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特許7355933リソプラスティ機器用の非対称的なバルーン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】リソプラスティ機器用の非対称的なバルーン
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/26 20060101AFI20230926BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20230926BHJP
【FI】
A61B18/26
A61M25/10 510
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022523634
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 US2020054792
(87)【国際公開番号】W WO2021086571
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】62/928,628
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/063,311
(32)【優先日】2020-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521549268
【氏名又は名称】ボルト メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シュルタイス,エリック
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-524203(JP,A)
【文献】特表2008-506447(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0184023(US,A1)
【文献】特表2001-526926(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0104455(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00-18/18
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内で血管壁内の又はそれに隣接する治療部位を治療するためのカテーテルシステムであって:
エネルギーを発生させるエネルギー源と;
バルーン内部を画成するバルーン壁を含むバルーンであって、前記バルーンは、前記バルーン内部にバルーン流体を保持するように構成されており、前記バルーンは、前記バルーン流体によって、前記バルーン壁が前記治療部位に実質的に隣接させて位置決め可能である膨張状態へ拡張するように選択的に膨張可能であり、前記バルーンは、前記バルーンが前記膨張状態にあるときに、前記バルーンの幾何学的中心を通って延在するバルーン中心軸を有する、バルーンと;
前記エネルギー源からエネルギーを選択的に受け取る複数のエネルギーガイドであって、前記複数のエネルギーガイドのそれぞれは、前記エネルギーを前記エネルギー源から前記バルーン内部へとガイドし、前記複数のエネルギーガイドのそれぞれは、ガイド遠位端を含む、複数のエネルギーガイドと;
を含み、
前記複数のエネルギーガイドの第1のエネルギーガイドの前記ガイド遠位端の少なくとも一部分は、前記バルーンが前記膨張状態にあるときに、前記バルーン中心軸に位置決めされ、
前記複数のエネルギーガイドのそれぞれは、前記エネルギー源から前記エネルギーを受け取り、且つ前記エネルギーを前記エネルギー源から前記バルーン内部へとガイドして、前記バルーン内部にある前記バルーン流体中にプラズマを発生させ、前記プラズマ発生は、急速な気泡形成を引き起こして、前記治療部位に隣接する前記バルーン壁に圧力波を与える、カテーテルシステム。
【請求項2】
患者の体内で血管壁内の又はそれに隣接する治療部位を治療するためのカテーテルシステムであって:
エネルギーを発生させるエネルギー源と;
バルーン内部を画成するバルーン壁を含む非対称的なバルーンであって、前記バルーンは、前記バルーン内部にバルーン流体を保持するように構成されており、前記バルーンは、前記バルーン流体によって、前記バルーン壁が前記治療部位に実質的に隣接させて位置決め可能である膨張状態へ拡張するように選択的に膨張可能であり、前記バルーンは、さらに、(i)バルーン近位端部、(ii)対向するバルーン遠位端部、(iii)前記バルーンが前記膨張状態にあるときに、前記バルーン近位端部及び前記バルーン遠位端部を通って延在するバルーン端軸、並びに(iv)前記バルーンが前記膨張状態にあるときに、前記バルーンの幾何学的中心を通って延在するバルーン中心軸を含み、前記バルーン中心軸は、前記バルーン端軸から離間して実質的に平行になっており、前記バルーンはバルーン半径を有し、前記バルーン中心軸は、前記バルーン半径の少なくともおよそ5パーセントの軸離間距離だけ、前記バルーン端軸から離間されている、非対称的なバルーンと;
前記エネルギー源からエネルギーを選択的に受け取るエネルギーガイドであって、前記エネルギーガイドは、前記エネルギーを前記エネルギー源から前記バルーン内部へとガイドし、前記エネルギーガイドは、ガイド遠位端を含む、エネルギーガイドと;
を含み、
前記ガイド遠位端の部分が、前記バルーンが前記膨張状態にあるときに、前記バルーン中心軸に位置決めされず、
前記エネルギーガイドは、前記エネルギー源から前記エネルギーを受け取り、且つ前記エネルギーを前記エネルギー源から前記バルーン内部へとガイドして、前記バルーン内部にある前記バルーン流体中にプラズマを発生させ、前記プラズマ発生は、急速な気泡形成を引き起こして、前記治療部位に隣接する前記バルーン壁に圧力波を与える、カテーテルシステム。
【請求項3】
さらに、前記バルーン近位端部と前記バルーン遠位端部との間に延在するガイドワイヤルーメンを含み、前記ガイドワイヤルーメンは、前記バルーン中心軸からオフセットされて位置決めされている、請求項2に記載のカテーテルシステム。
【請求項4】
前記ガイドワイヤルーメンは、前記バルーン端軸に実質的に沿って位置決めされている、請求項3に記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
さらにカテーテルシャフトを含み、前記バルーンは前記カテーテルシャフトに結合されている、請求項3又は4に記載のカテーテルシステム。
【請求項6】
前記カテーテルシャフトは長手方向軸を含み、及び前記長手方向軸は前記バルーン端軸と実質的に同軸である、請求項5に記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
前記エネルギー源は、レーザエネルギーのパルスをもたらすレーザ源である、請求項3~6のいずれか1項に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
前記エネルギーガイドは光ファイバーを含む、請求項3~7のいずれか1項に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
患者の体内で血管壁内の又はそれに隣接する治療部位を治療するためのカテーテルシステムであって:
エネルギーを発生させるエネルギー源と;
バルーン内部を画成するバルーン壁を含む非対称的なバルーンであって、前記バルーンは、前記バルーン内部にバルーン流体を保持するように構成されており、前記バルーンは、膨張状態まで拡張するように前記バルーン流体によって選択的に膨張可能であり、ここで、前記バルーン壁は、前記治療部位に実質的に隣接するように位置決めされるように構成されており、前記バルーンは、さらに、(i)バルーン近位端部、(ii)対向するバルーン遠位端部、(iii)前記バルーンが前記膨張状態にあるときに、前記バルーン近位端部及び前記バルーン遠位端部を通って延在するバルーン端軸、並びに(iv)前記バルーンが前記膨張状態にあるときに、前記バルーンの幾何学的中心を通って延在するバルーン中心軸を含み、前記バルーン中心軸は、前記バルーン端軸から離間して実質的に平行になっている、非対称的なバルーンと;
前記バルーン近位端部と前記バルーン遠位端部との間に延在するガイドワイヤルーメンであって、前記バルーン端軸に実質的に沿って位置決めされており、且つ前記バルーン中心軸からオフセットされて位置決めされている、ガイドワイヤルーメンと;
前記バルーン端軸と実質的に同軸である長手方向軸を含むカテーテルシャフトであって、前記バルーンは前記カテーテルシャフトに結合されている、カテーテルシャフトと;
前記エネルギー源からエネルギーを選択的に受け取り、且つ前記エネルギーを前記バルーン内部へとガイドして、前記バルーン内部にある前記バルーン流体中にプラズマを発生させる、第1のエネルギーガイドであって、前記プラズマ発生は、急速な気泡形成を引き起こして、前記治療部位に隣接する前記バルーン壁に圧力波を与え、前記第1のエネルギーガイドは、第1のガイド遠位端を含む、第1のエネルギーガイドと;
前記エネルギー源からエネルギーを選択的に受け取り、且つ前記エネルギーを前記バルーン内部へとガイドして、前記バルーン内部にある前記バルーン流体中にプラズマを発生させる、第2のエネルギーガイドであって、前記プラズマ発生は、急速な気泡形成を引き起こして、前記治療部位に隣接する前記バルーン壁に圧力波を与え、前記第2のエネルギーガイドは、第2のガイド遠位端を含む、第2のエネルギーガイドと;
を含み、
前記第1のエネルギーガイドの前記第1のガイド遠位端の少なくとも一部分は、前記バルーンが前記膨張状態にあるときに、前記バルーン中心軸に位置決めされ、
前記第2のエネルギーガイドの前記第2のガイド遠位端の部分は、前記バルーンが前記膨張状態にあるときに、前記バルーン中心軸に位置決めされない、カテーテルシステム。
【請求項10】
前記複数のエネルギーガイドのそれぞれは、前記バルーン内部内へ延在する、離間した電極を含む電極対を含み;及び前記エネルギー源からの高電圧のパルスが、前記電極に加えられて、前記電極間に電気アークを形成する、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項11】
前記バルーンは、さらに、バルーン近位端部と、対向するバルーン遠位端部と、前記バルーンが前記膨張状態にあるときに、前記バルーン近位端部及び前記バルーン遠位端部を通って延在するバルーン端軸とを含む、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項12】
