(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】撮像システムおよび内視鏡装置
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20230926BHJP
H04N 23/40 20230101ALI20230926BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
H04N7/18 M
H04N23/40 300
A61B1/00 680
(21)【出願番号】P 2021550809
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(86)【国際出願番号】 JP2019038740
(87)【国際公開番号】W WO2021064859
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】加藤 秀一
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-47297(JP,A)
【文献】国際公開第2017/068899(WO,A1)
【文献】特開2013-248277(JP,A)
【文献】特開2013-453(JP,A)
【文献】特開2009-201540(JP,A)
【文献】特開2008-80007(JP,A)
【文献】特開2007-37569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 23/40
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラユニットとコントロールユニットとが、前記カメラユニットから前記コントロールユニットへ映像信号を伝送する映像信号伝送線と、前記コントロールユニットから前記カメラユニットへマスタクロックを伝送するクロック線とで接続されるとともに、前記映像信号の読み出しタイミングを示す水平同期信号および垂直同期信号により前記カメラユニットと前記コントロールユニットとが同期して動作する撮像システムであって、
前記カメラユニットは、
前記映像信号を生成するイメージャと、
前記イメージャの撮像条件を書込み、設定可能なレジスタと、
前記マスタクロックに同期し、所定のデューティを有するカメラクロックを生成するカメラクロック生成回路と、
前記マスタクロックに重畳された情報をエンコードする信号解析回路と、
を有し、
前記コントロールユニットは、
前記水平同期信号または前記垂直同期信号のタイミングに基づいて、前記マスタクロックのデューティを変更することによって、前記カメラクロックより短いデューティを有する第1の信号と前記カメラクロックより長いデューティを有する第2の信号の組み合わせにより、前記イメージャの撮像条件を示すレジスタ制御信号を前記マスタクロックに重畳して送信するレジスタ制御信号送信部を有し、
前記信号解析回路は、前記水平同期信号または前記垂直同期信号のタイミングに基づいて、前記カメラクロックを用いて前記マスタクロックに重畳された前記レジスタ制御信号をエンコードし、前記レジスタ制御信号が示す撮像条件を前記レジスタに書込む
ことを特徴とする撮像システム。
【請求項2】
前記第1の信号と前記第2の信号によるHighレベル信号の送信時間とLowレベル信号の送信時間は所定期間内で略同一である
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記レジスタ制御信号を構成する2進数の真と偽は、それぞれ前記第1の信号と前記第2の信号の組み合わせによって表現されるとともに、
前記真を構成する前記第1の信号と前記第2の信号によるHighレベル信号の期間とLowレベル信号の期間は略同一であるとともに、
前記偽を構成する前記第1の信号と前記第2の信号によるHighレベル信号の期間とLowレベル信号の期間は略同一である
ことを特徴とする請求項2に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記レジスタ制御信号を構成する2進数の真と偽は、前記第1の信号と前記第2の信号のペア順序を変えることで表現される
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項5】
前記信号解析回路は、
前記カメラクロックの立ち下がりエッジのタイミングにおける、前記マスタクロックに重畳された前記レジスタ制御信号のHighレベル信号またはLowレベル信号を判定するDFF(Dフリップフロップ)回路と、
前記カメラクロックを分周して2倍の周期の分周クロックを生成する分周クロック生成回路と、
前記DFF回路で判定されたHighレベル信号またはLowレベル信号と、前記分周クロックに基づいて、前記第1の信号と前記第2の信号のペア順序を判定し、前記真または前記偽を決定するFF(フリップフロップ)回路とを有する ことを特徴とする請求項4に記載の撮像システム。
【請求項6】
レジスタ制御信号送信部は、エラー訂正符号を付加した前記レジスタ制御信号を送信するとともに、
前記信号解析回路は、前記レジスタ制御信号をエンコードし、前記エラー訂正符号に基づいて、正しく送信された前記レジスタ制御信号が示す撮像条件を前記レジスタに書込む
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の撮像システム、
を含んで構成された内視鏡装置であって、
前記カメラユニットは、挿入部の先端に配置され、
前記コントロールユニットは、本体部に配置される、
