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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】調剤管理システム、調剤管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20230927BHJP
【FI】
G16H20/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019045506
(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公開番号】P2020149276
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】中島 健
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-014865(JP,A)
【文献】特開平05-143620(JP,A)
【文献】特開2019-036356(JP,A)
【文献】特開2012-203810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象となる処方データを選択する選択処理部と、
処方データに関する薬品の受け渡しの処理済入力を受け付ける受付処理部と、
前記選択処理部により選択された前記処方データと患者が同じ処方データであって前記受付処理部により前記処理済入力が受け付けられていない処方データに関する情報を、予め定められた特定期間内に発行された第1処方データと前記特定期間外に発行された第2処方データとが区別可能な態様で表示する表示処理部と、
を備える調剤管理システム。
【請求項2】
前記表示処理部は、前記選択処理部により選択された前記処方データと患者が同じ処方データであって前記受付処理部により前記処理済入力が既に受け付けられている処方データに関する情報を、前記第1処方データと前記第2処方データとが区別可能な態様で更に表示する、
請求項1に記載の調剤管理システム。
【請求項3】
前記表示処理部は、前記受付処理部により前記処理済入力が受け付けられていない処方データと、前記受付処理部により前記処理済入力が既に受け付けられている処方データとを区別可能な態様で表示する、
請求項2に記載の調剤管理システム。
【請求項4】
前記特定期間は、前記表示処理部による表示が実行される当日である、
請求項1~3のいずれかに記載の調剤管理システム。
【請求項5】
一の患者について前記特定期間内に発行された全ての前記処方データについて前記受付処理部により前記処理済入力が受け付けられた場合に、当該処方データに関する情報を含むラベルを印刷する印刷処理部を備える、
請求項1~4のいずれかに記載の調剤管理システム。
【請求項6】
前記処方データを識別可能なコード情報を含む印刷物を発行する発行処理部を備え、
前記選択処理部は、前記コード情報がコード読取部によって読み取られた場合に当該コード情報に対応する前記処方データの選択を受け付ける、
請求項1~5のいずれかに記載の調剤管理システム。
【請求項7】
前記受付処理部は、前記処方データに対応する薬品の引換券に印刷される引換コード情報と、当該処方データに対応する薬品が収容される薬袋に印刷される薬袋コード情報とがコード読取部によって連続して読み取られた場合に、当該コード情報に対応する前記処方データの処理済入力を受け付ける、
請求項6に記載の調剤管理システム。
【請求項8】
前記第2処方データは、当該第2処方データの発行日に患者に渡されずに残った残置薬に対応するデータである、
請求項1~7に記載の調剤管理システム。
【請求項9】
処理対象となる処方データを選択するステップと、
処方データに関する薬品の受け渡しの処理済入力を受け付けるステップと、
選択された前記処方データと患者が同じ処方データであって前記処理済入力が受け付けられていない処方データに関する情報を、予め定められた特定期間内に発行された第1処方データと前記特定期間外に発行された第2処方データとが区別可能な態様で表示するステップと、
をコンピュータに実行させるための調剤管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院等の医療機関における薬品の調剤業務などを管理する調剤管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院等の医療機関では、医師によって処方内容が電子カルテシステム等に入力されることにより処方データが発行される。そして、処方データに基づいて調剤された薬品は、投薬窓口で患者に渡される。なお、医療機関において行われる調剤業務などを管理するための調剤管理システムが従来から知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-130226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、処方データの発行日に患者が投薬窓口に薬品を取りに来なかった場合、その薬品は、患者に渡されずに残った残置薬として医療機関で保管されることになる。なお、残置薬は、その患者が次に投薬窓口に来た際に渡されることが望ましい。しかしながら、投薬窓口の担当者は、患者各々に対応する残置薬の有無などを容易に把握することができず、投薬窓口における業務効率が悪いという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、患者に対応する残置薬の有無などを容易に把握することが可能な調剤管理システム及び調剤管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る調剤管理システムは、処方データに関する薬品の受け渡しの処理済入力を受け付ける受付処理部と、処理対象となる前記処方データを選択する選択処理部と、前記選択処理部により選択された前記処方データと患者が同じ処方データであって前記受付処理部により前記処理済入力が受け付けられていない処方データに関する情報を、予め定められた特定期間内に発行された第1処方データと前記特定期間外に発行された第2処方データとが区別可能な態様で表示する表示処理部と、を備える。
【0007】