前記バルーンは、前記膨張状態において非対称的である、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項13】
前記第1のエネルギーガイド及び前記第2のエネルギーガイドのそれぞれは、光ファイバーを含み、前記エネルギー源は、レーザエネルギーのパルスをもたらすレーザ源である、請求項9に記載のカテーテルシステム。
【請求項14】
前記第1のエネルギーガイド及び前記第2のエネルギーガイドのそれぞれは、前記バルーン内部内へ延在する、離間した電極を含む電極対を含み;及び前記エネルギー源からの高電圧のパルスが、前記電極に加えられて、前記電極間に電気アークを形成する、請求項9に記載のカテーテルシステム。
【請求項15】
前記複数のエネルギーガイドの第2のエネルギーガイドの前記ガイド遠位端の部分は、前記バルーンが前記膨張状態にあるときに、前記バルーン中心軸に位置決めされない、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項16】
前記複数のエネルギーガイドのそれぞれは、光ファイバーを含み、前記エネルギー源は、レーザエネルギーのパルスをもたらすレーザ源である、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項17】
さらに、少なくとも前記バルーン近位端部と前記バルーン遠位端部との間に延在するガイドワイヤルーメンを含み、前記ガイドワイヤルーメンは、前記バルーン中心軸からオフセットされて位置決めされ、前記バルーン端軸に実質的に沿って位置決めされている、請求項11に記載のカテーテルシステム。
【請求項18】
さらに、長手方向軸を含むカテーテルシャフトを含み、前記バルーンは前記カテーテルシャフトに結合され、前記長手方向軸は前記バルーン端軸と実質的に同軸である、請求項11に記載のカテーテルシステム。
【請求項19】
前記エネルギー源からエネルギーを選択的に受け取り、且つ前記エネルギーを前記バルーン内部へとガイドして、前記バルーン内部にある前記バルーン流体中にプラズマを発生させる、第2のエネルギーガイドであって、前記プラズマ発生は、急速な気泡形成を引き起こして、前記治療部位に隣接する前記バルーン壁に圧力波を与え、前記第2のエネルギーガイドは、第2のガイド遠位端を含む、第2のエネルギーガイドをさらに含み、前記第2のエネルギーガイドの前記第2のガイド遠位端の少なくとも一部分は、前記バルーンが前記膨張状態にあるときに、前記バルーン中心軸に位置決めされる、請求項2に記載のカテーテルシステム。
【請求項20】
前記エネルギーガイドは、前記バルーン内部内へ延在する、離間した電極を含む電極対を含み;及び前記エネルギー源からの高電圧のパルスが、前記電極に加えられて、前記電極間に電気アークを形成する、請求項2に記載のカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月31日出願の米国仮特許出願第62/928,628号(表題「ASYMMETRICAL BALLOON FOR LITHOPLASTY DEVICE AND METHOD」);及び2020年10月5日出願の米国特許出願公開第17/063,311号(表題「ASYMMETRICAL BALLOON FOR LITHOPLASTY DEVICE AND METHOD」)の優先権を主張する。認められる限り、米国仮特許出願第62/928,628号及び米国特許出願公開第17/063,311号の内容全体を参照することにより本書に援用する。
【背景技術】
【0002】
背景
体内の血管内の血管系病変部(Vascular lesions)は、主要有害事象、例えば心筋梗塞、塞栓症、深部静脈血栓症、脳卒中などのリスクの増加に関連付けられ得る。重症の血管系病変部、例えば重症の石灰化血管系病変部は、臨床の場において、医師が治療して開存性を達成することが困難とし得る。
【0003】
血管系病変部は、数例を挙げると、薬物療法、バルーン血管形成術、粥腫切除術、ステント留置術、血管系グラフトバイパスなどの介入を使用して、治療され得る。そのような介入は、常に理想的なわけではないかもしれないし、又は病変部に対処するために、それに続く治療を必要とするかもしれない。
【0004】
リソプラスティ(Lithoplasty)は、最近使用されるようになってきた方法であって、体内の血管内の血管系病変部を砕くのにある程度の成功を収めている1つの方法である。リソプラスティは、圧力波と、流体で満たされたバルーンカテーテル中に血管系内で発生される気泡の動力学との組み合わせを利用する。特に、リソプラスティの治療中、高エネルギー源を使用して、流体で満たされたバルーン内に、プラズマ、最終的には圧力波並びに急速な気泡膨張を発生させて、血管系内の病変部位にある石灰化部すなわちカルシウム沈着にひびを入れて砕いている。プラズマの発生時点から始まる関連の急速な気泡形成、及びバルーン内に結果として生じる局所的な流体速度によって、機械的エネルギーを、非圧縮性流体を通して伝達させて、バルーン壁に対向する血管系内のカルシウムに破砕力を与える(impart)。バルーン壁に当たる際の流体運動量の急速な変化は、流体圧衝撃、又は水撃として知られている。
【0005】
より均一な圧力波が、全ての半径方向においてバルーン壁に、それゆえ治療部位にある血管系病変部に加えられ得るように、バルーンのバルーン内部の至る所で、より完全なプラズマ形成及び気泡形成をもたらすことが望まれている。さらに、バルーン壁を溶融させる高温のプラズマによって引き起こされるバルーン破裂などの、機器が故障する確率を下げるために、バルーン壁から可能な限り遠くでプラズマを発生させることが好都合であることが認識される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
血管の開存性、及びリソプラスティカテーテルシステム内での治療送達パラメータの最適化を向上させることが継続的に望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
本発明は、血管壁を有する血管内に配置するためのカテーテルシステムに関する。カテーテルシステムは、患者の体内の血管壁内の又はそれに隣接する治療部位を治療するために使用され得る。様々な実施形態において、カテーテルシステムは、エネルギー源、バルーン、及びエネルギーガイドを含む。エネルギー源はエネルギーを発生させる。バルーンは、バルーン内部を画成するバルーン壁を含む。バルーンは、バルーン内部にバルーン流体を保持するように構成されている。バルーンは、膨張状態まで拡張するように、バルーン流体によって選択的に膨張可能であり、バルーンが膨張状態にあるときに、バルーン壁が、治療部位に実質的に隣接させて位置決めされるように構成されている。バルーンは、さらに、バルーンが膨張状態にあるときに、バルーンの幾何学的中心を通って延在するバルーン中心軸を含む。エネルギーガイドは、エネルギー源からエネルギーを選択的に受け取り、且つエネルギーをエネルギー源からバルーン内部へと案内する。エネルギーガイドは、バルーンが膨張状態にあるときに、バルーン中心軸に位置決めされるガイド遠位端を含む。
【0008】
様々な実施形態において、バルーンは非対称的である。例えば、そのような実施形態において、バルーンは、さらに、バルーン近位端部と、対向するバルーン遠位端部と、バルーンが膨張状態にあるときに、バルーン近位端部及びバルーン遠位端部を通って延在するバルーン端軸とを含み得る。さらに、バルーン端軸は、バルーン中心軸からオフセットされてもよい。様々な実施形態において、バルーン端軸は、バルーン中心軸から離間され、且つそれに対して平行である。
【0009】
いくつかの実施形態において、カテーテルシステムは、さらに、バルーン近位端部及びバルーン遠位端部を通って延在するガイドワイヤルーメンを含む。ガイドワイヤルーメンは、バルーン中心軸からオフセットして位置決めされる。様々な実施形態において、ガイドワイヤルーメンは、バルーン端軸に実質的に沿って位置決めされる。
【0010】
いくつかの実施形態において、カテーテルシステムは、さらに、カテーテルシャフトを含み、バルーンはカテーテルシャフトに結合される。カテーテルシャフトは長手方向軸を含み得る。様々な実施形態において、長手方向軸は、バルーン端軸と実質的に同軸である。
【0011】
様々な実施形態において、エネルギーガイドは、エネルギー源からエネルギーを受け取り、且つエネルギーをエネルギー源からバルーン内部へと案内して、バルーン内部にあるバルーン流体中にプラズマを発生させる。様々な実施形態において、プラズマ発生は急速な気泡形成を引き起こして、治療部位に隣接するバルーン壁に圧力波を与える。
【0012】
様々な実施形態において、エネルギーガイドは光ファイバーを含み得、及び/又はエネルギー源は、レーザエネルギーのパルスをもたらすレーザ源である。
【0013】
本発明はまた、患者の体内で血管壁内の又はそれに隣接する治療部位を治療するためのカテーテルシステムに関し、カテーテルシステムは、エネルギーを発生させるエネルギー源と;バルーン内部を画成するバルーン壁を含む非対称的なバルーンであって、バルーンは、バルーン内部にバルーン流体を保持するように構成されており、バルーンは、膨張状態まで拡張するように、バルーン流体によって選択的に膨張可能であり、バルーンが膨張状態にあるときに、バルーン壁は、治療部位に実質的に隣接させて位置決めされるように構成されており、バルーンは、さらに、(i)バルーン近位端部、(ii)対向するバルーン遠位端部、(iii)バルーンが膨張状態にあるときに、バルーン近位端部及びバルーン遠位端部を通って延在するバルーン端軸、(iv)バルーンが膨張状態にあるときに、バルーンの幾何学的中心を通って延在するバルーン中心軸であって、バルーン中心軸は、バルーン端軸から離間して実質的に平行になっている、バルーン中心軸、並びに(v)バルーン半径を含み、バルーン中心軸は、バルーン半径の少なくともおよそ5パーセントの軸離間距離だけ、バルーン端軸から離間されている、非対称的なバルーンと;エネルギー源からエネルギーを選択的に受け取り、且つエネルギーをエネルギー源からバルーン内部へと案内するエネルギーガイドとを含む。
【0014】
