(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】負荷時タップ切換器、および、負荷時タップ切換器を有するローカルネットワーク変圧器
(51)【国際特許分類】
H01F 29/04 20060101AFI20230926BHJP
H01F 29/02 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
H01F29/04 502K
H01F29/04 501C
H01F29/02 U
(21)【出願番号】P 2020540708
(86)(22)【出願日】2019-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2019054209
(87)【国際公開番号】W WO2019170417
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-02-15
(31)【優先権主張番号】102018105097.6
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035459
【氏名又は名称】マシイネンフアブリーク・ラインハウゼン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(72)【発明者】
【氏名】ハンマー・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ザクセンハウザー・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ダッラ・ヴェッキア・リッカルド
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-515137(JP,A)
【文献】特開2009-004618(JP,A)
【文献】実開昭59-096815(JP,U)
【文献】実公昭53-033765(JP,Y2)
【文献】中国実用新案第201163570(CN,Y)
【文献】中国特許出願公開第105977070(CN,A)
【文献】米国特許第05744764(US,A)
【文献】韓国登録特許第10-1388013(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 29/00-29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷時タップ切換器(10)であって、この負荷時タップ切換器が、
-第1の選択器ロッド(21)および第2の選択器ロッド(25)と;
-負荷切換器ロッド(51)と;
-前記負荷切換器ロッド(51)で操作される切換手段(55)と;
-伝動機構(19)と;
を備えており、その際、
-
前記第1の選択器ロッド(21)と前記第2の選択器ロッド(25)とが、1つの平面において平行に配設されており、この第1の選択器ロッド(21)と前記負荷切換器ロッド(51)とが、1つの平面において平行に配設されており、および、この第2の選択器ロッド(25)とこの負荷切換器ロッド(51)とが、1つの平面において平行に配設されており;
-前記伝動機構(19)が、
-
両方の前記選択器ロッド(21、25)を、選択器接点(29A)から隣接する選択器接点(29B)への切り換えの間じゅう、第1の方向に
、時系列的にずらして移動させること;
-前記切換手段(55)を操作するために、前記負荷切換器ロッド(51)を、この切り換えの間じゅう、この第1の方向、および、この第1の方向とは逆である第2の方向に移動させること、
のために設備されていることを特徴とする負荷時タップ切換器(10)。
【請求項2】
-前記伝動機構(19)は、第1の駆動ピニオン(31)と第1の従動ピニオン(41)とを備えており、
-駆動軸(18)が、前記第1の選択器ロッド(21)を、この第1の駆動ピニオン(31)とこの第1の従動ピニオン(41)とを介して、前記切り換えの間じゅう移動させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の負荷時タップ切換器(10)。
【請求項3】
-前記伝動機構(19)は、第2の駆動ピニオン(35)と第2の従動ピニオン(45)とを備えており、
-前記駆動軸(18)が、前記第2の選択器ロッド(25)を、この第2の駆動ピニオン(35)とこの第2の従動ピニオン(45)とを介して、前記切り換えの間じゅう移動させる、
