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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】電装品箱
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/24 20110101AFI20230927BHJP
   F24F 1/26 20110101ALI20230927BHJP
【FI】
F24F1/24
F24F1/26
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019064558
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020165560
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】田中 三博
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-153019(JP,A)
【文献】特開2017-009263(JP,A)
【文献】特開2007-285544(JP,A)
【文献】特開2010-002120(JP,A)
【文献】特開2013-011392(JP,A)
【文献】特開2005-347450(JP,A)
【文献】特開2006-100572(JP,A)
【文献】特開2008-103773(JP,A)
【文献】特開2010-169393(JP,A)
【文献】特開2012-137229(JP,A)
【文献】特開2014-129982(JP,A)
【文献】特開2017-120170(JP,A)
【文献】特開2000-022363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/24
F24F 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機の室外ユニット(2)に搭載され、筐体内部に電子部品(11)を収納した電装品箱(1)であって、
前記電子部品(11)を収納する電子部品収納部(10)と、
前記電装品箱(1)の外部から空気を吸入する吸入口(22)と、
前記吸入口(22)から吸入された空気を前記電子部品収納部(10)へ案内する吸込み通風路(20)と、
前記電装品箱(1)の内部から空気を排出する排出口(13)と、
前記吸入口(22)から前記電子部品収納部(10)までの空気の流れの経路上に配置された、空気を冷却する冷却器(30)と、を備え、
前記吸込み通風路(20)は、通風方向を転換させる転向部(25,26)を少なくとも1個有し、
前記冷却器(30)は、冷熱源部(31)と、前記冷熱源部(31)に取り付けられて前記電装品箱(1)の外部の空気よりも低い温度に冷却されるヒートシンク(32)とを有し、前記吸込み通風路(20)内において空気を冷却するように構成され、
前記ヒートシンク(32)は、前記冷熱源部(31)に取り付けられて前記転向部(25,26)において前記通風方向を転換させる基部(33)と、前記基部(33)の前記吸込み通風路(20)内に位置する表面に形成されたフィン部(34)とを有し、かつ、前記転向部(25,26)の内の少なくとも一つに配置され、
前記排出口(13)は、前記室外ユニット(2)において室外送風機(4)に対して吸込側の空間に通ずるように設けられる、
電装品箱。
【請求項2】
前記冷却器(30)は、空気中に含まれる塵埃を除去するフィルタ部(40)を備えている
請求項1に記載の電装品箱。
【請求項3】
前記フィルタ部(40)は、前記冷却器(30)における通過空気を冷却する表面に形成された植毛(41)からなる
請求項2に記載の電装品箱。
【請求項4】
前記植毛(41)は、空気の流れの上流側の前記冷却器(30)における通過空気を冷却する表面にのみ形成されている
請求項3に記載の電装品箱。
【請求項5】
前記電装品箱(1)は、空気が前記冷却器(30)で冷却されることにより発生する結露水を排出するドレン排出口(51)を備えている
請求項1~4の何れか1項に記載の電装品箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機の室外ユニットに搭載される電装品箱に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室外機には、通常、室外ユニットの運転を制御する電子部品を収納した電装品箱が搭載されている。電装品箱に収納された電子部品の一般的な冷却方法として、特許文献1や特許文献2に記載のものが知られている。特許文献1は、電装品箱の側壁部に冷却用の空気を吸入する吸入口を設け、吸入口に対向する側壁部に排出口を設けている。特許文献2は、電装品箱を密閉空間とし、内部に冷却手段を設け、密閉空間内の空気を冷却しながら自然循環させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-301477号公報