本発明に係る調剤管理プログラムは、処方データに関する薬品の受け渡しの処理済入力を受け付けるステップと、処理対象となる前記処方データを選択するステップと、選択された前記処方データと患者が同じ処方データであって前記処理済入力が受け付けられていない処方データに関する情報を、予め定められた特定期間内に発行された第1処方データと前記特定期間外に発行された第2処方データとが区別可能な態様で表示するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、患者に対応する残置薬の有無を容易に把握することが可能な調剤管理システム及び調剤管理プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る調剤管理システムの概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る調剤管理システムで使用される処方管理情報の一例を示す図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る調剤管理システムで使用される調剤管理処理の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る調剤管理システムで発行される薬袋の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る調剤管理システムで発行される引換券の一例を示す図である。
図6A図6Aは、本発明の実施の形態に係る調剤管理システムで実行される投薬窓口支援処理の一例を示すフローチャートである。
図6B図6Bは、本発明の実施の形態に係る調剤管理システムで実行される投薬窓口支援処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る調剤管理システムで投薬窓口画面の表示例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施の形態に係る調剤管理システムで投薬窓口画面の表示例を示す図である。
図9図9は、本発明の実施の形態に係る調剤管理システムで投薬窓口画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0011】
[調剤管理システム1]
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る調剤管理システム1は、サーバー2、クライアント端末3などを備える。サーバー2及びクライアント端末3は、LAN、WAN、インターネット、又はイントラネットなどの通信網N1を介して無線又は有線で通信可能に接続されている。また、サーバー2には、上位システム6、調剤機器7、プリンタ8などが通信網N1を介して接続されている。
【0012】
上位システム6は、医師により登録される処方データをサーバー2に入力する電子カルテシステム又は処方入力端末などである。前記処方データには、例えば「処方ID」、「患者ID」、「引換券番号」、「オーダーNo.」、「処方区分」、「バーコード情報」、「処方発行日」、「患者名」、「患者生年月日」、「薬品情報(薬品コード、薬品名、用量など)」、「剤形情報(内服、外用など)」、「用法情報(1日3回毎食後など)」、「診療種別(外来、入院など)」、「診療科」、「病棟」、及び「病室」などの情報が含まれる。なお、上位システム6では、前記処方データの処方発行日において連番となるように引換券番号が採番される。即ち、前記処方データは、処方発行日及び引換券番号の組み合わせにより識別可能である。なお、他の実施形態として、サーバー2側で制御部21によって引換券番号が処方発行日ごとに採番され、前記処方データに付加されることも考えられる。
【0013】
調剤機器7は、サーバー2から入力される調剤データに基づいて薬品を調剤するために使用される。例えば、調剤機器7は、錠剤分包機、散薬分包機、水剤分注機、シート払出装置、ピッキング補助装置、抗がん剤調製支援システム、混注装置、薬剤秤量装置、調剤鑑査装置、及び鑑別装置などである。
【0014】
プリンタ8は、サーバー2又はクライアント端末3から受信するプリントデータに基づいて各種の情報を印刷するために用いられる。具体的に、薬品を調剤する調剤室に配置されたプリンタ8は、前記処方データに基づく調剤を行うための情報が記載された処方箋、及び、前記処方データに基づく調剤後の薬品が収容される薬袋などの印刷物の印刷に用いられる。また、患者が会計を行う会計窓口に配置されたプリンタ8は、患者が投薬窓口で薬品を受け取るために必要な引換券などの印刷物の印刷に用いられる。
【0015】
[クライアント端末3]
図1に示すように、クライアント端末3は、制御部31、データ記憶部32、通信インターフェース33、表示部34、操作部35、及びバーコードリーダー36などを備えるパーソナルコンピュータである。クライアント端末3に設けられた各構成要素はバス30によって接続されている。
【0016】
クライアント端末3は、調剤管理システム1が使用される医療機関において、薬品の調剤が行われる調剤室、薬品が患者に渡される投薬窓口、会計が行われる会計窓口などに設置される。以下、前記調剤室、前記投薬窓口、前記会計窓口にそれぞれ設置されたクライアント端末3を区別する場合には、クライアント端末3A、クライアント端末3B、クライアント端末3Cと称することがある。また、サーバー2では、クライアント端末3各々の設置場所を示す情報(例えばIPアドレス等)が予め設定されており、制御部21はサーバー2にアクセスするクライアント端末3各々の設置場所を認識可能である。なお、クライアント端末3各々には、設置場所に応じて異なるアプリケーションプログラムが記憶されていてもよい。
【0017】
制御部31は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROM(登録商標、以下同様)などの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部21は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又はデータ記憶部32に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
【0018】
通信インターフェース33は、通信網N1を介してサーバー2等との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行するネットワークカード等を有する。
【0019】
表示部34は、制御部31からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示手段である。また、表示部34は、制御部31からの制御指示に従って音声を出力するスピーカー等も備える。
【0020】
操作部35は、クライアント端末3に各種の情報を入力するためにユーザーによって操作されるキーボード及びマウス(ポインティングデバイス)などの操作手段である。また、操作部35は、表示部34の表示画面に対するタッチ操作を受け付けるタッチパネル、又は音声認識により各種情報の入力を受け付ける音声入力装置であってもよい。クライアント端末3において、薬剤師等のユーザーによる「操作」、「選択」、「入力」などの作業は操作部35を用いて行われる。
