL又はVLと略記される)及び軽鎖定常領域で構成されている。軽鎖定常領域は1つのドメイン、CLを含む。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存されている領域により分散された、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる高頻度可変性の領域にさらに細分化することができる。それぞれのVH及びVLは、3つのCDR及び4つのFRで構成されており、アミノ末端からカルボキシ末端へ次の順番:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4に配置されている。重及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1成分(Clq)を含む宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介することができる。特定の実施形態において、抗体は、無傷の抗体のうち結合能力を保持する抗原結合部分を含む。結合能力を保持する断片の例は、(i)VL、VH、CL及びCH1ドメインを含む一価断片である、Fab断片;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFab断片を含む二価断片である、F(ab’)2断片;(iii)VH及びCH1ドメインを含むFd断片;(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインを含むFv断片;(v)VHドメインを含む、dAb断片(Wardら、Nature、341:544~546頁(1989));並びに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)を含む。
【0098】
所与のCDR又はFRの正確なアミノ酸配列境界は、Kabatら、(1991)「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、5th Ed.Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(Kabat numbering scheme);Al-Lazikaniら、(1997)J Mol Biol 273:927~948頁(Chothia numbering scheme);Maccallumら、(1996)J Mol Biol 262:732~745頁(Contact numbering scheme);Martinら、(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.、86:9268~9272頁(AbM numbering scheme);Lefranc M Pら、(2003)Dev Comp Immunol 27(1):55~77頁(IMGT numbering scheme);及びHonegger and Pluckthun(2001)J Mol Biol 309(3):657~670頁(「Aho」numbering scheme)により記載される方式を含む、いくつかの周知の方式のいずれかを使用して容易に決定することができる。所与のCDR又はFRの境界は、同定のために使用される方式に応じて変動することがある。例えば、Kabat方式は構造アライメントに基づいており、Chothia方式は構造情報に基づいている。KabatとChothia方式両方の番号付けは、最も一般的な抗体領域配列長に基づいており、挿入は、挿入文字、例えば、「30a」により順応され、欠失は一部の抗体に現れる。2つの方式は、ある特定の挿入と欠失(「indel」)を異なる位置に置き、異なる番号付けが生じる。Contact方式は、複合体結晶構造の分析に基づいており、多くの点でChothia番号付け方式に類似している。特定の実施形態において、本明細書に開示される抗体CDR配列は、Kabat番号付けに従っている。特定の実施形態において、CDR領域は、以下の通り、軽鎖において、CDRL1はアミノ酸24~34であり;CDRL2はアミノ酸50~56であり;CDRL3はアミノ酸89~97であり、重鎖において、CDRH1はアミノ酸31~35であり;CDRH2はアミノ酸50~65であり;CDRH3はアミノ酸95~102である、Kabatにより番号付けされた抗体領域内に見出される。
【0099】
ペプチドアプタマーは、両末端でタンパク質スキャフォールドに結合しているペプチドループ(標的タンパク質に特異的である)を含む。この二重の構造上の制約は、ペプチドアプタマーの結合親和性を抗体に匹敵するレベルにまで大いに増やす。可変性のループ長は典型的には、8~20アミノ酸(例えば、8~12アミノ酸)であり、スキャフォールドは、安定で、可溶性で、小型で、非毒性のいかなるタンパク質(例えば、チオレドキシン-A、ステフィンA三重変異体、緑色蛍光タンパク質、エグリンC、及び細胞転写因子Spl)でもよい。ペプチドアプタマー選択は、酵母ツーハイブリッド法(例えば、Gal4酵母ツーハイブリッド法)又はLexAインターラクショントラップシステムなどの異なるシステムを使用して行うことができる。
【0100】
核酸アプタマーは、Osborneら、Curr.Opin.Chem.Biol.1:5~9頁、1997年;及びCerchiaら、FEBS Letters 528:12~16頁、2002年により記載されるように、標的タンパク質又は他の分子への高親和性で及び特異性での結合を指示する特定の球状構造に折り畳まることにより機能する一本鎖ヌクレオチド配列(DNA又はRNA)である。特定の実施形態において、アプタマーは小さい(15kD;又は15~80ヌクレオチド若しくは20~50ヌクレオチド)。アプタマーは一般には、SELEX(例えば、Tuerkら、Science、249:505~510頁、1990年;Greenら、Methods Enzymology.75~86頁、1991年;及びGoldら、Annu.Rev.Biochem.、64:763~797頁、1995年参照)と呼ばれる手順により1014~1015ランダムオリゴヌクレオチド配列を含むライブラリーから単離される。アプタマーを作成するさらなる方法は、例えば、米国特許第6,344,318号、米国特許第6,331,398号、米国特許第6,110,900号、米国特許第5,817,785号、米国特許第5,756,291号、米国特許第5,696,249号、米国特許第5,670,637号、米国特許第5,637,461号、米国特許第5,595,877号、米国特許第5,527,894号、米国特許第5,496,938号、米国特許第5,475,096号、及び米国特許第5,270,16号に記載されている。スピーゲルマーは、少なくとも1つのβ-リボースユニットがβ-D-デオキシリボース、又は、例えば、β-D-リボース、α-D-リボース、β-L-リボースから選択される改変糖ユニットにより置き換えられていることを除いて、核酸アプタマーに類似している。
【0101】
特定の実施形態において、標的化細胞はTAMである。標的化細胞は、制御性T細胞(TREG)も含むことができると考えられる。TREGはT細胞の亜集団であり、T細胞は免疫系を調節し、自己抗原に対する寛容を維持し、自己免疫疾患を抑制する。TREGは、CD25、CTLA-4、GITR、GARP及びLAPを発現する。本明細書に開示される選択された細胞ターゲティングリガンドは、CD25、CTLA-4、GITR、GARP及び/又はLAPに結合して、ナイーブTREGへのヌクレオチドの選択的送達を達成することができる。標的にすることができる他の細胞型は、骨髄系由来サプレッサー細胞(MDSC)、調節性樹状細胞(DCreg)、好中球、ヘルパーT17細胞(Th17)、制御性B細胞(Breg)、及び/又は間葉系間質細胞(MSC)を含む。当業者であれば、本明細書に開示されるターゲティングリガンドを利用してこれらの細胞型を標的にするのに適切な細胞マーカーを同定することができる。
【0102】
M2結合ドメイン。特定の実施形態において、Egr2はM2マクロファージ上で標的にされる。Egr2についての市販の抗体は、Thermo Fisher、Waltham、MA;Abcam、Cambridge、MA;Millipore Sigma、Burlington、MA;Miltenyi Biotec、Bergisch Gladbach、Germany;LifeSpan Biosciences、Inc.、Seattle、WA;and Novus Biologicals、Littleton、COから入手可能である。抗Egr2抗体の産生は、例えば、Murakami Kら、(1993)Oncogene 8(6):1559~1566頁で考察されている。抗Egr2抗体は:ウサギモノクローナル抗Egr2抗体クローンEPR4004;マウスモノクローナル抗Egr2抗体クローン1G5;マウスモノクローナル抗Egr2抗体クローンOTI1B12;ヒトEgr2のAA残基200~300を認識するウサギポリクローナル抗Egr2抗体;ヒトEgr2のAA残基340~420を認識するウサギポリクローナル抗Egr2抗体;及びヒトEgr2のAA残基370~420を認識するウサギポリクローナル抗Egr2抗体を含む。結合ドメインはこれらの抗体及び本明細書に開示される他の抗体由来が可能である。
【0103】
特定の実施形態において、ターゲティングリガンドは、SGNIFSINAIG(配列番号45)を含むCDRH1配列、TITLSGSTN(配列番号46)を含むCDRH2配列、及びNTYSDSDVYGY(配列番号47)を含むCDRH3配列を含む可変重鎖を含むヒト又はヒト化結合ドメイン(例えば、ナノボディ)を含む。これらは、CD206に結合するCDR配列を反映している。
【0104】
特定の実施形態において、ターゲティングリガンドは、PGFKLDYYAIA(配列番号48)を含むCDRH1配列、SINSSGGST(配列番号49)を含むCDRH2配列、及びLRRYYGLNLDPGSYDY(配列番号50)を含むCDRH3配列を含む可変重鎖を含むヒト又はヒト化結合ドメイン(例えば、ナノボディ)を含む。これらは、CD206に結合するCDR配列を反映している。
【0105】
特定の実施形態において、ターゲティングリガンドは、GFPFNIYPMS(配列番号51)を含むCDRH1配列、YISHGGTTT(配列番号52)を含むCDRH2配列、及びGYARLMTDSELV(配列番号53)を含むCDRH3配列を含む可変重鎖を含むヒト又はヒト化結合ドメイン(例えば、ナノボディ)を含む。これらは、CD206に結合するCDR配列を反映している。
【0106】
CD206に特異的ないくつかの追加の抗体は当業者には公知であり、配列、エピトープ結合、及び親和性について容易に特徴付けることができる。例えば、国際特許第2014/140376号パンフレット、国際特許第2013/174537号パンフレット、米国特許第7,560,534号を参照されたい。CD206についての市販の抗体は、Thermo Fisher、Waltham、MA;Proteintech、Rosemont、IL;BioLegend、San Diego、CA;R&D Systems、Minneapolis、MN;LifeSpan Biosciences、Inc.、Seattle、WA;Novus Biologicals、Littleton、CO;及びBio-Rad、Hercules、CAから入手可能である。特定の実施形態において、抗CD206抗体は、ラットモノクローナル抗マウスCD206モノクローナル抗体クローンC068C2(カタログ#141732、Biolegend、San Diego、CA)を含む。
【0107】
特定の実施形態において、ターゲティングリガンドは、ASQSVSHDV(配列番号54)を含むCDRL1配列、YTSを含むCDRL2配列、及びQDYSSPRT(配列番号56)を含むCDRL3配列を含む可変軽鎖を含むヒト又はヒト化結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。特定の実施形態において、ターゲティングリガンドは、GYSITSDY(配列番号57)を含むCDRH1配列、YSGを含むCDRH2配列、及びCVSGTYYFDYWG(配列番号59)を含むCDRH3配列を含む可変重鎖を含むヒト又はヒト化結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。これらは、CD163に結合するMac2-48抗体のCDR配列を反映している。
【0108】
特定の実施形態において、ターゲティングリガンドは、ASQSVSSDV(配列番号60)を含むCDRL1配列、YASを含むCDRL2配列、及びQDYTSPRT(配列番号62)を含むCDRL3配列を含む可変軽鎖を含むヒト又はヒト化結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。特定の実施形態において、ターゲティングリガンドは、GYSITSDY(配列番号63)を含むCDRH1配列、YSGを含むCDRH2配列、及びCVSGTYYFDYWG(配列番号65)を含むCDRH3配列を含む可変重鎖を含むヒト又はヒト化結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。これらは、CD163に結合するMac2-158抗体のCDR配列を反映している。
【0109】
CD163に特異的ないくつかの追加の抗体又は結合ドメインは当業者には公知であり、配列、エピトープ結合、及び親和性について容易に特徴付けることができる。例えば、国際特許第2011/039510号パンフレット、国際特許第2002/032941号パンフレット、国際特許第2002/076501号パンフレット、及び米国特許出願公開第2005/0214871号参照を参照されたい。CD163についての市販の抗体は、Thermo Fisher、Waltham、MA;Enzo Life Sciences、Inc.、Farmingdale、NY;BioLegend、San Diego、CA;R&D Systems、Minneapolis、MN;LifeSpan Biosciences、Inc.、Seattle、WA;及びRDI Research Diagnostics、Flanders、NJから入手可能である。特定の実施形態において、抗CD163抗体は、マウスモノクローナル抗CD163抗体クローン3D4;マウスモノクローナル抗CD163抗体クローンBer-Mac3;マウスモノクローナル抗CD163抗体クローンEDHu-1;及びマウスモノクローナル抗CD163抗体クローンGHI/61を含むことができる。
【0110】
特定の実施形態において、ターゲティングリガンドは、RSSKSLLYKDGKTYLN(配列番号66)を含むCDRL1配列、LMSTRAS(配列番号67)を含むCDRL2配列、及びQQLVEYPFT(配列番号68)を含むCDRL3配列を含む可変軽鎖を含むヒト又はヒト化結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。特定の実施形態において、ターゲティングリガンドは、GYWMS(配列番号69)を含むCDRH1配列、EIRLKSDNYATHYAESVKG(配列番号70)を含むCDRH2配列、及びFIDを含むCDRH3配列を含む可変重鎖を含むヒト又はヒト化結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。これらは、CD23に結合するCDR配列を反映している。
【0111】
CD23に特異的ないくつかの追加の抗体又は結合ドメインは当業者には公知であり、配列、エピトープ結合、及び親和性について容易に特徴付けることができる。例えば、米国特許第7,008,623号、米国特許第6,011,138号(5E8、6G5、2C8、B3B1及び3G12を含む抗体)、及び米国特許出願公開第2009/0252725号、Rectorら、(1985)J.Immunol.55:481~488頁;Flores-Rumeoら、(1993)Science 241:1038~1046頁;Sherrら、(1989)J.Immunol.142:481~489頁;及びPeneら、(1988)PNAS 85:6820~6824頁を参照されたい。CD23についての市販の抗体は、Thermo Fisher、Waltham、MA;Abcam、Cambridge、MA;Bioss Antibodies、Inc.、Woburn、MA;Bio-Rad、Hercules、CA;LifeSpan Biosciences、Inc.、Seattle、WA;及びBoster Biological Technology、Pleasanton、CAから入手可能である。特定の実施形態において、抗CD23抗体は、マウスモノクローナル抗CD23抗体クローンTu1;ウサギモノクローナル抗CD23抗体クローンSP23;ウサギモノクローナル抗CD23抗体クローンEPR3617;マウスモノクローナル抗CD23抗体クローン5B5;マウスモノクローナル抗CD23抗体クローン1B12;マウスモノクローナル抗CD23抗体クローンM-L23.4;及びマウスモノクローナル抗CD23抗体クローン3A2を含むことができる。