【文献】特開2010-2120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のものは、屋外の空気により電装品箱内を冷却しているので、外気温度の高い地域に使用する場合には冷却能力が不足するという問題があった。また、特許文献2に記載のものは、電装品箱の内部に冷却手段を設けるため、電装品箱の構造が複雑となり、大型化するという問題があった。
【0005】
本開示は、外気温度の高い地域において使用できる、構造の簡略化が可能な空気調和機の室外ユニットに搭載される電装品箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点に係る電装品箱は、空気調和機の室外ユニットに搭載され、筐体内部に電子部品を収納した電装品箱であって、前記電子部品を収納する電子部品収納部と、前記電装品箱の外部から空気を吸入する吸入口と、前記電装品箱の内部から空気を排出する排出口と、前記吸入口から前記電子部品収納部までの空気の流れの経路上に配置され、空気を冷却する冷却器と、を備えている。
【0007】
この構成によれば、吸入口から吸入された空気を冷却した後に電子部品収納部へ供給するようにしているので、外気温度の高い地域においても電子部品を冷却することができ、電装品箱の構造も簡略化することができる。
【0008】
第2の観点に係る電装品箱によれば、前記吸入口から吸入された空気を前記電子部品収納部へ案内する吸込み通風路を有し、前記冷却器は、前記吸込み通風路内において空気を冷却するように構成されている。
【0009】
この構成によれば、冷却器は、吸込み通風路内において吸入口から吸入された空気を冷却するように構成されているので、電装品箱を簡易な構成とすることができる。
第3の観点に係る電装品箱によれば、前記吸込み通風路は、通風方向を転換させる転向部を少なくとも1個有する。
【0010】
この構成によれば、吸入口から吸入された空気に含まれている砂塵、塵埃、雨水、海水等を転向部で分離することができ、砂塵、塵埃、雨水、海水等の電子部品収納部への侵入堆積を低減することができる。
【0011】
第4の観点に係る電装品箱によれば、前記冷却器は、前記電装品箱の外部の空気よりも低い温度に冷却されるヒートシンクを有し、前記ヒートシンクを前記転向部の内の少なくとも一つに配置するものであって、前記ヒートシンクは、前記転向部において前記通風方向を転換させる基部と、前記基部に取り付けられる冷熱源部と、前記基部の前記吸込み通風路内に面する表面に形成されたフィン部とを有する。
【0012】
この構成によれば、吸入口から吸入された空気に含まれている砂塵、塵埃、雨水、海水等を転向部で分離することができ、砂塵、塵埃、雨水、海水等の電子部品収納部への侵入堆積をより低減することができる。したがって、外気温度が高温の、ほこりの多い地域向けの空気調和機における電装品箱として好適である。
【0013】
第5の観点に係る電装品箱によれば、前記冷却器は、空気中に含まれる塵埃を除去するフィルタ部を備えている。
この構成によれば、空気中に含まれる塵埃をフィルタ部で除去することができるので、塵埃の電子部品収納部への侵入堆積をより低減することができる。また、空気中に含まれる砂塵、雨水、海水等もフィルタ部で除去することができる。
【0014】
第6の観点に係る電装品箱によれば、前記フィルタ部は、前記冷却器における通過空気を冷却する表面に形成された植毛からなる。
この構成によれば、通風が当たる場所にフィルタ部が形成されることになるので、砂塵、塵埃、雨水、海水等を効果的に除去することができる。また、冷却器における通過空気を冷却する表面に付着した砂塵、塵埃、雨水、海水等を冷却器で生成される結露水で洗い流すことができる。
【0015】
第7の観点に係る電装品箱によれば、前記植毛は、空気の流れの上流側の前記冷却器における通過空気を冷却する表面にのみ形成されている。
この構成によれば、冷却器で生成される結露水による空気中の砂塵、塵埃、雨水、海水等の除去がより容易になる。
【0016】
第8の観点に係る電装品箱によれば、前記冷却器は、前記吸込み通風路を形成する壁体の少なくとも一部を冷却するように構成されたものである。
この構成によれば、冷却器をより簡素な構成とすることができる。
【0017】