ことを特徴とする
請求項2に記載の負荷時タップ切換器(10)。
【請求項4】
-前記伝動機構(19)は、クランク(53)とコネクティングロッド(54)とを備えており、
-前記駆動軸(18)が、前記負荷切換器ロッド(51)を、このクランク(53)とこのコネクティングロッド(54)とを介して移動させ、且つ、従って、前記切換手段(55)を、前記切り換えの間じゅう操作する、
ことを特徴とする
請求項2に記載の負荷時タップ切換器(10)。
【請求項5】
-前記負荷切換器ロッド(51)は、カム輪郭(52)を有し、
-前記切換手段(55)が、方向転換レバー(57)と機械的に結合されており、
-この切換手段(55)が、前記切り換えの間じゅう、この方向転換レバー(57)とこのカム輪郭(52)を介して操作
され、
-前記方向転換レバー(57)が、前記カム輪郭(52)を、前記切換手段(55)の操作の間じゅう、少なくとも部分的にトレースする、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の負荷時タップ切換器(10)。
【請求項6】
-前記伝動機構(19)は、前記切り換えの間じゅう、更に別の切換手段(56)を操作することのために装備
されており、
-前記更に別の切換手段(56)が、少なくとも1つの接点(63、64)を備えており、この更に別の切換手段が、ブリッジ回路として形成されている、
ことを特徴とする請求項1
から5のいずれか一つに記載の負荷時タップ切換器(10)。
【請求項7】
-前記負荷切換器ロッド(51)は、前記更に別の切換手段(56)を備えている、
ことを特徴とする
請求項6に記載の負荷時タップ切換器(10)。
【請求項8】
-前記伝動機構(19)は、前記切り換えの間じゅう、前記第1の選択器ロッド(21)を、前記第1の方向に移動させ、その後、前記負荷切換器ロッド(51)を、この第1の方向と前記第2の方向とに移動させ、且つ、その後、前記第2の選択器ロッド(25)をこの第1の方向に移動させることのために装備されている、
ことを特徴とする請求項1
から7のいずれか一つに記載の負荷時タップ切換器(10)。
【請求項9】
-前記伝動機構(19)は、前記切り換えの間じゅう、前記負荷切換器ロッド(51)を、何度も第1の方向に、及び/または、何度も第2の方向に移動させることのために装備されている、
ことを特徴とする請求項1
から8のいずれか一つに記載の負荷時タップ切換器(10)。
【請求項10】
-前記負荷切換器ロッド(51)は、前記切り換えの間じゅう、前記切換手段(55)を開放および閉鎖する、
ことを特徴とする請求項1
から9のいずれか一つに記載の負荷時タップ切換器(10)。
【請求項11】
-前記伝動機構(19)は、ゼネバ歯車伝動機構として形成されている、
ことを特徴とする請求項1
から10のいずれか一つに記載の負荷時タップ切換器(10)。
【請求項12】
負荷時タップ切換器(10)であって、この負荷時タップ切換器が、
-負荷切換器(50)を有し、この負荷切換器が、
・真空遮断器として形成された、3つの切換手段(55)と、
・ブリッジ回路として形成された、3つの、更に別の切換手段(56)と、
・負荷切換器ロッド(51)とを備え、
-選択器(20)を有し、この選択器が、
・第1および第2の選択器ロッド(21、25)を備え、
-伝動機構(19)を有し、この伝動機構が、
・前記負荷切換器(50)と前記選択器(20)とを操作する、
ことを特徴とする請求項1
から11のいずれか一つに記載の負荷時タップ切換器(10)。
【請求項13】
変圧器であって、
この変圧器が、
-請求項1
から12のいずれか一つによる負荷時タップ切換器を備えている、
ことを特徴と
する変圧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷時タップ切換器、および、負荷時タップ切換器を有するローカルネットワーク変圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