本発明はまた、患者の体内で血管壁内の又はそれに隣接する治療部位を治療するためのカテーテルシステムに関し、カテーテルシステムは、エネルギーを発生させるエネルギー源と;バルーン内部を画成するバルーン壁を含む非対称的なバルーンであって、バルーンは、バルーン内部にバルーン流体を保持するように構成されており、バルーンは、膨張状態まで拡張するように、バルーン流体によって選択的に膨張可能であり、バルーンが膨張状態にあるときに、バルーン壁は、治療部位に実質的に隣接するように位置決めされるように構成されており、バルーンは、さらに、(i)バルーン近位端部、(ii)対向するバルーン遠位端部、(iii)バルーンが膨張状態にあるときに、バルーン近位端部及びバルーン遠位端部を通って延在するバルーン端軸、並びに(iv)バルーンが膨張状態にあるときに、バルーンの幾何学的中心を通って延在するバルーン中心軸を含み、バルーン中心軸は、バルーン端軸から離間して実質的に平行になっている、非対称的なバルーンと;少なくともバルーン近位端部とバルーン遠位端部との間に延在するガイドワイヤルーメンであって、バルーン端軸に実質的に沿って位置決めされ、且つバルーン中心軸からオフセットされている、ガイドワイヤルーメンと;バルーン端軸と実質的に同軸である長手方向軸を含むカテーテルシャフトであって、バルーンは、カテーテルシャフトに結合されている、カテーテルシャフトと;エネルギー源からエネルギーを選択的に受け取り、且つエネルギーをエネルギー源からバルーン内部へと案内して、バルーン内部にあるバルーン流体中にプラズマを発生させるエネルギーガイドであって、プラズマ発生は急速な気泡形成を引き起こして、治療部位に隣接するバルーン壁に圧力波を与え、エネルギーガイドは、バルーンが膨張状態にあるときに、バルーン中心軸に位置決めされるガイド遠位端を含む、エネルギーガイドとを含む。
【0015】
この概要は、本出願の教示のいくつかの要旨であって、本主題の排他的又は徹底的な取り扱いを意図するものではない。さらに、詳細な説明及び添付の特許請求の範囲において詳細が見出される。他の態様は、当業者には、以下の詳細な説明を読んで理解し、且つその一部を形成する図面を見ることから明らかになり、そのそれぞれは、限定ととられるべきではない。本明細書の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的な等価物によって定義される。
【0016】
図面の簡単な説明
本発明の新規の特徴、並びに本発明自体の双方共、その構造及びその動作に関して、添付の説明と併せて、添付図面から最もよく理解され、図面では、同様の参照符号は同様の部分を指している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】様々な実施形態によるカテーテルシステムの実施形態の概略的な断面図である。
図2A】カテーテルシステムの実施形態の一部分の概略的な断面図である。
図2B図2Aの線B-Bに沿って取ったカテーテルシステムの部分の概略的な断面図である。
図2C図2Aの線C-Cに沿って取ったカテーテルシステムの部分の概略的な断面図である。
図3】カテーテルシステムの別の実施形態の一部分の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態は、様々な修正例及び代替形態の影響を受けやすく、その詳細は、例示として及び図面に示されており、且つ本明細書で詳細に説明される。しかしながら、本明細書の範囲は、説明する特定の実施形態に限定されないことが理解される。それどころか、本明細書の趣旨及び範囲に入る修正例、等価物、及び代替例を網羅するものとする。
【0019】
説明
血管系病変部の治療は、病気に侵された対象者の主要有害事象又は死亡を減少させ得る。本明細書で言及するように、主要有害事象は、血管系病変部が存在するせいで、体内のどこにでも発生し得るものである。主要有害事象は、限定されるものではないが、主要な心臓有害事象、末梢若しくは中心血管系内での主要有害事象、脳内での主要有害事象、筋肉組織内での主要有害事象、又は内部器官のいずれか内での主要有害事象を含み得る。
【0020】
本明細書で開示するカテーテルシステム及び関連の方法は、治療部位、例えば、血管壁内の又はそこに隣接した石灰化血管系病変部又は線維血管系病変部に裂け目(fractures)を誘発するために圧力波を与えるように構成されている。特に、カテーテルシステムは、患者の体内の血管内に位置するか又はそれに隣接している治療部位へと前進するように構成されたカテーテルを含み得る。カテーテルは、カテーテルシャフトと、カテーテルシャフトに結合及び/又は固定される膨張性バルーンとを含む。バルーンは、バルーン内部を画成するバルーン壁を含み得る。バルーンは、バルーン内部にバルーン流体を受け入れて、患者の血管系を通してカテーテルを前進させるのに好適なしぼんだ状態から、カテーテルを治療部位に対して適所にしっかりと固定するのに好適な膨張状態まで拡張するように構成され得る。
【0021】
さらに、様々な実施形態において、カテーテルシステム及び関連の方法は、エネルギー源、すなわち光源、例えばレーザ源又は別の好適なエネルギー源を利用しており、エネルギー源は、1つ以上のエネルギーガイド、例えば、バルーンのバルーン内部に保持されるバルーン流体中に局所プラズマを生み出すために、カテーテルシャフトに沿って、バルーンのバルーン内部に配置される、光ファイバーなどの光ガイドによって案内されるエネルギーをもたらす。そのようなものとして、エネルギーガイドは、「プラズマ発生器」と称され得るか、又は治療部位に位置するバルーンのバルーン内部に位置決めされているエネルギーガイドのガイド遠位端に若しくはその近くにプラズマ発生器を組み込んでいると言われ得ることがある。局所プラズマの発生によって、圧力波を起こすことができ、且つ1つ以上の気泡の急速形成を起こすことができ、気泡は、最大サイズまで急速に拡張し、その後、潰れると、圧力波を勢いよく発生することができるキャビテーション事象によって、消散する。プラズマ誘発気泡の急速な拡張によって、バルーンのバルーン内部に保持されたバルーン流体中に1つ以上の圧力波を発生させ得、それにより、患者の体内の血管壁内の又はそこに隣接する治療部位において、治療部位に圧力波を与えて裂け目を誘発する。いくつかの実施形態において、エネルギー源は、ミリ秒未満のパルスのエネルギー、例えば、光エネルギーをもたらすように構成され、バルーン内のバルーン流体中にプラズマ形成を開始して、急速な気泡形成を引き起こし、且つ治療部位においてバルーン壁に圧力波を与えるようにすることができる。それゆえ、圧力波は、非圧縮性のバルーン流体によって、治療部位へ機械的エネルギーを伝達して、血管系内病変部に破砕力を与え得る。いずれの特定の理論にも縛られたくないが、血管系内病変部と接触しているバルーン壁でのバルーン流体運動量の急激な変化は、血管系内病変部へ伝達されて、病変部に裂け目を誘発し得ると考えられている。
【0022】
本明細書では、用語「血管系内病変部」及び「血管系病変部」は、特に断りのない限り、区別しないで使用される。そのようなものとして、血管系内病変部及び/又は血管系病変部は、本明細書では、単に「病変部」と称することがある。
【0023】
当業者は、本発明の以下の詳細な説明は説明にすぎず、何ら限定を意図するものではないことに気づくであろう。本発明の他の実施形態は、それら自体が、本開示の恩恵にあずかるような当業者に容易に連想されるであろう。ここで、添付図面に示されているような本発明の実施例を詳細に参照する。同じ又は同様の用語体系及び/又は参照符号が、同じ又は同様の部分を指すために、図面及び以下の詳細な説明の至る所で使用される
【0024】
明瞭にするために、本明細書で説明する実施例の型にはまった特徴が全て図示及び説明されるわけではない。いずれかのそのような実際の実施例の開発に当たり、出願に関連する及びビジネスに関連する制約の順守などの開発者の特定の目標を達成するために、多数の実施例特有の決定が行われる必要があり、並びにこれらの特定の目標は、実施例毎及び開発者毎に異なることが認識される。さらに、そのような開発努力は、複雑で時間がかかるものであるが、それにもかかわらず、本開示の恩恵にあずかる当業者にとって、技術のために請け負うルーチンであることが認識される。
【0025】
本明細書で開示するカテーテルシステムは、多くの異なる形を含み得ることも認識される。ここで、図1を参照すると、様々な実施形態によるカテーテルシステム100の概略的な断面図が示されている。カテーテルシステム100は、血管の血管壁内の又はそれに隣接する1つ以上の治療部位に裂け目を誘発するために圧力波を与えるのに好適である。図1に示す実施形態において、カテーテルシステム100は、カテーテル102と、1つ以上のエネルギーガイド122Aを含むエネルギーガイド束122と、ソースマニホールド136と、流体ポンプ138と、エネルギー源124、電力源125、システム制御装置126、及びグラフィックユーザインターフェース127(「GUI」)のうちの1つ以上を含むシステムコンソール123と、ハンドルアセンブリ128とのうちの1つ以上を含み得る。或いは、カテーテルシステム100は、図1に関連して具体的に示し且つ説明したもよりも多数の構成要素又は少数の構成要素を有し得る。
【0026】
カテーテル102は、患者109の体107内の血管108の血管壁108A内の又はそれに隣接する治療部位106まで動くように構成されている。治療部位106は、例えば石灰化血管系病変部などの1つ以上の血管系病変部106Aを含み得る。それに加えて、又はその代わりに、治療部位106は、線維血管系病変部などの血管系病変部106Aを含み得る。
【0027】
カテーテル102は、膨張性バルーン104(本明細書では、単に「バルーン」と呼ばれることがある)、カテーテルシャフト110及びガイドワイヤ112を含み得る。バルーン104はカテーテルシャフト110に結合され得る。バルーン104は、バルーン近位端部104P及びバルーン遠位端部104Dを含み得る。カテーテルシャフト110は、カテーテルシステム100の近位部分114からカテーテルシステム100の遠位部分116まで延在し得る。カテーテルシャフト110は長手方向軸144を含み得る。カテーテルシャフト110はまた、ガイドワイヤ112の上側に被さって動くように構成されているガイドワイヤルーメン118を含み得る。本明細書で利用されるように、ガイドワイヤルーメン118は、ガイドワイヤ112が延在する導管を画成する。カテーテルシャフト110は、さらに、膨張ルーメン(図示せず)及び/又は様々な他の目的のための様々な他のルーメンを含み得る。いくつかの実施形態において、カテーテル102は、遠位端開口120を有し得、及びガイドワイヤ112を収容し、且つカテーテル102が動かされて治療部位106に又はその近くに位置決めされるときに、それにわたって追跡され得る。
【0028】
