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特許7355877車路協同自動運転の制御方法、装置、電子機器及び車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】車路協同自動運転の制御方法、装置、電子機器及び車両
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20230926BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20230926BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20230926BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20230926BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20230926BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20230926BHJP
【FI】
G08G1/09 F
B60W30/10
B60W40/04
G08G1/09 V
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/30
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022060685
(22)【出願日】2022-03-31
(65)【公開番号】P2022091936
(43)【公開日】2022-06-21
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】202110700427.2
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111162252.0
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521208273
【氏名又は名称】阿波▲羅▼智▲聯▼(北京)科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】APOLLO INTELLIGENT CONNECTIVITY(BEIJING)TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】101, 1st Floor, Building 1, Yard 7, Ruihe West 2nd Road, Beijing Economic and Technological Development Zone, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】グオイ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ウエン ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】クゥン ワン
(72)【発明者】
【氏名】マオヤン フゥ
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第02578916(GB,A)
【文献】国際公開第2020/079755(WO,A1)
【文献】特開2007-317019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
G16Y 10/40
20/20
40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車路協同自動運転の制御方法であって、
第1車両の検出可能範囲の中に位置する第1検出情報を取得するステップであって、前記検出可能範囲は、前記第1車両が備えるセンサの組み合わせの最大検出範囲に基づいて確定され、前記第1検出情報は、センサの組み合わせによって検出される情報である、ステップと、
前記検出可能範囲の中の前記第1検出情報に基づいて、前記第1車両が現在の走行車線上において渋滞状態にあるか否かを確定するステップと、
前記第1車両が前記現在の走行車線上において渋滞状態にあると確定したことに応答して、路側装置によって第2検出情報を取得するステップであって、前記第2検出情報は前記第1車両の検出可能範囲外の情報を含むステップと、
少なくとも前記第2検出情報に基づいて、前記第1車両のための制御決定を確定するステップとを含む
車路協同自動運転の制御方法。
【請求項2】
前記第1検出情報は、前記第1車両と前方車両との第1車間距離を含み、前記の前記第1検出情報に基づいて、前記第1車両が現在の走行車線上において渋滞状態にあると確定するステップは、
予め設定された時間範囲内で、前記第1車間距離がいずれも予め設定された閾値よりも小さいことに応答して、前記第1車両が前記現在の走行車線上において渋滞状態にあると確定するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の少なくとも前記第2検出情報に基づいて、前記第1車両のための制御決定を確定するステップは、
前記第2検出情報に基づいて、前記現在の走行車線上において前記第1車両の前方に位置する交通イベント情報を識別するステップと、
識別された前記交通イベント情報に基づいて、前記第1車両のための制御決定を確定するステップとを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
識別された前記交通イベント情報に基づいて、前記第1車両のための制御決定を確定する前記ステップは、
前記現在の走行車線上において前記第1車両の前方に異常な交通イベントがあり、前記現在の走行車線と同方向の少なくとも1つの隣接車線上の車両が非渋滞状態にあると確定したことに応答して、前記第1車両が前記少なくとも1つの隣接車線のうちのいずれか1つの隣接車線を介して車線変更を実行すると確定するステップを含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記の、識別された前記交通イベント情報に基づいて、前記第1車両のための制御決定を確定するステップは、
前記現在の走行車線において前記第1車両の前方に異常な交通イベントが存在しないと確定したことに応答して、前記第1車両が前記現在の走行車線で待つと確定するステップをさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記異常な交通イベントは、交通事故、歩行者又は車両の違反侵入、自然災害、違反駐車、道路工事、又は前記現在の走行車線における障害物の存在のうちの1つ又は複数を含む、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記路側装置によって参照制御情報を取得するステップをさらに含み、前記参照制御情報は、前記路側装置が前記第2検出情報に基づいて確定され、
前記の、少なくとも前記第2検出情報に基づいて、前記第1車両のための制御決定を確定するステップは、
