(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】充電装置、及び無線通信ユニット
(51)【国際特許分類】
H02J 7/10 20060101AFI20230927BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20230927BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20230927BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
H02J7/10 B
H02J7/02 V
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
(21)【出願番号】P 2019191428
(22)【出願日】2019-10-18
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】尾川原 博史
(72)【発明者】
【氏名】前田 祐輔
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特許第3470768(JP,B2)
【文献】特開2006-148997(JP,A)
【文献】特開2002-218668(JP,A)
【文献】特開2008-187790(JP,A)
【文献】特開2013-009574(JP,A)
【文献】特開2002-101566(JP,A)
【文献】特開2002-078222(JP,A)
【文献】特開2002-078223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/10
H02J 7/02
H01M 10/44
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次電池の充電を行う充電回路と、
前記充電回路を制御する制御部と、
ユーザによる所定の操作を受け付けた際に、前記制御部に特定指示を発信する、操作部と、を備え、
前記充電回路は、前記2次電池の端子間電圧を監視して、前記端子間電圧が目標電圧となるように
間欠的に充電を実行するものであり、
前記制御部は、
前記特定指示を受信した際にはフル充電モードに移行し、前記フル充電モードへの移行時に前記充電回路に充電開始指示を送信して、充電を開始させ、
通常
モード時には、前記目標電圧を所定値とし、
前記フル充電モード時には、前記目標電圧を前記所定値よりも高い値とし
、当該充電が終了すると、
直ちに通常モードに復帰させ
、
前記充電回路は、
前記端子間電圧が前記所定値よりも低い第1電圧以下であることを検出すると充電を開始し、前記端子間電圧が前記目標電圧に達すると充電を終了することを特徴とする、充電装置。
【請求項2】
前記充電回路は、前記2次電池が前記充電回路に接続されたことを検出した際には、
前記端子間電圧が前記所定値未満であることを検出すると充電を開始することを特徴とする、請求項
1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記所定値よりも高い値は、前記2次電池のフル充電に相当する端子間電圧であることを特徴とする、請求項1
または2に記載の充電装置。
【請求項4】
前記充電回路が充電を実行していることを表示する第1表示部を更に備えることを特徴とする、請求項1から
3のいずれか1項に記載の充電装置。
【請求項5】
前記目標電圧が前記所定値よりも高い値に設定されていることを表示する第2表示部を更に備えることを特徴とする、請求項1から
4のいずれか1項に記載の充電装置。
【請求項6】
前記2次電池は、無線通信装置に備えられていることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか1項に記載の充電装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の充電装置と、前記無線通信装置とを備えることを特徴とする、無線通信ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は充電装置、及びそれを備えた無線通信ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯式の無線通信装置から人工衛星を介して通話を行う衛星電話が知られている。衛星電話によれば、携帯電話がつながらない山間部においても通信が可能である。また、災害発生地域において通信や電力供給等の地上インフラに支障が発生した場合であっても通信が可能である。よって衛星電話は、自治体やその他の公共機関、あるいは電力、通信、道路等の主要インフラを管理する事業者等において、多く利用されている。
【0003】
通常の携帯電話端末と同様に、衛星電話用の携帯式無線通信装置は、リチウムイオン電池等の2次電池を電源として備えている。一方、2次電池に充電を行う従来技術として、特に携帯式VTR(Video Tape Recorder)に用いられる2次電池の充放電を制御する充放電装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯電話がつながらない際の非常用として利用される性質上、衛星電話用の携帯式無線通信装置は、充電ドックといった充電装置に接続されたままで、待ち受け(2次電池の電力の消費)をしている時間がほとんどであるような利用がされる。しかし通話等のための持ち出し利用時の利便性をなるべく損なわないようにしつつ、このような利用形態を踏まえて無線装置の2次電池の劣化を抑制するように充電の制御をすることは、考慮されていなかった。
