(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】縦パネル装置
(51)【国際特許分類】
G09F 15/00 20060101AFI20230927BHJP
B43L 1/04 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
G09F15/00 H
B43L1/04 Z
(21)【出願番号】P 2020051936
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2022-12-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520101568
【氏名又は名称】株式会社勉強堂黒板製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】工 藤 勉
(72)【発明者】
【氏名】工 藤 千惠子
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-200167(JP,A)
【文献】特開2009-221695(JP,A)
【文献】実開昭55-121812(JP,U)
【文献】特公平06-089575(JP,B2)
【文献】特開平11-287005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 15/00
B43L 1/04
E04B 2/74
E04H 9/00
F16F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井および床を有する建築物の屋内の、縦パネルの水平左右方向端間幅に同縦パネルの水平左右方向端から左右の主柱の各吊下仮想軸心までの距離を加えた水平左右方向の距離を隔てられた天井の2点から、鉛直下方に対応する床の該2点に至る左右の吊下仮想軸心上に設置されることとなる左右の主柱を有し、それら左右の主柱の夫々が、天井に結合される左右の耐震懸架機構、および、左右の長さ調節機構を介して左右の吊下柱が夫々吊下され、それら左右の吊下柱の間に縦パネルが横架一体化され、それら左右の吊下柱の各下端が、床に結合された左右の受け座の夫々に支持されてなるものとされ
、
前記耐震懸架機構が、縦パネルの水平左右方向端間幅に縦パネルの水平左右方向端から左右の主柱の各吊下仮想軸心までの距離を加えた水平左右方向の距離を隔てられた天井の2点から、各吊下仮想軸心に沿って吊下される左右のスペーサー、および、左右のスペーサーの夫々に、振動を緩衝する緩衝弾性部を介して吊下された左右の緩衝吊り座からなるものとしたことを特徴とする縦パネル装置。
【請求項2】
天井と床との間に吊り天井パネルが設置された建築物の屋内の、縦パネルの水平左右方向端間幅に同縦パネルの水平左右方向端から左右の主柱の各吊下仮想軸心までの距離を加えた水平左右方向の距離を隔てられた天井の2点から鉛直下方に対応する吊り天井パネルの該2点を縦貫し、さらに、鉛直下方に対応する床の該2点に至る左右の吊下仮想軸心上の夫々に設置されることとなる左右の主柱を有し、それら左右の主柱の夫々が、天井と吊り天井パネルとの間に配される左右の耐震懸架機構、および、吊り天井パネルに対し上下に貫通される左右の長さ調節機構を介し、吊り天井パネルと床との間に配される左右の吊下柱が夫々吊下され、それら左右の吊下柱の間に、吊り天井パネルと床との間に配される縦パネルが横架一体化され、それら左右の吊下柱の各下端が、床に結合された左右の受け座の夫々に支持されてなるものとし
、
前記耐震懸架機構が、縦パネルの水平左右方向端間幅に縦パネルの水平左右方向端から左右の主柱の各吊下仮想軸心までの距離を加えた水平左右方向の距離を隔てられた天井の2点から、各吊下仮想軸心に沿って吊下される左右のスペーサー、および、左右のスペーサーの夫々に、振動を緩衝する緩衝弾性部を介して吊下された左右の緩衝吊り座からなるものとしたことを特徴とする縦パネル装置。
【請求項3】
前記耐震懸架機構のスペーサーは、緩衝吊り座の下に吊下される長さ調節機構または吊下柱の水平方向の振動移動量を少なくするよう、前記吊り天井パネルの上に配される緩衝吊り座を、できるだけ吊り天井パネルに近づけて設置可能とする機能を担っている請求項2
に記載の縦パネル装置。
【請求項4】
耐震懸架機構が、縦パネルの水平左右方向端間幅に縦パネルの水平左右方向端から左右の主柱の各吊下仮想軸心までの距離を加えた水平左右方向の距離を隔てられた天井の2点から、各吊下仮想軸心に沿って吊下される左右のスペーサー、および、左右のスペーサーの夫々に、振動を緩衝する緩衝弾性部を介して吊下された左右の緩衝吊り座からなり、左右のスペーサーが振動を減衰する減衰弾性部とされた、請求項1または請求項2何れか一記載の縦パネル装置。
【請求項5】
長さ調節機構が、上端が耐震懸架機構に対し縦パネルの前後方向に振り子運動自在に吊下され、少なくとも下端ないし中途部の鉛直軸心回りに被着ネジが刻設された垂軸、および、上端に、該垂軸の被着ネジに対し上下方向に進退調節可能に螺合する鉛直軸心回りの螺着ネジが刻設され、下端に吊下柱の上端が垂下状に接続され、該吊下柱の螺着ネジが、該垂軸の下端がわから同垂軸の被着ネジに対し吊り下げ高さ位置を調節可能に螺合されてなる、請求項1ないし請求項4何れか一記載の縦パネル装置。
【請求項6】
長さ調節機構が、上端が耐震懸架機構に対し縦パネルの前後方向に振り子運動自在に吊下され、少なくとも下端ないし中途部の鉛直軸心回りに被着ネジが刻設された垂軸、および、上端に、該垂軸の被着ネジに対し上下方向に進退調節可能に螺合する鉛直軸心回りの螺着ネジが刻設され、下端に、垂軸の被着ネジの外径よりも大きな内径、および、吊下柱の上端に開口された上端開口よりも小さな外径に設定された長さ調節範囲を上回る上下長さの小径管部を有する昇降柱からなり、該昇降柱の下端の小径管部が、同小径管部の下端がわより、該吊下柱の上端の上端開口に対し上下スライド自在に装着されたテレスコピック型をなすものとされ、当該垂軸の下端より、同被着ネジに対し、該昇降柱の上端の螺
着ネジが、該昇降柱の上端が吊り天井パネルの下面に一致するか、または、吊り天井パネルの下面より上方に配されるよう、該昇降柱の高さ位置を調節可能に螺合されるかの何れか一方とされた上、該テレスコピック型をなす昇降柱の小径管部と、吊下柱の該小径管部に重なる範囲とが仮結合機構を介して仮結合されてなる、請求項2を選択した請求項3または請求項2を選択した請求項4の何れか一方記載の縦パネル装置。
【請求項7】
長さ調節機構が、上端が耐震懸架機構に対し縦パネルの前後方向に振り子運動自在に吊下され、少なくとも下端ないし中途部の鉛直軸心回りに被着ネジが刻設された垂軸、および、上端に、該垂軸の被着ネジに対し上下方向に進退調節可能に螺合する鉛直軸心回りの螺着ネジが刻設され、下端に、吊下柱の少なくとも上端の外径よりも大きな内径に設定された長さ調節範囲を上回る上下長さのカバー管部を有する昇降柱からなり、該昇降柱のカバー管部が、同カバー管部の下端がわより、該吊下柱の上端に対し上下スライド自在に外装されたテレスコピック型をなすものとされ、当該垂軸の下端より、同被着ネジに対し、該昇降柱の上端の螺着ネジが、該昇降柱の上端が吊り天井パネルの下面に一致するか、または、吊り天井パネルの下面より上方に配されるよう、該昇降柱の高さ位置を調節可能に螺合されるかの何れか一方とされた上、該テレスコピック型をなす昇降柱のカバー管部と、吊下柱の該カバー管部に覆われた範囲とが仮結合機構を介して仮結合されてなる、請求項2を選択した請求項3または請求項2を選択した請求項4の何れか一方記載の縦パネル装置。
【請求項8】
仮結合機構が、吊下柱または昇降柱の何れか外がわ配置となる一方の、該吊下柱および昇降柱が重なり合う上下間の一または上下に適宜間隔を隔てた複数箇所の何れか一方に対し、同吊下柱または昇降柱の何れか内がわ配置となる他方の、同吊下柱および昇降柱が重なり合う上下間の一または上下に適宜間隔を隔てた複数箇所の何れか一方に、未加工の棒通し孔を穿孔加工する際に案内となるガイド孔が穿設されてなる、請求項6または請求項7何れか一記載の縦パネル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築物の床と天井との間に立設状に設置される各種縦パネル類の技術に関連するものであり、特に、各種黒板や各種ホワイトボード、各種掲示板、各種表示パネル、各種スクリーン、各種電子掲示板、各種液晶表示パネルなどの何れかの縦パネル類の装置を製造、提供する分野を初め、その分野には属していないが、そこでの技術的思想の創作内容を取り入れたと同定されるような類いのものを製造、提供する分野についてまでをも含むのは勿論のこと、それらの分野に係って行う輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
学校の教室などに設置される黒板は、平面黒板、曲面黒板、アップ・ダウンスライダー黒板、上下式黒板、電子黒板など様々なものが利用されてきており、何れの黒板にあっても、一般に、校舎の教室などの建築物の屋内の垂直な壁に対し、黒板の背面が結合された状態に設置されたものとなっており、該黒板の全重量が建築物の屋内の垂直な壁によって支えられるものとなっているから、黒板が設置されることとなる教室の間仕切り壁は、校舎の建設当初から充分な強度を持つよう設計、施工されたものとしなければならないものの、校舎の利用が進むに従い、当初、黒板の設置が予定されておらず、設計段階から薄くて黒板の設置に耐えるだけの強度を持たない間仕切り壁や、屋内の間仕切り壁自体が全く設置されていない場所などに黒板を設置する必要性が生じた場合には、例えば、強度不足の間仕切り壁に対して黒板の設置に必要な強度を満たすよう、対象となる間仕切り壁のために専用設計された補強用の骨格材を追加して設置し、その補強された間仕切り壁に対して黒板を設置されるようにしたり、元々間仕切り壁が存在しない場合には、例えば、複数本の柱材などを建築物の床から天井に掛けて立設し、それら複数本の柱材などの上下端間の適宜高さ位置に対して黒板を設置するようにしたりするなど、充分な補強工事を行うことにより、強い地震が発生した際にも黒板が不用意に脱落しないよう、充分な強度を持たせて設置するのが一般的であった。
