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特許7356020ネットワークシステム、管理装置、通信機器、アダプタ機器、ネットワークシステムの制御方法、及びプログラム
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  • 特許-ネットワークシステム、管理装置、通信機器、アダプタ機器、ネットワークシステムの制御方法、及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】ネットワークシステム、管理装置、通信機器、アダプタ機器、ネットワークシステムの制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20230927BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20230927BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
H02J1/00 306G
H02J13/00 301A
G06F1/26 306
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019218305
(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公開番号】P2021090252
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390040187
【氏名又は名称】株式会社バッファロー
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【弁理士】
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】三宅 健生
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-002589(JP,A)
【文献】特開2006-072853(JP,A)
【文献】特開2007-174405(JP,A)
【文献】特開2018-148454(JP,A)
【文献】特開2017-060300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00 - 1/16
H02J 13/00
G06F 1/26 - 1/3296
G06F 13/38 -13/42
H04L 13/00 -13/18
H04L 61/00 -65/80
H04L 69/00 -69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポートを備え、当該ポートのいずれかにアダプタ機器を介して接続される通信機器に対して電力を供給し、当該通信機器との間の通信処理を実行する集線装置と、前記集線装置に接続される管理装置とを含むネットワークシステムであって、
前記アダプタ機器は、前記集線装置のポートにネットワークケーブルを介して接続されるとともに、前記通信機器とUSBにて接続され、前記ネットワークケーブルにより送受する信号とUSBのデータ信号とを相互に変換するアダプタ機器であり、
前記管理装置は、
当該集線装置のポートに接続される複数の通信機器のそれぞれから、予め定められた機器情報を収集する収集手段と、
前記収集した機器情報に基づいて、集線装置のポートに接続される通信機器ごとに、供給する電力量を決定する電力設定手段と、
前記集線装置に、前記電力設定手段が通信機器ごとに決定した電力量の電力を、各通信機器に対応するポートを介して供給させる制御を行う制御手段と、
を含む管理装置であるネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワークシステムであって、
前記集線装置は、ポートに接続される通信機器に対してPoEの規格に従って電力を供給する集線装置であり、
前記管理装置の制御手段は、当該集線装置に対し、前記電力設定手段が通信機器ごとに決定した電力量の電力に相当する給電クラスとして、前記PoEの規格で定められた給電クラスの設定指示を、各通信機器に対応するポートごとに出力して、前記電力設定手段が通信機器ごとに決定した電力量の電力を、各通信機器に対応するポートを介して供給するよう前記集線装置を制御するネットワークシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のネットワークシステムであって、
前記集線装置は、ポートを介して電力量の要求を受け入れて、当該要求に従い、当該ポートにアダプタ機器を介して接続される通信機器に対する電力の供給を行う集線装置であり、
前記管理装置の制御手段は、前記電力設定手段が通信機器ごとに決定した電力量の電力を要求するよう、対応する通信機器または対応する通信機器に接続される前記アダプタ機器に対して指示を送出し、
前記集線装置のポートにアダプタ機器を介して接続される通信機器または前記アダプタ機器は、前記管理装置から入力される指示に従い、電力量の要求を所定のタイミングで送出して、
前記集線装置に、通信機器ごとに前記管理装置が決定した電力量の電力を、各通信機器に対応するポートを介して供給させるネットワークシステム。
【請求項4】
集線装置に接続される管理装置であって、
当該集線装置は、複数のポートを備え、ポートにアダプタ機器を介して接続される通信機器に対して電力を供給し、当該通信機器との間の通信処理を実行する集線装置であり、
前記アダプタ機器は、前記集線装置のポートにネットワークケーブルを介して接続されるとともに、前記通信機器とUSBにて接続され、前記ネットワークケーブルにより送受する信号とUSBのデータ信号とを相互に変換するアダプタ機器であり、
当該集線装置のポートに接続される複数の通信機器のそれぞれから、予め定められた機器情報を収集する収集手段と、
前記収集した機器情報に基づいて、集線装置のポートに接続される通信機器ごとに、供給する電力量を決定する電力設定手段と、
前記集線装置に、前記電力設定手段が通信機器ごとに決定した電力量の電力を、各通信機器に対応するポートを介して供給させる制御を行う制御手段と、
を含む管理装置。
【請求項5】
複数のポートを備える集線装置に対し、当該ポートのいずれかにアダプタ機器を介して接続される通信機器であって、
前記アダプタ機器は、前記集線装置のポートにネットワークケーブルを介して接続されるとともに、前記通信機器とUSBにて接続され、前記ネットワークケーブルにより送受する信号とUSBのデータ信号とを相互に変換するアダプタ機器であり、
当該集線装置は、ポートに前記アダプタ機器を介して接続される通信機器から電力量の要求を受け入れて、当該要求に従い、対応するポートを介して当該要求を行った通信機器に対する電力の供給を行う集線装置であり、
前記通信機器は、電力量の要求を所定のタイミングで前記集線装置に送出して、前記集線装置に、要求した電力量の電力を、当該通信機器が接続されるポートを介して供給させる通信機器。
【請求項6】
複数のポートを備える集線装置に対し、当該ポートのいずれかにネットワークケーブルを介して接続されるとともに、USBにて通信機器に接続され、前記ネットワークケーブルを介して送受する信号とUSBのデータ信号とを相互に変換して、当該通信機器と前記集線装置との間の通信処理を仲介するアダプタ機器であって、
前記集線装置は、ポートを介して電力量の要求を受け入れて、当該要求に従い、当該ポートに前記アダプタ機器を介して接続される通信機器に対する電力の供給を行う集線装置であり、
前記アダプタ機器は、電力量の要求を所定のタイミングで前記集線装置に送出して、前記集線装置に、要求した電力量の電力を、当該アダプタ機器が接続されるポートを介して供給させるアダプタ機器。
【請求項7】
