(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】ビデオコンテンツの色の色調マッピング
(51)【国際特許分類】
G06T 7/90 20170101AFI20230926BHJP
【FI】
G06T7/90 D
(21)【出願番号】P 2020570091
(86)(22)【出願日】2019-05-01
(86)【国際出願番号】 US2019030103
(87)【国際公開番号】W WO2020013904
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-04-19
(32)【優先日】2018-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518338149
【氏名又は名称】インターデジタル ヴイシー ホールディングス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】パウリ,タニア
(72)【発明者】
【氏名】コーヴァン,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ケルヴェック,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ゲルモード,ハサン
【審査官】片岡 利延
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0070719(US,A1)
【文献】Ronan Boitard et al.,Temporal Coherency for Video Tone Mapping,[online],2012年,https://people.ece.ubc.ca/rboitard/articles/2012/Boitard%20et%20al.-2012-Temporal%20Coherency%20for%20Video%20Tone%20Mapping.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
色調マッピング関数に従ってビデオコンテンツの画像を色調又は色マッピングする方法であって、前記方法は、
-前記ビデオコンテンツの複数の連続画像上で及び前記複数の連続画像の少なくとも1つの画像に関し、
-前記少なくとも1つの画像から判断される視覚的特徴に従って色調マッピング関数の基準集合内の基準色調マッピング関数を選択すること;
-前記選択された基準色調マッピング関数が前記複数の連続画像における前の画像に対して予め選択された色調マッピング関数
と異なる場合に、検証工程に基づいて基準色調マッピング関数を決定すること;及び、
-前記決定された基準色調マッピング関数を前記少なくとも1つの画像へ適用して対応色調マップ画像を生じさせることを繰り返すことを含み、
前記基準集合は基準視覚的特徴に関連付けられた基準色調マッピング関数を含む、方法。
【請求項2】
前記検証工程は、複数の連続画像を使用し、最も頻繁である前記連続画像に関して決定された基準色調マッピング関数を選択する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検証工程は、複数の連続画像を使用し、同じ基準色調マッピング関数の連続選択の回数に従って基準色調マッピング関数を選択する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記検証工程は、複数の連続画像を使用し、他の基準色調マッピング関数と比較して増加した発生回数を有する前記基準色調マッピング関数を選択する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
基準色調マッピング関数を選択することは、前記画像の前記視覚的特徴と前記選択された基準色調マッピング関数に関連付けられた前記基準視覚的特徴との間の最小距離に基づく選択基準に従って行われる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第1の基準色調マッピング関数と第2の基準色調マッピング関数との間の遷移は
、両関数間の重み付けを変更することにより複数の画像にわたって漸進的に行われ、前記第1の
基準色調マッピング関数の前記重み付けは前記遷移中に低下し、前記第2の
基準色調マッピング関数の前記重み付けは前記遷移中に増加する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ビデオコンテンツの前記複数の連続画像の第1の画像に関して、前記選択された基準色調マッピング関数は、いかなる検証工程も必要とせず、前記ビデオコンテンツの前記複数の連続画像の前記第1の画像へ適用される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
色調マッピング関数に従ってビデオコンテンツの画像を色調又は色マッピングするためのデバイスであって、前記デバイスは、