【0006】
本発明の一態様は、持ち出し利用時の利便性をなるべく損なわないようにしつつ、充電装置に接続されたまま電力の待ち受け消費をする機会が多い機器の2次電池の劣化を抑制できる充電装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る充電装置は、2次電池の充電を行う充電回路と、前記充電回路を制御する制御部と、を備え、前記充電回路は、前記2次電池の端子間電圧を監視して、前記端子間電圧が目標電圧となるように充電を実行するものであり、前記制御部は、通常時には、前記目標電圧を所定値とし、特定指示を受信した際には、前記目標電圧を前記所定値よりも高い値とし、前記充電回路に充電開始指示を送信して、充電を行わせ、当該充電が終了すると、前記目標電圧を前記所定値に復帰させる構成を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、持ち出し利用時の利便性をなるべく損なわないようにしつつ、充電装置に接続されたまま電力の待ち受け消費をする機会が多い機器の2次電池の劣化を抑制できる充電装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係る充電装置、及びそれを備えた無線通信ユニットの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る充電装置の動作を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施形態1に係る充電装置の動作を示すフローチャートにおけるフル充電処理のサブルーチンを説明するフローチャートある。
【
図4】本発明の実施形態1に係る充電装置の状態を説明する状態遷移図である。
【
図5】本発明の実施形態1に係る充電装置の動作例を示すタイムチャートである。
【
図6】本発明の実施形態2に係る充電装置、及びそれを備えた無線通信ユニットの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図5を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
<充電装置及びそれを備えた無線通信ユニットの構成>
図1は、実施形態1に係る充電装置10、及びそれを備えた無線通信ユニット1の構成を示すブロック図である。無線通信ユニット1は、充電装置10と、無線通信装置20とからなる。
【0012】
実施形態1における無線通信装置20の具体例は、衛星電話システムの携帯式端末である。無線通信装置20は、2次電池21と、通信回路22とを備えている。2次電池21は、携帯式端末である無線通信装置20における蓄電式の電源である。2次電池21は、好ましくはリチウムイオン電池(LiB:Lithium-ion Battery)からなる。通信回路22は、2次電池21が供給する電力により動作し、通信衛星との間で無線通信を行う。
【0013】
充電装置10は、外部電源9から電力の供給を受けて、無線通信装置20の2次電池21の充電を行う装置である。適用例として、充電装置10は自動車その他の輸送機器等に設置されるものであり、外部電源9は、当該輸送機器等が備える電力供給源である。また別の適用例としては、充電装置10は建物内で卓上などに設置されるものであり、外部電源9は商用電源である。なお充電装置10は、外部電源9から供給される電力の電圧変換や交直変換を行う公知の回路を適宜備えていてもよい。
【0014】
また実施形態1における充電装置10の具体例は、携帯式端末である無線通信装置20がセットされると、無線通信装置20の2次電池21と電気的に接続されて、その充電を適宜に実行する、充電ドックやクレードルとも称される態様である。
【0015】
充電装置10は、充電回路11、制御部12、操作部13、充電表示部14(第1表示部)と、フル充電表示部15(第2表示部)とを備えている。充電回路11は、外部電源9に接続されている。充電回路11は、無線通信装置20が充電装置10にセットされている際に、外部電源9から供給される電力を制御して2次電池21に出力し、2次電池21の充電を適宜に実行する機能ブロックである。
【0016】
充電回路11は、2次電池21の端子間電圧Vtと2次電池21への充電電流を監視し、その情報に基づき充電を制御する。端子間電圧Vtは、2次電池21の充電量に対応する。充電量が少ないと端子間電圧Vtは低く、充電量が多いと端子間電圧Vtは高くなる。充電回路11は、2次電池21が接続されている際に、端子間電圧Vtが設定された第1電圧V1より低いと、2次電池21の充電を開始する。
【0017】
また充電回路11は、制御部12から充電開始指示を受信した場合にも、2次電池21の充電を開始する。充電回路11は充電開始後、端子間電圧Vtが目標電圧に達すると充電を終了する。更に充電回路11は、充電回路11自身が充電を実行しているか否かの情報(充電情報)を、制御部12及び充電表示部14に通知する。
【0018】
充電回路11による2次電池21の充電の概要は次の通りである。充電を開始すると充電回路11は、所定値の電流(CC充電電流)を2次電池21の端子間に供給して、充電を実行する(定電流充電:CC充電)。そうして充電回路11は、2次電池21の端子間電圧Vtを監視し、端子間電圧Vtが目標電圧に達するまで定電流充電を行う。
【0019】
充電回路11は端子間電圧Vtが目標電圧(CV充電電圧)に達すると、供給する電流を徐々に低下させることで、端子間電圧Vtが目標電圧にある状態を維持する(定電圧充電:CV充電)。供給する電流値が所定の閾値(充電終止電流)以下まで低下すると、充電回路11は充電を完了する。
【0020】
