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特許7355794広告配信装置、広告配信方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】広告配信装置、広告配信方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0251 20230101AFI20230926BHJP
【FI】
G06Q30/0251
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021163647
(22)【出願日】2021-10-04
(65)【公開番号】P2023054663
(43)【公開日】2023-04-14
【審査請求日】2022-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】古木 哲平
【審査官】新里 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-081663(JP,A)
【文献】特開2010-044538(JP,A)
【文献】特開2016-122288(JP,A)
【文献】特開2019-191780(JP,A)
【文献】特開2020-187555(JP,A)
【文献】特開2021-026446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部の条件が、実店舗での購買行動に関する電子決済サービスにおける決済に関連するものである入札条件を、広告コンテンツに対応付けて広告主から取得する入札条件取得部と、
前記電子決済サービスを提供する決済サーバと、利用者の利用者端末装置において動作する決済アプリとが協働することで行われる、前記実店舗における決済に関する決済情報を取得する決済情報取得部と、
前記決済情報が取得されたときに、前記決済情報および/または前記決済情報に係る前記利用者の過去の決済履歴が前記入札条件に当てはまる広告コンテンツを抽出し、前記抽出した広告コンテンツの中から所定の基準に基づいて選択した広告コンテンツを、前記決済情報に係る前記利用者端末装置に表示させるための処理を行う広告コンテンツ提供部と、を備え、
前記広告コンテンツ提供部は、前記利用者端末装置によって、前記実店舗において決済が処理された場合、前記決済に係る決済完了画面に含めて前記広告コンテンツを前記利用者端末装置に表示させるための処理を行う、
る広告配信装置。
【請求項2】
前記入札条件は、複数の個別条件を含み、
前記入札条件取得部は、前記複数の個別条件のそれぞれを前記広告主に選択させるインターフェースを前記広告主の使用する広告主端末装置に提供し、前記インターフェースを介して前記入札条件を取得する、
請求項記載の広告配信装置。
【請求項3】
前記入札条件は、前記決済情報に係る実店舗の場所に関する条件を含む、
請求項1又は2記載の広告配信装置。
【請求項4】
前記入札条件は、前記決済情報に係る実店舗のカテゴリに関する条件を含む、
請求項1からのうちいずれか1項記載の広告配信装置。
【請求項5】
前記入札条件は、前記決済情報に係る実店舗のカテゴリごとの決済頻度に関する条件を含む、
請求項1からのうちいずれか1項記載の広告配信装置。
【請求項6】
前記入札条件は、前記決済情報に係る決済時間帯に関する条件を含む、
請求項1からのうちいずれか1項記載の広告配信装置。
【請求項7】
前記入札条件は、前記決済情報に係る決済価格帯に関する条件を含む、
請求項1からのうちいずれか1項記載の広告配信装置。
【請求項8】
前記広告コンテンツは、前記電子決済サービスを用いた電子決済を利用可能な実店舗が、前記広告主として、掲出するものである、
請求項1からのうちいずれか1項記載の広告配信装置。
【請求項9】
前記広告コンテンツ提供部は、前記利用者端末装置に表示された前記広告コンテンツが前記利用者によって選択された場合、前記利用者端末装置の画面を、前記電子決済サービスにおける前記実店舗の専用ページに遷移させる、
請求項記載の広告配信装置。
【請求項10】
前記広告コンテンツは、前記電子決済サービスにおいて利用可能な特典を示す情報であり、
前記広告コンテンツ提供部は、前記利用者端末装置に表示された前記広告コンテンツが前記利用者によって選択された場合、前記利用者端末装置による前記特典の利用を可能にさせるか、又は、前記利用者端末装置の画面を、前記利用者端末装置による前記特典の利用を可能にさせるための専用ページに遷移させる、
請求項1からのいずれか1項記載の広告配信装置。
【請求項11】
コンピュータが、