第9の観点に係る電装品箱によれば、前記電装品箱は、空気が前記冷却器で冷却されることにより発生する結露水を排出するドレン排出口を備えている。
この構成によれば、冷却器で発生した結露水を排出することができる。これにより結露水の再飛散を抑制することができる。また、冷却器で空気中の砂塵、塵埃、雨水、海水等が除去された場合は、これらを結露水により洗い流し結露水とともに排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る空気調和機における室外ユニットの概略構成図。
図2】同室外ユニットの内部に搭載される電装品箱を左右方向に切断した断面図。
図3】同電装品箱に取り付けられる冷却器の図面であって、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は斜視図。
図4】第2実施形態に係る電装品箱における冷却器周りの断面図。
図5】第3実施形態に係る電装品箱の下方部の断面図。
図6】第4実施形態に係る電装品箱における冷却器の説明図であって、(a)は冷却器周りの断面図、(b)は同冷却器のヒートシンクの斜視図。
図7】第5実施形態に係る電装品箱における冷却器の部分拡大斜視図。
図8】第6実施形態に係る電装品箱の下方部の断面図。
図9】第7実施形態に係る電装品箱の分解側断面図。
図10】第8実施形態に係る電装品箱の下方部の断面図。
図11】第9実施形態に係る電装品箱の下方部の断面図。
図12】第10実施形態に係る空気調和機における室外ユニットの概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、第1実施形態について説明する。なお、本開示は、以下に記載する例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0020】
図1は、電装品箱1を収納した空気調和機の室外ユニット2である。室外ユニット2に対し1台又は複数台の室内ユニットが接続される。本実施形態においては室内ユニットの図示及び説明を省略する。本明細書において、前後、左右及び上下の方向は図1に示す方向とする。本願の図面において、白抜き矢印及び実線矢印は、電装品箱1における空気の流れ方向を示す。
【0021】
図1に示すように、室外ユニット2には、電装品箱1以外に、圧縮機、空気と熱交換される室外熱交換器3、室外熱交換器3に空気を循環させる室外送風機4等が収納されている。室外ユニット2は、ヒートポン式空気調和機の室外ユニットとして構成されている。圧縮機は、図面簡略化のために図示しないが、室外熱交換器3を通過した空気が流通する雰囲気中に配置されている。室外熱交換器3は、背面、右側面、及び、左側面の後方部において空気の吸入口の内側に沿うように配置されている。室外熱交換器3は、伝熱管と多数のフィンとにより構成された、例えばクロス・フィン・チューブ方式やマイクロチャネル方式の熱交換器で構成されている。室外熱交換器3は、図示しない冷媒配管により四路切換弁を介し圧縮機に接続されている。室外熱交換器3は、冷房時には凝縮器として作用し、暖房時には蒸発器として作用する。
【0022】
室外送風機4は、例えば、軸流送風機(所謂プロペラ送風機)である。室外送風機4は、背面、側面等の各空気の吸入口から空気を吸入し、上面から排気するように配置されている。
【0023】
図1に示すように、電装品箱1は、正面から見て縦長長方形をなす。電装品箱1は、室外ユニット2の左側面に沿わせるように、室外熱交換器3の前方に配置されている。図2に示すように、電装品箱1は、電子部品収納部10と、吸込み通風路20と、冷却器30とから構成されている。
【0024】
電子部品収納部10は、室外ユニット2の運転を制御する電子部品11を収納する。電子部品収納部10は、電装品箱1の下方部を除く上方に位置し、電装品箱1の大半部を占める。電子部品収納部10は、電子部品11を冷却する空気を取り込む連絡口12と、電装品箱1内の空気を排出する排出口13とを備えている。連絡口12は、電子部品収納部10の底面に形成されている。排出口13は、室外送風機4の吸込側により近くなるように電子部品収納部10の背面上部に位置して形成されている。連絡口12及び排出口13をこのように配置することにより、室外送風機4の運転とともに電子部品11を冷却する空気が電子部品収納部10内に取り込まれ、電子部品11を冷却した後に排出される。
【0025】
図2に示すように、吸込み通風路20は、上下方向の中間位置に内部を上下二分する水平仕切板21を備えている。吸込み通風路20は、水平仕切板21の下方部の右側方には室外ユニット2内の空気を吸入する吸入口22が設けられている。室外ユニット2内には、室外熱交換器3を通過した後の空気が流通している。吸込み通風路20は、吸入口22から吸入した空気を電子部品収納部10の連絡口12へ案内する通風路を構成する。
