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特許7355757生物学的流体採取装置のための通気プラグ付きキャップ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】生物学的流体採取装置のための通気プラグ付きキャップ
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20230926BHJP
【FI】
G01N1/10 V
G01N1/10 N
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020560942
(86)(22)【出願日】2019-04-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 US2019029926
(87)【国際公開番号】W WO2019213089
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】62/665,092
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】イヴォセヴィッチ,ミラン
(72)【発明者】
【氏名】ムサード,ライアン,ダブリュー
【審査官】西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0312576(US,A1)
【文献】特表2017-531782(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0367177(US,A1)
【文献】特開2005-349195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00- 1/44
A61B 5/153-5/154
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的流体採取装置のためのキャップであって、
ャップ体と、通気プラグとを含み、
前記キャップ体は、
前端部と、
前記前端部とは反対側の後端部と、
前記前端部に隣接し且つ第一直径を有する第一チャンバと、
第二直径を有する第二チャンバと、
前記後端部に隣接し且つ第三直径を有する第三チャンバとを画定し、
前記第二チャンバは、前記第一チャンバと前記第三チャンバとの間に配置され、
前記第二直径は、前記第一直径及び前記第三直径よりも小さく、
前記通気プラグは、前記キャップ体内に配置され、カルボキシメチルセルロース添加剤を含むキャップ。
【請求項2】
記通気プラグは、前記第三チャンバに配置される請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記第一直径は、前記第三直径よりも小さい請求項2に記載のキャップ。
【請求項4】
前記第一直径は、1.016mmであり、
前記第二直径は、0.4mmであり、
前記第三直径は、1.5mmである請求項2に記載のキャップ。
【請求項5】
前記第二チャンバの長さは、1.6mmであり、
前記第三チャンバの長さは、3.5mmである請求項2に記載のキャップ。
【請求項6】
前記通気プラグは、空気の通過を許容し、血液サンプルが通過することを妨げる請求項1に記載のキャップ。
【請求項7】
前記通気プラグは多孔質プラグである請求項1に記載のキャップ。
【請求項8】
生物学的流体採取装置のためのキャップであって、
ャップ体と、第一通気プラグと、第二通気プラグと、を含み、
前記キャップ体は、
前端部と、
前記前端部とは反対側の後端部と、
前記前端部から前記後端部まで延びるチャンバとを画定し、
前記第一通気プラグは前記チャンバに配置され、
前記第二通気プラグはカルボキシメチルセルロース添加剤を含み、
前記第一通気プラグは、前記第二通気プラグと前記キャップ体の前記前端部との間に配置されるキャップ。
【請求項9】
前記第二通気プラグは、空気の通過を許容し、血液サンプルが通過することを妨げる請求項に記載のキャップ。
【請求項10】
前記第二通気プラグは多孔質プラグである請求項に記載のキャップ。
【請求項11】
前記第一通気プラグは多孔質プラグである請求項に記載のキャップ。
【請求項12】
前記第二通気プラグは、前記チャンバに配置される請求項に記載のキャップ。
【請求項13】
前記第二通気プラグは、前記キャップ体の前記後端部の一部を覆うシートである請求項に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年5月1日に出願された、タイトルが「生物学的流体採取装置のための通気プラグ付きキャップ」である米国仮出願第62/665092号に基づく優先権を主張し、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、生物学的流体採取装置に関する。より詳細には、本開示は、生物学的流体採取装置のための通気プラグ付きキャップに関する。
【背景技術】
【0003】
キャップは、生物学的流体採取装置の採取チャンバを封止するのに必要である。採取チャンバは、チャンバ内の液体を封止する前に空気を抜いておく必要がある。前記キャップの主な用途の一つは、システムの残留空気を除去した後に生物学的流体採取装置を封止することである。これは、サンプル採取に二つの主要な影響を与える。第一に、血液ガス測定は、嫌気的に(空気のない状態で)採取された血液を用いて行わなければならない。第二に、空気を除去することで、空気ポケットの存在により利用可能なサンプル量の一部だけではなく全量を採取することが容易になる。これらの影響はいずれも、適切に抗凝固され、偏りのない血液サンプルを得るために重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、生物学的流体採取装置のための通気プラグ付きキャップを提供する。通気プラグは、空気の通過を許容し、血液サンプルが通過することを妨げる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態において、通気プラグは多孔質プラグである。一実施形態において、キャップは、カルボキシメチルセルロース添加剤を含む通気プラグを含む。
