(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】医療回路用構成要素
(51)【国際特許分類】
A61M 16/08 20060101AFI20230926BHJP
A61M 16/16 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
A61M16/08 330
A61M16/16 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021175973
(22)【出願日】2021-10-27
(62)【分割の表示】P 2018233529の分割
【原出願日】2014-03-14
【審査請求日】2021-11-12
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504298349
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】ロバート、アンドリュー、デイビッド、ミルン
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー、ディー、ギーアケ
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/077250(WO,A1)
【文献】特表2000-500359(JP,A)
【文献】特表2010-508875(JP,A)
【文献】特開2002-058741(JP,A)
【文献】特開2001-314508(JP,A)
【文献】特開平05-237332(JP,A)
【文献】特表2007-530157(JP,A)
【文献】特表2011-512889(JP,A)
【文献】国際公開第2012/164407(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/072997(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/08
A61M 16/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸回路の乾燥呼気リムであって、
呼気リムの長さによって分離された第1端部および第2端部を有する壁であって、前記壁が内部に空間を画定し、および前記壁の少なくとも一部が、水蒸気の透過を許容するが液体の水の透過を実質的に防止するように構成された通気性材料を含む壁と、
前記壁の前記第1端部の第1開口であって、ガスを受けるように構成された第1開口と、
前記壁の前記第2端部の第2開口であって、前記ガスが前記乾燥呼気リムを出ることを許容するように構成された、第2開口と、
を含み
、
使用時に前記ガスの温度が、前記乾燥呼気リムの長さに沿って温度低下を有するとともに、
前記乾燥呼気リムは、前記乾燥呼気リムの長さに沿って前記ガスの温度が前記ガスの露点温度より上に維持され、かつ前記ガスの温度と前記ガスの露点温度との差が1℃未満であるように
前記乾燥呼気リムの長さに沿った温度低下を制御することにより、前記ガスの乾燥を改良するように構成される、
乾燥呼気リム。
【請求項2】
前記第1開口によって受け入れられた前記ガスが、第1温度および第1絶対湿度を有する、請求項1に記載の乾燥呼気リム。
【請求項3】
前記第2開口によって受け入れられた前記ガスが、第2温度および第2絶対湿度を有する、請求項2に記載の乾燥呼気リム。
【請求項4】
前記乾燥呼気リム上で、前記第2温度が前記第1温度よりも低く、前記第2絶対湿度が前記第1絶対湿度よりも乾燥している、請求項3に記載の乾燥呼気リム。
【請求項5】
前記第1開口によって受け入れられた前記ガスが、第1温度および第1相対湿度を有し、前記第2開口によって受け入れられた前記ガスが、第2温度および第2相対湿度を有する、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の乾燥呼気リム。
【請求項6】
前記ガスの前記第1相対湿度または前記ガスの前記第2相対湿度あるいは両方は、少なくとも約95%または少なくとも約99%である、請求項5に記載の乾燥呼気リム。
【請求項7】
前記乾燥呼気リムの長さに沿うガスの温度低下は、
a)前記乾燥呼気リムの長さに沿って、前記壁の外側表面上の断熱材料の量を変化させること、
b)前記乾燥呼気リムの長さに沿って、加熱ワイヤのピッチ間隔を変化させること、
及び、
c)前記乾燥呼気リムの長さに沿って、少なくとも2つの加熱ワイヤセクションを制御し、前記少なくとも2つの加熱ワイヤセクションは、それぞれ独立して制御されるように構成されること、
のうちの1つ以上によって制御される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の乾燥呼気リム。
【請求項8】
前記乾燥呼気リムは、前記乾燥呼気リムの長さに沿った前記ガスの温度と前記ガスの露点温度との差がほぼ一定であるように構成される、請求項7に記載の乾燥呼気リム。
【請求項9】
前記断熱材料が前記ガスの温度を前記ガスの露点温度より0.9℃~1℃高くなるように制御するべく構成される、請求項7または8に記載の乾燥呼気リム。
【請求項10】
第1端部から、前記第1端部から300mmの距離までの温度低下率が0.01℃/mm以下である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の乾燥呼気リム。
【請求項11】
前記少なくとも2つの加熱ワイヤセクションが、前記乾燥呼気リム内の前記ガスに熱を供給するために選択的に電力を受け取るように構成されている、請求項7に記載の乾燥呼気リム。
【請求項12】
前記少なくとも2つ加熱ワイヤセクションが、前記ガスの温度を前記ガスの露点温度より0.9℃~1℃高くなるように制御するべく構成される、請求項11に記載の乾燥呼気リム。
【請求項13】
前記ピッチ間隔が前記第1端部からの距離とともに増大する、請求項7に記載の乾燥呼気リム。
【請求項14】
前記乾燥呼気リムの流量が通気性を改善するように構成される、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の乾燥呼気リム。
【請求項15】
前記乾燥呼気リムの断面が通気性を改善するように増大される、請求項14に記載の乾燥呼気リム。
【請求項16】
通気性を改善するために前記流量が低減される、請求項14または15に記載の乾燥呼気リム。
【請求項17】
前記ガスの絶対湿度のプロファイルが前記ガスの露点温度のプロファイルと実質的に平行である、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の乾燥呼気リム。
【請求項18】
前記乾燥呼気リムが前記壁の前記第1端部でおよび前記壁の前記第2端部でレインアウトを実質的に排除するように構成される、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の乾燥呼気リム。
【請求項19】
前記断熱材料、前記加熱ワイヤおよび前記少なくとも2つの加熱ワイヤセクションは、前記乾燥呼気リムの長さに沿った温度の低減が、前記乾燥呼気リムの長さに沿った前記ガスの相対湿度を目標相対湿度範囲に維持する乾燥率に従い制御されるように構成される、請求項7に記載の乾燥呼気リム。
【請求項20】
前記目標相対湿度範囲が約90%~約99%の間である、請求項19に記載の乾燥呼気リム。
【請求項21】
前記呼気リムは、単一のチューブである、請求項1乃至20のいずれか一項に記載の乾燥呼気リム。
【請求項22】
呼吸回路の乾燥呼気リムであって、
呼気リムの長さによって分離された第1端部および第2端部を有する壁であって、前記壁が内部に空間を画定し、および前記壁の少なくとも一部が、水蒸気の透過を許容するが
液体の水の透過を実質的に防止するように構成された通気性材料を含む壁と、
前記壁の前記第1端部の第1開口であって、第1温度および第1相対湿度のガスを受けるように構成された第1開口と、
前記壁の前記第2端部の第2開口であって、前記ガスが前記乾燥呼気リムを出ることを許容するように構成され、前記乾燥呼気リムを出るとき前記ガスが前記第1温度より低い第2温度および第2相対湿度を有する第2開口と、
を含み
、
使用時に前記ガスの温度が、前記乾燥呼気リムの長さに沿って温度低下を有し、
前記乾燥呼気リムは、前記第1相対湿度および前記第2相対湿度が、約90%~約99%の間であるように
前記乾燥呼気リムの長さに沿った温度低下を制御することにより、前記ガスの乾燥を改良するように構成される、
乾燥呼気リム。
【請求項23】
前記乾燥呼気リムの長さに沿った温度低下が、前記乾燥呼気リムの長さに沿った前記ガスの相対湿度を目標相対湿度範囲に維持する乾燥率に従い制御されるように構成される、請求項22に記載の乾燥呼気リム。
【請求項24】
前記ガスの前記第1相対湿度または前記ガスの前記第2相対湿度あるいは両方は、少なくとも95%である、請求項22または23に記載の乾燥呼気リム。
【請求項25】
前記ガスの前記第1相対湿度または前記ガスの前記第2相対湿度あるいは両方は、少なくとも99%である、請求項22または23に記載の乾燥呼気リム。
【請求項26】
前記目標相対湿度範囲が90%~99%の間である、請求項23に記載の乾燥呼気リム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照による組込み
本出願は、2013年3月15日に出願された「DRYING EXPIRATORY LIMB WITH TAILORED TEMPERATURE PROFILE,」と題する米国仮特許出願第61/790,424号明細書、2013年3月15日に出願された「DRYING EXPIRATORY LIMB WITH TAILORED TEMPERATURE PROFILE AND MULTI-LUMEN CONFIGURATION,」と題する米国仮特許出願第61/789,754号明細書、および2014年1月8日に出願された「COMPONENTS FOR MEDICAL CIRCUITS,」と題する米国仮特許出願第61/925,099号明細書の利益を主張し、前記仮特許のそれぞれは参照することにより全体的に本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
分野
本開示は、概して医療回路の構成要素に関し、詳細には、閉塞性睡眠時無呼吸などの患者、新生児、呼吸加湿、およびガス注入システムを含む手術用加湿システムに加湿ガスを供給する、および/またはそれらから加湿ガスを取り除く医療回路の構成要素に関する。
【0003】
