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特許7355909心身状態評価のための方法、プログラム、及びデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】心身状態評価のための方法、プログラム、及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20230926BHJP
   G16H 20/00 20180101ALI20230926BHJP
【FI】
G16H10/00
G16H20/00
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2022158647
(22)【出願日】2022-09-30
【審査請求日】2023-02-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 掲載年月日 令和4年6月3日 掲載アドレス https://play.google.com/store/apps/details?id=com.moodswingmonitor.blp&hl=jp&gl=jp
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519166637
【氏名又は名称】前田 貴記
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100180563
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 晃
(72)【発明者】
【氏名】前田 貴記
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-045940(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0280951(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0311197(US,A1)
【文献】特開2018-051188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の心身状態を評価するためのデータをコンピュータによって取得するための方法であって:
(a)ユーザに対し、垂直方向に延びている数直線を表示する工程であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該ユーザによって選択可能なように構成され、該ユーザは、該被験者本人であるか又は該被験者以外の第三者であり、かつ該数直線上の数値の範囲は、-∞~+∞である、前記工程;及び
(b)該ユーザによって選択された該数値を取得する工程;を含み、
各工程はコンピュータによって行われ、
工程(b)によって取得された数値が、該被験者の心身状態を評価するためのデータとなる、前記方法。
【請求項2】
(c)工程(a)及び(b)を一定の期間毎に繰り返す工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
(d)工程(b)において取得された前記数値について、経時的変化を示すグラフを作成する工程をさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
被験者の心身状態を評価するためのデータをコンピュータによって取得するための方法であって:
(1)(i)被験者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示する工程であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該被験者によって選択可能なように構成され、かつ、該被験者は該数値を自身の心身状態に基づき選択することができる、前記工程;及び
(ii)該被験者によって選択された該数値を取得する工程;並びに
(2)(i)被験者以外の第三者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示する工程であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該第三者によって選択可能なように構成され、かつ、該第三者は該数値を該被験者の心身状態を観察した結果に基づき選択することができる、前記工程;及び
(ii)該第三者によって選択された該数値を取得する工程;を含み
工程(1)と工程(2)との順序はいずれが先又は後であってもよく、
各工程はコンピュータによって行われ、かつ
工程(1)(ii)において取得された該数値と、工程(2)(ii)において取得された該数値とが、該被験者の心身状態を評価するためのデータとなる、前記方法。
【請求項5】
(3)工程(1)と工程(2)とを一定の期間毎に繰り返す工程をさらに含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
(4)工程(1)(ii)において取得された該数値と、工程(2)(ii)において取得された該数値とについて、経時的変化を示すグラフを作成する工程をさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
被験者の心身状態を評価するためのデータを取得するためのプログラムであって:
(a)ユーザに対し、垂直方向に延びている数直線を表示するステップであって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該ユーザによって選択可能なように構成され、該ユーザは、該被験者本人であるか又は該被験者以外の第三者であり、かつ該数直線上の数値の範囲は、-∞~+∞である、前記ステップ;及び
(b)該ユーザによって選択された該数値を取得するステップであって、該数値が該被験者の心身状態を評価するためのデータとなる、前記ステップ;
を、コンピュータに実行させる、前記プログラム。
【請求項8】
(c)ステップ(a)及び(b)を一定の期間毎に繰り返すステップをさらにコンピュータに実行させる、請求項7記載のプログラム。
【請求項9】
(d)ステップ(b)において取得された前記数値について、経時的変化を示すグラフを作成するステップをさらにコンピュータに実行させる、請求項8記載のプログラム。
【請求項10】
被験者の心身状態を評価するためのデータを取得するためのプログラムであって:
(1)(i)被験者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示するステップであって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該被験者によって選択可能なように構成され、かつ、該被験者は該数値を自身の心身状態に基づき選択することができる、前記ステップ;及び
(ii)該被験者によって選択された該数値を取得するステップ;並びに
(2)(i)被験者以外の第三者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示するステップであって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該第三者によって選択可能なように構成され、かつ、該第三者は該数値を該被験者の心身状態を観察した結果に基づき選択することができる、前記ステップ;及び
(ii)該第三者によって選択された該数値を取得するステップ;
を、コンピュータに実行させ、
ここで、ステップ(1)とステップ(2)との順序はいずれが先又は後であってもよく、かつ
ステップ(1)(ii)において取得された該数値と、ステップ(2)(ii)において取得された該数値とが、該被験者の心身状態を評価するためのデータとなる、前記プログラム。
【請求項11】
(3)ステップ(1)とステップ(2)とを一定の期間毎に繰り返すステップをさらにコンピュータに実行させる、請求項10記載のプログラム。
【請求項12】
(4)ステップ(1)(ii)において取得された該数値と、ステップ(2)(ii)において取得された該数値とについて、経時的変化を示すグラフを作成するステップをさらにコンピュータに実行させる、請求項11記載のプログラム。
【請求項13】
被験者の心身状態を評価するためのデータを取得するためのデバイスであって:
(a)ユーザに対し、垂直方向に延びている数直線を表示する表示手段であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該ユーザによって選択可能なように構成され、該ユーザは、該被験者本人であるか又は該被験者以外の第三者であり、かつ該数直線上の数値の範囲は、-∞~+∞である、前記表示手段;及び
(b)該ユーザによって選択された該数値を取得する取得手段;を備え、