【0026】
吸込み通風路20は、水平仕切板21の下方部を下方通路部23とし、水平仕切板21の上方部を上方通路部24としている。下方通路部23と上方通路部24とは、水平仕切板21の左側方においてU字状に連通するように構成されている。吸込み通風路20の上方通路部24は、右側方において、電子部品収納部10に連通するように構成されている。
【0027】
吸入口22から吸入された室外ユニット2内の空気は、下方通路部23により左側方へ搬送され、左側方部において上方に向けて通風方向を180度転換し、上方通路部24において右側方へ搬送される。この吸込み通風路20の左側方部における通風方向の転換部を第1の転向部25とする。上方通路部24を搬送される空気は、右側方部において通風方向を90度転換して連絡口12を介し電子部品収納部10へ導入される。この上方通路部24の右側方部における通風方向の転換部を第2の転向部26とする。したがって、本実施形態においては、吸入口22から電子部品収納部10に至る吸込み通風路20は、二つの転向部25、26を備えている。
【0028】
冷却器30は、低圧低温の冷媒を冷熱源とする。冷却器30は、冷熱源としての冷媒を流通させる冷熱源部31と、冷熱源部31により冷却されるヒートシンク32とを有する。ヒートシンク32は、基部33と、基部33と一体に形成されるフィン部34とを有する。
【0029】
冷熱源部31は、冷熱源としての冷媒を流通させて基部33と熱交換して、ヒートシンク32を電装品箱1の外部温度より低くなるように冷却している。本実施形態における冷熱源部31は、冷媒配管により構成されている。ヒートシンク32は、アルミニウム、銅などの伝熱性能の良い材料により形成されているものであって、基部33とフィン部34とから構成されている。ヒートシンク32は、吸込み通風路20の左側面に構成された開口部において、外部から転向部25に対し差し込み式に挿入されて固定されている。
【0030】
図2に示すように、基部33は、厚手の板状を成し、転向部25の左側壁の開口部を貫通する状態で固定されている。したがって、基部33は、吸込み通風路20の左側面の開口部を閉蓋する壁を兼用する。図3(a)~(c)に示すように、基部33の左側面には、冷熱源部31を構成する冷媒配管を埋め込み式に沿わせるための凹溝33aが形成されている。冷熱源部31を構成する冷媒配管は、基部33の背面に止め金35をビス止めすることにより固定されている。
【0031】
フィン部34は、吸込み通風路20の下方通路部23から上方通路部24へ180度方向転換する空気と熱交換する。ヒートシンク32は、左側側方部の厚手の板状を成す基部33と右側方部のフィン部34とが一体化されている。フィン部34は、複数の溝状部34aと複数のフィン34bとからなる。吸込み通風路20の下方通路部23から転向部25へ流れてきた空気は、溝状部34aに入り、フィン34bの表面や基部33の前面側表面(すなわち、溝状部34aの底面)との熱交換により冷却されながら通風方向を180度転換している。
【0032】
(第1実施形態の作用)
第1実施形態の電装品箱1は以上のように形成されているので、次のように冷却される。
【0033】
室外ユニット2を有する空気調和機が運転開始されると、圧縮機や室外送風機4が運転される。電装品箱1内に収納される、空気調和機の運転を制御する電子部品11は、空気調和機の運転に伴い発熱する。電子部品11の中でも圧縮機の駆動回路としてのインバータ装置を構成するパワーディバイスは発熱量が大きい。空気調和機の運転に伴い電装品箱1の周囲には、室外熱交換器3通過後の空気が流通する。この空気には、砂塵、塵埃、雨水、海水等が含まれている。また、冷熱源部31を構成する冷媒配管には、低温の冷媒が流通される。これに伴って、冷却器30のフィン部34が所定の温度に制御される。また、電装品箱1の排出口13が吸入口22よりも室外送風機4の吸込側により近いので、電装品箱1の排出口13付近の圧力が吸入口22付近の圧力よりも低くなる。この結果、電装品箱1内の空気が排出され、電装品箱1の周囲の空気が電子部品11を冷却する空気として吸入口22から吸入される。
【0034】
吸入口22から吸入された空気は、吸込み通風路20の下方通路部23により第1の転向部25に案内される。そして、転向部25へ案内された空気は、転向部25で通風方向を上方へ180度転換されるため、空気中に含まれる砂塵、塵埃、雨水、海水等が遠心力により分離される。また、転向部25へ案内された空気は、冷却器30のヒートシンク32の表面で冷却除湿されて、第2の転向部26へ流れる。空気は、転向部26で空気中に残存する砂塵、塵埃、雨水、海水等が遠心力によりさらに除去されて、連絡口12を介して電子部品収納部10へ導入される。電子部品収納部10へ導入された空気は、電子部品収納部10内において電子部品11を十分に冷却した後、排出口13から室外送風機4の吸入側へ排出される。この排出された空気は、室外送風機4に吸い込まれて室外ユニット2の外部へ放出される。