【0003】
しかしながら、新設または既存の建築物に係らず、薄い間仕切り壁や、そもそも間仕切り壁が存在しない場所などに大型で大重量の黒板を安全な状態に設置するには、設置対象となる間仕切り壁に合わせて補強用の骨格材を専用設計し、施工したり、設置対象となる室内空間の間仕切り壁の無い場所に合わせて専用設計された柱材などを加工、設置したりする必要があり、専用設計および資材の準備に相当の期間と労力とを要することになって、設計を開始してから施工が完了するまでの工期が長期化してしまい、それに伴って工費も嵩んでしまうという大きな欠点があった。
【0004】
(従来の技術)
こうした状況を踏まえ、その打開策となるような提案も、これまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、間仕切り壁の下地を形成する間隔をおいて立設された柱に黒板の上部と下部が、前記柱にビスで固定される垂直部と前記黒板にビスで固定される水平部からなる縦断面L型の形状をした取付金具で取り付けられる黒板において、黒板が黒板用鋼板を貼り付けた合板の裏側に矩形の裏桟枠とその枠内の複数の裏桟が設けられ、裏桟枠と裏桟で形成される枠内に裏桟枠と裏桟を結合する補強材が固定されてなり、取り付け対象の間仕切り壁の耐震性や耐風荷重性を高める補強材を兼ねるものとされるようにした黒板が開発済みとされている。
【0005】
また、同特許文献1(2)に見られるような、天井と床面との間の所要箇所に一対の支柱を所要間隔に取り付け、両支柱間の所要高さ位置にパネル型液晶テレビ等の掲示物を取り付けた掲示物パネルを配設してなる掲示物設置間仕切りパネル構造が有り、そして、特許文献1(3),同1(4)および同1(5)などに代表されるように、建築物の天井と床との間に設置される支柱の中途部適所か、または、パネルそれ自体の中途部適所かの何れかに、鉛直姿勢のボルトおよびそのボルトに螺着されたナットからなる上下間高さ寸法の調節機構が設けられたパネル類の設置技術が知られている。
【0006】
さらにまた、特許文献1(6)および同1(7)などに示されているように、建築物の天井と床との間に、上下方向の移動を案内可能な鉛直姿勢のボルトまたはロッドの何れか一方を有するパネル設置用の支柱またはパネルが設けられ、該ボルトまたはロッドの何れかに圧縮コイルバネまたはゴムなどの弾性材が装着され、該弾性材の弾発力によって建築物の天井と床との間に上下方向の伸張力およびそれに伴う摩擦力を発揮し、パネルまたはパネル設置用の支柱が、床から天井までの高さに、容易に調節可能となる上、該弾性材の弾発力が、パネルまたはパネル設置用の支柱の上下端が、建築物の天井と床との夫々に、弾発な静的圧力を持って当接され、天井や床の振動や僅かな変形に、自在に追従して突っ張り状態を維持できるようになっているパネル類の設置技術が既に開発されている。
【0007】
しかし、前記特許文献1(1)に示されているような黒板などは、設置対象となる建築物の壁を補強する効果を発揮するものとなっているが、該設置対象となる壁に、黒板を安全に支持できる強度を有する必要があり、屋内空間の壁の無い場所などには設置することができないものであり、また、特許文献1(2)のパネル構造などは、建築物の天井と床面との間に、水平方向に所要間隔を隔てた一対の支柱が立設され、該一対の支柱の間にパネル型液晶テレビ等の掲示物が架け渡されたものであるが、地震などによって建築物がゆがみ、天井と床面との間隔が大きく広がってしまった場合には倒れてしまう虞があり、特許文献1(3),同1(4)および同1(5)などに見られるように、ボルト・ナットを利用した長さ調節機能を有するものも、やはり天井と床面との間隔が大きく広がった場合などには倒れてしまう虞があり、さらにまた、特許文献1(6)および同1(7)に開示されたものは、建築物の天井と床面との間に弾性的に突っ張るよう設置されたものとなっているが、何れも設置や撤収を容易にすることを目的としているから、天井と床面とに対し、それらの上下端が、当接板や弾性材などを介して圧接される摩擦力のみによって立設されたものとなっていて、地震などによって天井と床面との間隔が僅かに広がった場合などには、ある程度、伸縮しながら追従して自立可能なものとなっているものの、強い揺れなどを受けると、弾性的な伸縮機能が返って災いし、天井と床面との摩擦力が失われ、倒れてしまう虞が残るものであった。
【文献】(1)実用新案登録第3138302号公報 (2)実用新案登録第3124649号公報 (3)特開平9-32191号公報 (4)特開2011-226746号公報 (5)特開2020―23786号公報 (6)実開昭60-120111号公報 (7)特開平8-184111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種黒板は、強度に劣る間仕切り壁や、間仕切り壁の無い場所などへの設置が不可能なものであり、また、その他のパネル類の設置技術などは、建築物の天井と床との間に、上下方向の伸張力およびそれによる静的圧力に伴う摩擦力によって立設されるものとなってはいるものの、強い地震による揺れなどを受けると、天井と床との間の摩擦力を容易に失って倒れてしまう虞があり、さらに、天井と床との間に吊り天井を有する建築物の場合には、吊り天井と床との間に加わる伸張力が僅かに強過ぎただけで、吊り天井に変形や破損を招く虞があることから、強固な設置が、より困難なものになってしまうという致命的な欠点を残すものであり、吊り天井の有無に拘わらず、建築物の天井と床との間に、より強固に立設することができ、重量の大きなパネル類が設置された場合であっても強い地震に充分に耐えるものとなる、縦パネルの新たな設置技術の開発の可能性を痛感するに至ったものである。
【0009】
(発明の目的)
そこで、この発明は、強度が不足する間仕切り壁の近傍や、吊り天井の有無に拘わらず、天井と床との間の間仕切り壁を有さない場所などへの設置が可能となる上、強い地震の発生などによって天井および床が変形された場合にも、天井と床との間に立設された状態を確りと維持することができる新たな縦パネルの設置技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に亘って試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の縦パネル装置を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の縦パネル装置は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、天井および床を有する建築物の屋内の、縦パネルの水平左右方向端間幅に同縦パネルの水平左右方向端から左右の主柱の各吊下仮想軸心までの距離を加えた水平左右方向の距離を隔てられた天井の2点から、鉛直下方に対応する床の該2点に至る左右の吊下仮想軸心上に設置されることとなる左右の主柱を有し、それら左右の主柱の夫々が、天井に結合される左右の耐震懸架機構、および、左右の長さ調節機構を介して左右の吊下柱が夫々吊下され、それら左右の吊下柱の間に縦パネルが横架一体化され、それら左右の吊下柱の各下端が、床に結合された左右の受け座の夫々に支持されてなるものとした構成を要旨とする縦パネル装置である。
【0011】
この基本的な構成からなる縦パネル装置は、その表現を変えて示すならば、天井と床との間に吊り天井パネルが設置された建築物の屋内の、縦パネルの水平左右方向端間幅に同縦パネルの水平左右方向端から左右の主柱の各吊下仮想軸心までの距離を加えた水平左右方向の距離を隔てられた天井の2点から鉛直下方に対応する吊り天井パネルの該2点を縦貫し、さらに、鉛直下方に対応する床の該2点に至る左右の吊下仮想軸心上の夫々に設置されることとなる左右の主柱を有し、それら左右の主柱の夫々が、天井と吊り天井パネルとの間に配される左右の耐震懸架機構、および、吊り天井パネルに対し上下に貫通される左右の長さ調節機構を介し、吊り天井パネルと床との間に配される左右の吊下柱が夫々吊下され、それら左右の吊下柱の間に、吊り天井パネルと床との間に配される縦パネルが横架一体化され、それら左右の吊下柱の各下端が、床に結合された左右の受け座の夫々に支持されてなるものとした構成からなる縦パネル装置となる。
【発明の効果】
【0012】
以上のとおり、この発明の縦パネル装置によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、天井またはそれに替わる骨格類、および、床またはそれに替わる骨格類を有した建築物であれば、新築または既存の何れかに拘わらず、さらに、通常は縦パネル類の設置の対象となる間仕切り壁の有無をも問わず、天井から床までの上下間の寸法に自在に対応し、自由な場所に簡単に設置することができる上、その設置強度が充分に高められたものとなっているから、上下式黒板などのように重量の嵩む縦パネルの設置にも優れた耐久強度を発揮し、特に、耐震構造を有しているから、大地震などの強い振動が加わった場合にも、高い安全性を確保することができるという秀でた特徴が得られるものである。
【0013】
加えて、この発明の縦パネル装置は、その支持骨格部分を縦パネルの左右に1本ずつ合計2本の主柱のみに留められたものとなっていることから、装置全体が軽量化されると共に、縦パネルの支持強度を充分に高めたものとなり、しかも、左右の主柱の夫々に、左右個別の耐震懸架機構および長さ調節機構が夫々設けられたものとなっており、上下式黒板などのように左右に長く重量の嵩む縦パネルであっても優れた耐震性を確保することができ、しかも建築物の天井から床までの上下間隔が左右異なる場合にあっても簡便に縦パネルを水平に調節し、確りと安全に設置することができるという大きな効果を発揮し得るものとなる。
【0014】