【0112】
M1結合ドメイン。特定の実施形態において、ターゲティングリガンドは、SSNIGDNY(配列番号72)を含むCDRL1配列、RDSを含むCDRL2配列、及びQSYDSSLSGS(配列番号74)を含むCDRL3配列を含む可変軽鎖を含むヒト又はヒト化結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。特定の実施形態において、ターゲティングリガンドは、GFTFDDYG(配列番号75)を含むCDRH1配列、ISWNGGKT(配列番号76)を含むCDRH2配列、及びARGSLFHDSSGFYFGH(配列番号77)を含むCDRH3配列を含む可変重鎖を含むヒト又はヒト化結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。これらは、CD38に結合するAb79抗体のCDR配列を反映している。
【0113】
特定の実施形態において、ターゲティングリガンドは、NSNIGSNT(配列番号78)を含むCDRL1配列、SDSを含むCDRL2配列、及びQSYDSSLSGSR(配列番号80)を含むCDRL3配列を含む可変軽鎖を含むヒト又はヒト化結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。特定の実施形態において、ターゲティングリガンドは、GFTFNNYG(配列番号81)を含むCDRH1配列、ISYDGSDK(配列番号82)を含むCDRH2配列、及びARVYYYGFSGPSMDV(配列番号83)を含むCDRH3配列を含む可変重鎖を含むヒト又はヒト化結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。これらは、CD38に結合するAb19抗体のCDR配列を反映している。
【0114】
特定の実施形態において、ターゲティングリガンドは、RASQSVSSYLA(配列番号84)を含むCDRL1配列、DASNRAT(配列番号85)を含むCDRL2配列、及びQQRSNWPPTF(配列番号86)を含むCDRL3配列を含む可変軽鎖を含むヒト又はヒト化結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。特定の実施形態において、ターゲティングリガンドは、SFAMS(配列番号87)を含むCDRH1配列、AISGSGGGTYYADSVKG(配列番号88)を含むCDRH2配列、及びDKILWFGEPVFDY(配列番号89)を含むCDRH3配列を含む可変重鎖を含むヒト又はヒト化結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。これらは、米国特許第7,829,693号に記載されるCD38に結合するダラツムマブ抗体のCDR配列を反映している。
【0115】
CD38に特異的ないくつかの抗体は当業者には公知であり、配列、エピトープ結合、及び親和性について容易に特徴付けることができる。例えば、国際公開第2005/103083号パンフレット、国際公開第2006/125640号パンフレット、国際公開第2007/042309号パンフレット、国際公開第2008/047242号パンフレット、国際公開第2012/092612号パンフレット、国際公開第2006/099875号パンフレット、国際公開第2011/154453号パンフレット、国際公開第2015/130728号パンフレット、米国特許第7,829,693号、及び米国特許出願公開第2016/0200828号を参照されたい。CD38についての市販の抗体は、Thermo Fisher、Waltham、MA;Abcam、Cambridge、MA;及びMillipore Sigma、Burlington、MAから入手可能である。特定の実施形態において、抗CD23抗体は、ウサギモノクローナル抗CD38抗体クローンGAD-3;マウスモノクローナル抗CD38抗体クローンHIT2;マウスモノクローナル抗CD38抗体クローンAT1;マウスモノクローナル抗CD38抗体クローンAT13/5;ラットモノクローナル抗CD38抗体クローンNIMR-5;及びラットモノクローナルIgG2a、κ抗CD38抗体クローン90/CD38(カタログ#BD Biosciences、San Jose、CA)を含むことができる。
【0116】
特定の実施形態において、Gタンパク質共役受容体18(Gpr18)はM1マクロファージ上で標的にされる。Gpr18についての市販の抗体は、Assay Biotechnology Company Inc.、Sunnyvale、CA;Thermo Fisher、Waltham、MA;Abcam、Cambridge、MA;GeneTex、Inc.、Irvine、CA;及びNovus Biologicals、Littleton、COから入手可能である。特定の実施形態において、抗Gpr18抗体は、ヒトGpr18のアミノ酸1~50の一部を認識するウサギポリクローナル抗Gpr18抗体;ヒトGpr18のアミノ酸160~240を含む領域を認識するウサギポリクローナル抗Gpr18抗体;ヒトGpr18のアミノ酸100~180を含む領域を認識するウサギポリクローナル抗Gpr18抗体;ウサギモノクローナル抗Gpr18抗体クローンEPR12359;及びヒトGpr18のアミノ酸140~190を含む領域を認識するウサギポリクローナル抗Gpr18抗体を含む。
【0117】
特定の実施形態において、ホルミルペプチド受容体2(Fpr2)はM1マクロファージ上で標的にされる。Fpr2についての市販の抗体は、Atlas Antibodies、Bromma、Sweden;Biorbyt、LLC、San Francisco、CA;Cloud-Clone Corp.、Katy、TX;US Biological Life Sciences、Salem、MA;及びNovus Biologicals、Littleton、COから入手可能である。特定の実施形態において、抗fpr2抗体は、マウスモノクローナル抗fpr2抗体クローンGM1D6;マウスモノクローナル抗fpr2抗体クローン304405;組換え抗fpr2抗体クローンREA663;及びfpr2のアミノ酸300~350を含む領域を認識するウサギポリクローナル抗fpr2抗体を含む。
【0118】
特定の実施形態において、ターゲティングリガンドは、RASQSVSSYLA(配列番号90)を含むCDRL1配列、DASSRAT(配列番号91)を含むCDRL2配列、及びQLRSNWPPYT(配列番号92)を含むCDRL3配列を含む可変軽鎖を含むヒト又はヒト化結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。特定の実施形態において、ターゲティングリガンドは、GYGMH(配列番号93)を含むCDRH1配列、VIWYDGSNKYYADSVKG(配列番号94)を含むCDRH2配列、及びDTGDRFFDY(配列番号95)を含むCDRH3配列を含む可変重鎖を含むヒト又はヒト化結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。これらは、CD64に結合するCDR配列を反映している。
【0119】
CD64に特異的ないくつかの抗体は当業者には公知であり、配列、エピトープ結合、及び親和性について容易に特徴付けることができる。例えば、米国特許第7,378,504号、国際公開第2006/131953号パンフレット、及び国際公開第2008/074867号パンフレットを参照されたい。CD64についての市販の抗体は、Ancell、Bayport、MN;Thermo Fisher、Waltham、MA;Abcam、Cambridge、MA;LifeSpan Biosciences、Inc.、Seattle、WA;及びNovus Biologicals、Littleton、COから入手可能である。特定の実施形態において、抗CD64抗体は、マウスモノクローナル抗CD64抗体クローン32-2;マウスモノクローナル抗CD64抗体クローンUMAB74;ラットモノクローナル抗CD64抗体クローン290322;マウスモノクローナル抗CD64抗体クローン10.1;及びマウスモノクローナル抗CD64抗体クローン1D3を含む。
【0120】
特定の実施形態において、CD86はM1マクロファージ上で標的にされる。CD86に特異的ないくつかの抗体は当業者には公知であり、配列、エピトープ結合、及び親和性について容易に特徴付けることができる。例えば、国際公開第2004/076488号パンフレット、米国特許第8,378,082号(mAb 2D4)、及び米国特許第6,346,248号(IG10H6D10)を参照されたい。CD86についての市販の抗体は、Thermo Fisher、Waltham、MA;Miltenyi Biotec、Bergisch Gladbach、Germany;LifeSpan Biosciences、Inc.、Seattle、WA;Bio-Rad、Hercules、CA;及びNovus Biologicals、Littleton、COから入手可能である。特定の実施形態において、抗CD86抗体は、マウスモノクローナル抗CD86抗体クローンBU63;ヒトCD86のAla23~His244を含む領域を認識するポリクローナルヤギ抗CD86抗体;マウスモノクローナル抗CD86抗体クローンIT2.2;ウサギモノクローナル抗CD86抗体クローンBFF-3;及びマウスモノクローナル抗CD86抗体クローンC86/1146を含む。
【0121】
ポリ(エチレンイミン)/DNA(PEI/DNA)複合体などの、リンパ球及び/又はリンパ球のトランスフェクションによる内部移行を促進することができる他の薬剤も使用することができる。
【0122】
(6)組成物。本明細書に開示される粒子は、対象への投与のために処方される組成物の一部として提供することができる。組成物は、本明細書に開示される粒子及び薬学的に許容される担体を含む。
【0123】
例示的な一般に使用される薬学的に許容される担体は、ありとあらゆる充填剤若しくはフィラー、溶媒若しくは共溶媒、分散媒、被覆剤、界面活性剤、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE)、保存剤、等張化剤、吸収遅延剤、塩、安定化剤、緩衝剤、キレート剤(例えば、EDTA)、ゲル、結合剤、崩壊剤、及び/又は潤滑剤を含む。
【0124】
例示的な緩衝剤は、クエン酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、酒石酸緩衝剤、フマル酸緩衝剤、グルコン酸緩衝剤、シュウ酸緩衝剤、乳酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤及び/又はトリメチルアミン塩を含む。
【0125】
例示的な保存剤は、フェノール、ベンジルアルコール、メタクレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンザルコニウムハロゲン化物、塩化ヘキサメトニウム、メチル又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール及び3-ペンタノールを含む。
【0126】
例示的な等張剤は、グリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール又はマンニトールなどの三価又は高級糖アルコールを含む多価糖アルコールを含む。
【0127】
例示的な安定化剤は、有機糖、多価糖アルコール、ポリエチレングリコール、硫黄含有還元剤、アミノ酸、低分子量ポリペプチド、タンパク質、免疫グロブリン、親水性ポリマー又は多糖を含む。
【0128】
特定の実施形態において、組成物は、腹腔内、静脈内、又は頭蓋内注射用に処方される。本明細書に開示される組成物は、さらに動脈内、リンパ節内、リンパ内、腫瘍内、筋肉内、経口、及び/又は皮下投与用に処方することができ、さらに詳細には、動脈内、リンパ節内、リンパ内、腫瘍内、筋肉内、及び/又は皮下注射による。本明細書に開示される組成物は、注入、灌流、又は経口摂取による投与用に処方することができる。
【0129】
注射に関して、組成物は、ハンクス液、リンゲル液、又は生理食塩水を含む緩衝液などの水溶液として処方可能である。水溶液は、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤などの調合剤を含有することができる。あるいは、製剤は、使用前に、適切な溶媒、例えば、減菌発熱性物質除去水で構成するための凍結乾燥及び/又は粉末形態が可能である。
【0130】
組成物はデポ製剤としても処方することができる。デポ製剤は、適切なポリマー若しくは疎水性材料(例えば、許容可能な油中の乳剤として)又はイオン交換樹脂を用いて、又はやや難溶性の誘導体として、例えば、やや難溶性の塩として処方することができる。
【0131】
さらに、組成物は、粒子を含有する固体ポリマーの半透性マトリックスを利用して徐放性製剤として処方することができる。種々の徐放性材料が確立されており、当業者には周知である。徐放性製剤は、その化学的性質に応じて、投与に続いて数週間から100日を超えるまでの間粒子を放出しうる。
【0132】
経口投与に関して、組成物は、錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液及び同類の物として処方することができる。
【0133】
がんを処置するために処方される場合、開示された組成物は、p53、RB、BRCA1、E1A、bcl-2、MDR-1、p21、p16、bax、bcl-xs、E2F、IGF-I VEGF、アンジオスタチン、オンコスタチン、エンドスタチン、GM-CSF、IL-12、IL-2、IL-4、IL-7、IFN-γ、TNFα及び/又はHSV-tkから選択される1種以上の抗がん遺伝子を担持するヌクレオチドも含むことができる。
【0134】
本明細書に開示されるいかなる組成物製剤も、研究のためであれ、予防的処置であれ、及び/又は治療的処置であれ、投与の効果を凌ぐ著しく有害な、アレルギー性の又は他の都合の悪い反応を生じない担体を含む他のいかなる薬学的に許容される担体でも有利に含むことができる。例示的な薬学的に許容される担体及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、18th Ed.Mack Printing Company、1990年に開示されている。さらに、製剤は、米国食品医薬品局生物製剤基準局(United States FDA Office of Biological Standards)及び/又は他の関連する外国規制当局により要求される無菌性、発熱性、一般的安全性及び純度基準を満たすように調製することができる。
【0135】
特定の実施形態において、粒子は、例えば、少なくとも0.1% w/v若しくはw/w粒子;少なくとも1% w/v若しくはw/w粒子;少なくとも10% w/v若しくはw/w粒子;少なくとも20% w/v若しくはw/w粒子;少なくとも30% w/v若しくはw/w粒子;少なくとも40% w/v若しくはw/w粒子;少なくとも50% w/v若しくはw/w粒子;少なくとも60% w/v若しくはw/w粒子;少なくとも70% w/v若しくはw/w粒子;少なくとも80% w/v若しくはw/w粒子;少なくとも90% w/v若しくはw/w粒子;少なくとも95% w/v若しくはw/w粒子;又は少なくとも99% w/v若しくはw/w粒子を含むことができる組成物の一部として提供される。
【0136】