内視鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像システムおよび内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば内視鏡のように、イメージャを内蔵するカメラユニットと、カメラユニットを制御するコントロールユニットとをケーブルを介して離間して構成する撮像システムでは、ケーブル内に複数種類の信号線が敷設される(例えば特許文献1)。特許文献1に記載されている撮像システムでは、ケーブル内に3種類の信号線が敷設されている。3種類のうちの1つは、システムの基準となるクロックをコントロールユニットからカメラユニットへ伝送する。他の一つは、コントロールユニットからカメラユニットへ制御信号を伝送する。そしてもう一つは、カメラユニットからコントロールユニットへ映像信号を伝送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高齢化に伴う医療業界の低侵襲医療の推進に伴い、内視鏡においても低侵襲性が求められ、内視鏡の細径化が重要な課題になっている。スコープの先端部の小型化を追求していくと、その小型化はスコープの先端部に配置されたカメラユニットとコントロールユニットを繋ぐ信号線の種類の削減が重要な課題となる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、カメラユニットとコントロールユニットを繋ぐ信号線の種類を削減することができる撮像システムおよび内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、カメラユニットとコントロールユニットとが、前記カメラユニットから前記コントロールユニットへ映像信号を伝送する映像信号伝送線と、前記コントロールユニットから前記カメラユニットへマスタクロックを伝送するクロック線とで接続されるとともに、前記映像信号の読み出しタイミングを示す水平同期信号および垂直同期信号により前記カメラユニットと前記コントロールユニットとが同期して動作する撮像システムであって、前記カメラユニットは、前記映像信号を生成するイメージャと、前記イメージャの撮像条件を書込み、設定可能なレジスタと、前記マスタクロックに同期し、所定のデューティを有するカメラクロックを生成するカメラクロック生成回路と、前記マスタクロックに重畳された情報をエンコードする信号解析回路と、を有し、前記コントロールユニットは、前記水平同期信号または前記垂直同期信号のタイミングに基づいて、前記マスタクロックのデューティを変更することによって、前記カメラクロックより短いデューティを有する第1の信号と前記カメラクロックより長いデューティを有する第2の信号の組み合わせにより、前記イメージャの撮像条件を示すレジスタ制御信号を前記マスタクロックに重畳して送信するレジスタ制御信号送信部を有し、前記信号解析回路は、前記水平同期信号または前記垂直同期信号のタイミングに基づいて、前記カメラクロックを用いて前記マスタクロックに重畳された前記レジスタ制御信号をエンコードし、前記レジスタ制御信号が示す撮像条件を前記レジスタに書込むことを特徴とする撮像システムである。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記撮像システムであって、前記第1の信号と前記第2の信号によるHighレベル信号の送信時間とLowレベル信号の送信時間は所定期間内で略同一であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記撮像システムであって、前記レジスタ制御信号を構成する2進数の真と偽は、それぞれ前記第1の信号と前記第2の信号の組み合わせによって表現されるとともに、前記真を構成する前記第1の信号と前記第2の信号によるHighレベル信号の期間とLowレベル信号の期間は略同一であるとともに、前記偽を構成する前記第1の信号と前記第2の信号によるHighレベル信号の期間とLowレベル信号の期間は略同一であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記撮像システムであって、前記レジスタ制御信号を構成する2進数の真と偽は、前記第1の信号と前記第2の信号のペア順序を変えることで表現されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記撮像システムであって、前記信号解析回路は、前記カメラクロックの立ち下がりエッジのタイミングにおける、前記マスタクロックに重畳された前記レジスタ制御信号のHighレベル信号またはLowレベル信号を判定するDFF(Dフリップフロップ)回路と、前記カメラクロックを分周して2倍の周期の分周クロックを生成する分周クロック生成回路と、前記DFF回路で判定されたHighレベル信号またはLowレベル信号と、前記分周クロックに基づいて、前記第1の信号と前記第2の信号のペア順序を判定し、前記真または前記偽を決定するFF(フリップフロップ)回路とを有することを特徴とする。また、本発明の一態様は、上記撮像システムであって、レジスタ制御信号送信部は、エラー訂正符号を付加した前記レジスタ制御信号を送信するとともに、前記信号解析回路は、前記レジスタ制御信号をエンコードし、前記エラー訂正符号に基づいて、正しく送信された前記レジスタ制御信号が示す撮像条件を前記レジスタに書込むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記撮像システム、を含んで構成された内視鏡装置であって、前記カメラユニットは、挿入部の先端に配置され、前記コントロールユニットは、本体部に配置される、内視鏡装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の各態様によれば、イメージャの撮像条件を示すレジスタ制御信号をマスタクロックに重畳して送信することができるので、カメラユニットとコントロールユニットを繋ぐ信号線の種類を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る内視鏡装置の概略構成を示す構成図である。
【
図2】
図1に示すカメラユニット13とコントロールユニット21の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2に示すクロック線31と映像信号伝送線32で伝送される信号の例を説明するための模式図である。
【
図4】
図2に示す撮像システム100における映像信号の構成例を説明するための模式図である。
【
図5】
図2に示すレジスタ制御信号送信部211の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図6】
図2に示すカメラクロック生成回路131の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図7】