少なくとも一部の条件が、実店舗での購買行動に関する電子決済サービスにおける決済に関連するものである入札条件を、広告コンテンツに対応付けて広告主から取得し、
前記電子決済サービスを提供する決済サーバと、利用者の利用者端末装置において動作する決済アプリとが協働することで行われる、前記実店舗における決済に関する決済情報を取得し、
前記決済情報が取得されたときに、前記決済情報および/または前記決済情報に係る前記利用者の過去の決済履歴が前記入札条件に当てはまる広告コンテンツを抽出し、
前記抽出した広告コンテンツの中から所定の基準に基づいて選択した広告コンテンツを、前記決済情報に係る前記利用者端末装置に表示させるための処理を行い、
前記利用者端末装置によって、前記実店舗において決済が処理された場合、前記決済に係る決済完了画面に含めて前記広告コンテンツを前記利用者端末装置に表示させるための処理を行う、
広告配信方法。
【請求項12】
コンピュータに、
少なくとも一部の条件が、実店舗での購買行動に関する電子決済サービスにおける決済に関連するものである入札条件を、広告コンテンツに対応付けて広告主から取得させ、
前記電子決済サービスを提供する決済サーバと、利用者の利用者端末装置において動作する決済アプリとが協働することで行われる、前記実店舗における決済に関する決済情報を取得させ、
前記決済情報が取得されたときに、前記決済情報および/または前記決済情報に係る前記利用者の過去の決済履歴が前記入札条件に当てはまる広告コンテンツを抽出させ、
前記抽出させた広告コンテンツの中から所定の基準に基づいて選択した広告コンテンツを、前記決済情報に係る前記利用者端末装置に表示させるための処理を行わせ、
前記利用者端末装置によって、前記実店舗において決済が処理された場合、前記決済に係る決済完了画面に含めて前記広告コンテンツを前記利用者端末装置に表示させるための処理を行わせる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告配信装置、広告配信方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、決済情報に基づいて形成され広告情報を選択するための区分である広告セグメント情報と広告取得先アドレスとを関連付けて保存する広告選択サーバと、決済時に加盟店サーバから送られてくる決済情報に広告表示条件が含まれている場合は、決済情報をもとに広告セグメント情報を生成して広告選択サーバへ送信し広告取得先アドレスを受信する広告連携処理手段と、決済処理の結果および広告取得先アドレスをもとに応答電文を作成して加盟店サーバへ送信するトランザクション処理手段とを設け、加盟店サーバを介して応答電文をもとに作成された注文完了画面を消費者端末上に表示させると共に、応答電文に含まれている広告取得先アドレスを用いて消費者端末に広告情報を取得させて、注文完了画面上に表示させるシステムの発明が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-44538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の発明では、実店舗での購買行動に関する電子決済サービスに特有の情報に関する広告の入札条件が設定されていないため、適切な広告が利用者に配信されない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、より適切な広告を利用者に配信することができる広告配信装置、広告配信方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、少なくとも一部の条件が、実店舗での購買行動に関する電子決済サービスにおける決済に関連するものである入札条件を、広告コンテンツに対応付けて広告主から取得する入札条件取得部と、前記電子決済サービスにおける決済情報を取得する決済情報取得部と、前記決済情報が取得されたときに、前記決済情報および/または前記決済情報に係る利用者の過去の決済履歴が前記入札条件に当てはまる広告コンテンツを抽出し、前記抽出した広告コンテンツの中から所定の基準に基づいて選択した広告コンテンツを、前記決済情報に係る利用者の使用する利用者端末装置に表示させるための処理を行う広告コンテンツ提供部と、を備える広告配信装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、より適切な広告を利用者に配信することができる広告配信装置、広告配信方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。
図2】電子決済の大まかな流れを例示した図である。