-前記ビデオコンテンツの複数の連続画像上で及び前記複数の連続画像の少なくとも1つの画像に関し:
-前記少なくとも1つの画像から判断される視覚的特徴に従って色調マッピング関数の基準集合内の基準色調マッピング関数を選択すること;
-前記選択された基準色調マッピング関数が前記複数の連続画像における前の画像に対して予め選択された色調マッピング関数
と異なる場合に、検証工程に基づいて基準色調マッピング関数を決定すること;及び、
-前記判断された基準色調マッピング関数を前記少なくとも1つの画像へ適用して対応色調マップ画像を生じさせること
を繰り返すように構成された少なくとも1つのプロセッサを含み、
前記基準集合は基準視覚的特徴に関連付けられた基準色調マッピング関数を含む、デバイス。
【請求項9】
前記検証工程は、複数の連続画像を使用し、最も頻繁である前記連続画像に関して決定された基準色調マッピング関数を選択する、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記検証工程は、複数の連続画像を使用し、同じ基準色調マッピング関数の連続選択の回数に従って基準色調マッピング関数を選択する、請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記検証工程は、複数の連続画像を使用し、他の基準色調マッピング関数と比較して増加した発生回数を有する前記基準色調マッピング関数を選択する、請求項8に記載のデバイス。
【請求項12】
基準色調マッピング関数を選択することは、前記画像の前記視覚的特徴と前記選択された基準色調マッピング関数に関連付けられた前記基準視覚的特徴との間の最小距離に基づく選択基準に従って行われる、請求項8乃至11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
第1の基準色調マッピング関数と第2の基準色調マッピング関数との間の遷移は
、両関数間の重み付けを変更することにより複数の画像にわたって漸進的に行われ、前記第1の
基準色調マッピング関数の前記重み付けは前記遷移中に低下し、前記第2の
基準色調マッピング関数の前記重み付けは前記遷移中に増加する、請求項8乃至12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記ビデオコンテンツの前記複数の連続画像の第1の画像に関して、前記選択された基準色調マッピング関数は、いかなる検証工程も必要とせず、前記ビデオコンテンツの前記複数の連続画像の前記第1の画像へ適用される、請求項8乃至13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
モバイルデバイス、通信デバイス、ゲームデバイス、タブレット、ラップトップ、カメラ、チップ、サーバ、テレビ受像機及びセットトップボックスからなるグループ内で選択される請求項8乃至14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
ビデオコンテンツの複数の連続画像上で及び前記複数の連続画像の少なくとも1つの画像に関し、
-前記少なくとも1つの画像から判断される視覚的特徴に従って色調マッピグ関数の基準集合内の基準色調マッピング関数を選択すること;
-前記選択された基準色調マッピング関数が前記複数の連続画像における前の画像に対して予め選択された色調マッピング関数
と異なる場合に、検証工程に基づいて基準色調マッピング関数を決定すること;及び、
-前記判断された基準色調マッピング関数を前記少なくとも1つの画像へ適用して対応色調マップ画像を生じさせることを繰り返すこと
を含むプログラムを含むことにより特徴付けられる非一時的ストレージ媒体であって、
前記基準集合は基準視覚的特徴に関連付けられた基準色調マッピング関数を含む、非一時的ストレージ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は画像の色調又は色のマッピングに関する。色調マッピングは色範囲を圧縮する色調マッピング及び色範囲を拡張する色調マッピング(通称「逆色調マッピング」)を含む総称と理解される。
【背景技術】
【0002】
背景技術
欧州特許第3249606号は、画像の処理に関する、基準iTMアルゴリズムの基準集合の中でも逆色調マッピング(iTM:inverse Tone Mapping)アルゴリズムの選択と選択されたITMアルゴリズムのこの画像の色への適用(特にはこの画像をHDRフォーマットへ変換すること)とを開示する。この方法によると、基準iTMアルゴリズムの集合が構築される。この集合のいかなる基準iTMアルゴリズムも、関連基準画像の色コンテンツへ最適化されるiTMアルゴリズムである。この方法によれば、視覚的特徴が、この基準iTMアルゴリズムに関連付けられた基準画像(群)の色コンテンツに基づき各基準iTMアルゴリズムに関連付けられる。
