(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】ガス液化装置
(51)【国際特許分類】
F25J 3/06 20060101AFI20230927BHJP
F25J 1/00 20060101ALI20230927BHJP
B01D 53/26 20060101ALI20230927BHJP
F02B 43/00 20060101ALI20230927BHJP
F25B 27/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
F25J3/06
F25J1/00 D
B01D53/26 100
F02B43/00 A
F25B27/00 Q
(21)【出願番号】P 2019174863
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 献児
(72)【発明者】
【氏名】富田 伸二
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-142161(JP,A)
【文献】特開平05-045050(JP,A)
【文献】特開2002-318069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25J 1/00-5/00
F25B 27/00
B01D 53/26
F02B 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一圧力の供給ガスを供給するための供給ライン(L1)と、
前記供給ライン(L1)に配置され、供給ガスを第二圧力に圧縮する第一ガス圧縮機(6)と、
前記第一ガス圧縮機(6)で圧縮された供給ガスが、前記供給ラインL1を介して、導入される主熱交換器(1)と、
前記熱交換器(1)の中間から導出された供給ガスを第三圧力に昇圧する低温ガス昇圧機(7)と、
前記低温昇圧機(7)で第三圧力に昇圧された昇圧後の供給ガスを主熱交換器(1)で熱交換させて導出した後で、第四圧力に減圧させる第一膨張弁(2)と、
前記第一膨張弁(2)で減圧された供給ガスを気体成分と液体成分に分離するセパレータ(3)と、
前記セパレータ(3)から導出される第五圧力の液体成分(中圧液体ガス)を、サブクーラ(4)を通過させて、液化ガスとして取り出す第一取出ライン(L2)と、
前記第一取出ライン(L2)から分岐した一部の液体成分を第六圧力に減圧する第二膨張弁(5)と、
前記第二膨張弁(5)が配置され、かつ、前記第一取出ライン(L2)から分岐し、前記第二膨張弁(5)で減圧されたガス(低圧リサイクルガス)を前記サブクーラ(4)へ冷媒として使用させた後、前記主熱交換器(1)へ送り、次いで前記供給ライン(L1)へ戻すための第一循環ライン(L21)と、
前記セパレータ(3)から導出される第7圧力の気体成分(中圧リサイクルガス)を、前記主熱交換器(1)へ送った後で、前記供給ライン(L1)へ戻すための第二循環ライン(L3)と、
前記低温ガス昇圧機(7)と連結され、駆動するための動力を提供するための天然ガスタービン(8)と、
液化天然ガス(LNG)を前記主熱交換器(1)へ導入した後、前記天然ガスタービン(8)で使用させた後、天然ガス(NG)として取り出す第二取出ライン(L10)と、
を備える、ガス液化装置。
【請求項2】
前記第一ガス圧縮機(6)より下流側の供給ライン(L1)に配置され、供給ガスを第八圧力に圧縮する第二ガス圧縮機(9)をさらに備える、請求項1に記載のガス液化装置。
【請求項3】
前記主熱交換器(1)に導入されてその途中から導出された後の位置の供給ライン(L1)に配置され、供給ガスを第九圧力に圧縮する第二ガス圧縮機(9)を備える、請求項1に記載のガス液化装置。
【請求項4】
天然ガスタービン(8)の下流側または上流側に天然ガスヒータ(11)を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載のガス液化装置。
【請求項5】
前記供給ライン(L1)は、前記主熱交換器(1)へ導入され、前記主熱交換器(1)の途中から導出されて前記第一ガス圧縮機(6)へ、供給ガスを導くように構成され、