前記第2検出情報及び前記参照制御情報に基づいて、前記第1車両のための制御決定を確定するステップを含む請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記路側装置は、路側感知サブ装置と、路側計算サブ装置と、路側通信サブ装置とを含む請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
車路協同自動運転の制御装置であって、
第1車両の検出可能範囲の中に位置する第1検出情報を取得するように構成される第1取得ユニットであって、前記検出可能範囲は、前記第1車両が備えるセンサの組み合わせの最大検出範囲に基づいて確定され、前記第1検出情報は、センサの組み合わせによって検出される情報である、第1取得ユニットと、
前記検出可能範囲の中の前記第1検出情報に基づいて、前記第1車両が現在の走行車線上において渋滞状態にあるか否かを確定するように構成される第1確定ユニットと、
前記第1車両が前記現在の走行車線上において渋滞状態にあると確定したことに応答して、路側装置によって第2検出情報を取得するように構成される第2取得ユニットであって、前記第2検出情報は前記第1車両の検出可能範囲外の情報を含む第2取得ユニットと、
少なくとも前記第2検出情報に基づいて、前記第1車両のための制御決定を確定するように構成される第2確定ユニットとを含む
車路協同自動運転の制御装置。
【請求項10】
前記第1検出情報は、前記第1車両と前方車両との第1車間距離を含み、前記第1確定ユニットは、
予め設定された時間範囲内で、前記第1車間距離がいずれも予め設定された閾値よりも小さいことに応答して、前記第1車両が前記現在の走行車線上において渋滞状態にあると確定するために用いられるサブユニットを含む請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第2確定ユニットは、
前記第2検出情報に基づいて、前記現在の走行車線上において前記第1車両の前方に位置する交通イベント情報を識別するように構成される識別サブモジュールと、
識別された前記交通イベント情報に基づいて、前記第1車両のための制御決定を確定するように構成される第1確定サブモジュールとを含む請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1確定サブモジュールは、
前記現在の走行車線上において前記第1車両の前方に異常な交通イベントがあり、前記現在の走行車線と同方向の少なくとも1つの隣接車線上の車両が非渋滞状態にあると確定したことに応答して、前記第1車両が前記少なくとも1つの隣接車線のうちのいずれか1つの隣接車線を介して車線変更を実行すると確定するために用いられるサブユニットを含む請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1確定サブモジュールは、
前記現在の走行車線において前記第1車両の前方に異常な交通イベントが存在しないと確定したことに応答して、前記第1車両が前記現在の走行車線で待つと確定するために用いられるサブユニットをさらに含む請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記異常な交通イベントは、交通事故、歩行者又は車両の違反侵入、自然災害、違反駐車、道路工事、又は前記現在の走行車線における障害物の存在のうちの1つ又は複数を含む請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記路側装置によって参照制御情報を取得するように構成される第三取得ユニットをさらに含み、前記参照制御情報は、前記路側装置が前記第2検出情報に基づいて決定され、
前記第2確定ユニットは、
前記第2検出情報及び前記参照制御情報に基づいて、前記第1車両のための制御決定を確定するように構成される第2確定サブモジュールをさらに含む請求項9~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記路側装置は、路側感知サブ装置と、路側計算サブ装置と、路側通信サブ装置とを含む請求項9~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
電子機器であって、
少なくとも1つのプロセッサ、及び
前記少なくとも1つのプロセッサに通信接続されたメモリを含み、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶され、前記命令は前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されることにより、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実行させる電子機器。
【請求項18】
コンピュータに請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実行させるためのコンピュータ命令が記憶された非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
プロセッサによって実行されると、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実現するコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
自動運転車両であって、
少なくとも1つのプロセッサ、及び
前記少なくとも1つのプロセッサに通信接続されたメモリを含み、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶され、前記命令は前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されることにより、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実行させる自動運転車両。
【請求項21】
車路協同システムであって、路側装置と請求項20に記載の自動運転車両とを含む車路協同システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人工インテリジェント技術分野に関し、特に、自動運転及びインテリジェント交通技術分野に関し、具体的には、車路協同自動運転の制御方法、装置、電子機器、コンピュータ可読記憶媒体、コンピュータプログラム製品、車両及び車路協同システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転は、現在、主に単一車両によるインテリジェント自動運転(Autonomous Driving,AD)に依存する。ADは、主に車両自身の視覚、ミリ波レーダー、レーザーレーダーなどのセンサ、計算ユニット、有線制御システムによって環境感知、計算決定と制御実行を行う。