図1に示すこの方法によると、処理すべき画像IMMの視覚的特徴VFMが計算され、そしてiTMアルゴリズムTMfMの選択は、この選択されたiTMアルゴリズムに関連付けられた視覚的特徴が処理すべき画像の視覚的特徴に(この集合の他の基準iTMアルゴリズムに関連付けられた視覚的特徴の中でも)最も近くなるように行われる。次に、選択されたiTMアルゴリズムTMfMは処理すべきIMM画像へ適用され(「色調マッピング」操作)、処理された画像TMMIMMを生じる。非特許文献“Content Dependent Contrast Enhancement for Displays based on Cumulative Distribution Function”, from Seul Ki Jang et al., published in 2013 in Proc. of SPIE Vol. 8652も参照されたい。
【0003】
このような画像処理方法をビデオコンテンツの画像へ適用する際、ビデオコンテンツは、各ショット内で、同じ選択されたiTMアルゴリズムをショットの各画像へ適用するのに色コンテンツが十分に均質であるようにショットへ分割されるべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
視覚化中の時間的不安定性及び視覚的不快感を引き起こすだろうビデオショットの内部のiTMアルゴリズムの余りに頻繁な変更を防止するために、ショットの画像の基準iTMの選択後にこのショットの次の画像のこの選択の検証工程を追加することが提案される。
【0005】
好適には、iTMアルゴリズムのいかなる変更も検証されると直ちに漸進的に適用することも提案される。
【0006】
米国特許第9406112号は前のTM関数と新しいTM関数との差が十分に大きい場合だけ色調マッピング(TM:Tone Mapping)関数を変更することを開示するということに留意されたい。国際公開第2016192937号パンフレットは、現フレームへ適用すべき新しいTM曲線をパラメータ化するために、前フレームへ適用される前TM曲線の十分な履歴を考慮する。米国特許第20170070719号では、色調マッピングシステムは前の色調曲線パラメータ値の平均を使用し得る。
【0007】
より正確には、本開示の第1の態様は、ビデオコンテンツの画像を色調マッピング関数に従って色調又は色マッピングする方法に向けられる。本方法は、ビデオコンテンツの複数の連続画像上で及び複数の連続画像の少なくとも1つの画像に関し:前記少なくとも1つの画像から判断される視覚的特徴に従って色調マッピング関数の基準集合内の基準色調マッピング関数を選択すること;選択された基準色調マッピング関数が複数の連続画像における前の画像に対して予め選択された色調マッピング関数が異なる場合に、検証工程に基づいて基準色調マッピング関数を決定すること;及び決定された基準色調マッピング関数を前記少なくとも1つの画像へ適用して対応色調マップ画像を生じさせることを繰り返すことを含み、基準集合は基準視覚的特徴に関連付けられた基準色調マッピング関数を含む。
【0008】
第1の態様の変形では、検証工程は、複数の連続画像を使用し、そして最も頻繁である連続画像に関して判断された基準色調マッピング関数を選択する、又は同じ基準色調マッピング関数の連続選択の回数に従って基準色調マッピング関数を選択する、又は他の基準色調マッピング関数と比較して増加した発生回数を有する基準色調マッピング関数を選択するかのいずれかである。
【0009】
第1の態様のさらに別の変形では、基準色調マッピング関数を選択することは、画像の視覚的特徴とこの選択された基準色調マッピング関数に関連付けられた基準視覚的特徴との間の最小距離に基づく選択基準に従って行われる。第1の態様のさらに別の変形では、第1の基準色調マッピング関数と第2の基準色調マッピング関数との間の遷移は、両方の関数間の重み付けを変更する(第1の関数の重み付けは遷移中に低下し、第2の関数の重み付けは遷移中に増加する)ことにより複数の画像にわたって漸進的に行われる。第1の態様のさらに別の変形では、ビデオの第1の画像に関して、選択された基準色調マッピング関数は、いかなる検証工程も必要とせず、ビデオの第1の画像へ適用される。
【0010】
本開示の第2の態様は、色調マッピング関数に従ってビデオコンテンツの画像を色調又は色マッピングするためのデバイスであって上記方法を実施するように構成された少なくとも1つのプロセッサを含むデバイスに向けられる。好適には、本デバイスは、モバイルデバイス、通信デバイス、ゲームデバイス、タブレット、ラップトップ、カメラ、チップ、サーバ、テレビ受像機及びセットトップボックスからなるグループ内で選択される。
【0011】
本開示の第3の態様は、プロセッサにより実行されると上記方法を行う格納された命令を含むコンピュータ可読ストレージ媒体に向けられる。
【0012】
図面の簡単な説明
本発明は、非限定的例として与えられるとともに添付図面を参照する以下の明細書を読むことによりさらに明確に理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】欧州特許第3249606号に記載の逆色調マッピング方法のフローチャートである。
【
