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特許7355864生物学的または化学的な分析のためのバイオセンサおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】生物学的または化学的な分析のためのバイオセンサおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20230926BHJP
【FI】
G01N21/64 F
【請求項の数】 4
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022006244
(22)【出願日】2022-01-19
(62)【分割の表示】P 2020037163の分割
【原出願日】2014-12-09
(65)【公開番号】P2022062076
(43)【公開日】2022-04-19
【審査請求日】2022-01-24
(31)【優先権主張番号】61/914,275
(32)【優先日】2013-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514202402
【氏名又は名称】イラミーナ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】チェン フランク ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ホッド フィンケルシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】ボヤン ボヤノフ
(72)【発明者】
【氏名】ディートリッヒ デリンジャー
(72)【発明者】
【氏名】ダレン セーガレ
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02221606(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2012/0014837(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0019828(US,A1)
【文献】特開2002-118245(JP,A)
【文献】特開平07-045805(JP,A)
【文献】特表2008-522408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/62 - G01N 21/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光センサのセンサアレイと、光ガイドのガイドアレイとを有する装置ベースを備える装置であって、前記装置ベースは外面を有し、前記光ガイドは、前記外面に近接した生物学的または化学的物質から生成された励起光および光放射を受け取るように構成された入力領域を有し、前記光ガイドは、前記入力領域から対応する光センサに向かって前記装置ベース内に伸長し、前記光ガイドは、前記励起光をフィルタリングし、前記光放射が対応する前記光センサに伝播できるように構成されたフィルタ材を備え、
前記装置ベースは、前記光センサに電気的に結合し、前記光センサにより検出される光子に基づきデータ信号を送るように構成された装置回路を有し、
前記装置ベースは、前記ガイドアレイの対応する光ガイドを囲むように位置する、周辺のクロストークシールドを備え、該クロストークシールドは、各縦軸周りの対応する前記光ガイドを少なくとも部分的に囲み、逸脱光線をブロックするか、または、反射するうちの少なくとも一方を行って、隣接する光センサ間の光学的クロストークを低減し、
前記装置ベースの外面上に延在し、前記光ガイドの上に反応くぼみのアレイを形成する保護層をさらに備える、装置。
【請求項2】
前記反応くぼみは対応するベース面を有し、該ベース面は、前記光ガイドの上に前記装置ベース内のある深さで位置する、請求項に記載の装置。
【請求項3】
装置を製造する方法であって、
装置ベースにガイドキャビティを形成し、該装置ベースは、光センサのセンサアレイと、前記光センサに電気的に結合し、前記光センサにより検出される光子に基づきデータ信号を送るように構成された装置回路とを有し、前記装置ベースは外面および該外面から前記光センサに向かい伸長する周辺クロストークシールドを有する、ステップであって、
前記ガイドキャビティが前記センサアレイの対応する光センサに向かい伸長し、前記ガイドキャビティが前記周辺クロストークシールドにより分離されるようにするステップと;
フィルタ材を前記ガイドキャビティ内に付着させるステップであって、前記ガイドキャビティ内の前記フィルタ材は光ガイドを形成する、ステップと;
前記フィルタ材を硬化させるステップと;
保護層を前記光ガイド上に延在する前記装置ベースに適用するステップを含む、方法。
【請求項4】
前記保護層を適用する前に、シールド層を前記装置ベースの外面に適用するステップをさらに含み;
周辺クロストークシールド間の前記シールド層を貫通する開口を形成し、前記保護層が前記シールド層に直接的に沿って、前記開口全体に伸長するようにするステップを含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、2013年12月10日に出願され、発明の名称が同じである米国仮特許出願
第61/914275号明細書の利益を主張するものであり、その全体が本明細書に参考
として組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示の実施形態は、概して、生物学的または化学的な分析に関し、より詳細には、生
物学的または化学的な分析用の検出装置を用いた、システムおよび方法に関する。
【0003】
生物学的または化学的な研究における種々のプロトコルには、局所支持体表面上または
所定の反応チャンバ内で多数の制御反応を実行することを含む。指定された反応はその後
、観察または検出され、それに続く分析が、反応に含まれる化学物質の特性を特定する、
または、明らかにする一助になり得る。例えば、一部のマルチプレックスアッセイでは、
特定可能な標識(例えば、蛍光標識)を有する未知の検体を、制御された条件下で何千と
いう既知のプローブにさらすことができる。各既知のプローブは、マイクロプレートの対
応ウェルに付着させることができる。ウェル内において既知のプローブと未知の検体との
間で起きる任意の化学的反応を観察することは、検体の特性を特定する、または、明らか
にする一助となり得る。このようなプロトコルの他の例には、合成によるシーケンシング
(sequencing-by-synthesis、SBS)または循環アレイシーケンシング(cyclic-array
sequencing)といった既知のDNA配列決定プロセスが含まれる。
【0004】
従来の蛍光検出プロトコルの一部では、光学システムを用いて蛍光標識検体に励起光を
誘導し、該検体から放射し得る蛍光シグナルも検出する。しかしながら、このような光学
システムは比較的高価であり、より大きいベンチトップ設置面積を必要とする場合がある
。例えば、光学システムは、レンズ、フィルタ、および光源の装置を含み得る。提案され
ている他の検出システムでは、制御された反応が、蛍光放射を検出する大きい光学アセン
ブリを必要としない固体イメージャ(例えば、電荷結合素子(charged-coupled device、
CCD)検出器または相補型金属酸化物半導体(metal-oxide-semiconductor、CMOS
)検出器)の上で即座に起きる。
【0005】
しかしながら、提案されている固体イメージングシステムは、いくつか限界を持ち得る
。例えば、励起光も固体イメージング装置の光センサに誘導される場合、励起光からの蛍
光放射を識別するのは困難だろう。加えて、電子装置に制御されたやり方で位置する検体
に試薬を流体的に送達することは、更なる課題を提示し得る。別の例として、蛍光放射は
実質的に等方性である。固体イメージング装置上の検体の濃度が増すにつれ、隣接検体か
らの不要な光放射(例えば、クロストーク)を管理する、または、その原因を説明するの
はますます困難になる。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態において、フローセルと、フローセルが結合した検出装置とを備えるバイオ
センサを提供する。フローセルと検出装置は、励起光に応じて光放射を生成する生物学的
または化学的な物質を有するように構成したフローチャネルを形成する。検出装置は、光
センサのセンサアレイと、光ガイドのガイドアレイとを有する装置ベースを備える。光ガ
イドは、励起光とフローチャネルからの光放射を受け取るように構成された入力領域を有
する。光ガイドは、入力領域から対応光センサに向かって装置ベース内に伸長し、励起光
をフィルタリングし、光放射が対応光センサに伝播することを可能にするように構成され
たフィルタ材を有する。装置ベースは光センサに電気的に結合し、光センサにより検出さ
れた光子に基づいてデータ信号を送るように構成した装置回路を備える。検出装置はまた
、フローチャネルと装置ベースの間に伸長するシールド層を備える。シールド層は、対応
光ガイドの入力領域を基準にして位置決めした開口を有し、光放射が開口を通って対応入
力領域に伝播するようにする。シールド層は、隣接開口間を伸長し、隣接開口間のシール
ド層へ入射する励起光および光放射をブロックするように構成する。
【0007】
一実施形態において、フローセルと、フローセルが結合した検出装置とを備えるバイオ
センサを提供する。フローセルと検出装置は、励起光に応じて光放射を生成する生物学的
または化学的な物質を有するように構成したフローチャネルを形成する。検出装置は、光
センサのセンサアレイと、光ガイドのガイドアレイとを有する装置ベースを備えることが
できる。光ガイドは、励起光とフローチャネルからの光放射を受け取るように構成する。
光ガイドはそれぞれ、光ガイドの入力領域からセンサアレイの対応光センサに向かって、
中心縦軸に沿って装置ベース内に伸長する。光ガイドは、励起光をフィルタリングし、光
放射が対応光センサに伝搬できるように構成したフィルタ材を備える。装置ベースは光セ
ンサに電気的に結合し、光センサにより検出される光子に基づきデータ信号を送るように
送るように構成した装置回路を備える。装置ベースには、ガイドアレイの対応光ガイドを
囲む周辺クロストークシールドを位置させる。クロストークシールドは、縦軸それぞれの
周りの対応光ガイドを少なくとも部分的に囲み、隣接光センサ間の光学的クロストークを
低減する。
【0008】
一実施形態において、バイオセンサを製造する方法を提供する。該方法は、光センサの
センサアレイと、光センサに電気的に結合し、光センサにより検出される光子に基づきデ
ータ信号を送るように構成した装置回路とを有する装置ベースを提供するステップを含む
。装置ベースは外面を有する。該方法はまた、シールド層を装置ベースの外面に適用し、
シールド層を貫通する開口を形成するステップを含む。該方法はまた、対応開口からセン
サアレイの対応光センサに向かって伸長するガイドキャビティを形成するステップと、フ
ィルタ材をガイドキャビティ内に付着させるステップを含む。フィルタ材の一部はシール
ド層に沿って伸長する。該方法はまた、フィルタ材を硬化させるステップと、フィルタ材
をシールド層から除去するステップを含む。ガイドキャビティ内のフィルタ材は、光ガイ
ドを形成する。該方法はまた、保護層をシールド層に適用し、保護層がシールド層に直接
的に沿って、開口全体に伸長するようにするステップを含む。
【0009】
一実施形態において、光センサのセンサアレイと、光ガイドのガイドアレイとを有する
装置ベースを備えたバイオセンサを提供する。装置ベースは外面を有する。光ガイドは、
外面に近接した生物学的または化学的な物質により生成される励起光および光放射を受け
取るように構成した、入力領域を有する。光ガイドは、入力領域から対応光センサに向か
って装置ベース内に伸長し、励起光をフィルタリングし、光放射が対応光センサに向かっ
て伝播できるように構成したフィルタ材を有する。装置ベースは、光センサに電気的に結
合し、光センサにより検出される光子に基づいてデータ信号を送るように構成した装置回
路を備える。バイオセンサはまた、装置ベースの外面に沿って伸長するシールド層を備え
る。シールド層は、対応光ガイドの入力領域を基準にして位置決めした開口を有し、光放
射が開口を通って対応入力領域に伝播するようにする。シールド層は隣接開口間を伸長し
、隣接開口間のシールド層へ入射する励起光および光放射をブロックするように構成する
【0010】
一実施形態において、光センサのセンサアレイと光ガイドのガイドアレイとを有する装
置ベースを備えたバイオセンサを提供する。装置ベースは外面を有する。光ガイドは、外
面に近接した生物学的または化学的物質により生成される励起光および光放射を受け取る
ように構成する。各光ガイドは、光ガイドの入力領域からセンサアレイの対応光センサに
向かって、中心縦軸に沿って装置ベース内に伸長する。光ガイドは、励起光をフィルタリ
ングし、光放射が対応光センサに向かって伝播できるように構成したフィルタ材を備える
。装置ベースは、光センサに電気的に結合し、光センサにより検出される光子に基づきデ
ータ信号を送るように送るように構成した、装置回路を備える。装置ベースには、ガイド
アレイの対応光ガイドを囲む周辺クロストークシールドを位置させる。クロストークシー
ルドは、縦軸それぞれの周りの対応光ガイドを少なくとも部分的に囲み、逸脱光線をブロ
ックするか、または、反射するうちの少なくとも一方を行って、隣接光センサ間の光学的
クロストークを低減する。
【0011】
複数の実施形態を記載するが、記載する主題のさらに他の実施形態が以下の詳細な説明
および図面から当業者には明らかになり、これは開示する発明の主題の例示的な実施形態
を示す。理解されようが、発明の主題は、記載する主題の精神および範囲から離れること
なく、種々の面で修正が可能である。したがって、図面および詳細な説明は本来例示とし
て見るべきであり、限定ではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態により形成した、生物学的または化学的分析のための代表的なシステムのブロック図である。
図2図1のシステムで用いることができる、代表的なシステム制御器のブロック図である。
図3】一実施形態による生物学的または化学的分析のための代表的なワークステーションのブロック図である。
図4】一実施形態による代表的なワークステーションおよび代表的なカートリッジの斜視図である。
図5図4のワークステーションを複数備えた、代表的なラックアセンブリの正面図である
図6】代表的なカートリッジの内部部品を示す図である。
図7】一実施形態により形成したバイオセンサの横断面図である。
図8図7の横断面の拡大部であり、バイオセンサをより詳細に示す図である。
図9図7の横断面の別の拡大部であり、バイオセンサをより詳細に示す図である。
図10】別の実施形態により形成した検出装置の横断面図である。
図11】一実施形態による、バイオセンサを製造する方法を示すフローチャートである。
図12A図11のバイオセンサを製造するステップの、異なる段階を示す図である。
図12B図11のバイオセンサを製造するステップの、異なる段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に記載の実施形態は、学術的分析または商用分析のための、種々の生物学的ま
たは化学的分析プロセスおよびシステムで用いることができる。より具体的には、本明細
書に記載の実施形態は、指定した反応であることを示す事象、特性、質、または特徴を検
出することが望まれる、種々のプロセスおよびシステムで用いることができる。例えば、
本明細書に記載の実施形態には、カートリッジ、バイオセンサ、およびその部品、ならび
に、カートリッジおよびバイオセンサを操作するバイオアッセイシステムを含む。特定の
実施形態では、カートリッジおよびバイオセンサはフローセルおよび1つまたは複数の光
センサを備え、これは実質的に単一の構造内で互いに結合する。
【0014】
バイオアッセイシステムは複数の指定した反応を実行するように構成することができ、
これは個別に、または、一括して検出することができる。バイオセンサおよびバイオアッ
セイシステムは、複数の指定した反応が平行して起きる、多数のサイクルを実行するよう
に構成することができる。例えば、バイオアッセイシステムは、酵素操作およびイメージ
取得の反復サイクルを通じ、高密度アレイのDNAフィーチャの配列を決定するのに用い
ることができる。したがって、カートリッジおよびバイオセンサは、試薬または他の反応
成分を反応部位に送達する、1つまたは複数のマイクロ流体チャネルを備える場合がある
。一部の実施形態では、反応部位を実質的に平坦な表面に無作為に分布させる。例えば反
応部位は、一部の反応部位が他の反応部位より互いにより近く位置する、不均一な分布を
有する場合がある。他の実施形態では、反応部位を実質的に平坦な表面に所定のやり方で
パターにングすることができる。各反応部位は、関連する反応部位からの光を検出する1
つまたは複数の光センサと関連させることができる。さらに他の実施形態では、反応部位
は、指定された反応を中でコンパートメント化する反応チャンバに位置する。
【0015】
以下のある実施形態についての詳細な記載は、添付の図面と併せて読むとより良く理解