このセクションにおいて説明されているアプローチは、必ずしも、以前に考案され又は採用されているアプローチではない。特に明記しない限り、このセクションにおいて説明されているアプローチのうちのいずれかが、単に、このセクションに含まれているという理由だけで先行技術として適格であると想定されるべきではない。同様に、特に明記しない限り、このセクションで提起されている問題は、先行技術で認識されていると解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0003】
本開示は車路協同自動運転の制御方法、装置、電子機器、コンピュータ可読記憶媒体、コンピュータプログラム製品、車両及び車路協同システムを提供する。
本開示の一態様によれば、車路協同自動運転の制御方法であって、第1車両の検出可能範囲内に位置する第1検出情報を取得するステップと、第1検出情報に基づいて、第1車両が現在の走行車線上において渋滞状態にあると確定する(渋滞状態にあるということを決定する)ステップと、第1車両が現在の走行車線上において渋滞状態にあると確定したことに応答して、路側装置によって第2検出情報を取得し、第2検出情報は、第1車両の検出可能範囲外の情報を含むステップと、少なくとも第2検出情報に基づいて、第1車両のための制御決定を確定するステップと、を含む車路協同自動運転の制御方法を提供する。
本開示の別の態様によれば、車路協同自動運転の制御装置であって、第1車両の検出可能範囲内に位置する第1検出情報を取得するように構成される第1取得ユニットと、第1検出情報に基づいて、第1車両が現在の走行車線上において渋滞状態にあると確定する(渋滞状態にあるということを決定する)ように構成される第1確定ユニットと、第1車両が現在の走行車線上において渋滞状態にあると確定したことに応答して、路側装置によって第2検出情報を取得し、第2検出情報は、第1車両の検出可能範囲外の情報を含むように構成される第2取得ユニットと、少なくとも第2検出情報に基づいて、第1車両のための制御決定を確定するように構成される第2確定ユニットとを含む車路協同自動運転の制御装置を提供する。
本開示の別の態様によれば、電子機器であって、少なくとも1つのプロセッサ、及び少なくとも1つのプロセッサに通信接続されたメモリを含み、メモリには、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶され、命令は少なくとも1つのプロセッサによって実行されることにより、少なくとも1つのプロセッサに以上に記載の方法を実行させる電子機器を提供する。
本開示の別の態様によれば、コンピュータに以上に記載の方法を実行させるためのコンピュータ命令が記憶された非一時的コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
本開示の別の態様によれば、プロセッサによって実行されると、以上に記載の方法を実現するコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を提供する。
本開示の別の態様によれば、自動運転車両であって、少なくとも1つのプロセッサ、及び少なくとも1つのプロセッサに通信接続されたメモリを含み、メモリには、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶され、命令は少なくとも1つのプロセッサによって実行されることにより、少なくとも1つのプロセッサに以上に記載の方法を実行させる自動運転車両を提供する。
本開示の別の態様によれば、道路側装置と以上に記載の自動運転車両とを含む車路協同システムを提供する。
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、道路側装置によって取得された検出情報を利用して、渋滞状態における第1車両のための制御決定を確定することができ、自動運転車両の感知能力を向上させ、より正確な制御決定を実現することができる。
理解すべきことは、この部分に説明される内容は、本開示の実施形態の要点又は重要な特徴を識別することを意図しておらず、本開示の保護範囲を限定するためのものではないことである。本開示の他の特徴は、以下の明細書によって理解されやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図面は、実施例を例示的に示し、明細書の一部を構成し、明細書の文字による説明とともに、実施例の例示的な実施形態を説明するために用いられる。図示の実施例は例示の目的のみであり、特許請求の範囲を限定するものではない。すべての図面において、同一の符号は、類似しているが、必ずしも同じとは限らない要素を指す。
図1】本開示の実施例による、本明細書で説明される様々な方法を実施することができる例示的なシステムを示す概略図である。
図2】本開示の実施例による車路協同自動運転の制御方法を示すフローチャートである。
図3A】本開示の実施例による車路協同自動運転の制御方法の概略図である。
図3B】本開示の実施例による車路協同自動運転の別の制御方法の概略図である。
図4】本開示の実施例による車路協同自動運転の制御装置の構成を示すブロック図である。
図5】本開示の実施例を実現するために使用できる例示的な電子機器の構成を示すブロック図である。
【開示を実施するための形態】
【0005】
以下、図面に合わせて本開示の例示的な実施形態を説明して、それに含まれる本開示の実施形態における様々な詳細が理解を助けるためので、それらは単なる例示的なものと考えられるべきである。したがって、当業者であれば、本開示の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書で説明された実施形態に対して様々な変更及び修正を行うことができることを認識すべきである。同様に、明瞭と簡潔のために、以下の説明では公知の機能及び構造についての説明を省略している。
本開示では、特に明記しない限り、様々な要素を説明するための「第1」、「第2」などの用語の使用は、これらの要素の位置関係、タイミング関係、又は重要性関係を限定することを意図していない。このような用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。いくつかの例では、第1要素と第2要素は、要素の同じ例を指すことができ、場合によっては、コンテキストの説明に基づいて、異なる例を指してもよい。
本開示の様々な例の説明で使用される用語は、特定の例を説明することのみを目的としており、限定することを意図していない。コンテキストが別途に明確に示されていない限り、特に要素の数を限定しないなら、要素は一つであってもよいし、複数であってもよい。また、本開示で使用される用語「及び/又は」は、リストされた項目のいずれか及び可能な全ての組み合わせをカバーする。
現在の自動運転分野では、単一車両によるインテリジェント自動運転技術が一般的に採用されている。単一車両による自動運転において、環境感知は、車に取り付けられたセンサによって周辺環境の探知と測位機能を実行することによって達成される。計算決定は、センサデータを分析処理し、目標の識別を実現する一方、行動予測とグローバル経路計画、局所経路計画と即時動作計画を行い、車両の現在と未来の運行軌跡を決定する。制御実行は主に車両の運動制御と人機相互作用を含み、各アクチュエータ、例えばモータ、アクセル、ブレーキなどの制御信号を決定する。