【0006】
一実施形態において、本開示はキャップを提供し、当該キャップは、血液とカルボキシメチルセルロース添加剤との間の接触面積を減少させる、たとえば半径を縮小させることにより、血漿イオンのカルボキシメチルセルロースに対する相互作用による検体バイアスを制限する。一実施形態において、本開示はキャップを提供し、当該キャップは、血液とカルボキシメチルセルロース添加剤との間の経路長を増加させる、たとえば経路長を増加させることにより、血漿イオンのカルボキシメチルセルロースに対する相互作用による検体バイアスを制限する。一実施形態において、本開示はキャップを提供し、当該キャップは、カルボキシメチルセルロース添加剤プラグの前方に多孔質材料を導入して拡散率を減少させることにより、血漿イオンのカルボキシメチルセルロースに対する相互作用による検体バイアスを制限する。
【0007】
本発明の実施形態に係る生物学的流体採取装置のためのキャップは、第一直径を有する第一チャンバと、第二直径を有する第二チャンバと、第三直径を有する第三チャンバと、を画定するキャップ体であって、第二チャンバは、第一チャンバと第三チャンバとの間にある、キャップ体と、第三チャンバに配置される通気プラグであって、カルボキシメチルセルロース添加剤を含む通気プラグと、を含み、第二直径は第一直径よりも小さく、第二直径は第三直径よりも小さい。
【0008】
一構成において、通気プラグは、空気の通過を許容し、血液サンプルが通過することを妨げる。他の一構成において、通気プラグは多孔質プラグである。さらに他の一構成において、第一直径は第三直径よりも小さい。一構成において、第一直径は1.016mmであり、第二直径は0.4mmであり、第三直径は1.5mmである。他の一構成において、第二チャンバの長さは1.6mmであり、第三チャンバの長さは3.5mmである。さらに他の一構成において、キャップ体は、前端部と後端部とを有する。一構成において、第一チャンバは、キャップ体の前端部に隣接する。他の一構成において、第三チャンバは、キャップ体の後端部に隣接する。さらに他の一構成において、キャップ体は、フランジ部とプラグ部とを含む。
【0009】
本発明の他の実施形態に係る生物学的流体採取装置のためのキャップは、第一直径を有するチャンバを画定するキャップ体であって、前端部と後端部とを有するキャップ体と、チャンバに配置された第一通気プラグと、カルボキシメチルセルロース添加剤を含む第二通気プラグと、を含み、第一通気プラグは、第二通気プラグとキャップ体の前端部との間に配置される。
【0010】
一構成において、第二通気プラグは、空気の通過を許容し、血液サンプルが通過することを妨げる。他の一構成において、第二通気プラグは多孔質プラグである。さらに他の一構成において、第一通気プラグは多孔質プラグである。一構成において、第二通気プラグは、チャンバに配置される。他の一構成において、第二通気プラグは、キャップ体の後端部の一部を覆うシートである。さらに他の一構成において、キャップ体は、フランジ部とプラグ部とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付の図面とともに本開示の実施形態の以下の説明を参照することによって、本開示の前記および他の特徴および利点、ならびにそれらを達成する方法はより明らかになり、本開示自体がよりよく理解されるであろう。
【0012】
図1】本発明の実施形態に係るキャップ付き生物学的流体採取装置の斜視図である。 本発明の実施形態に係るキャップ付き生物学的流体採取装置の斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るキャップの斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るキャップの横断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る通気プラグ付きキャップの横断面図である。
図6】本発明の他の実施形態に係るキャップの斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係る図6のキャップの単位バイアスを示すグラフである。
図8】本発明の他の実施形態に係るキャップの斜視図である。
図9】本発明の実施形態に係る図8のキャップの単位バイアスを示すグラフである。
図10】本発明の他の実施形態に係る通気プラグ付きキャップの横断面図である。
図11】本発明の他の実施形態に係る通気プラグ付きキャップの横断面図である。
図12】本発明の他の実施形態に係る通気プラグ付きキャップの横断面図である。
図13】本発明の他の実施形態に係る通気プラグ付きキャップの横断面図である。
図14】本発明の実施形態に係る、外側ケース内に配置された採取モジュールを有する生物学的流体採取装置の斜視図である。
図15】本発明の実施形態に係る図14の生物学的流体採取装置の部分横断面斜視図である。
図16】本発明の実施形態に係る、外側ケース内に配置された採取モジュールを有する生物学的流体採取装置の斜視図である。
図17】本発明の実施形態に係る図16の生物学的流体採取装置の部分横断面斜視図である。
図18A】本発明の実施形態に係る、チューブホルダ内に挿入されている生物学的流体採取装置の部分横断面斜視図である。
図18B】生物学的流体サンプルがチューブホルダを通って採取モジュール内に流れ込んでいる、本発明の実施形態に係る生物学的流体採取装置の部分横断面斜視図である。
図18C】本発明の実施形態に係る、チューブホルダから取り出されている生物学的流体採取装置の部分横断面斜視図である。
図18D】本発明の実施形態に係る、外側ケースから取り出された生物学的流体採取装置の採取モジュールの部分横断面斜視図である。
図18E】本発明の実施形態に係る、生物学的流体採取装置の採取モジュールからキャップが取り外されている様子を示す部分横断面斜視図である。
図18F】本発明の実施形態に係る、採取モジュールから生物学的流体を排出するために生物学的流体採取装置の採取モジュールの作動部材が作動している様子を示す部分横断面斜視図である。