このような充電制御を行う充電回路11は公知の技術に基づき構成することができる。また、このような充電制御を行う充電回路11は、充電制御IC(Integrated Circuit)として市販されている。よって、その回路構成の詳細の説明は省略する。
【0021】
充電表示部14(第1表示部)は、2次電池21が接続されているか否か、及び、充電回路11が充電を実行しているか否かを、制御部12からの接続情報と充電回路11からの充電情報に従って表示する機能ブロックである。実施形態1における充電表示部14の具体例はLED(Light Emitting Diode)ランプを有する回路である。例えば、2次電池21が接続されていない場合にはLEDランプは消灯する。2次電池21が接続されて、充電中である場合にLEDランプが橙色に点灯し、充電完了の場合に緑色に点灯することで、充電表示部14が当該表示を実行し得る。
【0022】
操作部13は、ユーザによる操作を受け付け、制御部12にその情報を通知する機能ブロックである。操作部13は、ユーザによる所定の操作を受け付けた際に、フル充電モードへの移行を指示する操作情報(特定指示)として、制御部12に通知する。また操作部13は、ユーザによる所定の操作を受け付けた際に、フル充電モードのキャンセルを指示する操作情報を、制御部12に通知する。
【0023】
実施形態1における操作部13の具体例は、プッシュボタンであり、その場合のユーザによる所定の操作は、プッシュボタンの押下である。フル充電モードで無い場合にプッシュボタンが押下されると、プッシュボタンの出力を受信する制御部12は、フル充電モードへの移行を指示する操作情報(特定指示)を受信したと判断する。フル充電モードである場合にプッシュボタンが押下されると、プッシュボタンの出力を受信する制御部12は、フル充電モードのキャンセルを指示する操作情報を受信したと判断する。
【0024】
制御部12は、操作部13からの操作情報及び充電回路11からの充電情報に応じて、充電回路11の充電の態様を制御する、機能ブロックである。制御部12は充電回路11に対して、充電の目標電圧を設定し、充電開始指示を通知する。また制御部12は、フル充電表示部15に対して、フル充電モード情報を通知する。更に制御部12は、2次電池21の端子間電圧Vtを監視し、監視結果に基づいて判断した2次電池21が接続されているか否かの情報(接続情報)を、充電表示部14に通知する。
【0025】
フル充電表示部15(第2表示部)は、充電装置10がフル充電モードにあるか否かを、当該フル充電モード情報に従って表示する機能ブロックである。実施形態1におけるフル充電表示部15の具体例はLEDランプを有する回路である。例えば、フル充電モードである場合にLEDランプが橙色に点灯し、フル充電モードで無い場合に消灯することで、フル充電表示部15は当該表示を実行し得る。
【0026】
通常時に制御部12は、充電の目標電圧を、第1電圧V1よりも高い第2電圧V2(所定値)にセットする。制御部12は、操作部13からフル充電モードへの移行を指示する操作情報(特定指示)を受信すると、充電の目標電圧を、第2電圧V2よりも高い第3電圧V3にセットし、充電開始指示を充電回路11に通知する。
【0027】
上記フル充電モード情報は、充電の目標電圧が第3電圧V3であるか否かを示す情報である。充電の目標電圧が第3電圧V3であれば、フル充電モードであり、充電の目標電圧が第3電圧V3で無ければ、フル充電モードで無い。
【0028】
制御部12は、フル充電モードへの移行を指示する操作情報(特定指示)を受信した後の充電回路11による充電(フル充電)について、充電回路11からの充電情報によりその終了を判断すると、直ちに上記目標電圧を通常時(第2電圧V2)に復帰させる。
【0029】
第3電圧V3は、2次電池21がフル充電の状態にあることに相当する高い端子間電圧である。上述の通り、第3電圧V3は、通常モード時の充電の目標電圧である第2電圧V2よりも高い。よって、第2電圧V2は、充電が満充電に至らない状態にあることに相当する端子間電圧である。好ましくは、第2電圧V2は、満充電の60~80%程度に相当する端子間電圧である。
【0030】
2次電池21が2直列のリチウムイオン電池である場合のこれら各電圧の具体的な数値例は次の通りである。第3電圧V3は、8.2~8.4V程度。第2電圧V2は、7.7~7.9V程度。第1電圧V1は、第2電圧V2より0.1~0.3V程度低い値。
【0031】
<充電装置の動作>
以下に、上述の各機能ブロック(充電回路11、制御部12、操作部13、充電表示部14、フル充電表示部15)を備えた充電装置10の動作を、フローチャートに従って説明する。
図2は、充電装置10が実行する動作を示すフローチャートである。また
図3は、
図2のフローチャート中のサブルーチンであるフル充電処理SRを説明するフローチャートである。
【0032】
充電装置10は、無線通信装置20が接続、つまり2次電池21が充電回路11に接続されている際に、
図2のフローチャートに示される「開始」から「終了」までのフローを、繰り返し実行する。この際、接続情報は、2次電池21が接続されている旨の情報となる。なお、制御部12の設定する、充電の目標電圧の初期状態は、第2電圧V2とする。
【0033】
また、無線通信装置20の充電装置10への接続が一旦解除された後、再接続された際には、充電装置10は「開始」の時点を初期状態として、
図2のフローを再び実行する。無線通信ユニット1の外部電源9への接続が開始された場合にも「開始」の時点を初期状態として、
図2のフローを実行する。
【0034】
