(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】マシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法並びにシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20230926BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230926BHJP
G06V 10/70 20220101ALI20230926BHJP
【FI】
G01N21/892 B
G06T7/00 300F
G06T7/00 610
G06V10/70
(21)【出願番号】P 2022543641
(86)(22)【出願日】2021-12-29
(86)【国際出願番号】 CN2021142662
(87)【国際公開番号】W WO2022117118
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】202110013619.6
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522275980
【氏名又は名称】大冶特殊鋼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DAYE SPECIAL STEEL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.316 Huangshi Avenue Huangshi, Hubei 435001, China
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 志成
(72)【発明者】
【氏名】方 ▲ウェイ▼
(72)【発明者】
【氏名】柯 金
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 昌元
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-530882(JP,A)
【文献】特開平07-306161(JP,A)
【文献】特開平10-209230(JP,A)
【文献】特開2004-117229(JP,A)
【文献】特開昭59-037450(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111899230(CN,A)
【文献】特開2012-043436(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0073552(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G06T 7/00 - G06T 7/90
G06V 10/00 - G06V 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸エッチングされた後の鋼材又はビレット又は連続鋳造スラブの低倍酸エッチング試料に対して欠陥の自動識別及び格付けを行うためのマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法であって、
第1プリセット条件に応じて、前記低倍酸エッチング試料に対して画像収集を行い、第1画像を得ることと、
前記第1画像に対して自動画像処理を行い、第2画像を得ることと、
第2プリセット条件に応じて、前記第2画像に対して画像
分割を行い、第3画像を得
、具体的に、前記第2画像の中心を円心とし、前記第2画像に対して同心円分割を行うとともに、プリセット象限の象限分割線に応じて前記第2画像に対して象限分割を行い、前記第3画像を得ることと、
予め既知の欠陥タイプに基づいて、前記第3画像に対して欠陥パターン識別を行い、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データを得ることと、
前記第3画像及び前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データを得ることと、
前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥を格付けすることと、を含
み、
前記低倍酸エッチング試料は、マクロ検査において、鋼材又はビレット又は連続鋳造スラブの横方向端面に対して酸エッチング検査を行う試料である、
ことを特徴とするマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法。
【請求項2】
前記第1プリセット条件に応じて、前記低倍酸エッチング試料に対して画像収集を行い、第1画像を得ることは、具体的に、設定された画像背景及び縮尺に応じて、前記低倍酸エッチング試料に対して画像収集を行い、前記第1画像を得ることである、ことを特徴とする請求項1に記載のマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法。
【請求項3】
前記第3画像は、前記第2画像に対して象限分割及び同心円分割を行って得られたメッシュ化処理された画像である、ことを特徴とする請求項1に記載のマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法。
【請求項4】
前記予め既知の欠陥タイプに基づいて、前記第3画像に対して欠陥パターン識別を行い、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データを得ることは、具体的に、前記第3画像における欠陥に対して特徴抽出を行い、前記第3画像における欠陥特徴を得て、且つ予め既知の前記欠陥タイプに基づいて、前記欠陥特徴に対して欠陥パターン識別を行い、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データを得ることである、ことを特徴とする請求項1に記載のマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法。
【請求項5】
前記第3画像及び前記低倍酸エッチング試料における欠陥の分布データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データを得ることは、具体的に、前記第3画像に対応する前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データに対してデジタル化解析を行い、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データを得ることである、ことを特徴とする請求項1に記載のマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法。
【請求項6】
前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥を格付けすることは、具体的に、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データとプリセット量子化基準とを照合し、且つ照合結果に基づいて前記低倍酸エッチング試料における欠陥を格付けすることである、ことを特徴とする請求項1に記載のマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法。
【請求項7】
前記欠陥タイプは、点状欠陥と、線状欠陥と、面状欠陥と、を含み、ただし、前記点状欠陥は、ルーズと、非金属介在と、異金属介在と、点状偏析と、を含み、前記線状欠陥は、皮下割れ目と、中心割れ目と、中間割れ目と、コーナー割れ目と、スカルパッチと、白点と、を含み、前記面状欠陥は、炭素偏析と、四角の枠偏析と、を含む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法。