【0021】
バーコードリーダー36は、バーコード等の一次元コード又はQRコード(登録商標)等の二次元コードのようなコード情報を読み取るコード読取部の一例である。具体的に、クライアント端末3において、バーコードリーダー36は、処方箋、前記薬袋、前記引換券などから、処方データを識別可能な処方識別情報を示すコード情報を読み取るために用いられる。バーコードリーダー36で読み取られるコード情報は制御部31に入力され、制御部31によってサーバー2に送信される。
【0022】
[サーバー2]
図1に示すように、サーバー2は、制御部21、データ記憶部22、通信インターフェース23、表示部24、操作部25、及びドライブ装置26などを備えるパーソナルコンピュータである。サーバー2に設けられた各構成要素はバス20によって接続されている。なお、サーバー2は、調剤管理システム1が使用される医療機関等の外部に設けられてもよい。
【0023】
通信インターフェース23は、通信網N1を介してクライアント端末3、上位システム6、及び調剤機器7等との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行するネットワークカード等を有する。
【0024】
表示部24は、制御部21からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示手段である。操作部25は、サーバー2に各種の情報を入力するためにユーザーによって操作されるキーボード、マウス(ポインティングデバイス)、タッチパネルなどの操作手段である。
【0025】
ドライブ装置26は、後述の投薬窓口支援処理(図5参照)などを制御部21に実行させるための調剤管理プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体27から前記調剤管理プログラムを読み取ることが可能である。記録媒体27は、CD、DVD、BD、又はUSBメモリなどである。サーバー2では、制御部21により、記録媒体27からドライブ装置26で読み取られた前記調剤管理プログラムがデータ記憶部22にインストールされる。
【0026】
制御部21は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROM(登録商標、以下同様)などの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部21は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又はデータ記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
【0027】
データ記憶部22は、制御部21によって実行される各種のアプリケーションプログラム及び各種のデータを記憶するハードディスク又はSSD等の不揮発性の記憶手段である。具体的に、データ記憶部22には前記調剤管理プログラムが記憶されている。
【0028】
また、データ記憶部22には、薬品マスター、患者マスター、薬剤師マスター、処方箋区分マスター、診療科マスター、及び病棟マスターなどの各種データベースも記憶されている。例えば、前記薬品マスターには、薬品コード、薬品名、JANコード(又はRSS)、薬瓶コード、区分(剤形:散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、比重、薬品種(普通薬、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項などの情報が含まれる。また、前記患者マスターには、患者各々の患者ID、氏名、性別、年齢、既往歴、家族情報、診療科、病棟、及び病室などの情報が含まれる。
【0029】
また、データ記憶部22は、処方データ記憶部221及び管理データ記憶部222を有する。制御部21は、上位システム6から取得する処方データを処方データ記憶部221に記憶し、前記処方データ各々に基づく調剤作業の進捗に関する処方管理情報D1を管理データ記憶部222に記憶する。
【0030】
ここに、図2は処方管理情報D1の一例を示す図である。図2に示すように、処方管理情報D1には、前記処方データのうち「患者ID」、「引換券番号」、「オーダーNo.」、「処方区分」、「バーコード情報」、「処方発行日」などの情報が記憶されている。また、処方管理情報D1には、前記処方データに基づく調剤が完了したこと及びその日時を示す情報として「調剤完了日時」、前記処方データに基づいて調剤された薬品が患者に渡されたこと及びその日時を示す情報として「投薬完了日時」なども記録される。なお、本実施形態では、前記処方データと処方管理情報D1とは別の情報であるが、他の実施形態として、処方管理情報D1の情報が前記処方データの一部の情報として扱われてもよい。
【0031】
ところで、処方データの発行日に患者が投薬窓口に薬品を取りに来なかった場合、その薬品は、患者に渡されずに残った残置薬として医療機関で保管されることになる。なお、残置薬は、その患者が次に投薬窓口に来た際に渡されることが望ましい。しかしながら、投薬窓口の担当者は、患者各々に対応する残置薬の有無などを容易に把握することができず、投薬窓口における業務効率が悪いという問題がある。これに対し、本実施形態に係る調剤管理システム1では、患者に対応する残置薬の有無などを容易に把握することが可能である。
【0032】
具体的に、図1に示されるように、サーバー2の制御部21は、受付処理部211、選択処理部212、表示処理部213、発行処理部214、印刷処理部215などを含む。なお、制御部21は、データ記憶部22に記憶されている調剤管理プログラムに従って各種の処理を実行することにより各種の処理部として機能する。また、前記各種の処理部の機能は、調剤管理システム1において、サーバー2及びクライアント端末3が協働して実現されてもよい。なお、前記各種の処理部が個別の電子回路で構成されていてもよい。
【0033】
受付処理部211は、処方データに関する薬品の受け渡しの処理済入力を受け付ける。例えば、受付処理部211は、前記薬袋からバーコードリーダー36によって読み取られるコード情報と、前記引換券からバーコードリーダー36によって読み取られるコード情報とが同一の処方データを示す場合に、当該処方データについて処理済入力を受け付けたと判断する。なお、前記薬袋及び前記引換券に印刷されるコード情報が同一である場合、受付処理部211は、バーコードリーダー36によって同一の前記コード情報が連続して2回読み取られることを、当該コード情報に対応する前記処方データについての処理済操作として受け付けてもよい。
【0034】