されるだろう。図が種々の実施形態の機能的ブロックを図示する限りにおいては、機能的
ブロックがハードウェア回路間の区分を示すとは限らない。したがって、例えば、1つま
たは複数の機能的ブロック(例えば、プロセッサまたはメモリ)を、ハードウェアの単一
ピース(例えば、汎用シグナルプロセッサ、ランダムアクセスメモリ、またはハードディ
スク等)において実現することができる。同様にプログラムは、独立型プログラムとし、
操作システムにおいてサブルーチンとして組み込み、インストールしたソフトウェアパッ
ケージ等での機能とすることができる。種々の実施形態は、図面に示す配置および手段に
限定されるわけではない。
【0016】
本明細書で用いる場合、単数形で列挙され、「1つ(「a」「an」)」という語で始
まる素子またはステップは、複数の素子またはステップを除外しないものと理解すべきで
ある(ただし、かかる排除が明記されている場合を除く)。さらに、「一実施形態」への
言及は、列挙された特徴も組み込んだ追加の実施形態の存在を除外するものとして解釈さ
れることは意図されていない。その上、反対の明記がない限り、特定の特性を有する1つ
の素子または複数の素子を「含む(comprising)」または「有する(having)」実施形態
は、その特性を有するか否かを問わず、追加の素子を含むことができる。
【0017】
本明細書で用いる場合、「指定された反応」には、対象となる検体の化学的、電気的、
物理的、または光学的特性(もしくは、質)のうち少なくとも1つの変化を含む。特定の
実施形態において、指定された反応は、正の結合事象(例えば、蛍光標識生体分子の、対
象となる検体との混合)である。より一般的には、指定された反応は、化学的変換、化学
的変化、または化学的相互作用とすることができる。指定された反応は、電気的特性の変
化とすることもできる。例えば、指定された反応は、溶液中のイオン濃度の変化とするこ
とができる。代表的な反応には、還元、酸化、付加、脱離、転位、エステル化、アミド化
、エステル化、環化、または置換などの化学的反応;第1化学物質が第2化学物質に結合
する結合相互作用;2つ以上の化学物質が互いに分離する解離反応;蛍光;発光;生物発
光;化学発光;および、核酸複製、核酸増幅、核酸ハイブリダイゼーション、核酸ライゲ
ーション、リン酸化反応、酵素触媒反応、受容体結合、またはリガンド結合などの生物学
的反応を含むが、これに限定されるわけではない。指定された反応は、例えば、周囲の溶
液または環境のpH変化として検出可能である、陽子の付加または脱離とすることもでき
る。追加の指定された反応は、例えば、膜(例えば、天然の、または、合成の、二層膜)
を通るイオンの流れを検出することができ、例えば、イオンが膜をとって流れる際に流れ
を妨害し、その妨害を検出することができる。
【0018】
特定の実施形態において、指定された反応には蛍光標識分子の検体への導入を含む。検
体はオリゴヌクレオチドとすることができ、蛍光標識分子はヌクレオチドとすることがで
きる。指定された反応は、励起光を、標識ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドに誘
導し、フルオロフォアが検出可能な蛍光信号を放射する場合に検出することができる。代
替的な実施形態では、検出される蛍光は、化学発光または生物発光の結果である。指定さ
れた反応はまた、蛍光(つまり、フェルスター(Forster))共鳴エネルギー移動(FR
ET)を、例えば、ドナーフルオロフォアをアクセプタフルオロフォアに近接させること
により増大するか、ドナーフルオロフォアおよびアクセプタフルオロフォアを分離するこ
とによりFRETを低減するか、フルオロフォアから消光剤を分離することにより蛍光を
増強するか、または、消光剤とフルオロフォアを同一場所に位置させることにより蛍光を
弱めることができる。
【0019】
本明細書で用いる場合、「反応成分」または「反応物」には、指定された反応を得るた
めに用いることができる任意の物質を含む。例えば、反応成分には、試薬、酵素、試料、
他の生体分子、および緩衝液を含む。反応成分は、典型的には、溶液中の反応部位に送達
する、および/または、反応部位に固定化する。反応成分は、対象の検体といった別の物
質と、直接的に、または、非直接的に、相互作用することができる。
【0020】
本明細書で用いる場合、「反応部位」という用語は、指定された反応が起き得る局所領
域である。反応部位は基板の支持体表面を含み、そこに物質を固定化することができる。
例えば、反応部位は、核酸コロニーを有するフローセルのチャネルにおいて、実質的に平
坦な表面を含むことができる。典型的には、コロニー中の核酸は、例えば、一本鎖または
二本鎖のテンプレートのクローンコピーである同一配列を有するが、常にではない。しか
しながら、一部の実施形態では、反応部位は、例えば一本鎖または二本鎖の形をした、単
一核酸分子のみを含むことができる。さらに、複数の反応部位は支持体表面に沿って無作
為に分布させるか、または所定のやり方で(例えば、マイクロアレイなどマトリックスに
おいて並べて)配置することができる。反応部位はまた、指定された反応をコンパートメ
ント化するように構成した空間領域または体積を少なくとも部分的に定義する、反応チャ
ンバを含む。本明細書で用いる場合、「反応チャンバ」という用語は、フローチャネルと
流体連結する空間領域を含む。反応チャンバは、周囲の環境または他の空間領域から少な
くとも部分的に分離させることができる。例えば、複数の反応チャンバは、共有壁により
互いに分離させることができる。より具体的な例として、反応チャンバは、ウェルの内面
により定義されるキャビティを備え、該キャビティがフローチャネルと流体連結できるよ
うにオープニングまたは開口を有することができる。このような反応チャンバを備えるバ
イオセンサは、2011年10月20日提出の国際公開第PCT/US2011/057
111号により詳細に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
一部の実施形態では、反応チャンバは、固体(半固体を含む)を完全に、または、部分
的に挿入できるように、該固体を基準にしてサイズ決めし、成形する。例えば、反応チャ
ンバは、捕捉ビーズを1つのみ収容するようにサイズ決めし、成形することができる。捕
捉ビーズは、クローン的に増幅したDNAまたは他の物質を有することができる。あるい
は、反応チャンバは、ほぼ同数のビーズまたは固体基板を受け取るようにサイズ決めし、
成形することができる。別の例として、反応チャンバはまた、反応チャンバに流れ込むこ
とができる、拡散を制御するように構成した多孔質なゲル若しくは物質、または、フィル
タ流体で満たすことができる。
【0022】
一部の実施形態において、光センサ(例えば、光ダイオード)を対応反応部位に関連付
ける。反応部位と関連付けた光センサは、指定された反応が関連する反応部位で起きた場
合に、関連する反応部位からの光放射を検出するように構成する。場合によっては、複数
の光センサ(例えば、数ピクセルのカメラ装置)を単一反応部位に関連付けることができ
る。他の場合では、単一の光センサ(例えば、単一ピクセル)を単一反応部位または反応
部位の一群と関連付けることができる。光センサ、反応部位、および、バイオセンサの他
の機構は、光の少なくとも一部が反射されることなく光センサにより直接的に検出される
ように、構成することができる。
【0023】
本明細書で用いる場合、2つの反応部位に対して用いる場合の「隣接する」という用語
は、他の反応部位が2つの反応部位の間に位置しないことを意味する。「隣接する」とい
う用語は、隣接検出経路および隣接光センサに関して用いる場合も同様の意味を持ち得る
(例えば、隣接光センサは、その間に他の光センサを有しない)。場合によっては、反応
部位は別の反応部位に隣接できないが、他の反応部位のすぐ近くになお存在する場合があ
る。第1反応部位からの蛍光放射信号を第2反応部位と関連する光センサにより検出する
場合、第1反応部位は第2反応部位のすぐ近くに存在し得る。より具体的には、第2反応
部位と関連する光センサが、例えば、第1反応部位からのクロストークを検出する場合、
第1反応部位は第2反応部位のすぐ近くに存在し得る。隣接反応部位は、互いに隣接する
ように近接させるか、または、間に介在スペースを置いて隣接部位を非近接とすることが
できる。
【0024】
本明細書で用いる場合、「物質」には、生物学的または化学的な物質と同様に、捕捉ビ
ーズといったアイテムまたは固体も含む。本明細書で用いる場合、「生物学的または化学
的な物質」には、生体分子、対象となる試料、対象となる検体、および、他の化合物を含
む。生物学的または化学的な物質は、他の化合物を検出し、特定し、もしくは分析するの
に用いることか、または、他の化合物を研究もしくは分析するための中間物として機能さ
せることができる。特定の実施形態では、生物学的または化学的物質には生体分子を含む
。本明細書で用いる場合、「生体分子」には、生体ポリマー、ヌクレオシド、核酸、ポリ
ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、タンパク質、酵素、ポリペプチド、抗体、抗原、リ
ガンド、受容体、多糖類、炭水化物、ポリホスフェート、細胞、組織、生物、またはその
断片、もしくは、前記種の類似体か模倣体といった、その他の生物学的にアクティブな化
合物を含む。
【0025】
生物学的または化学的物質には、パイロシーケンシング反応においてピロホスフェート
を検出するのに用いる酵素または試薬など、別の反応の生成物を検出する共役反応で用い
る酵素または試薬を含む。ピロホスフェート検出に有用な酵素および試薬は、例えば、米
国特許出願公開第2005/0244870号明細書に記載されており、これはその全体
が参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
生体分子試料、および、生物学的または化学的な物質は、天然に存在するか、または合
成し、空間領域内で溶液または混合物に懸濁することができる。生体分子試料、および、
生物学的または化学的な物質はまた、固相またはゲル材料に結合することができる。生体
分子、試料、および、生物学的または化学的な物質はまた、医薬組成物を含むことができ
る。場合によっては、対象となる生体分子、試料、および、生物学的または化学的な物質
は、標的、プローブ、または検体と呼ぶことができる。
【0027】
本明細書で用いる場合、「バイオセンサ」は複数の反応部位を有する構造を備え、これ
は反応部位で、または反応部位に近接して起きる指定された反応を検出するように構成す
る。バイオセンサは、固体イメージング装置(例えば、CCDイメージャ、またはCMO
Sイメージャ)を備え、任意で、フローセルを取り付ける。フローセルは、反応部位と流
体連結する少なくとも1つのフローチャネルを備えることができる。一具体例として、バ
イオセンサは、バイオアッセイシステムに流体的に、かつ、電気的に結合するように構成
する。バイオアッセイシステムは、所定のプロトコル(例えば、合成によるシーケンシン
グ)に従って、反応物を反応部位に送達することができ、複数のイメージング事象を実行
することができる。例えばバイオアッセイシステムは、反応部位に沿って流れるように溶
液を誘導することができる。溶液のうち少なくとも1つは、同一の、または、異なる蛍光
標識を有する4つのタイプのヌクレオチドを含む。ヌクレオチドは、反応部位に位置する
対応オリゴヌクレオチドに結合することができる。バイオアッセイシステムはその後、励
起光源(例えば、発光ダイオード、つまりLEDなどの固体光源)を用いて反応部位を照
明することができる。励起光は、所定の波長、または、ある範囲の波長を含む波長を有す
ることができる。励起した蛍光標識は、光センサにより検出できる放射信号を提供する。
【0028】
代替的な実施形態では、バイオセンサは、他の特定可能な特性を検出するように構成し
た、電極または他のタイプのセンサを備えることができる。例えばセンサを、イオン濃度
の変化を検出するように構成することができる。別の例ではセンサを、膜を流れるイオン
電流を検出するように構成することができる。
【0029】
本明細書で用いる場合、「カートリッジ」はバイオセンサを保持するように構成した構
造を備える。一部の実施形態において、カートリッジは、バイオセンサの反応部位に励起
光を提供するように構成した、光源(例えば、LED)などの追加の機構を有することが
できる。カートリッジはまた、流体保存システム(例えば、試薬、試料、および緩衝剤の
保存)と、反応成分および試料等を反応部位に流体的に移送するための流体制御システム
(例えば、ポンプおよび弁等)を備えることができる。例えば、バイオセンサを準備また
は製造した後、バイオセンサをカートリッジのケースまたはコンテナに結合することがで
きる。一部の実施形態において、バイオセンサおよびカートリッジは、自己完結型の、使
い捨てユニットとすることができる。しかしながら、他の実施形態は、除去可能な部分を
有するアセンブリを備えることができ、これによりユーザは、成分または試料の管理また
は交換のためにバイオセンサまたはカートリッジの内部にアクセスできるようになる。バ
イオセンサおよびカートリッジは、制御反応を実行するシーケンシングシステムといった
より大きいバイオセンサに、除去可能に結合または係合することができる。
【0030】
本明細書で用いる場合、「除去可能に」および「結合(つまり、係合)した」という用
語を共に用いて、バイオセンサ(または、カートリッジ)とシステムレセプタクルまたは
バイオアッセイシステムのインターフェイスの間の関係を記載する場合、該用語は、バイ
オセンサ(または、カートリッジ)とシステムレセプタクルの間の接続は、システムレセ
プタクルおよび/またはバイオセンサ(または、カートリッジ)を破壊または破損するこ
となく、容易に分離可能であることを意味することを意図する。部品は、該部品を分離す
る際、過度の労力またはかなりの時間を費やすことなく互いに分離できる場合に、容易に
分離可能であるとする。例えば、バイオセンサ(または、カートリッジ)は、バイオアッ
セイシステムの相手コンタクトが破壊または破損しないような電気的なやり方で、システ
ムレセプタクルに除去可能に結合または係合することができる。バイオセンサ(または、
カートリッジ)はまた、バイオセンサ(または、カートリッジ)を保持する機構を破壊ま
たは破損しないような力学的なやり方で、システムレセプタクルに除去可能に結合または
係合することができる。バイオセンサ(または、カートリッジ)は、システムレセプタク
ルのポートが破壊または破損しないような流体的なやり方で、システムレセプタクルに除
去可能に結合または係合することができる。システムレセプタクルまたは部品は、例えば
、部品の単なる調整(例えば、再調整)または単なる交換(例えば、ノズルの交換)のみ
が必要である場合、破壊または破損することは考えられない。
【0031】
本明細書で用いる場合、「流体連結」または「流体的に結合した」という用語は、液体
またはガスが間を流れることができるように互いに接続した2つの空間領域を指す。例え
ば、マイクロ流体チャネルを反応チャンバと流体連結し、流体がマイクロ流体チャネルか
ら反応チャンバに自由に流れることができるようにすることができる。「流体連結して」
または「流体的に結合して」という用語は、システムを通過する流体の流れを制御または
調整するように構成した、1つまたは複数の弁、リストリクタ、または他の流体部品によ
って流体連結している2つの空間領域を考慮に入れる。
【0032】
本明細書で用いる場合、「固定化した」という用語は、生体分子または生物学的もしく
は化学的な物質に対して用いる場合、生体分子または生物学的もしくは化学的な物質を分
子レベルで表面に実質的に付着させることを含む。例えば、非共有相互作用を含む吸着技
術(例えば、静電気力、ファンデルワールス力、および疎水性界面の脱水)、ならびに、
官能基またはリンカーが生体分子を表面に付着させるのを促す共有結合技術を用いて、生
体分子または生物学的もしくは化学的な物質を基板材料の表面に固定化することができる
。生体分子または生物学的もしくは化学的な物質を基板材料の表面に固定化することは、
基板表面の特性、生体分子または生物学的もしくは化学的な物質を運ぶ液状媒体、および
、生体分子または生物学的もしくは化学的な物質自体の特性に基づくことができる。場合
によっては、基板表面を機能的にし(例えば、化学的に、または、物理的に修正し)、生
体分子(または生物学的若しくは化学的な物質)を基板表面に固定化するのを促すことが
できる。基板表面はまず、官能基を表面に結合するように修正することができる。官能基
はその後、生体分子または生物学的もしくは化学的な物質に結合し、それらをその上で固
定化することができる。物質は、例えば、米国特許出願公開第US2011/00598
65号明細書に記載されているゲルを介して表面に固定することが可能であり、これは参
照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
一部の実施形態において、核酸を表面に付着させ、ブリッジ増幅を用いて増幅すること
が可能である。有用なブリッジ増幅法は、例えば、米国特許第5641658号明細書、
国際公開第07/010251号、米国特許第6090592号明細書、米国特許出願公
開第2002/0055100号明細書、米国特許第7115400号明細書、米国特許
出願公開第2004/0096853号明細書、同第2004/0002090号明細書