【請求項8】
酸エッチングされた後の鋼材又はビレット又は連続鋳造スラブの低倍酸エッチング試料に対して欠陥の自動識別及び格付けを行うためのマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けのシステムであって、
第1プリセット条件に応じて、前記低倍酸エッチング試料に対して画像収集を行い、第1画像を得るように構成される画像収集手段と、
前記第1画像に対して自動画像処理を行い、第2画像を得るように構成される画像処理手段と、
第2プリセット条件に応じて、前記第2画像に対して画像
分割を行い、第3画像を得
、具体的に、前記第2画像の中心を円心とし、前記第2画像に対して同心円分割を行うとともに、プリセット象限の象限分割線に応じて前記第2画像に対して象限分割を行い、前記第3画像を得るように構成される画像
分割手段と、
予め分類された欠陥タイプに基づいて、前記第3画像に対して欠陥パターン識別を行い、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データを得るように構成される欠陥識別手段と、
前記第3画像及び前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データを得るように構成される欠陥量子化手段と、
前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥を格付けするように構成される欠陥格付け手段と、を含
み、
前記低倍酸エッチング試料は、マクロ検査において、鋼材又はビレット又は連続鋳造スラブの横方向端面に対して酸エッチング検査を行う試料である、
ことを特徴とするマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けのシステム。
【請求項9】
コンピュータのプログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な媒体であって、前記プログラムは、請求項1~7のいずれか1項に記載のマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法である、ことを特徴とするコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項10】
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶されて前記プロセッサによって実行可能なプログラムと、を含み、前記プロセッサは、前記プログラムを実行する時に、請求項1~7のいずれか1項に記載のマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法を実現する、ことを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、冶金物理的検出技術分野に関し、特にマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法並びにシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
低倍検査は、マクロ物理的検査項目の一種に属し、一般的に、肉眼又は十倍以下のルーペを用いて酸エッチングされた金属表面、破面又はマクロ組織並びにその欠陥を検査する方法が用いられている。マクロ検査には、低倍欠陥検査(酸エッチング、サルフアプリント(Sulfur Print)、塔形(telescoping))及び破面分析などが含まれている。いわゆるマクロ検査とは、通常、鋼材又はビレット又は連続鋳造スラブの横方向端面の酸エッチング検査である。これは、国際的に汎用されている鋼材内部品質検査方法の一つであり、規模化生産プロセスの品質制御における有効な方法でもあり、広く応用されており、現在ほとんどの連続鋳造スラブ、丸鋼品種の必須検査項目の一つである。通常の操作フローは、試料--機械加工--酸エッチング--格付け--レポートなどであり、ただし、酸エッチング及び格付けプロセスは、完全に人工に依存してスペクトルを参照して格付けするものであり、格付け結果の正確性は、人工のスペクトルへの理解に依存し、デジタル化格付け基準が欠け、また、格付け済み試料が長期に保存できず、トレーサビリティに欠けた。
【0003】
したがって、上記従来技術の不足に対する改良技術案を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の目的は、マシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法並びにシステムを提供し、上記従来技術に存在している課題を解決又は緩和する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するために、本願は以下のような技術案を提供する。
本願は、酸エッチングされた後の鋼材又はビレット又は連続鋳造スラブの低倍酸エッチング試料に対して欠陥の自動識別及び格付けを行うためのマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法であって、第1プリセット条件に応じて、前記低倍酸エッチング試料に対して画像収集を行い、第1画像を得ることと、前記第1画像に対して自動画像処理を行い、第2画像を得ることと、第2プリセット条件に応じて、前記第2画像に対して画像分割を行い、第3画像を得ることと、予め既知の欠陥タイプに基づいて、前記第3画像に対して欠陥パターン識別を行い、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データを得ることと、前記第3画像及び前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データを得ることと、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥を格付けすることと、を含むマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法を提供する。
【0006】
あるいは、本願のいずれかの実施例において、前記第1プリセット条件に応じて、前記低倍酸エッチング試料に対して画像収集を行い、第1画像を得ることは、具体的に、設定された画像背景及び縮尺に応じて、前記低倍酸エッチング試料に対して画像収集を行い、前記第1画像を得ることである。
【0007】
あるいは、本願のいずれかの実施例において、前記第2プリセット条件に応じて、前記第2画像に対して画像分割を行い、第3画像を得ることは、具体的に、前記第2画像の中心を円心とし、前記第2画像に対して同心円分割を行うとともに、プリセット象限の象限分割線に応じて前記第2画像に対して象限分割を行い、前記第3画像を得ることである。
【0008】
あるいは、本願のいずれかの実施例において、前記予め既知の欠陥タイプに基づいて、前記第3画像に対して欠陥パターン識別を行い、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データを得ることは、具体的に、前記第3画像における欠陥に対して特徴抽出を行い、前記第3画像における欠陥特徴を得て、且つ予め分類された前記欠陥タイプに基づいて、前記欠陥特徴に対して欠陥パターン識別を行い、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データを得ることである。
【0009】