前記第一循環ライン(21)は、前記主熱交換器(1)へ導入され、前記主熱交換器(1)の途中から導出され、前記供給ライン(L1)へ合流する構成である、請求項1から4のいずれか1項に記載のガス液化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス液化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、液体ガスを効率的に製造するために、液化天然ガス(LNG)の受入及びガス化基地において、LNGを蒸発させる際に放出される冷熱を利用してガスを冷却する構成を記載している。
特許文献2は、LNG寒冷を利用してガスを圧縮することによって高圧のガスを得て、高圧ガスを減圧弁で減圧することによって液体ガスを得る方法を記載している。
【0003】
上記特許文献1または2の技術は、一般的にLNG再ガス化基地において適用されうる。LNG再ガス化基地ではLNGを蒸発させて、天然ガスを例えば発電所や都市ガスパイプライン等に供給する。これらの需要家が必要とする天然ガス圧力はしばしば異なるが、設備の簡素化のために高圧の需要家向けに天然ガスを製造し、低圧の需要家には膨張させて供給することが一般的であった。
特許文献3は、膨張時に回収できるエネルギーは、天然ガスを膨張タービンで膨張させる際に得られる動力で発電機を駆動して電力として回収したり、ガスを圧縮する方法を記載している。
しかしながら、特許文献3で記載されたような、得られた電力またはガス圧縮動力を、ガス液化装置で利用することについて、具体的かつ実現可能な方法は開示も教示もされていない。
さらに、ガス液化装置では、LNG寒冷を有効活用することによって効率的にガスを液化する必要性、要求があり、特許文献3にはこの点についても開示されてはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4142559号公報
【文献】特許第6087196号公報
【文献】米国特許第9.903,232 号公報(Fig.3の「open cycle」)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記実情に鑑みて、本発明は、天然ガスをタービンで膨張させる際の動力を、液化天然ガスによって冷却されたプロセスガスの圧縮に利用し、効率的にプロセスガスを圧縮することによって液化効率を向上させることができる、ガス液化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のガス液化装置は、
第一圧力(例えば、0.1MPa)の供給ガス(Feed gas)を供給するための供給ライン(L1)と、
前記供給ライン(L1)に配置され、供給ガスを第二圧力(例えば、0.5MPa)に圧縮する第一ガス圧縮機(6)と、
前記第一ガス圧縮機(6)で圧縮された供給ガス(圧縮供給ガス)が、前記供給ラインL1を介して、導入される主熱交換器(1)と、
前記熱交換器(1)の中間から(供給ラインL1を介して)導出された供給ガスを第三圧力(例えば、5MPa)に昇圧する低温ガス昇圧機(7)と、
前記低温ガス昇圧機(7)で第三圧力(例えば、5MPa)に昇圧された昇圧後の供給ガス(昇圧供給ガス)を(供給ラインL1を介して)主熱交換器(1)で熱交換させて導出した後で、第四圧力(例えば、0.5MPa)に減圧(膨張)する第一膨張弁(2)と、
前記第一膨張弁(2)で減圧された供給ガス(気液混合ガス)を気体成分と液体成分に分離するセパレータ(3)と、
前記セパレータ(3)から導出される第五圧力の液体成分(中圧液体ガス)を、サブクーラ(4)を通過させて、液化ガス(Liquefied gas)として取り出す第一取出ライン(L2)と、
前記第一取出ライン(L2)から分岐した一部の液体成分を第六圧力(第二圧力>第六圧力>第一圧力)に減圧する第二膨張弁(5)と、
前記第二膨張弁(5)が配置され、かつ、前記第一取出ライン(L2)から分岐し、前記第二膨張弁(5)で減圧されたガス(低圧リサイクルガス)を前記サブクーラ(4)へ冷媒として使用させた後、前記主熱交換器(1)へ送り、次いで前記供給ライン(L1)(の前記第一ガス圧縮機(6)よりも上流側)へ戻すための第一循環ライン(L21)と、