【0035】
(第1実施形態の効果)
本電装品箱1は、以上のように構成されているので、次のような効果を奏する。
(1-1)室外ユニット2内の室外熱交換器3通過後の空気を、冷媒を冷熱源とする冷却器30により電子部品収納部10へ供給する前に冷却しているので、外気温度の高い地域においも電子部品11を冷却することができる。
【0036】
(1-2)冷却器30は、吸込み通風路20において電子部品収納部10へ供給する空気を冷却するように構成されているので、冷却器30を簡易な構成とすることができる。
(1-3)電子部品収納部10へ供給する空気中に含まれる砂塵、塵埃、雨水、海水等を第1の転向部25及び第2の転向部26で分離することができ、砂塵、塵埃、雨水、海水等の電子部品収納部10への侵入堆積を低減することができる。したがって、外気温度が高く、ほこりの多い地域向けの空気調和機における電装品箱1として好適である。なお、第1の転向部25及び第2の転向部26における塵、塵埃、雨水、海水等の分離は前者が主であり、後者は補助的なものとなる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る電装品箱1について図4に基づき説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0038】
第2実施形態に係る電装品箱1は、冷却器30のヒートシンク32におけるフィン部34に、電子部品11を冷却する空気中に含まれる砂塵、塵埃、雨水、海水等を除去するフィルタ部40を設けるとともに、ヒートシンク32で発生する結露水を排出することができるようにしたものである。
【0039】
図4に示すように、第2実施形態に係る電装品箱1に設けられる冷却器30のヒートシンク32は、フィン部34の下半分の表面に樹脂製の植毛41を施してフィルタ部40を形成している。また、ヒートシンク32の下方において、下方通路部23の底面壁にヒートシンク32で発生して下方へ滴下する結露水を集めるための溜まり部50を形成している。また、この溜まり部50の最下部にドレン排出口51を設けている。
【0040】
第2実施形態に係る電装品箱1は、第1実施形態に係る電装品箱1と同様の作用効果を奏するとともに、次の効果を奏することができる。
(2-1)電子部品11を冷却する空気中に含まれる砂塵、塵埃、雨水、海水等は、植毛41を施したフィルタ部40を通過することにより、より一層除去される。
【0041】
(2-2)フィルタ部40に付着する砂塵、塵埃、雨水、海水等は、ヒートシンク32で発生する結露水により洗い流されるので、ヒートシンク32の性能低下を抑制することができる。
【0042】
(2-3)冷却器30のヒートシンク32で発生した結露水を排出することができる。これにより結露水の再飛散を抑制することができる。
(2-4)冷却器30のヒートシンク32におけるフィルタ部40で除去された空気中の砂塵、塵埃、雨水、海水等は、結露水により洗い流され、結露水とともにドレン排出口51から排出される。
【0043】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る電装品箱1について図5に基づき説明する。なお、第2実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0044】
第3実施形態に係る電装品箱1は、第2実施形態に係る電装品箱1において溜まり部50を変形し、さらに吸入口22から吸入される空気に含まれる塵埃を除去するプレフィルタ42を設けたものである。
【0045】
図5に示すように、第3実施形態に係る電装品箱1に設けられる溜まり部50は、下方通路部23の底面壁の略全体を右側方に向かって下方に傾斜させたものとしている。そしてこの溜まり部50の最下部となる右側方部にドレン排出口51を設けている。また、吸入口22にプレフィルタ42を着脱自在に設けている。プレフィルタ42は、空気調和機の室内空気吸込口に一般に使用されている繊維素材を枠内固定したようなものでよい。
【0046】
第3実施形態に係る電装品箱1は、第2実施形態に係る電装品箱1と同様の作用効果を奏するとともに、次の効果を奏することができる。