そして、耐震懸架機構が、縦パネルの水平左右方向端間幅に縦パネルの水平左右方向端から左右の主柱の各吊下仮想軸心までの距離を加えた水平左右方向の距離を隔てられた天井の2点から、各吊下仮想軸心に沿って吊下される左右のスペーサー、および、左右のスペーサーの夫々に、地震の振動を緩衝する緩衝弾性部を介して吊下された左右の緩衝吊り座からなるものとした構成からなる、この発明の縦パネル装置によると、左右のスペーサーが、縦パネルにより近い位置に緩衝吊り座を配されたものとするから、地震の際に緩衝弾性部が発揮する弾発力をよりダイレクトに縦パネルに伝えることができ、縦パネル装置の振幅をより小さく抑え、縦パネルの振動を格段に速やかに抑制可能なものとすることができるという秀でた特徴を有するものとなる。
【0015】
さらに、耐震懸架機構が、縦パネルの水平左右方向端間幅に縦パネルの水平左右方向端から左右の主柱の各吊下仮想軸心までの距離を加えた水平左右方向の距離を隔てられた天井の2点から、各吊下仮想軸心に沿って吊下される左右のスペーサー、および、左右のスペーサーの夫々に、振動を緩衝する緩衝弾性部を介して吊下された左右の緩衝吊り座からなり、左右のスペーサーが振動を減衰する減衰弾性部とされた構成からなる、この発明の縦パネル装置によると、緩衝弾性部が、地震による振動の衝撃をより効果的に緩衝するものとなる上、減衰弾性部が振動をより速やかに減衰し、より耐震安全性に優れたものになるという効果を奏するものである。
【0016】
そして、長さ調節機構が、上端が耐震懸架機構に対し縦パネルの前後方向に振り子運動自在に吊下され、少なくとも下端ないし中途部の鉛直軸心回りに被着ネジが刻設された垂軸、および、上端に、該垂軸の被着ネジに対し上下方向に進退調節可能に螺合する鉛直軸心回りの螺着ネジが刻設され、下端に吊下柱の上端が垂下状に接続され、該吊下柱の螺着ネジが、該垂軸の下端がわから、同垂軸の被着ネジに対し吊り下げ高さ位置を調節可能に螺合されてなる、この発明の縦パネル装置によると、該長さ調節機構が、耐震懸架機構と吊下柱との連結構造を兼ねたものとなり、部品点数を大幅に削減すると共に、優れた連結強度を確保し、さらに、組み立て工程中に、縦パネルの左右の吊り下げ高さ位置をより簡単に調節することができ、設置工数および施工経費を格段に削減できるものとなる。
【0017】
また、長さ調節機構が、上端が耐震懸架機構に対し、縦パネルの前後方向に振り子運動自在に吊下され、少なくとも下端ないし中途部の鉛直軸心回りに被着ネジが刻設された垂軸、および、上端に、該垂軸の被着ネジに対して上下方向に進退調節可能に螺合する鉛直軸心回りの螺着ネジが刻設され、下端に、垂軸の被着ネジの外径よりも大きな内径、および、吊下柱の上端に開口された上端開口よりも小さな外径に設定された長さ調節範囲を上回る上下長さの小径管部を有する昇降柱からなり、該昇降柱の下端の小径管部が、同小径管部の下端がわより、該吊下柱の上端の上端開口に対し、上下スライド自在に装着されたテレスコピック型をなすものとされ、当該垂軸の下端より、同被着ネジに対し、該昇降柱の上端の螺着ネジが、該昇降柱の上端が吊り天井パネルの下面に一致するか、または、吊り天井パネルの下面より上方に配されるかの何れか一方となるよう、該昇降柱の高さ位置を調節可能に螺合された上、該テレスコピック型をなす昇降柱の小径管部と、吊下柱の該小径管部に重なる範囲とが仮結合機構を介して仮結合されてなる、この発明の縦パネル装置によれば、吊り天井パネルを有する建築物に設置された場合に、当該昇降柱が、吊り天井パネルの下面壁に当接する高さまで該垂軸に螺合されるか、または、吊り天井パネルの下面壁よりも高い位置まで該垂軸に螺合されるかの何れかに高さ調節され、吊り天井パネルの下方に該垂軸の被着ネジが露出してしまうのを防止することができるという特段の効果を発揮できる。
【0018】
さらにまた、長さ調節機構が、上端が耐震懸架機構に対して縦パネルの前後方向に振り子運動自在に吊下され、少なくとも下端ないし中途部の鉛直軸心回りに被着ネジが刻設された垂軸、および、上端に、該垂軸の被着ネジに対し上下方向に進退調節可能に螺合する鉛直軸心回りの螺着ネジが刻設され、下端に、吊下柱の少なくとも上端の外径よりも大きな内径に設定された長さ調節範囲を上回る上下長さのカバー管部を有する昇降柱からなり、該昇降柱のカバー管部が、同カバー管部の下端がわより、吊下柱の上端に対して上下スライド自在に外装されたテレスコピック型を成すものとされ、当該垂軸の下端より、同被着ネジに対し、昇降柱の上端の螺着ネジが、該昇降柱の上端が吊り天井パネルの下面に一致するか、または、吊り天井パネルの下面より上方に配されるかの何れか一方とされるよう、この昇降柱の高さ位置を調節可能に螺合された上、テレスコピック型をなす昇降柱のカバー管部と、吊下柱の該カバー管部に覆われた範囲とが仮結合機構を介して仮結合されてなる、この発明の縦パネル装置によれば、吊り天井パネルが設けられた建築物に設置された場合に、この昇降柱が、吊り天井パネルの下面壁に当接する高さまで該垂軸に螺合されるか、または、吊り天井パネルの下面壁よりも高い位置まで該垂軸に螺合されるかの何れかに高さ調節し、吊り天井パネルの下方に該垂軸の被着ネジが露出してしまうのを防止することができる上、昇降柱のカバー管部が、当該吊下柱の上端の上端開口を外がわから覆い、外観をよりスッキリさせる効果が得られるものとなる。
【0019】
そして、仮結合機構が、吊下柱または昇降柱の何れか外がわ配置となる一方の、これら吊下柱および昇降柱が重なり合う上下間の一または上下に適宜間隔を隔てた複数箇所の何れか一方に対し、同吊下柱または昇降柱の何れか内がわ配置となる他方の、同吊下柱および昇降柱が重なり合う上下間の一または上下に適宜間隔を隔てた複数箇所の何れか一方に、未加工の棒通し孔を穿孔加工する際に案内となるガイド孔が穿設されてなる、この発明の昇降柱が設けられた縦パネル装置によれば、装置の設置作業の進行に伴い、該昇降柱の取り付け高さ位置が決定されたときに、ガイド孔を案内に棒通し孔を簡単に施工することができるから、部品の工場生産における高さ調節用の複数の棒通し孔の加工を不要として部品価格を削減し、設置の際に最適の位置に棒通し孔を簡便に加工し、ボルト・ナットなどで固定できることとなり、左右の主柱の組み立て強度を一段と高められたものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
この発明の基本をなす縦パネル装置の設置の対象となる建築物は、黒板またはその他の表示パネル類などの設置の対象となるものであり、より具体的には、黒板またはその他の表示パネル類などの設置に耐える強度を有した、少なくとも天井および床を備えたものとしなければならず、例えば、鉄筋コンクリート製の天井および床を有するものとするのが良く、また、天井は、充分な強度を有する梁、母屋、棟木、その他の天井に設けられた骨格構造物、または、それらに変わる鉄筋などに置き換えることができ、床は、充分な強度を有する基礎コンクリート、床束、束石、大引き、根太、その他の床に設けられた骨格構造物、または、それらに変わる鉄筋などに置き換えることが可能であり、また、天井と床との間の天井寄りとなる高さに吊り天井パネルが設置されたものとする外、床としての床スラブの上に立設された複数本の支持短柱と、各支持短柱の上端間に横架された合板、および、該合板上に敷設された床仕上げ材からなり、該床スラブよりも一段高く設置された教壇、演壇、舞台、または、床スラブの上面壁との間に電子機器類などの配線ケーブル用の空間を確保したフリーアクセスフロアなどの二重床構造を有するものとすることができ、こうした二重床構造の場合には、下層の床スラブか、または、上層の合板または床仕上げ材かの何れか一方、またはその他の上層床材や床の骨格材などを、受け座が設置される床とすることが可能であり、下層の床スラブを床とする場合には、吊下柱の下端がわの中途部が、上層の合板、床仕上げ材またはその他の上層床材などを縦貫するよう配されたものとすることができる。
【0021】
縦パネルは、建築物の天井と床との間に、縦姿勢に配され、大勢の人に向けて表示する機能を担い、例えば、各種ホワイトボード、各種掲示板、各種表示パネル、各種スクリーン、各種電子掲示板、各種液晶表示パネルなどの何れかとすることが可能であり、より具体的には、後述する実施例にも示しているように、白墨による書き込み、表示が可能な平面黒板、曲面黒板、アップ・ダウンスライダー黒板、上下式黒板、電子黒板、または、その他の黒板類などとすることができる。
【0022】
左右主柱は、縦パネルの水平左右方向の端の夫々を、建築物の天井と床との間に強固に支持すると共に、耐震性を確保可能とする機能を分担し、左右の夫々の主柱に、少なくとも耐震懸架機構、長さ調節機構、吊下柱および受け座を有し、左右の吊下柱の間に縦パネルが横架一体化されたものとしなければならず、天井から床に向けて耐震懸架機構、長さ調節機構、吊下柱および受け座の順に設置されたものか、または、天井から床に向けて長さ調節機構、耐震懸架機構、吊下柱および受け座の順に設置されたものかの何れか一方とするのが良く、建築物が吊り天井パネルを有する場合には、天井と吊り天井パネルとの間に、長さ調節機構または耐震懸架機構の少なくとも何れか一方が配されたものとするのが望ましく、また、天井から床に向けて長さ調節機構、吊下柱、耐震懸架機構および受け座の順に設置されたものや、天井から床に向けて耐震懸架機構、吊下柱、長さ調節機構および受け座の順に設置されたものなどとすることが可能である。
【0023】
左右の主柱の各吊下仮想軸心は、左右の主柱の間に縦パネルが横架された場合に、左右の主柱の夫々に加わる自重および縦パネルの重量が作用すると想定される鉛直線状の仮想位置ということができ、左右の主柱の夫々の形状の軸心や重心を通る垂線とすることが可能であるが、それらに限定されるものではなく、より具体的には、主柱を構成する耐震懸架機構、長さ調節機構、吊下柱および受け座が互いに上下に連なるものとされ、縦パネルの重量の約1/2を左右何れか一方から片持ち支持する場合に、天井と床との間に力学的に仮想される垂直連結線とすることができ、後述する実施例にも示しているように、耐震懸架機構のスペーサーの繋ぎ柱、長さ調節機構の垂軸(垂管軸)、吊下柱および受け座の支持凸部などが、該吊下仮想軸心上に連続するよう配されたものとするのが耐久強度を高める上で望ましいものであるといえる。
【0024】