バルーン104は、バルーン内部146を画成するバルーン壁130を含む。バルーン104は、バルーン流体132によって選択的に膨張されて、患者の血管系を通してカテーテル102を前進させるのに好適なしぼんだ状態から、カテーテル102を治療部位106に対して適所にしっかりと固定させるのに好適な膨張状態(図1に示すような)まで拡張し得る。換言すると、バルーン104が膨張状態にあるとき、バルーン104のバルーン壁130は、治療部位106に実質的に隣接させて位置決めされるように構成されている。図1は、膨張状態にあるときに血管108の治療部位106から離間して示されているバルーン104のバルーン壁130を示しているが、これは、説明を簡単にするために行われていることが認識される。バルーン104のバルーン壁130は、一般に、バルーン104が膨張状態にあるときに、治療部位106に実質的にすぐ隣接している及び/又は当接していることが認識される。
【0029】
カテーテルシステム100に使用するのに好適なバルーン104は、しぼんだ状態にあるときに、患者の血管系を通過させられ得るものを含む。いくつかの実施形態において、バルーン104はシリコーン製である。他の実施形態において、バルーン104は、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリウレタン、PEBAX(商標)材などのポリマー、ナイロン、又は任意の他の好適な材料などの材料から作製され得る。
【0030】
バルーン104は、任意の好適な直径(膨張状態において)を有し得る。様々な実施形態において、バルーン104の直径(膨張状態において)は、1ミリメートル(mm)未満~25mmまでに及び得る。いくつかの実施形態において、バルーン104の直径(膨張状態において)は、少なくとも1.5mm~14mmまでに及び得る。いくつかの実施形態において、バルーン104の直径(膨張状態において)は、少なくとも2mm~5mmまでに及び得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、バルーン104の長さは、少なくとも3mm~300mmに及び得る。より詳細には、いくつかの実施形態において、バルーン104の長さは、少なくとも8mm~200mmに及び得る。比較的長い長さのバルーン104は、より大きな治療部位106に隣接させて位置決めされ得ることにより、圧力波を、治療部位106内の正確な箇所において、より大きな血管系病変部106A又は複数の血管系病変部106Aに与えて、そこに裂け目を誘発するのに有用とし得ることが認識される。より長いバルーン104はまた、任意の1つの所与の時に、複数の治療部位106に隣接させて位置決めされ得ることがさらに認識される。
【0032】
バルーン104は、およそ1気圧(atm)~70atmの膨張圧まで膨張され得る。いくつかの実施形態において、バルーン104は、少なくとも20atm~60atmの膨張圧まで膨張され得る。他の実施形態において、バルーン104は、少なくとも6atm~20atmの膨張圧まで膨張され得る。さらに他の実施形態において、バルーン104は、少なくとも3atm~20atmの膨張圧まで膨張され得る。さらに他の実施形態において、バルーン104は、少なくとも2atm~10atmの膨張圧まで膨張され得る。
【0033】
バルーン104は、限定されるものではないが、円錐形、四角形、長方形、球形、円錐/四角形、円錐/球形、伸ばされた球形(extended spherical shape)、卵形、テーパ付き形状、骨の形状、段付き直径形状、オフセット形状、又は円錐オフセット形状を含む、様々な形状を有し得る。いくつかの実施形態において、バルーン104は、薬物溶出(drug eluting)コーティング又は薬物溶出ステント構造を含み得る。薬物溶出コーティング又は薬物溶出ステントは、抗炎症薬、抗腫瘍薬、血管新生阻害薬などを含む1種以上の治療薬を含み得る。
【0034】
下記で詳細に説明するように、バルーン104が膨張状態にあるとき、バルーン104はバルーン中心軸260(図2Aに示す)を含み得る。カテーテルシステム100を使用している期間中に、例えばバルーン104が膨張状態にあるとき、且つエネルギーのパルスがエネルギー源124によってもたらされている間、1つ以上のエネルギーガイド122Aのうちの1つの少なくとも一部分が、バルーン中心軸260上に位置決めされ、その一部分には、そのようなエネルギーガイド122Aの、プラズマ発生点として効果的に機能するガイド遠位端122Dを含む。この設計では、バルーン104のバルーン内部146の至る所でより完全なプラズマ形成及び気泡形成が発生し得る。なぜなら、プラズマが発生されるエネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dが、バルーン104の全円周の周りのバルーン壁130から実質的に等距離に位置決めされ得るためである。さらに、エネルギーガイド122Aのうちの1つのガイド遠位端122Dがバルーン中心軸260上に位置決めされている状態で、バルーン壁130、それゆえ治療部位106における血管系病変部106Aに、より均一な圧力波が加えられ得る。なぜなら、エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dが、バルーン104の全円周の周りのバルーン壁130から実質的に等距離に位置決めされるためである。より均一に及びバルーン壁130に対してより遠くで起こるプラズマ発生は、機器の故障、例えばバルーン壁130を溶融させる高温のプラズマによって引き起こされるバルーン104の破裂の可能性を低下させ得る。
【0035】
様々な実施形態において、エネルギーガイド122Aの少なくともガイド遠位端122Dは、バルーン中心軸260からガイドワイヤルーメン118をオフセットさせることによって、バルーン中心軸260(膨張状態において)上に又はその近くに位置決めされ得る。様々な実施形態において、バルーン中心軸260からのガイドワイヤルーメン118のオフセットは、非対称的なバルーン形状を意図的に形成することによって達成され、ここで、バルーン端部104P、104Dは、膨張したバルーン104のバルーン中心軸260とは異なる及び/又はそこからオフセットされているバルーン端軸262(図2Aに示す)を規定し、且つバルーン端軸262に沿って又はその周りにガイドワイヤルーメン118を位置決めする。
【0036】
バルーン流体132は液体又は気体とし得る。使用するのに好適なバルーン流体132のいくつかの例は、限定されるものではないが、水、食塩水、造影剤、フルオロカーボン、ペルフルオロカーボン、二酸化炭素などの気体のうちの1種以上、又は任意の他の好適なバルーン流体132を含み得る。いくつかの実施形態において、バルーン流体132は、ベース膨張流体として使用され得る。いくつかの実施形態において、バルーン流体132は、およそ50:50の体積比で食塩水対造影剤の混合物を含み得る。他の実施形態において、バルーン流体132は、およそ25:75の体積比で食塩水対造影剤の混合物を含み得る。さらに他の実施形態において、バルーン流体132は、およそ75:25の体積比で食塩水対造影剤の混合物を含む。しかしながら、食塩水対造影剤の任意の好適な比率が使用され得ることが理解される。バルーン流体132は、組成、粘度などに基づいて調整され得るため、圧力波の移動速度はおよそ適切に操作される。いくつかの実施形態において、使用に好適なバルーン流体132は生体適合性である。バルーン流体132の体積は、選択したエネルギー源124及び使用するバルーン流体132のタイプによって、調整され得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、造影剤中に使用される造影薬は、限定されるものではないが、ヨードベース造影薬、例えばイオン性又は非イオン性ヨードベース造影薬を含み得る。イオン性ヨードベース造影薬のいくつかの非限定的な例は、ジアトリゾエート、メトリゾエート、ヨータラメート(iothalamate)、及びイオキサグレート(ioxaglate)を含む。非イオン性ヨードベース造影薬のいくつかの非限定的な例は、イオパミドール、イオヘキソール、イオキシラン(ioxilan)、イオプロミド(iopromide)、イオジキサノール(iodixanol)、及びイオベルソールを含む。他の実施形態において、非ヨードベース造影薬が使用され得る。好適な非ヨード含有造影薬は、ガドリニウム(III)ベースの造影薬を含み得る。好適なフルオロカーボン及びペルフルオロカーボン薬は、限定されるものではないが、作用物質、例えばペルフルオロカーボンドデカフルオロペンタン(perfluorocarbon dodecafluoropentane)(DDFP、C5F12)を含み得る。
【0038】
バルーン流体132は、紫外領域(例えば、少なくとも10ナノメートル(nm)~400nm)、可視領域(例えば、少なくとも400nm~780nm)、又は近赤外領域(例えば、少なくとも780nm~2.5μm)の電磁スペクトルにある光を選択的に吸収し得る吸収剤を含むものを含み得る。好適な吸収剤は、吸収極大が少なくとも10nm~2.5μmのスペクトル中にあるものを含み得る。或いは、バルーン流体132は、中赤外領域(例えば、少なくとも2.5μm~15μm)、又は遠赤外領域(例えば、少なくとも15μm~1mm)の電磁スペクトルにある光を選択的に吸収し得る吸収剤を含むものを含み得る。様々な実施形態において、吸収剤は、カテーテルシステム100において使用されるレーザの発光極大と適合する吸収極大を持つものとし得る。非限定的な例として、カテーテルシステム100において使用できる様々なレーザは、ネオジム:イットリウム-アルミニウム-ガーネット(Nd:YAG-発光極大=1064nm)レーザ、ホルミウム:YAG(Ho:YAG-発光極大=2.1μm)レーザ、又はエルビウム:YAG(Er:YAG-発光極大=2.94μm)レーザを含み得る。いくつかの実施形態において、吸収剤は水溶性とし得る。他の実施形態において、吸収剤は水溶性ではない。いくつかの実施形態において、バルーン流体132において使用される吸収剤は、エネルギー源124のピーク発光と適合するように調整され得る。少なくとも10ナノメートル~1ミリメートルの発光波長を有する様々なエネルギー源124が、本明細書の他の箇所で説明される。
【0039】