、同第2007/0128624号明細書、同第2008/0009420号明細書に記
載されており、これらはその全体が本明細書に組み込まれる。表面で核酸を増幅する別の
有用な方法は、例えば、下記に詳細を記載する方法を用いたローリングサークル増幅(ro
lling circle amplification、RCA)である。一部の実施形態において、核酸を表面に
付着させ、1つまたは複数のプライマー対を用いて増幅することができる。例えば、プラ
イマーの1つは溶液中に置き、他のプライマーは表面に固定化することが可能である(例
えば、5'-付着)。例として、核酸分子を表面上にあるプライマーの1つにハイブリダイ
ズし、その後、固定化プライマーを伸長して核酸の第1複製を生成することができる。溶
液中のプライマーをその後、核酸の第1複製にハイブリダイズし、核酸の第1複製をテン
プレートとして用いることで伸長させることができる。任意で、核酸の第1複製を生成し
た後、元の核酸分子を表面上で第2の固定化プライマーにハイブリダイズすることができ
、溶液中のプライマーを伸長させるのと同時に、またはその後で、伸長させることができ
る。任意の実施形態では、固定化プライマーおよび溶液中のプライマーを用いて伸長ラウ
ンド(例えば、増幅)を繰り返すことで、核酸の複数の複製を提供する。
【0034】
特定の実施形態では、本明細書に記載のシステムおよび方法で実行されるアッセイプロ
トコルは、天然ヌクレオチドの使用と、天然ヌクレオチドと相互作用するように構成した
酵素の使用も含む。天然ヌクレオチドには、例えば、リボヌクレオチドまたはデオキシリ
ボヌクレオチドを含む。天然のヌクレオチドは、モノホスフェート、ジホスフェート、ま
たはトリホスフェートの形とすることができ、アデニン(A)、チミン(T)、ウラシル
(U)、グアニン(G)、またはシトシン(C)から選択したベースを有することができ
る。しかしながら、非天然ヌクレオチド、修正ヌクレオチド、または前述のヌクレオチド
の類似体を用いることが可能であることも理解されよう。有用な非天然ヌクレオチドのい
くつかの例は、可逆的ターミネーターに基づく合成によるシーケンシング法に関して下記
に記載する。
【0035】
反応チャンバを含む実施形態では、アイテムまたは固体物質(半固体物質を含む)を反
応チャンバに配置することができる、配置する際、アイテムまたは固体は、締りばめ、接
着、封入により物理的に反応チャンバ内に保持または固定化することができる。反応チャ
ンバ内に配置することができる例示的なアイテムまたは固体には、ポリマービーズ、小粒
、アガロースゲル、パウダー、量子ドット、または、反応チャンバ内で圧縮する、および
/もしくは、保持することができる他の固体を含む。特定の実施形態では、DNAボール
などの核酸上部構造を、例えば、反応チャンバへ付着させる、または、反応チャンバ内の
液体に滞留させることにより、反応チャンバ内または反応チャンバに配置することが可能
である。DNAボールまたは他の核酸上部構造を予め形成し、その後、反応チャンバ内ま
たは反応チャンバに配置することが可能である。あるいは、DNAボールを反応チャンバ
でその場(in situ)で合成することが可能である。DNAボールは、ローリングサイク
ル増幅により合成し、特定の核酸配列のコンカテマーを生成することが可能であり、コン
カテマーは比較的コンパクトなボールを形成するという条件で扱うことができる。DNA
ボールおよびその合成に関する方法は、例えば、米国特許出願公開第2008/0242
560号明細書または同第2008/0234136号明細書に記載されており、これら
はその全体が本明細書に組み込まれる。反応チャンバに保持または配置される物質は、固
体状、液状、または、ガス状とすることができる。
【0036】
図1は、一実施形態に従って形成した、生物学的または化学的な分析のための例示的な
バイオアッセイシステム100のブロック図である。「バイオアッセイ」という用語は、
バイオアッセイシステム100を操作し、生物学的または化学的な物質の少なくとも1つ
と関係する任意の情報またはデータを得ることに限定することは意図しない。一部の実施
形態において、バイオアッセイシステム100は、ベンチトップ装置またはデスクトップ
コンピュータに類似し得るワークステーションである。例えば、指定された反応を行うた
めのシステムおよび部品の大部分(または全て)は、共通のケース116内に配置するこ
とが可能である。
【0037】
特定の実施形態において、バイオアッセイシステム100は、種々の用途のために構成
した核酸配列決定システム(つまり、シーケンサ)であり、de novoシーケンシング、全
ゲノムまたは標的ゲノム領域のリシーケンシング、およびメタゲノム解析を含むが、これ
らに限定されるわけではない。シーケンサはまた、DNAまたはRNAの分析に用いるこ
とができる。一部の実施形態において、バイオアッセイシステム100はまた、バイオセ
ンサ内で反応部位を生成するように構成することができる。例えば、バイオアッセイシス
テム100は、試料を受け取り、該試料に由来するクローン的に増幅した核酸の、表面に
付着したクラスタを生成することができる。各クラスタは、バイオセンサ内の反応部位を
構成するか、またはその一部であることができる。
【0038】
例示的なバイオアッセイシステム100は、バイオセンサ102と相互作用して、バイ
オセンサ102内で指定された反応を実行するように構成した、システムレセプタクルま
たはインターフェイス112を備えることができる。図1に関する以下の記載において、
バイオセンサ102はシステムレセプタクル112に搭載する。しかしながら、バイオセ
ンサ102を備えるカートリッジは、システムレセプタクル112内に挿入することがで
き、一部の状態では、カートリッジは、一時的にまたは永続的に除去することが可能であ
ると理解されよう。上記のようにカートリッジは、他のものの内、流体制御部品および流
体保存部品を備えることができる。
【0039】
特定の実施形態において、バイオアッセイシステム100は、バイオセンサ102内で
平行な反応を多数実行するように構成する。バイオセンサ102は、指定された反応が起
き得る1つまたは複数の反応部位を備える。反応部位は、例えば、バイオセンサの固体表
面に固定化するか、または、バイオセンサの対応反応チャンバに位置するビーズ(または
、他の可動基板)に固定化することができる。反応部位は、例えば、クローン的に増幅し
た核酸のクラスタを含むことができる。バイオセンサ102は、固体イメージング装置(
例えば、CCDイメージャまたはCMOSイメージャ)を備え、フローセルが取り付けら
れる。フローセルは、バイオアッセイシステム100から溶液を受け取る1つまたは複数
のフローチャネルを備え、反応部位に溶液を誘導することができる。任意で、バイオセン
サ102は、フローチャネルの内外に熱エネルギーを移送する感熱素子を係合するように
構成することが可能である。
【0040】
バイオアッセイシステム100は、種々の部品、アセンブリ、およびシステム(または
、サブシステム)を備えることができ、これらは互いに相互作用し、生物学的または化学
的な分析のための、所定の方法またはアッセイプロトコルを実行する。例えば、バイオア
ッセイシステム100は、種々の部品、アセンブリ、およびバイオアッセイシステム10
0のサブシステムと通信できるシステム制御器104を備え、ならびに、バイオセンサ1
02も備える。例えば、システムレセプタクル112に加え、バイオアッセイシステム1
00はまた、バイオアッセイシステム100およびバイオセンサ102の流体ネットワー
クを通る流体の流れを制御する流体制御システム106と;全流体(例えば、ガスまたは
液体)を保持するように構成し、バイオアッセイシステムに使用される流体保存システム
108と;流体ネットワーク、流体保存システム108、および/または、バイオセンサ
102内の流体温度を調整できる温度制御システム110と;バイオセンサ102を照明
するように構成した照明システム111を備えることができる。上記のように、バイオセ
ンサ102を有するカートリッジをシステムレセプタクル112に搭載した場合、カート
リッジはまた、流体制御部品および流体保存部品を備えることができる。
【0041】
図示するように、バイオアッセイシステム100は、ユーザと相互作用するユーザイン
ターフェイス114を備えることができる。例えば、ユーザインターフェイス114は、
ユーザからの情報を表示または要求するディスプレイ113と、ユーザの入力を受け取る
ユーザ入力装置115を備えることができる。一部の実施形態において、ディスプレイ1
13とユーザ入力装置115は同一の装置である。例えば、ユーザインターフェイス11
4は、人の接触があることを検出し、ディスプレイ上の接触の場所も特定するように構成
した接触感知ディスプレイを備えることができる。しかしながら、マウス、タッチパッド
、キーボード、キーパッド、ハンドヘルドスキャナ、音声認識システム、および動作認識
システム等の、他のユーザ入力装置115も使用できる。以下で詳細に述べるように、バ
イオアッセイシステム100は、(例えば、カートリッジの形をした)バイオセンサ10
2を含む種々の部品と通信して、指定された反応を実行する。バイオアッセイシステム1
00はまた、バイオセンサから得たデータを分析し、ユーザに望ましい情報を提供するよ
うに構成することができる。
【0042】
システム制御器104は、マイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータ(redu
ced instruction set computer、RISC)、特定用途向け集積回路(application spec
ific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field
programmable gate array、FPGA)、論理回路、および、本明細書に記載の機能を実
行可能なその他の回路またはプロセッサを用いたシステムなど、プロセッサに基づく、ま
たは、マイクロプロセッサに基づくシステムを備えることができる。上の例は単なる例示
であり、したがって、システム制御器という用語の定義および/または意味を多少なりと
も限定することを意図しない。例示的な実施形態において、システム制御器104は、検
出データを得る、および、検出データを分析するうちの少なくとも一方を行うため、1つ
または複数の記憶素子、メモリ、またはモジュールに記憶した一連の指示を実行する。記
憶素子は、バイオアッセイシステム100内で、情報源または物理的なメモリ素子の形と
することができる。
【0043】
一連の指示には、バイオアッセイシステム100またはバイオセンサ102に指示し、
本明細書に記載の種々の実施形態の方法およびプロセスなど具体的な操作を行う種々のコ
マンドを含む。一連の指示は、ソフトウェアプログラムの形式とすることができ、これは
、有形で非一次的なコンピュータ可読媒体の一部を形成することができる。本明細書で用
いる場合、「ソフトウェア」および「ファームウェア」という用語は互換性があり、RA
Mメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、および、不揮発性R
AM(NVRAM)メモリなど、コンピュータが実行するためのメモリに保存された任意
のコンピュータプログラムを含む。上記のメモリタイプは単なる例示であり、コンピュー
タプログラムの保存に使用可能なメモリのタイプを限定するものではない。
【0044】
ソフトウェアは、システムソフトウェアまたはアプリケーションソフトウェアなど、種
々の形とすることができる。さらに、ソフトウェアは、別個のプログラムの集合、または
、より大きいプログラム内のプログラムモジュールもしくはプログラムモジュールの一部
という形式にすることができる。ソフトウェアはまた、オブジェクト指向プログラミング
形式のモジュラープログラミングを含むことができる。検出データを得た後、検出データ
はバイオアッセイシステム100により自動的に処理するか、ユーザの入力に応じて処理
するか、または、別の処理機によりなされた要求(例えば、通信リンクを介した遠隔要求
)に応じて処理することができる。
【0045】
システム制御器104は、通信リンクを介してバイオセンサ102およびバイオセンサ
システム100の他の部品と接続することができる。システム制御器104はまた、現場
から離れたシステムまたはサーバに通信可能に接続することができる。通信リンクは配線
で接続されるか、またはワイヤレスとすることができる。システム制御器104は、ユー
ザインターフェイス114およびユーザ入力装置115からユーザ入力またはコマンドを
受け取ることができる。
【0046】
流体制御システム106は流体ネットワークを備え、1つまたは複数の流体の流れを流
体ネットワークを介して誘導および制御するように構成する。流体ネットワークは、バイ
オセンサ102および流体保存システム108と流体連結することができる。例えば、選
択流体を流体保存システム108から引き出し、制御されたやり方でバイオセンサ102
に誘導するか、または、流体をバイオセンサ102から引き出し、例えば、流体保存シス
テム108の廃棄リザーバに誘導することができる。図示しないが、流体制御システム1
06は、流体ネットワーク内の流速または流圧を検出する流量センサを備えることができ
る。センサはシステム制御器104と通信することができる。
【0047】
温度制御システム110は、流体ネットワーク、流体保存システム108、および/ま
たはバイオセンサ102の異なる領域にある流体の温度を調整するように構成する。例え
ば、温度制御システム110は、バイオセンサ102とインターフェイスで接続する熱サ
イクラを備え、バイオセンサ102の反応部位に沿って流れる流体の温度を制御すること
ができる。温度制御システム110はまた、バイオアッセイシステム100またはバイオ
センサ102の固体素子または部品の温度を調整することができる。図示しないが、温度
制御システム110は、流体または他の部品の温度を検出するセンサを備えることができ
る。センサはシステム制御器104と通信することができる。
【0048】
流体保存システム108は、バイオセンサ102と流体連結し、指定された反応を実行
するのに用いる種々の反応成分または反応物を保存することができる。流体保存システム
108はまた、流体ネットワークおよびバイオセンサ102を洗浄または清掃するために
、ならびに、反応物を希釈するために、流体を保存することができる。例えば、流体保存
システム108は、試料、試薬、酵素、他の生体分子、緩衝液、ならびに、水性および無
極性の溶液等を保存するための種々のリザーバを含むことができる。さらに、流体保存シ
ステム108はまた、バイオセンサ102からの廃棄物を受け取るための廃棄リザーバを
備えることができる。カートリッジを備える実施形態では、カートリッジは、1つまたは
複数の流体保存システム、流体制御システム、または温度制御システムを備えることがで
きる。したがって、これらのシステムに関連して本明細書に記載する、1つまたは複数の
部品は、カートリッジケース内に収容することができる。例えば、カートリッジは、試料
、試薬、酵素、他の生体分子、緩衝液、ならびに、水性および無極性の溶液等を保存する
種々のリザーバを含むことができる。したがって、1つまたは複数の流体保存システム、
流体制御システム、または温度制御システムは、カートリッジまたは他のバイオセンサを
介して、バイオアッセイシステムと除去可能に係合することが可能である。
【0049】
照明システム111は、バイオセンサを照明する光源(例えば、1つまたは複数のLE
D)および複数の光学部品を備えることができる。光源の例には、レーザ、アークランプ
、LED、またはレーザダイオードを含み得る。光学部品は、例えば、反射板、ダイクロ
イック、ビームスプリッタ、コリメータ、レンズ、フィルタ、ウェッジ、プリズム、ミラ
ー、および検出器等とすることができる。照明システムを用いる実施形態において、照明
システム111は励起光を反応部位に誘導するように構成することができる。一例として
、フルオロフォアは、光の緑色波長で励起することができるため、励起光の波長は約53
2nmとすることができる。
【0050】
システムレセプタクルまたはインターフェイス112は、機械的、電気的、および流体
的なやり方のうち少なくとも1つで、バイオセンサ102と係合するように構成すること
ができる。システムレセプタクル112は、望ましい向きでバイオセンサ102を保持し
、バイオセンサ102を通して流体の流れを助けることができる。システムレセプタクル
112はまた、バイオセンサ102を係合するように構成した電気コンタクトを備えるこ
とができ、その結果、バイオアッセイシステム100はバイオセンサ102と通信する、
および/または、バイオセンサ102にパウダーを提供することができる。さらに、シス
テムレセプタクル112は、バイオセンサ102を係合するように構成した流体ポート(
例えば、ノズル)を備えることができる。一部の実施形態では、バイオセンサ102を、
機械的なやり方、電気的なやり方、および、流体的なやり方でも、システムレセプタクル
112に除去可能に結合することができる。
【0051】
加えて、バイオアッセイシステム100は、他のシステムもしくはネットワーク、また
は、他のバイオアッセイシステム100と遠隔で通信することができる。バイオアッセイ
システム100により得られた検出データは、遠隔データベースに保存することができる