ステップS1:制御部12は、操作部13からフル充電モードへの移行を指示する操作情報(特定指示)が通知されたか否かを判断する。上述のように実施形態1の具体例において、当該通知は操作部13であるプッシュボタンの押下があった場合であり得る。フル充電モードへの移行を指示する操作情報の通知があったと判断される場合、フローはフル充電処理SRに進み(S1でYES)、フル充電処理SRを実行してから終了する。それ以外の場合、フローはステップS2に進む(S1でNO)。
【0035】
ステップS2:充電回路11は、2次電池21の端子間電圧Vtが第1電圧V1以下であるか否かを判断する。第1電圧V1以下であると判断される場合、フローはステップS3に進み(S2でYES)、それ以外の場合、フローはステップS7に進む(S2でNO)。
【0036】
なお、充電回路11は、無線通信装置20の充電装置10への接続が一旦解除された後の再接続や、無線通信ユニット1の外部電源9への接続が開始された場合、すなわち初期状態からのフローの開始直後の場合には、判断基準を以下のように変更する。「第1電圧V1以下であるか否か」に替えて、「第2電圧V2未満であるか否か」を判断の基準とする。つまり、充電装置10は初期状態から開始した場合においては、通常モードでの目標電圧値である第2電圧V2に達していない限り、第2電圧V2を目標電圧とする充電を、実行する。
【0037】
ステップS3:充電回路11は、第2電圧V2を目標電圧として2次電池21の充電を開始する。充電回路11は、充電を開始すると、充電情報を、充電を実行していない旨の情報から、充電を実行している旨の情報に変更して出力する。
【0038】
ステップS4:続いて、充電表示部14が、充電を実行している旨の充電情報を充電回路11から受け取り、充電回路11が充電を実行していることを示す表示を行う。上述のように、実施形態1の具体例では、充電表示部14のLEDランプが橙色に点灯する。
【0039】
ステップS5:続いて、制御部12が、操作部13からフル充電モードへの移行を指示する操作情報(特定指示)が通知されたか否かを判断する。上述のように実施形態1の具体例において、当該通知は操作部13であるプッシュボタンの押下があった場合であり得る。フル充電モードへの移行を指示する操作情報の通知があったと判断される場合、フローはフル充電処理SRに進み(S5でYES)、フル充電処理SRを実行してから終了する。それ以外の場合、フローはステップS6に進む(S5でNO)。
【0040】
ステップS6:制御部12は、充電回路11からの充電情報が、充電を実行していない旨の情報に転じたか否かを判断する。充電回路11は、充電が完了すれば、充電情報を充電を実行している旨の情報から、充電を実行していない旨の情報に変更して出力する。充電情報が、充電を実行していない旨の情報に転じた場合、制御部12は、充電完了と判断し、フローはステップS7に進む(S6でYES)。それ以外の場合、フローはステップS5に戻る(S6でNO)。
【0041】
ステップS7:充電表示部14は、充電を実行していない旨の充電情報を充電回路11から受け取り、充電回路11が充電完了を示す表示を行う。上述のように、実施形態1の具体例では、充電表示部14のLEDランプが緑色に点灯する。次にフローは終了する。
【0042】
次に
図3のフローチャートに従って、
図2のフローチャート中のサブルーチンであるフル充電処理SRを説明する。フル充電処理SRが開始すると、充電装置10の動作はフル充電モードとなり、フル充電処理SRが終了すると、フル充電モードは終了する。無線通信装置20が接続されている場合において、フル充電モード以外にある際の充電装置10の動作は、通常モードである。
【0043】
ステップS11:制御部12は、充電回路11による充電の目標電圧を第2電圧V2から第3電圧V3に変更し、フル充電モード情報を、フル充電モードに無い旨の情報から、フル充電モードにある旨の情報に変更して出力する。また制御部12は、充電開始指示を充電回路11に通知する。充電回路11は、目標電圧を第3電圧V3として、2次電池21の充電を開始する。充電回路11は、充電を開始すると、充電情報を、充電を実行していない旨の情報から、充電を実行している旨の情報に変更して出力する。
【0044】
ステップS12:続いて、充電表示部14が、充電を実行している旨の充電情報を充電回路11から受け取り、充電回路11が充電を実行していることを示す表示を行う。上述のように、実施形態1の具体例では、充電表示部14のLEDランプが橙色に点灯する。
【0045】
ステップS13:続いて、フル充電表示部15が、フル充電モードにある(充電の目標電圧が第3電圧V3である)旨のフル充電モード情報を制御部12から受け取り、充電装置10がフル充電モードにあることを示す表示を行う。上述のように、実施形態1の具体例では、フル充電表示部15のLEDランプが橙色に点灯する。
【0046】
ステップS14:続いて、制御部12が、操作部13からフル充電モードのキャンセルを指示する操作情報が通知されたか否かを判断する。上述のように実施形態1の具体例において、当該通知は操作部13であるプッシュボタンの押下があった場合であり得る。フル充電モードへのキャンセルを指示する操作情報の通知があったと判断される場合、フローはステップS17に進む(S14でYES)。それ以外の場合、フローはステップS15に進む(S14でNO)。
【0047】
ステップS15:制御部12は、充電回路11からの充電情報が、充電を実行していない旨の情報に転じたか否かを判断する。充電回路11は、充電が完了すれば、充電情報を、充電を実行している旨の情報から、充電を実行していない旨の情報に変更して出力する。充電情報が、充電を実行していない旨の情報に転じた場合、制御部12は、充電完了と判断して、フローはステップS16に進み(S15でYES)、それ以外の場合、フローはステップS14に進む(S15でNO)。