選択処理部212は、処理対象となる前記処方データを選択する。具体的に、選択処理部212は、バーコードリーダー36によって前記引換券から後述の引換バーコードD3が読み取られることにより、当該引換バーコードD3が示す前記処方データを処理対象として選択する。また、選択処理部212は、操作部35に対する所定のユーザー操作により前記処方データを選択する操作を受け付けた場合に、当該処方データを処理対象として選択してもよい。
【0035】
表示処理部213は、選択処理部212により選択された前記処方データと患者が同じ処方データであって受付処理部211により前記処理済入力が受け付けられていない処方データに関する情報を、予め定められた特定期間内に発行された第1処方データと前記特定期間外に発行された第2処方データとが区別可能な態様で表示する。具体的に、表示処理部213は、発行日が前記特定期間内である第1処方データと前記特定期間外である第2処方データとを区別可能な態様で表示させるための表示データをクライアント端末3Bに送信することにより、当該クライアント端末3Bの表示部34に表示させる。本実施形態では、前記特定期間が、表示処理部213による表示が実行される当日である場合を例に挙げて説明する。なお、以下では、表示処理部213による表示が実行される日を単に「当日」と称することがある。
【0036】
発行処理部214は、前記処方データを識別可能なコード情報を発行する。具体的に、発行処理部214は、前記処方データに対応する処方発行日及び引換券番号を含むコード情報を発行する。なお、前記コード情報は、前記処方データを識別可能な情報であれば、これに限らず、例えば前記処方データに対応する処方ID及び患者IDなどの他の情報であってもよい。
【0037】
印刷処理部215は、一の患者について前記特定期間内に発行された全ての前記処方データについて受付処理部211により処理済入力が受け付けられた場合に、当該処方データに関する情報を含むラベルを印刷する。換言すれば、印刷処理部215は、一の患者について前記特定期間内に発行された全ての前記処方データについて受付処理部211により処理済入力が受け付けられていない場合には、当該処方データに関する情報を含むラベルを印刷しない。なお、前記ラベルは、患者の薬品の服用履歴などを管理するために用いられるおくすり手帳とも称される手帳に貼付される目的で使用される。また、印刷処理部215は、前記処方データが、投薬窓口で前記ラベルを発行する必要のあるおくすり手帳発行対象であるか否かを判定し、おくすり手帳発行対象である場合にのみ前記ラベルを印刷してもよい。
【0038】
[調剤管理処理]
以下、図3を参照しつつ、サーバー2の制御部21によって実行される調剤管理処理の手順の一例について説明する。
【0039】
<ステップS11>
ステップS11において、制御部21は、上位システム6から処方データを取得したか否かを判断する。ここで、前記処方データを取得したと判断されると(S11:Yes)
と、処理がステップS12に移行し、前記処方データを取得していないと判断されると(S11:No)、処理がステップS14に移行する。
【0040】
<ステップS12>
ステップS12において、制御部21は、前記ステップS11で取得したと判断された前記処方データを処方データ記憶部221に記憶すると共に、当該処方データに対応する処方管理情報D1を生成して管理データ記憶部222に記憶する。なお、この時点では、処方管理情報D1における調剤完了日時、投薬完了日時には情報が記録されていない。
【0041】
<ステップS13>
ステップS13において、制御部21は、前記ステップS11で取得したと判断された前記処方データを識別可能なコード情報が記される処方箋及び前記薬袋を発行する処理を実行する。なお、係る処理は制御部21の発行処理部214によって実行される。
【0042】
具体的に、制御部21は、前記処方データに対応するコード情報が記される処方箋及び前記薬袋のプリントデータを生成し、前記調剤室などに設けられたプリンタ8に送信することにより、当該プリンタ8を用いて処方箋及び前記薬袋を印刷する。なお、制御部21は、前記プリントデータを調剤室のクライアント端末3Aに送信し、当該クライアント端末3Aに当該プリントデータを印刷するための処理を実行させてもよい。
【0043】
ここに、図4は、前記ステップS13における前記薬袋の印刷結果の一例を示す図である。図4に示されるように、前記薬袋には、患者名、用法、用量、処方薬などの情報が印刷される。また、前記薬袋には、当該薬袋に収容される薬品に対応する処方データを識別可能なコード情報であって、当該コード情報が前記薬袋に印刷されたものであることを示す情報を含む薬袋コード情報として薬袋バーコードD2が印刷される。具体的に、薬袋バーコードD2では、前記処方データの処方発行日及び引換券番号などが含まれる。例えば、薬袋バーコードD2は、処方データの処方発行日を示す8桁の数字(例えば20180101)と、引換券番号を示す4桁の数字(例えば0001)と、薬袋である旨を示す1桁の文字(たとえば「Y」)とを含む情報であることが考えられる。なお、薬袋バーコードD2には、薬袋バーコードD2と前記引換券に印刷される後述の引換バーコードD3とを区別するための情報として、薬袋である旨を示す文字に代えて、発行元を示す情報が含まれていてもよい。
【0044】
<ステップS14>
ステップS14において、制御部21は、前記処方データに基づく調剤が完了したか否かを判断する。ここで、調剤が完了したと判断されると(S14:Yes)、処理がステップS15に移行し、調剤が完了していないと判断されると(S14:No)、処理がステップS16に移行する。
【0045】
例えば、制御部21は、前記処方データに基づく調剤の完了通知を調剤機器7から受信した場合に、当該処方データに基づく調剤が完了したと判断することが考えられる。また、調剤機器7で自動的に調剤することができない処方データについては、薬剤師によって手作業で調剤が行われるため、当該処方データに基づく調剤の完了通知は、クライアント端末3Aに対するユーザー操作に応じて送信されることが考えられる。この場合、制御部21は、クライアント端末3Aからの完了通知の受信に応じて前記処方データに基づく調剤が完了したと判断する。なお、前記完了通知は、調剤後の薬品の鑑査が行われたときに、クライアント端末3Aに対するユーザー操作に応じて送信されてもよい。
【0046】
<ステップS15>
ステップS15において、制御部21は、前記ステップS14で調剤が完了したと判断された前記処方データに対応する処方管理情報D1を更新する。具体的に、制御部21は、前記処方データに対応する処方管理情報D1における調剤完了日時に現在の日時を記録する。これにより、制御部21は、前記処方データ各々について調剤が完了しているか否かを処方管理情報D1に基づいて判断することが可能である。
【0047】
<ステップS16>