使用方法。本明細書に開示される方法は、1つ以上のIRF及びIKKβをコードするヌクレオチドを含むナノ粒子をマクロファージ中に導入することにより、マクロファージの活性状態を不活性化状態から活性化状態に変更することを含む。特定の実施形態において、変更により、1つ以上のIRF及びIKKβをコードするヌクレオチドを含むナノ粒子で処置したマクロファージの集団において不活性化状態のマクロファージ(例えば、M2マクロファージ)のパーセンテージは、1つ以上のIRF及びIKKβをコードするヌクレオチドを含むナノ粒子で処置されたことがない不活性化状態のマクロファージのパーセンテージと比べて、5倍、10倍、15倍、20倍、又はそれよりも多く減少する。特定の実施形態において、変更により、1つ以上のIRF及びIKKβをコードするヌクレオチドを含むナノ粒子で処置したマクロファージの集団において不活性化状態のマクロファージ(例えば、M2マクロファージ)の数は、1つ以上のIRF及びIKKβをコードするヌクレオチドを含むナノ粒子で処置されたことがない不活性化状態のマクロファージの数と比べて、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、又はそれよりも多く減少する。特定の実施形態において、変更により、1つ以上のIRF及びIKKβをコードするヌクレオチドを含むナノ粒子で処置したマクロファージの集団において活性化状態のマクロファージ(例えば、M1マクロファージ)のパーセンテージは、1つ以上のIRF及びIKKβをコードするヌクレオチドを含むナノ粒子で処置されたことがない活性化状態のマクロファージのパーセンテージと比べて、5倍、10倍、15倍、20倍、又はそれよりも多く増加する。特定の実施形態において、変更により、1つ以上のIRF及びIKKβをコードするヌクレオチドを含むナノ粒子で処置したマクロファージの集団において活性化状態のマクロファージの数は、1つ以上のIRF及びIKKβをコードするヌクレオチドを含むナノ粒子で処置されたことがない活性化状態のマクロファージの数と比べて、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、又はそれよりも多く増加する。
【0137】
特定の実施形態において、1つ以上のIRF及びIKKβをコードするヌクレオチドを含むナノ粒子をマクロファージ中に導入することにより、マクロファージの活性状態を不活性化状態から活性化状態に変更すれば、固体腫瘍中へのリンパ球遊走及び浸潤を回復させる;IL-1β、IL-12、IFNγ、及び/又はTNFαを含む炎症促進性(抗腫瘍)サイトカインの放出を1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、又はそれよりも多く増加する;IL-6を含むM2マクロファージ表現型に関連するサイトカインの放出を1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、又はそれよりも多く減少する。
【0138】
特定の実施形態において、マクロファージの活性状態を不活性化状態から活性化状態に変更することは、IRF5及びIRF8をコードするヌクレオチドを含むナノ粒子をマクロファージ中に導入することを含む。特定の実施形態において、マクロファージの活性状態を不活性化状態から活性化状態に変更することは、構成的に活性である又はその野生型の対応物IRFよりも活性である突然変異IRFをコードするヌクレオチドを含むナノ粒子をマクロファージ中に導入することを含む。
【0139】
本明細書に開示される方法は、本明細書に開示される組成物で対象(ヒト、獣医動物、家畜及び研究動物)を処置することを含む。対象を処置することは、治療有効量を送達することを含む。治療有効量は、有効量、予防的処置及び/又は治療的処置を提供することができる。
【0140】
「有効量」は、対象において所望の生理的変化を生じるのに必要な化合物の量である。有効量は、研究目的で投与されることも多い。本明細書に開示される有効量は、対象において細胞を免疫調節する。特定の実施形態において、免疫調節される細胞は免疫抑制された細胞である。特定の実施形態において、免疫調節される細胞はマクロファージである。特定の実施形態において、マクロファージの免疫調節は、免疫抑制されたマクロファージを活性化マクロファージに切り替えることを含む。特定の実施形態において、マクロファージの免疫調節は、M2マクロファージをM1マクロファージに切り替えることを含む。特定の実施形態において、免疫調節される細胞は、MDSC、Treg、DCreg、好中球、Th17、Breg、及び/又はMSCを含む免疫抑制された細胞を含む。特定の実施形態において、免疫抑制された細胞の免疫調節は、腫瘍促進性(protumor)から抗腫瘍への免疫抑制された細胞の表現型的及び/又は機能的切り替えを含む。
【0141】
「予防的処置」は、疾患又は状態をさらに発症するリスクを縮小する、予防する、又は減少する目的で処置が施されるように、疾患若しくは状態の徴候若しくは症状を示さない又は疾患若しくは状態の初期徴候若しくは症状のみを示す対象に施される処置を含む。したがって、予防的処置は、疾患又は障害に対する予防処置として機能する。特定の実施形態において、予防的処置は、再発の発生を低減する又は遅らせる目的で処置が施されるように、がんを抱えていたが軽快状態である対象への本明細書に開示される組成物の投与を含む。
【0142】
「治療的処置」は、疾患又は状態の症状又は徴候を示す対象に施される処置を含み、疾患又は状態の徴候又は症状を縮小する又は取り除く目的で対象に施される。特定の実施形態において、治療的処置は、腫瘍及び/又は転移を縮小する又は取り除くためにがんを抱えた対象に本明細書に開示される組成物を投与することを含む。
【0143】
特定の実施形態において、治療有効量は、対象において抗ガン効果を提供する。がん(医学用語:悪性新生物)とは、細胞の群が制御されない成長(正常な限界を超えた分裂)、浸潤(隣接する組織への侵入及びこの破壊)、及び時に転移を示す疾患のクラスのことである。「転移」とは、その最初の増殖部位から身体の別の部分へのがん細胞の広がりのことである。転移の形成は非常に複雑な過程であり、原発腫瘍からの悪性細胞の脱離、細胞外マトリックスの侵襲、内皮基底膜を貫入し体腔及び血管への進入、次に、血液により運ばれた後、標的臓器への浸潤に依存する。最終的に、標的部位での新しい腫瘍、すなわち、二次腫瘍又は転移腫瘍の成長は、血管新生に依存する。腫瘍転移は原発腫瘍を切除後でさえ起こることが多い。なぜならば、腫瘍細胞又は成分が残っていて転移能を身に着けることがあるからである。
【0144】
特定の実施形態において、治療有効量は対象において抗腫瘍効果を提供する。「腫瘍」とは、細胞の異常な成長により形成される腫脹又は病変(新生細胞又は腫瘍細胞と呼ばれる)である。「腫瘍細胞」は、急速な制御されない細胞増殖により分裂し、新たな分裂を開始させた刺激が止んだ後分裂し続ける異常な細胞である。腫瘍は、構造組織及び正常細胞との機能的な協調の部分的又は完全な欠如を示し、通常は、異なった組織塊を形成するが、これは良性、前悪性又は悪性の場合がある。
【0145】
抗腫瘍効果とは生物学的効果のことであり、これは、腫瘍細胞の数の減少、転移の数の減少、腫瘍量の減少、平均寿命の増加、がん細胞のアポトーシスの誘導、がん細胞死の誘導、がん細胞の化学受容性又は放射線感受性の誘導、がん細胞近辺の血管新世の阻害、がん細胞増殖の阻害、腫瘍成長の阻害、転移の防止、対象の寿命の延長、がんに伴う疼痛の減少、転移の数の縮小、及び/又は処置に続くがんのぶり返し若しくは再発の減少により明らかにすることができる。したがって、本明細書に開示される組成物は、種々のがんを処置するのに使用することができ、転移を予防する若しくは著しく遅延させることができ、及び/又は再発を予防する若しくは著しく遅延させることができる。特定の実施形態において、がんを本明細書に開示されるナノ粒子組成物で処置した対象の全生存期間は、同じがんがナノ粒子で処置されていない対照の対象と比べた場合、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、又はそれよりも多く改善される。特定の実施形態において、がんを本明細書に開示されるナノ粒子組成物で処置した対象の転移の数は、同じがんがナノ粒子で処置されていない対照の対象と比べた場合、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、又はそれよりも多く減少する。
【0146】
特定の実施形態において、治療的処置は、腫瘍を縮小する又は取り除くために、がんを抱えた対象への本明細書に開示される組成物の他の療法と組み合わせての投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に開示される組成物と組み合わせて使用する療法は、がんワクチン、CAR免疫療法(例えば、CAR-T免疫療法)、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、シグナル伝達阻害剤、遺伝子発現調節剤、アポトーシス誘導剤、血管新生阻害剤、及び毒性分子を送達するモノクローナル抗体を含む。特定の実施形態において、がんを抱えた対象への本明細書に開示されるナノ粒子組成物の放射線療法と組み合わせての投与により、全生存期間は、同じがんが放射線療法と組み合わせてナノ粒子組成物を投与されていない対照の対象と比べた場合、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、又はそれよりも多く改善される。
【0147】
本明細書に開示されるシステム及び方法で処置することができるがんは、卵巣がん、乳がん、脳がん、黒色腫、肺転移、精上皮腫、奇形腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、直腸がん、子宮内膜がん、腎臓がん、副腎がん、甲状腺がん、皮膚がん、子宮頸がん、腸がん、肝臓がん、結腸がん、胃がん、頭頚部がん、胃腸がん、リンパ節がん、食道がん、結腸直腸がん、膵臓がん、耳、鼻及び喉(ENT)がん、前立腺がん、子宮のがん、肺がん、並びにこれらの転移を含む。
【0148】
示されるように、本開示の教えは、自己免疫疾患などの状態において免疫細胞の活性状態を調節して免疫系を不活性化する方法でも使用することができる。特定の実施形態において、自己免疫疾患においてマクロファージの活性状態を活性化状態から不活性化状態へ変更することは、M2表現型を誘導するIRFをコードするヌクレオチドを含むナノ粒子をマクロファージに導入することを含む。M2表現型を誘導するIRFの特定の実施形態は、IRF3及び/又はIRF4を含む。特定の実施形態において、自己免疫疾患においてマクロファージの活性状態を活性化状態から不活性化状態へ変更することは、グルココルチコイド抗炎症効果を媒介しM2表現型を誘導することができるGILZ(グルココルチコイド誘導ロイシンジッパー)転写因子をコードするヌクレオチドを含むナノ粒子をマクロファージに導入することを含む。特定の実施形態において、自己免疫疾患においてマクロファージの活性状態を活性化状態から不活性化状態へ変更することは、GILZ及びIRF4をコードするヌクレオチドを含むナノ粒子をマクロファージに導入することを含む。例示的な自己免疫疾患は、急性壊死性出血性脳疾患、アレルギー性喘息、円形脱毛症、貧血症、アフタ性潰瘍、関節炎(関節炎リウマチ、若年性関節炎リウマチ、骨関節炎、乾癬性関節炎を含む)、喘息、自己免疫性甲状腺炎、結膜炎、クローン病、皮膚エリテマトーデス、皮膚炎(アトピー性皮膚炎及び湿疹性皮膚炎を含む)、糖尿病、真性糖尿病、らい性結節性紅斑、角結膜炎、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、強皮症、シェーグレン症候群に続く乾性角結膜炎を含むシェーグレン症候群、スティーブンスジョンソン症候群、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、膣炎及びウェゲナー肉芽腫症を含む。
【0149】
投与に関して、治療有効量(本明細書において用量とも呼ばれる)は、インビトロアッセイ及び/又は動物モデル研究からの結果に基づいて最初に評価することができる。例えば、用量は、特定の標的に対する細胞培養において決定されるIC50を含む循環濃度範囲を達成するように動物モデルにおいて処方することができる。そのような情報を使用すれば、目的の対象における有用な用量をより的確に決定することができる。
【0150】
特定の対象に投与される実際の服用量は、医師、獣医師又は研究者により、標的、体重、状態の重症度、疾患の種類、以前の又は同時の治療介入、対象の特発性及び投与経路を含む身体的及び生理的要因などのパラメータを考慮に入れて決定することができる。
【0151】
有用な用量は、0.1~5μg/kg又は0.5~1μg/kgの範囲に及ぶことが多い。特定の実施形態において、用量は、1μg/kg、5μg/kg、10μg/kg、15μg/kg、20μg/kg、25μg/kg、30μg/kg、35μg/kg、40μg/kg、45μg/kg、50μg/kg、55μg/kg、60μg/kg、65μg/kg、70μg/kg、75μg/kg、80μg/kg、85μg/kg、90μg/kg、95μg/kg、100μg/kg、150μg/kg、200μg/kg、250μg/kg、350μg/kg、400μg/kg、450μg/kg、500μg/kg、550μg/kg、600μg/kg、650μg/kg、700μg/kg、750μg/kg、800μg/kg、850μg/kg、900μg/kg、950μg/kg、1000μg/kg、0.1~5mg/kg又は0.5~1mg/kgを含むことができる。特定の実施形態において、用量は、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mμg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kg、150mg/kg、200mg/kg、250mg/kg、350mg/kg、400mg/kg、450mg/kg、500mg/kg、550mg/kg、600mg/kg、650mg/kg、700mg/kg、750mg/kg、800mg/kg、850mg/kg、900mg/kg、950mg/kg、1000mg/kg又はそれよりも多く含むことができる。
【0152】
治療有効量は、処置計画の進行中に単回又は複数回用量を投与することにより達成することができる(例えば、毎日、1日おき、3日毎に、4日毎に、5日毎に、6日毎に、毎週、2週間毎に、3週間毎に、毎月、2カ月毎に、3カ月毎に、4カ月毎に、5カ月毎に、6カ月毎に、7カ月毎に、8カ月毎に、9カ月毎に、10カ月毎に、11カ月毎に、1年毎に)。特定の実施形態において、治療有効量は、処置計画の進行中に反復用量を投与することにより達成することができる。
【0153】
本明細書に記載されるナノ粒子組成物は、注射、吸入、注入、灌流、洗浄又は経口摂取により投与することができる。投与経路は、静脈内、皮内、動脈内、非経口内、鼻腔内、リンパ節内、リンパ内、腹腔内、頭蓋内、病巣内、前立腺内、膣内、直腸内、局所的、くも膜下腔内、腫瘍内、筋肉内、小胞内、経口、皮下、及び/又は舌下投与、さらに詳細には、静脈内、腫瘍内、腹腔内、及び/又は頭蓋内注射によりを含むことができる。局所投与は、本明細書に開示される組成物の治療有効量を身体の特定の領域、器官、又は腔に投与することを含む。例えば、腹腔内注射を使用すれば、卵巣がんを処置する治療薬を送達することができる、又は頭蓋内注射を使用すれば、神経膠腫を処置する治療薬を送達することができる。腫瘍部位での治療薬の投与は、上記のターゲティングリガンドを使用する腫瘍細胞及び/又は腫瘍支持細胞への治療薬(例えば、ナノ粒子組成物)のリガンド媒介ターゲティングを含むことができ、この治療薬は健康な組織には向かわない。腫瘍部位での治療薬の投与は、腫瘍細胞及び/又は腫瘍支持細胞への治療薬(例えば、ナノ粒子組成物)の受動的ターゲティングを含むことができ、この治療薬は健康な組織には向かわない。受動的ターゲティングの特定の実施形態は、ナノ粒子のサイズ範囲並びに腫瘍組織の漏れ穴のある脈管構造及びリンパ排出障害に基づく亢進された浸透性及び保持(EPR)現象を含むことができる。これとは対照的に、全身投与は全身に及び、典型的には、循環中への組成物又は治療薬の静脈内注射により達成される。治療薬の全身投与は、転移してしまったがんなどの局在性の少ない形態のがんに有用であることが可能である。
【0154】