図3】決済完了画面の一例を示す図である。
図4】広告主専用ページの一例を示す図である。
図5】決済サーバ100の構成図である。
図6】利用者情報172の内容の一例を示す図である。
図7】店舗情報176の内容の一例を示す図である。
図8】広告主端末装置70に提供されるインターフェース画面の一例である画面IM1を示す図である。
図9】広告主端末装置70に提供されるインターフェース画面の他の一例である画面IM2を示す図である。
図10】広告入札情報178の内容の一例を示す図である。
図11】決済サーバ100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12】推奨入札額を提示する場合に、広告主端末装置70に提供されるインターフェース画面の他の一例である画面IM3~IM4を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の広告配信装置、広告配信方法、およびプログラムの実施形態について説明する。広告配信装置は、一以上のプロセッサにより実現される。広告配信装置は、電子決済サービスに付随して広告を配信する装置である。電子決済サービスは、店舗における商品やサービスの購買に係る決済をサポートするサービスである。店舗とは、主に、電子商取引に係る仮想店舗とは異なり、現実空間に存在する物理的な店舗(実店舗)である。なお、本発明の仕組みが電子商取引に係る仮想店舗が適用されることを必ずしも排除するものでは無いが、本発明が対象とする店舗は少なくとも実店舗を含むものとする。
【0010】
[電子決済サービス]
図1は、電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。電子決済サービスは、決済サーバ100を中心として実現される。決済サーバ100は、例えば、一以上の利用者端末装置10、一以上の店舗端末装置50、一以上の広告主端末装置70のそれぞれとネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線基地局、プロバイダ装置などを含む。
【0011】
利用者端末装置10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の可搬型端末装置である。利用者端末装置10は、少なくとも、光学読取機能、通信機能、表示機能、入力受付機能、プログラム実行機能を有するコンピュータ装置である。以下の説明では、これらの機能を実現するための構成をそれぞれカメラ、通信装置、タッチパネル、CPU(Central Processing Unit)等と称する。利用者端末装置10では、CPU等のプロセッサにより決済アプリ20が実行されることで、決済サーバ100と連携して電子決済サービスを利用者に提供するように動作する。決済アプリ20は、カメラ、通信装置、タッチパネルなどを制御する。
【0012】
店舗端末装置50は、例えば、店舗に設置される。店舗端末装置50は、少なくとも、商品価格取得機能、光学読取機能、プログラム実行機能、通信機能を有するコンピュータ装置である。店舗端末装置50は、いわゆるPOS(Point of Sale)装置を含み、POS装置によって商品価格取得機能や光学読取機能を実現してもよい。店舗コード画像60は、店舗に置かれ、QRコード(登録商標)等のコード画像が紙やプラスチックの媒体に印刷されたものである。なお、店舗コード画像60は、店舗に置かれたディスプレイによって表示されてもよい。
【0013】
広告主端末装置70は、後述する決済完了画面に含められるオンライン広告(以下、単に広告)を掲出しようとする者(広告主)の使用する端末装置である。広告主端末装置70は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末など、ネットワークNWに接続可能な任意のコンピュータ装置であってよい。
【0014】
決済サーバ100は、利用者端末装置10または店舗端末装置50から受信した決済情報に基づいて電子決済を実現する。決済サーバ100は、例えば、利用者IDに対応付けて管理している残高情報を増減させる(換言すると、電子マネーを入出金する)ことで、電子決済を行う。電子決済は、リボ払いやクレジット払い等の方法によって、購買時点の残高情報よりも多額の購買を可能にするものが含まれてよい。
【0015】