耐震懸架機構は、建築物の天井と床との間に立設された主柱が、地震などに伴う縦パネルの強い振動や、天井や床などの変形などに柔軟に追従し、この発明の縦パネル装置の振動を速やかに緩衝するよう吊下支持する機能を分担し、主柱の水平方向(吊下仮想軸心に直交する方向)の振動や湾曲変形を許容可能であって、しかも主柱の上下方向(吊下仮想軸心の方向)の振動や伸縮変形を許容可能とする上、主柱の水平方向の湾曲変形に伴う衝撃、および、主柱の上下方向の伸縮変形に伴う衝撃を速やかに緩衝するよう吊下支持するものとしなければならず、例えば、各種バネの弾発力、各種ゴムの弾発力、各種磁石の反発力、シリンダとピストン内に充填された圧縮ガスの弾発力などの何れかを利用した緩衝弾性部が設けられ、天井と床との間に吊り天井パネルを有する建築物に設置される場合には、天井と吊り天井パネルとの間に配されたものとするのが良い。
【0025】
そして、耐震懸架機構は、後述する実施例にも示すとおり、縦パネルの水平左右方向端間幅に縦パネルの水平左右方向端から左右の主柱の各吊下仮想軸心までの距離を加えた水平左右方向の距離を隔てられた天井の2点から、各吊下仮想軸心に沿って吊下される左右のスペーサー、および、左右のスペーサーの夫々に、緩衝弾性部を介して吊下された左右の緩衝吊り座とからなり、該スペーサーは、吊下仮想軸心上に垂下される繋ぎ柱、該繋ぎ柱の上端に一体化され、天井に結合される上座板、および、該繋ぎ柱の下端に水平板形をなして一体化され、吊下仮想軸心の外周囲の複数箇所にボルト通し孔が穿設された下座板からなり、緩衝吊り座は、当該繋ぎ柱の下座板に対峙する水平板形をないし、下面壁の吊下仮想軸心上に、長さ調節機構を吊下する下部連結端が一体化され、当該繋ぎ柱の下座板の各ボルト通し孔の直下に対応する複数箇所にボルト通し孔が穿設されてなり、当該スペーサーの下座板の各ボルト通し孔と、当該緩衝吊り座の各ボルト通し孔との間に、緩衝弾性部としての緩衝弾性筒が外装された吊りボルトが縦貫されると共に、各吊りボルトにナットが螺着され、下座板と緩衝吊り座との間に挟み込まれた各緩衝弾性筒が僅かに圧縮され、上下方向に弾性変形可能な範囲で締め付けられてなるものとすることができる。
【0026】
耐震懸架機構のスペーサーは、設置の対象となる建築物の天井に吊り天井パネルが設けられている場合に、緩衝吊り座の下に吊下される長さ調節機構または吊下柱の水平方向の振動移動量を少なくするよう、同吊り天井パネルの上に配される緩衝吊り座を、できるだけ吊り天井パネルに近づけて設置可能とする機能を担い、強い地震の際にも主柱を安全に吊下支持するのに充分な強度を有するものとしなければならず、耐震懸架機構の重量を軽減するよう、充分に軽量化された骨格形状や骨格枠形状などからなるものとするのが望ましく、例えば、後述する実施例にも示すように、主柱の振動を速やかに減衰するショックアブソーバーやガススプリング、ダンパー、低反発軟質合成樹脂製の部品、またはそれらに相当するような振動減衰機能を有する部品からなる減衰弾性部が、スペーサーとしての機能を兼ね備えたものとして組み込まれてなるものとすることができる。
【0027】
耐震懸架機構の緩衝吊り座は、スペーサーに対して長さ調節機構または吊下柱の何れか一方を緩衝可能に連結可能とする機能を分担し、スペーサーとの緩衝吊り座との間に介在するか、緩衝吊り座それ自体に設けられるか、または、緩衝吊り座と長さ調節機構または吊下柱の何れか一方との間に介在するかの少なくとも何れか一とされたものとしなければならず、後述する実施例にも示しているとおり、緩衝弾性部に加えて、主柱の振動を速やかに減衰するショックアブソーバーやガススプリング、ダンパー、低反発軟質合成樹脂製の部品、またはそれらに相当するような振動減衰機能を有する部品からなる減衰弾性部が組み込まれたものとすることができる。
【0028】
耐震懸架機構の緩衝弾性部は、建築物に設置されたこの発明の縦パネル装置が、地震などの震動を受けた場合に、左右主柱に加わる吊下仮想軸心の方向の振動および加重を弾性的に受け止め、振動を速やかに緩衝する機能を分担し、吊りボルトまたは、吊りボルトに置き換わるガイド棒などに対し、緩衝弾性部それ自体の圧縮方向が平行する姿勢に設けられ、吊下仮想軸心の方向の圧縮力を弾性的に受け止めて圧縮変形し、振動による衝撃を軽減しながら元の形状に復帰するものとしなければならず、より具体的には、前述したように各種バネの弾発力、各種ゴムの弾発力、各種磁石の反発力、シリンダとピストン内に充填された圧縮ガスの弾発力などの何れかを利用してなるものとするのが良く、後述する実施例にも示しているとおり、緩衝弾性筒とすることができ、緩衝弾性筒は、吊りボルトに対し同心上に装着される筒状をなし、吊りボルトの軸方向(吊下仮想軸心に平行な上下方向)の圧縮力に抗する弾発力を発揮しながら伸縮可能となるものであり、例えば、圧縮コイルバネやゴム管などとすることができる。
【0029】
耐震懸架機構の減衰弾性部は、建築物に設置されたこの発明の縦パネル装置が、地震などの震動を受けた場合に、左右主柱に加わる吊下仮想軸心の方向の振動を速やかに減衰する機能を分担し、ショックアブソーバーやガススプリング、ダンパー、低反発軟質合成樹脂製の部品、またはそれらに相当するような振動減衰機能を有する部品などからなるものとすることができ、さらに、後述する実施例にも示しているように、スペーサーとしての機能を兼ねたものとしてスペーサーに置き換えたり、スペーサーの一部として組み込まれたものとしたりすることができる。
【0030】
吊下仮想軸心は、左右の主柱に仮想される鉛直姿勢の軸心であり、より具体的には、耐震懸架機構、長さ調節機構および受け座の垂直配列の基準となり、耐震懸架機構の緩衝弾性部の伸縮方向、および、緩衝吊り座の上下動の方向が、該吊下仮想軸心に平行するよう設定されたものとされ、また、長さ調節機構の垂軸の軸心、および、同垂軸の下端に接続される昇降柱または吊下柱の何れか一方の軸心が、互いに吊下仮想軸心に一致するよう組み合わせられたものとするのが良い。
【0031】
長さ調節機構は、受け座に立設状に支持された吊下柱の上端の吊下位置の高さを調節可能にすると共に、該吊下柱の上端を吊り下げ支持する機能を分担し、建築物の天井に直接吊下され、その下端に耐震懸架機構が連結されたものとすることができる外、建築物の天井に吊下された耐震懸架機構の下端に吊下され、その下端に吊下柱の上端が連結されたものとすることができ、より具体的には、上端が耐震懸架機構の下部連結端に対し縦パネルの前後方向に振り子運動自在に吊下され、少なくとも下端ないし中途部の鉛直軸心回りに被着ネジが刻設された垂軸、および、上端に、該垂軸の被着ネジに対し上下方向に進退調節可能に螺合する鉛直軸心回りの螺着ネジが刻設され、下端に吊下柱の上端が垂下状に接続され、該吊下柱の螺着ネジが、該垂軸の下端がわから、同垂軸の被着ネジに対し吊り下げ高さ位置を調節可能に螺合されてなるものとすることができる。
【0032】
そして、吊り天井パネルを有する建築物に設置されるものの場合には、長さ調節機構は、後述する実施例にも示すように、上端が耐震懸架機構に対し縦パネルの前後方向に振り子運動自在に吊下され、少なくとも下端ないし中途部の鉛直軸心回りに被着ネジが刻設された垂軸、および、上端に、該垂軸の被着ネジに対し上下方向に進退調節可能に螺合する鉛直軸心回りの螺着ネジが刻設されており、下端に、垂軸の被着ネジの外径よりも大きな内径、および、吊下柱の上端に開口された上端開口よりも小さな外径に設定された長さ調節範囲を上回る上下長さの小径管部を有する昇降柱からなり、該昇降柱の下端の小径管部が、同小径管部の下端がわより、この吊下柱の上端の上端開口に対し上下スライド自在に装着されたテレスコピック型をなすものとされ、当該垂軸の下端より、同被着ネジに対し、昇降柱の上端の螺着ネジが、該昇降柱の上端が吊り天井パネルの下面壁に一致するようにするか、または、吊り天井パネルの下面壁より上方に配されるようにするかの何れか一方となるよう、この昇降柱の高さ位置を調節可能に螺合された上、テレスコピック型をなす昇降柱の小径管部と、吊下柱の該小径管部に重なる範囲とが仮結合機構を介して仮結合されてなるものとすることができる。
【0033】
また、後述する実施例にも示しているとおり、吊り天井パネルを有する建築物に設置されるものの場合には、長さ調節機構は、上端が耐震懸架機構の下部連結端に対し縦パネルの前後方向に振り子運動自在に吊下され、少なくとも下端ないし中途部の鉛直軸心回りに被着ネジが刻設された垂軸、および、上端に、該垂軸の被着ネジに対し上下方向に進退調節可能に螺合する鉛直軸心回りの螺着ネジが刻設され、下端に、吊下柱の少なくとも上端の外径よりも大きな内径に設定された長さ調節範囲を上回る上下長さのカバー管部を有する昇降柱からなり、該昇降柱のカバー管部が、同カバー管部の下端がわより、吊下柱の上端に対し上下スライド自在に外装されたテレスコピック型をなすものとされ、当該垂軸の下端より、同被着ネジに対し、昇降柱の上端の螺着ネジが、該昇降柱の上端が吊り天井パネルの下面壁に一致するか、または、吊り天井パネルの下面壁より上方に配されるかの何れか一方となるよう、この昇降柱の高さ位置を調節可能に螺合された上、該テレスコピック型をなす昇降柱のカバー管部と、吊下柱の該カバー管部に覆われた範囲とが仮結合機構を介して仮結合されてなるものとすることができる。
【0034】
さらに、後述する実施例にも示してあるとおり、昇降柱の小径管部と吊下柱とがテレスコピック型をなすよう組み合わせられたものか、または、昇降柱のカバー管部と吊下柱とがテレスコピック型をなすよう組み合わせられたものかの何れか一方とされた長さ調節機構は、その仮結合機構が、垂軸および昇降柱が重なり合う上下間の一、または上下に適宜間隔を隔てた複数箇所の何れか一方に、水平な直径方向に貫通されたネジ通し孔と、同ネジ通し孔に装着されたボルトおよびナットからなり、垂軸または昇降柱の何れか外がわ配置となる一方の、一箇所か、または、上下に適宜間隔を隔てた複数箇所かの何れか一方に、垂軸または昇降柱の何れか内がわ配置となる他方に対し、未加工のネジ通し孔を施工の際に穿孔加工するためのガイド孔が穿設されてなるものとすることができる。
【0035】