図19】本発明の実施形態に係る、外側採取ケース内に配置された生物学的流体採取モジュールを有する生物学的流体採取装置の下端部の部分斜視図である。
図20】本発明の実施形態に係る生物学的流体採取装置の下端部の部分横断面斜視図である。
図21】本発明の実施形態に係る生物学的流体採取装置の斜視図である。
【0013】
対応する参照符号は、いくつかの図にわたって対応する部分を示す。本明細書に記載された例は、本開示の実施形態の例を示すものであり、当該例は、本開示の範囲をいかなる仕方でも限定するものとして解釈されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明は、本発明を実施するために企図された、本明細書に記載の実施形態を当業者が作り、使用できるようにするために提供される。しかしながら、様々な変更、等価物、変形、および代替物が、当業者にとっては直ちに明らかであろう。そのような変更、変形、等価物、および代替物はいずれも、本発明の精神および範囲内となるように意図されている。
【0015】
以下の説明の目的で、「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直方向」、「水平方向」、「頂部」、「底部」、「横」、「縦」、およびそれらの派生語は、図面で方向づけられた本発明に関するものとする。しかしながら、本発明は、明示的にそうでないと指定されていない限り、様々な代替的な変形を想定できることが理解されるべきである。また、添付の図面に図示され、以下の明細書に記載された具体的な装置は、本発明の単なる例示的な実施形態であることも理解されるべきである。したがって、本明細書に開示された実施形態に関連する具体的な寸法および他の物理的特性は、限定的なものとして考慮されるべきではない。
【0016】
本開示は、生物学的流体採取装置のための通気プラグ付きキャップを提供する。通気プラグは、空気の通過を許容し、血液サンプルが通過することを妨げる。一実施形態において、通気プラグは多孔質プラグである。一実施形態において、キャップは、カルボキシメチルセルロース添加剤を含む通気プラグを含む。
【0017】
カルボキシメチルセルロースは、「自己封止」添加剤であり、液体と接触すると膨潤する。この添加剤が多孔質材料、特に疎水性材料内にあると、空気が抜けることを許容した上で、液体がカルボキシメチルセルロースに到達することで膨潤して閉じる。これによって、生物学的流体採取装置の採取チャンバから液体が漏れ出るのを防止する。カルボキシメチルセルロースは、少量の血液サンプル量(<5mL)で、検体バイアス(典型的には、Ca2+、Na、K)を生じさせうる。
【0018】
カルボキシメチルセルロース添加剤を有する膜が、血液または関心のある液体に、高い表面接触面積-体積比で晒された場合、血液中の検体バイアス結果に劇的な影響を与えうる。カルボキシメチルセルロース添加剤と血漿中のイオンとの間で起こるイオン交換は、誤った結果をもたらす可能性がある。
【0019】
一実施形態において、本開示のキャップは、血液とカルボキシメチルセルロース添加剤との間の接触面積を減少させる、たとえば半径を縮小させることにより、血漿イオンのカルボキシメチルセルロースに対する相互作用による検体バイアスを制限する。
【0020】
一実施形態において、本開示のキャップは、血液とカルボキシメチルセルロース添加剤との間の経路長を増加させる、たとえば経路長を増加させることにより、血漿イオンのカルボキシメチルセルロースに対する相互作用による検体バイアスを制限する。
【0021】
一実施形態において、本開示のキャップは、カルボキシメチルセルロース添加剤プラグの前方に多孔質材料を導入して拡散率を減少させることにより、血漿イオンのカルボキシメチルセルロースに対する相互作用による検体バイアスを制限する。
【0022】
本開示のキャップは、バイアスイオンがカルボキシメチルセルロース源から遠ざかり、血液すなわち測定サンプル中に入ることができる速度を減少させる。本開示のキャップは、カルボキシメチルセルロース添加剤がイオン濃度に劇的な影響を与えうる少量の血液量(<5mL)に対して特に注目するものである。
【0023】
本開示は、生物学的流体採取装置のための通気プラグ付きキャップを提供する。本開示のキャップは、図14から図21に示すように、生物学的流体採取装置1に適合する。
【0024】
図14および図15を参照すると、一実施形態において、生物学的流体採取装置1は、外側ケース34内に配置された採取モジュール10を含む。採取モジュール10は、血液サンプル等の生物学的流体サンプルを受け取るようになっており、ケース12と、閉止具14と、混合チャンバ16と、保持チャンバ18と、キャップ20と、作動部材22と、を含む。
【0025】
一実施形態において、ケース12は、第一端部24と、第二端部26と、ケース12の第一端部24と第二端部26との間に延伸し、両者を流体連通する流路28と、を含む。流路28は、ケース12の第一端部24にサンプル導入開口30を有し、ケース12の第二端部26にサンプル排出開口32を有する。混合チャンバ16と保持チャンバ18とは、流路28と流体連通する。混合チャンバ16と保持チャンバ18とは、流路28のサンプル導入開口30から導入された血液サンプル等の生物学的流体サンプルが、まず混合チャンバ16を通過し、続いて保持チャンバ18内に入り、流路28のサンプル排出開口32に到達する、ように位置している。これによって、血液サンプルを、混合チャンバ16内の抗凝固添加剤等の添加剤と混合し、そのように安定させたサンプルが保持チャンバ18内に受容され、保存されることができる。
【0026】
混合チャンバ16は、血液サンプルが流路28を通って流れる際に、血液サンプルが抗凝固剤または血液安定剤等の他の添加剤との受動的な混合を可能にする。混合チャンバ16の内部は、血液サンプルが流路28を通って通過する際に、血液サンプルが抗凝固剤または他の添加剤と混合することができる限り、任意の適切な構造または形態を有していてもよい。混合チャンバ16は、混合チャンバ16上または混合チャンバ16内に、ヘパリンまたはEDTA等の乾燥抗凝固剤を含んでいてもよい。混合チャンバ16は、たとえば、気泡内に乾燥抗凝固剤が分散された連続気泡発泡体を含み、液流混合と抗凝固剤の取り込みとの有効性を促進するようになっていてもよい。