図2は、電子決済の大まかな流れを例示した図である。電子決済には、パターン1とパターン2の二つが存在してよい。パターン1の場合、まず利用者端末装置10において決済アプリ20が起動し、QRコードやバーコード等のコード画像を表示する。利用者は利用者端末装置10の表示面を店舗端末装置50に翳す(提示する)。店舗端末装置50は、光学読取機能によってコード画像をデコードし、利用者ID等の情報を取得する。そして、店舗端末装置50は、利用者ID、決済金額、店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する。決済金額の情報は、予めバーコード読み取りや手入力等によって取得されている。決済サーバ100は、受信した情報に基づいて決済処理を行う。
【0016】
パターン2の場合、決済アプリ20が起動した状態の利用者端末装置10が、光学読取機能によって店舗コード画像60をデコードする。店舗コード画像60には、店舗名等の情報が含まれている。利用者は、店舗名等が表示された画面において、決済金額を利用者端末装置10に入力する。そして、利用者端末装置10は、利用者ID、決済金額、店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する。決済サーバ100は、受信した情報に基づいて決済処理を行う。なお、上記のいずれかのパターンでのみ電子決済が行われてもよい。
【0017】
電子決済が完了すると、完了通知が決済サーバ100から利用者端末装置10に送信される。利用者端末装置10は、受信した完了通知に応じて決済完了画面を表示する。完了通知は、例えばWebページの形式である。図3は、決済完了画面の一例を示す図である。決済完了画面は、例えば、決済が行われた店舗の情報が表示される領域A1、決済金額等が表示される領域A2、決済の結果として利用者に付与されるポイント(特典の一例)が表示される領域A3、広告主による広告が表示される領域A4等を含む。広告主は、主として決済サーバ100の運営者とは異なる事業者である(決済サーバ100の運営者が広告主となっても構わない)。この広告は、広告主による入札の額(入札額)に基づいて、セカンドプライシング等の手法によって選択されたものである。広告主は、広告主端末装置70を用いて入札を行う。広告が掲載され利用者にクリック(タップ)されると、入札額に応じた金額が広告主から決済サーバ100の運営者に支払われる。なお、本実施形態において、広告主は、決済サーバ100の運営者が提供する電子決済サービスの加盟店舗、換言すると、当該電子決済サービスを用いて電子決済を行うことを利用者に許可する店舗であるものとする。
【0018】
利用者が、利用者端末装置10上で領域A4によって示される広告をタップすると、決済サーバ100は、タップされた広告を出稿した広告主の電子決済サービス上の専用ページに画面を遷移させる。利用者は、遷移先の広告主専用ページを通じて、電子決済の割引などに使用可能なクーポン(特典)を獲得することができる。電子決済サービスの加盟店舗そのものが広告主である場合、広告主の電子決済サービス上の専用ページとは、利用者の決済アプリ20上に表示される、電子決済サービスが利用可能な加盟店舗の専用ページと表現することもできる。
【0019】
図4は、広告主専用ページの一例を示す図である。広告主専用ページは、広告主の店舗の概要情報が表示される領域A5、広告主の店舗の詳細情報がタブによって切り替え可能に表示される領域A6等を含む。図4に示す通り、例えば、利用者が領域A6に含まれる一つのタブである「クーポン」をタップした場合、現時点において利用者が当該店舗での電子決済に使用可能なクーポンが表示される。利用者は、例えば、表示されたクーポンをさらにタップすることによって、表示されたクーポンを獲得することができる。決済サーバ100は、利用者が獲得したクーポンの内容情報を、後述する利用者情報172のクーポン付与情報に格納する。利用者がある店舗について獲得したクーポンは、当該店舗で電子決済を行う際に自動的に適用され、例えば、割引などの処理が実行される。
【0020】
なお、図3および図4においては、一例として、利用者が決済完了画面に表示された広告コンテンツをタップすることによって、広告主専用ページに遷移し、遷移先の広告主専用ページ上でクーポンを獲得する場合について説明した。しかし、本発明はそのような構成に限定されず、例えば、広告コンテンツそのものがクーポンであってもよい。その場合、利用者は、決済完了画面に表示されたクーポンをタップすることによって当該クーポンを獲得し、決済サーバ100は、利用者が獲得したクーポンの内容情報を、後述する利用者情報172のクーポン付与情報に格納する。代替的に、決済サーバ100は、利用者は、決済完了画面に表示されたクーポンをタップすることによって、クーポン獲得のための専用ページに利用者端末装置10の画面を遷移させてもよい。
【0021】