複数のポートを備え、当該ポートのいずれかにアダプタ機器を介して接続される通信機器に対して電力を供給し、当該通信機器との間の通信処理を実行する集線装置と、管理装置とを含むネットワークシステムの制御方法であって、
前記アダプタ機器は、前記ポートのいずれかにネットワークケーブルを介して接続されるとともに、前記通信機器とUSBにて接続され、前記ネットワークケーブルを介して送受する信号とUSBのデータ信号とを相互に変換して、当該通信機器と前記集線装置との間の通信処理を仲介するアダプタ機器であり、
前記管理装置が、当該集線装置のポートに接続される複数の通信機器のそれぞれから、予め定められた機器情報を収集し、
当該収集した機器情報に基づいて、集線装置のポートに接続される通信機器ごとに、供給する電力量を決定し、
当該通信機器ごとに決定した電力量の電力を要求するよう、対応する通信機器または対応する通信機器に接続される前記アダプタ機器に対して指示を送出し、
前記通信機器または前記アダプタ機器が、前記管理装置から入力される指示に従い、指示された電力量の要求を所定のタイミングで送出し、
前記集線装置が、そのポートに接続される前記アダプタ機器、または当該アダプタ機器を介して接続される通信機器から電力量の要求を受け入れて、当該要求に従い、対応するポートを介して当該要求を行った通信機器に対する電力の供給を行うネットワークシステムの制御方法。
【請求項8】
集線装置にアダプタ機器を接続される管理装置によって実行されるプログラムであって、
当該集線装置は、複数のポートを備え、当該ポートにアダプタ機器を介して接続される通信機器に対して電力を供給し、当該通信機器との間の通信処理を実行する集線装置であり、
前記アダプタ機器は、前記ポートのいずれかにネットワークケーブルを介して接続されるとともに、前記通信機器とUSBにて接続され、前記ネットワークケーブルを介して送受する信号とUSBのデータ信号とを相互に変換して、当該通信機器と前記集線装置との間の通信処理を仲介するアダプタ機器であって、
前記プログラムは、実行されると、前記管理装置を、
当該集線装置のポートに接続される複数の通信機器のそれぞれから、予め定められた機器情報を収集する収集手段と、
前記収集した機器情報に基づいて、集線装置のポートに接続される通信機器ごとに、供給する電力量を決定する電力設定手段と、
前記集線装置に、前記電力設定手段が通信機器ごとに決定した電力量の電力を、各通信機器に対応するポートを介して供給させる制御を行う制御手段と、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークシステム、管理装置、通信機器、アダプタ機器、ネットワークシステムの制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
LANケーブルを介して電力を供給するPoE(Power over Ethernet)と呼ばれる技術が存在する。PoE技術を用いると、ネットワーク機器に対してLANケーブルを接続すれば、当該ネットワーク機器に電力を供給できるとともに、当該LANケーブルを介した通信も可能となる。
【0003】
近年では、PoE技術において、802.3btと呼ばれる規格が定められ、供給可能な電力量の引き上げが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2015-537297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のPoEの技術では、消費電力の比較的大きいUSB接続機器に対する電力供給能力はあるものの、LANケーブルを介して電力を供給するものであるため、USB接続機器に対する給電ができていないという問題点があった。なお、特許文献1には、LANケーブルとUSBとの間で通信を行う例が開示されているが、給電までは行われていないのが実情である。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、消費電力の比較的大きいUSB接続機器に対して、通信を行いつつ、LAN側からの電力供給を制御できるネットワークシステム、管理装置、通信機器、アダプタ機器、ネットワークシステムの制御方法、及びプログラムを提供することを、その目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来例の問題点を解決する本発明の一態様は、ネットワークシステムであって、複数のポートを備え、当該ポートのいずれかにアダプタ機器を介して接続される通信機器に対して電力を供給し、当該通信機器との間の通信処理を実行する集線装置と、前記集線装置に接続される管理装置であって、当該集線装置のポートに接続される複数の通信機器のそれぞれから、予め定められた機器情報を収集する収集手段と、前記収集した機器情報に基づいて、集線装置のポートに接続される通信機器ごとに、供給する電力量を決定する電力設定手段と、前記集線装置に、前記電力設定手段が通信機器ごとに決定した電力量の電力を、各通信機器に対応するポートを介して供給させる制御を行う制御手段と、を含む管理装置と、を含むこととしたものである。
【0008】
本発明のこの態様によると、消費電力の比較的大きいUSB接続機器に対して、通信を行いつつLAN側からの電力供給を制御できる。
【0009】
またここで前記集線装置は、ポートにアダプタ機器を介して接続される通信機器に対してPoEの規格に従って電力を供給する集線装置であり、前記管理装置の制御手段は、当該集線装置に対し、前記電力設定手段が通信機器ごとに決定した電力量の電力に相当する給電クラスとして、前記PoEの規格で定められた給電クラスの設定指示を、各通信機器に対応するポートごとに出力して、前記電力設定手段が通信機器ごとに決定した電力量の電力を、各通信機器に対応するポートを介して供給するよう前記集線装置を制御するネットワークシステムであってもよい。
【0010】
このようにPoEの規格に従った電力の供給を行うので、本発明のこの態様によると、消費電力の比較的大きいUSB接続機器に対して、通信を行いつつPoEの規格によるLAN側からの電力供給を制御できる。
【0011】
また、前記集線装置は、ポートを介して電力量の要求を受け入れて、当該要求に従い、当該ポートに、前記アダプタ機器を介して接続される通信機器に対する電力の供給を行う集線装置であり、前記管理装置の制御手段は、前記電力設定手段が通信機器ごとに決定した電力量の電力を要求するよう、対応する通信機器または対応する通信機器に接続されるアダプタ機器に対して指示を送出し、前記集線装置のポートにアダプタ機器を介して接続される通信機器またはアダプタ機器は、前記管理装置から入力される指示に従い、電力量の要求を所定のタイミングで送出して、前記集線装置に、通信機器ごとに前記管理装置が決定した電力量の電力を、各通信機器に対応するポートを介して供給させてもよい。
【0012】
このように集線装置は、ポートを介して電力量の要求を受け入れてもよく、この例によっても、消費電力の比較的大きいUSB接続機器に対して、通信を行いつつLAN側からの電力供給を制御できる。
【0013】
また本発明の一態様は、集線装置に接続される管理装置であって、当該集線装置は、複数のポートを備え、ポートにアダプタ機器を介して接続される通信機器に対して電力を供給し、当該通信機器との間の通信処理を実行する集線装置であり、当該集線装置のポートに接続される複数の通信機器のそれぞれから、予め定められた機器情報を収集する収集手段と、前記収集した機器情報に基づいて、集線装置のポートに接続される通信機器ごとに、供給する電力量を決定する電力設定手段と、前記集線装置に、前記電力設定手段が通信機器ごとに決定した電力量の電力を、各通信機器に対応するポートを介して供給させる制御を行う制御手段と、を含むこととしてもよい。
【0014】
本発明のこの態様によると、消費電力の比較的大きいUSB接続機器に対して、通信を行いつつLAN側からの電力供給を行うよう集線装置を制御できる。
【0015】