長さ調節機構の垂軸は、主柱の吊下柱の上端がわを、建築物の天井がわに対し、縦パネルの前後方向に振り子運動自在に吊下支持すると共に、昇降柱の上端を上下方向に進退調節自在に連結、吊下する機能を分担し、上端または下端の少なくとも何れか一方に、吊下仮想軸心の方向(上下方向)に螺合する被着ネジまたは螺着ネジの何れか一方が設けられ、上端または下端の少なくとも何れか他方に、吊下柱の上端がわを、縦パネルの前後方向に振り子運動自在に吊下支持する水平軸心を持つ軸着部分が設けられたものとするのが望ましく、中実軸または中空軸の何れか一方からなるものとすることができ、後述する実施例にも示しているように、鋼管やアルミニウム合金管などの金属管からなる垂下管とすることができる。
【0036】
長さ調節機構の昇降柱は、建築物に吊り天井パネルが設けられている場合に、垂軸の被着ネジ、または、該昇降柱の螺着ネジの何れか一方が、吊り天井パネルの下がわに露出状とならないよう隠蔽可能とする機能を分担し、その上端が、吊り天井パネルの下面に一致するか、または、吊り天井パネルの下面より上方に配されるよう、垂軸の下端に対して吊下仮想軸心の方向(上下方向)に螺合され、下端が吊下柱の上端がわに対し伸縮自在に接続されたものとするのが望ましく、後述する実施例にも示すように、上端に、垂軸の被着ネジに対し上下方向に進退調節可能に螺合する鉛直軸心回りの螺着ネジが刻設され、下端に、垂軸の被着ネジの外径よりも大きな内径、および、吊下柱の上端に開口された上端開口よりも小さな外径に設定された長さ調節範囲を上回る上下長さの小径管部を有し、下端の小径管部が、同小径管部の下端がわより、吊下柱の上端の上端開口に対し、上下スライド自在に装着されたテレスコピック型をなすものとすることができる。
【0037】
そのほか、上端に、該垂軸の被着ネジに対し上下方向に進退調節可能に螺合する鉛直軸心回りの螺着ネジが刻設され、下端に、吊下柱の少なくとも上端の外径よりも大きな内径に設定された長さ調節範囲を上回る上下長さのカバー管部を有し、該カバー管部が、同カバー管部の下端がわより、吊下柱の上端に対して上下スライド自在に外装されたテレスコピック型をなすものとされたものとすることができ、小径管部またはカバー管部の何れか一方が設けられた昇降柱の上下端間の長さは、最大でも吊り天井パネルの下面壁から縦パネルの上端までの上下間寸法よりも僅かに短く設定されたものとするのが望ましく、それを超える長さに設定された場合には、昇降柱が吊り天井パネルの柱通し孔を縦貫し、同吊り天井パネルの下面壁よりも上方まで締め付けられた状態に設置されたものとなる可能性がある。
【0038】
長さ調節機構の仮結合機構は、建築物に吊り天井パネルが設けられ、該長さ調節機構に吊下柱の上端がわに対し、テレスコピック型をなして伸縮自在に接続される昇降柱が設けられたものの場合に、吊下柱の上端がわに対し、昇降調節された昇降柱を仮結合する機能を分担し、テレスコピック型をなすよう組み合わせられた昇降柱の下端がわと吊下柱の上端がわとの何れか一方の外周壁に雄ネジが刻設され、何れか他方に、テーパー付きスリーブ一体型のナットの該テーパー付きスリーブ内がわに弾性摩擦素材製の締付け環が同心上に内装された締め付けナットが外嵌され、昇降柱の下端がわと吊下柱の上端がわとの任意の伸縮位置に静止された状態にて、該締め付けナットを雄ネジに螺合、締め付けされると、該締付け環が、テーパー付きスリーブのテーパー形状により、これら何れか一方の管状端縁、および、何れか他方の外周壁に圧縮されながら押しつけられ、高い摩擦力を発生するものとなり、テレスコピック型の接続状態を伸縮不能に仮固定可能とされたものとすることができる。
【0039】
さらには、テレスコピック型をなすよう組み合わせられた昇降柱の下端がわと吊下柱の上端がわとの何れか一方に、吊下仮想軸心の方向(上下方向)の一箇所に、吊下仮想軸心に交叉する方向の通し孔が穿設され、何れか他方に、吊下仮想軸心の方向(上下方向)に適宜間隔を隔てた複数箇所に、夫々吊下仮想軸心に交叉する方向の通し孔を穿設したものとされ、これら何れか一方の一箇所の通し孔を、これら何れか他方の複数箇所の通し孔の中の上下間の何れか対応された一箇所の通し孔に対応させ、吊下仮想軸心に交叉する方向に同心上配置された通し孔にボルト・ナットを装着し、該昇降柱の下端がわと吊下柱の上端がわとを任意の伸縮位置に静止された状態に仮固定可能とされたものとすることができる。
【0040】
また、仮結合機構は、後述する実施例にも示しているが、垂軸および昇降柱が重なり合う上下間の一または上下に適宜間隔を隔てた複数箇所の何れか一方に、水平な直径方向に貫通された棒通し孔と、同棒通し孔に装着されたボルトおよびナットからなり、垂軸または昇降柱の何れか外がわ配置となる一方の、一箇所か、または、上下に適宜間隔を隔てた複数箇所かの何れか一方に、垂軸または昇降柱の何れか内がわ配置となる他方に対し、未加工の棒通し孔を施工の際に穿孔加工するためのガイド孔が穿設されてなるものとすることができる。
【0041】
受け座は、左右の主柱の下端を建築物の床に対し、充分な耐荷重強度をもって支持すると共に、左右の主柱の下端が不用意に左右の吊下仮想軸心から離脱しないよう保持可能とする機能を担い、縦パネルおよび左右の主柱の左右の耐震懸架機構、左右の長さ調節機構および左右の吊下柱からなるこの発明の縦パネル装置の総重量を、左右に1/2した左右片側重量分を左右夫々で安全に下支え可能となる強度を有するものとすべきであり、より望ましくは、総重量の左右1/2とした左右片側重量分に、安全を見込んだ仮想重量を加えた重さに充分に耐え、安全に下支え可能となる強度を有するものとするのが良く、より具体的には、建築物の床に固着される構造部分と、主柱の吊下柱、耐震懸架機構または長さ調節機構の中の、受け座の直上の配置となるよう設計された何れか一つの下端に嵌合する支持凸部または支持凹部の少なくとも何れか一方が設けられたものとするのが良く、さらに、支持凸部または支持凹部に対し、吊下柱の下端が、水平方向のボルト・ナットや、リベット、接着剤、溶接、その他の結合構造によって強固に結合されたものとすることができる。
【0042】
また、耐震懸架機構または長さ調節機構の何れか一方が、建築物の天井に結合される場合、および、受け座が建築物の床に結合される場合には、建築物の天井や床に植設されたスタッドボルトと、それに螺着されるナットとによって結合されたものとすることができる外、アンカーボルトまたはそれに置き換わる固定部材などを用いて結合されたものとすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図面は、この発明の縦パネル装置の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【
図1】縦パネル装置を一部断面化して示す正面図である。
【
図2】縦パネル装置を
図1のA-Aで一部断面化して示す側面図である。
【
図3】耐震懸架機構および長さ調節機構の一部を断面化して示す正面図である。
【
図4】分解された耐震懸架機構および長さ調節機構の一部を一部断面化して示す正面図である。
【
図5】長さ調節機構、吊下柱および受け座を一部断面化して示す正面図である。
【
図6】長さ調節機構、吊下柱および受け座を一部断面化して示す側面図である。
【
図7】縦パネルを一部断面化して示す三面図である。
【
図8】分解された耐震懸架機構の一部部品の組み合わせを示す斜視図である。
【
図9】吊下柱の下端と受け座との組み合わせを示す斜視図である。
【
図10】長さ調節機構の下に耐震懸架機構が設けられた縦パネル装置を一部断面化して示す正面図である。
【
図11】耐震懸架機構に減衰弾性部が組み込まれた縦パネル装置を一部断面化して示す正面図である。
【
図12】長さ調節機構と吊下柱との接続構造の変形例を一部断面化して示す正面図である。
【
図13】長さ調節機構と吊下柱との接続構造のその他の変形例を一部断面化して示す正面図である。
【実施例1】
【0044】
図1ないし
図9に示す事例は、天井Cおよび床Fを有する建築物Bの屋内Rの、縦パネル7の水平左右方向端間幅PWに同縦パネル7の水平左右方向端から左右の主柱2,2の各吊下仮想軸心CL,CLまでの距離r、rを加えた水平左右方向の距離Lを隔てられた天井Cの2点から、鉛直下方に対応する床Fの該2点に至る左右の吊下仮想軸心CL,CL上に設置されることとなる左右の主柱2,2を有し、それら左右の主柱2,2の夫々が、天井Cに結合される左右の耐震懸架機構3,3、および、左右の長さ調節機構4,4を介して左右の吊下柱管6,6が夫々吊下され、それら左右の吊下柱管6,6の間に縦パネル7が横架一体化され、それら左右の吊下柱管6,6の各下端が、床Fに結合された左右の受け座8,8の夫々に支持されてなるものとされた、この発明の縦パネル装置における代表的な一実施例を示すものである。
【0045】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の縦パネル装置1は、天井Cと床Fとの間に吊り天井パネルCPが設置された建築物Bの屋内Rの、縦パネル7の水平左右方向端間幅PWに同縦パネル7の水平左右方向端から左右の主柱2,2の各吊下仮想軸心CL,CLまでの距離r,rを加えた水平左右方向の距離Lを隔てられた天井Cの2点から鉛直下方に対応する吊り天井パネルCPの該2点を縦貫し、さらに、鉛直下方に対応する床Fの該2点に至る左右の吊下仮想軸心CL,CL上の夫々に設置されることとなる左右の主柱2,2を有し、それら左右の主柱2,2の夫々が、天井Cと吊り天井パネルCPとの間に配される左右の耐震懸架機構3,3、および、吊り天井パネルCPに対し上下に貫通される左右の長さ調節機構4,4を介し、吊り天井パネルCPと床Fとの間に配される左右の吊下柱6,6が夫々吊下され、それら左右の吊下柱6,6の上下端間の中途部間に、吊り天井パネルCPと床Fとの間の利用に適した高さ位置に配される縦パネル7が横架一体化され、それら左右の吊下柱6,6の各下端が、床Fに結合された左右の受け座8,8の夫々に支持されてなるものとされたものである。
【0046】
建築物Bの天井Cおよび床Fは鉄筋コンクリート製のものとされ、左右の主柱2,2は、互いに縦パネル7の左右端に沿って立設され、互いに右対称形状のものとされているから、左右の主柱2,2の中の、一方の構造についてのみ示し、他方については説明を省略することとする。