取得手段(b)による処理によって取得された数値が該被験者の心身状態を評価するためのデータとなる、前記デバイス。
【請求項14】
(c)表示手段(a)及び取得手段(b)による処理が一定の期間毎に繰り返されるように用いられる、請求項13記載のデバイス。
【請求項15】
(d)取得手段(b)による処理によって取得された前記数値について、経時的変化を示すグラフを作成するグラフ作成手段をさらに備える、請求項14記載のデバイス。
【請求項16】
被験者の心身状態を評価するためのデータを取得するためのデバイスであって:
(1)(i)被験者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示する表示手段であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該被験者によって選択可能なように構成され、かつ、該被験者は該数値を自身の心身状態に基づき選択することができる、前記表示手段;及び
(ii)該被験者によって選択された該数値を取得する取得手段;並びに
(2)(i)被験者以外の第三者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示する表示手段であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該被験者以外の第三者によって選択可能なように構成され、かつ、該第三者は該数値を該被験者の心身状態を観察した結果に基づき選択することができる、前記表示手段;及び
(ii)該第三者によって選択された該数値を取得する取得手段;を備え、
手段(1)による処理と手段(2)による処理との順序はいずれが先又は後であってもよく、かつ
取得手段(1)(ii)において取得された該数値と、取得手段(2)(ii)において取得された該数値とが、該被験者の心身状態を評価するためのデータとなる、前記デバイス。
【請求項17】
(3)手段(1)による処理と手段(2)による処理とが一定の期間毎に繰り返されるように用いられる、請求項16記載のデバイス。
【請求項18】
(4)取得手段(1)(ii)による処理によって取得された該数値と、取得手段(2)(ii)による処理によって取得された該数値とについて、経時的変化を示すグラフを作成するグラフ作成手段をさらに備える、請求項17記載のデバイス。
【請求項19】
被験者の心身状態を、被験者本人及び被験者以外の第三者により共同でモニタリングするための方法であって:
(1)(i)該被験者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示する工程であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該被験者によって選択可能なように構成され、かつ、該被験者は該数値を自身の心身状態に基づき選択することができる、前記工程;及び
(ii)該被験者によって選択された該数値を取得する工程;並びに
(2)(i)該第三者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示画面に表示する工程であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該第三者によって選択可能なように構成され、かつ、該第三者は該数値を該被験者の心身状態を観察した結果に基づき選択することができる、前記工程;及び
(ii)該第三者によって選択された該数値を取得する工程;を含み
工程(1)と工程(2)との順序はいずれが先又は後であってもよく、
各工程はコンピュータによって行われる、前記方法。
【請求項20】
(3)工程(1)と工程(2)とを一定の期間毎に繰り返す工程をさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
(4)工程(1)(ii)において取得された該数値と、工程(2)(ii)において取得された該数値とについて、経時的変化を示すグラフを作成する工程をさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
被験者の心身状態を、被験者本人及び被験者以外の第三者により共同でモニタリングするためのプログラムであって:
(1)(i)被験者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示するステップであって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該被験者によって選択可能なように構成され、かつ、該被験者は該数値を自身の心身状態に基づき選択することができる、前記ステップ;及び
(ii)該被験者によって選択された該数値を取得するステップ;並びに
(2)(i)被験者以外の第三者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示するステップであって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該第三者によって選択可能なように構成され、かつ、該第三者は該数値を該被験者の心身状態を観察した結果に基づき選択することができる、前記ステップ;及び
(ii)該第三者によって選択された該数値を取得するステップ;
を、コンピュータに実行させ、
ここで、ステップ(1)とステップ(2)との順序はいずれが先又は後であってもよい、前記プログラム。
【請求項23】
(3)ステップ(1)とステップ(2)とを一定の期間毎に繰り返すステップをさらにコンピュータに実行させる、請求項22記載のプログラム。
【請求項24】
(4)ステップ(1)(ii)において取得された該数値と、ステップ(2)(ii)において取得された該数値とについて、経時的変化を示すグラフを作成するステップをさらにコンピュータに実行させる、請求項23記載のプログラム。
【請求項25】
被験者の心身状態を、被験者本人及び被験者以外の第三者により共同でモニタリングするためのデバイスであって:
(1)(i)被験者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示する表示手段であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該被験者によって選択可能なように構成され、かつ、該被験者は該数値を自身の心身状態に基づき選択することができる、前記表示手段;及び
(ii)該被験者によって選択された該数値を取得する取得手段;並びに
(2)(i)被験者以外の第三者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示する表示手段であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該被験者以外の第三者によって選択可能なように構成され、かつ、該第三者は該数値を該被験者の心身状態を観察した結果に基づき選択することができる、前記表示手段;及び
(ii)該第三者によって選択された該数値を取得する取得手段;を備え、
手段(1)による処理と手段(2)による処理との順序はいずれが先又は後であってもよい、前記デバイス。
【請求項26】
(3)手段(1)による処理と手段(2)による処理とが一定の期間毎に繰り返されるように用いられる、請求項25記載のデバイス。
【請求項27】
(4)取得手段(1)(ii)による処理によって取得された該数値と、取得手段(2)(ii)による処理によって取得された該数値とについて、経時的変化を示すグラフを作成するグラフ作成手段をさらに備える、請求項26記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、心身状態評価のための方法、プログラム、及びデバイス、並びに心身状態評価のためのデータを取得するための方法、プログラム、及びデバイスに関する。また、本出願は、心身状態の共同モニタリングのための方法、プログラム、及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、デジタル技術やICT(Information and Communication Technology)の進歩により、スマートフォンやウェアラブルデバイスなど、デジタルデバイスがユビキタスに浸透してきている(特許文献1~3)。これらのデジタルデバイスは、身に着けて日常的に使用しているだけで、ユーザの状態や行動をライフログとして常時sensingして記録することが可能であり、またユーザ自身が自身の状態や行動を記録することで、セルフ・モニタリングすることが容易となっている。さらに、身近なデバイスということで、セルフ・モニタリングを継続しやすいため、強化学習(reinforcement learning)による行動変容が期待できる。
【0003】