図5は、本開示を支持する例示的な配列(配列番号1~44、110、及び111)を提供する。CDR配列も本明細書に記載されている。本開示は、これらの配列の変異体を含む。タンパク質配列の変異体は、1つ以上の保存的アミノ酸置換又はタンパク質の機能に有害な影響を及ぼさない1つ以上の非保存的置換を有する配列を含むことができる。「保存的置換」は、以下の保存的置換グループ:グループ1:アラニン(Ala)、グリシン(Gly)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr);グループ2:アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu);グループ3:アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln);グループ4:アルギニン(Arg)、リジン(Lys)、ヒスチジン(His);グループ5:イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、メチオニン(Met)、バリン(Val);及びグループ6:フェニルアラニン(Phe)、チロシン(Tyr)、トリプトファン(Trp)のうちの1つに見られる置換を含む。
【0155】
さらに、アミノ酸は、類似する機能又は化学構造若しくは組成(例えば、酸性、塩基性、脂肪族、芳香族、硫黄含有)により保存的置換グループに分類することができる。例えば、脂肪族分類は、置換目的で、Gly、Ala、Val、Leu、及びIleを含みうる。互いに保存的置換と見なされるアミノ酸を含有する他のグループは、硫黄含有:Met及びシステイン(Cys);酸性:Asp、Glu、Asn、及びGln;小さな脂肪族、非極性又はわずかに極性残基:Ala、Ser、Thr、Pro、及びGly;極性、負電荷残基及びそれらのアミド:Asp、Asn、Glu、及びGln;極性、正電荷残基:His、Arg、及びLys;大きな脂肪族、非極性残基:Met、Leu、Ile、Val、及びCys;並びに大きな芳香族残基:Phe、Tyr、及びTrpを含む。追加の情報は、Creighton(1984) Proteins、W.H.Freeman and Companyに見られる。
【0156】
タンパク質の断片は、対応するタンパク質の完全アミノ酸配列未満からなるが、完全長タンパク質の機能を保持する。
【0157】
ヌクレオチド配列の変異体は、そのような変更がコードされた活性化制御因子の機能に影響を及ぼさず、コードされた活性化制御因子の機能に実質的な影響も及ぼさない縮重コドン、配列多型、及び突然変異のうちの1つ以上を含むことができる。
【0158】
特定の実施形態、配列の変異体は、本明細書に記載される又は開示される配列に少なくとも70%配列同一性、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%配列同一性を有する配列を含む。
【0159】
「%配列同一性」とは、配列を比較することにより決定される場合、2つ以上の配列間の関係のことである。当技術分野において、「同一性」は、そのような配列のストリング間の適合により決定される配列間の配列関連性の程度も意味する。「同一性」(「類似性」と呼ばれることも多い)は、Computational Molecular Biology(Lesk、A.M.、ed.)Oxford University Press、NY(1988);Biocomputing:Informatics and Genome Projects(Smith、D.W.、ed.)Academic Press、NY(1994);Computer Analysis of Sequence Data、Part I(Griffin、A.M.、and Griffin、H.G.、eds.)Humana Press、NJ(1994);Sequence Analysis in Molecular Biology(Von Heijne、G.、ed.)Academic Press(1987);及びSequence Analysis Primer(Gribskov、M.and Devereux、J.eds.)Oxford University Press、NY(1992)に記載されている方法を含む、既知の方法により容易に計算することができる。
%配列同一性を決定する好ましい方法は、試験される配列間の最良の適合を与えるように設計される。%配列同一性及び類似性を決定する方法は、一般公開されているコンピュータプログラムに集成されている。配列アライメント及び%配列同一性計算は、LASERGENEバイオインフォマティックスコンピューティングスイートのMegalignプログラム(DNASTAR、Inc.、Madison、Wisconsin)を使用して実施することもできる。配列のマルチプルアライメントは、デフォルトパラメータ(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=10)を用いるアライメントのクラスタル法(Higgins and Sharp CABIOS、5、151~153頁(1989))を使用して実施することもできる。関連するプログラムは、プログラムのGCGスイート(Wisconsin Package Version 9.0、Genetics Computer Group(GCG)、Madison、Wisconsin);BLASTP、BLASTN、BLASTX(Altschulら、J.Mol.Biol.215:403~410頁(1990);DNASTAR(DNASTAR、Inc.、Madison、Wisconsin);Smith-Watermanアルゴリズムを組み込んでいるFASTAプログラム(Pearson、Comput.Methods Genome Res.、[Proc.Int.Symp.](1994)、Meeting Date 1992年、111~20頁.Editor(s):Suhai、Sandor.Publisher:Plenum、New York、NYも含む。本開示の文脈内において、解析に配列解析ソフトウェアが使用される場合、解析の結果は参照されるプログラムの「デフォルト値」に基づくことは理解される。「デフォルト値」は、値又はパラメータの任意のセットを意味し、最初に初期化される場合、もともとソフトウェアにロードされている。
【0160】
下の例示的な実施形態及び実施例は、本開示の特定の実施形態を実証するために含まれている。当業者であれば、本開示に照らして、本明細書に開示される特定の実施形態には多くの変更を加えることが可能であり、それでも本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、同様の又は類似の結果を得られることは認識するべきである。
【0161】
例示的な実施形態。
1.免疫細胞の活性状態をインビボで変更する方法であって、
1つ以上のインターフェロン制御因子(IRF)をコードするヌクレオチドを含むナノ粒子を投与することを含み、それによって、免疫細胞の活性状態をインビボで変更する、方法。
2.免疫細胞が、マクロファージ、制御性T細胞(TREG)、骨髄系由来抑制性細胞(MDSC)、調節性樹状細胞(DCreg)、好中球、ヘルパーT17細胞(Th17)、制御性B細胞(Breg)、及び/又は間葉系間質細胞(MSC)である、実施形態1の方法。
3.ナノ粒子が、正電荷コア、ポリ(β)アミノエステルコア、星型ポリマー、ポリグルタミン酸コーティング、ヒアルロン酸コーティング、中性電荷コーティング、及び/又はリポソームナノ粒子を含む、実施形態1又は2の方法。
4.ナノ粒子が<130nmである、実施形態1~3のいずれか1つの方法。
5.ヌクレオチドがインビトロ転写mRNAを含む、実施形態1~4のいずれか1つの方法。
6.ヌクレオチドがコア内にカプセル化されている、実施形態1~5のいずれか1つの方法。
7.コードされた1つ以上のIRFが機能的自己阻害ドメインを欠く、実施形態1~6のいずれか1つの方法。
8.コードされた1つ以上のIRFが機能的核外移行シグナル(NES)を欠く、実施形態1~7のいずれか1つの方法。
9.投与が局所的投与である、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
10.局所的投与が腹腔内又は頭蓋内である、実施形態9の方法。
11.投与が全身投与である、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
12.ナノ粒子がターゲティングリガンドをさらに含む、実施形態1~11のいずれか1つの方法。
13.ターゲティングリガンドがコーティングに連結されている、実施形態12の方法。
14.活性状態が不活性化状態から活性化状態に変更される、実施形態1~13のいずれか1つの方法。
15.免疫細胞がマクロファージを含む、実施形態1~14のいずれか1つの方法。
16.マクロファージが腫瘍内にある、実施形態15の方法。
17.腫瘍が、卵巣がん腫瘍、神経膠芽腫腫瘍、又は転移性肺がん腫瘍である、実施形態16の方法。
18.コードされた1つ以上のIRFが、IRF1、IRF3、IRF5、IRF7、IRF8、及び/又はIRF7とIRF3の融合体から選択される、実施形態1~17のいずれか1つの方法。
19.コードされた1つ以上のIRFが、配列番号1~17に>90%、>95%、又は98%よりも大きな同一性を有する配列から選択される、実施形態1~18のいずれか1つの方法。
20.コードされた1つ以上のIRFが、配列番号1~7から選択されるIRF5である、実施形態1~19のいずれか1つの方法。
21.IRF5が配列番号1である、実施形態20の方法。
22.IRF5が、S156D、S158D及びT160Dから選択される1つ以上の突然変異を有する配列番号1又は配列番号3である、実施形態20又は21の方法。
23.IRF5が、T10D、S158D、S309D、S317D、S451D、及びS462Dから選択される1つ以上の突然変異を有する配列番号2である、実施形態20~22のいずれか1つの方法。
24.IRF5が、S425D、S427D、S430D、及びS436Dから選択される1つ以上の突然変異を有する配列番号4である、実施形態20~23のいずれか1つの方法。
25.コードされた1つ以上のIRFが、配列番号8及び12から選択されるIRF1である、実施形態1~24のいずれか1つの方法。
26.コードされた1つ以上のIRFが、配列番号11、16及び17から選択されるIRF8である、実施形態1~24のいずれか1つの方法。
27.IRF8がK310R突然変異を有する配列番号11である、実施形態26の方法。
28.コードされた1つ以上のIRFが、N末端IRF7 DNA結合ドメイン(DBD)及び構成的活性ドメイン(CAD)並びにC末端IRF3 NES(核外移行シグナル)及び会合ドメインを含むIRF7/IRF3融合タンパク質を含む、実施形態1~27のいずれか1つの方法。
29.IRF7/IRF3融合タンパク質が、IRF3会合ドメインにリン酸化を模倣する突然変異を含む、実施形態28の方法。
30.IRF7/IRF3融合タンパク質が配列番号15に示されている、実施形態28又は29の方法。
31.ナノ粒子が、IKKβをコードするヌクレオチドをさらに含む、実施形態1~30のいずれか1つの方法。
32.コードされたIKKβが、配列番号18~22に>90%、>95%、又は98%よりも大きな同一性を有する配列から選択される、実施形態31の方法。
33.コードされたIKKβが配列番号18~22から選択される、実施形態31又は32の方法。
34.ヌクレオチドが、配列番号23~44から選択される配列を含む、実施形態1~33のいずれか1つの方法。
35.ターゲティングリガンドがCD206、CD163、又はCD23に結合する、実施形態12~34のいずれか1つの方法。
36.ターゲティングリガンドがジマンノースである、実施形態12~35のいずれか1つの方法。
37.1つ以上のIRF及びIKKβをコードするヌクレオチドが同じナノ粒子にカプセル化されている、実施形態31~36のいずれか1つの方法。
38.1つ以上のIRF及びIKKβをコードするヌクレオチドが異なるナノ粒子にカプセル化されている、実施形態31~37のいずれか1つの方法。
39.免疫細胞の活性状態を変更することが、免疫細胞の集団において不活性化状態の免疫細胞のパーセンテージを5倍、10倍、15倍、20倍、又はそれよりも多く減少させることを含む、実施形態1~38のいずれか1つの方法。
40.免疫細胞の活性状態を変更することが、免疫細胞の集団において不活性化状態の免疫細胞の数を5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、又はそれよりも多く減少させることを含む、実施形態1~39のいずれか1つの方法。
41.免疫細胞の活性状態を変更することが、免疫細胞の集団において活性化状態の免疫細胞のパーセンテージを5倍、10倍、15倍、20倍、又はそれよりも多く増やすことを含む、実施形態1~40のいずれか1つの方法。
42.免疫細胞の活性状態を変更することが、免疫細胞の集団において活性化状態の免疫細胞の数を5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、又はそれよりも多く増やすことを含む、実施形態1~41のいずれか1つの方法。
43.活性状態が、活性化状態から不活性化状態に変更される、実施形態1~13のいずれか1つの方法。
44.免疫細胞がマクロファージを含む、実施形態1~13、及び43のいずれか1つの方法。
45.コードされた1つ以上のIRFがIRF4である、実施形態1~13、43及び44のいずれか1つの方法。
46.ナノ粒子が、グルココルチコイド誘導ロイシンジッパー(GILZ)をコードするヌクレオチドをさらに含む、実施形態1~13、及び43~45のいずれか1つの方法。
47.ターゲティングリガンドが、CD38、Gタンパク質共役型受容体18(Gpr18)、ホルミルペプチド受容体2(Fpr2)、CD64、又はCD68に結合する、実施形態12、及び43~46のいずれか1つの方法。
48.免疫細胞の活性状態を変更することが、免疫細胞の集団において活性化状態の免疫細胞のパーセンテージを5倍、10倍、15倍、20倍、又はそれよりも多く減少させることを含む、実施形態1~13、及び43~47のいずれか1つの方法。
49.免疫細胞の活性状態を変更することが、免疫細胞の集団において活性化状態の免疫細胞の数を5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、又はそれよりも多く減少させることを含む、実施形態1~13、及び43~48のいずれか1つの方法。
50.免疫細胞の活性状態を変更することが、免疫細胞の集団において不活性化状態の免疫細胞のパーセンテージを5倍、10倍、15倍、20倍、又はそれよりも多く増やすことを含む、実施形態1~13、及び43~49のいずれか1つの方法。
51.免疫細胞の活性状態を変更することが、免疫細胞の集団において不活性化状態の免疫細胞の数を5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、又はそれよりも多く増やすことを含む、実施形態1~13、及び43~50のいずれか1つの方法。
52.がんの処置を必要とする対象においてがんを処置する方法であって、対象内の腫瘍において腫瘍関連マクロファージの活性状態を不活性化から活性化に変更し、それによってがんの処置を必要とする対象においてがんを処置することを含む方法。
53.腫瘍が、卵巣がん腫瘍、神経膠芽腫腫瘍、又は転移性肺がん腫瘍である、実施形態52の方法。
54.変更は、腫瘍関連マクロファージの活性状態を不活性化から活性化に変更する1つ以上の転写因子をコードするヌクレオチドを含むナノ粒子の治療有効量の投与に続いて起こる、実施形態52又は53の方法。
55.ナノ粒子が、正電荷コア、ポリ(β)アミノエステルコア、星型ポリマー、ポリグルタミン酸コーティング、ヒアルロン酸コーティング、中性電荷コーティング、及び/又はリポソームナノ粒子を含む、実施形態54の方法。
56.ナノ粒子が<130nmである、実施形態54又は55の方法。
57.ヌクレオチドがインビトロ転写mRNAを含む、実施形態54~56のいずれか1つの方法。
58.ヌクレオチドがコア内にカプセル化されている、実施形態54~57のいずれか1つの方法。
59.投与が局所投与である、実施形態54~58のいずれか1つの方法。
60.局所投与が腹腔内又は頭蓋内である、実施形態59の方法。