【0027】
連続気泡発泡体は、抗凝固剤で処理して、連続気泡発泡体の気泡全体に乾燥抗凝固剤粉末を細かく分布させてもよい。血液サンプルが混合チャンバ16内に入ると、血液サンプルは、連続気泡発泡体を通過し、連続気泡発泡体の内部気泡構造全体にわたって利用可能な抗凝固剤粉末に曝される。
【0028】
連続気泡発泡体は、血液に対して不活性な、軟らかく変形可能な連続気泡発泡体であってもよく、たとえば、BASFから市販されているBasotect(登録商標)発泡体等のメラミン発泡体であってもよい。また、ホルムアルデヒド-メラミン-重亜硫酸ナトリウム共重合体からなっていてもよい。また、連続気泡発泡体は、熱および有機溶媒に対して実質的に耐性を有する、柔軟な親水性の連続気泡発泡体であってもよい。一実施形態において、発泡体は、スポンジ材料を含んでいてもよい。
【0029】
抗凝固剤または他の添加剤は、添加剤と水との溶液に発泡体を浸漬し、続いて水を蒸発させて、発泡体の内部構造全体に乾燥添加剤粉末を細かく分布させることによって、連続気泡発泡体内に導入してもよい。
【0030】
混合チャンバ16を通過した後、血液サンプルは、保持チャンバ18に向けられてもよい。保持チャンバ18は、所望の検査に必要となる十分な量の血液、たとえば500μl以下の血液を保存できる、任意の適切な形状および大きさを有していてもよい。一実施形態において、保持チャンバ18は、ケース12の外部の辺りに固定された弾性スリーブ40と組み合わせて、ケース12の一部によって画定される。弾性スリーブ40は、柔軟で変形可能な、ケース12とともに液密性封止を実現できるものであれば、任意の材料からなっていてもよく、たとえば、天然または合成ゴムや他の適切なエラストマー材料であるが、これらには限定されない。ケース12は凹部42を含んでおり、凹部42は、ケース12の外部から流路28まで延在して、ケース12に流路28と流体連通する開口を効果的に形成する。弾性スリーブ40は凹部42を覆い、これにより、内部充填量が500μl以下の保持チャンバ18を画定する。
【0031】
ケース12の第二端部26に配置されたキャップ20は、流路28のサンプル排出開口32を覆う。図1から図5を参照すると、本開示のキャップ20は通気プラグ44を有し、通気プラグ44は、空気の通過を許容し、血液サンプルが通過することを妨げる。一実施形態において、通気プラグ44は多孔質プラグである。一実施形態において、キャップ20は、カルボキシメチルセルロース添加剤を含む通気プラグ44を含む。
【0032】
図15を参照すると、一実施形態において、キャップ20は、キャップ20の内面からキャップ20の外面に延伸する、多孔質プラグ等の通気プラグ44を含む。通気プラグ44の構造によって、空気はキャップ20を通過することができ、血液サンプルがキャップ20を通過するのを妨げることができる。通気プラグ44の構造は、疎水性フィルタを含んでいてもよい。通気プラグ44は、選択された空気通過抵抗を有しており、流路28の充填率を細かく制御するために空気通過抵抗を利用できる。プラグの空隙率を変化させることによって、キャップ20から出る空気流の速度を、ひいては採取モジュール10内への血液サンプル流の速度を、制御できる。採取モジュール10内への血液サンプルの流速が速すぎると、溶血が起こる可能性がある。採取モジュール10内への血液サンプルの流速が遅すぎると、サンプル採取時間が過剰に長くなる可能性がある。
【0033】
閉止具14は、ケース12の第一端部24と係合して流路28を封止する。閉止具14は、ケース12の流路28内への血液サンプルの導入を可能にし、ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニーから市販されているHemogaid(登録商標)キャップ等の、外側シールド38を有する、穿孔可能な自己封止ストッパ36を含んでいてもよい。また、閉止具14は、外側ケース34に固定されており、外側ケース34は、ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニーから市販されているVacutainer(登録商標)血液採取チューブ等の、真空を含む血液採取チューブであってもよい。
【0034】
また、ケース12の第二端部26に配置されたキャップ20は、使用者がケース12からキャップ20を取り外すのを補助するためのフランジ46を含んでいてもよい。図15に示すように、フランジ46は、その外径が、採取モジュール10を配置することができる外側ケース34の内径よりも小さくてもよい。あるいは、図19および図20に示すように、フランジ46は、その外径が、外側ケース34の内径と実質的に等しくてもよい。この構成において、フランジ46は、上面から下面に延伸して、外側ケース34内の真空がフランジ46の周りを通過することを可能にする凹部またはスロット48を含んでいてもよい。加えて、図19および図20に示すように、フランジ46は、光学的に透明な材料からなっていてもよく、凸状の外径表面を有し、キャップ20の通気プラグ44の領域を拡大して、血液サンプルが流路28を完全に充填し、キャップ20に到達したことを医療従事者が知ることができるようになっていてもよい。また、フランジ46は、外側ケース34の内壁の凹部と係合して、フランジ46によってキャップ20を制止するようになっていてもよい。
【0035】
使用時には、針カニューレ50(図18Aおよび図18C)が、サンプル導入開口30を通って、たとえば閉止具14の穿孔可能な自己封止ストッパ36を通って、ケース12の流路28内に挿入される。図18Aに示すように、組み合わされた採取モジュール10と外側ケース34とは、生物学的流体が通過するカニューレを有する従来のチューブホルダ52に挿入されてもよい。
【0036】
