(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】圧力式炊飯器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20230927BHJP
H05B 6/12 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
A47J27/00 103B
A47J27/00 103J
H05B6/12 308
(21)【出願番号】P 2019099401
(22)【出願日】2019-05-28
【審査請求日】2021-12-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(72)【発明者】
【氏名】岡田 吉広
(72)【発明者】
【氏名】中井 智彦
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-254945(JP,A)
【文献】特開2017-042542(JP,A)
【文献】実開昭54-142153(JP,U)
【文献】特開2005-312613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面部材と底部材とを有する筐体と、
前記筐体の開口部を開閉可能に覆う蓋体と、
前記筐体の内部に配置される内鍋と、
前記筐体の内部において前記内鍋を保持する枠部材と、
前記枠部材に取り付けられ、前記蓋体を回動可能に支持するヒンジ部と、
前記ヒンジ部の下方において、前記枠部材と前記底部材とを連結する連結部材と、
前記ヒンジ部の下方に位置している電源コードと
を備え、
前記電源コードは、前記側面部材と前記連結部材との間に収容され、前記連結部材の面のうち前記電源コードと対向する側の面に沿うように
前記連結部材に近接して配置される、圧力式炊飯器。
【請求項2】
前記底部材が取り外された状態で、前記電源コードの下方は開放状態となる、請求項1に記載の圧力式炊飯器。
【請求項3】
前記内鍋の外側には、前記内鍋を加熱する誘導加熱部が備えられており、
前記連結部材は、前記電源コードと前記誘導加熱部との間に配置されている、
請求項1または2に記載の圧力式炊飯器。
【請求項4】
前記側面部材の内面には、前記電源コードを抱え込む抱え込み部が設けられている、
請求項1から3の何れか1項に記載の圧力式炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧状態にして炊飯を行う圧力式炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に炊飯器は、ワークコイル、保温ヒータ及び蓋ヒータ等の複数個の加熱手段を有し、これら加熱手段を駆使して自動的に炊飯及び保温を行いユーザーに最適なご飯等を提供する器具として広く知られている。ところで、炊飯の各工程時に内鍋内を加圧状態にして炊飯を行うと、米内への熱伝導と吸水速度が早まり、その結果十分な吸水が行われ、炊きムラのないより美味しいご飯を短時間で炊き上げることができるようになる。このような炊飯器は、圧力式炊飯器として知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
鍋内を加圧状態にして炊飯を行う圧力式炊飯器においては、鍋内の圧力が大気圧よりも高くなるため、鍋の上方に位置する蓋体の部分が持ち上げられるように強い圧力がかかる。その結果、ヒンジ部の近傍部分には、湾曲するように強い圧力がかかり、破壊又は変形し易くなる。そこで、特許文献2には、ヒンジ部の近傍部分の破壊又は変形を抑えるために、ヒンジ補強部材21と上枠補強部材22とを備えている圧力式炊飯器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-42429号公報
【文献】特開2017-42542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、特許文献1に開示された圧力式炊飯器などのように、ヒンジ部が配置されている炊飯器の背面側には、電源コードを収容するコードリール(特許文献1では、コード巻取器35)が配置されていることがある。このような構成では、加圧時に蓋が持ち上がるのを抑制するための補強部材の配置位置が制限される。また、補強部材の配置位置によっては、コードリールの取り付けおよび取り外し作業の障害となる可能性がある。
【0006】