しかし、単一車両によるインテリジェント自動運転は車側センサの取り付け位置、探知距離、視野角、データスループット、計算能力、校正精度、時間同期などの制限を受け、車両は、ビジーな交差点、悪天候、小物体感知認識信号機の認識、逆光などの環境条件で走行する際に、正確な感知認識と高精度の位置決めを必要とするという問題を完全に解決することが難しく、現在、人々の自動運転技術に対する応用ニーズを満たすことができない。
そこで、本開示は、路側装置を用いて車両の自動制御を行うことができる方法を提案し、第1車両が現在の走行車線上において渋滞状態にあると確定したことに応答して、路側装置によって第2検出情報を取得し、第2検出情報は、第1車両の検出可能範囲外の情報を含み、かつ、少なくとも第2検出情報に基づいて、第1車両の制御決定を確定する。これにより、第1車両が渋滞状態にあるときに、路側装置によって取得された検出情報を利用して第1車両のための制御決定を確定し、第1車両の感知能力を向上させることができ、より正確な制御決定を実現することができる。
以下、図面を参照して本開示の実施例について詳細に説明する。
図1は、本開示の実施例による、本明細書に記載された様々な方法及び装置を、その中で実施することができる例示的なシステム100の概略図である。図1を参照すると、このシステム100は、自動車110と、サーバ120と、自動車110をサーバ120に結合する1つ又は複数の通信ネットワーク130とを含む。
本開示の実施例では、自動車110は、本開示の実施例による計算機器を含むこと、本開示の実施例による方法を実行するように構成されることのうちの少なくとも1つを含むことができる。
サーバ120は、自動運転の方法を実現できる1つ又は複数のサービス又はソフトウェアアプリケーションを実行することができる。いくつかの実施例では、サーバ120は、非仮想環境及び仮想環境を含むことができる他のサービス又はソフトウェアアプリケーションも提供することができる。図1に示す構成では、サーバ120は、サーバ120により実行される機能を実現する1つ又は複数のモジュールを含むことができる。これらのモジュールは、1つ又は複数のプロセッサで実行できるソフトウェアモジュール、ハードウェアモジュール、又はそれらの組み合わせを含むことができる。自動自動車110のユーザは、これらのモジュールによって提供されるサービスを利用するために、1つ又は複数のクライアントアプリケーションプログラムを順次利用してサーバ120と対話することができる。様々な異なるシステム構成が可能であり、システム100とは異なってもよいことを理解されたい。したがって、図1は、本開示に記載された様々な方法を実施するためのシステムの一例であり、制限することを意図していない。
サーバ120は、1つ又は複数の汎用コンピュータ、専用サーバコンピュータ(例えば、PC(パーソナルコンピュータ)サーバ、UNIXサーバ、ミッドレンジサーバ)、ブレードサーバ、大型コンピュータ、サーバクラスタ、又はその他の適切な配置及び/又は組み合わせを含むことができる。サーバ120は、仮想オペレーティングシステムを実行する1つ又は複数の仮想マシン、又は仮想化に関わる他の計算アーキテクチャ(例えば、サーバの仮想記憶装置を維持するために仮想化可能な論理記憶デバイスの1つ又は複数のフレキシブルプール)を含むことができる。様々な実施例において、サーバ120は、以下に説明する機能を提供する1つ又は複数のサービス又はソフトウェアアプリケーションを実行することができる。
サーバ120内の計算ユニットは、上述した任意のオペレーティングシステム及び任意の商用サーバオペレーティングシステムを含む1つ又は複数のオペレーティングシステムを実行することができる。サーバ120は、HTTPサーバ、FTPサーバ、CGIサーバ、JAVAサーバ、データベースサーバなど、様々な追加のサーバアプリケーション及び/又は中間層アプリケーションのいずれか1つを実行することもできる。
いくつかの実施形態では、サーバ120は、自動車110から受信したデータフィード及び/又はイベント更新の分析及びマージをするために、1つ又は複数のアプリケーションプログラムを含むことができる。サーバ120はまた、自動車110の1つ又は複数のディスプレイ装置を介してデータフィード及び/又はリアルタイムイベントを表示するために1つ又は複数のアプリケーションプログラムを含むことができる。
ネットワーク130は、当業者に知られている任意のタイプのネットワークであってもよく、それは、データ通信をサポートするために、複数の利用可能なプロトコルのいずれか1つ(TCP/IP、SNA、IPX等を含むがこれらに限定されない)を使用することができる。例として、1つ又は複数のネットワーク110は、衛星通信ネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イーサネットベースのネットワーク、トークンループ、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネット、仮想ネットワーク、仮想プライベートネットワーク(VPN)、イントラネット、エクストラネット、公衆交換電話網(PSTN)、赤外線ネットワーク、無線ネットワーク(Bluetooth、WiFiを含む)、及び/又はこれらとその他のネットワークの任意の組み合わせであってもよい。
システム100は、1つ又は複数のデータストア150を含むこともできる。いくつかの実施例では、これらのデータベースはデータやその他の情報を記憶するために使用できる。例えば、データストア150内の1つ又は複数は、オーディオファイルや映像ファイルなどの情報を記憶するために使用されることができる。データストア150は、さまざまな位置に配置することができる。例えば、サーバ120が使用するデータベースは、サーバ120のローカルにあってもよいし、サーバ120から離れて、ネットワーク又は専用の接続を介してサーバ120と通信してもよい。データストア150は、さまざまなタイプであってもよい。いくつかの実施例では、サーバ120が使用するデータベースは、リレーショナルデータベースなどのデータベースであってもよい。これらのデータベースのうちの1つ又は複数は、コマンドに応じてデータベースとデータベースからのデータを記憶、更新、検索できる。
いくつかの実施例では、データストア150のうちの1つ又は複数は、アプリケーションによって使用され、アプリケーションのデータを記憶することもできる。アプリケーションで使用されるデータベースは、キー値リポジトリ、オブジェクトリポジトリ、ファイルシステムでサポートされる汎用リポジトリなど、様々なタイプのデータベースであってもよい。
自動車110は、周囲環境を感知するためのセンサ111を含むことができる。センサ111は、視覚カメラ、赤外線カメラ、超音波センサ、ミリ波レーダー及びレーザーレーダー(LiDAR)というセンサのうちの1つ又は複数を含むことができる。異なるセンサは、異なる検出精度及び範囲を提供することができる。カメラは、車両の前方、後方、又は他の位置に取り付けることができる。視覚カメラは、車両の内外の状況をリアルタイムでキャプチャし、運転者及び/又は乗客に提示することができる。さらに、視覚カメラによってキャプチャされた画像を分析することによって、交通信号灯の指示、交差点の状況、他の車両の運転状態などの情報を取得することができる。赤外線カメラは夜間に物体を捉えることができる。超音波センサは車両の周辺に取り付けることができ、超音波の指向性が強いなどの特徴を利用して車外物体の車両からの距離を測定するために用いられる。ミリ波レーダは、車両の前方、後方、又は他の位置に取り付けることができ、電磁波の特性を利用して車外物体の車両からの距離を測定するために用いられる。レーザレーダは、物体のエッジ、形状情報を検出して物体の識別及び追跡を行うために、車両の前方、後方、又は他の位置に取り付けることができる。ドップラー効果を利用して、レーダ装置は、また、車両及び移動物体の速度変化を測定することができる。