このような技術は、ヘルスケア、さらには医療においても極めて重要であり、事実、デジタル・ヘルス、及びデジタル医療という分野が急速に発展してきている。自然科学の専門誌Natureにおいても、“Pocket Psychiatry”と題して、特にスマートフォンの精神医療における展開への期待が述べられ、エビデンスの集積が待たれている(非特許文献1)。我が国においても、スマートフォンのアプリケーションが、保険収載され、処方されつつある時代になってきている。
【0004】
ヘルスケア及び医療において、心身の健康のための行動変容については、内発的な動機付けだけでセルフ・モニタリングを継続することは極めて難しいことは、種々の生活習慣病の予防・治療の困難さを見れば明らかである。セルフ・モニタリングの負担感が大きいと長続きはしないため、思わず記録してしまう、あるいは、記録しないではいられないような、「環境設定」の工夫、さらに、より効果的なフィードバックのための工夫が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2022-68937号公報
【文献】特開2022-103280号公報
【文献】特開2022-79774号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】NATURE, VOL532, 7 April 2016, 20-23
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願は、新たな心身状態評価のための又は心身状態評価のためのデータを取得するための方法、プログラム、及びデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、被験者の心身状態を評価するためのデータをコンピュータによって取得するための方法であって:
(a)ユーザに対し、垂直方向に延びている数直線を表示する工程であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該ユーザによって選択可能なように構成され、かつ該ユーザは、該被験者本人であるか又は該被験者以外の第三者である、前記工程;及び
(b)該ユーザによって選択された該数値を取得する工程;を含み、
各工程はコンピュータによって行われる、前記方法を提供する。工程(b)によって取得された数値は、該被験者の心身状態を評価するためのデータとなり得る。
【0009】
該方法は、(c)工程(a)及び(b)を一定の期間毎に繰り返す工程をさらに含むことができる。該方法は、(d)工程(b)において取得された前記数値について、経時的変化を示すグラフを作成する工程をさらに含むことができる。各工程はコンピュータによって行われ得る。
【0010】
また、本開示は、被験者の心身状態を評価するためのデータをコンピュータによって取得するための方法であって:
(1)(i)被験者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示する工程であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該被験者によって選択可能なように構成され、かつ、該被験者は該数値を自身の心身状態に基づき選択することができる、前記工程;及び
(ii)該被験者によって選択された該数値を取得する工程;並びに
(2)(i)被験者以外の第三者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示する工程であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該第三者によって選択可能なように構成され、かつ、該第三者は該数値を該被験者の心身状態を観察した結果に基づき選択することができる、前記工程;及び
(ii)該第三者によって選択された該数値を取得する工程;を含み
各工程はコンピュータによって行われる、前記方法を提供する。
工程(1)と工程(2)との順序はいずれが先又は後であってもよい。
工程(1)(ii)において取得された該数値と、工程(2)(ii)において取得された該数値とが、該被験者の心身状態を評価するためのデータとなり得る。
工程(1)とは、前記垂直方向に延びている数直線を表示する工程(1)(i)と前記該被験者によって選択された該数値を取得する工程(1)(ii)とを意味する。工程(2)とは、前記垂直方向に延びている数直線を表示する工程(2)(i)と前記該第三者によって選択された該数値を取得する工程(2)(ii)とを意味する。
【0011】
該方法は、(3)工程(1)と工程(2)とを一定の期間毎に繰り返す工程をさらに含むことができる。該方法は、(4)工程(1)(ii)において取得された該数値と、工程(2)(ii)において取得された該数値とについて、経時的変化を示すグラフを作成する工程をさらに含むことができる。各工程はコンピュータによって行われ得る。
【0012】
また、本開示は、本明細書に記載の方法を実行又は実現するためのデバイスを開示する。また、本開示は、本明細書に記載の方法をコンピュータに実行又は実現させるためのプログラムを提供する。
【0013】
また、本開示は、被験者の心身状態を評価するためのデータを取得するためのプログラムであって:
(a)ユーザに対し、垂直方向に延びている数直線を表示するステップであって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該ユーザによって選択可能なように構成され、かつ該ユーザは、該被験者本人であるか又は該被験者以外の第三者である、前記ステップ;及び
(b)該ユーザによって選択された該数値を取得するステップ;
を、コンピュータに実行させる、前記プログラムを提供する。
ステップ(b)によって取得された該数値が、該被験者の心身状態を評価するためのデータとなり得る。
【0014】
該プログラムは、(c)ステップ(a)及び(b)を一定の期間毎に繰り返すステップをさらにコンピュータに実行させるように構成することができる。該プログラムは、(d)ステップ(b)において取得された前記数値について、経時的変化を示すグラフを作成するステップをさらにコンピュータに実行させるように構成することができる。
【0015】
また、本開示は、被験者の心身状態を評価するためのデータを取得するためのプログラムであって:
(1)(i)被験者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示するステップであって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該被験者によって選択可能なように構成され、かつ、該被験者は該数値を自身の心身状態に基づき選択することができる、前記ステップ;及び
(ii)該被験者によって選択された該数値を取得するステップ;並びに
(2)(i)被験者以外の第三者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示するステップであって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該第三者によって選択可能なように構成され、かつ、該第三者は該数値を該被験者の心身状態を観察した結果に基づき選択することができる、前記ステップ;及び
(ii)該第三者によって選択された該数値を取得するステップ;
を、コンピュータに実行させる、前記プログラムを提供する。
ステップ(1)とステップ(2)との順序はいずれが先又は後であってもよい。
ステップ(1)(ii)において取得された該数値と、ステップ(2)(ii)において取得された該数値とが、該被験者の心身状態を評価するためのデータとなり得る。
ステップ(1)とは、前記垂直方向に延びている数直線を表示するステップ(1)(i)と前記被験者によって選択された該数値を取得するステップ(1)(ii)とを意味する。ステップ(2)とは、前記垂直方向に延びている数直線を表示するステップ(2)(i)と前記第三者によって選択された該数値を取得するステップ(2)(ii)とを意味する。
【0016】
該プログラムは、(3)ステップ(1)とステップ(2)とを一定の期間毎に繰り返すステップをさらにコンピュータに実行させるように構成することができる。該プログラムは、(4)ステップ(1)(ii)において取得された該数値と、ステップ(2)(ii)において取得された該数値とについて、経時的変化を示すグラフを作成するステップをさらにコンピュータに実行させるように構成することができる。
【0017】
また、本開示は、被験者の心身状態を評価するためのデータを取得するためのデバイスであって:
(a)ユーザに対し、垂直方向に延びている数直線を表示する表示手段であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該ユーザによって選択可能なように構成され、かつ該ユーザは、該被験者本人であるか又は該被験者以外の第三者である、前記表示手段;及び
(b)該ユーザによって選択された該数値を取得する取得手段;を備える、前記デバイスを提供する。