あるいは、本願のいずれかの実施例において、前記第3画像及び前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データを得ることは、具体的に、前記第3画像に対応する前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データに対してデジタル化解析を行い、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データを得ることである。
【0010】
あるいは、本願のいずれかの実施例において、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥を格付けすることは、具体的に、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データとプリセット量子化基準とを照合し、且つ照合結果に基づいて前記低倍酸エッチング試料における欠陥を格付けすることである。
【0011】
あるいは、本願のいずれかの実施例において、前記欠陥タイプは、点状欠陥と、線状欠陥と、面状欠陥と、を含み、ただし、前記点状欠陥は、ルーズと、非金属介在と、異金属介在と、点状偏析と、を含み、前記線状欠陥は、皮下割れ目と、中心割れ目と、中間割れ目と、コーナー割れ目と、スカルパッチ(skull patch)と、白点と、を含み、前記面状欠陥は、炭素偏析と、四角の枠偏析と、を含む。
【0012】
本願の実施例は、酸エッチングされた後の鋼材又はビレット又は連続鋳造スラブの低倍酸エッチング試料に対して欠陥の自動識別及び格付けを行うためのマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けのシステムであって、第1プリセット条件に応じて、前記低倍酸エッチング試料に対して画像収集を行い、第1画像を得るように構成される画像収集手段と、前記第1画像に対して自動画像処理を行い、第2画像を得るように構成される画像処理手段と、第2プリセット条件に応じて、前記第2画像に対して画像分割を行い、第3画像を得るように構成される画像分割手段と、予め分類された欠陥タイプに基づいて、前記第3画像に対して欠陥パターン識別を行い、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データを得るように構成される欠陥識別手段と、前記第3画像及び前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データを得るように構成される欠陥量子化手段と、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥を格付けするように構成される欠陥格付け手段と、を含むマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けのシステムをさらに提供する。
【0013】
本願の実施例は、コンピュータのプログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な媒体であって、前記プログラムは、上記のいずれかの実施例に記載のマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法であるコンピュータ読取可能な媒体をさらに提供する。
【0014】
本願の実施例は、メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶されて前記プロセッサによって実行可能なプログラムと、を含み、前記プロセッサは、前記プログラムを実行する時に、上記のいずれかの実施例に記載のマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法を実現する電子装置をさらに提供する。
【発明の効果】
【0015】
本願の実施例に提供された技術案は、最も近い先行技術と比べ、以下の優れた効果を有している。
【0016】
本願の実施例に提供された技術案において、コンピュータマシンビジョン及びパターン識別によって鋼材又はビレット又は連続鋳造スラブの低倍酸エッチング試料に存在している欠陥を識別して格付けし、各低倍欠陥格付け図における指示定性説明を効果的に回避し、量子化格付けの問題がなく、低倍酸エッチング試料に存在している欠陥への識別や格付けを、検査者のビジョン印象や欠陥に対するビジョン程度等に依存せず、欠陥特徴に対する画像識別によって、マシン学習によって低倍酸エッチング試料に存在している欠陥を自動的に格付けし、低倍酸エッチング試料における欠陥の自動識別及び格付けの正確率を効果的に向上させ、異なる種類の品種(例えば軸受鋼、歯車鋼、構造鋼、ステンレス鋼、工具鋼、金型鋼など)及び異なる状態(例えば連続鋳造、ダイカスト、エレクトロスラグ、圧延材など)の欠陥の自動識別及び格付けを実現する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本願の一部を構成する明細書図面は、本願への更なる理解を提供するために用いられ、本願の模式的な実施例及びその説明は、本願への解釈のために用いられ、本願に対する不適当な限定にならない。ただし、
【
図1】本願のいくつかの実施例により提供されたマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法のフローチャートである。
【
図2】本願のいくつかの実施例により提供された低倍酸エッチング試料における第2画像USM鮮鋭化の模式図である。
【
図3】本願のいくつかの実施例により提供された低倍酸エッチング試料におけるルーズ欠陥の模式図である。
【
図4】本願のいくつかの実施例により提供された低倍酸エッチング試料における中心割れ目欠陥の模式図である。
【
図5】本願のいくつかの実施例により提供された低倍酸エッチング試料における金属介在欠陥の模式図である。
【
図6】本願のいくつかの実施例により提供されたマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けのシステムの構造模式図である。
【
図7】本願のいくつかの実施例により提供されたマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けのシステムのシーン模式図である。
【
図8】本願のいくつかの実施例により提供された鋼材低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けシステムの論理模式図である。
【
図9】本願のいくつかの実施例により提供されたOpenCVプログラミングツールによってマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法を実現するソフトウェアインターフェース模式図である。
【
図10】
図9に示すソフトウェアによって低倍酸エッチング欠陥を識別及び格付けする応用模式図である。
【
図11】
図9に示すソフトウェアによる部分コード模式図である。
【
図12】本願のいくつかの実施例により提供された電子装置の構造模式図である。
【
図13】本願のいくつかの実施例により提供された電子装置のハードウェア構造である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下には、図面を参照しながら実施例を組み合わせて本願を詳細に説明する。各例示は、本願の解釈のためになされたものであり、本願を限定するものではない。実際には、当業者は、本願の範囲又は主旨から逸脱しない限り、本願に修正及び変形を行うことができることがよく知っている。例えば、一つの実施例の一部の特徴を別の実施例に用いることで、別の実施例を生成することができる。したがって、本願は添付の特許請求の範囲及びその同等物の範囲内に属するこのような修正及び変形を含むことが所望されている。
【0019】