ステップS16において、制御部21は、患者による会計が完了したか否かを判断する。ここで、会計が完了したと判断されると(S16:Yes)、処理がステップS17に移行し、会計が完了していないと判断されると(S16:No)、処理がステップS18に移行する。
【0048】
<ステップS17>
ステップS17において、制御部21は、前記ステップS16で会計が終了したと判断された患者の前記処方データを識別可能なコード情報を含む引換券を発行する処理を実行する。係る処理は、制御部21の発行処理部214によって実行される。なお、制御部21は、前記ステップS16で会計が終了したと判断された患者について未だ印刷されていない引換券が存在する場合に当該引換券を印刷し、当該患者について未だ印刷されていない引換券が存在しない場合には当該引換券が印刷されない。例えば、前記処方データが発行されていない患者については引換券が印刷されない。
【0049】
具体的に、制御部21は、前記処方データに対応するコード情報を含む引換券のプリントデータを生成し、前記会計窓口に設けられたプリンタ8に送信することにより、当該プリンタ8を用いて引換券を印刷する。なお、制御部21は、前記プリントデータを会計窓口のクライアント端末3Cに送信し、当該クライアント端末3Cに当該プリントデータを印刷するための処理を実行させてもよい。
【0050】
ここに、図5は、前記ステップS13における前記引換券の印刷結果の一例を示す図である。図5に示されるように、前記引換券には、患者名及び引換券番号などの情報が印刷される。また、前記引換券には、当該引換券に対応する処方データを識別可能な引換コード情報として引換バーコードD3が印刷される。具体的に、引換バーコードD3では、前記処方データの処方発行日及び引換券番号などが含まれる。例えば、引換バーコードD3は、処方データの処方発行を示す8桁の数字(例えば20180101)と、引換券番号の4桁の数字(例えば0001)とを含む情報であることが考えられる。即ち、引換バーコードD3は、薬袋バーコードD2には含まれている薬袋である旨を示す文字(たとえば「Y」)が含まれていないことで、引換券に印刷されたコード情報である旨を示す。なお、引換バーコードD3には、引換バーコードD3と薬袋バーコードD2とを区別するための情報として、引換券である旨を示す文字が含まれていてもよく、引換バーコードD3の発行元を示す情報が含まれていてもよい。
【0051】
<ステップS18>
ステップS18において、制御部21は、前記処方データに基づいて調剤された薬品が投薬窓口で投薬可能となったか否かを判断する。例えば、制御部21は、投薬窓口に設けられているクライアント端末3Bにおいてバーコードリーダー36を用いて前記薬袋から薬袋バーコードD2が読み取られた場合に、投薬窓口で投薬可能となったと判断することが考えられる。ここで、前記薬袋が投薬窓口に到着したと判断されると(S18:Yes)、処理がステップS19に移行し、前記薬袋が投薬窓口に到着したと判断されなければ(S18:No)、処理が前記ステップS11に戻される。
【0052】
<ステップS19>
ステップS19において、制御部21は、前記ステップS18で前記薬袋が到着したと判断された前記処方データに対応する引換券番号を患者に報知する。具体的に、制御部21は、患者の待合場所に配置される表示装置又は音声再生装置などを用いて、引換券番号を患者に報知する。これにより、報知された引換券番号に対応する前記引換券を有する患者が投薬窓口で薬品を受け取ることになる。
【0053】
[投薬窓口支援処理]
続いて、図6A及び図6Bを参照しつつ、サーバー2の制御部21によって実行される投薬窓口支援処理の手順の一例について説明する。具体的に、制御部21は、投薬窓口に配置されているクライアント端末3Bからアクセスされた場合に、当該投薬窓口支援処理を実行する。また、他の実施形態として、予め投薬窓口の担当者として設定されたユーザーがクライアント端末3にログインした状態で当該クライアント端末3からアクセスされた場合に当該投薬窓口支援処理を実行してもよい。なお、前記ログインの処理はサーバー2の制御部21によって行われてもよい。
【0054】
ところで、本実施形態では、調剤管理システム1が、サーバー2とクライアント端末3との間で各種のデータ通信が実行されることにより前記投薬窓口支援処理を実行するサーバクライアントシステムである場合を例に挙げて説明する。即ち、当該投薬窓口支援処理における各種情報の入力、選択、読み取りなどの各種の操作は、クライアント端末3Bの操作部35又はバーコードリーダー36を用いて行われ、当該操作の内容が制御部31から制御部21に送信されることにより当該制御部21で各種の操作が受け付けられる。また、当該投薬窓口支援処理における各種情報の表示の内容が制御部21から制御部31に送信されることにより当該制御部31で表示部34に情報が表示される。一方、他の実施形態として、クライアント端末3の制御部31がサーバー2から必要な情報を取得しつつ前記投薬窓口支援処理を実行することも考えられる。この場合、クライアント端末3を本発明に係る調剤管理システムとして捉えることもできる。
【0055】
<ステップS30>
ステップS30において、制御部21は、投薬窓口における業務を支援するために用いられる投薬窓口画面P1を表示する。具体的に、制御部21は、投薬窓口画面P1に対応する表示データをクライアント端末3Bに送信することにより、当該投薬窓口画面P1をクライアント端末3Bの表示部34に表示させる。
【0056】
ここに、図7は、投薬窓口画面P1の一例を示す図である。図7に示されるように、制御部21は、投薬窓口画面P1に、表示領域A11、A12、A13、A21、A22、及び操作キーK11、K12、K13などを表示させる。なお、図7に示されるように、前記ステップS30で表示される投薬窓口画面P1では各種の表示項目が空白の状態である。
【0057】
表示領域A11には、引換券番号、患者IDを入力可能な入力欄が表示されている。表示領域A12には、表示領域A11に表示される前記患者IDに対応する患者名が表示される。表示領域A13には、当該投薬窓口支援処理の実行当日の日付情報が表示される。
【0058】
また、制御部21は、クライアント端末3Bの操作部35の操作に応じて、表示領域A11の前記入力欄に引換券番号、患者IDをそれぞれ入力可能である。また、制御部21は、クライアント端末3Bのバーコードリーダー36によって前記引換券から引換バーコードD3が読み取られた場合に、当該引換バーコードD3が示す処方データに対応する引換券番号、当該引換券番号に対応する患者IDを前記入力欄にそれぞれ入力可能である。さらに、制御部21は、クライアント端末3Bのバーコードリーダー36によって前記薬袋からバーコードD2が読み取られた場合に、当該バーコードD2が示す処方データに対応する引換券番号、当該引換券番号に対応する患者IDを前記入力欄にそれぞれ入力可能である。
【0059】