医療回路において、様々な構成要素が、自然にまたは人工的に加湿されたガスを患者へおよび患者から搬送する。例えば、CPAP(持続式陽圧呼吸療法:continuous positive airway pressure)などの一部の呼吸回路または補助式呼吸回路において、患者によって吸い込まれるガスは加熱器加湿ユニットから吸気リム(limb)を通って、マスクなどの患者インターフェースに送出される。別の例として、手術用加湿リムがガス注入回路において加湿ガス(一般にCO2)を腹腔へ送出可能である。これは、患者の内臓の「乾燥」を防止する一助となり得、また、手術からの回復に必要な時間量を低減することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの医療用途において、ガスは好ましくは、飽和レベルに近い湿度を有しおよび体温(一般に33℃~37度の温度)に近い条件で搬送される。高湿ガスが冷却するとき、凝結または「レインアウト(rain-out)」が構成要素の内側表面に形成される場合がある。医療回路内の改善された加湿および凝結の管理を可能にする構成要素に対する必要性が依然としてある。従って、本明細書に開示される特定構成要素および方法の目的は、従来技術システムの問題の1つまたは複数を改善すること、または少なくとも一般社会に有用な選択肢を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の各態様は、医療回路で使用するためのリムに関する。リムは広義語でありその通常のかつ慣習的な意味合いを当業者に与え(すなわち、特別および特定的な意味合いに制限されない)、および限定することなく、チューブ、導管およびガスを搬送するための装置構成要素を含む。本明細書に開示されるリムは、ガス流の滞留時間(すなわち、ガス体積がリム内に存在する時間の平均長さ)を延ばすことから恩恵を受け得る様々な用途で利用可能である。
【0006】
本開示の特定実施形態は、患者から離れる方に延びる呼気リムに関し、この呼気リムでは、患者インターフェースから流れ出るガスストリームの絶対湿度および露点が、凝結を排除するために調整且つ制御された方法で低減される。この使用法は、呼吸の加湿および新生児への適用を限定せずに含むいくつかの医療環境に好適である。患者から加湿空気を移送する用途で使用されるとき、本明細書に記載される特定のリムは、Evaqua 2(商標)導管(Fisher & Paykel Healthcare Ltd., Auckland, New Zealand)などの商業製品に勝る低減された露点を実現可能である。
【0007】
本開示のさらなる実施形態は、患者に流れるガスストリームを加湿することに関する。特に、少なくとも1つの実施形態は、加湿ユニットでの使用に好適なリムに関する。この使用法は、閉塞性睡眠時無呼吸(CPAPなど)および手術用加湿用途を限定せずに含むいくつかの医療環境に好適である。患者へ加湿空気を移送する用途で使用されるとき、本明細書に記載される特定のリムは、これまでの商業製品に勝る上昇した露点を実現可能である。
【0008】
本明細書に記載されるシステム、方法および装置は革新的な態様を有し、それらの1つが不可欠であることはなく、また、それらの望ましい属性に単独で責を負うこともない。請求項の範囲を制限することなく、有利な特徴のいくつかをここで要約する。
【0009】
概して、呼気リムは、ガスがベンチレータに達する前に呼気リムを通過するとき、ガスを乾燥するように構成される。呼気リムはガスをベンチレータ内の凝結を低減または排除するのに十分に乾燥するように構成可能である。乾燥は、一定の体積流量において、リムの表面領域および/または呼気リム内のガスの滞留時間によって少なくとも部分的に制限することができる。特定の実施形態は、乾燥を高めるため、リムに沿ったレインアウトを低減または防止するため、および/またはベンチレータ内の凝結を低減または防止するために呼気リムに沿ってガスの調整された温度プロファイルを提供する乾燥呼気リムを提供することが有利であり得るという認識を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、乾燥呼気リム内のガスの改良または最適化された乾燥は、ガスが乾燥呼気リムに沿って流れるとき、ガス温度とその露点温度の差をほぼ一定に維持するようにガスの温度を制御することによって達成される。いくつかの実施形態では、この温度差は約2℃未満、約1.5℃未満、または約0.9℃~約1℃の間である。いくつかの実施形態では、乾燥呼気リム内のガスの改良または最適化された乾燥は、ガスの相対湿度を約90%~約99%、約95%~約99%または約95%~約97%の間に維持することによって達成される。いくつかの実施形態では、これは、呼気リムの長さに沿って露点温度と絶対湿度を略直線状に維持することによって達成され得る。いくつかの実施形態では、リムの始点から乾燥呼気リムの最初の約300mmまたは400mmまでのガスの温度低下は、0.01℃/mm未満または0℃/mm~約0.009℃/mmの間であり、呼気リムの長さにわたる合計温度低下は、約10℃未満、または約3℃~約10℃の間である。従って乾燥呼気リムおよび本明細書に開示される温度制御機構は、ガスの乾燥を向上または最適化し、リム内のレインアウトを低減または排除し、および/またはベンチレータ内の凝結を低減または排除するようにガスの温度プロファイルを調整するように構成可能である。いくつかの実施形態では、ガスの最適な乾燥を提供する乾燥呼気リムが開示され、最適な乾燥は乾燥の際、調整された温度制御プロセスによってリム内およびベンチレータ内で凝結が生じない。
【0011】
いくつかの実施形態は、呼気リムの長さによって分離された第1端部および第2端部を有する壁を含むことができる呼吸回路で使用するための乾燥呼気リムを提供する。壁は内部に空間を画定し、前記壁の少なくとも一部は、水蒸気の透過を許容するが液体の水の透過を実質的に防止するように構成された通気性材料を含む。乾燥呼気リムは壁の第1端部に第1開口を含み、第1開口は第1温度および第1相対湿度のガスを受け入れるように構成される。乾燥呼気リムは壁の第2端部に第2開口を含み、第2開口はガスが乾燥呼気リムを出ることを許容し、ガスは乾燥呼気リムを出るとき第2温度および第2相対湿度を有する。乾燥呼気リムは、乾燥呼気リムに沿ったガスの温度とガスの露点温度との間の差がほぼ一定であるように構成される。
【0012】
実施形態のいくつかの態様では、乾燥呼気リムはさらに、壁の外側表面に取り付けられた断熱材料を含む。断熱材料は、呼気リムの長さに沿ってガスの乾燥を高めるためにガスの温度低下を制御するように構成可能である。いくつかの実施形態では、断熱材料の量は呼気リムの長さに沿って実質的に一定である。断熱材料の量は呼気リムの長さに沿って変わることができる。
【0013】
いくつかの態様では、乾燥呼気リムは、乾燥呼気リム内のガスに熱を提供するために電力を選択的に受け取るように構成された加熱ワイヤを含むことができる。いくつかの態様では、加熱ワイヤは、呼気リムの長さに沿ってガスの乾燥を高めるためにガスの温度低下を制御するように構成される。さらなる態様では、乾燥呼気リムは、ガスの温度を目標量だけ露点温度を超えるように制御するように構成された2つ以上の加熱器を含む。別の態様では、加熱ワイヤは、呼気リムの長さに沿って可変ピッチ間隔を有し、いくつかの実行では、ピッチ間隔は第1端部からの距離とともに増大する。いくつかの実行では、加熱ワイヤは少なくとも2つのセクションを含み、2つのセクションは制御回路を用いて独立して制御されるように構成される。
【0014】
いくつかの態様では、乾燥呼気リムの流量は、通気性を改善するように構成される。例えば、乾燥呼気リムの断面は通気性を改善するために増大可能である。
【0015】
いくつかの態様では、滞留時間は通気性を改善するように延長される。いくつかの態様では、ガスの絶対湿度のプロファイルはガスの露点温度のプロファイルと実質的に平行である。いくつかの態様では、乾燥呼気リムは、リムの第1端部でおよびリムの第2端部でレインアウトを実質的に排除するように構成される。いくつかの態様では、乾燥呼気リムは、リムの第2端部に配置されたベンチレータのレインアウトを実質的に排除するように構成される。
【0016】
いくつかの実施形態は、呼吸回路で使用するために乾燥呼気リムを提供する。乾燥呼気リムは、呼気リムの長さによって分離された第1端部および第2端部を有する壁を含み、壁は内部に空間を画定し、前記壁の少なくとも一部は、水蒸気の透過を許容するが液体の水の透過を実質的に防止するように構成された通気性材料を含む。乾燥呼気リムは壁の第1端部に第1開口を含み、第1開口は第1温度および第1相対湿度のガスを受け入れるように構成される。乾燥呼気リムは壁の第2端部に第2開口を含み、第2開口はガスが乾燥呼気リムを出ることを許容し、ガスは乾燥呼気リムを出るとき第2温度および第2相対湿度を有する。乾燥呼気リムは、第1相対湿度および第2相対湿度がほぼ等しく、乾燥呼気リムに沿ったあらゆる地点でのガスの相対湿度が第1相対湿度とほぼ等しいように構成される。
【0017】
いくつかの態様では、ガスの相対湿度は少なくとも約95%、または少なくとも約99%である。いくつかの態様では、呼気リムの長さに沿った温度の低減は、相対湿度を目標湿度値に維持する乾燥率に従い制御され、ここで目標湿度値は、約90%~約99%の間、約95%~約99%の間、または約95%~約97%の間である。
【0018】
いくつかの実施形態は、呼吸回路の乾燥呼気リムを提供し、乾燥呼気リムは呼気リムの長さによって分離された第1端部および第2端部を有する壁を含み、壁は内部に空間を画定し、前記壁の少なくとも一部は、水蒸気の透過を許容するが液体の水の透過を実質的に防止するように構成された通気性材料を含む。乾燥呼気リムは壁の第1端部に第1開口を含み、第1開口は第1温度および第1相対湿度のガスを受け入れるように構成される。乾燥呼気リムは壁の第2端部に第2開口を含み、第2開口はガスが乾燥呼気リムを出ることを許容し、ガスは乾燥呼気リムを出るとき第2温度および第2相対湿度を有する。乾燥呼気リムは、ガスの温度が乾燥呼気リムの長さに沿ってガスの露点温度より上に維持される構成可能である。いくつかの態様では、乾燥呼気リムは、乾燥呼気リムの長さに沿ったガスの温度とガスの露点温度との差がほぼ一定であるように構成される。
【0019】
いくつかの態様では、乾燥呼気リムはまた、壁の外側表面に断熱材料を含む。さらなる態様では、断熱材料は、ガスの温度を露点温度より約0.9℃~1℃高くなるように制御するべく構成される。別の態様では断熱材料の量は呼気リムの長さに沿って実質的に一定である。別の態様では、断熱材料の量は呼気リムの長さに沿って変わる。
【0020】
いくつかの態様では、第1端部から、第1端部から約300mmの距離までの温度低減率は、約0.01℃/mm以下である。
【0021】
いくつかの態様では、乾燥呼気リムはさらに、乾燥呼気リム内のガスに熱を提供するために電力を選択的に受け取るように構成された加熱ワイヤを含む。さらなる態様では、加熱ワイヤは、ガスの温度を、露点温度より約0.9℃~1℃高くなるように制御するべく構成される。別の態様では、乾燥呼気リムはさらに、ガスの温度低減率を制御するように構成された第2加熱器を含む。別の態様では、加熱器ワイヤは、呼気リムの長さに沿って可変ピッチ間隔を有する。さらなる態様では、ピッチ間隔は第1端部からの距離とともに増大する。別の態様では、加熱ワイヤは少なくとも2つのセクションを含み、2つのセクションは制御回路を用いて独立して制御されるように構成される。
【0022】
いくつかの態様では、乾燥呼気リムの滞留時間は、通気性を改善するように構成される。さらなる態様では、乾燥呼気リムの滞留時間は、通気性を改善するために減少される。
【0023】
いくつかの態様では、ガスの絶対湿度のプロファイルは、ガスの露点温度のプロファイルと実質的に平行である。
【0024】
いくつかの態様では、乾燥呼気リムは、壁の第1端部で、および壁の第2端部でレインアウトを実質的に排除するように構成される。