前記セパレータ(3)から導出される第7圧力の気体成分(中圧リサイクルガス、第7圧力>第二圧力)を、前記主熱交換器(1)へ送った後で、前記供給ライン(L1)(の前記第一ガス圧縮機(6)よりも下流側)へ戻すための第二循環ライン(L3)と、
前記低温ガス昇圧機(7)と連結され、駆動するための動力を提供するための天然ガスタービン(8)と、
液化天然ガス(LNG)を前記主熱交換器(1)へ導入した後、前記天然ガスタービン(8)で使用させた後、天然ガス(NG)として取り出す第二取出ライン(L10)と、
を備える。
【0007】
上記プロセスでは、原料である供給ガスがサブクーラ(4)から供給される低圧リサイクルガスと合流して、第一ガス圧縮機(6)で圧縮され、圧縮された供給ガスはセパレータ(3)から供給される中圧リサイクルガスと合流した後、主熱交換器(1)で冷却されてから低温ガス圧縮機(7)によって圧縮され、高圧ガスが得られる。
高圧ガスは、主熱交換器(1)で冷却された後、第一膨張弁(2)で膨張され、セパレータ(3)によって気液分離される。セパレータ(3)で得られた中圧液体ガスは、サブクーラ(4)によって冷却されたのち、一部が製品として導出される。残りの中圧液体ガスは、第二膨張弁(5)で減圧されたのち、サブクーラ(4)に冷媒として供給され、さらに主熱交換器(1)で寒冷を放出した後に第一ガス圧縮機(6)よりも上流側で供給ライン(L1)と合流する。
LNGは主熱交換器(1)に供給されて寒冷を放出した後に主熱交換器(1)の温端から導出され、少なくともその一部が天然ガスタービン(8)によって膨張され、低温ガス圧縮機(7)を駆動する。
この構成によって、天然ガスタービン(8)によって得られる動力を活用してガス圧縮するのみならず、ガスをLNG寒冷によって予冷してからガス圧縮することによって圧縮効率を大幅に改善することができる。
本発明において、気体状態、液体状態、気液混合状態における「高圧」は、2MPa以上であり、「中圧」は0.2MPa以上2MPa未満、「低圧」は0.2MPa未満である。
【0008】
上記ガス液化装置は、
前記第一ガス圧縮機(6)より下流側の供給ライン(L1)に配置され、供給ガスを第八圧力(例えば、1MPa)に圧縮する第二ガス圧縮機(9)をさらに備えていてもよい。
前記第二循環ライン(L3)は、前記第一ガス圧縮機(6)よりも下流側であって、前記第二ガス圧縮機(9)よりも上流側の前記供給ライン(L1)へ合流してもよい。第八圧力<第三圧力の関係である。第二ガス圧縮機(9)が、第二循環ライン(L3)で供給される中圧リサイクルガスを効果的に圧縮する。
この構成では、第一ガス圧縮機(6)によって圧縮されたガスを中圧リサイクルガスと合流して第二ガス圧縮機(9)で圧縮し、主熱交換器(1)で冷却した後に低温ガス昇圧機(7)で昇圧することによって高圧ガスが得られる。よって、天然ガスの膨張比に制限があって天然ガスタービン(8)で得られる動力が少なくても、効率的にガスが液化できる圧力までガスを圧縮することができる。
【0009】
上記ガス液化装置は、
前記主熱交換器(1)に導入されてその途中から導出された後の位置の供給ライン(L1)に配置され、供給ガスを第九圧力(例えば、1MPa)に圧縮する第二ガス圧縮機(9)を備えていてもよい。
上記ガス液化装置は、
前記第二ガス圧縮機(9)で圧縮された供給ガスを冷却するインタークーラ(10)を備えていてもよい。
第二ガス圧縮機(9)が、主熱交換器(1)の前段から後段に配置を変更した構成である。
第二ガス圧縮機(9)が低温圧縮機となり、低温ガス昇圧機(7)との間にインタークーラ(10)が配置される。第二ガス圧縮機(9)の吸入ガスは、主熱交換器(1)で冷却されてから供給され、第二ガス圧縮機(9)の吐出ガスはインタークーラ(10)で冷却されてから低温ガス昇圧機(7)に供給される。
別実施形態として、インタークーラ(10)は主熱交換器(1)と組み合わせていてもよく、別個に設置されて、LNGの一部を(ラインL11を介して)冷媒としてもよい。インタークーラ(10)の替わりに、主熱交換器(1)を利用してもよい。
【0010】
上記ガス液化装置は、
天然ガスタービン(8)の下流側に天然ガスヒータ(11)を備えていてもよい。