取得手段(b)による処理によって取得された数値が、該被験者の心身状態を評価するためのデータとなり得る。
【0018】
該デバイスは、(c)表示手段(a)及び取得手段(b)による処理が一定の期間毎に繰り返されるように用いられることができる。該デバイスは、(c)表示手段(a)及び取得手段(b)による処理を一定の期間毎に繰り返す繰り返し手段をさらに備えることができる。該デバイスは、(d)取得手段(b)による処理によって取得された前記数値について、経時的変化を示すグラフを作成するグラフ作成手段をさらに備えることができる。
【0019】
また、本開示は、被験者の心身状態を評価するためのデータを取得するためのデバイスであって:
(1)(i)被験者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示する表示手段であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該被験者によって選択可能なように構成され、かつ、該被験者は該数値を自身の心身状態に基づき選択することができる、前記表示手段;及び
(ii)該被験者によって選択された該数値を取得する取得手段;並びに
(2)(i)被験者以外の第三者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示する表示手段であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該被験者以外の第三者によって選択可能なように構成され、かつ、該第三者は該数値を該被験者の心身状態を観察した結果に基づき選択することができる、前記表示手段;及び
(ii)該第三者によって選択された該数値を取得する取得手段;を備える、前記デバイスを提供する。
手段(1)による処理と手段(2)による処理との順序はいずれが先又は後であってもよい。
取得手段(1)(ii)において取得された該数値と、取得手段(2)(ii)において取得された該数値とが、該被験者の心身状態を評価するためのデータとなり得る。
手段(1)とは、前記垂直方向に延びている数直線を表示する表示手段(1)(i)と前記被験者によって選択された該数値を取得する取得手段(1)(ii)とを意味する。手段(2)とは、前記垂直方向に延びている数直線を表示する表示手段(2)(i)と前記該第三者によって選択された該数値を取得する取得手段(2)(ii)とを意味する。
【0020】
該デバイスは、(3)手段(1)による処理と手段(2)による処理とが一定の期間毎に繰り返されるように用いられることができる。該デバイスは、(3)手段(1)による処理と手段(2)による処理とを一定の期間毎に繰り返す繰り返し手段をさらに備えることができる。該デバイスは、(4)取得手段(1)(ii)による処理によって取得された該数値と、取得手段(2)(ii)による処理によって取得された該数値とについて、経時的変化を示すグラフを作成するグラフ作成手段をさらに備えることができる。
【0021】
また、本開示は、被験者の心身状態を、被験者本人及び被験者以外の第三者により共同でモニタリングするための方法であって:
(1)(i)該被験者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示する工程であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該被験者によって選択可能なように構成され、かつ、該被験者は該数値を自身の心身状態に基づき選択することができる、前記工程;及び
(ii)該被験者によって選択された該数値を取得する工程;並びに
(2)(i)該第三者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示画面に表示する工程であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該第三者によって選択可能なように構成され、かつ、該第三者は該数値を該被験者の心身状態を観察した結果に基づき選択することができる、前記工程;及び
(ii)該第三者によって選択された該数値を取得する工程;を含み
各工程はコンピュータによって行われる、前記方法を提供する。
工程(1)と工程(2)との順序はいずれが先又は後であってもよい。
工程(1)(ii)において取得された該数値と、工程(2)(ii)において取得された該数値とが、該被験者の心身状態をモニタリングするためのデータとなり得る。
工程(1)とは、前記垂直方向に延びている数直線を表示する工程(1)(i)と前記該被験者によって選択された該数値を取得する工程(1)(ii)とを意味する。工程(2)とは、前記垂直方向に延びている数直線を表示する工程(2)(i)と前記該第三者によって選択された該数値を取得する工程(2)(ii)とを意味する。
【0022】
該方法は、(3)工程(1)と工程(2)とを一定の期間毎に繰り返す工程をさらに含むことができる。該方法は、(4)工程(1)(ii)において取得された該数値と、工程(2)(ii)において取得された該数値とについて、経時的変化を示すグラフを作成する工程をさらに含むことができる。各工程はコンピュータによって行われ得る。
【0023】
また、本開示は、被験者の心身状態を、被験者本人及び被験者以外の第三者により共同でモニタリングするためのプログラムであって:
(1)(i)被験者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示するステップであって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該被験者によって選択可能なように構成され、かつ、該被験者は該数値を自身の心身状態に基づき選択することができる、前記ステップ;及び
(ii)該被験者によって選択された該数値を取得するステップ;並びに
(2)(i)被験者以外の第三者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示するステップであって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該第三者によって選択可能なように構成され、かつ、該第三者は該数値を該被験者の心身状態を観察した結果に基づき選択することができる、前記ステップ;及び
(ii)該第三者によって選択された該数値を取得するステップ;
を、コンピュータに実行させる、前記プログラムを提供する。
ステップ(1)とステップ(2)との順序はいずれが先又は後であってもよい。
ステップ(1)(ii)において取得された該数値と、ステップ(2)(ii)において取得された該数値とが、該被験者の心身状態をモニタリングするためのデータとなり得る。
ステップ(1)とは、前記垂直方向に延びている数直線を表示するステップ(1)(i)と前記被験者によって選択された該数値を取得するステップ(1)(ii)とを意味する。ステップ(2)とは、前記垂直方向に延びている数直線を表示するステップ(2)(i)と前記第三者によって選択された該数値を取得するステップ(2)(ii)とを意味する。
【0024】
該プログラムは、(3)ステップ(1)とステップ(2)とを一定の期間毎に繰り返すステップをさらにコンピュータに実行させるように構成することができる。該プログラムは、(4)ステップ(1)(ii)において取得された該数値と、ステップ(2)(ii)において取得された該数値とについて、経時的変化を示すグラフを作成するステップをさらにコンピュータに実行させるように構成することができる。
【0025】
被験者の心身状態を、被験者本人及び被験者以外の第三者により共同でモニタリングするためのデバイスであって:
(1)(i)被験者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示する表示手段であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該被験者によって選択可能なように構成され、かつ、該被験者は該数値を自身の心身状態に基づき選択することができる、前記表示手段;及び
(ii)該被験者によって選択された該数値を取得する取得手段;並びに
(2)(i)被験者以外の第三者に対し、垂直方向に延びている数直線を表示する表示手段であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該被験者以外の第三者によって選択可能なように構成され、かつ、該第三者は該数値を該被験者の心身状態を観察した結果に基づき選択することができる、前記表示手段;及び
(ii)該第三者によって選択された該数値を取得する取得手段;を備える、前記デバイスで提供する。
手段(1)による処理と手段(2)による処理との順序はいずれが先又は後であってもよい。
取得手段(1)(ii)において取得された該数値と、取得手段(2)(ii)において取得された該数値とが、該被験者の心身状態をモニタリングするためのデータとなり得る。