【0025】
いくつかの実施形態は、呼吸回路の乾燥呼気リムを提供し、乾燥呼気リムは、呼気リムの長さによって分離された第1端部および第2端部を有する壁を含み、壁は内部に空間を画定し、前記壁の少なくとも一部は、水蒸気の透過を許容するが液体の水の透過を実質的に防止するように構成された通気性材料を含む。乾燥呼気リムは壁の第1端部に第1開口を含み、第1開口は第1温度および第1相対湿度のガスを受け入れるように構成される。乾燥呼気リムは壁の第2端部に第2開口を含み、第2開口はガスが乾燥呼気リムを出ることを許容し、ガスは乾燥呼気リムを出るとき第2温度および第2相対湿度を有する。乾燥呼気リムは、第1相対湿度と第2相対湿度がほぼ約90%~約99%の間であるように構成される。
【0026】
いくつかの態様では、ガスの第1相対湿度またはガスの第2相対湿度あるいは両方は、少なくとも約95%である。いくつかの態様では、ガスの第1相対湿度またはガスの第2相対湿度あるいは両方は、少なくとも約99%である。いくつかの態様では、呼気リムの長さに沿った温度の低減は、呼気リムの長さに沿ったガスの相対湿度を目標相対湿度範囲に維持する乾燥率に従って制御される。さらなる態様では、目標相対湿度範囲は、約90%~約99%の間である。
【0027】
いくつかの実施形態は、呼吸回路の乾燥呼気リムを提供し、乾燥呼気リムは、呼気リムの長さによって分離された第1端部および第2端部を有する壁を含み、壁は内部に空間を画定し、前記壁の少なくとも一部は、水蒸気の透過を許容するが液体の水の透過を実質的に防止するように構成された通気性材料を含む。乾燥呼気リムは壁の第1端部に第1開口を含み、第1開口は第1温度および第1相対湿度のガスを受け入れるように構成される。乾燥呼気リムは壁の第2端部に第2開口を含み、第2開口はガスが乾燥呼気リムを出ることを許容し、ガスは乾燥呼気リムを出るとき第2温度および第2相対湿度を有する。乾燥呼気リムは、ガスの温度が乾燥呼気リムの長さに沿ってガスの露点温度のほぼ上に維持されるように、およびガスの相対湿度がほぼ約90%~約99%の間に維持されるように構成される。
【0028】
いくつかの態様では、乾燥呼気リムは、ガスの温度が乾燥呼気リムの長さに沿ってガスの露点温度より約1℃上に維持されるように構成される。
【0029】
いくつかの実施形態は、呼吸回路の乾燥呼気リムを提供し、乾燥呼気リムは、呼気リムの長さによって分離された第1端部および第2端部を有する壁を含み、壁は内部に空間を画定し、前記壁の少なくとも一部は、水蒸気の透過を許容するが液体の水の透過を実質的に防止するように構成された通気性材料を含む。乾燥呼気リムは壁の第1端部に第1開口を含み、第1開口は第1温度および第1相対湿度のガスを受け入れるように構成される。乾燥呼気リムは壁の第2端部に第2開口を含み、第2開口はガスが乾燥呼気リムを出ることを許容し、ガスは乾燥呼気リムを出るとき第2温度および第2相対湿度を有する。乾燥呼気リムは、ガスの温度が乾燥呼気リムの長さに沿ってガスの露点温度より約1℃上に維持されるように構成される。
【0030】
いくつかの実施形態は、加湿ガスを患者へまたは患者から送出するために複数ルーメン設計を有するリムを提供する。そのようなリムは特に加湿ガスを患者から送出し乾燥するのに有用である。リムは複数ルーメン構造を含み、各ルーメンは第1端部および第2端部と、壁によって画定されたルーメン内の空間とを有し、前記壁の少なくとも一部は、水蒸気の透過を許容するが液体の水の透過を実質的に防止するように構成された通気性材料を含む。リムは、リムに沿った透過のために入口温度および入口相対湿度のガスを受けるように構成されたガス入口ポートを含む。リムは、ガスがリムから出ることを許容するように構成されたガス出口ポートを含み、ガスはリムを出るとき出口温度および出口相対湿度を有する。リムは、同様のサイズおよび同様の材料の単一ルーメンを含む呼気リムと比較して、ガスがリムを通過するときガスの乾燥を高めるように構成可能である。リムは、リムの長さに沿ったガスの温度とガスの露点温度との差がほぼ一定であるように構成可能である。
【0031】
いくつかの態様では、複数ルーメン構造は、複数の導管を含む。さらなる態様では、複数の導管は、一定の体積流量においてガスの滞留時間を延ばすように構成される。
【0032】
いくつかの態様では、リムはさらに、呼気リムを通過するガスに熱を提供する構成された加熱ワイヤを含む。いくつかの態様では、加熱ワイヤは、出口ポートに近いガスよりもリムの入口ポートに近いガスにより多くの熱量を送出するように構成される。
【0033】
いくつかの実施形態は、医療回路において患者へまたは患者から加湿ガスを送出するために複数ルーメン設計を有するリムを提供する。上で考察されたように、そのようなリムは特に患者から加湿ガスを送出し乾燥するのに有用である。リムは複数ルーメン構造を含み、各ルーメンは第1端部および第2端部と、壁によって画定されたルーメン内の空間とを有し、前記壁の少なくとも一部は、水蒸気の透過を許容するが液体の水の透過を実質的に防止するように構成された通気性材料を含む。リムは、リムに沿った透過のために入口温度および入口相対湿度でガスを受けるように構成されたガス入口ポートを含む。リムは、ガスがリムから出ることを許容するように構成されたガス出口ポートを含み、ガスはリムを出るとき出口温度および出口相対湿度を有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、リムは、同様のサイズおよび同様の材料の単一ルーメンを含む呼気リムと比較して、ガスがリムを通過するときガスの乾燥を高めるように構成される。リムは、第1相対湿度および第2相対湿度がほぼ等しく、リムに沿ったあらゆる地点でのガスの相対湿度が第1相対湿度とほぼ等しいように構成可能である。
【0035】
いくつかの実施形態は、医療回路用のリムを提供し、リムは複数ルーメン構造を含み、各ルーメンは第1端部および第2端部と、壁によって画定されたルーメン内の空間とを有し、前記壁の少なくとも一部は、水蒸気の透過を許容するが液体の水の透過を実質的に防止するように構成された通気性材料を含む。リムは、呼気リムに沿った透過のために入口温度および入口相対湿度でガスを受けるように構成されたガス入口ポートを含む。リムは、ガスが呼気リムから出ることを許容するように構成されたガス出口ポートを含み、ガスは呼気リムを出るとき出口温度および出口相対湿度を有する。複数ルーメン設計は、同様のサイズおよび同様の材料の単一ルーメンを含む呼気リムと比較して、ガスが呼気リムを通過するときガスの乾燥を高めるように構成可能である。リムは、リムの長さに沿ってガスの温度がガスの露点温度より上に維持されるように構成可能である。
【0036】
いくつかの態様では、複数ルーメン構造は複数の導管を含む。さらなる態様では、複数の導管は、各ルーメンの流量を低減するように構成される。
【0037】
いくつかの態様では、リムはさらに、呼気リムを通過するガスに熱を提供する構成された加熱ワイヤを含む。さらなる態様では、加熱ワイヤは、出口ポートに近いガスよりも呼気リムの入口ポートに近いガスにより多くの熱量を送出するように構成される。
【0038】
いくつかの態様では、ルーメンの数は5以下である。さらなる態様では、ルーメンの数は3に等しい。
【0039】
いくつかの実施形態は、医療回路用のリムを提供し、リムは複数ルーメン構造を含み、各ルーメンは第1端部および第2端部と、壁によって画定されたルーメン内の空間とを有し、前記壁の少なくとも一部は、水蒸気の透過を許容するが液体の水の透過を実質的に防止するように構成された通気性材料を含む。リムは、呼気リムに沿った透過のために入口温度および入口相対湿度でガスを受けるように構成されたガス入口ポートを含む。リムは、ガスが呼気リムから出ることを許容するように構成されたガス出口ポートを含み、ガスは呼気リムを出るとき出口温度および出口相対湿度を有する。複数ルーメン設計は、同様のサイズおよび同様の材料の単一ルーメンを含む呼気リムと比較して、ガスが呼気リムを通過するときガスの乾燥を高めるように構成可能である。リムは、第1相対湿度および第2相対湿度がほぼ約90%~約99%の間であるように構成される。いくつかの態様では、ルーメンの数は5以下である。
【0040】
いくつかの実施形態は、呼吸回路で使用するためのリムを提供し、リムは6未満のルーメンを含む複数ルーメン構造を含み、各ルーメンは第1端部および第2端部と、壁によって画定されたルーメン内の空間とを有し、前記壁の少なくとも一部は、水蒸気の透過を許容するが液体の水の透過を実質的に防止するように構成された通気性材料を含む。リムは、呼気リムに沿った透過のために入口温度および入口相対湿度のガスを受けるように構成されたガス入口ポートを含む。リムは、ガスが呼気リムから出ることを許容するように構成されたガス出口ポートを含み、ガスは呼気リムを出るとき出口温度および出口相対湿度を有する。複数ルーメン設計は、同様のサイズおよび同様の材料の単一ルーメンを含む呼気リムと比較して、ガスが呼気リムを通過するときガスの乾燥を高めるように構成される。
【0041】
少なくとも1つの実施形態では、医療回路で使用するのに適したリムが提供され、リムは、第1温度および第1相対湿度のガスを受けるように構成された第1開口と、ガスがリムから出ることを許容するように構成された第2開口であって、ガスが第2温度および第2相対湿度を有する第2開口と、複数の導管とを含み、導管はそれぞれ、第1開口に近い第1端部と、第2開口に近い第2端部と、端部および第2端部の間に延在しかつルーメンを内部に画定する壁とを含み、ルーメンを通って、使用時、ガスが第1端部から第2端部に向かう方向に流れ、前記壁の少なくとも一部は、水蒸気の透過を許容するが液体の水の透過を実質的に防止するように構成された通気性材料を含む。
【0042】
様々な実施形態において、前述のリムは、以下の特性、ならびに本開示の他の場所に記載された特性の1つ、いくつか、または全てを有する。通気性材料は発泡材料であることができる。材料は実質的に均一の厚さを有することができる。リムは3つの導管を含むことができる。複数の導管は波形であることができる。発泡材料の空隙率は40%を超えることができる。リムの空気圧コンプライアンス(pneumatic compliance)は10mL/kPa/m未満であることができる。発泡材料の空隙率は約45%であることができる。リムの空気圧コンプライアンスは3mL/kPa/m未満であることができる。複数の導管は第1開口と第2開口の間で撚り合せられるか編組みされることができる。リムはさらに、複数の導管を一緒に保持するように構成された1つまたは複数の固定機構を含むことができる。各固定機構は複数の出張り部を含むことができ、および導管のそれぞれは出張り部の1つを通過することができる。各固定機構は、複数のリングを含む三つ葉形器具であることができ、導管のそれぞれはリングの1つを通過することができる。リムはさらにコネクタを含み、コネクタは第1開口または第2開口を画定するアパーチャを含む単一部分と、複数の導管の1つと接続するようにそれぞれ構成された複数の通路を構成する多部構成部分と、複数の通路の間で多部構成部分に取り付けられるかそれに形成された基部を含む内側オジーブ(ogive)とを含み、オジーブは単一部分の方向に延在し、ガスの流れを多部構成部分から単一部分へ、または単一部分から多部構成部分へ方向付けるように構成される。リムはさらに、リムを通過するガスに熱を提供するように構成された少なくとも1つの加熱ワイヤを含むことができる。導管の少なくとも1つの壁は、ルーメンを通過するガスに熱を提供するように構成された加熱ワイヤを取り囲むか埋め込むことができる。導管の少なくとも1つのルーメンは、ルーメンを通過するガスに熱を提供するように構成された加熱ワイヤを包み込むことができる。リムは呼気リムであることができ、および第1開口は患者インターフェースからガスを受けるように構成可能である。