【0052】
図2は、例示的な実施形態におけるシステム制御器104のブロック図である。一実施
形態において、システム制御器104は、互いに通信可能な1つまたは複数のプロセッサ
またはモジュールを備える。各プロセッサまたはモジュールは、アルゴリズム(例えば、
有形で、および/または、非一時的なコンピュータ可読媒体に保存された指示)またはサ
ブアルゴリズムを備え、特定のプロセスを実行することができる。システム制御器104
は、モジュールの集合として概念的に示すが、専用のハードウェアボード、DSP、プロ
セッサなどの任意の組み合わせを利用して構築することもできる。あるいは、システム制
御器104は、単一プロセッサまたは複数のプロセッサを有する既製のPCを、プロセッ
サ間に分布する機能操作とともに利用して、構築することができる。さらなるオプション
として、あるモジュラー機能は割り当てられたハードウェアを利用して実行し、一方で、
残りのモジュラー機能は既製のPC等を利用して実行するというハイブリッド構成を利用
して、下記のモジュールを構築することができる。モジュールはまた、処理用ユニット内
のソフトウェアモジュールとして構築することもできる。
【0053】
操作時に、通信リンク120はバイオセンサ102(図1)および/またはサブシステ
ム106、108、110(図1)に情報(例えば、コマンド)を送るか、または、バイ
オセンサ102(図1)および/またはサブシステム106、108、110(図1)か
ら情報(例えば、データ)を受け取ることができる。通信リンク122はユーザの入力を
ユーザインターフェイス114(図1)から受け取り、データまたは情報をユーザインタ
ーフェイス114に送ることができる。バイオセンサ102またはサブシステム106、
108、110からのデータは、バイオアッセイセッション時にリアルタイムで、システ
ム制御器104により処理することができる。加えて、または、あるいは、バイオアッセ
イセッション時にデータをシステムメモリに一時的に保存し、リアルタイムより遅く、ま
たは、オフライン操作で処理することができる。
【0054】
図2に示すように、システム制御器104は、メイン制御モジュール130と通信する
、複数のモジュール131~139を備えることができる。メイン制御モジュール130
は、ユーザインターフェイス114(図1)と通信することができる。モジュール131
~139はメイン制御モジュール130と直接通信するように示されるが、モジュール1
31~139はまた、互いに、ユーザインターフェイス114と、および、バイオセンサ
102と直接通信することもできる。また、モジュール131~139は、他のモジュー
ルを通してメイン制御モジュール130と通信することができる。
【0055】
複数のモジュール131~139は、システムモジュール131~133、139を備
え、これはそれぞれサブシステム106、108、110、および111と通信する。流
体制御モジュール131は、流体制御システム106と通信し、流体ネットワークの弁お
よびフローセンサを制御して、流体ネットワークを通る1つまたは複数の流体を制御する
ことができる。流体保存モジュール132は流体が少ない場合か、または、廃棄リザーバ
が満杯またはほぼ満杯である場合、ユーザに知らせることができる。流体保存モジュール
132はまた、温度制御モジュール133と通信し、流体が望ましい温度で保存できるよ
うにすることが可能である。照明モジュール139は照明システム109と通信し、プロ
トコルの間で指定された時刻に、例えば、指定された反応(例えば、結合事象)が起きた
後に、反応部位を照明することができる。
【0056】
複数のモジュール131~139はまた、装置モジュール134を備えることができ、
これは、バイオセンサ102、および、バイオセンサ102と関係する特定情報を決定す
る特定モジュール135と通信する。装置モジュール134は、例えば、システムレセプ
タクル112と通信して、バイオセンサがバイオアッセイシステム100と電気的および
流体的な接続を確立したことを確かめることができる。特定モジュール135は、バイオ
センサ102を特定する信号を受け取ることができる。特定モジュール135は、バイオ
センサ102の固有性を利用して他の情報をユーザに提供することができる。例えば、特
定モジュール135は、ロット番号、製造日、または、バイオセンサ102とともに実行
することを推奨されるプロトコルを決定し、その後表示することができる。
【0057】
複数のモジュール131~139は、バイオセンサ102からの信号データ(例えば、
イメージデータ)を受け取り、分析する、検出データ分析モジュール138を備えること
ができる。信号データは、次の分析のために保存するか、または、ユーザインターフェイ
ス114に送り、望ましい情報をユーザに表示することができる。一部の実施形態におい
て、信号データは、検出データ分析モジュール138が該信号データを受け取る前に、固
体イメージャ(例えば、CMOSイメージセンサ)により処理することができる。
【0058】
プロトコルモジュール136および137は、メイン制御モジュール130と通信し、
所定のアッセイプロトコルを実行する際にサブシステム106、108、および110の
操作を制御する。プロトコルモジュール136および137は、バイオアッセイシステム
100に指示し所定のプロトコルに従って具体的な操作を実行するための、一連の指示を
含むことができる。図示するように、プロトコルモジュールは、合成によるシーケンシン
グ(SBS)モジュール136とすることができ、これは、合成によるシーケンシング処
理を実行するための種々のコマンドを出すように構成する。SBSでは、核酸テンプレー
トに沿った核酸プライマーの伸長を監視して、テンプレート中のヌクレオチド配列を決定
する。基礎となる化学的処理は、(例えば、ポリメラーゼ酵素により触媒される)ポリメ
リゼーション、または、(例えば、リガーゼ酵素により触媒される)ライゲーションとす
ることができる。特定の、ポリメラーゼに基づくSBS実施形態では、蛍光標識ヌクレオ
チドをテンプレート依存方式でプライマーに添加し(それによりプライマーを伸長して)
、プライマーに添加したヌクレオチドの順番および型の検出を利用してテンプレートの配
列を決定することが可能である。例えば、第1SBSサイクルを開始するため、コマンド
を与えて1つまたは複数の標識ヌクレオチド、DNAポリメラーゼ等を、核酸テンプレー
トのアレイを収容するフローセル内に/フローセルを通して送達することが可能である。
核酸テンプレートは、対応反応部位に位置させることができる。プライマーの伸長により
標識ヌクレオチドの導入が引き起こされる反応部位は、イメージング事象を通して検出す
ることが可能である。イメージング事象の間、照明システム111は励起光を反応部位に
提供することができる。任意でヌクレオチドは、いったんヌクレオチドがプライマーに添
加されたらさらなるプライマーの伸長を終止する、可逆的ターミネーション特性をさらに
備えることが可能である。例えば、可逆的ターミネーター部を有するヌクレオチド類似体
をプライマーに添加し、脱ブロック化剤を送達して該部を除去するまで次の伸長が起きな
いようにすることが可能である。したがって、可逆的ターミネーションを用いる実施形態
では、脱ブロック化試薬を(検出を行う前後で)フローセルに送達することが可能である
。1つまたは複数のコマンドを、種々の送達ステップ間の洗浄に影響を及ぼすために与え
ることが可能である。サイクルはその後、n回繰り返し、nヌクレオチド分、プライマー
を伸長し、それにより長さnの配列を検出することが可能である。例示的な配列決定法は
、例えば、Bentleyら(Nature 456:53-59 (2008))、国際公開第04/018497号、
米国特許第7057026号明細書、国際公開第91/06678号、同07/1237
44号、米国特許第7329492号明細書、同第7211414号明細書、同第731
5019号明細書、同第7405281号明細書、および米国特許出願公開第2008/
0108082号明細書に記載されており、これらはそれぞれ、参照により本明細書に組
み込まれる。
【0059】
SBSサイクルのヌクレオチド送達ステップでは、単一のヌクレオチド型を同時に送達
するか、または、複数の異なるヌクレオチド型(例えば、A,C、T、およびGを一緒に
)を送達することが可能である。単一のヌクレオチド型のみが同時に存在するヌクレオチ
ド送達構成では、異なるヌクレオチドは、個別化した送達に固有の時間的分離に基づいて
識別することが可能であるため、別個の標識を有する必要がない。したがって、配列決定
法または装置は、淡色検出を用いることが可能である。例えば、励起源は単一波長または
単一の波長範囲で励起を提供することのみ必要である。送達により複数の異なるヌクレオ
チドがフローセルに同時に存在するヌクレオチド送達構成では、異なるヌクレオチド型を
導入する部位は、混合物中のそれぞれのヌクレオチド型に付着した異なる蛍光標識に基づ
いて識別することが可能である。例えば、それぞれが4つの異なるフルオロフォアのうち
1つを有する、4つの異なるヌクレオチドを用いることが可能である。一実施形態におい
て、4つの異なるフルオロフォアは、4つの異なるスペクトル領域での励起を用いて識別
することが可能である。例えば、4つの異なる励起放射源を用いることが可能である。あ
るいは、4つ未満の励起放射源を用いることが可能だが、単一源からの励起放射の光学的
ろ過を用いて、フローセルに異なる波長の励起放射を生成することが可能である。
【0060】
一部の実施形態では、4つ未満の異なる色を、4つの異なるヌクレオチドを有する混合
物において検出することが可能である。例えば、ヌクレオチド対を同一の波長で検出する
が、対のうち片方の強度をもう一方と比較した際の差に基づいて、または、(例えば、化
学的修正、光化学的修正、または物理的修正を介した)対のもう一方で検出される信号と
比較し、明確な信号を出現させる、または、消失させるという対のうち片方の変化に基づ
いて、識別することが可能である。4つ未満の色の検出を用いて4つの異なるヌクレオチ
ドを識別する例示的な装置および方法は、例えば、米国特許出願公開第61/53829
4号明細書および同第61/619878号明細書に記載されており、これらはその全体
が参照により本明細書に組み込まれる。2012年9月21日に出願された米国特許出願
第13/624200号明細書も、その全体が参照により組み込まれる。
【0061】
複数のプロトコルモジュールはまた、バイオセンサ102内の生成物を増幅するために
、流体制御システム106および温度制御システム110にコマンドを出すように構成し
た、試料調製(または、生成)モジュール137を備えることができる。例えば、バイオ
センサ102はバイオアッセイシステム100に係合することができる。増幅モジュール
137は流体制御システム106に指示を出し、必要な増幅成分をバイオセンサ102内
の反応チャンバに送達することができる。他の実施形態では、反応部位は元より、テンプ
レートDNAおよび/またはプライマーなどの増幅用成分をいくつか含むことができる。
増幅成分を反応チャンバに送達した後、増幅モジュール137は温度制御システム110
に指示をし、既知の増幅プロトコルに従って異なる温度状態で循環させることができる。
一部の実施形態では、増幅および/またはヌクレオチド導入を等温で実行する。
【0062】
SBSモジュール136はコマンドを出し、クローン的アンプリコンのクラスタがフロ
ーセルのチャネル内の局所領域に形成されるブリッジ(bridge)PCRを実行することが
できる。ブリッジPCRによりアンプリコンを生成後、アンプリコンは「線状化」して一
本鎖テンプレート(single stranded template)DNAつまりsstDNAを作成し、シ
ーケンシングプライマーを対象の領域の側に位置するユニバーサルシーケンス(universa
l sequence)にハイブリダイズすることができる。例えば、可逆的ターミネーターに基づ
く合成によるシーケンシング法を、上記または下記のように用いることが可能である。
【0063】
各シーケンシングサイクルは、例えば、修正DNAポリメラーゼと、4つの型のヌクレ
オチドの混合物とを用いることにより達成可能な単一ベースにより、sstDNAを伸長
することが可能である。異なる型のヌクレオチドは特有の蛍光標識を有することが可能で
あり、各ヌクレオチドはさらに可逆的ターミネーターを有することができ、これは単一ベ
ースのみの導入を各サイクルで引き起こすことを可能にする。単一ベースをsstDNA
に添加した後、励起光を反応部位に入射させることができ、蛍光放射を検出することがで
きる。検出後、蛍光標識およびターミネーターは、化学的にsstDNAから切断するこ
とができる。別の同様なシーケンシングサイクルを続けることができる。このようなシー
ケンシングプロトコルにおいて、SBSモジュール136は流体制御システム106に、
試薬と酵素溶液の流れをバイオセンサ102に誘導するように指示することができる。本
明細書に記載の装置および方法とともに利用可能な例示的な可逆的ターミネーターに基づ
くSBS法は、米国特許出願公開第2007/0166705号明細書、同第2006/
0188901号明細書、米国特許第7057026号明細書、米国特許出願公開第20
06/0240439号明細書、同第2006/0281109号明細書、国際公開第W
O05/065814号、米国特許出願公開第2005/0100900号明細書、国際
公開第WO06/064199号、および同第WO07/010251号に記載されてお
り、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。可逆的ターミネ
ーターに基づくSBS用の例示的な試薬は、米国特許第7541444号明細書、同第7
057026号明細書、同第7414116号明細書、同第7427673号明細書、同
第7566537号明細書、同第7592435号明細書、および国際公開第WO07/
135368号に記載されており、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に
組み込まれる。
【0064】
一部の実施形態において、増幅およびSBSモジュールは、単一アッセイプロトコルで
操作することができ、ここでは例えば、テンプレート核酸は同一カートリッジ内で増幅さ
れ、続いて配列決定される。
【0065】
バイオアッセイシステム100はまた、ユーザがアッセイプロトコルを再構成すること
を可能にする。例えば、バイオアッセイシステム100は、決定されたプロトコルを修正
するオプションを、ユーザインターフェイス114を介してユーザに提供することができ
る。例えば、バイオセンサ102を増幅に用いることを決定した場合、バイオアッセイシ
ステム100はアニーリングサイクル向けの温度を要求することができる。さらに、バイ
オアッセイシステム100は、ユーザが選択したアッセイプロトコルに、概して容認でき
ないユーザ入力を提供した場合、ユーザに警告を発することができる。
【0066】
図3は、一実施形態に従う、生物学的または化学的な分析用の例示的ワークステーショ
ン200のブロック図である。ワークステーション200は、上記のバイオアッセイシス
テム100と同様の特徴、システム、およびアセンブリを有することができる。例えば、
ワークステーション200は、流体コントロールシステム106(図1)のような流体コ
ントロールシステムを有することができ、これは流体ネットワーク238を介してバイオ
センサ(または、カートリッジ)235に流体結合する。流体ネットワーク238は、試
薬カートリッジ240、弁ブロック242、メインポンプ244、気泡除去器246、3
方向弁248、フロー制御器250、廃棄物除去システム252、およびパージポンプ2
54を備えることができる。特定の実施形態では、上記の部品の大多数または全ては、共
通のワークステーションケース(図示なし)内にある。図示しないが、ワークステーショ
ン200はまた、励起光を反応部位に提供するように構成した、照明システム111のよ
うな照明システムを備えることができる。
【0067】
流体の流れを、流体ネットワーク238に沿って矢印で示す。例えば、試薬溶液を試薬
カートリッジ240から取り出し、弁ブロック242に沿って流すことができる。弁ブロ
ック242は、試薬カートリッジ240からカートリッジ235に流れる死容積のない流
体を生成するのに役立つ。弁ブロック242は、試薬カートリッジ240内で、流体ネッ
トワーク238内に流れる1つまたは複数の液体を選択するか、または、1つまたは複数
の液体が流体ネットワーク238内に流れることを可能にする。例えば、弁ブロック24
2は、コンパクトな配置を有するソレノイド弁を備えることが可能である。各ソレノイド
弁は、単一リザーババッグからの流体の流れを制御することが可能である。一部の実施形
態において、弁ブロック242は、2つ以上の異なる液体を同時に流体ネットワーク23
8に流し、それにより2つ以上の異なる液体を混合することが可能である。弁ブロック2
42を出発した後、流体はメインポンプ244を通って気泡除去器246に流れることが
できる。気泡除去器246は、流体ネットワ-ワーク238に入り込んだ、または、生成
された不所望のガスを除去するように構成する。
【0068】
気泡除去器246から、流体は3方向弁248に流れることができ、ここで流体はカー
トリッジ235に誘導されるか、または、廃棄物除去システム252にバイパスされるか