図1ないし
図4および
図8に示すように、主柱2の最上端に配される耐震懸架機構3は、吊下仮想軸心CLに対応する天井Cから、同吊下仮想軸心CLに沿って吊下されるスペーサーS、および、該スペーサーSに、振動を緩衝する緩衝弾性部SAを介して吊下された左右の緩衝吊り座30からなるものとされ、該スペーサーSは、縦パネル7の前後方向に短辺が向けられ、長辺が左右方向端間幅PWの方向に向けられた水平な長方形をなし、四角にボルト通し孔S1,S1,……が穿設された上座板S0の上面壁が天井Cの下面壁に接合され、該上座板S0の、左右方向端間幅SWの中央であって該長方形の重心位置(中央)よりも後方寄り(
図4の前部長FL>後部長RL)となる該吊下仮想軸心CLに一致する位置に相当する下面壁から、繋ぎ柱S2の上端が垂下され、該繋ぎ柱S2の下端には、該繋ぎ柱S2の上下端間の中央に仮想される水平面を境に該上座板S0と面対象形をなし、四角にボルト通し孔S4,S4,……が穿設された下座板S3が一体化され、設置の対象となる建築物Bの天井Cの下面壁と吊り天井パネルCPの上面壁との間の上下間寸法CDの1/2ないし1/3に相当する上下方向全長SLに設定されてなり、予め天井Cの、吊下仮想軸心CLの周囲の該上座板S0の四角に穿設されたボルト通し孔S1,S1,……に対応する下面壁から垂下されたスタッドボルトS5,S5,……に対し、該上座板S0のボルト通し孔S1,S1,……を下がわから装着され、同上座板S0のボルト通し孔S1,S1,……から露出し、同上座板S0の下面壁より下向きに突出された各スタッドボルトS5,S5,……にナットS7,S7,……が螺着され、該スペーサーSが、天井Cの下面壁に対し強固に結合、垂下されたものとなる。
各スタッドボルトS5,S5,……は、
図13に示すような、アンカーボルトS6,S6,……に置き換えられたものとすることが可能である。
【0047】
同
図1ないし
図4および
図8に示すように、耐震懸架機構3の緩衝吊り座30は、当該スペーサーSの下座板S3と同じく縦パネル7の前後方向に短辺が向けられ、長辺が左右方向端間幅PWの方向に向けられた水平な長方形をなし、四角にボルト通し孔31,31,……が穿設され、該長方形の左右方向端間幅SWの中央であって同長方形の重心位置(中央)よりも後方寄りとなる該吊下仮想軸心CLに一致する位置に相当する位置の左右がわに隣接する位置から、該吊下仮想軸心CLに交叉する水平方向に貫通する水平軸孔33が穿設された左右一対の下部連結端32としての舌片32,32が垂下、一体化されてなり、該緩衝吊り座30の上面壁が、当該スペーサーSの下座板S3の下面壁に対して対峙され、各ボルト通し孔31,31,……の夫々に先端を上向きとされた各吊りボルトS8,S8,……の先端がわが縦貫され、同緩衝吊り座30の上面壁から上向きに突出された各吊りボルトS8,S8,……の先端から中途部に対し、緩衝弾性部SA,SA,……としてのコイル圧縮バネ製の緩衝弾性筒SA,SA,……が夫々同心上に装着された上、各緩衝弾性筒SA,SA,……を当該スペーサーSの下座板S3と該緩衝吊り座30との間に挟み込むよう、各吊りボルトS8,S8,……の先端がわが、当該スペーサーSの下座板S3の四角のボルト通し孔S4,S4,……に貫通され、当該スペーサーSの下座板S3の上面壁から上向きに突出された各吊りボルトS8,S8,……の先端に、夫々ナットS7,S7,……が螺着され、各緩衝弾性筒SA,SA,……の弾性強度を超える該吊下仮想軸心CLの方向(上下方向)の入力を受けた場合に、各緩衝弾性筒SA,SA,……が弾性的に圧縮され、外力が加わらなくなると元の状態に弾性的に復帰し、衝撃力を緩衝するものとされている。
各吊りボルトS8,S8,……は、各先端を上向きに組み込まれたものとされているが、各吊りボルトS8,S8,……の1本ないし4本全ての何れかを先端がわが下向きに組み込まれたものとした場合にも同様の機能を発揮するものとなる。
【0048】
図1ないし
図7および
図9に示すように、長さ調節機構4は、耐震懸架機構3の緩衝吊り座30の下部連結端としての舌片32,32に接続され、吊下仮想軸心CLに沿って吊下される垂軸40としての垂管軸40、および、該垂管軸40の吊り天井パネルCPよりも上がわに配されることとなる中途部から下端の範囲に、上下位置を調節可能に接続され、この吊下仮想軸心CLに沿って垂下される吊下柱6としての吊下柱管6からなり、当該垂管軸40は、建築物Bの天井Cから吊り天井パネルCPまでの上下間距離の1/2ないし1/3の長さに設定された鋼管製であって、その上端が、水平方向に貫通する水平孔41が穿設され、当該緩衝吊り座30の舌片32,32の間に配され、それら舌片32,32の水平軸孔33,33、および、水平孔41が、縦パネル7の左右方向端間幅PWの方向(水平左右方向)に同心上に配され、水平棒34としての水平ボルト34が、何れか一方の舌片32の水平軸孔33から、垂管軸40の水平孔41、および、何れか他方の舌片32の水平軸孔33に串刺しするよう挿し通され、何れか他方の舌片32の水平軸孔33から突出した水平ボルト34の先端にナットS7が螺着されたものとなっている。
【0049】
そして、該水平ボルト34には、左右の舌片32,32間に装着されるネジ山保護用のスリーブ(図示せず)が装着されたものとすることができ、垂管軸40の下端から吊下仮想軸心CLの方向(上下方向)の吊り天井パネルCPの上がわに配置されることとなる中途部に至る範囲に被着ネジ42としての外ネジ42が刻設され、同垂管軸40の中途部より先端がわが、吊り天井パネルCPに穿設された(設置、施工の際に対応箇所に穿設された)柱通し孔9に対し、該吊下仮想軸心CLの方向(上下方向)に縦貫され、該吊り天井パネルCPの柱通し孔9から下向きに露出され、同垂管軸40の下端がわの外ネジ42に対し、吊り天井パネルCPの下がわに配され、アルミニウム合金矩形管製の建具素材であって、その矩形管の上端に、この吊下仮想軸心CLに同心上に配された短尺円筒管からなり、その内周壁に該外ネジ42に螺合する螺着ネジ62としての内ネジ62が刻設された螺着筒端部61が結合され、建築物Bの吊り天井パネルCPの下面壁から床Fの上面壁までの該吊下仮想軸心CLの方向(上下方向)の距離より、受け座8の厚み寸法分短い全長に設定されてなる吊下柱管6が、同吊下柱管6の上端の該螺着筒端部61が同心上に上下方向に進退自在に螺合され、同吊下柱管6(縦パネル7)の高さを調節可能な状態に吊下されたものとなっている。
【0050】
縦パネル7の左右方向端間幅PWに、同水平左右方向端間幅PWから左右の主柱2,2の各吊下仮想軸心CL,CLまでの距離r,rを加えた水平左右方向の距離Lを隔てられた左右一対の吊下柱管6,6の上下端間の中途位置の互いに対峙する外周壁間には、縦パネル7の左右端が、各吊下仮想軸心CL,CLの間に同縦パネル7の重心が配されるよう横架、結合され、
図1,
図2、
図5,
図6および
図9に示すように、夫々の吊下柱管6の下端には、水平面矩形の下端開口63,63が、受け座8の後述する支持凸部81に嵌合する平面矩形断面状に開口されたものとされ、該受け座8は、その下面壁が建築物Bの床Fの上面壁に接合される長方形の平板状であって四角にボルト通し孔80,80,……が、吊下仮想軸心CLに平行となる鉛直方向に穿設され、予め床Fに植設されたスタッドボルトS5,S5,……に各ボルト通し孔80,80,……が装着され、各ボルト通し孔80,80,……より上向きに突出されたスタッドボルトS5,S5,……の各先端にナットS7,S7,……が螺着され、強固に締め付けられ、該受け座8の水平左右方向端間幅8Wの中央であって該長方形の前後方向の重心位置(中央)よりも後方寄り((
図6中に示す前部長FL>後部長RL)の該吊下仮想軸心CLに同心上となる位置に相当する上面壁から、当該吊下柱管6の下端開口63に上向きに嵌合する立方体または直方体形状の支持凸部81が突起され、左右の受け座8,8の各支持凸部81,81が、左右の吊下柱管6,6の下端に夫々嵌合されたものとなっている。
【0051】
図1,
図2および
図7に示すように、縦パネル7は、前位黒板76および後位黒板77を有し、例えば、前位黒板76を引き下げるよう操作すると、後位黒板77が自動的に上昇し、該前位黒板76を押し上げるよう操作すると、後位黒板77が自動的に降下するよう図示しない滑車機構が設けられた上下式黒板7とされ、該上下式黒板7の下端には水平左右方向端間幅PWに渡ってチョーク受け74が設けられ、該チョーク受け74の下部には、同じく水平左右方向端間幅PWに渡って小物置き用の棚75が設けられたものとされ、該上下式黒板7の上下端は、夫々左右の吊下柱管6,6間に横架、結合された上端支持パイプ70および下端支持パイプ71に対しL字金具などを介して結合され、同上下式黒板7の左右端は、左右の吊下柱管6,6に結合された左端支持枠72および右端支持枠73に対しL字金具などを介して結合され、左右の吊下柱管6,6の間に上下式黒板7の重心が配されるよう該上下式黒板7が強固に横架、支持され、しかも上下式黒板7の背面壁が、耐震懸架機構3のスペーサーSの上座板S0、下座板S3、緩衝吊り座30および受け座8の夫々の後端縁に一致するか、または、夫々の後端縁よりも僅かに前方に配されたものとなっている。
【0052】
図1ないし
図6,
図12および
図13を参照して示すと、各スタッドボルトS5,S5,……、およびそれに螺着されるナットS7,S7,……は、アンカーボルトS6,S6,……に置き換えることが可能であり、各スタッドボルトS5,S5,……,ナットS7,S7,……,アンカーボルトS6,S6,……,水平ボルト34などの各種のボルト・ナット類には、座金、バネ座金、緩み止め用の二重ナット、抜け止め用のボルト先端への割ピンの貫通装着、スリーブの装着などの付加的部品(何れも図示せず。)が追加されるようにして、さらに結合強度および緩み止めの防止効果が高められたものとすることができる。
【0053】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の縦パネル装置1は、
図1ないし