また、他の形態として、広告コンテンツは、タップされることによって、決済アプリ20上の専用ページではなく、決済アプリ20外の任意のWebコンテンツに遷移するものであってもよい。例えば、広告コンテンツがタップされると、決済アプリ20は、利用者端末装置10のブラウザアプリを呼び出し、当該広告コンテンツの広告主又は加盟店舗が事前に用意したランディングページ(LP)を表示させるものであってもよい。
【0022】
[決済サーバ]
図5は、決済サーバ100の構成図である。決済サーバ100は、例えば、通信部110と、決済コンテンツ提供部120と、決済処理部130と、広告配信部150と、記憶部170とを備える。広告配信部150は、例えば、入札条件取得部152と、決済情報取得部154と、広告コンテンツ提供部156とを備える。決済コンテンツ提供部120、決済処理部130、および広告配信部150のそれぞれは、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0023】
記憶部170は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などである。記憶部170は、決済サーバ100がネットワークを介してアクセス可能なNAS(Network Attached Storage)装置であってもよい。記憶部170には、利用者情報172、決済コンテンツ情報174、店舗情報176、広告入札情報178、広告コンテンツ情報180などの情報が格納される。
【0024】
通信部110は、ネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。通信部110は、例えばネットワークカードである。
【0025】
決済コンテンツ提供部120は、例えば、Webサーバの機能を有し、前述した決済完了画面を含む、電子決済サービスの各種画面を表示するための情報(コンテンツ)を利用者端末装置10に提供したり、利用者によるタップなどの操作に応じて、電子決済サービスで利用可能なクーポンを当該利用者に付与したりする。決済コンテンツ提供部120は、決済コンテンツ情報174から適宜、必要なコンテンツを読み出して利用者端末装置10に提供する。利用者端末装置10は、決済アプリ20によってコンテンツが再生された状態で利用者による各種入力を受け付け、前述した決済情報などを決済サーバ100に送信する。
【0026】
決済処理部130は、利用者端末装置10または店舗端末装置50により送信された決済情報に基づいて、決済処理を行う。決済処理部130は、利用者情報172を参照しながら決済処理を行う。
【0027】
図6は、利用者情報172の内容の一例を示す図である。利用者情報172は、例えば、利用者IDに対して、残高情報、連絡先情報、与信情報、クーポン付与情報、決済履歴情報などの情報が対応付けられたものである。残高情報は、利用者が予め銀行預金等から電子決済サービスに送金することで設定された電子マネーの残高を示す情報である。なお残高情報は決済処理に伴うオートチャージによって自動的に加算される場合もある。連絡先情報は、利用者が電子決済サービスに加入する際に入力された情報である。与信情報は、リボ払い等が承認されているか否かを示す情報である。クーポン付与情報は、利用者が獲得し、付与されているクーポンの内容を示す情報である。決済履歴情報は、利用者が行った決済の内訳(日時、購買行動が行われた店舗の店舗ID、決済金額等)を、決済ごとに示す情報である。
【0028】
店舗に関する情報は、店舗情報176として管理されている。図7は、店舗情報176の内容の一例を示す図である。店舗情報176は、例えば、店舗IDに対して、店舗カテゴリ、所在地、決済パターン等の情報が対応付けられたものである。店舗カテゴリは、一階層の情報であってもよいし、二階層以上の階層構造を有する情報であってもよい。例えば、図示する「寿司」の上位概念として「和食」や「食事処」、「飲食店」といった情報が付与されてもよい。所在地は、JISコードなどの階層化されたコード情報で表されてもよい。決済パターンは、前述したパターン1とパターン2のどちらで決済可能かを示す情報である。
【0029】
[広告配信]
広告配信部150は、広告コンテンツを利用者端末装置10に表示させるための処理を行う。広告配信部150は、「広告配信装置」の一例である。本実施形態では広告配信部150が決済サーバ100の一機能であるものとしているが、広告配信部150(広告配信装置)は決済サーバ100とは別体の装置であってもよい。
【0030】
広告配信部150の入札条件取得部152は、少なくとも一部の条件が、電子決済サービスにおける決済に関連するものである入札条件を、広告コンテンツに対応付けて広告主から取得する。入札条件の詳細については後述する。
【0031】