ローカルネットワーク変圧器の制御は、低電圧ネットワークもしくは中電圧ネットワークにおける、例えば風力発電設備または光発電設備のような選択的なエネルギー発生器の増加に基づいて、益々重要性を増している。高電圧変圧器内に組み込まれる従来の負荷時タップ切換器は、ローカルネットワーク変圧器のために、これら負荷時タップ切換器の大きさの理由そのことだけで適当ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の課題は、特にコンパクトで且つ信頼性の高い、タップ切換変圧器、特にローカルネットワーク変圧器のための負荷時タップ切換器、並びに、負荷時タップ切換器を有するローカルネットワーク変圧器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この背景から、本発明は、独立請求項の対象を提案する。本発明の有利な実施形態は、従属請求項内において記載されている。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、1つの負荷時タップ切換器を提案し、この負荷時タップ切換器が、
-第1の選択器ロッドおよび第2の選択器ロッドと;
-負荷切換器ロッドと;
-前記負荷切換器ロッドで操作される切換手段と;
-伝動機構と;
を備えており、その際、
-前記第1の選択器ロッドと前記第2の選択器ロッドとが、1つの平面において平行に配設されており、この第1の選択器ロッドと前記負荷切換器ロッドとが、1つの平面において平行に配設されており、および、この第2の選択器ロッドとこの負荷切換器ロッドとが、1つの平面において平行に配設されており;
-前記伝動機構が、
-両方の前記選択器ロッドを、選択器接点から隣接する選択器接点への切り換えの間じゅう、第1の方向に、時系列的にずらして移動させること;
-前記切換手段を操作するために、前記負荷切換器ロッドを、この切り換えの間じゅう、この第1の方向、および、この第1の方向とは逆である第2の方向に移動させること、
のために設備されている。
【0006】
本発明に従う負荷時タップ切換器は、2つの選択器ロッドを有しており、これら選択器ロッドが、転換器(Umsteller)の構造に類似しており、且つ、このことによって、コンパクトな構造様式を可能にする。
負荷切換器ロッドを用いて、簡単で安いコストで且つ構造空間を節約する方法で、切り換えを、負荷のもとで、即ちタップ切換変圧器の作動の間じゅう、迅速且つ確実に実施することの可能性が提供される。その際、この負荷時タップ切換器の伝動機構は、これら選択器ロッドとこの負荷切換器ロッドとが、正確な時間に移動され、且つ、切り換えを実施することを可能にする。
特にコンパクトな構造様式を可能とするために、切換手段の操作のための負荷切換器ロッドは、第1の方向、および、この第1の方向とは逆である第2の方向に移動される。これら選択器ロッドとこの負荷切換器ロッドとは、その際、共線的に配設されている。同様にこの構成も、負荷時タップ切換器の全ての部材が、場所を取らないように配設すること、および、その際、機能性と高い信頼性を保証することを許容する。これら選択器ロッド及び/またはこの負荷切換器ロッドは、それぞれに、1つの部分から成るようにまたは複数の部分から成るように形成可能である。
【0007】
少なくとも1つの実施形態に従い、
伝動機構は、第1の駆動ピニオンと第1の従動ピニオンとを備えており、その際、
駆動軸が、第1の選択器ロッドを、この第1の駆動ピニオンとこの第1の従動ピニオンとを介して、切り換えの間じゅう移動させる。
【0008】
少なくとも1つの実施形態に従い、
伝動機構は、第2の駆動ピニオンと第2の従動ピニオンとを備えており、その際、
駆動軸が、第2の選択器ロッドを、この第2の駆動ピニオンとこの第2の従動ピニオンとを介して、切り換えの間じゅう移動させる。
【0009】
少なくとも1つの実施形態に従い、
伝動機構は、クランクとコネクティングロッドとを備えており、その際、
駆動軸が、負荷切換器ロッドを、このクランクとこのコネクティングロッドとを介して移動させ、且つ、従って、切換手段を、切り換えの間じゅう操作する。
この切換手段が、しかしながら、同様に直接的に負荷切換器ロッドを介して操作可能に構成されていることも可能である。
【0010】
更に、
-負荷切換器ロッドが、カム輪郭を有し、
-切換手段が、方向転換レバーと機械的に結合されており、
-この切換手段が、切り換えの間じゅう、この方向転換レバーとこのカム輪郭を介して操作される、
ことが意図されていることは可能である。
【0011】
少なくとも1つの実施形態に従い、
方向転換レバーは、カム輪郭を、切換手段の操作の間じゅう、少なくとも部分的にトレースする。このために、この方向転換レバーが、ローラーを備えていることは可能である。
【0012】