生物学的流体サンプルは、外側ケース34に含まれる真空の引き込みによって、従来のチューブホルダ52からケース12の流路28内に引き込まれる(図18B)。血液サンプルは、まず混合チャンバ16に入り、続いて保持チャンバ18に入ることによって、流路28全体を満たし、流路28に存在する全ての空気を外側ケース34に排出する。上述したように、生物学的流体サンプルは、混合チャンバ16を通過する際に、抗凝固剤または他の添加剤に曝され、混合される。キャップ20は、採取モジュール10の流路28、混合チャンバ16、および保持チャンバ18が完全に充填されると、血液サンプルの採取を停止する。キャップ20の通気プラグ44は、血液が外側ケース34に入るのを妨げる。
【0037】
サンプル採取が完了すると、採取モジュール10を含む外側ケース34がチューブホルダ52から分離され(図18C)、その後、採取モジュール10に依然として取り付けられている閉止具14を外側ケース34から取り外すことによって、外側ケース34が採取モジュール10から分離される(図18D)。閉止具14の取り外しは、使用者が閉止具14の外側シールド38と外側ケース34との両方を把持し、それらを互いに反対の方向に引っ張るか捻ることによって達成してもよい。
【0038】
採取モジュール10が外側ケース34から分離されると、その後、キャップ20を採取モジュール10から取り外し(図18E)、ケース12の第二端部26を露出させることができる。取り外しは、使用者がフランジ46を把持し、キャップ20をケース12から引き抜くことによって達成してもよい。血液サンプルは、キャップ20を取り外した後、毛細管作用によってケース12の流路28内に保持される。あるいは、キャップ20は、採取モジュール10を外側ケース34から取り外す時に取り外されてもよい。この構成において、キャップ20は、フランジ46と外側ケース壁の対応する凹部との相互作用によって外側ケース34内に制止される。一実施形態において、キャップ20は、外側ケース34に接続され、外側ケース34とキャップ20とが1ステップで取り外されるようになっていてもよい。
【0039】
血液サンプルは、その後、作動部材22の作動によって採取モジュール10から排出される。たとえば、保持チャンバ18を覆う弾性スリーブ40の一部に対して矢印の方向に内向きの圧力を印加し、サンプル排出開口32を介して血液サンプルを保持チャンバ18から押し出す(図18F)。このようにして、血液サンプルを分析することを意図した装置、たとえば、カートリッジテスタ等のポイントオブケア検査装置に、または、血液サンプルに対する医療従事者の露出を最小限にしながら開口部を介して、血液サンプルを移動することができる。
【0040】
弾性スリーブ40の一部が、保持チャンバ18を部分的に画定し、血液サンプルを採取モジュール10から排出するための作動部材22として機能すると図示し記載したが、同じ結果を実現するための他の代替的な構成も想定されている。たとえば、保持チャンバ18が全体的にケース12によって画定されてもよく、保持チャンバ18と係合する別個の作動装置を作動させて血液サンプルを排出してもよい。作動装置は、たとえば、プランジャ、押しボタン、スライド部材等であるが、これらには限定されない。
【0041】
図16および図17に示す他の一実施形態において、閉止具14は、ストッパ36を通過するルアーロック接続部54を有していてもよい。この構成は、静脈血液採取では必要となるような、血液サンプルを採取モジュール100に引き込むのに真空が必要でない動脈から血液サンプルを採取する場合に有用である(図16および図17)。採取モジュール100は、採取モジュール10と同様に使用されるが、ルアーロック接続部54を使用して、採取モジュール100を、ウイングセット、または、血液サンプルを流路28内に導入するつがいのルアーロック接続部を有する他の採取手段に接続する点が異なる。
【0042】
また、採取モジュール10、100は、外側ケース34なしでも使用されうる。採取モジュール10の場合、シリンジまたは他の動力源を使用してサンプルを採取モジュール10内に引き込んでもよい。さらに、本明細書では、採取モジュール10、100を使用して血液サンプルを採取し、抗凝固剤または他の添加剤と混合することを主に記載してきたが、採取モジュール10、100は、他の体液等の任意の液体サンプルを採取するために使用してもよく、他の手段によってすでに採取されたサンプルの混合および排出のために使用してもよい。
【0043】
さらなる構成において、採取モジュール10は、採取モジュール10を外側ケース34から取り外すために切断しなければならない閉止具14と外側ケース34との両方に付着したラベル56a、56bを含んでいてもよい。図14から図17に示すように、ラベル56aは、閉止具14と外側ケース34との外周の一部に沿ってのみ延在する短冊状部材であってもよい。外側ケース34に対して閉止具14を捻ると、外側ケース34と閉止具14との間の箇所で、短冊状部材が破断する。外側ケース34と閉止具14との間の箇所で、ラベル56aにミシン目58を設けて、閉止具14を捻った際の短冊状部材の破断を補助するようにしてもよい。あるいは、図21に示すように、ラベル56bが閉止具14と外側ケース34との両方の周囲全体を取り囲んでいてもよい。外側ケース34と閉止具14との間の箇所で、ラベル56bにミシン目58を設けて、閉止具14の周囲にバンド60を形成し、外側ケース34を取り囲むラベル56bの一部からバンド60が分離するようになっていてもよい。バンド60を閉止具14から取り外すことで、閉止具14を外側ケース34から取り外すことができるようになる。プルタブ62をバンド60に設けて、外側ケース34を取り囲むラベル56bの一部からのバンド60の分離を補助するようにしてもよい。
【0044】
上述したように、図1から図5を参照すると、本開示のキャップ20は通気プラグ44を有し、通気プラグ44は、空気の通過を許容し、血液サンプルが通過することを妨げる。一実施形態において、通気プラグ44は多孔質プラグである。一実施形態において、キャップ20は、カルボキシメチルセルロース添加剤を含む通気プラグ44を含む。
【0045】
本開示のキャップは、生物学的流体採取装置の任意の採取チャンバと適合する。本開示のキャップは、チャンバ内に液体を封止する前に空気を抜くために使用してもよい。たとえば、本開示のキャップは、図14から図18Fに示す生物学的流体採取装置と適合する。また、本開示のキャップは、図1および図2に示す生物学的流体採取装置と適合する。さらに、本開示のキャップは、採取チャンバを有する他の生物学的流体採取装置とも適合する。