61.投与が全身投与である、実施形態54~59のいずれか1つの方法。
62.コードされた1つ以上の転写因子が、1つ以上のインターフェロン制御因子(IRF)を含む、実施形態54~61のいずれか1つの方法。
63.コードされた1つ以上のIRFが、機能的自己阻害ドメインを欠く、実施形態62の方法。
64.コードされた1つ以上のIRFが、機能的核外移行シグナル(NES)を欠く、実施形態62又は63の方法。
65.コードされた1つ以上のIRFが、IRF1、IRF3、IRF5、IRF7、IRF8、及び/又はIRF7とIRF3の融合体から選択される、実施形態62~64のいずれか1つの方法。
66.コードされた1つ以上のIRFが、配列番号1~17に>90%、>95%、又は98%よりも大きな同一性を有する配列から選択される、実施形態62~65のいずれか1つの方法。
67.コードされた1つ以上のIRFが、配列番号1~7から選択されるIRF5である、実施形態62~66のいずれか1つの方法。
68.IRF5が配列番号1である、実施形態67の方法。
69.IRF5が、S156D、S158D及びT160Dから選択される1つ以上の突然変異を有する配列番号1又は配列番号3である、実施形態67又は68の方法。
70.IRF5が、T10D、S158D、S309D、S317D、S451D、及びS462Dから選択される1つ以上の突然変異を有する配列番号2である、実施形態67~69のいずれか1つの方法。
71.IRF5が、S425D、S427D、S430D、及びS436Dから選択される1つ以上の突然変異を有する配列番号4である、実施形態67~70のいずれか1つの方法。
72.コードされた1つ以上のIRFが、配列番号8及び12から選択されるIRF1である、実施形態62~71のいずれか1つの方法。
73.コードされた1つ以上のIRFが、配列番号11、16及び17から選択されるIRF8である、実施形態62~72のいずれか1つの方法。
74.IRF8がK310R突然変異を有する配列番号11である、実施形態73の方法。
75.コードされた1つ以上のIRFが、N末端IRF7 DNA結合ドメイン(DBD)及び構成的活性ドメイン(CAD)並びにC末端IRF3 NES(核外移行シグナル)及び会合ドメインを含むIRF7/IRF3融合タンパク質を含む、実施形態62~74のいずれか1つの方法。
76.IRF7/IRF3融合タンパク質が、IRF3会合ドメインにおいてリン酸化を模倣する突然変異をさらに含む、実施形態75の方法。
77.IRF7/IRF3融合タンパク質が配列番号15に示されている、実施形態75又は76の方法。
78.ナノ粒子が、IKKβをコードするヌクレオチドをさらに含む、実施形態54~77のいずれか1つの方法。
79.コードされたIKKβが、配列番号18~22に>90%、>95%、又は98%よりも大きな同一性を有する配列から選択される、実施形態78の方法。
80.コードされたIKKβが配列番号18~22から選択される、実施形態78又は79の方法。
81.ヌクレオチドが、配列番号23~44から選択される配列を含む、実施形態54~79のいずれか1つの方法。
82.ナノ粒子がターゲティングリガンドをさらに含む、実施形態54~81のいずれか1つの方法。
83.ターゲティングリガンドがコーティングに連結されている、実施形態82の方法。
84.ターゲティングリガンドがCD206、CD163、又はCD23に結合する、実施形態82又は83の方法。
85.ターゲティングリガンドがジマンノースである、実施形態82~84のいずれか1つの方法。
86.1つ以上のIRF及びIKKβをコードするヌクレオチドが同じナノ粒子にカプセル化されている、実施形態54~85のいずれか1つの方法。
87.1つ以上のIRF及びIKKβをコードするヌクレオチドが異なるナノ粒子にカプセル化されている、実施形態54~86のいずれか1つの方法。
88.マクロファージの活性状態を変更することが、腫瘍内のマクロファージの集団において不活性化状態のマクロファージのパーセンテージを5倍、10倍、15倍、20倍、又はそれよりも多く減少させることを含む、実施形態54~87のいずれか1つの方法。
89.マクロファージの活性状態を変更することが、腫瘍内のマクロファージの集団において不活性化状態のマクロファージの数を5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、又はそれよりも多く減少させることを含む、実施形態54~88のいずれか1つの方法。
90.マクロファージの活性状態を変更することが、腫瘍内のマクロファージの集団において活性化状態のマクロファージのパーセンテージを5倍、10倍、15倍、20倍、又はそれよりも多く増やすことを含む、実施形態54~89のいずれか1つの方法。
91.マクロファージの活性状態を変更することが、腫瘍内のマクロファージの集団において活性化状態のマクロファージの数を5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、又はそれよりも多く増やすことを含む、実施形態54~90のいずれか1つの方法。
92.がんワクチン、キメラ抗原受容体(CAR)免疫療法、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、シグナル伝達阻害剤、遺伝子発現調節剤、アポトーシス誘導剤、血管新生阻害剤、及び毒性分子を送達するモノクローナル抗体から選択される療法を、治療有効量のナノ粒子と組み合わせて施すことをさらに含む、実施形態54~91のいずれか1つの方法。
93.自己免疫疾患の処置を必要とする対象において自己免疫疾患を処置する方法であって、対象内のマクロファージの活性状態を活性化から不活性化に変更し、それによって自己免疫疾患の処置を必要とする対象において自己免疫疾患を処置することを含む方法。
94.自己免疫疾患が、急性壊死性出血性脳疾患、アレルギー性喘息、円形脱毛症、貧血症、アフタ性潰瘍、関節炎(関節炎リウマチ、若年性関節炎リウマチ、骨関節炎、乾癬性関節炎を含む)、喘息、自己免疫性甲状腺炎、結膜炎、クローン病、皮膚エリテマトーデス、皮膚炎(アトピー性皮膚炎及び湿疹性皮膚炎を含む)、糖尿病、真性糖尿病、らい性結節性紅斑、角結膜炎、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、強皮症、シェーグレン症候群に続く乾性角結膜炎を含むシェーグレン症候群、スティーブンスジョンソン症候群、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、膣炎及びウェゲナー肉芽腫症を含む、実施形態93の方法。
95.変更は、マクロファージの活性状態を活性化から不活性化に変更する1つ以上の転写因子をコードするヌクレオチドを含むナノ粒子の治療有効量の投与に続いて起こる、実施形態93又は94の方法。
96.ナノ粒子が、正電荷コア、ポリ(β)アミノエステルコア、星型ポリマー、ポリグルタミン酸コーティング、ヒアルロン酸コーティング、中性電荷コーティング、及び/又はリポソームナノ粒子を含む、実施形態94の方法。
97.ナノ粒子が<130nmである、実施形態94又は95の方法。
98.ヌクレオチドがインビトロ転写mRNAを含む、実施形態95~97のいずれか1つの方法。
99.ヌクレオチドがコア内にカプセル化されている、実施形態95~98のいずれか1つの方法。
100.投与が局所投与である、実施形態95~99のいずれか1つの方法。
101.局所投与が腹腔内又は頭蓋内である、実施形態100の方法。
102.投与が全身投与である、実施形態92~99のいずれか1つの方法。
103.コードされた1つ以上の転写因子が、1つ以上のインターフェロン制御因子(IRF)を含む、実施形態95~102のいずれか1つの方法。
104.コードされた1つ以上のIRFが、機能的自己阻害ドメインを欠く、実施形態103の方法。
105.コードされた1つ以上のIRFが、機能的核外移行シグナル(NES)を欠く、実施形態103又は104の方法。
106.コードされた1つ以上のIRFがIRF4である、実施形態103~105のいずれか1つの方法。
107.ナノ粒子が、グルココルチコイド誘導ロイシンジッパー(GILZ)をコードするヌクレオチドをさらに含む、実施形態95~106のいずれか1つの方法。
108.ナノ粒子がターゲティングリガンドをさらに含む、実施形態85~107のいずれか1つの方法。
109.ターゲティングリガンドが、コーティングに連結されている、実施形態108の方法。
110.ターゲティングリガンドが、CD38、Gタンパク質共役型受容体18(Gpr18)、ホルミルペプチド受容体2(Fpr2)、CD64、又はCD68に結合する、実施形態108又は109の方法。
111.マクロファージの活性状態を変更することが、マクロファージの集団において活性化状態のマクロファージのパーセンテージを5倍、10倍、15倍、20倍、又はそれよりも多く減少させることを含む、実施形態93~110のいずれか1つの方法。
112.マクロファージの活性状態を変更することが、マクロファージの集団において活性化状態のマクロファージの数を5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、又はそれよりも多く減少させることを含む、実施形態93~111のいずれか1つの方法。
113.マクロファージの活性状態を変更することが、マクロファージの集団において不活性化状態のマクロファージのパーセンテージを5倍、10倍、15倍、20倍、又はそれよりも多く増やすことを含む、実施形態95~112のいずれか1つの方法。
114.マクロファージの活性状態を変更することが、マクロファージの集団において不活性化状態のマクロファージの数を5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、又はそれよりも多く増やすことを含む、実施形態95~113のいずれか1つの方法。
115.1つ以上のインターフェロン制御因子(IRF)をコードするヌクレオチドを含むナノ粒子を含む組成物。
116.薬学的に許容される担体をさらに含む、実施形態115の組成物。
117.ナノ粒子が、正電荷コア、ポリ(β)アミノエステルコア、星型ポリマー、ポリグルタミン酸コーティング、ヒアルロン酸コーティング、中性電荷コーティング、及び/又はリポソームナノ粒子を含む、実施形態115又は116の組成物。
118.ナノ粒子が<130nmである、実施形態115~117のいずれか1つの組成物。
119.ヌクレオチドがインビトロ転写mRNAを含む、実施形態115~118のいずれか1つの組成物。
120.ヌクレオチドがコア内にカプセル化されている、実施形態115~119のいずれか1つの組成物。
121.コードされた1つ以上のIRFが、機能的自己阻害ドメインを欠く、実施形態115~120のいずれか1つの組成物。
122.コードされた1つ以上のIRFが、機能的核外移行シグナル(NES)を欠く、実施形態115又は121の組成物。
123.コードされた1つ以上のIRFが、IRF1、IRF3、IRF5、IRF7、IRF8、及び/又はIRF7とIRF3の融合体から選択される、実施形態115~122のいずれか1つの組成物。
124.コードされた1つ以上のIRFが、配列番号1~17に>90%、>95%、又は98%よりも大きな同一性を有する配列から選択される、実施形態115~123のいずれか1つの組成物。
125.コードされた1つ以上のIRFが、配列番号1~7から選択されるIRF5である、実施形態115~124のいずれか1つの組成物。
126.IRF5が配列番号1である、実施形態125の組成物。
127.IRF5が、S156D、S158D及びT160Dから選択される1つ以上の突然変異を有する配列番号1又は配列番号3である、実施形態125又は126の組成物。
128.IRF5が、T10D、S158D、S309D、S317D、S451D、及びS462Dから選択される1つ以上の突然変異を有する配列番号2である、実施形態125~127のいずれか1つの組成物。
129.IRF5が、S425D、S427D、S430D、及びS436Dから選択される1つ以上の突然変異を有する配列番号4である、実施形態125~128のいずれか1つの組成物。
130.コードされた1つ以上のIRFが、配列番号8及び12から選択されるIRF1である、実施形態115~129のいずれか1つの組成物。
131.コードされた1つ以上のIRFが、配列番号11、16及び17から選択されるIRF8である、実施形態115~130のいずれか1つの組成物。
132.IRF8がK310R突然変異を有する配列番号11である、実施形態131の組成物。
133.コードされた1つ以上のIRFが、N末端IRF7 DNA結合ドメイン(DBD)及び構成的活性ドメイン(CAD)並びにC末端IRF3 NES(核外移行シグナル)及び会合ドメインを含むIRF7/IRF3融合タンパク質を含む、実施形態115~132のいずれか1つの組成物。
134.IRF7/IRF3融合タンパク質が、IRF3会合ドメインにおいてリン酸化を模倣する突然変異をさらに含む、実施例133の組成物。
135.IRF7/IRF3融合タンパク質が配列番号15に示されている、実施形態133又は134の組成物。
136.ナノ粒子が、IKKβをコードするヌクレオチドをさらに含む、実施形態115~135のいずれか1つの組成物。
137.コードされたIKKβが、配列番号18~22に>90%、>95%、又は98%よりも大きな同一性を有する配列から選択される、実施形態136の組成物。
138.コードされたIKKβが配列番号18~22から選択される、実施形態136又は137の組成物。
139.ヌクレオチドが、配列番号23~44から選択される配列を含む、実施形態115~138のいずれか1つの組成物。
140.ナノ粒子が、p53、RB、BRCA1、E1A、bcl-2、MDR-1、p21、p16、bax、bcl-xs、E2F、IGF-I VEGF、アンジオスタチン、オンコスタチン、エンドスタチン、GM-CSF、IL-12、IL-2、IL-4、IL-7、IFN-γ、TNFα及び/又はHSV-tkから選択される1種以上の抗がん遺伝子を担持するヌクレオチドをさらに含む、実施形態115~139のいずれか1つの組成物。
141.コードされた1つ以上のIRFがIRF4である、実施形態115~122のいずれか1つの組成物。
142.ナノ粒子が、グルココルチコイド誘導ロイシンジッパー(GILZ)をコードするヌクレオチドをさらに含む、実施形態115~122、及び141のいずれか1つの組成物。
143.ナノ粒子がターゲティングリガンドをさらに含む、実施形態115~142のいずれか1つの組成物。
144.ターゲティングリガンドがコーティングに連結されている、実施形態143の組成物。
145.ターゲティングリガンドがCD206、CD163、又はCD23に結合する、実施形態143又は144の組成物。
146.ターゲティングリガンドがジマンノースである、実施形態145の組成物。
147.ターゲティングリガンドが、CD38、Gタンパク質共役型受容体18(Gpr18)、ホルミルペプチド受容体2(Fpr2)、CD64、又はCD68に結合する、実施形態143又は144の組成物。
148.1つ以上のIRF、IKKβ、及び/又はGILZをコードするヌクレオチドが、同じナノ粒子中にカプセル化されている、実施形態115~147のいずれか1つの組成物。
149.1つ以上のIRF、IKKβ、及び/又はGILZをコードするヌクレオチドが、異なるナノ粒子中にカプセル化されている、実施形態115~148のいずれか1つの組成物。
【実施例】
【0162】
[実施例1] 材料及び方法。PbAE合成。ポリマーを合成するのに使用する方法はすでに記載されていた(Mangraviti Aら、(2015)ACS Nano 9:1236~1249頁)。1,4-ブタンジオールジアクリレートは、ジアクリレート対アミン単量体の1対1モル比で4-アミノ-1-ブタノールと組み合わせた。アクリレート端末ポリ(4-アミノ-1-ブタノール-1,4-ブタンジオールジアクリレート共重合体)は、混合物を24時間攪拌しながら90℃まで加熱することにより形成した。このポリマーの2.3gを2mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解した。ピペラジンキャップド447ポリマーを形成するため、13mLのTHF中786gの1-(3-アミノプロピル)-4-メチルピペラジンをポリマー/THF溶液に添加し、室温(RT)で2時間攪拌した。キャップドポリマーは5容積のジエチルエーテルで沈澱させ、2容積の新しいエーテルで洗浄し、1日真空下で乾燥させた。純ポリマーはジメチルスルホキシド(DMSO)に100mg/mLの濃度まで溶解し、-20℃で保存した。