手段(1)とは、前記垂直方向に延びている数直線を表示する表示手段(1)(i)と前記被験者によって選択された該数値を取得する取得手段(1)(ii)とを意味する。手段(2)とは、前記垂直方向に延びている数直線を表示する表示手段(2)(i)と前記該第三者によって選択された該数値を取得する取得手段(2)(ii)とを意味する。
【0026】
該デバイスは、(3)手段(1)による処理と手段(2)による処理とが一定の期間毎に繰り返されるように用いられることができる。該デバイスは、(3)手段(1)による処理と手段(2)による処理とを一定の期間毎に繰り返す繰り返し手段をさらに備えることができる。該デバイスは、(4)取得手段(1)(ii)による処理によって取得された該数値と、取得手段(2)(ii)による処理によって取得された該数値とについて、経時的変化を示すグラフを作成するグラフ作成手段をさらに備えることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、被験者の心身状態を評価又はモニタリングするためのデータを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1(A)及び図1(B)は、本開示の方法、プログラム又はデバイスにより実施される各ステップのフローの例を示す。
図2A-B】図2(A)~図2(B)は、本開示の方法、プログラム又はデバイスにより実施される各ステップのフローの例を示す。
図2C図2(C)は、本開示の方法、プログラム又はデバイスにより実施される各ステップのフローの例を示す。
図2D図2(D)は、本開示の方法、プログラム又はデバイスにより実施される各ステップのフローの例を示す。
図3図3は、本開示のデバイスの例を示す。
図4A-C】図4(A)~(C)は、表示画面の例を示す。(A)スタート画面、(B)垂直方向に延びている数直線を表示している画面、及び(C)数直線上の数値が選択された画面
図4D図4(D)は、表示画面の例を示す。(D-1)~(D-3)スコアの経時的変化(トレンドグラフ)を表示している画面。縦軸:スコア、横軸:時間(日付)。(D-1)一人称視点スコア;(D-2)三人称視点スコア;及び(D-3)一人称視点スコア(実線)及び三人称視点スコア(点線)を1つのグラフに表示。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(定義)
本明細書中において使用される用語「被験者」は、本開示のプログラム、デバイス又は方法により心身状態が評価される対象を意味する。「被験者」の例を挙げると、制限されないが、健常者、精神疾患患者、及び以前に精神疾患と診断されたことのある患者などである。精神疾患の例を挙げると、制限されないが、統合失調症、うつ病、双極性障害、発達障害、及び適応障害などがある。
【0030】
本明細書中において使用される用語「心身状態」は、当該技術分野で使用される最も広い意味を有し、特に、心の状態(精神状態)と身体の状態とを意味する。心の状態の例を挙げると、制限されないが、気分(mood)、不安・恐怖(anxiety and fear)、食欲、集中力、意欲、好き嫌い、リラックス度(無心)、満足度、及びウェルビーイングなどがある。身体の状態の例を挙げると、制限されないが、一日当たりの歩数、体重、血圧、一日摂取カロリー、血液検査データ、及び様々な生活習慣などがある。
【0031】
本明細書において使用される用語「モニタリング」は、当該技術分野で使用される最も広い意味を有し、特に、被験者の状態を継続的又は定期的に監視、観察、又は観測することを意味する。
本明細書において使用される用語「共同モニタリング」は、二人以上で一緒にモニタリングを行うこと意味する。本開示において、「共同モニタリング」は、特に、被験者本人と被験者以外の第三者(一人以上)とが一緒になって該被験者をモニタリングすることを意味する。
【0032】
本明細書において使用される用語「数直線」は、当該技術分野で使用される最も広い意味を有し、特に、原点から一定の間隔をあけて目盛り(数値)が付けられた直線を意味する。数直線により,数を視空間において直観的に把握することができる。原点は、0(ゼロ)であることができる。数値は、実数又は整数であることができる。数値の範囲は、-∞~+∞であることができる。例えば、数値の範囲は、-10000~+10000、-1000~+1000、-100~+100、又は-10~+10である。直線の太さ、長さ、目盛りの間隔幅、並びに数値のフォント及びサイズなどは特に制限されない。垂直方向に延びている数直線は、0(ゼロ)を基準として上方向を+、下方向を-とすることができる。本開示において、数直線上の数値は、被験者の心身状態のスコアを表す。したがって、本明細書において、「数値」と「スコア」とは同義的に用いられ得る。スコアは、例えば、±5、±10又は±100を正常範囲とすることができる。本開示において、表示画面上で数直線は、上下方向にスクロール又はスライドすることによって、目的の数値を表示させて、選択できるように構成され得る。
【0033】
本明細書において使用される用語「垂直方向」は、当該技術分野で使用される最も広い意味を有し、特に、ユーザが視覚及び身体感覚的に上下方向であると認識できる方向を意味する。垂直方向は、縦方向又は上下方向とも呼ばれ得る。
【0034】
本明細書において使用される用語「ユーザ」は、本開示のデバイスの使用者、本開示の方法を行うためのコンピュータもしくはデバイスの使用者、又は本開示のプログラムが実行されるコンピュータもしくはデバイスの使用者であり得る。「ユーザ」は、被験者本人又は被験者以外の第三者であり得る。本明細書において、「被験者以外の第三者」を単に「第三者」とも呼び得る。「第三者」は、1人又は2人以上の複数人であってもよい。「第三者」の例を挙げると、被験者の親、兄弟姉妹、夫、妻、子供、及び孫などの親族関係にある者がある。
【0035】
本明細書において使用される用語「表示画面」は、数直線などの特定のオブジェクト、入力ボタン、選択ボタン、グラフ、及び数値などを表示するための画面を意味する。該表示は、コンピュータによって制御される。表示画面の例を挙げると、特に制限されないが、ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ、モニター、及びスクリーンがある。表示画面は、好ましくは、タッチパネルディスプレイである。表示画面は、バーチャルリアリティ(VR)ゴーグルのレンズなど、仮想現実を体験することができるレンズであってもよい。その場合、数直線などの特定のオブジェクト、入力ボタン、選択ボタン、グラフ、及び数値など、表示画面に表示されるものは、ユーザから見て、三次元空間上に表示される。
【0036】
本明細書において使用される用語「一人称視点」は、被験者の心身状態について、被験者本人からの視点を意味する。
本明細書において使用される用語「三人称視点」は、被験者の心身状態について、被験者以外の第三者からの視点を意味する。
本明細書において使用される用語「一人称視点スコア」は、被験者本人が自身の心身状態について評価したスコアを意味する。
本明細書において使用される用語「三人称視点スコア」は、被験者以外の第三者が、該被験者を観察した結果に基づいて評価したスコアを意味する。
【0037】
(本開示の方法、プログラム及びデバイス)
図1及び図2は、本開示の方法、プログラム及びデバイスにより実施される各ステップのフローの例を示す。
図1を参照して、ユーザに対し、垂直方向に延びている数直線が表示される(S101)。ユーザは、被験者本人又は被験者以外の第三者であり得る。該数直線は、表示画面上に表示される。該表示はコンピュータにより制御される。S101の前に、ユーザが誰であるか特定又は選択するように構成されてもよい。
【0038】
数直線上の数値は、被験者の心身状態のスコアを表す。数直線上の数値(スコア)は、ユーザにより選択される(S102)。ユーザは、被験者本人又は被験者以外の第三者であり得る。ある実施態様において、ユーザは被験者本人であり、数直線上の数値(スコア)は、該被験者本人により自身の心身状態に基づき選択される。別の実施態様において、ユーザは被験者以外の第三者であり、数直線上の数値(スコア)は、該第三者により被験者の心身状態を観察した結果に基づき選択される。選択する方法は、特に制限されない。例えば、表示画面がタッチパネルディスプレイである場合、数直線上の数値をタップすることにより選択することができる。選択された時、選択されたことが明確になるように、数直線上の数値又は目盛りに変化を生じさせることができる。例えば、該変化は、数値もしくは目盛りの色の変化、又は数値もしくは目盛り上に〇(丸マーク)が表示されるなどである。ユーザが被験者本人である場合、該心身状態のスコアは、被験者本人による主観的なもの(一人称視点スコア)となる。ユーザが第三者である場合、該心身状態のスコアは、第三者の観点による客観的もの(三人称視点スコア)となる。