【0046】
カルボキシメチルセルロースは、「自己封止」添加剤であり、液体と接触すると膨潤する。この添加剤が多孔質材料、特に疎水性材料内にあると、空気が抜けることを許容した上で、液体がカルボキシメチルセルロースに到達することで膨潤して閉じる。これによって、生物学的流体採取装置の採取チャンバから液体が漏れ出るのを防止する。カルボキシメチルセルロースは、少量の血液サンプル量(<5mL)で、検体バイアス(典型的には、Ca2+、Na、K)を生じさせることができる。
【0047】
カルボキシメチルセルロース添加剤を有する膜が、血液または関心のある液体に、高い表面接触面積-体積比で晒された場合、血液中の検体バイアス結果に劇的な影響を与えうる。カルボキシメチルセルロース添加剤と血漿中のイオンとの間で起こるイオン交換は、誤った結果をもたらす可能性がある。
【0048】
一実施形態において、本開示のキャップ20は、血液とカルボキシメチルセルロース添加剤との間の接触面積を減少させる、たとえば半径を縮小させることにより、血漿イオンのカルボキシメチルセルロースに対する相互作用による検体バイアスを制限する。
【0049】
一実施形態において、本開示のキャップ20は、血液とカルボキシメチルセルロース添加剤との間の経路長を増加させる、たとえば経路長を増加させることにより、血漿イオンのカルボキシメチルセルロースに対する相互作用による検体バイアスを制限する。
【0050】
一実施形態において、本開示のキャップ20は、カルボキシメチルセルロース添加剤プラグの前方に多孔質材料を導入して拡散率を減少させることにより、血漿イオンのカルボキシメチルセルロースに対する相互作用による検体バイアスを制限する。
【0051】
本開示のキャップ20は、バイアスイオンがカルボキシメチルセルロース源から遠ざかり、血液すなわち測定サンプル中に入ることができる速度を減少させる。本開示のキャップ20は、カルボキシメチルセルロース添加剤がイオン濃度に劇的な影響を与えうる少量の血液量(<5mL)に対して特に注目するものである。
【0052】
図1から図5を参照すると、キャップ20は、キャップ体70と通気プラグ44とを含む。一実施形態において、キャップ体70は、第一直径D1を有する第一チャンバ72と、第二直径D2を有する第二チャンバ74と、第三直径D3を有する第三チャンバ76と、を画定する一実施形態において、第二チャンバ74は、第一チャンバ72と第三チャンバ76との間にある。一実施形態において、第二直径D2は第一直径D1よりも小さい。一実施形態において、第二直径D2は第三直径D3よりも小さい。一実施形態において、第一直径D1は第三直径D3よりも小さい。一実施形態において、第一直径D1は1.016mmであり、第二直径D2は0.4mmであり、第三直径D3は1.5mmである。一実施形態において、第二チャンバ74の長さは1.6mmであり、第三チャンバ76の長さは3.5mmである。
【0053】
第二チャンバ74の直径を減少させることによって、本開示のキャップ20は、血液とカルボキシメチルセルロース添加剤との間の接触面積を減少させる、たとえば半径を縮小させることにより、血漿イオンのカルボキシメチルセルロースに対する相互作用による検体バイアスを制限する。
【0054】
一実施形態において、通気プラグ44は、第三チャンバ76に配置される。一実施形態において、通気プラグ44は、カルボキシメチルセルロース添加剤を含む。通気プラグ44は、空気の通過を許容し、血液サンプルが通過することを妨げる。一実施形態において、通気プラグ44は多孔質プラグである。通気プラグ44の構造によって、空気はキャップ20を通過することができ、血液サンプルがキャップ20を通過するのを妨げることができる。通気プラグ44の構造は、疎水性フィルタを含んでいてもよい。通気プラグ44は、選択された空気通過抵抗を有しており、流路28の充填率を細かく制御するために空気通過抵抗を利用できる。プラグの空隙率を変化させることによって、キャップ20から出る空気流の速度を、ひいては採取モジュール10内への血液サンプル流の速度を、制御できる。
【0055】
図4および図5を参照すると、一実施形態において、キャップ体70は、前端部80と後端部82とを有する。一実施形態において、第一チャンバ72は、キャップ体70の前端部80に隣接し、第三チャンバ76は、キャップ体70の後端部82に隣接する。
【0056】
一実施形態において、キャップ体70は、フランジ部84とプラグ部86とを含む。フランジ部84は、使用者がケース12からキャップ20を取り外すのを補助するために使用されうる。図1および図2に示すように、フランジ部84は、その外径が、採取モジュール10を配置することができる外側ケース34の内径よりも大きくてもよい。あるいは、フランジ部84は、その外径が、外側ケース34の内径と実質的に等しいか、またはそれ未満であってもよい。加えて、図19および図20に示すように、フランジ46、84は、光学的に透明な材料からなっていてもよく、凸状の外径表面を有し、キャップ20の通気プラグ44の領域を拡大して、血液サンプルが流路28を完全に充填し、キャップ20に到達したことを医療従事者が知ることができるようになっていてもよい。また、フランジ46、84は、外側ケース34の内壁の凹部と係合して、フランジ46、84によってキャップ20を制止するようになっていてもよい。
【0057】
他の一実施形態において、図11および図12を参照すると、本開示のキャップ120は、第一通気プラグ122と、カルボキシメチルセルロース添加剤を含む第二通気プラグ124と、を有する。
【0058】
カルボキシメチルセルロースは、「自己封止」添加剤であり、液体と接触すると膨潤する。この添加剤が多孔質材料、特に疎水性材料内にあると、空気が抜けることを許容した上で、液体がカルボキシメチルセルロースに到達することで膨潤して閉じる。これによって、生物学的流体採取装置の採取チャンバから液体が漏れ出るのを防止する。カルボキシメチルセルロースは、少量の血液サンプル量(<5mL)で、検体バイアス(典型的には、Ca2+、Na、K)を生じさせることができる。
【0059】