図2に示す信号解析回路132の構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図7に示す信号解析回路132の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図9】
図7に示す信号解析回路132の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図10】
図7に示す信号解析回路132の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図11】
図7に示す信号解析回路132の動作例を説明するためのタイミングチャートである。
【
図12】
図2に示す撮像システム100の動作例を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一または対応する構成には同一の符号を用いて説明を適宜省略する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る内視鏡装置1の概略構成を示す構成図である。
図1において、内視鏡装置1は、内視鏡スコープ部10と、本体部20を備える。内視鏡装置1は、例えば、消化器用の内視鏡装置である。
【0016】
内視鏡スコープ部10は、挿入部11と、操作部12を備える。挿入部11は、先端にカメラユニット13を備える。また、本体部20は、コントロールユニット21と、カラーモニタ22を備える。操作部12とコントロールユニット21とが、ユニバーサルコード30によって接続されている。カメラユニット13とコントロールユニット21を組み合わせた構成が、本発明における撮像システム100の一態様である。
図1に示す内視鏡装置1は、撮像システム100を含んで構成された装置であって、カメラユニット13が挿入部11の先端に配置され、コントロールユニット21が本体部20に配置されている。
【0017】
なお、内視鏡装置1では、操作部12と本体部20に備えた不図示の光源装置とが、観察対象の部位に照射する光を伝送する不図示のライトガイドによって接続されている。内視鏡スコープ部10は、挿入部11が検査対象者の体内の消化器などに挿入され、観察対象の部位(以下、「観察部位」という)の像を撮像する。このとき、観察部位には、不図示のライトガイドによって導かれた照明光が挿入部11の先端から照射される。内視鏡スコープ部10は、カメラユニット13で撮像した観察部位の像に応じた映像信号を、挿入部11、操作部12、およびユニバーサルコード30内の信号線(映像信号伝送線32)によってコントロールユニット21に出力(伝送)する。
【0018】
操作部12は、例えば、検査実施者(例えば、消化器の手術を実施している医師など)が操作することによって、挿入部11およびカメラユニット13の動作を制御する支持部である。操作部12は、挿入部11の先端を検査実施者の体内に挿入する際の方向や、内視鏡装置1における撮影を制御するための操作スイッチ14を備えている。操作スイッチ14は、例えば、検査実施者の操作に応じて、観察部位を撮影することを指示するための指示信号を、操作部12およびユニバーサルコード30を経由してコントロールユニット21に出力する。
【0019】
コントロールユニット21は、カメラユニット13を制御し、カメラユニット13から出力された映像信号を入力して所定の画像処理を行い、処理した画像をカラーモニタ22に表示する。コントロールユニット21は、カメラユニット13を制御するための制御信号を、ユニバーサルコード30、操作部12、および挿入部11内の信号線(クロック線31)を通してカメラユニット13に伝送する。
【0020】
カラーモニタ22は、コントロールユニット21から入力された画像信号に応じた観察部位を含む画像を表示する。カラーモニタ22は、例えば、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス・ディスプレイなどの表示装置である。
【0021】
図2は、
図1に示すカメラユニット13とコントロールユニット21の概略構成を示すブロック図である。カメラユニット13とコントロールユニット21は、コントロールユニット21からカメラユニット13へマスタクロックを送信するクロック線31と、カメラユニット13からコントロールユニット21へ映像信号を伝送する映像信号伝送線32によって接続されている。マスタクロックは、コントロールユニット21とカメラユニット13における共通の基準クロックである。ただし、
図3に示すように、クロック線31を介してコントロールユニット21からカメラユニット13へ伝送されるマスタクロックは、後述するレジスタ設定信号を重畳したマスタクロックである。
図3は、
図2に示すクロック線31と映像信号伝送線32で伝送される信号の例を説明するための模式図である。なお、撮像システム100において、映像信号の読み出しタイミングを示す水平同期信号および垂直同期信号がカメラユニット13とコントロールユニット21間で同期して動作する。すなわち、撮像システム100において、映像信号の読み出しタイミングを示す水平同期信号および垂直同期信号により、カメラユニット13とコントロールユニット21とが同期して動作する。
【0022】
クロック線31と映像信号伝送線32は、挿入部11と操作部12とユニバーサルコード30内に敷設されている。なお、カメラユニット13とコントロールユニット21は、不図示の電源線とGND(グランド)線で接続されていて、コントロールユニット21からカメラユニット13へ直流電力が供給される。
【0023】
カメラユニット13は、カメラクロック生成回路131、信号解析回路132、レジスタ133、およびイメージャ134を有する。なお、カメラユニット13の構成は、
図2に示す形態に限らず、例えば、カメラクロック生成回路131と信号解析回路132とレジスタ133とイメージャ134が一体的に構成されていてもよい。
【0024】
カメラクロック生成回路131は、コントロールユニット21からクロック線を31介して受信したマスタクロックに同期し、マスタクロックと同一周期で所定のデューティ(例えば50%)を有するカメラクロックを生成する。このカメラクロック生成回路131の動作例については後述する。なお、本実施形態においてデューティとは、デューティ比とも呼ばれ、HighレベルとLowレベルからなる1周期の期間に占める例えばHighレベルの期間の割合である。