本願の説明において、用語「縦方向」、「横方向」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」等が指示する方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願が特定の方位で構成し操作しなければならないことを要求せず、本願を説明しやすいためであるので、本願を限定するものと理解すべきではない。本願で使用される用語「接する」、「接続」、「設置」は、広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能に接続されてもよく、直接的に接続されてもよく、中間部材を介して間接的に接続されてもよく、有線接続、無線接続であってもよく、無線通信信号接続であってもよく、当業者にとって、具体的な状況に基づいて上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0020】
<例示的な方法>
図1は、本願のいくつかの実施例により提供された鋼材のマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法のフローチャートである。
図1に示すように、前記鋼材のマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法は、酸エッチングされた後の鋼材又はビレット又は連続鋳造スラブの低倍酸エッチング試料に対して欠陥の自動識別及び格付けを行うために用いられ、ステップS101~ステップS106を含む。
【0021】
ステップS101は、第1プリセット条件に応じて、前記低倍酸エッチング試料に対して画像収集を行い、第1画像を得ることである。
【0022】
本願の実施例において、未加工の試料に対して機械加工を行い、機械加工は、一般的に鋼材軸方向に垂直する旋削プロセスであり、機械加工後の試料を所定に調製された酸性媒体に入れ、酸性媒体とエッチング試験を行い、試料表面を適度にエッチングさせ、試料横断面における固有の欠陥を適度にエッチングさせた後に露出させ、酸エッチング後の試料を除湿して乾燥させ、低倍酸エッチング試料を得る。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0023】
本願の実施例において、デジタルカメラを用いて低倍酸エッチング試料の横断面を撮影し、低倍酸エッチング試料の画像収集を完成することができる。画像収集を行うプロセスにおいて、収集された低倍酸エッチング試料の画像効果をよりよくさせ、低倍酸エッチング試料の欠陥に対する識別及び格付けをより有利にさせるために、通常、プリセット条件に応じて低倍酸エッチング試料の画像収集プロセスを完成する。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0024】
いくつかの選択可能な実施例において、前記第1プリセット条件に応じて、前記低倍酸エッチング試料に対して画像収集を行い、第1画像を得ることは、具体的に、設定された画像背景及び縮尺に応じて、前記低倍酸エッチング試料に対して画像収集を行い、第1画像を得ることである。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0025】
本願の実施例において、システムは、統一の画像背景及び縮尺を設定することにより、低倍酸エッチング試料に対してロックや色照合を行い、収集された低倍酸エッチング試料の画像の画素を向上させ、低倍酸エッチング試料における欠陥の測定、識別及び格付けに有利にして、低倍酸エッチング試料の仕様情報を取得しやすく、対応的な鋼材又はビレット又は連続鋳造スラブと対応し、欠陥に対して識別及びデジタル格付けを行うことを容易にする。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0026】
本願の実施例において、デジタルカメラ又はビデオカメラを用いて低倍酸エッチング試料を検出し、低倍酸エッチング試料のデジタル画像を取得し、低倍酸エッチング試料に対する画像収集を実現する。デジタルカメラで低倍酸エッチング試料に対して画像収集を行うプロセスにおいて、デジタルカメラの撮影時の光線条件を満たすために、低倍酸エッチング試料に対して補光を行う光源システム(例えばLED光源)を設定し、天気又は異なる時間による光線が鋼材低倍酸エッチング試料の結像効果への影響を効果的に相殺させることができる。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0027】
本願の実施例において、デジタルカメラは、低倍酸エッチング試料に対して画像収集を行って第1画像を得た後、低倍画像データベースに記憶することにより、長期に保存し、いつでも低倍画像データベースに記憶された第1画像を呼び出すことでソーストレースを行うことができる。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0028】
ステップS102は、前記第1画像に対して自動画像処理を行い、第2画像を得ることである。
【0029】
本願の実施例において、デジタルカメラが低倍酸エッチング試料に対して画像収集を行うプロセスでは、光源条件が不可避的に外部要因(例えば、気候、時節等)の影響を受け、画像収集プロセスにおいて、デジタルカメラの感光素子が低倍酸エッチング試料の元の色に影響を与え、このようなパイプライン及びレンズの色への影響を補正し、収集された第1画像をより真実にし、低倍酸エッチング試料への欠陥識別及び格付けをより正確にするために、アルゴリズムの自己適応調整により、画像に対する自動処理プロセスを実現し、外光、環境、天気等の影響を効果的に回避する。例えば、第1画像に対して階調及びホワイトバランス調整などを行い、RGB色による鋼材低倍酸エッチング試料への欠陥識別の効果を向上させる。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0030】
本願の実施例において、先端収集器(例えば、画像収集カード)によってデジタルカメラに撮影された第1画像を読み取り、且つ第1画像に対して階調及びホワイトバランス、赤(R)緑(G)青(B)三原色の解析色信号等の自動画像処理技術を行い、第2画像を得る。このプロセスにおいて、先端ディスプレイでデジタルカメラが低倍酸エッチング試料に対して画像収集を行うことと、先端収集器がデジタルカメラにおける第1画像を読み取ることと、先端収集器が第1画像に対して階調及びホワイトバランス処理を行うプロセスに対してリアルタイム監視及び人工介入を行うこととによって、異常を発見してタイムリーに対応措置をとる。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0031】
本願の実施例において、さらに、大量のコンピュータアルゴリズムを用いて第1画像に対して鮮鋭化等の処理手段(例えば、USM鮮鋭化、
図2に示すように)を行い、第1画像の鮮明度を向上させ、第1画像の色をより鮮明にさせ、エッジをより鮮明にさせることにより、低倍酸エッチング試料欠陥識別の正確率を向上させる。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0032】
本願の実施例において、さらに、第1画像における低倍酸エッチング試料表面に存在している不純物、ノイズ等を自動的に除去することができる。これにより、低倍酸エッチング試料における欠陥識別の正確率をさらに向上させる。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0033】
ステップS103は、第2プリセット条件に応じて、前記第2画像に対して画像分割を行い、第3画像を得ることである。
【0034】