表示領域A21及び表示領域A22は、投薬窓口画面P1において左右に並べて表示されている。表示領域A21には、表示領域A11、A12に表示されている患者について発行されている処方データのうち、処方発行日が当日である第1処方データが表示される。また、表示領域A22には、表示領域A11、A12に表示されている患者について発行されている処方データのうち、処方発行日が前日以前である第2処方データが表示される。なお、表示領域A21、A22の表示例(図13参照)については、後段のステップS36と共に説明する。
【0060】
また、制御部21は、ユーザーが操作部35に対して行う操作キーK11、K12、K13の操作を受け付けて対応する処理を実行することが可能である。具体的に、制御部21は、操作キーK11の操作に応じて、処理対象として選択されている処方データについて処理済入力を受け付ける受付処理を実行する。また、制御部21は、操作キーK12の操作に応じて、処理対象の処方データが既に処理済状態である場合に、その受け付けを解除して未処理状態にする取消処理を実行する。具体的に、制御部21は、前記処方データに対応する処方管理情報D1に記録されている投薬完了日時の情報を消去することにより、当該処方データを未処理状態にする。さらに、制御部21は、操作キーK13の操作に応じて、処理対象の処方データについての処理を解除して処理を中断する中断処理を実行する。なお、制御部21は、表示領域A21、A22において処方データを選択するための操作を受け付けた場合に当該処方データを処理対象として選択してもよい。
【0061】
<ステップS31>
ステップS31において、制御部21は、バーコードリーダー36によって前記引換券から引換バーコードD3のコード情報が読み取られたか否かを判断する。具体的に、制御部21は、前記コード情報に、処方発行日及び引換券番号が含まれており、当該コード情報が前記薬袋のコード情報である旨を示す文字(Y)の情報が含まれていない場合に、引換バーコードD3が読み取られたと判断する。ここで、前記引換券からコード情報が読み取られていないと判断されると(S31:No)、処理がステップS32に移行し、前記引換券からコード情報が読み取られたと判断されると(S31:Yes)、処理がステップS34に移行する。
【0062】
また、前記処方データの処理状態には、前記処理済状態及び前記未処理状態の他に、当該処方データに対応する薬品が患者に先に渡されている先渡し済状態も含まれる。例えば、制御部21は、任意の処方データについての所定の先渡し操作がクライアント端末3C等に対して行われた場合に、当該処方データを前記先渡し済状態に遷移させる。そして、制御部21は、前記ステップS31において読み取られた引換バーコードD3が、既に薬品が患者に渡されている先渡し済状態の処方データに対応するものである場合には、当該処方データに対応する薬品が先渡し済である旨をクライアント端末3Cの表示部34に表示させ、所定の警告音を表示部34で鳴動させた後、処理をステップS31に戻す。
【0063】
<ステップS32>
ステップS32において、制御部21は、バーコードリーダー36によって前記薬袋から薬袋バーコードD2のコード情報が読み取られたか否かを判断する。具体的に、制御部21は、前記コード情報に、処方発行日及び引換券番号が含まれており、且つ、当該コード情報が前記薬袋のコード情報である旨を示す文字(Y)の情報が含まれている場合に、薬袋バーコードD2が読み取られたと判断する。ここで、前記薬袋からコード情報が読み取られていないと判断されると(S32:No)、処理が前記ステップS31に戻され、前記薬袋からコード情報が読み取られたと判断されると(S32:Yes)、処理がステップS33に移行する。
【0064】
<ステップS33>
ステップS33において、制御部21は、バーコードリーダー36によって読み取られた前記コード情報が前記薬袋から読み取られたものである旨を表示部34に表示することによりユーザーに報知する。
【0065】
<ステップS34>
ステップS34において、制御部21は、前記ステップS31又はS32で読み取られたと判断された引換バーコードD3又は薬袋バーコードD2に対応する処方データを処理対象として選択する。ここに、係る処理は制御部21の選択処理部212によって実行される。なお、他の実施形態として、引換バーコードD3が読み取られた場合にのみ、当該引換バーコードD3に対応する処方データを処理対象として選択し、薬袋バーコードD2が読み取られた場合にのみ、当該薬袋バーコードD2に対応する処方データを処理対象として選択しないことも考えられる。
【0066】
<ステップS35>
ステップS35において、制御部21は、データ記憶部22の処方データ記憶部221に記憶されている処方データのうち、前記ステップS34で選択された前記処方データと患者が同じ処方データを検索する検索処理を実行する。前記検索処理における検索対象には、処方発行日が当日である処方データと、処方発行日が当日よりも前である処方データとが含まれる。また、前記検索対象には、受付処理部211により未だ処理済入力が受け付けられていない未処理状態の処方データと、処理済入力が既に受け付けられている処理済状態の処方データとが含まれる。
【0067】
<ステップS36>
ステップS36において、制御部21は、前記ステップS35による検索結果を表示するための処理を実行する。ここで、制御部21は、前記検索結果として、選択処理部212により選択された前記処方データと患者が同じ処方データであって受付処理部211により処理済入力が受け付けられていない処方データに関する情報を、当日に発行された第1処方データと当該当日よりも前に発行された第2処方データとが区別可能な態様で表示する。具体的に、制御部21は、前記検索結果を表示するための表示データを前記クライアント端末3Bに送信することにより当該クライアント端末3Bの表示部34の投薬窓口画面P1に当該検索結果を表示させる。ここに、図8は、前記検索結果が表示された投薬窓口画面P1の一例を示す図である。
【0068】
図8に示されるように、表示領域A11、A12には、前記ステップS31又はS32で読み取られた引換バーコードD3又は薬袋バーコードD2に対応する前記処方データの引換券番号、患者ID、患者名が表示されている。
【0069】