【0025】
信号解析回路132は、クロック線31を介して受信したマスタクロックに重畳された情報(レジスタ設定信号)をエンコードする回路である。信号解析回路132は、水平同期信号または前記垂直同期信号のタイミングに基づき、カメラクロックを用いてマスタクロックに重畳されたレジスタ制御信号をエンコードし、レジスタ制御信号が示す撮像条件をレジスタ133に書込む。
【0026】
レジスタ133は、信号解析回路132でエンコードされた情報(レジスタ設定信号)に基づくイメージャ134の撮像条件を書込み、設定可能な記憶回路である。すなわち、レジスタ133は、コントロールユニット21から伝送されてきたイメージャ134の動作を規定するための種々の設定値(パラメータ)を記憶する。レジスタ133は、例えば、イメージャ134の露光時間(蓄積時間)や、動画像のフレームレート、画像の大きさを表す画像サイズ(画素数)、映像信号を出力する際の読み出し方法など、イメージャ134における撮影の機能に関する設定値(パラメータ)を記憶する。また、レジスタ133は、例えば、垂直方向のブランキング期間(水平同期信号の数)や、水平方向のブランキング期間(マスタクロック信号の数)、同期信号(垂直同期信号および水平同期信号)を生成するための設定値(パラメータ)など、イメージャ134に備えた撮影以外の機能の動作や実行を制御するための設定値(パラメータ)を記憶する。
【0027】
イメージャ134は、撮像した映像をもとに映像信号を生成する回路であり、本実施形態ではCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor;相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサである。イメージャ134は、LDO回路1341、TG回路1342、PLL回路1343、出力信号生成回路1344、画素駆動回路1345、画素アレイ1346、ADC回路1347、および画素信号読出回路1348を備える。
【0028】
画素アレイ1346は、行および列方向に配列された複数個の受光素子で構成され、個々の受光素子の信号(画素信号)を電気信号に変換する。画素駆動回路1345は、選択した行を駆動(リセット、読み出し等)する回路である。ADC(Analog-to-Digital Converter)回路1347は、画素駆動回路1345で読み出したアナログの画素信号をデジタル信号に変換し、ラインメモリに書き込む回路である。画素信号読出回路1348は、ラインメモリを有し、ADC回路1347がラインメモリに書き込んだ全列×全ビットのパラレルのデジタルの画素信号をシリアライズして時系列で出力する回路である。出力信号生成回路1344は、画素信号読出回路1348からのデジタルの画素信号を信号処理した上、信号処理後のシリアルのデジタルの画素信号の間に垂直同期信号および水平同期信号のタイミングを認識できるフラグ信号を埋め込み、更に、後述するCDR回路で同期クロックを再生できるように変調(例えば、8b/10b符号化)を加える回路である。PLL(Phase Locked Loop;位相同期)回路1343は、カメラクロック生成回路131が生成したカメラクロックから、同クロックに同期し、イメージャ134を駆動するに用いられる複数のクロックを生成する回路である。TG(タイミングジェネレータ)回路1342は、レジスタ133に書き込まれた情報に基づき、イメージャ134を駆動する複数のタイミング信号(垂直同期信号および水平同期信号を含む)を生成する回路である。また、LDO回路1341は、コントロールユニット21からの電源信号(コントロールユニット21からカメラユニット13への直流電力)から、カメラユニット13の駆動に必要なレベルの電圧信号を生成する回路である。
【0029】
ここで、
図4を参照して、イメージャ134の出力動作例について説明する。
図4は、
図2に示す撮像システム100における映像信号の構成例を説明するための模式図である。
図4は、1フレーム(1画像)分の画素アレイ1346で生成された各画素信号に、垂直同期信号と水平同期信号を表す情報を合わせた映像信号の一例を示している。
図4に示した垂直同期信号VDと水平同期信号HDは、Highレベル=「H」レベルで、映像信号が動画像として有効な期間であることを表し、Lowレベル=「L」レベルで、映像信号が動画像として無効な期間、つまり、ブランキング期間で(垂直ブランキング期間または水平ブランキング期間)あることを表している。
【0030】
各フレームにおいて、画素駆動回路1345は、まず、1行目の画素信号を読出し、ADC回路1347は読出しした1行目のアナログの画素信号をデジタルの画素信号に変換し、データを画素信号読出回路1348のラインメモリに書き込む。出力信号生成回路1344は、フラグ信号(行の先頭の認識信号と画像フレームの何行目であるかの認識信号)の後にラインメモリの全列のデータを並べたシリアル信号を出力する。その1行目の出力の間に画素駆動回路1345は2行目の画素信号を読出し、かつ、ADC回路1347は読出しした2行目のアナログの画素信号をデジタルの画素信号に変換する。出力信号生成回路1344は、1行目の出力が終わると、2行目のフラグ信号を出力するが、そのフラグ信号を出力している間に、ADC回路1347はデジタル信号に変換した画素信号のデータをラインメモリに書き込む。そして出力信号生成回路1344は、2行目のフラグ信号を出力後にラインメモリの全列のデータを並べたシリアル信号を出力する。この流れを各画素の各行について順に行い、全行終了後に、フレームレートの調整を行う垂直ブランキング期間(データが無い行の期間)を経て、再度先頭行から同じ処理を行う。この垂直ブランキング期間に何行分の期間を設定するかはレジスタ133に書き込まれており、TG回路1342は、そのタイミングに従って、画素駆動回路1345、ADC回路1347、および出力信号生成回路1344を動作させる。TG回路1342は、イメージャ134を駆動する複数のタイミング信号をコントロールしており、垂直ブランキング期間とフラグ信号の出力期間である水平ブランキング期間(データが無い列の期間)のタイミングもコントロールしており、そこから垂直同期信号または水平同期信号を生成し、信号解析回路132に出力している。なお、出力信号生成回路1344は、出力する映像信号を最終的には8b/10b符号化方式のシリアル信号に変換して