【0163】
ジマンノースへのPGAコンジュゲーション.α-D-マンノピラノシル-(1→2)-α-D-マンノピラノース(Di-mannose、Omicron Biochemicals Inc.)をポリグルタミン酸(PGA)にコンジュゲートする前にグルコシルアミンに改変した。先ず、ジマンノース(157mg)を10.5mLの飽和水性炭酸アンモニウムに溶解し、室温で24時間攪拌した。2日目、さらに多くの固体炭酸アンモニウムを、ジマンノースが反応液から沈澱するまで添加した。混合物はTLCにより測定した場合、完了するまで攪拌し、続いて凍結乾燥して過剰な炭酸アンモニウムを取り除いた。揮発性塩の完全な除去は、固体をメタノールに再溶解することにより達成した。これらの手順により、今後のPGAとのコンジュゲーションのためにアノマー炭素上にアミンが作り出された。
【0164】
アミノ化ジマンノースをPGAにコンジュゲートするため、基質を30mg/mLまで水に溶解し、次に10分間超音波処理した。水中エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・HCL(4mg/mL、30当量)を、室温で4分間混合しながら添加した。水中N-ヒドロキシスルホスクシンイミド(30mg/mL、35当量)を、PGA/EDC液と一緒に1分間インキュベートした。リン酸緩衝食塩水(PBS)中アミノ化ジマンノースは、得られた活性化PGAと44対1のモル比で組み合わせ、室温で6時間混合した。過剰な試薬は、24時間水に対して透析することにより取り除いた。
【0165】
mRNA合成.eGFP、IRF5、及びIKK(TriLink Biotechnologies)についてのコドン最適化mRNAは、アンチリバースキャップアナログ3’-O-Me-m7G(5’)ppp(5’)G(ARCA)でキャップし、修飾リボヌクレオチドプソイドウリジン(ψ)及び5-メチルシチジン(m5C)で完全に置換した。
【0166】
ナノ粒子調製。IRF5及びIKKβ mRNAは3対1(w対w)比で組み合わせ、25mMの酢酸ナトリウム(NaOAc)バッファー(pH=5.2)中100μg/mLまで希釈した。DMSO(上記の通り調製)中ポリ(β-アミノアステル)-447(PbAE-447)ポリマーを、やはりNaOAcバッファー中100μg/μLから6μg/μLまで希釈した。ナノ粒子を形成するため、PbAE-447ポリマーを60対1(w対w)の比でmRNAに添加し、直ちに中速度で15秒間ボルテックスし、次に混合物は室温で5分間インキュベートして、PbAE-mRNAポリプレックスを形成させた。次のステップにおいて、NaOAcバッファー中100μg/mLのPGA/ジマンノースをポリプレックス溶液に添加し、中速度で15秒間ボルテックスし、室温で5分間インキュベートした。この工程において、PGA/ジマンノースがPbAE-mRNAポリプレックスの表面を被覆して最終NPを形成した。長期貯蔵のため、D-スクロース(60mg/mL)を凍結保護物質としてNP溶液に添加した。ナノ粒子はドライアイスで瞬間凍結し、次に凍結乾燥した。乾燥NPは使用するまで-20℃又は-80℃で貯蔵した。インビボ実験において、凍結乾燥したNPは1対20(w対v)比で水に再懸濁した。
【0167】
ナノ粒子サイズ分布及びζ電位の特徴付け。NPの物理化学的特性(流体力学半径、多分散、ζ電位及び安定性を含む)は、25℃でZetapals器具(Brookhaven Instrument Corporation)を使用して特徴付けた。動的光散乱に基づいて流体力学半径及び多分散を測定するため、NPを25mMのNaOAc(pH=5.2)中に5倍希釈した。ζ電位を測定するため、NPを10mMのPBS(pH=7.0)に10倍希釈した。NPの安定性を評価するため、新たに調製した粒子を10mMのPBSバッファー(pH=7.4)に希釈した。NPの流体力学半径及び多分散は10分ごとに5時間測定し、そのサイズ及び粒子濃度は、Nanosite 300 instrument(Malvern)を使用して粒子トラッキング解析から導き出した。透過型電子顕微鏡を使用してNPを特徴付けるため、以前記載されたプロトコールに従った(Smith TTら、(2017)Nat Nanotechnol 12:813~820頁)。新たに作成したNP(0.83μgのmRNAを含有する25μL)を、グロー放電処理200メッシュ炭素/Formvar被覆銅グリッド上に沈着させた。30秒後、グリッドは、50%のKarnovsky定着液、0.1Mのカコジル酸バッファー、dH2O、次に1%(w/v)酢酸ウラニルで順次処理した。試料は、120kVで作動するJEOL JEM-1400透過型電子顕微鏡(JEOL USA)で撮像した。
【0168】
骨髄由来マクロファージ(BMDM)及び他の細胞株。BMDMを調製するため、確立したプロトコール(Zhang Xら、(2008)Curr Protoc Immunol Chapter 14:Unit 14 11)に従って骨髄前駆細胞をマウス大腿骨から収集した。これらの細胞は完全培地[4.5g/LのD-グルコース、L-グルタミン、10%の熱失活ウシ胎仔血清(FBS)、100U/mLのペニシリンを補充したDMEM、及び20ng/mLのM-CSF(Peprotech、カタログ#315-02)を補充した、100μg/mL、Glutamax50mL/500mL]において播種密度0.5~1.0 e6/mlで培養した。細胞は、エクスビボで7日間、5%CO2下、37℃でBMDM中に分化させておいた。次に、細胞は、マクロファージ条件付け培地[20ng/mLのMPLA(Sigma、カタログ#L6895)又は20ng/mLのIL4(eBiosience、カタログ#34-8041)を補充したマクロファージ完全培地]で条件付けした。BMDMはエクスビボで7~21日間使用した。マウス卵巣がん細胞株ID8は、Dr.Katherine Roby(University of Kansas Medical Center、Kansas City、KS)からの寄贈であるが、10% FBS、100U/mLのペニシリン、5μg/mLのインスリン、5μg/mLのトランスフェリン、及び5ng/mLの亜セレン酸ナトリウム(すべてSigma-Aldrich)を補充したDMEMにおいて培養した。より侵襲性の血管内皮増殖因子(VEGF)発現ID8株を作成するため、ID8腫瘍細胞に、マウスVEGFをブラストサイジン耐性遺伝子と一緒にコードするpUNO1プラスミド(Invivogen)をトランスフェクトした。安定なトランスフェクタントを得るため、腫瘍細胞は、10μg/mLのブラストサイジン(Invivogen)を含有する完全培地において3週間培養した。B16F10黒色腫細胞株(アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関)を、10%のFBS、100U/mLのペニシリン、2mM/L-グルタミン、1.5g/L炭酸水素ナトリウム、4.5g/Lグルコース、10mMのHEPES、1.0mMのピルビン酸ナトリウム、及び0.05mMの2-メルカプトエタノールを有する完全RPMI 1640培地において培養した。インビボ生物発光イメージングにおいて、ID8-VEGFとB16F10細胞株の両方にホタルルシフェラーゼをレトロウイルス性に形質導入した。RACS-PDGFβ又はRCAS-creレトロウイルスを担持するDF-1細胞株は、10%のFBS及び100U/mLのペニシリンを補充した完全培地において5%のCO2下、39℃で培養した。
【0169】
BMDMのmRNAトランスフェクション。トランスフェクションに1日先立って、BMDMは、マクロファージ完全培地において24ウェルプレート上に250,000/ウェルの濃度で再播種した。トランスフェクション前、完全培地は300μLの非補充DMEMで置き換えた。これらの細胞にトランスフェクトするため、2μgのmRNAを含有するNPを基本培地中に添加し、37℃でBMDMと共培養した。1時間後、NPを含有する培地は取り除き、細胞は、トランスフェクション効率及び細胞生存率を評価する前にさらに24時間培養した。
【0170】
マクロファージシグネチャー遺伝子分析のためのBMDMのトランスフェクション。BMDMはトランスフェクション24時間前に条件付け培地で24ウェルプレート上に再播種し、細胞をその表現型に形質転換させておいた。次に、上記のトランスフェクションプロトコールに従って、M2様マクロファージを、レポーターとして25%のeGFP mRNAを担持するIRF5/IKKβ NP又は2μgのmRNAを担持するeGFP NP(対照)に曝露した。24時間後、高度にトランスフェクトしたBMDMの上から10%(eGFP発現により測定した)をトランスフェクション後24時間で選別し、RNA単離前さらに48時間、低用量(10ng/mL)IL4培地において再チャレンジした。これらの細胞から抽出されたRNAは、IRF5-NP処置に関連するシグネチャー遺伝子を同定できるように、標準M1又はM2様マクロファージ由来のRNAと比較した。
【0171】
RNA単離及び調製。RNAを収集するため、BMDMはTrizol試薬(Ambion)に溶解し、全RNAを抽出して、RNeasy(登録商標)Plus Universal Mini-Kits(QIAGEN)を製造業者の使用説明書に従って使用して精製した。試料RNAは、NanoDrop Microvolume分光光度計(Thermo Fisher)を使用して定量化し、次にAgilent 4200 TapeStation分析器(Agilent)でFHCRCゲノム共用資源により実施される品質管理を受けさせた。
【0172】
ナノストリング技術によるマクロファージシグネチャー遺伝子分析。刺激を受けたBMDM培養物からの遺伝子発現値は、nCounter(登録商標)骨髄自然免疫パネル(NanoString Technologies、Seattle、WA)を使用して測定し、この装置は19の異なる経路に存在する770の遺伝子を分析し、7つの異なる骨髄細胞型にわたり遺伝子を処理する。試料は、nCounter分析システム(NanoString Technologies、Seattle、WA)を使用して試験した。生データは、R/Bioconductor NanoStringQCProソフトウェアパッケージ(Nickles D、Sandmann T、Ziman R and Bourgon R(2018)NanoStringQCPro:Quality metrics and data processing methods for NanoString mRNA gene expression data.R package version 1.10.0.)を使用して処理し、品質について点検した。発現値は、ハウスキーピング遺伝子の幾何平均に正規化され、nSolver 4.0ソフトウェア(NanoString Technologies、Seattle、WA)を使用してlog2変換した。比例データについての偽陽性率は、Benjamini-Yekutieli法を使用するt-検定により戻されたp値から計算した。
【0173】
フローサイトメトリー及び細胞選別。脾臓、血液、腹膜灌流、及び気管支肺胞洗浄から得た細胞は、
図9に収載されている抗マウス抗体プローブを使用して骨髄及びリンパ系免疫表現型検査パネルでフローサイトメトリーにより分析した。データは、FACSDIVAソフトウェア(Beckton Dickinson)を実行するBD LSRFortessa分析器を使用して収集した。CD11b+及びF4/80+腹腔マクロファージは、BD FACS ARIA IIを使用して選別した。収集したデータはすべてFlowJo 10.0ソフトウェアを使用して解析した。
【0174】
サイトカイン分析。サイトカインレベルは、FHCRC免疫モニタリング共用資源センターでLuminex 200システム(Luminex)を使用して評価した。エクスビボ研究において、細胞培養上澄みを、IL-6、IL-12p70、INFγ、及びTNFα濃度の測定のために収集した。インビボ研究において、GM-CSF、INFγ、IL-12p70、IL-2、IL-6、及びTNFαの血漿濃度を測定した。
【0175】
qRT-PCR分析。遺伝子発現レベルはqRT-PCRにより決定した。選択されたマクロファージシグネチャー遺伝子(セルピンB2、Retnla、Ccl5、Ccl11、コドン最適化IRF5、内在性IRF5、及びハウスキーピングGAPD遺伝子)を測定するため、全RNAはRNeasy mini-columns(Qiagen)を製造業者の使用説明書に従って用いて単離した。cDNAは、qScript cDNA合成キット(Quanta)を使用して合成した。試料ごとに、RocheのUniversal Probe Library(UPL)由来の遺伝子特異的プローブ及びProbeFinder(Roche)により最適化されたPCRプライマーを使用するPerfeCTa qPCR SuperMix Low ROX(Quanta)を経て3通りに実施した:セルピンB2、UPL-049、F-ACTGGGGCAGTTATGACAGG(配列番号96)、R-GATGATCGGCCACAAACTG(配列番号97);Retnla、UPL-078、F-TTGTTCCCTTCTCATCTGCAT(配列番号98)、R-CCTTGACCTTATTCTCCACGA(配列番号99);Ccl5、UPL-105、F-CCTACTCCCACTCGGTCCT(配列番号100)、R-CTGATTTCTTGGGTTTGCTGT(配列番号101);Ccl11、UPL-018、F-AGAGCTCCACAGCGCTTC(配列番号102)、R-CAGCACCTGGGAGGTGAA(配列番号103);コドン最適化IRF5、UPL-022、F-TCTTAAAGACCACATGGTAGAACAGT(配列番号104)、R-AGCTGCTGTTGGGATTGC(配列番号105);内在性IRF5、UPL-011、F-GCTGTGCCCTTAACAAAAGC(配列番号106)、R-GGCTGAGGTGGCATGTCT(配列番号107)。シグネチャー遺伝子mRNAレベルは、GAPD、UPL-060、F-AGCCACATCGCTCAGACAC(配列番号108)及びR-GCCCAATACGACCAAATCC(配列番号109)の増幅に基づいて正規化した。qRT-PCR反応はすべて、QuantStudio6ソフトウェア(Applied Biosystems)を実行するQuant Studio5 RT-PCR装置を使用して実施した。増幅プロットが閾値を通過せずCt値が得られない(「未決定の」)場合、アッセイでの最高のサイクル数(40サイクル)に等しいCt値を相対的発現の比較のために使用した。
【0176】
マウス及びインビボ腫瘍モデル。脳腫瘍モデル関連の実験を除いて、これらの実験で使用するマウスはJackson Laboratoryから入手し、その他のマウスはFHCRC動物施設で繁殖させ収容した。マウスはすべて、センターの動物実験委員会が承認したプロトコールに照らして使用した。卵巣腫瘍をモデル化するため、5×106の血管内皮細胞成長因子(VEGFP)発現ID8細胞を、生後4~6週間のメスのアルビノB6(C57BL/6J-Tyr<c-2J>)マウスの腹腔内(i.p.)に注射し、2週間確立させておいた。生存研究に関して、動物は、50μgのmRNAを担持するIRF5 NP/eGFP NPでi.p.処置した(9週間の間、週当たり2用量で、又は健康な状態が安楽死要件に達するまで)。機序研究に関して、1、2、又は3週間の処置を使用し、続いて、最後の用量に続く48時間で安楽死させた。腹膜灌流を実施して腹腔細胞を収集した。IRF5/IKKβ NPと現状のマクロファージターゲティング療法の効率を比べるため、マウスの1つの群は、週当たり2用量で3週間の間、50μgのmRNAを担持するIRF5/IKKβ NPでの処置を受け、第2の群は、3週間毎日、溶媒(ポリエチレングリコール400中5%の1-メチル-2-ピロリジノン)で処方した15mg/kgのPI3Kγ阻害剤IPI-594(MedKoo Biosciences Inc)の経口投与を受け;第3の群は、3週間毎日、同じ溶媒で処方した30mg/kgのCSF1R阻害剤ペキシダルチニブ(PLX3397、MedKoo Biosciences Inc)のi.p.注射を受けた。