本願の実施例において、第2画像に対して画像分割を行うことにより、欠陥の低倍酸エッチング試料における分布領域を定義し、低倍酸エッチング試料における欠陥を識別する時に、低倍酸エッチング試料における欠陥のクラスタリング領域を正確に位置決めできることに有利にする。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0035】
本願の実施例において、低倍酸エッチング試料における欠陥を識別する際の効果を高めるために、第2画像を分割するプロセスにおいて、第2プリセット条件に応じて、第2画像分割を制限し、第2画像分割後の低倍酸エッチング試料における欠陥のクラスタリング効果を高める。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願実施例はこれに限定されるものではない。
【0036】
いくつかの選択可能な実施例において、前記第2プリセット条件に応じて、前記第2画像に対して画像分割を行い、第3画像を得ることは、具体的に、前記第2画像の中心を円心とし、前記第2画像に対して同心円分割を行うとともに、プリセット象限の象限分割線に応じて前記第2画像に対して象限分割を行い、前記第3画像を得ることである。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0037】
本願の実施例において、第2画像の中心を円心とし、異なる半径長さに応じて第2画像を複数の異なる同心円画像に分割し、且つ第2画像の中心をプリセット象限の原点として象限分割を行い、象限分割線に応じて第2画像に対して象限分割を行う。これにより、同心円分割及び象限分割によって第2画像に対するメッシュ化処理を実現し、低倍酸エッチング試料における欠陥を識別する時に低倍酸エッチング試料における欠陥のクラスタリング領域を正確に位置決めすることに有利にする。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0038】
本願の実施例において、第2画像に対して画像分割を行う時に、分割された同心円が多いほど、プリセット象限の数が多くなり、画像分割後に得られた第3画像は欠陥識別が行われる時に識別精度が高くなる。例えば、第2画像を4象限に分解した場合よりも、第2画像を12象限に分解した場合の方が、得られた第3画像は欠陥識別が行われる時により正確である。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0039】
ステップS104は、予め既知の欠陥タイプに基づいて、前記第3画像に対して欠陥パターン識別を行い、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データを得ることである。
【0040】
本願の実施例において、低倍酸エッチング試料の低倍欠陥は、通常、一般的なルーズ、中心ルーズ、インゴット型偏析、点状偏析、白輝度帯、中心偏析、フィーダーヘッド偏析、皮下気泡、残留収縮巣、スカルパッチ、白点、軸心粒界クラック、内部気泡、異金属介在、非金属介在などを含む。低倍酸エッチング試料における欠陥をよりよく識別するために、低倍欠陥を点、線、面の方式で欠陥分類を行い、それにより、異なる欠陥パターンを確立することによって、第3画像に対して欠陥パターン識別を行う時の効率及び正確率を向上させる。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0041】
本願の実施例において、鉄鋼材料規格規定及び鋼材(又はビレット又は連続鋳造スラブ)に実際に存在している異なる欠陥タイプに応じて、それぞれ異なる欠陥パターンを確立し、その後、コンピュータソフトウェアシステムで自動処理、分割後の画像に対して欠陥パターン識別を行い、低倍酸エッチング試料における欠陥の定性タイプ、分布データを得る。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0042】
いくつかの選択可能な実施例において、前記欠陥タイプは、点状欠陥と、線状欠陥と、面状欠陥と、を含み、ただし、前記点状欠陥は、ルーズ(
図3に示すように)と、非金属介在(
図4に示すように)と、異金属介在と、点状偏析と、を含み、前記線状欠陥は、皮下割れ目と、中心割れ目(
図5に示すように)と、中間割れ目と、コーナー割れ目と、スカルパッチと、白点と、を含み、前記面状欠陥は、炭素偏析や四角の枠偏析などを含む。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0043】
本願の実施例において、点、線、面の方式に応じて低倍欠陥を異なる欠陥タイプに分類され、低倍酸エッチング試料が欠陥パターン識別を行う時の効率及び正確率を大幅に向上させる。点、線、面の方式により低倍欠陥に対してクラスタリングを分類し、低倍欠陥を26種類の異なるクラスタリングに分類することができる。これにより、低倍酸エッチング試料における欠陥の正確な位置決めおよび識別を実現する。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0044】
本願の実施例において、鋼材又はビレット又は連続鋳造スラブにおけるルーズ、非金属介在、異金属不純物、点状偏析、皮下割れ目、中心割れ目、中間割れ目、コーナー割れ目、スカルパッチ及び白点、炭素偏析、四角の枠偏析等の欠陥の存在及び分布は、冶金規格に応じて、上記欠陥が存在すれば、使用する前に忠実に反映しなければならず、“あり”又は“なし”によって判断してもよく、欠陥の存在領域、頻度又は欠陥の長さ、面積等の方式によって量子化統計及びデジタル化分析を行い、規格に規定されたレベルに応じて格付け結果を与えてもよい。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0045】
いくつかの選択可能な実施例において、前記予め既知の欠陥タイプに基づいて、前記第3画像に対して欠陥パターン識別を行い、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データを得ることは、具体的に、前記第3画像における欠陥に対して特徴抽出を行い、前記第3画像における欠陥特徴を得て、且つ予め既知の前記欠陥タイプに基づいて、前記欠陥特徴に対して欠陥パターン識別を行い、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データを得ることである。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0046】
本願の実施例において、第3画像における色、テクスチャ、エッジ等の特徴を抽出することにより、第3画像における欠陥特徴を得て、且つ得られた色、テクスチャ、エッジ等の特徴を予め分類された欠陥タイプと照合して識別することにより、低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データを得ることができる。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0047】
本願の実施例において、低倍酸エッチング試料に存在可能な他の欠陥、例えば、白点欠陥、クラック特徴に対するジグザグ線等については、特徴識別を行うプロセスにおいて、包み式特徴選択により、他のタイプの特徴と区別し、これにより、その欠陥特徴識別時の正確率を向上させる。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0048】
ステップS105は、前記第3画像及び前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データを得ることである。
【0049】