(3-1)結露水を下方通路部23の底面壁の右側方部に集めて排出するので、フィン部34に付着した塵埃等を洗い流すとともに、下方通路部23の底面壁に付着した塵埃等も洗い流すことができる。
【0047】
(3-2)吸入口22にプレフィルタ42を設けているので、下方通路部23に導入される空気中の、砂塵、塵埃、雨水、海水等を除去することができる。これにより、電子部品収納部10への砂塵、塵埃、雨水、海水等の侵入堆積をより軽減することができる。
【0048】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る電装品箱1について図6に基づき説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0049】
第4実施形態に係る電装品箱1は、第1実施形態に係る電装品箱1において冷却器30のヒートシンク32におけるフィン部34を変形したものである。
図6(a)及び図6(b)に示すように、第4実施形態に係る電装品箱1に設けられる冷却器30のヒートシンク32は、第1実施形態におけるフィン34bをピンフィンとしたものである。
【0050】
第4実施形態に係る電装品箱1は、第2実施形態に係る電装品箱1と同様の作用効果を奏するとともに、次の効果を奏することができる。
(4-1)電子部品収納部10へ供給される空気がピンフィンとの衝突を繰り返しながら方向転換されるので、このフィン部34にて空気中に含まれる砂塵、塵埃、雨水、海水等をより除去することができる。
【0051】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る電装品箱1について図7に基づき説明する。なお、第2実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0052】
第5実施形態に係る電装品箱1は、第2実施形態に係る電装品箱1において、ヒートシンク32のフィン部34に設けるフィルタ部40を変形したものである。
図7に示すように、第5実施形態に係るフィルタ部40は、第2実施形態におけるフィルタ部40としての植毛41に代わり、金属製繊維43をフィン34bの間の溝状部34aに詰め込み、これをフィルタ部40としたものである。
【0053】
第5実施形態に係る電装品箱1は、第2実施形態に係る電装品箱1と同様の作用効果を奏するとともに、次の効果を奏することができる。
(5-1)フィルタ部40の構成部材が金属製であるので、塵埃等を除去するだけでなくフィン部34の熱交換能力を向上させることができる。
【0054】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態に係る電装品箱1について図8に基づき説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0055】
第6実施形態に係る電装品箱1は、第1実施形態において吸込み通風路20及び冷却器30の構成を変更したものである。
図8に示すように、第6実施形態に係る電装品箱1は、吸込み通風路20の内部に冷却器30のヒートシンク32を挿入しないものである。冷却器30は、冷却源としての冷媒を導入する冷熱源部31を単なる冷媒配管とし、この冷媒配管を吸込み通風路20の左側面及び底面に沿わせている。この実施形態における冷却器30は、吸込み通風路20の左側面及び底面を介して電子部品収納部10へ供給する空気を冷却するようにしたものである。したがって、冷却器30は、冷熱源部31、吸込み通風路20の左側面及び底面を構成部材とする。
【0056】
第6実施形態に係る電装品箱1は、第1実施形態に係る電装品箱1と同様の作用効果を奏するとともに、次の効果を奏することができる。
(6-1)冷却器30及び吸込み通風路20の構成が簡素化される。冷熱源部31は、吸込み通風路20の少なくとも一部の外表面を冷却するものであればよく、簡素な構造とすることができる。
【0057】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態に係る電装品箱1について図9に基づき説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0058】
第1実施形態に係る電装品箱1は、電子部品収納部10と吸込み通風路20とを一体に形成していたが、第7実施形態に係る電装品箱1は、これらを分離可能、及び、分離して製作できるようにしたものである。
【0059】
図9に示すように、第7実施形態に係る電装品箱1は、電子部品11を収納した電子部品収納部10と吸込み通風路20との仕切壁を、電子部品収納部10の底面としている、したがって、電子部品収納部10は、それ自身密閉空間を形成する独立の筐体として形成されている。