また、図8に示されるように、表示領域A21、A22には、表示領域A11、A12に表示されている患者について発行されている処方データのうち、未だ処理済入力が受け付けられていない処方データが表示される。即ち、患者が薬品を受け取っていない未交付の処方データの一覧が表示される。特に、表示領域A21には、表示領域A11、A12に表示されている患者について発行されている処方データのうち、処方発行日が当日である第1処方データが表示されている。一方、表示領域A22には、表示領域A11、A12に表示されている患者について発行されている処方データのうち、処方発行日が当日より前である第2処方データが表示されている。また、表示領域A21、A22では、処理対象として現在選択されている処方データが識別可能となるように、当該処方データの背景色が青色のような予め定められた特定の色で表示され、又は、当該処方データが選択されている旨を示す文字、記号、又はマークなどが当該処方データに対応付けて表示される。また、表示領域A21、A22では、未交付の処方データの一覧の上部に当該未交付の処方データの合計件数が表示されており、当該表示領域A21、A22では、当該合計件数の表示が固定されたまま、スクロール表示により表示対象の処方データを変更することが可能である。なお、表示領域A22では、残置薬として薬袋が保管されている未交付の処方データのうち、処方発行日から予め設定される所定の保管期間(例えば3ヶ月又は6ヶ月など)を超過した処方データは表示されない。前記所定の保管期間は、固定期間であってもよいが、ユーザー毎又は患者毎に予め設定可能であってもよい。
【0070】
このように、投薬窓口画面P1では、処理対象の処方データに対応する患者について、未だ処理済入力が受け付けられていない処方データについて、当日に発行された第1処方データに関する情報は表示領域A21に表示されると共に、当日よりも前に発行された第2処方データに関する情報は表示領域A22に表示される。これにより、ユーザーは、表示位置によって両者を容易に区別して確認することが可能である。また、当日に発行された処方データに基づく薬品を取りに来た患者について、過去に渡し漏れのあった残置薬があるか否かを容易に把握することが可能である。なお、投薬窓口画面P1において前記第1処方データ及び前記第2処方データを区別可能に表示する手法はここで説明した態様に限らず、例えば文字色、背景色、サイズ、表示位置などのいずれか一つ又は複数の組み合わせについて異なる表示態様で表示されてもよい。
【0071】
また、他の実施形態として、投薬窓口画面P1に、処理対象の処方データに対応する患者について、既に処理済入力が受け付けられた処方データが更に表示されてもよい。また、既に処理済入力が受け付けられた処方データの表示の有無が切り替え可能であってもよい。ここに、図9は、投薬窓口画面P1の他の例を示す図である。図9に示されるように、表示領域A21、A22において、前記第1処方データ及び前記第2処方データが、未だ処理済入力が受け付けられていない方データと、既に処理済入力が受け付けられている処方データとが区別可能な態様で更に表示されることが考えられる。例えば、表示領域A21、A22各々では、未だ処理済入力が受け付けられていない処方データは背景色が白色で表示され、既に処理済入力が受け付けられている処方データは背景色が灰色で表示される。ここで、表示領域A21、A22各々では、処理対象として現在選択されている処方データが識別可能となるように、当該処方データの背景色が青色のような予め定められた特定の色で表示され、又は、当該処方データが選択されている旨を示す文字、記号、又はマークなどが当該処方データに対応付けて表示される。即ち、表示領域A21、A22各々において、未だ処理済入力が受け付けられていない処方データであって処理対象として現在選択されている処方データと、未だ処理済入力が受け付けられていない他の処方データと、既に処理済入力が受け付けられている処方データとが区別可能に表示される。なお、投薬窓口画面P1において処理済入力の有無を区別可能に表示する手法はこれに限らず、例えば文字色、背景色、サイズ、表示位置などのいずれか一つ又は複数の組み合わせについて異なる表示態様で表示されてもよい。この場合にも同様に、表示領域A21、A22では、未交付の処方データの一覧の上部に当該未交付の処方データの合計件数が表示されており、当該表示領域A21、A22では、当該合計件数の表示が固定されたまま、スクロール表示により表示対象の処方データを変更することが可能である。なお、表示領域A22では、残置薬として薬袋が保管されている未交付の処方データのうち予め設定される所定の保管期間を超過した処方データは表示されない。前記所定の保管期間は、固定期間であってもよいが、ユーザー毎又は患者毎に予め設定可能であってもよい。
【0072】
さらに、他の実施形態として、投薬窓口画面P1に表示される処方データのうち処理済入力が受け付けられていない未処理状態の処方データについては、当該処方データについての調剤が完了しているか否か、又は薬品が投薬窓口に到着しているか否かなどの進捗状況が処方管理情報D1に基づいて表示されることが考えられる。
【0073】
<ステップS37>
ステップS37において、制御部21は、引換バーコードD3が読み取られたか否かを判断する。ここで、引換バーコードD3が読み取られたと判断されると(S37:Yes)、処理はステップS38に移行し、引換バーコードD3が読み取られていないと判断されると(S37:No)、処理はステップS39に移行する。
【0074】
<ステップS38>
ステップS38において、制御部21は、処理対象として選択される処方データを更新する。具体的に、制御部21は、前記ステップS37で読み取られたと判断された引換バーコードD3に対応する前記処方データを処理対象として選択する。なお、制御部21は、投薬窓口画面P1の表示領域A21、A22において、当該ステップS38における更新後の処理対象となる処方データを識別可能に表示させる。
【0075】
<ステップS39>
ステップS39において、制御部21は、薬袋バーコードD2が読み取られたか否かを判断する。ここで、薬袋バーコードD2が読み取られたと判断されると(S39:Yes)、処理はステップS40に移行し、薬袋バーコードD2が読み取られていないと判断されると(S39:No)、処理はステップS391に移行する。
【0076】
<ステップS391>
ステップS391において、制御部21は、処理対象の処方データについて処理済入力を受け付けるための手動操作が行われたか否かを判断する。具体的に、制御部21は、投薬窓口画面P1に表示されている操作キーK11が操作部35によって操作された場合に前記手動操作が行われたと判断する。ここで、前記手動操作が行われたと判断されると(S391:Yes)、処理がステップS42に移行し、前記手動操作が行われていないと判断されると(S391:No)、処理が前記ステップS37に戻される。
【0077】
<ステップS40>
ステップS40において、制御部21は、現在処理対象となっている処方データと前記ステップS39で読み取られたと判断された薬袋バーコードD2に対応する処方データとが一致するか否かを判定する照合処理を実行する。
【0078】
なお、本実施形態では、前記薬袋及び前記引換券にそれぞれ異なる薬袋バーコードD2及び引換バーコードD3が印刷される場合を例に挙げて説明する。一方、他の実施形態として、前記薬袋及び前記引換券に同一のコード情報が印刷されており、当該投薬窓口支援処理の前記ステップS40の照合処理では、同一のコード情報が連続して2回読み取られた場合に一致であると判定されることも考えられる。