【0039】
ユーザは、表示画面上で数直線を上下方向にスクロール又はスライドすることによって、目的の数値を表示させて、該数値(スコア)を選択してもよい。数値(スコア)を、数値入力でなく、垂直方向に延びている数直線上の目盛りをタップして選択する入力方式とすることにより、以下の効果が期待される:身体感覚的に操作しやすい、入力値の「量(quantity)」をスライド分として身体感覚的に実感しやすい、入力行為自体に伴うフィードバック効果が高くなる、及び強化学習による行動変容を促通しやすい。
【0040】
心身状態のスコアについて、正常範囲(基準値)及び/又は目標値が予め設定されていてもよい。ユーザは、正常範囲(基準値)及び/又は目標値に基づき、数直線上の数値(スコア)を選択することができる。正常範囲(基準値)及び/又は目標値は、表示画面に表示することができる。該表示画面は、数直線を表示する表示画面と同じであってよい。正常範囲(基準値)について、数直線上の直線又は数値の色を、正常範囲と正常範囲外とで変更させてもよい。これにより、ユーザは、視覚的に正常範囲の数値と正常範囲外の数値とを判断することができる。目標値範囲について、数直線上の直線又は数値の色を、目標値と目標値外とで変更させてもよい。これにより、ユーザは、視覚的に目標値の数値と目標値外の数値とを判断することができる。正常範囲(基準値)及び/又は目標値は、例えば、-5~+5、-10~+10、-20~+20、-30~+30、-40~+40、-50~+50、±5、±10、±20、±30、±40、又は±50とすることができる。評価する心身状態ごとに、正常範囲(基準値)及び/又は目標値を設定することができる。例えば、評価する心身状態が気分である場合、正常範囲(基準値)及び/又は目標値を±5とすることができる。
【0041】
ユーザにより選択された数値は、コンピュータにより取得される(S103)。取得は、コンピュータに記録させることを含み得る。ユーザにより選択された数値は、選択と同時にコンピュータに取得され得る。あるいは、ユーザは、数値を選択した後、さらに、その数値をコンピュータに取得させる操作を行ってもよい。該操作は、例えば、同じ表示画面上に表示された入力ボタンを押すなどがある。また、ユーザは、選択する数値を間違えた場合、選択をキャンセルする操作を行ってもよい。該操作は、例えば、同じ表示画面上に表示されたキャンセルボタンを押すなどがある。該操作があることにより、誤選択を避けることができる。該取得された数値が、被験者の心身状態を評価するためのデータとなり得る。
【0042】
ユーザは、S101~S103を一定の期間毎に繰り返すことができる。該繰り返しにより、2以上の複数の数値(スコア)を取得することができる。一定の期間は、例えば、3時間、6時間、12時間、15時間、18時間、21時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、又は7日などである。好ましくは、一定の期間は、24時間である。
【0043】
S103により取得された数値は、さらに、表示画面に表示させてもよい(図1(B)、S104)。該表示もコンピュータにより制御され得る。該表示は、S103の後、自動的に表示させてもよいし、ユーザによる要求に応じて表示させてもよい。ユーザによる要求は、例えば、取得・記録された数値を表示するボタンを表示画面に表示させ、ユーザがそのボタンを押すことによって行われる。該表示画面は、該垂直方向に延びている数直線を表示した表示画面(S101)と同じであってよい。
【0044】
一実施態様において、S103により取得された数値は、S104において、過去の数値(スコア)、基準値、平均値又は他の測定値などと比較するように表示画面に表示される。S103により取得された数値は、横軸に時間、縦軸に数値(スコア)を示したグラフとして表示されてもよい。このようなグラフは、数値(スコア)の経時的変化を示す。このようなグラフは、トレンドグラフとも呼ばれる。該グラフは、折れ線グラフ、絵グラフ、棒グラフ、又はヒストグラムであってよい。グラフ化するなどして視覚化することで、自身の心身状態の問題の「自覚」を強めることができる。また、家族や医療者にも見せて、見守り、応援してもらうようにすると、自身の心身状態の問題について、さらに「自覚」を促すことができる。
【0045】
図2(A)を参照して、被験者に対し、垂直方向に延びている数直線が表示される(S201)。該表示はコンピュータにより制御される。該数直線は、表示画面上に表示される。該表示画面は、第三者に対し数直線を表示する表示画面(S211)と同じ表示画面であってよい。数直線上の数値は、被験者の心身状態のスコアを表す。数直線上の数値(スコア)は、被験者により、自身の心身状態に基づき選択される(S202)。選択する方法は、特に制限されない。例えば、表示画面がタッチパネルディスプレイである場合、数直線上の数値をタップすることにより選択することができる。選択された時、選択されたことが明確になるように、数直線上の数値又は目盛りに変化を生じさせることができる。例えば、該変化は、数値もしくは目盛りの色の変化、又は数値もしくは目盛り上に〇(丸マーク)が表示されるなどである。
【0046】
被験者は、表示画面上で数直線を上下方向にスクロール又はスライドすることによって、目的の数値を表示させて、該数値(スコア)を選択してもよい。このようにスコアを、数値入力でなく、垂直方向に延びている数直線上の目盛りをタップして選択する入力方式とすることにより、以下の効果が期待される:身体感覚的に操作しやすい、入力値の「量(quantity)」をスライド分として身体感覚的に実感しやすい、入力行為自体に伴うフィードバック効果が高くなる、及び強化学習による行動変容を促通しやすい。
【0047】
被験者により選択された数値は、コンピュータにより取得される(S203)。取得は、コンピュータに記録させることを含み得る。被験者により選択された数値は、選択と同時にコンピュータに取得され得る。あるいは、被験者は、数値を選択した後、さらに、その数値をコンピュータに取得させる操作を行ってもよい。該操作は、例えば、同じ表示画面上に表示された入力ボタンを押すなどがある。また、被験者は、選択する数値を間違えた場合、選択をキャンセルする操作を行ってもよい。該操作は、例えば、同じ表示画面上に表示されたキャンセルボタンを押すなどがある。該操作があることにより、誤選択を避けることができる。該取得された数値が、被験者の心身状態を評価するためのデータとなり得る。S201~S203により取得される心身状態のスコアは、被験者本人による主観的なもの(一人称視点スコア)である。
【0048】
次に、被験者以外の第三者に対し、垂直方向に延びている数直線が表示される(S211)。該数直線は、表示画面上に表示される。該表示はコンピュータにより制御される。該表示画面は、被験者に対し数直線を表示する表示画面(S201)と同じ表示画面であってよい。数直線上の数値は、被験者の心身状態のスコアを表す。数直線上の数値(スコア)は、第三者により、被験者の心身状態を観察した結果に基づき選択される(S212)。選択する方法は、特に制限されない。例えば、表示画面がタッチパネルディスプレイである場合、数直線上の数値をタップすることにより選択することができる。選択された時、選択されたことが明確になるように、数直線上の数値又は目盛りに変化を生じさせることができる。例えば、該変化は、数値もしくは目盛りの色の変化、又は数値もしくは目盛り上に〇(丸マーク)が表示されるなどである。
【0049】
第三者は、表示画面上で数直線を上下方向にスクロール又はスライドすることによって、目的の数値を表示させて、該数値(スコア)を選択してもよい。このようにスコアを、数値入力でなく、垂直方向に延びている数直線上の目盛りをタップして選択する入力方式とすることにより、以下の効果が期待される:身体感覚的に操作しやすい、入力値の「量(quantity)」をスライド分として身体感覚的に実感しやすい、入力行為自体に伴うフィードバック効果が高くなる、及び強化学習による行動変容を促通しやすい。
【0050】
第三者により選択された数値は、コンピュータにより取得される(S213)。取得は、コンピュータに記録させることを含み得る。第三者により選択された数値は、選択と同時にコンピュータに取得され得る。あるいは、第三者は、数値を選択した後、さらに、その数値をコンピュータに取得させる操作を行ってもよい。該操作は、例えば、同じ表示画面上に表示された入力ボタンを押すなどがある。また、第三者は、選択する数値を間違えた場合、選択をキャンセルする操作を行ってもよい。該操作は、例えば、同じ表示画面上に表示されたキャンセルボタンを押すなどがある。該操作があることにより、誤選択を避けることができる。該取得された数値が、被験者の心身状態を評価するためのデータとなり得る。S211~S213により取得される心身状態のスコアは、第三者の観点による客観的なもの(三人称視点スコア)である。
【0051】