カルボキシメチルセルロース添加剤を有する膜が、血液または関心のある液体に、高い表面接触面積-体積比で晒された場合、血液中の検体バイアス結果に劇的な影響を与えうる。
カルボキシメチルセルロース添加剤と血漿中のイオンとの間で起こるイオン交換は、誤った結果をもたらす可能性がある。
【0060】
一実施形態において、本開示のキャップ120は、カルボキシメチルセルロース添加剤プラグの前方に多孔質材料を導入して拡散率を減少させることにより、血漿イオンのカルボキシメチルセルロースに対する相互作用による検体バイアスを制限する。
【0061】
本開示のキャップ120は、バイアスイオンがカルボキシメチルセルロース源から遠ざかり、血液すなわち測定サンプル中に入ることができる速度を減少させる。本開示のキャップ120は、カルボキシメチルセルロース添加剤がイオン濃度に劇的な影響を与えうる少量の血液量(<5mL)に対して特に注目するものである。
【0062】
図11および図12を参照すると、キャップ120は、キャップ体170と、第一通気プラグ122と、第二通気プラグ124と、を含む。一実施形態において、キャップ体170は、第一直径D1を有するチャンバ172を画定する。キャップ体170は、前端部180と後端部182とを有する。一実施形態において、チャンバ172は、前端部180から後端部182まで延在する。
【0063】
一実施形態において、キャップ体170は、フランジ部184とプラグ部186とを含む。フランジ部184は、使用者がケース12からキャップ20を取り外すのを補助するために使用してもよい。図11および図12に示すように、フランジ部184は、その外径が、外側ケース34の内径と実質的に等しいか、またはそれ未満であってもよい。加えて、図19および図20に示すように、フランジ46、184は、光学的に透明な材料からなっていてもよく、凸状の外径表面を有し、キャップ120の通気プラグの領域を拡大して、血液サンプルが流路28を完全に充填し、キャップ120に到達したことを医療従事者が知ることができるようになっていてもよい。また、フランジ46、184は、外側ケース34の内壁の凹部と係合して、フランジ46、184によってキャップ120を制止するようになっていてもよい。
【0064】
一実施形態において、第一通気プラグ122は、チャンバ172に配置される。一実施形態において、第二通気プラグ124は、カルボキシメチルセルロース添加剤を含む。一実施形態において、第一通気プラグ122は、第二通気プラグ124とキャップ体170の前端部180との間に配置される。
【0065】
第二通気プラグ124は、空気の通過を許容し、血液サンプルが通過することを妨げる。一実施形態において、第一通気プラグ122は多孔質プラグである。一実施形態において、第二通気プラグ124は多孔質プラグである。
【0066】
第二通気プラグ124の構造によって、空気はキャップ120を通過することができ、血液サンプルがキャップ120を通過するのを妨げることができる。第二通気プラグ124の構造は、疎水性フィルタを含んでいてもよい。第二通気プラグ124は、選択された空気通過抵抗を有しており、流路28の充填率を細かく制御するために空気通過抵抗を利用できる。プラグの空隙率を変化させることによって、キャップ120から出る空気流の速度を、ひいては採取モジュール10内への血液サンプル流の速度を、制御できる。
【0067】
図11を参照すると、一実施形態において、第二通気プラグ124は、キャップ体170の後端部182の一部を覆うシート190である。
【0068】
図12を参照すると、一実施形態において、第二通気プラグ124は、キャップ体170のチャンバ172に配置され、第一通気プラグ122は、第二通気プラグ124とキャップ体170の前端部180との間に配置される。
【0069】
カルボキシメチルセルロース添加剤を含む第二通気プラグ124の上流に第一通気プラグ122を含むことによって、本開示のキャップ120は、カルボキシメチルセルロース添加剤プラグの前方に多孔質材料を導入して拡散率を減少させることにより、血漿イオンのカルボキシメチルセルロースに対する相互作用による検体バイアスを制限する。
【0070】
多孔質材料中の拡散は、材料の空隙率または収れん度を縮小させ、屈曲を増加させることによって、減少させることができる。一実施形態において、第一通気プラグ122と、カルボキシメチルセルロース添加剤を含む第二通気プラグ124と、を有するキャップは、図11および図12に示すように、独立して機能する。
【0071】
他の一実施形態において、図11および図12に示すように、第一通気プラグ122と、カルボキシメチルセルロース添加剤を含む第二通気プラグ124と、を有するキャップは、図4に示すように、第一直径D1を有する第一チャンバ72と、第二直径D2を有する第二チャンバ74と、第三直径D3を有する第三チャンバ76と、を画定するキャップ体70と組み合わせることができる。いずれの実施形態も、カルボキシメチルセルロース多孔質プラグで封止されたサンプルにおいて検体バイアスが生じる速度を減少させるという有利な結果をもたらす。
【0072】
図13を参照すると、他の一実施形態において、本開示のキャップ220は、カルボキシメチルセルロース添加剤を含む第一通気プラグ222と、カルボキシメチルセルロース添加剤を含む第二通気プラグ224と、を有する。
【0073】
カルボキシメチルセルロースは、「自己封止」添加剤であり、液体と接触すると膨潤する。この添加剤が多孔質材料、特に疎水性材料内にあると、空気が抜けることを許容した上で、液体がカルボキシメチルセルロースに到達することで膨潤して閉じる。これによって、生物学的流体採取装置の採取チャンバから液体が漏れ出るのを防止する。カルボキシメチルセルロースは、少量の血液サンプル量(<5mL)で、検体バイアス(典型的には、Ca2+、Na、K)を生じさせることができる。
【0074】
カルボキシメチルセルロース添加剤を有する膜が、血液または関心のある液体に、高い表面接触面積-体積比で晒された場合、血液中の検体バイアス結果に劇的な影響を与えうる。カルボキシメチルセルロース添加剤と血漿中のイオンとの間で起こるイオン交換は、誤った結果をもたらす可能性がある。
【0075】