そこで、本発明では、蓋の持ち上がりを抑制するための補強部材を取り付けた状態で電源コードの取り付けおよび取り外し動作を容易に行うことのできる圧力式炊飯器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面にかかる圧力式炊飯器は、側面部材と底部材とを有する筐体と、前記筐体の開口部を開閉可能に覆う蓋体と、前記筐体の内部に配置される内鍋と、前記筐体の内部において前記内鍋を保持する枠部材と、前記枠部材に取り付けられ、前記蓋体を回動可能に支持するヒンジ部と、前記ヒンジ部の下方において、前記枠部材と前記底部材とを連結する連結部材と、前記ヒンジ部の下方に位置している電源コードとを備えている。この圧力式炊飯器において、前記電源コードは、前記側面部材と前記連結部材との間に収容され、前記連結部材の面のうち前記電源コードと対向する側の面に沿うように前記連結部材に近接して配置される。
【0008】
上記の構成によれば、連結部材は、筐体内のヒンジ部の下方において、枠部材と底部材とを連結している。これにより、圧力炊飯時における蓋体の持ち上がりを抑制することができる。また、上記の構成では、ヒンジ部の下方に位置している電源コードは、側面部材と連結部材との間に収容されている。これにより、電源コードの収容空間に干渉することなく連結部材を配置することができる。したがって、連結部材を取り付けた状態で電源コードの取り付けおよび取り外し動作を行うことができる。
【0009】
上記の本発明の一局面にかかる圧力式炊飯器は、前記底部材が取り外された状態で、前記電源コードの下方は開放状態となることが好ましい。
【0010】
上記の構成によれば、圧力式炊飯器本体から底部材のみを取り外すことで、電源コードの下方部分を露出させることができる。これにより、圧力式炊飯器本体から底部材のみを取り外し、連結部材は取り外すことなく、電源コードの取り付けおよび取り外し作業を容易に行うことができる。
【0011】
上記の本発明の一局面にかかる圧力式炊飯器において、前記内鍋の外側には、前記内鍋を加熱する誘導加熱部が備えられており、前記連結部材は、前記電源コードと前記誘導加熱部との間に配置されていることが好ましい。
【0012】
上記の構成によれば、電源コードを、誘導加熱部から所定の距離だけ離れた状態で配置することができる。これにより、誘導加熱部において発生する電磁波が電源コードに及ぼす影響を低減させることができる。
【0013】
上記の本発明の一局面にかかる圧力式炊飯器において、前記側面部材の内面には、前記電源コードを抱え込む抱え込み部が設けられていてもよい。抱え込み部が電源コードを抱え込むことで、筐体内において電源コードを安定した状態で収容することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の一局面にかかる圧力式炊飯器によれば、蓋の持ち上がりを抑制するための連結部材を取り付けた状態で電源コードの取り付けおよび取り外し動作を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる炊飯器の外観構成を示す正面図である。
【
図2】
図1に示す炊飯器の底部分の構成を示す平面図である。
【
図3】
図2に示す炊飯器の内部構成を示す断面図である。
【
図4】
図2に示す炊飯器から底壁を取り外した状態を示す平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態にかかる炊飯器を構成する枠部材(肩部材、保護枠、および基板支持部材)を分解した状態で示す分解斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態にかかる炊飯器から底壁を取り外した状態で本体内部の構成を示す下方斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態にかかる炊飯器の保護枠に対して連結部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態にかかる炊飯器の本体に対してコードリールを着脱する様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0017】
本実施形態では、圧力式炊飯器の一例である誘導加熱式の圧力炊飯器100(以下、炊飯器100とも称する)を例に挙げて説明する。
【0018】
(炊飯器の全体構成)
まず、本実施の形態にかかる炊飯器100の全体構成について説明する。
図1には、炊飯器100の外観を示す。炊飯器100は、主として、本体110と、蓋体140とで構成されている。蓋体140は、本体110の上方の開口部を開閉可能な状態で覆っている。
【0019】
図2には、炊飯器100の底部分の外観を示す。
図3には、炊飯器100の内部構成を示す。
図3は、
図2に示す炊飯器100のA-A線部分の断面図である。
図4には、
図2に示す炊飯器100の底部周辺の内部構成を示す。
【0020】
1.本体
本体110は、主として、筐体111、枠部材170、内鍋130、ヒンジ機構(ヒンジ部)150、取っ手112、断熱材(図示せず)、誘導加熱コイル113、フェライトコア組立体121、送風ファン115、ヒートシンク116、操作パネル117、電源回路基板118、制御回路基板119、および電源コードユニット120などを備えている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0021】