また本発明の一態様は、複数のポートを備える集線装置に対し、当該ポートのいずれかにアダプタ機器を介して接続される通信機器であって、当該集線装置は、ポートにアダプタ機器を介して接続される通信機器から電力量の要求を受け入れて、当該要求に従い、対応するポートを介して当該要求を行った通信機器に対する電力の供給を行う集線装置であり、前記通信機器は、電力量の要求を所定のタイミングで前記集線装置に送出して、前記集線装置に、要求した電力量の電力を、当該通信機器が接続されるポートを介して供給させることとしてもよい。
【0016】
本発明のこの態様によると、消費電力の比較的大きいUSB接続機器である通信機器に対して、通信を行いつつLAN側からの電力供給を行うよう集線装置を制御できる。
【0017】
さらに本発明のもう一つの態様は、複数のポートを備える集線装置に対し、当該ポートのいずれかを介して接続されるとともに、通信機器に接続され、当該通信機器と前記集線装置との間の通信処理を仲介するアダプタ機器であって、前記集線装置は、ポートを介して電力量の要求を受け入れて、当該要求に従い、当該ポートに前記アダプタ機器を介して接続される通信機器に対する電力の供給を行う集線装置であり、前記アダプタ機器は、電力量の要求を所定のタイミングで前記集線装置に送出して、前記集線装置に、要求した電力量の電力を、当該アダプタ機器が接続されるポートを介して供給させることとしたものである。
【0018】
本発明のこの態様によっても、消費電力の比較的大きいUSB接続機器である通信機器に対して、通信を行いつつLAN側からの電力供給を行うよう集線装置を制御できる。
【0019】
さらに本発明のまた別の態様は、複数のポートを備え、当該ポートのいずれかにアダプタ機器を介して接続される通信機器に対して電力を供給し、当該通信機器との間の通信処理を実行する集線装置と、管理装置とを含むネットワークシステムの制御方法であって、前記管理装置が、当該集線装置のポートに接続される複数の通信機器のそれぞれから、予め定められた機器情報を収集し、当該収集した機器情報に基づいて、集線装置のポートに接続される通信機器ごとに、供給する電力量を決定し、当該通信機器ごとに決定した電力量の電力を要求するよう、対応する通信機器または対応する通信機器に接続されるアダプタ機器に対して指示を送出し、前記通信機器またはアダプタ機器が、前記管理装置から入力される指示に従い、指示された電力量の要求を所定のタイミングで送出し、前記集線装置が、そのポートに接続されるアダプタ機器、または当該アダプタ機器を介して接続される通信機器から電力量の要求を受け入れて、当該要求に従い、対応するポートを介して当該要求を行った通信機器に対する電力の供給を行うこととしたものである。
【0020】
また本発明の別の態様の一つは、集線装置に接続される管理装置によって実行されるプログラムであって、当該集線装置は、複数のポートを備え、ポートに接続されるアダプタ機器を介して接続される通信機器に対して電力を供給し、当該通信機器との間の通信処理を実行する集線装置であり、前記プログラムが実行されると、前記管理装置を、当該集線装置のポートに接続される複数の通信機器のそれぞれから、予め定められた機器情報を収集する収集手段と、前記収集した機器情報に基づいて、集線装置のポートに接続される通信機器ごとに、供給する電力量を決定する電力設定手段と、前記集線装置に、前記電力設定手段が通信機器ごとに決定した電力量の電力を、各通信機器に対応するポートを介して供給させる制御を行う制御手段と、として機能させることとしたものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、消費電力の比較的大きいUSB接続機器である通信機器に対して、通信を行いつつLAN側からの電力供給を制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態に係るネットワークシステムの構成ブロック図である。
図2】発明の実施の形態に係るアダプタ機器の構成例を表すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係る管理装置の制御部の一例を表す機能ブロック図である。
図4】本発明の実施の形態に係るネットワークシステムの動作例を表す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係るネットワークシステムは、図1に例示するように、複数のポートを備える集線装置1と、この集線装置1に接続される管理装置2と、集線装置1のポートに、アダプタ機器3を介して接続される通信機器4とを含んで構成される。
【0024】
ここで集線装置1は、ネットワークスイッチやリピータ等であり、複数のポート11a,11b,…(以下、区別の必要がないときには、ポート11と表記する)、及び集線装置1を制御するプロセッサ12を備える。この集線装置1のポート11には、ネットワークケーブルを介してアダプタ機器3が接続され、さらにこのアダプタ機器3を介して通信機器4が接続される。
【0025】
プロセッサ12は、メモリを含み、このメモリに格納されたプログラムを実行して、互いに異なるポート11に接続された通信機器4間の通信を仲介する処理を行う。またこのプロセッサ12は、ポート11ごとに、ポート11を介して供給する電力の大きさ(電力量)を表す情報をメモリに保持し、当該保持した情報に基づいて、各ポート11に対応する電力量を決定し、ポート11ごとに決定した大きさの電力を、対応するポート11に接続されたネットワークケーブルを介してアダプタ機器3へ供給する。
【0026】
本実施の形態の集線装置1は管理装置2にも接続される。本実施の形態の一例では、集線装置1は、管理装置2に対してポート11を介して接続される(不図示)。またこの集線装置1は、管理装置2から入力される指示に従って、各ポート11に接続された通信機器4ごとに、対応するポート11を介して、指示された大きさの電力を供給する。この電力の供給は、各ポート11を介して接続される通信機器4に対して供給する電力の総和が、予め定められた、集線装置1の最大給電能力を越えない範囲で行われる。この集線装置1による電力供給の動作については後に詳しく述べる。
【0027】
管理装置2は、一般的なコンピュータ装置により実現でき、制御部21と、記憶部22と、通信部23とを少なくとも含んで構成される。ここで制御部21は、CPU等のプログラム制御デバイスであり、記憶部22に格納されたプログラムに従って動作する。本実施の形態の一例では、制御部21は、集線装置1に接続され、当該集線装置1のポート11にそれぞれ接続される複数の通信機器4の各々から、予め定められた機器情報を、制御条件情報として収集する。
【0028】
またこの制御部21は、当該収集した制御条件情報に基づいて、集線装置1のポート11に接続される通信機器4ごとに、供給する電力量を決定し、集線装置1に対し、通信機器4ごとに決定した電力量の電力を、各通信機器4に対応するポート11を介して供給させる制御を行う。本実施の形態の一例では、制御部21は、集線装置1から入力される要求に応答して、この制御のための情報を送出するよう、通信部23に指示する。この制御部21の詳しい動作の内容については後に述べる。
【0029】
記憶部22は、制御部21によって実行されるプログラムを保持する。本実施の形態の一例では、このプログラムは、コンピュータ可読かつ非一時的な記憶媒体に格納されて提供され、この記憶部22に格納されたものであってもよい。またこの記憶部22は、制御部21のワークメモリとしても動作する。
【0030】
通信部23は、ネットワークインタフェース等であり、ネットワークを介して集線装置1との間で通信可能に接続されている。またこの通信部23は、制御部21から入力される指示に従い、集線装置1に対して、当該集線装置1の制御のための情報を送出する。また、この通信部23はネットワークを介して受信した情報を、制御部21に出力する。
【0031】