【0043】
少なくとも1つの実施形態において、医療回路のリムと使用するのに適した装置は、患者インターフェースまたは加湿装置に接続するように構成されたアパーチャを含む単一部分と、複数の導管の1つと接続するようにそれぞれ構成された複数の通路を含む多部構成部分と、複数の通路の間で多部構成部分に取り付けられるかそれに形成された基部を含む内側オジーブとを含み、オジーブは単一部分の方向に延在し、ガスの流れを多部構成部分から単一部分へ、または単一部分から多部構成部分へ方向付けるように構成される。
【0044】
様々な実施形態において、前述の装置は、以下の特性、ならびに本開示の他の場所に記載された特性の1つ、いくつか、または全てを有する。多部構成部分は3つの通路を含むことができる。
【0045】
少なくとも1つの実施形態において、医療回路で使用するのに適したリムは、第1温度および第1相対湿度のガスを受けるように構成された第1開口と、ガスがリムから出ることを許容するように構成された第2開口であって、ガスが第2温度および第2相対湿度を有する第2開口と、リム内の第1開口および第2開口の間のガス流の滞留時間を延ばすための手段とを含む。
【0046】
様々な実施形態において、前述のリムは、以下の特性、ならびに本開示の他の場所に記載された特性の1つ、いくつか、または全てを有する。滞留時間延長手段は、第1開口および第2開口の間に複数の導管を含むことができ、導管のそれぞれは、第1開口および第2開口の間に延在しかつ内部にルーメンを画定する壁を含み、ルーメンを通って、使用時、ガスが第1開口から第2開口に向かう方向に流れる。壁の少なくとも一部は、水蒸気の透過を許容するが液体の水の透過を実質的に防止するように構成された通気性発泡材料を含むことができる。
【0047】
これらおよび他の実施形態を以下でより詳細に記載する。
【0048】
図面を通して参照番号は参照要素間の全体的な一致を示すために再使用される場合がある。図面は本明細書に記載される例示的実施形態を示すために提供され、本開示の範囲を制限するつもりはない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】使用者に加湿ガスを送出するための例示的呼吸システムを示し、呼吸加湿システムは、乾燥呼気リムを含む呼吸回路を有し、乾燥呼気リムはその長さに沿った距離の関数として直線状温度プロファイルを有するように構成される。
【
図2】呼気リムに沿った位置の関数としてガスの温度のプロットを示す。
【
図3】リムに沿ってガスの温度を制御するために可変断熱材を有する乾燥呼気リムを示す。
【
図4】リムの始点でおよびリムの終点で温度低下を制御するために通気性断熱材を含む2つのセクションを有する乾燥呼気リムを示す。
【
図5】異なるセクションで異なるピッチ間隔を有する複数加熱ワイヤを有する乾燥呼気リムを示す。
【
図6】異なるセクションで異なるピッチ間隔を有するコイル状加熱ワイヤを有する乾燥呼気リムを示す。
【
図7】ワイヤ内に可変ピッチ間隔の領域を有する直線状加熱ワイヤを有する乾燥呼気リムを示す。
【
図8】複数のセクションを有する乾燥呼気リムを示し、ここでシステムは加熱ワイヤの異なるセクションを独立して制御するように構成される。
【
図9】乾燥呼気リムの前端部で温度低下を制御するために患者端部でそれ自体の上に折り戻された加熱ワイヤを有する乾燥呼気リムを示す。
【
図10】可変断熱材層を、可変ピッチを有する加熱ワイヤと組み合わせた乾燥呼気リムを示す。
【
図11A】乾燥呼気リム用の様々な複数ルーメン構造を示す。
【
図11B】乾燥呼気リム用の様々な複数ルーメン構造を示す。
【
図11C】異なる断面形状を用いて表面面積を増大するように構成された乾燥呼気リムを示す。
【
図11D】異なる断面形状を用いて表面面積を増大するように構成された乾燥呼気リムを示す。
【
図12】複数のルーメンおよび可変断熱材を組み合わせた乾燥呼気リムを示す。
【
図13】
図11Dに示される乾燥呼気リムに類似する断面と、その長さに沿って可変ピッチ間隔を有する加熱ワイヤとを有する乾燥呼気リムを示す。
【
図14】各ルーメン内の加熱ワイヤと組み合わせた複数ルーメン設計を有する乾燥呼気リムを示す。
【
図15】医療回路内で加湿ガスを搬送するためのリムの様々な複数ルーメン構造を示す。
【
図16】複数ルーメンリムとともに使用するための固定機構を示す。
【
図17A】複数ルーメンリムの1つまたは両方の端部で使用するためのコネクタを示す。
【
図17B】複数ルーメンリムの1つまたは両方の端部で使用するためのコネクタを示す。
【
図17C】複数ルーメンリムの1つまたは両方の端部で使用するためのコネクタを示す。
【
図17D】複数ルーメンリムの1つまたは両方の端部で使用するためのコネクタを示す。
【
図17E】複数ルーメンリムで使用中のコネクタを示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
医療回路内で加湿ガスを搬送するためのリムの特定の実施形態および例が本明細書に開示される。当業者は、本開示内容が、具体的に開示された実施形態および/または使用、およびその明白な修正例および等価物を超えるまでに及ぶことを認識する。従って、本開示の範囲は本明細書に記載されたいかなる特定の実施形態にも限定されないことが意図される。
【0051】
医療回路で使用するための通気性リムを提供することが望ましい。本明細書において通気性リムは、水蒸気に対する認識可能な透湿性および液体の水およびバルクガス流に対する実質的に不透湿性を意味するように用いられる。通気性はレインアウトを低減または防止するのに望ましい。「レインアウト(Rain out)」、または凝結は、リム内の高湿ガスが低温のリムの壁と接触するとき問題になり得る。しかしながら、レインアウトは、リム内の温度プロファイルだけでなくガス流量、構成要素の形状、および構成要素を形成するために使用される材料の固有の通気性も含む多数の要因に依存する。一般的に通気性リムは、リム内の高湿ガスに由来する水が低湿環境へ通過することを許容し、リム内のレインアウトの潜在性を改良するので望ましい可能性がある。反対に、およびその用途に依存して、通気性はまた、高湿環境に由来する水が通過し、それによりリム内のガス流を加湿することを許容することが望ましい場合がある。
【0052】
さらに、リムを通過するガスの温度および/または相対湿度を制御することが同じく有利である場合がある。温度および/または相対湿度の制御は、下流/上流装置またはインターフェース内の凝結、リム内のレインアウト、ガスの乾燥を高めること、またはそれらのいずれかの組合せを制限または防止する。
【0053】
医療回路内で加湿ガスを搬送するためのリムの説明が本明細書に提供され、リムは、水蒸気を通過するように、および液体の水の通過を実質的に防止するように構成された通気性材料を含む。いかなる適切な通気性材料も使用できる。それにもかかわらず、特に適切な通気性材料が、2010年12月22日に出願された「Components for Medical Circuits,」と題するPCT公開物の国際公開第2011/077250号パンフレットに記載されており、この出願は参照することによって全体的に本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を成す。この公開物に記載されるように、通気性材料は、水蒸気の透過を許容するが液体の水の透過を実質的に防止するように構成された通気性発泡材料であることができる。通気性発泡材料は、ポリマーの混合物を含むことができる。通気性発泡材料は、ポリエーテル軟質セグメントを有する熱可塑性エラストマを含むことができる。通気性発泡材料は、ポリエーテル軟質セグメントを有するコポリエステル熱可塑性エラストマを含むことができる。通気性発泡材料はポリエーテル軟質セグメントを有する熱可塑性エラストマを含むことができる。
【0054】
少なくとも
図1を参照して以下でより詳細に考察されるように、呼気リムは医療回路内に含めることができる。本明細書で使用される際、呼気リムは、医療回路内で患者から加湿ガスを送るリムを意味するように広く定義される。呼気リムは呼吸アプリケーションで使用するための呼吸回路に適している。加熱されない呼気リムに関して、ガスがリムに沿ってベンチレータ、周囲環境、またはガス源に向かって移動するとき、ガスは、その乾燥率より高い率で冷却し得る。結果として、ガスの温度は、露点温度未満に低下する可能性があり、これは呼気リムの内側に凝結が形成することを引き起こす。加熱される呼気リムに関して、ガスは長過ぎる間高温に維持される場合がある。ガスが乾燥するので、ガスの相対湿度は(ガスの温度がリムの一部にわたり比較的一定であるとき)低下する可能性があり、これは、乾燥は相対湿度が約100%またはその近くのときにより効果的であるので、さらなる乾燥を損なう。ガスが十分に乾燥されない場合、温度がベンチレータ内で低下するとき、凝結がベンチレータ内で形成され得る。
【0055】
従って、呼気リムの長さに沿って乾燥を改良または最適化することが有利であり得、これはいくつかの実施形態において相対湿度を実質的に一定の値に維持することによって達成可能である。いくつかの実施形態では、改良または最適化された乾燥は、相対湿度が約90%~約99%、約95%~約99%、または約95%~約97%に維持される場合に生じ得る。呼気リムを出るガスの温度がベンチレータ、ガス源または周囲環境の温度またはその近くであるようにリムの長さに沿ってガスの温度を低減することも有利であり得る。
【0056】
これを実行する効果的な方法は、湿度および/または温度をリムの長さに沿って調整された方法で低下させることである。例えば、約0.01℃/mmを超えないように、または温度低下が約0℃/mm~約0.009℃/mmの間であるように、呼気リムの第1の部分を横切る温度低下率を調整することが有利であり得る。いくつかの実施形態では、温度低下率を、リムの開始地点から呼気リムの最初の約300mmまたは400mmまで、記載の範囲に制限することが有利であり得る。また、リムを横切る合計温度低下を約10℃以下および/または約3℃~10℃であるように制限することが有利であり得る。いくつかの実施形態では、リム内の乾燥は相対湿度によって制限される。いくつかの実施形態では、リムに沿って直線状またはほぼ直線状の温度低下を有することが望ましいかもしれない。
【0057】
従って、本明細書に記載される呼気リムは、リム内の環境を制御することにより、ベンチレータ内のレインアウトまたは凝結を低減または排除するという目的を達成するために構成される。例えば、約95%の相対湿度を有するガスに関して、呼気リムは、ガスの温度と露点温度との差が約1.5℃未満、約1℃未満、または約0.9℃~約1℃であるように温度プロファイルを調整するように構成可能である。リムの加熱または隔絶は、呼気リムまたはベンチレータ内で凝結がほとんどまたは全く生じないように、露点温度ラインと絶対湿度ラインとの間に横たわる温度範囲であり得る「非凝結ウィンドウ」内に温度を維持するように構成可能である。