カテーテル102のカテーテルシャフト110は、エネルギーガイド束122のエネルギー源124と光通信している1つ以上のエネルギーガイド122Aに結合され得る。1つ又は複数のエネルギーガイド122Aは、カテーテルシャフト110に沿って、バルーン104内に配置され得る。いくつかの実施形態において、各エネルギーガイド122Aは光ファイバーとし得、及びエネルギー源124はレーザとし得る。エネルギー源124は、カテーテルシステム100の近位部分114においてエネルギーガイド122Aと光通信し得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、カテーテルシャフト110は、複数のエネルギーガイド122A、例えば第1のエネルギーガイド、第2のエネルギーガイド、第3のエネルギーガイドなどに結合され得、それらエネルギーガイドは、ガイドワイヤルーメン118及び/又はカテーテルシャフト110の周りの任意の好適な位置に配置され得る。例えば、いくつかの非排他的な実施形態において、2つのエネルギーガイド122Aが、ガイドワイヤルーメン118及び/又はカテーテルシャフト110の円周の周りでおよそ180度だけ離間され得る;3個のエネルギーガイド122Aは、ガイドワイヤルーメン118及び/又はカテーテルシャフト110の円周の周りでおよそ120度だけ離間され得る;又は4個のエネルギーガイド122Aは、ガイドワイヤルーメン118及び/又はカテーテルシャフト110の円周の周りでおよそ90度だけ離間され得る。さらなる代替例では、複数のエネルギーガイド122Aは、ガイドワイヤルーメン118及び/又はカテーテルシャフト110の円周の周りで互いに均一に離間される必要はない。より詳細には、エネルギーガイド122Aは、望ましい箇所において所望の効果を達成するために、ガイドワイヤルーメン118及び/又はカテーテルシャフト110の周りで均一に又は非均一に配置され得ることがさらに認識される。
【0041】
カテーテルシステム100及び/又はエネルギーガイド束122は、近位部分114においてはエネルギー源124と、及び遠位部分116においてはバルーン104のバルーン内部146にあるバルーン流体132と光通信する任意の数のエネルギーガイド122Aを含み得ることが認識される。例えば、いくつかの実施形態において、カテーテルシステム100及び/又はエネルギーガイド束122は、1つのエネルギーガイド122Aから30個超のエネルギーガイド122Aまでを含み得る。しかしながら、エネルギーガイド122Aの総数に関わらず、エネルギーガイド122Aのうちの1つの少なくともガイド遠位端122Dは、カテーテルシステム100を使用している期間中、バルーン中心軸260に位置決めされる。
【0042】
エネルギーガイド122Aは、バルーン内部146にあるバルーン流体132中にプラズマ及び/又は圧力波を発生させる目的で、任意の好適な設計を有し得ることが認識される。それゆえ、光ガイドとしてのエネルギーガイド122Aの概要は、添付の特許請求の範囲に規定されているものを除いて、なんら限定を意図するものではない。より詳細には、本明細書に示すカテーテルシステム100は、エネルギー源124を光源、及び1つ以上のエネルギーガイド122Aを光ガイドとして説明することが多いが、カテーテルシステム100は、その代わりに、バルーン内部146にあるバルーン流体132に所望のプラズマを発生させる目的で、任意の好適なエネルギー源124及びエネルギーガイド122Aを含み得ることが認識される。例えば、1つの非排他的な代替的な実施形態において、エネルギー源124は、高電圧パルスをもたらすように構成され得、及び各エネルギーガイド122Aは、電極対、例えばバルーン内部146内へ延在する、離間した電極を含み得る。そのような実施形態において、高電圧の各パルスが電極に印加され、且つ電極間に電気アークを形成し、それに続いてバルーン流体132中にプラズマを発生させて圧力波を形成し、それを利用して、治療部位106にある血管系病変部106Aに破砕力をもたらす。さらなる代替例では、エネルギー源124及び/又はエネルギーガイド122Aは、別の好適な設計及び/又は形態を有し得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、エネルギーガイド122Aは、光ファイバー又は可撓性ライトパイプを含み得る。エネルギーガイド122Aは、細くて可撓性があり、且つ光信号を、強度をほとんど損失させずに送ることができるようにし得る。エネルギーガイド122Aは、クラッドによって円周が囲まれたコアを含み得る。いくつかの実施形態において、コアは、シリンダー状コア又は部分的にシリンダー状のコアとし得る。エネルギーガイド122Aのコア及びクラッドは、1種以上の材料、例えば、限定されるものではないが、1つ以上のタイプのガラス、シリカ、又は1種以上のポリマーから形成され得る。エネルギーガイド122Aはまた、保護コーティング、例えばポリマーを含み得る。コアの屈折率は、クラッドの屈折率を上回り得ることが認識される。
【0044】
各エネルギーガイド122Aは、エネルギーを、その長さ部分に沿って、ガイド近位端122Pから、バルーン内部146に位置決めされる、少なくとも1つの光学窓(図示せず)を有するガイド遠位端122Dまで案内し得る。
【0045】
エネルギーガイド122Aは、カテーテル102のカテーテルシャフト110の周りで及び/又はそれに対して、多くの形態を取り得る。いくつかの実施形態において、エネルギーガイド122Aは、カテーテルシャフト110の長手方向軸144に対して平行に延び得る。いくつかの実施形態において、エネルギーガイド122Aは、カテーテルシャフト110に物理的に結合され得る。他の実施形態において、エネルギーガイド122Aは、カテーテルシャフト110の外径の長さ部分に沿って配置され得る。さらに他の実施形態において、エネルギーガイド122Aは、カテーテルシャフト110内にある1つ以上のエネルギーガイドルーメン内に配置され得る。
【0046】
エネルギーガイド122Aは、ガイドワイヤルーメン118及び/又はカテーテルシャフト110の円周の周りで任意の好適な位置に配置され得、及びエネルギーガイド122Aのそれぞれのガイド遠位端122Dは、バルーン104の長さ部分に対して及び/又はガイドワイヤルーメン118の長さ部分に対して、任意の好適な長手方向位置に配置され得ることがさらに認識される。
【0047】
いくつかの実施形態において、エネルギーガイド122Aは1つ以上の光音響変換装置154を含み得、ここで、各光音響変換装置154は、エネルギーガイド122Aと光通信し得、その内部に配置されている。いくつかの実施形態において、光音響変換装置154は、エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dと光通信し得る。さらに、そのような実施形態において、光音響変換装置154は、エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dに対応する及び/又は一致する形状を有し得る。
【0048】
光音響変換装置154は、エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dで又はその近くで光エネルギーを音響波に変換するように構成されている。音響波の方向は、エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dの角度を変更することによって、調整され得ることが認識される。
【0049】
エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dに配置された光音響変換装置154は、エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dと同じ形状を取り得ることがさらに認識される。例えば、いくつかの非排他的な実施形態において、光音響変換装置154及び/又はガイド遠位端122Dは、円錐形、凸形状、凹形状、球根形状、四角形、段付き形状、半円形、卵形などを有し得る。エネルギーガイド122Aは、さらに、エネルギーガイド122Aの長さ部分の1つ以上の側面に沿って配置された追加的な光音響変換装置154を含み得ることも認識される。
【0050】
エネルギーガイド122Aは、さらに、エネルギーガイド122A内に、1つ以上の方向転換特徴(diverting features)又は「ダイバータ」(図1には示さず)を含み得、これは、エネルギーを、エネルギーガイド122Aから出て、エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dに又はその近くに位置し得る側面の方へ、及びバルーン壁130の方へ向かって流すように構成されている。方向転換特徴は、エネルギーガイド122Aからのエネルギーの流れを、その軸方向流路から離れてエネルギーガイド122Aの側面の方へ向けてそらす、システムの任意の特徴を含み得る。さらに、エネルギーガイド122Aはそれぞれ、各エネルギーガイド122Aの長手方向面又は円周面に沿って配置され且つ方向転換特徴と光通信する1つ以上の光学窓を含み得る。換言すると、方向転換特徴は、エネルギーガイド122A内のエネルギーが、ガイド遠位端122Dにあるか又はその近くにある側面の方へ向かって流れるように構成され得、ここで、側面は光学窓と光通信している。光学窓は、エネルギーがエネルギーガイド122A内から、エネルギーガイド122Aを出ていくことを可能にするエネルギーガイド122Aの一部分を含み得、この部分は、例えばエネルギーガイド122A上又は周囲の、クラッド材のないエネルギーガイド122Aの部分である。
【0051】
使用するのに好適な方向転換特徴の例は、反射要素、屈折要素、及びファイバーディフューザ(fiber diffuser)を含む。エネルギーガイド122Aのチップから離れるようにエネルギーの焦点調節を行うのに好適な方向転換特徴は、限定されるものではないが、凸面、屈折率分布型(GRIN)レンズ、及び鏡像焦点レンズを有するものを含み得る。方向転換特徴と接触すると、エネルギーは、エネルギーガイド122A内で、プラズマ発生器133、及びエネルギーガイド122Aの側面と光通信する光音響変換装置154のうちの1つ以上へ向けられる。その後、光音響変換装置154は、光エネルギーを、エネルギーガイド122Aの側面から離れるように広がっていく音響波へ変換する。
【0052】
ソースマニホールド136は、カテーテルシステム100の近位部分114に又はその近くに位置決めされ得る。ソースマニホールド136は、エネルギーガイド束122の1つ以上のエネルギーガイド122A、ガイドワイヤ112、及び/又は流体ポンプ138と流体連通して結合されている膨張用導管140を受け入れ得る1つ以上の近位端開口を含み得る。カテーテルシステム100はまた、必要なときに、バルーン104をバルーン流体132で、すなわち膨張用導管140を経由して膨張させるように構成されている流体ポンプ138を含み得る。
【0053】