アダプタ機器3は、図2に例示するように、通信機器4に接続されるバスインタフェース部31と、電源制御部32と、通信制御部33と、集線装置1に接続されるネットワークインタフェース部34とを含んで構成される。
【0032】
バスインタフェース部31は、本実施の形態の一例ではUSBインタフェースであり、通信機器4との間でUSBケーブルを介して接続される。なお、以下の例では、このアダプタ機器3は通信機器4と別体の装置として構成されるものとしているが、アダプタ機器3は、通信機器4に例えば機能拡張のデバイスとして内蔵されていてもよい。このように通信機器4に内蔵される場合も、アダプタ機器3は、バスインタフェース部31(USBやSATA等)と、ネットワークインタフェース部34と、を備える。
【0033】
このアダプタ機器3の電源制御部32は、DC/DCコンバータを備え、ネットワークインタフェース部34に接続されたネットワークケーブルを介して集線装置1のポート11から供給される電力(PoEの規格に基づく電力量の電力)を、USBの規格に基づく電力に変換する。そして電源制御部32は、変換して得られた電力を、バスインタフェース部31に接続された通信機器4に対して、当該バスインタフェース部31の電源ポートを通じて供給する。この電源制御部32は、ポート11から供給される電力(電流・電圧)の大きさに応じて予め定められたバスインタフェースの規格(ここではUSB規格)の電力への変換を行う。以下では、供給する電力の規格に関し、バスインタフェースの規格としてUSB規格を例として説明する。
【0034】
通信制御部33は、ネットワークインタフェース部34に接続されたネットワークケーブルを介して集線装置1のポート11から送出される通信のための信号を、USBのデータ信号に変換し、バスインタフェース部31に接続されるUSBケーブルを介して接続される通信機器4に対して出力する。
【0035】
またこの通信制御部33は、バスインタフェース部31に接続されるUSBケーブルを介して接続される通信機器4が送出する通信のための信号を、ネットワークケーブルを介して送出可能なデータ信号に変換し、ネットワークインタフェース部34に接続されたネットワークケーブルを介して集線装置1のポート11へと出力する。
【0036】
すなわち、このアダプタ機器3は、ネットワークケーブルを介して送受する通信のための信号とUSBのデータ信号とを相互に変換して、通信機器4を、そのUSBポートを介してネットワークに接続することを可能とする(通信機器4と集線装置1との通信を仲介する)ものであり、また、ネットワークケーブルを介して供給される電力を、USBの規格に基づく供給電力に変換して、通信機器4に対して供給するものである。
【0037】
通信機器4は、パーソナルコンピュータやタブレット、その他のコンピュータ装置であり、電力供給を受け得る端子を備える。本実施の形態のここでの例では、通信機器4は、電力供給を受け得る端子の例として、USBポート(例えばUSB Type-Cポート)等のバスインタフェースのポートを備えるものとする。つまり、本実施の形態では、この通信機器4は、USBポートを介して集線装置1から電力の供給を受け入れるものとする。また、ネットワークを介したデータの授受を、このUSBポートを介して行う。もっとも、電力供給を受け得る端子としては、USBポート等、情報の送受信を行う機能を併せて備えている必要は必ずしもない。
【0038】
この通信機器4は、バッテリを備えてもよく、この場合は、集線装置1から供給された電力により当該バッテリを充電する。
【0039】
さらに本実施の形態では、この通信機器4は、インストールされたプログラムに従って動作し、供給するべき電力量を決定するための制御条件情報の要求を、USBポートを介して受けて、予め定められた制御条件情報を、その要求元に対してUSBポートを介して送出して応答する。本実施の形態の一例では、この制御条件情報は、通信機器4が備えるバッテリの充電量(残量)や使用時間(uptime)、現在の消費電力など、機器の状態を表す機器状態情報や、通信機器4に予め設定された値、例えば通信機器4に接続されたネットワークインタフェースのMACアドレスや、通信機器4に固有なベンダIDや、USBのデバイスID等、あるいはこれらの組み合わせである。なお、現在の消費電力は、CPUの負荷(load)やディスプレイのオン・オフ、USBデバイスへの給電の有無等により変動し得るものであり、通信機器4は、消費電力の情報に代えて、これらの状態を表す個別の情報を機器状態情報として制御条件情報に含め、応答してもよい。
【0040】
次に、集線装置1の電力供給の動作について説明する。集線装置1は、自己の給電能力の範囲(最大給電能力以下の電力)で、各ポート11を介した電力供給の動作を行う。既に述べたように、本実施の形態では、集線装置1は、ポート11ごとに、ポート11を介して供給するべき電力量を表す情報を、プロセッサ12のメモリに記憶しており、管理装置2から最大給電能力に関する情報や、現在の電力供給状況の情報の要求を受け入れると、当該要求された情報を、管理装置2に対して送出する。
【0041】
ここで最大給電能力に関する情報は、予め集線装置1のプロセッサ12のメモリに格納しておくものとし、最大給電能力に関する情報が要求されたときには、当該情報を読み出して、管理装置2に対して送出する。また、現在の供給状況の情報が要求されたときには、プロセッサ12のメモリに記憶している、ポート11ごとに定められた、供給するべき電力量を表す情報を読み出して、管理装置2に対して送出することとすればよい。
【0042】
さらに本実施の形態の集線装置1は、管理装置2から、ポート11を特定する情報と、当該情報で特定されるポート11を介して供給するべき電力量を表す情報とを受け入れる。そして集線装置11は、当該受け入れた情報に従って、当該受け入れた情報で特定されるポート11に対応してプロセッサ12のメモリに保持している、供給する電力量を表す情報を更新する。
【0043】
集線装置1は、そして、ポート11ごとに記憶している、ポート11を介して供給するべき電力量を表す情報を参照して、各ポート11に、ネットワークケーブルを介して接続される通信機器4に対し、対応する大きさの電力を供給する。集線装置1は、このとき、並行して各ポート11に接続されるネットワークケーブルを介して接続される通信機器4との間で情報の通信を行う。
【0044】
次に管理装置2の制御部21の動作について説明する。本実施の形態では、この制御部21は、記憶部22に格納されたプログラムを実行することで、図3に例示するように、機能的に、情報収集部41と、電力設定部42と、集線装置制御部43と、を含む構成を実現する。
【0045】
情報収集部41は、集線装置1のポート11のそれぞれに接続される通信機器4に対して、所定のタイミングごとに繰り返して制御条件情報の要求を送出する。この要求は、集線装置1の対応するポート11を介して送出され、ここに接続されたアダプタ機器3を介して、通信機器4に受け入れられる。また、情報収集部41は、この要求に応答して通信機器4が送出する制御条件情報を(アダプタ機器3及び集線装置1を介して)受け入れて、ポート11を特定する情報に関連付けて記憶する。このように情報収集部41は、予め定められた制御条件情報を、集線装置1の各ポート11に接続された通信機器4から収集する。
【0046】
そして情報収集部41は、収集した制御条件情報を、当該制御条件情報を受け入れたポート11を特定する情報に関連付けて記録する。
【0047】
また本実施の形態の情報収集部41は、集線装置1のポート11ごとに、当該ポート11に(ネットワークケーブルを介して)接続されているネットワークインタフェースに関する情報(ネットワークインタフェースの種類等)や、集線装置1の最大給電能力に関する情報、さらには、現在の電力供給状況の情報を、集線装置1から制御条件情報として収集してもよい。
【0048】