【0060】
一方、吸込み通風路20は、上面壁のない形態であって、前記第1実施形態と同様の構造で製作される。図9においては、冷熱源部31としての配管が取り付けられて示されているが、冷熱源部31は、吸込み通風路20と電子部品収納部10とを組み付けた後、或いは、吸込み通風路20を電子部品収納部10へ組み付ける際に取り付けられる。したがって、吸込み通風路20の製作としては、冷熱源部31を取り付けていない状態のものを制作すればよい。
【0061】
また、冷却器30を構成するヒートシンク32は、吸込み通風路20の筐体を完成させた後に組み付けすればよい。また、冷却器30を構成するヒートシンク32の吸込み通風路20への組み込みは、吸込み通風路20の筐体の電子部品収納部10への組み付けの前後何れであってもよい。
【0062】
第7実施形態に係る電装品箱1は、第1実施形態に係る電装品箱1と同様の作用効果を奏するとともに、次の効果を奏することができる。
(7-1)本電装品箱1は、電子部品収納部10と吸込み通風路20とを分離可能、及び、分離して製作できるようにしているので、吸込み通風路20および冷却器30を外気温度の高い地域向けのオプションとして取り扱うことができる。
【0063】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態に係る電装品箱1について図10に基づき説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0064】
第8実施形態に係る電装品箱1は、第1実施形態において吸込み通風路20を省略したものである。
図10に示すように、第8実施形態に係る電装品箱1は、電子部品収納部10の連絡口12の下方に冷却器30を取り付けている。冷却器30は、第1実施形態における冷却器30を左右対称的にした構成を基本としている。冷熱源部31及びヒートシンク32は第1実施形態と同一である。ただし、この実施形態においては、連絡口12の開口位置及び開口寸法と、フィン部34の平面上の位置及び平面寸法とを略一致させている。また、フィン部34の溝状部34aの下面を塞ぐ閉鎖板36をヒートシンク32の下面に取り付けている。これにより、室外ユニット2内の空気は、ヒートシンク32の左側方から連絡口12に向けて通風方向を転換させながら電子部品収納部10へ吸入される。この場合に、通風方向の転換角度は45度以上としている。ヒートシンク32は、通風方向を45度以上転換させることにより、砂塵、塵埃、雨水、海水等を除去する第1の転向部25を成している。
【0065】
第8実施形態に係る電装品箱1は、第1実施形態に係る電装品箱1と同様の作用効果を奏するとともに、次の効果を奏することができる。
(8-1)吸込み通風路20を設けないので、電装品箱1を簡素化することができる。
【0066】
(第9実施形態)
次に、第9実施形態に係る電装品箱1について図11に基づき説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0067】
第9実施形態に係る電装品箱1は、吸込み通風路20及び冷却器30の構成を変更したものである。
図11に示すように、第9実施形態に係る電子部品収納部10は、第1実施形態と同一である。第9実施形態に係る吸込み通風路20は、水平仕切板21を廃止し、左側方に吸入口22を設け、左側方の吸入口22から吸入した室外ユニット2内の空気を右側方の連絡口12の手前までへ直線的に案内するようにしたものである。この場合、吸込み通風路20内を流通する空気は、右側方部において通風方向を90度転換して連絡口12を介して電子部品収納部10へ導入される。したがって、吸込み通風路20の右側方部は、通風方向を90度転換させることにより、砂塵、塵埃、雨水、海水等を除去する第1の転向部25を構成する。
【0068】
また、この実施形態における冷却器30は、低温冷媒を流通させる冷媒配管から成る冷熱源部31と、厚手の板状部のみから成るヒートシンク32とを備えたものである。本実施形態における冷熱源部31は、第1実施形態における冷熱源部31に相当し、本実施形態におけるヒートシンク32は、第1実施形態におけるヒートシンク32の基部33のみを備えた構成に相当する。本実施形態におけるヒートシンク32は、吸込み通風路20の底面に密着して取り付けられている。
【0069】
第9実施形態に係る電装品箱1は、第1実施形態に係る電装品箱1と同様の作用効果を奏するとともに、次の効果を奏することができる。
(9-1)吸込み通風路20は、上下2層とする必要がないので、簡素化されるとともに小型化される。また、ヒートシンク32も板状部材のみでよいので簡素化される。
【0070】
(第10実施形態)