【0058】
いくつかの実施形態では、凝結を低減する、レインアウトを低減する、および本明細書に記載される有利な特性を提供する例示的な温度プロファイルは、リムの開始地点から最初の約300または400mmまでの(例えば患者インターフェースからの)初期温度低下が、約0℃/mm~約0.01℃/mmである勾配を有することができる。いくつかの実施形態では、約3℃~約10℃の間の温度の合計低下を有する温度プロファイルが、本明細書に記載される利点の少なくともいくつかを提供し得る。
【0059】
次に呼気リムの実施形態を呼吸システムにおけるそれらの使用を参照して本明細書において記載する。しかしながら、本明細書に記載されるリムは、インキュベーションシステム、手術用加湿システム等など、第1環境から、異なる温度および/または湿度を有する第2環境までのガス流の滞留時間を延ばすことが望ましい様々な用途で使用可能であることが理解される。
【0060】
図1は、加湿ガスを使用者に送出するための例示的呼吸システム100を示し、加湿システム100は、吸気リム202と呼気リム210とを含む呼吸回路200を有する。示される呼吸加湿システム100は加圧ガス源102を含む。いくつかの実行では、加圧ガス源102は、送風機、ブロワ等を含む。いくつかの実行では、加圧ガス源102はベンチレータまたは他の陽圧生成装置を含む。加圧ガス源102は入口104および出口106を含む。
【0061】
加圧ガス源102は、流体(例えば酸素、麻酔ガス、空気等)の流れを加湿ユニット108に供給する。流体流は加圧ガス源102の出口106から加湿ユニット108の入口110へ流れる。示される構造では、加湿ユニット108は、加圧ガス源102と別個に示され、加湿ユニット108の入口110は加圧ガス源102の出口106と導管112によって接続されている。いくつかの実行では、加圧ガス源102および加湿ユニット108は単一ハウジングに一体化することができる。
【0062】
ガスは吸気リム202を通り、患者インターフェース115を介して患者101へ流れる。呼気リム210も同じく患者インターフェース115に接続される。呼気リム210は吐き出された加湿ガスを患者101から移動するように構成される。ここで、呼気リム210は吐き出された加湿ガスを患者インターフェース115からガス源102へ戻す。あるいは、吐き出された加湿ガスは直接周囲環境へまたは空気清浄器/フィルタ(不図示)などの他の付随装置へ直接送ることができる。いずれかの適切な患者インターフェース115を組み込むことができる。患者インターフェースは広義語であり、当業者に一般的かつ慣習的な意味合いを与えられ(すなわち、特別かつ特定の意味合いに限定されない)、および限定せずにマスク(フェースマスクおよび鼻マスクなど)、カニューレ、およびネーザルピロー(nasal pillow)を含む。患者インターフェースは通常、使用中に温かい湿潤通気ガスを受け入れるガス空間を画定する。
【0063】
本開示に記載される特定の特徴、態様および利点を有する他の種類の加湿ユニットを使用できる一方で、示される加湿ユニット108は、通過型(pass-over)加湿器であり、加湿チャンバ114と、加湿チャンバ114への入口110を含む。いくつかの実行では、加湿チャンバ114は本体116を含み、それに基部118が取り付けられる。隔室を加湿チャンバ116内に画定可能である。隔室は液体質量を保持するように適合され、液体は基部118を介して導入または提供される熱によって加熱可能である。いくつかの実行では、基部118は加熱プレート120と接触するように適合される。加熱プレート120は、液体に伝導される熱を変えることができるように、制御器122または他の適切な構成要素を介して制御可能である。
【0064】
加湿ユニット108の制御器122は、呼吸加湿システム100の様々な実施形態の動作を制御することができる。示されるようなシステムは単一の制御器122を使用するが、多数の制御器を他の構成において使用することができる。多数の制御器は別個の機能を伝送可能または提供可能であり、従って、制御器は連通する必要がない。いくつかの実行では、制御器122は、コンピュータプログラムのソフトウェアコードを含有する関連メモリまたは記憶装置を有するマイクロプロセッサ、プロセッサ、または論理回路を含み得る。そのような実行では、制御器122は、コンピュータプログラムに含まれるものなどの命令に従い、およびまた内部または外部入力に応答して、呼吸加湿システム100の動作を制御可能である。
【0065】
加湿チャンバ114の本体116は、入口110を画定するポート124と、加湿チャンバ114の出口128を画定するポート126とを含む。加湿チャンバ114に含有される液体が加熱されるとき、入口ポート124を通って加湿チャンバ114に導入されるガスと水蒸気が混合される。ガスと蒸気の混合物は出口ポート126を通って加湿チャンバ114から出る。
【0066】
加湿システム100は呼吸回路200を含み、呼吸回路200は加湿ユニット108の出口ポート126を画定する出口128に接続される吸気リム202を含む。吸気リム202は、加湿チャンバ114を出るガスと水蒸気の混合物を使用者に運ぶ。吸気リム202は、吸気リム202に沿って配置された加熱要素206を含むことができ、加熱要素206は、吸気リム202に沿って凝結を低減するように、使用者に到達するガスの温度を制御するように、またはその両方を実行するように構成される。加熱要素206は、吸気リム202によって運ばれるガスと水蒸気の混合物の温度を上昇または維持することができる。いくつかの実行では、加熱要素206は、抵抗加熱器を確定するワイヤであることができる。加湿チャンバ114から離れるガスと水蒸気の混合物の温度を上昇または維持することによって、水蒸気は混合物から凝結しにくくなる。
【0067】
呼気リム
加湿システム100は、呼気されたガスを使用者から運び出し、ガス源102へ送出するように構成された呼気リム210を含む。呼気リム210は、呼気されたまたは吐き出されたガスを受けるための患者端部の第1端部と、ガス源102の第2端部とを有する壁を含むことができ、2つの端部は呼気リムの長さによって分離される。壁はガスが移動するための空間を画成可能であり(例えば1つまたは複数のルーメン)、および壁の少なくとも一部は通気性材料を含むことができる。
【0068】
ガスが呼気リム210に沿って急に冷却しすぎる場合、水蒸気は通気層を十分に速く通過できないので、ガスは過飽和状態になり得る。これは、少なくとも部分的に、呼気リム210の患者端部の近くにレインアウトを引き起こし得る。ガスがゆっくり冷却し過ぎる場合、レインアウトは呼気リム210の第2端部の近くで形成し得、そこで比較的暖かいガスがガス源102または周囲環境でより冷たい空気と接触する。呼気リム中のレインアウトを低減または防止するために、ガスまたは呼気リム210の特性を制御することができる。例えば、ガスの温度プロファイルおよび呼気リム210の他の変数を制御することによって、呼気リム210の通気性を改良することができる。いくつかの実行では、呼気リム210の通気性は、呼気リム210を通る通過時間を延ばすことによって向上可能であり、これは、いくつかの実施形態では、流量を低減することによって、または呼気リム210を通る通路の長さを延ばすことによって達成可能である。呼気リムを通る通過時間を延ばすことは、いくつかの実行では、呼気壁を通過するガスの熱損失を増大する。これが急速に発生した場合、上記のように、レインアウトが発生し得る。いくつかの実施形態では、呼気リム210に沿って実質的に直線的な温度プロファイルを提供することおよび/または呼気リム210を通る通過時間を延ばすことは、呼気壁の通気性を約40%~約70%以上向上することができる。従って、いくつかの実施形態では、呼気リム210は、ガスの温度が呼気リム210の長さにわたって直線状に低下するように、実質的に直線状の温度プロファイルを有するように肯定可能である。関連して、いくつかの実施形態では、呼気リム210は、呼気リム210の長さにわたってガス温度とその露点温度との差を実質的に一定に維持するように構成可能である。同様に、いくつかの実施形態では、呼気リム210は、ガスの相対湿度を、呼気リム210の長さにわたり約95%~約99%の間に維持するように構成可能である。
【0069】
いくつかの実施形態では、呼気リム210は、呼気リム内の温度プロファイルを制御するように構成された絶縁部を含む。いくつかの実施形態では、呼気リム210は、呼気リム210に沿って配置された関連加熱要素212を含み、加熱要素212は呼気リム202に沿って実質的に直線状の温度低下を維持するように、ガスの相対湿度を制御するように、ガスの温度をその露点温度に対し制御するように、またはそれらのいずれかの組合せを実行するように構成される。
【0070】
加熱要素212は加湿システム100の制御器122によってまたは他の手段によって選択的に制御可能である。制御器122は、加熱要素210を制御するように、フィードバックをシステムのセンサから受け取るように、加熱要素212への電力を制御するロジックを提供するように、センサからの温度の読取り値に応答して加熱要素212の制御を調整するように、などを実行するように構成可能である。いくつかの実施形態では、制御器122は、電力を加熱要素212に送出するように構成された電源を含む。制御器122は、例えば、可変電力、可変電流、可変電圧またはこれらのいずれかの組合せを加熱要素212に送出することによって、加熱要素212によって送出される熱量を制御することができる。制御器122は、加熱要素212を制御するためにパルス幅変調を実行可能である。制御器122は、所望の温度が呼気リム210内で到達されるまで実質的に一定の電力を適用することができる。いくつかの実施形態では、呼気リム210は、例えば温度、相対湿度、絶対湿度、またはこれらのいずれかの組合せを含み得る呼気リム210内のガスの特性に関する情報を、制御器または使用者に提供するように構成された1つまたは複数のセンサを含み、この情報は呼気リム210に沿った1つまたは複数の地点で提供されることができる。いくつかの実行では、加熱要素206は抵抗性加熱器を確定するワイヤであり得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、呼気リム210は、加熱要素212と組み合わせた絶縁部を含むことができる。いくつかの実施形態では、加熱要素210は、呼気リム210の異なる部分が異なる熱量を受けるように領域加熱能力を提供するように構成可能である。これは例えば、多数の加熱ワイヤ、または異なる巻き密度またはピッチ間隔を異なる地点で有する1本のワイヤを使用することによって達成可能である。
【0072】
調整された温度プロファイルを有する例示的呼気リム