図9に示すように、既存の建築物Bの天井Cおよび床Fの間であって、しかも間仕切り壁VWに沿って設置される場合には、特に、耐震懸架機構3のスペーサーSの上座板S0,下座板S3に対する繋ぎ柱S2の前後方向の位置、緩衝吊り座30の下部連結端32としての舌片32,32の水平軸孔33,33の前後方向の位置、および、受け座8の支持凸部81の前後方向の位置の夫々が、上座板S0,下座板S3,緩衝吊り座30および受け座8の各平面視長方形の重心位置よりも後方寄りとされており、換言すると、上座板S0,下座板S3,緩衝吊り座30および受け座8の前後方向長さの後方寄りとなる位置(
図6中に示す前部長FL>後部長RL)に吊下仮想軸心CLが配されたものとされ、上座板S0,下座板S3,緩衝吊り座30および受け座8の各後端が、縦パネル7としての上下式黒板7の背面壁に一致するか、または、同上下式黒板7の背面壁よりも僅かに後方となる位置に配されるよう設定されているから、上下式黒板7が、間仕切り壁VWにより接近して配されることとなり、この発明の縦パネル装置1の背後のデットスペースを最小限に留めることができる上、外観上においてもより高い安定感をもって設置されたものとすることができる。
【0054】
さらに、、
図1ないし
図6および
図9に示すように、耐震懸架機構3のスペーサーSが、設置の対象となる建築物Bの天井Cの下面壁と吊り天井パネルCPの上面壁との間の上下間寸法CDの1/2ないし1/3に相当する上下方向全長SLに設定され、緩衝吊り座30が吊りボルトS8,S8,……および緩衝弾性部SA,SA,……を介して分解自在に組み込まれる構造とされ、さらに、長さ調節機構4の垂下管40が、設置工程中の長さ調節作業を伴い、組み込まれるものとされているから、天井Cと吊り天井パネルCPとの間の上下間寸法CDに限りがある空間内に、部品同士の干渉などを避けて支障なく円滑に設置することができるものとなる。
【実施例2】
【0055】
図10に示すように、この発明の縦パネル装置1は、前記実施例1の
図1ないし
図6に示したものとは、左右の耐震懸架機構3,3および長さ調節機構4,4の互いの配置関係が上下反転されたものとすることが可能であって、上位に配された長さ調節機構4は、建築物Bの天井Cの下面壁の吊下仮想軸心CLに一致する位置に対し、スタッドボルトS5,S5,……によって結合される上座板45を有し、該上座板45の吊下仮想軸心CLに同心上の配置となる位置から、円筒形の内周壁に被着ネジ47としての内ネジ47が刻設された支持筒46が垂下、一体化された吊下座44と、建築物Bの天井Cから吊り天井パネルCPまでの上下間距離CDの1/2ないし1/3の長さに設定された鋼管製であって、その上端から高さ調節に必要となる長さ範囲の最下位となる中途部に掛けた外周壁には、この内ネジ47に対し、螺合する螺着ネジ43が刻設され、下端には、水平方向に貫通する水平孔41が穿設された垂軸40としての垂管軸40からなり、該吊下座44の支持筒46の内ネジ47に対し該垂管軸40の螺着ネジ43が上下方向に進退自在に螺合されたものとなっている。
【0056】
耐震懸架機構3は、
図1中の耐震懸架機構3の上下を反転し、緩衝吊り座30の上向きとされた舌片32,32の間に垂管軸40の下端が配され、水平棒34としての水平ボルト34・ネジ山保護用のスリーブ(図示せず)・ナットS7を介し、縦パネル7としての上下式黒板7の前後方向に揺動自在に垂下されたものとなっており、吊下仮想軸心CLに一致するように配される垂柱部36の上端に、当該緩衝吊り座30の平面形状と仮想水平面を境に対象形状をなす座版部37が一体化されてなる正面視T字断面形のT型柱35が、当該緩衝吊り座30の下向きとされた下面壁に対し、この座版部37の上面壁を対峙して配置されたものとされ、当該緩衝吊り座30の下面壁と該座版部37の上面壁との間に、前記実施例1に示した耐震懸架機構3と同様に、4本の吊りボルトS8,S8,……、ナットS7,S7,……、および、各吊りボルトS8,S8,……に対し同心上に配されたコイル圧縮バネまたはゴム管などからなる緩衝弾性部SA,SA,……としての緩衝弾性筒SA,SA,……が、各緩衝弾性筒SA,SA,……が僅かに圧縮された状態に組み込まれ、さらに、同T型柱35の垂柱部36の下端が、吊下柱管6の上端開口60に対し下向きに差し込まれ、水平方向に貫通する水平ボルト34,34によって結合されたものとなっている。
【0057】
また、前記実施例1に示したこの発明の縦パネル装置1は、
図11に示すように、左右の耐震懸架機構3,3のスペーサーS,Sが、該スペーサーSの上下長さ寸法と同等の減衰弾性部DE,DEに置き換えられたものとすることが可能であり、スタッドボルトS5,S5,……とナットS7,S7,……か、または、アンカーボルトS6,S6,……かの何れか一方によって建築物Bの天井Cの下面壁の吊下仮想軸心CL上となる位置に結合された上座板S0の下面壁の吊下仮想軸心CLに同心上となる位置に、吊下仮想軸心CLの方向の(上下方向)の振幅を減衰可能な、ガスやオイルなどの流体が封入された単筒式または複筒式などのショックアブソーバーまたはダンパーなどの何れかからなる減衰弾性部DEの上端が垂下状に植設され、同減衰弾性部DEの下端が、水平ボルト34・ネジ山保護用のスリーブ(図示せず)・ナットS7からなる水平軸、および、緩衝吊り座30の上面壁に突設された上部舌片38,38を介し、該緩衝吊り座30の上面壁の吊下仮想軸心CLに同心上となる位置に、上下式黒板7の前後方向に揺動自在となるよう軸支されたものとすることができる。
【0058】
(実施例2の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の縦パネル装置1は、
図10に示すように、建築物Bの天井Cの下面壁に吊下された長さ調節機構4の垂管軸40に対し、耐震懸架機構3が、その緩衝吊り座30および緩衝弾性部SAとしての緩衝弾性筒SAを介してT型柱35が、緩衝機能を有して懸架され、しかも該T型柱35の座版部37および垂柱部36の中途部以上が、吊り天井パネルCPの上がわに配されたものとなることから、左右の長さ調節機構4,4および左右の耐震懸架機構3,3の主要な部分が吊り天井パネルCPの上がわに隠蔽されたものとなり、該縦パネル装置1の室内がわの外観をスッキリとしたシンプルなものとすることができる上、左右の耐震懸架機構3,3が、縦パネル7がわにより近付けられたものとなっているから、大地震などによって激しく揺れ動く縦パネル7の衝撃力を、より直接的且つ効果的に緩衝するものとなる。
【0059】
また、
図11に示すように、
図1に示す左右の耐震懸架機構3,3のスペーサーS,Sが、減衰弾性部DE,DEに置き換えられてなる、この発明の縦パネル装置1によると、緩衝弾性部SA,SAとしての緩衝弾性筒SA,SAによる衝撃の緩衝作用に加え、減衰弾性部DE,DEによる減衰作用が得られるものとなり、大地震などによって激しく揺れ動く縦パネル7の衝撃力を緩衝できるのに加え、縦パネル7の振動を速やかに減衰、収束できるものとなり、共振の発生をより確実に防止して格段に耐震安全性が高められたものとなる。
【実施例3】
【0060】
この発明の縦パネル装置1は、
図1ないし
図9に示した左右の長さ調節機構4,4が、
図12に示すように、改良されたものとすることができる。
同
図12に示す、長さ調節機構4は、垂軸40としての垂管軸40と吊下柱管6との間に昇降柱Eが介在されており、該垂管軸40は、
図1ないし
図9に示したものと同様、建築物Bの天井Cから吊り天井パネルCPまでの上下間距離CDの1/2ないし1/3の長さに設定された鋼管製であって、その上端が、水平方向に貫通する水平孔41が穿設され、耐震懸架機構3の舌片32,32(
図3および
図4参照)の間に、縦パネル7(
図1参照)としての上下式黒板7の前後方向に振り子運動自在に吊下されると共に、下端ないし中途部の鉛直軸心回りに被着ネジ42としての外ネジ42が刻設されたものとされ、昇降柱Eは、その上端に、該垂管軸40の外ネジ(被着ネジ)42に対し、上下方向に進退調節可能に螺合する鉛直軸心回りの螺着ネジE0としての内ネジE0が刻設され、下端に、垂管軸40の外ネジ(被着ネジ)42の外径よりも大きな内径、および、吊下柱管6の上端に開口された上端開口60よりも小さな外径に設定された長さ調節範囲を上回る上下長さの小径管部E1を有したものとされている。
【0061】
昇降柱Eの下端の小径管部E1が、同小径管部E1の下端がわより、該吊下柱管6の上端の上端開口60に対し、上下スライド自在に遊嵌状に装着されたテレスコピック型をなすよう組み合わせられ、当該垂管軸40の下端より、同外ネジ(被着ネジ)42に対して、この昇降柱Eの上端の内ネジ(螺着ネジ)E0が、該昇降柱Eの上端が吊り天井パネルCPの下面に一致するか、または、吊り天井パネルCPの下面より上方に配されるかの何れか一方となるよう、昇降柱Eの高さ位置を調節可能に螺合された上、テレスコピック型をなす昇降柱Eの小径管部E1と、吊下柱管6の該小径管部E1に重なる範囲とがボルト・ナット52からなる仮結合機構5を介して仮結合されたものとなっている。
【0062】
仮結合機構5は、吊下柱管6の当該昇降柱Eの小径管部E1に重なる範囲の上下複数箇所(例えば2箇所)に穿設されたガイド孔50,50と、該昇降柱Eの上端が吊り天井パネルCPの下面に一致するか(この場合の柱通し孔9の直径は、該垂管軸40の下端がわ外径より僅かに大きく、同昇降柱Eの上端の外径よりも小さく設定される。)、または、吊り天井パネルCPの下面より上方に配される状態まで(この場合の柱通し孔9の直径は、該昇降柱Eの上端の外径よりも僅かに大きく設定される。)、該昇降柱Eの上端の内ネジ(螺着ネジ)E0が、垂管軸40の下端がわの外ネジ(被着ネジ)42に螺合され、高さ位置を調節された上、該ガイド孔50,50の夫々から、ドリルによるボーリングが行われ、昇降柱Eの小径管部E1に棒通し孔51,51が穿設され、それら上下のガイド孔50,50およびそれらに同心上に施工場所において加工された上下の棒通し孔51,51の上下夫々に、ボルト・ナット52,52が装着され、強固に締め付け固定され、吊下柱管6とこの昇降柱Eとが摺動不能に仮結合されたものとすることができる。
【0063】
また、この発明の縦パネル装置1は、
図1ないし
図9に示した左右の長さ調節機構4,4が、
図13に示すように、改良されたものとすることができる。