一実施形態において、本開示のキャップ220は、血液とカルボキシメチルセルロース添加剤との間の接触面積を減少させる、たとえば半径を縮小させることにより、血漿イオンのカルボキシメチルセルロースに対する相互作用による検体バイアスを制限する。
【0076】
一実施形態において、本開示のキャップ220は、血液とカルボキシメチルセルロース添加剤との間の経路長を増加させる、たとえば経路長を増加させることにより、血漿イオンのカルボキシメチルセルロースに対する相互作用による検体バイアスを制限する。
【0077】
本開示のキャップ220は、バイアスイオンがカルボキシメチルセルロース源から遠ざかり、血液すなわち測定サンプル中に入ることができる速度を減少させる。本開示のキャップ220は、カルボキシメチルセルロース添加剤がイオン濃度に劇的な影響を与えうる少量の血液量(<5mL)に対して特に注目するものである。
【0078】
図13を参照すると、キャップ220は、キャップ体270と、第一通気プラグ222と、第二通気プラグ224と、を有する。一実施形態において、キャップ体270は、第一直径D1を有する第一チャンバ272と、第二直径D2を有する第二チャンバ274と、第三直径D3を有する一対の第三チャンバ276と、を画定する。一実施形態において、第二チャンバ274は、第一チャンバ272と第三チャンバ276との間にある。一実施形態において、第二直径D2は第一直径D1よりも小さい。一実施形態において、第二直径D2は第三直径D3よりも小さい。
【0079】
第二チャンバ274の直径を減少させることによって、本開示のキャップ220は、血液とカルボキシメチルセルロース添加剤との間の接触面積を減少させる、たとえば半径を縮小させることにより、血漿イオンのカルボキシメチルセルロースに対する相互作用による検体バイアスを制限する。
【0080】
図13を参照すると、一実施形態において、第二チャンバ274は、第一チャネル277と、第二チャネル278と、第三チャネル279と、を有する。一実施形態において、第三チャンバ276の一方は、第一チャネル277と第二チャネル278とを介して第一チャンバ272と連通し、第三チャンバ276の他方は、第一チャネル277と第三チャネル279とを介して第一チャンバ272と連通する。
【0081】
第一チャネル277と、第二チャネル278と、第三チャネル279と、を有することにより、第一チャンバ272と第三チャンバ276との間の経路長を延長する第二チャンバ274を有することによって、本開示のキャップ220は、血液とカルボキシメチルセルロース添加剤との間の経路長を増加させる、たとえば経路長を増加させることにより、血漿イオンのカルボキシメチルセルロースに対する相互作用による検体バイアスを制限する。
【0082】
一実施形態において、第一通気プラグ222は、第三チャンバ276の一方に配置される。一実施形態において、第一通気プラグ222はカルボキシメチルセルロース添加剤を含む。一実施形態において、第二通気プラグ224は、第三チャンバ276の他方に配置される。一実施形態において、第二通気プラグ224はカルボキシメチルセルロース添加剤を含む。
【0083】
第一通気プラグ222と第二通気プラグ224とは、空気の通過を許容し、血液サンプルが通過することを妨げる。一実施形態において、第一通気プラグ222は多孔質プラグである。一実施形態において、第二通気プラグ224は多孔質プラグである。
【0084】
第一通気プラグ222と第二通気プラグ224との構造によって、空気はキャップ220を通過することができ、血液サンプルがキャップ220を通過するのを妨げることができる。第一通気プラグ222と第二通気プラグ224との構造は、疎水性フィルタを含んでいてもよい。第一通気プラグ222と第二通気プラグ224とのそれぞれは、選択された空気通過抵抗を有しており、流路28の充填率を細かく制御するために空気通過抵抗を利用できる。プラグの空隙率を変化させることによって、キャップ220から出る空気流の速度を、ひいては採取モジュール10内への血液サンプル流の速度を、制御できる。
【0085】
一実施形態において、本開示はキャップを提供し、当該キャップは、血液とカルボキシメチルセルロース添加剤との間の接触面積を減少させる、たとえば半径を縮小させることにより、血漿イオンのカルボキシメチルセルロースに対する相互作用による検体バイアスを制限する。
【0086】
一実施形態において、本開示はキャップを提供し、当該キャップは、血液とカルボキシメチルセルロース添加剤との間の経路長を増加させる、たとえば経路長を増加させることにより、血漿イオンのカルボキシメチルセルロースに対する相互作用による検体バイアスを制限する。
【0087】
一実施形態において、本開示はキャップを提供し、当該キャップは、カルボキシメチルセルロース添加剤プラグの前方に多孔質材料を導入して拡散率を減少させることにより、血漿イオンのカルボキシメチルセルロースに対する相互作用による検体バイアスを制限する。
【0088】
本開示のキャップは、バイアスイオンがカルボキシメチルセルロース源から遠ざかり、血液すなわち測定サンプル中に入ることができる速度を減少させる。本開示のキャップは、カルボキシメチルセルロース添加剤がイオン濃度に劇的な影響を与えうる少量の血液量(<5mL)に対して特に注目するものである。
【0089】
本開示は、例示的な設計を有するものとして記載されているが、本開示は、本開示の精神および範囲内でさらに変更することができる。したがって、本出願は、本開示の一般的な原理を用いた、本開示のあらゆる変形、使用、または適応をカバーすることを意図している。さらに、本出願は、本開示からのそのような逸脱を、本開示が関連する、添付の特許請求の範囲の制限内にある技術において公知の実践または慣例の範囲内であるとしてカバーすることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18A
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図18C
図18D
図18E
図18F
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