更に、伝動機構が、切り換えの間じゅう、更に別の切換手段を操作することが意図されていることは可能である。その際、負荷切換器ロッドは、更に別の切換手段を備えている。更に別の切換手段が、少なくとも1つの接点を備えており、且つ、ブリッジ回路(Brueckenschalter)として形成されていることは可能である。
【0013】
更に、伝動機構が、切り換えの間じゅう、第1の選択器ロッドを、第1の方向に移動させ、その後、負荷切換器ロッドを、この第1の方向と第2の方向とに移動させ、且つ、その後、第2の選択器ロッドをこの第1の方向に移動させることのために装備されていることが意図されていることは可能である。
【0014】
更に、伝動機構が、切り換えの間じゅう、負荷切換器ロッドを、何度も第1の方向に、及び/または、何度も第2の方向に移動させることのために装備されていることが意図されていることは可能である。
【0015】
更に、負荷切換器ロッドが、切り換えの間じゅう、切換手段を開放および閉鎖することが意図されていることは可能である。
【0016】
更に、伝動機構が、ゼネバ歯車伝動機構として形成されていることが意図されていることは可能である。
【0017】
更に、ベースプレート及び/または駆動軸及び/または伝動機構及び/または選択器ロッド及び/または駆動ピニオン及び/または従動ピニオン及び/または負荷切換器ロッド及び/またはクランク及び/またはコネクティングロッド及び/または方向転換レバー及び/またはローラーが、例えば紙基材積層板またはGFK(glasfaserverstaekter Kunststoff(グラスファイバー強化プラスチック))ような、非導電性の材料から形成されていることは可能である。
【0018】
本発明に従い、1つのローカルネットワーク変圧器が提供され、このローカルネットワーク変圧器は、本発明に従う負荷時タップ切換器を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に従う負荷時タップ切換器の図である。
【
図2】負荷時タップ切換器内における伝動機構の1つの実施形態の図である。
【
図5】切換手段の操作の1つの実施形態の図である。
【
図6】負荷時タップ切換器を有するローカルネットワーク変圧器の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1内において、選択器20と負荷切換器50とを有する負荷時タップ切換器10が図示されている。この負荷時タップ切換器10は、駆動軸18を用いて伝動機構19を介して操作される。選択器20は、その際、第1の選択器ロッド21と第2の選択器ロッド25とを備えている。負荷切換器50は、負荷切換器ロッド51を備えている。
負荷時タップ切換器10の図示された実施形態が三相に構成されているので、負荷切換器50は、それぞれに1つの切換手段55を、それぞれに1つの相のために有している。それぞれの切換手段55が、真空遮断器、半導体切換器として、または、簡単な接点から形成されていることは可能である。
駆動軸18は、伝動機構19を介して、第1および第2の選択器ロッド21、25、並びに、負荷切換器ロッド51を移動させる。負荷切換器50と選択器20とは、ベースプレート17の上に配設されている。このベースプレート17内において、それに加えて、複数の選択器接点29が装入されている。選択器接点29は、ここで示されていないタップ切換変圧器72、特にローカルネットワーク変圧器の制御巻線71の巻線タップ70と接続されている。
【0021】
図2内において、選択器20の領域内における伝動機構19は、第1および第2の駆動ピニオン31、35、並びに、第1および第2の従動ピニオン41、45を有して図示されている。更に、第1および第2の選択器ロッド21、25が、伝動機構の方に向けられたそれぞれに1つの側で、歯付された領域22、26を有することは見て取れる。
【0022】
図3内において、伝動機構19の詳細図が示されている。第1の駆動ピニオン31の外側面30は、2つの部分32、34に分割されている。外側面30の第1の部分32は、刻み目33を、および、第2の部分34が2つの歯36を有しており、その際、この第1の部分32の刻み目33が、この第2の部分34の2つの歯36の間で延びている。
このことは、類似して、第2の駆動ピニオン35に関しても言えることである。第1および第2の駆動ピニオン31、35は、相互間で鏡対称されて駆動軸18に配設されている。
【0023】