(1)筐体
筐体111は、本体110の外形を主に構成している。筐体111は、主な構成部材として、側壁(側面部材)111aと、底壁(底部材)111bとを有している。
【0022】
側壁111aは、平面視において略長方形を呈する囲い壁であって、
図1に示されるように本体110の側面を構成している。また、この側壁111aには、取っ手112が回動自在に取り付けられる。
【0023】
底壁111bは、略方形の板状体であって、
図1に示されるように側壁111aの下側に嵌め込まれており、側壁111aの下側の開口を覆っている。底壁111bには、
図2に示されるように、筐体111の外部の空気を内部に吸い込むための吸気口Os1、および、筐体111の内部の空気を外部に排出するための排気口Os2が形成されている。吸気口Os1は、本体110の前方側(操作パネル117が配置されている側)に位置し、排気口Os2は、本体110の後方側(ヒンジ機構150が配置されている側)に位置している。吸気口Os1の直上には、送風ファン115が配設されている。この送風ファン115が駆動されると、吸気口Os1を通って外部の空気が筐体111の内部に吸い込まれ、それによって生じる空気流れにより内部の加熱空気が排気口Os2から系外に排出される。
【0024】
筐体111には、上方の開口部から後述する枠部材170が嵌め込まれる。筐体111と枠部材170とで形成される構造体の内部には、断熱材(図示せず)、誘導加熱コイル113、フェライトコア組立体121、送風ファン115、ヒートシンク116、電源回路基板118、制御回路基板119、および電源コードユニット120などが収容される。
【0025】
(2)枠部材
図5には、枠部材170の各構成部材を分解した状態で示す。枠部材170は、主な構成部材として、肩部材111c、保護枠111d、および基板支持部材111eを有している。
【0026】
肩部材111cは、略方形状の枠体であって、
図1に示されるように側壁111aの上側に嵌合されており、側壁111aの上側の開口の縁部を覆っている。この肩部材111cの下側には、保護枠111dが取り付けられている。肩部材111cの前方上側には操作パネル117が配設される。また、肩部材111cの後方には、背面板173が設けられている。背面板173の後方にはヒンジ機構150が位置している。
【0027】
保護枠111dは、内鍋130の外周を保護すると共に肩部材111cの形状を保持する役目を担う部材であって、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の形状を保ちやすい材質から形成されている。
図5に示されるように、保護枠111dは、主に、内鍋収容部PA、フランジ部FPおよび支持部SUで形成されている。内鍋収容部PAは、内鍋130の外周を覆う椀状の部位である。フランジ部FPは、肩部材111cの下側に配設されており、肩部材111cの後側の枠状部Frを外側に向かって張ることにより肩部材111cの後側の枠状部Frの形状を保持させている。支持部SUは、肩部材111cの前側の枠状部Ffの後部を外側に向かって張ることにより肩部材111cの前側の枠状部Ffの後部の形状を保持させている。なお、フランジ部FPの最後方部には、ヒンジ機構150が配置されるヒンジ配置部172が設けられている。
【0028】
基板支持部材111eは、制御回路基板119を支持する共に肩部材111cの前側の部位の形状を保持する役目を担う部材であって、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の形状を保ちやすい材質から形成されている。
【0029】
肩部材111c、保護枠111d、および基板支持部材111eが嵌め合わされると、肩部材111cのネジ受け柱Crが基板支持部材111eのネジ貫入部Pkを通って保護枠111dのネジ受け部Pbにまで達する(
図5参照)。そして、この嵌合状態で保護枠111dのネジ受け部Pbの下側からネジ(図示せず)が螺入されることによって、肩部材111c、保護枠111dおよび基板支持部材111eが締結される。
【0030】
(3)内鍋
内鍋130は、上方に開口する椀状の鍋であって、肩部材111cの開口に挿通されると共に、保護枠111dの内鍋収容部PAに所定の隙間をもって収容される。内鍋130は、種々のアルミニウム合金およびステンレス合金の多層体(クラッド材)で形成される。内鍋130は、誘導加熱コイル113によって誘導加熱され得る。
【0031】
(4)ヒンジ機構
ヒンジ機構150は、蓋体140が本体110に対して回動自在となるように蓋体140を本体110に取り付けている。このヒンジ機構150は、蓋体140を開方向に向かって付勢している。ヒンジ機構150は、本体110の背面側の上方に配置されている。