図2は、呼気リムに沿った位置の関数としてのガスの温度のプロットを示す。「対照」として記載されかつ破線で示される2本のプロットは、通気性材料を使用してガスを乾燥するように構成された呼気リムを示す。「改良された乾燥」と記載されかつ実線で示された4本のプロットは、本発明に記載された実施形態を使用したときの結果を示す。それらは呼気リムを通過するガスの改良または最適化された乾燥を示す。「凝結」として記載されかつ点線で示された6本のプロットは、リム内でまたはベンチレータでレインアウトまたは凝結を経験する温度プロファイルを有する呼気リムを示す。これらの呼気リムは、約0.009度/mmまたは約0.01℃/mmを超える、呼気リムの始点から約300mmまたは400mmまでの温度低下率を経験する、および/またはそこでの合計温度低下が約10℃を超えるか約3℃~約10℃の間である。
【0073】
表1は、
図2の2本の「対照」プロットおよび4本の「改良された乾燥」プロットの温度プロファイルの絶対湿度および露点温度に関する情報を記載する。表は、流出ガスの、入力絶対湿度(「AH In」)および出力絶対湿度(「AH Out」)および露点温度(「DPT」)を記載する。
【0074】
【0075】
例示的呼気リム
呼気リムの例示的な構成を次に記載する。本明細書に記載され且つ図面に示される様々な実施形態は、ベンチレータ内の凝結を低減するおよび/または呼気リム内のレインアウトを低減するという記載の目標を達成する様々な実行の例であることが意図される。本明細書に提供された例の範囲から逸脱しない多数の異なる変形および置換が可能である。従って、以下の例は本開示内容の範囲を制限するものとして解釈すべきでなく、また本開示内容の範囲はこれら列挙された例を超えて拡大することが理解される。
【0076】
概して、例示的な呼気リムの設計は、呼気リムから周囲環境または外部大気へのエネルギーの放出が呼気リムの入口で急過ぎる温度低下を引き起こす可能性があり、これがリムのこの部分に凝結を引き起こし得る状況に対処するように構成可能である。この状況は外部温度が比較的低いとき、流量が比較的低いときおよび/または外部相対湿度が比較的高いとき(呼気リムの透過性を低減し得る要素)に共通であり得る。そのような状況下において、温度変化率を低減することが有利であり得る。
【0077】
関連して、呼気リムの通気性を制限または低減する状況が存在する場合、(例えばベンチレータまたはガス源に入りつつあるとき)リムの出口の凝結を制限するために比較的高い出口温度を有することが有利であり得る。例えば、外部相対湿度が比較的高い場合、または流量が比較的高い場合、呼気リムの通気性は低減され得る。
【0078】
従って、凝結を引き起こし得る幅広い状況に対処するように構成可能である例示的な呼気リムが本明細書に含められ且つ記載される。これらの設計は、1つの状況に対処することがもう1つの状況に対処することよりも望ましい場合、または特定の問題に関連する有効性を向上または改善することがより望ましい場合、修正可能である。本明細書に示される呼気リムは、外部温度が比較的低い、流量が比較的低い、または外部相対湿度が比較的高い状況に対処するように構成可能である。
【0079】
図3は、リムに沿ってガスの温度を制御するために可変断熱材214を有する呼気リム210を示す。1つの導管が、異なる断熱値を有するいくつかの異なるセクションを有する。断熱値は、断熱材料214の異なるサイズとして
図3に示される。しかしながら、断熱要素214の物理的なサイズは長さに沿って低減する必要はなく、サイズは長さに沿って実質的に同一であることができる。断熱要素214の効果を高めるために、断熱材料214の厚さを増大可能であり、断熱材料214の密度を増大可能であり、異なる材料を使用することなどが可能である。断熱値は、ある範囲の温度状況、相対湿度および/または流量にわたって比較的直線状またはわずかに凹状の温度プロファイルを提供するように構成可能である。いくつかの実施形態では、リムに沿った断熱セクションは分離せず、実質的に連続的であることができ、または、それは、実質的に連続して変化する断熱セクションを、別個の断熱値の変化を提供するセクションと組み合わせるように構成可能である。断熱セクションの数は例えば2、3、4、5、6、7、8、10、15、20、50またはそれ以上を含むいずれかの適切な数であることができる。
【0080】
図4は、リムの始点およびリムの終点での温度低下を制御するために通気性断熱材214を含む2つのセクションを有する呼気リム210を示す。この構成は、ガスが比較的急な冷却を経験する傾向のある場所で断熱材料214が使用されるので有利である。断熱値、断熱の範囲、および断熱材214の配置は、本明細書に記載される有利性を提供するように構成可能である。さらなる断熱セクションを同様に含めてもよい。
【0081】
図5は、異なるセクションで異なるピッチ間隔を有する多数の加熱ワイヤ212、または可変ピッチ間隔を有する1つの加熱ワイヤ212または両方の組合せを有する呼気リム210を示す。これは能動的な温度制御機構を示す。従って、加熱ワイヤ212は、
図1を参照して本明細書に記載されるように、制御器122に結合可能であり、付随制御機構がそこに記載されている。同様に、
図4~9に示される加熱ワイヤは加熱ワイヤを使用して制御可能である。
【0082】
加熱ワイヤ212は管の外側にあるように構成可能であり、またリムに沿って異なる間隔を有することができる。患者端部の近くで、間隔は比較的相互に狭くなることができ、結果、リム出口の近くで適用される熱と比較してより多くの熱を生成または適用する。いくつかの実施形態では、ほぼ直線状の温度プロファイルを得るために、異なる巻き密度を有する異なる領域が存在することができる。いくつかの実施形態では、異なる間隔を有するセクションの数は、2、3、4、5、6、7、8、10、15、20、25、50またはそれ以上であることができ、または巻きの間隔は患者端部からの距離とともに実質的に滑らかに大きくなることができる。いくつかの実施形態では、加熱ワイヤ212は、集合的におよび/または独立的に制御可能な多数の別個の加熱要素を含む。
【0083】
図6は、異なるセクションで異なるピッチ間隔を有するコイル状加熱ワイヤ212を有する呼気リム210を示す。加熱ワイヤ212はリムの中に配置可能である。巻き構成は
図5を参照して本明細書に記載された構成と類似し得る。いくつかの実施形態では、加熱ワイヤ212は集合的におよび/または独立的に制御可能な多数の別個の加熱要素を含む。
【0084】
図7は、ワイヤ内に可変ピッチ間隔の領域を有する直線状加熱ワイヤを有する呼気リム210を示す。ピッチ間隔は
図5および6を参照して本明細書に記載された巻き密度および間隔に類似して構成可能である。いくつかの実施形態では、加熱ワイヤ212は集合的におよび/または独立的に制御可能な多数の別個の加熱要素を含む。
【0085】
図8は多数の加熱セクションを有する呼気リム210を示し、ここでシステムは加熱ワイヤ212の異なるセクションを独立して制御するように構成される。示されるように、加熱器は、コネクタ216aおよび216bを介して、制御器122によって選択的に制御可能なセクションに分割される。付随コネクタとともにより多くのセクションが存在可能であり、ここでの記載は2つのコネクタを有する3つのセクションに制限される。
【0086】
コネクタ216aおよび216bは第1および第2加熱器セグメントを結合し、制御器が呼気リム210の異なるセクションに選択的に熱を適用することを可能にする。コネクタ216a、216bは、制御器122を使用した加熱ワイヤ212の制御を可能にするために、セグメント内で加熱ワイヤ212を電気的に結合するように構成可能である。コネクタ216a、216bは、制御器122がそれらそれぞれの出力を獲得することを可能にするために温度センサ(不図示)を電気的に接続するように構成可能である。コネクタ216a、216bは、加熱ワイヤ212の選択的制御を可能にする電気構成要素を含むことができる。例えば、コネクタ216a、216bは、第1動作モードにおいて第1セクションの加熱ワイヤ212を介して、および第2動作モードにおいて第1および第2セクションの両方の加熱ワイヤ212を介して電力を方向付ける電気構成要素を含むことができる。コネクタ216a、216bに含まれる電気構成要素は、例えばおよび限定せずに、抵抗器、ダイオード、トランジスタ、継電器、整流器、スイッチ、コンデンサ、インダクタ、集積回路、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ等を含むことができる。いくつかの実施形態では、コネクタ216a、216bは、それが外部要素から実質的に保護されるよう呼気リム210の内側にあるように構成可能である。いくつかの実施形態では、コネクタ216a、216b上の電気構成要素のいくつかは、湿気への露出に起因し得る損傷を低減または防止するように呼気リム210内で加湿ガスから物理的に隔絶されるように構成可能である。いくつかの実施形態では、コネクタ216a、216bは、コストを低減するためにおよび/または信頼性を高めるために、比較的安価な受動的電気構成要素を含むことができる。
【0087】
図9は、呼気リム210の前端部で温度低下を制御するために患者端部でそれ自体に対し折り戻された加熱ワイヤ212を有する呼気リム210を示す。折り曲げの範囲は、リム210の患者端部近くで所望のまたは有利な温度プロファイルを提供するように構成可能である。例えば、患者入口での凝結を低減するために初期温度低下を制限することが有利であり得る。この場所で追加の熱を提供することは入口近くでのレインアウトを低減または防止し得るためである。
【0088】
図10は、可変断熱材層214を、可変ピッチを有する加熱ワイヤ212と組み合わせた呼気リム210を示す。この実施形態は
図3および
図6に由来する要素を組み合わせることに類似している。比較的一定の断熱値のセクションと比較的一定の巻き密度のセクションは一致しなくてもよい。断熱値および/または巻き密度間の移行は変えることができ、また、互いに独立することができる。この実施形態はまた、受動的および能動的制御手法が呼気リム210で利用できることを示す。
【0089】
非円筒状ルーメンおよび/または複数ルーメンを有するリム
図11~15は、非円筒状または複数ルーメン設計を採用するリムのいくつかの実施形態を示す。本明細書で使用される際、複数ルーメンリムは、1つより多いルーメンを有するリムを意味するように幅広く定義され、その結果、1つのルーメンを通って流れるガス流が、少なくとも1つの壁によって他のいずれかのルーメンを通って流れるガス流から分離される。複数ルーメンの非限定的な実施形態が、
図11A、11B、12、14および15に示されている。本明細書で使用される際、非円筒状リムは、円筒のように成形されてないルーメンを有するリムを意味するように幅広く定義される。非円筒状の設計の非限定的な実施形態が、
図11C、11Dおよび13に示されている。特定の実施形態はそのような要素の組合せを含むことができる。例えばリムは、1つまたは複数の非円筒状ルーメンを含む複数ルーメン設計を有することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、複数ルーメンリムは、一緒に撚られたまたは編組された複数の導管を含む。これは、各ルーメンのガス流が比較可能な単一ルーメンリムのガス流の3分の1であるので、ガスのリム内の低減された流れ体積を有利に提供し得る。より低い流れ体積は、ルーメンを囲む壁からの蒸発の機会を増大することができる。この構成はまた、ガスのリム内の延長された滞留時間を有利に提供する。各導管の長さが、少なくとも部分的に撚りまたは編組のためにより長い一方でリムの全体長さはより短い標準的市販長さであるためである。延長された滞留時間はルーメンを囲む壁からの蒸発の機会を増大するので、それは一定の質量流量においてリムの通気性を向上することができる。