、いずれかである。カートリッジ235内の流体の流れは、少なくとも部分的に、カート
リッジ235から下流に位置するフロー制御器250により制御することができる。さら
に、フロー制御器250およびメインポンプ244は互いに連動し、反応部位を横切る流
体の流れを制御する、および/または、流体ネットワーク238内の圧力を制御すること
ができる。流体は、カートリッジ235を通って廃棄物除去システム252に流れること
ができる。任意で、流体はパージポンプ254を通って、例えば、試薬カートリッジ24
0内の廃棄物リザーババッグに流れることができる。
【0069】
図3に示すように、ワークステーション200は、異なる部品およびワークステーショ
ン200のサブシステムの熱環境を調整する、または、制御するように構成した、温度制
御システム110のような温度制御システムを備えることができる。温度制御システム1
10は、ワークステーション200が使用する種々の液体の温度要件を制御するように構
成した試薬冷却器264と、カートリッジ235の温度を制御するように構成した熱サイ
クラ266とを備えることが可能である。熱サイクラ266は、カートリッジとインター
フェイスで接続する感熱素子(図示なし)を備えることが可能である。
【0070】
さらに、ワークステーション200は、上記のシステム制御器104と似た特徴を有し
得る、システム制御器またはSBSボード260を備えることができる。SBSボード2
60は、カートリッジ235と同様に、ワークステーション200の種々の部品およびサ
ブシステムと通信することができる。さらに、SBSボード260は、遠隔システムと通
信し、例えば、遠隔システムからのデータを保存するか、または、遠隔システムからのコ
マンドを受け取ることができる。ワークステーション200はまた、単一ボードコンピュ
ータ(SBC)272を介してSBSボード260に操作可能に結合した、タッチスクリ
ーンユーザインターフェイス262を備えることができる。ワークステーション200は
また、1つまたは複数の、ユーザがアクセス可能なデータ通信ポートおよび/またはドラ
イブを備えることができる。例えば、ワークステーション200は、他のソフトウェアに
加え、ユーザデータを保存するためのフラッシュドライブもしくはジャンプドライブ、コ
ンパクトフラッシュ(CF)ドライブ、および/または、ハードドライブ270といった
1つまたは複数のユニバーサルシリアルバス(USB)接続を備えることができる。
【0071】
図4は、本明細書に記載の1つまたは複数のバイオセンサ(図示なし)を備えることが
できる、ワークステーション300とカートリッジ302の斜視図である。ワークステー
ション300は、バイオアッセイシステム100およびワークステーション200に関連
して上記したものと類似の部品を備えることができ、同様のやり方で操作することができ
る。例えば、ワークステーション300は、ワークステーションケース304と、カート
リッジ302を受け取り係合するように構成したシステムレセプタクル306を備えるこ
とができる。システムレセプタクルは、流体的または電気的の少なくとも一方で、カート
リッジ302を係合することができる。ワークステーションケース304は、例えば、上
記の、システム制御器、流体保存システム、流体制御システム、および温度制御システム
を保持することができる。図4では、ワークステーション300は、ワークステーション
ケース304に結合されたユーザインターフェイスもディスプレイも備えていない。しか
しながら、ユーザインターフェイスは、通信リンクを介してケース304(および、その
中の部品/システム)に通信可能に結合することができる。したがって、ユーザインター
フェイスおよびワークステーション300は、互いに遠隔に位置することができる。一緒
になって、ユーザインターフェイスおよびワークステーション300(または複数のワー
クステーション)は、バイオアッセイシステムを構成することができる。
【0072】
図示するように、カートリッジ302は少なくとも1つのポート310を有するカート
リッジケース308を備え、ポート310は、カートリッジケース308の内部へのアク
セスを提供する。例えば、制御反応時にカートリッジ302で使用するように構成した溶
液を、ポート310を介して技術者またはワークステーション300により挿入すること
ができる。システムレセプタクル306およびカートリッジ302は、カートリッジ30
2をシステムレセプタクル306のレセプタクルキャビティ(図示なし)に挿入すること
ができるように、互いを基準にしてサイズ決めし、成形することができる。
【0073】
図5は、複数のワークステーション300を搭載したキャビネットまたはキャリッジ3
14を有する、ラックアセンブリ312の正面図である。キャビネット314は1つまた
は複数の棚316を備えることができ、これは、1つまたは複数のワークステーション3
00を受け取るように構成した1つまたは複数の収容スペース318を定義する。図示し
ないが、ワークステーション300は通信ネットワークに通信可能に結合することができ
、これによりユーザはワークステーション300の操作が可能になる。一部の実施形態に
おいて、バイオアッセイシステムは、ワークステーション300など複数のワークステー
ションと、複数のワークステーションの操作を制御するように構成した単一ユーザインタ
ーフェイスとを備える。
【0074】
図6は、一実施形態に従って、カートリッジ302(図4)の種々の機構を示す。図示
するように、カートリッジ302は試料アセンブリ320を備えることができ、システム
レセプタクル306は光アセンブリ322を備えることができる。図6に示すステージ3
46は、第1サブアセンブリ320および第2サブアセンブリ322が互いに分離してい
る場合の、第1サブアセンブリ320と第2サブアセンブリ322の間の空間的関係を表
す。ステージ348では、第1サブアセンブリ320と第2サブアセンブリ322は互い
に接合している。カートリッジケース308(図4)は、接合した第1サブアセンブリ3
20と第2サブアセンブリ322を囲むことができる。
【0075】
図示する実施形態において、第1サブアセンブリ320は、ベース326と、ベース3
26に取り付けた反応部品本体324とを備えることができる。図示しないが、1つまた
は複数のバイオセンサを、反応部品本体324およびベース326により少なくとも部分
的に定義されるくぼみ328にあるベース326に取り付けることができる。例えば、少
なくとも4つのバイオセンサをベース326に取り付けることができる。一部の実施形態
において、ベース326は回路を有するプリント回路板であり、これはカートリッジの異
なる部品とワークステーション300(図4)との間の通信を可能にする。例えば、反応
部品本体324は回転弁330と、回転弁330に流体的に結合した試薬リザーバ332
を備えることができる。反応部品本体324はまた、追加のリザーバ334も備えること
ができる。
【0076】
第2サブアセンブリ322は光アセンブリ336を備え、これは複数の光誘導チャネル
338を備える。各光誘導チャネル338は、発光ダイオード(LED)などの光源(図
示なし)に光学的に結合する。光源は励起光を提供するように構成し、励起光は光誘導チ
ャネル338によりバイオセンサに誘導される。代替的な実施形態では、カートリッジは
光源を含むことはできない。このような実施形態では、光源はワークステーション300
に搭載することができる。カートリッジをシステムレセプタクル306(図4)に挿入す
る場合、カートリッジ302は、バイオセンサを照明することができるように光源と整列
させることができる。
【0077】
図6に示すように、第2サブアセンブリ322は、ポート342およびポート344に
流体的に結合するカートリッジポンプ340を備える。第1サブアセンブリ320および
第2サブアセンブリ322が共に接合する場合、ポート342は回転弁330に結合し、
ポート344は他のリザーバ334に結合する。指定したプロトコルに従って、カートリ
ッジポンプ340を作動させ、反応成分をリザーバ332および/またはリザーバ334
からバイオセンサに誘導することができる。
【0078】
図7は、一実施形態に従って形成した例示的バイオセンサ400の一部の横断面を示す
。バイオセンサ400は、上記のバイオセンサ102(図1)と同様の機構を備えること
ができ、例えば、カートリッジ302(図4)で用いることができる。図示するように、
バイオセンサ400は、検出装置404に直接的に、または、間接的に結合する、フロー
セル402を備えることができる。フローセル402は、検出装置404に取り付けるこ
とができる。図示する実施形態では、フローセル402は、1つまたは複数の固定メカニ
ズム(例えば、接着剤、ボンド、およびファスナー等)により検出装置404に直接的に
貼られている。一部の実施形態において、フローセル402は検出装置404に除去可能
に結合することができる。
【0079】
図示する実施形態において、検出装置404は装置ベース425を備える。特定の実施
形態では、装置ベース425は複数の積み重ねられた層(例えば、シリコン層、誘導体層
、金属-誘導体層など)を備える。装置ベース425は、光センサ440のセンサアレイ
424、光ガイド462のガイドアレイ426、および、対応反応部位414を有する反
応くぼみ408の反応アレイ428を備えることができる。ある実施形態において、部品
は、各光センサ440が単一の光ガイド462および単一の反応部位414と整列するよ
うに配置する。しかしながら、他の実施形態では、単一の光センサ440は、2つ以上の
光ガイド462および/または2つ以上の反応部位414を介して光子を受け取ることが
できる。本明細書で用いる場合、単一の光センサは1ピクセルまたは2以上のピクセルを
備えることができる。
【0080】
さらに、「アレイ」または「サブアレイ」という用語は、検出装置が有し得るある型の
アイテム全てを必ずしも含むわけではないことに留意されたい。例えば、センサアレイ4
24は、検出装置404において全ての光センサを備えることはできない。代わりに、検
出装置404は他の光センサ(例えば、他の光センサのアレイ)を備えることができる。
別の例として、ガイドアレイ426は検出装置の光ガイド全てを備えることはできない。
代わりに、光ガイド462とは異なって構成された、または、検出装置404の他の素子
と異なる関係を有する他の光ガイドがある場合がある。したがって、別段明記されていな
い限り、「アレイ」と言う用語は検出装置のかかるアイテム全てを含む場合もあるし、含
まない場合もある。
【0081】
図示する実施形態において、フローセル402は側壁406と、側壁406および他の
側壁(図示なし)により支えられるフローカバー410とを備える。側壁は検出面412
と結合し、フローカバー410と検出面412の間で伸長する。一部の実施形態では、側
壁を硬化性の接着層より形成し、これによりフローカバー410を検出装置404に接着
する。
【0082】
フローセル402は、フローチャネル418がフローカバー410と検出装置404の
間を伸長するようにサイズ決めし、成形する。図示するように、フローチャネル418は
高さHを備えることができる。ほんの一例として、高さHは、約50~400μm(
ミクロン)、または、より具体的には、約80~200μmの間とすることができる。図
示する実施形態では、高さHは約100μmである。フローカバー410は、バイオセ
ンサ400の外部からフローチャネル418に伝播する励起光401に対し透過的な物質
を備えることができる。図7に示すように、励起光401は非直交角度でフローカバー4
10に接近する。しかしながら、これは、励起光401はフローカバー410に異なる角
度から接近し得るように、単に例示を目的としたものである。
【0083】
また、図示するように、フローカバー410は入口ポート420および出口ポート42
2を備え、これは他のポート(図示なし)を流体的に係合するように構成される。例えば
、他のポートはカートリッジ302(図4)またはワークステーション300(図4)か
らとすることができる。フローチャネル418は、流体を検出面412に沿って誘導する
ようにサイズ決めし、成形する。フローチャネル418の高さHと他の寸法は、検出面
412に沿って実質的に平坦な流体の流れを維持するように構成することができる。フロ
ーチャネル418の寸法はまた、気泡形成を制御するように構成することもできる。
【0084】
側壁406およびフローカバー410は、互いに結合する別個の部品とすることができ
る。他の実施形態では、側壁406およびフローカバー410は、側壁406およびフロ
ーカバー410を連続した材料の一片から形成するように、一体的に形成することができ
る。例として、フローカバー410(または、フローセル402)は、ガラスまたはプラ
スチックなどの透過性材料を含むことができる。フローカバー410は、平坦な外面と、
フローチャネル418を定義する平坦な内面とを有する、実質的に長方形のブロックを構
成することができる。ブロックは、側壁406に取り付けることができる。あるいは、フ
ローセル402をエッチングして、フローカバー410および側壁406を定義すること
ができる。例えば、くぼみを透過性材料にエッチングすることができる。エッチングした
材料を検出装置404に取り付けると、くぼみはフローチャネル418になり得る。
【0085】
検出装置404は検出面412を有し、これは、(例えば、指定された反応を実行する
ため、適切なやり方で化学的に、または、物理的に修正して)機能化することができる。
例えば、検出面412を機能化し、1つまたは複数の生体分子を固定化した複数の反応部
位414を備えることができる。検出面412は、反応くぼみのアレイまたは片側が開い
た反応チャンバ408を有する。反応くぼみ408はそれぞれ、1つまたは複数の反応部
位414を備えることができる。反応くぼみ408は、例えば、検出面412に沿ったへ
こみまたは深さの変更により定義することができる。他の実施形態では、検出面412は
実質的に平坦とすることができる。
【0086】
図7に示すように、反応部位414は、検出面412に沿ってパターンで分布させるこ
とができる。例えば、反応部位414は、マイクロアレイと同様のやり方で、検出面41
2に沿って行と列で位置させることができる。しかしながら、反応部位の種々のパターン
が使用できると理解されよう。反応部位は、光信号を放射する、生物学的な、または、化
学的な物質を含むことができる。例えば、反応部位の生物学的、または、化学的な物質は
、励起光401に応じて光放射を生成することができる。特定の実施形態では、反応部位
414は、検出面412に固定化した生体分子(例えば、オリゴヌクレオチド)のクラス
タまたはコロニーを含む。
【0087】
図8は、検出装置404の拡大横断面図であり、種々の機構をより詳細に示す。より具
体的には、図8は、単一の光センサ440、光放射を光センサ440に誘導する単一の光
ガイド462、および、光センサ440が検出する光放射(例えば、光子)に基づいて信
号を送る関連回路446を示す。センサアレイ424の他の光センサ440(図7)およ
び関連する部品は、同一または類似のやり方で構成可能であることが理解されよう。しか
しながら、検出装置404は、全体を同一に、または、均質的に製造する必要はないこと
も理解されよう。代わりに、1つまたは複数の光センサ440および/または関連の部品
を異なって製造するか、または、互いに対して異なる関係を有するようにすることができ
る。
【0088】
回路446は、検出された光子に基づくデータ信号の送付など、電流を伝導できる相互
接続した伝導素子(例えば、コンダクタ、トレース、バイア、相互配線など)を備えるこ
とができる。例えば、一部の実施形態において、回路446は、米国特許第759588
3号明細書に記載の超小型回路の配置などの超小型回路の配置と同様であるか、または、
かかる配置を備えることができる。米国特許第7595883号明細書はその全体が参照
により本明細書に組み込まれる。検出装置404および/または装置ベース425は、光
センサ440の平坦なアレイを有する一体型回路を含むことができる。検出装置425内
で形成された回路446は、信号の増幅、デジタル化、保存、および処理のうち少なくと
も1つのために構成することができる。回路は検出された光放射を収集および分析し、検
出データをバイオアッセイシステムに通信するためのデータ信号を生成することができる
。回路446はまた、検出装置404において、追加の類似体および/またはデジタル信
号の処理を実行することができる。
【0089】
装置ベース425は、相補型金属酸化物半導体(complementary-metal-oxide semicond
uctor、CMOS)を製造するのに用いるプロセスなどの一体型回路製造プロセスを用いて
製造することができる。例えば、装置ベース425は、センサ層またはセンサベース43
1を備える、積み重ねられた層431~437を複数備えることができ、これは図示する
実施形態ではシリコン層またはウェハである。センサ層431は、光センサ440と、セ
ンサ層431と共に形成したゲート441~443とを備えることができる。ゲート44
1~443は、光センサ440に電気的に結合する。検出装置404を図7および8に示
すように完全に形成した場合、光センサ440はゲート441~443を介して回路44
6に電気的に結合することができる。
【0090】