次に、第10実施形態に係る室外ユニット2の概略構成について図12に基づき説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0071】
第10実施形態に係る室外ユニット2は、電装品箱1の吸入口22に外気が直接吸入されるように電装品箱1の構成を変更したものである。
図12に示すように、第10実施形態に係る電装品箱1は、第1実施形態と同様に室外ユニット2の左側面に沿わせるように、室外熱交換器3の前方に配置している。そして、第1実施形態においては、吸入口22が右側面に設けられていたが、本実施形態においては左側面に設けられ、吸入口22へは、外気が直接吸入されるように形成されている。なお、吸入口22から連絡口12に至る経路は、図示しないが第1実施形態と左右対称的に構成されている。また、室外ユニット2の左側面には、図示しないが吸入口22を外気に曝せる開口が設けられているものとする。
【0072】
第10実施形態に係る電装品箱1は、第1実施形態に係る電装品箱1と同様の作用効果を奏するとともに、次の効果を奏することができる。
(10-1)電装品箱1に吸入される空気は、室外熱交換器3を通過する前の外気であるので、室外ユニット2内の空気より温度が低い。したがって、第1実施形態の場合に比し電子部品11の冷却効果を向上させることができる。
【0073】
(10-2)また、吸入口22付近の圧力と排出口13付近の圧力との差が大きくなるので、電子部品収納部10へ導入される空気量を増大させることができる。その分冷却効果を向上させることができる。
【0074】
(変更例)
上記各実施形態に関する説明は、本開示に従う電装品箱1の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う電装品箱1は、例えば以下に示される上記各実施形態の変更例、及び相互に矛盾しない少なくとも2つの変更例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変更例において、上記各実施形態と共通する部分は、上記各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0075】
・各実施形態において、冷却器30の冷熱源部31は、冷媒配管にて構成されていたが、内部に冷媒を流通させる平板状容器としてよい。また、吸込み通風路20の壁体を中空状の壁体とし、内部に冷媒を流通させるようにしたものでもよい。さらには、冷熱源部31として、低温冷媒を流通させる冷媒配管からなる構成に代えてサーモモジュールを用いてもよい。
【0076】
・冷却器30のヒートシンク32は、空気の流れの方向転換を支障なく行えるものであれば、第1実施形態および第4実施形態以外の適宜の構造の物を採用することができる。
・第1実施形態~第7実施形態、及び第10実施形態において、転向部25,26は2か所であったが、転向部25,26の個数をさらに増加させてもよい。こうすれば、空気に含まれる砂塵、塵埃、雨水、海水等の除去をより確実とし、電子部品収納部10への侵入堆積を低減することができる。
【0077】
・第3実施形態にプレフィルタ42を設けたが、他の実施形態においてこれと同様にプレフィルタ42を設けてもよい。逆に、第3実施形態において、他の実施形態と同様にプレフィルタ42を省略することもできる。
【0078】
・第2実施形態及び第3実施形態には、ヒートシンク32で発生した結露水を受ける溜まり部50とドレン排出口51とを設けているが、他の実施形態においてもこれと同様に溜まり部50とドレン排出口51を設けてもよい。
【0079】
・第10実施形態の電装品箱1は、第1実施形態の電装品箱1の変更例として説明しているが、第2実施形態~第9実施形態の電装品箱1においても第10実施形態と同様に変更してもよい。
【0080】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0081】
1 電装品箱
2 室外ユニット
3 室外熱交換器
4 室外送風機
10 電子部品収納部
11 電子部品
12 連絡口
13 排出口
20 吸込み通風路
21 水平仕切板
22 吸入口
23 下方通路部
24 上方通路部
25 (第1の)転向部
26 (第2の)転向部
30 冷却器
31 冷熱源部
32 ヒートシンク
33 基部
33a 凹溝
34 フィン部
34a 溝状部
34b フィン
35 止め金
36 閉鎖板
40 フィルタ部
41 植毛
42 プレフィルタ
43 金属製繊維
50 溜まり部
51 ドレン排出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12