決済情報取得部154は、電子決済サービスにおける決済情報を取得する。決済情報とは、図2で説明した通り、実店舗で決済が行われる度に生成されて決済サーバ100に送信される情報である。決済情報は、例えば、決済処理部130に提供されて利用者情報172に反映されるのと並行して、決済情報取得部154に提供される。
【0032】
広告コンテンツ提供部156は、決済情報取得部154により決済情報が取得されたときに、当該決済情報および/または決済情報に係る利用者の過去の決済履歴が入札条件に当てはまる広告コンテンツを抽出する。そして、抽出した広告コンテンツの中から所定の基準に基づいて選択した広告コンテンツを、決済情報に係る利用者の利用者端末装置10に表示させるための処理を行う。
【0033】
広告コンテンツ提供部156は、例えば入札額に対するセカンドプライシングによって広告コンテンツを選択するである。例えば、広告主C1、C2、C3がそれぞれ入札額150円、250円、270円で入札していた場合、最も高い入札額を提示していた広告主C3が、二番目に高い入札額である250円の1単位上である251円で落札し、広告主C3の広告コンテンツが配信される。これに代えて、eCPMに類する基準に基づいて広告コンテンツが選択されてもよい。例えば、広告コンテンツが利用者によって選択され、その後に電子決済サービスを介した決済あるいはクーポンの使用がなされた回数(或いは割合)を入札額に乗算した値に対して、セカンドプライシングなどの基準が適用されてもよい。
【0034】
広告コンテンツ提供部156は、例えば、決済情報に係る決済完了画面に含めて、広告コンテンツを利用者端末装置10に表示させるための処理を行う。表示させるための処理とは、例えば、決済完了画面を表示するためのコンテンツに付随して、広告コンテンツの所在情報(例えばURL;Uniform Resource Locator)を利用者端末装置10に送信する処理である。決済アプリ20は、URLを用いて広告コンテンツを取得し、決済完了画面の領域A4(図3参照)に埋め込んで利用者端末装置10に表示させる。
【0035】
なお、広告コンテンツ提供部156は、決済完了画面以外のコンテンツ画面に広告コンテンツを含めるようにしてもよいし、広告コンテンツを単独で利用者端末装置10に表示させるようにしてもよい。前者の場合、広告コンテンツ提供部156は、例えば決済コンテンツのトップページに広告コンテンツを含めて利用者端末装置10に表示させる。後者の場合、広告コンテンツ提供部156は、例えばプッシュ通知の形で利用者端末装置10に広告コンテンツを表示させる。
【0036】
[入札条件]
入札条件取得部152が取得する入札条件は、決済情報および/または決済情報に係る利用者の過去の決済履歴に関するものである。例えば、決済場所(決済に係る店舗の場所)、店舗カテゴリ、店舗カテゴリごとの決済頻度、決済金額帯、決済時間帯などの個別条件のうち一部または全部を含む。決済頻度が入札条件に含まれない場合、入札条件は一回の決済情報に関するものとなるが、決済頻度が入札条件に含まれる場合、入札条件は決済情報に係る利用者の過去の決済履歴に関するものを含む。
【0037】
入札条件取得部152は、例えば、入札条件を入力するためのインターフェースを広告主端末装置70に提供し、インターフェースを介して入札条件を取得する。図8は、広告主端末装置70に提供されるインターフェース画面の一例である画面IM1を示す図である。画面IM1には、例えば、広告コンテンツID等によって広告コンテンツを指定する入力窓W1、個別条件のうち決済場所を指定する入力窓W2、個別条件のうち店舗カテゴリを指定する入力窓W3、個別条件のうち店舗カテゴリごとの決済頻度を指定する入力窓W4、入札額を指定する入力窓W5、入力した入札条件等を決済サーバ100に送信することを指示する送信ボタンB1等が設けられている。
【0038】
ここでは、インターフェース画面に入札条件等を入力する時点で、広告コンテンツ自体は既に決済サーバ100に登録されており、広告コンテンツIDが付与されて広告コンテンツ情報180に登録されているものとするが、インターフェース画面に広告コンテンツの登録を受け付ける機能があってもよい。また、広告主を代表してインターフェース画面を操作する人のことを「広告主」と称して説明する。
【0039】
入力窓W2~W4への入力は、手動でのテキスト入力によって行われてもよいが、カーソルを入力窓に合わせる、入力窓にタップする等を契機として入力候補(レコメンド条件)が広告主に提示され、入力候補から選択できるようにしてもよい。個別条件のうち場所は、例えば、市区町村、最寄り駅、商店街名といった粒度で指定される。個別条件のうち店舗カテゴリごとの決済頻度は、例えば、「週に1回」といった内容で指定される。店舗カテゴリごとの決済頻度に代えて、店舗カテゴリごとの1年間の決済総額というように、基準期間内の決済総額が指定されてもよい。