【0032】
具体的には、ヒンジ機構150は、枠部材170を構成する保護枠111dのヒンジ配置部172および肩部材111cの背面板173などで形成される空間内に配置される(
図2参照)。なお、ヒンジ機構150の周囲には、金属などの剛性の高い材料で形成された補強板171が配置されている。補強板171は、ネジなどを用いて枠部材170(具体的には、背面板173)に対して固定されている。補強板171が設けられていることで、ヒンジ機構150周辺の枠部材170の形状が安定し、加圧時などにヒンジ機構150周辺の構造が変形することを抑制することができる。
【0033】
(5)取っ手
取っ手112は、使用者が炊飯器100を手で持ち運ぶために設けられている部材である。取っ手112は、両側の端部に軸部112bを有している。軸部112bは、側壁111aの長手方向中央の上部に形成される孔Px(
図6参照)を通って、保護枠111dに嵌合されている。
【0034】
(6)断熱材
断熱材は、保護枠111dの内鍋収容部PAの側壁および誘導加熱コイル113の外周に巻き付けられており、炊飯時において内鍋130から生じる熱が内鍋収容部PAの外側に流出するのを抑制する役割を担っている。
【0035】
(7)誘導加熱コイル
誘導加熱コイル113は、内鍋130を誘導加熱する誘導加熱源であって、保護枠111dの内鍋収容部PAの底壁部および側壁下端部の外側に配設されている。
【0036】
(8)フェライトコア組立体
フェライトコア組立体121は、誘導加熱コイル113の周囲に配設されている。フェライトコアは、通電時に誘導加熱コイル113から発生する電磁波が外部に漏れ出るのを抑制する役目を担っている。
【0037】
(9)送風ファン
送風ファン115は、上述の通り、筐体111の底壁111bに形成される吸気口Os1の直上に配設されている(
図3参照)。送風ファン115が駆動されると、外部の空気が吸気口Os1から吸い込まれて筐体111内に流入し、そのまま上方に向かって送られる。上方に向かって送られた外部の空気は、ヒートシンク116を通って電源回路基板118および制御回路基板119などに供給されて、それらの部材等を冷却する。
【0038】
(10)ヒートシンク
ヒートシンク116は、外部の空気と効率よく熱交換を行わせる部品である。
【0039】
(11)操作パネル
操作パネル117は、炊飯器100の運転方法を決定して実行するためのものである。
図1に示されるように、操作パネル117は、主に、パネル本体117aおよび押圧ボタンBT等から構成されている。上述したように、操作パネル117は、肩部材111cの前方上側に配設されている。
【0040】
(12)電源回路基板
電源回路基板118は、電源回路を構成する基板であって、いくつかの発熱部品を実装している。電源回路基板118は、筐体111内の前側空間SPfに収容されている(
図3参照)。
【0041】
(13)制御回路基板
制御回路基板119は、制御回路を構成する基板であって、マイクロコンピュータ等の電子部品を実装している。制御回路基板119は、筐体111の前側空間SPfにおいて、ヒートシンク116の上方に配置されている(
図3参照)。制御回路基板119は、操作パネル117の下側に配設される基板支持部材111eに支持されている。
【0042】
(14)電源コードユニット
電源コードユニット120は、筐体111の後側の空間に配置されている。電源コードユニット120は、コードリール(電源コード)131を有している。コードリール131は、電源コードおよび自動巻取機構などを有している。電源コードは、電源プラグOPおよび電気線から構成されている。電源プラグOPは、電気線の先端に配設されている。電気線は、伸展自在に自動巻取機構に巻回されている。
【0043】
後述するように、コードリール131は、筐体111の側壁111a、コードリール支持部(抱え込み部)165、および連結部材161などによって区画される収容空間内に収容されている。また、コードリール131は、底壁111bを取り外した状態で、本体110の底部分から取り外し可能となっている(
図6参照)。
【0044】
2.蓋体
蓋体140は、主な構成部材として、外装体141、開閉ボタン142、圧力調整機構(図示せず)、および内蓋145などを備えている。蓋体140は、ヒンジ機構150を介して本体110に回動自在に取り付けられている。
【0045】
外装体141は、開閉ボタン142、圧力調整機構などを収容している。開閉ボタン142は、
図1に示されるように、上面が外装体141の上側に露出するように外装体141に配設されている。なお、外装体141は、使用時の内圧に耐えることができるように補強部材によって補強されていてもよい。外装体141の下面には、着脱自在に内蓋145が配設されている。
【0046】