上述の通り、図1に示す実施形態では、システムコンソール123は、エネルギー源124、電力源125、システム制御装置126、及びGUI127のうちの1つ以上を含む。或いは、システムコンソール123は、図1に具体的に示すものよりも多数又は少数の構成要素を含み得る。例えば、いくつかの非排他的な代替的な実施形態において、システムコンソール123は、GUI127なしで設計され得る。さらなる代替例では、エネルギー源124、電力源125、システム制御装置126、及びGUI127のうちの1つ以上は、システムコンソール123に対して特定のニーズがない状態で、カテーテルシステム100内に設けられ得る。
【0054】
図示の通り、システムコンソール123、及びそれと一緒に含まれる構成要素は、カテーテル102と、エネルギーガイド束122と、カテーテルシステム100の残りの部分とに動作可能に結合される。例えば、いくつかの実施形態において、図1に示すように、システムコンソール123は、コンソール接続アパーチャ148(一般的に「ソケット」とも呼ばれることがある)を含み得、それによって、エネルギーガイド束122は、システムコンソール123に機械的に結合される。そのような実施形態において、エネルギーガイド束122は、エネルギーガイド122Aのそれぞれの一部分、例えば、ガイド近位端122Pを収納するガイド結合ハウジング150(一般的に「フェルール」とも呼ばれることがある)を含み得る。ガイド結合ハウジング150は、エネルギーガイド束122とシステムコンソール123との間に機械的結合をもたらすために、コンソール接続アパーチャ148に嵌って選択的に保持されるように構成されている。
【0055】
エネルギーガイド束122はまた、ガイド結束器152(又は「シェル」)を含み得、これは、カテーテルシステム100を使用している期間中に、エネルギーガイド122A及び/又はエネルギーガイド束122がカテーテル102と一緒に血管108内へと延在するときに、それらをよりコンパクトな形にし得るように、個々のエネルギーガイド122Aのそれぞれを一緒に束ねる。
【0056】
エネルギー源124は、エネルギーガイド束122内のエネルギーガイド122Aのそれぞれに、すなわちエネルギーガイド122Aのそれぞれのガイド近位端122Pに、光通信して選択的に及び/又は交互に結合され得る。特に、エネルギー源124は、ソースビーム124A、例えばパルス状のソースビームの形でエネルギーを発生させるように構成されており、このソースビームは、個々のガイドビーム124Bとして、エネルギーガイド束122内のエネルギーガイド122Aのそれぞれへと選択的に及び/又は交互に向けられ、且つそれらによって受け取られる。或いは、カテーテルシステム100は、2つ以上のエネルギー源124を含み得る。例えば、1つの非排他的な代替的な実施形態において、カテーテルシステム100は、エネルギーガイド束122内のエネルギーガイド122Aのそれぞれに対して別個のエネルギー源124を含み得る。
【0057】
エネルギー源124は、任意の好適な設計を有し得る。いくつかの実施形態において、エネルギー源124は、エネルギー源124からミリ秒未満のパルスのエネルギーをもたらし、それを、エネルギーガイド122Aのガイド近位端122Pに結合するために小さいスポットに焦点調節させるように構成され得る。次いで、エネルギーのそのようなパルスは、エネルギーガイド122Aに沿って、バルーン104のバルーン内部146内のある箇所へと向けられ及び/又は案内され、それにより、例えば、エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dに位置し得るプラズマ発生器133を経由して、バルーン104のバルーン内部146にあるバルーン流体132中にプラズマ形成を誘発することを含む。特に、エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dで発光されたエネルギーは、プラズマ発生器133を励起して、バルーン内部146にあるバルーン流体132内にプラズマを形成し得る。プラズマ形成は急速な気泡形成を引き起こして、治療部位106に圧力波を与える。例示的なプラズマに誘発された気泡134を図1に示す。
【0058】
様々な非排他的な代替的な実施形態において、エネルギー源124からのミリ秒未満パルスのエネルギーは、およそ1ヘルツ(Hz)~5000Hz、およそ30Hz~1000Hz、およそ10Hz~100Hz、又はおよそ1Hz~30Hzの周波数で、治療部位106へ送達され得る。或いは、ミリ秒未満パルスのエネルギーは、5000Hz超又は1Hz未満、又は任意の他の好適な範囲の周波数とし得る周波数で、治療部位106へ送達され得る。
【0059】
エネルギー源124は、一般にエネルギーのパルスを提供するために利用されるが、エネルギー源124は、依然として、単一のソースビーム124A、すなわち単一のパルス状のソースビームを提供すると説明され得ることが認識される。
【0060】
使用するのに好適なエネルギー源124は、レーザ及びランプを含む、様々なタイプの光源を含み得る。或いは、エネルギー源124は、任意の好適なタイプのエネルギー源を含み得る。
【0061】
好適なレーザは、ミリ秒未満の時間尺度の短パルスレーザを含み得る。いくつかの実施形態において、エネルギー源124は、ナノ秒(ns)の時間尺度のレーザを含み得る。レーザはまた、ピコ秒(ps)、フェムト秒(fs)、及びマイクロ秒(us)の時間尺度の短パルスレーザを含み得る。カテーテル102のバルーン流体132中にプラズマを達成するために用いられ得る、レーザ波長、パルス幅、及びエネルギーレベルの多くの組み合わせがあることが認識される。様々な非排他的な代替的な実施形態において、パルス幅は、少なくとも10ns~3000ns、少なくとも20ns~100ns、又は少なくとも1ns~500nsを含む範囲内に入るものを含み得る。或いは、任意の他の好適なパルス幅範囲が使用され得る。
【0062】
例示的なナノ秒レーザは、約10ナノメートル(nm)~1ミリメートル(mm)の波長の範囲の、UV~IRスペクトル内のものを含み得る。いくつかの実施形態において、カテーテルシステム100において使用するのに好適なエネルギー源124は、少なくとも750nm~2000nmの波長で光を生じることができるものを含み得る。他の実施形態において、エネルギー源124は、少なくとも700nm~3000nmの波長で光を生じることができるものを含み得る。さらに他の実施形態において、エネルギー源124は、少なくとも100nm~10マイクロメートル(μm)の波長で光を生じることができるものを含み得る。ナノ秒レーザは、200kHzまでの繰り返し率を有するものを含み得る。いくつかの実施形態において、レーザは、Qスイッチツリウム:イットリウム-アルミニウム-ガーネット(Tm:YAG)レーザを含み得る。他の実施形態において、レーザは、ネオジム:イットリウム-アルミニウム-ガーネット(Nd:YAG)レーザ、ホルミウム:イットリウム-アルミニウム-ガーネット(Ho:YAG)レーザ、エルビウム:イットリウム-アルミニウム-ガーネット(Er:YAG)レーザ、エキシマーレーザ、ヘリウム-ネオンレーザ、二酸化炭素レーザ、並びに添加(doped)されたパルス状ファイバーレーザを含み得る。
【0063】
カテーテルシステム100は、少なくとも1メガパスカル(MPa)~100MPaの範囲の最大圧力を有する圧力波を発生させ得る。特定のカテーテルシステム100によって発生された最大圧力は、エネルギー源124、吸収材、気泡膨張、伝搬媒質、バルーン材、及び他の要因に依存する。様々な非排他的な代替的な実施形態において、カテーテルシステム100は、少なくともおよそ2MPa~50MPa、少なくともおよそ2MPa~30MPa、又はおよそ少なくとも15MPa~25MPaの範囲にある最大圧力を有する圧力波を発生させ得る。
【0064】
圧力波は、カテーテル102が治療部位106に配置されたときに、エネルギーガイド122Aから半径方向に延在する少なくともおよそ0.1ミリメートル(mm)~およそ25mm超の範囲内の距離から、治療部位106に与えられ得る。様々な非排他的な代替的な実施形態において、圧力波は、カテーテル102が治療部位106に配置されたときに、エネルギーガイド122Aから半径方向に延在する少なくともおよそ10mm~20mm、少なくともおよそ1mm~10mm、少なくともおよそ1.5mm~4mm、又は少なくともおよそ0.1mm~10mmの範囲内の距離から、治療部位106に与えられ得る。他の実施形態において、圧力波は、上述の範囲とは異なる別の好適な距離で治療部位106に与えられ得る。いくつかの実施形態において、圧力波は、少なくともおよそ0.1mm~10mmの距離で少なくともおよそ2MPa~30MPaの範囲内で治療部位106に与えられ得る。いくつかの実施形態において、圧力波は、少なくともおよそ0.1mm~10mmの距離で少なくともおよそ2MPa~25MPaの範囲内で治療部位106に与えられ得る。さらなる代替例では、他の好適な圧力範囲及び距離が使用され得る。
【0065】
電力源125は、エネルギー源124、システム制御装置126、GUI127、及びハンドルアセンブリ128のそれぞれに電気的に結合され、且つそこに、必要な電力をもたらすように構成されている。電力源125は、そのような目的のために任意の好適な設計を有し得る。
【0066】
システム制御装置126は、電力源125に電気的に結合され且つそこから電力を受け取る。さらに、システム制御装置126は、エネルギー源124及びGUI127のそれぞれに結合され、且つ、それらの動作を制御するように構成されている。システム制御装置126は、少なくともエネルギー源124及びGUI127の動作を制御するために、1つ以上のプロセッサー又は回路を含み得る。例えば、システム制御装置126は、所望通りに及び/又は任意の所望の発射率(firing rate)でエネルギーのパルスを発生させるために、エネルギー源124を制御し得る。
【0067】
システム制御装置126は、さらに、カテーテルシステム100の他の構成要素の動作、例えば治療部位106に隣接したカテーテル102の位置決め、バルーン流体132によるバルーン104の膨張などを制御するように構成され得る。それに加えて、又はその代わりに、カテーテルシステム100は、カテーテルシステム100の様々な動作を制御するために、任意の好適な方法で位置決めされ得る1つ以上の追加的なコントローラを含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、追加的なコントローラ及び/又はシステム制御装置126の一部分は、ハンドルアセンブリ128内に位置決めされ得る及び/又はそこに組み込まれ得る。
【0068】