本明細書で用いる場合、「層」という用語は、別段明記しない限り、単一の連続的な材
料体に限定されるものではない。例えば、センサ層431は、異なる材料の複数のサブ層
を備える、および/または、コーティングおよび接着剤等を含むことができる。さらに、
1つまたは複数の層(または、サブ層)を(例えば、エッチング、物質を付着させるなど
して)修正し、本明細書に記載の特徴を提供することができる。
【0091】
一部の実施形態において、各光センサ440は、50μm未満の検出エリアを有する
。特定の実施形態では、検出エリアは約10μm未満である。より特定の実施形態では
、検出エリアは約2μmである。このような場合、光センサ440は単一ピクセルを構
成することができる。光センサ440における各ピクセルの平均リードノイズは、例えば
、約150エレクトロン未満とすることができる。より特定の実施形態では、リードノイ
ズは約5エレクトロン未満とすることができる。光センサ440のアレイの解像度は、約
0.5メガピクセル(Mpixel)超とすることができる。より具体的な実施形態では
、解像度は約5Mpixel超で、より具体的には、約10Mpixel超とすることが
できる。
【0092】
装置層はまた、複数の金属-誘導体層432~437を備え、これを以下基板層と呼ぶ
。図示する実施形態において、各基板層432~437は、金属素子(例えば、W(タン
グステン)、Cu(銅)、またはAl(アルミニウム))および誘導体材料(例えば、S
iO)を含む。一体型回路の製造に適切なものなど、種々の金属素子および誘導体材料
を使用することができる。しかしながら、他の実施形態では、1つまたは複数の基板層4
32~437は、1つまたは複数のSiO層など、誘導体材料のみを含む場合もある。
【0093】
図8に示す具体的な実施形態に関し、第1基板層432は、誘導体材料(例えば、Si
)内に組み込まれたM1と呼ぶ金属素子を備える。金属素子M1は、例えば、W(タ
ングステン)を含む。金属素子M1は、図示する実施形態において、基板層432全体に
伸長する。第2基板層433は、金属配線(M2/M3)と同様に、金属素子M2および
誘導体材料を備える。第3基板層434は、金属素子M3および金属配線(M3/M4)
を含む。第4基板層435はまた、金属素子M4を含む。装置ベース425はまた、第5
基板層436および第6基板層437を備え、これは以下で詳細に記載する。
【0094】
図示するように、金属素子および配線は互いに接続して回路446の少なくとも一部を
形成する。図示する実施形態において、金属素子M1、M2、M3、M4は、W(タング
ステン)、Cu(銅)、および/またはアルミニウム(Al)を含み、金属配線M2/M
3および金属配線M3/M4はW(タングステン)を含むが、他の材料および構成も使用
できることが理解されよう。図7および8に示す装置ベース425および検出装置404
は、あくまで例示を目的としたものであることにも留意されたい。例えば、他の実施形態
は、図7および8に示すものより少ない、もしくは、追加の層、および/または、金属素
子の異なる構成を備え得る。
【0095】
一部の実施形態において、検出装置404はシールド層450を備え、これは装置ベー
ス425の外面464に沿って伸長する。図示する実施形態において、シールド層450
は、基板層437の外面464に沿って直接付着する。しかしながら、他の実施形態では
、介在層を基板層437とシールド層450の間に配置することができる。シールド層4
50は、フローチャネル418から伝播する光信号をブロックする、反射する、および/
または、著しく弱めるように構成した材料を含むことができる。光信号は、(図9に示す
)励起光401および/または光放射466とすることができる。ほんの一例として、シ
ールド層450はタングステン(W)を含むことができる。
【0096】
図8に示すように、シールド層450は開口またはオープニング452を備える。シー
ルド層450はこのような開口452のアレイを備えることができる。一部の実施形態に
おいて、シールド層450は隣接開口452の間に連続的に伸長することができる。した
がって、フローチャネル418からの光信号をブロックし、反射し、および/または、著
しく弱め、光センサ440がこのような光信号を検出することを防ぐことができる。しか
しながら、他の実施形態では、シールド層450は隣接開口452の間に連続的に伸長せ
ず、その場合、開口452以外に1つまたは複数のオープニングがシールド層450に存
在する。
【0097】
検出装置404はまた、保護層454も備えることができ、これはシールド層450に
沿って開口452全体に伸長する。シールド層450は開口452の上に伸長することが
でき、それにより開口452を直接的に、または、非直接的に覆う。シールド層450は
、保護層454と装置ベース425の間に位置することができる。接着剤またはプロモー
タ層458をその間に位置させて、保護層454およびシールド層450を結合しやすく
することができる。保護層454は、装置ベース425およびシールド層450を、流体
チャネル418の流体環境から保護するように構成することができる。
【0098】
場合によっては、保護層454はまた、固体表面(つまり、検出面412)を提供する
ように構成することができ、これは生体分子または他の対象の検体をその上に固定化する
ことを可能にする。例えば、各反応部位414は、保護層454の検出面412に固定化
した生体分子のクラスタを含むことができる。したがって、保護層454は反応部位41
4をそこに固定化することを可能にする材料から形成することができる。保護層454は
また、望ましい蛍光に対しを少なくとも透過的である材料を含むことができる。一例とし
て、保護層454は窒化ケイ素(Si)および/またはシリカ(SiO)を含む
ことができる。しかしながら、他の適切な材料も使用することもできる。加えて、保護層
454を物理的に、または、化学的に修正して、生体分子を固定化しやすくする、および
/または、光放射の検出を容易にすることができる。
【0099】
図示する実施形態において、保護層454の一部はシールド層450に沿って伸長し、
保護層454の一部は光ガイド462のフィルタ材460に沿って直接的に伸長する。反
応くぼみ408は、光ガイド462の上に直接的に形成することができる。場合によって
は、保護層454をシールド層450または接着層458に沿って付着させる前に、ベー
スホールまたはキャビティ456を装置ベース425に形成することができる。例えば、
装置ベース425をエッチングしてベースホール456のアレイを形成することができる
。特定の実施形態において、ベースホール456は、近接の開口452から光センサ44
0に向かって伸長する細長いスペースである。ベースホールは、中心縦軸468に沿って
縦方向に伸長することができる。ベースホール456の3次元形状は、一部の実施形態で
は実質的に円筒状または円錐台形状であり、図8のページに伸長する平面に沿って見た横
断面が、実質的に円であるようにする。縦軸468は、横断面の幾何学的な中心をとって
伸長することができる。しかしながら、他の形状を代替的な実施形態で使用することがで
きる。例えば、横断面は実質的に、四角形または八角形であってよい。
【0100】
フィルタ材460は、ベースホール456を形成した後、ベースホール456内に付着
させることができる。フィルタ材460は、光ガイド462を(例えば、硬化後に)形成
することができる。光ガイド462は、励起光401をフィルタリングし、光放射466
が対応光センサ440に向かって伝搬できるように構成する。光ガイド462は、例えば
、有機吸収フィルタとすることができる。ほんの具体例として、励起光は約532nm、
光放射は約570nm以上とすることができる。
【0101】
場合によっては、有機フィルタ材は、バイオセンサの他の材料と相性が悪いことがある
。例えば、有機フィルタ材は、フィルタ材を著しく伸長させる熱膨張係数を持つ場合があ
る。あるいは、または、加えて、フィルタ材は、シールド層(または、他の金属層)など
のある層に十分に接着できない場合がある。フィルタ材の膨張は、フィルタ材に隣接する
、または、フィルタ材に構造的に接続する層に機械的応力を引き起こし得る。場合によっ
ては、膨張はバイオセンサの構造に亀裂または他の不所望の特徴を引き起こし得る。した
がって、本明細書に記載の実施形態は、フィルタ材が膨張する程度、および/または、フ
ィルタ材が他の層と接触する程度を制限することができる。例えば、異なる光ガイドのフ
ィルタ材は、互いに保護層で隔離することができる。このような実施形態では、フィルタ
材は金属層に接触しない。さらに、保護層は膨張に耐える、および/または、いくらかの
膨張を許容しながら不所望の構造特徴(例えば、亀裂)の発生を低減することができる。
【0102】
光ガイド462は、装置ベース425の周囲の材料(例えば、誘導体材料)を基準にし
て構成し、光ガイド構造を形成することができる。例えば、光ガイド462は約2.0の
屈折率を有し、光放射を実質的に、光ガイド462と装置ベース425の材料の間のイン
ターフェイスで反射するようにすることができる。ある実施形態では、光ガイド462を
、励起光の光学濃度(OD)または吸光度が少なくとも約4ODであるように構成する。
より具体的には、フィルタ材を選択することができ、光ガイド462を、少なくとも4O
Dを達成するような寸法にすることができる。より特定の実施形態では、光ガイド462
は、少なくとも約5ODまたは少なくとも約6ODを達成するように構成することができ
る。バイオセンサ400の他の特徴を、電気的および光学的クロストークを低減するよう
に構成することができる。
【0103】
図9は、検出面412の拡大図と、検出面412に近接して位置する検出装置404(
図7)の一部を示す。より具体的には、保護層454、接着層458、シールド層450
、および光ガイド462を図9に示す。各層は、外面(上面)または内面(底面)を有す
ることができ、インターフェイスの隣接層に沿って伸長することができる。一部の実施形
態では、検出面412は、開口452に近接して反応くぼみ408を形成するように構成
する。反応くぼみ408は、例えば、へこみ、ピット、ウェル、溝、または、片側が開い
たチャンバもしくはチャネルとすることができる。あるいは、検出面412は、図7~9
に示すくぼみなしに平坦とすることができる。図示するように、開口452は開口または
層縁504で定義される。層縁504は、縦軸468に向かい放射状に内側に向く。
【0104】
検出面412は隆起部502を備えることができ、反応くぼみ408はベース面490
を備えることができる。ベース面490は、シールド層450と実質的に平行に伸長する
ことができる。検出面412はまた、側面492を備えることができ、これはベース面4
90と検出面412の隆起部502に対し実質的に垂直に伸長する。側面492は、反応
くぼみ408の周囲を定義することができる。隆起部502、ベース面490、および側
面492は、別個の面として言及されるが、該面は検出面412の一部であることが理解
されよう。さらに、製作公差のため、表面は容易に別個にすることはできないことが理解
されよう。例えば他の実施形態では、ベース面490および側面492は、実質的に、凹
面形状を有する単一面とすることができる。
【0105】
ベース面490は、反応くぼみ408内で検出面412に沿った保護層454の、最深
部を表す(または、最深部を表す点を含む)ことができる。例えば、隆起部502は表面
平面Pに沿って伸長することができ、ベース面490は表面平面Pに沿って伸長する
ことができる。図示するように、表面平面Pおよび表面平面Pは、互いに対し深さま
たは間隔Dほど距離を置く。表面平面Pは、表面平面Pより光ガイド462または
光センサ440(図7)に近い。図示する実施形態において、ベース面490の深さD
は、ベース面490が実質的に平坦であるため、実質的に連続的である。しかしながら、
他の実施形態では、深さDは変更することができる。例えば、ベース面490は、ベー
ス面490がその中心または中央に向かって伸長するにつれ深さが大きくなる凹面形状を
有することができる。
【0106】
反応くぼみ408は、開口452に向かって伸長するか、または、開口452内に位置
させることができる。例えば、ベース面490の少なくとも一部は、開口452内に存在
することができる。シールド層450は、保護層454に面する外面506と、装置ベー
ス425に面する内面508とを有することができる。外面506は表面平面Pに沿っ
て伸長することができ。内面508は表面平面Pに沿って伸長することができる。表面
平面Pと表面平面Pの間の間隔は、シールド層450の厚さを表すことができる。図
示するように、表面平面Pは、表面平面P、Pの間に位置することができる。した
がって、ベース面490は、層縁504に定義される開口452内で伸長する。しかしな
がら、他の実施形態では、表面平面Pを表面平面Pの上に位置させ、ベース面490
が開口452内に存在しないようにすることができる。さらに、一部の実施形態において
、表面平面Pを表面平面Pの下に位置させ、ベース面490が開口452の下に位置
するようにすることもできる。
【0107】
保護層454は、検出面412と、インターフェイス512においてシールド層450
の外面506に沿って伸長する内面510とを備える。一部の実施形態において、接着層
458は、シールド層450と保護層454の間のインターフェイス512に沿って伸長
し、該インターフェイス512を定義することができる。
【0108】
図示する実施形態において、保護層454は光ガイド462に沿って直接的に伸長する
。より具体的には、保護層454の内面510は、光ガイド462の材料表面514を直
接的に係合することができる。本明細書で用いる場合、「直接的に係合する」等の句には
、互いに直接的に接触する2つの層、または、接着プロモータ剤の使用により互いに接着
した2つの層を含むことができる。光ガイド462は、材料表面514を含む入力領域4
72を有する。入力領域472は、光放射を最初に受け取る光ガイド462の一部を表す
ことができる。
【0109】
内面510は、インターフェイス516において材料表面514を直接的に係合するこ
とができる。インターフェイス516は、ガイドキャビティ456(図7)内に付着する
フィルタ材460の材料レベルを表すことができる。図示する実施形態において、インタ
ーフェイス516は、インターフェイス516がインターフェイス平面Pに沿って伸長
するように、実質的に平坦である。インターフェイス平面Pは、表面平面P、P
、Pのうち1つまたは複数に対し、実質的に平行に伸長することができる。しかし
ながら、他の実施形態では、インターフェイス516は、インターフェイス516が光セ
ンサ440(図8)に向かって、または、光センサ440から離れる反対方向へ湾曲する
ように、凹面形状を有することができる。
【0110】
保護層454は、開口452を形成する際に生じる空隙を埋めることができる。したが
って、一部の実施形態において、保護層454は開口452内に位置させるか、開口45
2に存在させることができる。特定の実施形態では、インターフェイス516は、装置ベ
ース425内において深さDで位置させることができる。特定の実施形態において、深
さDは、インターフェイス516が図8に示すように開口452の下に位置するように
構成することができる。このような実施形態において、保護層454は、フィルタ材46
0とシールド層450を隔離(例えば、分離)することができる。このような実施形態は
、バイオセンサ400(図7)の使用の製造時に亀裂または他の不所望の特徴が生じ得る
ような、フィルタ材460およびシールド層450の相性が悪い場合に適切であり得る。
他の実施形態では、インターフェイス516の少なくとも一部が開口452内に位置する
ことができる。
【0111】
また、図9に示すように、保護層454は接合領域つまり角領域519を形成すること
ができる。接合領域519は側面492を含み、縦軸468の周りに伸長することができ
る。接合領域519は、保護層454のうち相対的に厚い部分を備えることができ、これ
はインターフェイス516(または、表面平坦Pとインターフェイス平面Pの間)に
おいて、隆起部502から内面510に伸長する。接合領域519の寸法は、バイオセン
サ400の製造時および/または指定されたプロトコル(例えば、SBSシーケンシング
)の間で起き得る熱サイクリング時に、フィルタ材460の膨張により引き起こされる機
械的応力に耐えることができる。図示するように、表面平面Pおよびインターフェイス
平面Pの間の厚さは、検出面412の隆起部502と検出面412の間の厚さの2倍超
である。
【0112】
反応部位414は、生物学的または化学的な物質を含むことができ、これは概して、図
9においてドット520として表す。生物学的または化学的な物質は検出面412に、ま
たは、より具体的にはベース面490および側面492に固定化することができる。特定
の実施形態では、反応部位414を開口452に近接して位置させ、光放射が保護層45
4を伝播し、開口452を通って、光ガイド462の入力領域472に伝播するようにす
る。
【0113】
一部の実施形態において、反応部位414、または、そこにある生物学的もしくは化学
的な物質520を、反応部位414または物質520が所定の位置にあるようにパターニ
ングすることができる。例えば、保護層454を適用した後、反応部位414またはその