電力設定部42は、情報収集部41が制御条件情報を収集するごとに、予め設定された条件に従い、また、上記収集した制御条件情報に基づいて、集線装置1のポート11に接続される通信機器4ごとに、当該通信機器4に対して(つまりポート11ごとに、当該ポート11を介して)供給する電力量を決定する。
【0049】
ここで条件は、集線装置1の利用者(管理者)によって予め設定されたものでよく、例えば、
(1)予め指定された通信機器4(が接続されたポート11)については、当該通信機器4の機器状態情報が所定の条件を満足しない(例えば充電量が所定のしきい値を超えない、CPU負荷が所定の負荷しきい値を下回るなど、充電効率が比較的高いと見込まれる状態にある、などといった条件を満足する)ときには、供給可能な最大の電力を供給し、当該通信機器4の機器状態情報が所定の条件を満足する(例えば充電量が所定のしきい値を超えている、CPU負荷が所定の負荷しきい値を超えているなど、充電効率が比較的低いと考えられる状態にある、などといった条件を満足する)ときには電力の供給を停止する。
(2)その他の通信機器4(が接続されたポート11)については、予め指定された通信機器4に対して電力を供給していないときに、その充電量等の機器状態情報に応じて電力を供給する。
といった設定とすることができる。
【0050】
ここで通信機器4の指定は、通信機器4に接続されたネットワークインタフェース(NIC(Network Interface Card))から取得されるMACアドレス(ネットワークインタフェースに含まれるネットワークインタフェースコントローラから取得できる)により行ってもよい。この場合は、電力設定部42は、情報収集部41により記録された制御条件情報のうち、予め指定されたMACアドレスを含む制御条件情報を検索する。そして当該制御条件情報があれば電力設定部42は、例えば当該制御条件情報に含まれる機器状態情報の一例である充電量の情報を参照し、所定のしきい値を超えないか否かを判断する。
【0051】
本実施の形態の一例では、電力設定部42は、ここで所定のしきい値を超えない(機器状態情報が所定の条件を満足しない)と判断すると、当該制御条件情報に関連付けられたポート11を特定する情報を取得する。電力設定部42は、当該情報で特定されるポート11を介して供給する電力を、供給可能な最大の電力と決定し、他のポート11を介して供給する電力を「0」と決定する。もっともこれは一例であり、後に説明するように、ポート11に接続されている通信機器4ごとに優先順位を設定し、優先順位の高い順に供給する電力を設定していき、その総和が集線装置1の総供給可能電力を越えたときに、供給する電力を設定していない、優先順位の比較的低い通信機器4に対して供給する電力を「0」としてもよい。
【0052】
なお、本実施の形態において通信機器4がアダプタ機器3を介して集線装置1に接続される場合は、通信機器4に接続されたネットワークインタフェースは、アダプタ機器3のネットワークインタフェースであってもよい。この場合はアダプタ機器3のネットワークインタフェース側のMACアドレスが、通信機器4に接続されたネットワークインタフェースのMACアドレスとして取得される。
【0053】
また、複数の通信機器4で共通のネットワークインタフェース(アダプタ機器3等)を共用する場合(MACアドレスにより特定の通信機器4が識別できない場合)は、通信機器4ごとに固有の情報を設定し、当該設定した情報を、制御条件情報の要求に対して応答させるアプリケーションを通信機器4にインストールしておけば、MACアドレスの代わりに、この固有の情報を用いて上記処理を行うことができる。
【0054】
集線装置制御部43は、電力設定部42が通信機器4ごと(通信機器4が接続されたポート11ごと)に決定した電力量の電力を、各通信機器4に対応するポート11を介して供給させる制御を行う。具体的にこの集線装置制御部43は、電力設定部42がポート11ごとに決定した電力量の情報を、集線装置1に対して送出する。
【0055】
なお、本実施の形態の一例では、集線装置1側で供給する電力量を設定、制御する場合は、集線装置1は、PoEの規格に基づいて電力量を設定、制御する。すなわち、PoEの規格では、[表1]に例示するように、クラス(class)を指定することにより、消費電力を設定できる。
【0056】
【表1】
【0057】
この[表1]では、PoEの規格と、クラス、その消費電力と、対応するUSBの電力供給の規格とを対応付けて示している。例えばPoE規格である802.3atのクラス4を用いると、25.5Wまでが供給でき、3A,5V(15W)のUSB規格の電力供給(USB Type-Cの規格)、または1.5A,12V(18W)のUSB規格の電力供給(USB PD1.0の規格)が可能となる。
【0058】
さらに、USB PD1.0に対応する電力(5A,12Vまたは3A,20Vの60W)に対応する場合は、802.3btのクラス7(62Wまでの供給)を用いることとすればよい。
【0059】
なお、[表1]において対応するUSBの規格を記載していない(矢印で示している)、クラス0、クラス6については、矢印が示す他のクラスの電力供給の範囲となるので、当該他のクラスで代用できる。このため管理装置2は、これらのクラスを指定せず、代わりに矢印が示す他のクラスを指定するものとする。
【0060】
[USBの規格に対応するPoE規格の電力設定の例]
また、上述の通り、PoE規格のクラスによりUSB機器に対して供給する電力の設定を行う場合は、USB Type-C及びUSB PD1.0に対応する場合、次の[表2]に示すような設定となる。
【0061】
【表2】
【0062】
[段階的設定]
またここまでの説明では、指定した通信機器4に対しては最大の電力を供給し、その他の通信機器4に対しては電力の供給を行わない、といった設定とする例について説明したが、本実施の形態は、これに限られない。すなわち本実施の形態の一例では、ポート11ごとに優先度を決定し、当該優先度に従ってポート11ごとの供給電力の電力量を段階的に設定してもよい。
【0063】
具体的に、本実施の形態の一例では、通信機器4を特定する情報(MACアドレス等)ごとに、予め優先度を設定しておく。例えばMACアドレスがαである通信機器4については優先度A、MACアドレスがβである通信機器4については優先度B、MACアドレスがγである通信機器4については優先度C…というように定める。
【0064】
また、管理装置2は、優先度Aについては802.3bt クラス7(USB PD1.0、60Wに対応)、優先度Bについては802.3bt クラス5(USB PD1.0、36Wに対応)、優先度Cについては802.3at クラス4(USB PD1.0、18WまたはUSB Type-C、15Wに対応)…というように優先度ごとに供給する電力量を、優先度別電力テーブルとして定めておく。
【0065】
またこのとき、優先度の設定がない通信機器4に対しては、管理装置2は、802.3at クラス4を設定することとしてもよい。また、通信機器4(あるいはそれに接続されるアダプタ機器3)から電力量の要求があれば、当該要求された電力量が、クラス4の最大供給量を越えない限り、クラス2,クラス0など、要求された電力量の供給に足りるクラスを設定してもよい。
【0066】
この例によると、管理装置2は、優先度の高い順(優先度A,B,C…の順)に、通信機器4(が接続されているポート11)を選択して、当該選択したポート11を介して供給する電力量を、優先度別電力テーブルを参照して決定する。
【0067】
なお、管理装置2は、ポート11を介して供給する電力量を決定するごとに、それまでに決定した電力量の総和を求め、集線装置1の最大給電能力を超えたときには、最後に決定した電力量を「0」に設定し直し、電力量の決定の処理を終了して、それまでに決定した、ポート11ごとの電力量の情報を、集線装置1に出力して、集線装置1に対してポート11ごとに供給する電力量を設定してもよい。
【0068】