図2】本発明による色調マッピング方法の実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態の説明
添付図面に示される様々な要素の機能は、適切なソフトウェアの協力によりソフトウェアを実行することができるハードウェアだけでなく専用ハードウェアも使用して提供され得る。用語「プロセッサ」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアを排他的に参照するように解釈されるべきではなく、限定しないがデジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)ハードウェア、ソフトウェアを格納するための読み取り専用メモリ(ROM:read only memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、及び不揮発ストレージを暗黙的に含み得る。
【0015】
添付図面に示されるいかなるスイッチも概念的なものにすぎない。その機能は、プログラム論理の操作を介し、専用論理を介し、プログラム制御と専用論理との相互作用を介し、又はさらには手動で行われ得る。特定技術が、文脈からより具体的に理解されるように実装者により選択可能である。
【0016】
画像処理方法はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、特殊用途プロセッサ又はそれらの組合せの様々な形式で実施され得るということを理解すべきである。この方法は特にハードウェアとソフトウェアとの組み合わせとして実施され得る。さらに、ソフトウェアは、プログラムストレージユニット上に有形に具現化されたアプリケーションプログラムとして実現され得る。アプリケーションプログラムは、任意の好適なアーキテクチャを含む計算機へアップロードされそしてこのアーキテクチャにより実行され得る。好適には、この計算機は、1つ又は複数の中央処理ユニット(「CPU」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)及び入力/出力(「I/O」)インターフェースなどのハードウェアを有する装置上に実装される。本装置はまたオペレーティングシステム及びマイクロ命令コードを含み得る。本明細書において説明される様々な処理及び機能は、CPUにより実行され得るマイクロ命令コードの一部又はアプリケーションプログラムの一部又はそれらの任意の組み合せのいずれかであり得る。加えて、実際又は仮想キーボード、ディスプレイデバイス及び追加データストレージユニットなどの様々な他の周辺ユニットが本装置へ接続され得る。
【0017】
総じて、この装置は、特にはモバイルデバイス(スマートフォンなど)、通信デバイス、ゲームデバイス、タブレット(又はタブレットコンピュータ)、ラップトップ、テレビ受像機、セットトップボックス、カメラ、符号化チップ又はサーバ(例えば同報通信サーバ、ビデオオンディマンドサーバ又はウェブサーバ)であり得る。
【0018】
画像処理方法の主実施形態について、この方法を実施するためにそれ自体周知のやり方で構成される少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを有する上述の装置を使用して次に説明する。
【0019】
メモリは、基準色調マッピングアルゴリズムの基準集合及び関連視覚的特徴を格納する。色調マッピングは色範囲を圧縮する色調マッピング及び色範囲を拡張する色調マッピング(通称「逆色調マッピング」)を含む総称である。この基準集合は例えば欧州特許第3249606号に開示されるように構築される:
-様々な視覚的特徴を有する画像が各画像の最適化された色調マッピング関数により収集され;用語「関数」は、一般的であり、「アルゴリズム」、「ルックアップテーブル」(LUT)又は「曲線」のような任意の同義語も含む;色調マッピング関数は色調マッピングすべき画像の画素の少なくとも輝度又は明度の関数である;色調マッピング関数は、特には欧州特許第3087730号に記載されるような輝度の指数関数であり、ここでは、この関数に使用される指数値が画像の画素毎に計算され;色調マッピング関数は例えば専用既知ツールを使用するカラリストにより画像に関し最適化される。画像の視覚的特徴は、例えばこの画像の色の輝度の値の分布を特徴付け、そして例えば輝度の値のヒストグラムにより表される。他の視覚的特徴が、例えばMPEG7規格において引用される主要色記述子(Dominant Color Descriptor)又は色構造記述子(Color Structure Descriptor)の代りに使用され得る。好適には、視覚的特徴は輝度に依存するように定義される。
-このとき、互いに近い最適化された色調マッピング関数を有する画像は、所与のクラスタの基準画像が距離判断基準に従って互いに近い色調マッピング関数を有するようにクラスタ化され;次に、任意のクラスタの互いに近い最適化された色調マッピング関数はこのクラスタに関連付けられた1つの基準色調マッピング関数において平均化され;次に、任意のクラスタの画像の視覚的特徴はこのクラスタに関連付けられた1つの基準視覚的特徴において平均化される。例えば、視覚的特徴が輝度ヒストグラムに基づけば、平均ヒストグラムは基準視覚的特徴として計算される。これは、各基準色調マッピング関数が同じクラスタの基準視覚的特徴に関連付けられるということを意味する。変形形態として、クラスタ化は近い視覚的特徴に基づき得る。