図3に示すように例えば差動信号で映像信号伝送線32を構成する2本の信号線32-1と信号線32-2へ出力する。この場合、信号線32-1と信号線32-2に伝送される映像信号は、垂直同期信号および水平同期信号を重畳した差動映像信号である。
【0031】
上記動作において、例えばデジタルの画素信号が12bitの場合、上位に「0000」の4ビットを追加して16bitのデジタルの画素信号にすると、デジタルの映像信号は、「1」が連続で16を超えることはない。この場合に、「11111111_11111111」は映像信号には存在しないデータであり、これを行の先頭の認識信号とすることができる。出力信号生成回路1344では、この行の先頭の認識信号(「11111111_11111111」)に続く16bitを画像フレームの何行目であるかの認識信号とし、ここにフレームの行数を2進数で書き込むようにすることができる。
【0032】
一方、
図2において、コントロールユニット21は、レジスタ制御信号送信部211、マスタクロック生成部212、CDR(Clock Data Recovery)回路213および画像生成部214を有する。また、コントロールユニット21は、カメラユニット13へ直流電源を供給する図示していない電源回路などを備える。
【0033】
マスタクロック生成部212は、マスタクロックを生成して、レジスタ制御信号送信部211へ出力する。
【0034】
レジスタ制御信号送信部211は、カメラユニット13から映像信号伝送線32を介して伝送されてきた映像信号に含まれる水平同期信号または垂直同期信号のタイミングに基づいて、マスタクロックのデューティを変更することによって、カメラクロックより短いデューティを有する第1の信号とカメラクロックより長いデューティを有する第2の信号の組み合わせにより、イメージャ134の撮像条件を示すレジスタ制御信号をマスタクロックに重畳してマスタクロックとして送信する。仮にレジスタ制御信号を水平同期信号または垂直同期信号タイミングによらず送信すると、カメラユニット13側はレジスタ制御信号のエンコード開始タイミングが分からない。そこで、本実施形態では、コントロールユニット21-カメラユニット13間で同期する水平同期信号または垂直同期信号の所定タイミングに基づいてレジスタ制御信号を送信することにより、カメラユニット13側は同タイミングでエンコードを開始できるようにしている。
【0035】
例えば
図5および
図6に示すようにマスタクロックおよびカメラクロックのデューティがそれぞれ50%の場合、例えば第1の信号のデューティを25%、第2の信号のデューティを75%とすることができる。
図5は、
図2に示すレジスタ制御信号送信部211の動作例を示すタイミングチャートである。
図6は、
図2に示すカメラクロック生成回路131の動作例を示すタイミングチャートである。
【0036】
図5は、上から順に、カメラユニット13が出力した映像信号に含まれる水平同期信号または垂直同期信号(画像生成部214が出力した水平同期信号または垂直同期信号)、および、レジスタ制御信号送信部211が生成するマスタクロックを示す。
図5において、マスタクロックは、時刻t1から時刻t2までが第2の信号で時刻t2から時刻t3までが第1の信号の順のペア信号である場合に2進数の「真」=「1」(あるいは、論理「真」=論理「1」)、時刻t1から時刻t2までが第1の信号で時刻t2から時刻t3までが第2の信号の順のペア信号である場合に2進数の「偽」=「0」(あるいは、論理「偽」=論理「0」)を表現しており、2進数の「真」と「偽」の組み合わせによってレジスタ制御信号が構成される。
【0037】
なお、
図5に示す例では、水平同期信号または垂直同期信号の開始エッジ(HighレベルからLowレベル)と同タイミング(時刻t1)でマスタクロックのデューティ変更によるレジスタ制御信号の生成を開始しているが、水平同期信号または垂直同期信号の開始エッジから所定クロック分前後したタイミングでマスタクロックのデューティ変更によるレジスタ制御信号の生成を開始してもよい。また、カメラユニット13とコントロールユニット21において、水平同期信号と垂直同期信号は、マスタクロックに同期して動作する信号であり、本実施形態では、水平同期信号および垂直同期信号がアクティブとなる(Lowレベルとなる)タイミングは、マスタクロックがLowレベルからHighレベルに立ち上がるタイミング(Highエッジ)に対応している。
【0038】
また、
図5に示す例において、レジスタ制御信号送信部211は、マスタクロックのHighエッジのタイミングを一定周期とし、Lowエッジのタイミングが遅いか早いか、つまり、デューティが小さいか大きいかをクロック毎に変更して、第1の信号と第2の信号の組み合わせを生成している。
図6に示す例において、カメラクロック生成回路131は、マスタクロックを入力し、マスタクロックのHighエッジに同期してLowレベルからHighレベルに変化し(時刻t11、t13、t15、t17)、デューティが50%となるようにHighレベルからLowレベルに変化するように(時刻t12、t14、t16、t18)、カメラクロックを生成する。この場合、カメラクロック生成回路131は、コントロールユニット21のマスタクロック生成部212が生成したマスタクロックのHighエッジのタイミングを基準としてマスタクロックと同じ周期、かつ同じ位相で、デューティが50%のカメラクロックを生成することになる。なお、カメラクロック生成回路131は、例えば、PLL回路として構成したり、あるいは、PLL回路1343に含まれる形で構成したりすることができる。
【0039】
なお、レジスタ制御信号の「真」と「偽」を第1の信号と第2の信号の組み合わせから構成するのは次の理由による。すなわち、仮に、それぞれ単独で、第1の信号を「真」、第2の信号を「偽」とした場合、例えば、第2の信号が連続することにより、Highレベル信号の送信時間がLowレベル信号の送信時間より大幅に長くなると、マスタクロック線の電位がHighレベルに偏ってしまい、信号送信の妨げとなる場合がある。逆に、第1の信号が連続することにより、Lowレベル信号の送信時間がHighレベル信号の送信時間より大幅に長くなると、マスタクロック線の電位がLowレベルに偏ってしまう。