【0048】
ステップS16:充電表示部14が、充電回路11が充電を実行していない旨の充電情報を充電回路11から受け取り、充電回路11が充電完了を示す表示を行う。上述のように、実施形態1の具体例では、充電表示部14のLEDランプが緑色に点灯する。
【0049】
ステップS17:続いて制御部12は、充電回路11による充電の目標電圧を第3電圧V3から第2電圧V2に変更し、フル充電モード情報を、フル充電モードに無い旨の情報から、フル充電モードにある旨の情報に変更して出力する。すなわち、制御部12は、フル充電モードにおける充電の完了を検出すると、直ちに目標電圧を通常時に復帰させる。
【0050】
ステップS18:続いて、フル充電表示部15が、制御部12からフル充電モードに無い(充電の目標電圧が第3電圧V3でない)旨のフル充電モード情報を受け取り、充電装置10がフル充電モードに無いことを示す表示を行う。上述のように、実施形態1の具体例では、フル充電表示部15のLEDランプが消灯する。次にフル充電処理SRは終了する。
【0051】
充電装置10は、無線通信装置20が接続されている際に、
図2のフローチャートに示される動作と並行して、無線通信装置20の接続解除を監視する。すなわち、接続情報が2次電池21が接続されていない旨の情報に転じたかを監視する。無線通信装置20の接続解除を検出した場合、充電装置10は、
図2のフローチャートに示される動作を停止する。更に、充電表示部14が、接続情報に基づいて、2次電池21が接続されていない旨の表示を実行する。実施形態1における充電表示部14の具体例においては、LEDランプが消灯する。
【0052】
<充電装置の状態遷移>
図4は、無線通信装置20が接続されている際の、充電装置10の状態の遷移を示す状態遷移図である。図示されるように、充電装置10には、充電回路11が目標電圧である第2電圧V2への充電を実行している「通常充電状態」、充電回路11が目標電圧である第3電圧V3への充電を実行している「フル充電状態」が存在する。
【0053】
更に、充電装置10には、充電回路11がいずれの充電をも行っていない「充電完了状態」が存在する。「フル充電状態」は、充電装置10がフル充電モードにある状態でもある。「通常充電状態」及び「充電完了状態」は、充電装置10が通常モードにある状態である。
【0054】
上述のように、無線通信ユニット1の外部電源9への接続が開始された場合、あるいは充電装置10に無線通信装置20が再接続された場合等に、充電装置10は「初期状態」となる。「初期状態」において、端子間電圧VtがV2未満であれば「通常充電状態」に遷移し、V2以上であれば「充電完了状態」に遷移する。
【0055】
その他の各状態間の遷移は、それぞれ以下の条件によって引き起こされる。「充電完了状態」から「通常充電状態」への遷移は、端子間電圧Vtが第1電圧以下となることによる(ステップS2でYES)。「通常充電状態」から「充電完了状態」への遷移は、充電回路11による充電が終了したことによる(ステップS6でYES)。
【0056】
「充電完了状態」から「フル充電状態」への遷移は、フル充電を指示する操作の受け付け(プッシュボタンの押下操作)による(ステップS1でYES)。「フル充電状態」から「充電完了状態」への遷移は、充電回路11による充電が終了したことによる(ステップS14でYESとなりフル充電処理SRが終了)。
【0057】
また「フル充電状態」から「通常充電状態」への遷移は、フル充電をキャンセルする操作の受け付け(プッシュボタンの押下操作)によっても(ステップS14でYES)引き起こされる。「通常充電状態」から「フル充電状態」への遷移は、フル充電を指示する操作の受け付け(プッシュボタンの押下操作)による(ステップS5でYES)。
【0058】
<充電装置の動作の事例>
図5を参照して、以下に充電装置10の動作事例を説明する。
図5は、2次電池21の端子間電圧Vtを示したタイムチャートである。上述の通り、2次電池21の端子間電圧Vtは、2次電池21の充電量に対応する。なお、無線通信装置20の通信回路22は、
図5に示される全期間において、通信の待ち受けを行っており、通信衛星との交信等のために、平均すると略一定の消費電力を2次電池21の充電量のうちから消費し続けている。
【0059】
初めに時刻T1において、いわゆるバッテリーが空である、2次電池21の充電量が小さくなった状態で、無線通信装置20が充電装置10に接続されたとする。充電回路11が検出する端子間電圧Vtは小さく、第2電圧V2以下となり(初期状態からのステップS2でYES)、充電回路11は目標電圧をV2とする充電を開始する(ステップS3)。
【0060】
時刻T1後、充電回路11が定電流充電で、充電を継続すると、端子間電圧Vtが徐々に上昇する。時刻T2において、充電の目標電圧である第2電圧V2に至ると、充電回路11は、次いで定電圧充電を実行する。定電圧充電中、端子間電圧Vtは第2電圧V2と等しく一定(CV充電電圧)である。定電圧充電中、充電電流は徐々に減少し、時刻T3において充電電流が所定の閾値(充電終止電流)以下となると充電回路11は充電を終了する(ステップS6でYES)。
【0061】
時刻T3後、充電回路11による2次電池21の充電は行われないが、待ち受け電力の消費によって2次電池21の充電量が徐々に低下し、端子間電圧Vtが低下する。時刻T4において、端子間電圧Vtが第1電圧V1まで低下すると(ステップS2でYES)、再び充電回路11は目標電圧をV2とする充電を開始する(ステップS3)。時刻T4後、充電回路11が定電流充電を実行すると、端子間電圧Vtが徐々に上昇する。
【0062】