本願の実施例において、第2画像に対して象限分割及び同心円分割を行って、メッシュ化処理された第3画像を得て、メッシュ化された第3画像と得られた鋼材低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データとを対応させることにより、低倍酸エッチング試料における欠陥の分布を得て、低倍酸エッチング試料における欠陥の画像中の量子化データを得ることができる。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0050】
いくつかの選択可能な実施例において、前記第3画像及び前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データを得ることは、具体的に、前記第3画像に対応する前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データに対してデジタル化解析を行い、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データを得ることである。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0051】
本願の実施例において、第3画像をメッシュ化した後、低倍酸エッチング試料における欠陥の分布データに対する圧縮符号化により、データの伝送を完了し、その後、ワークステーション等の処理装置によって圧縮符号化された分布データに対して解凍及び逆コンパイルを行い、分布データのデジタル化解析を実現することで、低倍酸エッチング試料における欠陥に対して定量分析を行う。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0052】
本願の実施例において、低倍試料画像及び自動画像処理された後のピクチャ及び低倍酸エッチング試料における欠陥の分布データ、デジタル化解析後の量子化データ等は、いずれも、サーバ等の装置で記憶されることで、いつでも呼び出し、遡及等の操作を行われることができる。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0053】
ステップS106は、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥を格付けすることである。
【0054】
本願の実施例において、低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データに基づいて欠陥を格付けし、検査者が欠陥を格付けするプロセスに存在している主観的要因からの影響を効果的に回避し、低倍酸エッチング試料における欠陥格付けの正確率を向上させることができる。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0055】
いくつかの選択可能な実施例において、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥を格付けすることは、具体的に、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データとプリセット量子化基準とを照合し、且つ照合結果に基づいて前記低倍酸エッチング試料における欠陥を格付けすることである。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0056】
本願の実施例において、プリセットの量子化基準は、鋼材(又はビレット又は連続鋳造スラブ)の低倍組織欠陥格付け図(例えば、構造鋼低倍組織欠陥格付け図、連続鋳造鋼角スラブ低倍組織欠陥格付け図等)によって、専門業者により総合的に設定されるものであってもよい。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0057】
本願の実施例において、低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データとプリセット量子化基準を絶えず照合することにより、低倍酸エッチング試料における欠陥の格付け結果を得て、その後、専門家が格付け結果と低倍組織欠陥格付け図とを照らし合わせ、マシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法を絶えず改良し、最適化し、該方法の運転速度及び識別、格付け結果の正確率を向上させる。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0058】
本願の実施例において、ディスプレイ等の表示装置によって低倍酸エッチング試料における欠陥の格付け結果を自動的に表示し、且つサーバ等の装置によって記憶することで、いつでも呼び出すことができ、設定された出力フォーマット要求に応じて、識別、格付け結果のモード報告を出力することもできる。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0059】
本願の実施例において、低倍酸エッチング試料に複数の欠陥が併存する時に、鋼種の違いによって一定の優先度に応じて出現可能な欠陥をそれぞれ識別し、様々な格付け結果を得ることができる。複数の欠陥特徴のそれぞれに対して特徴抽出を行うことにより、鋼材低倍酸エッチング試料における複数の欠陥を識別する。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0060】
本願の実施例において、コンピュータマシンビジョン及びパターン識別によって鋼材又はビレット又は連続鋳造スラブの低倍酸エッチング試料に存在している欠陥を識別して格付けし、各低倍欠陥格付け図における指示定性説明を効果的に回避し、量子化格付けの問題がなく、低倍酸エッチング試料に存在している欠陥への識別や格付けを、検査者のビジョン印象や欠陥に対するビジョン程度等に依存せず、欠陥特徴に対する画像識別によって、マシン学習によって低倍酸エッチング試料に存在している欠陥を自動的に格付けし、低倍酸エッチング試料における欠陥の自動識別及び格付けの正確率を効果的に向上させ、異なる種類の品種(例えば軸受鋼、歯車鋼、構造鋼、ステンレス鋼、工具鋼、金型鋼など)及び異なる状態(例えば連続鋳造、ダイカスト、エレクトロスラグ、圧延材など)の欠陥の自動識別及び格付けを実現する。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0061】
<例示的なシステム>
図6は、本願のいくつかの実施例により提供されたマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けのシステムの構造模式図であり。
図6に示すように、酸エッチングされた後の鋼材又はビレット又は連続鋳造スラブの低倍酸エッチング試料に対して欠陥の自動識別及び格付けを行うマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けのシステムであって、第1プリセット条件に応じて、前記低倍酸エッチング試料に対して画像収集を行い、第1画像を得るように構成される画像収集手段601と、前記第1画像に対して自動画像処理を行い、第2画像を得るように構成される画像処理手段602と、第2プリセット条件に応じて、前記第2画像に対して画像
分割を行い、第3画像を得るように構成される画像
分割手段603と、予め分類された欠陥タイプに基づいて、前記第3画像に対して欠陥パターン識別を行い、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データを得るように構成される欠陥識別手段604と、前記第3画像及び前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データを得るように構成される欠陥量子化手段605と、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥を格付けするように構成される欠陥格付け手段606と、を含む、マシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けのシステム。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0062】