天然ガスは任意の圧縮機出口の高温ガスや海水、または発電機の排熱によって加温されて、需要地に供給されうる。例えば、天然ガスは、天然ガスタービン(8)(膨張タービン)で膨張されることによって、温度が低下し、下流の天然ガスパイプラインで求められる供給条件を満たせなく場合がある。本構成によって、天然ガスが膨張によって不都合な温度に下がったしても、下流パイプラインの供給条件を満たすことができる。
【0011】
上記ガス液化装置は、
天然ガスタービン(8)の入口側(上流側)に天然ガスヒータ(11)を備えていてもよい。
天然ガスは任意の圧縮機出口の高温ガス、海水、蒸気、天然ガスバーナ、または発電機の排熱によって加温される。例えば発電機の排熱を利用すれば、天然ガスを100℃程度に加温することも可能になり、膨張の際に回収できる動力をより大きくすることができるため、効率改善が可能となる。
【0012】
上記ガス液化装置は、
前記供給ライン(L1)は、前記主熱交換器(1)へ導入され、前記主熱交換器(1)の途中から導出されて前記第一ガス圧縮機(6)へ、供給ガスを導くように構成されていてもよい。
さらに、前記第一循環ライン(L21)は、前記主熱交換器(1)へ導入され、前記主熱交換器(1)の途中から導出され、前記供給ライン(L1)(の前記第一ガス圧縮機(6)よりも上流側)へ合流する構成であってもよい。
この構成では、第一ガス圧縮機(6)は低温で運用される。供給ガスは主熱交換器(1)で冷却されてから第一ガス圧縮機(6)に供給され、低圧リサイクルガスは主熱交換器(1)から低温で導出され、第一ガス圧縮機(6)に供給される。この構成によって、第一ガス圧縮機(1)の動力を低減でき、さらなる効率改善が可能になる(
図1B、2B、6など参照)。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】実施形態1のガス液化装置を示す図である。
【
図1B】実施形態1の変形例のガス液化装置を示す図である。
【
図2A】実施形態2のガス液化装置を示す図である。
【
図2B】実施形態2の変形例のガス液化装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
【0015】
(実施形態1)
実施形態1のガス液化装置について
図1を用いて説明する。
ガス液化装置は、第一圧力(例えば、0.1MPa)の供給ガス(Feed gas)を供給するための供給ラインL1を備える。
供給ラインL1は、第一ガス圧縮機6、低温ガス昇圧機7が配置され、また主熱交換器1を少なくとも1度は通過し、供給ガスを熱交換するように構成されている。。
第一ガス圧縮機6は、供給ラインL1に配置され、供給ガスを第二圧力(例えば、0.5MPa)に圧縮する。
主熱交換器1は、第一ガス圧縮機6で圧縮された供給ガス(圧縮供給ガス)が、供給ラインL1を介して、導入される他、後述する各サイクルガス、LNGが導入されて熱交換される。
低温ガス昇圧機7は、主熱交換器1の中間(途中)から、供給ラインL1を介して導出された供給ガスを第三圧力(例えば、5MPa)に昇圧する。
【0016】
第一膨張弁2は、低温ガス昇圧機7で第三圧力(例えば、5MPa)に昇圧された昇圧後の供給ガス(昇圧供給ガス)を供給ラインL1を介して主熱交換器1で熱交換させて導出した後で、第四圧力(例えば、0.5MPa)に減圧(膨張)する。
セパレータ3は、第一膨張弁2で減圧された供給ガス(気液混合ガス)をガス成分と液体成分に分離する。
第一取出ラインL2は、セパレータ3から導出される第五圧力の液体成分(中圧液体ガス)を、サブクーラ4を通過させて、液化ガス(Liquefied gas)として取り出すためのラインである。
第二膨張弁5は、第一取出ラインL2から分岐した一部の液体成分を第六圧力(第二圧力>第六圧力>第一圧力)に減圧する。
【0017】
第一循環ラインL21は、第二膨張弁5が配置され、かつ、第一取出ラインL2から分岐し、第二膨張弁5で減圧されたガス(低圧リサイクルガス)をサブクーラ4へ冷媒として使用させた後、主熱交換器(1)へ送り、次いで供給ラインL1の第一ガス圧縮機6よりも上流側へ戻すためのラインである。
第二循環ラインL3は、セパレータ3から導出される第七圧力の気体成分(中圧リサイクルガス、第七圧力>第二圧力)を、主熱交換器1へ送った後で、供給ラインL1の第一ガス圧縮機6よりも下流側へ戻すためのラインである。