第1の従動ピニオン41の外側面40は、2つの部分42、44に分割されている。第1の部分42は、対称的に分配された4つの歯43を有している。第2の部分44内において、この従動ピニオン41は均等に歯付けされている。対称的に分配された4つの歯43は、均一に、第2の歯付された部分内へと移行する。このことは、類似して、第2の従動ピニオン45に関しても言えることである。これら従動ピニオン41、45は、部分歯付された領域22、26を介して、選択器ロッド21、25との作用結合されている。
【0024】
伝動機構19は、選択器ロッド21、25を、選択器接点29Aから隣接する選択器接点29Bへの切り換えの間じゅう、第1の方向に移動させることを可能にする(
図1を参照)。後に続く切り換えの際に、これら選択器ロッド21、25は、同じ第1の方向に、または、第2の反対の方向、即ち選択器接点29Bから選択器接点29Aに移動される。
【0025】
選択器ロッド21、25、従動ピニオン41、45、および、駆動ピニオン31、35から成る組み合わせは、駆動軸18の連続的な回転運動を、第1の方向へのこの選択器ロッド21、25の直線状の及び/または歩進的な移動に変換することを可能にする。
第1および第2の駆動ピニオン31、35が、互いに位置ずれされて駆動軸18に配設されていることによって、両方の選択器ロッド21、25の、互いに時系列的にずらされた移動が行われる。更に、駆動ピニオン31、35と従動ピニオン41、45との、それぞれの第1の部分32、42が、切り換えの外で、それぞれの選択器ロッド21、25の移動を防止する。
駆動ピニオン31、35の刻み目33を有する外側面30と、従動ピニオン41、45の4つの歯43とは、誤回転防止を提供する。伝動機構19は、同様にゼネバ歯車伝動機構としても構成され得る。
【0026】
図4内において、クランク53とコネクティングロッド54とを有する駆動軸18が図示されている。このコネクティングロッド54は、第1の端部においてクランク53と、および、第2の端部において負荷切換器ロッド51と、機械的に結合されている。
駆動軸18の回転により、負荷切換器ロッド51は、クランク53とコネクティングロッド54とを介して、切り換えの間じゅう、第1の方向、および、この第1の方向とは逆である第2の方向に移動される。これに伴って、選択器接点29Aから選択器接点29Bへの切り換えの際に、選択器ロッド21、25が第1の方向に移動され、且つ、負荷切換器ロッド51が、第1の方向、および、この第1の方向とは逆である第2の方向に移動されることは、結果として生じる。
【0027】
換言すれば、第1の選択器ロッド21と第2の選択器ロッド25とは、1つの平面において平行に配設されており、この第1の選択器ロッド21と負荷切換器ロッド51とが、1つの平面において平行に配設されており、および、この第2の選択器ロッド25とこの負荷切換器ロッド51とが、1つの平面において平行に配設されており、このことは、共線性を意味する。
【0028】
切り換えの際に、選択器ロッド21、25は、時系列的にずらされて、第1の方向に、即ち右または左に、もしくは、上方または下方に移動される。負荷切換器ロッド51は、それに反して、切り換えの際に、第1の方向、および、この第1の方向とは逆である第2の方向に移動され、即ち右および左に、またはその逆に左および右に、もしくは、上方または下方に、またはその逆に下方または上方に移動される。
【0029】
負荷切換器ロッド51は、しかも同様に、何度も第1または第2の方向に、切り換えの間じゅう移動され得る。その際、たび重なる方向変換が、常に相前後して行われる。
【0030】
更に、負荷切換器ロッド51を、部分歯付された伝動機構を介して、及び/または、ゼネバ歯車伝動機構を、駆動軸18を介して操作することは可能である。
【0031】
負荷切換器ロッド51は、それぞれの切換手段55の操作のために、カム輪郭52を有している。ここで記載されている実施形態において、負荷切換器ロッド51は、3つのカム輪郭52を有している。真空遮断器の操作のこの例示において、カム輪郭52は、切換手段55の操作に利用される。
更に、負荷切換器ロッド51は、更に別の第2の切換手段56を操作する。この更に別のもしくは第2の切換手段56は、ブリッジ回路として形成されており、且つ、第1の接点63と第2の接点64を備えている。その際、これら接点63、64は、機械的に負荷切換器ロッド51と結合されている。
【0032】
図5内において、切換手段55と第2の切換手段56の操作のための、負荷切換器50の1つの実施形態が図示されている。その際、方向転換レバー57が、負荷切換器ロッド51と切換手段55との間に、回転可能に支承されて配設されている。