【0040】
そこで、本実施形態では、レジスタ制御信号を構成する2進数の「真」(=「1」)と「偽」(=「0」)が、それぞれ第1の信号と第2の信号の組み合わせによって表現されるとともに、第1の信号と第2の信号を組み合わせた期間におけるHighレベル信号の送信時間とLowレベル信号の送信時間が略同一となるように、第1の信号と第2の信号を設定している。さらに、2進数の「真」を構成する第1の信号と第2の信号によるHighレベル信号の送信時間とLowレベル信号の送信時間を略同一とするとともに、2進数の「偽」を構成する第1の信号と第2の信号によるHighレベル信号の送信時間とLowレベル信号の送信時間を略同一としている。
【0041】
なお、レジスタ制御信号を構成する「真」と「偽」は、各1つの第1の信号と第2の信号の組み合わせに限定されず、3以上の第1の信号と第2の信号の組み合わせから構成してもよい。例えば、1つの「真」を「第1の信号、第1の信号、第2の信号」と表現する場合、「第1の信号、第1の信号、第2の信号」によるHighレベル信号の送信時間とLowレベル信号の送信時間がそれぞれ略同一となるように第1の信号と第2の信号のデューティをそれぞれ調整する。これによって、レジスタ制御信号を構成する「真」と「偽」について、「真」が連続した場合でもクロック線31の電位が偏ることを防ぐことができる。
【0042】
また、レジスタ制御信号を構成する「真」と「偽」は、各1つの第1の信号と第2の信号のいずれかに対応づけてもよい。例えば、第1の信号を「真」、第2の信号を「偽」としてもよい。この場合、例えば、カメラクロックのデューティを略50%とし、第1の信号のデューティを50%に近い50%より小さい値とし、第2の信号のデューティを50%に近い50%より大きい値とすることで、例えば「真」が連続した場合でもクロック線31の電位が大きく偏ることを防ぐことができる。さらに、レジスタ制御信号には、レジスタ133に書込む撮像条件に加えて、チェックサム、パリティチェック等を用いたエラー訂正符号を付加することができる。この場合、信号解析回路132は、エラー停止符号を用いてレジスタ制御信号が正しく送信されたかを確認し、正しく送信されたレジスタ制御信号が示す撮像条件のみをレジスタに書き込むことができる。
【0043】
以上のように、本実施形態において、第1の信号と第2の信号によるHighレベル信号の送信時間とLowレベル信号の送信時間は所定期間内で略同一である。また、レジスタ制御信号を構成する2進数の「真」と「偽」は、それぞれ第1の信号と第2の信号の組み合わせによって表現されるとともに、「真」を構成する第1の信号と第2の信号の合計によるHighレベル信号の期間とLowレベル信号の期間は略同一であるとともに、「偽」を構成する第1の信号と第2の信号の合計によるHighレベル信号の期間とLowレベル信号の期間は略同一である。また、レジスタ制御信号を構成する2進数の「真」と「偽」は、第1の信号と第2の信号のペア順序を変えることで表現され、かつ、レジスタ制御信号をマスタクロックに重畳した信号からマスタクロックを復元できるように表現される。本実施形態では、クロック線31上のマスタクロックのデューティ変更によりレジスタ制御信号を送信しており、レジスタ制御信号を送信する専用線を省略できる。したがって、外部から意図しないレジスタ制御信号が専用線を介して送信されてレジスタに書き込まれることを防ぐことができ、セキュリティ性が向上し、監視カメラ等の用途にも好適である。
【0044】
また、本実施形態によるレジスタ制御信号の符号化方式は、次の点でマンチェスタ符号化方式と類似している。すなわち、本実施形態によるレジスタ制御信号の符号化方式は、連続する複数の2進数のデータにおいて同じレベルが連続しないということ、符号化データからクロック信号を復元できるということ、1周期(1シンボル)の開始時や終了時の遷移はデータを示すものではないということ、などの点でマンチェスタ符号化方式と類似している。
【0045】
また、
図2に示すコントロールユニット21において、CDR回路213は、映像信号を受信し、8b/10b符号化方式の差動映像信号から同差動映像信号と同じ周期のクロック(例えば、差動映像信号が400Mbpsであれば400MHzのクロック)を生成し、同クロックで同差動映像信号の論理(上記フラグ信号を挟んだ画素信号)を検出し、同画素信号を8b/10b符号化前の信号にデコード(10b/8b変換)して出力する。
【0046】
画像生成部214は、CDR回路213からの上記フラグ信号を挟んだ画素信号を受信して、映像信号(水平同期信号および垂直同期信号とこれに同期した画素信号からなる信号)を生成し、水平同期信号または垂直同期信号をレジスタ制御信号送信部211へ出力するとともに、必要に応じて所定の画像処理を施し、カラーモニタ22へ出力する。
【0047】
次に、
図7から
図11を参照して、
図2に示す信号解析回路132について説明する。
図7は、
図2に示す信号解析回路132の構成例を示すブロック図である。
図8~
図10は、
図7に示す信号解析回路132の動作例を示すタイミングチャートである。
図11は、
図7に示す信号解析回路132の動作例を比較例を示して説明するためのタイミングチャートである。
【0048】
図7に示す構成例では、信号解析回路132は、DFF(Dフリップフロップ)回路1321と、XOR(排他的論理和)回路1322と、分周クロック生成回路1323と、タイミング判定回路1324と、AND(論理積)回路1325を備える。
【0049】
DFF回路1321は、マスタクロックを信号DATA_inとして入力端子Dへ入力するとともに、AND回路1325の出力をLowエッジ・クロック入力端子CKへ入力し、出力信号FF_outを出力端子QからXOR回路1322の一方の入力端子へ出力する。AND回路1325は一方の入力端子にカメラクロックを入力し、他方の入力端子にタイミング判定回路1324の出力信号Enableを入力する。タイミング判定回路1324へは、マスタクロックとカメラクロックと水平同期信号または垂直同期信号が入力される。分周クロック生成回路1323は、カメラクロックと水平同期信号または垂直同期信号を入力し、水平同期信号または垂直同期信号を基準としてカメラクロックの2分の1の周波数のクロックCLK2を生成して、XOR回路1322の他方の入力端子に出力する。XOR回路1322は、信号DATA_outとしてレジスタ制御信号(2進数のシリアル信号)を出力する。