【0018】
天然ガスタービン8は、低温ガス昇圧機7と連結され、駆動するための動力を提供する。
第二取出ラインL10は、液化天然ガス(LNG)を主熱交換器1へ導入した後、天然ガスタービン8で使用させた後、天然ガス(NG)として取り出すためのラインである。
【0019】
本実施形態のプロセスでは、原料である供給ガスがサブクーラ(4)から供給される低圧リサイクルガスと合流して、第一ガス圧縮機(6)で圧縮され、圧縮された供給ガスはセパレータ(3)から供給される中圧リサイクルガスと合流した後、主熱交換器(1)で冷却されてから低温ガス圧縮機(7)によって圧縮され、高圧ガスが得られる。
高圧ガスは、主熱交換器(1)で冷却された後、第一膨張弁(2)で膨張され、セパレータ(3)によって気液分離される。セパレータ(3)で得られた中圧液体ガスは、サブクーラ(4)によって冷却されたのち、一部が製品として導出される。残りの中圧液体ガスは、第二膨張弁(5)で減圧されたのち、サブクーラ(4)に冷媒として供給され、さらに主熱交換器(1)で寒冷を放出した後に第一ガス圧縮機(6)よりも上流側で供給ライン(L1)と合流する。
LNGは主熱交換器(1)に供給されて寒冷を放出した後に主熱交換器(1)の温端から導出され、少なくともその一部が天然ガスタービン(8)によって膨張され、低温ガス圧縮機(7)を駆動する。
この構成によって、天然ガスタービン(8)によって得られる動力を活用してガス圧縮するのみならず、ガスをLNG寒冷によって予冷してからガス圧縮することによって圧縮効率を大幅に改善することができる。
【0020】
上記各ラインには、弁(仕切弁、流量調整弁、圧力調整弁など)が設けられていてもよい。
【0021】
(実施形態1の別実施形態)
別実施形態のガス液化装置について
図1Bを用いて説明する。実施形態1の
図1Aと異なる構成について説明し、同じ構成については説明を省略または簡単にする。
供給ラインL1は、主熱交換器1へ導入され、主熱交換器1の途中から導出されて第一ガス圧縮機6へ、供給ガスを導くように構成されている。
第一循環ラインL21は、主熱交換器1へ導入され、主熱交換器1の途中から導出され、供給ラインL1の第一ガス圧縮機6よりも上流側へ合流する構成である。
【0022】
(実施形態2)
実施形態2のガス液化装置について
図2Aを用いて説明する。実施形態1(
図1A)と異なる構成について説明し、同じ構成については説明を省略または簡単にする。
第二ガス圧縮機9は、第一ガス圧縮機6より下流側の供給ラインL1に配置され、供給ガスを第八圧力(例えば、1MPa)に圧縮する。
第二循環ラインL3は、第一ガス圧縮機6よりも下流側であって、第二ガス圧縮機9よりも上流側の供給ラインL1へ合流する。第八圧力<第三圧力の関係が成立する。
【0023】
(実施形態2の別実施形態)
別実施形態のガス液化装置について
図2Bを用いて説明する。実施形態2の
図2Aと異なる構成について説明し、同じ構成については説明を省略または簡単にする。
供給ラインL1は、主熱交換器1へ導入され、主熱交換器1の途中から導出されて第一ガス圧縮機6へ、供給ガスを導くように構成されている。
第一循環ラインL21は、主熱交換器1へ導入され、主熱交換器1の途中から導出され、供給ラインL1の第一ガス圧縮機6よりも上流側へ合流する構成である。
【0024】
(実施形態3)
実施形態3のガス液化装置について
図3を用いて説明する。実施形態1、2(
図1A、2A)と異なる構成について説明し、同じ構成については説明を省略または簡単にする。
実施形態3では、実施形態2で主熱交換器1の上流側に配置されていた第二ガス圧縮機9が、主熱交換器1の後段に配置されている。
第二ガス圧縮機9は、主熱交換器1に導入されて、主熱交換機1の中断(途中)から導出された後の位置の供給ラインL1に配置され、第二ガス圧縮機9の下流側の供給ガスを第九圧力(例えば、1MPa)に圧縮する。
インタークーラ10は、供給ラインL1に配置され、第二ガス圧縮機9で圧縮された供給ガスを冷却する。インタークーラ10で冷却された供給ガスは、その後段の低温ガス昇圧機7に送られる。供給ガスは、低温ガス圧縮機7によって圧縮され高圧ガスとなり、主熱交換器1で冷却された後、第一膨張弁2へ送られ、膨張される。その後は、実施形態1と同様の処理が行われる。