GUI127は、カテーテルシステム100のユーザ又はオペレータによってアクセス可能である。さらに、GUI127はシステム制御装置126に電気的に接続される。そのような設計で、GUI127は、治療部位106の血管系病変部106Aに圧力を与えてそこに裂け目を誘発するために、カテーテルシステム100が効果的に利用され得ることを保証するために、ユーザやオペレータによって使用され得る。GUI127は、ユーザやオペレータに、カテーテルシステム100の使用前、使用中及び使用後に使用され得る情報を提供し得る。一実施形態においては、GUI127は、静的視覚データ及び/又は情報をユーザやオペレータに提供し得る。それに加えて、又はその代わりに、GUI127は、カテーテルシステム100を使用している期間中、時間が経つにつれて変化するビデオデータ又は任意の他のデータなどの動的視覚データ及び/又は情報をユーザやオペレータに提供し得る。様々な実施形態において、GUI127は、1色以上の色、異なるサイズ、様々な明るさなどを含み得、それらは、ユーザやオペレータに対する警報の機能を果たし得る。それに加えて、又はその代わりに、GUI127は、音声データ又は情報をユーザやオペレータに提供し得る。GUI127の詳細は、カテーテルシステム100の設計要件、又は特定のニーズ、仕様及び/又はユーザやオペレータの要求に依存して変わり得ることが認識される。
【0069】
図1に示すように、ハンドルアセンブリ128は、カテーテルシステム100の近位部分114に又はその近くに、及び/又はソースマニホールド136の近くに、位置決めされ得る。この実施形態において、ハンドルアセンブリ128は、バルーン104に結合され、且つバルーンから離間して位置決めされる。或いは、ハンドルアセンブリ128は、別の好適な箇所に位置決めされ得る。
【0070】
ハンドルアセンブリ128は、ハンドヘルドであり、且つカテーテル102を動作させ、位置決めし、且つ制御するために、ユーザ又はオペレータによって使用される。ハンドルアセンブリ128の設計及び特定の特徴は、カテーテルシステム100の設計要件に合うように変化し得る。図1に示された実施形態において、ハンドルアセンブリ128は、システム制御装置126、エネルギー源124、流体ポンプ138、及びGUI127のうちの1つ以上から離れているが、それらと電気通信及び/又は流体連通している。いくつかの実施形態において、ハンドルアセンブリ128は、ハンドルアセンブリ128の内部においてシステム制御装置126の少なくとも一部分と一体化し得る及び/又はそれを含み得る。例えば、図示の通り、いくつかのそのような実施形態において、ハンドルアセンブリ128は、システム制御装置126の少なくとも一部分を形成し得る回路部品156を含み得る。一実施形態においては、回路部品156は、1つ以上の集積回路又は任意の他の好適な回路部品を有するプリント回路基板を含み得る。代替的な実施形態において、回路部品156は、省略され得るか、又はシステム制御装置126内に含まれ得、これは、様々な実施形態において、例えば、システムコンソール123内の、ハンドルアセンブリ128の外部に位置決めされ得る。ハンドルアセンブリ128は、本明細書で具体的に示し且つ説明するものよりも少数の又は追加的な構成要素を含み得ることが理解される。
【0071】
図2Aは、カテーテルシステム200の実施形態の一部分の概略的な断面図である。カテーテルシステム200の設計は変更され得る。様々な実施形態において、図2Aに示すように、カテーテルシステム200は、カテーテルシャフト210を含むカテーテル202、バルーン内部246を画成するバルーン壁230と、バルーン近位端部204Pと、バルーン遠位端部204Dとを含むバルーン204、バルーン内部246に実質的に保持されるバルーン流体232、及びバルーン内部246内へ及び/又はそこを通って延在するガイドワイヤルーメン218;及びエネルギーガイド222Aを含み得る。或いは、他の実施形態において、カテーテルシステム200は、本明細書で具体的に示し且つ説明するものよりも多数の構成要素又は少数の構成要素を含み得る。例えば、図1に示されたいくつかの構成要素、例えば、ガイドワイヤ112、ソースマニホールド136、流体ポンプ138、エネルギー源124、電力源125、システム制御装置126、GUI127、及びハンドルアセンブリ128は、図2Aに具体的に示さないが、カテーテルシステム200の任意の実施形態に含まれ得る。
【0072】
以前の実施形態と同様に、バルーン204は、患者の血管系を通してカテーテル202を前進させるのに好適なしぼんだ状態と、治療部位106(図1に示す)に対して適所にカテーテル202をしっかりと固定するのに好適な膨張状態(図2Aに示すような)との間で、選択的に可動又は膨張可能である。さらに、この実施形態で示すように、バルーン204は非対称的であり、バルーン204が膨張状態にあるときにバルーン204がバルーン中心軸260を含み、且つバルーン近位端部204P及びバルーン遠位端部204Dが、バルーン中心軸260とは異なり且つそこからオフセットされているバルーン端軸262を規定するようにする。換言すると、バルーン中心軸260は、バルーン204が膨張状態にあるとき、バルーン204の幾何学的中心204Cを通って(及び、バルーン近位端部204Pからバルーン遠位端部204Dまでバルーン204の長さ部分に対して平行に)延在し、且つバルーン端軸262は、バルーン近位端部204P及びバルーン遠位端部204Dの中心を通って延在する。本明細書で利用されるように、バルーン204の「幾何学的中心」は、バルーン壁230の方へ向かって一直線に延在する(すなわち最短距離)、全ての半径方向においてバルーン壁230から実質的に等距離の、並びにバルーン近位端部204P及びバルーン遠位端部204Dから実質的に等距離の、点又は領域である。
【0073】
いくつかの実施形態において、バルーン端軸262は、カテーテルシャフト210の長手方向軸144(図1に示す)と実質的に同軸とし得る。さらに、いくつかの実施形態において、バルーン端軸262は、バルーン中心軸260から離間して実質的に平行になっている。
【0074】
バルーン204は、バルーン204の幾何学的中心204Cから一直線にバルーン壁230まで(すなわち最短距離)測定されるバルーン半径204Rを有する。バルーン204の非対称的な形状の設計では、様々な実施形態において、バルーン端軸262は、バルーン中心軸260から、バルーン半径204Rに対して測定される少なくともある程度の軸離間距離264(単に「離間距離」とも呼ばれる)だけ離間され得ることが望ましい。例えば、いくつかの非排他的な実施形態において、バルーン端軸262は、バルーン半径204Rの少なくともおよそ1パーセント(1%)~およそ90パーセント(90%)未満の離間距離264だけ、バルーン中心軸260から離間され得る。様々な非排他的な代替的な実施形態において、バルーン端軸262は、バルーン半径204Rの少なくともおよそ2%、3%、4%、5%、7%、8%、10%、12%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%又は85%の離間距離264だけ、バルーン中心軸260から離間され得る。具体的な非限定的な例として、バルーン204のバルーン半径204Rが5ミリメートル(バルーン直径が10ミリメートル)である場合、バルーン半径204Rの5%の、バルーン端軸262とバルーン中心軸260との間の離間距離264を設けることによって、バルーン端軸262とバルーン中心軸260との間の離間距離264を5mm×.05=0.25ミリメートル(すなわち250μm)にする。
【0075】
バルーンカテーテル202、例えば、レーザ駆動リソプラスティバルーンカテーテルは、エネルギー源124(図1に示す)から、バルーン204のバルーン内部246を満たすバルーン流体232へパルス状エネルギーを送達する1つ以上のエネルギーガイド222Aを含む。パルス状エネルギーは局所プラズマを生み出し、それにより次に音響気泡134(図1に示す)及び圧力波を発生させ、それらが、バルーン204のバルーン壁230に衝突する。バルーン壁230を通して与えられ、治療部位106(図1に示す)にある血管系内病変部106A(図1に示す)を破壊する機械的エネルギーによって、治療効果が達成される。しかしながら、機器の故障、例えばバルーン壁230を溶融させる高温のプラズマによって引き起こされるバルーン破裂の確率を下げるために、バルーン壁230に対して均一に及び/又はバルーン壁230から可能な限り遠くにプラズマを発生させることが好都合であることが認識される。バルーン中心軸260に可能な限り近くに又は正確にそこにエネルギーガイド222Aの少なくともガイド遠位端222Dを位置決めすることによって、プラズマとバルーン壁230との間を最大距離にするだけでなく、バルーン壁230に対するプラズマ発生を均一にする。
【0076】
ガイド遠位端222Dを、膨張したバルーン中心軸260に又はその近くに配置する1つの方法は、膨張したバルーン204のバルーン中心軸260からガイドワイヤルーメン218をオフセットすることである。様々な実施形態において、ガイドワイヤルーメン218をバルーン中心軸260から離すように動かすことは、非対称的なバルーン形状を形成することによって達成され得、ここで、バルーン端部204P、204Dは、図2Aに示すように、膨張したバルーン204のバルーン中心軸260とは異なるバルーン端軸262を規定している。
【0077】
図2Aに示す実施形態において、ガイドワイヤルーメン218は、バルーン端軸262に実質的に沿って位置決めされ、及びエネルギーガイド222Aの少なくとも一部分は、ガイド遠位端222Dを含め、ガイドワイヤルーメン218に実質的に隣接して、実質的にバルーン中心軸260に位置決めされる。換言すると、ガイドワイヤルーメン218は、バルーン中心軸260からオフセットされ、及びエネルギーガイド222Aの少なくとも一部分は、ガイド遠位端222Dを含め、バルーン中心軸260に位置決めされる。この形態の利点は、プラズマが発生されるエネルギーガイド222Aのガイド遠位端222Dを、バルーン中心軸260に中心を合わせることを可能にすることが認識される。これにより、より均一な圧力波を、バルーン壁230に、それゆえ、治療部位106にある血管系病変部106Aに加えることができるようにする。なぜなら、エネルギーガイド222Aの少なくともガイド遠位端222D(プラズマ発生が発生する箇所に又はその近くにある)は、バルーン204の円周の周りでバルーン壁230から等距離に位置するためである。
【0078】
エネルギーガイド222Aは、ガイドワイヤルーメン218に実質的に直接隣接して及び/又は当接して位置決めされる及び/又はガイドワイヤルーメン218に固定される必要はないことが認識される。しかしながら、エネルギーガイド222Aの少なくともガイド遠位端222Dは、バルーン中心軸260に位置決めされることが望ましい。例えば、1つの非排他的な代替的な実施形態において、エネルギーガイド222Aは、ガイドワイヤルーメン218から離間して位置決めされ得る一方で、エネルギーガイド222Aの少なくとも一部分は、ガイド遠位端222Dを含め、依然として、バルーン中心軸260に位置決めされる。