【0050】
タイミング判定回路1324は、レジスタ制御信号がマスタクロックに重畳されている有効なタイミング(期間)を判定する回路であり、
図8に示すように、水平同期信号または垂直同期信号がHighレベルからLowレベルへ変化した場合、カメラクロックがLowレベルからHighレベルに変化したときに(時刻t21)、Highレベルとなり、所定時間経過後(時刻t31)にLowレベルとなるEnable信号を出力する。Enable信号は、Highレベルで有効なタイミングを表す。AND回路1325は、信号EnableがHighレベルの場合にカメラクロックを入力端子CKへ入力させ、信号EnableがLowレベルの場合にカメラクロックを入力端子CKへ入力させない。
【0051】
また、分周クロック生成回路1323は、水平同期信号または垂直同期信号のLowエッジ後に現れるカメラクロックの最初のLowエッジのタイミングでLowに切り替わるカメラクロックの1/2の周波数のクロック(CLK2)を生成する。すなわち、分周クロック生成回路1323は、
図8に示すように、水平同期信号または垂直同期信号がHighレベルからLowレベルへ変化した場合、カメラクロックがHighレベルからLowレベルに変化したときに(時刻t22)、Lowレベルとなり、その後、カメラクロックの2倍の周期で変化するクロックCLK2(時刻t24でLowレベルからHighレベル、時刻t26でHighレベルからLowレベル、時刻t28でLowレベルからHighレベルに変化するクロック)を出力する。
【0052】
以上のように、
図7に示す信号解析回路132は、カメラクロックの立ち下がりエッジのタイミングにおける、マスタクロックに重畳されたレジスタ制御信号のHighレベル信号またはLowレベル信号を判定するDFF回路1321と、カメラクロックを分周して2倍の周期のクロックCLK2(分周クロック)を生成する分周クロック生成回路1323と、DFF回路1321で判定されたHighレベル信号またはLowレベル信号と、クロックCLK2(分周クロック)に基づいて、第1の信号と第2の信号のペア順序を判定し、「真」または「偽」を決定するXOR回路1322(FF(フリップフロップ)回路)とを有する。
【0053】
図8に示す例は、コントロールユニット21が、水平同期信号または垂直同期信号の立ち下がり後(時刻t21)、レジスタ制御信号として2進数の「真」(=「1」)と「偽」(=「0」)を続けてマスタクロックに重畳して出力する例を示す。なお、
図8~
図11では、コントロールユニット21側が送信したレジスタ制御信号を「レジスタ制御信号(送)」、カメラユニット13側で認識したレジスタ制御信号を「レジスタ制御信号(受)」として示す。なお、マスタクロックは、
図5に示すように、第2の信号→第1の信号の組み合わせで「真」、第1の信号→第2の信号の組み合わせで「偽」であるとする。
【0054】
また、
図8に示す例では、マスタクロックである信号DATA_inは、時刻t21から時刻t23まで第2の信号、時刻t23から時刻t25まで第1の信号、時刻t25から時刻t27まで第1の信号、時刻t27から時刻t29まで第2の信号である。信号Enableは、水平同期信号または垂直同期信号がLowレベルかつカメラクロックがHighレベルで、Highレベルとなり(時刻t21)、所定時間後の時刻t31でLowレベルとなる。
【0055】
信号FF_outは、時刻t22でカメラクロックがHighレベルからLowレベルに変化したときに信号DATA_inのレベル(Highレベル)となり、時刻t24でカメラクロックがHighレベルからLowレベルに変化したときに信号DATA_inのレベル(Lowレベル)となる。また、信号FF_outは、時刻t26でカメラクロックがHighレベルからLowレベルに変化したときに信号DATA_inのレベル(Lowレベル)のままで、時刻t28でカメラクロックがHighレベルからLowレベルに変化したときに信号DATA_inのレベル(Highレベル)となる。
【0056】
信号DATA_outは、信号FF_outとクロックCLK2に基づき、時刻t22から時刻t26までHighレベルで、時刻t26から時刻t30までLowレベルとなる。この場合、信号DATA_outは、レジスタ制御信号が、時刻t22から時刻t26まで「真」(=「1」)で、時刻t26から時刻t30まで「偽」(=「0」)であることを示す。
【0057】
以上のように、DFF回路1321は、カメラクロックの立下りタイミングにおいて、信号DATA_inが、Highレベルを示せば第2の信号、Lowレベルを示せば第1の信号であると判定する。そして、XOR回路1322は、DFF回路1321で判定されたHighレベル信号またはLowレベル信号と、クロックCLK2(分周クロック)に基づいて、第1の信号と第2の信号のペア順序を判定し、2進数の「真」または「偽」を決定するFF(フリップフロップ)回路として動作する。この場合、XOR回路1322から出力される信号DATA_outは、マスタクロックである信号DATA_inに重畳されたレジスタ制御信号(「レジスタ制御信号(送)」)を、カメラクロックの半周期分遅れて復元する信号(「レジスタ制御信号(受)」)となる。
【0058】
次に、
図9~
図11を参照して、
図7に示すタイミング判定回路1324の動作の変形例について説明する。なお、
図9~
図11は、コントロールユニット21からカメラユニット13へ、先頭から4回、2進数の「真」が連続して重畳されたマスタクロックが伝送された例を示す。また、
図9~
図11では、タイミング判定回路1324に代表して水平同期信号が入力される例を示す。
【0059】
図8を参照して上述した動作例では、タイミング判定回路1324は、水平同期信号または垂直同期信号がHighレベルからLowレベルへ変化した場合、カメラクロックがLowレベルからHighレベルに変化したときに(時刻t21)、Highレベルとなり、所定時間経過後(時刻t31)にLowレベルとなるEnable信号を出力する。この場合のタイミング判定回路1324の動作は、例えば、水平同期信号または垂直同期信号がHighレベルからLowレベルへ変化するタイミングと、カメラクロックがLowレベルからHighレベルに変化するタイミングとが一定の関係を有する場合に正常に行われる。