自動車110は、また、通信装置112を含むことができる。通信装置112は、衛星141から衛星測位信号(例えば、北斗、GPS、GLONASS、及びGALILEO)を受信し、これらの信号に基づいて座標を生成することができる衛星測位モジュールを含むことができる。通信装置112は、移動体通信基地局142と通信するモジュールをさらに含むことができ、移動体通信ネットワークは、GSM/GPRS、CDMA、LTEなどの現在の、又は進化中の無線通信技術(例えば、5G技術)などの任意の適切な通信技術を実施することができる。また、通信装置112は、例えば、他の車両143との間での車対車(Vehicle-to-Vehicle,V2V)通信、路側装置144との間での車両から路側装置まで(Vehicle-to-Infrastructure,V2I)の通信を行う車両と外部との通信を実現するように構成される車両ネットワーク又はV2X(Vehicle-to-Everything)モジュールを有していてもよい。さらに、通信装置112は、例えば、IEEE802.11規格の無線ローカルエリアネットワーク又はブルートゥースを使用して、ユーザ端末145(携帯電話、タブレットコンピュータ、又は腕時計などの装着可能なデバイスを含むがこれらに限定されない)と通信するように構成されるモジュールを有してもよい。自動車110は、通信装置112を使用して、ネットワーク130を介してサーバ120にアクセスすることもできる。
自動車110は、また、制御装置113を含むことができる。制御装置113は、中央処理ユニット(CPU)又はグラフィックス処理ユニット(GPU)、又は他の専用プロセッサ等の様々なタイプのコンピュータ可読記憶装置又は媒体と通信するプロセッサを含むことができる。制御装置113は、車両内の様々なアクチュエータを自動的に制御する自動運転システムを含むことができる。自動運転システムは、複数のセンサ111又は他の入力装置からの入力に応答して、複数のアクチュエータを介して自動車110(図示せず)の動力アセンブリ、ステアリングシステム、及び制動システムなどを制御して、人為的介入を必要とせず、又は制限された人為的介入で、加速、ステアリング、及び制動をそれぞれ制御するように構成される。制御装置113の処理機能の一部は、クラウドコンピューティングによって実現することができる。例えば、いくつかの処理は、車載プロセッサを使用して実行されてもよく、他のいくつかの処理は、クラウド側の計算リソースを使用して実行されてもよい。制御装置113は、本開示による方法を実行するように構成することができる。また、制御装置113は、本開示による自動車側(クライアント側)の計算装置の一例として実現されてもよい。
当然のことながら、自動車は、上述した様々な車両側感知装置を必ずしも含む必要はない。本発明のいくつかの実施例によれば、自動車がこれらの車両側感知装置を備えていない場合、又は起動していない場合でも、安全で確実な自動運転を実現することができる。
本開示に係る路側装置は道路工事及び付属施設、例えばカメラ、ミリ波レーダー、レーザーレーダーなどのインテリジェント感知施設、直連無線通信施設、セルラ移動通信施設などの路側通信施設、エッジ計算ノード、MEC或いは各級クラウドプラットフォームなどの計算制御施設、高精度地図と補助測位施設、及び電力機能などの付属設備などを含むことができる。
図1のシステム100は、本開示に基づいて説明した様々な方法及び装置を応用することができるように、様々な方法で構成し操作することができる。
本開示の技術案において、関連するユーザ個人情報の収集、記憶、使用、加工、伝送、提供と公開などの処理は、すべて関連法律法規の規定に符合し、かつ公順良俗に違反しない。
図2は、本開示の例示的な実施例による車路協同自動運転の制御方法を示し、この方法は、第1車両の検出可能範囲内に位置する第1検出情報を取得するステップS201と、第1検出情報に基づいて、第1車両が現在の走行車線上において渋滞状態にあると確定するステップS202と、第1車両が現在の走行車線上において渋滞状態にあると確定したことに応答して、路側装置によって第2検出情報を取得し、第2検出情報は、第1車両の検出可能範囲外の情報を含むステップS203と、少なくとも第2検出情報に基づいて、第1車両のための制御決定を確定するステップS204とを含む。
第1車両が渋滞状態にある場合に、路側装置によって取得された検出情報を利用して第1車両のための制御決定を確定することにより、第1車両の感知の限界という問題を解決することができ、路側装置によって検出された時間的、空間的次元においてより広範囲にカバーされた検出情報により、第1車両が自身の検出可能範囲内にない情報を早期に感知するのを助けることができ、第1車両の感知能力を高めることができ、より正確な制御決定を実現することができる。
ステップS201及びステップS202において、第1車両の検出可能範囲は、第1車両が備えるセンサの組み合わせの最大検出範囲に基づいて確定することができる。車両が備えるセンサの組み合わせは、車載カメラ、レーダーなどの1種類又は複数種類の感知装置から構成される組み合わせを含むことができる。
いくつかの実施例によれば、第1検出情報は、第1車両と前方車両との第1車間距離を含むことができ、第1検出情報に基づいて、第1車両が現在の走行車線上において渋滞状態にあると確定する(決定する)ことは、予め設定された時間範囲内で、第1車間距離がいずれも予め設定された閾値よりも小さいことに応答して、第1車両が現在の走行車線上において渋滞状態にあると確定することを含むことができる。これにより、第1車両の現在の走行状態を容易に判別することができ、さらに、第1車両が現在渋滞状態にあると確定されたときに、第1車両が渋滞現状から速やかに脱出できるように、対応する制御を速やかに開始することができる。
いくつかの実施例によれば、第1検出情報は、さらに、第1車両及び前方車両の時速を含むことができ、第1車両及び前方車両の時速が、予め設定された時間範囲にわたって予め設定された閾値未満であることに応答して、現在の走行車線上において第1車両が渋滞状態にあることを確定する。
ステップS203について、いくつかの実施例によれば、路側装置は、路側感知サブ装置、路側計算サブ装置、及び路側通信サブ装置を含むことができる。