本実施形態では、第二ガス圧縮機9が低温圧縮機として機能する。第二ガス圧縮機9の吸入ガスは、主熱交換器1で冷却されてから供給され、第二ガス圧縮機9の吐出ガスはインタークーラ10で冷却されてから低温ガス昇圧機7に供給される。本実施形態では、インタークーラ10の冷媒は、LNGの一部をラインL11を介して供給される。
【0025】
(実施形態3の別実施形態)
実施形態3の
図3と異なる構成について説明し、同じ構成については説明を省略または簡単にする。
供給ラインL1は、主熱交換器1へ導入され、主熱交換器1の途中から導出されて第一ガス圧縮機6へ、供給ガスを導くように構成されている。第一循環ラインL21は、主熱交換器1へ導入され、主熱交換器1の途中から導出され、供給ラインL1の第一ガス圧縮機6よりも上流側へ合流する構成である。
【0026】
(実施形態4)
実施形態4のガス液化装置について
図4を用いて説明する。実施形態3(
図3)と異なる構成について説明し、同じ構成については説明を省略または簡単にする。
天然ガスヒータ11は、天然ガスタービン8の下流側の第二取出ラインL10に配置されている。
【0027】
(実施形態4の別実施形態)
実施形態4の
図4と異なる構成について説明し、同じ構成については説明を省略または簡単にする。
供給ラインL1は、主熱交換器1へ導入され、主熱交換器1の途中から導出されて第一ガス圧縮機6へ、供給ガスを導くように構成されている。第一循環ライン21は、主熱交換器1へ導入され、主熱交換器1の途中から導出され、供給ラインL1の第一ガス圧縮機6よりも上流側へ合流する構成である。
【0028】
(実施形態5)
実施形態5のガス液化装置について
図5を用いて説明する。実施形態3(
図3)と異なる構成について説明し、同じ構成については説明を省略または簡単にする。
天然ガスヒータ11は、天然ガスタービン8の入口側(上流側)の第二取出ラインL10に配置されている。
【0029】
(実施形態6)
実施形態6のガス液化装置について
図6を用いて説明する。実施形態5(
図5)と異なる構成について説明し、同じ構成については説明を省略または簡単にする。
供給ラインL1は、主熱交換器1へ導入され、主熱交換器1の途中から導出されて第一ガス圧縮機6へ、供給ガスを導くように構成されている。第一循環ライン21は、主熱交換器1へ導入され、主熱交換器1の途中から導出され、供給ラインL1の第一ガス圧縮機6よりも上流側へ合流する構成である。
【0030】
(実施例1)
上記実施形態1(
図1)の装置をより具体的に説明する。
ここでは窒素ガスをフィードガスとする。
原料である供給ガスが0.12MPa、20℃、1000Nm
3/hで供給され、サブクーラ4から供給される低圧リサイクルガス(230Nm
3/h)と合流して、第一ガス圧縮機6で0.77MPaに圧縮される。
圧縮された供給ガスは、セパレータ3から供給される中圧リサイクルガス(416Nm
3/h)と合流した後、主熱交換器1で-104℃に冷却されてから低温ガス昇圧機7によって5.0MPaに圧縮され、高圧ガスが得られる。
得られた高圧ガスは、主熱交換器1で-156℃に冷却されたのち、第一膨張弁2で0.77MPaに膨張され、セパレータ3によって気液分離される。
セパレータ3で得られた中圧液体ガス(1230Nm
3/h)は、サブクーラ4によって-194℃に冷却されたのち、液化ガス(1000Nm
3/h)が製品として導出される。残りの中圧液体ガス(230Nm
3/h)は、第二膨張弁5で0.13MPaに減圧されたのち、サブクーラ4に冷媒として供給され、さらに主熱交換器1で寒冷を放出した後に第一ガス圧縮機6に供給される。
LNGは7.3MPa、-155℃、3700Nm
3/hで主熱交換器1に供給されて寒冷を放出した後に主熱交換器1の温端から7.1MPa、10℃で導出され、その全量が天然ガスタービン8によって0.7PMaに膨張され、天然ガスとして取り出せる。天然ガスタービン8は、低温ガス昇圧機7を駆動する。
【0031】
本実施形態1のプロセスでは、天然ガスの膨張時に放出されるエネルギーを回収しつつ、かつLNG寒冷を有効利用してガスを液化することができた。