いくつかの選択可能な実施例において、前記画像収集手段601は、さらに、設定された画像背景及び縮尺に応じて、前記鋼材低倍酸エッチング試料に対して画像収集を行い、前記第1画像を得るように構成される。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0063】
いくつかの選択可能な実施例において、前記画像分割手段603は、さらに、前記第2画像の中心を円心とし、前記第2画像に対して同心円分割を行うとともに、プリセット象限の象限分割線に応じて前記第2画像に対して象限分割を行い、前記第3画像を得るように構成される。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0064】
いくつかの選択可能な実施例において、前記欠陥識別手段604は、さらに、前記第3画像に対して特徴抽出を行い、前記第3画像における欠陥特徴を得て、且つ予め既知の前記欠陥タイプに基づいて、前記欠陥特徴に対して欠陥パターン識別を行い、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データを得るように構成される。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0065】
いくつかの選択可能な実施例において、前記欠陥量子化手段605は、さらに、前記第3画像に対応する前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データに対してデジタル化解析を行い、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データを得るように構成される。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0066】
いくつかの選択可能な実施例において、前記欠陥格付け手段606は、さらに、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データとプリセット量子化基準とを照合し、且つ照合結果に基づいて前記低倍酸エッチング試料における欠陥を格付けするように構成される。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0067】
本願の実施例におけるマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けのシステムは、上記マシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法のフロー及び優れた効果を実現することができ、ここでは1つずつ説明しない。
【0068】
図7は、本願のいくつかの実施例により提供されたマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けのシステムのシーン模式図であり、
図8は、本願のいくつかの実施例により提供された鋼材低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けシステムの論理模式図である。
図7、
図8に示すように、画像収集手段(デジタルカメラ703)デジタルカメラ703によって低倍酸エッチング試料701に対して画像収集を行い、第1画像を得て、テストされてデジタルカメラ703の撮影要求を満たす光源システム702によってデジタルカメラ703に補正を行うことで、天気又は平日時間によるデジタルカメラ703が画像を収集する時の結像効果への影響を安定させる。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0069】
本願の実施例において、デジタルカメラ703は、低倍酸エッチング試料701に対して画像収集を行うことができる一方、収集された画像を記憶することができ、例えば、画像収集された低倍デジタル写真ファイル(即ち第1画像)を低倍画像データベースに記憶してもよく、デジタルカメラ703に記憶された第1画像を先端収集装置706により読み出して、第1画像を自動画像処理(例えば、階調、ホワイトバランス等)を行ってもよい。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0070】
本願の実施例において、先端ディスプレイ705を設けることにより、デジタルカメラ703が鋼材低倍酸エッチング試料701に対して画像収集を行うことと、先端収集装置706がデジタルカメラ703における第1画像を読み取ることと、先端収集装置706が第1画像に対して階調及びホワイトバランス処理を行うこととをリアルタイム監視及び人工介入することによって、異常を発見してタイムリーに対応措置をとる。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0071】
本願の実施例において、デジタルカメラ703は、リモコン704によって遠隔制御を行い、低倍酸エッチング試料701に対して画像収集を行うことができ、デジタルカメラ703と先端収集装置706や先端ディスプレイ705との間には、データ線を介して接続され、第1画像の伝送を行い、先端収集装置706とワークステーション又はシステムホスト707との間には、RJ45ツイストペアを介してデータ伝送を行う。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0072】
本願の実施例において、プログラミングツールによってマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法のソフトウェア工程を実現することができ(
図9、
図10、
図11に示すように)、鋼材又はビレット又は連続鋳造スラブの低倍酸エッチング欠陥識別及び格付けのルールベースを形成し、且つワークステーション又はシステムホスト707に書き込み、先端収集装置706から送信された第2画像に基づいて低倍酸エッチング試料701を識別及び格付けし、且つ格付け済みの画像データベースに第2画像、分布データ、圧縮符号化データ、識別格付け結果等を計算して、結果を記憶する。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0073】
本願の実施例において、ワークステーション又はシステムホスト707における圧縮符号化データ等は、ネットワークスイッチ708等を介してサーバ709とデータ伝送を行うことで、サーバ709においてデジタル化解析後の結果を記憶する。なお、以上の説明は例示的なものであり、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0074】
<例示的な装置>
図12は、本願のいくつかの実施例により提供された電子装置の構造模式図である。
図12に示すように、該電子装置は、
1つ又は複数のプロセッサ1201と、
1つ又は複数のプログラムを記憶するように構成できるコンピュータ読取可能な媒体1202と、を含み、
前記1つ又は複数のプロセッサ1201は、1つ又は複数のプログラムを実行する時に、第1プリセット条件に応じて、前記低倍酸エッチング試料に対して画像収集を行い、第1画像を得るステップと、前記第1画像に対して自動画像処理を行い、第2画像を得るステップと、第2プリセット条件に応じて、前記第2画像に対して画像