いくつかの実施例によれば、路側装置は、複数の路側感知サブ装置であって、道路の延在方向に沿って道路の片側又は両側に配置され、且つ互いに間隔を置いて配置され、ここでは、各隣接する路側感知サブ装置は互いに部分的に重複する感知範囲を有し、それにより道路が複数の路側感知サブ装置の感知範囲で連続的にカバーされるものと、複数の路側計算サブ装置であって、道路の延在方向に沿って道路の片側又は両側に配置され、且つ互いに間隔を置いて配置され、ここでは、各路側計算サブ装置は、複数の路側感知サブ装置のうちの少なくとも1つと通信可能に結合されて、少なくとも1つの路側感知サブ装置からの感知情報を受信し、各路側計算サブ装置は、受信された感知情報を処理して、第2検出情報を取得するように構成されるものと、複数の路側通信サブ装置であって、道路の延在方向に沿って道路の片側又は両側に配置され、且つ互いに間隔を置いて配置され、ここでは、各路側通信サブ装置は、複数の路側計算サブ装置のうちの少なくとも1つの路側計算サブ装置と通信可能に結合されて、少なくとも1つの路側計算サブ装置からの第2検出情報を受信し、ここで、各路側通信サブ装置は、受信した第2検出情報を現在の走行車線上の第1車両に送信するように構成されるものとを含むことができる。
ステップS204について、いくつかの実施例によれば、第2検出情報に基づいて、現在の走行車線上の第1車両の前方に位置する交通イベント情報を識別することができる。識別された交通イベント情報に基づいて、第1車両のための制御決定を確定することができる。第1車両が現在の走行車線上において渋滞状態にあるとき、現在の渋滞を引き起こす交通イベントが異なるため、渋滞状態における第1車両の自動制御を最適化するために、対応する制御決定を意図的に確定して第1車両を制御しなければならない。
いくつかの実施例によれば、交通イベント情報は、交通イベントのタイプ、持続時間、及び発生位置などの1つ又は複数の情報を含むことができる。
いくつかの実施例によれば、識別された交通イベント情報に基づいて、第1車両のための制御決定を確定することは、現在の走行車線上において第1車両の前方に異常な交通イベントがあり、現在の走行車線と同方向の少なくとも1つの隣接車線上の車両が非渋滞状態にあると確定したことに応答して、第1車両が少なくとも1つの隣接車線のうちのいずれか1つの隣接車線を介して車線変更を実行すると確定することを含むことができる。
例えば、図3Aに示すように、現在の走行車線312上に異常交通イベント314が存在する場合、異常交通イベント314の発生位置の後ろにある車両は通行不能になり、現在の走行車線312上のその発生位置の後ろの第1車両315は渋滞状態になる。現在の走行車線312上のその発生位置の前の車両は、その異常な交通イベント314の影響を受けずに、依然として正常に通行可能である。この場合、第1車両315を、隣接する渋滞していない車線311又は313を介して車線変更するように制御し、その隣接する車線311又は313を利用して現在の走行車線312上の前方異常交通イベント314を迂回することによって、現在の渋滞状況を迅速に回避することができる。
さらに、第1車両315は、隣接する車線311又は313を介して現在の走行車線312上の異常な交通イベント314を通過した後に、近くの交差点で、車線が破線から実線になる前に、交差点で予想される走行方向に進んでもよい。その後、第1車両315は、車線変更して現在の走行車線312上に再び戻る機会を有する。一方で、第1車両315が隣接する車線311又は313を介して交差点に走行して、現在の走行車線312が渋滞状態にあることを発見する場合には、第1車両315は現在の走行車線312に戻ることが不可能であるので、現在の走行車線322で待機することにより、例えば左曲がり又は右曲がりなど、意図しない走行方向に強制的に走行させることを避けることが可能である。
いくつかの実施例によれば、異常な交通イベントは、交通事故、歩行者又は車両の違反侵入、自然災害、違反駐車、道路工事、又は現在の走行車線における障害物のうちの1つ又は複数を含むことができる。
いくつかの実施例によれば、隣接車線上の車両の時速が予め設定された閾値よりも大きいことに応答して、隣接車線上の車両が非渋滞状態にあると確定することができる。
いくつかの実施例によれば、識別された交通イベント情報に基づいて、第1車両のための制御決定を確定することは、現在の走行車線において第1車両の前方に異常な交通イベントが存在しないと確定したことに応答して、第1車両が現在の走行車線で待つと確定することをさらに含むことができる。
図3Bに示すように、例えば、現在の走行車線322に異常な交通イベントが存在しない場合に、第1車両325が急に方向転換することを選択するときは、前方の交差点の赤信号により現在の走行車線322は混雑する。隣接する車線323又は隣接する車線321において追い越そうとする場合に、第1車両325は、第1車両325が交差点に接近しているときに、現在の走行車線322に合流できないことを発見する。現在の走行車線322内の車両の列は、意図しない運転方向に向かって運転することを余儀なくされている。したがって、現在の走行車線322上の第1車両325の前方に異常な交通イベントが存在しないと判断した場合には、現在の走行車線322で待機するように第1車両325を制御することにより、第1車両325の自動制御決定を最適化することが可能である。
いくつかの実施例によれば、路側装置によって参照制御情報を取得してもよく、ここでは、参照制御情報は、路側装置が第2検出情報に基づいて確定するものであってもよく、ここでは、少なくとも第2検出情報に基づいて、第1車両のための制御決定を確定することは、第2検出情報及び参照制御情報に基づいて、第1車両のための制御決定を確定することを含むことができる。
このようにして、路側装置によって計算された参照制御情報によって第1車両の制御決定を支援することができ、これによって、車載自動運転システムのみに依存して車両の制御を実行することを回避することにより、路側装置が、少なくとも第1車両への部分的制御権を分担することができる。第1車両の制御システムの第1車両への自動制御に不十分であることを補うことができ、例えば、第1車両の制御システムが暴走している場合には、第1車両の有効な制御を保証するために、第1車両の制御決定を路側装置から主導することができる。
本開示はまた車路協同自動運転の制御装置400を提供し、この装置400は、第1車両の検出可能範囲内に位置する第1検出情報を取得するように構成される第1取得ユニット401と、第1検出情報に基づいて、第1車両が現在の走行車線上において渋滞状態にあると確定するように構成される第1確定ユニット402と、第1車両が現在の走行車線上において渋滞状態にあると確定したことに応答して、路側装置によって第2検出情報を取得し、ここでは、第2検出情報は第1車両の検出可能範囲外の情報を含むように構成される第2取得ユニット403と、少なくとも第2検出情報に基づいて、第1車両のための制御決定を確定するように構成される第2確定ユニット404とを含む。
いくつかの実施例によれば、第1検出情報は、第1車両と前方車両との第1車間距離を含み、第1確定ユニットは、予め設定された時間範囲内で、第1車間距離がいずれも予め設定された閾値よりも小さいことに応答して、第1車両が現在の走行車線上において渋滞状態にあると確定するために用いられるサブユニットを含む。
いくつかの実施例によれば、第2確定ユニットは、第2検出情報に基づいて、現在の走行車線上において第1車両の前方に位置する交通イベント情報を識別するように構成される識別サブモジュールと、識別された交通イベント情報に基づいて、第1車両のための制御決定を確定するように構成される第1確定サブモジュールとを含む。