例えば、優先度Aの通信機器4がポート11aに接続され、優先度Bの通信機器4がポート11b,cに接続され、優先度Cの通信機器4がポート11dに接続されているとき、集線装置1の最大給電能力が150Wであるとすると、管理装置2は、優先度Aの通信機器4が接続されたポート11aに対して、優先度別電力テーブルを参照して802.3bt クラス7(62W;USB PD1.0、60Wに対応)を供給するものと決定する。また管理装置2は、優先度Bの通信機器4が接続されたポート11b,cに対して、優先度別電力テーブルを参照して802.3bt クラス5(40W;USB PD1.0、36Wに対応)を供給するものと決定する。この時点で決定した電力量の総和は、
62W+40W+40W=142W
となっている。
【0069】
ここで管理装置2が次に、優先度Cの通信機器4が接続されたポート11dに対して、優先度別電力テーブルを参照して802.3bt クラス4(25.5W;USB PD1.0、18WまたはUSB Type-C、15Wに対応)を供給するものと決定すると、この時点で決定した電力量の総和は、
62W+40W+40W+25.5W=167.5W
となって、150Wを超える。そこで、管理装置2は、最後に決定したポート11dに係る供給電力の電力量を「0W」に設定し直す。そして管理装置2は、ポート11a,b,c,dを介して供給するべき電力量を表すクラスを、それぞれ、クラス7,クラス5,クラス5,なし(0W)として集線装置1に出力する。集線装置1は、この設定に従って各ポートからの電力供給を行う。
【0070】
なお、優先度が同じ通信機器4が複数ある場合に、そのすべてに電力を供給すると、集線装置1の最大給電能力を超える場合、そのすべてに電力の供給を行わないよう設定してもよい。あるいは、当該同じ優先度である通信機器4が接続されたポートについての電力量の決定の順を、通信機器4の充電量の低い順としてもよい。
【0071】
[動作]
本実施の形態の集線装置1、管理装置2、アダプタ機器3及び通信機器4は、基本的に上述の構成を備えており、次のように動作する。
【0072】
なお、以下の例では、通信機器4ごとに異なるネットワークインタフェースが用いられる(つまり、通信機器4がMACアドレスによって特定できる)ものとする。また、MACアドレスがαである通信機器4の優先度を優先度Aとし、その他のMACアドレスがβである通信機器4等については優先度を優先度Bとする。
【0073】
そして
(1)優先度Aの通信機器4が接続されたポート11については、当該優先度Aの通信機器4の充電量が所定のしきい値(80%とする)を超えないときには、当該ポート11を介して接続された、優先度Aの通信機器4に対して供給可能な最大の電力を供給する。また、当該優先度Aの通信機器4の充電量が所定のしきい値を超えたときには電力の供給を停止する。
【0074】
優先度Bの通信機器4が接続されたポート11については、優先度Aの通信機器4に対して供給する電力の値の総和を、集線装置1の最大給電能力の値から引いて、その残りの値が示す電力供給能力の範囲で、当該優先度Bの通信機器4の充電量に応じた電力を供給する。
(2)優先度Aの通信機器4に対して電力を供給していないとき、優先度Bの通信機器4が接続されたポート11については、その優先度Bの通信機器4の充電量に応じて電力を供給する。
として供給する電力の決定方法が設定されているものとする。
【0075】
さらに、以下の例では集線装置1の総供給可能電力は、120Wであるものとし、管理装置2は、優先度Aの通信機器4については802.3bt クラス7(USB PD1.0、60Wに対応)、優先度Bの通信機器4については802.3bt クラス5(USB PD1.0、36Wに対応)以下、というように優先度ごとに供給する電力量を、優先度別電力テーブルとして定めておく。
【0076】
本実施の形態の一例では、図4に例示するように、管理装置2が、集線装置1のポート11のそれぞれに接続される通信機器4に対して順次、制御条件情報の要求を送出する(S11)。各通信機器4は、制御条件情報の要求を、アダプタ機器3を介して受け入れ、予め定められた制御条件情報を、その要求元に対してアダプタ機器3を介して送出して応答する(S12)。
【0077】
通信機器4は、ここでは制御条件情報の例として、通信機器4が用いるネットワークインタフェースのMACアドレスと、機器状態情報の一例であるバッテリの充電量(ここでの通信機器4はバッテリによって駆動可能な装置であるものとする)とを管理装置2に対して送出する。
【0078】
管理装置2は、集線装置1の各ポート11に接続された通信機器4のMACアドレスと、充電量とを受け入れて、ポート11を特定する情報に関連付けて記録する。ここでの例では、ポート11aにはMACアドレスがαである通信機器4(優先度Aの通信機器4)が接続され、ポート11bにはMACアドレスがβである通信機器4(優先度Bの通信機器4)が接続されているものとする。また、ポート11aに接続された、優先度Aの通信機器4のバッテリの充電量は、当初、60%であるものとする。
【0079】
管理装置2は、各通信機器4から収集した制御条件情報に基づき、設定された条件に従って、集線装置1のポート11ごとに、当該ポート11を介して供給する電力量を決定する(S13)。
【0080】
上述の例によると、MACアドレスがαである優先度Aの通信機器4が接続されたポート11aについては、管理装置2は、当該通信機器4の充電量が所定のしきい値(80%とする)を超えないので、優先度別電力テーブルの設定に基づき、802.3bt クラス7(USB PD1.0、60W)の電力を供給することを決定する。また、管理装置2は、MACアドレスがα以外の優先度Bの通信機器4が接続されたポート11bについては、ここで決定した電力の最大値60Wを、集線装置1の総供給可能電力である120Wから差引きした残りの60Wの範囲内で、供給する電力を決定する。ここでの例では、管理装置2は、優先度別電力テーブルの設定に基づき、優先度Bの通信機器4に供給する電力を、802.3bt クラス5(USB PD1.0、36W)と決定する。
【0081】
管理装置2は、これらの決定に従って、各ポート11を介して電力を供給するよう、集線装置1に指示する(S14)。集線装置1は、この指示に従い、ポート11aを介して802.3bt クラス7(USB PD1.0、60W)の電力を供給し、ポート11bを介しては802.3bt クラス5(USB PD1.0、36W)の電力の供給を行う。
【0082】
ポート11aに接続されたアダプタ機器3は、そのネットワークインタフェース部34に接続されたネットワークケーブルを介して集線装置1のポート11aから供給される電力(PoEの規格であるクラス7に相当する電力量の電力)を、USBの規格に基づく電力(ここではUSB PD1.0に対応する最大の電力)に変換する(S15)。そしてアダプタ機器3は、そのバスインタフェース部31の電源ポートを介して、変換して得られた電力を、バスインタフェース部31に接続されるUSBケーブルを介して接続される通信機器4(MACアドレスがαである通信機器4)に対して供給する(S16)。
【0083】
また、これらの間でもポート11a,bに接続されたアダプタ機器3は、それぞれに接続された通信機器4と、集線装置1との間のネットワークを介したデータ通信を行っている。
【0084】
本実施の形態の例では、これにより、消費電力の比較的大きいUSB接続機器に対して、LAN側から電力供給を制御しつつ行い、かつ、通信を可能としている。
【0085】
[サーバ等から取得可能な情報の参照]
なお、どのポート11(に接続された通信機器4)に、どれだけの電力量の電力を供給するかの決定は、ここまで述べたように、通信機器4を特定する情報や、充電量などに限らず、例えば外部のサーバ装置から取得される情報に基づいて決定してもよい。
【0086】