【0091】
リムは呼気リム210を参照して以下に記載されているが、そのようなリムは、延長された滞留時間から恩恵を受け得る患者へまたは患者から加湿空気を搬送する様々な環境で使用するのに適していることを理解すべきである。
【0092】
図11A~11Bは様々な複数ルーメン構造を示す。複数ルーメンリム210は、様々な方法でおよび様々な形状的構造において結合された2つ以上の別個の導管211を含むことができる。いくつかの実施形態では、導管211は、導管壁を介した通気性の向上を可能にするために互いに物理的に分離される。いくつかの実施形態では、リム210は、
図11Bに示されるように、束ねられた導管211を囲む断熱材料214を含むことができる。いくつかの形状的構造が
図11Aおよび11Bに示されているが、他の構造も可能である。例えば
図11C~11Dは、多数の別個の導管を含まず、異なる断面形状を使用して滞留時間を延長するように構成されたリム210を示す。
図11Dは特に、規則的または不規則的な形状を含む多数の異なる断面形状が可能であることを示す。さらに、前述の複数ルーメン実施形態のいずれも、
図11Dに示されるように断熱材料214を含んでもよい。いくつかの実施形態では、導管211の形状はリムの長さに沿って変わることができる。例えば導管211は、患者端部の近くで概ね円形の形状を有し、これは長さに沿ったある地点で三角形に変わることができ、これはその後、星形または
図11Cまたは11Dの実施形態のいずれかと同様の形状に変わることができる。これはリムの長さにわたって表面面積を変えることができ、これは通気性に、従って温度プロファイルに影響を及ぼす。
【0093】
図12は、多数導管211および可変断熱材214を組み合わせたリム210を示す。このリム210は複数ルーメン設計に基づく受動的温度制御手法を示す。いくつかの実施形態では、複数ルーメン設計を使用することはリム210の通気性を向上することができる。断熱材料214を使用することは、通気性が向上する場合に増大し得る冷却率を低下することができる。断熱材料は、冷却を低減する一方で呼気リム210の通気性に悪影響を及ぼさないように構成可能である。
【0094】
複数ルーメンリムの別個の導管は、通気性材料から望ましくは形成される。少なくとも1つの実施形態において、複数ルーメンリム210の別個の導管は、PCT公開物の国際公開第2011/077250号パンフレットに記載されるようなおよび/またはEvaqua 2(商標)導管として商業的に製造されているような波形発泡材から形成される。別の適切な材料は、約14%の多孔度を有する通気性ポリエステル熱可塑性エラストマである。そのような材料は、Evaqua(商標)導管として商業的に製造されている。少なくとも1つの実施形態では、複数ルーメンリムの各導管は波形である。波形の導管は14.45mm(または約14.45mm)または15.15mm(または約15.15mm)の(波の頂点における)最大外径を有することができる。波形の導管は12.7mm(または約12.7mm)の(波の頂点における)最小外径を有することができる。波プロファイルのピリオド(頂点間の距離)は3.14mm(または約3.14mm)であることができる。波の振幅(頂点から谷底までの距離)は1.7525mm(または約1.7525mm)であることができる。壁厚は0.5mmおよび1.0mmの範囲(または約0.5mmおよび約1.0mmの範囲)、より具体的には0.6mmおよび0.9mm(または約0.6mmおよび約0.9mmの範囲)であることができる。例えば、波の頂点近くの壁厚は0.50mmおよび0.65mmの範囲(または約0.5mmおよび約0.65mmの範囲)であることができる。さらなる例として、波の谷底近くの壁厚は0.80mmおよび1.0mm(または約0.80mmおよび約1.0mm)の範囲であることができる。
【0095】
導管は所望なら補強リブを含むことができる。そのようなリブは、PCT公開物の国際公開第2011/077250号パンフレットの少なくとも
図7A、7B、8Aおよび8Bと併せて示され記載されている。そのようなリブはまた、Evaqua 2(商標)導管として商業的に製造されている。この公開物に記載されているように、これらのリブは発泡材を補強するために使用され、とりわけ、空気圧コンプライアンスを許容値(10mL/kPa/m未満)まで下げるために使用される。
【0096】
複数ルーメン構造は自己補強型であり得ることが理解され、これは、導管壁に配置される内側または外側リブなどの追加補強構造の必要性を低減または排除することができる。従って、リブは特定実施形態において排除することができる。
【0097】
通気性を改善できるので補強リブを排除することは望ましい可能性がある。PCT公開物の国際公開第2011/077250号パンフレットの
図7A、7B、8Aおよび8Bに示されるように、リブ部分の導管壁厚は、リブ間の導管壁厚より実質的に大きい。従ってリブはリブの全体作用(通気性)面積を低減する。本開示によるリブのない複数ルーメン構造は、Evaqua 2(商標)導管より15%(または約15%)多い作用面積を有することができる。
【0098】
表2は、3つの別個の導管を含む複数ルーメンリムの通気性を様々な単一ルーメンリムと比較する。導管/リムの全ては、PCT公開物の国際公開第2011/077250号パンフレットに記載されるものと同じ発泡材料から形成される。成人用Evaqua 2(商標)リムは補強リブを有し、発泡材料は0.35の空隙率を有する。複数ルーメンリムの別個の導管は補強リブを有さず、発泡材料は0.448の空隙率を有する。リムAは成人用Evaqua 2(商標)リムであり、そのガスストリームは加熱ケーブルで加熱されている。リムBおよびCは成人用Evaqua 2(商標)リムであり、そのガスストリームは加熱されていない。リムDは複数ルーメンリムでありそのガスストリームは加熱されていない。全ての実験は、20L/minのガス流量が試料リムを通過する状態で、名目外部温度18~19℃で行われた。実験の実行時間は6.5時間で合計ガス流は7,800Lだった。入口ガスは98%相対湿度(RH)で36℃であると見積もられた。測定された結果は、実験の終了時の、出口ガス温度、出口ガスの露点、リム外側の水凝結の量、およびリム内の水凝結の量だった。
【0099】
【0100】
結果は、リムAは低い合計凝結を有するが、非常に高い露点を有する。これはリムの外側例えばベンチレータ内の凝結の機会を増大する。リムBおよびCはリムAよりはるかに低い出口ガスの露点を有したが、合計の凝結は許容できないほど高かった。リムD(複数ルーメンリム)は全ての試料の中で最も低い凝結および出口ガスの最も低い露点を有した。従って、リムDはベンチレータ内においてリムの外側で最も低い凝結の機会を有した。
【0101】
補強リブのない複数の別個の導管を含む複数ルーメンリム210の別個の導管は、10mL/kPa/m未満の空気圧コンプライアンスを維持しながら予想外に高い空隙率を有することができる。特定の実施形態では、補強リブのない3つの別個の導管を含む複数ルーメンリムの導管は、45%(または約45%)など、40%および50%の範囲(または約40%および約50%の範囲)の空隙率を有し、一方で複数ルーメンリムの全体空気圧コンプライアンスは、10mL/kPa/m未満である。この結果は、高い空隙率の発泡材は脆弱であると予想され、またリブのない発泡材導管はさらに脆弱であると予想され得るので、意外である。従って、そのような構造によって過度に高い空気圧コンプライアンスを一般的に予想するであろう。表3に示されるように、構成導管のより高い空隙率およびそれが補強リブを持たないことにもかかわらず、複数ルーメンリムは、35%±4%の空隙率を有するEvaqua 2(商標)リムの波形、リブ補強型、単一ルーメン発泡材リムの空気圧コンプライアンスと同様の空気圧コンプライアンスを有する。
【0102】
表3は複数ルーメン試料と単一ルーメンリム試料の空気圧コンプライアンスを比較する。導管/リムの全ては、PCT公開物の国際公開第2011/077250号パンフレットに記載されるものと同じ発泡材料から形成される。リムA~Cは補強リブを有する成人用Evaqua 2(商標)リムであり、発泡材料は0.35の空隙率を有する。リムDは補強リブのない3つの幼児サイズ導管を含む3ルーメンリムであり、発泡材料は0.448の空隙率を有する。
【0103】
【0104】
表3に示されるように、リムDの各導管は補強リブがないにもかかわらず、リムDはリムA~Cの空気圧コンプライアンスをと比較可能な空気圧コンプライアンスを有する。
【0105】
図13および14に示されるリム210は、
図11A~11Dの複数ルーメン設計と組み合わせた温度制御の能動的手法を示す。
図13は、
図11Dに示されるリム210と同様の断面と、
図6および10を参照して記載したリムと同様の、長さに沿って可変ピッチ間隔を有する加熱ワイヤ212とを有するリム210を示す。
【0106】
加熱ワイヤ212は、過度に低い外部温度のせいで生じ得るガスの冷却を制限するために使用される。
図14は、各別個の導管211内の加熱ワイヤ212と組み合わせた複数ルーメン設計を有するリム210を示す。加熱ワイヤ212は別個の導管211の長さに沿って全体的に長手方向に延在可能である。例えば、
図14に示されるように、加熱ワイヤ212は各別個の導管211の実質的に全範囲に沿ってらせん状に巻かれることができる。それにもかかわらず、加熱ワイヤはより短いセクションに沿って延在可能である。加熱ワイヤ212は別個の導管211の壁に埋設または封入できる、またはルーメンの内側に配置可能である。
図11の加熱ワイヤ212は可変ピッチを有する。あるいは、らせん巻き構成において、加熱ワイヤは規則的なピッチを有することができる。他の適切な加熱ワイヤ構成が当該技術分野で知られ、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0107】
図15はリム210の様々な複数ルーメン構造を示す。上で考察されたように、別個の導管211は、機械的安定性および/または支持のため、互いに撚り合せることができる。別個の導管を撚り合せることによって、各導管の長さは結果として得られるリム210の長さより長い。これは一定の体積流量においてリム内でガスが費やす滞留時間を延長することができ、これはさらに有利な温度プロファイル、通気性およびレインアウトの低減をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、多数の別個の導管211は、接着剤を使用して一緒に保持可能である。いくつかの実施形態では、多数の別個の導管はクリップ、ゴムバンド、タイ、等などの固定機構215を使用して一緒に保持可能である。いくつかの実施形態では、別個の導管はシース214を使用して一緒に保持可能であり、シース214はまた断熱材であることができおよび/またはシース214は審美的に心地良くなるように構成可能である。撚り合せられた導管の数は例えば2、3、4、5または5より多いことができる。少なくとも1つの実施形態では、リム210は3つの導管を含む。
【0108】