【0040】
このような入札条件を指定させることで、広告主にとっては「特定の商圏で、あるカテゴリの決済を高頻度に行っている利用者」にターゲットを絞って広告コンテンツを配信することができる。この結果、広告配信部150は、より適切な広告を利用者に配信することができる。
【0041】
図9は、広告主端末装置70に提供されるインターフェース画面の他の一例である画面IM2を示す図である。画面IM2には、画面IM1と同様の入力窓W1~W3、W5、および送信ボタンB1の他、個別条件のうち決済時間帯を指定する入力窓W6、および個別条件のうち決済価格帯を指定する入力窓W7が設けられている。入力窓W6と入力窓W7はいずれか一方のみ設けられてもよい。
【0042】
このような入札条件を指定させることで、広告主にとっては「特定の商圏で、あるカテゴリの決済を特定の時間帯かつ特定の価格帯で行った利用者」にターゲットを絞って広告コンテンツを配信することができる。例えば、ある店舗でまとまった金額の夕食を済ませた利用者に対して、その後に近隣の珈琲店やカラオケ店等の広告コンテンツを配信すると、興味を示す確率がターゲットを絞らない場合よりも高くなると考えられる。つまり、広告をしようとする店舗カテゴリと同じ店舗カテゴリでの決済に限らず、一連の利用者の行動の中で一つの決済(行動)が完了した時点で、次に生じる可能性が高い決済(行動)をターゲットとして広告コンテンツを配信することができる。この結果、広告配信部150は、より適切な広告を利用者に配信することができる。
【0043】
図10は、広告入札情報178の内容の一例を示す図である。入札条件取得部152は、上記のインターフェース画面に対して入力された情報に基づいて広告入札情報178を更新する。広告入札情報178は、例えば、広告主の識別情報である広告主IDに対して、広告コンテンツID、入札条件、入札額、入札期間などの情報が対応付けられたものである。なお入札期間については「別途、取り消し連絡があるまで」というふうに定められてもよい。図示するように、同じ広告主が複数の広告コンテンツについて入札をすることもあり得る。
【0044】
[処理フロー]
図11は、決済サーバ100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、決済コンテンツ提供部120と広告配信部150のそれぞれは、決済サーバ100が決済情報を受信したか否かを判定する(S200)。決済処理部130は、決済情報に基づいて決済処理を行う(S202)。
【0045】
並行して、広告配信部150の決済情報取得部154は、受信された決済情報を取得すると共に、当該利用者(決済情報に係る利用者)の過去の決済履歴を、利用者情報172から取得する(S206)。
【0046】
次に、広告配信部150の広告コンテンツ提供部156は、広告入札情報178を検索し、S206で取得した情報が入札条件にヒットする(当てはまる)広告コンテンツIDを抽出し(S208)、入札額等に応じてセカンドプライシング等の手法により広告コンテンツIDを選択する(S210)。そして、広告コンテンツ提供部156は、選択した広告コンテンツIDの所在情報を広告コンテンツ情報180から取得して決済コンテンツ提供部120に通知する(S212)。
【0047】
決済コンテンツ提供部120は、広告コンテンツ提供部156から通知された所在情報を決済完了画面に含めて利用者端末装置10に表示させる(S204)。
【0048】
以上説明した実施形態によれば、実店舗における決済をサポートする電子決済サービスにおける決済情報、或いは過去の決済履歴を取得し、この形態の電子決済サービスに特有の事象(場所、店舗カテゴリ、決済頻度、決済時間帯等)を個別条件とした入札条件に基づいて配信する広告コンテンツを選択するため、より適切な広告を利用者に配信することができる。
【0049】
[その他の機能1]
広告配信部150の入札条件取得部152は、上記説明した機能の他、過去の入札条件と落札額との関係が学習された結果に基づいて、広告主が指定した入札条件に応じた推奨入札額を導出し、広告主に提示してもよい。
【0050】
まず、学習段階の処理について説明する。以下に説明する処理は、操作者が手動で計算をコンピュータに指示することで行われてもよいし、コンピュータがプログラムに従って自動的に行ってもよい。ここでは処理の主体を学習者と称する。まず、学習者は、一定期間T1におけるヒット数(着目する決済情報および決済履歴に関して、入札条件にヒットした広告コンテンツの数)と落札額との関係を回帰分析等によって求め、ヒット数が入力されると落札額を導出する関数f(ヒット数)を求めておく。