いくつかの実施例によれば、第1確定サブモジュールは、現在の走行車線上において第1車両の前方に異常な交通イベントがあると判定し、現在の走行車線と同方向の少なくとも1つの隣接車線上の車両が正常通行状態にあると確定したことに応答して、第1車両が少なくとも1つの隣接車線のうちのいずれか1つの隣接車線を介して車線変更を実行すると確定するために用いられるサブユニットを含む。
いくつかの実施例によれば、第1確定サブモジュールは、現在の走行車線における第1車両の前方に異常な交通イベントが存在しないと確定したことに応答して、第1車両が現在の走行車線で待つと確定するために用いられるサブユニットをさらに含む。
いくつかの実施例によれば、異常な交通イベントは、交通事故、歩行者又は車両の違反侵入、自然災害、違反駐車、道路工事、又は現在の走行車線における障害物の存在のうちの1つ又は複数を含む。
いくつかの実施例によれば、この装置は、路側装置によって参照制御情報を取得するために用いられる第3取得ユニットを含み、参照制御情報は、路側装置が第2検出情報に基づいて決定され、ここでは、第2確定ユニットは、第2検出情報及び参照制御情報に基づいて、第1車両のための制御決定を確定するように構成される第2確定サブモジュールをさらに含む。
いくつかの実施例によれば、路側デバイスは、路側感知サブ装置、路側計算サブ装置、及び路側通信サブ装置のうちの1つ又は複数を含む。
本開示は、電子機器をさらに提供し、この電子機器は、少なくとも1つのプロセッサ、及び少なくとも1つのプロセッサに通信接続されたメモリを含み、ここで、メモリは、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶し、命令は少なくとも1つのプロセッサによって実行されることにより、少なくとも1つのプロセッサに以上に記載のいずれか一つの方法を実行させる。
本開示は、以上に記載のいずれか一つの方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ命令を記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体をさらに提供する。
本開示は、プロセッサによって実行されると、以上に記載のいずれか一つの方法を実施するコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品をさらに提供する。
本開示は、自動運転車両をさらに提供し、少なくとも1つのプロセッサ、及び少なくとも1つのプロセッサに通信接続されたメモリを含み、ここで、メモリは、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶し、命令は少なくとも1つのプロセッサによって実行されることにより、少なくとも1つのプロセッサに以上に記載のいずれか一つの方法を実行させる。
本開示は路側装置と上記自動運転車両を含む車路協同システムをさらに提供する。
本開示の技術案において、関連するユーザ個人情報の取得、記憶と応用などは、すべて関連法律法規の規定に合致し、かつ公順良俗に違反しない。
本開示の実施例によれば、電子機器、可読記憶媒体及びコンピュータプログラム製品をさらに提供する。
図5を参照して、ここでは、本開示の様々な態様に適用可能なハードウェア装置の一例である、本開示のサーバ又はクライアントとして利用可能な電子機器500の構成ブロック図について説明する。電子機器は、様々な形態のデジタル電子コンピュータ機器、例えば、ラップトップ型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータ、ステージ、個人用デジタル補助装置、サーバ、ブレードサーバ、大型コンピュータ、その他の適切なコンピュータを示す。電子機器は更に、様々な形態の移動装置、例えば、個人デジタル処理、携帯電話、携帯電話、着用可能な装置とその他の類似する計算装置を示してよい。本明細書に示される部品、これらの接続関係及びこれらの機能は例示的なものに過ぎず、本明細書に説明した及び/又は請求した本開示の実現を制限しない。
図5に示すように、機器500は、計算ユニット501を含み、それはリードオンリーメモリ(ROM)502に記憶されるコンピュータプログラムまた記憶ユニット508からランダムアクセスメモリ(RAM)503にロードされるコンピュータプログラムによって、種々の適当な操作と処理を実行することができる。RAM 503において、更に機器500を操作するために必要な様々なプログラムとデータを記憶してよい。計算ユニット501、ROM 502及びRAM 503はバス504によって互いに接続される。入力/出力(I/O)インターフェース505もバス504に接続される。
機器500における複数の部品はI/Oインターフェース505に接続され、これらの部品は、入力ユニット506、出力ユニット507、記憶ユニット508及び通信ユニット509を含む。出力ユニット506は、機器500に情報を入力することが可能な任意のタイプの装置であってもよく、入力ユニット506は、入力された数字又は文字情報と、計算装置のユーザ設定及び/又は機能制御に関するキー信号入力を生成することができ、マウス、キーボード、タッチスクリーン、トラックボード、トラックボール、操作レバー、マイク及び/又はリモコンを含むことができるが、これらに限定されない。出力ユニット507は、情報を提示することが可能な任意のタイプの装置であってもよく、ディスプレイ、スピーカ、映像/オーディオ出力端末、バイブレータ、及び/又はプリンタを含んでもよいが、これらに限定されない。記憶ユニット508は磁気ディスク、光ディスクを含むことができるが、これらに限定されない。通信ユニット509は、機器500が例えば、インターネットであるコンピュータネットワーク及び/又は様々な電気通信ネットワークを介して他の装置と情報/データを交換することを可能にし、モデム、ネットワークカード、赤外線通信装置、無線通信送受信機、及び/又はチップセット、例えば、ブルートゥースTM装置、1302.11装置、WiFi装置、WiMax装置、セルラー通信装置及び/又は類似物を含んでもよいが、これらに限定されない。
計算ユニット501は処理及び計算能力を有する様々な汎用及び/又は専用の処理コンポーネントであってもよい。計算ユニット501の例には、中央処理ユニット(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、様々な専用人工インテリジェント(AI)計算チップ、様々な機械トレーニングモデルアルゴリズムを実行する計算ユニット、デジタル信号プロセッサ(DSP)、及び任意の適当なプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラなどが含まれるがこれらに限定されないことである。計算ユニット501は、上述した様々な方法及び処理、例えば、車路協同自動運転の制御方法を実行する。例えば、いくつかの実施例では、車路協同自動運転の制御方法は、記憶ユニット508のような機械可読媒体に有形に組み込まれたコンピュータソフトウェアプログラムとして実現されてもよい。一部の実施例において、コンピュータプログラムの部分又は全てはROM 502及び/又は通信ユニット509を経由して機器500にロード及び/又はインストールされてよい。コンピュータプログラムがRAM 503にロードされ、計算ユニット501によって実行されると、上述した車路協同自動運転のための上述の制御方法の1つ又は複数のステップを実行することができる。代替的に、他の実施例では、計算ユニット501は、(例えば、ファームウェアを用いた)他の任意の適切な手段によって、車路協同自動運転の制御方法を実行するように構成されてもよい。