心身状態のスコアについて、正常範囲(基準値)及び/又は目標値が予め設定されていてもよい。被験者及び第三者は、正常範囲(基準値)及び/又は目標値に基づき、数直線上の数値(スコア)を選択することができる。正常範囲(基準値)及び/又は目標値は、表示画面に表示することができる。該表示画面は、数直線を表示する表示画面と同じであってよい。正常範囲(基準値)について、数直線上の直線又は数値の色を、正常範囲と正常範囲外とで変更させてもよい。これにより、被験者及び第三者は、視覚的に正常範囲の数値と正常範囲外の数値とを判断することができる。目標値範囲について、数直線上の直線又は数値の色を、目標値と目標値外とで変更させてもよい。これにより、被験者及び第三者は、視覚的に目標値の数値と目標値外の数値とを判断することができる。正常範囲(基準値)及び/又は目標値は、例えば、-5~+5、-10~+10、-20~+20、-30~+30、-40~+40、-50~+50、±5、±10、±20、±30、±40、又は±50とすることができる。評価する心身状態ごとに、正常範囲(基準値)及び/又は目標値を設定することができる。例えば、評価する心身状態が気分である場合、正常範囲(基準値)及び/又は目標値を±5とすることができる。
【0052】
S201~S203とS211~S213との順序はいずれが先又は後であってもよい。S201~S203が先であってもよいし(図2(A))、S211~S213が先であってもよい(図2(B))。
S201~S203とS211~S213とは連続して行われなくてもよい。図2(C)を参照して、最初にS201~S203を行って終了させ、その後、S211~S213を行って終了させてもよいし、最初にS211~S213を行って終了させ、その後、S201~S203を行って終了させてもよい。S201~S203を行うデバイスとS211~S213を行うデバイスとは、同じであっても、異なっていてもよい。図2(C)を参照して、最初にS201~S203を複数回(例えば、2回、3回、4回、5回又はそれ以上)行って終了させ、その後、S211~S213を複数回(例えば、2回、3回、4回、5回又はそれ以上)行って終了させてもよいし、最初にS211~S213を複数回(例えば、2回、3回、4回、5回又はそれ以上)行って終了させ、その後、S201~S203を複数回(例えば、2回、3回、4回、5回又はそれ以上)行って終了させてもよい。
【0053】
S201~S203及び/又はS211~S213は、一定の期間毎に繰り返され得る。該繰り返しにより、2以上の複数のスコアを取得することができる。一定の期間は、例えば、3時間、6時間、12時間、15時間、18時間、21時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、又は7日などである。好ましくは、一定の期間は、24時間である。
【0054】
図2(D)を参照して、数直線を表示する(S201又はS211)前に、ユーザが誰であるか特定してもよい(S200)。特定する方法は、特に制限されないが、表示画面上にユーザが被験者本人であるか又は被験者以外の第三者であるかを選択するボタンを表示させ、それをユーザが選択及び入力する方法がある。該表示画面は、数直線を表示する表示画面と同じであってよい。ユーザが被験者本人である場合、S201~S203が行われる。ユーザが被験者以外の第三者である場合、S211~S213が行われる。S201~S203及びS211~S213の詳細については、本明細書中で説明したとおりである。
【0055】
S203により取得された数値及び/又はS213により取得された数値は、さらに、表示画面に表示させてもよい(図示せず)。該表示もコンピュータにより制御され得る。該表示は、自動的に表示させてもよいし、被験者本人又は第三者による要求に応じて表示させてもよい。該要求は、例えば、取得された数値を表示するボタンを表示画面に表示させ、被験者本人又は第三者がそのボタンを押すことによって行われる。該表示画面は、該垂直方向に延びている数直線を表示した表示画面(S201及び/又はS211)と同じであってよい。S203により取得された数値は、S203の後に表示画面に表示させてもよい。S213により取得された数値は、S213の後に表示画面に表示させてもよい。あるいは、S203により取得された数値及びS213により取得された数値は、全ての数値の取得が終了した後、例えば、図2(A)においてS213の後、又は図2(B)においてS203の後、に表示画面に表示させてもよい。
【0056】
幾つかの実施態様において、S203により取得された数値及び/又はS213により取得された数値は、過去の数値(スコア)、基準値、平均値又は他の測定値などと比較するように表示画面に表示される。一実施態様において、S203により取得された数値は、S213により取得された数値と比較するように表示画面に表示される。S203により取得された数値及び/又はS213により取得された数値は、横軸に時間、縦軸に数値(スコア)を示したグラフとして表示されてもよい。S203により取得された数値とS213により取得された数値とは、これらを比較するために、同じ1つのグラフに表示されてもよい。このようなグラフは、数値(スコア)の経時的変化を示す。このようなグラフは、トレンドグラフとも呼ばれる。該グラフは、折れ線グラフ、絵グラフ、棒グラフ、又はヒストグラムであってよい。グラフ化するなどして視覚化することで、自身の心身状態の問題の「自覚」を強めることができる。また、家族や医療者にも見せて、見守り、応援してもらうようにすると、自身の心身状態の問題について、さらに「自覚」を促すことができる。
【0057】
前記一連のフローは、全てコンピュータにより制御され得る。前記表示画面に表示されるものは全て、同じ1つの表示画面に表示され得る。本開示のプログラムは、前記一連のフローの各ステップの一部又は全てをコンピュータに実行又は実現させることができる。本開示のプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、カセット、CD、DVD、又はUSBメモリなどに記録・保存することができる。本開示のプログラムは、クラウドサーバなどの特定のサーバ上に保存されていてもよい。本開示のデバイスは、前記一連のフローの各ステップの一部又は全てを実行又は実現する手段を備えることができる。一実施態様において、本開示のデバイスは、本開示のプログラムがインストールされている。一実施態様において、本開示のデバイスは、特定のサーバ上からダウンロードされた本開示のプログラムがインストールされている。
【0058】
本開示の方法、プログラム、及びデバイスは、被験者の心身状態を評価するため、被験者の心身状態を評価するためのデータを取得するため、被験者の心身状態をモニタリングするため、被験者の心身状態をモニタリングするためのデータを取得するため、被験者の心身状態を共同モニタリングするため、又は被験者の心身状態を共同モニタリングするためのデータを取得するために使用することができる。
【0059】
(本開示のデバイスの例)
本開示のデバイスの具体的な例を挙げると、スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス、及びパーソナルコンピュータがある。
本開示のデバイスは、ユーザが被験者本人である被験者用のデバイスと、ユーザが被験者以外の第三者である第三者用のデバイスとの2台のデバイスから構成されてもよい。第三者が2人以上の複数人の場合は、3台以上の複数のデバイスから構成されてもよい。該2台のデバイス又は該3台以上のデバイスは、直接又はサーバを通じて、互いに無線通信することができる。該無線通信を介して、各デバイスで取得された数値(スコア)を共有することができる。
【0060】
本開示のデバイスの例を図3に示す。デバイス300の例は、スマートフォン、タブレット、又はウェアラブルデバイスなどである。デバイス300は、少なくとも、タッチパネルディスプレイ302、及びコンピュータ部308を含む。デバイス300は、例えば、矩形の形状をしており、一方の面にタッチパネルディスプレイ302を有し、その内部にコンピュータ部308を有する。タッチパネルディスプレイ302は、表示装置としてのディスプレイ302a、及び入力装置としてのタッチセンサ302bを有する。デバイス300は、さらに、スマートフォン、タブレット、又はウェアラブルデバイスが有している通常の機能(電話、通信、カメラ、マイクロフォン、レシーバ、無線機能など)を有していてもよい。そのような機能を有する構成要素は、コンピュータ部308に接続されていてよい。
【0061】
ディスプレイ302aは、特に制限されないが、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの一般的な表示デバイスで構成される。タッチセンサ302bは、特に制限されないが、例えば、ディスプレイ302a上に配置された接触操作を検知するための素子、及びさらにその上に配置された透明な操作面から構成され得る。タッチセンサ302bの接触検知方式は、特に制限されず、電磁誘導式又は静電容量方式などの方式である。コンピュータ部308は、一般的なコンピュータの構成であってよく、制御部310a及び演算部310bを含む中央処理装置(CPU)310、及び記憶部312を含み得る。