【0051】
次に、学習者は、地域ごとの傾向、店舗カテゴリごとの傾向を学習し、地域係数αiと店舗カテゴリ係数βjを求める。地域係数αi、店舗カテゴリ係数βjはそれぞれ、式(1)、(2)で求められる。iは地域の識別子、jは店舗カテゴリの識別子である。地域の識別子は予め所定の粒度で住所を区切った領域について設定されているものとする。
【0052】
αi=着目地域iの落札額平均/着目地域i以外の全ての地域の落札額平均 …(1)
βj=着目店舗カテゴリjの落札額平均/着目店舗カテゴリj以外の全ての店舗カテゴリの落札額平均 …(2)
【0053】
入札条件取得部152は、このようにして求められた関数f(ヒット数)、地域係数αi、および店舗カテゴリ係数βjを用いて、式(3)により推奨入札額を計算する。ここで、関数f(ヒット数)に入力するヒット数は、広告主から取得した入札条件を用いて、過去の一定期間T1において取得された決済情報および決済履歴を用いたシミュレーションによって検証されたヒット数、すなわちバックテストにより確認されたヒット数である。入札条件取得部152は、落札率を高めるために、式(3)で求められる結果に対して更に乗数(1を若干上回る程度の値)を乗算して推奨入札額を導出してもよい。
【0054】
推奨入札額=f(ヒット数)×αi×βj …(3)
【0055】
なお上記説明した手法はあくまで一例であり、同様の傾向が実現されるのであれば如何なる手法で推奨入札額が導出されてもよい。例えば、入札額を特徴量に変換し、特徴量と落札額の関係を機械学習によって学習した学習済モデルに特徴量を入力することで、推奨入札額を導出してもよい。
【0056】
入札条件取得部152は、例えば、推奨入札額を広告主に提示した後に、広告主により入力された入札額を取得する。図12は、推奨入札額を提示する場合に、広告主端末装置70に提供されるインターフェース画面の他の一例である画面IM3~IM4を示す図である。画面IM3には、画面IM2と同様の入力窓やボタンの他、推奨入札額の表示を要求するためのボタンB2が設けられている。広告主がボタン2を操作すると、その時点で入力されている入札条件が入札条件取得部152に伝えられ、入札条件取得部152は上記例示した手法によって推奨入札額を導出し、推奨入札額が入力窓W5に表示された画面IM4を広告主端末装置70に表示させる。この時点で入力窓W5に表示されている数字は、広告主によって変更可能であってもよい。画面IM4において広告主がボタンB1を操作すると、入力窓W5に表示されている数字を入札額として入札条件が確定する。なお、このような処理に代えて、入札条件取得部152は、「推奨入札額で自動的に入札する」という広告主の指定を受け付けてもよい。その場合、推奨入札額を提示して最終確認を得る手順は省略されてよい。
【0057】
[その他の機能2]
また、広告コンテンツ提供部156は、決済に関する情報だけでなく、利用者の属性情報を更に考慮して広告コンテンツを選択してもよい。例えば、利用者の性別、住所、勤務先住所、趣味・嗜好などのデモグラ情報(属性情報)が取得ないし推定されている場合、入札条件取得部152は、デモグラ情報に関する個別条件を入札条件の一部として取得し、広告コンテンツ提供部156は、その入札条件に基づいて広告コンテンツを選択してもよい。例えば、広告主がネイルサロンの運営者である場合は女性向けに広告コンテンツを配信したいと望むことが想定される。このようにすることで、更に精度よく広告ターゲットを絞り込むことができる。
【0058】
[その他の機能3]
広告配信部150は、広告主の広告コンテンツに関する店舗(広告対象の店舗)の店舗カテゴリや所在地に類似する他の広告コンテンツを抽出し、抽出した広告コンテンツについて設定されている入札条件に基づいて、広告主に推奨入札条件を提示してもよい。
【0059】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0060】
10 利用者端末装置
20 決済アプリ
50 店舗端末装置
60 店舗コード画像
70 広告主端末装置
100 決済サーバ
120 決済コンテンツ提供部
130 決済処理部
150 広告配信部(広告配信装置)
152 入札条件取得部
154 決済情報取得部
156 広告コンテンツ提供部
170 記憶部
172 利用者情報
174 決済コンテンツ情報
176 店舗情報
178 広告入札情報
180 広告コンテンツ情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12