分割を行い、第3画像を得るステップと、予め既知の欠陥タイプに基づいて、前記第3画像に対して欠陥パターン識別を行い、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データを得るステップと、前記第3画像及び前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データを得るステップと、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥を格付けするステップと、を含む。
【0075】
図13は、本願のいくつかの実施例により提供された電子機器のハードウェア構造である。
図13に示すように、該電子装置のハードウェア構造は、プロセッサ1301と、通信インターフェース1302と、コンピュータ読取可能な媒体1303と、通信バス1304と、を含むことができる。
【0076】
ただし、プロセッサ1301、通信インターフェース1302、コンピュータ読取可能な媒体1303は、通信バス1304を介して互いに通信する。
【0077】
あるいは、通信インターフェース1302は、通信モジュールのインターフェース、例えばGSMモジュールのインターフェースであってもよい。
【0078】
ただし、プロセッサ1301は、具体的に、第1プリセット条件に応じて、前記低倍酸エッチング試料に対して画像収集を行い、第1画像を得て、前記第1画像に対して自動画像処理を行い、第2画像を得て、第2プリセット条件に応じて、前記第2画像に対して画像分割を行い、第3画像を得て、予め既知の欠陥タイプに基づいて、前記第3画像に対して欠陥パターン識別を行い、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データを得て、前記第3画像及び前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの分布データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データを得て、前記低倍酸エッチング試料における欠陥パターンの量子化データに基づいて、前記低倍酸エッチング試料における欠陥を格付けする、ように構成されることができる。
【0079】
プロセッサ1301は、中央プロセッサ(central processing unit、CPUと略称する)、ネットワークプロセッサ(Network processor、NPと略称する)などを含む汎用プロセッサであってもよく、デジタル信号プロセッサ(DSP)、専用集積回路(ASIC)、プログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタロジックデバイス、ディスクリートハードウェア部品であってもよい。本願の実施例に開示された各方法、ステップ及び論理ブロック図を実現又は実行することができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいし、任意の従来慣用のプロセッサであってもよい。
【0080】
本願の実施例の電子装置は、様々な形式で存在し、以下を含むがそれらに限定されない。
【0081】
(1)移動体通信機能を備え、且つ音声やデータ通信を主目的としていることを特徴として、その端末は、スマートフォン(例えば:Iphone)、マルチメディア携帯電話、機能性携帯電話、及びローエンド携帯電話などを含む移動体通信装置。
【0082】
(2)パーソナルコンピュータの範疇に属し、計算及び処理機能を有し、一般的に移動インターネット特性も備え、その端末は、PDA、MID、UMPC装置など、例えば、Ipadを含むウルトラモバイルパーソナルコンピュータ装置。
【0083】
(3)マルチメディアコンテンツを表示および再生することができ、オーディオ、ビデオプレーヤ(例:ipod)と、パームトップゲーム機と、電子書籍と、スマート玩具と、携帯型車載ナビゲーション装置と、を含む携帯型エンタテインメント装置。
【0084】
(4)計算サービスを提供し、プロセッサ、ハードディスク、メモリ、システムバスなどを含んで構成され、汎用のコンピュータアーキテクチャに類似するが、信頼性の高いサービスを提供する必要があるため、処理能力、安定性、信頼性、安全性、拡張性、管理性など点で要求が高いサーバ。
【0085】
(5)他のデータ交換機能を有する電子装置。
【0086】
なお、実施の必要に応じて、本願の実施例に記載の各部品/ステップをより多くの部品/ステップに分類してもよく、2つ又は複数の部品/ステップ又は部品/ステップの一部の操作を新たな部品/ステップに組み合わせることで、本願の実施例の目的を達成してもよい。
【0087】
上述した本願の実施形態に係る方法は、ハードウェア、ファームウェアで実現してもよいし、記録媒体(CD ROM、RAM、フレキシブルディスク、ハードディスク又は光磁気ディスク)に記憶可能なソフトウェアやコンピュータコードで実現してもよいし、または、ネットワークを介してダウンロードされた、リモート記録媒体または非一時的機器記録媒体に初期記憶されてローカル記録媒体に記憶されたコンピュータコードで実現してもよい。ここで説明した方法は、汎用のコンピュータ、専用のプロセッサ、またはプログラマブルや専用ハードウェア(例えば、ASIC又はFPGA)を用いた記録媒体に記憶されたソフトウェアによって処理できる。なお、コンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサコントローラ又はプログラマブルハードウェアは、ソフトウェア又はコンピュータコードを記憶又は受信できる記憶アセンブリ(例えば、ROM、RAM、フラッシュメモリなど)を含み、前記ソフトウェア又はコンピュータコードがコンピュータ、プロセッサ又はハードウェアにアクセスされて実行される時に、ここで説明されたマシンビジョンによる低倍酸エッチング欠陥自動識別及び格付けの方法を実現する。また、汎用コンピュータアクセスが、ここで示した方法を実現するためのコードにアクセスする時に、コードの実行は、汎用コンピュータを、ここで示した方法を実行するための専用コンピュータに変換する。
【0088】
当業者は、本文に開示された実施例に記載の各例示の手段及び方法ステップに基づいて、電子ハードウェア、又はコンピュータソフトウェア及び電子ハードウェアの組合せで実現することができるのが考えられる。これらの機能は、ハードウェアで実行するかソフトウェアで実行するかが、技術案の特定応用及び係る制約条件に依存する。当業者は、特定応用ごとに異なる方法を用いて説明された機能を実現することができるが、このような実現は、本願の実施例の範囲を超えると考えられるべきではない。
【0089】
尚、本明細書における各実施例はいずれも漸進の方式を採用して説明するものであり、各実施例の間に同じ又は類似する部分については、互いに参照すればよく、各実施例の重点的に説明したのは、いずれも他の実施例との相違点である。特に、装置及びシステムの実施例については、基本的に方法の実施例と類似するため、比較的簡単に説明し、関連する箇所は方法の実施例の部分説明を参照すればよい。以上に説明された装置及びシステムの実施例は単に例示的なものであり、分離して見えないとして説明した手段は、物理的に分離してもよくてしなくてもよく、ユニットとして提示した見えないのは、は物理的に分離してもよく又はしなくてもよく、ユニットとして提示するものは物理的手段であってもよく又は物理的手段でなくてもよい。すなわち、1箇所にあってもよく、あるいは複数のネットワークユニットに分散していてもよい。実際の必要に応じてそのうちの一部又は全部のモジュールを選択して本実施例の方案の目的を実現することができる。当業者は創造的な労働をしない場合、理解して実施することができる。
【0090】
以上の実施形態は本願の実施例を説明するためのものであり、本願の実施例を限定するものではない。当業者は本願の実施例の精神及び範囲から逸脱しない場合、さらに様々な変更及び変形を行うことができるため、全ての同等の技術案も本願の実施例の範疇に属し、本願の実施例の専門的な保護範囲は、請求項によって限定されるべきである。