時刻T5において、充電の目標電圧である第2電圧V2に至ると、充電回路11は、次いで定電圧充電を実行する。定電圧充電中、充電電流は徐々に減少し、時刻T6において充電電流が所定の閾値以下となると充電回路11は充電を終了する(ステップS6でYES)。このように通常モード時に、無線通信装置20は、端子間電圧がV1にまで低下したら(時刻T4、時刻T7)、目標電圧を第2電圧V2とする充電を実行することを繰り返す。
【0063】
図5に示された事例では、充電回路11が、時刻T8からの定電圧充電を実行中の時刻T9において、ユーザが操作部13に対してフル充電モードへの移行を指示する操作(具体例としてプッシュボタンの押下)を行っている(ステップS5でYES)。制御部12は目標電圧をV3に変更し、充電回路11に充電開始指示を通知する。すると充電回路11は目標電圧をV3とする充電を開始する(ステップS11)。
【0064】
時刻T9後、充電回路11が定電流充電で、充電を継続すると、端子間電圧Vtが徐々に上昇する。時刻T10において、充電の目標電圧である第3電圧V3に至ると、充電回路11は、次いで定電圧充電を実行する。定電圧充電中、端子間電圧Vtは第3電圧V3と等しく一定(CV充電電圧)である。時刻T10後、充電電流は徐々に減少し、時刻T11において充電電流が所定の閾値(充電終止電流)以下となると充電回路11は充電を終了する(ステップS14でYES)。
【0065】
このようにして時刻T9から時刻T11までの期間中、2次電池21へのフル充電が実行される。制御部12は、第3電圧V3を目標電圧とする充電が終了すると、直ちに目標電圧をV2に復帰させる。つまり、第3電圧V3を目標電圧とする充電(フル充電)が終了すると、充電装置10は直ちに通常モードに復帰する。
【0066】
フル充電が終了すると、フル充電表示部15の、充電装置10がフル充電モードにあることを示す表示が、フル充電モードに無いことを示す表示に切り替わる。実施形態1の具体例では、フル充電表示部15のLEDランプが橙色の点灯から消灯へと切り替わる。ユーザは、フル充電表示部15の表示により、フル充電が終了したことを知ることができる。よってユーザは、2次電池21がフル充電である状態から無線通信装置20を携帯できるようになる。
【0067】
図5に示された事例では、フル充電モード終了後もユーザにより、無線通信装置20が充電装置10から取り上げられることはなく、接続されたままである。時刻T11後、充電回路11による2次電池21の充電は行われないが、待ち受け電力の消費によって2次電池21の充電量が徐々に低下し、端子間電圧Vtが低下する。
【0068】
時刻T12において、端子間電圧Vtが第1電圧V1まで低下すると(ステップS2でYES)、再び充電回路11は目標電圧をV2とする充電を開始する(ステップS3)。時刻T12後、充電回路11が定電流充電を実行すると、端子間電圧Vtが徐々に上昇する。時刻T13において、充電の目標電圧である第2電圧V2に至ると、充電回路11は、次いで定電圧充電を実行する。
【0069】
以上の各期間における、充電装置10の状態は、以下の通りである。時刻T1から時刻T3まで、時刻T4から時刻T6まで、時刻T7から時刻T9まで、時刻T12以降の各期間中、充電装置10は通常充電状態にある。時刻T3から時刻T4まで、時刻T6から時刻T7まで、時刻T11から時刻T12までの各期間中、充電装置10は充電完了状態にある。
【0070】
よって、時刻T1から時刻T9まで、時刻T11以降の期間中、充電装置10は通常モードにある。時刻T9から時刻T11までの期間中、充電装置10はフル充電状態にある。よって、時刻T9から時刻T11までの期間中、充電装置10はフル充電モードにある。
【0071】
<作用、効果>
実施形態1に係る充電装置10は、通常時にはフル充電よりも少ない充電量(例示としてフル充電の60~80%)を目標とする通常充電を間欠的に実行する。充電装置10はユーザによる所定の操作が行われると、フル充電を実行する。ユーザが無線通信装置20を携帯して持ち出したい際には、所定の操作(具体例としてプッシュボタンの押下といった簡単な操作)を行うことで2次電池21をフル充電状態にすることができる。よって、ユーザは無線通信装置20の携帯時に2次電池21の容量を最大限利用することができるようになる。
【0072】
2次電池からの電力の待ち受け消費をしている状態で、フル充電を実行すると、2次電池に対する負担が大きくなり、2次電池21の寿命が短くなる問題がある。しかし、実施形態1に係る充電装置10ではフル充電が実行されるのは、ユーザによる所定の操作が行われたとき限りである。しかも充電装置10ではフル充電が完了した後は、直ちに通常モードに復帰する。
【0073】
このような電力の待ち受け消費を常にせざるを得ず、また電力の待ち受け消費をしている時間がほとんどであるような利用のされ方をされる機器では、フル充電が完了した後は、直ぐに端子間電圧Vtの低下が始まる。よって、実施形態1に係る充電装置10はこのような機器に適用されるのに適しており、極めて有効に当該機器の2次電池の劣化を抑えることができる。
【0074】
衛星電話用の携帯式無線通信装置は、充電ドックといった充電装置に接続された状態での通話の待ち受けを常時行いつつ、頻度の少ない持ち出しの際には、2次電池の能力を最大限利用することが求められる。しかも非常用といった目的上、いつでも使えることが重要であり、2次電池の寿命ができるだけ長いことが求められる。実施形態1に係る充電装置10は、このような使用上の特徴を有する機器の2次電池の充電制御に適しているのである。
【0075】
また、充電装置10は、特許文献1に開示された従来技術の充放電装置とは異なり、2次電池の充電のみを行う装置である。充電装置10は、2次電池の充電量を制御するための放電の機能は有していない。従って、実施形態1に係る充電装置10は、このような充放電装置と比較すると回路構成がシンプルである。