【0079】
図2Aに示すように、いくつかの実施形態において、バルーン近位端部204Pはカテーテルシャフト210に結合され得、及びバルーン遠位端部204Dはガイドワイヤルーメン218に結合され得る。バルーン204は、例えば流体ポンプ138(図1に示す)からのバルーン流体232によって膨張され得、バルーン流体は、膨張用導管140(図1に示す)を経由してバルーン204のバルーン内部246内へと向けられる。
【0080】
エネルギーガイド222Aは、エネルギーをエネルギー源124からその長さ部分に沿ってガイド遠位端222Dまで案内し得る。エネルギーガイド222Aは、バルーン204のバルーン内部246にあるエネルギーガイド222Aの長さ部分に沿って位置決めされる少なくとも1つのガイド窓(図示せず)を有し得る。
【0081】
いくつかの実施形態において、エネルギーガイド222Aは、1つ以上の光音響変換装置254を含み得、ここで、各光音響変換装置254は、エネルギーガイド222Aと光通信し得、その内部に配置されている。いくつかの実施形態において、光音響変換装置254は、エネルギーガイド222Aのガイド遠位端222Dと光通信し得る。光音響変換装置254は、光エネルギーを、エネルギーガイド222Aのガイド遠位端222Dで又はその近くで音響波に変換するように構成されている。音響波の方向は、エネルギーガイド222Aのガイド遠位端222Dの角度を変えることによって、調整され得る。
【0082】
エネルギーガイド222Aはまた、エネルギーガイド222A内に1つ以上の方向転換特徴又は「ダイバータ」(図2Aには示さず)を含み得、これは、エネルギーが、エネルギーガイド222Aを出て、エネルギーガイド222Aのガイド遠位端222Dに又はその近くに位置決めされ得る側面の方へ、並びにバルーン壁230の方へ向かって流れるように構成されている。エネルギーガイド222Aはまた、エネルギーガイド222Aの長手方向面又は軸方向面に沿って配置され且つ方向転換特徴と光通信する1つ以上のガイド窓を含み得る。換言すると、方向転換特徴は、エネルギーを、エネルギーガイド222A内で、ガイド遠位端222Dに又はその近くに位置決めされた側面の方へ向かって流れるように構成され得、ここで、その側面は、ガイド窓と光通信している。方向転換特徴と接触すると、エネルギーの流れは、エネルギーガイド222A内で、エネルギーガイド222Aの側面と光通信する光音響変換装置254の方へそらされる。以前の実施形態と同様に、その後、光音響変換装置254は、光エネルギーを、エネルギーガイド222Aの側面から離れるように広がっていく音響波へと変換し得る。
【0083】
図2Bは、図2Aの線B-Bに沿って取ったカテーテルシステム200の部分の概略的な断面図である。特に、図2Bは、カテーテルシステム200の一部として含まれる、バルーン204、ガイドワイヤルーメン218及びエネルギーガイド222Aの断面図を示す。図2Bに示すように、バルーン204が膨張状態にあるとき、エネルギーガイド222Aの少なくともガイド遠位端222Dは、バルーン204のバルーン中心軸260(図2Aに示す)に、それに沿って、又はその周りに位置決めされる。図2Bはまた、バルーン204が膨張状態にあるとき、ガイドワイヤルーメン218がバルーン中心軸260からオフセットして位置決めされていることを示す。
【0084】
図2Cは、図2Aの線C-Cに沿って取ったカテーテルシステム200の部分の概略的な断面図である。特に、図2Cは、カテーテルシステム200の一部として含まれる、バルーン近位端部204Pにおけるバルーン204、カテーテルシャフト210、ガイドワイヤルーメン218、及びエネルギーガイド222Aの断面図を示す。図2Cに示す実施形態では、ガイドワイヤルーメンは、バルーン204が膨張状態にあるとき、バルーン204のバルーン端軸262(図2Aに示す)に、それと同軸に、又はその周りに位置決めされる。図2Cはまた、バルーン204が膨張状態にあるとき、エネルギーガイド222Aがバルーン端軸262からオフセットして位置決めされていることを示す。
【0085】
図3は、カテーテルシステム300の別の実施形態の一部分の概略的な断面図である。カテーテルシステム300は、任意の所望の数のエネルギーガイドを含み得る。特に、図3は、バルーン304、ガイドワイヤルーメン318、第1のエネルギーガイド322A、及び第2のエネルギーガイド322Bの断面図を示す。2つ以上のエネルギーガイドを含むカテーテルシステム300において、エネルギーガイドは、ガイドワイヤルーメン318及び/又はカテーテルシャフト(図3には示さず)の円周の周りの任意の好適な位置に配置され得ることが認識される。例えば、2つのエネルギーガイド322A、322Bを含む図3に示す実施形態において、第1のエネルギーガイド322A及び第2のエネルギーガイド322Bは、離され得る、すなわちガイドワイヤルーメン318の円周で互いにおよそ180度だけ離間され得る。
【0086】
2つ以上のエネルギーガイドを含む複数の実施形態において、図3に示すように、エネルギーガイド322Aのうちの1つの少なくとも一部分は、ガイド遠位端322Dを含め、バルーン中心軸260に位置決めされる。例えば、図3に示す実施形態において、第1のエネルギーガイド322Aの少なくともガイド遠位端322Dは、バルーン中心軸260に位置決めされ、ガイドワイヤルーメン318は、バルーン中心軸260からオフセットして位置決めされ、及び第2のエネルギーガイド322Bは、ガイドワイヤルーメン318の円周の周りで、第1のエネルギーガイド322Aの実質的に反対側に位置決めされる。換言すると、第2のエネルギーガイド322Bは、ガイドワイヤルーメン318の円周の周りで、第1のエネルギーガイド322Aからおよそ180度だけ離れている。そのような設計で、バルーン中心軸260に位置決めされている第1のエネルギーガイド322Aのガイド遠位端322Dが、より均一な圧力波をバルーン壁330に、それゆえ治療部位106(図1に示す)にある血管系病変部106A(図1に示す)に加えることが可能である。なぜなら、第1のエネルギーガイド322Aのガイド遠位端322Dは、バルーン304の周りに沿って、バルーン壁330から等しい距離に位置するためである。第2のエネルギーガイド322Bは、ガイドワイヤルーメン318が存在すること及びそれを位置決めすることに起因して、第1のエネルギーガイド322Aから圧力波を加えることが阻止されていたかもしれない、バルーン壁330の複数の部分に対して追加的に圧力波を加えることを可能にする。
【0087】
エネルギーガイド322A、322Bは、望ましい箇所で所望の効果を達成するために、ガイドワイヤルーメン318及び/又はカテーテルシャフトの周りに均一に又は非均一に配置され得ることが認識される。エネルギー源124(図1に示す)からのエネルギーは、エネルギーガイド322A、322Bのそれぞれで異なり得ることがさらに認識される。例えば、非排他的な実施形態において、エネルギー源124は、バルーン壁330(それゆえ治療部位106の血管系病変部106A)に最終的に加えられる圧力波の大部分を提供するために、より高いレベルのエネルギーを第1のエネルギーガイド322Aへと、並びにガイドワイヤルーメン318が存在すること及びそれを位置決めすることに起因して、第1のエネルギーガイド332Aからのそのような圧力波の受け取りを阻止されていたバルーン壁330の一部分に対して補足的に圧力波を加えるために、より低いレベルのエネルギーを第2のエネルギーガイド322Bへと、向けて流し得る。
【0088】
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容及び/又は文脈上明白に他の意味に指示する場合を除いて、複数の指示対象を含むことに留意すべきである。用語「又は、若しくは」は、一般的に、内容及び/又は文脈上明白に他の意味に指示する場合を除いて、「及び/又は」を含む意味で用いられることも留意すべきである。
【0089】
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、言い回し「構成された」は、特定のタスクを実行するか又は特定の形態を採用するように構築若しくは構成されているシステム、装置、又は他の構造を説明することも留意すべきである。言い回し「構成された」は、他の同様の言い回し、例えば、配置されて構成された、構築されて配置された、構築された、製造されて配置されたなどと区別しないで使用され得る。
【0090】
本明細書で使用される見出しは、体系化された合図をもたらすために、37 CFR 1.77下又は他のものでの提示との整合性を図るために提供されている。これらの見出しは、本開示で公表し得るいずれかの特許請求項に記載される1つ又は複数の発明を限定する又は特徴付けるとはみなされない。例として、「背景」における技術の説明は、技術が、本開示のいずれかの1つ又は複数の発明の先行技術であることを認めるものではない。「概要」又は「要約書」のいずれも、公表された特許請求の範囲に記載される1つ又は複数の発明を特徴付けるとはみなされない。
【0091】
本明細書で説明した実施形態は、徹底的でも、又は本発明を以下の詳細な説明で開示した正確な形に限定するものでもない。むしろ、実施形態は、当業者が原理及び実施を認識及び理解できるように、選択されて説明される。そのようなものとして、様々な具体的且つ好ましい実施形態及び技術を参照して、複数の態様を説明してきた。しかしながら、本明細書の趣旨及び範囲内に留まりながらも、多くの変形及び修正が行われ得ることが理解されるべきである。
【0092】
カテーテルシステムのいくつかの異なる実施形態を本明細書に示し且つ説明したが、任意の1つの実施形態の1つ以上の特徴は、他の実施形態のうちの1つ以上の1つ以上の特徴と組み合わせられ得る(但し、それらの組み合わせが本発明の意図を満たす限り)ことが理解される。カテーテルシステムのいくつかの例示的な態様及び実施形態を上述したが、当業者は、これらのいくつかの修正、置換、追加及びサブコンビネーションを認識するであろう。それゆえ、以下の添付の特許請求の範囲及び下記で紹介する特許請求の範囲は、それらの真の趣旨及び範囲内にあるとして、全てのそのような修正、置換、追加及びサブコンビネーションを含むと解釈されることが意図され、且つ本明細書に示す構築又は設計の詳細への限定を意図するものではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図3