【0020】
このような基準色調マッピング関数の集合及び関連基準視覚的特徴を構築することは、
-様々な視覚的特徴を有する画像を収集すること、
-各画像の最適化された色調マッピング関数を生成すること、及び
-それらの関連視覚的特徴を有する最適化された色調マッピング関数を上述のようにクラスタ化すること
を含む予備的トレーニング段階期間中に同じプラットホーム又は別のプラットホームにおいて「オフラインで」行われ得る。
【0021】
次に、ビデオコンテンツの色を色調マッピングする画像処理方法について
図2を参照して説明する。
【0022】
メモリは色調マッピングされるべきビデオコンテンツの画像を好適にはバッファ内で受信する。
【0023】
コンテンツの第1の画像に関して、基準色調マッピング関数の基準集合において、基準色調マッピング関数は、この選択された基準色調マッピング関数に関連付けられた基準視覚的特徴とこの第1の画像の視覚的特徴との間の最小距離に基づく選択基準に従って選択される。例えば、この集合の各基準視覚的特徴と第1の画像の視覚的特徴との間の距離が計算される。視覚的特徴が上述のような輝度の値のヒストグラムである場合、最短計算距離は第1の画像内の輝度値の分布がこの集合の輝度値の基準分布に近いということを指示し、輝度値のこの近い基準分布に関連付けられた基準色調マッピング関数が選択される。次に、選択された基準色調マッピング関数は第1の画像へ適用され、対応色調マップ第1の画像を生じる。
【0024】
選択された基準色調マッピング関数の適用は、次の画像に関して選択された基準色調マッピング関数が前画像に関して選択された基準色調マッピング関数と同じである限りコンテンツの画像から画像へ(すなわち前画像から次の画像へ)繰り返される。
【0025】
次の画像IMNに関して選択された基準色調マッピング関数TMfNが前画像IMPに関して選択された基準色調マッピング関数TMfPと異なる(この状況は菱形内の標示「≠」により
図2に表される)と直ちにi+1個の画像の所謂現検証系列(current validation sequence)IMN,IMN+1,...,IMk,...,IMN+iが形成される。
【0026】
次に、検証工程がコンテンツのi+1個の画像IMN,IMN+1,...,IMk,...,IMN+iに関し開始される。色調マッピング関数の変更又は非変更の検証に使用される画像の数i+1は3以上である。例えば、25画像/秒のフレームレートに関しては、i+1=5。
【0027】
この検証工程は、色調マッピング関数を変更するかしないかの判断を行うことと、変更が判断された場合には、系列の画像へ適用されるべき「正しい」新しい基準色調マッピング関数を任意選択的にその間の遷移工程により(下記参照)検証する判断を行うこととを目的とする。
【0028】
検証工程自体の前に、上述と同じ選択基準に基づき、基準色調マッピング関数TMfN+1,...,TMfk,..,TMfN+iは現検証系列のi個の最後の画像IMN+1,...,IMk,...,IMN+iのそれぞれの画像の基準色調マッピング関数の集合内で選択される。
【0029】
現検証系列のすべての画像のすべての基準色調マッピング関数TMfN,TMfN+1,TMfN+2,TMfN+3,TMfN+4,TMfN+5,...,TMfk-1,TMfk,TMfk+1,...,TMfN+iが選択されると、検証工程は、好適にはこれらの選択された色調マッピング関数の分布に基づく検証判断基準に従って行われる。
【0030】
例えばi=9、k=N+7を仮定すると、10個の基準色調マッピング関数がTMfN,TMfN+1,TMfN+2,TMfN+3,TMfN+4,TMfN+5,TMfk-1,TMfk,TMfk+1,TMfN+iのように列挙される。
【0031】
例えば、このリスト内に2つの異なる基準色調マッピング関数P1、P2だけが存在するということと分布がTMfN=P2,TMfN+1=P1,TMfN+2=P1,TMfN+3=P2,TMfN+4=P2,TMfN+5=P2,TMfk-1=P1,TMfk=P2,TMfk+1=P2,TMfN+i=P2であるということとを仮定する。
【0032】
この状況(分布=P2P1P1P2P2P2P1P2P2P2)において、2つの異なる基準色調マッピング関数P1、P2は2つのビン(3の値を有するP1の第1のビン及び7の値を有するP2の第2のビン)に渡って分散される。
【0033】
検証判断基準は、例えば分布内で最も高い人口密度のビンを有する基準色調マッピング関数が検証されるように定義される。ここで、P2は特にTMfkに対応する。
【0034】