【0177】
転移性肺がんをモデル化するため、F-lucを形質導入し200μLのRPMI培養液に懸濁された2.5×104の16F10細胞を、生後4~6週間のメスのアルビノB6(C57BL/6J-Tyr<c-2J>)マウス(Jackson Laboratories)に注射し、1週間確立させておいた。生存研究に関して、マウスは、PBS中に懸濁された30μgのmRNAを担持するIRF5/IKKβ又はeGFP NPで(又はなしで)後眼窩に処置した。マウスは、3週間の間、週当たり3用量で、又は健康な状態が安楽死要件に達するまで処置した。機序研究に関して、マウスは2週間、同じ処置を受けた。気管支肺胞洗浄を実施して分析のために肺胞細胞を収集した。
【0178】
神経膠腫を抱えたマウスを、公表されているプロトコール(Uhrbom Lら、(2004)Nat Med 10:1257~1260頁)に従って作成した。RCAS-PDGFβ及びRCAS-creレトロウイルスを産出しているトリDF-1細胞を、生後4~6週間でNestin-tv-a/Ink4a-arf-/-;Pten-/-マウス(C57BL/6)の両方の脳半球(座標:前頂から1mm尾側、2mm側部、硬膜表面から2mmの深さ)の頭蓋内に注射した。腫瘍は2週間確立させておいた。15日目、マウスは1つの半球に10Gyの放射線を受け、その間未照射半球は鉛で遮蔽した。次の日、マウスは、30μgのmRNAを担持するIRF5/IKKβ NPの後眼窩注射を受ける(3週間の間、週当たり3用量)、又はPBS対照群に割り当てられた。
【0179】
インビボ生物発光イメージング。PBS中D-ルシフェリン(Xenogen)(15mg/mL)を、ホタルルシフェラーゼイメージングのための基質として使用した。生物発光画像は、Xenogen IVIS Spectrumイメージングシステム(Xenogen)で収集した。マウスは、イメージング前及び最中に2%のイソフルラン(Forane、Baxter Healthcare)で麻酔にかけた。ID8-VEGF卵巣腫瘍に関して、それぞれのマウスは、300μgのD-ルシフェリンをi.p.注射し、画像は10分後に収集した。B16F10肺転移性腫瘍に関して、マウスは、3mgのD-ルシフェリンをi.p.注射し、画像は15分後に収集した。脳腫瘍モデルに関して、マウスは、75mg/体重kgのD-ルシフェリンの後眼窩注射を受け、画像は4分後に収集した。捕捉時間は10秒~5分の範囲に及んだ。
【0180】
体内分布分析。ID8-VEGF卵巣腫瘍モデルにおけるIRF5 NPの体内分布を決定するため、7~8群のマウスが、50μgのmRNAを担持するNPのi.p.又は後眼窩用量を受けた。注射24時間後、全血を収集し、マウスはCO2で安楽死させ、臓器(肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓、腸、膵臓、及び横隔膜)を回収した。すべての組織はRNAlaterで安定化し、次に、ドライアイス上で凍結した。それぞれの臓器におけるコドン最適化IRF5 mRNAレベルはRT-qPCRを使用して測定した。
【0181】
毒性分析。繰り返し注入マクロファージターゲティングNPの潜在的なインビボ毒性を測定するため、3週間の経過にわたり50μgのmRNAを担持するIRF5/IKKβ又はeGFP NPの6連続用量をマウス(5/群)の静脈内に注射した。対照は処置を受けなかった。最終注入の24時間後、マウスに麻酔をかけ、血液を後眼窩出血により収集し、全血球数を決定した。血液は、血清化学及びサイトカインプロファイル分析のためにも収集した(Phoenix Central Laboratories、Mukilteo、WAにより実施した)。次に、動物はCO2で安楽死させ、臓器を回収し、4%のパラホルムアルデヒドに固定する前に脱イオン水で洗浄した。組織はルーチン処理し、切片はヘマトキシリン-エオジンで染色した。検体は、委員会認定の局員病理学者のDr.Smitha Pillai MVSc、PhD、DACVPにより、盲検様式で解釈された。
【0182】
サイトカインアッセイ。サイトカインレベルは、FHCRC Immune Monitoring Shared Resourcesにおいてルミネックス200システム(Luminex)を使用して評価した。エクスビボ研究に関して、細胞培養上澄みを、IL-6、IL12p70、INFγ、及びTNFαの濃度の測定のために収集した。インビボ研究に関して、GM-CSF、INFγ、IL-12p70、IL-2、IL-6、及びTNFαの血漿濃度を測定した。
【0183】
統計解析。観察された相違の統計的有意は、独立両側一元配置分散分析検定を使用して分析した。測定ごとのP値は、図又は図説明文に収載されている。生存データは、対数順位検定を使用して特徴付けた。統計解析はすべて、GraphPad Prismソフトウェアバージョン6.0又はRソフトウェアを使用して実施した。
【0184】
結果。TAMのIVT mRNAトランスフェクションを構成するためにNPを設計する.陽イオンポリ(βアミノエステル)(PbAE)ポリマーと陰イオンmRNAの間の静電相互作用を利用することにより、標的化細胞における頑強な遺伝子発現を導入することができる標的化mRNA送達システムを開発した(
図2A)。得られたナノ担体にカプセル化されたmRNAの安定性及び翻訳を改善するため、改変リボヌクレオチドプソイドウリジン(ψ)(Kariko Kら、(2008)Mol Ther 16:1833~1840頁)及び5-メチルシチジン(m5C)を組み込み、ARCA(アンチリバースキャップアナログ)(Quabius ESら、(2015)N Biotechnol 32:229~235頁)でキャップされたメッセージの合成バージョンを使用した。mRNAは、PbAE骨格においてエステル結合の加水切断により細胞内でmRNA-PbAE複合体から放出される。効率的なインビボT細胞トランスフェクションは、このシステムを使用して以前実証されていた(Smith TTら、(2017)Nat Nanotechnol)。ナノ粒子を標的のTAMに向け並びにナノ粒子が含有するmRNA-PbAE複合体をさらに安定化するため、ジマンノース部分は、リンカーとしてポリグルタミン酸(PGA)を使用してその表面上に操作した(
図2A)。NPは、単純な2ステップ電荷駆動自己組織化工程を利用して製造した。第1に、合成mRNAは正電荷PbAEポリマーと複合体化し、これによりmRNAはナノサイズ複合体中に凝縮される。このステップに続いて、ジマンノース官能基を持たされたPGAを添加し、これは正電荷のPbAE-mRNA粒子を遮蔽して、マクロファージ-ターゲティングを与える。得られたmRNAナノ担体は、99.8±24.5nmのサイズ、0.183の多分散性、及び中性表面電荷(3.40±2.15mVのζ電位、
図2B~2C)有していた。トランスフェクション効率は、先ず、緑色蛍光タンパク質コードmRNAで処方されたNP(GFP-NP)を使用してマウス骨髄由来マクロファージ(BMDM)において試験した。手短に言えば、50,000のBMDMを1μgのmRNAを含有するNPに1時間曝露し、続いて次の日、GFP発現のフローサイトメトリー測定を行った。単一NP適用に続いて、我々は、これら初代マクロファージの31.9%(±8.5%)をそれらの生存率を減らすことなくルーチンにトランスフェクトした(
図2E~2F)。ジマンノースを用いた粒子の表面修飾は適切であった。なぜならば、非標的化(しかし、PGA被覆された)ナノ担体でのトランスフェクション率はこの固有の食作用性細胞型において平均で25%(±2.1%)まで低下したからであった。NPは、CD11b+、F4/80+マクロファージ集団を選択的に標的にし、マクロファージの46%がトランスフェクトされ高レベルのeGFPを発現した(
図2D)。この高度なトランスフェクション効率は、TAMへのmRNAの標的化送達において開示されたシステム及び方法の効力を実証している。マクロファージ極性化を誘導する転写因子候補を求めてのインビトロスクリーニングの結果に基づいて、NPに包含するための2つのmRNAを選択し:第1のmRNAは、M1表現型に向かうマクロファージの極性化に有利に働くIRFファミリーのキーとなるメンバーである、IRF5をコードし、第2のmRNAはIRF5をリン酸化し活性化するキナーゼである、IKKβをコードする。
【0185】
免疫抑制性マクロファージを炎症促進性表現型にプログラムする。マクロファージ極性化を誘導するため、NPに包含するための2つのmRNAを選択し:第1のmRNAは、M1表現型に向かうマクロファージの極性化に有利に働くインターフェロン制御因子ファミリーのキーとなるメンバーである、IRF5をコードし(Krausgruber Tら、(2011)Nat Immunol 12:231~238頁);第2のmRNAは、IRF5をリン酸化し活性化するキナーゼである、IKKβをコードする(Ren Jら、(2014)Proc Natl Acad Sci USA 111:17438~17443頁)。3 IRF5 mRNA対1 IKKβ mRNAの比を使用した。NP送達(及びコドン最適化)IRF5 mRNAに特異的なリアルタイム定量的PCRを使用して、マクロファージにおけるmRNA発現は1日目が最大であり、内在性因子レベルと比べてIRF5の1500倍の増加がもたらされることが見出された(
図2A)。予想通り、遺伝子発現は一過性であるが、IRF5レベルは、ベースラインに戻る前、3日目(581倍の増加)から5日目(87倍の増加)を通じて強く上方調節されたままであった。
【0186】
IRF5/IKKβコードNPがM2マクロファージを治療的に望ましい抗がんM1表現型に再プログラムできるかどうかを判定するため、ナノストリング遺伝子発現分析を使用した。BMDMは、先ず、インターロイキン-4(IL-4)の存在下で培養して、抑制性M2表現型を誘導した(
図2H)。対照GFP-mRNAナノ粒子又はIRF5/IKKβ mRNA含有NPでのトランスフェクションに続いて、遺伝子発現プロファイルを分析し炎症性マクロファージと比較した。この炎症性マクロファージは、BMDMをTLR4アゴニストモノホスホリスリピドAに曝露することにより別々に作成した。抑制性IL-4含有培地で培養されたが、IRF5/IKKβ mRNA NPをトランスフェクトされたマクロファージは、炎症性マクロファージに類似する遺伝子発現プロファイルを示す(
図2I)。セルピンb2及びCcl2などのシグネチャーM2マクロファージ遺伝子(Jablonski Kら、(2015)Plos One 10:e0145342;Varga Tら、(2016)J Immunol 196:4771~4782頁)は、強く下方調節されており、Ccl5などのキーとなるM1分化遺伝子(Sica Aら、(2012)J Clin Invest 122:787~795頁)は上方調節されていた(
図2J、2K)。これらのデータにより、IRF5及びそのキナーゼのNP媒介発現は抑制性マクロファージを炎症促進性表現型のほうに歪めることが立証される。
【0187】
[実施例2] 播種性卵巣がんに対するNP送達pro-M1遺伝子の治療効果。臨床関連インビボ試験システムにおいてこの処置アプローチを評価するため、C57BL/6マウスにおいて後期切除不能卵巣腫瘍を再現するモデルを使用し;これらの動物には、腫瘍成長の連続生物発光イメージングを可能にするようにルシフェラーゼでタグ付けされたID8卵巣がん細胞を注射する(Liao JBら、(2015)J Immunother Cancer 3:16頁;Stephan SBら、(2015)Nat Biotechnol 33:97~101頁)。腫瘍は2週間確立させておいた。この段階まで、マウスは腹膜壁全体に及び腸の腸間膜に小結節を発症していた。動物は、9週間の間100μgのmRNA/マウス/週のi.p.用量での、PBS(対照)、GFPNP(ニセ)、又はIRF5/IKKβ NP処置を受ける3つの群に分けた(
図4A)。IRF5/IKKβ NP処置群において、疾患が退行しており、最後には動物の40%で除去されていることが観察された(全体で142日生存期間中央値対60日対照;
図4B~4C)。IRF5/IKKβ NP媒介抗腫瘍効果の下にある機序を理解するため、マンノース受容体ターゲティングがNP相互作用をどのようにして排他的に食細胞に限定するのかを先ず調べた。ジマンノースで標的化されたNPの最初の投与の24時間後に収集された腹膜灌流液のフローサイトメトリーにより、マクロファージ及び単球中への優先的遺伝子移入(それぞれ、平均37.1%及び15.3%、
図4D)が明らかにされ、オフターゲット細胞中へのトランスフェクションは低い又は検出されなかった。3週間にわたる(毎週2回注射)IRF5/IKKβナノ粒子又はPBSを用いた処置に続く確立した卵巣がんを抱えたマウスの腹膜におけるマクロファージ/単球集団の詳細な表現型及び機能分析を次に行った。フローサイトメトリー分析によれば、IRF5/IKKβ NPは免疫抑制性マクロファージの集団(Ly6C-、F4/80+、CD206+)を平均2.6%±2.1%対対照においては43%±15.6%まで減少させることが明らかになった(
図4E~4F)。反対に、M1様マクロファージの割合は0.5%±0.2%から10.2%±4.1%まで増えた(
図4E、4G)。IRF5遺伝子療法は他の免疫細胞の集団にも影響を及ぼした。特に、炎症性単球(CD11b+、Ly6C+、Ly6G-)がより豊富であった(非処置マウスでの4.5%±1.9%と比べて73.4%±3.6%)。すべてのIRF5 NP処置マウスにおける1つの興味深い所見は、新生物内又は周辺に存在するリンパ球の多巣性密集クラスターであり(
図4H)、免疫刺激性マクロファージの遺伝的プログラミングが固体腫瘍中へのリンパ球遊走及び浸潤を復活させる可能性があることを示している。
【0188】
腹膜マクロファージは蛍光活性化細胞選別により単離して、それらのサイトカイン分泌を分析し、炎症促進性(抗腫瘍)サイトカインIL-12(3.4倍高い)、IFN-g(8.4倍高い)、及びTNF-α(1.5倍高い)の放出の頑強な増加を検出し、一方、選択的に活性化される(M2様)マクロファージへの分化に関連する制御サイトカインであるIL-6のレベルは97倍減少した;
図4I)。ゲノム発現プロファイリングにより、IRF5/IKKβナノ粒子処置マウスにおいてM1様マクロファージ表現型の方に向かう分化が確認された。MPLA又はIL-4においてエクスビボで培養されたマクロファージの遺伝子発現レベルは、それぞれ古典的M1様又はM2様マクロファージについての参照値を提供するために含まれた(
図4J)。
【0189】
生体分布及び安全性。ナノ粒子送達(コドン最適化)IRF5のみを検出するように設計されたRT-qPCRアッセイを使用して腹腔内注射の24時間後に種々の臓器におけるナノ粒子の分布を次に定量化した。IVT mRNAの最高濃度は、肝臓、脾臓、腸、膵臓、及び横隔膜を含む、腹膜に位置する臓器において見出された(
図5A)。腹膜の外側に位置する臓器(心臓、肺、腎臓)における粒子送達mRNAは少量が検出され、i.p.注射されたナノ担体の一部が全身循環に入ったことが示唆される。分布データに導かれて、次に我々は、これらのナノ試薬が生体適合性であり、繰り返し投与は安全であるかどうかを評価した。マウスに、全部で8用量のIRF5/IKKβ NPを注射した(4週間の間、2回の50μgのmRNA用量/週、
図5B)。マウスは最終用量の24時間後に安楽死させ、体重を記録し、血清化学のために血液を後眼窩出血により収集し、完全肉眼部検を実施した。群間には体重差はなかった。以下の組織:肝臓、脾臓、腸間膜、膵臓、胃、腎臓、心臓、及び肺は、委員会認定の局員病理学者により評価された。病理組織学的評価により、すべての症例で、腫瘍病変内又は周辺に存在するリンパ球の多巣性密集クラスターが明らかにされたが、炎症又は明らかな壊死の証拠は、新生物細胞が存在しない組織において観察されなかった(
図5C)。その上、IRF5/IKKβ NP処置マウスの血清化学は、PBS対照の血清化学と匹敵しており、全身的な毒性は起きていないことを示していた(
図5D)。生体分布研究において少量のIRF5-mRNAが全身的に検出されたので、末梢血中の炎症性サイトカインを定量化するための並列実験を設計した。IRF5/IKKβ NPの単回i.p.注射に続いて、インターロイキン-6(IL-6)の平均26.8pg/mLまでの(