開閉ボタン142は、蓋体140を開閉するための角丸長方形状のボタンである。開閉ボタン142の下方には、開閉ボタンの押圧動作をヒンジ機構150に伝達するレバー部材が配設されている。
【0047】
圧力調整機構は、蓋体140が閉状態とされ圧力炊飯運転されている状態において、内鍋130の内部の圧力を1.03~1.3気圧に調整する。また、この圧力調整機構は、圧力炊飯運転中、蓋体140を開状態としないようにレバー部材の動作を規制する。なお、本実施の形態において、この圧力調整機構としては、特に限定されず、従前のものが採用されてもかまわない。
【0048】
内蓋145は、
図3に示されるように内鍋130の上部を覆って密閉するための部材である。
【0049】
(電源コードユニットの構成について)
続いて、電源コードユニット120のより具体的な構成について説明する。
図6には、炊飯器100の本体110から底壁111bを取り外した状態での本体110内の下方部分の構成を示す。
図6では、肩部材111cおよび取っ手112の図示は省略している。また、
図6では、連結部材161の図示も省略している。
【0050】
電源コードユニット120のコードリール131は、筐体111の後側の空間に収容されている。電源コードユニット120の上方には、ヒンジ機構150が配置されている(
図3参照)。すなわち、筐体111内の背面側の空間には、上方から順に、ヒンジ機構150、保護枠111dのフランジ部FP(ヒンジ配置部172)、および電源コードユニット120が配置されている。
【0051】
上述したように、コードリール131の収容空間は、筐体111の側壁111aの内周面、コードリール支持部(抱え込み部)165、および連結部材161などによって形成されている(
図4参照)。
【0052】
コードリール支持部165は、側壁111aの内面から突出するように形成されている。本実施形態では、2つのコードリール支持部165が設けられており、これら2つのコードリール支持部165によって、略円形の平板状のコードリール131の対向する2つ端部を抱え込んでいる。
【0053】
平板状のコードリール131の一方の表面は、側壁111aの内周面に面している。また、平板状のコードリール131の他方の表面131aは、保護枠111dの内鍋収容部PAに面している。コードリール131の表面131aと、保護枠111dの内鍋収容部PAとの間には、連結部材161が設けられている(
図4参照)。連結部材161は、コードリール131の表面131aに沿って、筐体111の空間を上下方向に延びている。
【0054】
本実施形態にかかる構成では、底壁111bが取り外された状態で、電源コードユニット120のコードリール131の下方は開放状態となっている(
図6参照)。なお、後述するように、連結部材161を取り付けた状態でも、コードリール131の下方には、底壁111b以外の部材は配設されていない。そのため、本体110から底壁111bのみを取り外すことで、コードリール131の下面を露出させることができる(
図4参照)。この構成により、本体110から底壁111bのみを取り外すことで、コードリール131の取り付けおよび取り外し作業を行うことができる。
【0055】
(連結部材の構成について)
続いて、連結部材161の詳細な構成について説明する。
図7には、枠部材170の保護枠111dに対して連結部材161を取り付けた状態を示す。
図7では、炊飯器100の下方側から保護枠111dを見た状態で図示している。また、
図8には、本体110からコードリール131の取り付けまたは取り外しを行う様子を示す。
図8では、本体110の外形を構成している側壁111aおよび肩部材111cなどの図示を省略している。
【0056】
連結部材161は、圧力炊飯時における筐体111内の増圧によって蓋体140が持ち上がることを抑制するための部材である。また、連結部材161は、補強板171とともに、ヒンジ機構150周辺の強度を向上させるための補強部材としての役割を果たす。
【0057】
連結部材161は、金属などの剛性の高い材料で形成されている。連結部材161は、加圧時に圧力の負荷がより大きくなる炊飯器100の背面側(ヒンジ機構150が配置されている側)に配置されている。本実施形態では、連結部材161は、ヒンジ機構150の下方に配置されており、保護枠111dおよび肩部材111cを介して、補強板171と間接的に接続されている(
図3参照)。
【0058】
図7に示すように、連結部材161は、主軸部161a、下側フランジ161b、および上側フランジ161cで構成されている。主軸部161aは、筐体111内において鉛直方向(上下方向)に延びている。主軸部161aは、細長い略平板状を有している。下側フランジ161bは、主軸部161aの下端部において、主軸部161aから略直角に折れ曲がるように形成された平板状の部材である。上側フランジ161cは、主軸部161aの上端部において、主軸部161aから略直角に折れ曲がるように形成された平板状の部材である。本実施形態では、下側フランジ161bと上側フランジ161cとは、主軸部161aに対して互いに異なる方向に屈曲している。これにより、連結部材161の強度を向上させることができる。但し、連結部材の形状はこれに限定はされない。