【0076】
特に、実施形態1における、電圧が第1電圧V1まで低下した際に充電を開始し、定電流充電(CC充電)、定電圧充電(CV充電)を順次実施して目標電圧までの充電を行う充電回路11は、充電制御ICとして市販されている。よって実施形態1の充電装置10を実現する際には、充電回路11として、このような市販の充電制御ICを用いることができる。よって、製造者は2次電池の充放電を実行するような特別の回路を設計、製造する必要はなく、容易に実施形態1に開示された構成の充電装置10を製造できる。
【0077】
実施形態1に係る充電装置10は、充電回路11が充電を実行しているか否かを、表示する充電表示部14を備えているため、充電装置10が充電完了状態にあるか否かを容易に知ることができる。また充電表示部14はその表示を、充電回路11が制御部12に通知するために生成する充電情報に従って行うため、特別の信号を新たに発生させる必要は無い。
【0078】
実施形態1に係る充電装置10は、充電回路11がフル充電を実行しているか否かを、表示するフル充電表示部15を備えているため、充電装置10がフル充電状態にあるか否かを容易に知ることができる。またフル充電表示部15はその表示を、制御部12が充電回路11に通知するために生成する、充電の目標電圧が第3電圧V3であるか否かを示すフル充電モード情報に従って行うため、特別の信号を新たに発生させる必要は無い。
【0079】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2が、以下に示される。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明は繰り返されない。
【0080】
図6は、実施形態2に係る充電装置10、及びそれを備えた無線通信ユニット1の構成を示すブロック図である。実施形態2に係る充電装置10は、実施形態1とは類似の構成であるが、充電回路11が監視する2次電池21の端子間電圧Vtに関する信号に若干の処理が加えられるものである。
【0081】
実施形態2では、
図6に示されるように、2次電池21から充電装置10が取得する端子間電圧Vtに関する信号は、スイッチ17の切換えにより、充電回路11に直接入力される場合と、リミッタ16で処理されてから入力される場合とがある。
【0082】
スイッチ17は、制御部12からのフル充電モード情報に従って切り替わる。フル充電モード情報がフル充電モードである旨の情報である場合、充電装置10が取得する端子間電圧Vtに関する信号は、充電回路11に直接入力される。従って、実施形態2において、フル充電状態にある場合の充電装置10の動作は、実施形態1の場合と同じである。
【0083】
一方、フル充電モード情報がフル充電モードでない旨の情報である場合、充電装置10が取得する端子間電圧Vtに関する信号は、リミッタ16で処理されてから充電回路11に入力される。
【0084】
リミッタ16は、信号を第4電圧V4以下に制限するリミッタである。すなわちリミッタ16は、端子間電圧Vtが第4電圧V4以下である場合には、端子間電圧Vtをそのまま出力する。またリミッタ16は、端子間電圧Vtが第4電圧V4を超える場合には、第4電圧V4を出力する。ここで、第4電圧V4は、第2電圧V2を超え、第3電圧V3未満の値に設定されている。
【0085】
充電回路11が充電を実施していない際、すなわち充電装置10が充電完了状態にある場合、充電回路11は端子間電圧Vtが第1電圧V1以下であるか否かを監視する(ステップS2)。端子間電圧Vtが第1電圧V1以下であるか否かの判断は、端子間電圧Vtに関する信号そのものを用いたとしても、最大値が第4電圧V4に制限されたリミッタ16で処理された信号を用いたとしても変わらない。
【0086】
またフル充電状態にない場合に充電回路11が充電を実施している際の、充電の目標電圧V2はリミッタ16の制限以下であるから、この場合の動作もリミッタ16で処理された信号を用いたとしても変わらない。従ってフル充電状態にない場合にも、実施形態2に係る充電装置10は、実施形態1の場合と同じように動作する。
【0087】
ところで、市販の充電制御ICには、充電の目標電圧よりも、監視する端子間電圧が大幅に高いことを検出した場合に、エラーを発してその動作を停止する仕様のものがある。このような仕様の充電制御ICを実施形態1に係る充電装置10の充電回路11として適用すると、次の問題が生じる。
【0088】
フル充電が完了した直後の充電完了状態にあるとき、端子間電圧Vtは、第3電圧V3に近い電圧である。充電装置10は、その特徴的な動作として、フル充電が完了すると直ちに目標電圧を第2電圧V2に設定し、通常モードに復帰する。よってこの場合に、充電の目標電圧よりも監視する端子間電圧Vtが大幅に高い状態となって、当該仕様の充電制御ICは、エラーを発して動作を停止してしまう。
【0089】
しかし実施形態2に係る充電装置10では、充電完了状態にある際、充電回路11(充電制御IC)が受信する端子間電圧の信号は、充電制御ICがエラーを発する電圧よりも低くなるようにリミッタ16で処理されるからこのような不具合は発生しない。
【0090】
従って、実施形態2によれば、充電回路11として適用する充電制御ICが、上記仕様のものであったとしても、無線通信装置20の2次電池21に対して、誤って動作を停止させてしまうことなく、所要の充電制御を行うことができる。また、実施形態2によれば、実施形態1と同様の効果、作用が得られる。
【0091】
〔ソフトウェアによる実現例〕