【0079】
<ステップS41>
ステップS41において、制御部21は、前記ステップS40における照合結果が一致であるか否かを判断する。ここで、照合結果が一致であると判断されると(S41:Yes)、処理がステップ42に移行する。一方、制御部21は、照合結果が一致でないと判断すると(S41:No)、例えばエラーメッセージ等を表示部34に表示させ、又はエラー報知音を表示部34で鳴動させた後、処理を前記ステップS37に戻す。即ち、前記ステップS40~S41では、患者が保有する前記引換券と患者に渡されるべき前記薬袋との照合が行われることになり、患者に誤った薬品が渡されることが抑止される。
【0080】
<ステップS42>
ステップS42において、制御部21は、処理対象の処方データの処理状態を更新する。具体的に、制御部21は、処方データ記憶部221に記憶されている前記処方データに対応する処方管理情報D1における「投薬完了日時」に現在日時を記録することにより、当該処方データを処理済みにする。
【0081】
<ステップS43>
ステップS43において、制御部21は、処理対象の前記処方データと患者が同じ他の処方データの中に当日の未処理状態の処方データが存在するか否かを判断する。具体的に、制御部21は、処方データ記憶部221に記憶されている処方データのうち、処理対象の前記処方データと患者が同じで処方発行日が当日である他の処方データであって、処理状態が未処理状態である処方データが存在するか否かを判断する。ここで、当日の未処理状態の処方データが存在すると判断されると(S43:Yes)、「未処理の処方データがあります」などのメッセージが表示された後、処理が前記ステップS35に戻される。一方、当日の未処理状態の処方データが存在しないと判断されると(S43:No)、「当日の処方が完了しました」などのメッセージが表示された後、処理がステップS44に移行する。
【0082】
<ステップS44>
ステップS44において、制御部21は、必要に応じて前記ラベルを印刷する印刷処理を実行する。なお、係る処理は制御部21の印刷処理部215によって実行される。例えば、制御部21は、処理対象の前記処方データに当該処方データがおくすり手帳発行対象である旨を示す発行対象情報が含まれているか否かを判定し、前記発行対象情報が含まれている場合に、前記ステップS41で照合結果が一致であると判断された一又は複数の前記処方データに対応する前記ラベルを印刷する。一方、前記処方データがおくすり手帳発行対象である旨を示す発行対象情報が記録されていない場合には前記ラベルが印刷されない。なお、制御部21は、発行日が当日である前記処方データに限らず、発行日が当日よりも前である前記処方データについても前記ラベルを印刷してもよい。
【0083】
<ステップS45>
ステップS45において、制御部21は、処理対象の前記処方データと患者が同じ他の処方データの中に処方発行日が当日よりも前である未処理状態の処方データが存在するか否かを判断する。具体的に、制御部21は、処方データ記憶部221に記憶されている処方データのうち処理対象の前記処方データと患者が同じで処方発行日が当日よりも前である他の処方データであって、処理状態が未処理状態の処方データが存在するか否かを判断する。ここで、未処理状態の処方データが存在すると判断されると(S45:Yes)、「未処理の処方データがあります」などのメッセージが表示された後、処理が前記ステップS35に戻される。一方、未処理状態の処方データが存在しないと判断されると(S45:No)、「未処理の処方データはありません」などのメッセージが表示された後、処理対象の処方データの選択状態が解除され、処理が前記ステップS30に戻される。
【0084】
以上説明したように、本実施形態に係る調剤管理システム1によれば、患者が投薬窓口に薬品を取りに来た際に、投薬窓口の担当者は、当該患者が過去に受け取りを忘れている残置薬の有無を容易に把握することができる。特に、投薬窓口では、当日に発行された処方データに対応する薬品の薬袋と、前日までに発行された処方データに対応する残置薬の薬袋とが異なる場合に保管されていることがある。この場合でも、調剤管理システム1では、患者が薬品を取りに来た際に、当日に発行された処方データと前日までに発行された処方データとが区別可能な態様で表示される。そのため、患者が取りに来た薬品が残置薬であるか否かを容易に把握することができ、当該薬品を取り出すべき保管場所に迷わないため、投薬窓口における作業の効率化が図られる。
【0085】
また、制御部21は、任意のタイミングでユーザー操作に応じてクライアント端末3Cから保管期間超過検索要求を受け付けた場合に、処方データ記憶部221に記憶されている処方データのうち未処理状態の処方データであって、処方発行日から予め設定された所定の保管期間を超過している処方データを検索する機能を有する。なお、前記所定の保管期間は、固定期間であってもよいが、ユーザー毎又は患者毎に予め設定可能であってもよい。そして、制御部21は、前記所定の保管期間を超過している処方データの一覧を示す超過一覧データをクライアント端末3Cの表示部34に表示させる。その後、制御部21は、ユーザー操作に応じて前記超過一覧データから選択される一又は複数の前記処方データについての削除要求を受け付けた場合に、当該処方データを前記表示領域A22への表示対象から除外するための処理を実行する。例えば、制御部21は、削除要求の対象となっている処方データについて非表示対象情報を対応付けて処方データ記憶部221に記憶し、当該処方データを表示領域A22における表示対象から除外することが考えられる。また、制御部21は、削除要求の対象となった前記処方データを処方データ記憶部221から削除することにより表示領域A22における表示対象から除外してもよい。さらに、制御部21は、前記処方データの削除要求を受け付けた場合に、当該処方データを処理済みにすることにより表示領域A22における表示対象から除外してもよい。なお、制御部21は、前記所定の保管期間が超過した前記処方データを自動的に削除要求の対象として処理してもよい。また、制御部21は、削除要求の対象となった前記処方データの一覧をプリンタ8によって印刷出力すること、又は所定の宛先に送信することも考えられる。
【符号の説明】
【0086】
1 調剤管理システム
2 サーバー
21 制御部
22 データ記憶部
221 処方データ記憶部
222 管理データ記憶部
3 クライアント端末
31 制御部
32 データ記憶部
36 バーコードリーダー
6 上位システム
7 調剤機器
8 プリンタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9