図5E)及び腫瘍壊死因子-α(TNF-α)の平均94.7pg/mLまでの(
図5F)血清レベルの中程度で一過性の増加が測定された。以前の報告に基づいて、これらのレベルは、病理学的所見に関連するレベルの500分の1であり、したがって安全と見なすことができる(Tarrant J.M.(2010)Toxicol Sci 117:4~16頁;Copeland Sら、(2005)Clin Diagn Lab Immunol 12:60~67頁)。
【0190】
IRF5/IKKβナノ粒子の静脈内注入で全身性腫瘍転移を制御する。腹膜全体に広がった腫瘍病変を処置するために腹膜腔中に直接投与されたIRF5/IKKβ NPにより達成された治療応答に基づいて、問われた次の問題は、静脈内注入mRNAナノ担体が伝播した疾患を制御するようにマクロファージを全身的にプログラムすることができるかどうかであった。RT-qPCR生体分布研究によれば、i.v.注入ナノ担体はそれらのmRNAカーゴを高レベルの常在性マクロファージ/食細胞のある臓器、大部分が脾臓、肝臓、及び肺に優先的に送達することが明らかにされた(
図6A)。臨床関連インビボ試験システムにおいて抗腫瘍応答を測定するため、IRF5/IKKβ mRNAを含有する粒子を、播種性肺黒色腫転移のあるマウス中に投与した(
図6B)。最近の研究は、この疾患により引き起こされる転移を確立する際の単球及びマクロファージの基本的役割を記載しており(Butler KLら、(2017)Sci Rep 7:45593頁;Nielsen SRら、(2017)Mediators Inflamm 2017年:9624760頁)、腫瘍移植は肺における食細胞蓄積と同調していることが共焦点顕微鏡により確かめられた(
図6C)。腫瘍量は生物発光イメージングにより決定し、検出可能な腫瘍のあるマウスは適合するレベルを有する群に選別された。次に、群は無作為に、治療を受けない(PBS)、又はGFP-若しくはIRF5/IKKβカプセル化ナノ粒子の静脈内注射を受ける処置条件を割り当てられた。IRF5/IKKβナノ粒子療法のみが肺において腫瘍量を実質的に減らし;実際、IRF5/IKKβナノ粒子療法は全生存を平均で1.3倍改善した(
図6D~6E)。並列実験において、マウスは腫瘍接種22日後に屠殺されて、肺転移のカウントで生物発光腫瘍シグナルを確認し、フローサイトメトリーによりマクロファージ極性化を評価した。IRF5/IKKβ NP処置動物の肺における全転移数は、PBS対照(平均419±139転移;
図6F~6G)と比べて8.7倍減少した(平均40±16転移)。気管支肺胞洗浄液細胞のフローサイトメトリーにより、免疫抑制性(CD206+、MHCII-、CD11c+、CD11blow)マクロファージから活性化(CD206-、MHCII+、CD11c-、CD11b+)食細胞への強い移行が明らかにされた(
図6H~6I)。
【0191】
神経膠腫を処置するために腫瘍抑制食細胞をプログラムする。第3のインビボ試験システムに関して、神経膠腫を調べたが、これは、M2様マクロファージが非新生物細胞の大多数を表し腫瘍成長及び侵襲を促進する管理するのが困難ながんタイプである(Hambardzumyan Dら、(2016)Nat Neurosci 19:20~27頁)。現在、この疾患の標準治療は放射線療法であり、この療法は不運なことに、症状の一時的な安定化及び減少のみを提供し、生存期間中央値を3カ月延ばす(Mann Jら、(2017)Front Neurol 8:748頁)。この疾患の遺伝的事象及びそれに続く分子進化を再現するため、PDGFβ駆動神経膠腫のRCAS-PDGF-B/Nestin-Tv-a;Ink4a/Arf-/-;Pten-/-トランスジェニックマウスモデル(PDGマウス(Hambardzumyan Dら、(2009)Transl Oncol 2:89~95頁;Quail DFら、(2016)Science 352:aad3018))を使用した。脳組織は、RCAS-PDGFβ又はRCAS-creレトロウイルスをトランスフェクトしたDF-1細胞の混合物(1対1混合物、2μL)を定位的に注射した。神経膠腫前駆細胞におけるPDGFβがん遺伝子の過剰発現及び腫瘍抑制遺伝子Ink4a-arf及びPtenの非存在のせいで、21日以内にほぼ完全な浸透率を有する4~5mm直径の腫瘍が形成された(
図7A)(以前確立された通りに(Hambardzumyan Dら、(2009)Transl Oncol 2:89~95)。免疫蛍光を使用して、腫瘍浸潤(CD68+)マクロファージの存在(
図7B、左から3番目のパネルに示されている)が確立した神経膠腫(左から2番目のパネルに示されている)において確かめられた。フローサイトメトリーにより、F4/80+、CD11b+マクロファージ集団が腫瘍中の全細胞の32.8%を占めており、この数字は同年齢の健康な対照マウス(3.7%)に見られる9倍高いことが明らかにされている(
図7C)。実験におけるPDGマウスは、キーとなるがん遺伝子プロモーターに連結されたホタルルシフェラーゼを発現する。このレポーター由来の生物発光は、腫瘍悪性度と正の相関関係があることが実証されており(Uhrbom Lら、(2004)Nat Med 10:1257~1260頁)、したがって、この生物発光を使用して、処置開始後4日毎に腫瘍成長をモニターした。単独療法としてのIRF5/IKKβ NPを先ず試験し:PDGマウスは、IRF5/IKKβ mRNAを積載したNP、又は対照群においてPBSの9用量の静脈内注入を受けた(3週間の間、3用量/週)。IRF5/IKKβ NP処置は腫瘍進行をわずかに抑制した(非処置の対照と比べて平均で5日の生存優位性を生じただけであった;
図7D)。しかし、標準治療としての放射線療法とIRF5/IKKβ NP注射を組み合わせると、PBS対照群と比べて処置マウスの腫瘍成長を実質的に減らし生存期間を2倍以上にした(それぞれ、52日対25日、
図7E~7F)。
【0192】
結論として、3つの前臨床固体腫瘍モデルからのインビボ結果によれば、ナノ粒子は、局所的に又は全身的に投与されるが、マクロファージ極性化のマスター制御因子をコードする遺伝子を送達して免疫抑制性マクロファージを腫瘍除去表現型に再プログラムすることができることが実証されている。
【0193】
マウスからヒトマクロファージへの置き換え。マウスで得られたデータがヒト疾患を処置することに適用可能性があることを確かめるため、ヒトIRF5及びIKKβをコードするIVT mRNAを送達するNP(huIRF5 NP)を製作した。ヒト単球細胞株THP-1を確立したM1及びM2マクロファージ極性化モデルとして使用して、これらのナノ担体を試験した(Li Cら、(2016)Sci Rep 6:21044頁;Surdziel Eら、(2017)Plos One 12:e0183679)。M2タイプのマクロファージは、THP-1細胞をPMAで処置し、IL-4及びIL-13で極性化することにより作成した(
図8A)。huIRE5 NPが機能的でありIRF経路を活性化することを確かめるため、THP1-Lucia(商標)ISG細胞に、huIRF5/IKKβ又はGFP対照mRNAを積載したナノ粒子をトランスフェクトした。THP1-Lucia(商標)ISG細胞は、IRF誘導性プロモーターの制御下で蛍光Luciaレポーターを分泌する。この複合プロモーターは、ISG54ミニマルプロモーターに融合された5つのIFN刺激応答エレメント(ISRE)を含み、このミニマルプロモーターはNF-κB又はAP-1経路の活性化因子に無応答性である。その結果、THP1-Lucia(商標)ISG細胞は、Luciaルシフェラーゼの活性を決定することによりIRF経路のモニタリングを可能にする。huIRF5 NPは、M2極性化THP-1細胞においてルシフェラーゼ発現を強く上方調節することが見出され、mRNA構築物がヒト細胞において機能的であることが示される(
図8B~8C)。IRF5経路活性化がM2極性化THP-1細胞をM1様表現型の方に再プログラムできるかどうかを判定するため、NPトランスフェクションに続く炎症促進性サイトカインIL-1βの分泌を測定した。IL-1βの産生は、huIRF5 NPをトランスフェクトしたTHP-1細胞対非トランスフェクト対照において有意に増加しており(平均21倍;P<0.0001、
図8D)、M1マクロファージ細胞表面マーカーCD80の頑強な上方調節(10.9倍に増加したMFI、P<0.0001)と相関していた(
図8E)。
【0194】
配列番号の一覧表
本明細書に記載される核酸配列は、37C.F.R.§1.822に定義されるように、ヌクレオチド塩基についての標準文字省略形を使用して示されている。それぞれの核酸配列の1つの鎖のみが示されているが、相補鎖は、適切であると考えられる実施形態には含まれると理解されている。配列番号55、58、61、64、71、73及び79はこの配列表には使用されていない。添付の配列表は以下の配列を示している。
【0195】
【0196】
当業者であれば理解するように、本明細書に開示されるそれぞれの実施形態は、その特定の述べられた要素、ステップ、成分又は構成要素を含む、本質的にからなる又はからなることが可能である。したがって、「含む(include)」又は「含む(including)」は、「を含む、からなる、又は本質的にからなる」を復唱すると解釈されるべきである。転換語「含む(comprise)」又は「含む(comprises)」は「含む(includes)」を意味するが、これに限定されず、明示されていない要素、ステップ、成分、又は構成要素、大きな量でも包含することが可能である。移行句「からなる」は、明記されていないいかなる要素、ステップ、成分又は構成要素も排除する。移行句「本質的にからなる」は、実施形態の範囲を明記された要素、ステップ、成分、又は構成要素に、及び実施形態に物理的に影響を及ぼさない要素、ステップ、成分、又は構成要素に限定する。物理的効果は、実施例2に記載される卵巣がんのマウスモデルを処置する能力の統計的に有意な減少を引き起こすと考えられる。
【0197】
別段示されなければ、明細書及び特許請求の範囲で使用されている分子量、反応条件、その他などの成分の量、特性を表す数字はすべて、すべての例において「約」により修飾されていると理解するべきである。したがって、反対だと示されていなければ、明細書及び添付の特許請求の範囲で表明される数のパラメータは、本発明が得ようとしている所望の特性に応じて変動することがある近似値である。最低でも、及び特許請求の範囲の等価物の学説の適用を限定しようとする試みとしてではなく、それぞれの数のパラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数に照らして、及び普通の四捨五入法を適用することにより解釈するべきである。さらなる明快さが求められる場合、「約」は、記述されている数値又は範囲と併せて使用される場合に当業者がその用語が持つと合理的に考える意味を有し、すなわち、記述されている値又は範囲よりもいくぶん多い又はいくぶん少ない、記述されている値の±20%;記述されている値の±19%;記述されている値の±18%;記述されている値の±17%;記述されている値の±16%;記述されている値の±15%;記述されている値の±14%;記述されている値の±13%;記述されている値の±12%;記述されている値の±11%;記述されている値の±10%;記述されている値の±%9;記述されている値の±8%;記述されている値の±7%;記述されている値の±6%;記述されている値の±5%;記述されている値の±4%;記述されている値の±3%;記述されている値の±2%;又は記述されている値の±1%の範囲内までを表す。
【0198】
本発明の広い範囲を示している数の範囲及びパラメータは近似値であるが、特定の実施例で示されている数値はできる限り正確に報告されている。しかし、いかなる数値も、それぞれの試験測定値に見出される標準偏差から必然的に生じるある特定の誤差を本質的に含有する。
【0199】
本発明を説明するという文脈で(特に、以下の特許請求の範囲という文脈で)使用される「1つ(a)」、「1つ(an)」、「その(the)」、及び類似の指示対象は、本明細書で別段指示されなければ又は文脈とはっきり矛盾しなければ、単数及び複数の両方を含むと解釈されるべきである。本明細書での値の範囲の列挙は、その範囲内に収まるそれぞれ別々の値に個別に言及するという簡単な方法としての働きをすることだけを意図されている。本明細書において別段指示されなければ、それぞれ個々の値は、あたかもそれが本明細書において個別に列挙されているかのように明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書で別段指示されなければ又は別段文脈とはっきり矛盾しなければ、任意の適切な順番で実施することができる。ありとあらゆる実施例の使用、又は本明細書で提供される例示的言語(例えば、「などの」)は、本発明をよりよく明らかにすることだけを意図されており、別の方法で請求される本発明の範囲を限定しない。明細書のいかなる言語も、本発明の実行に不可欠な任意の請求されていない要素も指示していると解釈されるべきである。
【0200】
本明細書に開示される本発明の別の要素又は実施形態のグループ分けは限定と解釈されるべきではない。それぞれのグループのメンバーは、個別に又はそのグループの他のメンバー若しくは本明細書に見出される他の要素との任意の組合せで言及され請求されてもよい。グループの1つ以上のメンバーは、都合上及び/又は特許性という理由でグループに含まれる又はグループから削除される場合があることは予想されている。いかなるそのような包含又は削除が起きた場合でも、明細書は、修正され、したがって、添付の特許請求の範囲において使用されるすべてのマーカッシュグループの書面による記述を満たすグループを含有すると見なされる。
【0201】
本発明を実行するために発明者らに知られている最良の態様を含む、本発明のある特定の実施形態は本明細書に記載されている。当然のことながら、これらの記載されている実施形態の変形は、前の記述を読めば当業者には明らかになる。本発明者は、当業者がそのような変形を必要に応じて用いると予想しており、本発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載される以外の方法で実行されることを意図している。したがって、本発明は、準拠法によって許されるように、ここに添付される特許請求の範囲に列挙される主題のすべての修正物及び等価物を含む。さらに、この考えられるあらゆる変形における上記要素のいかなる組み合わせも、本明細書で別段指示されなければ又は別段文脈とはっきり矛盾しなければ、本発明に包含される。
【0202】
さらに、本明細書全体で、特許、出版物、雑誌論文及び他の文書が数多く参照されてきた(本明細書の参照材料)。参照材料のそれぞれが個々に、その参照される教えのために参照によりその全体を本明細書に組み込まれる。
【0203】
最後にあたって、本明細書に開示される本発明の実施形態が本発明の原理を例証していることは理解されるべきである。用いることができる他の修正物は本発明の範囲内である。したがって、例として、しかし限定ではなく、本発明の別の構成を本明細書の教えに従って利用してもよい。したがって、本発明は示され記載されている通りの発明に限定されない。
【0204】
本明細書に示される特色は、例としてであり、本発明の好ましい実施形態を実証的に考察することのみを目的とするものであり、本発明の種々の実施形態の原理及び概念面の最も有用ですぐに理解される記述であると考えられるものを提供するために示されている。これに関して、本発明の構造的詳細を本発明の基本的理解に必要である以上に詳細に示そうとは試みておらず、説明は、本発明のいくつかの形態を実際にどのようにして用いればよいのかを当業者が明らかにする図面及び/又は実施例と一緒に行われている。
【0205】
以下の実施例において明白に明確に修正されていなければ将来のいかなる解釈においても、又は意味の適用がいかなる解釈も無意味にする若しくは本質的に無意味にする場合、本開示において使用される定義及び説明が支配的であることが意味され意図されている。用語の解釈がその用語を無意味にする若しくは本質的に無意味にすると考えられる場合、定義は、ウェブスター辞典第3版又は生化学及び分子生物学のオックスフォード辞典(Ed.Anthony Smith、Oxford University Press、Oxford、2004年)などの当業者には公知である辞書から採用するべきである。
【配列表】