【0032】
(優位性評価)
実施形態1~5に相当する実施例1~6の優位性を、比較例と対比して説明する。
比較例:特許文献1(特許第4142559号公報)
実施例1:実施形態1(
図1A)
実施例2:実施形態2(
図2A)
実施例3:実施形態3(
図3)
実施例4:実施形態4(
図4)
実施例5:実施形態5(
図5)
実施例6:実施形態6(
図6)
【0033】
実施例1と比較例とを対比する。
比較例として、特許文献1(特許第4142559号)のプロセスにおいて窒素を液化する構成とし、本実施例1と比較評価する。
比較例では、0.9MPaのLNGを装置に供給して蒸発させ、0.7MPaの天然ガスを得る場合、回収される寒冷を利用して液体窒素を得る際の液化原単位は約0.3kWh/Nm3である。これに対して、本実施例1では、LNGを0.9MPaから7.3MPaに昇圧するのに、23kWのエネルギーが必要となるが、天然ガスタービン8(膨張タービン)で123kWのエネルギーを回収してガスの圧縮(低温ガス昇圧機7))に利用しているため、全体で100kWのエネルギー削減が可能である。
実施例1では、1000Nm3/hの液体窒素を得て、液化原単位では0.1kWh/Nm3の削減ができており、比較例に対して約0.33%の効率改善がなされた。
【0034】
実施例2は、実施例1と比べて、第一ガス圧縮機6の吐出ライン(L1)に、第二ガス圧縮機9が追加された構成である。この構成によって、天然ガスタービン8(膨張タービン)で回収できる動力が小さい場合でも、ガスを液化に十分な圧力に昇圧することが可能となる。
【0035】
実施例3は、実施例2と比べて、第二ガス圧縮機9へ供給される吸入ガスを主熱交換器1で冷却し、かつ第二ガス圧縮機9から吐出された吐出ガスをインタークーラ10(LNG寒冷)で冷却してから、低温ガス昇圧機7に供給ガスを供給する。この構成によって、実施例2と同様に、天然ガスタービン8(膨張タービン)で回収できる動力が小さい場合でも、ガスを液化に十分な圧力に昇圧することが可能となる。
【0036】
実施例4は、実施例3と比べて、天然ガスタービン8(膨張タービン)の吐出側に天然ガスヒータ11を備えた構成である。一般的に、天然ガスパイプラインに供給される天然ガス温度には、例えば-10℃以上の温度範囲の制限がある。仮に天然ガスが膨張比10倍として天然ガスタービン8(膨張タービン)で膨張されると、70℃程度温度低下するので、天然ガスを主熱交換器1から10℃で導出できたとしても、天然ガスタービン8(膨張タービン)出口で―60℃となって、下流で求められる仕様を満たせなくなる可能性があるが、実施形態4の天然ガスヒータ11によってこの問題を解決し、天然ガスを膨張させた後でも供給が可能となる。
【0037】
実施例5は、実施例3と比べて、天然ガスタービン8(膨張タービン)の吸入側に天然ガスヒータ11を備えた構成である。例えば、天然ガスヒータ11によって膨張される前の天然ガスを、実施例1の10℃から100℃にすると、回収できるエネルギーを123kWから183kWに増やすことができ、さらにガス圧縮の効率を向上できる。
【0038】
実施例6は、実施例5と比べて、第一ガス圧縮機6は低温圧縮機として機能し、供給ガスは主熱交換器1で冷却されてから第一ガス圧縮機6に供給される。第一循環ラインL21によって、低圧リサイクルガスは、主熱交換器1から低温で導出され、第一ガス圧縮機6に供給される。この構成によって、第一ガス圧縮機6の動力が低減でき、さらなる効率改善が可能になる。第一ガス圧縮機6の動力が84kWとなり、実施例1では110kWであり、つまり、27kW(25%)のエネルギー削減が可能となる。
実施例6の構成は、実施例1から4のいずれにも適用できる。
【0039】
(別実施形態)
特に明示していないが、各ラインに圧力調整装置、流量制御装置などが設置され、圧力調整または流量調整が行われていてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 主熱交換器
2 第一膨張弁
3 セパレータ
4 サブクーラ
5 第二膨張弁
6 第一ガス圧縮機
7 低温ガス昇圧機
8 天然ガスタービン
9 第二ガス圧縮機
10 インタークーラ
11 天然ガスヒータ