例えば集線装置1に接続される通信機器4の所持者ごとの外出スケジュール情報を記録したサーバ装置から外出スケジュール情報が取得できる場合、管理装置2は、より直近に外出の予定のある利用者が所持する通信機器4が接続されるポート11から順に、供給する電力を決定してもよい。
【0087】
また、利用者名や利用者の職位などと、当該利用者が利用する通信機器4を特定する情報を関連付けたデータベースに対して管理装置2がアクセス可能なように設定しておけば、管理装置2は、当該データベースを参照して、特定の利用者の通信機器4の優先度を設定したり、あるいは、特定の職位の利用者が利用する通信機器4の優先度をAに設定する、などといった制御が可能となる。
【0088】
[時間に基づく供給電力の決定]
既に述べたように、管理装置2は、ポート11に接続されている通信機器4等から制御条件情報を、所定のタイミングごとに繰り返し収集している。そこで本実施の形態の一例では、管理装置2が、収集した制御条件情報に含まれる、通信機器4を特定する情報ごとに、過去に連続して同じ通信機器4を特定する情報を収集した回数をカウントして記憶しておいてもよい。これにより管理装置2は、通信機器4がポート11に接続され続けている時間(接続時間)の情報を得る。
【0089】
そして管理装置2は、集線装置1への接続時間が長いほど優先度を低く設定する。例えば、接続時間が1時間未満である通信機器4を優先度A、接続時間が1時間以上3時間未満の通信機器4を優先度B、接続時間が3時間以上である通信装置を優先度Cとして、既に述べた例と同様に、優先度に基づく供給電力の電力量の設定を行ってもよい。
【0090】
[優先度を決定するための情報]
さらに本実施の形態の一例では、集線装置1が実際に供給した電力の履歴を、管理装置2が保持してもよい。この履歴は、例えば、供給した(供給を指示した)電力の情報と、当該電力を供給した日時の情報とを関連付けて保持したものである。また管理装置2に対して、実際の通信機器4の使用状況を、その周辺機器の状態を含めて、その状態で使用した日時の情報に関連付けて記録しておいてもよい。例えば
・ノート型パーソナルコンピュータを単独で利用
・ノート型パーソナルコンピュータに外部ディスプレイを接続して利用
・ノート型パーソナルコンピュータに外部ディスプレイを接続し、内蔵ディスプレイをオフにして利用
などといった使用状況の情報を併せて記録しておく。
【0091】
そして集線装置1の管理者は、この履歴や記録を参照して、優先度を定めることとしてもよい。
【0092】
[商用電源喪失時の対応]
また本実施の形態の一例では、優先度の設定は一つとは限られず、商用電源が供給されている通常時と、商用電源が喪失したとき(つまり停電時)とに分けて設定されてもよい。なお、ここでは集線装置1及び管理装置2はいわゆる無停電原電装置(UPS)を介して電力の供給を受けているものとし、商用電源喪失時には、無停電電源装置のバッテリから電力供給を受けるものとする。また商用電源喪失時には、集線装置1及び管理装置2は、商用電源が喪失したことを表す信号を、無停電原電装置から受け入れるものとする。
【0093】
このとき、例えばMACアドレス等、通信機器4を特定する情報に関連付けて優先度を設定しておくこととすれば、停電時の優先度設定として、
・バッテリ内蔵のパーソナルコンピュータ:優先度D
・バッテリを内蔵しないパーソナルコンピュータ:優先度B
・NAS(Network Attached Storage):優先度B
・IP電話機のうち、予め定めた優先電話機:優先度A
・IP電話機のうち、上記優先電話機以外のもの:優先度D

などと定める。
【0094】
そして優先度Aについては、通常時と同様に電力を供給する設定とする。また優先度Bについては、所定の時間だけ通常時と同様に電力を供給する設定とする。優先度Dについては供給する電力を「0」とする(つまり電力供給を停止する)設定としておく。
【0095】
なお、パーソナルコンピュータやNASなど、非常時のシャットダウン機能を備えるものに対しては、商用電源が喪失したことを表す信号を受けた集線装置1がシャットダウンを促す信号を送出してもよい。
【0096】
本実施の形態のこの例によると、管理装置2は、予め(停電していない間に)集線装置1から各ポート11を介して接続される通信機器4のMACアドレス等の通信機器4を特定する情報を受け入れて記憶しておく。そして管理装置2は、商用電源喪失時に、その旨の信号を無停電電源装置から受けた管理装置2が、停電時の優先度設定と、各ポート11に接続されている通信機器4を特定する情報とに基づいて各ポート11を介して、当該ポート11に接続される通信機器4へ供給する電力を決定し、当該決定の結果を集線装置1に対して出力する。
【0097】
そして、集線装置1は、当該決定に応じて各ポート11を介して通信機器4に供給する電力の大きさを制御する。このため、上述の例のように設定されている場合、バッテリ内蔵のパーソナルコンピュータについては電力供給が「0」となり、またシャットダウンを促す通知が行われる。
【0098】
また、バッテリを内蔵しないパーソナルコンピュータとNASとには、しばらくの間、電力が供給されるとともに、シャットダウンを促す通知が行われる。またIP電話機のうち、予め定めた優先電話機については無停電電源からの電源供給が続く限り、通常時と同様に電力が供給される。さらにIP電話機のうち、上記優先電話機以外のものについては電力供給が「0」となる。
【0099】
このように本実施の形態では、無停電電源装置が供給する電力の分配にも利用でき、無停電電源装置の効率的な運用を支援できる。
【0100】
[変形例]
またここまでの説明では、集線装置1が管理装置2からポート11ごとに、当該ポート11を介して供給する電力量を設定する情報の入力を受けることとしていたが、本実施の形態はこれに限られない。
【0101】
本実施の形態のある例では、管理装置2の制御部21は、集線装置制御部43として機能する際に、電力設定部42が通信機器4ごと(通信機器4が接続されたポート11ごと)に、当該通信機器4に対して供給する電力量を決定する。そして、集線装置1が当該決定された電力量を表す情報を、対応する通信機器4、または当該通信機器4に接続されたアダプタ機器3に対して(ネットワーク通信により)送出してもよい。この場合、この情報を受けた通信機器4またはアダプタ機器3が、集線装置1にポート11を介して当該情報に基づく電力量を要求することとなる。
【0102】
[USB側から電力を指定する例]
また本発明の別の態様では、管理装置2が、通信機器4または通信機器4に接続されたアダプタ機器3から、所定のタイミングで、要求する電力量の情報を含む、電力要求を受け入れて、当該電力要求に基づき、集線装置1の給電能力の範囲(最大給電能力以下の電力量)で、各ポート11を介した電力供給の動作を行うよう、集線装置1を制御する。
【0103】
本実施の形態のこの態様でも、管理装置2は図3に例示したように、機能的に、情報収集部41と、電力設定部42と、集線装置制御部43と、を含む構成を実現するが、情報収集部41と電力設定部42との動作がこれまでの説明と異なる。
【0104】
この例の情報収集部41は、通信機器4または通信機器4に接続されたアダプタ機器3から、要求する電力量の情報を含む、電力要求を受け入れる。そして情報収集部41は、受け入れた電力要求を、当該電力要求を送出した通信機器4またはアダプタ機器3が接続されているポート11を特定する情報に関連付けて記録する。
【0105】
またこの情報収集部41は、集線装置1の最大給電能力に関する情報、さらには、現在の電力供給状況の情報を、集線装置1から収集してもよい。
【0106】
電力設定部42は、情報収集部41が電力要求を受け入れると、予め設定された条件に従い、また、上記受け入れた電力要求に基づいて、集線装置1のポート11に接続される通信機器4ごとに、当該通信機器4に対して(つまりポート11ごとに、当該ポート11を介して)供給する電力量を決定する。
【0107】