第1の変形形態として、検証判断基準は、検証系列の様々な画像内の同じ基準色調マッピング関数の最小の連続選択に基づく。例えば、上述のような10個の画像(i=9)の同じ検証系列内では、この系列内にはP2の4連続選択が無いので、この最小値は4の値に固定される可能性があり、前画像IMPに関して選択された同じ基準色調マッピング関数TMfPの検証に繋がる(この状況は菱形内の標示「≠」により
図2に表される)。
【0035】
第2の変形実施形態として、検証判断基準は、検証系列の様々な画像にわたる選択された基準色調マッピング関数の分布の検証パターンに従って定義される。例えば、検証系列を形成する20個の画像にわたる様々な選択された基準色調マッピング関数P1、P2の分布がP1P1P1P2P2P1P1P1P2P2P2P1P1P1P2P2P2P2P1P1であれば、これらの画像にわたるP2の分布のパターンが同じ画像にわたるP1のものと比較してP2の増加する重み付けを示すので、11の値を有するP1の第1のビンは9の値を有するP2の第2のビンより大きいがP2が検証されることになる。
【0036】
現検証系列に関して選択された基準色調マッピング関数のうちの少なくとも1つが前検証系列に関して検証された1つのTMfMと同じである(例えばTMfM=P1)ということが起こり得る。この基準色調マッピング関数が検証される(P1が分布内で最も人口密度が高い)場合、現検証系列の画像に適用される色調マッピング関数は前の現検証の画像に適用された基準色調マッピング関数と同じままである。
【0037】
現在の繰り返しの最終工程は、検証された基準色調マッピング関数を現検証系列の画像に適用することであり、色調マップ画像TMkIMN,TMkIMN+1,...,TMkIMk,...,TMkIMN+iを生じる。
【0038】
次に、画像の基準色調マッピング関数の上記選択及びこの画像へのその適用は、これらの次の画像の1つに関して選択された基準色調マッピング関数が前画像に関して選択された基準色調マッピング関数と再び異なるまで、検証系列の最後の画像IMN+iに続く画像に関し繰り返され、そして新しい選択が別の検証系列の各画像に関し上記のように再び行われ、別の検証が、この他の検証系列の別の基準色調マッピング関数の上記のように行われ、この他の検証系列の画像へ適用される。
【0039】
このような繰り返しはビデオコンテンツの終わりまで行われ、色調マッピングされたビデオコンテンツを生じる。
【0040】
コンテンツのいくつかの連続画像の選択の検証後だけの色調マッピング関数の変更のおかげで、このようなビデオコンテンツの内部の色調マッピング関数の余りにも頻繁な変更が防止され、視覚化中の時間的不安定性及び視覚的不快感が回避される。
【0041】
好ましい変形実施形態では、現検証系列に関して検証された基準色調マッピング関数P2が前の検証系列に関して検証された基準色調マッピング関数P1と異なるとP1からP2への色調マッピング関数の漸進的変更が実施される。
【0042】
色調マッピング関数のこの漸進的変更は遷移系列の画像へ適用される。
【0043】
遷移系列内の画像の数は、例えば定数として定義されてもよいし、メタデータにより取得されてもよいし、現検証系列に関して検証された基準色調マッピング関数P2と前の検証系列に関して検証された基準色調マッピング関数P1との間の差の一様な非減少関数であってもよい。ここで、遷移系列内の画像の最大数は現検証系列内の画像の数iである。
【0044】
遷移系列内の画像の数jが取得されるということが仮定される。ここで、j<i。現検証系列に関して検証された基準色調マッピング関数P2を現検証系列のj個の第1の画像のそれぞれへ適用する代わりに、遷移色調マッピング関数TMTRtが、2つの検証された基準色調マッピング関数P1とP2との間の補間により取得されるこれらのj個の画像の各IMtへ、好適にはTMTRt=t/j*P1+(1-t/j)*P2に従って適用される。ここで、tは遷移系列内のこの画像IMtの順序数である。遷移系列の画像に沿って、新たに検証された基準色調マッピング関数P2の重み付けが漸進的に増加され、前に検証された基準色調マッピング関数P1の重み付けは、これらの画像へ適用される遷移色調マッピング関数TMTRt(tは1からjまで変化する)内で漸進的に低下される。
【0045】
本発明の例示的実施形態は添付図面を参照して本明細書において説明されたが、本発明はそれらの正確な実施形態に限定されないということと様々な変更と修正が本発明から逸脱することなく当業者によりこれらの実施形態において実施され得るということとを理解すべきである。すべてのこのような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲以内に含まれるように意図されている。したがって、請求される本発明は当業者に明らかになるように本明細書に記載の特定例及び好ましい実施形態からの変形を含む。
【0046】
特定の実施形態のいくつかは別々に記載され請求され得るが本明細書において説明されるとともに請求される実施形態の様々な特徴は組み合わせて使用され得るということが理解される。特許請求の範囲において出現する参照符号は、例示としてだけのものであり、したがって特許請求の範囲にいかなる限定的影響も与えない。