【0059】
図3に示すように、本体110の内部において、連結部材161の下側フランジ161bは、底壁111bの取付面に沿うように配置されている。そして、下方固定部材162によって、下側フランジ161bは、底壁111bに対して接続固定されている。また、本体110の内部において、連結部材161の上側フランジ161cは、保護枠111dのフランジ部FPの取付面に沿うように配置されている。そして、上方固定部材163によって、上側フランジ161cは、保護枠111dに対して接続固定されている。下方固定部材162および上方固定部材163は、ビスなどで構成されている。
【0060】
以上のように、連結部材161は、本体110の内部において、枠部材170(具体的には、保護枠111d)と底壁111bとを連結している。これにより、圧力炊飯時における蓋体140の持ち上がりを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態にかかる炊飯器100では、側壁111aの内面と連結部材161との間の空間にコードリール131を配置している。連結部材161の前側には、保護枠111dの内鍋収容部PAが位置しており、内鍋収容部PAの外面には誘導加熱コイル113が配置されている。すなわち、連結部材161は、コードリール131と誘導加熱コイル113との間に配置されている。このような構成とすることで、コードリール131を、誘導加熱コイル113から所定の距離だけ離れた状態で配置することができる。これにより、誘導加熱コイル113において発生する電磁波がコードリール131に及ぼす影響を低減させることができる。
【0062】
また、本実施形態にかかる構成では、本体110の下方からコードリール131を容易に取り外したり取り付けたりすることができる。これは、底壁111bが取り外された状態で、電源コードユニット120のコードリール131の下方が開放状態となっているためである(
図6および
図8参照)。なお、
図8に示すように、連結部材161を取り付けた状態でも、底壁111bを取り外せば、コードリール131の下方は開放状態となる。これは、連結部材161の下側フランジ161bが、コードリール131側に折れ曲がるのではなく、保護枠111dの内鍋収容部PA側に折れ曲がっているためである。
【0063】
このような構成により、本体110から底壁111bのみを取り外すことで、コードリール131の下面を露出させることができる。したがって、コードリール131の取り付けおよび取り外し作業を容易に行うことができる。
【0064】
(変形例)
本実施形態では、連結部材161は、細長い軸状(柱状)の形状を有しているが、連結部材161の形状は柱状に限定されない。連結部材161は、金属性の薄板で形成することもできる。薄板状の連結部材を誘導加熱コイル(誘導加熱部)113とコードリール131との間に配置することで、電磁波をより確実に遮蔽することができる。これにより、誘導加熱コイル113において発生する電磁波の影響で、コードリール131の電気線にノイズが生じる可能性をより低減させることができる。
【0065】
また、本実施形態では、連結部材161は、筐体111の底壁111bと、枠部材170の保護枠111d(具体的には、フランジ部FP)とを連結している。しかし、別の実施形態では、連結部材は、底壁111bと、枠部材170を構成している他の部材(例えば、肩部材111c)とを連結していてもよい。またあるいは、連結部材161の上側フランジ161cに取り付けられた上方固定部材163は、保護枠111dのヒンジ配置部172に配設されている補強板171に対して固定されていてもよい。この場合には、上方固定部材163を構成するビスは、連結部材161の上側フランジ161cから保護枠111dのフランジ部FPを貫通し、さらに補強板171を貫通する。これにより、連結部材161の上側フランジ161cは、フランジ部FPを介して、補強板171に対して固定される。
【0066】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
100 :炊飯器(圧力式炊飯器)
110 :本体
111 :筐体
111a:側壁(側面部材)
111b:底壁(底部材)
111c:肩部材(枠部材)
111d:保護枠(枠部材)
113 :誘導加熱コイル(誘導加熱部)
120 :電源コードユニット
130 :内鍋
131 :コードリール(電源コード)
140 :蓋体
150 :ヒンジ機構(ヒンジ部)
161 :連結部材
165 :コードリール支持部(抱え込み部)
170 :枠部材
171 :補強板