一例として電力設定部42は、受け入れた順に、電力要求(複数あってもよい)と当該電力要求を受け入れたポート11を特定する情報とを関連付けて保持する。そして新たに電力要求を受け入れると、電力設定部42は、当該電力要求を受け入れたポート11を特定する情報が保持されているか否かを調べる。ここで、当該電力要求を受け入れたポート11を特定する情報が保持されていなければ、電力設定部42は、受け入れた電力要求と、当該電力要求を受け入れたポート11を特定する情報とを関連付けて保持し、保持している電力要求に応じて供給する電力量(後に述べるように要求された電力量と異なる場合がある)の総和を求める。
【0108】
そして、電力設定部42は、当該求めた総和が集線装置1の最大給電能力以下であるか否かを判断する。ここで、求めた総和が集線装置1の最大給電能力以下でなければ、電力設定部42は、保持している電力要求に応じて供給する電力量の総和が集線装置1の給電能力の範囲内となるまで、保持している電力要求を例えば古い順など、予め定めた規則により定められる順に削除する。
【0109】
あるいは、上記求めた総和が集線装置1の最大給電能力以下でなければ、電力設定部42は、新しく受け入れた電力要求に対して応答しない(対応する電力供給を行わない)こととしてもよい。
【0110】
また、求めた総和が集線装置1の最大給電能力以下であれば、給電能力の範囲内であるとして、電力設定部42は、保持している電力要求に基づいて集線装置1のポート11に接続される通信機器4ごとに、当該通信機器4に対して(つまりポート11ごとに、当該ポート11を介して)供給する電力量を決定する。
【0111】
さらに、新たに電力要求を受け入れたポート11を特定する情報が、既に保持されているときには、電力設定部42は、当該保持しているポート11を特定する情報とそれに関連付けられた電力要求に置き換えて、新たに受け入れた電力要求を保持する。そして電力設定部42は、保持している電力要求に応じて供給する電力量の総和を求め、当該求めた総和が集線装置1の最大給電能力以下であるか否かを判断する。ここで求めた総和が集線装置1の最大給電能力以下でなければ、電力設定部42は、保持している電力要求に応じて供給する電力量の総和が集線装置1の最大給電能力以下となるまで、保持している電力要求を古い順に削除する。
【0112】
あるいは、上記求めた総和が集線装置1の最大給電能力以下でなければ、電力設定部42は、新しく受け入れた電力要求に対して応答しない(対応する電力要求を置き換えない)こととしてもよい。
【0113】
また、求めた総和が集線装置1の最大給電能力以下であれば、電力設定部42は、保持している電力要求に基づいて集線装置1のポート11に接続される通信機器4ごとに、当該通信機器4に対して(つまりポート11ごとに、当該ポート11を介して)供給する電力量を決定する。
【0114】
電力設定部42は、次のようにして、保持している電力要求に基づいて、供給する電力量を決定する。この例では、電力要求は、USBの接続規格と電流・電圧を指定することによって行われる([表3])。例えば通信機器4は、電力要求として、「USB PD1.0、3A、20V」の要求を行う。電力設定部42は、この電力要求を、当該通信機器4が接続されているポート11を特定する情報に関連付けて保持しておく。そして電力設定部42は、この保持している電力要求と、[表1]に示した設定テーブルとを参照して、保持している電力要求に対応するPoEの規格及びクラスを求める。
【0115】
ここでの例では、「USB PD1.0、3A、20V」に対応するPoEの規格及びクラスとして、802.3bt、クラス7(62W)とする。ここで決定したPoEの規格により供給する電力量が定められる(上述の、電力要求に応じて供給する電力の総和は、この、PoEの規格に基づいて定められる電力量の総和となる)。
【0116】
【表3】
【0117】
電力設定部42は、こうしてポート11ごとに、関連付けて保持している電力要求に応じて供給する電力(を指定するPoEの規格及びクラス)を決定し、当該決定した電力量を表す情報を、集線装置制御部43に出力する。
【0118】
本実施の形態のこの態様では、通信機器4またはそれに接続されるアダプタ機器3が、USBの規格に基づく電力要求を行うこととなる。一般にUSB機器、例えばUSB Type-C Power Delivery(USB PD)に対応するためには、USBインタフェースに含まれる電流制御チップが、予め決められた、接続規格や要求する電流・電圧の情報を、電力の供給元に送出することとなっている。
【0119】
本実施の形態では、通信機器4またはそれに接続されるアダプタ機器3は、対応規格や、必要とする電流、電圧の情報を、要求する電力量に対応して変更し、当該変更した対応規格や、必要とする電流、電圧の情報を、電力の供給元に送出してネゴシエーションを行う。
【0120】
また本実施の形態のこの例では、通信機器4は、インストールされたプログラムを実行することで、所定のタイミング(例えば利用者が充電の要求を行ったタイミングなど)で、アダプタ機器3に接続されているUSBインタフェースにおけるUSBの接続規格や要求する電流・電圧を変更(標準で定められている値から変更)し、管理装置2に対して当該変更後の接続規格や要求する電流・電圧の情報を、電力要求として送出する。
【0121】
あるいは、通信機器4は、所定のタイミング(例えば利用者が充電の要求を行ったタイミングなど)で、要求する電流・電圧の情報を、当該通信機器4に接続されているアダプタ機器3に出力し、アダプタ機器3に管理装置2に送出させることとしてもよい。
【0122】
この場合、要求する電流・電圧の情報の入力を受けたアダプタ機器3は、当該要求に対応するUSBの接続規格や要求する電流・電圧を表す情報を、電力要求として管理装置2に対して送出する。
【0123】
[時間制限]
また本実施の形態の管理装置2は、上述のように集線装置1に対して(直接、あるいは通信機器4やアダプタ機器3を介して)ポート11ごとの供給電力の電力量を設定したときには、当該設定から予め定めた時間だけ経過したときに、ポート11ごとの優先度を変更してもよい。例えば優先度Aであったポート11を優先度Bとし、優先度Bであったポート11を優先度Aと設定してもよい。このようにすると、長時間に亘って、比較的大きい電力量の電力を、一部の利用者が占有するといったことがなくなる。
【0124】
さらに本実施の形態の一例では、管理装置2が、制御条件情報を収集できない通信機器4(が接続されたポート11)に対しては、所定の電力量を供給するが、予め定めた時間で電力の供給を停止するよう、集線装置1を制御してもよい。
【0125】
このようにすると、例えば一時的な利用者(ゲスト)が集線装置1のポート11を利用した場合であっても、一定の時間だけ電力の供給を受けることが可能となる。
【0126】
[アダプタ機器による情報の提供]
また本実施の形態の一例では、通信機器4が供給するべき電力量を決定するための制御条件情報の要求を、USBポートを介して受けて、予め定められた制御条件情報を、その要求元に対してUSBポートを介して送出して応答するのに代えて、あるいはこれととともに、アダプタ機器3が、制御条件情報を送出することとしてもよい。
【0127】
例えば、アダプタ機器3は、自己のネットワークインタフェース側のMACアドレスを、通信機器4のMACアドレスとして、管理装置2に対して送出してもよい。またアダプタ機器3が制御条件情報の要求を受けて、当該要求に応答して通信機器4から所定の制御条件情報を収集し、管理装置2に対して送出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0128】
1 集線装置、2 管理装置、3 アダプタ機器、4 通信機器、11 ポート、12 プロセッサ、21 制御部、22 記憶部、23 通信部、31 バスインタフェース部、32 電源制御部、33 通信制御部、34 ネットワークインタフェース部、41 情報収集部、42 電力設定部、43 集線装置制御部。

図1
図2
図3
図4