方向転換レバー57の第1の端部60は、ローラー58を有しており、このローラーが、カム輪郭52を、負荷切換器ロッド51の移動の間じゅう、少なくとも部分的にトレースする。方向転換レバー57の第2の端部61は、切換手段55と機械的に結合されている。ここで示された実施形態において、真空遮断器として形成されている切換手段55の移動可能な接点62は移動され、且つ、この真空遮断器が閉鎖もしくは開放される。
切換手段55の操作は、同様に直接的に負荷切換器ロッド51を介しても行われ得る。その際、切換手段55の移動可能な接点62に、ローラー58が附設され、このローラーが、カム輪郭52のトレースによって、真空遮断器を開放または閉鎖する。
【0033】
それに対して平行に、第2の切換手段56が操作される。その際、負荷切換器ロッド51に固定された、ブリッジ回路の接点63、64は、固定接点の上に押し上げられるか、もしくは、これら固定接点から切り離される。
【0034】
負荷切換器50の操作の際に、従って、負荷切換器ロッド51は、一度または何度も第1および第2の方向に移動される。その際、切換手段55、56は、一度または何度も操作、即ち開放または閉鎖され、もしくは、固定接点が押し込みによって橋絡され、または、解離によって切り離される。このことは、切り換えシーケンスに依存する。
【0035】
ベースプレート17及び/または駆動軸18及び/または伝動機構19及び/または選択器ロッド21、25及び/または駆動ピニオン31、35及び/または従動ピニオン41、45及び/または負荷切換器ロッド51及び/またはクランク53及び/またはコネクティングロッド54及び/または方向転換レバー57及び/またはローラー58は、例えば紙基材積層板またはGFKのような、非導電性の材料から形成されている。
【0036】
図6は、本発明に従う負荷時タップ切換器10を有する、タップ切換変圧器72、特にローカルネットワーク変圧器の概略図を示している。選択器接点29は、制御巻線71の巻線タップ70と接続されている。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1. 負荷時タップ切換器(10)であって、この負荷時タップ切換器が、
-第1の選択器ロッド(21)および第2の選択器ロッド(25)と;
-負荷切換器ロッド(51)と;
-切換手段(55)と;
-伝動機構(19)と;
を備えており、その際、
-前記第1の選択器ロッド(21)と、前記第2の選択器ロッド(25)と、前記負荷切換器ロッド(51)とが共線的に配設されており;
-前記伝動機構(19)が、
-前記選択器ロッド(21、25)を、選択器接点(29A)から隣接する選択器接点(29B)への切り換えの間じゅう、第1の方向に移動させること;
-前記切換手段(55)を操作するために、前記負荷切換器ロッド(51)を、この切り換えの間じゅう、この第1の方向、および、この第1の方向とは逆である第2の方向に移動させること、
のために設備されていることを特徴とする負荷時タップ切換器(10)。
2. -前記伝動機構(19)は、第1の駆動ピニオン(31)と第1の従動ピニオン(41)とを備えており、
-駆動軸(18)が、前記第1の選択器ロッド(21)を、この第1の駆動ピニオン(31)とこの第1の従動ピニオン(41)とを介して、前記切り換えの間じゅう移動させる、
ことを特徴とする上記1に記載の負荷時タップ切換器(10)。
3.-前記伝動機構(19)は、第2の駆動ピニオン(35)と第2の従動ピニオン(45)とを備えており、
-前記駆動軸(18)が、前記第2の選択器ロッド(25)を、この第2の駆動ピニオン(35)とこの第2の従動ピニオン(45)とを介して、前記切り換えの間じゅう移動させる、
ことを特徴とする上記1または2に記載の負荷時タップ切換器(10)。
4. -前記伝動機構(19)は、クランク(53)とコネクティングロッド(54)とを備えており、
-前記駆動軸(18)が、前記負荷切換器ロッド(51)を、このクランク(53)とこのコネクティングロッド(54)とを介して移動させ、且つ、従って、前記切換手段(55)を、前記切り換えの間じゅう操作する、
ことを特徴とする上記1から3のいずれか一つに記載の負荷時タップ切換器(10)。
5. -前記負荷切換器ロッド(51)は、カム輪郭(52)を有し、
-前記切換手段(55)が、方向転換レバー(57)と機械的に結合されており、