充電装置10の制御部12は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。後者の場合、充電装置10は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。
【0092】
そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。
【0093】
また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0094】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る充電装置は、2次電池の充電を行う充電回路と、前記充電回路を制御する制御部と、を備え、前記充電回路は、前記2次電池の端子間電圧を監視して、前記端子間電圧が目標電圧となるように充電を実行するものであり、前記制御部は、通常時には、前記目標電圧を所定値とし、特定指示を受信した際には、前記目標電圧を前記所定値よりも高い値とし、前記充電回路に充電開始指示を送信して、充電を行わせ、当該充電が終了すると、前記目標電圧を前記所定値に復帰させる構成を備えている。
【0095】
上記態様によれば、2次電池を備えた機器の、持ち出し利用時の利便性をなるべく損なわないようにしつつ、充電装置に接続されたまま電力の待ち受け消費をする機会が多い機器の2次電池の劣化を抑制できる充電装置が実現できる。
【0096】
本発明の態様2に係る充電装置は、上記態様1において、前記充電回路は、前記通常時には、前記端子間電圧が前記所定値よりも低い第1電圧以下であることを検出すると充電を開始する構成を備えていてもよい。上記態様によれば、充電装置に接続されたままの状態の2次電池を備えた機器を、いつでも利用できる状態で維持することができる。
【0097】
本発明の態様3に係る充電装置は、上記態様1または2において、前記充電回路は、前記2次電池が前記充電回路に接続されたことを検出した際には、前記端子間電圧が前記所定値未満であることを検出すると充電を開始する構成を備えていてもよい。上記態様によれば、2次電池を備えた機器の充電回路接続時の動作を具体化させることができる。
【0098】
本発明の態様4に係る充電装置は、上記態様1から3のいずれかにおいて、ユーザによる所定の操作を受け付けた際に、前記制御部に前記特定指示を発信する、操作部を更に備えてもよい。上記態様によれば、ユーザが容易に2次電池の充電量の増加を行わせる指示を行うことができる充電装置が実現できる。
【0099】
本発明の態様5に係る充電装置は、上記態様1から4のいずれかにおいて、前記所定値よりも高い値は、前記2次電池のフル充電に相当する端子間電圧である構成を備えてもよい。上記態様によれば、2次電池を備えた機器の持ち出し時にフル充電の状態にすることが可能な充電装置が実現できる。
【0100】
本発明の態様6に係る充電装置は、上記態様1から5のいずれかにおいて、前記充電回路が充電を実行していることを表示する第1表示部を更に備えてもよい。上記態様によれば、充電装置が充電完了状態にあるか否かをユーザが容易に知ることができる充電装置が実現できる。
【0101】
本発明の態様7に係る充電装置は、上記態様1から6のいずれかにおいて、前記目標電圧が前記所定値よりも高い値に設定されていることを表示する第2表示部を更に備えてもよい。上記態様によれば、充電装置がフル充電状態にあるか否かをユーザが容易に知ることができる充電装置が実現できる。
【0102】
本発明の態様8に係る充電装置は、上記態様1から7のいずれかにおいて、前記2次電池は、無線通信装置に備えられていてもよい。上記態様によれば、無線通信装置の、持ち出し利用時の利便性をなるべく損なわないようにしつつ、充電装置に接続されたまま電力の待ち受け消費をする機会が多い無線通信装置の2次電池の劣化を抑制できる充電装置が実現できる。
【0103】
本発明の態様9に係る無線通信ユニットは、上記態様8の充電装置と、前記無線通信装置とを備える。上記態様によれば、無線通信装置の、持ち出し利用時の利便性をなるべく損なわないようにしつつ、充電装置に接続されたまま電力の待ち受け消費をする機会が多い無線通信装置の2次電池の劣化を抑制できる無線通信ユニットが実現できる。
【0104】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0105】
上述した実施形態においては、操作部13がユーザによる所定の操作を受け付けて、フル充電モードへの移行を指示する操作情報(特定指示)として、制御部12に通知する例が示された。しかし本発明の適用は、このような場合に限られるものではなく、例えば無線通信装置20が、ユーザによる所定の操作を受け付けて、フル充電モードへの移行を指示する操作情報(特定指示)として、制御部12に通知する構成であってもよい。この場合、充電装置10は、操作部13を備えなくてもよい。
【0106】
フル充電表示部15がLEDランプにより表示を行うものである場合、当該LEDランプは、操作部13であるプッシュボタンに一体に組み込まれていてもよい。この場合、ユーザによるプッシュボタン押下操作に伴って、当該LEDランプの点灯の状態が変わることとなる。よってユーザは押下操作が確実であったかを認知することができる、あるいはユーザが当該LEDランプの意義(フル充電状態にあることを示していること)を正しく認識できるようになる。
【符号の説明】
【0107】
1 無線通信ユニット
10 充電装置
11 充電回路
12 制御部
13 操作部
14 充電表示部(第1表示部)
15 フル充電表示部(第2表示部)
16 リミッタ
17 スイッチ
20 無線通信装置
21 2次電池
22 通信回路
9 外部電源