一部を、保護層454の上にパターニングすることができる。図示する実施形態において
、各開口452は単一の反応部位414と関連し、反応部位414からの光放射が対応光
センサ440に向かって誘導されるようにする。単一の反応部位414にある生物学的ま
たは化学的な物質520は、類似または同一(例えば、共通配列を有するオリゴヌクレオ
チドのコロニー)であってよい。しかしながら、他の実施形態では、2つ以上の反応部位
414を開口452の1つに対応させることができる。
【0114】
特定の実施形態において、反応部位414は、2011年6月9日出願の米国仮特許出
願第61/495266号明細書および2011年10月28日出願の米国仮特許出願第
61/552712号明細書に記載されているパッドまたは金属領域を備えることができ
る。米国仮特許出願第61/495266号明細書(‘266出願)および米国仮特許出
願第61/552712号明細書(‘712出願)はそれぞれ、その全体が参照により本
明細書に組み込まれる。一部の実施形態において、反応部位414は、フローセル402
図7)を検出装置404上に製造した後、組み立てることができる。
【0115】
図示する実施形態において、反応部位414はオリゴヌクレオチド520のコロニーを
含むことができ、ここで該オリゴヌクレオチドは事実上共通の配列を有する。このような
実施形態において、各オリゴヌクレオチドは、励起光401がオリゴヌクレオチドに導入
されたフルオロフォアに吸収された際、共通の光放射を生成することができる。図示する
ように光放射466は全方向に(例えば、等方的に)放射し、例えば、光の一部を光ガイ
ド462に誘導し、光の一部をシールド層450に反射するように誘導し、かつ、光の一
部をフローチャネル418または保護層454に誘導するようにできる。光ガイド462
に誘導される部分に関し、本明細書に記載の実施形態を光子の検出を容易にするように構
成することができる。
【0116】
また、図9に示すように、装置ベース425は、装置ベース425内に位置する周辺ク
ロストークシールド522、524を備えることができる。クロストークシールド522
、524は、光ガイド462を基準にして位置決めし、クロストークシールド522、5
24が光ガイド462の外に伝播する光信号をブロックまたは反射するように構成するこ
とができる。光信号には、反射または屈折した励起光401、および/または、検出面4
12でもしくは検出面412の近接で生成される光放射466を含むことができる。一部
の実施形態では、クロストークシールド522、524はまた、フローチャネル418か
らの励起光401を直接的にブロックすることができる。したがって、クロストークシー
ルド522、524は、不所望の光信号の検出を低減することができる。例えば、クロス
トークシールド522、524は、隣接光センサ440間の光学的クロストークを低減す
ることができ、および/または、対応光センサ440の収集効率を改善することができる
。クロストークシールド522、524は、例えば、装置ベース425の製造時に組み立
てられる金属素子とすることができる。一部の実施形態において、回路446(図8)の
M1、M2、M3、M2/M3、およびM3/M4素子を組み立てるのに用いるプロセス
は、クロストークシールド522、524を組み立てるプロセスと同一または類似のもの
とすることができる。例えば、クロストークシールド522、524は、装置ベース42
5の誘導体材料(例えば、誘導体層)内に位置し、回路446を組み立てるのに用いたも
のと同一の材料(例えば、M1、M2、M3、M2/M3、およびM3/M4素子を組み
立てるのに用いた、1つまたは複数の材料)を含むことができる。図示しないが、場合に
よっては、CMOS製造の異なる段階は、データ信号を送る金属素子を形成しながら、ク
ロストークシールドも形成するステップを含み得る。
【0117】
クロストークシールド522、524は回路446と同様のやり方で製造することがで
きるが、クロストークシールド522、524は、回路446から電気的に分離すること
ができる。言い換えると、一部の実施形態では、クロストークシールド522、524は
データ信号を送ることができない。しかしながら他の実施形態では、クロストークシール
ド522、524は、データ信号を送るように構成したトレースまたは他の金属素子とす
ることができる。図9にも示すが、クロストークシールド522、524は、異なる横断
面寸法(例えば、幅高さ、もしくは厚さ)および形とすることができ、また、異なる材料
より組み立てることもできる。
【0118】
図示する実施形態において、クロストークシールド522、524は互いに結合し、単
一のより大きいクロストークシールドを形成する。しかしながら、クロストークシールド
522、524は、他の構成では互いに分離して配置できる。例えば、クロストークシー
ルド522、524は、縦軸468に沿って互いに分離して配置できる。図示する実施形
態において、クロストークシールド522、524は、入力領域472と、保護層454
の一部とを少なくとも部分的に囲む。クロストークシールド522は、シールド層450
を直接的に係合する。一部の実施形態において、クロストークシールド522、524は
、光ガイド462を部分的にのみ囲むことができる。他の実施形態では、クロストークシ
ールド522、524は、光ガイド462全体を円周方向に囲むクロストークリングを構
成することができる。このような実施形態は、図10および11に関連して以下に詳細に
記載する。
【0119】
図示するように、ガイドキャビティ456は、装置ベース425の1つまたは複数の内
面526により定義される。特定の実施形態において、内面526は基板層432~43
7からの誘導体材料(例えば、SiO)でできた面とすることができる。クロストーク
シールド522、524は光ガイドに直接的に隣接させ、金属素子を露呈させ、金属素子
が光ガイド462のフィルタ材460を直接的に係合するようにすることができる。しか
しながら、他の実施形態では、クロストークシールド522、524を光ガイド462に
対し露呈させず、代わりに、光ガイド462の直接隣接して位置させ、誘導体材料の一部
をクロストークシールド522、524と光ガイド462の間に置くようにすることがで
きる。例えば、図示する実施形態では、誘導体材料528、530を、光ガイド462と
クロストークシールド522、524それぞれの間に置く。誘導体材料528、530は
それぞれ、内面526の一部を含むことができる。誘導体材料528、530は、光ガイ
ド462をクロストークシールド522、524より間隔SD分だけ分離することができ
る。ほんの一例として、分離間隔SDは少なくとも約150nmとすることができる。一
部の実施形態では、分離間隔SDは少なくとも約100nmである。分離間隔SDは10
0nm未満とすることができる。
【0120】
図10は、別の実施形態に従って形成した検出装置602の横断面図である。検出装置
602は、検出装置404(図7)と同様の特徴を備えることができ、バイオセンサ40
0(図7)またはバイオセンサ102(図1)などのバイオセンサにおいて使用すること
ができる。検出装置602はまた、一体型回路製造技術を用いて製造することができる。
検出装置602は、検出装置およびバイオセンサが持ち得る他の特徴を示すように記載し
、図示する。一部の実施形態では、検出装置602のみでバイオセンサを構成することが
できる。他の実施形態では、検出装置602はフローセルに結合してバイオセンサを形成
することができる。例えば、検出装置602はフローセル402に結合して、検出装置6
02とフローセル402の間にフローチャネルを形成することができる。
【0121】
図示するように、検出装置602は装置ベース604、シールド層640、および、検
出装置602の保護層650をまとめて形成する複数のサブ層652、654を備える。
装置ベース604は、光センサ608のセンサアレイ606と、光ガイド612のガイド
アレイ610を備える。光センサ608は、光センサ440と類似または同一とすること
ができ、光ガイド612は光ガイド462と類似または同一とすることができる。例えば
、光ガイド612は、励起光614と光放射616を受け取るように構成する。図示する
ように、光放射616は、光が一点から放射されるように示す。光放射は保護層650に
沿って複数点から生成され得ることが理解されよう。各光ガイド612は、中心縦軸61
8に沿って、光ガイド612の入力領域620からセンサアレイ606の対応光センサ6
08に向かって、装置ベース604内に伸長する。
【0122】
光ガイド462と同様に、光ガイド612はフィルタ材を備えることができ、これは、
励起光614をフィルタリングし、光放射616が対応光センサ608向かって伝播でき
るように構成する。装置ベース604は、光センサ608に電気的に結合し、光センサに
より検出された光子に基づきデータ信号を送るように構成した装置回路(図示なし)を備
える。図10、11には示さないが、装置ベース604の回路は、光ガイド462の間に
置いた回路446(図8)と同様に、光ガイド612の間に置くことができる。
【0123】
図示するように、装置ベース604は周辺クロストークシールド631~634を備え
、これは装置ベース604内に位置させる。より具体的には、各光ガイド612を複数の
クロストークシールド631~634により囲む。各光ガイド612のクロストークシー
ルド631~634は、その間にギャップ641~643が形成されるように、各縦軸6
18に沿って互いに分離して配置することができる。ギャップ641~643の大きさは
、互いに実質的に等しくするか、または、違えることができる。例えば、ギャップ643
はギャップ642よりわずかに大きい。
【0124】
図示する実施形態において、クロストークシールド631~634は、光ガイド612
を円周方向に囲むように構成する。本明細書で用いる場合、「円周方向に囲む」という句
は、光ガイド612が円形横断面を有する、および/または、クロストークシールド63
1~634が円形状であることを要することは意図しない。代わりに、クロストークシー
ルドは、クロストークシールドが対応縦軸618を囲む場合、光ガイド612を円周方向
に囲むことができる。クロストークシールドは、縦軸618を完全に囲むか、または、縦
軸618を部分的にのみ囲むことができる。例えば、クロストークシールド631~63
4は、対応光ガイド612の周りを連続的に伸長することができ、または、他の場合では
、クロストークシールド631~634は、複数のサブ素子を備えることができ、これは
光ガイド612の周りに個別に分布し、少なくとも部分的に対応光ガイドを囲む。
【0125】
シールド層452と同様に、シールド層640は該シールド層640を貫通する開口6
42を形成することができる。開口642は、対応光ガイド612および光センサ608
と実質的に整列し、光信号が対応入力領域620に伝播することを可能にする。サブ層6
54はシールド層640の上に付着させ、サブ層654の材料が開口の少なくとも一部を
埋めるようにすることができる。一部の実施形態では、追加のサブ層652をサブ層65
4の上に付着させ、保護層650を形成する。ほんの一例として、サブ層652、654
のいずれかは、プラズマ蒸着(PVD)Ta、または、プラズマ化学気相蒸着(P
ECVD)Siを備えることができる。別の実施形態では、追加のサブ層をサブ層
652、654に積み重ねることができる。1つの具体例として、サブ層654をPVD
Taとし、サブ層652をPECVDSiとし、サブ層652の上に積み重
ねた追加の層をPVDTaとすることができる。
【0126】
図11は、一実施形態に従ってバイオセンサを製造する方法700を示すフローチャー
トである。方法700は、図12Aおよび12Bに示す。方法700は、例えば、本明細
書に記載の種々の実施形態の構造または態様(例えば、システムおよび/または方法)を
用いることができる。種々の実施形態において、あるステップを省略または追加し、ある
ステップを組み合わせ、あるステップを同時に実行し、あるステップを複数のステップに
分割し、あるステップを異なる順で実行し、または、あるステップもしくは一連のステッ
プを繰り返す方法で再実行することができる。
【0127】
方法700は、(702において)光センサ802のセンサアレイを有する装置ベース
800を提供するステップを含むことができる。図示するように、装置ベース800は、
外面つまり外部面801を有する。装置ベース800は、CMOS製造技術などの一体化
型回路製造技術を用いて製造することができる。例えば、装置ベース800に、異なる修
正特徴(例えば、金属素子)付き基板をいくつか組み込む。一部の実施形態において、装
置ベース800は、ガイド領域804と回路領域806を備えることができる。ガイド領
域804は装置ベース800の一部と対応し、これは方法700後に光ガイドを備えるだ
ろう。隣接ガイド領域804は、装置回路(図示なし)を備える回路領域806により分
離することができ、これは本明細書に記載の装置回路と同様とすることができる。より具
体的には、装置回路は、光センサ802に電気的に結合することができ、光センサ802
により検出された光子に基づきデータ信号を送るように構成することができる。一部の実
施形態では、ガイド領域804は、ガイド領域804において基板材料を囲む、周辺クロ
ストークシールド808を備えることができる。
【0128】
方法700はまた、(704において)シールド層810を装置ベース800の外面8
01に適用するステップを含み、(706において)開口812をシールド層810に形
成するステップを含むことができる。上記のように、シールド層810は、信号をブロッ
クするように構成した金属材料を含むことができる。開口812は、マスク(図示なし)
を適用し、シールド層810の材料を(例えば、エッチングにより)除去して、開口81
2を形成することにより、形成することができる。
【0129】
708において、ガイドキャビティ814を装置ベース800に形成することができる
。より具体的には、ガイドキャビティ814が開口812の近接部から対応光センサ80
2に向かって伸長するように、ガイド領域804内の基板材料を除去することができる。
図12Aに示すように、基板材料の内面815はガイドキャビティ814を定義すること
ができる。ガイドキャビティ814は、内面815がクロストークシールド808に近接
するようにサイズ決めし、成形することができる。本明細書に示すように、クロストーク
シールド808は、内面815に直接隣接させるか、または、ガイドキャビティ814に
露呈させることができる。
【0130】
方法700はまた、(710において)フィルタ材820をガイドキャビティ814内
に付着させるステップを含むことができる。フィルタ材820は、例えば、有機フィルタ
材とすることができる。一部の実施形態において、フィルタ材820の一部は、付着操作
後、シールド層810に沿って伸長することができる。例えば、装置ベース800に適用
したフィルタ材820の総量は、ガイドキャビティ814の平均体積を超える場合がある
。したがって、フィルタ材820はガイドキャビティ814を溢れ、シールド層810に
沿って伸長する場合ができる。
【0131】
一部の実施形態において、(710における)フィルタ材820を付着するステップは
、フィルタ材820をガイドキャビティ814に(例えば、スキージーのような部品を用
いて)押し付けるステップを含み得る。図12Aは、シールド層810に沿ったフィルタ
材820の均質層を示すように見える。一部の実施形態において、フィルタ材820の層
は均質とすることはできない。例えば、シールド層810の一部のみがその上にフィルタ
材820を有する場合がある。代替的な実施形態において、付着操作は、各ガイドキャビ
ティ814を選択的に埋め、フィルタ材820がガイドキャビティ814を空にする、ま
たは、溢れることがないようにすることができる。
【0132】
712において、フィルタ材820を硬化することができる。任意で、方法700はま
た、(714において)シールド層810からフィルタ材820を除去し、場合によって
は、ガイドキャビティ814からフィルタ材820を除去するステップを含むことができ
る。フィルタ材820をガイドキャビティ814内から除去し、フィルタ材820の材料
レベル830が開口812内に、または、シールド層810を下回る深さで位置するよう
にすることができる。材料レベル830がシールド層810を下回る実施形態では、フィ
ルタ材820はシールド層810のいずれの材料とも接触できない。ガイドキャビティ8
14内のフィルタ材820は、光ガイドを形成することができる。フィルタ材820をシ
ールド層810から除去するため、異なるプロセスを構築することができる。例えば、除
去操作は、フィルタ材をエッチングするステップか、または、フィルタ材を化学的に研磨
するステップうち、少なくとも一方を含むことができる。
【0133】
図12Bに示すように、方法700はまた、(716において)保護層832をシール
ド層810と光ガイドのフィルタ材820に適用し、保護層832がシールド層810に
沿って、開口812全体に直接的に伸長するようにするステップを含むこともできる。保
護層832は、材料インターフェイス516(図9)のような、対応材料インターフェイ
ス834において、光ガイドに沿って直接的に伸長することができる。図示する実施形態
において、保護層832は平坦な検出面836を有する。他の実施形態では、検出面83