本明細書で上述したシステム及び技術の様々な実施形態は、デジタル電子回路システム、集積回路システム、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け標準製品(ASSP)、システムオンチップ(SOC)、複雑なプログラマブル論理デバイス(CPLD)、ソフトウェア・ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はこれらの組み合わせにおいて実現することができる。これらの様々な実施形態は、1つ又は複数のコンピュータプログラムに実施され、この1つ又は複数のコンピュータプログラムは少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステムで実行し及び/又は解釈してもよく、このプログラマブルプロセッサは専用又は汎用プログラマブルプロセッサであってもよく、記憶システム、少なくとも1つの入力装置、少なくとも1つの出力装置からデータと命令を受信し、データと命令をこの記憶システム、この少なくとも1つの入力装置、この少なくとも1つの出力装置に送信してよいこと、を含んでもよい。
本開示の方法を実施するプログラムコードは1つ又は複数のプログラミング言語のいかなる組み合わせで書かれてよい。これらのプログラムコードを汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサ又はコントローラに提供してよく、よってプログラムコードはプロセッサ又はコントローラにより実行される時にフローチャート及び/又はブロック図に規定の機能/操作を実施する。プログラムコードは完全に機械で実行してよく、部分的に機械で実行してよく、独立ソフトウェアパッケージとして部分的に機械で実行し且つ部分的に遠隔機械で実行してよく、又は完全に遠隔機械又はサーバで実行してよい。
本開示のコンテキストにおいて、機械可読媒体は有形の媒体であってもよく、命令実行システム、装置又は機器に使用される又は命令実行システム、装置又は機器に結合されて使用されるプログラムを具備又は記憶してよい。機械可読媒体は機械可読信号媒体又は機械可読記憶媒体であってもよい。機械可読媒体は、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、又は半導体システム、装置又は機器、又は上記内容のいかなる適切な組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。機械可読記憶媒体のより具体的な例は、1つ又は複数のリード線による電気接続、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバー、ポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、光記憶装置、磁気記憶装置、又は上記内容のいかなる適切な組み合わせを含む。
ユーザとのインタラクションを提供するために、コンピュータにはここで説明したシステムと技術を実施してよく、このコンピュータは、ユーザに情報を表示する表示装置(例えば、CRT(陰極線管、Cathode Ray Tube)又はLCD(液晶ディスプレイ、Liquid Crystal Display)監視モニタ)及びキーボードとポインティング装置(例えば、マウスやトラックボール)を備え、ユーザはこのキーボードとこのポインティング装置を介してコンピュータに入力してよい。その他の種類の装置は更に、ユーザとのインタラクションを提供してよい。例えば、ユーザに提供するフィードバックはいかなる形態の感覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック)であってもよく、いかなる形態(音入力、音声入力、又は触覚入力を含む)でユーザからの入力を受信してよい。
ここで述べたシステムや技術は、バックステージ部材を含む計算システム(例えば、データサーバとして)や、ミドルウェア部材を含む計算システム(例えば、アプリケーションサーバ)や、フロントエンド部材を含む計算システム(例えば、グラフィカルユーザインタフェースやウェブブラウザを有するユーザコンピュータ、ユーザが、そのグラフィカルユーザインタフェースやウェブブラウザを通じて、それらのシステムや技術の実施形態とのインタラクティブを実現できる)、あるいは、それらのバックステージ部材、ミドルウェア部材、あるいはフロントエンド部材の任意の組み合わせからなる計算システムには実施されてもよい。システムの部材は、任意の形式や媒体のデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)により相互に接続されてもよい。通信ネットワークの一例は、例えば、ローカルネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、インターネットを含む。
コンピュータシステムは、クライアント側とサーバを含んでもよい。クライアント側とサーバは、一般的に相互に遠く離れ、通常、通信ネットワークを介してインタラクションを行う。互にクライアント側-サーバという関係を有するコンピュータプログラムを対応するコンピュータで運転することによってクライアント側とサーバの関係を生成する。サーバは、クラウドサーバであってもよいし、ハイブリッドシステムのサーバであってもよいし、ブロックチェーンを結合したサーバであってもよい。
理解すべきことは、前述した様々な形態のフローを用いて、ステップを改めて順位付け、増加又削除してよいことである。例えば、本開示に記載された各ステップは、並列的に実行してもよいし、順次実行してもよいし、異なる順序で実行させてもよいし、本開示に開示された技術案が所望する結果を実現できれば、本文はこれに限定されないことである。
本開示の実施例又は例は図面を参照して説明されたが、上記の方法、システム、及び装置は単なる例示的な実施形態又は例であり、本開示の範囲はこれらの実施形態又は例によって制限されるものではなく、授権後の特許請求の範囲及びその均等範囲のみによって限定されることを理解されたい。実施例又は例の様々な要素は省略されてもよく、又はそれらの均等要素によって代替されてもよい。また、各ステップは、本開示で説明した順序とは異なる順序で実行されてもよい。更に、実施形態又は例の様々な要素は、様々な方法で組み合わせられてもよい。重要なのは、技術の進化に伴い、ここで説明される多くの要素は、本開示の後に現れる同等の要素に置き換えることができるということである。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5