【0062】
ディスプレイ302aは、コンピュータ部308による本開示のプログラムの実行により生成される画面を表示し得る。ディスプレイ302aは、垂直方向に延びている数直線、取得された数値(スコア)、経時的変化を示すグラフ、ユーザを特定するためのボタンなどを表示することができる。
【0063】
タッチセンサ302bは、操作面に対して接触する接触物(ユーザの指又はスタイラスなど)の動作を検知し、ユーザの入力(選択された数値(スコア)等)を受信し、その情報をコンピュータ部308に送ることができる。記憶部312は、トライアル日、及び数値(スコア)などを記録しておくことができる。ユーザの操作により、記憶部312からそれらをディスプレイ302a上に表示することができる。記憶部312は、主記憶装置、又は主記憶装置と補助記憶装置とから構成され、例えば、メモリ、SSD、ハードディスク、USBメモリ、又はSDカードなどである。
【0064】
(表示画面の例)
本開示の方法、プログラム及びデバイスにより表示される表示画面の例を、図4に示す。図4に示す表示画面は、スマートフォン又はタブレットに表示される表示画面の例である。
図4(A)は、スタート画面を示す。スタート画面には、ユーザが被験者本人であるか、被験者以外の第三者であるかを選択するボタン(401a(First-person perspective)及び401b(Third-person perspective))がある。また、過去のデータを見るためのLOGボタンがある(401c)。該表示画面において、ユーザは、自身が被験者本人であるか又は被験者以外の第三者であるかを選択する。
【0065】
ユーザが被験者本人又は第三者を選択した後、図4(B)の画面が表示される。図4(B)は、垂直方向に延びている数直線(402a)を表示している画面を示す。数直線上の数値は、被験者の心身状態のスコアを表す。図4(B)の表示画面には、数直線上に±5までの数値が表示されている。ユーザは、該表示画面を、上下方向にスクロール又はスライドして、+5より大きい数字、又は-5よりも小さい数字を表示させることができる。ユーザが被験者本人である場合、自身の心身状態に基づき、数直線上の数値を選択する。ユーザが被験者以外の第三者である場合、被験者の心身状態を観察した結果に基づき、数直線上の数値を選択する。
【0066】
図4(C)は、数直線上の数値が選択された画面を示す。図4(C)は、+5が選択されている状態である(403a)。また、選択された数値を入力するための入力ボタン(403b(ENTER))及び選択された数値をキャンセルするためのキャンセルボタン(403c(CANCEL))も表示されている。403bを押すと、該選択された数値(スコア)が、コンピュータに取得・記録される。
【0067】
図4(D)は、数値(スコア)の経時的変化(トレンドグラフ)を表示している画面を示す。(D-1)は一人称視点スコアの経時的変化を示すグラフであり、(D-2)は三人称視点スコアの経時的変化を示すグラフであり、及び(D-3)は一人称視点スコア(実線)の経時的変化と三人称視点スコア(点線)の経時的変化とを重ねたグラフである。プルダウンメニュー(404a)(First-person、Third-person、及びBoth)から、各グラフを切り替えることができる。
【0068】
(被験者の心身状態の評価方法)
本開示の方法、プログラム及びデバイスにより取得された数値(スコア)を用いて、被験者の心身状態を評価することができる。
一人称視点スコアは、被験者本人の心身状態を自己評価することができる。例えば、取得された数値(スコア)が、設定された正常範囲(基準値)及び/又は目標値内である場合、被験者の心身状態が正常であると判断することができる。取得された数値(スコア)が、設定された正常範囲(基準値)及び/又は目標値から外れる場合、被験者の心身状態が異常であると判断することができる。また、一人称視点スコアは、被験者本人の心身状態の変化の傾向を知ることができる。
三人称視点スコアは、被験者本人以外の第三者が、被験者の心身状態を評価することができる。被験者本人は、第三者から、どのような心身状態に見えるかを知ることができる。例えば、取得された数値(スコア)が、設定された正常範囲(基準値)及び/又は目標値内である場合、被験者本人は、第三者から心身状態が正常であると見られていると知ることができる。取得された数値(スコア)が、設定された正常範囲(基準値)及び/又は目標値から外れる場合、被験者本人は、第三者から心身状態に異常があると見られていると知ることができる。また、三人称視点スコアは、第三者の視点から見た被験者本人の心身状態の変化の傾向を知ることができる。
一人称視点スコアと三人称視点スコアとを合わせることで、被験者の心身状態を共同でモニタリングすることができる。
【0069】
一人称視点スコアと三人称視点スコアとの両方を用いて、さらに、被験者の心身状態を評価することができる。一人称視点スコアと三人称視点スコアとに大きな差がない場合、例えば、差が0、1未満、2未満、3未満、4未満、5未満、6未満、7未満、8未満、9未満、又は10未満である場合、被験者本人は、自身の心身状態の自覚が正しい又は自身の心身状態をうまくコントロールできていると評価することができる。一人称視点スコアと三人称視点スコアとが著しく乖離している場合、例えば、差が10以上、15以上、20以上、30以上、40以上、50以上、又は100以上である場合、被験者本人の自覚が乏しい又は自身の心身状態をうまくコントロールできていないと評価することができる。
【0070】
一人称視点スコア又は三人称視点スコアから、被験者は、自身の心身状態の問題に対して、適切に対処もしくは改善することができる、又は適切に対処もしくは改善するためのヒントを得ることができる。特に三人称視点スコアをフィードバックする共同モニタリングという方法は、強化学習における報酬(reward)が大きくなるため、さらに行動変容が促通されることが期待される。
【実施例
【0071】
以下に本発明の実施例を記載する。下記実施例は、本発明の請求の範囲に関する理解を深めるために記載しているものであり、本発明の請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0072】
(実施例1)
本開示のプログラムをインストールしたスマートフォンを準備し、被験者及び第三者に、本プログラムを実施してもらった。被験者及び第三者は、健常人であった。具体的な操作方法は、図4に示した通りである。被験者は、自身の心身状態についてスコアリングを行わせ、第三者は、該第三者から見た該被験者の心身状態についてスコアリングを行わせた。心身状態は、気分(mood)とした。プラス方向は快気分(pleasant)、マイナス方向は不快気分(unpleasant)を表わすものとし、±5を正常範囲とした。被験者及び第三者は、1日に1回、少なくとも2週間、本プログラムを実施した。結果は、表1、及び図4(D-1)~(D-3)に示す通りであった。
【表1】
【0073】
一人称視点での結果(図4(D-1))と三人称視点での結果(図4(D-2))との結果に大きな差は見られなかった。これは、被験者本人の気分状態と、第三者から見た被験者の気分状態とに大きな差がないことを示している。したがって、被験者本人は、自身の気分状態をうまくコントロールできていると評価することができる。
【符号の説明】
【0074】
300 本開示のデバイスの例
302 タッチパネルディスプレイ
302a ディスプレイ
302b タッチセンサ
308 コンピュータ部
310 中央処置装置(CPU)
310a 制御部
310b 演算部
312 記憶部
401a及び401b ユーザが被験者本人であるか、被験者以外の第三者であるかを選択するボタン
401c LOGボタン
402a 垂直方向に延びている数直線
403a ユーザにより選択された数値(+5)
403b 入力ボタン
403c キャンセルボタン
404a プルダウンメニュー
【要約】
【課題】本開示は、心身状態評価のための方法、プログラム、及びデバイス、又は心身状態評価のためのデータを取得するための方法、プログラム、及びデバイスを提供することを目的とする。
【解決手段】
本開示の方法は、(a)ユーザに対し、垂直方向に延びている数直線を表示する工程であって、該数直線上の数値は、該被験者の心身状態のスコアを表し、かつ該ユーザによって選択可能なように構成され、かつ該ユーザは、該被験者本人であるか又は該被験者以外の第三者である、前記工程;及び(b)該ユーザによって選択された該数値を取得する工程;を含む。各工程はコンピュータによって行われる。
【選択図】図1
図1
図2A-B】
図2C
図2D
図3
図4A-C】
図4D