【0060】
すなわち、例えば、
図9に示すように、水平同期信号がHighレベルからLowレベルに変化するタイミング(時刻t41)が、カメラクロックがLowレベルからHighレベルに変化するタイミング(時刻t42)より早い場合、カメラクロックがLowレベルからHighレベルに変化するタイミング(時刻t42)で信号EnableをHighレベルとすることで、次にカメラクロックがHighレベルからLowレベルに変化するタイミング(時刻t43)から、レジスタ制御信号を正常に復元することができる。この場合、時刻t43~時刻t44の「真」、時刻t44~時刻t45の「真」、時刻t45~時刻t46の「真」、時刻t46~の「真」の4ビットのデータが正しく復元されている。
【0061】
一方、例えば、
図11に示すように、水平同期信号がHighレベルからLowレベルに変化するタイミング(時刻t62)が、カメラクロックがLowレベルからHighレベルに変化するタイミング(時刻t61)より遅い場合、次にカメラクロックがLowレベルからHighレベルに変化するタイミング(時刻t64)で信号EnableをHighレベルとし、次にカメラクロックがHighレベルからLowレベルに変化するタイミング(時刻t65)からレジスタ制御信号を復元すると、レジスタ制御信号を正常に復元することができなくなる。この場合、復元されたデータは、時刻t65~時刻t66の「偽」、時刻t66~時刻t67の「偽」、時刻t67~時刻t68の「偽」、時刻t68~の「偽」の4ビットの誤ったデータとなる。
【0062】
この対策として、例えば、
図7に示すタイミング判定回路1324の動作を次のように変形する。すなわち、タイミング判定回路1324の動作において、水平同期信号がHighレベルからLowレベルに変化するタイミングと、カメラクロックがLowレベルからHighレベルに変化するタイミングを比較した結果に基づき、信号EnableをHighレベルとするタイミングを次の2種類に変形する。(1)
図9に示すように、水平同期信号がHighレベルからLowレベルに変化するタイミング(時刻t41)が、カメラクロックがLowレベルからHighレベルに変化するタイミング(時刻t42)より早い場合、カメラクロックがLowレベルからHighレベルに変化するタイミング(時刻t42)で信号EnableをHighレベルとする。(2)
図10に示すように、水平同期信号がHighレベルからLowレベルに変化するタイミング(時刻t52)が、カメラクロックがLowレベルからHighレベルに変化するタイミング(時刻t51)より遅い場合、次の次にカメラクロックがLowレベルからHighレベルに変化するタイミング(時刻t54)で信号EnableをHighレベルとする。
【0063】
上記(2)の場合、レジスタ制御信号(送)の先頭のビットは受信できなくなるが、例えば、レジスタ制御信号に適切なプリアンブルを設定することでデータ本体は問題なく復元することができる。
【0064】
なお、タイミング判定回路1324の動作の変形例としては、例えば、カメラクロックから所定時間(例えば1/4周期)遅れたクロックを作成し、そのクロックの立ち上がりを、信号EnableをHighレベルとするタイミングするなどの構成としてもよい。
【0065】
次に、
図12を参照して、コントロールユニット21がマスタクロックに重畳するレジスタ設定信号の例について説明する。
図12は、
図2に示す撮像システム100の動作例を説明するためのタイミングチャートであり、水平同期信号とマスタクロックに重畳したレジスタ制御信号の時間変化を示す。なお、水平同期信号は垂直同期信号としてもよい。
【0066】
上述したように、
図2に示すマスタクロック生成部212は、マスタクロックのHighエッジのタイミングを一定周期とし、Lowエッジのタイミングが遅いか早いか、つまり、デューティが小さいか大きいかをクロック毎に変更して、「真」(=「1」)または「偽」(=「0」)の論理をマスタクロックに重畳する。ここで、デューティが小さいクロックを「0」、デューティが大きいクロックを「1」とする。マスタクロック生成部212は、この重畳信号でレジスタ設定信号を構成し、水平同期信号に同期したタイミングで出力する。
【0067】
例えば、水平同期信号の水平ブランキング期間を「L」とすると、水平同期信号が「L」になった後に、レジスタ設定信号として、「1」「1」(認識信号)+レジスタアドレス8bit+データ8bitを出力し、次のレジスタ設定信号の出力まで「0」を出力するものとする。そうすると、
図12に示すように、1行読み出す毎に1つのレジスタの設定信号をカメラユニット13側に送信することができる。
図12に示す例では、k行目(kは1~mの整数)でアドレス0にデータ255を設定するレジスタ設定信号、k+1行目でアドレス1にデータ255を設定するレジスタ設定信号、k+2行目でアドレス2にデータ255を設定するレジスタ設定信号、がマスタクロックに重畳されることになる。
【0068】
以上のように本発明の実施形態またはその変形例によれば、イメージャ134の撮像条件を示すレジスタ制御信号をマスタクロックに重畳して送信することができるので、カメラユニット13とコントロールユニット21を繋ぐ信号線の種類を削減することができる。
【0069】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態およびその変形例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0070】
上記各態様の撮像システムによれば、スコープの省線化を実現することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 内視鏡装置
11 挿入部
13 カメラユニット
20 本体部
21 コントロールユニット
31 クロック線
32 映像信号伝送線
100 撮像システム
131 カメラクロック生成回路
132 信号解析回路
133 レジスタ
134 イメージャ
211 レジスタ制御信号送信部
1321 DFF(Dフリップフロップ)回路
1323 分周クロック生成回路
1322 XOR回路(FF(フリップフロップ)回路)