同
図13に示す、長さ調節機構4は、垂管軸40と吊下柱管6との間に、昇降柱Eが介在されており、該垂管軸40は、
図1ないし
図9に示したものと同様に、建築物Bの天井Cから吊り天井パネルCPまでの上下間距離CDの1/2ないし1/3の長さに設定された鋼管製であって、その上端が、水平方向に貫通する水平孔41が穿設され、耐震懸架機構3の舌片32,32(
図3および
図4参照)の間に、縦パネル7(
図1参照)としての上下式黒板7の前後方向に振り子運動自在に吊下され、下端ないし中途部の鉛直軸心回りに被着ネジ42としての外ネジ42が刻設されたものとされており、昇降柱Eは、その上端に垂管軸40の外ネジ(被着ネジ)42に対し、上下方向に進退調節可能に螺合する鉛直軸心回りの螺着ネジE0としての内ネジE0が刻設され、下端に、吊下柱管6の少なくとも上端の外径よりも大きな内径に設定された長さ調節範囲を上回る上下長さのカバー管部E2を有したものとされ、また、吊下柱管6の上端がわは、上下式黒板7の上端よりも上方に向け、長さ調節範囲を上回る上下長さ分、吊下仮想軸心CLに沿ってさらに延伸され、昇降柱Eの昇降移動範囲が確保されたものとされている。
【0064】
昇降柱Eのカバー管部E2は、同カバー管部E2の下端がわより、吊下柱管6の上端に対し、上下スライド自在に遊嵌状に外装されたテレスコピック型をなすよう組み合わせられ、当該垂管軸40の下端より、同外ネジ(被着ネジ)42に対し、該昇降柱Eの上端の内ネジ(螺着ネジ)E0が、同昇降柱Eの上端が吊り天井パネルCPの下面に一致するか(この場合の柱通し孔9の直径は、垂管軸40の下端がわ外径より僅かに大きく、昇降柱Eの上端の外径よりも小さく設定される。)、または、吊り天井パネルCPの下面より上方に配されるか(この場合の柱通し孔9の直径は、昇降柱Eの上端の外径よりも僅かに大きく設定されることとなる。)の何れか一方となるよう、当該昇降柱Eの高さ位置を調節可能に螺合された上、テレスコピック型をなす昇降柱Eのカバー管部E2と、吊下柱管6のカバー管部E2に覆われた範囲とがボルト・ナット52からなる仮結合機構5を介して仮結合されたものとなっている。
【0065】
仮結合機構5は、昇降柱Eのカバー管部E2の吊下柱管6を覆う範囲の上下複数箇所(例えば2箇所)に穿設されたガイド孔50,50と、この昇降柱Eの上端が吊り天井パネルCPの下面に一致するか(この場合の柱通し孔9の直径は、垂管軸40の下端がわ外径より僅かに大きく、昇降柱Eの上端の外径よりも小さく設定される。)、または、吊り天井パネルCPの下面より上方に配される状態まで(この場合の柱通し孔9の直径は、昇降柱Eの上端の外径よりも僅かに大きく設定される。)、該昇降柱Eの上端の内ネジ(螺着ネジ)E0が、垂管軸40の下端がわの外ネジ(被着ネジ)42に螺合され、高さ位置を調節された上、該ガイド孔50,50の夫々から、ドリルによるボーリングが行われ、該ガイド孔50,50の夫々に対応する該吊下柱管6に棒通し孔51,51が穿設され、それら上下のガイド孔50,50およびそれらに同心上に加工された上下の棒通し孔51,51の夫々に、ボルト・ナット52,52が装着され、強固に締め付け固定され、吊下柱管6と該昇降柱Eとが、吊下仮想軸心CLの方向(上下方向)に摺動不能に仮結合されてなるものとすることができる。
【0066】
さらに、
図13に示すように、受け座8の支持凸部81と、吊下柱6としての吊下柱管6の下端寄りであって、該支持凸部81に嵌合される上下範囲との夫々には、少なくとも1本か、または、上下複数本かの何れか一方の、例えば2本のボルト・ナット83,83が装着可能な水平通し孔64,64,82,82が穿設されたものとされ、設置の際に建築物Bの床Fの上面壁に対し、受け座8がアンカーボルトS6,S6,……(またはスタッドボルトS5,S5,……・ナットS7,S7)によって結合され、該受け座8の支持凸部81に対し該吊下柱管6の下端開口63が吊下仮想軸心CL上に嵌合された上、各水平通し孔64,64,82,82に、ボルト・ナット83,83が装着、締め付けされたものとなり、左右の吊下柱管6,6の下端が、左右の受け座8,8に対して強固に一体化されたものとすることが可能である。
【0067】
(実施例3の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の縦パネル装置1は、
図12に示すように、吊下柱管6の上端開口60に対し昇降柱Eの小径管部E1が、テレスコピック型をなすよう互いに重なり合う部分を確保しながら伸縮するよう高さ調節可能なものとされており、昇降柱Eが、天井パネルCPの下方から、柱通し孔9を通じて室内に垂下された垂管軸40の下端がわの外ネジ(被着ネジ)42に螺合されるから、垂管軸40の外ネジ42に対する昇降柱Eの内ネジE0の締め付け作業を、天井パネルCPの上がわの狭い空間で行う必要がなく、より簡単に行えるものとなり、しかも組み立て後には、該垂管軸40の外ネジ42が、天井パネルCPおよび昇降柱Eによって室内がわからは隠蔽されたものとなるから、天井パネルCP下の昇降柱E、小径管部E1および吊下柱管6の外的美観をより高めたものとすることができる。
【0068】
さらに、
図13に示したこの発明の縦パネル装置1は、吊下柱管6の上端に対し昇降柱Eのカバー管部E2が、テレスコピック型をなすよう互いに重なり合う部分を確保しながら伸縮するよう高さ調節可能なものとされ、
図12のものと同様に、垂管軸40の下端がわの外ネジ(被着ネジ)42への昇降柱Eの内ネジE0の締め付け作業を室内がわから行えるものとなり、さらに、該垂管軸40の外ネジ42が、天井パネルCPおよび昇降柱Eによって室内がわからは隠蔽されたものとなる上、天井パネルCP下の昇降柱Eのカバー管部E2が、吊下柱管6の上端開口60を外がわから覆い隠すものとなり、吊下柱管6中への塵埃の侵入を防止すると共に、昇降柱E、バー管部E2および吊下柱管6の外的美観をより高めたものとなる。
【0069】
加えて、同
図13に示すように、受け座8の支持凸部81と、吊下柱6としての吊下柱管6の下端寄りとが、少なくとも1本か、または、上下複数本かの何れか一方の、例えば2本のボルト・ナット83,83によって強固に結合されたものは、受け座8から吊下柱管6の下端が不用意に離脱してしまうのを、より確実に防止するものとなり、また、各ボルト・ナット83,83を装着せず、支持凸部81の上下端間の(高さ)寸法を、想定される大地震の上下振幅よりも充分に大きく設定されたものとすることにより、大地震などによって吊下柱管6が大きく上下動した場合にあっても、この吊下柱管6の下端がわが支持凸部81に対して激しく上下摺動してしまうものの、該支持凸部81から下端開口63が離脱されてしまうのを、より確実に防止できるものとなる上、当該吊下柱管6から受け座8に対し、同受け座8を床Fから引き剥がそうとする力を伝達せず、これら吊下柱管6と受け座8との連結状態を維持するものとなるから、一段と安全性に優れたものとすることができる。
【0070】
(結 び)
叙述の如く、この発明の縦パネル装置は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、従前からの建築物の間仕切り壁に対して直接取り付けられたり、耐震強度を確保するために内装用の金属製柱を増強するなどしながら設置されたりしてきた縦パネル類の設置技術に比較し、その部品点数を削減し、製造から保管、輸送および設置までの作業が容易となり、しかも軽量且つ低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、耐震安全性を格段に高めたものとすることができるから、黒板や掲示版などの縦パネル類を、設置場所に制限を受けることなく、より安全且つ経済的に設置したいと希望する一般企業や各種団体、および教育機関などにおいても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【符号の説明】
【0071】
1 縦パネル装置
2 主柱
CL 同 主柱2の吊下仮想軸心
r 同 主柱2の吊下仮想軸心CLまでの距離
L 同 左右主柱2,2間の距離
3 耐震懸架機構
S スペーサー
S0 同 上座板
S1 同 ボルト通し孔
S2 同 繋ぎ柱
S3 同 下座板
S4 同 ボルト通し孔
S5 同 スタッドボルト
S6 同 アンカーボルト
S7 同 ナット
S8 同 吊りボルト
SW 同 上座板S0(下座板S3,緩衝吊り座30)の左右方向端間幅
SL 同 スペーサーの上下方向全長
FL 同 上座板S0,下座板S3、緩衝吊り座30および受け座8の前部長
RL 同 上座板S0,下座板S3、緩衝吊り座30および受け座8の後部長
SA 同 緩衝弾性筒(緩衝弾性部)
DE 同 減衰弾性部
30 同 緩衝吊り座
31 同 ボルト通し孔
32 同 舌片(下部連結端)
33 同 水平軸孔
34 同 水平ボルト(水平棒)
35 同 T型柱
36 同 垂柱部
37 同 座版部
38 同 上部舌片
4 長さ調節機構
40 同 垂管軸(垂軸)
41 同 水平孔
42 同 外ネジ(被着ネジ)
43 同 螺着ネジ
44 同 吊下座
45 同 上座板
46 同 支持筒
47 同 内ネジ(被着ネジ)、
E 昇降柱
E0 同 螺着ネジ(内ネジ)
E1 同 小径管部
E2 同 カバー管部
5 仮結合機構
50 同 ガイド孔
51 同 棒通し孔
52 同 ボルト・ナット
6 吊下柱管(吊下柱)
60 同 上端開口
61 同 螺着筒端部
62 同 内ネジ(螺着ネジ)
63 同 下端開口
64 同 水平通し孔
7 上下式黒板(縦パネル)
PW 同 上下式黒板(縦パネル)7の左右方向端間幅
70 同 上端支持パイプ
71 同 下端支持パイプ
72 同 左端支持枠
73 同 右端支持枠
74 同 チョーク受け
75 同 小物置き用の棚
76 同 前位黒板
77 同 後位黒板
8 受け座
80 同 ボルト通し孔
81 同 支持凸部
82 同 水平通し孔
83 同 ボルト・ナット
8W 同 受け座8の水平左右方向端間幅
B 建築物
R 同 屋内
C 同 天井
CP 同 吊り天井パネル
9 同 柱通し孔
F 同 床
VW 同 間仕切り壁
CD 同 天井の下面から吊り天井パネルの上面までの距離