図16はリムの3導管構成で使用するのに適した例示的固定機構215を示す。この例では、固定機構215は三つ葉状に配置された複数のリングを含む。
図16に示される固定機構215三つ葉形器具は、押出しプラスチック、金属または発泡材料から形成可能である。
【0109】
図15に示されるようにリムを組み立てるために、3つの導管211のそれぞれは、
図16に示されるような第1固定機構215三つ葉形器具のリングの1つに押し通され、続いて撚り合せられるか編組みされることができる。3つの導管211は次に、第1固定機構215三つ葉形器具から所望の距離に配置された第2固定機構215三つ葉形器具のリングに押し通され、続いて再び撚り合せられるか編組みされることができる。3つの導管211は次に、第2固定機構215三つ葉形器具から所望の距離に配置された第3固定機構215三つ葉形器具のリングに押し通され、続いてさらに再び撚り合せられるか編組みされることができる。しかしながら、より緩い構成が望まれる場合、3つの導管211は固定機構215三つ葉形器具を通過した後撚り合せられなくても編組みされなくてもよい。例えば、撚り合せまたは編組みは、3つの導管211が第2固定機構215三つ葉形器具のリングに通された後、排除可能である。撚り合せまたは編組みはまた、完全に排除することもできる。さらに、より密着した構成が望まれる場合、3つの導管211は固定機構215の間で複数回撚り合わせる編組みすることができる。本明細書に記載される方法は、工程の固定された順番をほのめかさない。どれか1つの工程が方法を実行するために必要であることもほのめかさない。実施形態は、任意の順番および実用的な組合せで実行されてもよい。
【0110】
固定機構215三つ葉形器具の適切な間隔は、250mmまたはその付近など、150mmおよび500mmの範囲(または約150mmおよび約500mmの範囲)であることができる。いくつかの実施形態では、複数の固定機構215、例えば2または3など、2および9の範囲の数を、商業的に標準的な長さのチューブに沿って配置可能である。望ましくは、固定機構215は互いにおよび両端部から均一またはほぼ均一に離間される。例えば、2つの固定機構215が使用されるとき、1つの固定機構を1/3の長さの位置に配置可能であり、1つの固定機構を2/3の長さの位置に配置可能である。2つの固定機構215は500mm(または約500mm)間隔をあけて離すことができる。9個の固定機構215は150(または約150mm)間隔をあけて離すことができる。より少ない固定機構を撚り合せまたは編組み構造において使用することができる。
【0111】
前記の間隔構成は、別個の導管の分離を防止する一方で通気性を大幅に低減しないことが分かっている。また、固定機構215三つ葉形器具は互いに十分な近さ(例えば約250mmの間隔)で配置されるとき、導管211の外側の波形が十分な摩擦を生成し、その結果撚り合せが簡単に戻されないことも見出された。さらに、別個の導管211を一緒に保持する固定機構215の数はリムの全体コンプライアンスに大幅に影響を及ぼさないことも見出された。表4は、異なる数の固定機構215三つ葉形器具を有する3導管211リム構造のコンプライアンス試験の結果を示す。比較のため、表5は単一導管リムのコンプライアンス試験の結果を示す。表4および5に記載される導管/リムの全ては、PCT公開物の国際公開第2011/077250号パンフレットに記載されるものと同じ発泡材料から形成される。表4のリムは補強リブのない3つの幼児サイズ導管を含む3ルーメンリムであり、発泡材料は0.448の空隙率を有する。表5の「成人用」リムは補強リブを有する24mm外径のEvaqua 2(商標)リムであり、発泡材料は0.35の空隙率を有する。表5の「幼児用」リムは補強リブのない15mm外径のEvaqua 2(商標)リムであり、発泡材料は0.448の空隙率を有する。
【0112】
【0113】
【0114】
上記の三つ葉形状は例として提供される。異なる数の導管211は異なる数のリングを必要とする。例えば四つ葉状に配置された4つのリングを含む固定機構215は、4導管構造で使用可能であり、五弁状に配置された5つのリングを含む固定機構215は、5導管構造で使用可能、などである。さらに、前述の例は全体的に対称的な多葉形状を記載するが、非対称的なリング構造も考えられる。
【0115】
図17A~17Eは、3ルーメンリム210の一端または両端での使用に適した3方向コネクタ301を示す。コネクタ301は好ましくは、ポリプロピレンまたはポリテトラフルオロエチレンなどのプラスチックなど、適切な材料から形成された成形部品である。
【0116】
3方向コネクタ301は単一部分305および3部構成部分307を含む。単一部分305は、加湿器または加圧ガス源などの装置のポートに、または鼻カニューレ、フェースマスク、鼻マスク、鼻/ピローマスクなどの患者インターフェースのポートに接続するのに適した導管を含む。望ましくは単一部分305の導管は、所望の装置または患者インターフェースで使用するのに適した標準サイズの医療テーパを有する。
図17Eにより詳細に示されるように、3部構成部分307は、それぞれ導管211との接続に適した3つの導管311を含む。
【0117】
図17Cおよび17Dに示されるように、3方向コネクタ301は内側オジーブ315を含むことができる。本明細書で使用される際、オジーブは、弾丸または魚雷に全体的に似ているテーパ状の流線型3次元物体を意味するように定義される。
図17Cおよび17Dにおいて、オジーブ315の前縁は尖っている。それにもかかわらず、その用語は、本明細書においてその最も広い意味で使用され、尖った、丸いまたは尖ってない前縁を有する形状を包含し、限定することなく円錐、角錐または4面体、円錐台、角錐台または4面体、および他の切頭オジーブを含む。オジーブ315の基部(最大幅部分)は3部構成部分307の近くに配置される。オジーブ315は単一部分305の方向にテーパする。オジーブ315は、単一部分301からのガス流を3部構成部分307の3つの導管311により均等に分割することができる。オジーブ315はまた、ガス流が単一部分301に入るとき3部構成部分307の3つの導管311からのガス流をより均一に組み合わせ、層流を促進することができる。
【0118】
結論
医療回路で使用するための様々なリムの例を図面を参照して記載してきた。図面の表現は本明細書に記載される原理を明確に説明するために提供され、モジュールまたはシステムの部分に関連する詳細は、別個の物理的実施形態を正確に描こうとするよりもむしろ説明を容易にするために提供された。例および図は本明細書に記載される実施形態の範囲を示すことを目的とし、範囲を限定するつもりはない。例えば、本明細書の原理は、呼吸回路と同様に、手術用加湿器を含む他の回路で使用するためのリムに適用されてもよい。
【0119】
本明細書で使用される際、用語「プロセッサ」は、あらゆる適切な装置、論理ブロック、モジュール、回路、または命令を実行するための要素の組合せのことを幅広く指す。例えば、制御器122は、Pentium(登録商標)プロセッサ、MIPS(登録商標)プロセッサ、Power PC(登録商標)プロセッサ、AMD(登録商標)プロセッサ、ARM(登録商標)プロセッサ、またはALPHA(登録商標)プロセッサなどのあらゆる従来型の汎用シングルまたはマルチチップマイクロプロセッサを含むことができる。さらに、制御器122は、デジタル信号プロセッサなどのあらゆる従来型の専用マイクロプロセッサを含むことができる。本明細書に開示される実施形態に関連して記載される様々な例示的論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、現場プログラム可能ゲートアレイ(FPGA)、または他のプログラム可能な論理装置、離散ゲートまたはトランジスタ論理、離散ハードウェアコンポーネント、または本明細書に記載の機能を実行するように設計されたそれらのいずれかの組合せによって実施または実行することができる。制御器122は、計算装置の組合せとして、例えばDSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または他のいずれかのそのような構成として実装可能である。
【0120】
データ記憶装置は、情報、典型的にはコンピュータまたはデジタルデータが記録され、回収されることを可能にする電子回路のことを指すことができる。データ記憶装置は、外部装置またはシステム、例えばディスクドライブまたは固体ドライブのことを指すことができる。データ記憶装置はまた、高速半導体記憶装置(チップ)例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、または様々な形態のリードオンメモリ(ROM)のことを指すことができ、これらはコミュニケーションバスまたは制御器122に直接接続される。他の種類のメモリはバブルメモリおよびコアメモリを含む。データ記憶装置は、情報を非一時的媒体に記憶するように構成された物理的ハードウェアであることができる。
【0121】
本明細書で使用される条件付き言語、とりわけ、「できる(can)」、「できる(could)」、「~得る(might)」、「~得る(may)」、「例えば(e.g)」などは、特に明記しない限り、または使用される際に文脈内でそうでないと理解されない限り、特定の実施形態が、他の実施形態は含まないが、特定の特徴、要素および/または状態を含むことを伝えることを一般に目的としている。従って、そのような条件付き言語は、特徴、要素および/または状態が1つまたは複数の実施形態に必ず必要とされることを暗示することを一般に目的としない。本明細書で使用される際、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」または他のいずれかのそれらの変形は、非排他的な包含を網羅することを目的としている。例えば、要素の列記を含むプロセス、方法、物品または装置は、必ずしもそれらの要素だけに限定されず、明示的に挙げられない、またはそのようなプロセス、方法、物品または装置に固有の他の要素を含んでもよい。また、用語「または(or)」は包括的な意味で(排他的な意味でなく)使用され、それにより例えば要素の列記を接続するために使用されるとき、用語「または(or)」は、列記された要素の1つ、いくつかまたは全てを意味する。語句「X、YおよびZの少なくとも1つ(at least one of X,Y and Z)」などの接続言語は、特に明記しない限り、物品、用語等がX、YまたはZのいずれかであってよいことを伝えるために一般に使用されていると文脈によって理解される。従って、そのような接続言語は一般に、特定の実施形態が、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、およびZの少なくとも1つがそれぞれ存在することを必要としていることを暗示することを目的としない。
【0122】
本明細書に記載される実施形態に対し多くの変更および修正が行われてもよいことが強調されるべきであり、その要素はとりわけ許容可能な例であると理解されるべきである。全てのそのような修正および変更は、本開示の範囲内で本明細書に含まれ、また以下の請求項によって保護されることが意図される。さらに、前述の開示内容はいずれも、あらゆる特定の構成要素、特徴、またはプロセスステップが必要または必須であることを暗示することを目的としない。