6は、反応くぼみ408(図7)のような反応くぼみのアレイを形成することができる。
反応くぼみは、対応開口812に向かって伸長するか、または、開口812内に位置させ
ることができる。
【0134】
一部の実施形態において、保護層832は複数のサブ層841~843を含む。特定の
実施形態では、サブ層841~843のうち少なくとも1つがタンタルを含む。例えば、
サブ層841は五酸化タンタル(Ta)を含み、サブ層842は低温フィルム(例
えば、窒化ケイ素(Si))を含み、検出面836を有し得るサブ層843は五酸
化タンタル(Ta)を含むことができる。しかしながら、サブ層841~843は
例として提供するのみで、他の保護層はより少ないサブ層、より多いサブ層、または、異
なる材料を有するサブ層を含むことができる。場合によっては、単一サブ層のみを保護層
として使用する。
【0135】
任意で、方法700は、(718において)反応部位850を提供するステップと、フ
ローセル(図示なし)を取り付けるステップを含むことができる。反応部位850を提供
するステップは、フローセルを検出装置に結合する前または後に行うことができる。反応
部位850を指定の場所に位置させ、反応部位850が検出面836に沿って所定のパタ
ーンを有するようにすることができる。反応部位は、所定のやり方で、(例えば、1光セ
ンサに対し1部位を、複数の光センサに対し1部位を、または1光センサに対し複数の部
位を)対応させることができる。他の実施形態では、反応部位は検出面836に沿って無
作為に形成することができる。本明細書で用いる場合、反応部位850は、検出面836
に固定化した、生物学的または化学的な物質を含むことができる。生物学的または化学的
な物質は、励起光に応じて光信号を放射するように構成することができる。特定の実施形
態において、反応部位850は、検出面836に固定化した生体分子(例えば、オリゴヌ
クレオチド)のクラスタまたはコロニーを含む。
【0136】
一実施形態において、フローセルと、フローセルが結合した検出装置とを備えるバイオ
センサを提供する。フローセルおよび検出装置は、励起光に応じて光放射を生成する生物
学的または化学的な物質を有するように構成した、フローチャネルを形成する。検出装置
は、光センサのセンサアレイと光ガイドのガイドアレイとを有する装置ベースを備える。
光ガイドは、励起光と、フローチャネルからの光放射とを受け取るように構成した入力領
域を有する。光ガイドは、入力領域から対応光センサに向かって装置ベース内を伸長し、
かつ、励起光をフィルタリングし、光放射が対応光センサに向かって伝播することが可能
であるように構成したフィルタ材を有する。装置ベースは、光センサに電気的に結合し、
光センサにより検出された光子に基づきデータ信号を送るように構成した装置回路を備え
る。検出装置はまた、フローチャネルと装置ベースの間を伸長するシールド層を備える。
シールド層は、対応光ガイドの入力領域を基準にして位置決めした開口を有し、光放射が
開口を通って対応入力領域に伝播するようにする。シールド層は、隣接開口間で伸長し、
隣接開口間のシールド層に入射する励起光と光放射をブロックするように構成する。
【0137】
一態様において、光ガイドの入力領域は、シールド層の対応開口内に置くか、または、
装置ベース内のある深さに置くことができる。
【0138】
別の態様では、検出装置はシールド層に沿って伸長する保護層を備え、シールド層が保
護層と装置ベースの間にあるようにすることができる。保護層は開口全体に伸長すること
ができる。
【0139】
特定の場合では、光ガイドのフィルタ材は有機フィルタ材とすることができる。保護層
は光ガイドの入力領域に沿って直接的に伸長し、フィルタ材をシールド層から隔離するこ
とができる。材料インターフェイスは、シールド層の対応開口内に位置させるか、または
、装置ベース内のある深さに位置させることができる。ある実施形態において、保護層は
開口内に伸長し、反応くぼみのアレイを形成する。反応くぼみは、対応開口に向かって伸
長するか、または、対応開口内に位置させることができる。
【0140】
ある実施形態では、生物学的または化学的な物質は、反応くぼみ内に位置するように構
成する。ある実施形態では、反応くぼみは対応ベース面を有する。ベース面は開口内に位
置させるか、または、装置ベース内のある深さに位置させることができる。
【0141】
別の態様では、装置ベースは周辺クロストークシールドを備える。各クロストークシー
ルドは、対応光ガイドのうち1つを囲むことができる。クロストークシールドは、隣接光
センサ間の光学的クロストークを低減するように構成することができる。
【0142】
別の態様では、バイオセンサはレンズを持たず、その結果、バイオセンサは焦点に向か
う光放射に焦点を当てる光学素子を備えない。
【0143】
一実施形態において、フローセルと、フローセルが結合した検出装置とを備えるバイオ
センサを提供する。フローセルおよび検出装置は、励起光に応じて光放射を生成する生物
学的または化学的な物質を有するように構成した、フローチャネルを形成する。検出装置
は、光センサのセンサアレイと光ガイドのガイドアレイとを有する、装置ベースを備える
。光ガイドは、励起光と、フローチャネルからの光放射とを受け取るように構成する。各
光ガイドは、中心縦軸に沿って光ガイドの入力領域からセンサアレイの対応光センサに向
かって、装置ベース内を伸長する。光ガイドは、励起光をフィルタリングし、光放射が対
応光センサに伝播ができるように構成したフィルタ材を備える。装置ベースは、光センサ
に電気的に結合し、光センサにより検出された光子に基づいてデータ信号を送るように構
成した装置回路を備える。装置ベースには、ガイドアレイの対応光ガイドを囲む周辺クロ
ストークシールドが位置する。クロストークシールドは、縦軸それぞれの周りの対応光ガ
イドを少なくとも部分的に囲み、隣接光センサ間の光学的クロストークを低減する。
【0144】
一態様において、クロストークシールドは、光ガイドの対応入力領域を囲むことができ
る。
【0145】
別の態様では、クロストークシールドは、対応光ガイドを円周方向に囲むクロストーク
リングを備えることができる。
【0146】
別の態様では、装置ベースは、相補型金属酸化物半導体(complementary-metal-oxide
semiconductor、CMOS)および装置回路を備えることができる。クロストークシールド
は、装置ベースの誘導体層内に位置する金属素子を備えることができる。クロストークシ
ールドは装置回路から電気的に分離することができる。
【0147】
別の態様では、シールド層はフローチャネルと装置ベースの間に伸長することができる
。シールド層は開口を有することができ、これはガイドアレイの対応光ガイドの入力領域
を基準にして位置決めする。開口は、光放射が入力領域に伝播することを可能にする。シ
ールド層は隣接開口間を伸長することができ、隣接開口間のシールド層に入射する励起光
と光放射をブロックするように構成する。例えば、光ガイドの入力領域は、シールド層の
対応開口内に位置させるか、または、装置ベース内のある深さに位置させることができる
【0148】
別の態様では、検出装置はまた、シールド層が保護層と装置ベースの間、および、開口
全体にあるように、シールド層に沿って伸長する保護層も備えることができる。
【0149】
別の態様では、クロストークシールドは、シールド層に隣接するか、または、直接隣接
する。
【0150】
別の態様では、クロストークシールドは第1クロストークシールドであり、装置ベース
は第2クロストークシールドを備え、ここでガイドアレイの各光ガイドは、対応する第1
クロストークシールドおよび第2クロストークシールドにより少なくとも部分的に囲まれ
ている。例えば、第1クロストークシールドおよび第2クロストークシールドは、対応縦
軸に沿って互いに分離して配置することができる。別の実施形態では、第1クロストーク
シールドおよび第2クロストークシールドは異なる寸法を有する。
【0151】
一実施形態において、バイオセンサを製造する方法を提供する。該方法は装置ベースを
提供するステップを含み、該装置ベースは、光センサのセンサアレイと、光センサに電気
的に結合し、光センサにより検出された光子に基づきデータ信号を送るように構成した装
置回路とを含む。装置ベースは外面を有する。該方法はまた、シールド層を装置ベースの
外面に適用するステップと、シールド層を貫通する開口を形成するステップを含む。該方
法はまた、対応開口からセンサアレイの対応光センサに向かって伸長するガイドキャビテ
ィを形成するステップと、ガイドキャビティ内にフィルタ材を付着させるステップも含む
。フィルタ材の一部は、シールド層に沿って伸長する。該方法はまた、フィルタ材を硬化
するステップと、フィルタ材をシールド層から除去するステップも含む。ガイドキャビテ
ィ内のフィルタ材は、光ガイドを形成する。該方法はまた、保護層をシールド層に適用し
、保護層がシールド層に沿って、開口全体に直接的に伸長するようにするステップも含む
【0152】
一態様において、フィルタ材をシールド層から除去するステップは、ガイドキャビティ
内のフィルタ材の一部を除去し、フィルタ材の材料レベルが開口内に位置するか、または
、シールド層の下のある深さに位置するようにするステップを含む。
【0153】
別の態様では、保護層は、対応材料インターフェイスにおいて光ガイドに沿って直接的
に伸長する。材料インターフェイスは、対応開口内に位置するか、または、装置ベース内
のある深さに位置する。
【0154】
別の態様では、フィルタ材は有機フィルタ材である。保護層は、光ガイドに沿って直接
的に伸長し、有機フィルタ材をシールド層から隔離する。
【0155】
別の態様では、保護層は反応くぼみのアレイを形成する。反応くぼみは対応開口に向か
って伸長するか、または、対応開口内に位置する。例えば、反応くぼみは対応ベース面を
有することができる。ベース面は、開口内に位置するか、または、装置ベース内のある深
さに位置することができる。
【0156】
別の態様では、前記方法は、フローセルを装置ベースに結合し、保護層とフローセルの
間にフローチャネルを形成するステップを含む。
【0157】
別の態様では、フィルタ材をシールド層から除去するステップは、フィルタ材をエッチ
ングするステップか、または、フィルタ材を化学的に研磨するステップのうち、少なくと
も一方を含むことができる。
【0158】
別の態様では、保護層は五酸化タンタル(Ta)を含む。例えば、保護層は複数
のサブ層を含むことができ、ここでサブ層の少なくとも1つは五酸化タンタル(Ta
)を含む。より具体的な実施形態では、サブ層は、間に低温フィルを有する2つの五酸
化タンタル層を含むことができる。
【0159】
別の態様では、装置ベースは、ガイドキャビティを形成するステップ前に基板材料を含
んだガイド領域を有し、ここで隣接ガイド領域は、装置回路を含む回路領域により分離し
ている。ガイドキャビティを形成するステップは、ガイド領域の基板材料を除去するステ
ップを含むことができる。
【0160】
別の態様では、装置ベースは、ガイドキャビティを形成する前、ガイド領域を囲む周辺
クロストークシールドを備えることができる。クロストークシールドは、光ガイドを形成
した後、対応光ガイドを少なくとも部分的に囲むことができる。クロストークシールドは
、隣接光センサ間の光学的クロストークを低減するように構成することができる。
【0161】
一実施形態において、光センサのセンサアレイと、光ガイドのガイドアレイとを有する
装置ベースを備えたバイオセンサを提供する。装置ベースは外面を有する。光ガイドは、
励起光および外面に近接した生物学的または化学的な物質により生成される光放射を受け
取るように構成した、入力領域を有する。光ガイドは、入力領域から対応光センサに向か
って装置ベース内に伸長し、励起光をフィルタリングし、光放射が対応光センサに伝播で
きるように構成したフィルタ材を有する。装置ベースは、光センサに電気的に結合し、光
センサにより検出される光子に基づいてデータ信号を送るように構成した装置回路を備え
る。バイオセンサはまた、装置ベースの外面に沿って伸長するシールド層を備える。シー
ルド層は、光ガイドの対応入力領域を基準にして位置決めした開口を有し、光放射が開口
を通って対応入力領域に伝播するようにする。シールド層は隣接開口間を伸長し、隣接開
口間のシールド層へ入射する励起光および光放射をブロックするように構成する。
【0162】
一実施形態において、光センサのセンサアレイと光ガイドのガイドアレイとを有する装
置ベースを備えたバイオセンサを提供する。装置ベースは外面を有する。光ガイドは、励
起光および外面に近接した生物学的または化学的物質により生成される光放射を受け取る
ように構成する。光ガイドはそれぞれ、光ガイドの入力領域からセンサアレイの対応光セ
ンサに向かって、中心縦軸に沿って装置ベースに伸長する。光ガイドは、励起光をフィル
タリングし、光放射が対応光センサに伝播できるように構成したフィルタ材を備える。装
置ベースは、光センサに電気的に結合し、光センサにより検出される光子に基づきデータ
信号を送るように送るように構成した装置回路を備える。装置ベースには、ガイドアレイ
の対応光ガイドを囲む周辺クロストークシールドが位置する。クロストークシールドは、
縦軸それぞれの周りの対応光ガイドを少なくとも部分的に囲み、逸脱光線をブロックする
か、または、反射するうちの少なくとも一方を行って、隣接光センサ間の光学的クロスト
ークを低減する。
【0163】
本明細書に記載の主題は、本明細書の記述に記載された、または本明細書の図面に示さ
れた部品の構造および配置の詳細に、その用途を限定されることはないことを理解すべき
である。本明細書に記載の主題は、他の実施形態が可能であり、種々の方法で実践または
実行することができる。また、本明細書で用いる表現および用語は説明を目的としたもの
で、限定するものと見なすべきではないことを理解すべきである。本明細書における「備
えて(including)」「含んで(comprising)」、「有して(having)」およびその変形
の使用は、追加のアイテム同様に、その後に列記するアイテムおよびその同等物を包含す
ることを意味する。
【0164】
別段明記または限定されていない限り、「取り付けて(mounted)」、「接続して(con
nected)」、「支持されて(supported)」、および「結合して(coupled)」という用語
およびその変形は、大まかに用いられ、直接的および非直接的の両方で、取り付け、接続
し、支持され、および、結合することを包含する。さらに、「接続して(connected)」
および「結合して(coupled)」は、物理的または機械的な、接続または結合に限定され
るわけではない。また、装置または素子の向きに関連して本明細書で用いる表現および用
語(例えば、「上」、「下」、「前」、「後」、「末端」、および「近接」などの用語)
は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態の記載を単純化するためにのみ用い、言
及された装置または素子が特定の向きを有さなければならないことのみを意図または含意
するものではない。加えて、「外」および「内」などの用語は、説明を目的に本明細書で
用いられ、相対的な重要度または意義を示す、または、含意することを意図するものでは
ない。
【0165】
上記記載は、説明のためのものであって、制限的なものではないことを意図しているこ
とを理解すべきである。例えば、上記の実施形態(および/または、その態様)は、互い
に組み合わせて用いることができる。加えて、多くの修正を行い、本発明の範囲から離れ
ることなく、本発明の教示に特定の状況または材料を適応させることができる。一方、本
明細書に記載した寸法、材料およびコーティングの種類は、本開示の主題のパラメータを
定義することを意図し、決して限定するものではなく、例示的な実施形態である。多くの
他の実施形態および修正が、上記記載を検討することにより、当業者には明らかになるで
あろう。そのため、本発明の主題の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、特許請求
の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲と共に定められるべきである。添付の特許請求
の範囲において、「備え(including)」および「ここで(in which)」という用語は、
「含み(comprising)」および「ここにおいて(wherein)」というそれぞれの用語の、
平易な英語の同義語として用いる。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1」「
第2」「第3」等の用語は単に符号として用い、その対象に数的要件を課すことを意図す
るものではない。さらに、以下の特許請求の範囲の限定は、ミーンズ・プラス・ファンク
ション形式で書かれたものではなく、そのような特許請求の範囲における限定が、さらな
る構造を有さない機能の言及が後に続く「~のための手段」という表現を、明示的に使用
しない限り、かつ明示的に使用するまでは、米国特許法第112条第6項に基づき解釈さ
れることを意図するものではない。
【0166】
以下の特許請求の範囲は、本発明の主題のある実施形態の態様を記載し、上記開示の一
部と考えられる。これらの態様は、互いに組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B