-この切換手段(55)が、前記切り換えの間じゅう、この方向転換レバー(57)とこのカム輪郭(52)を介して操作される、
ことを特徴とする上記1から4のいずれか一つに記載の負荷時タップ切換器(10)。
6. -前記方向転換レバー(57)は、前記カム輪郭(52)を、前記切換手段(55)の操作の間じゅう、少なくとも部分的にトレースする、
ことを特徴とする上記5に記載の負荷時タップ切換器(10)。
7. -前記伝動機構(19)は、前記切り換えの間じゅう、更に別の切換手段(56)を操作することのために装備されている、
ことを特徴とする上記1から6のいずれか一つに記載の負荷時タップ切換器(10)。
8. -前記負荷切換器ロッド(51)は、前記更に別の切換手段(56)を備えている、
ことを特徴とする上記1から7のいずれか一つに記載の負荷時タップ切換器(10)。
9. -前記更に別の切換手段(56)は、少なくとも1つの接点(63、64)を備えており、この更に別の切換手段が、ブリッジ回路として形成されている、
ことを特徴とする上記7または8に記載の負荷時タップ切換器(10)。
10. -前記伝動機構(19)は、前記切り換えの間じゅう、前記第1の選択器ロッド(21)を、前記第1の方向に移動させ、その後、前記負荷切換器ロッド(51)を、この第1の方向と前記第2の方向とに移動させ、且つ、その後、前記第2の選択器ロッド(25)をこの第1の方向に移動させることのために装備されている、
ことを特徴とする上記1から9のいずれか一つに記載の負荷時タップ切換器(10)。
11. -前記伝動機構(19)は、前記切り換えの間じゅう、前記負荷切換器ロッド(51)を、何度も第1の方向に、及び/または、何度も第2の方向に移動させることのために装備されている、
ことを特徴とする上記1から10のいずれか一つに記載の負荷時タップ切換器(10)。
12. -前記負荷切換器ロッド(51)は、前記切り換えの間じゅう、前記切換手段(55)を開放および閉鎖する、
ことを特徴とする上記1から11のいずれか一つに記載の負荷時タップ切換器(10)。
13. -前記伝動機構(19)は、ゼネバ歯車伝動機構として形成されている、
ことを特徴とする上記1から12のいずれか一つに記載の負荷時タップ切換器(10)。
14. 負荷時タップ切換器(10)であって、この負荷時タップ切換器が、
-負荷切換器(50)を有し、この負荷切換器が、
・真空遮断器として形成された、3つの切換手段(55)と、
・ブリッジ回路として形成された、3つの、更に別の切換手段(56)と、
・負荷切換器ロッド(51)とを備え、
-選択器(20)を有し、この選択器が、
・第1および第2の選択器ロッド(21、25)を備え、
-伝動機構(19)を有し、この伝動機構が、
・前記負荷切換器(50)と前記選択器(20)とを操作する、
ことを特徴とする上記1から13のいずれか一つに記載の負荷時タップ切換器(10)。
15. ローカルネットワーク変圧器であって、このローカルネットワーク変圧器が、
-上記1から14のいずれか一つによる負荷時タップ切換器を備えている、
ことを特徴とするローカルネットワーク変圧器。
【符号の説明】
【0037】
10 負荷時タップ切換器
17 ベースプレート
18 駆動軸
19 伝動機構
20 選択器
21 第1の選択器ロッド
22 第1の選択器ロッド21の歯付された領域
25 第2の選択器ロッド
26 第2の選択器ロッド25の歯付された領域
29 選択器接点
29A 選択器接点
29B 選択器接点
30 第1/第2の駆動ピニオン31/35の外側面
31 第1の駆動ピニオン
32 外側面30の第1の部分
33 刻み目
34 外側面30の第2の部分
35 第2の駆動ピニオン
36 第1/第2の駆動ピニオン31/35の2つの歯
40 第1/第2の従動ピニオン41/45の外側面
41 第1の従動ピニオン
42 外側面40の第1の部分
43 4つの歯
44 外側面40の第2の部分
45 第2の従動ピニオン
50 負荷切換器
51 負荷切換器ロッド
52 カム輪郭
53 クランク
54 コネクティングロッド
55 切換手段
56 更に別の、もしくは、第2の切換手段
57 方向転換レバー
58 ローラー
60 方向転換レバー57の第1の端部
61 方向転換レバー57の第2の端部
62 移動可能な接点
63 第2の切換手段56の第1の接点
64 第2の切換手段56の第2の接点
70 巻線タップ
71 制御巻線
72 タップ切換変圧器/ローカルネットワーク変圧器